説明

燃料電池車両の冷却装置

【課題】本発明は、燃料電池車両の冷却装置について、放熱器の放熱性能を向上させるとともに冷却水通路の構造を簡素化して車両への搭載性を高めることを目的としている。
【解決手段】このため、燃料電池と第1放熱器間の冷却水用第1冷却通路と、燃料電池以外と第2放熱器間の冷却水用第2冷却通路を形成し、第1放熱器をフロントバンパ後方かつ車幅方向中央部に配設し、第2放熱器を構成する一対の放熱器を第1放熱器の車幅方向側部かつフロントバンパの車幅方向側部の湾曲部に囲まれる空間に配設し、第1、第2放熱器をフロントバンパ開口部からの冷却風によって冷却する燃料電池車両の冷却装置において、車両を上方から見た場合、各第2放熱器をフロントバンパ内側面に沿って湾曲させ、各第2放熱器の車幅方向内側端部を冷却水配管で連結し、冷却水を一方の第2放熱器の車幅方向外側端部から他方の第2放熱器の車幅方向外側部に向けて一方向に流す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は燃料電池車両の冷却装置に係り、特に車両の前部に配設される放熱器の放熱性能の向上を図る燃料電池車両の冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ところで、従来の燃料電池車両では、燃料電池本体を冷却する第1冷却通路と、モータやインバータなどの電気機器を冷却する第2冷却通路とを夫々独立させたものがある。このようにする主な理由は、第1冷却通路を流れる冷却水には極低導電率が要求されているためである。
一方、燃料電池はそれ以外の電気機器と比べて発熱量が大きく、第1冷却通路に配設される第1放熱器を第2冷却通路に配設される第2放熱器より大きくする必要がある。
【0003】
【特許文献1】特開2004−168193号公報
【特許文献2】特開2005−75216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の燃料電池車両において、上述の特許文献1に記載のように、第1放熱器を、放熱面積を確保し易いフロントバンパの後方かつ車幅方向中央部に配設し、第2放熱器を2つに分割して第1放熱器の車幅方向両側部かつフロントバンパの車幅方向側部の湾曲部に囲まれた空間内に配設することが考えられる。
しかし、上記のような狭い空間内に第2放熱器を配設する場合、平面的な形状の放熱器では必要な放熱面積を確保することが困難になるとともに、第2放熱器をフロントバンパの開口部から離れた冷却風の当たり難い位置に配設しなければならず、第2放熱器の放熱性能が低下するという不都合がある。
また、上述の特許文献1に記載のように、第2の冷却流路の冷却水通路に分岐点と合流点とを設け、分岐点と合流点とを連絡する2つの冷却水通路に夫々第2放熱器を並列に配設する場合には、分岐点及び合流点によって冷却水通路の構造が複雑になり、車両への搭載性が悪くなるという不都合がある。
更に、第2放熱器を冷却ファンで冷却する場合、2つの第2放熱器へ流入する冷却水の温度が略等しい温度となるため、両方の第2放熱器に冷却ファンを装着しないと放熱性能を大幅に向上させることが困難であるという不都合がある。
【0005】
この発明は、燃料電池車両の冷却装置について、放熱器の放熱性能を向上させるとともに冷却水通路の構造を簡素化して車両への搭載性を高めることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、この発明は、上述不都合を除去するために、燃料電池と第1放熱器との間で冷却水を循環させる第1冷却通路と、燃料電池以外の電気機器と第2放熱器との間で冷却水を循環させる第2冷却通路を夫々独立に形成し、前記第1放熱器をフロントバンパの後方かつ車幅方向中央部に配設し、前記第2放熱器を一対の放熱器で構成してこれらの放熱器を第1放熱器の車幅方向側部かつフロントバンパの車幅方向側部の湾曲部に囲まれる空間に配設し、前記第1放熱器及び第2放熱器をフロントバンパに設けられた開口部から導入される冷却風によって冷却する燃料電池車両の冷却装置において、車両を上方から見た場合、各第2放熱器をフロントバンパの内側面に沿って湾曲させるとともに各第2放熱器の車幅方向内側端部を冷却水配管で連結し、冷却水を一方の第2放熱器の車幅方向外側端部から他方の第2放熱器の車幅方向外側部に向けて一方向に流すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上詳細に説明した如くこの発明によれば、燃料電池と第1放熱器との間で冷却水を循環させる第1冷却通路と、燃料電池以外の電気機器と第2放熱器との間で冷却水を循環させる第2冷却通路を夫々独立に形成し、第1放熱器をフロントバンパの後方かつ車幅方向中央部に配設し、第2放熱器を一対の放熱器で構成してこれらの放熱器を第1放熱器の車幅方向側部かつフロントバンパの車幅方向側部の湾曲部に囲まれる空間に配設し、第1放熱器及び第2放熱器をフロントバンパに設けられた開口部から導入される冷却風によって冷却する燃料電池車両の冷却装置において、車両を上方から見た場合、各第2放熱器をフロントバンパの内側面に沿って湾曲させるとともに各第2放熱器の車幅方向内側端部を冷却水配管で連結し、冷却水を一方の第2放熱器の車幅方向外側端部から他方の第2放熱器の車幅方向外側部に向けて一方向に流す。
従って、車両を上方から見た場合、各第2放熱器をフロントバンパの内側面に沿って湾曲させるとともに各第2放熱器の車幅方向内側端部を冷却水配管で連結したため、狭い空間内に配設される第2放熱器の寸法を拡大して放熱面積を最大限に確保できる。
また、第2放熱器及び冷却水配管を冷却風を受けやすい車両の前面部に配設することができ、第2放熱器の冷却効果を向上させることができる。
更に、冷却水を一方の第2放熱器の車幅方向外側端部から他方の第2放熱器の車幅方向外側部に向けて一方向に流すことで、冷却水通路を分岐させて2つの第2放熱器を並列に配設する構造と比べて冷却水通路の分岐及び合流箇所を減らして冷却水通路の構造を簡素化し、車両への搭載性を高めることができる。
以上の構造によって、燃料電池車両に搭載される第2放熱器の放熱性能を向上させるとともに冷却水通路の構造を簡素化して車両への搭載性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0009】
図1〜図4はこの発明の実施例を示すものである。
図1〜図3において、1は燃料電池車両である。
この燃料電池車両1の車体2は、図1〜図3に示す如く、車両前後方向に延びる一対のサイドフレーム、つまりレフトサイドフレーム3とライトサイドフレーム4とを有している。
また、これらのレフトサイドフレーム3及びライトサイドフレーム4の前部の外側部位に左右の前輪5、6が夫々配設される一方、前記レフトサイドフレーム3及びライトサイドフレーム4の前方部位にはフロントバンパ7が配設される。
そして、前記燃料電池車両1の前部にはエンジンルーム8が形成される。
【0010】
また、図1〜図3に示す如く、このエンジンルーム8内に長手方向が車幅方向に指向するように燃料電池9を車幅方向中央部に横置き状態に搭載し、この燃料電池9の前方において、前記フロントバンパ7の後方かつ車幅方向中央部に第1放熱器10を配設する一方、前記燃料電池9の後方にモータ11やインバータ(「動力制御装置」ともいう。)12などからなる電気機器13を順次配設する。そして、インバータ12の後方にはウォータポンプ14を配設する。
【0011】
更に、前記第1放熱器10の後部に冷却ファン15を配設する。
そして、第1放熱器10の車幅方向側部かつ前記フロントバンパ7の車幅方向側部の湾曲部、例えば左側湾曲部16に囲まれる左側空間17と、右側湾曲部18に囲まれる右側空間19との夫々に一対の第2放熱器20を配設する。
つまり、前記左側空間17に左側第2放熱器21を配設する一方、前記右側空間19には右側第2放熱器22を配設する。
【0012】
また、前記燃料電池9と前記第1放熱器10との間で冷却水を循環させる第1冷却通路23と、前記燃料電池9以外の電気機器13と前記第2放熱器20との間で冷却水を循環させる第2冷却通路24を夫々独立に形成する。
そして、前記第1放熱器10及び第2放熱器20をフロントバンパ7に設けられた開口部25から導入される冷却風によって冷却するように、前記燃料電池車両1の冷却装置26を構成する。
【0013】
このとき、前記燃料電池車両1を上方から見た場合、各第2放熱器20、つまり左側第2放熱器21及び右側第2放熱器22をフロントバンパ7の内側面に沿って湾曲させるとともに、各第2放熱器20である左側第2放熱器21及び右側第2放熱器22の車幅方向内側端部を冷却水配管27で連結し、冷却水を一方の第2放熱器、例えば左側第2放熱器21の車幅方向外側端部から他方の第2放熱器、例えば右側第2放熱器22の車幅方向外側部に向けて一方向に流すように構成する。
詳述すれば、前記フロントバンパ7は、図1及び図2に示す如く、車幅方向両側部が車両後方へ湾曲しており、このフロントバンパ7の車幅方向中央部と車幅方向両側部の左側湾曲部16と右側湾曲部18とに夫々冷却風を導入する前記開口部25が形成されている。
つまり、この開口部25は、前記フロントバンパ7の車幅方向中央部に形成される中央開口部28と、フロントバンパ7の車幅方向左側部の左側湾曲部16において左側エアガイド部29に形成される左側開口部30と、フロントバンパ7の車幅方向右側部の右側湾曲部18において右側エアガイド部31に形成される右側開口部32とからなる。
これらの左側エアガイド部29及び右側エアガイド部31は、図2に示す如く、前記フロントバンパ7の左右両側の左側開口部30及び右側開口部32の車幅方向外側部にフロントバンパ7の表面から段差状に突出して形成されることにより、第2放熱器20である左側第2放熱器21及び右側第2放熱器22の前面部に沿って車幅方向に流れる走行風を捕捉して左側第2放熱器21及び右側第2放熱器22を通過させることができる。これによって、第2放熱器20である左側第2放熱器21及び右側第2放熱器22を通過する冷却風の風量を増加させることができる。
そして、前記フロントバンパ7の車幅方向中央部に形成される中央開口部28の後方には、前記エンジンルーム8の一部を形成するラジエータコアサポートメンバ33によって前記第1放熱器10が配設される。
このとき、前記第1放熱器10は、図1及び図3に示す如く、上端側が下端側に比べて車両後方に位置するように、傾斜した状態の配設される。
また、前記フロントバンパ7の車幅方向左側部の左側湾曲部16に形成される左側開口部30の後方には、前記左側第2放熱器21が配設されるとともに、フロントバンパ7の車幅方向右側部の右側湾曲部18に形成される右側開口部32の後方には、前記右側第2放熱器22が配設される。
【0014】
このとき、第2放熱器20である左側第2放熱器21及び右側第2放熱器22は、前記フロントバンパ7の内周壁に沿って湾曲する形状に形成されているため、平面的な形状の放熱器に比べて放熱面積を拡大できるとともに、フロントバンパ7の左側湾曲部16及び右側湾曲部18に夫々形成される左側開口部30及び右側開口部32に近接した位置に配設でき、左側開口部30及び右側開口部32に流入する冷却風を受け易い構造である。
また、前記左側第2放熱器21及び右側第2放熱器22を湾曲させたことにより、左側第2放熱器21及び右側第2放熱器22の夫々の後方空間を拡大させることができ、左側第2放熱器21及び右側第2放熱器22を通過した冷却風を車両後方へスムーズに排出することができる。
【0015】
ここで、前記燃料電池車両1の冷却装置26の冷却水経路について説明する。
前記燃料電池9と前記第1放熱器10との間で冷却水を循環させる第1冷却通路23は、図1に示す如く、第1放熱器10の右側に位置する冷却水出口34と前記燃料電池9の入口側に設けられる燃料電池用ウォータポンプ35とを連絡する第1−1通路23aと、前記燃料電池9と第1放熱器10の左側に位置する冷却水入口36とを連絡する第1−2通路23bとからなる。
つまり、前記第1放熱器10内の冷却水は、この第1放熱器10の右側に位置する冷却水出口34から第1−1通路23aを介して燃料電池用ウォータポンプ35に至り、この燃料電池用ウォータポンプ35及び前記燃料電池9から第1−2通路23bを介して第1放熱器10の左側に位置する冷却水入口36に流れる。
これにより、前記第1放熱器10内の冷却水が、前記フロントバンパ7の車幅方向中央部に形成される中央開口部28から導入される冷却風によって冷却され、この冷却された冷却水が第1冷却通路23を利用して前記燃料電池9のみを冷却するため、前記燃料電池9を確実に冷却することができ、燃料電池9の性能維持を図ることができる。
【0016】
また、前記燃料電池9以外の電気機器13と前記第2放熱器20との間で冷却水を循環させる第2冷却通路24は、図1及び図3に示す如く、前記左側第2放熱器21の下部に形成される左側冷却水出口37と前記右側第2放熱器22の下部に形成される右側冷却水入口38とを連絡する第2−1通路24aと、右側第2放熱器22の上部に形成される右側冷却水出口39と前記ウォータポンプ14とを連絡する第2−2通路24bと、このウォータポンプ14と前記電気機器13であるインバータ12とを連絡する第2−3通路24cと、このインバータ12と前記モータ11とを連絡する第2−4通路24dと、このモータ11と前記左側第2放熱器21の上部に形成される左側冷却水入口40とを連絡する第2−5通路24eとからなる。
つまり、前記左側第2放熱器21内の冷却水は、この左側第2放熱器21の下部に形成される左側冷却水出口37から第2−1通路24aを介して前記右側第2放熱器22の下部に形成される右側冷却水入口38に至り、右側第2放熱器22の上部に形成される右側冷却水出口39から第2−2通路24bを介してウォータポンプ14に流れる。
このウォータポンプ14に流れた冷却水は、第2−3通路24cを介して電気機器13であるインバータ12に至り、このインバータ12から第2−4通路24dを介してモータ11に流れる。
そして、このモータ11に流れた冷却水は、第2−5通路24eを介して前記左側第2放熱器21の上部に形成される左側冷却水入口40に流れる。
このとき、この左側第2放熱器21の左側冷却水入口40に冷却水が流入する際に、図1に示す如く、前記左側第2放熱器21の左側冷却水入口40近傍に取り付けられる後述する冷却ファン41の取付位置を通過する。
これにより、前記第2放熱器20である左側第2放熱器21及び右側第2放熱器22内の冷却水が、前記フロントバンパ7の車幅方向両側部の左側湾曲部16及び右側湾曲部18に夫々形成される左側開口部30及び右側開口部32から導入される冷却風によって冷却され、この冷却された冷却水が第2冷却通路24を利用して前記インバータ12や前記モータ11などからなる電気機器13を順次冷却するため、電気機器13を確実に冷却することができ、電気機器13の性能維持を図ることができる。
【0017】
そして、前記第2冷却通路24において、前記左側第2放熱器21の下部に形成される左側冷却水出口37と前記右側第2放熱器22の下部に形成される右側冷却水入口38とを連絡、つまり左側第2放熱器21及び右側第2放熱器22の車幅方向内側端部を連絡するする第2−1通路24a部分を前記冷却水配管27で連結している。
これにより、左側第2放熱器21及び右側第2放熱器22、そして、冷却水配管27を冷却風を受け易い前記燃料電池車両1の前面部に配設することができ、第2放熱器20である左側第2放熱器21及び右側第2放熱器22の冷却効果を向上させることができる。
【0018】
また、冷却水を一方の第2放熱器である右側第2放熱器22の車幅方向外側端部たる右側冷却水出口39から他方の第2放熱器である左側第2放熱器21の車幅方向外側部たる左側冷却水入口40に向けて一方向に流すように、前記第2冷却通路24の第2−2通路24b〜第2−5通路24eを利用して循環させている。
これにより、冷却水を一方の第2放熱器である左側第2放熱器21の車幅方向外側端部たる左側冷却水入口40から他方の第2放熱器である右側第2放熱器22の車幅方向外側端部たる右側冷却水出口39に向けて一方向に流すことで、冷却水通路を分岐させて2つの第2放熱器を並列に配設する構造と比べて冷却水通路の分岐及び合流箇所を減らして冷却水通路の構造を簡素化し、車両への搭載性を向上することができる。
【0019】
更に、前記第2放熱器20のうち、冷却水の流れ方向で上流側に位置する第2放熱器、例えば左側第2放熱器21にのみ前記冷却ファン41を取り付ける。
つまり、図1及び図3に示す如く、前記左側第2放熱器21の後方空間かつ前記左側の前輪5を区画するホイルハウスインナーパネル42の前側であって、車幅方向外側部たる左側冷却水入口40近傍に前記冷却ファン41を取り付けるものである。
これにより、冷却水の温度を2つの第2放熱器20である左側第2放熱器21及び右側第2放熱器22によって段階的に低下させるとともに、冷却水流れ方向上流側に配設されて温度の高い冷却水が流入する第2放熱器である左側第2放熱器21を冷却ファン41で冷却することによって、冷却ファン41の数を削減しつつ第2放熱器20である左側第2放熱器21及び右側第2放熱器22の放熱性能を向上させることができる。
【0020】
更にまた、前記第2放熱器20である左側第2放熱器21及び右側第2放熱器22の車幅方向内側端部を前記第1放熱器10より車両前方に突出させ、各第2放熱器20である左側第2放熱器21と右側第2放熱器22との間を連絡する前記冷却水配管27を第1放熱器10の車両前方側に配設した。
つまり、第1放熱器10を、上端部が下端部よりも車両後方に位置するように車幅方向中央部に傾斜した状態に配設した際に、図1に示す如く、この第1放熱器10の下端部よりも前記左側第2放熱器21の左側冷却水出口37と右側第2放熱器22の右側冷却水入口38とを車両前方に位置させるものである。
そして、第2放熱器20である左側第2放熱器21と右側第2放熱器22との間を連絡する前記冷却水配管27を第1放熱器10の車両前方側、つまり図1及び図3に示す如く、第1放熱器10の下端部よりも車両前方側に配設する。
これにより、第2放熱器20である左側第2放熱器21と右側第2放熱器22との間を連絡する冷却水配管27が第1放熱器10を通過した冷却風で加熱されることを防止でき、第1放熱器10に比べて温度が低い冷却水が循環する左側第2放熱器21及び右側第2放熱器22の放熱性能を向上させることができる。
【0021】
また、前記第1放熱器10の車両前方側に車幅方向に延びるバンパメンバ43が配設され、第2放熱器20である左側第2放熱器21と右側第2放熱器22との間を連絡する冷却水配管27を車両上下方向でバンパメンバ43と重なる位置に配設する。
つまり、前記バンパメンバ43は、図3及び図4に示す如く、アッパバンパメンバ44とロアバンパメンバ45とからなり、アッパバンパメンバ44を前記冷却水配管27の上方部位に位置させ、車両上下方向でバンパメンバ43、つまりロアバンパメンバ45と重なる位置に配設する。
また、ロアバンパメンバ45は、図4(b)に示す如く、断面く字状に湾曲させて形成して車両前方に湾曲中心を突出させ、図4(a)及び(b)に示す如く、ロアバンパメンバ45の開放側である後方に前記冷却水配管27を位置させ、車両前後方向でも前記バンパメンバ43、つまりロアバンパメンバ45と重なる位置に配設する。
これにより、第1放熱器10へ流れる冷却風を妨げない位置に冷却水配管27を配設することによって、第1放熱器10の放熱性能を向上させることができる。
また、車両前面部を車幅方向に延びる冷却水配管27の前側をロアバンパメンバ45によって車両前後方向で重なるように設けたため、前記燃料電池車両1の衝突時に冷却水配管27を保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施例を示す燃料電池車両の前部の概略平面図である。
【図2】燃料電池車両の前方斜視図である。
【図3】フロントバンパを取り外した状態の燃料電池車両の前方斜視図である。
【図4】燃料電池車両の前部に配設される放熱器を示し、(a)は燃料電池車両の前部に配設される第1放熱器及び第2放熱器の概略正面図、(b)は(a)におけるA−A線断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 燃料電池車両
2 車体
3 レフトサイドフレーム
4 ライトサイドフレーム
7 フロントバンパ
9 燃料電池
10 第1放熱器
13 電気機器
15 冷却ファン
16 左側湾曲部
17 左側空間
18 右側湾曲部
19 右側空間
20 第2放熱器
21 左側第2放熱器
22 右側第2放熱器
23 第1冷却通路
24 第2冷却通路
25 開口部
27 冷却水配管
28 中央開口部
30 左側開口部
32 右側開口部
41 冷却ファン
43 バンパメンバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池と第1放熱器との間で冷却水を循環させる第1冷却通路と、燃料電池以外の電気機器と第2放熱器との間で冷却水を循環させる第2冷却通路を夫々独立に形成し、前記第1放熱器をフロントバンパの後方かつ車幅方向中央部に配設し、前記第2放熱器を一対の放熱器で構成してこれらの放熱器を第1放熱器の車幅方向側部かつフロントバンパの車幅方向側部の湾曲部に囲まれる空間に配設し、前記第1放熱器及び第2放熱器をフロントバンパに設けられた開口部から導入される冷却風によって冷却する燃料電池車両の冷却装置において、車両を上方から見た場合、各第2放熱器をフロントバンパの内側面に沿って湾曲させるとともに各第2放熱器の車幅方向内側端部を冷却水配管で連結し、冷却水を一方の第2放熱器の車幅方向外側端部から他方の第2放熱器の車幅方向外側部に向けて一方向に流すことを特徴とする燃料電池車両の冷却装置。
【請求項2】
前記第2放熱器のうち、冷却水の流れ方向で上流側に位置する第2放熱器にのみ冷却ファンを取り付けることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池車両の冷却装置。
【請求項3】
前記第2放熱器の車幅方向内側端部を第1放熱器より車両前方に突出させ、各第2放熱器の間を連絡する冷却水配管を第1放熱器の車両前方側に配設したことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池車両の冷却装置。
【請求項4】
前記第1放熱器の車両前方側に車幅方向に延びるバンパメンバが配設され、第2放熱器の間を連絡する冷却水配管を車両上下方向でバンパメンバと重なる位置に配設することを特徴とする請求項3に記載の燃料電池車両の冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−12961(P2010−12961A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175256(P2008−175256)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】