物体検出装置および接触回避システム
【課題】自車両の周囲に存在する物体を検出し、検出した物体が自車両と接触してもよいものか否かを適切に判断することが可能な物体検出装置を提供する。
【解決手段】物体検出装置1は、自車両Aの周囲に存在する物体までの距離Znの情報を収集する距離情報収集手段9と、収集された距離Znの情報に基づいて互いに隣接する距離Znの情報をグループ化して物体を検出する物体検出手段11と、検出された物体ごとに、当該物体に属する距離Znの各情報の平均値Zaveを算出してばらつき量Zdifを算出するばらつき量算出手段12と、当該物体に属する距離Znの各情報についてその右側または左側の近接する情報との差の絶対値の平均値ΔZaveを算出する距離差平均算出手段13と、検出された物体ごとに算出されたばらつき量Zdifおよび前記平均値ΔZaveに基づいて、自車両Aが当該物体と接触可能であるか否かを判断する判断手段14と、を備える。
【解決手段】物体検出装置1は、自車両Aの周囲に存在する物体までの距離Znの情報を収集する距離情報収集手段9と、収集された距離Znの情報に基づいて互いに隣接する距離Znの情報をグループ化して物体を検出する物体検出手段11と、検出された物体ごとに、当該物体に属する距離Znの各情報の平均値Zaveを算出してばらつき量Zdifを算出するばらつき量算出手段12と、当該物体に属する距離Znの各情報についてその右側または左側の近接する情報との差の絶対値の平均値ΔZaveを算出する距離差平均算出手段13と、検出された物体ごとに算出されたばらつき量Zdifおよび前記平均値ΔZaveに基づいて、自車両Aが当該物体と接触可能であるか否かを判断する判断手段14と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体検出装置および接触回避システムに係り、特に、物体までの距離の情報を収集して検出した物体の種別を判断する物体検出装置およびその判断に基づいて接触回避制御を行う接触回避システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、乗用車等の車両の周囲に存在する物体を、CCD(Charge Coupled Device)カメラ等の撮像手段で撮像した画像の画像解析やレーダ装置から発射された電波の反射波解析等により検出する技術の開発が進められている(例えば特許文献1等参照)。特に特許文献1では、物体検出の信頼性を向上させるために、ステレオカメラで得られた撮像画像から算出された物体までの距離のばらつきを監視し、通常の環境では起こり得ないと思われるばらつきがある場合にはカメラ異常として、通常の監視制御が中止し、フェールセーフを実行するようになっている。
【0003】
また、これらの技術により検出された物体の情報に基づいて自車両と他の物体との接触の可能性の有無を判断し、接触の可能性がある場合には警報を鳴らしてドライバの注意を喚起したり接触を回避するように自動操舵や制動制御を行ったりする接触回避制御を行う技術の開発が進められている(例えば特許文献2等参照)。
【特許文献1】特開2001−43496号公報
【特許文献2】特開平6−298022号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特に寒冷地や標高が高い場所等で生じ易い現象ではあるが、例えば道路上方に水蒸気塊が浮遊していたり、後述する図13に示すように先行車両のエキゾーストパイプから白く濃い排気ガスが排出されて前進する先行車両の後方で白い排気ガスがその場に留まっている場合がある。そして、水蒸気塊や排気ガスが撮像手段によって撮像され、或いはレーダ装置によって検知されて、物体として検出される場合がある。
【0005】
このような場合、ドライバは、通常、水蒸気塊や排気ガスを避けようとせず、その中に自車両を突入させて自車両の走行を継続しようとするが、上記の接触回避制御が作動してしまう結果、自車両が水蒸気塊や排気ガスの手前で停止するように自動的にブレーキが掛かってしまい、ドライバに違和感を覚えさせてしまったり後方の車両に追突されたりする事態が生じ得る。
【0006】
また、狭い道路の脇に立て掛けられた宣伝用等の旗や幟や、道路脇の背が高く風になびく草むら等も、ドライバにとっては多少接触してもよい対象であって、例えば道路の中央線を越えて反対車線に進入してまで避ける対象ではないと思われるような場合でも、それらが物体として検出されると接触回避制御が作動して自動的に制動制御がなされる等して、自車両がドライバの予期しない動作を行ってしまう場合がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、自車両の周囲に存在する物体を検出し、検出した物体が自車両と接触してもよいものか否かを適切に判断することが可能な物体検出装置を提供し、さらに接触可能か否かの判断に基づいて適切に接触回避制御を行うことが可能な接触回避システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の問題を解決するために、第1の発明は、物体検出装置において
自車両の周囲に存在する物体までの距離の情報を収集する距離情報収集手段と、
収集された前記距離の情報に基づいて互いに隣接する前記距離の情報をグループ化して物体を検出する物体検出手段と、
前記検出された物体について、当該物体に属する前記距離の各情報の平均値を算出して当該平均値に対するばらつき量を算出するばらつき量算出手段と、
前記ばらつき量に基づいて、自車両が当該物体と接触可能であるか否かを判断する判断手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
第2の発明は、第1の発明の物体検出装置において、
前記検出された物体について、当該物体に属する前記距離の各情報についてその右側または左側に位置する情報との差の絶対値の平均値を算出する距離差平均算出手段をさらに有し、
前記判断手段は、前記ばらつき量および前記差の絶対値の平均値に基づいて、自車両が当該物体と接触可能であるか否かを判断することを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、第2の発明の物体検出装置において、前記判断手段は、前記ばらつき量および前記差の絶対値の平均値がそれぞれについて予め設定された各閾値より共に大きい場合に、自車両が当該物体と接触可能であると判断することを特徴とする。
【0011】
第4の発明は、第2または第3の発明の物体検出装置において、前記判断手段は、前記ばらつき量および前記差の絶対値の平均値の時間的変化量をそれぞれ算出し、前記ばらつき量およびその時間的変化量、並びに前記差の絶対値の平均値およびその時間的変化量に基づいて、自車両が当該物体と接触可能であるか否かを判断することを特徴とする。
【0012】
第5の発明は、第4の発明の物体検出装置において、前記判断手段は、前記ばらつき量の時間的変化量および前記差の絶対値の平均値の時間的変化量がそれぞれについて予め設定された各閾値よりいずれも大きい場合に、自車両が当該物体と接触可能であると判断することを特徴とする。
【0013】
第6の発明は、第1から第5のいずれかの発明の物体検出装置において、前記判断手段は、自車両と接触可能であると判断した当該物体についての前記距離の情報に接触可能である旨の情報を対応付けて出力することを特徴とする。
【0014】
第7の発明は、接触回避システムにおいて、
前記第6の発明の物体検出装置と、
前記物体検出装置から出力された前記物体についての前記距離の情報に基づいて自車両の接触回避制御を行う接触回避制御装置と、を備え、
前記接触回避制御装置は、前記物体検出装置から出力された前記物体についての前記距離の情報に前記接触可能である旨の情報が対応付けられている場合には、当該物体を接触回避制御の対象から外し、または、当該物体に対して接触回避制御とは異なる制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明によれば、距離情報収集手段で自車両の周囲に存在する物体までの距離の情報を収集し、物体検出手段でそれらの距離の情報に基づいて検出した物体について、物体に属する距離の情報のばらつき具合を判断して自車両が当該物体と接触可能か否か、すなわち当該物体に突入してもよいか否かを判断することで、図13に示したような排気ガスや水蒸気塊等に対しては接触可能と的確に判断し、前方の車両等に対しては接触不可と的確に判断することが可能となる。
【0016】
第2の発明によれば、検出した物体に属する距離の各情報同士の差の絶対値の平均値をも判断の対象とすることで、後述する図15に示すような背面が自車両に対して左右方向に傾いている前方の車両等に対しては接触不可と的確に判断することが可能となる。
【0017】
第3の発明によれば、ばらつき量や当該物体に属する距離の各情報同士の差の絶対値の平均値に基づいて判断する際、それらを予め設定された各閾値との比較によって判断するように構成することで、容易に判断を行うことが可能となるとともに、各閾値を的確に設定することで、接触可能か否かの判断がより的確に行われるようになり、前記各発明の効果がより的確に発揮される。
【0018】
第4または第5の発明によれば、自車両が当該物体と接触可能であるか否かを判断する判断条件として、当該物体に属する距離の各情報のばらつきや距離の各情報同士の差の絶対値の平均値のみならず、それらの時間的変化量に基づいて、例えばそれらの値が予め設定された各閾値を越えた場合に自車両が当該物体と接触可能であると判断するように構成することで、当該物体が車両等のように形状が時間的に変化しない物体であるか排気ガスや水蒸気塊等のように形状が時間的に変化する物体であるかを的確に踏まえて接触の可否を判断することが可能となり、前記各発明の効果がより的確に発揮される。
【0019】
第6の発明によれば、前記各発明の効果に加え、自車両と接触可能であると判断された物体の距離の情報等に対して接触可能である旨の情報を対応付けて出力することで、この情報を用いて種々の制御を行う装置に対して適切に当該物体が自車両と接触可能である旨を伝達することが可能となる。
【0020】
第7の発明によれば、自車両が接触してよい物体か接触してはいけない物体かを的確に判断することができる物体検出装置から、接触してよい物体には接触可能である旨の情報が的確に対応付けられて送信されてくるため、接触回避制御装置は、その情報に基づいて接触してはいけない物体を的確に接触回避制御の対象として制御を行い、接触してよい物体を接触回避制御の対象から外して適切に接触回避制御を行うことが可能となる。そのため、排気ガスや水蒸気塊、旗、幟、草むら等の自車両が接触しても構わない物体に対しては接触回避制御が行われることが防止され、ドライバが違和感を覚えることなく運転を続行することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る物体検出装置および接触回避システムの実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
[物体検出装置]
まず、本実施形態に係る物体検出装置について説明する。物体検出装置1は、図1に示すように、ステレオ撮像手段2や画像処理手段6等を備える距離情報収集手段9と検出手段10等で構成されている。
【0023】
なお、ステレオ撮像手段2から検出手段10の物体検出手段11までの構成は本願出願人により先に提出された特開平5−114099号公報、特開平5−265547号公報、特開平6−266828号公報、特開平10−283461号公報、特開平10−283477号公報、特開2006−72495号公報等に詳述されており、詳細な説明はそれらの公報に委ねる。以下、簡単に説明する。
【0024】
ステレオ撮像手段2は、本実施形態では、互いに同期が取られたCCDやCMOSセンサ等のイメージセンサがそれぞれ内蔵され例えばルームミラー近傍に車幅方向すなわち左右方向に所定の間隔をあけて取り付けられた一対の撮像手段であるメインカメラ2aおよびサブカメラ2bからなるステレオカメラが用いられている。
【0025】
メインカメラ2aおよびサブカメラ2bは、道路面から同じ高さに取り付けられており、所定のサンプリング周期で同時に車両の周囲、特に前方の物体を撮像して撮像画像の情報を出力するように構成されている。そして、運転者に近い側に配置されたメインカメラ2aは図2に例示される基準画像TOの画像データを出力し、運転者から遠い側に配置されたサブカメラ2bは図示を省略する比較画像の画像データを出力するようになっている。
【0026】
メインカメラ2aとサブカメラ2bから出力された画像データは、変換手段3であるA/Dコンバータ3a、3bでアナログ画像からそれぞれ画素ごとに例えば256階調のグレースケール等の所定の輝度階調の輝度を有するデジタル画像にそれぞれ変換され、画像補正部4で、ずれやノイズの除去等の画像補正が行われるようになっている。そして、画像補正等が行われた各画像データは、画像データメモリ5に送信されて格納されるとともに、画像処理手段6にも送信されるようになっている。
【0027】
画像処理手段6は、イメージプロセッサ7と距離データメモリ8とを備えており、イメージプロセッサ7では、ステレオマッチング処理が行われるようになっている。具体的には、イメージプロセッサ7は、図3に示すように、基準画像TO上に例えば3×3画素や4×4画素等の所定の画素数の基準画素ブロックPBOを設定し、基準画素ブロックPBOに対応する比較画像TC中のエピポーララインEPL上の基準画素ブロックPBOと同形の各比較画素ブロックPBCについて下記(1)式に従って当該基準画素ブロックPBOとの輝度パターンの差異であるSAD値を算出し、SAD値が最小の比較画素ブロックPBCを特定するようになっている。
【0028】
【数1】
【0029】
なお、p1stは基準画素ブロックPBO中の各画素の輝度値を表し、p2stは比較画素ブロックPBC中の各画素の輝度値を表す。また、上記の総和は、基準画素ブロックPBOや比較画素ブロックPBCが例えば3×3画素の領域として設定される場合には1≦s≦3、1≦t≦3の範囲、4×4画素の領域として設定される場合には1≦s≦4、1≦t≦4の範囲の全画素について計算される。
【0030】
イメージプロセッサ7は、このようにして基準画像TOの各基準画素ブロックPBOについて、特定した比較画素ブロックPBCの比較画像TC上の位置と当該基準画素ブロックPBOの基準画像TO上の位置から視差dpを算出するようになっている。
【0031】
ここで、一対のメインカメラ2aとサブカメラ2bの中央真下の道路面上の点を原点とし、自車両の車幅方向(左右方向)をX軸方向、車高方向(高さ方向)をY軸方向、車長方向(前後方向)をZ軸方向とした場合の実空間上の点(X,Y,Z)と、上記の視差dp、距離画像TZ上の点(i,j)とは、三角測量の原理に基づき下記(2)〜(4)式で表される座標変換により一意に対応づけられる。
X=CD/2+Z×PW×(i−IV) …(2)
Y=CH+Z×PW×(j−JV) …(3)
Z=CD/(PW×(dp−DP)) …(4)
【0032】
上記各式において、CDは一対のカメラの間隔、PWは1画素当たりの視野角、CHは一対のカメラの取り付け高さ、IVおよびJVは自車両正面の無限遠点の距離画像TZ上のi座標およびj座標、DPは消失点視差を表す。
【0033】
イメージプロセッサ7は、上記(4)式に従って算出した各基準画素ブロックPBOについての視差dpを距離Zの情報に変換し、基準画素ブロックPBOごとに算出した距離Zの情報を距離データメモリ8に送信して格納させるようになっている。
【0034】
なお、基準画像TOの各基準画素ブロックPBOにそれぞれ距離Zを割り当てて形成される図4に示すような画像を距離画像TZという。また、以下では、基準画素ブロックPBOごとに割り当てられた距離Zの情報に基づいて処理を行う場合について説明するが、前述したように、距離Zと視差dpとは一意に対応づけられるため、各基準画素ブロックPBOごとに視差dpを割り当てて視差dpに基づいて処理を行うように構成することも可能であり、そのように構成した場合も以下の構成と同等の構成となる。
【0035】
本実施形態では、以上のステレオ撮像手段2からイメージプロセッサ7や距離データメモリ8を含む画像処理手段6までの構成により、自車両の周囲、特に自車両前方に存在する物体までの距離Zの情報を収集する距離情報収集手段9が構成されている。
【0036】
なお、距離情報収集手段9は、自車両の周囲に存在する物体の距離Zの情報を収集できるものであればよく、本実施形態の他にも、例えば前述したように自車両の周囲にレーザ光や赤外線等を照射してその反射光の情報に基づいて物体の距離Zの情報を収集するレーダ装置等で構成することも可能であり、収集の手法は特定の手法に限定されない。
【0037】
検出手段10は、図示しないCPUやROM、RAM、入出力インターフェース等がバスに接続されたマイクロコンピュータより構成されている。また、図示を省略するが、検出手段10に、車速センサやヨーレートセンサ、ステアリングホイールの操舵角を測定する操舵角センサ等のセンサ類を必要に応じて接続することも可能である。
【0038】
検出手段10は、物体検出手段11と、ばらつき量算出手段12と、距離差平均算出手段13と、判断手段14とを備えており、さらに図示しないメモリを備えている。検出手段10においては、図5に示すフローチャートに従って処理が行われるようになっており、以下、このフローチャートに従って説明する。
【0039】
物体検出手段11は、本実施形態では、前述したように特開平10−283461号公報等に記載された車外監視装置等をベースに構成されている。詳細な説明はそれらの公報に委ねる。以下、その構成と処理内容について説明する。
【0040】
物体検出手段11では、前記のように収集された距離Zの情報に基づいて互いに隣接する距離Zの情報がグループ化されて物体が検出されるようになっている(ステップS1)。
【0041】
具体的には、物体検出手段11は、距離データメモリ8から前述した距離画像TZを読み出して、図6に示すように距離画像TZを所定の画素幅で垂直方向に延びる短冊状の区分Dnに分割する。そして、短冊状の各区分Dnに属する各基準画素ブロックPBOに割り当てられた距離Zについて図7に示すようにヒストグラムHnを作成し、度数Fnが最大の階級の階級値をその短冊状の区分Dnにおける物体の距離Znとする。これを全区分Dnについて行うようになっている。
【0042】
物体検出手段11は、続いて、各区分Dnごとに得られた距離Znを図8に示すように実空間上にプロットし、図9に示すようにプロットされた各点間の距離や方向性に基づいて互いに隣接する各点をそれぞれグループG1、G2、G3、…にまとめてグループ化するようになっている。
【0043】
本実施形態では、物体検出手段11は、図10に示すように各グループに属する各点をそれぞれ直線近似し、それぞれのグループ内の各点が自車両Aの車幅方向すなわちX軸方向に略平行に並ぶグループには“物体”Oとラベルし、各点が自車両Aの車長方向すなわちZ軸方向に略平行に並ぶグループには“側壁”Sとラベルして分類するようになっている。また、同一の物体の“物体”と“側壁”の交点とみなすことができる箇所にコーナー点としてCをラベルするようになっている。
【0044】
そして、物体検出手段11は、図10の例では、[側壁S1]、[物体O1]、[側壁S2]、[物体O2とコーナー点Cと側壁S3]、[側壁S4]、[物体O3]、[物体O4]、[側壁S5とコーナー点Cと物体O5]、[物体O6]、[側壁S6]をそれぞれ1つの物体として検出するようになっている。なお、上記のように便宜上ラベルとして“物体”と“側壁”とが用いられるが、“側壁”も物体として検出される。
【0045】
また、物体検出手段11は、図11に示すように、検出した各物体の情報に基づいて、基準画像TO上に撮像された各物体を包囲する矩形状の枠線を設定して各物体が撮像されている各領域を設定することで、基準画像TO上に各物体を検出するようになっている。物体検出手段11は、このようにして検出した各物体の情報、すなわち物体に属する各距離Znの情報やグループの近似直線の端点や中点の座標、基準画像TOにおける各枠線の頂点の座標等をそれぞれメモリに保存するようになっている。
【0046】
ばらつき量算出手段12では、物体検出手段11で検出された物体ごとに、当該物体に属する距離Znの各情報の平均値Zaveが算出され、平均値Zaveに対するばらつき量として平均偏差Zdifが算出されるようになっている(図5のステップS2)。
【0047】
具体的には、ばらつき量算出手段12は、検出された物体ごとに、当該物体に属する距離Znの各情報の平均値Zaveを下記(5)式に従って算出し、さらに距離Znの各情報と算出した平均値Zaveとに基づいて下記(6)式に従って距離Znの平均偏差Zdifを算出するようになっている。
【0048】
【数2】
【0049】
なお、各式中のndetは各物体が撮像された基準画像TO上の矩形状の枠線の領域に属する全区分Dnのうち距離Znが有効に検出された区分Dnの総数を表し、各式の分子における総和はこの有効に検出された距離Znについて行われる。
【0050】
例えば、図11に物体O3で示される車両のように、物体の自車両と向かい合う面すなわち物体O3の場合には車両の背面が略平面状である物体の場合、物体までの距離Znの各情報を実空間上にプロットすると、通常、図12に示すように距離Znの各情報に対応する各点がほぼ一直線上に並ぶ。そのため、前記(6)式で算出される距離Znの平均偏差Zdifは小さな値になる。
【0051】
一方、例えば図13に示すように、先行車両Vahのエキゾーストパイプから白く濃い排気ガスEGが排出された、先行車両Vahとともに排気ガスEGが検出されたような場合、物体すなわち排気ガスEGや先行車両Vahまでの距離Znの各情報を実空間上にプロットすると、図14に示すように、先行車両Vahの距離Znの各情報に対応すると考えられる各点は直線状に並ぶが、排気ガスEGの距離Znの各情報に対応すると考えられる各点は距離Znのばらつきが大きくなる。そのため、前記(6)式で算出される距離Znの平均偏差Zdifは比較的大きな値になる。
【0052】
距離差平均算出手段13では、検出された物体ごとに、当該物体に属する距離Znの各情報について近接する情報同士の差が算出され、それらの絶対値の平均値ΔZaveが算出されるようになっている(図5のステップS3)。
【0053】
具体的には、距離差平均算出手段13は、例えば図11に示したように矩形状の枠線に包囲された状態で検出された物体ごとに、当該物体に属する距離Znの各情報について、本実施形態では各情報の右側の近接する情報との差を算出していき、下記(7)式に従ってそれらの差の絶対値の平均値ΔZaveを算出するようになっている。なお、以下、距離Znの各情報同士の差の絶対値の平均値ΔZaveを距離差平均ΔZaveという。
【0054】
【数3】
【0055】
なお、前記(7)式においてもndetは各物体が撮像された基準画像TO上の矩形状の枠線の領域に属する全区分Dnのうち距離Znが有効に検出された区分Dnの総数を表し、各式の分子における総和はこの有効に検出された距離Znについて行われる。また、Znrightは当該距離Znの情報の右側の近接する情報を表す。さらに、本実施形態では、距離Znの各情報同士の差として、距離Znの各情報の右側の近接する情報との差を算出する場合について説明したが、左側の近接する情報との差を算出するように構成することも可能である。
【0056】
例えば、図11に示した物体O3の例では、図12に示したように距離Znの各情報同士の差がほとんどないため、距離差平均ΔZaveは小さな値になる。一方、図13に示したように先行車両Vahとともに排気ガスEGが検出された場合には、図14に示したように距離Znの各情報同士の差が大きいところが数カ所現れるため、距離差平均ΔZaveは大きな値になる。
【0057】
なお、図13や図14では、先行車両Vahと排気ガスEGとが同時に撮像され、1つの物体として検出された場合について説明したが、車両が撮像されておらず道路上方に浮遊している排気ガスや水蒸気塊等のみが撮像されている場合においても、図11や図12に示したように物体として車両の背面のみが撮像されている場合に比べて、距離Znの平均偏差Zdifや距離差平均ΔZaveが大きな値をとる。
【0058】
判断手段14では、平均偏差算出手段12や距離差平均算出手段13で物体ごとに算出された平均偏差Zdifおよび距離差平均ΔZaveに基づいて、自車両が当該物体と接触可能であるか否かが判断されるようになっている(図5のステップS4)。
【0059】
本実施形態では、平均偏差Zdifおよび距離差平均ΔZaveについてそれぞれ予め閾値Zdif_th、ΔZave_thが設定されており、判断手段14は、平均偏差Zdifおよび距離差平均ΔZaveがともに各閾値Zdif_th、ΔZave_thより大きい場合、すなわち(i)平均偏差Zdifが閾値Zdif_thより大きく、かつ、(ii)距離差平均ΔZaveが閾値ΔZave_thより大きい場合に、自車両が当該物体と接触可能であると判断するようになっている。
【0060】
例えば、左にカーブしている道路上を走行している自車両の前方の車両を撮像し、基準画像TO中に前方の車両が検出された場合、前方の車両の背面が自車両に対して左右方向に傾いているため、前方の車両までの距離Znの各情報に対応する各点は、図15に示すように並ぶ。すなわち、各点は直線状ではあるが傾いて並び、各距離Znの平均値Zaveとの差の絶対値|Zn−Znave|は左右端に近づくほど大きくなる。そのため、前記(6)式で算出される平均偏差Zdifは大きな値となり、閾値Zdif_thより大きくなる場合がある。
【0061】
このような場合に、(i)平均偏差Zdifが閾値Zdif_thより大きくなることのみを条件として自車両が当該物体と接触可能であるか否かを判断すると、この場合は接触可能と判断されてしまい、自車両が前方の車両に追突することを許容する結果となってしまう。
【0062】
そこで、本実施形態のように、この条件(i)に加えて、(ii)距離差平均ΔZaveが閾値ΔZave_thより大きくなることというもう1つの条件を課すことによって、図15に示したように前方の車両等がカーブして平均偏差Zdifが閾値Zdif_thより大きくなる場合であっても、各点が直線状に並び、距離差平均ΔZaveが閾値ΔZave_th以下である場合には接触不可すなわち自車両が当該物体と接触可能ではないと的確に判断するように構成することが可能となる。そして、誤った判断に基づいて自車両が前方の車両に追突することを防止することが可能となる。
【0063】
判断手段14は、平均偏差Zdifおよび距離差平均ΔZaveに基づいて、自車両が当該物体と接触不可と判断すると(図5のステップS4;NO)、検出した全物体について処理が終了するまで判断を続行する(ステップS6;NO)。また、判断手段14は、当該物体について自車両と接触可能であると判断すると(ステップS4;YES)、当該物体についての距離Znの情報等に接触可能である旨の情報を対応付けた後(ステップS5)、検出した全物体について処理が終了するまで判断を続行する(ステップS6;NO)。
【0064】
また、判断手段14は、検出した全物体についての判断が終了すると(ステップS6;YES)、接触可能である旨の情報を対応付けられた物体の距離Znの情報があれば、対応付けた状態のまま検出した全物体の距離Znの情報等を出力するようになっている(ステップS7)。
【0065】
なお、図5に示したフローチャートでは、検出した全物体に対して距離Znの平均偏差Zdifを算出し(ステップS2)、平均偏差Zdifが算出された全物体に対して距離差平均ΔZaveを算出し(ステップS3)、平均偏差Zdifと距離差平均ΔZaveが算出された全物体に対して判断(ステップS4以下)を行うように構成されているが、検出した物体ごとにステップS2からステップS5までの処理を繰り返して行うように構成することも可能である。
【0066】
また、本実施形態においては、平均値Zaveに対するばらつき量として平均偏差Zdifを求めるように構成いるが、これに限らず、平均値Zaveに対するばらつき量を分散値や標準偏差として求めることも可能である。
【0067】
以上のように、本実施形態に係る物体検出装置1によれば、距離情報収集手段9で自車両の周囲に存在する物体までの距離Znの情報を収集し、物体検出手段11でそれらの距離Znの情報に基づいて検出した物体について、物体に属する距離Znの情報のばらつき具合を判断して自車両が当該物体と接触可能か否か、すなわち当該物体に突入してもよいか否かを判断する。
【0068】
その際、当該物体に属する距離Znの情報のばらつきとして、距離Znの各情報の平均偏差Zdifだけでなく、当該物体に属する距離Znの各情報同士の差の絶対値の平均値すなわち距離差平均ΔZaveをも判断の対象とすることで、図13に示したような排気ガスや水蒸気塊等に対しては接触可能と的確に判断し、図15に示したような背面が自車両に対して左右方向に傾いている前方の車両等の接触すべきでない物体に対しては接触不可と的確に判断すること可能となる。
【0069】
また、平均偏差Zdifや距離差平均ΔZaveに基づいて判断する際、それらを予め設定された各閾値Zdif_th、ΔZave_thとの比較によって判断するように構成することで、容易に判断を行うことが可能となるとともに、各閾値Zdif_th、ΔZave_thを的確に設定することで、接触可能か否かの判断がより的確に行われるようになる。
【0070】
さらに、自車両と接触可能であると判断された物体の距離Znの情報等に対して接触可能である旨の情報を対応付けて出力することで、この情報を用いて種々の制御を行う装置に対して適切に当該物体が自車両と接触可能である旨を伝達することが可能となる。
【0071】
なお、判断対象となる物体が車両等のように形状が時間的に変化しない物体である場合には、物体が撮像されるフレームごとに算出される平均偏差Zdifや距離差平均ΔZaveはほとんど変化しない。一方、判断対象となる物体が排気ガスや水蒸気塊等のように形状が時間的に変化する物体である場合には、フレームごとに算出される平均偏差Zdifや距離差平均ΔZaveの値が変化していく。
【0072】
そのため、判断手段14を、前述した条件(i)、(ii)に加えて、さらに(iii)平均偏差Zdifおよび距離差平均ΔZaveについてそれぞれ時間的変化量を算出し、平均偏差Zdifの時間的変化量と距離差平均ΔZaveの時間的変化量がそれぞれ予め設定された各閾値より大きい場合に、自車両が当該物体と接触可能であると判断するように構成することも可能である。具体的には、例えば今回のフレームで算出した平均偏差Zdifおよび距離差平均ΔZaveと前回のフレームで算出した平均偏差Zdifおよび距離差平均ΔZaveとの差がそれぞれの時間的変化量として用いられる。
【0073】
[接触回避システム]
図16は、本実施形態に係る物体検出装置1を用いた接触回避システムの構成を示すブロック図である。接触回避システム20は、上記の物体検出装置1と、物体検出装置1から出力された物体についての距離Znの情報に基づいて自車両の接触回避制御を行う接触回避制御装置21とを備えている。
【0074】
本実施形態では、接触回避制御装置21は、相対速度検知手段22と、相対的移動方向検知手段23と、接触判定手段24と、プリクラッシュブレーキ制御手段25とを備えており、プリクラッシュブレーキ制御手段25は、図示しないブレーキアクチュエータ等を備える応動部Bに接続されている。
【0075】
相対速度検知手段22は、物体検出装置1で検出され送信されてきた全物体の距離Znの情報等に基づいて、自車両と各物体との相対速度を算出するようになっている。相対速度は、例えば各物体に対応するグループの近似直線の中点の距離の時間的変化として算出される。
【0076】
相対的移動方向検知手段23は、物体検出装置1で検出され送信されてきた全物体の距離Znの情報等に基づいて、自車両と各物体との相対的移動方向を検知するようになっている。相対的移動方向は、例えば各物体に対応するグループの近似直線の中点の前回のフレームにおける位置に対する今回のフレームにおける位置への変化の方向として算出される。
【0077】
接触判定手段24は、相対速度検知手段22で算出された自車両と各物体との相対速度と、相対的移動方向検知手段23で検知された自車両と各物体との相対的移動方向に基づいて、各物体が自車両と接触する可能性があるか否かを判定するようになっている。
【0078】
また、接触判定手段24は、ある物体について自車両と接触する可能性があると判定した場合、その物体に接触可能である旨の情報を対応付けているか否かをチェックして、対応付けられていない場合にはその物体についての距離の情報等をプリクラッシュブレーキ制御手段25に送信するようになっている。また、対応付けられていない場合には、その物体についての情報をプリクラッシュブレーキ制御手段25には送信せず、その物体を接触回避制御の対象から外すようになっている。
【0079】
プリクラッシュブレーキ制御手段25は、接触判定手段24から物体の情報が送信されてくると、その物体との接触を回避するように少なくとも応動部Bのブレーキアクチュエータを作動させてブレーキの油圧を高めて、当該物体との接触を回避するようになっている。
【0080】
なお、本実施形態の相対速度検知手段22や相対的移動方向検知手段23、接触判定手段24において、物体検出装置1から各物体の距離Znの情報等が送信されてきた段階で、予め各物体に接触可能である旨の情報を対応付けているか否かをチェックし、対応付けられている場合には相対速度の算出や相対的移動方向の検知、自車両と接触する可能性の判定の対象としないように構成することも可能である。
【0081】
以上のように、本実施形態に係る接触回避システム20によれば、自車両が接触してよい物体か接触してはいけない物体かを的確に判断することができる物体検出装置1から、接触してよい物体には接触可能である旨の情報が的確に対応付けられて送信されてくるため、接触回避制御装置21は、その情報に基づいて接触してはいけない物体を的確に接触回避制御の対象として制御を行い、接触してよい物体を接触回避制御の対象から外して適切に接触回避制御を行うことが可能となる。
【0082】
そのため、排気ガスや水蒸気塊、旗、幟、草むら等の自車両が接触しても構わない物体に対しては接触回避制御が行われることが防止され、ドライバが違和感を覚えることなく運転を続行することが可能となる。
【0083】
なお、前記接触回避制御は、前述した応動部Bのブレーキアクチュエータの自動制御のほかに、或いはそれと併行して警報装置を作動させることによって行うように構成することも可能である。この場合、本実施形態に係る接触回避システム20では、接触可能である旨の情報が対応付けられた物体に対しては警報装置は作動せず、その情報が対応付けられていない物体に対してのみ警報装置が作動し得る。
【0084】
また、接触回避制御として、応動部Bのブレーキアクチュエータの自動制御と併せて、ステアリングホイールの自動操舵やエンジン出力を低下させる制御等を同時に行うように構成することも可能である。
【0085】
さらに、本実施形態では、接触可能である旨の情報を対応付けられた物体についてその物体を接触回避制御の対象から外すように構成されている場合について説明したが、この他にも、接触可能である旨の情報を対応付けられた物体に対して、通常の接触回避制御とは異なる制御、すなわち、その物体に対して自車両が突入することは許容するが、突入の際に、例えばアクセルペダルが操作されてもエンジン出力を上げないようにしたり、緩ブレーキを掛ける等の制御を行うように構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本実施形態に係る物体検出装置の構成を示すブロック図である。
【図2】基準画像の一例を示す図である。
【図3】イメージプロセッサにおけるステレオマッチング処理の手法を説明する図である。
【図4】図2の基準画像等に基づいて算出された距離画像を示す図である。
【図5】検出手段における処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】距離画像を分割する各区分を示す図である。
【図7】図6の各区分における物体の距離を抽出するためのヒストグラムの一例を示す図である。
【図8】各区分における物体の距離を実空間上にプロットした図である。
【図9】図8の各点のグループ化を説明する図である。
【図10】図9の各グループに属する各点を直線近似して得られる物体を表す図である。
【図11】基準画像上で矩形状の枠線に包囲されて検出された各物体を表す図である。
【図12】車両を検出した場合にほぼ一直線上に並ぶ各点を表す図である。
【図13】先行車両とともに排気ガスが検出された基準画像を表す図である。
【図14】排気ガスを検出した場合に距離のばらつきが大きい各点を表す図である。
【図15】左にカーブする車両を検出した場合に傾いて並ぶ各点を表す図である。
【図16】図1の物体検出装置を用いた接触回避システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0087】
1 物体検出装置
2 ステレオ撮像手段
2a、2b 一対の撮像手段(メインカメラ、サブカメラ)
9 距離情報収集手段
11 物体検出手段
12 ばらつき量算出手段
13 距離差平均算出手段
14 判断手段
20 接触回避システム
21 接触回避制御装置
A 自車両
Zn 距離
Zave 距離の平均値
Zdif 平均偏差
Zdif_th 平均偏差の閾値
ΔZave 距離の情報同士の差の絶対値の平均値(距離差平均)
ΔZave_th 距離の情報同士の差の絶対値の平均値(距離差平均)の閾値
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体検出装置および接触回避システムに係り、特に、物体までの距離の情報を収集して検出した物体の種別を判断する物体検出装置およびその判断に基づいて接触回避制御を行う接触回避システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、乗用車等の車両の周囲に存在する物体を、CCD(Charge Coupled Device)カメラ等の撮像手段で撮像した画像の画像解析やレーダ装置から発射された電波の反射波解析等により検出する技術の開発が進められている(例えば特許文献1等参照)。特に特許文献1では、物体検出の信頼性を向上させるために、ステレオカメラで得られた撮像画像から算出された物体までの距離のばらつきを監視し、通常の環境では起こり得ないと思われるばらつきがある場合にはカメラ異常として、通常の監視制御が中止し、フェールセーフを実行するようになっている。
【0003】
また、これらの技術により検出された物体の情報に基づいて自車両と他の物体との接触の可能性の有無を判断し、接触の可能性がある場合には警報を鳴らしてドライバの注意を喚起したり接触を回避するように自動操舵や制動制御を行ったりする接触回避制御を行う技術の開発が進められている(例えば特許文献2等参照)。
【特許文献1】特開2001−43496号公報
【特許文献2】特開平6−298022号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特に寒冷地や標高が高い場所等で生じ易い現象ではあるが、例えば道路上方に水蒸気塊が浮遊していたり、後述する図13に示すように先行車両のエキゾーストパイプから白く濃い排気ガスが排出されて前進する先行車両の後方で白い排気ガスがその場に留まっている場合がある。そして、水蒸気塊や排気ガスが撮像手段によって撮像され、或いはレーダ装置によって検知されて、物体として検出される場合がある。
【0005】
このような場合、ドライバは、通常、水蒸気塊や排気ガスを避けようとせず、その中に自車両を突入させて自車両の走行を継続しようとするが、上記の接触回避制御が作動してしまう結果、自車両が水蒸気塊や排気ガスの手前で停止するように自動的にブレーキが掛かってしまい、ドライバに違和感を覚えさせてしまったり後方の車両に追突されたりする事態が生じ得る。
【0006】
また、狭い道路の脇に立て掛けられた宣伝用等の旗や幟や、道路脇の背が高く風になびく草むら等も、ドライバにとっては多少接触してもよい対象であって、例えば道路の中央線を越えて反対車線に進入してまで避ける対象ではないと思われるような場合でも、それらが物体として検出されると接触回避制御が作動して自動的に制動制御がなされる等して、自車両がドライバの予期しない動作を行ってしまう場合がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、自車両の周囲に存在する物体を検出し、検出した物体が自車両と接触してもよいものか否かを適切に判断することが可能な物体検出装置を提供し、さらに接触可能か否かの判断に基づいて適切に接触回避制御を行うことが可能な接触回避システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の問題を解決するために、第1の発明は、物体検出装置において
自車両の周囲に存在する物体までの距離の情報を収集する距離情報収集手段と、
収集された前記距離の情報に基づいて互いに隣接する前記距離の情報をグループ化して物体を検出する物体検出手段と、
前記検出された物体について、当該物体に属する前記距離の各情報の平均値を算出して当該平均値に対するばらつき量を算出するばらつき量算出手段と、
前記ばらつき量に基づいて、自車両が当該物体と接触可能であるか否かを判断する判断手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
第2の発明は、第1の発明の物体検出装置において、
前記検出された物体について、当該物体に属する前記距離の各情報についてその右側または左側に位置する情報との差の絶対値の平均値を算出する距離差平均算出手段をさらに有し、
前記判断手段は、前記ばらつき量および前記差の絶対値の平均値に基づいて、自車両が当該物体と接触可能であるか否かを判断することを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、第2の発明の物体検出装置において、前記判断手段は、前記ばらつき量および前記差の絶対値の平均値がそれぞれについて予め設定された各閾値より共に大きい場合に、自車両が当該物体と接触可能であると判断することを特徴とする。
【0011】
第4の発明は、第2または第3の発明の物体検出装置において、前記判断手段は、前記ばらつき量および前記差の絶対値の平均値の時間的変化量をそれぞれ算出し、前記ばらつき量およびその時間的変化量、並びに前記差の絶対値の平均値およびその時間的変化量に基づいて、自車両が当該物体と接触可能であるか否かを判断することを特徴とする。
【0012】
第5の発明は、第4の発明の物体検出装置において、前記判断手段は、前記ばらつき量の時間的変化量および前記差の絶対値の平均値の時間的変化量がそれぞれについて予め設定された各閾値よりいずれも大きい場合に、自車両が当該物体と接触可能であると判断することを特徴とする。
【0013】
第6の発明は、第1から第5のいずれかの発明の物体検出装置において、前記判断手段は、自車両と接触可能であると判断した当該物体についての前記距離の情報に接触可能である旨の情報を対応付けて出力することを特徴とする。
【0014】
第7の発明は、接触回避システムにおいて、
前記第6の発明の物体検出装置と、
前記物体検出装置から出力された前記物体についての前記距離の情報に基づいて自車両の接触回避制御を行う接触回避制御装置と、を備え、
前記接触回避制御装置は、前記物体検出装置から出力された前記物体についての前記距離の情報に前記接触可能である旨の情報が対応付けられている場合には、当該物体を接触回避制御の対象から外し、または、当該物体に対して接触回避制御とは異なる制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明によれば、距離情報収集手段で自車両の周囲に存在する物体までの距離の情報を収集し、物体検出手段でそれらの距離の情報に基づいて検出した物体について、物体に属する距離の情報のばらつき具合を判断して自車両が当該物体と接触可能か否か、すなわち当該物体に突入してもよいか否かを判断することで、図13に示したような排気ガスや水蒸気塊等に対しては接触可能と的確に判断し、前方の車両等に対しては接触不可と的確に判断することが可能となる。
【0016】
第2の発明によれば、検出した物体に属する距離の各情報同士の差の絶対値の平均値をも判断の対象とすることで、後述する図15に示すような背面が自車両に対して左右方向に傾いている前方の車両等に対しては接触不可と的確に判断することが可能となる。
【0017】
第3の発明によれば、ばらつき量や当該物体に属する距離の各情報同士の差の絶対値の平均値に基づいて判断する際、それらを予め設定された各閾値との比較によって判断するように構成することで、容易に判断を行うことが可能となるとともに、各閾値を的確に設定することで、接触可能か否かの判断がより的確に行われるようになり、前記各発明の効果がより的確に発揮される。
【0018】
第4または第5の発明によれば、自車両が当該物体と接触可能であるか否かを判断する判断条件として、当該物体に属する距離の各情報のばらつきや距離の各情報同士の差の絶対値の平均値のみならず、それらの時間的変化量に基づいて、例えばそれらの値が予め設定された各閾値を越えた場合に自車両が当該物体と接触可能であると判断するように構成することで、当該物体が車両等のように形状が時間的に変化しない物体であるか排気ガスや水蒸気塊等のように形状が時間的に変化する物体であるかを的確に踏まえて接触の可否を判断することが可能となり、前記各発明の効果がより的確に発揮される。
【0019】
第6の発明によれば、前記各発明の効果に加え、自車両と接触可能であると判断された物体の距離の情報等に対して接触可能である旨の情報を対応付けて出力することで、この情報を用いて種々の制御を行う装置に対して適切に当該物体が自車両と接触可能である旨を伝達することが可能となる。
【0020】
第7の発明によれば、自車両が接触してよい物体か接触してはいけない物体かを的確に判断することができる物体検出装置から、接触してよい物体には接触可能である旨の情報が的確に対応付けられて送信されてくるため、接触回避制御装置は、その情報に基づいて接触してはいけない物体を的確に接触回避制御の対象として制御を行い、接触してよい物体を接触回避制御の対象から外して適切に接触回避制御を行うことが可能となる。そのため、排気ガスや水蒸気塊、旗、幟、草むら等の自車両が接触しても構わない物体に対しては接触回避制御が行われることが防止され、ドライバが違和感を覚えることなく運転を続行することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る物体検出装置および接触回避システムの実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
[物体検出装置]
まず、本実施形態に係る物体検出装置について説明する。物体検出装置1は、図1に示すように、ステレオ撮像手段2や画像処理手段6等を備える距離情報収集手段9と検出手段10等で構成されている。
【0023】
なお、ステレオ撮像手段2から検出手段10の物体検出手段11までの構成は本願出願人により先に提出された特開平5−114099号公報、特開平5−265547号公報、特開平6−266828号公報、特開平10−283461号公報、特開平10−283477号公報、特開2006−72495号公報等に詳述されており、詳細な説明はそれらの公報に委ねる。以下、簡単に説明する。
【0024】
ステレオ撮像手段2は、本実施形態では、互いに同期が取られたCCDやCMOSセンサ等のイメージセンサがそれぞれ内蔵され例えばルームミラー近傍に車幅方向すなわち左右方向に所定の間隔をあけて取り付けられた一対の撮像手段であるメインカメラ2aおよびサブカメラ2bからなるステレオカメラが用いられている。
【0025】
メインカメラ2aおよびサブカメラ2bは、道路面から同じ高さに取り付けられており、所定のサンプリング周期で同時に車両の周囲、特に前方の物体を撮像して撮像画像の情報を出力するように構成されている。そして、運転者に近い側に配置されたメインカメラ2aは図2に例示される基準画像TOの画像データを出力し、運転者から遠い側に配置されたサブカメラ2bは図示を省略する比較画像の画像データを出力するようになっている。
【0026】
メインカメラ2aとサブカメラ2bから出力された画像データは、変換手段3であるA/Dコンバータ3a、3bでアナログ画像からそれぞれ画素ごとに例えば256階調のグレースケール等の所定の輝度階調の輝度を有するデジタル画像にそれぞれ変換され、画像補正部4で、ずれやノイズの除去等の画像補正が行われるようになっている。そして、画像補正等が行われた各画像データは、画像データメモリ5に送信されて格納されるとともに、画像処理手段6にも送信されるようになっている。
【0027】
画像処理手段6は、イメージプロセッサ7と距離データメモリ8とを備えており、イメージプロセッサ7では、ステレオマッチング処理が行われるようになっている。具体的には、イメージプロセッサ7は、図3に示すように、基準画像TO上に例えば3×3画素や4×4画素等の所定の画素数の基準画素ブロックPBOを設定し、基準画素ブロックPBOに対応する比較画像TC中のエピポーララインEPL上の基準画素ブロックPBOと同形の各比較画素ブロックPBCについて下記(1)式に従って当該基準画素ブロックPBOとの輝度パターンの差異であるSAD値を算出し、SAD値が最小の比較画素ブロックPBCを特定するようになっている。
【0028】
【数1】
【0029】
なお、p1stは基準画素ブロックPBO中の各画素の輝度値を表し、p2stは比較画素ブロックPBC中の各画素の輝度値を表す。また、上記の総和は、基準画素ブロックPBOや比較画素ブロックPBCが例えば3×3画素の領域として設定される場合には1≦s≦3、1≦t≦3の範囲、4×4画素の領域として設定される場合には1≦s≦4、1≦t≦4の範囲の全画素について計算される。
【0030】
イメージプロセッサ7は、このようにして基準画像TOの各基準画素ブロックPBOについて、特定した比較画素ブロックPBCの比較画像TC上の位置と当該基準画素ブロックPBOの基準画像TO上の位置から視差dpを算出するようになっている。
【0031】
ここで、一対のメインカメラ2aとサブカメラ2bの中央真下の道路面上の点を原点とし、自車両の車幅方向(左右方向)をX軸方向、車高方向(高さ方向)をY軸方向、車長方向(前後方向)をZ軸方向とした場合の実空間上の点(X,Y,Z)と、上記の視差dp、距離画像TZ上の点(i,j)とは、三角測量の原理に基づき下記(2)〜(4)式で表される座標変換により一意に対応づけられる。
X=CD/2+Z×PW×(i−IV) …(2)
Y=CH+Z×PW×(j−JV) …(3)
Z=CD/(PW×(dp−DP)) …(4)
【0032】
上記各式において、CDは一対のカメラの間隔、PWは1画素当たりの視野角、CHは一対のカメラの取り付け高さ、IVおよびJVは自車両正面の無限遠点の距離画像TZ上のi座標およびj座標、DPは消失点視差を表す。
【0033】
イメージプロセッサ7は、上記(4)式に従って算出した各基準画素ブロックPBOについての視差dpを距離Zの情報に変換し、基準画素ブロックPBOごとに算出した距離Zの情報を距離データメモリ8に送信して格納させるようになっている。
【0034】
なお、基準画像TOの各基準画素ブロックPBOにそれぞれ距離Zを割り当てて形成される図4に示すような画像を距離画像TZという。また、以下では、基準画素ブロックPBOごとに割り当てられた距離Zの情報に基づいて処理を行う場合について説明するが、前述したように、距離Zと視差dpとは一意に対応づけられるため、各基準画素ブロックPBOごとに視差dpを割り当てて視差dpに基づいて処理を行うように構成することも可能であり、そのように構成した場合も以下の構成と同等の構成となる。
【0035】
本実施形態では、以上のステレオ撮像手段2からイメージプロセッサ7や距離データメモリ8を含む画像処理手段6までの構成により、自車両の周囲、特に自車両前方に存在する物体までの距離Zの情報を収集する距離情報収集手段9が構成されている。
【0036】
なお、距離情報収集手段9は、自車両の周囲に存在する物体の距離Zの情報を収集できるものであればよく、本実施形態の他にも、例えば前述したように自車両の周囲にレーザ光や赤外線等を照射してその反射光の情報に基づいて物体の距離Zの情報を収集するレーダ装置等で構成することも可能であり、収集の手法は特定の手法に限定されない。
【0037】
検出手段10は、図示しないCPUやROM、RAM、入出力インターフェース等がバスに接続されたマイクロコンピュータより構成されている。また、図示を省略するが、検出手段10に、車速センサやヨーレートセンサ、ステアリングホイールの操舵角を測定する操舵角センサ等のセンサ類を必要に応じて接続することも可能である。
【0038】
検出手段10は、物体検出手段11と、ばらつき量算出手段12と、距離差平均算出手段13と、判断手段14とを備えており、さらに図示しないメモリを備えている。検出手段10においては、図5に示すフローチャートに従って処理が行われるようになっており、以下、このフローチャートに従って説明する。
【0039】
物体検出手段11は、本実施形態では、前述したように特開平10−283461号公報等に記載された車外監視装置等をベースに構成されている。詳細な説明はそれらの公報に委ねる。以下、その構成と処理内容について説明する。
【0040】
物体検出手段11では、前記のように収集された距離Zの情報に基づいて互いに隣接する距離Zの情報がグループ化されて物体が検出されるようになっている(ステップS1)。
【0041】
具体的には、物体検出手段11は、距離データメモリ8から前述した距離画像TZを読み出して、図6に示すように距離画像TZを所定の画素幅で垂直方向に延びる短冊状の区分Dnに分割する。そして、短冊状の各区分Dnに属する各基準画素ブロックPBOに割り当てられた距離Zについて図7に示すようにヒストグラムHnを作成し、度数Fnが最大の階級の階級値をその短冊状の区分Dnにおける物体の距離Znとする。これを全区分Dnについて行うようになっている。
【0042】
物体検出手段11は、続いて、各区分Dnごとに得られた距離Znを図8に示すように実空間上にプロットし、図9に示すようにプロットされた各点間の距離や方向性に基づいて互いに隣接する各点をそれぞれグループG1、G2、G3、…にまとめてグループ化するようになっている。
【0043】
本実施形態では、物体検出手段11は、図10に示すように各グループに属する各点をそれぞれ直線近似し、それぞれのグループ内の各点が自車両Aの車幅方向すなわちX軸方向に略平行に並ぶグループには“物体”Oとラベルし、各点が自車両Aの車長方向すなわちZ軸方向に略平行に並ぶグループには“側壁”Sとラベルして分類するようになっている。また、同一の物体の“物体”と“側壁”の交点とみなすことができる箇所にコーナー点としてCをラベルするようになっている。
【0044】
そして、物体検出手段11は、図10の例では、[側壁S1]、[物体O1]、[側壁S2]、[物体O2とコーナー点Cと側壁S3]、[側壁S4]、[物体O3]、[物体O4]、[側壁S5とコーナー点Cと物体O5]、[物体O6]、[側壁S6]をそれぞれ1つの物体として検出するようになっている。なお、上記のように便宜上ラベルとして“物体”と“側壁”とが用いられるが、“側壁”も物体として検出される。
【0045】
また、物体検出手段11は、図11に示すように、検出した各物体の情報に基づいて、基準画像TO上に撮像された各物体を包囲する矩形状の枠線を設定して各物体が撮像されている各領域を設定することで、基準画像TO上に各物体を検出するようになっている。物体検出手段11は、このようにして検出した各物体の情報、すなわち物体に属する各距離Znの情報やグループの近似直線の端点や中点の座標、基準画像TOにおける各枠線の頂点の座標等をそれぞれメモリに保存するようになっている。
【0046】
ばらつき量算出手段12では、物体検出手段11で検出された物体ごとに、当該物体に属する距離Znの各情報の平均値Zaveが算出され、平均値Zaveに対するばらつき量として平均偏差Zdifが算出されるようになっている(図5のステップS2)。
【0047】
具体的には、ばらつき量算出手段12は、検出された物体ごとに、当該物体に属する距離Znの各情報の平均値Zaveを下記(5)式に従って算出し、さらに距離Znの各情報と算出した平均値Zaveとに基づいて下記(6)式に従って距離Znの平均偏差Zdifを算出するようになっている。
【0048】
【数2】
【0049】
なお、各式中のndetは各物体が撮像された基準画像TO上の矩形状の枠線の領域に属する全区分Dnのうち距離Znが有効に検出された区分Dnの総数を表し、各式の分子における総和はこの有効に検出された距離Znについて行われる。
【0050】
例えば、図11に物体O3で示される車両のように、物体の自車両と向かい合う面すなわち物体O3の場合には車両の背面が略平面状である物体の場合、物体までの距離Znの各情報を実空間上にプロットすると、通常、図12に示すように距離Znの各情報に対応する各点がほぼ一直線上に並ぶ。そのため、前記(6)式で算出される距離Znの平均偏差Zdifは小さな値になる。
【0051】
一方、例えば図13に示すように、先行車両Vahのエキゾーストパイプから白く濃い排気ガスEGが排出された、先行車両Vahとともに排気ガスEGが検出されたような場合、物体すなわち排気ガスEGや先行車両Vahまでの距離Znの各情報を実空間上にプロットすると、図14に示すように、先行車両Vahの距離Znの各情報に対応すると考えられる各点は直線状に並ぶが、排気ガスEGの距離Znの各情報に対応すると考えられる各点は距離Znのばらつきが大きくなる。そのため、前記(6)式で算出される距離Znの平均偏差Zdifは比較的大きな値になる。
【0052】
距離差平均算出手段13では、検出された物体ごとに、当該物体に属する距離Znの各情報について近接する情報同士の差が算出され、それらの絶対値の平均値ΔZaveが算出されるようになっている(図5のステップS3)。
【0053】
具体的には、距離差平均算出手段13は、例えば図11に示したように矩形状の枠線に包囲された状態で検出された物体ごとに、当該物体に属する距離Znの各情報について、本実施形態では各情報の右側の近接する情報との差を算出していき、下記(7)式に従ってそれらの差の絶対値の平均値ΔZaveを算出するようになっている。なお、以下、距離Znの各情報同士の差の絶対値の平均値ΔZaveを距離差平均ΔZaveという。
【0054】
【数3】
【0055】
なお、前記(7)式においてもndetは各物体が撮像された基準画像TO上の矩形状の枠線の領域に属する全区分Dnのうち距離Znが有効に検出された区分Dnの総数を表し、各式の分子における総和はこの有効に検出された距離Znについて行われる。また、Znrightは当該距離Znの情報の右側の近接する情報を表す。さらに、本実施形態では、距離Znの各情報同士の差として、距離Znの各情報の右側の近接する情報との差を算出する場合について説明したが、左側の近接する情報との差を算出するように構成することも可能である。
【0056】
例えば、図11に示した物体O3の例では、図12に示したように距離Znの各情報同士の差がほとんどないため、距離差平均ΔZaveは小さな値になる。一方、図13に示したように先行車両Vahとともに排気ガスEGが検出された場合には、図14に示したように距離Znの各情報同士の差が大きいところが数カ所現れるため、距離差平均ΔZaveは大きな値になる。
【0057】
なお、図13や図14では、先行車両Vahと排気ガスEGとが同時に撮像され、1つの物体として検出された場合について説明したが、車両が撮像されておらず道路上方に浮遊している排気ガスや水蒸気塊等のみが撮像されている場合においても、図11や図12に示したように物体として車両の背面のみが撮像されている場合に比べて、距離Znの平均偏差Zdifや距離差平均ΔZaveが大きな値をとる。
【0058】
判断手段14では、平均偏差算出手段12や距離差平均算出手段13で物体ごとに算出された平均偏差Zdifおよび距離差平均ΔZaveに基づいて、自車両が当該物体と接触可能であるか否かが判断されるようになっている(図5のステップS4)。
【0059】
本実施形態では、平均偏差Zdifおよび距離差平均ΔZaveについてそれぞれ予め閾値Zdif_th、ΔZave_thが設定されており、判断手段14は、平均偏差Zdifおよび距離差平均ΔZaveがともに各閾値Zdif_th、ΔZave_thより大きい場合、すなわち(i)平均偏差Zdifが閾値Zdif_thより大きく、かつ、(ii)距離差平均ΔZaveが閾値ΔZave_thより大きい場合に、自車両が当該物体と接触可能であると判断するようになっている。
【0060】
例えば、左にカーブしている道路上を走行している自車両の前方の車両を撮像し、基準画像TO中に前方の車両が検出された場合、前方の車両の背面が自車両に対して左右方向に傾いているため、前方の車両までの距離Znの各情報に対応する各点は、図15に示すように並ぶ。すなわち、各点は直線状ではあるが傾いて並び、各距離Znの平均値Zaveとの差の絶対値|Zn−Znave|は左右端に近づくほど大きくなる。そのため、前記(6)式で算出される平均偏差Zdifは大きな値となり、閾値Zdif_thより大きくなる場合がある。
【0061】
このような場合に、(i)平均偏差Zdifが閾値Zdif_thより大きくなることのみを条件として自車両が当該物体と接触可能であるか否かを判断すると、この場合は接触可能と判断されてしまい、自車両が前方の車両に追突することを許容する結果となってしまう。
【0062】
そこで、本実施形態のように、この条件(i)に加えて、(ii)距離差平均ΔZaveが閾値ΔZave_thより大きくなることというもう1つの条件を課すことによって、図15に示したように前方の車両等がカーブして平均偏差Zdifが閾値Zdif_thより大きくなる場合であっても、各点が直線状に並び、距離差平均ΔZaveが閾値ΔZave_th以下である場合には接触不可すなわち自車両が当該物体と接触可能ではないと的確に判断するように構成することが可能となる。そして、誤った判断に基づいて自車両が前方の車両に追突することを防止することが可能となる。
【0063】
判断手段14は、平均偏差Zdifおよび距離差平均ΔZaveに基づいて、自車両が当該物体と接触不可と判断すると(図5のステップS4;NO)、検出した全物体について処理が終了するまで判断を続行する(ステップS6;NO)。また、判断手段14は、当該物体について自車両と接触可能であると判断すると(ステップS4;YES)、当該物体についての距離Znの情報等に接触可能である旨の情報を対応付けた後(ステップS5)、検出した全物体について処理が終了するまで判断を続行する(ステップS6;NO)。
【0064】
また、判断手段14は、検出した全物体についての判断が終了すると(ステップS6;YES)、接触可能である旨の情報を対応付けられた物体の距離Znの情報があれば、対応付けた状態のまま検出した全物体の距離Znの情報等を出力するようになっている(ステップS7)。
【0065】
なお、図5に示したフローチャートでは、検出した全物体に対して距離Znの平均偏差Zdifを算出し(ステップS2)、平均偏差Zdifが算出された全物体に対して距離差平均ΔZaveを算出し(ステップS3)、平均偏差Zdifと距離差平均ΔZaveが算出された全物体に対して判断(ステップS4以下)を行うように構成されているが、検出した物体ごとにステップS2からステップS5までの処理を繰り返して行うように構成することも可能である。
【0066】
また、本実施形態においては、平均値Zaveに対するばらつき量として平均偏差Zdifを求めるように構成いるが、これに限らず、平均値Zaveに対するばらつき量を分散値や標準偏差として求めることも可能である。
【0067】
以上のように、本実施形態に係る物体検出装置1によれば、距離情報収集手段9で自車両の周囲に存在する物体までの距離Znの情報を収集し、物体検出手段11でそれらの距離Znの情報に基づいて検出した物体について、物体に属する距離Znの情報のばらつき具合を判断して自車両が当該物体と接触可能か否か、すなわち当該物体に突入してもよいか否かを判断する。
【0068】
その際、当該物体に属する距離Znの情報のばらつきとして、距離Znの各情報の平均偏差Zdifだけでなく、当該物体に属する距離Znの各情報同士の差の絶対値の平均値すなわち距離差平均ΔZaveをも判断の対象とすることで、図13に示したような排気ガスや水蒸気塊等に対しては接触可能と的確に判断し、図15に示したような背面が自車両に対して左右方向に傾いている前方の車両等の接触すべきでない物体に対しては接触不可と的確に判断すること可能となる。
【0069】
また、平均偏差Zdifや距離差平均ΔZaveに基づいて判断する際、それらを予め設定された各閾値Zdif_th、ΔZave_thとの比較によって判断するように構成することで、容易に判断を行うことが可能となるとともに、各閾値Zdif_th、ΔZave_thを的確に設定することで、接触可能か否かの判断がより的確に行われるようになる。
【0070】
さらに、自車両と接触可能であると判断された物体の距離Znの情報等に対して接触可能である旨の情報を対応付けて出力することで、この情報を用いて種々の制御を行う装置に対して適切に当該物体が自車両と接触可能である旨を伝達することが可能となる。
【0071】
なお、判断対象となる物体が車両等のように形状が時間的に変化しない物体である場合には、物体が撮像されるフレームごとに算出される平均偏差Zdifや距離差平均ΔZaveはほとんど変化しない。一方、判断対象となる物体が排気ガスや水蒸気塊等のように形状が時間的に変化する物体である場合には、フレームごとに算出される平均偏差Zdifや距離差平均ΔZaveの値が変化していく。
【0072】
そのため、判断手段14を、前述した条件(i)、(ii)に加えて、さらに(iii)平均偏差Zdifおよび距離差平均ΔZaveについてそれぞれ時間的変化量を算出し、平均偏差Zdifの時間的変化量と距離差平均ΔZaveの時間的変化量がそれぞれ予め設定された各閾値より大きい場合に、自車両が当該物体と接触可能であると判断するように構成することも可能である。具体的には、例えば今回のフレームで算出した平均偏差Zdifおよび距離差平均ΔZaveと前回のフレームで算出した平均偏差Zdifおよび距離差平均ΔZaveとの差がそれぞれの時間的変化量として用いられる。
【0073】
[接触回避システム]
図16は、本実施形態に係る物体検出装置1を用いた接触回避システムの構成を示すブロック図である。接触回避システム20は、上記の物体検出装置1と、物体検出装置1から出力された物体についての距離Znの情報に基づいて自車両の接触回避制御を行う接触回避制御装置21とを備えている。
【0074】
本実施形態では、接触回避制御装置21は、相対速度検知手段22と、相対的移動方向検知手段23と、接触判定手段24と、プリクラッシュブレーキ制御手段25とを備えており、プリクラッシュブレーキ制御手段25は、図示しないブレーキアクチュエータ等を備える応動部Bに接続されている。
【0075】
相対速度検知手段22は、物体検出装置1で検出され送信されてきた全物体の距離Znの情報等に基づいて、自車両と各物体との相対速度を算出するようになっている。相対速度は、例えば各物体に対応するグループの近似直線の中点の距離の時間的変化として算出される。
【0076】
相対的移動方向検知手段23は、物体検出装置1で検出され送信されてきた全物体の距離Znの情報等に基づいて、自車両と各物体との相対的移動方向を検知するようになっている。相対的移動方向は、例えば各物体に対応するグループの近似直線の中点の前回のフレームにおける位置に対する今回のフレームにおける位置への変化の方向として算出される。
【0077】
接触判定手段24は、相対速度検知手段22で算出された自車両と各物体との相対速度と、相対的移動方向検知手段23で検知された自車両と各物体との相対的移動方向に基づいて、各物体が自車両と接触する可能性があるか否かを判定するようになっている。
【0078】
また、接触判定手段24は、ある物体について自車両と接触する可能性があると判定した場合、その物体に接触可能である旨の情報を対応付けているか否かをチェックして、対応付けられていない場合にはその物体についての距離の情報等をプリクラッシュブレーキ制御手段25に送信するようになっている。また、対応付けられていない場合には、その物体についての情報をプリクラッシュブレーキ制御手段25には送信せず、その物体を接触回避制御の対象から外すようになっている。
【0079】
プリクラッシュブレーキ制御手段25は、接触判定手段24から物体の情報が送信されてくると、その物体との接触を回避するように少なくとも応動部Bのブレーキアクチュエータを作動させてブレーキの油圧を高めて、当該物体との接触を回避するようになっている。
【0080】
なお、本実施形態の相対速度検知手段22や相対的移動方向検知手段23、接触判定手段24において、物体検出装置1から各物体の距離Znの情報等が送信されてきた段階で、予め各物体に接触可能である旨の情報を対応付けているか否かをチェックし、対応付けられている場合には相対速度の算出や相対的移動方向の検知、自車両と接触する可能性の判定の対象としないように構成することも可能である。
【0081】
以上のように、本実施形態に係る接触回避システム20によれば、自車両が接触してよい物体か接触してはいけない物体かを的確に判断することができる物体検出装置1から、接触してよい物体には接触可能である旨の情報が的確に対応付けられて送信されてくるため、接触回避制御装置21は、その情報に基づいて接触してはいけない物体を的確に接触回避制御の対象として制御を行い、接触してよい物体を接触回避制御の対象から外して適切に接触回避制御を行うことが可能となる。
【0082】
そのため、排気ガスや水蒸気塊、旗、幟、草むら等の自車両が接触しても構わない物体に対しては接触回避制御が行われることが防止され、ドライバが違和感を覚えることなく運転を続行することが可能となる。
【0083】
なお、前記接触回避制御は、前述した応動部Bのブレーキアクチュエータの自動制御のほかに、或いはそれと併行して警報装置を作動させることによって行うように構成することも可能である。この場合、本実施形態に係る接触回避システム20では、接触可能である旨の情報が対応付けられた物体に対しては警報装置は作動せず、その情報が対応付けられていない物体に対してのみ警報装置が作動し得る。
【0084】
また、接触回避制御として、応動部Bのブレーキアクチュエータの自動制御と併せて、ステアリングホイールの自動操舵やエンジン出力を低下させる制御等を同時に行うように構成することも可能である。
【0085】
さらに、本実施形態では、接触可能である旨の情報を対応付けられた物体についてその物体を接触回避制御の対象から外すように構成されている場合について説明したが、この他にも、接触可能である旨の情報を対応付けられた物体に対して、通常の接触回避制御とは異なる制御、すなわち、その物体に対して自車両が突入することは許容するが、突入の際に、例えばアクセルペダルが操作されてもエンジン出力を上げないようにしたり、緩ブレーキを掛ける等の制御を行うように構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本実施形態に係る物体検出装置の構成を示すブロック図である。
【図2】基準画像の一例を示す図である。
【図3】イメージプロセッサにおけるステレオマッチング処理の手法を説明する図である。
【図4】図2の基準画像等に基づいて算出された距離画像を示す図である。
【図5】検出手段における処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】距離画像を分割する各区分を示す図である。
【図7】図6の各区分における物体の距離を抽出するためのヒストグラムの一例を示す図である。
【図8】各区分における物体の距離を実空間上にプロットした図である。
【図9】図8の各点のグループ化を説明する図である。
【図10】図9の各グループに属する各点を直線近似して得られる物体を表す図である。
【図11】基準画像上で矩形状の枠線に包囲されて検出された各物体を表す図である。
【図12】車両を検出した場合にほぼ一直線上に並ぶ各点を表す図である。
【図13】先行車両とともに排気ガスが検出された基準画像を表す図である。
【図14】排気ガスを検出した場合に距離のばらつきが大きい各点を表す図である。
【図15】左にカーブする車両を検出した場合に傾いて並ぶ各点を表す図である。
【図16】図1の物体検出装置を用いた接触回避システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0087】
1 物体検出装置
2 ステレオ撮像手段
2a、2b 一対の撮像手段(メインカメラ、サブカメラ)
9 距離情報収集手段
11 物体検出手段
12 ばらつき量算出手段
13 距離差平均算出手段
14 判断手段
20 接触回避システム
21 接触回避制御装置
A 自車両
Zn 距離
Zave 距離の平均値
Zdif 平均偏差
Zdif_th 平均偏差の閾値
ΔZave 距離の情報同士の差の絶対値の平均値(距離差平均)
ΔZave_th 距離の情報同士の差の絶対値の平均値(距離差平均)の閾値
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の周囲に存在する物体までの距離の情報を収集する距離情報収集手段と、
収集された前記距離の情報に基づいて互いに隣接する前記距離の情報をグループ化して物体を検出する物体検出手段と、
前記検出された物体について、当該物体に属する前記距離の各情報の平均値を算出して当該平均値に対するばらつき量を算出するばらつき量算出手段と、
前記ばらつき量に基づいて、自車両が当該物体と接触可能であるか否かを判断する判断手段と、を備えることを特徴とする物体検出装置。
【請求項2】
前記検出された物体について、当該物体に属する前記距離の各情報についてその右側または左側に位置する情報との差の絶対値の平均値を算出する距離差平均算出手段をさらに有し、
前記判断手段は、前記ばらつき量および前記差の絶対値の平均値に基づいて、自車両が当該物体と接触可能であるか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の物体検出装置。
【請求項3】
前記判断手段は、前記ばらつき量および前記差の絶対値の平均値がそれぞれについて予め設定された各閾値より共に大きい場合に、自車両が当該物体と接触可能であると判断することを特徴とする請求項2に記載の物体検出装置。
【請求項4】
前記判断手段は、前記ばらつき量および前記差の絶対値の平均値の時間的変化量をそれぞれ算出し、前記ばらつき量およびその時間的変化量、並びに前記差の絶対値の平均値およびその時間的変化量に基づいて、自車両が当該物体と接触可能であるか否かを判断することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の物体検出装置。
【請求項5】
前記判断手段は、前記ばらつき量の時間的変化量および前記差の絶対値の平均値の時間的変化量がそれぞれについて予め設定された各閾値よりいずれも大きい場合に、自車両が当該物体と接触可能であると判断することを特徴とする請求項4に記載の物体検出装置。
【請求項6】
前記判断手段は、自車両と接触可能であると判断した当該物体についての前記距離の情報に接触可能である旨の情報を対応付けて出力することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の物体検出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の物体検出装置と、
前記物体検出装置から出力された前記物体についての前記距離の情報に基づいて自車両の接触回避制御を行う接触回避制御装置と、を備え、
前記接触回避制御装置は、前記物体検出装置から出力された前記物体についての前記距離の情報に前記接触可能である旨の情報が対応付けられている場合には、当該物体を接触回避制御の対象から外し、または、当該物体に対して接触回避制御とは異なる制御を行うことを特徴とする接触回避システム。
【請求項1】
自車両の周囲に存在する物体までの距離の情報を収集する距離情報収集手段と、
収集された前記距離の情報に基づいて互いに隣接する前記距離の情報をグループ化して物体を検出する物体検出手段と、
前記検出された物体について、当該物体に属する前記距離の各情報の平均値を算出して当該平均値に対するばらつき量を算出するばらつき量算出手段と、
前記ばらつき量に基づいて、自車両が当該物体と接触可能であるか否かを判断する判断手段と、を備えることを特徴とする物体検出装置。
【請求項2】
前記検出された物体について、当該物体に属する前記距離の各情報についてその右側または左側に位置する情報との差の絶対値の平均値を算出する距離差平均算出手段をさらに有し、
前記判断手段は、前記ばらつき量および前記差の絶対値の平均値に基づいて、自車両が当該物体と接触可能であるか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の物体検出装置。
【請求項3】
前記判断手段は、前記ばらつき量および前記差の絶対値の平均値がそれぞれについて予め設定された各閾値より共に大きい場合に、自車両が当該物体と接触可能であると判断することを特徴とする請求項2に記載の物体検出装置。
【請求項4】
前記判断手段は、前記ばらつき量および前記差の絶対値の平均値の時間的変化量をそれぞれ算出し、前記ばらつき量およびその時間的変化量、並びに前記差の絶対値の平均値およびその時間的変化量に基づいて、自車両が当該物体と接触可能であるか否かを判断することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の物体検出装置。
【請求項5】
前記判断手段は、前記ばらつき量の時間的変化量および前記差の絶対値の平均値の時間的変化量がそれぞれについて予め設定された各閾値よりいずれも大きい場合に、自車両が当該物体と接触可能であると判断することを特徴とする請求項4に記載の物体検出装置。
【請求項6】
前記判断手段は、自車両と接触可能であると判断した当該物体についての前記距離の情報に接触可能である旨の情報を対応付けて出力することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の物体検出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の物体検出装置と、
前記物体検出装置から出力された前記物体についての前記距離の情報に基づいて自車両の接触回避制御を行う接触回避制御装置と、を備え、
前記接触回避制御装置は、前記物体検出装置から出力された前記物体についての前記距離の情報に前記接触可能である旨の情報が対応付けられている場合には、当該物体を接触回避制御の対象から外し、または、当該物体に対して接触回避制御とは異なる制御を行うことを特徴とする接触回避システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−110168(P2009−110168A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−280447(P2007−280447)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】
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