説明

物品配送システム

【課題】配送所要時間を短縮化することにより、緊急を要する物品を配送することに適した、物品の配送システムを提供する。
【解決手段】物品を搭載した車両等の配送手段を用いて、任意の場所に位置する発注元に物品を配送し、配送後の車両を互いに異なる場所に複数設定された物品の保管場所に移動させ、経路検索手段で得られた最短所要時間の保管箇所で物品を補充するよう、その経路を配送計画として配送計画表示手段に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の配送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
所定の物品を所定の場所に配送する物品の配送システムにおいては、配送車両が倉庫に在庫された物品を積み込み、物品を所定場所まで配送することが行われている。一般には、シングルデポと呼ばれる単一倉庫の荷物を積んで、複数の配送先に輸送するシステムにおいて、輸送経路・時間を最短となるよう設定し、輸送量等の条件によって必要な輸送車両等の配車設定を行うシステムが知られている。
【0003】
このようなシングルデポのシステムは、すべての配送先にある特定の単一倉庫を経由して荷物を配送する。したがって、配送先の位置によっては、配送車両が配送先とは逆方向に位置する倉庫へ移動し、配送物品を車両に積み込んだ後、再び来た方向とは逆方向に位置する配送先へ移動することとなり、配送時間がより長時間となり、これにより配送コストが増加する。
【0004】
このような、シングルデポに起因する配送コストの増加を抑制するために、特許文献1には、マルチデポと呼ばれる複数倉庫に適用する配送計画システムが示されている。特許文献1で示された配送計画システムでは、複数存在する保管倉庫の中から、配送経路が最短となる経路を選択し、配送当日の配車計画を作成することが示されている。
【特許文献1】特開2004−59231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1で示された配送計画システムによれば、従来のシングルデポでの配送システムに比較して配送時間をより短縮することができる。
【0006】
一方、配送先の要求により、配送時間の短縮化がより求められる場合がある。例えば、自動車用の補修部品、特に自動車用鉛蓄電池がその例である。鉛蓄電池の故障により、車両が路上で走行不能となると、運転者が目的地に到達できないことは勿論、場合によっては交通渋滞や事故といった不測の事態の原因となりうる。したがって、このような物品は速やかに発送先(発注元)に送り届ける必要がある。
【0007】
特許文献1で記載されたような、マルチデポの配送システムは、配送先の要求に適合する物品を配送する際、空荷の輸送車両を倉庫に配車し、倉庫から物品を積載してから発送先に配車する。よって、輸送車両を倉庫に配車するまでの時間、倉庫から物品を出庫し積載する時間が配送時間に含まれることになる。さらに、発送経路が倉庫を経由するため、輸送車両は現在位置から発送先に至る最短経路を走行できず、常に迂回することになる。したがって、緊急を要する物品の配送には適当でない場合があった。また、物品を出庫した段階で、その保管箇所での物品在庫が切れた場合、その物品に関して保管箇所が減少することになる。したがって、次回の発注に関してその保管箇所が使用できなくなるため、配送時間が長くなる場合があった。
【0008】
本発明は、配送所要時間を短縮化することにより、緊急を要する物品を配送することに適した、物品の配送システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、本発明の請求項1に係る発明は、任意の場所に位置し、物品を搭載した車両等の配送手段を用いて、任意の場所に位置する発注元に物品を配送し、配送後の車両を互いに異なる場所に複数設定された物品の保管箇所に移動させ、保管箇所から配送手段に物品を補充する物品の配送システムにおいて、任意の場所に位置する発注元から発せられた発注品番情報と、発注元の位置情報を記憶する発注情報記憶取得手段と、複数の保管箇所における品番毎の在庫情報を記憶した在庫情報記憶手段を有し、在庫情報と発注品番情報とを照合し、発注品番を有する物品を在庫する保管箇所を特定在庫保管箇所として抽出する特定在庫保管箇所抽出手段を有し、特定在庫保管箇所が単一である場合に、配送手段から発注元を経由し特定在庫保管箇所にいたる経路のうち最も所要時間の短い経路を最短経路として検索する経路検索手段を有し、特定在庫保管箇所の位置情報と、最短経路と、発注品番情報および発注元の位置情報で構成される配送計画情報を表示する配送計画表示手段を有し、特定在庫保管箇所が複数である場合に、経路検索手段により、配送手段から発注元を経由し特定在庫保管箇所にいたる経路のうち最も所要時間の短い経路を最短経路として特定在庫保管箇所毎に経路検索し、複数の最短経路から最も所要時間の短い最短経路を特定最短経路として選択する経路選択手段を有し、特定在庫保管箇所の位置情報と、特定最短経路と、発注品番情報および発注元の位置情報で構成される配送計画情報を表示する配送計画表示手段を有することを特徴とする物品配送システムを示すものである。
【0010】
また、本発明の請求項2に係る発明は、任意の場所に位置し、物品を搭載した車両等の配送手段を用いて、任意の場所に位置する発注元に物品を配送し、配送後の車両を互いに異なる場所に複数設定された物品の保管箇所に移動させ、保管箇所から配送手段に物品を補充する物品の配送システムにおいて、任意の場所に位置する発注元から発せられた発注品番情報と、発注元の位置情報を記憶する発注情報記憶取得手段と、複数の保管箇所における品番毎の在庫情報を記憶した在庫情報記憶手段を有し、在庫情報と発注品番情報とを照合し、発注品番を有する物品を在庫する保管箇所を特定在庫保管箇所として抽出する特定在庫保管箇所抽出手段を有し、特定在庫保管箇所が単一である場合に、配送手段から発注元を経由し特定在庫保管箇所にいたる経路のうち最も所要時間の短い経路を最短経路として検索する経路検索手段を有し、 特定在庫保管箇所の位置情報と、最短経路と、発注品番情報および発注元の位置情報で構成される配送計画情報を表示する配送計画表示手段を有し、特定在庫保管箇所が複数である場合に、経路検索手段により、配送手段から発注元を経由し特定在庫保管箇所にいたる経路のうち最も所要時間の短い経路を最短経路として特定在庫保管箇所毎に経路検索し、複数の最短経路の所要時間で最も短い所要時間を最短所要時間とし、所要時間がこの最短所要時間から所定時間内となる最短経路が2以上である場合に、発注品番を有する物品在庫数がより大である特定在庫保管箇所に至る経路を特定最短経路として選択する経路選択手段を有し、特定在庫保管箇所の位置情報と、特定最短経路と、発注品番情報および発注元の位置情報で構成される配送計画情報を表示する配送計画表示手段を有することを特徴とする物品配送システムを示すものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1の発明によれば、配送手段(例えばトラック)にあらかじめ物品を搭載しておくことにより、倉庫を経由することなく、迅速に発注元に物品を届けることができ、届けた後は、物品在庫を有した倉庫群の中で、最短所要時間で到達可能な倉庫を特定し、この倉庫で配送手段に物品の補充を行うことにより、次回の発注にも迅速な発送が可能となる。
【0012】
本発明の請求項2の発明は、請求項1の発明の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。すなわち、最短経路を考慮しつつ、在庫数の多い保管箇所より物品を搬出するため、ある保管箇所での在庫がゼロになることを避けることができる。在庫がゼロとなった保管箇所は、当然保管箇所として機能しないため、配送手段は迂回して他の保管箇所に移動する必要がある。その分、物品の補充に時間を要し、次回の発注に迅速に対応できない。本発明の請求項2の構成では、このような保管箇所での在庫がゼロになることによる不具合を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(1)第1の実施の形態
以下、本発明の第1の実施の形態による配送システムを、図面を参照しながら説明する。なお、第1の実施形態は本発明の請求項1の構成に対応する。図1は本発明の配送システムを示す図、図2および図3は本発明の配送システムによる配送経路を示す図である。
【0014】
本発明の配送システム101は、任意の場所に位置し、物品を積載した車両等の配送手段Bをこの物品を任意の場所に位置する発注元Aに配送する配送システムである。そして、配送手段Bを、互いに異なる場所に複数設定された物品の保管箇所C1〜Cnに移動させ、ある保管箇所から特定の物品を搬出し、配送手段Bに物品を補充することにより、次回の発送に備える。
【0015】
本発明の配送システム101は、任意の場所に位置する発注者(発注元Aに対応)から発せられた発注品番情報と、発注元の位置情報を記憶する発注情報記憶手段102と、複数の保管箇所における品番毎の在庫情報を記憶した在庫情報記憶手段103を有する。
【0016】
発注情報記憶手段102の形態としては、コンピュータあるいは携帯電話等の情報端末よりWebサーバ上に公開されたホームページより該当品番、発注元の位置情報、発注者名を入力することによりサーバ上で記憶することができる。また、発注元からの電話・FAX連絡を受けた受注担当者が受注用コンピュータに入力することにより受注サーバに記憶させてもよい。
【0017】
また、在庫情報記憶手段103としては、サーバ等の情報記憶手段を用いればよい。在庫情報をサーバで管理する場合、各保管箇所の在庫情報管理端末とサーバとを接続することにより、サーバ上の在庫情報を最新のものに更新ができる上で好都合である。なお、物品品番情報として、具体的な品番に代え、例えば、「A社製の製品Bに適合する物品C」といった、所望とする物品Cを特定可能な情報を用いてもよい。
【0018】
そして、特定在庫保管箇所抽出手段104により、在庫情報と発注品番情報とを照合し、発注品番を有する物品を在庫する保管箇所を特定在庫保管箇所として抽出する。この特定在庫保管箇所抽出手段104は、2種の情報の照合処理をコンピュータ上で行えばよく、その機能は、在庫情報を記憶したサーバや発注元情報を記憶したサーバのいずれか一方のサーバ内で実行させればよい。
【0019】
本発明では、特定在庫保管箇所が単一である場合、例えば、図2において保管箇所Ckが唯一の特定在庫保管場所とした場合、配送手段Bからこの発注元Aを経由し、保管箇所Ckにいたる経路のうち最も所要時間の短い経路を最短経路として検索する経路検索手段105を有する。
【0020】
経路検索手段105としては、従来のカーナビゲーションシステムに搭載された最短経路検索手段を用いることができ、GPS等により特定される配送手段Bの位置情報と、発注元Aおよび保管箇所Ckの位置情報によって、経路検索に必要な出発地、経由地および到着地の3点の位置情報を得ることができる。また、カーナビゲーションシステムと同様、VICSより渋滞・交通規制等の情報を取得し、それを加味した上で最も所要時間の短い経路を最短経路として検索してもよい。この経路検索手段105は各道路の距離・所要時間情報を有し、経路検索プログラムを実行する経路検索サーバで構成することができる。
【0021】
また、検索された最短経路上に有料道路が含まれる場合、その通行料金が時間短縮に見合った料金かを加味し、この通行料金を所要時間の一部として評価し、実際の所要時間に加算してもよい。
【0022】
その後、発送計画表示手段106によって、特定在庫保管箇所の位置情報、発注品番および発注元位置情報を含む発注者情報、および配送手段から発注元を経由して特定在庫保管箇所に到達する最短経路情報で構成される配送計画情報を表示する。表示方法としてはLCD等のディスプレイ表示が一般的であるが、これに音声表示を併用することもできる。
【0023】
そして、トラック等の配送手段Bの運転者は発送計画表示手段106で表示された配送計画情報に従い、所定の経路を通って発注元Aに物品を配送後、特定保管箇所に移動して特定の物品を配送手段Bに補充すればよい。
【0024】
なお、本発明の構成は互いにネットワーク接続されたコンピュータやサーバ上でその機能を実現することができる。但し、配送手段Bは任意の場所に位置するため、発送計画表示手段106は常に運転者がその表示を確認できる配送手段B内に搭載すべきである。
【0025】
なお、その他の受注サーバ、在庫情報記憶サーバや経路検索サーバはネットワーク接続されていればその機能を発揮できるため、ある特定の場所に固定する必要はない。
【0026】
本発明の請求項1の発明では、特定在庫保管箇所が複数である場合に、経路検索手段105により、配送手段Bから発注元Aを経由し特定在庫保管箇所にいたる経路のうち最も所要時間の短い経路を最短経路として各特定在庫保管箇所毎に経路検索する。
【0027】
これを図3で説明する。保管箇所C1、C2、C4、C5、Ck、Cnの中で、黒丸で表示した保管箇所C1、C3、C5、Ckが発注元で発注された物品を在庫した特定在庫保管場所とする。本発明では、経路検索手段105を用い、各保管箇所毎に、配送手段Bから発注元Aを経由し、保管箇所に至る経路のうち最も所要時間の短い経路を最短経路として検索する。
【0028】
このような本発明の請求項1の配送システムによれば、配送手段で物品を発注元に配送した後、最も所要時間の少ない在庫保管箇所で物品の補充が受けられるため、次回の発注に対しても、配送手段が発注元に直行できるため、物品の配送時間を短縮できる。
【0029】
(2)第2の実施の形態
以下、本発明の第2の実施の形態による配送システム201を、図面を参照しながら説明する。なお、第2の実施形態は本発明の請求項2の構成に対応する。図4は本発明の配送システムを示す図、図2および図3は本発明の請求項2の配送システムによる配送経路を示す図である。
【0030】
本発明の配送システム201は、任意の場所に位置し、物品を積載した車両等の配送手段Bにより、この物品を任意の場所に位置する発注元Aに配送する配送システムである。そして、配送手段Bを、互いに異なる場所に複数設定された物品の保管箇所C1〜Cnに移動させ、保管箇所Cから特定の物品を搬出して配送手段Bに物品を補充することにより、次回の発送に備える。
【0031】
本発明の配送システム201は、任意の場所に位置する発注者(発注元Aに対応)から発せられた発注品番情報と、発注元の位置情報を記憶する発注情報記憶手段202と、複数の保管箇所における品番毎の在庫情報を記憶した在庫情報記憶手段203を有する。
【0032】
発注情報記憶手段202の形態としては、コンピュータあるいは携帯電話等の情報端末よりWebサーバ上に公開されたホームページより該当品番、発注元の位置情報、発注者名を入力することによりサーバ上で記憶することができる。また、発注元からの電話・FAX連絡を受けた受注担当者が受注用コンピュータに入力することにより受注サーバに記憶させてもよい。
【0033】
また、在庫情報記憶手段203としては、サーバ等の情報記憶手段を用いればよい。在庫情報をサーバで管理する場合、各保管箇所の在庫情報管理端末とサーバとを接続することにより、サーバ上の在庫情報を最新のものに更新ができる上で好都合である。なお、物品品番情報として、具体的な品番に代え、例えば、「A社製の製品Bに適合する物品C」といった、所望とする物品Cを特定可能な情報を用いてもよい。
【0034】
そして、特定在庫保管箇所抽出手段204により、在庫情報と発注品番情報とを照合し、発注品番を有する物品を在庫する保管箇所を特定在庫保管箇所として抽出する。この特定在庫保管箇所抽出手段204は、2種の情報の照合処理をコンピュータ上で行えばよく、その機能は、在庫情報を記憶したサーバや発注元情報を記憶したサーバのいずれか一方のサーバ内で実行させればよい。
【0035】
本発明では、特定在庫保管箇所が単一である場合、例えば、図2において保管箇所Ckが唯一の特定在庫保管場所とした場合、配送手段Bからこの発注元Aを経由し、保管箇所Ckにいたる経路のうち最も所要時間の短い経路を最短経路として検索する経路検索手段205を有する。
【0036】
経路検索手段205としては、従来のカーナビゲーションシステムに搭載された最短経路検索手段を用いることができ、GPS等により特定される配送手段Bの位置情報と、発注元Aおよび保管箇所Ckの位置情報によって、経路検索に必要な出発地、経由地および到着地の3点の位置情報を得ることができる。また、カーナビゲーションシステムと同様、VICSより渋滞・交通規制等の情報を取得し、それを加味した上で最も所要時間の短い経路を最短経路として検索してもよい。この経路検索手段205は各道路の距離・所要時間情報を有し、経路検索プログラムを実行する経路検索サーバで構成することができる。
【0037】
また、検索された最短経路上に有料道路が含まれる場合、その通行料金が時間短縮に見合った料金かを加味し、この通行料金を所要時間の一部として評価し、実際の所要時間に加算してもよい。
【0038】
その後、発送計画表示手段206によって、特定在庫保管箇所の位置情報、発注品番および発注元位置情報を含む発注者情報、および配送手段から発注元を経由して特定在庫保管箇所に到達する最短経路情報で構成される配送計画情報を表示する。表示方法としてはLCD等のディスプレイ表示が一般的であるが、これに音声表示を併用することもできる。
【0039】
そして、トラック等の配送手段Bの運転者は発送計画表示手段206で表示された配送計画情報に従い、所定の経路を通って発注元Aに物品を配送後、特定在庫保管箇所で特定の物品の補充を行えばよい。
【0040】
なお、本発明の構成は互いにネットワーク接続されたコンピュータやサーバ上でその機能を実現することができる。但し、配送手段Bは任意の場所に位置するため、発送計画表示手段206は常に運転者がその表示を確認できる配送手段B内に搭載すべきである。
【0041】
なお、その他の受注サーバ、在庫情報記憶サーバや経路検索サーバはネットワーク接続されていればその機能を発揮できるため、ある特定の場所に固定する必要はない。
【0042】
次に、本発明の請求項2の発明では、特定在庫保管箇所が複数である場合に、経路検索手段205により、配送手段Bから発注元を経由し特定在庫保管箇所にいたる経路のうち最も所要時間の短い経路を最短経路として各特定在庫保管箇所毎に経路検索する。
【0043】
これを図3で説明する。保管箇所C1、C2、C4、C5、Ck、Cnの中で、黒丸で表示した保管箇所C1、C3、C5、Ckが発注元で発注された物品を在庫した特定在庫保管場所とする。本発明では、経路検索手段205を用い、各保管場所毎に、配送手段Bから発注元Aを経由し、保管場所に至る経路のうち最も所要時間の短い経路を最短経路として検索する。
【0044】
例えば、発注元Aを経由し、Ckに到達する最短経路での所要時間をTk、以下同様に、発注元Aを経由し、C1に到達する最短経路での所要時間をT1、発注元Aを経由し、C3に到達する最短経路での所要時間をT3、発注元Aを経由し、C5に到達する最短経路での所要時間をT5とし、例えば、Tk<T3<T5<T1であったとすれば、最も短い所要時間を最短所要時間Tkとし、所要時間がこの最短所要時間Tkから所定時間t(t>0)内となる最短経路を求める。
【0045】
この所定時間tは、次回の物品発注を受けた際に、配送手段への物品補充が完了している状態となるよう設定する。したがって、最短の保管箇所が比較的遠距離であり、移動に長時間を要する場合、所定時間tは比較的短く設定する。反対に、最短の保管箇所が比較的近距離であり、移動が短時間で完了する場合、所定時間tはより長く設定可能である。
【0046】
また、発注頻度が高くなるにつれて、所定時間tは短くすべきであり、発注頻度が低い場合、所定時間tを短くしても差し支えない。所定時間tは、実際の物品の発注頻度によって決定すべきである。
【0047】
そして、上記の如く所定時間tを設定した場合に、例として、Tk<(Tk+t)<T3<T5<T1であり、所要時間がこの最短所要時間Tkから所定時間t内にあるものがTk単一とすると、配送計画表示手段206に発注元Aを経由し、保管箇所Ckに至る最短経路情報と、発注品番情報および発注元の位置情報を含む配送計画が表示される。
【0048】
また、Tk<T3<(Tk+t)<T5<T1であり、所要時間がこの最短所要時間Tkから所定時間t内にあるものがTkとT3の複数である場合、保管箇所Ckと保管箇所C3での発注された物品在庫がより大である一方に到達する最短経路を特定最短経路として、この情報を含む配送計画を配送計画表示手段206に表示する。配送時間に大きく影響しない所定時間tを設定することにより、倉庫の複数選択が可能となり、結果として、これら倉庫間で物品在庫の多少による倉庫の選択が可能となる。
【0049】
なお、相互の部品在庫が同一である場合、最も所要時間の短い、Ckに到達する経路を特定最短経路として、その情報を含む配送計画を配送計画表示手段206に表示する。以下、Tk〜(Tk+t)内に、T5あるいはT1が入る場合も同様、それぞれの保管箇所での在庫数を比較し、最大在庫数を有する保管箇所に到達する最短経路を特定最短経路として選択すればよい。
【0050】
このような、経路選択は、在庫情報記憶手段203と経路検索手段205でそれぞれ得られる在庫情報と経路とから経路選択手段207を用いて行われる。経路選択手段207は具体的には、プログラムされたコンピュータによって構成される。なお、このプログラムを在庫情報記憶サーバや経路検索サーバとして機能するコンピュータにインストールされたものであっても勿論差し支えない。
【0051】
上記のような、本発明の請求項2の配送システムによれば、各保管箇所の在庫がゼロとなることが抑制できる。これにより、実質的な保管箇所の減少が避けられるため、発送が完了した後、迅速に物品の補充が可能となり、結果として、次回の発注における発送時間を短縮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、様々な物品の配送に適用することができる。特に、自動車用バッテリといった、配送に緊急を要する物品の配送に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施形態による配送システムを示す図
【図2】本発明の配送システムによる配送経路を示す図
【図3】本発明の配送システムによる配送経路を示す他の図
【図4】本発明の第2の実施形態による配送システムを示す図
【符号の説明】
【0054】
A 発注元
B 配送手段
C1、C2、C4、C5、Ck、Cn 保管箇所
101 配送システム
102 発注情報記憶手段
103 在庫情報記憶手段
104 特定在庫保管箇所抽出手段
105 経路検索手段
106 発送計画表示手段
107 経路選択手段
201 配送システム
202 発注情報記憶手段
203 在庫情報記憶手段
204 特定在庫保管箇所抽出手段
205 経路検索手段
206 発送計画表示手段
207 経路選択手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の場所に位置し、物品を搭載した車両等の配送手段を用いて、任意の場所に位置する発注元に前記物品を配送し、配送後の前記車両を互いに異なる場所に複数設定された物品の保管箇所に移動させ、前記保管箇所から前記配送手段に前記物品を補充する物品の配送システムにおいて、
任意の場所に位置する発注元から発せられた発注品番情報と、発注元の位置情報を記憶する発注情報記憶取得手段と、前記複数の保管箇所における品番毎の在庫情報を記憶した在庫情報記憶手段を有し、
前記在庫情報と前記発注品番情報とを照合し、
前記発注品番を有する物品を在庫する保管箇所を特定在庫保管箇所として抽出する特定在庫保管箇所抽出手段を有し、
前記特定在庫保管箇所が単一である場合に、前記配送手段から前記発注元を経由し前記特定在庫保管箇所にいたる経路のうち最も所要時間の短い経路を最短経路として検索する経路検索手段を有し、
前記特定在庫保管箇所の位置情報と、前記最短経路と、前記発注品番情報および前記発注元の位置情報で構成される配送計画情報を表示する配送計画表示手段を有し、
前記特定在庫保管箇所が複数である場合に、前記経路検索手段により、前記配送手段から前記発注元を経由し前記特定在庫保管箇所にいたる経路のうち最も所要時間の短い経路を最短経路として前記特定在庫保管箇所毎に経路検索し、
複数の前記最短経路から最も所要時間の短い最短経路を特定最短経路として選択する経路選択手段を有し、
前記特定在庫保管箇所の位置情報と、前記特定最短経路と、前記発注品番情報および前記発注元の位置情報で構成される配送計画情報を表示する配送計画表示手段を有することを特徴とする物品配送システム。
【請求項2】
任意の場所に位置し、物品を搭載した車両等の配送手段を用いて、任意の場所に位置する発注元に前記物品を配送し、配送後の前記車両を互いに異なる場所に複数設定された物品の保管箇所に移動させ、前記保管箇所から前記配送手段に前記物品を補充する物品の配送システムにおいて、
任意の場所に位置する発注元から発せられた発注品番情報と、発注元の位置情報を記憶する発注情報記憶取得手段と、前記複数の保管箇所における品番毎の在庫情報を記憶した在庫情報記憶手段を有し、
前記在庫情報と前記発注品番情報とを照合し、
前記発注品番を有する物品を在庫する保管箇所を特定在庫保管箇所として抽出する特定在庫保管箇所抽出手段を有し、
前記特定在庫保管箇所が単一である場合に、前記配送手段から前記発注元を経由し前記特定在庫保管箇所にいたる経路のうち最も所要時間の短い経路を最短経路として検索する経路検索手段を有し、
前記特定在庫保管箇所の位置情報と、前記最短経路と、前記発注品番情報および前記発注元の位置情報で構成される配送計画情報を表示する配送計画表示手段を有し、
前記特定在庫保管箇所が複数である場合に、前記経路検索手段により、前記配送手段から前記発注元を経由し前記特定在庫保管箇所にいたる経路のうち最も所要時間の短い経路を最短経路として前記特定在庫保管箇所毎に経路検索し、
複数の最短経路の所要時間で最も短い所要時間を最短所要時間とし、所要時間がこの最短所要時間から所定時間内となる最短経路が2以上である場合に、前記発注品番を有する物品在庫数がより大である特定在庫保管箇所に至る経路を特定最短経路として選択する経路選択手段を有し、
前記特定在庫保管箇所の位置情報と、前記特定最短経路と、前記発注品番情報および前記発注元の位置情報で構成される配送計画情報を表示する配送計画表示手段を有することを特徴とする物品配送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−99440(P2007−99440A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−290943(P2005−290943)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】