説明

物品搬送設備

【課題】 運転制御手段と物品搬送車との間での通信および複数の物品搬送車の隣接するものどうしの間での通信が行えないようになるのを回避する物品搬送設備の提供。
【解決手段】 運転管理用の通信手段Tとして、運転制御手段14と物品搬送車3との間での通信および複数の物品搬送車3の隣接するものどうしの間での通信を空間光伝送方式により行う光式通信手段17、および、運転制御手段14と物品搬送車3との間での通信および複数の物品搬送車3の隣接するものどうしの間での通信を電磁波伝送方式により行う無線通信手段18が、並行して通信作動を行うように設けられ、運転制御手段14および車体制御手段Hが、光式通信手段17による通信情報を優先使用し、かつ、光式通信手段17による通信情報が得られないときには無線通信手段18の通信情報を使用するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の物品移載箇所にわたる軌道上を走行する複数の物品搬送車の運転を管理する地上側の運転制御手段と、前記複数の物品搬送車の夫々に装備されて前記物品搬送車の運転を制御する車体制御手段と、前記複数の物品搬送車夫々の前記軌道上における走行位置を検出する走行位置検出手段と、前記走行位置検出手段の検出情報に基づいて前記物品搬送車を目標走行位置に走行させるために、前記物品搬送車に装備した前記車体制御手段と前記地上側の運転制御手段との間での通信および複数の物品搬送車の隣接するものどうしの間での通信を行う運転管理用の通信手段とが設けられた物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような物品搬送設備は、自動倉庫などに適用されるものであり、例えば、両端部が定められた有端式の軌道上を複数の物品搬送車を往復走行させて、複数の物品搬送車にて複数の物品移載箇所の間での物品搬送を行うようにしている。
そして、物品搬送車を物品移載箇所に走行させるために、複数の物品移載箇所の夫々に対応して目標走行位置に物品搬送車を走行させる。このとき、物品搬送車についての走行指令情報や隣接する物品搬送車の走行位置についての走行位置情報などの各種情報を、運転制御手段と車体制御手段との間および複数の物品搬送車の隣接するものどうしの間で通信しており、この通信を運転管理用の通信手段にて行っている。
【0003】
このような物品搬送設備において、従来、直線状の軌道上を複数の物品搬送車が走行するように設けられ、運転管理用の通信手段として、運転制御手段と物品搬送車との間での通信および複数の物品搬送車の隣接するものどうしの間での通信を空間光伝送方式により行う光式通信手段が設けられている(例えば、特許文献1参照。)。
この従来の物品搬送設備では、運転制御手段と物品搬送車との間での通信のために、軌道の端部と物品搬送車とに光伝送器を設け、物品搬送車の隣接するものどうしの間での通信のために、隣接する物品搬送車の夫々に光伝送器を設けている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−175117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、軌道が直線部分と屈曲部分とを組み合わせた屈曲状に形成されている物品搬送設備においては、物品搬送車に設ける光伝送器にて投受光される光の向きが、物品搬送車が直線部分に位置するときと屈曲部分に位置するときとで異なることになる。したがって、物品搬送車が直線部分に位置するときに通信できるように、物品搬送車に設ける光伝送器の向きを調整すると、物品搬送車が屈曲部分に位置するときには、軌道の端部に設ける光伝送器と物品搬送車に設ける光伝送器との間および隣接する物品搬送車に設ける光伝送器どうしの間で光を伝送することができず、光式通信手段にて通信を行うことができない。
また、軌道の途中に開閉式のドアが設けられている物品搬送設備においては、そのドアが閉じられると、軌道の端部に設ける光伝送器と物品搬送車に設ける光伝送器との間、あるいは、隣接する物品搬送車どうしの間にドアが存在することになる。したがって、光伝送器から投射された光がドアにて遮断されることになり、軌道の端部に設ける光伝送器と物品搬送車に設ける光伝送器との間および隣接する物品搬送車に設ける光伝送器どうしの間で光を伝送することができず、光式通信手段にて通信を行うことができない。
【0006】
このように、従来の物品搬送設備では、光式通信手段にて通信を行うことができず、運転制御手段と物品搬送車との間での通信および複数の物品搬送車の隣接するものどうしの間での通信を行うことができないことがある。
ちなみに、運転制御手段と物品搬送車との間での通信および複数の物品搬送車の隣接するものどうしの間での通信を行うことができない場合には、通信異常となって物品搬送車を停止させることになり、目標走行位置に物品搬送車を走行できなくなる。
【0007】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、運転制御手段と物品搬送車との間での通信および複数の物品搬送車の隣接するものどうしの間での通信が行えないようになるのを回避する物品搬送設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明にかかる物品搬送設備の第一特徴構成は、複数の物品移載箇所にわたる軌道上を走行する複数の物品搬送車の運転を管理する地上側の運転制御手段と、前記複数の物品搬送車の夫々に装備されて前記物品搬送車の運転を制御する車体制御手段と、前記複数の物品搬送車夫々の前記軌道上における走行位置を検出する走行位置検出手段と、前記走行位置検出手段の検出情報に基づいて前記物品搬送車を目標走行位置に走行させるために、前記物品搬送車に装備した前記車体制御手段と前記地上側の運転制御手段との間での通信および複数の物品搬送車の隣接するものどうしの間での通信を行う運転管理用の通信手段とが設けられた物品搬送設備において、
前記運転管理用の通信手段として、前記運転制御手段と前記物品搬送車との間での通信および複数の物品搬送車の隣接するものどうしの間での通信を空間光伝送方式により行う光式通信手段、および、前記運転制御手段と前記物品搬送車との間での通信および複数の物品搬送車の隣接するものどうしの間での通信を電磁波伝送方式により行う無線通信手段が、並行して通信作動を行うように設けられ、前記運転制御手段および前記車体制御手段が、前記光式通信手段による通信情報を優先使用し、かつ、前記光式通信手段による通信情報が得られないときには前記無線通信手段の通信情報を使用するように構成されている点にある。
【0009】
前記運転制御手段と物品搬送車との間での通信および複数の物品搬送車の隣接するものどうしの間での通信を行うときには、光式通信手段と無線通信手段とが並行して通信作動を行い、光式通信手段による空間光伝送方式と無線通信手段による電磁波伝送方式とのどちらの伝送方式でも通信を行うことが可能な状態となる。そして、運転制御手段および車体制御手段は、光式通信手段による空間光伝送方式での通信が可能であると、無線通信手段による通信情報よりも光式通信手段による通信情報を優先使用し、かつ、光式通信手段による空間光伝送方式での通信が不可能であると、無線通信手段による通信情報を使用して、運転制御手段と物品搬送車との間での通信および複数の物品搬送車の隣接するものどうしの間での通信を行うことになる。
【0010】
前記無線通信手段は、軌道の端部に設ける光伝送器と物品搬送車に設ける光伝送器との間および隣接する物品搬送車に設ける光伝送器どうしの間で光を伝送することができない場合でも、通信を行うことができる。したがって、運転制御手段および車体制御手段が、光式通信手段にて通信を行うことができない場合には、無線通信手段にて通信を行い、その無線通信手段による通信情報を使用することにより、運転制御手段と物品搬送車との間での通信および複数の物品搬送車の隣接するものどうしの間での通信が途絶えることなく継続して行えることになる。
また、光式通信手段による空間光伝送方式は、無線通信手段による電磁波伝送方式に比べて、通信情報を高速かつ確実に通信することができることから、光式通信手段による空間光伝送方式と無線通信手段による電磁波伝送方式との二つの伝送方式にて通信が可能な状態においては、無線通信手段による通信情報よりも光式通信手段による通信情報を優先して使用することによって、運転制御手段と物品搬送車との間での通信および複数の物品搬送車の隣接するものどうしの間での通信を高速かつ確実に行えることになる。
【0011】
以上のことから、運転制御手段と物品搬送車との間での通信および複数の物品搬送車の隣接するものどうしの間での通信を高速かつ確実に行えながら、その通信が行えないようになるのを回避できる物品搬送設備を提供できるに至った。
【0012】
本発明にかかる物品搬送設備の第二特徴構成は、前記走行位置検出手段として、前記軌道の長手方向に沿って計測用光を投射する光式測距センサおよび前記物品搬送車に装備されたエンコーダが設けられ、前記運転制御手段および前記車体制御手段が、前記光式測距センサの検出情報を優先使用し、かつ、前記光式測距センサの検出情報が得られないときには前記エンコーダの検出情報を使用するように構成されている点にある。
【0013】
すなわち、物品搬送車の軌道上における走行位置を検出するに当り、軌道の長手方向に沿って計測用光を投射する光式測距センサの検出情報を使用する方式と、物品搬送車に装備したエンコーダの検出情報を使用する方式との二つの方式を確保できることになる。そして、運転制御手段および車体制御手段が、光式測距センサの検出情報が得られるときには、エンコーダの検出情報よりも光式測距センサの検出情報を優先使用し、かつ、光式測距センサの検出情報が得られないときには、エンコーダの検出情報を使用して、物品搬送車の軌道上における走行位置を検出することになる。
【0014】
前記光式測距センサは、光の遮断などにより検出情報が得られず、光式測距センサの検出情報を使用するだけでは、物品搬送車の軌道上における走行位置を検出できないことがある。そこで、光式測距センサの検出情報が得られないときでも、物品搬送車の軌道上における走行位置を検出するための情報を得ることができるエンコーダを設け、そのエンコーダの検出情報を使用して、物品搬送車の軌道上における走行位置を検出して、物品搬送車の軌道上における走行位置を検出できなくなるのを回避できることになる。
しかも、光式測距センサの検出情報とエンコーダの検出情報とが得られるときには、光式測距センサの検出情報を使用して、物品搬送車の軌道上における走行位置を検出することにより、その走行位置を精度よく検出することができることになる。
したがって、物品搬送車の軌道上における走行位置を精度よく検出しながら、その走行位置を検出できなくなるのを回避できることになる。
【0015】
本発明にかかる物品搬送設備の第3特徴構成は、前記軌道が、直線部分と屈曲部分とを組み合わせた屈曲状に形成されている点にある。
【0016】
すなわち、物品搬送車が直線部分に位置するときに、運転制御手段と物品搬送車との間での通信および複数の物品搬送車の隣接するものどうしの間での通信を光式通信手段にて行うことができるように、光式通信手段を設けることができることになる。
そして、物品搬送車が直線部分に位置するときには、光式通信手段にて高速かつ確実な通信を行うことにより、物品搬送車をより高速で走行させることができることになる。また、物品搬送車が屈曲部分に位置するときには、運転制御手段と物品搬送車との間での通信および複数の物品搬送車の隣接するものどうしの間での通信を無線通信手段にて行うことができ、その通信が途絶えることなく継続されることになる。
したがって、軌道が屈曲状に形成された物品搬送設備であっても、運転制御手段と物品搬送車との間での通信および複数の物品搬送車の隣接するものどうしの間での通信が行えないようになるのを回避でき、物品搬送車を目標走行位置に的確に走行できることになる。
【0017】
本発明にかかる物品搬送設備の第4特徴構成は、前記運転制御手段が、前記物品搬送車についての走行指令情報を前記運転管理用の通信手段にて通信するように構成され、前記車体制御手段が、前記走行指令情報に基づいて走行制御を行うように構成されている点にある。
【0018】
すなわち、運転制御手段が、運転管理用の通信手段にて、走行開始指令情報、走行速度指令情報、走行停止指令情報などの走行指令情報を車体制御手段に通信し、車体制御手段が、運転制御手段からの走行指令情報に基づいて走行制御を行うことにより、物品搬送車を目標走行位置に走行させることになる。
そして、運転制御手段と物品搬送車との間での通信ができなくなることを回避できるので、運転制御手段から車体制御手段への走行指令情報の通信を的確に行うことができることとなって、物品搬送車を目標走行位置に的確に走行させることができることになる。
【0019】
本発明にかかる物品搬送設備の第5特徴構成は、前記運転制御手段が、前記走行位置検出手段の検出情報に基づいて、前記物品搬送車の複数を前記軌道上の同じ方向に走行させる場合には、前記物品搬送車どうしの車間距離が設定車間距離以上となるように前記走行指令情報を前記車体制御手段に通信するように構成されている点にある。
【0020】
すなわち、物品搬送車の複数を軌道上の同じ方向に走行させる場合には、物品搬送車どうしの車間距離が設定車間距離以上となるように、走行指令情報を車体制御手段に通信することにより、物品搬送車どうしの車間距離を設定車間距離以上に維持しながら、複数の物品搬送車を同時に走行させることができることになる。
したがって、物品搬送車どうしの衝突を防止しながら、複数の物品搬送車を同時に走行させて物品搬送を行うことができることとなって、搬送能力の向上を図り得ることになる。
【0021】
本発明にかかる物品搬送設備の第6特徴構成は、前記物品搬送車に、隣接する物品搬送車との間の距離を検出する距離検出センサが設けられ、前記運転制御手段が、前記物品搬送車の走行位置および隣接する物品搬送車の走行位置についての走行位置情報を前記運転管理用の通信手段にて通信するように構成され、前記車体制御手段が、前記距離検出センサの検出情報を優先使用し、かつ、前記距離検出センサの検出情報を得られないときには前記運転管理用の通信手段にて通信されてくる走行位置情報を使用して、隣接する物品搬送車との相対走行状態を管理して、自己の走行停止、および、前記運転管理用の通信手段を介して隣接する物品搬送車に走行停止指令を指令するように構成されている点にある。
【0022】
すなわち、車体制御手段が、距離検出センサの検出情報、または、運転管理用の通信手段にて通信されてくる走行位置情報を使用して、隣接する物品搬送車との相対走行状態を管理して、自己を走行停止させるとともに、隣接する物品搬送車を走行停止させることにより、隣接する物品搬送車との衝突を防止できることになる。
そして、隣接する物品搬送車との相対走行状態を管理するに当り、車体制御手段は、距離検出センサの検出情報が得られるときには、その距離検出センサの検出情報を使用して、隣接する物品搬送車との相対走行状態を迅速に管理できることになる。また、車体制御手段は、距離検出センサの検出情報が得られないときには、運転管理用の通信手段にて通信されてくる走行位置情報を使用することにより、隣接する物品搬送車との相対走行状態を管理できなくなるのを回避できることになる。
したがって、隣接する物品搬送車との相対走行状態を迅速に管理しながら、その管理ができなくなることを回避して、隣接する物品搬送車との衝突を的確に防止できることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明にかかる物品搬送設備の実施形態について図面に基づいて説明する。
この物品搬送設備は、物品収納棚を設けた自動倉庫などに適応され、図1に示すように、物品移載箇所としてのステーション1の複数にわたる軌道2上を走行する物品搬送車3を複数設け、複数の物品搬送車3が、軌道2上を往復走行して、複数のステーション1の間で物品Bを搬送するように構成されている。
【0024】
前記軌道2は、一対の走行レールを配置して構成され、両端部が定められた有端式である。そして、軌道2は、第一直線部分2aと第二直線部分2bとを直交するように配置しかつ第一直線部分2aと第二直線部分2bとを繋ぐ屈曲部分2cを設けたL状に形成されている。この軌道2の左右両側に軌道2の長手方向に間隔を隔てて複数のステーション1が配設されている。
そして、複数のステーション1としては、物品収納棚から出庫する物品Bを搬送する出庫コンベヤを設けた出庫用のステーション、物品収納棚へ入庫する物品Bを搬送する入庫コンベヤを設けられた入庫用のステーション、外部から搬入する物品Bを搬送する搬入コンベヤを設けた搬入用のステーション、および、外部へ搬出する物品Bを搬送する搬出コンベヤを設けた搬入用のステーションなどを組み合わせて設けられている。
【0025】
前記物品搬送車3として、第一物品搬送車3aと第二物品搬送車3bとの二つ設けられており、第一物品搬送車3aと第二物品搬送車3bの夫々には、自己とステーション1との間で物品Bを移載するローラコンベヤなどの移載装置4、軌道2を走行する複数の走行車輪5などが設けられている。
前記走行車輪5は、インバータ式の走行モータ6にて回転駆動する駆動用の走行車輪5aと、従動回転自在な従動用の走行車輪5bとから構成され、屈曲部分2cを走行するときに、駆動用の走行車輪5aが内側にかつ従動用の走行車輪5bが外側になるように配置されている。
【0026】
また、詳述はしないが、駆動用の走行車輪5aおよび従動用の走行車輪5bが、物品搬送車3の車体に対して縦軸芯周りに旋回移動自在に設けられ、駆動用の走行車輪5aが、従動用の走行車輪5bに対して接近離間方向にスライド移動自在に設けられている。
そして、駆動用の走行車輪5aおよび従動用の走行車輪5bの縦軸芯周りでの旋回移動、および、駆動用の走行車輪5aの従動用の走行車輪5bに対する接近離間方向でのスライド移動により、物品搬送車3が、屈曲部分2cを走行可能に構成されている。
【0027】
前記第一物品搬送車3aと第二物品搬送車3bの夫々には、図2に示すように、走行モータ6を作動させて物品搬送車3を走行駆動させる走行用インバータ7、隣接する物品搬送車3との間の距離を検出する距離検出センサ8、距離検出センサ8や台車間光伝送装置9の作動を制御するスレーブコントローラ10、移載装置4を作動させる移載用インバータ11、エンコーダ16や検知センサ25などのセンサ類12の検出情報を出力するための入出力装置13などが設けられている。
そして、物品搬送車3に装備される車体制御手段Hは、走行用インバータ7、スレーブコントローラ10、移載用インバータ11、入出力装置13などから構成されている。
【0028】
地上側には、第一物品搬送車3aと第二物品搬送車3bの運転を管理する地上側の運転制御手段14が設けられている。この地上側の運転制御手段14が、物品搬送車3に装備される車体制御手段Hから物品搬送車3の状態について情報を取得したり、その車体制御手段Hに対して各種の指令を行うことにより、物品搬送車3の運転を管理する。
【0029】
前記複数の物品搬送車3夫々の軌道2上における走行位置を検出する走行位置検出手段が設けられている。この走行位置検出手段として、軌道2の長手方向に沿って計測用光を投射する光式測距センサ15および物品搬送車3に装備されたエンコーダ16が設けられている。
【0030】
前記光式測距センサ15は、図1に示すように、軌道2の端部など地上側に設置されており、軌道2の長手方向に測定用光を投射してから、物品搬送車3に装備された反射体にて反射された測定用光を受光するまでの時間を計測するなどによって、物品搬送車2の軌道上における走行位置を検出するように構成されている。
そして、光式測距センサ15として、第一光式測距センサ15a、第二光式測距センサ15b、第三光式測距センサ15c、第四光式測距センサ15dの四つの光式測距センサが設けられている。
前記第一光式測距センサ15aは、第一直線部分2aの長手方向に沿って計測用光を投射するように第一直線部分2aの一端部に配置され、第二光式測距センサ15bは、第一直線部分2aの長手方向に沿って計測用光を投射するように屈曲部分2cの角部に対応して配置されている。第三光式測距センサ15cは、第二直線部分2bの長手方向に沿って計測用光を投射するように屈曲部分2cの角部に対応して配置され、第四光式測距センサ15dは、第二直線部分2bの長手方向に沿って計測用光を投射するように第二直線部分2bの一端部に配置されている。
【0031】
前記エンコーダ16として、例えば、ロータリーエンコーダが設けられている。そして、このロータリーエンコーダは、ロータリーエンコーダの回転軸に、軌道2の長手方向に沿って敷設されたチェーンに歯合するスプロケットが取り付けられ、物品搬送車3の走行によりスプロケットが回転するように設けられている。
前記エンコーダ16は、軌道2の一端部に設定された基準位置からの物品搬送車3の走行距離を検出することによって軌道2上における物品搬送車3の走行位置を検出するように構成されている。
【0032】
このような走行位置検出手段の検出情報に基づいて物品搬送車3を目標走行位置に走行させるために、物品搬送車3に装備した車体制御手段Hと地上側の運転制御手段14との間での通信、および、隣接する物品搬送車3どうしの間での通信を行う運転管理用の通信手段Tが設けられている。
この運転管理用の通信手段Tとして、地上側の運転制御手段14と物品搬送車3との間での通信および隣接する物品搬送車3どうしの間での通信を空間光伝送方式により行う光式通信手段17、および、地上側の運転制御手段14と物品搬送車3との間での通信および隣接する物品搬送車3どうしの間での通信を電磁波伝送方式により行う無線通信手段18が設けられている。そして、光式通信手段17と無線通信手段18とが並行して通信作動を行うように構成されている。
【0033】
前記光式通信手段17について説明する。
前記地上側の運転制御手段14、および、走行用インバータ7、スレーブコントローラ10、移載用インバータ11、入出力装置13などの車体制御手段Hには、空間光伝送方式の通信コントローラが装備されている。そして、地上側の運転制御手段14と第一物品搬送車3aとの間で空間光伝送方式にて通信情報を授受する第一光伝送装置19と、地上側の運転制御手段14と第二物品搬送車3bとの間で空間光伝送方式にて通信情報を授受する第二光伝送装置20とが設けられている。
【0034】
そして、第一光伝送装置19は、軌道2の長手方向に沿って通信用光を投受光する一対の光伝送器にて構成され、一対の光伝送器のうち、一方は地上側に設置されかつ他方は物品搬送車3側に設置されている。そして、地上側に設置される光伝送器は、第一光式測距センサ15aに隣接する位置と第三光式測距センサ15cに隣接する位置とに配置されている。
また、第二光伝送装置20も、第一光伝送装置19と同様に、地上側に設置される光伝送器と物品搬送車3側に設置される光伝送器との一対の光伝送器から構成されており、地上側に設置される光伝送器は、第二光式測距センサ15bに隣接する位置と第四光式測距センサ15dに隣接する位置とに配置されている。
【0035】
そして、地上側の運転制御手段14をマスタ、走行用インバータ7、スレーブコントローラ10、移載用インバータ11、入出力装置13などの車体制御手段Hをスレーブとする状態で、地上側の運転制御手段14側に備えられた通信コントローラ、物品搬送車3側に備えられた通信コントローラ、第一光伝送装置19、第二光伝送装置20によって、通信ネットワークが構成されている。
このようにして、第一光伝送装置19および第二光伝送装置20が、地上側の運転制御手段14と物品搬送車3との間での通信を行う光式通信手段17として設けられている。
【0036】
前記第一物品搬送車3aと第二物品搬送車3bとには、隣接する物品搬送車3どうしの間での通信を空間光伝送方式にて行う台車間光伝送装置9が設けられている。そして、この台車間光伝送装置9が、隣接する物品搬送車3どうしの間での通信を行う光式通信手段17として設けられている。
【0037】
前記無線通信手段18について説明する。
地上側には、軌道2の長手方向に沿って軌道2の全長にわたる状態で、アンテナとして使用されるフィーダ線21が設けられ、このフィーダ線21は、地上モデム22に接続されている。前記物品搬送車3には、フィーダ線21に近接対向するようにワイヤレスモデム23が設けられている。ちなみに、フィーダ線21は、軌道2としての設置される走行レールにて支持されている。
そして、地上モデム22には地上側の運転制御手段14が接続されており、地上側の運転制御手段14には、電磁波伝送方式の通信コントローラが装備されている。また、走行用インバータ7、スレーブコントローラ10、移載用インバータ11、入出力装置13などの車体制御手段Hにも、電磁波伝送方式の通信コントローラが装備されている。
このようにして、地上モデム22、フィーダ線21、ワイヤレスモデム23によって、電磁波伝送方式にて地上側の運転制御手段14と車体制御手段Hとの間の通信が行われる。
そして、地上側の運転制御手段14と車体制御手段Hとの間での通信を行う無線通信手段18が、地上モデム22、フィーダ線21、ワイヤレスモデム23にて構成されている。
【0038】
また、隣接する物品搬送車3どうしの間での通信については、地上モデム22、フィーダ線21、ワイヤレスモデム23にて一方の物品搬送車3と地上側の運転制御手段14との間での通信を行い、かつ、地上モデム22、フィーダ線21、ワイヤレスモデム23にて地上側の運転制御手段14と他方の物品搬送車3との間での通信を行うことにより、隣接する物品搬送車3どうしの間での通信を行う。
【0039】
このようにして、運転管理用の通信手段Tとしての光式通信手段17および無線通信手段18によって、地上側の運転制御手段14と車体制御手段Hとの間および隣接する物品搬送車3どうしの間において、各種の情報が並行して通信することができる。
【0040】
前記光式測距センサ15の検出情報は、地上側の運転制御手段14に入力されており、物品搬送車3に装備されたエンコーダ16の検出情報は、無線通信手段18によって、地上側の運転制御手段14に通信されている。
そして、地上側の運転制御手段14は、第一物品搬送車3aおよび第二物品搬送車3bの走行位置を管理しながら、第一物品搬送車3aおよび第二物品搬送車3bの運転を管理するように構成されている。
【0041】
前記地上側の運転制御手段14は、搬送要求情報に基づいて、第一物品搬送車3aと第二物品搬送車3bのうち、搬送処理用の物品搬送車3を選択する選択処理を行い、その選択処理にて選択した搬送処理用の物品搬送車3を移載対象のステーション1に走行させたのち、移載対象のステーション1との間で物品Bの移載を行う搬送処理を行うように構成されている。
そして、地上側の運転制御手段14は、搬送要求情報が発生するたびに、選択処理、搬送処理を順次行うことを繰り返して、二つの物品搬送車3にて複数のステーション1の間で物品Bを搬送するように構成されている。
【0042】
ちなみに、搬送要求情報については、キーボードなどの人為操作式の入力装置や上位コントローラなどにより、地上側の運転制御手段14に対して搬送要求情報を入力可能であり、例えば、物品Bを掬い取るための移載対象のステーション1と物品Bを卸すための移載対象のステーション1を指示する搬送要求情報としている。
【0043】
前記選択処理について説明を加えると、地上側の運転制御手段14は、第一物品搬送車3aおよび第二物品搬送車3bが現在搬送処理中であるか否か、第一物品搬送車3aおよび第二物品搬送車3bの走行位置がどこであるかなどの各種条件に基づいて、第一物品搬送車3aと第二物品搬送車3bのうちから、搬送処理用の物品搬送車3を選択するように構成されている。
【0044】
例えば、地上側の運転制御手段14は、二つの物品搬送車3ともが現在搬送処理中ではない待機中である場合に、第一物品搬送車3aおよび第二物品搬送車3bのうち、移載対象のステーション1に近くに位置する物品搬送車3を搬送処理用の物品搬送車3として選択するように構成されている。
また、地上側の運転制御手段14は、一つの物品搬送車3が現在搬送処理中でありもう一つの物品搬送車3が待機中である場合に、その待機中の物品搬送車3が搬送処理を行っても現在搬送処理中の物品搬送車3と干渉しないときには、その待機中の物品搬送車3を搬送処理用の物品搬送車3として選択するように構成されている。
【0045】
このようにして、地上側の運転制御手段14は、搬送要求情報に基づいて選択する搬送処理用の物品搬送車3を現在搬送処理中である物品搬送車3と干渉しない範囲を走行させることを条件として、搬送処理用の物品搬送車3を選択するように構成されている。
そして、地上側の運転制御手段14は、選択処理において、現在搬送処理中の物品搬送車3と干渉する場合には、搬送処理用の物品搬送車3としての選択を行わず、現在位置に待機させる待機状態とするか、または、現在搬送処理中の物品搬送車3と干渉しない位置に移動させる追い出し作動を実行させるように構成されている。
【0046】
前記地上側の運転制御手段14の動作について説明する。
まず、地上側の運転制御手段14は、選択処理を行うために、および、搬送処理用の物品搬送車3にて搬送処理を行うために、二つの物品搬送車3夫々の軌道2上における走行位置を管理しているので、その点について説明する。
前記地上側の運転制御手段14は、光式測距センサ15の検出情報を優先使用し、かつ、光式測距センサ15の検出情報が得られないときにはエンコーダ16の検出情報を使用して、二つの物品搬送車3夫々の軌道2上における走行位置を管理するように構成されている。
【0047】
図3のフローチャートに基づいて、地上側の運転制御手段14が物品搬送車3の走行位置を管理するときの動作について説明する。
まず、光式測距センサ15およびエンコーダ16を並行して作動させ、地上側の運転制御手段14が、どちらの検出情報を使用しても、物品搬送車3の走行位置を管理できるようにしておく(ステップ1)。
そして、地上側の運転制御手段14は、光式測距センサ15の検出情報が得られると、その光式測距センサ15の検出情報を使用して、物品搬送車3の軌道2上における走行位置を管理する(ステップ2,3)。
また、物品搬送車3が屈曲部分2cに位置するなどにより、地上側の運転制御手段14が、光式測距センサ15の検出情報を得られないときには、無線通信手段18による地上側の運転制御手段14と物品搬送車3との間での通信によってエンコーダ16の検出情報を得て、そのエンコーダ16の検出情報を使用して、物品搬送車3の軌道2上における走行位置を管理する(ステップ2、4)。
【0048】
前記第一物品搬送車3aの走行位置の管理について説明する。
前記第一物品搬送車3aが第一直線部分2aに位置するときには、第一光式測距センサ15aにてその第一物品搬送車3aの走行位置を検出する。そして、地上側の運転制御手段14が、第一光式測距センサ15aの検出情報の入力により、第一光式測距センサ15aの検出情報を使用して、第一物品搬送車3aの走行位置を管理する。
そして、第一物品搬送車3aが第二直線部分2bに位置するときには、第三光式測距センサ15cにてその第一物品搬送車3aの走行位置を検出する。そして、地上側の運転制御手段14が、第三光式測距センサ15cの検出情報の入力により、第三光式測距センサ15cの検出情報を使用して、第一物品搬送車3aの走行位置を管理する。
【0049】
また、第一物品搬送車3aが屈曲部分2cに位置するときには、測距センサ15にて投射する測定用光を物品搬送車3に装備した反射体に向けて投射することができないなどにより、第一光式測距センサ15aおよび第三光式測距センサ15cにてその第一物品搬送車3aの走行位置を検出することができない。
そこで、地上側の運転制御手段14は、エンコーダ16の検出情報を使用して、その第一物品搬送車3aの走行位置を管理する。説明を加えると、無線通信手段18による地上側の運転制御手段14と物品搬送車3との間での通信によって、地上側の運転制御手段14が、エンコーダ16の検出情報を取得する。そして、屈曲部分2cの両端部には地上側に被検知体24が設けられ、物品搬送車3にはその被検知体24を検出する検知センサ25が設けられており、無線通信手段18による地上側の運転制御手段14と物品搬送車3との間での通信によって、地上側の運転制御手段14が、検知センサ25にて被検出体24を検出した時点を検出する。
このようにして、地上側の運転制御手段14は、エンコーダ16の検出情報を取得している状態で、検知センサ25にて被検出体24を検出すると、その時点からの第一物品搬送車3aの走行距離をエンコーダ16の検出情報を使用して求めることにより、第一物品搬送車3aの走行位置を検出して第一物品搬送車3aの走行位置を管理する。
【0050】
前記第二物品搬送車3bの走行位置の管理は、第一物品搬送車3aの走行位置の管理と同様であり、第二物品搬送車3bが第一直線部分2aまたは第二直線部分2bに位置するときに、その第二物品搬送車3bの走行位置を検出する光式測距センサ15が異なるだけであり、詳細な説明は省略する。
すなわち、第二物品搬送車3bが第一直線部分2aに位置するときには、第二光式測距センサ15bにてその第二物品搬送車3bの走行位置を検出し、第二物品搬送車3bが第二直線部分2bに位置するときには、第四光式測距センサ15dにてその第二物品搬送車3bの走行位置を検出する。
【0051】
このようにして、地上側の運転制御手段14は、物品搬送車3の走行位置を管理した状態で、搬送処理用の物品搬送車3を走行させるわけであるが、このとき、物品搬送車3についての走行指令情報を運転管理用の通信手段Tにて通信するように構成されている。そして、車体制御手段Hが、走行指令情報に基づいて走行制御を行うように構成されている。
【0052】
説明を加えると、地上側の運転制御手段14が、まず、搬送処理用の物品搬送車3に対して、走行方向をも指示する走行開始情報を運転管理用の通信手段Tにて走行用インバータ7に送信して、その走行開始情報を受信した走行用インバータ7が、物品搬送車3の走行を開始させるように構成されている。
その後、地上側の運転制御手段14は、設定時間が経過するごとに、走行速度指令情報を運転管理用の通信手段Tにて走行用インバータ7に送信するように構成され、走行用インバータ7は、地上側の運転制御手段14からの走行速度指令情報に基づいて、その走行速度指令情報にて指令された走行速度で物品搬送車3を走行させるべく、走行モータ6に対する電流値を調整するように構成されている。
【0053】
前記走行速度情報について説明を加えると、物品搬送車3が第一直線部分2aおよび第二直線部分2bを走行するときには、走行を開始してからの経過時間または走行距離に応じて予め定められた走行速度カーブに基づいて、走行速度指令情報が指令される。また、物品搬送車3が屈曲部分2cを走行するときには、屈曲部分2cに侵入する手前で減速したのち、第一直線部分2aおよび第二直線部分2bを走行するときよりも低速の屈曲部分用の走行速度にて走行すべく、走行速度指令情報が指令される。
【0054】
そして、地上側の運転制御手段14は、搬送処理用の物品搬送車3の走行位置を管理しながら走行させている状態において、その物品搬送車3の走行位置が移載対象のステーション1に対応する目標走行位置に達すると、運転管理用の通信手段Tにて走行用インバータ7に走行停止指令情報を送信し、その走行停止指令情報を受信した走行用インバータ7が、走行モータ6を作動停止させて、物品搬送車3を目標走行位置に停止させるように構成されている。
【0055】
また、地上側の運転制御手段14は、光式測距センサ15またはエンコーダ16の検出情報に基づいて、物品搬送車3の複数を軌道2上の同じ方向に走行させる場合には、物品搬送車3どうしの車間距離が設定車間距離以上となるように走行指令情報を走行用インバータ7に通信するように構成されている。
【0056】
説明を加えると、例えば、第一物品搬送車3aを走行させる際に、既に第二物品搬送車3bを走行させていると、地上側の運転制御手段14は、第一物品搬送車3aと第二物品搬送車3bとの走行方向が同じであるか否かを判別するように構成されている。
そして、地上側の運転制御手段14は、第一物品搬送車3aと第二物品搬送車3bとの走行方向が同じである場合には、物品搬送車3どうしの車間距離が設定車間距離以上となるように第一物品搬送車3aの走行速度を調整すべく、走行速度指令情報を第一物品搬送車3aの走行用インバータ7に送信するように構成されている。
ちなみに、設定車間距離については、第一物品搬送車3aを通常減速させて停止させる際に必要となる停止距離から第二物品搬送車3aをブレーキをかけて停止させる際に必要となる停止距離を引いた距離と定めている。
【0057】
前記地上側の運転制御手段14は、物品搬送車3を目標停止位置に停止させた状態において、移載指令情報を運転管理用の通信手段Tにて移載用インバータ11に送信するように構成されている。
そして、移載用インバータ11は、地上側の運転制御手段14からの移載指令情報に基づいて、移載装置4を作動させて、移載対象のステーション1に存在する物品Bを掬い取るあるいは移載対象のステーション1に物品Bを卸すように構成されている。
【0058】
このようにして、地上側の運転制御手段14は、各種の情報を運転管理用の通信手段Tにて車体制御手段Hとの間で通信しながら、搬送処理用の物品搬送車3を搬送処理させるように構成されている。
そして、地上側の運転制御手段14は、運転管理用の通信手段Tにて車体制御手段Hとの間で通信を行うに当り、光式通信手段17による通信情報を優先使用し、かつ、光式通信手段17による通信情報が得られないときには無線通信手段18の通信情報を使用するように構成されている。
【0059】
説明を加えると、光式通信手段17および無線通信手段18を並行して作動させ、どちらの通信手段の通信情報を使用しても、地上側の運転制御手段14と車体制御手段Hとの間での通信を行えるようにしておく。
そして、地上側の運転制御手段14は、光式通信手段17による通信が可能であると、無線通信手段18よりも光式通信手段17を優先して使用して、走行指令情報や移載指令情報を光式通信手段17にて車体制御手段Hに通信する。一方、車体制御手段Hは、光式通信手段17による通信が可能であると、無線通信手段18の通信情報よりも光式通信手段17の通信情報を優先して使用して、物品搬送車3を走行させたり、移載装置4を作動させる。
また、地上側の運転制御手段14は、物品搬送車3が屈曲部分2cに位置するなどにより、光式通信手段17による通信が不可能であると、無線通信手段18を使用して、走行指令情報や移載指令情報を光式通信手段17にて車体制御手段Hに通信する。一方、車体制御手段Hは、光式通信手段17による通信が不可能であると、無線通信手段18の通信情報を使用して、物品搬送車3を走行させたり、移載装置4を作動させる。
【0060】
前記地上側の運転制御手段14と第一物品搬送車3aとの間での通信について説明する。
前記第一物品搬送車3aが第一直線部分2aまたは第二直線部分2bに位置するときには、第一光伝送装置19による通信が可能である。そこで、地上側の運転制御手段14が、第一光伝送装置19にて走行指令情報や移載指令情報を車体制御手段Hに通信する。そして、車体制御手段Hは、第一光伝送装置19の通信情報を使用して、物品搬送車3を走行させたり、移載装置4を作動させる。
【0061】
また、第一物品搬送車3aが屈曲部分2cに位置するときには、第一光伝送装置19による通信が不可能である。そこで、地上側の運転制御手段14が、地上モデム22、フィーダ線21、ワイヤレスモデム23からなる無線通信手段18にて走行指令情報や移載指令情報を車体制御手段Hに通信する。そして、車体制御手段Hは、ワイヤレスモデム23の通信情報を使用して、物品搬送車3を走行させたり、移載装置4を作動させる。
【0062】
前記地上側の運転制御手段14と第二物品搬送車3bとの間での通信についても、地上側の運転制御手段14と第一物品搬送車3aとの間での通信と同様であり、第一光伝送装置19に代えて、第二光伝送装置20を使用する点が異なるだけであるので、詳細な説明は省略する。
【0063】
前記第一物品搬送車3aおよび第二物品搬送車3bでは、物品搬送車3どうしの衝突を防止するために、車体制御手段Hとしてのスレーブコントローラ10が、第一物品搬送車3aと第二物品搬送車3bとの相対走行状態を管理するように構成されている。
【0064】
説明すると、地上側の運転制御手段14は、二つの物品搬送車3の走行位置を管理しているのであるが、物品搬送車3の走行位置および隣接する物品搬送車3の走行位置についての走行位置情報を運転管理用の通信手段Tにて通信するように構成されている。
そして、スレーブコントローラ10は、距離検出センサ8の検出情報、または、地上側の運転制御手段14から運転管理用の通信手段Tにて通信されてくる走行位置情報を使用して、第一物品搬送車3aと第二物品搬送車3bとの相対走行状態として、第一物品搬送車3aと第二物品搬送車3bとの相対車間距離を管理する。
すなわち、スレーブコントローラ10は、距離検出センサ8の検出情報を使用する場合には、距離検出センサ8の検出情報に基づいて、第一物品搬送車3aと第二物品搬送車3bとの相対車間距離を求めて管理する。また、スレーブコントローラ10は、地上側の運転制御手段14から運転管理用の通信手段Tにて通信されてくる走行位置情報を使用する場合には、自己の走行位置および相手の物品搬送車3の走行位置を微分することによって、自己の走行速度および相手の物品搬送車3の走行速度を求め、自己の走行位置、相手の物品搬送車3の走行位置、自己の走行速度、相手の物品搬送車3の走行速度から、第一物品搬送車3aと第二物品搬送車3bとの相対車間距離を求めて管理する。
【0065】
そして、スレーブコントローラ10は、第一物品搬送車3aと第二物品搬送車3bとの相対走行状態を管理するに当り、距離検出センサ8の検出情報を優先使用し、かつ、距離検出センサ8の検出情報を得られないときには運転管理用の通信手段Tにて通信されてくる走行位置情報を使用するように構成されている。
【0066】
前記スレーブコントローラ10は、相対車間距離が許容車間距離未満となると、走行モータ6への電力供給を停止する電力停止手段26を作動させて、走行モータ6への電力供給を停止することにより、自己の物品搬送車3を走行停止させるように構成されている。
また、スレーブコントローラ10は、運転管理用の通信手段Tを介して隣接する物品搬送車3に走行停止指令を指令するように構成され、その走行停止指令を受けた隣接する物品搬送車3のスレーブコントローラ10は、電力停止手段26を作動させて、走行モータ6への電力供給を停止することにより、隣接する物品搬送車3を走行停止させるように構成されている。
【0067】
そして、スレーブコントローラ10は、運転管理用の通信手段Tを介して隣接する物品搬送車3に走行停止指令を指令するに当り、台車間光伝送装置9を優先使用し、かつ、台車間光伝送装置9を使用できないときには無線通信手段18を使用して、隣接する物品搬送車3に装備されたスレーブコントローラ10に走行停止指令を指令するように構成されている。
このようにして、第一物品搬送車3aと第二物品搬送車3bとの間での通信については、車体制御手段Hが、光式通信手段17による通信情報を優先使用し、かつ、光式通信手段17による通信情報が得られないときには無線通信手段18の通信情報を使用するように構成されている。
【0068】
説明を加えると、車体制御手段Hは、台車間光伝送装置9にて通信が可能であれば、台車間光伝送装置9の通信情報を使用して、第一物品搬送車3aと第二物品搬送車3bとの間での通信を行う。また、車体制御手段Hは、物品搬送車3が屈曲部分2cに位置するなどにより、台車間光伝送装置9にて通信が不可能であれば、無線通信手段18にて第一物品搬送車3aと地上側の運転制御手段14との間での通信を行いかつ無線通信手段18にて第二物品搬送車3bと地上側の運転制御手段14との間での通信を行うことにより、無線通信手段18の通信情報を使用して、第一物品搬送車3aと第二物品搬送車3bとの間での通信を行う。
【0069】
図4のフローチャートに基づいて、地上側の運転制御手段14と物品搬送車3との間での通信および第一物品搬送車3aと第二物品搬送車3bとの間での通信について説明する。
まず、光式通信手段17と無線通信手段18とを並行して作動させ、どちらの通信手段の通信情報を使用しても、通信を行えるようにしておく(ステップ11)。
そして、光式通信手段17にて通信を行うことが可能であれば、光式通信手段17を使用して通信を行う(ステップ12,13)。
また、光式通信手段17にて通信を行うことが不可能であれば、無線通信手段18を使用して通信を行う(ステップ12、14)。
【0070】
前記第一物品搬送車3aおよび第二物品搬送車3bの走行位置によって、地上側の運転制御手段14と物品搬送車3との間での通信および第一物品搬送車3aと第二物品搬送車3bとの間での通信をどのようにして行うかを図5の表に基づいて説明する。
【0071】
まず、第一物品搬送車3aと第二物品搬送車3bとが第一直線部分2aに位置する場合には、地上側の運転制御手段14と第一物品搬送車3aとの間での通信については、第一光伝送装置19にて行い、地上側の運転制御手段14と第二物品搬送車3bとの間での通信については、第二光伝送装置20にて行い、第一物品搬送車3aと第二物品搬送車3bとの間での通信については、台車間光伝送装置9にて行う。
【0072】
次に、第一物品搬送車3aが第一直線部分2aに位置しかつ第二物品搬送車3bが屈曲部分2cに位置する場合には、地上側の運転制御手段14と第一物品搬送車3aとの間での通信については、第一光伝送装置19にて行い、地上側の運転制御手段14と第二物品搬送車3bとの間での通信については、無線通信手段18にて行い、第一物品搬送車3aと第二物品搬送車3bとの間での通信については、無線通信手段18にて行う。
【0073】
次に、第一物品搬送車3aが第一直線部分2aに位置しかつ第二物品搬送車3bが第二直線部分2bに位置する場合には、地上側の運転制御手段14と第一物品搬送車3aとの間での通信については、第一光伝送装置19にて行い、地上側の運転制御手段14と第二物品搬送車3bとの間での通信については、第二光伝送装置20にて行い、第一物品搬送車3aと第二物品搬送車3bとの間での通信については、無線通信手段18にて行う。
【0074】
次に、第一物品搬送車3aが屈曲部分2cに位置しかつ第二物品搬送車3bが第二直線部分2bに位置する場合には、地上側の運転制御手段14と第一物品搬送車3aとの間での通信については、無線通信手段18にて行い、地上側の運転制御手段14と第二物品搬送車3bとの間での通信については、第二光伝送装置20にて行い、第一物品搬送車3aと第二物品搬送車3bとの間での通信については、無線通信手段18にて行う。
【0075】
次に、第一物品搬送車3aと第二物品搬送車3bとが第二直線部分2bに位置する場合には、地上側の運転制御手段14と第一物品搬送車3aとの間での通信については、第一光伝送装置19にて行い、地上側の運転制御手段14と第二物品搬送車3bとの間での通信については、第二光伝送装置20にて行い、第一物品搬送車3aと第二物品搬送車3bとの間での通信については、台車間光伝送装置9にて行う。
【0076】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、物品搬送車3が屈曲部分2cの走行中にも、地上側の運転制御手段14が、走行指令情報を運転管理用の通信手段Tにて車体制御手段Hに通信するようにしているが、例えば、通信物品搬送車3が屈曲部分2cに侵入する手前において、地上側の運転制御手段14が、屈曲部分用の走行速度にて走行すべく、走行指令情報を運転管理用の通信手段Tにて車体制御手段Hに通信しておき、物品搬送車3が屈曲部分2cの走行中には、地上側の運転制御手段14が、走行指令情報を運転管理用の通信手段Tにて車体制御手段Hに通信しないように構成して実施することもできる。
前記屈曲部分2cには、二つの物品搬送車3を位置させることを許容しておらず、スレーブコントローラ10が、相対走行状態を管理して、自己の走行停止、および、運転管理用の通信手段Tを介して隣接する物品搬送車3に走行停止指令を指令することにより、物品搬送車3どうしの衝突を防止できる。そして、屈曲部分2cでは、物品搬送車3が低速の屈曲部分用の走行速度にて走行するので、隣接する物品搬送車3に走行停止指令を指令するに当り、光式通信手段17よりも通信に時間のかかる無線通信手段18を使用しても、物品搬送車3どうしの衝突を的確に防止できる。
【0077】
(2)上記実施形態では、地上側の運転制御手段14が、物品搬送車3の複数を軌道2上の同じ方向に走行させる場合に、物品搬送車3どうしの車間距離が設定車間距離以上となるように、走行指令情報を走行用インバータ7に送信するようにしているが、地上側の運転制御手段14が、物品搬送車3の複数を軌道2上の同じ方向に走行される場合に、どのような走行指令情報を走行用インバータ7に送信するかは適宜変更が可能である。
例えば、地上側の運転制御手段14が、物品搬送車3の複数を軌道2上の同じ方向に走行させる場合に、物品搬送車3の走行速度が同じになるように、速度指令情報を走行用インバータ7に送信することができる。
【0078】
(3)上記実施形態では、走行モータ6、移載装置4などの各種機器の作動を制御する車体コントローラを物品搬送車3に装備しておらず、車体制御手段Hとしての走行用インバータ7が、地上側の運転制御手段14から運転管理用の通信手段Tにて通信されてくる走行指令情報に基づいて、走行モータ6を作動させるようにしているが、走行モータ6、移載装置4などの各種機器の作動を制御する車体コントローラを車体制御手段Hとして物品搬送車3に装備し、その車体コントローラが、地上側の運転制御手段14から運転管理用の通信手段Tにて通信されてくる走行開始指令によって、走行速度を管理した状態で物品搬送車3を走行させるべく、走行モータ6の作動を制御するようにして実施することもできる。
すなわち、物品搬送車3の走行制御や移載装置4の作動を制御する車体コントローラを、車体制御手段Hとして、物品搬送車3に装備し、地上側の運転制御手段14と車体コントローラとが、運転管理用の通信手段にて各種情報を通信するように構成して実施することもできる。
【0079】
(4)上記実施形態では、地上側の運転制御手段14が、選択処理において、各種条件に基づいて、第一物品搬送車3aと第二物品搬送車3bのうちから、搬送処理用の物品搬送車3を選択するようにしているが、どのような条件によって、搬送処理用の物品搬送車3を選択するかは適宜変更が可能である。
【0080】
(5)上記実施形態では、複数のステーション1を軌道2の左右に配置した例を示しているが、ステーション1の数やどの位置にステーション1を配置するかについては適宜変更可能である。
【0081】
(6)上記実施形態では、二つの物品搬送車3の夫々に、距離検出センサ8を設けた例を示したが、二つの物品搬送車3の一方のみに、距離検出センサ8およびスレーブコントローラ10を設けて実施することも可能である。
この場合には、スレーブコントローラ10が、相対車間距離が許容車間距離未満となると、走行停止指令を運転管理用の通信手段Tにて隣接する物品搬送車3に通信することにより、隣接する物品搬送車3を走行停止させることができる。
【0082】
(7)上記実施形態では、光式通信手段17として、第一光伝送装置19、第二光伝送装置20、台車間光伝送装置9を設けた例を示したが、光式通信手段17は、空間光伝送方式にて通信するものであればよく、各種の空間光伝送式の通信装置を適応することができる。
また、無線通信手段18として、地上モデム22、フィーダ線21、ワイヤレスモデム23を設けた例を示したが、無線通信手段18は、電磁波伝送方式にて通信するものであればよく、各種の電磁波伝送式の通信装置を適応することができる。
【0083】
(8)上記実施形態では、物品搬送車3を二つ設けた例を示したが、物品搬送車3を三つ以上設けてもよく、物品搬送車3の数については適宜変更可能である。
【0084】
(9)上記実施形態では、軌道2が直線部分2a,2bと屈曲部分2cとを組み合わせたL字状に形成されているが、軌道2をどのような形状にするかは適宜変更が可能である。
【0085】
(10)上記実施形態では、本発明にかかる物品搬送設備を、軌道2が直線部分2a,2bと屈曲部分2cとを組み合わせた屈曲状に形成された物品搬送設備に適応した例を示したが、例えば、軌道の途中に開閉式のドアが設けられている物品搬送設備に適応することも可能である。
【0086】
(11)上記実施形態では、物品搬送車として、複数のステーション1の間での物品搬送を行う物品搬送車を例示したが、例えば、物品収納棚の複数の収納部の間で物品搬送を行うスタッカークレーンなど、各種の物品搬送車を適応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】物品搬送設備の平面図
【図2】物品搬送設備の制御ブロック図
【図3】地上側の運転制御手段が走行位置を管理するときのフローチャート
【図4】運転管理用の通信手段にて通信するときのフローチャート
【図5】物品搬送車の走行位置によって行う通信方式を示す表
【符号の説明】
【0088】
1 物品移載箇所
2 軌道
2a,2b 直線部分
2c 屈曲部分
3 物品搬送車
8 距離検出センサ
14 地上側の運転制御手段
15 走行位置検出手段としての光式測距センサ
16 走行位置検出手段としてのエンコーダ
17 光式通信手段
18 無線通信手段
H 車体制御手段
T 運転管理用の通信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品移載箇所にわたる軌道上を走行する複数の物品搬送車の運転を管理する地上側の運転制御手段と、前記複数の物品搬送車の夫々に装備されて前記物品搬送車の運転を制御する車体制御手段と、前記複数の物品搬送車夫々の前記軌道上における走行位置を検出する走行位置検出手段と、前記走行位置検出手段の検出情報に基づいて前記物品搬送車を目標走行位置に走行させるために、前記物品搬送車に装備した前記車体制御手段と前記地上側の運転制御手段との間での通信および複数の物品搬送車の隣接するものどうしの間での通信を行う運転管理用の通信手段とが設けられた物品搬送設備であって、
前記運転管理用の通信手段として、前記運転制御手段と前記物品搬送車との間での通信および前記複数の物品搬送車の隣接するものどうしの間での通信を空間光伝送方式により行う光式通信手段、および、前記運転制御手段と前記物品搬送車との間での通信および前記複数の物品搬送車の隣接するものどうしの間での通信を電磁波伝送方式により行う無線通信手段が、並行して通信作動を行うように設けられ、
前記運転制御手段および前記車体制御手段が、前記光式通信手段による通信情報を優先使用し、かつ、前記光式通信手段による通信情報が得られないときには前記無線通信手段の通信情報を使用するように構成されている物品搬送設備。
【請求項2】
前記走行位置検出手段として、前記軌道の長手方向に沿って計測用光を投射する光式測距センサおよび前記物品搬送車に装備されたエンコーダが設けられ、
前記運転制御手段および前記車体制御手段が、前記光式測距センサの検出情報を優先使用し、かつ、前記光式測距センサの検出情報が得られないときには前記エンコーダの検出情報を使用するように構成されている請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記軌道が、直線部分と屈曲部分とを組み合わせた屈曲状に形成されている請求項1または2に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記運転制御手段が、前記物品搬送車についての走行指令情報を前記運転管理用の通信手段にて通信するように構成され、
前記車体制御手段が、前記走行指令情報に基づいて走行制御を行うように構成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記運転制御手段が、前記走行位置検出手段の検出情報に基づいて、前記物品搬送車の複数を前記軌道上の同じ方向に走行させる場合には、前記物品搬送車どうしの車間距離が設定車間距離以上となるように前記走行指令情報を前記車体制御手段に通信するように構成されている請求項4に記載の物品搬送設備。
【請求項6】
前記物品搬送車に、隣接する物品搬送車との間の距離を検出する距離検出センサが設けられ、
前記運転制御手段が、前記物品搬送車の走行位置および隣接する物品搬送車の走行位置についての走行位置情報を前記運転管理用の通信手段にて通信するように構成され、
前記車体制御手段が、前記距離検出センサの検出情報を優先使用し、かつ、前記距離検出センサの検出情報を得られないときには前記運転管理用の通信手段にて通信されてくる走行位置情報を使用して、隣接する物品搬送車との相対走行状態を管理して、自己の走行停止、および、前記運転管理用の通信手段を介して隣接する物品搬送車に走行停止指令を指令するように構成されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の物品搬送設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−58422(P2007−58422A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−241231(P2005−241231)
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】