物品搬送設備
【課題】 走行経路内に立ち入った作業者の安全を確保しながら、物品搬送を継続し得る物品搬送設備を提供すること。
【解決手段】 走行経路内に位置する作業者についての走行経路上における存在位置を示す存在位置情報を入力する存在位置入力手段が設けられ、運転制御手段が、存在位置入力手段からの存在位置情報に基づいて、存在位置を外れた範囲において走行させるように物品搬送車の運転を制御するように構成されている物品搬送設備を構成した。
【解決手段】 走行経路内に位置する作業者についての走行経路上における存在位置を示す存在位置情報を入力する存在位置入力手段が設けられ、運転制御手段が、存在位置入力手段からの存在位置情報に基づいて、存在位置を外れた範囲において走行させるように物品搬送車の運転を制御するように構成されている物品搬送設備を構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の物品移載箇所に亘る走行経路に沿って走行する物品搬送車の運転を管理する運転制御手段と、前記物品搬送車の前記走行経路上における走行位置を検出する走行位置検出手段とが設けられ、前記運転制御手段が、前記走行位置検出手段の検出情報に基づいて、目標走行位置に走行させるべく前記物品搬送車の運転を制御するように構成された物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる物品搬送設備は、自動倉庫等にて用いられるものであり、複数の物品移載箇所に亘る走行経路に沿って走行する物品搬送車の運転を管理する運転制御手段と、物品搬送車の走行経路上における走行位置を検出する走行位置検出手段とを設けて、運転制御手段により、走行位置検出手段の検出情報に基づいて、物品搬送車を目標走行位置に走行させるようにして、前記複数の物品移載箇所に対する物品の搬送を行うようにしてある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ところで、このような物品搬送設備では、例えば、点検や修理等のメンテナンスのために、作業者が走行経路内に立ち入る場合がある。
【0004】
このような物品搬送設備において、従来は、物品搬送車を駆動するための電力の供給を遮断する駆動電力遮断手段を設けて、作業者が走行経路内に立ち入るときには、駆動電力遮断手段にて物品搬送車への電力供給を遮断することにより、物品搬送車を停止させるようにしていた(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開2001−216023号公報
【特許文献2】特開2005−022854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来では、作業者が走行経路内に立ち入るときには、物品搬送車を停止させることから、作業者の安全は確保できるものの、物品搬送車を停止させるので、物品の搬送ができないという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、走行経路内に立ち入った作業者の安全を確保しながら、物品搬送を継続し得る物品搬送設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の物品搬送設備は、複数の物品移載箇所に亘る走行経路に沿って走行する物品搬送車の運転を管理する運転制御手段と、
前記物品搬送車の前記走行経路上における走行位置を検出する走行位置検出手段とが設けられ、
前記運転制御手段が、前記走行位置検出手段の検出情報に基づいて、目標走行位置に走行させるべく前記物品搬送車の運転を制御するように構成されたものであって、
第1特徴構成は、前記走行経路内に位置する作業者についての前記走行経路上における存在位置を示す存在位置情報を入力する存在位置入力手段が設けられ、
前記運転制御手段が、前記存在位置入力手段からの前記存在位置情報に基づいて、前記存在位置を外れた範囲において走行させるように前記物品搬送車の運転を制御するように構成されている点にある。
【0009】
即ち、作業者が走行経路内に立ち入ると、存在位置入力手段により、走行経路内に位置する作業者についての走行経路上における存在位置を示す存在位置情報が入力されることになり、その存在位置入力手段から入力される存在位置情報に基づいて、運転制御手段により、走行経路上における作業者の存在位置を外れた範囲において走行させるように物品搬送車の運転が制御される。
【0010】
つまり、作業者が走行経路内に立ち入ると、物品搬送車を走行経路上における作業者の存在位置を外れた範囲において走行させて、物品を搬送させることができるので、作業者の安全を確保しながら、物品搬送を継続することができる。
従って、走行経路内に立ち入った作業者の安全を確保しながら、物品搬送を継続し得る物品搬送設備を提供することができるようになった。
【0011】
第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記存在位置入力手段が、前記走行経路長手方向に沿って並設された作業者存否検出用のセンサと、それら作業者存否検出用のセンサの検出情報に基づいて前記存在位置を判定して、前記存在位置情報を前記運転制御手段に出力する存在位置判定手段とから構成されている点にある。
【0012】
即ち、作業者が走行経路内に立ち入ると、走行経路長手方向に沿って並設された作業者存否検出用のセンサのうち、走行経路内における作業者が位置する箇所を検出範囲内に含むセンサが検出作動し、存在位置判定手段により、走行経路長手方向に沿って並設された作業者存否検出用のセンサの情報に基づいて、走行経路上における作業者の存在位置が判定されて、その存在位置を示す存在位置情報が運転制御手段に出力される。
【0013】
つまり、例えば、走行経路をその走行経路長手方向に沿って複数のブロックに区分し、複数の作業者存否検出用のセンサを、夫々の検出範囲を前記複数のブロックに対応付けた状態で、走行経路長手方向に沿って並設する。
すると、作業者が走行経路内に立ち入ると、走行経路長手方向に沿って並設された作業者存否検出用のセンサのうち、走行経路内における作業者が位置する箇所を検出範囲内に含むセンサが検出作動することになり、その検出作動したセンサに対応するブロックが走行経路上における作業者の存在位置となり、走行経路長手方向に沿って並設された作業者存否検出用のセンサの情報に基づいて、走行経路上における作業者の存在位置を判定させることができるのである。
尚、作業者存否検出用のセンサとしては、例えば光センサというコストパフォーマンスの比較的良いもので構成することができる。
【0014】
そして、存在位置判定手段により、走行経路上における作業者の存在位置を判定させて、存在位置情報を運転制御手段に出力させるに当たっては、作業者に何ら作業をさせる必要がないので、物品搬送車は、作業者が走行経路内に立ち入ると自動的に、作業者の存在位置を外れた範囲において走行することになる。
このように、作業者が特別な作業を行うことなく、走行経路内に立ち入った作業者の安全を確保しながら、物品搬送を継続し得る物品搬送設備を得ることができる。
【0015】
第3特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記存在位置入力手段が、前記存在位置情報を入力自在で、且つ、入力された前記存在位置情報を前記運転制御手段に通信自在な作業者携帯用の通信端末である点にある。
【0016】
即ち、作業者が走行通路に立ち入る場合には、作業者自らが作業者携帯用の通信端末により、自己の存在位置情報を入力して、運転制御手段に自己の存在位置情報を送信することができるので、作業者の存在位置を自動的に検出するための手段である光センサ等を設けて地上側コントローラに接続する必要がないので、物品搬送設備を、光センサやその接続配線等の構成が不要な簡素なものとすることができる。
このように、第3特徴構成によると、コスト面で有利な形態で、走行経路内に立ち入った作業者の安全を確保しながら、物品搬送を継続し得る物品搬送設備を得ることができる。
【0017】
第4特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記存在位置入力手段が、作業者存在位置を判定するための判定用情報を設定通信範囲内に通信する作業者携帯用通信装置、前記走行経路長手方向に沿って並設されて前記作業者携帯用通信装置からの判定用情報を受信する地上側通信装置、及び、その地上側通信装置の受信状況に基づいて前記存在位置を判定して、前記存在位置情報を前記運転制御手段に出力する存在位置判定手段とから構成されている点にある。
【0018】
即ち、作業者が走行経路内に立ち入ると、走行経路長手方向に沿って並設された地上側通信装置のうち、作業者携帯用通信装置が判定用情報を通信する設定通信範囲内に位置するものが、前記作業者携帯用通信装置からの判定用情報を受信する。そして、存在位置判別手段が、地上側通信装置の受信状況に基づいて、作業者の走行経路上における存在位置を判定して、その存在位置情報を前記運転制御手段に出力する。これにより、運転制御手段に作業者の存在を認識させることができ、前記運転制御手段はその存在位置情報に基づいて、作業者の走行経路上における存在位置を外れた範囲において前記物品搬送車を走行させることができる。
【0019】
このように、作業者携帯用通信装置の設定通信範囲内に地上側受信装置が位置していれば、運転制御手段は、作業者の存在を認識することができるので、複数の地上側受信装置を設置するにあったっては、設定通信範囲の大きさに応じた適切な間隔を隔てて走行経路長手方向に沿って並設すればよく、光センサなどの光学式の検出手段を多数並設して走行経路上の作業者の存在を運転制御手段に認識させるように構成する場合に比べて、設置製作面にて有利な形態で、走行経路内に立ち入った作業者の安全を確保しながら、物品搬送を継続し得る物品搬送設備を得ることができる。
【0020】
第5特徴構成は、上記第4特徴構成に加えて、前記作業者携帯用通信装置が、作業者の足首相当箇所又は作業者が履く靴に装着されるように構成され、前記地上側通信装置が、床面又はその近くに設置されている点にある。
【0021】
即ち、足首相当箇所や作業者が履く靴の床面からの高さは、作業者の体格による変化が少ないため、このような箇所に、作業者携帯用通信装置を装着することにより、作業者携帯用通信装置が判定用情報を通信する設定通信範囲の床面からの高さ方向の範囲が安定したものとなる。そして、地上側受信装置が、床面又はその近くに設置されているので、地上側受信装置が床面からの高さ方向において作業者携帯用通信装置の設定通信範囲から外れた高さ位置に位置するおそれはほとんどない。従って、作業者携帯用通信装置の平面視での通信範囲に位置する地上側受信装置は、作業者携帯用通信装置が通信する判定用情報を確実に受信することができるようになり、物品搬送設備の信頼性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
〔第1実施形態〕
本発明にかかる物品搬送設備の第1実施形態について、図面に基づいて説明する。
この物品搬送設備は、物品収納棚を設けた自動倉庫などに適応され、図1に示すように、物品移載箇所としてのステーション1の複数にわたる軌道2上を走行する物品搬送台車としての荷捌き台車3を複数台設け、それら複数台の荷捌き台車3が、軌道2上を往復走行して、複数のステーション1の間で物品Bを搬送するように構成されている。
【0023】
前記軌道2は、両端部が定められた有端式の直線状に構成され、この軌道2の左右両側に軌道2の長手方向に間隔を隔てて複数のステーション1が配設されている。
そして、複数のステーション1としては、物品収納棚から出庫する物品を搬送する出庫コンベヤを設けた出庫用のステーション1、物品収納棚へ入庫する物品を搬送する入庫コンベヤを設けた入庫用のステーション1、外部から搬入する物品を搬送する搬入コンベヤを設けた搬入用のステーション1、及び、外部へ搬出する物品を搬送する搬出コンベヤを設けた搬出用のステーション1などを組み合わせて構成されている。
【0024】
前記荷捌き台車3は、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bの二台設けられており、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bの夫々には、自己とステーション1との間で物品Bを移載するローラコンベヤなどの電動式の移載装置4、軌道2に沿って配設された走行レールを走行する複数の走行車輪5などが設けられている。
前記走行車輪5は、インバータ式の走行モータ6にて回転駆動する駆動用の走行車輪5と、従動回転自在な従動用の走行車輪5とから構成されている。
【0025】
また、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bの夫々には、図2に示すように、走行モータ6を作動させて荷捌き台車3を走行駆動させる走行駆動手段としての走行用インバータ7、相手の荷捌き台車3との車間距離を検出する車間距離センサ8、相手の荷捌き台車3との間で情報を通信するための台車間光伝送装置9、車間距離センサ8や光伝送装置9などの作動を制御するスレーブコントローラ10、移載装置4を作動させる移載用インバータ11、移載装置4における物品Bの状態などを検出するセンサ類12、そのセンサ類12の検出情報を出力するための入出力装置13などが設けられている。
【0026】
そして、床面などの地上側には、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bの運転を管理する地上側コントローラ14が一つ設けられ、その地上側コントローラ14が、第1荷捌き台車3a及び第2荷捌き台車3bにおける走行用インバータ7や移載用インバータ11などの作動を制御するように構成されている。
【0027】
また、軌道2の両端部の夫々には、その端部から荷捌き台車3までの距離を検出することにより、軌道2上における荷捌き台車3の位置を検出する位置検出手段としての位置検出センサ15が設けられている。
【0028】
また、軌道2の幅方向の中間位置には、地上側通信装置としてのICタグリーダ20が軌道2の長手方向に沿って等間隔に並設されており、各ICタグリーダ20は、通信ネットワークを介して地上側コントローラ14と通信可能に接続され、地上側コントローラ14により格別に管理されている。
【0029】
これらのICタグリーダ20は、軌道2の周辺においてメンテナンス作業を行う作業者が履く靴22に装着される作業者携帯用通信装置としてのICタグ21が送信する判定用情報としての電波を受信することにより、ICタグ21の存在を検出するものである。軌道2に設置されるICタグリーダ20の個数は、通信設定範囲を決定するICタグ21の送信出力及び軌道2の長さによって異なるが、本実施形態においては、通信設定範囲が半径約50[cm]の球体空間となる送信出力のICタグ21を使用し、長さが約25[m]に亘る軌道2には長手方向にICタグリーダ20を50個設置している。従って、各ICタグリーダ20は軌道2の長手方向に沿って約50[cm]毎に設置されている。
【0030】
図3に示すように、軌道2内に設置される各ICタグリーダ20の地上高は、軌道2上を走行する荷捌き台車3の最低地上高よりも低い高さで構成されているため、荷捌き台車3は、各ICタグリーダ20に接触することなく走行移動することができるようになっている。
【0031】
また、図4に示すように、ICタグリーダ20は床面に設置されているので、軌道2周辺においてメンテナンス作業等を行う作業者が履く靴22に装着されるICタグ21に高さ方向において作業者の体格によらず接近した位置となる。したがって、作業者の位置が異なっても、あるICタグリーダ20からみたICタグ21の高さは略一定しており、ICタグリーダ20とICタグ21との距離は、作業者とICタグリーダ20との平面視における距離に略一致することになる。また、ICタグリーダ20とICタグ21は、高さ方向において互いに接近した位置関係になっているので、ICタグリーダ20は、ICタグ21が送信する電波を受信しやすい設置状態となっている。これらのことから、地上側コントローラ14は、後述する存在位置判定処理S1において、作業者の存在位置を精度良くまた安定して判定することができる
【0032】
地上側に設けられた地上側コントローラ14、荷捌き台車3側に設けられた走行用インバータ7、スレーブコントローラ10、移載用インバータ11、入出力装置13の夫々には、図示はしないが、通信コントローラが備えられており、地上側コントローラ14と第1荷捌き台車3aとの間で情報の授受を行うための第1光伝送装置16と、地上側コントローラ14と第2荷捌き台車3bとの間で情報の授受を行うための第2光伝送装置17とが設けられている。
【0033】
そして、地上側コントローラ14側に備えられた通信コントローラ、荷捌き台車3側に備えられた通信コントローラ、第1光伝送装置16、第2光伝送装置17により、通信ネットワークいわゆるデバイスネットが構成されており、地上側コントローラ14がマスタに構成され、走行用インバータ7、スレーブコントローラ10、移載用インバータ11、入出力装置13がスレーブに構成されている。
【0034】
また、軌道2の両端部に配設された位置検出センサ15の検出情報は、地上側コントローラ14に入力されるように構成されており、地上側コントローラ14は、位置検出センサ15の検出情報に基づいて、軌道2上における第1荷捌き台車3a及び第2荷捌き台車3bの位置を管理するように構成されている。なお、荷捌き台車3の位置は、軌道2の図1における左側端部を原点位置P0とし、同図右側方向を正の値として設定される座標系の位置座標として管理されている。
【0035】
また、軌道2内に並設された各ICタグリーダ20の検出情報は、地上側コントローラ14に入力されるように構成されており、詳しくは後述するが、地上側コントローラ14は、何れのICタグリーダ20がICタグ21の電波を受信しているかというICタグリーダ20の受信状況に関する情報と、予め記憶手段に設定された軌道2の長手方向における各ICタグリーダ20の位置情報とに基づいて作業者の存在位置を判定することができるようになっている。
【0036】
このようにして、地上側コントローラ14は、複数のステーション1に亘る軌道2に沿って走行する荷捌き台車3の運転を管理するように構成されている。そして、位置検出センサ15が荷捌き台車3の軌道2上における走行位置を検出し、地上側コントローラ14が、位置検出センサ15の検出情報に基づいて、目標走行位置としての移載対象のステーション1に対応する位置Pgに走行させるべく荷捌き台車3の運転を制御するように構成されている。
【0037】
さらに、地上側コントローラ14が、ICタグリーダ20の受信状況に基づいて軌道2に存在する作業者の存在位置としての作業者存在範囲Zmを判定する存在位置判定処理S1を実行して、その処理の出力として得られる存在位置情報としての下端位置Pm1及び上端位置Pm2の値に基づいて、前記作業者存在範囲Zmを外れた範囲において走行させるように前記荷捌き台車3の運転を制御するように構成されている。つまり、存在位置判定処理S1は、存在位置判定手段として機能しており、作業者携帯用通信装置としてのICタグ21、地上側通信装置としてのICタグリーダ20、及び、地上側コントローラ14が実行する存在位置判定手段としての存在位置判定処理S1により、本発明の存在位置入力手段が構成されている。
【0038】
前記二台の荷捌き台車3の運転について説明を加えると、地上側コントローラ14は、搬送要求情報があると、搬送要求情報に基づいて、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bのうち、当該搬送要求に係る搬送作業を担当する荷捌き台車3を選択する。そして、上記引当処理にて引き当てられた荷捌き台車3を移載対象のステーション1に走行させて移載対象のステーション1との間で物品Bの移載を行うように構成されている。
【0039】
そして、地上側コントローラ14は、搬送要求情報毎に、掬い用引当処理S2又は卸し用引当処理S3、搬送処理S4を順次実行することを繰り返して、二台の荷捌き台車3にて複数のステーション1の間で物品Bを搬送するように構成されている。
【0040】
説明を加えると、地上側コントローラ14は、まず、掬い用の搬送要求が発生すると、その搬送要求情報に基づいて、掬い用引当処理S2、搬送処理S4を行うことにより、選択した搬送処理用の荷捌き台車3を移載対象のステーション1に走行させて物品Bを掬い取り、その後、卸し用の搬送要求が発生すると、その搬送要求情報に基づいて、卸し用引当処理S3、搬送処理S4を行うことにより、選択した搬送処理用の荷捌き台車3を移載対象のステーション1に走行させて物品Bを卸すように構成されている。
【0041】
ちなみに、搬送要求情報については、キーボードなどの人為操作式の入力装置や上位コンピュータなどにより、地上側コントローラ14に対して搬送要求情報を入力可能であり、例えば、物品Bを掬い取るための移載対象のステーション1と物品Bを卸すための移載対象のステーション1とを指示している情報としており、掬い用の搬送要求情報と卸し用の搬送要求情報とに大別される。
【0042】
以下に、地上側コントローラ14による荷捌き台車3の運転制御について図5〜図11に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、図5〜図11に示すフローチャートは、地上側コントローラ14が備えるマイクロコンピュータにより実行されるプログラムの内容を示しているが、説明の便宜上、地上側コントローラ14が各処理を実行するものとして説明する。
【0043】
地上側コントローラ14は、図6のフローチャートに示す一連の処理を、所定の動作周期(例えば、1[ms]とする。)毎に繰り返し実行する。なお、一連の処理が完了した後には次の一連の処理を開始するまでに余裕時間(アイドルタイム)が設けられており、次の一連の処理を開始するまで待機状態となる。そして、前記所定の動作周期が到来して、次の一連の処理を開始する時期になると、当該一連の処理で参照される外部からの情報(例えば、位置検出センサ15の検出情報等)が取り込まれるとともに、直前の一連の処理を実行した結果得られた情報(例えば、走行用インバータ7に対する制御指令等)が外部に出力される。
【0044】
図6のフローチャートに示す一連の処理が実行されている最中や、次の一連の処理の開始時期を待機している最中(アイドルタイム期間)のいずれにおいても、地上側コントローラ14に対して搬送要求情報の入力があると、地上側コントローラ14は搬送要求の発生を認識して図5のフローチャートに示す割込み処理S5を実行する。この割込み処理S5では、当該搬送要求情報についての各種データ(掬い用の搬送処理であるか卸し用の搬送処理であるか、移載対象のステーション1はどのステーションであるか等。)を地上側コントローラ14に内蔵された記憶手段へ搬送要求が発生した順にスタックされる。
【0045】
図6の荷捌き台車運転制御について説明する。ステップ#1において、地上側コントローラ14は、ICタグリーダ20の受信状況に基づいて、作業者の最頻度位置Pmを求め、作業者存在範囲Zmを算出して出力する存在位置判定処理S1を実行する。ステップ#2において、記憶手段にスタックされている搬送要求情報の有無をチェックし、搬送要求情報がスタックされていれば、この搬送要求情報についての搬送要求に対しては未だ搬送を担当する荷捌き台車3が引き当てられていないので、当該搬送要求の種類(掬い用搬送要求又は卸し用搬送要求の種別)に応じた引当処理S2又はS3を実行する。(ステップ#3及びステップ#4、又は、ステップ#3及びステップ#5)そして、ステップ#6において、引き当て済みの荷捌き台車3の運転を制御する搬送処理S4を実行する。
【0046】
存在位置判定処理S1について図7に示すフローチャートに基づいて説明する。
ステップ#1において、軌道2に沿って並設された50個のICタグリーダ20の受信状態をチェックする。説明を加えると、地上側コントローラ14が、特定のICタグリーダ20に宛てた受信状態情報要求信号を送信すると。受信状態情報要求信号を受信したICタグリーダ20は、ICタグ21の電波を受信している受信状態であるかどうかを示す受信状態情報を地上側コントローラ14に対して返信する。このようにして、地上側コントローラ14は、特定のICタグリーダ20についての受信状態情報を取得することができる。ステップ#1では、各ICタグリーダ20への受信状態情報要求信号の送信及び受信状態要求情報の受信を繰り返すことにより、すべてのICタグリーダ20についての受信状態情報を取得する。
【0047】
ステップ#2において、ステップ#1で取得した各ICタグリーダ20の受信状態情報に基づいて、各ICタグリーダ20の一定期間における受信状態を表わす受信スコアSC1〜SC50の積算処理を行う。説明を加えると、各ICタグリーダ20の受信状態情報に受信状態であることが示されていれば、該当するICタグリーダ20についての受信スコアSCに「1」を加算する。受信状態であることが示されていなければ、該当するICタグリーダ20についての受信スコアSCに「0」を加算する。2以上のICタグリーダ20が受信状態となっている場合は、該当する全てのICタグリーダ20についての対応する受信スコアSCに「1」が加算されることになる。
【0048】
ステップ#3及びステップ#4により、積算回数カウンタT1の値に基づき、設定処理回数Tcだけ受信スコアSCの積算処理が繰り返され、設定処理回数Tcに一回の頻度で積算された受信スコアSCに基づいて作業者存在範囲Zmが設定される。
【0049】
説明を加えると、作業者存在位置を判別するのに適切な時間間隔(例えば、1[s]間とする。)に相当する設定処理回数Tc(図6の荷捌き台車運転制御の処理周期が1[ms]なので、1000回となる。)だけ存在位置判定処理S1が繰り返し実行されるまで各受信スコアSCが積算され続け、設定処理回数Tcの処理が実行されると、つまり、設定処理回数Tc(1000回)目の存在位置判定処理S1では、ステップ#5〜ステップ#11が実行され、所定期間(1秒)に積算された各受信スコアSC1〜SC50に基づいて作業者存在範囲Zmが更新設定される。
【0050】
ステップ#5〜ステップ#11の処理のうち、ステップ#5及びステップ#11の処理は、作業者存在範囲Zmの次の更新設定処理に備えてカウンタT1及び受信スコアSC1〜SC50をリセットする処理であるので、作業者存在範囲Zmの更新設定は、実質的にはステップ#6〜ステップ#10の処理で行われる。
【0051】
ステップ#6で受信スコアSC1〜SC50の最大値を示す最大受信スコアSCmaxを取得し、ステップ#7で最大受信スコアSCmaxを示すICタグリーダ20の設置位置を、最頻度位置Pmに設定する。説明を加えると、地上側コントローラ14は、最大受信スコアSCmaxを示すICタグリーダ20の設定位置情報を、記憶手段に予め記憶された設定位置情報テーブルを参照し、当該ICタグリーダ20の識別番号等の固有情報に基づいて取得する。設定位置情報テーブルに記憶されている各ICタグリーダ20の設定位置情報は、荷捌き台車3の走行位置と共通の座標系により設定された位置情報であり、軌道2の端部に設定された原点位置P0を基準にした座標系における位置座標の値である。
【0052】
ステップ#8及びステップ#9において、最頻度位置Pmの値に基づいて、作業者存在範囲Zmが算出される。説明を加えると、地上側コントローラ14は、最頻度位置Pmの値に、範囲設定用の固定値Pc(>0)を減算(ステップ#8)及び加算(ステップ#9)して、作業者存在範囲Zmの下端位置Pm1(ステップ#8)及び上端位置Pm2(ステップ#9)を算出する。したがって、上端位置Pm2の値が下端位置Pm1の値より大きい値となり、最頻度位置Pmを中心に、原点位置P0側に固定値Pcだけ離れた位置に下端位置Pm1が、原点位置P0と反対側に固定値Pcだけ離れた位置に上端位置Pm2が位置する(図12参照)。
【0053】
固定値Pcは、作業者がある特定の箇所でメンテナンス作業を行う場合に想定される軌道2の長手方向における移動範囲に基づいて設定される値であり、本実施形態では、実距離にして2[m]に相当する値が設定されている。したがって、作業者存在範囲Zmの幅、つまり、下端位置Pm1と上端位置Pm2との値の差は、最頻度位置Pmの値に拘わらず常に実距離にして4[m]に相当する値となっている。
【0054】
ステップ#10において、ステップ#6〜ステップ#9の処理により算出された下端位置Pm1及び上端位置Pm2の値に基づいて作業者存在範囲Zmが現在の作業者の存在範囲を示す最新のものに更新設定される。以下の説明で、軌道2上の第1位置P1と、原点位置P0からの距離が第1位置P1よりも遠い第2位置P2(つまり、P1<P2の関係にある位置)とを両端とする範囲を〔P1,P2〕又は〔P2,P1〕として表わす場合があるが、いずれの表記であっても、それらが示す軌道2の範囲としては同一のものを示している。この表記方法によると、作業者存在範囲Zmは〔Pm1,Pm2〕又は〔Pm2,Pm1〕で表わされる。
【0055】
なお、作業者が軌道2に存在しない場合には、ステップ#6では受信スコアSC1〜SC50の値が全てゼロとなるが、この場合には、最大受信スコアSCmaxに基づく最頻度位置Pmの値の設定は行われず、最頻度位置Pmの値は固定的に「−Pc」に設定される。つまり、作業者が存在しない場合には、作業者存在範囲Zmとして〔−2×Pc,P0〕の範囲が固定的に設定される。
【0056】
掬い用引当処理S2及び卸し用引当処理S3では、地上側コントローラ14は、掬い用の搬送処理を行うときか或いは卸し用の搬送処理を行うときか、第1荷捌き台車3a及び第2荷捌き台車3bが現在搬送処理中であるか否か、第1荷捌き台車3a及び第2荷捌き台車3bが軌道2上のどこに位置するか、第1荷捌き台車3a及び第2荷捌き台車3bの現在の位置Pa及びPbから移載対象のステーション1に対応する位置Pgに至る範囲Za及びZbに作業者が存在するか否か、などの各種条件に基づいて、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bのうち、搬送要求に係る搬送作業を担当する荷捌き台車3を選択するように構成されている。
【0057】
掬い用の搬送要求に対しての引当処理である掬い用引当処理S2について図8及び図9に示すフローチャートに基づいて説明する。
地上側コントローラ14は、第1荷捌き台車3aに物品Bが載置されている状態であるか否かを第1物品フラグB1のオン・オフで管理し、同様に、第2荷捌き台車3bに物品Bが載置されている状態であるか否かを第2物品フラグB2のオン・オフで管理している。また、第1荷捌き台車3aが、掬い用と卸し用の何れを問わず、ある搬送要求についての搬送作業の最中であるか、或いは搬送作業が完了した待機状態であるかを第1搬送フラグF1のオン・オフで管理し、同様に、第2荷捌き台車3bが、掬い用と卸し用の何れを問わず、ある搬送要求についての搬送作業の最中であるか、或いは搬送作業が完了した待機状態であるかを第2搬送フラグF2のオン・オフで管理している。
【0058】
掬い用引当処理S2では、搬送要求情報に基づく移載対象のステーション1で物品を掬うことができる荷捌き台車3を選択する必要があることから、搬送要求に対して荷捌き台車3を選択する場合、まず、物品Bが載置されていないこと(物品フラグがオフ)が条件となり、次いで、他の搬送処理の最中でない状態、つまり、待機状態であること(搬送フラグがオフ)が条件となる。さらに、荷捌き台車3の現在位置から移載対象のステーション1に至るまでの走行範囲に、軌道2でメンテナンス作業をする作業者が位置しないことが荷捌き台車3の選択条件となっている。
【0059】
なお、荷捌き台車3の現在位置から移載対象のステーション1に至るまでの走行範囲に、待機状態又は搬送作業の最中の他方の荷捌き台車3が存在しないことも条件となっているが、図8及び図9のフローチャートでは省略されている。
【0060】
ステップ#1、ステップ#2、及び、ステップ#7の処理により、第1物品フラグB1及び第2物品フラグB2の値に基づいて、第1荷捌き台車3a及び第2荷捌き台車3bの双方に物品Bが載置されている場合(ステップ#1でNoと判断され、ステップ#7でもNoと判断される場合)、一方にのみ物品Bが載置されている場合のうち第1荷捌き台車3aにのみ物品Bが載置されている場合(ステップ#1でYesと判断され、ステップ#7でNoと判断される場合)、一方にのみ物品Bが載置されている場合のうち第2荷捌き台車3bにのみ物品Bが載置されている場合(ステップ#1でNoと判断され、ステップ#2でYesと判断される場合)、及び、双方ともに物品Bが載置されていない場合(ステップ#1でYesと判断され、ステップ#2でYesと判断される場合)とに判別される。
【0061】
物品Bが載置されていない荷捌き台車3が抽出された後、ステップ#3、ステップ#8、ステップ#12、ステップ#13、及び、ステップ#19の処理により、第1搬送フラグF1及び第2搬送フラグF2の値に基づいて、物品Bが載置されていない荷捌き台車3のうち、待機状態(搬送フラグがオフ)の荷捌き台車3が抽出される。
【0062】
物品Bが載置されておらず且つ待機状態である荷捌き台車3が抽出された後、ステップ#4、ステップ#9、ステップ#14、ステップ#15、ステップ#20、及び、ステップ#23の処理により、抽出された荷捌き台車3のうち、現在の荷捌き台車3の位置(第1荷捌き台車3aの現在の位置Pa又は第2荷捌き台車3bの現在の位置Pb)から搬送要求情報に基づく移載対象のステーション1に対応する位置Pgまでの搬送範囲(Za又はZb)に、作業者存在範囲Zmの一部が含まれないものが抽出される。
【0063】
説明を加えると、例えば、ステップ#1→ステップ#2→ステップ#3→ステップ#4と進んだ場合や、ステップ#1→ステップ#2→ステップ#12→ステップ#13→ステップ#23と進んだ場合には、物品Bが載置されておらず且つ待機状態である荷捌き台車3として第1荷捌き台車3aが抽出されることになり、これらの場合には、ステップ#4及びステップ#23において、第1荷捌き台車3aの搬送範囲Zaと作業者存在範囲Zmの位置関係が図12に示す(イ)〜(ハ)のいずれかの関係にあるときは、作業者存在範囲Zmと第1荷捌き台車3aの搬送範囲Zaとに重なり部分があるとしてYesと判断され、第1荷捌き台車3aは当該搬送要求に関して搬送処理を行う荷捌き台車3として選択されない。一方、第1荷捌き台車3aの搬送範囲Zaと作業者存在範囲Zmの位置関係が図12に示す(ニ)又は(ホ)の関係にあるときは、第1荷捌き台車3aの搬送範囲Zaと作業者存在範囲Zmとに重なり部分がないとしてNoと判断され、次のステップへ移行する。このように、搬送範囲に作業者存在範囲Zmを一部でも含むような搬送要求についての搬送作業に対しては、荷捌き台車3が引き当てられないようになっている。
【0064】
なお、図12における搬送範囲Zaは位置Paと位置Pgの位置関係がPa<Pgであるもの、つまり、〔Pa,Pg〕で表わされるもので示されているが、搬送範囲Zaとしては、位置Paと位置Pgを入れ替えた、位置Paと位置Pgの位置関係がPg<Paであるもの、つまり、〔Pg,Pa〕で表わされるものであっても同様の処理結果が得られる。
【0065】
物品フラグB1及びB2による物品Bの載置状態の条件、搬送フラグF1及びF2による待機状態の条件、及び、作業者存在範囲Zmと搬送範囲Za及びZbとの位置関係の条件を全て満たす荷捌き台車3が抽出できた場合には、該当する荷捌き台車3についての搬送フラグ及び物品フラグがオフからオンに切換えられる(ステップ#5、ステップ#10、及び、ステップ#21)。
【0066】
なお、第1荷捌き台車3a及び第2荷捌き台車3bの双方が上記条件全てを満たす場合(ステップ#1→ステップ#2→ステップ#12→ステップ#13→ステップ#14→ステップ15#→ステップ#16と進む場合)には、当該搬送要求情報に基づく移載対象のステーション1に対応する位置Pgに近い側の荷捌き台車3が抽出され、その荷捌き台車3についての搬送フラグ及び物品フラグがオフからオンに切換えられる(ステップ#16→ステップ#17、又は、ステップ#16→ステップ#21)。
【0067】
このようにして、当該搬送要求に基づく搬送作業を担当する荷捌き台車3が選択されると、ステップ#6、ステップ#11、ステップ#18、及び、ステップ#22において、当該搬送要求についての搬送要求情報に代わって、記憶手段にスタックされている次の順位の搬送要求情報が読み出され、以後の動作周期毎の処理においては、新たに読み出された搬送要求情報が図6のステップ#2での判別処理の対象となる。換言すると、第1荷捌き台車3a又は第2荷捌き台車3bのいずれかの荷捌き台車3aが引き当てられるまで、当該掬い用の搬送要求は、最先順位の搬送要求として残存する。
【0068】
次に、卸し用の搬送要求に対しての引当処理である卸し用引当処理S3について図10に示すフローチャートに基づいて説明する。
卸し用引当処理S3では、地上側コントローラ14は、ステップ#1において、当該卸し用の搬送要求が、第1荷捌き台車3aに移載された物品Bについてのものであるか、第2荷捌き台車3bに移載された物品Bについてのものであるかを、搬送要求情報に基づいて判別する。そして、ステップ#2又はステップ#5において、該当する側の荷捌き台車3についての搬送フラグをチェックし、待機中(搬送フラグF1又はF2がオフ)であれば、次のステップ(ステップ#3又はステップ#6)において、移載対象のステーション1までの搬送範囲(Za又はZb)と作業者存在範囲Zmとの位置関係を比較し、搬送範囲と作業者存在範囲Zmとに重なり部分が無ければ、搬送フラグをオンにする(ステップ#4又はステップ#7)。このように、搬送範囲に作業者存在範囲Zmを一部でも含むような搬送要求についての搬送処理に対しては、荷捌き台車3が引き当てられないようになっている。
【0069】
こうして、ある搬送要求に対していずれかの荷捌き台車3が引き当てられると、ステップ#8において、掬い用引当処理S2と同様に、当該搬送要求についての搬送要求情報に代わって、記憶手段にスタックされている次の順位の搬送要求情報が読み出され、以後の動作周期毎の処理においては、新たに読み出された搬送要求情報が図6のステップ#2での判別処理の対象となる。換言すると、第1荷捌き台車3a又は第2荷捌き台車3bのいずれかの荷捌き台車3aが引き当てられるまで、当該卸し用の搬送要求は、最先順位の搬送要求として残存する。
【0070】
上述した掬い用引当処理S2及び卸し用引当処理S3において、一旦、搬送フラグF1又はF2がオンとなると、その後の動作周期毎の処理においては、搬送フラグがオンである状態が維持され、ある搬送要求に係る搬送作業が引き当てられた荷捌き台車3は、当該搬送要求に係る搬送要求情報に基づいて搬送作業を行う。そして、詳しくは後述するが、その搬送要求に係る搬送作業(移載対象のステーション1に対応する位置Pgへの走行及び当該ステーション1における掬い又は卸しの移載)が完了すると、搬送フラグがオンからオフに変更されるとともに、物品フラグが反転される。
【0071】
搬送処理S4について図11に示すフローチャートに基づいて説明する。ステップ#1〜ステップ#7は第1荷捌き台車3aに関連する処理であり、ステップ#8〜ステップ#14は第2荷捌き台車3bに関連する処理である。両者の処理の内容は全く同様の処理であるので、以下の説明では、第1荷捌き台車3aに関連する処理(ステップ#1〜ステップ#7)について説明する。
【0072】
ステップ#1で第1搬送フラグF1をチェックしオフであれば、第1荷捌き台車3aについての処理は実行されず制御出力は発生しない。第1搬送フラグF1がオンであれば、ステップ#2の走行制御処理を実行する。ステップ#2の走行制御処理では、位置検出センサ15の検出情報に基づいて、第1荷捌き台車3aがステーション1に位置するように第1荷捌き台車3aの走行モータ6の制御値が算出される。
【0073】
第1荷捌き台車3aがステーション1に対応する位置Pgに到達すると、ステップ#3でYesと判断されるので、その後に実行される搬送処理S4では、ステップ#2の走行制御処理に続いてステップ#4の移載制御処理も実行され、搬送要求情報により指定される掬い用又は卸し用の移載作業が行われる。移載作業が完了するまで、ステップ#1→ステップ#2→ステップ#3→ステップ#4→ステップ#5→ステップ#8の流れにより搬送処理S4が実行され、移載作業が完了すると、ステップ#5でYesと判断されるので、ステップ#6及びステップ#7の処理が実行される。
【0074】
ステップ#6では、オンとなっていた第1搬送フラグF1がオフに変更される。これにより、以後の動作周期毎の処理において実行される引当処理S2又はS3において、新たな搬送要求についての搬送作業を担当する荷裁き台車3として引き当てられる条件である、待機中であること、という条件を備えることになる。
【0075】
ステップ#7では、第1物品フラグB1が反転変更される。つまり、掬い用の搬送作業が完了したのであれば、第1荷捌き台車3aは移載対象のステーション1において当該ステーション1から物品Bを移載された状態となっており、第1物品フラグB1はオフからオンに変更される。一方、卸し用の搬送作業が完了したのであれば、第1荷捌き台車3aは移載対象のステーション1において当該ステーション1へ物品Bを移載した状態となっており、第1物品フラグB1はオンからオフに変更される。これにより、以後の動作周期毎の処理において実行される引当処理S2又はS3において、第1荷捌き台車3aは、掬い用及び卸し用の種別が直前の搬送作業とは異なる搬送作業を行えるようになる。
【0076】
このようにして、地上側コントローラ14は、搬送要求が発生した順序にしたがって、作業者の存在位置を外れた範囲において走行させるように物品搬送車の運転を制御するように構成されている。
【0077】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態を説明するが、第1実施形態と同じ構成要素や同じ作用を有する構成要素については、重複説明を避けるために、同じ符号を付すことにより説明を省略し、主として、第1実施形態と異なる構成を説明する。
【0078】
図13に示すように、本発明の第2実施形態に係る物品搬送設備には、第1実施形態におけるICタグリーダ20に代えて、一対の投光器及び受光器から構成される赤外線光センサ20が軌道2の長手方向に沿って複数対設けられている。各光センサ24は通信ネットワークに接続されており、夫々の検出情報が地上側コントローラ14に送信されるように構成されている。
【0079】
赤外線光センサ24は、軌道2の幅方向に沿って受光器に向って投光器が出射する赤外線が作業者により遮断されることにより、受光器が受光状態から非受光状態に遷移する。そして、赤外線光センサ24は、地上側コントローラ14から送信される検出状態情報要求信号を受信すると、検出状態情報を地上側コントローラ14に返信する。
【0080】
第1実施形態における存在位置判定処理と同様に、地上側コントローラ14は、存在位置判定処理S1を実行して、各光センサ24の検出状態に基づいて、各光センサ24についての受信スコアを一定期間に亘って積算し、その結果により作業者存在範囲Zmを設定するように構成されている。なお、軌道2に沿って設置される光センサ24の設置間隔は、軌道2に存在する作業者を確実に検出できるように比較的狭くなっているため、第1実施形態のICタグリーダ20の設置個数よりも多くの光センサ24が設置されている。
【0081】
このように、地上側コントローラ14は、存在位置判定処理S1を実行して、光センサ24の検出情報に基づいて軌道2に存在する作業者の存在位置を判定する。つまり、作業者存否検出用のセンサが、軌道2に沿って並設された光センサ24にて構成されている。
【0082】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態を説明するが、第1実施形態と同じ構成要素や同じ作用を有する構成要素については、重複説明を避けるために、同じ符号を付すことにより説明を省略し、主として、第1実施形態と異なる構成を説明する。
【0083】
第1実施形態では、存在位置入力手段が、作業者携帯用通信装置としてのICタグ21、地上側通信装置としてのICタグリーダ20、及び、地上側コントローラ14が実行する存在位置判定手段としての存在位置判定処理S1により構成されているが、本第3実施形態では、存在位置入力手段が、無線通信機能付きの通信端末25により構成されている。
【0084】
図14に示すように、通信端末25は、持ち運び可能な小型サイズの無線通信端末であり、作業者自らが入力部を操作して英数字等の文字情報を入力できるように構成されている。そして、入力された文字情報を地上側コントローラ14に対して無線送信する無線送信機能を備えている。
【0085】
軌道2の側方の床面には、軌道2の長手方向に沿って、原点位置P0を起点に等間隔を隔てて、「P15」等の位置識別用文字が表示された位置識別用マーク26が複数敷設されている。作業者が軌道2内でメンテナンス作業等を行う場合には、自らの存在位置に最も近い位置識別用マーク26を確認して、その位置識別用マーク26に付された位置識別用文字(例えば「P15」)を通信端末25にて入力する。すると、入力された位置識別用文字の情報が通信端末25から地上側コントローラ14に無線送信される。
【0086】
地上側コントローラ14は、通信装置25から送信された位置識別用文字情報に基づいて、その位置識別用文字情報に対応する位置座標を、テーブル等を参照して取得し、その座標値を最頻度位置Pmに設定する。そして、第1実施形態と同様に、最頻度位置Pmの値に基づく作業者存在範囲Zmの設定が行われる。
【0087】
このように、本実施形態では、存在位置入力手段が、存在位置情報としての位置識別用文字情報を入力自在で、且つ、入力された位置識別用文字情報を地上側コントローラ14に無線通信自在な作業者携帯用の通信端末25により構成されている。
【0088】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(1) 第1実施形態において、搬送処理が引き当てられた荷捌き台車3の搬送作業中に作業者が移動して作業者存在範囲Zmが変化して、搬送範囲Za又はZbと作業者存在範囲Zmとに重なり部分が事後的に生じた場合には、地上側コントローラ14が、該当する荷捌き台車3の走行作動を停止させるように構成してもよい。
具体的には、荷捌き台車運転制御の搬送処理S4において、作業者存在範囲Zmと搬送範囲(Za又はZb)との重なり部分が発生したかどうかを判別し、重なり部分が発生していない場合には、該当する荷捌き台車3の搬送作業を継続させ、重なり部分が発生した場合には、該当する荷捌き台車3の電力停止手段18(図2参照)により走行モータ6への電力の供給を中断し、荷捌き台車3の搬送作業を停止させるように構成してもよい。
(2) 第1実施形態において、ICタグ21を作業者が履く靴22に装備された構成を例示したが、その他の部位、例えば、作業者が頭部に装着するヘルメットにICタグ21が装備されるように構成してもよい。
【0089】
(3) 第2実施形態において、作業者存否検出用のセンサが、一対の投光器と受光器とからなる赤外線光センサ24にて構成されたものを例示したが、作業者存否検出用のセンサは、回帰反射式光センサで構成してもよいし、超音波センサで構成してもよい。
【0090】
(4) 第3実施形態において、位置識別用マーク26が床面に設置されたものを例示したが、その他の箇所に設置されたものでもよい。また、存在位置入力手段としての通信端末25は、手動入力式の入力部に代えてバーコードリーダを備えたものでもよい。この場合、位置識別用マーク26は位置識別用のバーコードが表示されたもので構成される。また、通信端末25は、無線通信式でなくても有線通信式であってもよい。
(5) 第3実施形態において、存在位置入力手段が、位置識別用マーク26に表示された位置識別用文字情報を手動で入力可能な入力部を備えた通信端末25にて構成されたものを例示したが、これに代えて、存在位置入力手段が、位置識別子としてのICタグが送信する無線信号を受信する携帯受信端末としてのICタグリーダにて構成されたものでもよい。
この場合、ICタグは軌道2の長手方向に沿って床面等の地上側に等間隔で複数設けられ、各ICタグが送信する無線信号は、当該ICタグが設置される設置位置に対応する固有の識別情報を含むように構成される。
そして、ICタグリーダは、あるICタグが送信する無線信号を受信すると、その無線信号に含まれる前記固有の識別情報に基づいて、対応するICタグの前記設置位置を判別し、その設置位置についての情報を、軌道2における作業者の存在位置情報として有線通信又は無線通信により地上側コントローラ14へ送信するように構成される。
(6) 上記何れの実施形態においても、物品搬送設備として、物品搬送台車がステーション1間で物品を搬送する荷捌き台車3にて構成されたものを例示したが、これに限らず、例えば、走行経路上を往復移動自在に構成された走行台車と、その走行台車上で昇降移動自在に設けられた物品移載装置を備えて、走行台車の走行移動及び物品移載装置の昇降動移動により、ステーションと収納棚との間で物品の入出庫作業を行うスタッカークレーンにて物品搬送台車が構成された物品搬送設備であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】物品搬送設備の平面図
【図2】制御ブロック図
【図3】軌道周辺に設けられた構造物の高さ関係を示す縦断正面図
【図4】作業者の靴に装備されるICタグと軌道に敷設されたICタグリーダを示す斜視図
【図5】割込み処理のフローチャート
【図6】荷捌き台車運転制御のフローチャート
【図7】存在位置判定処理のフローチャート
【図8】掬い用引当処理のフローチャート
【図9】掬い用引当処理のフローチャート
【図10】卸し用引当処理のフローチャート
【図11】搬送処理のフローチャート
【図12】第1荷捌き台車の搬送範囲Zaと作業者存在範囲Zmの位置関係を説明する図
【図13】第2実施形態における赤外線光センサの設置状態を示す図
【図14】第3実施形態における位置識別用マークの設置状態を示す図
【符号の説明】
【0092】
S1 存在位置判定手段,存在位置入力手段
Zm 存在位置
Pm1,Pm2 存在位置情報
Pg 目標走行位置
1 物品移載箇所
2 走行経路
3,3a,3b 物品搬送車
14 運転制御手段
15 走行位置検出手段
20 地上側通信装置,存在位置入力手段
21 作業者携帯用通信装置,存在位置入力手段
24 作業者存否検出用のセンサ
25 作業者携帯用の通信端末
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の物品移載箇所に亘る走行経路に沿って走行する物品搬送車の運転を管理する運転制御手段と、前記物品搬送車の前記走行経路上における走行位置を検出する走行位置検出手段とが設けられ、前記運転制御手段が、前記走行位置検出手段の検出情報に基づいて、目標走行位置に走行させるべく前記物品搬送車の運転を制御するように構成された物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる物品搬送設備は、自動倉庫等にて用いられるものであり、複数の物品移載箇所に亘る走行経路に沿って走行する物品搬送車の運転を管理する運転制御手段と、物品搬送車の走行経路上における走行位置を検出する走行位置検出手段とを設けて、運転制御手段により、走行位置検出手段の検出情報に基づいて、物品搬送車を目標走行位置に走行させるようにして、前記複数の物品移載箇所に対する物品の搬送を行うようにしてある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ところで、このような物品搬送設備では、例えば、点検や修理等のメンテナンスのために、作業者が走行経路内に立ち入る場合がある。
【0004】
このような物品搬送設備において、従来は、物品搬送車を駆動するための電力の供給を遮断する駆動電力遮断手段を設けて、作業者が走行経路内に立ち入るときには、駆動電力遮断手段にて物品搬送車への電力供給を遮断することにより、物品搬送車を停止させるようにしていた(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開2001−216023号公報
【特許文献2】特開2005−022854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来では、作業者が走行経路内に立ち入るときには、物品搬送車を停止させることから、作業者の安全は確保できるものの、物品搬送車を停止させるので、物品の搬送ができないという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、走行経路内に立ち入った作業者の安全を確保しながら、物品搬送を継続し得る物品搬送設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の物品搬送設備は、複数の物品移載箇所に亘る走行経路に沿って走行する物品搬送車の運転を管理する運転制御手段と、
前記物品搬送車の前記走行経路上における走行位置を検出する走行位置検出手段とが設けられ、
前記運転制御手段が、前記走行位置検出手段の検出情報に基づいて、目標走行位置に走行させるべく前記物品搬送車の運転を制御するように構成されたものであって、
第1特徴構成は、前記走行経路内に位置する作業者についての前記走行経路上における存在位置を示す存在位置情報を入力する存在位置入力手段が設けられ、
前記運転制御手段が、前記存在位置入力手段からの前記存在位置情報に基づいて、前記存在位置を外れた範囲において走行させるように前記物品搬送車の運転を制御するように構成されている点にある。
【0009】
即ち、作業者が走行経路内に立ち入ると、存在位置入力手段により、走行経路内に位置する作業者についての走行経路上における存在位置を示す存在位置情報が入力されることになり、その存在位置入力手段から入力される存在位置情報に基づいて、運転制御手段により、走行経路上における作業者の存在位置を外れた範囲において走行させるように物品搬送車の運転が制御される。
【0010】
つまり、作業者が走行経路内に立ち入ると、物品搬送車を走行経路上における作業者の存在位置を外れた範囲において走行させて、物品を搬送させることができるので、作業者の安全を確保しながら、物品搬送を継続することができる。
従って、走行経路内に立ち入った作業者の安全を確保しながら、物品搬送を継続し得る物品搬送設備を提供することができるようになった。
【0011】
第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記存在位置入力手段が、前記走行経路長手方向に沿って並設された作業者存否検出用のセンサと、それら作業者存否検出用のセンサの検出情報に基づいて前記存在位置を判定して、前記存在位置情報を前記運転制御手段に出力する存在位置判定手段とから構成されている点にある。
【0012】
即ち、作業者が走行経路内に立ち入ると、走行経路長手方向に沿って並設された作業者存否検出用のセンサのうち、走行経路内における作業者が位置する箇所を検出範囲内に含むセンサが検出作動し、存在位置判定手段により、走行経路長手方向に沿って並設された作業者存否検出用のセンサの情報に基づいて、走行経路上における作業者の存在位置が判定されて、その存在位置を示す存在位置情報が運転制御手段に出力される。
【0013】
つまり、例えば、走行経路をその走行経路長手方向に沿って複数のブロックに区分し、複数の作業者存否検出用のセンサを、夫々の検出範囲を前記複数のブロックに対応付けた状態で、走行経路長手方向に沿って並設する。
すると、作業者が走行経路内に立ち入ると、走行経路長手方向に沿って並設された作業者存否検出用のセンサのうち、走行経路内における作業者が位置する箇所を検出範囲内に含むセンサが検出作動することになり、その検出作動したセンサに対応するブロックが走行経路上における作業者の存在位置となり、走行経路長手方向に沿って並設された作業者存否検出用のセンサの情報に基づいて、走行経路上における作業者の存在位置を判定させることができるのである。
尚、作業者存否検出用のセンサとしては、例えば光センサというコストパフォーマンスの比較的良いもので構成することができる。
【0014】
そして、存在位置判定手段により、走行経路上における作業者の存在位置を判定させて、存在位置情報を運転制御手段に出力させるに当たっては、作業者に何ら作業をさせる必要がないので、物品搬送車は、作業者が走行経路内に立ち入ると自動的に、作業者の存在位置を外れた範囲において走行することになる。
このように、作業者が特別な作業を行うことなく、走行経路内に立ち入った作業者の安全を確保しながら、物品搬送を継続し得る物品搬送設備を得ることができる。
【0015】
第3特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記存在位置入力手段が、前記存在位置情報を入力自在で、且つ、入力された前記存在位置情報を前記運転制御手段に通信自在な作業者携帯用の通信端末である点にある。
【0016】
即ち、作業者が走行通路に立ち入る場合には、作業者自らが作業者携帯用の通信端末により、自己の存在位置情報を入力して、運転制御手段に自己の存在位置情報を送信することができるので、作業者の存在位置を自動的に検出するための手段である光センサ等を設けて地上側コントローラに接続する必要がないので、物品搬送設備を、光センサやその接続配線等の構成が不要な簡素なものとすることができる。
このように、第3特徴構成によると、コスト面で有利な形態で、走行経路内に立ち入った作業者の安全を確保しながら、物品搬送を継続し得る物品搬送設備を得ることができる。
【0017】
第4特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記存在位置入力手段が、作業者存在位置を判定するための判定用情報を設定通信範囲内に通信する作業者携帯用通信装置、前記走行経路長手方向に沿って並設されて前記作業者携帯用通信装置からの判定用情報を受信する地上側通信装置、及び、その地上側通信装置の受信状況に基づいて前記存在位置を判定して、前記存在位置情報を前記運転制御手段に出力する存在位置判定手段とから構成されている点にある。
【0018】
即ち、作業者が走行経路内に立ち入ると、走行経路長手方向に沿って並設された地上側通信装置のうち、作業者携帯用通信装置が判定用情報を通信する設定通信範囲内に位置するものが、前記作業者携帯用通信装置からの判定用情報を受信する。そして、存在位置判別手段が、地上側通信装置の受信状況に基づいて、作業者の走行経路上における存在位置を判定して、その存在位置情報を前記運転制御手段に出力する。これにより、運転制御手段に作業者の存在を認識させることができ、前記運転制御手段はその存在位置情報に基づいて、作業者の走行経路上における存在位置を外れた範囲において前記物品搬送車を走行させることができる。
【0019】
このように、作業者携帯用通信装置の設定通信範囲内に地上側受信装置が位置していれば、運転制御手段は、作業者の存在を認識することができるので、複数の地上側受信装置を設置するにあったっては、設定通信範囲の大きさに応じた適切な間隔を隔てて走行経路長手方向に沿って並設すればよく、光センサなどの光学式の検出手段を多数並設して走行経路上の作業者の存在を運転制御手段に認識させるように構成する場合に比べて、設置製作面にて有利な形態で、走行経路内に立ち入った作業者の安全を確保しながら、物品搬送を継続し得る物品搬送設備を得ることができる。
【0020】
第5特徴構成は、上記第4特徴構成に加えて、前記作業者携帯用通信装置が、作業者の足首相当箇所又は作業者が履く靴に装着されるように構成され、前記地上側通信装置が、床面又はその近くに設置されている点にある。
【0021】
即ち、足首相当箇所や作業者が履く靴の床面からの高さは、作業者の体格による変化が少ないため、このような箇所に、作業者携帯用通信装置を装着することにより、作業者携帯用通信装置が判定用情報を通信する設定通信範囲の床面からの高さ方向の範囲が安定したものとなる。そして、地上側受信装置が、床面又はその近くに設置されているので、地上側受信装置が床面からの高さ方向において作業者携帯用通信装置の設定通信範囲から外れた高さ位置に位置するおそれはほとんどない。従って、作業者携帯用通信装置の平面視での通信範囲に位置する地上側受信装置は、作業者携帯用通信装置が通信する判定用情報を確実に受信することができるようになり、物品搬送設備の信頼性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
〔第1実施形態〕
本発明にかかる物品搬送設備の第1実施形態について、図面に基づいて説明する。
この物品搬送設備は、物品収納棚を設けた自動倉庫などに適応され、図1に示すように、物品移載箇所としてのステーション1の複数にわたる軌道2上を走行する物品搬送台車としての荷捌き台車3を複数台設け、それら複数台の荷捌き台車3が、軌道2上を往復走行して、複数のステーション1の間で物品Bを搬送するように構成されている。
【0023】
前記軌道2は、両端部が定められた有端式の直線状に構成され、この軌道2の左右両側に軌道2の長手方向に間隔を隔てて複数のステーション1が配設されている。
そして、複数のステーション1としては、物品収納棚から出庫する物品を搬送する出庫コンベヤを設けた出庫用のステーション1、物品収納棚へ入庫する物品を搬送する入庫コンベヤを設けた入庫用のステーション1、外部から搬入する物品を搬送する搬入コンベヤを設けた搬入用のステーション1、及び、外部へ搬出する物品を搬送する搬出コンベヤを設けた搬出用のステーション1などを組み合わせて構成されている。
【0024】
前記荷捌き台車3は、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bの二台設けられており、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bの夫々には、自己とステーション1との間で物品Bを移載するローラコンベヤなどの電動式の移載装置4、軌道2に沿って配設された走行レールを走行する複数の走行車輪5などが設けられている。
前記走行車輪5は、インバータ式の走行モータ6にて回転駆動する駆動用の走行車輪5と、従動回転自在な従動用の走行車輪5とから構成されている。
【0025】
また、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bの夫々には、図2に示すように、走行モータ6を作動させて荷捌き台車3を走行駆動させる走行駆動手段としての走行用インバータ7、相手の荷捌き台車3との車間距離を検出する車間距離センサ8、相手の荷捌き台車3との間で情報を通信するための台車間光伝送装置9、車間距離センサ8や光伝送装置9などの作動を制御するスレーブコントローラ10、移載装置4を作動させる移載用インバータ11、移載装置4における物品Bの状態などを検出するセンサ類12、そのセンサ類12の検出情報を出力するための入出力装置13などが設けられている。
【0026】
そして、床面などの地上側には、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bの運転を管理する地上側コントローラ14が一つ設けられ、その地上側コントローラ14が、第1荷捌き台車3a及び第2荷捌き台車3bにおける走行用インバータ7や移載用インバータ11などの作動を制御するように構成されている。
【0027】
また、軌道2の両端部の夫々には、その端部から荷捌き台車3までの距離を検出することにより、軌道2上における荷捌き台車3の位置を検出する位置検出手段としての位置検出センサ15が設けられている。
【0028】
また、軌道2の幅方向の中間位置には、地上側通信装置としてのICタグリーダ20が軌道2の長手方向に沿って等間隔に並設されており、各ICタグリーダ20は、通信ネットワークを介して地上側コントローラ14と通信可能に接続され、地上側コントローラ14により格別に管理されている。
【0029】
これらのICタグリーダ20は、軌道2の周辺においてメンテナンス作業を行う作業者が履く靴22に装着される作業者携帯用通信装置としてのICタグ21が送信する判定用情報としての電波を受信することにより、ICタグ21の存在を検出するものである。軌道2に設置されるICタグリーダ20の個数は、通信設定範囲を決定するICタグ21の送信出力及び軌道2の長さによって異なるが、本実施形態においては、通信設定範囲が半径約50[cm]の球体空間となる送信出力のICタグ21を使用し、長さが約25[m]に亘る軌道2には長手方向にICタグリーダ20を50個設置している。従って、各ICタグリーダ20は軌道2の長手方向に沿って約50[cm]毎に設置されている。
【0030】
図3に示すように、軌道2内に設置される各ICタグリーダ20の地上高は、軌道2上を走行する荷捌き台車3の最低地上高よりも低い高さで構成されているため、荷捌き台車3は、各ICタグリーダ20に接触することなく走行移動することができるようになっている。
【0031】
また、図4に示すように、ICタグリーダ20は床面に設置されているので、軌道2周辺においてメンテナンス作業等を行う作業者が履く靴22に装着されるICタグ21に高さ方向において作業者の体格によらず接近した位置となる。したがって、作業者の位置が異なっても、あるICタグリーダ20からみたICタグ21の高さは略一定しており、ICタグリーダ20とICタグ21との距離は、作業者とICタグリーダ20との平面視における距離に略一致することになる。また、ICタグリーダ20とICタグ21は、高さ方向において互いに接近した位置関係になっているので、ICタグリーダ20は、ICタグ21が送信する電波を受信しやすい設置状態となっている。これらのことから、地上側コントローラ14は、後述する存在位置判定処理S1において、作業者の存在位置を精度良くまた安定して判定することができる
【0032】
地上側に設けられた地上側コントローラ14、荷捌き台車3側に設けられた走行用インバータ7、スレーブコントローラ10、移載用インバータ11、入出力装置13の夫々には、図示はしないが、通信コントローラが備えられており、地上側コントローラ14と第1荷捌き台車3aとの間で情報の授受を行うための第1光伝送装置16と、地上側コントローラ14と第2荷捌き台車3bとの間で情報の授受を行うための第2光伝送装置17とが設けられている。
【0033】
そして、地上側コントローラ14側に備えられた通信コントローラ、荷捌き台車3側に備えられた通信コントローラ、第1光伝送装置16、第2光伝送装置17により、通信ネットワークいわゆるデバイスネットが構成されており、地上側コントローラ14がマスタに構成され、走行用インバータ7、スレーブコントローラ10、移載用インバータ11、入出力装置13がスレーブに構成されている。
【0034】
また、軌道2の両端部に配設された位置検出センサ15の検出情報は、地上側コントローラ14に入力されるように構成されており、地上側コントローラ14は、位置検出センサ15の検出情報に基づいて、軌道2上における第1荷捌き台車3a及び第2荷捌き台車3bの位置を管理するように構成されている。なお、荷捌き台車3の位置は、軌道2の図1における左側端部を原点位置P0とし、同図右側方向を正の値として設定される座標系の位置座標として管理されている。
【0035】
また、軌道2内に並設された各ICタグリーダ20の検出情報は、地上側コントローラ14に入力されるように構成されており、詳しくは後述するが、地上側コントローラ14は、何れのICタグリーダ20がICタグ21の電波を受信しているかというICタグリーダ20の受信状況に関する情報と、予め記憶手段に設定された軌道2の長手方向における各ICタグリーダ20の位置情報とに基づいて作業者の存在位置を判定することができるようになっている。
【0036】
このようにして、地上側コントローラ14は、複数のステーション1に亘る軌道2に沿って走行する荷捌き台車3の運転を管理するように構成されている。そして、位置検出センサ15が荷捌き台車3の軌道2上における走行位置を検出し、地上側コントローラ14が、位置検出センサ15の検出情報に基づいて、目標走行位置としての移載対象のステーション1に対応する位置Pgに走行させるべく荷捌き台車3の運転を制御するように構成されている。
【0037】
さらに、地上側コントローラ14が、ICタグリーダ20の受信状況に基づいて軌道2に存在する作業者の存在位置としての作業者存在範囲Zmを判定する存在位置判定処理S1を実行して、その処理の出力として得られる存在位置情報としての下端位置Pm1及び上端位置Pm2の値に基づいて、前記作業者存在範囲Zmを外れた範囲において走行させるように前記荷捌き台車3の運転を制御するように構成されている。つまり、存在位置判定処理S1は、存在位置判定手段として機能しており、作業者携帯用通信装置としてのICタグ21、地上側通信装置としてのICタグリーダ20、及び、地上側コントローラ14が実行する存在位置判定手段としての存在位置判定処理S1により、本発明の存在位置入力手段が構成されている。
【0038】
前記二台の荷捌き台車3の運転について説明を加えると、地上側コントローラ14は、搬送要求情報があると、搬送要求情報に基づいて、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bのうち、当該搬送要求に係る搬送作業を担当する荷捌き台車3を選択する。そして、上記引当処理にて引き当てられた荷捌き台車3を移載対象のステーション1に走行させて移載対象のステーション1との間で物品Bの移載を行うように構成されている。
【0039】
そして、地上側コントローラ14は、搬送要求情報毎に、掬い用引当処理S2又は卸し用引当処理S3、搬送処理S4を順次実行することを繰り返して、二台の荷捌き台車3にて複数のステーション1の間で物品Bを搬送するように構成されている。
【0040】
説明を加えると、地上側コントローラ14は、まず、掬い用の搬送要求が発生すると、その搬送要求情報に基づいて、掬い用引当処理S2、搬送処理S4を行うことにより、選択した搬送処理用の荷捌き台車3を移載対象のステーション1に走行させて物品Bを掬い取り、その後、卸し用の搬送要求が発生すると、その搬送要求情報に基づいて、卸し用引当処理S3、搬送処理S4を行うことにより、選択した搬送処理用の荷捌き台車3を移載対象のステーション1に走行させて物品Bを卸すように構成されている。
【0041】
ちなみに、搬送要求情報については、キーボードなどの人為操作式の入力装置や上位コンピュータなどにより、地上側コントローラ14に対して搬送要求情報を入力可能であり、例えば、物品Bを掬い取るための移載対象のステーション1と物品Bを卸すための移載対象のステーション1とを指示している情報としており、掬い用の搬送要求情報と卸し用の搬送要求情報とに大別される。
【0042】
以下に、地上側コントローラ14による荷捌き台車3の運転制御について図5〜図11に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、図5〜図11に示すフローチャートは、地上側コントローラ14が備えるマイクロコンピュータにより実行されるプログラムの内容を示しているが、説明の便宜上、地上側コントローラ14が各処理を実行するものとして説明する。
【0043】
地上側コントローラ14は、図6のフローチャートに示す一連の処理を、所定の動作周期(例えば、1[ms]とする。)毎に繰り返し実行する。なお、一連の処理が完了した後には次の一連の処理を開始するまでに余裕時間(アイドルタイム)が設けられており、次の一連の処理を開始するまで待機状態となる。そして、前記所定の動作周期が到来して、次の一連の処理を開始する時期になると、当該一連の処理で参照される外部からの情報(例えば、位置検出センサ15の検出情報等)が取り込まれるとともに、直前の一連の処理を実行した結果得られた情報(例えば、走行用インバータ7に対する制御指令等)が外部に出力される。
【0044】
図6のフローチャートに示す一連の処理が実行されている最中や、次の一連の処理の開始時期を待機している最中(アイドルタイム期間)のいずれにおいても、地上側コントローラ14に対して搬送要求情報の入力があると、地上側コントローラ14は搬送要求の発生を認識して図5のフローチャートに示す割込み処理S5を実行する。この割込み処理S5では、当該搬送要求情報についての各種データ(掬い用の搬送処理であるか卸し用の搬送処理であるか、移載対象のステーション1はどのステーションであるか等。)を地上側コントローラ14に内蔵された記憶手段へ搬送要求が発生した順にスタックされる。
【0045】
図6の荷捌き台車運転制御について説明する。ステップ#1において、地上側コントローラ14は、ICタグリーダ20の受信状況に基づいて、作業者の最頻度位置Pmを求め、作業者存在範囲Zmを算出して出力する存在位置判定処理S1を実行する。ステップ#2において、記憶手段にスタックされている搬送要求情報の有無をチェックし、搬送要求情報がスタックされていれば、この搬送要求情報についての搬送要求に対しては未だ搬送を担当する荷捌き台車3が引き当てられていないので、当該搬送要求の種類(掬い用搬送要求又は卸し用搬送要求の種別)に応じた引当処理S2又はS3を実行する。(ステップ#3及びステップ#4、又は、ステップ#3及びステップ#5)そして、ステップ#6において、引き当て済みの荷捌き台車3の運転を制御する搬送処理S4を実行する。
【0046】
存在位置判定処理S1について図7に示すフローチャートに基づいて説明する。
ステップ#1において、軌道2に沿って並設された50個のICタグリーダ20の受信状態をチェックする。説明を加えると、地上側コントローラ14が、特定のICタグリーダ20に宛てた受信状態情報要求信号を送信すると。受信状態情報要求信号を受信したICタグリーダ20は、ICタグ21の電波を受信している受信状態であるかどうかを示す受信状態情報を地上側コントローラ14に対して返信する。このようにして、地上側コントローラ14は、特定のICタグリーダ20についての受信状態情報を取得することができる。ステップ#1では、各ICタグリーダ20への受信状態情報要求信号の送信及び受信状態要求情報の受信を繰り返すことにより、すべてのICタグリーダ20についての受信状態情報を取得する。
【0047】
ステップ#2において、ステップ#1で取得した各ICタグリーダ20の受信状態情報に基づいて、各ICタグリーダ20の一定期間における受信状態を表わす受信スコアSC1〜SC50の積算処理を行う。説明を加えると、各ICタグリーダ20の受信状態情報に受信状態であることが示されていれば、該当するICタグリーダ20についての受信スコアSCに「1」を加算する。受信状態であることが示されていなければ、該当するICタグリーダ20についての受信スコアSCに「0」を加算する。2以上のICタグリーダ20が受信状態となっている場合は、該当する全てのICタグリーダ20についての対応する受信スコアSCに「1」が加算されることになる。
【0048】
ステップ#3及びステップ#4により、積算回数カウンタT1の値に基づき、設定処理回数Tcだけ受信スコアSCの積算処理が繰り返され、設定処理回数Tcに一回の頻度で積算された受信スコアSCに基づいて作業者存在範囲Zmが設定される。
【0049】
説明を加えると、作業者存在位置を判別するのに適切な時間間隔(例えば、1[s]間とする。)に相当する設定処理回数Tc(図6の荷捌き台車運転制御の処理周期が1[ms]なので、1000回となる。)だけ存在位置判定処理S1が繰り返し実行されるまで各受信スコアSCが積算され続け、設定処理回数Tcの処理が実行されると、つまり、設定処理回数Tc(1000回)目の存在位置判定処理S1では、ステップ#5〜ステップ#11が実行され、所定期間(1秒)に積算された各受信スコアSC1〜SC50に基づいて作業者存在範囲Zmが更新設定される。
【0050】
ステップ#5〜ステップ#11の処理のうち、ステップ#5及びステップ#11の処理は、作業者存在範囲Zmの次の更新設定処理に備えてカウンタT1及び受信スコアSC1〜SC50をリセットする処理であるので、作業者存在範囲Zmの更新設定は、実質的にはステップ#6〜ステップ#10の処理で行われる。
【0051】
ステップ#6で受信スコアSC1〜SC50の最大値を示す最大受信スコアSCmaxを取得し、ステップ#7で最大受信スコアSCmaxを示すICタグリーダ20の設置位置を、最頻度位置Pmに設定する。説明を加えると、地上側コントローラ14は、最大受信スコアSCmaxを示すICタグリーダ20の設定位置情報を、記憶手段に予め記憶された設定位置情報テーブルを参照し、当該ICタグリーダ20の識別番号等の固有情報に基づいて取得する。設定位置情報テーブルに記憶されている各ICタグリーダ20の設定位置情報は、荷捌き台車3の走行位置と共通の座標系により設定された位置情報であり、軌道2の端部に設定された原点位置P0を基準にした座標系における位置座標の値である。
【0052】
ステップ#8及びステップ#9において、最頻度位置Pmの値に基づいて、作業者存在範囲Zmが算出される。説明を加えると、地上側コントローラ14は、最頻度位置Pmの値に、範囲設定用の固定値Pc(>0)を減算(ステップ#8)及び加算(ステップ#9)して、作業者存在範囲Zmの下端位置Pm1(ステップ#8)及び上端位置Pm2(ステップ#9)を算出する。したがって、上端位置Pm2の値が下端位置Pm1の値より大きい値となり、最頻度位置Pmを中心に、原点位置P0側に固定値Pcだけ離れた位置に下端位置Pm1が、原点位置P0と反対側に固定値Pcだけ離れた位置に上端位置Pm2が位置する(図12参照)。
【0053】
固定値Pcは、作業者がある特定の箇所でメンテナンス作業を行う場合に想定される軌道2の長手方向における移動範囲に基づいて設定される値であり、本実施形態では、実距離にして2[m]に相当する値が設定されている。したがって、作業者存在範囲Zmの幅、つまり、下端位置Pm1と上端位置Pm2との値の差は、最頻度位置Pmの値に拘わらず常に実距離にして4[m]に相当する値となっている。
【0054】
ステップ#10において、ステップ#6〜ステップ#9の処理により算出された下端位置Pm1及び上端位置Pm2の値に基づいて作業者存在範囲Zmが現在の作業者の存在範囲を示す最新のものに更新設定される。以下の説明で、軌道2上の第1位置P1と、原点位置P0からの距離が第1位置P1よりも遠い第2位置P2(つまり、P1<P2の関係にある位置)とを両端とする範囲を〔P1,P2〕又は〔P2,P1〕として表わす場合があるが、いずれの表記であっても、それらが示す軌道2の範囲としては同一のものを示している。この表記方法によると、作業者存在範囲Zmは〔Pm1,Pm2〕又は〔Pm2,Pm1〕で表わされる。
【0055】
なお、作業者が軌道2に存在しない場合には、ステップ#6では受信スコアSC1〜SC50の値が全てゼロとなるが、この場合には、最大受信スコアSCmaxに基づく最頻度位置Pmの値の設定は行われず、最頻度位置Pmの値は固定的に「−Pc」に設定される。つまり、作業者が存在しない場合には、作業者存在範囲Zmとして〔−2×Pc,P0〕の範囲が固定的に設定される。
【0056】
掬い用引当処理S2及び卸し用引当処理S3では、地上側コントローラ14は、掬い用の搬送処理を行うときか或いは卸し用の搬送処理を行うときか、第1荷捌き台車3a及び第2荷捌き台車3bが現在搬送処理中であるか否か、第1荷捌き台車3a及び第2荷捌き台車3bが軌道2上のどこに位置するか、第1荷捌き台車3a及び第2荷捌き台車3bの現在の位置Pa及びPbから移載対象のステーション1に対応する位置Pgに至る範囲Za及びZbに作業者が存在するか否か、などの各種条件に基づいて、第1荷捌き台車3aと第2荷捌き台車3bのうち、搬送要求に係る搬送作業を担当する荷捌き台車3を選択するように構成されている。
【0057】
掬い用の搬送要求に対しての引当処理である掬い用引当処理S2について図8及び図9に示すフローチャートに基づいて説明する。
地上側コントローラ14は、第1荷捌き台車3aに物品Bが載置されている状態であるか否かを第1物品フラグB1のオン・オフで管理し、同様に、第2荷捌き台車3bに物品Bが載置されている状態であるか否かを第2物品フラグB2のオン・オフで管理している。また、第1荷捌き台車3aが、掬い用と卸し用の何れを問わず、ある搬送要求についての搬送作業の最中であるか、或いは搬送作業が完了した待機状態であるかを第1搬送フラグF1のオン・オフで管理し、同様に、第2荷捌き台車3bが、掬い用と卸し用の何れを問わず、ある搬送要求についての搬送作業の最中であるか、或いは搬送作業が完了した待機状態であるかを第2搬送フラグF2のオン・オフで管理している。
【0058】
掬い用引当処理S2では、搬送要求情報に基づく移載対象のステーション1で物品を掬うことができる荷捌き台車3を選択する必要があることから、搬送要求に対して荷捌き台車3を選択する場合、まず、物品Bが載置されていないこと(物品フラグがオフ)が条件となり、次いで、他の搬送処理の最中でない状態、つまり、待機状態であること(搬送フラグがオフ)が条件となる。さらに、荷捌き台車3の現在位置から移載対象のステーション1に至るまでの走行範囲に、軌道2でメンテナンス作業をする作業者が位置しないことが荷捌き台車3の選択条件となっている。
【0059】
なお、荷捌き台車3の現在位置から移載対象のステーション1に至るまでの走行範囲に、待機状態又は搬送作業の最中の他方の荷捌き台車3が存在しないことも条件となっているが、図8及び図9のフローチャートでは省略されている。
【0060】
ステップ#1、ステップ#2、及び、ステップ#7の処理により、第1物品フラグB1及び第2物品フラグB2の値に基づいて、第1荷捌き台車3a及び第2荷捌き台車3bの双方に物品Bが載置されている場合(ステップ#1でNoと判断され、ステップ#7でもNoと判断される場合)、一方にのみ物品Bが載置されている場合のうち第1荷捌き台車3aにのみ物品Bが載置されている場合(ステップ#1でYesと判断され、ステップ#7でNoと判断される場合)、一方にのみ物品Bが載置されている場合のうち第2荷捌き台車3bにのみ物品Bが載置されている場合(ステップ#1でNoと判断され、ステップ#2でYesと判断される場合)、及び、双方ともに物品Bが載置されていない場合(ステップ#1でYesと判断され、ステップ#2でYesと判断される場合)とに判別される。
【0061】
物品Bが載置されていない荷捌き台車3が抽出された後、ステップ#3、ステップ#8、ステップ#12、ステップ#13、及び、ステップ#19の処理により、第1搬送フラグF1及び第2搬送フラグF2の値に基づいて、物品Bが載置されていない荷捌き台車3のうち、待機状態(搬送フラグがオフ)の荷捌き台車3が抽出される。
【0062】
物品Bが載置されておらず且つ待機状態である荷捌き台車3が抽出された後、ステップ#4、ステップ#9、ステップ#14、ステップ#15、ステップ#20、及び、ステップ#23の処理により、抽出された荷捌き台車3のうち、現在の荷捌き台車3の位置(第1荷捌き台車3aの現在の位置Pa又は第2荷捌き台車3bの現在の位置Pb)から搬送要求情報に基づく移載対象のステーション1に対応する位置Pgまでの搬送範囲(Za又はZb)に、作業者存在範囲Zmの一部が含まれないものが抽出される。
【0063】
説明を加えると、例えば、ステップ#1→ステップ#2→ステップ#3→ステップ#4と進んだ場合や、ステップ#1→ステップ#2→ステップ#12→ステップ#13→ステップ#23と進んだ場合には、物品Bが載置されておらず且つ待機状態である荷捌き台車3として第1荷捌き台車3aが抽出されることになり、これらの場合には、ステップ#4及びステップ#23において、第1荷捌き台車3aの搬送範囲Zaと作業者存在範囲Zmの位置関係が図12に示す(イ)〜(ハ)のいずれかの関係にあるときは、作業者存在範囲Zmと第1荷捌き台車3aの搬送範囲Zaとに重なり部分があるとしてYesと判断され、第1荷捌き台車3aは当該搬送要求に関して搬送処理を行う荷捌き台車3として選択されない。一方、第1荷捌き台車3aの搬送範囲Zaと作業者存在範囲Zmの位置関係が図12に示す(ニ)又は(ホ)の関係にあるときは、第1荷捌き台車3aの搬送範囲Zaと作業者存在範囲Zmとに重なり部分がないとしてNoと判断され、次のステップへ移行する。このように、搬送範囲に作業者存在範囲Zmを一部でも含むような搬送要求についての搬送作業に対しては、荷捌き台車3が引き当てられないようになっている。
【0064】
なお、図12における搬送範囲Zaは位置Paと位置Pgの位置関係がPa<Pgであるもの、つまり、〔Pa,Pg〕で表わされるもので示されているが、搬送範囲Zaとしては、位置Paと位置Pgを入れ替えた、位置Paと位置Pgの位置関係がPg<Paであるもの、つまり、〔Pg,Pa〕で表わされるものであっても同様の処理結果が得られる。
【0065】
物品フラグB1及びB2による物品Bの載置状態の条件、搬送フラグF1及びF2による待機状態の条件、及び、作業者存在範囲Zmと搬送範囲Za及びZbとの位置関係の条件を全て満たす荷捌き台車3が抽出できた場合には、該当する荷捌き台車3についての搬送フラグ及び物品フラグがオフからオンに切換えられる(ステップ#5、ステップ#10、及び、ステップ#21)。
【0066】
なお、第1荷捌き台車3a及び第2荷捌き台車3bの双方が上記条件全てを満たす場合(ステップ#1→ステップ#2→ステップ#12→ステップ#13→ステップ#14→ステップ15#→ステップ#16と進む場合)には、当該搬送要求情報に基づく移載対象のステーション1に対応する位置Pgに近い側の荷捌き台車3が抽出され、その荷捌き台車3についての搬送フラグ及び物品フラグがオフからオンに切換えられる(ステップ#16→ステップ#17、又は、ステップ#16→ステップ#21)。
【0067】
このようにして、当該搬送要求に基づく搬送作業を担当する荷捌き台車3が選択されると、ステップ#6、ステップ#11、ステップ#18、及び、ステップ#22において、当該搬送要求についての搬送要求情報に代わって、記憶手段にスタックされている次の順位の搬送要求情報が読み出され、以後の動作周期毎の処理においては、新たに読み出された搬送要求情報が図6のステップ#2での判別処理の対象となる。換言すると、第1荷捌き台車3a又は第2荷捌き台車3bのいずれかの荷捌き台車3aが引き当てられるまで、当該掬い用の搬送要求は、最先順位の搬送要求として残存する。
【0068】
次に、卸し用の搬送要求に対しての引当処理である卸し用引当処理S3について図10に示すフローチャートに基づいて説明する。
卸し用引当処理S3では、地上側コントローラ14は、ステップ#1において、当該卸し用の搬送要求が、第1荷捌き台車3aに移載された物品Bについてのものであるか、第2荷捌き台車3bに移載された物品Bについてのものであるかを、搬送要求情報に基づいて判別する。そして、ステップ#2又はステップ#5において、該当する側の荷捌き台車3についての搬送フラグをチェックし、待機中(搬送フラグF1又はF2がオフ)であれば、次のステップ(ステップ#3又はステップ#6)において、移載対象のステーション1までの搬送範囲(Za又はZb)と作業者存在範囲Zmとの位置関係を比較し、搬送範囲と作業者存在範囲Zmとに重なり部分が無ければ、搬送フラグをオンにする(ステップ#4又はステップ#7)。このように、搬送範囲に作業者存在範囲Zmを一部でも含むような搬送要求についての搬送処理に対しては、荷捌き台車3が引き当てられないようになっている。
【0069】
こうして、ある搬送要求に対していずれかの荷捌き台車3が引き当てられると、ステップ#8において、掬い用引当処理S2と同様に、当該搬送要求についての搬送要求情報に代わって、記憶手段にスタックされている次の順位の搬送要求情報が読み出され、以後の動作周期毎の処理においては、新たに読み出された搬送要求情報が図6のステップ#2での判別処理の対象となる。換言すると、第1荷捌き台車3a又は第2荷捌き台車3bのいずれかの荷捌き台車3aが引き当てられるまで、当該卸し用の搬送要求は、最先順位の搬送要求として残存する。
【0070】
上述した掬い用引当処理S2及び卸し用引当処理S3において、一旦、搬送フラグF1又はF2がオンとなると、その後の動作周期毎の処理においては、搬送フラグがオンである状態が維持され、ある搬送要求に係る搬送作業が引き当てられた荷捌き台車3は、当該搬送要求に係る搬送要求情報に基づいて搬送作業を行う。そして、詳しくは後述するが、その搬送要求に係る搬送作業(移載対象のステーション1に対応する位置Pgへの走行及び当該ステーション1における掬い又は卸しの移載)が完了すると、搬送フラグがオンからオフに変更されるとともに、物品フラグが反転される。
【0071】
搬送処理S4について図11に示すフローチャートに基づいて説明する。ステップ#1〜ステップ#7は第1荷捌き台車3aに関連する処理であり、ステップ#8〜ステップ#14は第2荷捌き台車3bに関連する処理である。両者の処理の内容は全く同様の処理であるので、以下の説明では、第1荷捌き台車3aに関連する処理(ステップ#1〜ステップ#7)について説明する。
【0072】
ステップ#1で第1搬送フラグF1をチェックしオフであれば、第1荷捌き台車3aについての処理は実行されず制御出力は発生しない。第1搬送フラグF1がオンであれば、ステップ#2の走行制御処理を実行する。ステップ#2の走行制御処理では、位置検出センサ15の検出情報に基づいて、第1荷捌き台車3aがステーション1に位置するように第1荷捌き台車3aの走行モータ6の制御値が算出される。
【0073】
第1荷捌き台車3aがステーション1に対応する位置Pgに到達すると、ステップ#3でYesと判断されるので、その後に実行される搬送処理S4では、ステップ#2の走行制御処理に続いてステップ#4の移載制御処理も実行され、搬送要求情報により指定される掬い用又は卸し用の移載作業が行われる。移載作業が完了するまで、ステップ#1→ステップ#2→ステップ#3→ステップ#4→ステップ#5→ステップ#8の流れにより搬送処理S4が実行され、移載作業が完了すると、ステップ#5でYesと判断されるので、ステップ#6及びステップ#7の処理が実行される。
【0074】
ステップ#6では、オンとなっていた第1搬送フラグF1がオフに変更される。これにより、以後の動作周期毎の処理において実行される引当処理S2又はS3において、新たな搬送要求についての搬送作業を担当する荷裁き台車3として引き当てられる条件である、待機中であること、という条件を備えることになる。
【0075】
ステップ#7では、第1物品フラグB1が反転変更される。つまり、掬い用の搬送作業が完了したのであれば、第1荷捌き台車3aは移載対象のステーション1において当該ステーション1から物品Bを移載された状態となっており、第1物品フラグB1はオフからオンに変更される。一方、卸し用の搬送作業が完了したのであれば、第1荷捌き台車3aは移載対象のステーション1において当該ステーション1へ物品Bを移載した状態となっており、第1物品フラグB1はオンからオフに変更される。これにより、以後の動作周期毎の処理において実行される引当処理S2又はS3において、第1荷捌き台車3aは、掬い用及び卸し用の種別が直前の搬送作業とは異なる搬送作業を行えるようになる。
【0076】
このようにして、地上側コントローラ14は、搬送要求が発生した順序にしたがって、作業者の存在位置を外れた範囲において走行させるように物品搬送車の運転を制御するように構成されている。
【0077】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態を説明するが、第1実施形態と同じ構成要素や同じ作用を有する構成要素については、重複説明を避けるために、同じ符号を付すことにより説明を省略し、主として、第1実施形態と異なる構成を説明する。
【0078】
図13に示すように、本発明の第2実施形態に係る物品搬送設備には、第1実施形態におけるICタグリーダ20に代えて、一対の投光器及び受光器から構成される赤外線光センサ20が軌道2の長手方向に沿って複数対設けられている。各光センサ24は通信ネットワークに接続されており、夫々の検出情報が地上側コントローラ14に送信されるように構成されている。
【0079】
赤外線光センサ24は、軌道2の幅方向に沿って受光器に向って投光器が出射する赤外線が作業者により遮断されることにより、受光器が受光状態から非受光状態に遷移する。そして、赤外線光センサ24は、地上側コントローラ14から送信される検出状態情報要求信号を受信すると、検出状態情報を地上側コントローラ14に返信する。
【0080】
第1実施形態における存在位置判定処理と同様に、地上側コントローラ14は、存在位置判定処理S1を実行して、各光センサ24の検出状態に基づいて、各光センサ24についての受信スコアを一定期間に亘って積算し、その結果により作業者存在範囲Zmを設定するように構成されている。なお、軌道2に沿って設置される光センサ24の設置間隔は、軌道2に存在する作業者を確実に検出できるように比較的狭くなっているため、第1実施形態のICタグリーダ20の設置個数よりも多くの光センサ24が設置されている。
【0081】
このように、地上側コントローラ14は、存在位置判定処理S1を実行して、光センサ24の検出情報に基づいて軌道2に存在する作業者の存在位置を判定する。つまり、作業者存否検出用のセンサが、軌道2に沿って並設された光センサ24にて構成されている。
【0082】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態を説明するが、第1実施形態と同じ構成要素や同じ作用を有する構成要素については、重複説明を避けるために、同じ符号を付すことにより説明を省略し、主として、第1実施形態と異なる構成を説明する。
【0083】
第1実施形態では、存在位置入力手段が、作業者携帯用通信装置としてのICタグ21、地上側通信装置としてのICタグリーダ20、及び、地上側コントローラ14が実行する存在位置判定手段としての存在位置判定処理S1により構成されているが、本第3実施形態では、存在位置入力手段が、無線通信機能付きの通信端末25により構成されている。
【0084】
図14に示すように、通信端末25は、持ち運び可能な小型サイズの無線通信端末であり、作業者自らが入力部を操作して英数字等の文字情報を入力できるように構成されている。そして、入力された文字情報を地上側コントローラ14に対して無線送信する無線送信機能を備えている。
【0085】
軌道2の側方の床面には、軌道2の長手方向に沿って、原点位置P0を起点に等間隔を隔てて、「P15」等の位置識別用文字が表示された位置識別用マーク26が複数敷設されている。作業者が軌道2内でメンテナンス作業等を行う場合には、自らの存在位置に最も近い位置識別用マーク26を確認して、その位置識別用マーク26に付された位置識別用文字(例えば「P15」)を通信端末25にて入力する。すると、入力された位置識別用文字の情報が通信端末25から地上側コントローラ14に無線送信される。
【0086】
地上側コントローラ14は、通信装置25から送信された位置識別用文字情報に基づいて、その位置識別用文字情報に対応する位置座標を、テーブル等を参照して取得し、その座標値を最頻度位置Pmに設定する。そして、第1実施形態と同様に、最頻度位置Pmの値に基づく作業者存在範囲Zmの設定が行われる。
【0087】
このように、本実施形態では、存在位置入力手段が、存在位置情報としての位置識別用文字情報を入力自在で、且つ、入力された位置識別用文字情報を地上側コントローラ14に無線通信自在な作業者携帯用の通信端末25により構成されている。
【0088】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(1) 第1実施形態において、搬送処理が引き当てられた荷捌き台車3の搬送作業中に作業者が移動して作業者存在範囲Zmが変化して、搬送範囲Za又はZbと作業者存在範囲Zmとに重なり部分が事後的に生じた場合には、地上側コントローラ14が、該当する荷捌き台車3の走行作動を停止させるように構成してもよい。
具体的には、荷捌き台車運転制御の搬送処理S4において、作業者存在範囲Zmと搬送範囲(Za又はZb)との重なり部分が発生したかどうかを判別し、重なり部分が発生していない場合には、該当する荷捌き台車3の搬送作業を継続させ、重なり部分が発生した場合には、該当する荷捌き台車3の電力停止手段18(図2参照)により走行モータ6への電力の供給を中断し、荷捌き台車3の搬送作業を停止させるように構成してもよい。
(2) 第1実施形態において、ICタグ21を作業者が履く靴22に装備された構成を例示したが、その他の部位、例えば、作業者が頭部に装着するヘルメットにICタグ21が装備されるように構成してもよい。
【0089】
(3) 第2実施形態において、作業者存否検出用のセンサが、一対の投光器と受光器とからなる赤外線光センサ24にて構成されたものを例示したが、作業者存否検出用のセンサは、回帰反射式光センサで構成してもよいし、超音波センサで構成してもよい。
【0090】
(4) 第3実施形態において、位置識別用マーク26が床面に設置されたものを例示したが、その他の箇所に設置されたものでもよい。また、存在位置入力手段としての通信端末25は、手動入力式の入力部に代えてバーコードリーダを備えたものでもよい。この場合、位置識別用マーク26は位置識別用のバーコードが表示されたもので構成される。また、通信端末25は、無線通信式でなくても有線通信式であってもよい。
(5) 第3実施形態において、存在位置入力手段が、位置識別用マーク26に表示された位置識別用文字情報を手動で入力可能な入力部を備えた通信端末25にて構成されたものを例示したが、これに代えて、存在位置入力手段が、位置識別子としてのICタグが送信する無線信号を受信する携帯受信端末としてのICタグリーダにて構成されたものでもよい。
この場合、ICタグは軌道2の長手方向に沿って床面等の地上側に等間隔で複数設けられ、各ICタグが送信する無線信号は、当該ICタグが設置される設置位置に対応する固有の識別情報を含むように構成される。
そして、ICタグリーダは、あるICタグが送信する無線信号を受信すると、その無線信号に含まれる前記固有の識別情報に基づいて、対応するICタグの前記設置位置を判別し、その設置位置についての情報を、軌道2における作業者の存在位置情報として有線通信又は無線通信により地上側コントローラ14へ送信するように構成される。
(6) 上記何れの実施形態においても、物品搬送設備として、物品搬送台車がステーション1間で物品を搬送する荷捌き台車3にて構成されたものを例示したが、これに限らず、例えば、走行経路上を往復移動自在に構成された走行台車と、その走行台車上で昇降移動自在に設けられた物品移載装置を備えて、走行台車の走行移動及び物品移載装置の昇降動移動により、ステーションと収納棚との間で物品の入出庫作業を行うスタッカークレーンにて物品搬送台車が構成された物品搬送設備であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】物品搬送設備の平面図
【図2】制御ブロック図
【図3】軌道周辺に設けられた構造物の高さ関係を示す縦断正面図
【図4】作業者の靴に装備されるICタグと軌道に敷設されたICタグリーダを示す斜視図
【図5】割込み処理のフローチャート
【図6】荷捌き台車運転制御のフローチャート
【図7】存在位置判定処理のフローチャート
【図8】掬い用引当処理のフローチャート
【図9】掬い用引当処理のフローチャート
【図10】卸し用引当処理のフローチャート
【図11】搬送処理のフローチャート
【図12】第1荷捌き台車の搬送範囲Zaと作業者存在範囲Zmの位置関係を説明する図
【図13】第2実施形態における赤外線光センサの設置状態を示す図
【図14】第3実施形態における位置識別用マークの設置状態を示す図
【符号の説明】
【0092】
S1 存在位置判定手段,存在位置入力手段
Zm 存在位置
Pm1,Pm2 存在位置情報
Pg 目標走行位置
1 物品移載箇所
2 走行経路
3,3a,3b 物品搬送車
14 運転制御手段
15 走行位置検出手段
20 地上側通信装置,存在位置入力手段
21 作業者携帯用通信装置,存在位置入力手段
24 作業者存否検出用のセンサ
25 作業者携帯用の通信端末
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品移載箇所に亘る走行経路に沿って走行する物品搬送車の運転を管理する運転制御手段と、前記物品搬送車の前記走行経路上における走行位置を検出する走行位置検出手段とが設けられ、前記運転制御手段が、前記走行位置検出手段の検出情報に基づいて、目標走行位置に走行させるべく前記物品搬送車の運転を制御するように構成された物品搬送設備であって、
前記走行経路内に位置する作業者についての前記走行経路上における存在位置を示す存在位置情報を入力する存在位置入力手段が設けられ、
前記運転制御手段が、前記存在位置入力手段からの前記存在位置情報に基づいて、前記存在位置を外れた範囲において走行させるように前記物品搬送車の運転を制御するように構成されている物品搬送設備。
【請求項2】
前記存在位置入力手段が、前記走行経路長手方向に沿って並設された作業者存否検出用のセンサと、それら作業者存否検出用のセンサの検出情報に基づいて前記存在位置を判定して、前記存在位置情報を前記運転制御手段に出力する存在位置判定手段とから構成されている請求項1記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記存在位置入力手段が、前記存在位置情報を入力自在で、且つ、入力された前記存在位置情報を前記運転制御手段に通信自在な作業者携帯用の通信端末である請求項1記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記存在位置入力手段が、作業者存在位置を判定するための判定用情報を設定通信範囲内に通信する作業者携帯用通信装置、前記走行経路長手方向に沿って並設されて前記作業者携帯用通信装置からの判定用情報を受信する地上側通信装置、及び、その地上側通信装置の受信状況に基づいて前記存在位置を判定して、前記存在位置情報を前記運転制御手段に出力する存在位置判定手段とから構成されている請求項1記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記作業者携帯用通信装置が、作業者の足首相当箇所又は作業者が履く靴に装着されるように構成され、
前記地上側通信装置が、床面又はその近くに設置されている請求項4記載の物品搬送設備。
【請求項1】
複数の物品移載箇所に亘る走行経路に沿って走行する物品搬送車の運転を管理する運転制御手段と、前記物品搬送車の前記走行経路上における走行位置を検出する走行位置検出手段とが設けられ、前記運転制御手段が、前記走行位置検出手段の検出情報に基づいて、目標走行位置に走行させるべく前記物品搬送車の運転を制御するように構成された物品搬送設備であって、
前記走行経路内に位置する作業者についての前記走行経路上における存在位置を示す存在位置情報を入力する存在位置入力手段が設けられ、
前記運転制御手段が、前記存在位置入力手段からの前記存在位置情報に基づいて、前記存在位置を外れた範囲において走行させるように前記物品搬送車の運転を制御するように構成されている物品搬送設備。
【請求項2】
前記存在位置入力手段が、前記走行経路長手方向に沿って並設された作業者存否検出用のセンサと、それら作業者存否検出用のセンサの検出情報に基づいて前記存在位置を判定して、前記存在位置情報を前記運転制御手段に出力する存在位置判定手段とから構成されている請求項1記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記存在位置入力手段が、前記存在位置情報を入力自在で、且つ、入力された前記存在位置情報を前記運転制御手段に通信自在な作業者携帯用の通信端末である請求項1記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記存在位置入力手段が、作業者存在位置を判定するための判定用情報を設定通信範囲内に通信する作業者携帯用通信装置、前記走行経路長手方向に沿って並設されて前記作業者携帯用通信装置からの判定用情報を受信する地上側通信装置、及び、その地上側通信装置の受信状況に基づいて前記存在位置を判定して、前記存在位置情報を前記運転制御手段に出力する存在位置判定手段とから構成されている請求項1記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記作業者携帯用通信装置が、作業者の足首相当箇所又は作業者が履く靴に装着されるように構成され、
前記地上側通信装置が、床面又はその近くに設置されている請求項4記載の物品搬送設備。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−66173(P2007−66173A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−253550(P2005−253550)
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】
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