説明

物品搬送装置

【課題】 軌道上の全範囲において、物品搬送台車どうしが衝突するのを回避することができながら、搬送能力の低下を防止できる物品搬送装置の提供。
【解決手段】 走行制御手段10が、隣接する物品搬送台車3夫々についての走行方向および走行速度を検出する走行状態検出手段19の検出情報に基づいて物品搬送台車3どうしの車間距離が小さくなるように走行する接近走行状態であると判別したときに、車間距離検出手段8にて検出される物品搬送台車3どうしの車間距離が、隣接する物品搬送台車3の夫々における現在の走行速度情報に基づいて定められる走行停止用車間距離以下になると、物品搬送台車3を走行停止させるように構成されている

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の物品移載箇所を経由するように設置される有端形式の軌道上を走行する複数台の物品搬送台車と、その物品搬送台車の走行を制御する走行制御手段と、隣接する物品搬送台車どうしの車間距離を検出する車間距離検出手段とが設けられている物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような物品搬送装置は、自動倉庫などに適用されるものであり、例えば、有端式の直線状の軌道上を複数台の物品搬送台車を往復走行させて、複数の物品移載箇所に対する物品の搬送を複数台の物品搬送台車にて行うようにしているものである。
【0003】
このような物品搬送装置では、物品搬送台車どうしの衝突を回避することが求められることから、従来、走行制御手段が、車間距離検出手段にて検出される物品搬送台車どうしの車間距離が予め設定されている走行停止用車間距離以下になると、物品搬送台車を走行停止させるように構成されているものがある(例えば、特許文献1参照。)。
この特許文献1に記載の物品搬送装置では、物品搬送台車が二台であり、侵入可能な物品搬送台車を一台に制限する制限範囲と物品搬送台車の二台ともが侵入可能な干渉範囲とを予め設定して、二台の物品搬送台車がともに干渉範囲に侵入するように走行して正面衝突する可能性があるときには、走行停止用車間距離を大きくし、それ以外のときには、走行停止用車間距離を小さなものとしている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−59819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の物品搬送装置では、侵入可能な物品搬送台車を一台に制限する制限範囲を予め設定しているために、物品搬送台車の走行範囲が制限されており、物品搬送台車にて物品の移載を行うことができる物品移載箇所が複数の物品移載箇所の一部のものに限られ、物品の搬送を効率よく行うことができない虞がある。
【0006】
そこで、物品の搬送を効率よく行うために、物品搬送台車の走行範囲を制限せずに、複数台の物品搬送台車の夫々が、複数の物品移載箇所のすべてに対して物品の移載を行うようにすることが考えられる。
この場合には、軌道上の全範囲において、物品搬送台車どうしが正面衝突する可能性が生じることになるので、走行停止用車間距離を大きなものとすることにより、軌道上の全範囲において、物品搬送台車どうしの衝突を回避することができることになる。
しかしながら、走行停止用車間距離を大きなものとすると、例えば、物品搬送台車の夫々における走行速度が小さいときなど、物品搬送台車どうしの車間距離が小さくなっても、物品搬送台車どうしが衝突せずに物品の搬送を行うことが可能なときに、物品搬送台車を走行停止させて物品搬送台車による物品の搬送を中断させてしまい、搬送能力の低下を招く虞がある。
【0007】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、軌道上の全範囲において、物品搬送台車どうしが衝突するのを回避することができながら、搬送能力の低下を防止できる物品搬送装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明にかかる物品搬送装置の第1特徴構成は、複数の物品移載箇所を経由するように設置される有端形式の軌道上を走行する複数台の物品搬送台車と、その物品搬送台車の走行を制御する走行制御手段と、隣接する物品搬送台車どうしの車間距離を検出する車間距離検出手段とが設けられている物品搬送装置において、
前記走行制御手段が、隣接する物品搬送台車夫々についての走行方向および走行速度を検出する走行状態検出手段の検出情報に基づいて物品搬送台車どうしの車間距離が小さくなるように走行する接近走行状態であると判別したときに、前記車間距離検出手段にて検出される物品搬送台車どうしの車間距離が、隣接する物品搬送台車の夫々における現在の走行速度情報に基づいて定められる走行停止用車間距離以下になると、前記物品搬送台車を走行停止させるように構成されている点にある。
【0009】
すなわち、走行制御手段が、走行状態検出手段の検出情報に基づいて接近走行状態であるか否かを判別することにより、物品搬送台車が軌道上のどこに存在するかにかかわらず、隣接する物品搬送台車どうしが衝突する可能性があるか否かを判別することができるので、軌道上の全範囲において、物品搬送台車どうしが衝突する可能性があるか否かを判別することができることになる。
そして、走行制御手段が、接近走行状態であると判別したときに、隣接する物品搬送台車どうしが衝突する可能性があるとして、車間距離検出手段にて検出される物品搬送台車どうしの車間距離が走行停止用車間距離以下になると、物品搬送台車を走行停止させることにより、軌道上の全範囲において、隣接する物品搬送台車どうしが衝突するのを回避することができることになる。
しかも、走行停止用車間距離については、隣接する物品搬送台車の夫々における現在の走行速度情報に基づいて定められるので、例えば、物品搬送台車の夫々における走行速度が小さいときには、小さな走行停止用車間距離を定めるなどして、走行停止用車間距離を極力小さくすることができることになる。
【0010】
以上のことをまとめると、物品搬送台車が軌道上のどこに存在しても、隣接する物品搬送台車どうしが衝突する可能性があるか否かを判別して、衝突する可能性があるときには、物品搬送台車どうしの衝突を回避しながら、物品搬送台車による物品の搬送を極力継続させることができることとなって、軌道上の全範囲において、物品搬送台車どうしが衝突するのを回避することができながら、搬送能力の低下を防止できる物品搬送装置を提供できるに至った。
【0011】
本発明にかかる物品搬送装置の第2特徴構成は、走行制御手段が、前記接近走行状態であると判別したときに隣接する物品搬送台車どうしの走行方向が異なる場合には、前記車間距離検出手段にて検出される物品搬送台車どうしの車間距離が前記走行停止用車間距離以下になると、隣接する物品搬送台車の両方を走行停止させ、
前記接近走行状態であると判別したときに隣接する物品搬送台車どうしの走行方向が同じである場合には、前記車間距離検出手段にて検出される物品搬送台車どうしの車間距離が前記走行停止用車間距離以下になると、隣接する物品搬送台車のうち、後続の物品搬送台車を走行停止させ、
前記走行停止用車間距離として、隣接する物品搬送台車どうしの走行方向が異なるときと隣接する物品搬送台車どうしの走行方向が同じときとで、別の走行停止用車間距離を定めるように構成されている点にある。
【0012】
すなわち、車間距離検出手段にて検出される物品搬送台車どうしの車間距離が走行停止用車間距離以下になることにより物品搬送台車を走行停止させる際に、隣接する物品搬送台車どうしの走行方向が異なる場合には、走行制御手段が、隣接する物品搬送台車の両方を走行停止させることにより、隣接する物品搬送台車どうしの車間距離が短時間で小さくなり、隣接する物品搬送台車が正面衝突する可能性があるので、両方の物品搬送台車を走行停止させて、その正面衝突を的確に回避することができることになる。
【0013】
そして、隣接する物品搬送台車どうしの走行方向が同じである場合には、走行制御手段が、隣接する物品搬送台車のうち、後続の物品搬送台車を走行停止させることにより、先行の物品搬送台車に後続の物品搬送台車が追突する可能性があるので、先行の物品搬送台車の走行を継続させながら、その追突を回避できることになる。
したがって、先行の物品搬送台車による物品の搬送を継続させて、物品の搬送を極力継続させながら、物品搬送台車どうしの衝突を回避することができることになる。
【0014】
しかも、例えば、隣接する物品搬送台車どうしの走行方向が同じときよりも、隣接する物品搬送台車どうしの走行方向が異なるときの方が、車間距離が短時間で短くなるので、走行制御手段が、隣接する物品搬送台車どうしの走行方向が同じときよりも、隣接する物品搬送台車どうしの走行方向が異なるときの方が、走行停止用車間距離を大きくなるように定めることができることになる。
したがって、隣接する物品搬送台車どうしの走行方向が同じときも異なるときも、適切な走行停止用車間距離を定めることができ、物品搬送台車どうしの衝突を回避できながら、走行停止用車間距離を極力小さなものとすることができることになる。
【0015】
本発明にかかる物品搬送装置の第3特徴構成は、前記走行制御手段が、前記走行停止用車間距離として、前記物品搬送台車に物品が存在する在荷状態と前記物品搬送台車に物品が存在しない空荷状態とで、別の走行停止用車間距離を定めるように構成されている点にある。
【0016】
すなわち、走行制御手段が、例えば、空荷状態のときよりも在荷状態の方が、走行停止用車間距離を大きくなるように定めることにより、空荷状態のときよりも在荷状態の方が、ゆっくりと減速させながら物品搬送台車を走行停止させても、物品搬送台車どうしの衝突を回避することができることになる。
したがって、物品搬送台車が在荷状態のときには、ゆっくりと減速させながら物品搬送台車を走行停止させることにより、物品搬送台車に存在する物品の荷崩れを防止しながら、物品搬送台車どうしの衝突を回避することができることになり、有用な物品搬送装置となる。
【0017】
本発明にかかる物品搬送装置の第4特徴構成は、前記物品搬送台車が二台であり、
一方の前記物品搬送台車に備えられた前記走行制御手段が、前記接近走行状態であると判別したときには、前記車間距離検出手段にて検出される物品搬送台車どうしの車間距離が前記走行停止用車間距離以下になると、前記物品搬送台車を走行停止させるように構成され、
その一方の前記物品搬送台車に備えられた前記走行制御手段と、他方の前記物品搬送台車に備えられた前記走行制御手段との間で、情報の授受を行う通信手段が設けられている点にある。
【0018】
すなわち、一方の物品搬送台車に備えられた走行制御手段が、接近走行状態であると判別したときに、走行停止用車間距離に基づいて一方の物品搬送台車を走行停止させることができ、その一方の物品搬送台車に備えられた走行制御手段が、他方の前記物品搬送台車に備えられた走行制御手段に対して、他方の物品搬送台車を走行停止させるための情報を送信することにより、その情報を受信する他方の前記物品搬送台車に備えられた走行制御手段が、他方の物品搬送台車を走行停止させることができることになる。
【0019】
したがって、二台の物品搬送台車のうち、一方の物品搬送台車に備えられた走行制御手段に、接近走行状態であるか否かを判別し、走行停止用車間距離に基づいて物品搬送台車を走行停止させるための制御構成を備えるだけで、物品搬送台車どうしの衝突を回避すべく、二台の物品搬送台車をいずれでも走行停止させることができ、それだけ構成の簡素化およびコストの低減を図ることができることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明にかかる物品搬送装置の実施形態について、図面に基づいて説明を加える。
この物品搬送装置は、物品収納棚を設けた自動倉庫などに適応され、図1に示すように、物品移載箇所としてのステーション1の複数にわたる軌道2上を走行する物品搬送台車としての荷捌き台車3を複数台設け、それら複数台の荷捌き台車3が、軌道2上を往復走行して、複数のステーション1の間で物品Bを搬送するように構成されている。
【0021】
前記軌道2は、両端部が定められた有端式の直線状に構成され、この軌道2の左右両側に軌道2の長手方向に間隔を隔てて複数のステーション1が配設されている。
そして、複数のステーション1としては、物品収納棚から出庫する物品を搬送する出庫コンベヤを設けた出庫用のステーション1、物品収納棚へ入庫する物品を搬送する入庫コンベヤを設けた入庫用のステーション1、外部から搬入する物品を搬送する搬入コンベヤを設けた搬入用のステーション1、および、外部へ搬出する物品を搬送する搬出コンベヤを設けた搬出用のステーション1などを組み合わせて構成されている。
【0022】
前記荷捌き台車3は、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bの二台設けられており、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bの夫々には、自己とステーション1との間で物品Bを移載するローラコンベヤなどの電動式の移載装置4、軌道2に沿って配設された走行レールを走行する複数の走行車輪5などが設けられている。
前記走行車輪5は、インバータ式の走行モータ6にて回転駆動する駆動用の走行車輪5と、従動回転自在な従動用の走行車輪5とから構成されている。
【0023】
そして、第1荷捌き台車3aには、図2に示すように、走行モータ6を作動させて荷捌き台車3を走行駆動させる走行用インバータ7、相手の荷捌き台車3との車間距離を検出する車間距離検出手段としての車間距離センサ8、相手の荷捌き台車3との間で情報を通信するための台車間光伝送装置9、走行モータ6を作動停止させることが可能なスレーブコントローラ10、走行モータ6への電力供給を停止してメカブレーキをかけて走行モータ6を作動停止させる電力停止手段18、移載装置4を作動させる移載用インバータ11、移載装置4に物品Bが存在する在荷状態であるかまたは移載装置4に物品Bが存在しない空荷状態であるかを検出する在荷センサ12aおよび第1荷捌き台車3aの走行速度を検出するためのエンコーダ12bなどのセンサ類12、そのセンサ類12の検出情報を出力するための入出力装置13などが設けられている。
【0024】
また、第2荷捌き台車3bには、第1荷捌き台車3aと同様に、走行用インバータ7、台車間光伝送装置9、スレーブコントローラ10、在荷センサ12aなどのセンサ類12、および、入出力装置13が設けられている。
そして、第2荷捌き台車3bには、車間距離センサ8が設けられていないが、その車間距離センサ8の代わりに、第1荷捌き台車3aの車間距離センサ8から投光する光を反射する反射体8aが設けられており、第1荷捌き台車3aの車間距離センサ8は、反射体8aにて反射された光を受光して、その受光した光に基づいて荷捌き台車3どうしの車間距離を検出するように構成されている。
【0025】
床面などの地上側には、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bの運転を管理する地上側コントローラ14が一つ設けられ、その地上側コントローラ14が、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bにおける走行用インバータ7や移載用インバータ11などの作動を制御するように構成されている。
また、軌道2の両端部の夫々には、その端部から荷捌き台車3までの距離を検出することにより、軌道2上における荷捌き台車3の位置を検出する位置検出センサ15が設けられている。
【0026】
地上側に設けられた地上側コントローラ14、荷捌き台車3側に設けられた走行用インバータ7、スレーブコントローラ10、移載用インバータ11、入出力装置13の夫々には、図示はしないが、通信コントローラが備えられており、地上側コントローラ14と第1荷捌き台車3aとの間で情報の授受を行うための第1光伝送装置16と、地上側コントローラ14と第2荷捌き台車3bとの間で情報の授受を行うための第2光伝送装置17とが設けられている。
そして、地上側コントローラ14側に備えられた通信コントローラ、荷捌き台車3側に備えられた通信コントローラ、第1光伝送装置16、第2光伝送装置17により、通信ネットワークいわゆるデバイスネットが構成されており、地上側コントローラ14がマスタに構成され、走行用インバータ7、スレーブコントローラ10、移載用インバータ11、入出力装置13がスレーブに構成されている。
【0027】
また、軌道2の両端部に配設された位置検出センサ15の検出情報は、地上側コントローラ14に入力されるように構成されており、地上側コントローラ14は、位置検出センサ15の検出情報に基づいて、軌道2上における第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bの位置を管理するように構成されている。
【0028】
このようにして、地上側コントローラ14は、軌道2上における第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bの位置を管理しながら、通信ネットワークを介して、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bとに各種指令情報を与えることにより、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bの運転を管理するように構成されている。
そして、地上側コントローラ14は、複数のステーション1のうちから移載対象のステーション1を指示する搬送要求情報に基づいて、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bとのいずれかにて移載対象のステーション1との間で物品Bの移載を行うべく、二台の荷捌き台車3の運転を管理するように構成されている。
【0029】
前記二台の荷捌き台車3の運転について説明を加えると、地上側コントローラ14は、搬送要求情報に基づいて、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bのうち、搬送処理用の荷捌き台車3を選択する選択処理を行い、その選択処理にて選択した搬送処理用の荷捌き台車3を移載対象のステーション1に走行させたのち、移載対象のステーション1との間で物品Bの移載を行う搬送処理を行うように構成されている。
そして、地上側コントローラ14は、搬送要求情報が発生するたびに、選択処理、搬送処理を順次行うことを繰り返して、二台の荷捌き台車3にて複数のステーション1の間で物品Bを搬送するように構成されている。
【0030】
ちなみに、搬送要求情報については、キーボードなどの人為操作式の入力装置や上位コントローラなどにより、地上側コントローラ14に対して搬送要求情報を入力可能であり、例えば、物品Bを掬い取るための移載対象のステーション1と物品Bを卸すための移載対象のステーション1を指示する搬送要求情報としている。
【0031】
また、地上側コントローラ14は、搬送要求情報に基づく搬送処理としての、物品Bを掬い取るための移載対象のステーション1に選択した荷捌き台車3を走行させる掬い用の搬送処理と、その掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3を物品Bを卸すための移載対象のステーション1に走行させる卸し用の搬送処理とを、別の搬送処理として、荷捌き台車3の運転を管理するように構成されている。
説明を加えると、地上側コントローラ14は、まず、選択処理、掬い用の搬送処理を行うことにより、選択した搬送処理用の荷捌き台車3を移載対象のステーション1に走行させて物品Bを掬い取り、その掬い用の搬送処理を行った後、選択処理、卸し用の搬送処理を行うことにより、選択した搬送処理用の荷捌き台車3を移載対象のステーション1に走行させて物品Bを卸すように構成されている。
【0032】
前記選択処理について説明を加えると、地上側コントローラ14は、掬い用の搬送処理を行うときかあるいは卸し用の搬送処理を行うときか、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bが現在搬送処理中であるか否か、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bが軌道2上のどこに位置するかなどの各種条件に基づいて、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bのうちから、搬送処理用の荷捌き台車3を選択するように構成されている。
【0033】
すなわち、掬い用の搬送処理を行うときには、地上側コントローラ14は、二台の荷捌き台車3ともが現在搬送処理中ではない待機中である場合に、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bのうち、移載対象のステーション1に近くに位置する荷捌き台車3を搬送処理用の荷捌き台車3として選択するように構成されている。
また、地上側コントローラ14は、一台が現在搬送処理中でありもう一台が待機中である場合に、その待機中の荷捌き台車3が掬い用の搬送処理を行っても現在搬送処理中の荷捌き台車3と干渉しないときには、その待機中の荷捌き台車3を搬送処理用の荷捌き台車3として選択するように構成されている。
【0034】
そして、卸し用の搬送処理を行うときには、地上側コントローラ14は、掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3とは別のもう一台の荷捌き台車3が待機中であれば、掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3を搬送処理用の荷捌き台車3として選択するように構成されている。
また、地上側コントローラ14は、もう一台の荷捌き台車3が現在搬送処理中である場合には、掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3が卸し用の搬送処理を行っても現在搬送処理中のもう一台の荷捌き台車3と干渉しないときには、その掬い用の搬送処理を行った後の荷捌き台車3を搬送処理用の荷捌き台車3として選択するように構成されている。
【0035】
このようにして、地上側コントローラ14は、二台の荷捌き台車3のいずれもが、複数のステーション1のすべてに対して物品Bを搬送する搬送処理を行うことを可能としながら、選択処理を行うことにより、搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の荷捌き台車3を現在搬送処理中である荷捌き台車3と干渉しない範囲を走行させることを条件として、搬送処理用の荷捌き台車3を選択するように構成されている。
そして、地上側コントローラ14は、選択処理において、現在搬送処理中の荷捌き台車3と干渉する場合には、搬送処理用の荷捌き台車3としての選択を行わず、現在位置に待機させる待機状態とするか、または、現在搬送処理中の荷捌き台車3と干渉しない位置に移動させる追い出し作動を実行させるように構成されている。
【0036】
以下、選択処理において、第1荷捌き台車3aを搬送処理用の荷捌き台車3として選択し、その第1荷捌き台車3aにて搬送処理を行う場合について説明を加える。
前記地上側コントローラ14は、まず、第1光伝送装置16などの通信ネットワークを介して、第1荷捌き台車3aの走行用インバータ7に走行方向をも指示する走行開始情報を送信し、その走行開始情報を受信した走行用インバータ7が、第1荷捌き台車3aの走行を開始させるように構成されている。
その後、地上側コントローラ14は、設定時間が経過するごとに、走行速度指令情報を第1荷捌き台車3aの走行用インバータ7に送信するように構成されている。
一方、第1荷捌き台車3aの走行用インバータ7は、地上側コントローラ14からの走行速度指令情報に基づいて、その走行速度指令情報にて指令された走行速度で第1荷捌き台車3aを走行させるべく、走行モータ6に対する電流値を調整するように構成されている。
【0037】
以上の如く、第1荷捌き台車3aを走行させるときには、走行用インバータ7が、地上側コントローラ14からの走行指令情報に基づいて、第1荷捌き台車3aの走行速度を調整しながら走行させるように構成されている。
そして、地上側コントローラ14に対して位置検出センサ15の検出情報が入力されているので、地上側コントローラ14は、第1荷捌き台車3aの走行位置を管理しながら、第1荷捌き台車3aを走行させるように構成されている。
【0038】
前記地上側コントローラ14が、第1荷捌き台車3aの走行位置を管理しながら走行させている状態において、第1荷捌き台車3aの走行位置が移載対象のステーション1に対応する目標停止位置に達すると、第1光伝送装置16などの通信ネットワークを介して、第1荷捌き台車3aの走行用インバータ7に停止指令情報を送信し、その停止指令情報を受信した第1荷捌き台車3aの走行用インバータ7が、走行モータ6を作動停止させて、第1荷捌き台車3aを目標停止位置に停止させるように構成されている。
【0039】
前記地上側コントローラ14は、第1荷捌き台車3aを目標停止位置に停止させた状態において、通信ネットワークを介して、第1荷捌き台車3aの移載用インバータ11に移載指令情報を送信するように構成されている。
そして、第1荷捌き台車3aの移載用インバータ11は、地上側コントローラ14からの移載指令情報に基づいて、移載装置4を作動させて、移載対象のステーション1に存在する物品Bを掬い取るあるいは移載対象のステーション1に物品Bを卸すように構成されている。
【0040】
また、入出力装置13は、第1光伝送装置16などの通信ネットワークを介して、センサ類12の検出情報を地上側コントローラ14に送信するように構成されており、地上側コントローラ14は、入出力装置13からの情報に基づいて、搬送処理が終了したことを認識するように構成されている。
【0041】
前記地上側コントローラ14とは独立した車間距離センサ8、台車間光伝送装置9および走行制御手段としての第1スレーブコントローラ10aを第1荷捌き台車3aに設け、地上側コントローラ14とは独立した台車間光伝送装置9および走行制御手段としての第2スレーブコントローラ10bを第2荷捌き台車3bに設けることにより、地上側コントローラ14の暴走などにより誤って荷捌き台車3どうしが衝突する可能性が生じる場合でも、その衝突を防止するように構成されている。
【0042】
二台の荷捌き台車3のうち、一方の第1荷捌き台車3aに備えられた第1スレーブコントローラ10aは、二台の荷捌き台車3夫々についての走行方向および走行速度を検出する走行状態検出手段19の検出情報に基づいて荷捌き台車3どうしの車間距離が小さくなるように走行する接近走行状態であると判別したときに、車間距離センサ8にて検出される荷捌き台車3どうしの車間距離が、二台の荷捌き台車3の夫々における現在の走行速度情報に基づいて定められる走行停止用車間距離以下になると、荷捌き台車3を走行停止させるように構成されている。
【0043】
前記第1スレーブコントローラ10aは、接近走行状態であると判別したときに荷捌き台車3どうしの走行方向が異なる場合には、車間距離センサ8にて検出される荷捌き台車3どうしの車間距離が走行停止用車間距離以下になると、二台の荷捌き台車3の両方を走行停止させるように構成されている。
また、第1スレーブコントローラ10aが、接近走行状態であると判別したときに荷捌き台車3どうしの走行方向が同じである場合には、車間距離センサ8にて検出される荷捌き台車3どうしの車間距離が走行停止用車間距離以下になると、二台の荷捌き台車3のうち、後続の荷捌き台車3を走行停止させるように構成されている。
【0044】
そして、第1スレーブコントローラ10aが、走行停止用車間距離として、隣接する物品搬送台車どうしの走行方向が異なるときと隣接する物品搬送台車どうしの走行方向が同じときとで、別の走行停止用車間距離を定めるように構成されている。
また、第1スレーブコントローラ10aが、走行停止用車間距離として、荷捌き台車3に物品Bが存在する在荷状態と荷捌き台車3に物品Bが存在しない空荷状態とで、別の走行停止用車間距離を定めるように構成されている。
【0045】
以下、走行停止用車間距離に基づいて荷捌き台車3を走行停止させる際の構成について説明を加える。
前記第1スレーブコントローラ10aは、まず、第2荷捌き台車3bに対する第1荷捌き台車3aの相対速度V1、第1荷捌き台車3aの現在の走行速度V2および走行方向、第2荷捌き台車3bの現在の走行速度V3および走行方向を求める走行状態演算を行い、接近走行状態であるか否かを判別するように構成されている。
そして、第1スレーブコントローラ10aは、接近走行状態であると判別したときに、二台の荷捌き台車3夫々の現在の走行速度に基づいて走行停止用車間距離Qを定めて、車間距離センサ8にて検出される車間距離が走行停止用車間距離Q以下であると、荷捌き台車3を走行停止させるように構成されている。
【0046】
このようにして、第1スレーブコントローラ10aは、走行状態演算、接近走行状態であるか否かの判別、車間距離センサ8にて検出される車間距離が走行停止用車間距離Q以下であるか否かの判別を繰り返し行うことにより、軌道2上の全範囲において、二台の荷捌き台車3どうしの衝突を回避するように構成されている。
【0047】
前記走行状態演算について説明を加えると、第1スレーブコントローラ10aは、まず、第2荷捌き台車3bに対する第1荷捌き台車3aの相対速度V1、および、第1荷捌き台車3aの現在の走行速度V2を求めるとともに、第1荷捌き台車3aが前進であるか後進であるかの第1荷捌き台車3aの走行方向を判別するように構成されている。
ちなみに、走行方向は、図1において、第1荷捌き台車3aの前進側を図中右側、後進側を図中左側として、第2荷捌き台車3aの前進側を図中左側、後進側を図中右側としている。
【0048】
前記相対速度V1については、第1スレーブコントローラ10aが、設定時間(例えば、5ms)経過するごとに、車間距離センサ8にて検出される荷捌き台車3どうしの車間距離を読み込み、車間距離センサ8にて検出される現在の車間距離と設定時間(例えば、100ms)前に車間距離センサ8にて検出された車間距離との変化量から第2荷捌き台車3bに対する第1荷捌き台車3aの相対速度V1を求めるように構成されている。
前記第1荷捌き台車3aの現在の走行速度V2については、第1スレーブコントローラ10aが、第1荷捌き台車3aに備えられたエンコーダ12bの検出情報に基づいて、第1荷捌き台車3aの現在の走行速度V2を求めるように構成されている。
前記走行方向については、第1スレーブコントローラ10aが、走行用インバータ7の出力信号に基づいて、その出力信号が正転出力信号であるかまたは逆転出力信号であるかにより、第1荷捌き台車3aが前進であるか後進であるかを判別して走行方向を判別するように構成されている。
【0049】
そして、第1スレーブコントローラ10aは、第2荷捌き台車3bに対する第1荷捌き台車3aの相対速度V1、第1荷捌き台車3aの現在の走行速度V2、および、第1荷捌き台車3aが前進であるか後進であるかの走行方向に基づいて、第2荷捌き台車3bが前進であるか後進であるかの走行方向を判別したのち、第2荷捌き台車3bの現在の走行速度V3を求めるように構成されている。
【0050】
第2荷捌き台車3bの走行方向を判別する構成について説明を加えると、第1スレーブコントローラ10aは、第1荷捌き台車3aが前進である場合に、相対速度V1から第1荷捌き台車3aの現在の走行速度V2を引いた値(V1−V2)>0かつ相対速度V1<0であると、第2荷捌き台車3bが前進であると判別するように構成されている。
また、第1スレーブコントローラ10aは、第1荷捌き台車3aが前進である場合に、相対速度V1<0であると、第2荷捌き台車3bが後進であると判別し、第1荷捌き台車3aが後進である場合に、相対速度V1<0であると、第2荷捌き台車3bが後進であると判別するように構成されている。
【0051】
第2荷捌き台車3bの現在の走行速度V3を求める構成について説明を加えると、第1スレーブコントローラ10aは、図3の表に示すように、第1荷捌き台車3aが前進か後進か、第2荷捌き台車3bが前進か後進かにより、相対速度V1と第1荷捌き台車3aの現在の走行速度V2とから、第2荷捌き台車3bの現在の走行速度V3を求めるように構成されている。
例えば、第1荷捌き台車3aが前進でかつ第2荷捌き台車3bも前進であれば、第2荷捌き台車3bの現在の走行速度V3=|V1−V2|と求め、第1荷捌き台車3aが後進でかつ第2荷捌き台車3bが前進であれば、第2荷捌き台車3bの現在の走行速度V3=|V1+V2|と求めるように構成されている。
【0052】
このようにして、第1スレーブコントローラ10aは、車間距離センサ8の検出情報、エンコーダ12bの検出情報、および、走行用インバータ7の出力信号に基づいて、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3b夫々についての走行方向および走行速度を検出するように構成されており、これら第1スレーブコントローラ10、車間距離センサ8、エンコーダ12b、および、走行用インバータ7により、走行状態検出手段19が構成されている。
【0053】
前記接近走行状態であるか否かの判別について説明を加えると、第1スレーブコントローラ10aは、荷捌き台車3が軌道2上のどこに位置するかにかかわらず、第2荷捌き台車3bに対する第1荷捌き台車3aの相対速度V1<0であれば、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bとの車間距離が小さくなるように走行する接近走行状態であると判別するように構成されている。
【0054】
前記走行停止用車間距離Qを定める構成について説明を加えると、第1スレーブコントローラ10aは、まず、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bについて現在の走行速度から走行停止させたときに、走行停止させるまでに要する停止距離を求め、その停止距離から走行停止用車間距離Qを定めて、荷捌き台車3どうしの衝突を回避できながら、極力小さな距離を走行停止用車間距離Qとして定めるように構成されている。
【0055】
説明を加えると、第1スレーブコントローラ10aは、第1荷捌き台車3aに備えられた在荷センサ12aの検出情報に基づいて、第1荷捌き台車3aが在荷状態であるか空荷状態であるかを判別するとともに、下記の〔数1〕に基づいて、空荷状態のときの第1荷捌き台車3aの停止距離S1と在荷状態のときの第1荷捌き台車3aの停止距離S2を求めるように構成されている。
ただし、下記の〔数1〕において、V2は、第1荷捌き台車3aの現在の走行速度であり、α1は、空荷状態での減速度であり、α2は、在荷状態での減速度であり、α1>α2となるように設定されている。
【0056】
〔数1〕
S1=V22/2×α1×9.8
S2=V22/2×α2×9.8
【0057】
また、第1スレーブコントローラ10aは、台車間光伝送装置9により第2スレーブコントローラ10bとの間で、第2荷捌き台車3bに備えられた在荷センサ12aの検出情報について、通信自在に構成されている。
そして、第1スレーブコントローラ10aは、第2スレーブコントローラ10bとの通信により取得する第2荷捌き台車3bに備えられた在荷センサ12aの検出情報に基づいて、第2荷捌き台車3bが在荷状態であるか空荷状態であるかを判別するとともに、下記の〔数2〕に基づいて、空荷状態のときの第2荷捌き台車3bの停止距離S3と在荷状態のときの第2荷捌き台車3bの停止距離S4を求めるように構成されている。
ただし、下記の〔数2〕において、V3は、第2荷捌き台車3bの現在の走行速度であり、α3は、空荷状態での減速度であり、α4は、在荷状態での減速度であり、α3>α4となるように設定されている。
【0058】
〔数2〕
S3=V32/2×α3×9.8
S4=V32/2×α4×9.8
【0059】
以上の如く、第1スレーブコントローラ10aは、接近走行状態であると判別したときに、第1荷捌き台車3aについての停止距離S1,S2および第2荷捌き台車3bについての停止距離S3,S4を求めると、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bとの走行方向が異なる対向動作であるかまたは1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bとの走行方向が同じである追従動作であるか、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bが空荷状態であるかまたは在荷状態であるかの各種条件によって、走行停止用車間距離Qを定めるように構成されている。
【0060】
説明を加えると、第1スレーブコントローラ10aは、接近走行状態であると判別したときに、第1荷捌き台車3aが前進でありかつ第2荷捌き台車3bが前進であると、対向動作であると判別するように構成されている。
この対向動作では、第1スレーブコントローラ10aが、図4の表に示すように、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bが在荷状態であるか空荷状態であるかによって、第1荷捌き台車3aについての空荷状態の停止距離S1および在荷状態の停止距離S2、ならびに、第2荷捌き台車3bについての空荷状態の停止距離S3および在荷状態の停止距離S4から、走行停止用車間距離Qを求めるように構成されている。
例えば、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bがともに空荷状態であれば、走行停止用車間距離Q=S1+S3と求め、第1荷捌き台車3aが空荷状態でかつ第2荷捌き台車3bが在荷状態であれば、走行停止用車間距離Q=S1+S4と求めるように構成されている。
【0061】
また、第1スレーブコントローラ10aは、接近走行状態であると判別したときに、第1荷捌き台車3aが前進でありかつ第2荷捌き台車3bが後進であるまたは第1荷捌き台車3aが後進でありかつ第2荷捌き台車3bが前進であると、追従動作であると判別するように構成されている。
この追従動作では、図5の表に示すように、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bが在荷状態であるか空荷状態であるかによって、第1荷捌き台車3aについての空荷状態の停止距離S1および在荷状態の停止距離S2、ならびに、第2荷捌き台車3bについての空荷状態の停止距離S3および在荷状態の停止距離S4から、走行停止用車間距離Qを求めるように構成されている。
【0062】
第1荷捌き台車3aが後進でありかつ第2荷捌き台車3bが前進である場合には、第1荷捌き台車3aが先行し、第2荷捌き台車3bが後続することになり、先行の第1荷捌き台車3aについては空荷状態の停止距離S1のみを用いて、走行停止用車間距離Qを求めるように構成されている。
図5の(イ)に示すように、例えば、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bがともに空荷状態であれば、走行停止用車間距離Q=|S1−S3|と求め、第1荷捌き台車3aが在荷状態でかつ第2荷捌き台車3bが空荷状態であれば、走行停止用車間距離Q=|S1−S3|と求めるように構成されている。
【0063】
また、第1荷捌き台車3aが前進でありかつ第2荷捌き台車3bが後進である場合には、第2荷捌き台車3bが先行し、第1荷捌き台車3aが後続することになり、先行の第2荷捌き台車3bについては空荷状態の停止距離S3のみを用いて、走行停止用車間距離Qを求めるように構成されている。
図5の(ロ)に示すように、例えば、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bがともに空荷状態であれば、走行停止用車間距離Q=|S3−S1|と求め、第1荷捌き台車3aが空荷状態でかつ第2荷捌き台車3bが在荷状態であれば、走行停止用車間距離Q=|S3−S1|と求めるように構成されている。
【0064】
このようにして、第1スレーブコントローラ10aは、走行停止用車間距離Qとして、対向動作か追従動作かにより別の走行停止用車間距離を求めるとともに、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bとが在荷状態あるか空荷状態であるかにより別の走行停止用車間距離を求めるように構成されている。
【0065】
そして、第1スレーブコントローラ10aは、対向動作のときに車間距離センサ8にて検出される荷捌き台車3どうしの車間距離が走行停止用車間距離Q以下になると、車間異常であるとして、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bの両方を走行停止させるように構成されている。
【0066】
説明を加えると、第1スレーブコントローラ10aは、電力停止手段18を作動させて、第1荷捌き台車3aを走行停止させるように構成されている。
そして、第1スレーブコントローラ10aは、台車間光伝送装置9により第2荷捌き台車3に対して第2荷捌き台車3bを走行停止させるための異常停止情報を送信するように構成されており、第2スレーブコントローラ10bは、第1スレーブコントローラ10aからの異常停止情報に基づいて、電力停止手段18を作動させて、第2荷捌き台車3bを走行停止させるように構成されている。
【0067】
また、第1スレーブコントローラ10aは、追従動作のときに車間距離センサ8にて検出される荷捌き台車3どうしの車間距離が走行停止用車間距離Q以下になると、車間異常であるとして、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bのうち、後続の荷捌き台車3のみ走行停止させるように構成されている。
【0068】
説明を加えると、第1荷捌き台車3aが後続の荷捌き台車3であるときには、第1スレーブコントローラ10aが、電力停止手段18を作動させて、第1荷捌き台車3aを走行停止させるように構成されている。
そして、逆に、第2荷捌き台車3bが後続の荷捌き台車3であるときには、第1スレーブコントローラ10aが、台車間光伝送装置9により第2荷捌き台車3に対して第2荷捌き台車3bを走行停止させるための異常停止情報を送信するように構成されており、第2スレーブコントローラ10bは、第1スレーブコントローラ10aからの異常停止情報に基づいて、電力停止手段18を作動させて、第2荷捌き台車3bを走行停止させるように構成されている。
【0069】
前記第1スレーブコントローラ10aの動作について図6のフローチャートに基づいて説明を加える。
第1スレーブコントローラ10aは、まず、第2荷捌き台車3bに対する第1荷捌き台車3aの相対速度V1、第1荷捌き台車3aの現在の走行速度V2および走行方向、第2荷捌き台車3bの現在の走行速度V3および走行方向を求める走行状態演算を行う(ステップ1)。
そして、第1スレーブコントローラ10aは、接近走行状態であると判別すると、走行停止用車間距離Qを定めて、車間距離センサ8にて検出される荷捌き台車3どうしの車間距離Pが定められた走行停止用車間距離Q以下であるか否かを判別する(ステップ2〜4)。
【0070】
前記第1スレーブコントローラ10aは、車間距離センサ8にて検出される荷捌き台車3どうしの車間距離Pが走行停止用車間距離Q以下である場合に対向動作のときには、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bの両方の荷捌き台車3を走行停止させる(ステップ5,6)。
また、第1スレーブコントローラ10aは、車間距離センサ8にて検出される荷捌き台車3どうしの車間距離Pが走行停止用車間距離Q以下である場合に追従動作のときには、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bのうち、後続の荷捌き台車3を走行停止させる(ステップ7,8)。
【0071】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、第1スレーブコントローラ10aが、車間距離センサ8にて検出される荷捌き台車3どうしの車間距離Pが走行停止用車間距離Q以下である場合に、二台の荷捌き台車3の走行方向が同じであるときには、二台の荷捌き台車3のうち、後続の荷捌き台車3のみを走行停止させるようにしているが、二台の荷捌き台車3の両方を走行停止させるように構成して実施することも可能である。
【0072】
(2)上記実施形態では、走行停止用車間距離として、二台の捌き台車3どうしの走行方向が異なるときと二台の荷捌き台車3どうしの走行方向が同じときとで、別の走行停止用車間距離を定めるとともに、在荷状態と空荷状態とで、別の走行停止用車間距離を定めるようにしているが、走行停止用車間距離については、例えば、二台の捌き台車3どうしの走行方向が異なるときと二台の荷捌き台車3どうしの走行方向が同じときとで、同じ走行停止用車間距離を定めることも可能であり、走行停止用車間距離をどのように定めるかについては適宜変更が可能である。
【0073】
(3)上記実施形態では、第2荷捌き台車3bに車間距離センサ8を備えず、第1荷捌き台車3aに備えられた第1スレーブコントローラ10aのみに、走行状態演算、接近走行状態であるか否かの判別、走行停止用車間距離に基づいて荷捌き台車3を走行停止させる制御構成を備えているが、例えば、第2荷捌き台車3bにも、車間距離センサ8を備えて、第1スレーブコントローラ10aに加えて、第2スレーブコントローラ10bにも、走行状態演算、接近走行状態であるか否かの判別、走行停止用車間距離に基づいて荷捌き台車3を走行停止させる制御構成を備えて実施することも可能である。
【0074】
(4)上記実施形態では、第1スレーブコントローラ10aが、第2荷捌き台車3bに対する第1荷捌き台車3aの相対速度を、二台の荷捌き台車3夫々についての走行方向および走行速度についての情報として、接近走行状態であるか否かを判別するようにしているが、第1スレーブコントローラ10aが、二台の荷捌き台車3夫々についての走行方向および走行速度から直接接近走行状態であるか否かを判別することも可能である。
【0075】
(5)上記実施形態では、第1スレーブコントローラ10aが、第2荷捌き台車3bの走行方向および走行速度について、第2荷捌き台車3bに対する第1荷捌き台車3aの相対速度、第1荷捌き台車3aの走行方向および走行速度から求めるようにしているが、例えば、第2荷捌き台車3bの走行方向および走行速度を検出する第2荷捌き台車用の走行状態検出手段を第2荷捌き台車3bに備えて、その第2荷捌き台車用の走行状態検出手段の検出情報を台車間光伝送装置9により第1スレーブコントローラ10aに通信するように構成して、第1スレーブコントローラ10aが、その通信により取得した第2荷捌き台車用の走行状態検出手段の検出情報に基づいて、第2荷捌き台車3bの走行方向および走行速度を求めることも可能である。
すなわち、第1荷捌き台車3aおよび第2荷捌き台車3bの走行方向と走行速度とを、どのようにして求めるかについては適宜変更が可能である。
【0076】
(6)上記実施形態では、地上側コントローラ14と独立したスレーブコントローラ10を走行制御手段としているが、例えば、地上側コントローラ14を走行制御手段として実施することも可能である。
【0077】
(7)上記実施形態では、地上側コントローラ14が、位置検出センサ15の検出情報に基づいて、複数台の荷捌き台車3の軌道2上での位置を管理するように構成されているが、例えば、荷捌き台車3の夫々にエンコーダを設けて、そのエンコーダの検出情報を入出力装置13にて地上側コントローラ14に通信することにより、地上側コントローラ14が、複数台の荷捌き台車3の軌道2上での位置を管理するようにして実施することも可能である。
【0078】
(8)上記実施形態では、二台の荷捌き台車3の走行を管理する地上側コントローラ14を一つ地上側に設けているが、例えば、荷捌き台車3の夫々に自己の走行を管理する車体側コントローラを設けて、荷捌き台車の車体側コントローラにて通信しながら、二台の荷捌き台車3の運転を管理して実施することも可能である。
【0079】
(9)上記実施形態では、地上側コントローラ14が、各種条件に基づいて、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bのうち、搬送処理を実行する荷捌き台車3を選択する選択処理を行うように構成されているが、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bのうち、搬送処理を実行する荷捌き台車3を選択するための条件については、適宜変更が可能である。
【0080】
(10)上記実施形態において、ステーション1の数やどの位置にステーション1を配置するかについては適宜変更可能である。
【0081】
(11)上記実施形態では、荷捌き台車3を二台設けた例を示したが、荷捌き台車3の台数については適宜変更が可能である。
【0082】
(12)上記実施形態では、物品搬送台車として荷捌き台車3を例示したが、物品搬送台車としては、例えば、一対の物品収納棚の間口に沿う軌道上を往復走行するスタッカークレーンを適応することも可能であり、荷捌き台車3以外の物品搬送台車も適応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】物品搬送装置の平面図
【図2】物品搬送装置のブロック図
【図3】第2荷捌き台車の現在の走行速度を求めるための表
【図4】対向動作における走行停止用車間距離を求めるための表
【図5】追従動作における走行停止用車間距離を求めるための表
【図6】第1スレーブコントローラの動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0084】
1 物品移載箇所
2 軌道
3 物品搬送台車
8 車間距離検出手段
10 走行制御手段
19 走行状態検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品移載箇所を経由するように設置される有端形式の軌道上を走行する複数台の物品搬送台車と、その物品搬送台車の走行を制御する走行制御手段と、隣接する物品搬送台車どうしの車間距離を検出する車間距離検出手段とが設けられている物品搬送装置であって、
前記走行制御手段が、隣接する物品搬送台車夫々についての走行方向および走行速度を検出する走行状態検出手段の検出情報に基づいて物品搬送台車どうしの車間距離が小さくなるように走行する接近走行状態であると判別したときに、前記車間距離検出手段にて検出される物品搬送台車どうしの車間距離が、隣接する物品搬送台車の夫々における現在の走行速度情報に基づいて定められる走行停止用車間距離以下になると、前記物品搬送台車を走行停止させるように構成されている物品搬送装置。
【請求項2】
前記走行制御手段が、前記接近走行状態であると判別したときに隣接する物品搬送台車どうしの走行方向が異なる場合には、前記車間距離検出手段にて検出される物品搬送台車どうしの車間距離が前記走行停止用車間距離以下になると、隣接する物品搬送台車の両方を走行停止させ、
前記接近走行状態であると判別したときに隣接する物品搬送台車どうしの走行方向が同じである場合には、前記車間距離検出手段にて検出される物品搬送台車どうしの車間距離が前記走行停止用車間距離以下になると、隣接する物品搬送台車のうち、後続の物品搬送台車を走行停止させ、
前記走行停止用車間距離として、隣接する物品搬送台車どうしの走行方向が異なるときと隣接する物品搬送台車どうしの走行方向が同じときとで、別の走行停止用車間距離を定めるように構成されている請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項3】
前記走行制御手段が、前記走行停止用車間距離として、前記物品搬送台車に物品が存在する在荷状態と前記物品搬送台車に物品が存在しない空荷状態とで、別の走行停止用車間距離を定めるように構成されている請求項1または2に記載の物品搬送装置。
【請求項4】
前記物品搬送台車が二台であり、
一方の前記物品搬送台車に備えられた前記走行制御手段が、前記接近走行状態であると判別したときに、前記車間距離検出手段にて検出される物品搬送台車どうしの車間距離が前記走行停止用車間距離以下になると、前記物品搬送台車を走行停止させるように構成され、
その一方の前記物品搬送台車に備えられた前記走行制御手段と、他方の前記物品搬送台車に備えられた前記走行制御手段との間で、情報の授受を行う通信手段が設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の物品搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−62840(P2006−62840A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−248769(P2004−248769)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】