物品認識装置、物品認識システム、プログラムおよび物品認識方法
【課題】 表面に光沢がある複数の物品をステレオカメラを用いて認識する。
【解決手段】 認識対象の複数の物品からなる物品群を撮像する第1および第2カメラを備えたステレオカメラを制御するカメラ制御部と、物品群を互いに異なる方向から照明する第1ないし第3照明装置を制御する照明制御部と、第1ないし第3照明装置のうちの何れか1つを順次点灯させて、ステレオカメラによってそれぞれ撮像された一対の2次元画像からなる第1ないし第3画像対を取得する撮像処理部と、第1ないし第3画像対に含まれる少なくとも1つの2次元画像から物品をそれぞれ含む領域を抽出する抽出処理部と、領域ごとに、第1ないし第3画像対のうち第1および第2カメラ間の受光量の差が所定値以下である画像対に基づいて物品の3次元画像を生成する3次元化処理部と、3次元画像に基づいて物品を認識して位置・姿勢情報を算出する認識処理部と、を有する。
【解決手段】 認識対象の複数の物品からなる物品群を撮像する第1および第2カメラを備えたステレオカメラを制御するカメラ制御部と、物品群を互いに異なる方向から照明する第1ないし第3照明装置を制御する照明制御部と、第1ないし第3照明装置のうちの何れか1つを順次点灯させて、ステレオカメラによってそれぞれ撮像された一対の2次元画像からなる第1ないし第3画像対を取得する撮像処理部と、第1ないし第3画像対に含まれる少なくとも1つの2次元画像から物品をそれぞれ含む領域を抽出する抽出処理部と、領域ごとに、第1ないし第3画像対のうち第1および第2カメラ間の受光量の差が所定値以下である画像対に基づいて物品の3次元画像を生成する3次元化処理部と、3次元画像に基づいて物品を認識して位置・姿勢情報を算出する認識処理部と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品認識装置、物品認識システム、プログラム、および物品認識方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場の製造ラインなどにおいて様々な産業用ロボットが用いられている。特に、(垂直)多関節ロボットは、人間の腕に近い構造をしているため、種々の作業を人間に代わって行うことができる。
例えば、特許文献1では、カメラによって撮像された物品(ワーク)の画像から把持可能な特定部位を検出し、当該特定部位をロボットハンドによって把持してピックアップするピッキング装置が開示されている。また、例えば、特許文献2では、ワークの認識方法として、相対位置が異なる2つのカメラを備えたステレオカメラによって認識対象のワーク群を撮影し、撮像された一対の2次元画像(画像対)を用いて3次元的な位置や姿勢を決定する方法が開示されている。
このようにして、ステレオカメラによって撮像された画像を3次元化してワークを認識し、得られたワークの位置・姿勢情報をピッキング装置などのロボットの制御に用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−319525号公報
【特許文献2】特開平2−309202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、製造ラインなどで取り扱われるワークは、ワーク全体や表面に金属や樹脂などの光沢材料を用いたものも多く、ワークの表面で反射光がカメラに入射する場合がある。例えば、特許文献1の図2や特許文献2の図1に示されているように、カメラおよび照明装置がともにワーク群の上方に配置され、ワークが山積みまたはバラ積みされてランダムな姿勢をとっている場合、照明光をカメラの方向に正反射するワークも存在し得る。
そして、ワークの認識にステレオカメラを用いる場合、正反射された反射光が一方のカメラに入射すると、撮像された画像対の一方のみに照明装置が映り込み、得られるワークの情報が画像間で大きく異なってしまうため、3次元化が困難な場合がある。また、例えば、各ワークを一定の姿勢で整列させて取り扱う製造ラインの場合であっても、認識対象のワークが複数存在する場合には、ワークの位置によって照明光がカメラの方向に正反射される場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した課題を解決する主たる本発明は、認識対象の複数の物品からなる物品群を撮像する第1および第2のカメラを備えたステレオカメラを制御するカメラ制御部と、前記物品群を互いに異なる方向から照明する第1ないし第3の照明装置を制御する照明制御部と、前記第1ないし第3の照明装置のうちの何れか1つを順次点灯させて、前記ステレオカメラによってそれぞれ撮像された一対の2次元画像からなる第1ないし第3の画像対を取得する撮像処理部と、前記第1ないし第3の画像対に含まれる少なくとも1つの2次元画像から前記物品をそれぞれ含む領域を抽出する抽出処理部と、前記領域ごとに、前記第1ないし第3の画像対のうち前記第1および第2のカメラ間の受光量の差が所定値以下である画像対に基づいて前記物品の3次元画像を生成する3次元化処理部と、前記3次元画像に基づいて前記物品を認識して位置・姿勢情報を算出する認識処理部と、を有することを特徴とする物品認識装置である。
【0006】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表面に光沢がある複数の物品をステレオカメラを用いて認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態における物品認識装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態における物品認識装置を備えた物品認識システム全体の構成の概略を示すブロック図である。
【図3】ステレオカメラ2、および照明装置L1ないしL3の位置関係を示す平面図である。
【図4】ワークの形状の一例を示す斜視図である。
【図5】撮像処理部11の機能(ワーク撮像処理)をコンピュータに実現させるためのプログラムの動作を説明するフローチャートである。
【図6】ワーク撮像処理おける、カメラおよび照明装置と撮像される画像との関係を示す図である。
【図7】抽出処理部14、3次元化処理部15、および認識処理部16の機能(ワーク認識処理)をコンピュータに実現させるためのプログラムの動作を説明するフローチャートである。
【図8】抽出処理部14が画像I11を用いて各ワークを抽出する処理の一例を説明する図である。
【図9】照明装置L1を点灯した場合にワークW2で正反射された反射光がカメラC1に入射する位置関係の一例を示す図である。
【図10】照明装置L2を点灯した場合にワークW2で正反射された反射光がカメラC2に入射する位置関係の一例を示す図である。
【図11】図9および図10に示した位置関係において、照明装置L3を点灯した場合にワークW2で正反射される反射光の一例を示す図である。
【図12】図9ないし図11に示した位置関係において、ワークW2を含む領域におけるカメラC1およびC2の受光量の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
===物品認識システム全体の構成の概略===
以下、図2ないし図4を参照して、後述する本発明の一実施形態における物品認識装置を備えた物品認識システム全体の構成の概略について説明する。なお、図3は、ステレオカメラ2、および照明装置L1ないしL3の位置関係を、ステレオカメラ2側(図2において上側)から見た図である。
【0011】
図2に示されている物品認識システムは、物品認識装置1、ステレオカメラ2、および照明装置L1ないしL3を含んで構成され、一例として、表面に光沢がある8つのワークWn(1≦n≦8)を認識対象とする。また、ステレオカメラ2、および照明装置L1ないしL3は、ワーク群を収納するトレイ9が据え置かれる作業台などの上方に配置されている。なお、各ワークWnは、例えば図4に示す形状をしており、トレイ9内でランダムな姿勢をとっているものとする。
【0012】
ステレオカメラ2は、ワーク群に対する相対位置が異なるカメラC1およびC2(第1および第2のカメラ)を備え、カメラC1およびC2からそれぞれ出力される一対の(2次元)画像Im1およびIm2は、物品認識装置1に入力されている。そして、物品認識装置1からは、認識した各ワークWnの位置・姿勢情報T[Wn]が出力されている。さらに、物品認識装置1は、各カメラおよび各照明装置を制御するための制御信号SC1、SC2、およびSL1ないしSL3も出力している。
【0013】
照明装置L1ないしL3(第1ないし第3の照明装置)は、それぞれ、トレイ9内のワーク群を周囲からリング状に一様に照明することができるリング照明装置であり、一例として、性応答性が良いLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)がリング状に配列されて構成されている。また、照明装置L1ないしL3は、ワーク群を互いに異なる方向から照明することができるよう、互いに異なる高さに配置されている。
【0014】
なお、図2および図3においては、照明装置L1ないしL3は、下段に配置されているものほど径が大きくなっているが、これに限定されるものではない。照明装置L1ないしL3は、ワーク群を照明する際に、互いに陰にならず(照明光を遮らず)、互いに異なる方向から照明するように配置することができれば、同一サイズであってもよい。
【0015】
===物品認識装置の構成===
以下、図1を参照して、本発明の一実施形態における物品認識装置の構成について説明する。
【0016】
図1に示されている物品認識装置1は、撮像処理部11、カメラ制御部12、照明制御部13、抽出処理部14、3次元化処理部15、認識処理部16、および記憶部17を含んで構成されている。
【0017】
撮像処理部11には、画像Im1およびIm2が入力され、当該画像対は、撮像処理部11から抽出処理部14に入力されている。また、撮像処理部11からカメラ制御部12には撮像指令信号IMGが入力され、カメラ制御部12からは、制御信号SC1およびSC2が出力されている。さらに、撮像処理部11から照明制御部13には照明選択信号SELが入力され、照明制御部13からは、制御信号SL1ないしSL3が出力されている。
【0018】
抽出処理部14から3次元化処理部15には、ワークWnを含む領域画像Im1[Wn]およびIm2[Wn]が入力され、3次元化処理部15から出力されるワークWnの3次元画像(情報)Im3[Wn]は、認識処理部16に入力されている。また、記憶部17から認識処理部16には、ワークの形状を表す3次元モデルMDLが入力され、認識処理部16からは、ワークWnの位置・姿勢情報T[Wn]が出力されている。
【0019】
===物品認識装置の動作===
以下、図5ないし図12を適宜参照して、本実施形態における物品認識装置の動作について説明する。
【0020】
物品認識装置1のうち、撮像処理部11、抽出処理部14、3次元化処理部15、および認識処理部16の機能は、例えば、カメラ制御部12、照明制御部13、および記憶部17を備えるコンピュータによって実現することができる。図5および図7は、撮像処理部11、抽出処理部14、3次元化処理部15、および認識処理部16に相当する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムの動作を示している。
【0021】
図5には、撮像処理部11に相当する機能(ワーク撮像処理)が示されている。ワーク撮像処理が開始されると(S11)、各照明装置Lm(1≦m≦3)に対して、S12およびS13の処理が行われる(ループ処理1)。
【0022】
ループ処理1においては、まず、照明装置Lmを選択し、当該照明装置Lmを示す照明選択信号SEL(=m)を照明制御部13に入力する。そして、照明制御部13の制御によって、照明装置Lmを点灯させ、他の照明装置を消灯させる(S12)。
【0023】
次に、照明装置Lmを点灯させた状態で、撮像指令信号IMGをカメラ制御部12に入力する。そして、カメラ制御部12の制御によって、カメラC1およびC2にトレイ9内のワーク群を撮影させ、撮像された画像Im1およびIm2を取得する(S13)。
【0024】
そして、S12およびS13のループ処理1を各照明装置Lmに対して行い、照明装置L1ないしL3のうちの何れか1つを順次点灯させて撮像された画像対をそれぞれ取得することによって、6つの画像(3つの画像対)を取得することができ、ワーク撮像処理を終了する(S14)。なお、図6に示すように、ワーク撮像処理によって、照明装置L1を点灯させて撮像された画像I11およびI12(第1の画像対)、照明装置L2を点灯させて撮像された画像I21およびI22(第2の画像対)、照明装置L3を点灯させて撮像された画像I31およびI32(第3の画像対)が取得される。
【0025】
図7には、抽出処理部14、3次元化処理部15、および認識処理部16に相当する機能(ワーク認識処理)が示されている。ワーク認識処理が開始されると(S21)、まず、ワーク撮像処理で取得した6つの画像のうちの少なくとも1つ(例えば画像I11)を用いて各ワークWnを抽出する(S22)。
【0026】
具体的には、例えば、画像I11から各ワークWnのエッジを抽出し、図8に示すように、各ワークWnを含む領域を抽出して領域画像I11[Wn]を生成する。なお、トレイ9内でワーク同士が重なり合っている場合や接触している場合など、領域画像の一部が重複している場合もある。また、領域画像I11[Wn]は、図8のように画像I11をトリミングしたものではなく、例えば、画像I11においてワークWn以外の部分をマスキングしたものであってもよい。
【0027】
次に、各ワークWn(1≦n≦8)に対して、S23ないしS29の処理が行われる(ループ処理2)。以下においては、一例として、ワークW2(n=2)に対する処理について説明する。
【0028】
ループ処理2においては、まず、m=1として(S23)、照明装置L1を点灯させて撮像された画像I11およびI12を選択し、当該画像対からそれぞれワークW2を含む領域画像I11[W2]およびI12[W2]を生成する(S24)。したがって、S22ないしS24の処理は、抽出処理部14に相当する機能を実現する。
【0029】
具体的には、S22の処理と同様に、例えば、画像I11およびI12からそれぞれワークW2を含む領域を抽出し、ワークW2以外の部分をトリミングまたはマスキングして領域画像I11[W2]およびI12[W2]を生成する。なお、後述するS28の処理において対応点検索および3次元化を行うため、ワークW2を含む領域は、画像I11およびI12において同じ位置およびサイズで抽出する。
【0030】
次に、領域画像I11[W2]およびI12[W2]において、カメラC1およびC2間の受光量差DLを求め、所定の閾値Dthと比較する(S25)。具体的には、例えば、各領域画像に含まれる画素の平均輝度や、各領域画像におけるエピポーラ線上の輝度の変化に基づいて受光量差DLを求めることができる。
【0031】
ここで、一例として、カメラC1、C2、照明装置L1ないしL3、およびワークW2が図9ないし図11のような位置関係となっている場合、図9に示すように、照明装置L1からの照明光がワークW2の表面で正反射された反射光は、カメラC1に入射する。したがって、領域画像I11[W2]においては、ワークW2の表面に照明装置L1が映り込み、領域画像I12[W2]においては、当該映り込みが発生しない。そのため、例えば図12のm=1の場合に示すように、これらの領域画像における輝度(カメラの受光量)は大きく異なる。
【0032】
このように、一方の領域画像に照明装置L1が映り込み、受光量差DLが閾値Dthより大きい場合(S25:NO)には、次に、m=2として(S27)、照明装置L2を点灯させて撮像された画像I21およびI22を選択する。そして、当該画像対からそれぞれワークW2を含む領域画像I21[W2]およびI22[W2]を生成する(S24)。
【0033】
照明装置L2を点灯させた場合、図10に示すように、照明装置L2からの照明光がワークW2の表面で正反射された反射光は、カメラC2に入射する。したがって、領域画像I22[W2]においては、ワークW2の表面に照明装置L2が映り込み、領域画像I21[W2]においては、当該映り込みが発生しない。そのため、例えば図12のm=2の場合に示すように、これらの領域画像における輝度は大きく異なる。
【0034】
このように、一方の領域画像に照明装置L2が映り込み、受光量差DLが閾値Dthより大きい場合(S25:NO)には、次に、m=3として(S27)、照明装置L3を点灯させて撮像された画像I31およびI32を選択する。そして、当該画像対からそれぞれワークW2を含む領域画像I31[W2]およびI32[W2]を生成する(S24)。
【0035】
照明装置L3を点灯させた場合、図11に示すように、照明装置L3からの照明光がワークW2の表面で正反射された反射光は、カメラC1およびC2のいずれにも入射しない。したがって、領域画像I31[W2]およびI32[W2]のいずれにおいてもワークW2の表面における照明装置L2の映り込みが発生しない。そのため、例えば図12のm=3の場合に示すように、これらの領域画像における輝度は同程度となる。
【0036】
このように、いずれの領域画像においても照明装置L3の映り込みが発生せず、受光量差DLが閾値Dth以下である場合(S25:YES)には、領域画像I31[W2]およびI32[W2]を用いて対応点検索および3次元化を行う(S28)。具体的には、例えば図12に示すように、領域画像I31[W2]のエピポーラ線EP1上の注目点AおよびBに対して、領域画像I32[W2]のエピポーラ線EP2上で対応点A’およびB’をそれぞれ検索する。そして、得られた画像間の視差に基づいてワークW2の3次元画像I33[W2]を生成する。
【0037】
以上のように、照明装置L1ないしL3をそれぞれ点灯させた場合の一対の領域画像のうち、照明装置の映り込みがなく、DL≦Dthとなる領域画像I31[W2]およびI32[W2]に基づいてワークW2の3次元画像I33[W2]を生成する。したがって、S25ないしS28の処理は、3次元化処理部15に相当する機能を実現する。
【0038】
ここで、本実施形態の物品認識システムは、ワーク群を互いに異なる方向から照明する3つの照明装置L1ないしL3を備えている。そのため、例えば図9および図10に示したように、一方の領域画像に映り込みが発生する照明装置とカメラとの組み合わせが存在する場合であっても、例えば図11に示したように、いずれの領域画像においても映り込みが発生しない照明装置が少なくとも1つ存在する。なお、S26の処理は、照明装置L1ないしL3のいずれを点灯させた場合においても一方の領域画像に映り込みが発生している場合(S26:YES)の例外処理であり、必須のものではない。
【0039】
次に、生成されたワークW2の3次元画像I33[W2]を、記憶部17に記憶されている3次元モデルMDLと照合して、ワークW2を認識し、位置・姿勢情報T[W2]を算出する(S29)。したがって、当該S9の処理は、制御部17に相当する機能を実現する。
【0040】
そして、S23ないしS29のループ処理2を各ワークWnに対して行うことによって、ワークW1ないしW8をすべて認識して、それぞれ位置・姿勢情報T[W1]ないしT[W8]を算出することができ、処理を終了する(S30)。
【0041】
前述したように、物品認識装置1において、ワーク(物品)群を互いに異なる方向から照明する照明装置L1ないしL3のうちの何れか1つを順次点灯させて撮像された画像対をそれぞれ取得することによって、照明装置の映り込みがなく、カメラC1およびC2間の受光量差DLが所定の閾値Dth以下である少なくとも一対の領域画像を得ることができ、当該一対の領域画像を用いて生成される3次元画像に基づいて、表面に光沢があるワークWn(1≦n≦8)をステレオカメラ2を用いて認識することができる。
【0042】
また、一対の領域画像を用いて生成された3次元画像をワークの形状を表す3次元モデルMDLと照合することによって、ワークWnを認識し、位置・姿勢情報T[Wn]を算出することができる。
【0043】
また、各領域画像に含まれる画素の平均輝度や、各領域画像におけるエピポーラ線上の輝度の変化に基づいて受光量差DLを求めることによって、当該受光量差DLを閾値Dthと比較して照明装置の映り込みがない一対の領域画像を選択し、3次元画像の生成に用いることができる。
【0044】
また、図2および図3に示した物品認識システムにおいて、照明制御部13の制御によって照明装置L1ないしL3を点灯または消灯させ、カメラ制御部12の制御によってカメラC1およびC2にワーク群を撮影させることによって、ワーク群を互いに異なる方向から照明して撮像された画像対をそれぞれ取得することができる。
【0045】
また、照明装置L1ないしL3として、ワーク群を周囲からリング状に一様に照明するリング照明装置を用いて、互いに異なる高さに配置することによって、ワーク群を互いに異なる方向から照明することができる。
【0046】
また、物品認識装置1の少なくとも撮像処理部11、抽出処理部14、3次元化処理部15、および認識処理部16に相当する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムにおいて、ワーク群を互いに異なる方向から照明する照明装置L1ないしL3のうちの何れか1つを順次点灯させて撮像された画像対をそれぞれ取得することによって、照明装置の映り込みがない一対の領域画像を用いて生成される3次元画像に基づいて、表面に光沢があるワークWnをステレオカメラ2を用いて認識することができる。
【0047】
また、照明装置L1ないしL3を点灯または消灯させて、ワーク群を互いに異なる方向から照明し、ステレオカメラ2によってそれぞれ撮影させることによって、照明装置の映り込みがない少なくとも一対の領域画像を得ることができ、当該一対の領域画像を用いて生成される3次元画像に基づいて、表面に光沢があるワークWnを認識することができる。
【0048】
なお、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0049】
上記実施形態では、物品認識システムは、2つのカメラC1およびC2を備えたステレオカメラ2、および3つの照明装置L1ないしL3を備えているが、これに限定されるものではない。例えば、3つ以上のカメラを備え、認識対象のワークの位置などに応じて適宜選択した2つのカメラによって撮像された一対の2次元画像を出力するステレオカメラを用いることもできる。また、例えば、3つ以上のカメラによって撮像されたk個(k≧3)の2次元画像(画像セット)に基づいてワークの3次元画像を生成してもよい。そして、この場合には、(k+1)個の照明装置を用いることによって、照明装置の映り込みがない少なくとも1組の画像セットを得ることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 物品認識装置
2 ステレオカメラ
9 トレイ
11 撮像処理部
12 カメラ制御部
13 照明制御部
14 抽出処理部
15 3次元化処理部
16 認識処理部
17 記憶部
C1、C2 カメラ
L1〜L3 照明装置
W1〜W8 ワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品認識装置、物品認識システム、プログラム、および物品認識方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場の製造ラインなどにおいて様々な産業用ロボットが用いられている。特に、(垂直)多関節ロボットは、人間の腕に近い構造をしているため、種々の作業を人間に代わって行うことができる。
例えば、特許文献1では、カメラによって撮像された物品(ワーク)の画像から把持可能な特定部位を検出し、当該特定部位をロボットハンドによって把持してピックアップするピッキング装置が開示されている。また、例えば、特許文献2では、ワークの認識方法として、相対位置が異なる2つのカメラを備えたステレオカメラによって認識対象のワーク群を撮影し、撮像された一対の2次元画像(画像対)を用いて3次元的な位置や姿勢を決定する方法が開示されている。
このようにして、ステレオカメラによって撮像された画像を3次元化してワークを認識し、得られたワークの位置・姿勢情報をピッキング装置などのロボットの制御に用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−319525号公報
【特許文献2】特開平2−309202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、製造ラインなどで取り扱われるワークは、ワーク全体や表面に金属や樹脂などの光沢材料を用いたものも多く、ワークの表面で反射光がカメラに入射する場合がある。例えば、特許文献1の図2や特許文献2の図1に示されているように、カメラおよび照明装置がともにワーク群の上方に配置され、ワークが山積みまたはバラ積みされてランダムな姿勢をとっている場合、照明光をカメラの方向に正反射するワークも存在し得る。
そして、ワークの認識にステレオカメラを用いる場合、正反射された反射光が一方のカメラに入射すると、撮像された画像対の一方のみに照明装置が映り込み、得られるワークの情報が画像間で大きく異なってしまうため、3次元化が困難な場合がある。また、例えば、各ワークを一定の姿勢で整列させて取り扱う製造ラインの場合であっても、認識対象のワークが複数存在する場合には、ワークの位置によって照明光がカメラの方向に正反射される場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した課題を解決する主たる本発明は、認識対象の複数の物品からなる物品群を撮像する第1および第2のカメラを備えたステレオカメラを制御するカメラ制御部と、前記物品群を互いに異なる方向から照明する第1ないし第3の照明装置を制御する照明制御部と、前記第1ないし第3の照明装置のうちの何れか1つを順次点灯させて、前記ステレオカメラによってそれぞれ撮像された一対の2次元画像からなる第1ないし第3の画像対を取得する撮像処理部と、前記第1ないし第3の画像対に含まれる少なくとも1つの2次元画像から前記物品をそれぞれ含む領域を抽出する抽出処理部と、前記領域ごとに、前記第1ないし第3の画像対のうち前記第1および第2のカメラ間の受光量の差が所定値以下である画像対に基づいて前記物品の3次元画像を生成する3次元化処理部と、前記3次元画像に基づいて前記物品を認識して位置・姿勢情報を算出する認識処理部と、を有することを特徴とする物品認識装置である。
【0006】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表面に光沢がある複数の物品をステレオカメラを用いて認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態における物品認識装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態における物品認識装置を備えた物品認識システム全体の構成の概略を示すブロック図である。
【図3】ステレオカメラ2、および照明装置L1ないしL3の位置関係を示す平面図である。
【図4】ワークの形状の一例を示す斜視図である。
【図5】撮像処理部11の機能(ワーク撮像処理)をコンピュータに実現させるためのプログラムの動作を説明するフローチャートである。
【図6】ワーク撮像処理おける、カメラおよび照明装置と撮像される画像との関係を示す図である。
【図7】抽出処理部14、3次元化処理部15、および認識処理部16の機能(ワーク認識処理)をコンピュータに実現させるためのプログラムの動作を説明するフローチャートである。
【図8】抽出処理部14が画像I11を用いて各ワークを抽出する処理の一例を説明する図である。
【図9】照明装置L1を点灯した場合にワークW2で正反射された反射光がカメラC1に入射する位置関係の一例を示す図である。
【図10】照明装置L2を点灯した場合にワークW2で正反射された反射光がカメラC2に入射する位置関係の一例を示す図である。
【図11】図9および図10に示した位置関係において、照明装置L3を点灯した場合にワークW2で正反射される反射光の一例を示す図である。
【図12】図9ないし図11に示した位置関係において、ワークW2を含む領域におけるカメラC1およびC2の受光量の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
===物品認識システム全体の構成の概略===
以下、図2ないし図4を参照して、後述する本発明の一実施形態における物品認識装置を備えた物品認識システム全体の構成の概略について説明する。なお、図3は、ステレオカメラ2、および照明装置L1ないしL3の位置関係を、ステレオカメラ2側(図2において上側)から見た図である。
【0011】
図2に示されている物品認識システムは、物品認識装置1、ステレオカメラ2、および照明装置L1ないしL3を含んで構成され、一例として、表面に光沢がある8つのワークWn(1≦n≦8)を認識対象とする。また、ステレオカメラ2、および照明装置L1ないしL3は、ワーク群を収納するトレイ9が据え置かれる作業台などの上方に配置されている。なお、各ワークWnは、例えば図4に示す形状をしており、トレイ9内でランダムな姿勢をとっているものとする。
【0012】
ステレオカメラ2は、ワーク群に対する相対位置が異なるカメラC1およびC2(第1および第2のカメラ)を備え、カメラC1およびC2からそれぞれ出力される一対の(2次元)画像Im1およびIm2は、物品認識装置1に入力されている。そして、物品認識装置1からは、認識した各ワークWnの位置・姿勢情報T[Wn]が出力されている。さらに、物品認識装置1は、各カメラおよび各照明装置を制御するための制御信号SC1、SC2、およびSL1ないしSL3も出力している。
【0013】
照明装置L1ないしL3(第1ないし第3の照明装置)は、それぞれ、トレイ9内のワーク群を周囲からリング状に一様に照明することができるリング照明装置であり、一例として、性応答性が良いLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)がリング状に配列されて構成されている。また、照明装置L1ないしL3は、ワーク群を互いに異なる方向から照明することができるよう、互いに異なる高さに配置されている。
【0014】
なお、図2および図3においては、照明装置L1ないしL3は、下段に配置されているものほど径が大きくなっているが、これに限定されるものではない。照明装置L1ないしL3は、ワーク群を照明する際に、互いに陰にならず(照明光を遮らず)、互いに異なる方向から照明するように配置することができれば、同一サイズであってもよい。
【0015】
===物品認識装置の構成===
以下、図1を参照して、本発明の一実施形態における物品認識装置の構成について説明する。
【0016】
図1に示されている物品認識装置1は、撮像処理部11、カメラ制御部12、照明制御部13、抽出処理部14、3次元化処理部15、認識処理部16、および記憶部17を含んで構成されている。
【0017】
撮像処理部11には、画像Im1およびIm2が入力され、当該画像対は、撮像処理部11から抽出処理部14に入力されている。また、撮像処理部11からカメラ制御部12には撮像指令信号IMGが入力され、カメラ制御部12からは、制御信号SC1およびSC2が出力されている。さらに、撮像処理部11から照明制御部13には照明選択信号SELが入力され、照明制御部13からは、制御信号SL1ないしSL3が出力されている。
【0018】
抽出処理部14から3次元化処理部15には、ワークWnを含む領域画像Im1[Wn]およびIm2[Wn]が入力され、3次元化処理部15から出力されるワークWnの3次元画像(情報)Im3[Wn]は、認識処理部16に入力されている。また、記憶部17から認識処理部16には、ワークの形状を表す3次元モデルMDLが入力され、認識処理部16からは、ワークWnの位置・姿勢情報T[Wn]が出力されている。
【0019】
===物品認識装置の動作===
以下、図5ないし図12を適宜参照して、本実施形態における物品認識装置の動作について説明する。
【0020】
物品認識装置1のうち、撮像処理部11、抽出処理部14、3次元化処理部15、および認識処理部16の機能は、例えば、カメラ制御部12、照明制御部13、および記憶部17を備えるコンピュータによって実現することができる。図5および図7は、撮像処理部11、抽出処理部14、3次元化処理部15、および認識処理部16に相当する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムの動作を示している。
【0021】
図5には、撮像処理部11に相当する機能(ワーク撮像処理)が示されている。ワーク撮像処理が開始されると(S11)、各照明装置Lm(1≦m≦3)に対して、S12およびS13の処理が行われる(ループ処理1)。
【0022】
ループ処理1においては、まず、照明装置Lmを選択し、当該照明装置Lmを示す照明選択信号SEL(=m)を照明制御部13に入力する。そして、照明制御部13の制御によって、照明装置Lmを点灯させ、他の照明装置を消灯させる(S12)。
【0023】
次に、照明装置Lmを点灯させた状態で、撮像指令信号IMGをカメラ制御部12に入力する。そして、カメラ制御部12の制御によって、カメラC1およびC2にトレイ9内のワーク群を撮影させ、撮像された画像Im1およびIm2を取得する(S13)。
【0024】
そして、S12およびS13のループ処理1を各照明装置Lmに対して行い、照明装置L1ないしL3のうちの何れか1つを順次点灯させて撮像された画像対をそれぞれ取得することによって、6つの画像(3つの画像対)を取得することができ、ワーク撮像処理を終了する(S14)。なお、図6に示すように、ワーク撮像処理によって、照明装置L1を点灯させて撮像された画像I11およびI12(第1の画像対)、照明装置L2を点灯させて撮像された画像I21およびI22(第2の画像対)、照明装置L3を点灯させて撮像された画像I31およびI32(第3の画像対)が取得される。
【0025】
図7には、抽出処理部14、3次元化処理部15、および認識処理部16に相当する機能(ワーク認識処理)が示されている。ワーク認識処理が開始されると(S21)、まず、ワーク撮像処理で取得した6つの画像のうちの少なくとも1つ(例えば画像I11)を用いて各ワークWnを抽出する(S22)。
【0026】
具体的には、例えば、画像I11から各ワークWnのエッジを抽出し、図8に示すように、各ワークWnを含む領域を抽出して領域画像I11[Wn]を生成する。なお、トレイ9内でワーク同士が重なり合っている場合や接触している場合など、領域画像の一部が重複している場合もある。また、領域画像I11[Wn]は、図8のように画像I11をトリミングしたものではなく、例えば、画像I11においてワークWn以外の部分をマスキングしたものであってもよい。
【0027】
次に、各ワークWn(1≦n≦8)に対して、S23ないしS29の処理が行われる(ループ処理2)。以下においては、一例として、ワークW2(n=2)に対する処理について説明する。
【0028】
ループ処理2においては、まず、m=1として(S23)、照明装置L1を点灯させて撮像された画像I11およびI12を選択し、当該画像対からそれぞれワークW2を含む領域画像I11[W2]およびI12[W2]を生成する(S24)。したがって、S22ないしS24の処理は、抽出処理部14に相当する機能を実現する。
【0029】
具体的には、S22の処理と同様に、例えば、画像I11およびI12からそれぞれワークW2を含む領域を抽出し、ワークW2以外の部分をトリミングまたはマスキングして領域画像I11[W2]およびI12[W2]を生成する。なお、後述するS28の処理において対応点検索および3次元化を行うため、ワークW2を含む領域は、画像I11およびI12において同じ位置およびサイズで抽出する。
【0030】
次に、領域画像I11[W2]およびI12[W2]において、カメラC1およびC2間の受光量差DLを求め、所定の閾値Dthと比較する(S25)。具体的には、例えば、各領域画像に含まれる画素の平均輝度や、各領域画像におけるエピポーラ線上の輝度の変化に基づいて受光量差DLを求めることができる。
【0031】
ここで、一例として、カメラC1、C2、照明装置L1ないしL3、およびワークW2が図9ないし図11のような位置関係となっている場合、図9に示すように、照明装置L1からの照明光がワークW2の表面で正反射された反射光は、カメラC1に入射する。したがって、領域画像I11[W2]においては、ワークW2の表面に照明装置L1が映り込み、領域画像I12[W2]においては、当該映り込みが発生しない。そのため、例えば図12のm=1の場合に示すように、これらの領域画像における輝度(カメラの受光量)は大きく異なる。
【0032】
このように、一方の領域画像に照明装置L1が映り込み、受光量差DLが閾値Dthより大きい場合(S25:NO)には、次に、m=2として(S27)、照明装置L2を点灯させて撮像された画像I21およびI22を選択する。そして、当該画像対からそれぞれワークW2を含む領域画像I21[W2]およびI22[W2]を生成する(S24)。
【0033】
照明装置L2を点灯させた場合、図10に示すように、照明装置L2からの照明光がワークW2の表面で正反射された反射光は、カメラC2に入射する。したがって、領域画像I22[W2]においては、ワークW2の表面に照明装置L2が映り込み、領域画像I21[W2]においては、当該映り込みが発生しない。そのため、例えば図12のm=2の場合に示すように、これらの領域画像における輝度は大きく異なる。
【0034】
このように、一方の領域画像に照明装置L2が映り込み、受光量差DLが閾値Dthより大きい場合(S25:NO)には、次に、m=3として(S27)、照明装置L3を点灯させて撮像された画像I31およびI32を選択する。そして、当該画像対からそれぞれワークW2を含む領域画像I31[W2]およびI32[W2]を生成する(S24)。
【0035】
照明装置L3を点灯させた場合、図11に示すように、照明装置L3からの照明光がワークW2の表面で正反射された反射光は、カメラC1およびC2のいずれにも入射しない。したがって、領域画像I31[W2]およびI32[W2]のいずれにおいてもワークW2の表面における照明装置L2の映り込みが発生しない。そのため、例えば図12のm=3の場合に示すように、これらの領域画像における輝度は同程度となる。
【0036】
このように、いずれの領域画像においても照明装置L3の映り込みが発生せず、受光量差DLが閾値Dth以下である場合(S25:YES)には、領域画像I31[W2]およびI32[W2]を用いて対応点検索および3次元化を行う(S28)。具体的には、例えば図12に示すように、領域画像I31[W2]のエピポーラ線EP1上の注目点AおよびBに対して、領域画像I32[W2]のエピポーラ線EP2上で対応点A’およびB’をそれぞれ検索する。そして、得られた画像間の視差に基づいてワークW2の3次元画像I33[W2]を生成する。
【0037】
以上のように、照明装置L1ないしL3をそれぞれ点灯させた場合の一対の領域画像のうち、照明装置の映り込みがなく、DL≦Dthとなる領域画像I31[W2]およびI32[W2]に基づいてワークW2の3次元画像I33[W2]を生成する。したがって、S25ないしS28の処理は、3次元化処理部15に相当する機能を実現する。
【0038】
ここで、本実施形態の物品認識システムは、ワーク群を互いに異なる方向から照明する3つの照明装置L1ないしL3を備えている。そのため、例えば図9および図10に示したように、一方の領域画像に映り込みが発生する照明装置とカメラとの組み合わせが存在する場合であっても、例えば図11に示したように、いずれの領域画像においても映り込みが発生しない照明装置が少なくとも1つ存在する。なお、S26の処理は、照明装置L1ないしL3のいずれを点灯させた場合においても一方の領域画像に映り込みが発生している場合(S26:YES)の例外処理であり、必須のものではない。
【0039】
次に、生成されたワークW2の3次元画像I33[W2]を、記憶部17に記憶されている3次元モデルMDLと照合して、ワークW2を認識し、位置・姿勢情報T[W2]を算出する(S29)。したがって、当該S9の処理は、制御部17に相当する機能を実現する。
【0040】
そして、S23ないしS29のループ処理2を各ワークWnに対して行うことによって、ワークW1ないしW8をすべて認識して、それぞれ位置・姿勢情報T[W1]ないしT[W8]を算出することができ、処理を終了する(S30)。
【0041】
前述したように、物品認識装置1において、ワーク(物品)群を互いに異なる方向から照明する照明装置L1ないしL3のうちの何れか1つを順次点灯させて撮像された画像対をそれぞれ取得することによって、照明装置の映り込みがなく、カメラC1およびC2間の受光量差DLが所定の閾値Dth以下である少なくとも一対の領域画像を得ることができ、当該一対の領域画像を用いて生成される3次元画像に基づいて、表面に光沢があるワークWn(1≦n≦8)をステレオカメラ2を用いて認識することができる。
【0042】
また、一対の領域画像を用いて生成された3次元画像をワークの形状を表す3次元モデルMDLと照合することによって、ワークWnを認識し、位置・姿勢情報T[Wn]を算出することができる。
【0043】
また、各領域画像に含まれる画素の平均輝度や、各領域画像におけるエピポーラ線上の輝度の変化に基づいて受光量差DLを求めることによって、当該受光量差DLを閾値Dthと比較して照明装置の映り込みがない一対の領域画像を選択し、3次元画像の生成に用いることができる。
【0044】
また、図2および図3に示した物品認識システムにおいて、照明制御部13の制御によって照明装置L1ないしL3を点灯または消灯させ、カメラ制御部12の制御によってカメラC1およびC2にワーク群を撮影させることによって、ワーク群を互いに異なる方向から照明して撮像された画像対をそれぞれ取得することができる。
【0045】
また、照明装置L1ないしL3として、ワーク群を周囲からリング状に一様に照明するリング照明装置を用いて、互いに異なる高さに配置することによって、ワーク群を互いに異なる方向から照明することができる。
【0046】
また、物品認識装置1の少なくとも撮像処理部11、抽出処理部14、3次元化処理部15、および認識処理部16に相当する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムにおいて、ワーク群を互いに異なる方向から照明する照明装置L1ないしL3のうちの何れか1つを順次点灯させて撮像された画像対をそれぞれ取得することによって、照明装置の映り込みがない一対の領域画像を用いて生成される3次元画像に基づいて、表面に光沢があるワークWnをステレオカメラ2を用いて認識することができる。
【0047】
また、照明装置L1ないしL3を点灯または消灯させて、ワーク群を互いに異なる方向から照明し、ステレオカメラ2によってそれぞれ撮影させることによって、照明装置の映り込みがない少なくとも一対の領域画像を得ることができ、当該一対の領域画像を用いて生成される3次元画像に基づいて、表面に光沢があるワークWnを認識することができる。
【0048】
なお、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0049】
上記実施形態では、物品認識システムは、2つのカメラC1およびC2を備えたステレオカメラ2、および3つの照明装置L1ないしL3を備えているが、これに限定されるものではない。例えば、3つ以上のカメラを備え、認識対象のワークの位置などに応じて適宜選択した2つのカメラによって撮像された一対の2次元画像を出力するステレオカメラを用いることもできる。また、例えば、3つ以上のカメラによって撮像されたk個(k≧3)の2次元画像(画像セット)に基づいてワークの3次元画像を生成してもよい。そして、この場合には、(k+1)個の照明装置を用いることによって、照明装置の映り込みがない少なくとも1組の画像セットを得ることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 物品認識装置
2 ステレオカメラ
9 トレイ
11 撮像処理部
12 カメラ制御部
13 照明制御部
14 抽出処理部
15 3次元化処理部
16 認識処理部
17 記憶部
C1、C2 カメラ
L1〜L3 照明装置
W1〜W8 ワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
認識対象の複数の物品からなる物品群を撮像する第1および第2のカメラを備えたステレオカメラを制御するカメラ制御部と、
前記物品群を互いに異なる方向から照明する第1ないし第3の照明装置を制御する照明制御部と、
前記第1ないし第3の照明装置のうちの何れか1つを順次点灯させて、前記ステレオカメラによってそれぞれ撮像された一対の2次元画像からなる第1ないし第3の画像対を取得する撮像処理部と、
前記第1ないし第3の画像対に含まれる少なくとも1つの2次元画像から前記物品をそれぞれ含む領域を抽出する抽出処理部と、
前記領域ごとに、前記第1ないし第3の画像対のうち前記第1および第2のカメラ間の受光量の差が所定値以下である画像対に基づいて前記物品の3次元画像を生成する3次元化処理部と、
前記3次元画像に基づいて前記物品を認識して位置・姿勢情報を算出する認識処理部と、
を有することを特徴とする物品認識装置。
【請求項2】
前記物品の形状を表す3次元モデルが記憶されている記憶部をさらに有し、
前記認識処理部は、前記3次元画像を前記3次元モデルと照合して前記位置・姿勢情報を算出することを特徴とする請求項1に記載の物品認識装置。
【請求項3】
前記3次元化処理部は、前記一対の2次元画像にそれぞれ含まれる画素の輝度に基づいて前記受光量の差を求めることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の物品認識装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れかに記載の物品認識装置と、
前記カメラ制御部の制御によって前記物品群を撮影して前記一対の2次元画像を出力する前記ステレオカメラと、
前記照明制御部の制御によって前記物品群を照明する前記第1ないし第3の照明装置と、
を備えることを特徴とする物品認識システム。
【請求項5】
前記第1ないし第3の照明装置は、互いに異なる高さから前記物品群をリング状に照明するリング照明装置であることを特徴とする請求項4に記載の物品認識システム。
【請求項6】
認識対象の複数の物品からなる物品群を撮像する第1および第2のカメラを備えたステレオカメラを制御するカメラ制御部と、
前記物品群を互いに異なる方向から照明する第1ないし第3の照明装置を制御する照明制御部と、
を備えるコンピュータに、
前記第1ないし第3の照明装置のうちの何れか1つを順次点灯させて、前記ステレオカメラによってそれぞれ撮像された一対の2次元画像からなる第1ないし第3の画像対を取得する機能と、
前記第1ないし第3の画像対に含まれる少なくとも1つの2次元画像から前記物品をそれぞれ含む領域を抽出する機能と、
前記領域ごとに、前記第1ないし第3の画像対のうち前記第1および第2のカメラ間の受光量の差が所定値以下である画像対に基づいて前記物品の3次元画像を生成する機能と、
前記3次元画像に基づいて前記物品を認識して位置・姿勢情報を算出する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項7】
認識対象の複数の物品からなる物品群を互いに異なる方向から照明する第1ないし第3の照明装置のうちの何れか1つを順次点灯させて、前記物品群を撮像する第1および第2のカメラを備えたステレオカメラによってそれぞれ撮像された一対の2次元画像からなる第1ないし第3の画像対を取得し、
前記第1ないし第3の画像対に含まれる少なくとも1つの2次元画像から前記物品をそれぞれ含む領域を抽出し、
前記領域ごとに、前記第1ないし第3の画像対のうち前記第1および第2のカメラ間の受光量の差が所定値以下である画像対に基づいて前記物品の3次元画像を生成し、
前記3次元画像に基づいて前記物品を認識して位置・姿勢情報を算出することを特徴とする物品認識方法。
【請求項1】
認識対象の複数の物品からなる物品群を撮像する第1および第2のカメラを備えたステレオカメラを制御するカメラ制御部と、
前記物品群を互いに異なる方向から照明する第1ないし第3の照明装置を制御する照明制御部と、
前記第1ないし第3の照明装置のうちの何れか1つを順次点灯させて、前記ステレオカメラによってそれぞれ撮像された一対の2次元画像からなる第1ないし第3の画像対を取得する撮像処理部と、
前記第1ないし第3の画像対に含まれる少なくとも1つの2次元画像から前記物品をそれぞれ含む領域を抽出する抽出処理部と、
前記領域ごとに、前記第1ないし第3の画像対のうち前記第1および第2のカメラ間の受光量の差が所定値以下である画像対に基づいて前記物品の3次元画像を生成する3次元化処理部と、
前記3次元画像に基づいて前記物品を認識して位置・姿勢情報を算出する認識処理部と、
を有することを特徴とする物品認識装置。
【請求項2】
前記物品の形状を表す3次元モデルが記憶されている記憶部をさらに有し、
前記認識処理部は、前記3次元画像を前記3次元モデルと照合して前記位置・姿勢情報を算出することを特徴とする請求項1に記載の物品認識装置。
【請求項3】
前記3次元化処理部は、前記一対の2次元画像にそれぞれ含まれる画素の輝度に基づいて前記受光量の差を求めることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の物品認識装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れかに記載の物品認識装置と、
前記カメラ制御部の制御によって前記物品群を撮影して前記一対の2次元画像を出力する前記ステレオカメラと、
前記照明制御部の制御によって前記物品群を照明する前記第1ないし第3の照明装置と、
を備えることを特徴とする物品認識システム。
【請求項5】
前記第1ないし第3の照明装置は、互いに異なる高さから前記物品群をリング状に照明するリング照明装置であることを特徴とする請求項4に記載の物品認識システム。
【請求項6】
認識対象の複数の物品からなる物品群を撮像する第1および第2のカメラを備えたステレオカメラを制御するカメラ制御部と、
前記物品群を互いに異なる方向から照明する第1ないし第3の照明装置を制御する照明制御部と、
を備えるコンピュータに、
前記第1ないし第3の照明装置のうちの何れか1つを順次点灯させて、前記ステレオカメラによってそれぞれ撮像された一対の2次元画像からなる第1ないし第3の画像対を取得する機能と、
前記第1ないし第3の画像対に含まれる少なくとも1つの2次元画像から前記物品をそれぞれ含む領域を抽出する機能と、
前記領域ごとに、前記第1ないし第3の画像対のうち前記第1および第2のカメラ間の受光量の差が所定値以下である画像対に基づいて前記物品の3次元画像を生成する機能と、
前記3次元画像に基づいて前記物品を認識して位置・姿勢情報を算出する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項7】
認識対象の複数の物品からなる物品群を互いに異なる方向から照明する第1ないし第3の照明装置のうちの何れか1つを順次点灯させて、前記物品群を撮像する第1および第2のカメラを備えたステレオカメラによってそれぞれ撮像された一対の2次元画像からなる第1ないし第3の画像対を取得し、
前記第1ないし第3の画像対に含まれる少なくとも1つの2次元画像から前記物品をそれぞれ含む領域を抽出し、
前記領域ごとに、前記第1ないし第3の画像対のうち前記第1および第2のカメラ間の受光量の差が所定値以下である画像対に基づいて前記物品の3次元画像を生成し、
前記3次元画像に基づいて前記物品を認識して位置・姿勢情報を算出することを特徴とする物品認識方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−251866(P2012−251866A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124421(P2011−124421)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】
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