説明

物品載置装置

【解決手段】 撮影手段5により容器1を撮影する際に、該容器1を保持する保持手段4は、第1の色からなる第1領域の形成された第1部材12と、第2の色からなる第2領域の形成された第2部材13と、揺動可能に設けられるとともに、第1面14aが第1の色に、第2面14bが第2の色に塗装されたプレート部材14とを備えている。
保持する容器の色に応じて上記プレート部材14を回転させ、例えば第1部材12とプレート部材14の第1面14aとを相互に対向させると、第2部材13およびプレート部材14の第2面14bの第2の色が容器の載置面として現れ、容器1とともに撮影手段5に撮影されるようになっている(図3(a))。
【効果】 撮影手段により、撮影する物品の色にかかわらず物品を確実に認識することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品載置装置に関し、撮影手段により物品を撮影する際に、物品を載置して上記物品とともに撮影される物品載置装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮影手段により物品を撮影する際に、物品を載置して上記物品とともに撮影される物品載置装置が知られ、上記撮影手段は撮影した上記物品と物品載置装置との画像から、該物品の形状や向きを認識するようになっている。
このような物品載置装置として、上記物品の載置される透明な搬送板と、該搬送板の下方に着脱自在に設けられた透明プレートとから構成されたものが知られ、この物品載置装置の上方には物品を撮影する撮影手段と、該物品に光を照射する照明手段とが設けられている(特許文献1)。
この特許文献1によれば、撮影手段が物品を撮影すると上記搬送板を透過して透明プレートが背景として撮影されるようになっており、このとき物品の色に合わせて透明プレートの色を変更することにより、物品の色にかかわらず物品の形状を認識できるようになっている。
【特許文献1】特開平10−139145号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記特許文献1の物品載置装置の場合、透明な搬送板の上方から光を照射すると、光が当該搬送板に反射して撮影手段が撮影した画像に映りこんでしまい、上記透明プレートが背景として撮影されずに物品の輪郭が鮮明に認識できないおそれがあり、特に物品が白色系の場合、撮影された画像の全体が白くなって物品の輪郭を全く認識できないおそれがあった。
このような問題に鑑み、本発明は載置する物品の色に応じて撮影手段に当該物品の輪郭を確実に認識させることができる物品載置装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
すなわち、撮影手段により物品を撮影する際に、物品を載置して上記物品とともに撮影される物品載置装置であって、
第1の色からなる第1領域と第2の色からなる第2領域とを相互に隣接して設けた載置部材と、第1領域と第2領域の境界部分を中心に揺動可能に設けられて上記第1領域または第2領域のいずれか一方を覆うとともに、第1面が上記第1の色で第2面が第2の色とされたプレート部材とを備え、
上記プレート部材で載置部材の第1領域を覆った状態では、第2領域とプレート部材の第2面とで第2の色からなる載置面が形成され、
上記プレート部材で載置部材の第2領域を覆った状態では、第1領域とプレート部材の第1面とで第1の色からなる載置面が形成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
上記発明によれば、撮影の対象となる物品の色に応じて上記プレート部材を揺動させることで、物品を載置する載置面の色を第1の色または第2の色のいずれかに選択することができる。
そして、撮影手段は物品と該物品の色に応じて選択された上記載置面とを撮影することで、撮影する物品の色にかかわらず物品を確実に認識することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下図示実施例について説明すると、図1は供給された物品としての容器1を後工程へと受け渡す容器受け渡し装置2を示し、この容器受け渡し装置2は上流側に設けられた図示しない容器供給手段と、下流側に設けられた上記容器1に液体を充填する図示しない充填装置との間に設置されている。
上記容器1は、図2に示すように口部1aと胴部1bとから構成されており、上記容器受け渡し装置2は上記充填装置に容器1の口部1aが上方を向いた状態で供給するようになっている。
容器受け渡し装置2は、物品搬送手段としてのコンベヤ3と、該コンベヤ3に等間隔に複数取り付けられ上記容器1を載置させる物品載置装置としての保持手段4と、コンベヤ3の上方に設けられて上記保持手段4上に載置された容器1を撮影する撮影手段5と、該撮影手段5に隣接して設けられるとともに上記容器1に光を照射する照明手段6と、撮影手段5および照明手段6よりもコンベヤ3の搬送方向で下流側に設けられて、上記容器1を吸着保持して口部1aを上方に向けて充填装置に受け渡す移載手段としてのロボット7とを備え、これらは図示しない制御手段によって制御されるようになっている。
【0007】
上記コンベヤ3は、それぞれ水平に配置された回転軸に設けられて図示しないモータにより回転駆動されるスプロケット8、8と、該スプロケット8、8に掛け回されたコンベヤベルト9とから構成され、コンベヤベルト9は図1において右から左へ反時計周りに回転するようになっている。
【0008】
図2ないし図4は上記保持手段4を示しており、このうち図3(a)、(b)はそれぞれ異なる使用状態を示した図2におけるIII―III部の断面図であり、また図4は図3(a)から図3(b)の状態、またはその逆の状態に切り換える際の保持手段4の側面図を示している。
保持手段4は、上記コンベヤ3のコンベヤベルト9に固定されるベース部材11と、該ベース部材11より搬送方向下流側に向けて設けられ容器1の載置面として形成される第1部材12と、上記ベース部材11より搬送方向上流側に向けて設けられ容器1の載置面として形成される第2部材13と、該第1、第2部材12,13の境界部分に設けられたプレート部材14と、該プレート部材14を上記ベース部材11に揺動可能に支持する切換手段15とを備えている。
図3に示すように、上記第1、第2部材12、13はいずれも板状で上面が容器1の載置面となっており、上記ベース部材11に相互に隣接して設けられ、ベース部材11から各々上方に向けて斜めに固定されている。
このため、第1、第2部材12、13は搬送方向側方から見た断面では上方に広がる略く字型に配置されるとともに、ベース部材11の位置が最も低くなるようになっており、容器1を載置させる載置面は互いに境界部分に向けて下降するように傾斜している。
また、第1、第2部材12、13の寸法は、上記撮影手段5によって容器1を撮影した際に、該第1、第2部材12、13が容器1の全体像の周囲に背景として容器1と共に撮影されるような寸法となっている。
さらに、上記第2部材13の端部には上方に向けて折れ曲がった湾曲部13aが形成されており、この湾曲部13aと、該湾曲部13aの形成された保持手段4に対して搬送方向下流側に位置する保持手段4の第2部材13に形成された湾曲部13aとにより、保持手段4に載置された容器1の脱落を防止するようになっている。
そして、少なくとも上記撮影手段5による撮影範囲内において、第1部材12における容器1を載置可能な範囲を第1領域とし、第2部材13における容器1を載置可能な範囲を第2領域として、上記第1領域を含めて第1部材12は第1の色として白色に、第2領域を含めて第2部材13は第2の色として黒色に塗装されている。
このような第1、第2部材12,13とこれらを一体的に固定するベース部材11とにより、請求項1に記載する載置部材を構成している。
なお、第1の色と第2の色は一方が淡く、他方が濃い色であればよく、例えば濃淡の差が明瞭に認識できる色であれば、白色と黒色に限定されるものではない。
【0009】
上記プレート部材14は上記第1部材12または第2部材13と共に容器1の背景として容器1と共に撮影される寸法を有するとともに、図3(b)に示すようにプレート部材14が第2部材13に当接した際に、プレート部材14が上記湾曲部13aに干渉しないようになっている。
そして図3(a)に示した状態において、上記プレート部材14の第1部材12の第1領域側に面する第1面14aは、上記第1部材12と同じ第1の色としての白色に塗装されている。また図3(b)に示した状態において、第2部材13の第2領域側に面する第2面14bは、上記第2部材13と同じ第2の色としての黒色に塗装されている。このように、プレート部材14は表裏面となる第1面14aと第2面14bとで、白色と黒色とに色彩を異ならせている。
上記プレート部材14の白色に塗装された面14aは、上記プレート部材14を揺動させて図3(a)の状態としたときに、上記第1部材12と当接して密着し、黒色に塗装された面14bは、図3(b)の状態としたときに、上記第2部材13と当接して密着するようになっている。
このようにすることで、図3(a)の状態では、プレート部材14によって上記第1部材12の第1領域が覆われた状態となり、第2部材13の第2領域とプレート部材14の黒色に塗装された第2面14bとによって、第2の色からなる容器1の載置面が形成され、撮影手段5による撮影範囲内を占めるようになっている。
一方、図3(b)の状態では、プレート部材14によって上記第2部材13の上方へ延長される湾曲部13aを除いた上方を向いた第2領域が覆われた状態となり、第1部材12の第1領域とプレート部材14の白色に塗装された第1面14aとによって、第1の色からなる容器1の載置面が形成され、撮影手段5による撮影範囲内を占めるようになっている。
【0010】
上記切換手段15は、上記第1、第2部材12、13の搬送方向と交差する方向の両端部に設けられた保持プレート16、16と、該保持プレート16、16に固定された回転軸17、17と、上記プレート部材14の搬送方向と交差する方向の両端からプレート部材14を支持するとともに上記回転軸17、17に軸着されてこれを中心に揺動する連結部材18、18と、各連結部材18ごとに上記保持プレート16と連結部材18とに渡って弾装されたばね部材19、19とから構成されている。
上記ばね部材19は一端が上記連結部材18の揺動端寄りに連結されると共に、他端は上記保持プレート16における上記回転軸17の位置の鉛直下方に連結されており、各連結部材18を引き寄せるように弾性力を発生させている。
図4に示すように、プレート部材14を起立させ、第2部材12,13の中間に位置させた状態では、ばね部材19の一端部と他端部とを結んだ線上に上記回転軸17の中心が位置し、プレート部材14が図示右側にも左側にも揺動可能となる。
この状態からプレート部材14を第1部材12、または、第2部材13のいずれかへ倒し、プレート部材14によって第1領域または第2領域を覆うと、各連結部材18は上記ばね部材19の弾性力によって回転軸17を中心に倒した方向へ回動するように作用され、プレート部材14はこれら覆った領域を形成する面に押し付けられた状態で保持されることとなる。
このように、ばね部材19により連結部材18を回転軸17の鉛直下方の位置へ引き寄せるようにすることで、保持手段4が下流側のスプロケット8を周回して反転した状態で下方に位置しても、プレート部材14が自重により揺動せず、第1領域または第2領域のいずれかを覆った状態を維持するようになっている。
【0011】
上記撮影手段5は従来公知のCCDカメラであって、図示しない画像処理手段に撮影した画像を送信するようになっており、上記照明手段6はLEDなどの光源となっている。
照明手段6が下方に位置する保持手段4に載置された容器1に光を照射する間に、撮影手段5は上記容器1を第1部材12の第1領域およびプレート部材14の第1面14a、または第2部材13の第2領域およびプレート部材14の第2面14bのいずれかの範囲とともに撮影するようになっている。
上記画像処理手段では、撮影手段5が撮影した画像を処理してグレースケール化し、容器1の像を認識して該容器1の搬送方向に対して交差する方向の位置を把握するとともに、形状から口部1aの方向を判別するようになっている。
このとき容器1の色と背景の色が近似していると、容器1と背景との間にコントラストがなくなって容器1と保持手段4の載置面との境界が明確に認識できなくなってしまう。
しかしながら、本発明の構成では保持手段4に載置させる容器1の色に対応させて、上記切換手段15により上記プレート部材14を揺動させることで、保持手段4の載置面の色を切り換えることができるため、容器1と載置面の色を異ならせることができる。
すなわち、容器1が淡色系の場合には、プレート部材14を第1部材12側に揺動させて、図3(a)のように第1部材12の第1領域をプレート部材14により覆い、第2部材13の第2領域とプレート部材14の第2面とにより、黒色の載置面を形成し、容器1と背景としての載置面とのコントラストが明確となるようにする。
逆に、容器1が濃色系の場合、プレート部材14を第2部材13側に揺動させて、図3(b)のように第2部材13の第2領域をプレート部材14により覆い、第1部材12の第1領域とプレート部材14の第1面とにより、白色の載置面を形成し、容器1と背景としての載置面とのコントラストが明確となるようにする。
このように撮影する容器1の色彩に応じて背景色を白色(淡色)または黒色(濃色)のいずれかに選択して切り換えることができるので、撮影した画像をグレースケール化した際に背景と容器1とを明確に区別することができる。
【0012】
上記ロボット7は先端に設けられた吸着ヘッド7aと、該吸着ヘッド7aを移動させるとともにその向きを変更することの可能なアーム7bとから構成されている。
上記アーム7bは上記画像処理手段によって認識された容器1の向きおよび位置に応じて、容器1の胴部1bの所要の保持位置に吸着ヘッド7aを移動させ、該吸着ヘッド7aに容器1を吸着保持させるようになっている。
容器1が吸着保持されると、上記アーム7bは容器1を上方に持ち上げると共に、上記口部1aが上方となるように容器1を倒立させ、倒立させた容器1を充填装置に供給するようになっている。
【0013】
このように、上記実施例によれば、容器の色に応じて容器の背景の色を変更することができ、様々な色の容器1に対して確実に口部1aを上方にした状態で充填装置などの後工程に供給することができる。
また、上記保持手段4において、搬送方向下流側の第1部材12と上流側の第2部材13とをそれらの間に位置するベース部材11に向けて下降するよう傾斜して設けた構成であるため、容器1は略く字型とされた該第1部材12および第2部材13の境界部分に沿って載置され、搬送方向に対しては位置決めした状態で搬送することができ、確実に撮影手段5の下方に位置させ、また、ロボット7の保持動作位置に位置させることができる。
【0014】
なお、上記実施例において、上記保持手段4の切換手段15は自動で切り換えられる構成とはなっていないが、例えば上記回転軸17をモータの駆動軸とし、該モータを上記制御手段によって制御するようにすれば、上記切換手段15の作動を自動で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施例にかかる容器受け渡し装置の側面図。
【図2】保持手段についての正面図。
【図3】保持手段の切換え状態を示す図であって、(a)は第1部材とプレート部材とが相互に対向した状態を、(b)は第2部材とプレート部材とが相互に対向した状態をそれぞれ示している。
【図4】切換手段の構成を示す保持手段の側面図。
【符号の説明】
【0016】
1 容器 2 容器受け渡し装置
3 コンベヤ 4 保持手段
5 撮影手段 12 第1部材(載置部材)
13 第2部材(載置部材) 14 プレート部材
15 切換手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影手段により物品を撮影する際に、物品を載置して上記物品とともに撮影される物品載置装置であって、
第1の色からなる第1領域と第2の色からなる第2領域とを相互に隣接して設けた載置部材と、第1領域と第2領域の境界部分を中心に揺動可能に設けられて上記第1領域または第2領域のいずれか一方を覆うとともに、第1面が上記第1の色で第2面が第2の色とされたプレート部材とを備え、
上記プレート部材で載置部材の第1領域を覆った状態では、第2領域とプレート部材の第2面とで第2の色からなる載置面が形成され、
上記プレート部材で載置部材の第2領域を覆った状態では、第1領域とプレート部材の第1面とで第1の色からなる載置面が形成されることを特徴とする物品載置装置。
【請求項2】
上記載置部材の第1領域および第2領域を構成する面は互いに境界部分に向けて傾斜し、物品を該境界部分に沿って載置することを特徴とする請求項1に記載の物品載置装置。
【請求項3】
複数の上記載置部材を、物品搬送手段を構成する無端状搬送体に等間隔に取り付けたことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の物品載置装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−7153(P2009−7153A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−172447(P2007−172447)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】