説明

特に自動車車体の鋼鉄シート内またはプラスチック部品中の孔を耐久性をもってシールするために使用されるスタンプ成形製品

本発明は、なかでも自動車車体のシート鋼材またはプラスチック製品中で永久的な様式で孔と塞ぐために使用されるスタンプ成形製品に関する。該スタンプ成形製品は、一方の側で少なくとも部分的に接着性を有する基層を含んでなり、そしてその面積が塞ぐべき孔の面積より大きい耐熱性層を含んでなり、そしてとりわけ接着性である側の中心部に熱活性化性接着剤フィルムの第一セクションを含んでなり、その際その表面は塞ぐべき孔の面積より大きくそして基層の表面よりは小さい。該スタンプ成形製品は、孔が第一セクションにより本質的に覆われるように塞ぐべき孔の上に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、なかでも自動車車体の金属シートまたはプラスチック部品中の孔を永久的に塞ぐためにのスタンプ成形製品に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の自動車車体の製造の工程において、組立の間に、種々の大きさの孔が、多数の工業的部品、例えば金属シートまたはプラスチック部品中に構築システムの結果として現れることは避けられない。孔の直径は、典型的には10〜50mmの間である。その後の操作において、それらの孔の多数は、覆われていない孔を通って車体本体内に浸透する水または水蒸気による腐食浸食を防止するために、気密特には防水となる様式で塞がれなければならい。それに伴う要求としては、乗用車室内の雑音の抑制にかなりの改善を達成するために孔を閉塞する要求がある。
【0003】
現在、車体の孔は一般にプラスチックストッパーを用いて塞がれており、それは一方ではある場合には孔を確実には閉塞せず、そして他方では比較的複雑かつ製作に経費がかかる。
【0004】
孔のそれぞれの大きさに対してその孔の大きさに適合する特定のストッパーが必要となる。これは補給および管理上の高い複雑性ならびにストッパーの購買のための経費をもたらす。その結果、製造ライン側では、それぞれに割り当てられた貯蔵区画中に異なる大きさの多数のストッパーを維持しなければならない。
【0005】
別のこの目的に適する物は接着剤テープであり、それは孔の大きさに適合するようにスタンプ成形(stamped)またはある長さに分離される。しかし、接着剤テープであっても、市場の増大する要求に常に合わせられるとは限らない。
【発明の開示】
【0006】
特に自動車の金属シートまたはプラスチック部品内の孔を永久的に塞ぐために適するスタンプ成形製品を提供することが本発明の目的である。さらなる意図は、水分の通過を防ぎ、騒音抑制を改善し、そして車体下部に石が衝突した場合および/または内部、特に床部分において機械的ストレスがある場合でも孔が確実に閉塞されている様式でその孔が閉塞されることを確実にすることである。
【0007】
本目的は、主請求項に記載のスタンプ加工製品の手段により達成される。従属請求項は、本発明の主題事項の有利な発展を提供する。
【0008】
従って、本発明は、特に自動車車体の金属シートまたはプラスチック製品内の孔を永久的に塞ぐスタンプ成形製品であって、面積が塞ぐべき孔の面積より大きく、そして熱活性化性接着剤シートの第一セクションを接着剤処置した側上のとりわけ中央に備えた耐熱性裏当てを含んでなる少なくとも部分的に片面自己接着剤処理した基層を有するスタンプ成形製品を提供する。
【0009】
第一セクションの面積は塞ぐべき孔の面積より大きくそして基層の面積よりは小さく、該スタンプ成形製品は孔が第一セクションにより本質的に覆われるように塞ぐべき孔の上に配置される。
【0010】
本発明の一つの有利な態様では、熱活性化性接着剤シートの第一セクション上、および孔に面する側の上に、面積が塞ぐべき孔の面積より大きくそして基層の面積よりは小さい熱活性化性の熱可塑性第二セクションがあり、孔が第二セクションにより本質的に覆われるように該スタンプ成形製品は塞ぐべき孔の上に配置される。
【0011】
熱活性化性シートの2個のセクションは好ましくは同一の大きさを有する。接着剤シートの目的は、スタンプ加工製品を熱活性化の後に基体(一般に自動車車体)に永久的および確実に結合することにある。好ましい第二接着剤シートセクションは、圧力を加えることなく、第一セクションと基体との効果的、安定で水分非透過性の結合の確立を確実にする。
【0012】
さらに好ましくは、基層と熱活性化性接着剤シートの第一セクションとの間に、特に好ましくは金属から構成される層状物があることである。
【0013】
層状物は、全体としてスタンプ成形物体の騒音抑制もしくは強度を上昇させるように高い密度または強度を有する。
【0014】
本発明の一つの有利な発展においてアルミニウム・フォイル、テキスタイル裏当てまたはポリマーフィルム(例えばPVC、PP、PET、PU)を含んで成る裏当ては、好ましくは、
・アルミニウム・フォイルでは30〜120μm、
・テキスタイル裏当てでは180〜300μm、
・フィルムでは30〜300μm
の厚さを有する。
【0015】
本発明の特に有利な構成においてスタンプ成形製品に使用される裏当て材料は、なかでもメッシュカウント(count)140〜160、好ましくは148(縦糸カウント74および横糸カウント74を意味する)を有する木綿織物を含んでなる。
【0016】
別に好ましくは、横糸カウント70〜80および/または縦糸カウント70〜80である。
【0017】
スタンプ成形製品の裏当て材料として、さらに、すべての公知のテキスタイル裏当て、例えば織物、編物または不織ウエブを使用することも可能である。「不織ウエブ」の用語は、EN29092(1988)に合致する少なくともテキスタイルシート状構造体を包含しそして縫合した(stichbonded)不織布および同様の系を包含する。張り合わせを有する織布および編物を含むスペーサー織物の使用も同様に可能である。
【0018】
テキスタイル裏当てとして期待される出発物質は、なかでもポリエステル、ポリプロピレン、ビスコース、ステープルレイヨンまたは木綿繊維を含む。しかし、本発明は、該材料に限定はされず、さらに当該技術分野の熟練者にとって発明的な活動を要することなく明白であるように、ウエブを製作するために多数の他の繊維の使用が可能である。重要なことは、使用材料が所要の耐熱性を有することである。
【0019】
本発明の概念にとって特に有利には、少なくとも一方の側が防曇性感圧接着剤である防曇性裏当てを含んでなる、防曇性スタンプ成形製品である。
【0020】
裏当て上の接着剤として、原理的には、各種のポリマー系、天然ゴムもしくは合成ゴムおよびアクリレート系の選択が、それらの接着特性および温度安定性が要求事項に適合する場合に特別の利益をもって可能である。さらに好ましくは、鉄との結合強度が少なくと
も5N/25mmである場合である。
【0021】
適合する接着剤は、少なくとも20、特には30を越えるK値(それぞれの場合、トルエン中の1重量%溶液中、25℃で測定)を有し、ホットメルトとして加工可能な系をもたらす接着剤の溶液の濃縮により得られるアクリレート・ホットメルトに基づくものである。
【0022】
従って、天然ゴムもしくは合成ゴムの群から構成されるかまたは天然ゴムおよび/もしくは合成ゴムのいずれかの所望の混合物から構成される接着剤の使用が可能であり、それは、所要の純度および粘度レベルに依存して原理的にすべての利用できるグレードの天然ゴムまたは複数の天然ゴム、例えば練生地(crepe)、RSS、ADS、TSRまたはCVグレードを選択しても、そしてランダム共重合したスチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、合成ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(XIIR)、アクリレートゴム(ACM)、エチレン−酢酸ビニル(EVA)コポリマーおよびポリウレタンおよび/またはそれらの混合物の群からの合成ゴムまたは複数の合成ゴムを選択することも可能である。
【0023】
さらに好ましくは、加工性を改善するために、全エラストマー部分に基づいて10重量%〜50重量%の重量割合で、熱可塑性エラストマーをゴムに加えることが可能である。
【0024】
代表的な例として、この点に関して、特に相容性のスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)およびスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)製品が挙げられる。使用できる粘着付与性樹脂は、公知でそして文献に記載されている例外なくすべての粘着付与性樹脂を含む。代表例として、ロジン、その不均化、水素化、ポリマー化およびエステル化誘導体および塩、脂肪族および芳香族炭化水素樹脂、テルペン樹脂およびテルペン−フェノール樹脂が挙げることができる。それらおよびその他の樹脂のいずれの所望の混合物でも、要求に合致して、得られる接着剤の性質を調整するために使用されてもよい。参照文献としては当該技術分野の状況の記述に関して、「感圧接着剤技術ハンドブック」(“Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology”Donatas Satas著(van Nostrand,1989)が挙げられる。
【0025】
熱活性化性接着剤シートは、好ましくは下記の組成を有する:
i)少なくとも30重量%の割合であり、熱活性化性接着剤シートの第一セクションは、特に好ましくは、反応性ポリウレタン、ポリアミド、反応性フェノール樹脂を伴うニトリルゴム、もしくは反応性エポキシ樹脂に基づくポリマー、および/または第二セクションは熱可塑性、非反応性ポリアミドもしくはエポキシドに基づくポリマー、
ii)5重量%〜50重量%の割合の1種もしくはそれ以上の粘着付与性樹脂、および/または
iii)5重量%〜40重量%の割合の硬化剤、および所望の場合には促進剤を伴う、エポキシ樹脂。
【0026】
接着剤シートは、好ましくは10〜500μmの厚さを有する。
【0027】
反応性接着剤シートは、120℃以上の温度で架橋しそして三次元性高強度ポリマー網目構造を形成する反応性樹脂、および製品の脆性に対抗しそしてそれにより製品上への永久負荷(圧縮、延伸)を可能とする永久的弾性エラストマーの混合物である。
【0028】
エラストマーは、好ましくはポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタンまたはポリアミドの群に由来するか、または変性ゴム、例えばニトリルゴム、あるいはポリビニルブ
チラール、ポリビニルホルマール、ポリ酢酸ビニル、またはカルボキシル化もしくはエポキシル化SEBSポリマーであってもよい。
【0029】
上記は、それぞれの場合に、それを用いてスタンプ成形製品が特に有利な性質を展開するエラストマーである。
【0030】
昇温における樹脂の化学的架橋反応(エポキシドもしくはフェノール樹脂縮合に基づく)の結果として、接着剤フィルムと結合が起きる表面との間に高い強度が得られ、そして製品は高い内部強度に達する。
【0031】
反応性樹脂/硬化剤系の添加は、上記ポリマーの軟化温度の低下にも導き、それはそれらの加工温度および処理速度を有利に低下させる。適合する製品は、室温またはそれより僅かに高い温度で自己接着する製品である。製品が加熱されると、短期間で粘度が低下し、結果として製品が湿った荒い表面をも湿らせることができる。
【0032】
接着剤シートの組成は、原料のタイプおよび比率を変化させて広範囲に変化できる。それ以上の製品性質、例えば色、熱伝導度もしくは電気伝導度を、色素、鉱物および/または有機充填剤、例えば二酸化ケイ素、および/または炭素および/もしくは金属の粉末の選択的添加により得ることもできる。
【0033】
従って、接着剤シートは、一連の長所により差別化される:
・それらが室温で高い凝集力および弾性を有する:
・それらが自動車構造内の典型的な基体に高い接着力を示す。
【0034】
スタンプ成形製品は、スタンプ成形製品を高温に短時間暴露することにより車体構造に永久的に結合され、それらの温度は一方または双方の接着剤シートの活性化に導く。120℃を越え200℃未満の温度が特に有利として知られ、そしてかかる温度での暴露は約20分間であるべきである。
【0035】
なかでも高められた機械的ストレスの場合に、本発明のスタンプ成形製品は、当該技術分野で公知の解決より優れている。同様のことは騒音抑制の考慮においても適合する。騒音抑制および強度は、基層/接着剤シート/層状物の組合を介して著しく改善される。さらに、スタンプ成形製品の単一の実施物が複数の異なる大きさの孔に適用されることも可能である。
【0036】
スタンプ成形製品は、
・非常に高い負荷担持能力/貫入抵抗性
・水分/水分障壁に関する非常に良好なシーリング
・騒音/遮音に関する効果的なシーリング
・組込製品の追加の高強度および騒音の減衰を達成するための、重量材料、例えば金属小板の層状組込みによる簡単で安価な装置
により差別化される。
【0037】
以下に、図面を参照して、なかでも自動車車体の金属シートまたはプラスチック部品中の永久的に閉塞された孔のためのスタンプ成形製品が詳細に説明されるが、いかなる意味でも制限する効果はないと考える。
図1は、閉塞されるべき孔が熱への暴露により閉塞された後の状態を示す。
【0038】
本体5内に、構築システムの結果として、閉塞を要する孔6が存在する。
【0039】
この目的のために、接着剤シートで処理された織テキスタイル裏当てを有する基層1を有するスタンプ成形製品が、孔6がスタンプ成形製品により完全に覆われるような様式で孔6に固定される。
【0040】
スタンプ成形製品の面積は閉塞すべき孔6の面積より大きい。
【0041】
基層1上の中心且つ接着剤処理側上に配置された層状金属物2がある。
【0042】
金属小片2の上に熱活性化性接着剤シートの第一セクション3が存在し、その面積は閉塞されるべき孔6の面積より大きくそして基層1の面積より小さいがしかし層状物2よりも大きい。
【0043】
熱活性化性接着剤シートの第一セクション3上に、第一セクション3と同じ寸法を有する熱活性化性シートの第二セクション4が存在する。
【0044】
スタンプ成形製品は、接着剤シート3、4の活性化に導く高温への短時間のスタンプ成形製品の暴露により本体5に永久的に結合される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】閉塞されるべき孔が熱への暴露により閉塞された後の状態を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に自動車車体の金属シートまたはプラスチック製品中の孔を永久的に塞ぐスタンプ成形製品であって、
少なくとも1個の部分的に片面自己接着性処理した基層であって、耐熱性裏当てを含んでなり、面積が塞ぐべき孔の面積より大きく、そして面積が塞ぐべき孔の面積より大きく且つ基層の面積より小さい熱活性化性接着剤シートの第一セクションを接着剤処置した側上のとりわけ中心に備えた基層を有し、孔が第一セクションにより本質的に覆われるように該スタンプ成形製品を塞ぐべき孔の上に配置されるスタンプ成形製品。
【請求項2】
熱活性化性接着剤シートの第一セクション上、および孔に面する側の上に、面積が塞ぐべき孔の面積より大きくそして基層の面積よりは小さい熱可塑性熱活性化性接着剤シートの第二セクションがあり、孔が第二セクションにより本質的に覆われるように該スタンプ成形製品が塞ぐべき孔の上に配置されることを特徴とする、請求項1のスタンプ成形製品。
【請求項3】
基層と熱活性化性接着剤シートの第一セクション間に層状物があることを特徴とする、請求項1または2のスタンプ成形製品。
【請求項4】
熱活性化性接着剤シートが、好ましくは、下記の組成:
少なくとも30重量%の割合のポリマーであって、熱活性化性接着剤シートの第一セクションが、特に好ましくは、反応性ポリウレタン、ポリアミド、反応性フェノール樹脂を伴うニトリルゴムもしくは反応性エポキシ樹脂に基づき、および/または第二セクションが、熱可塑性ポリアミドもしくはエポキシドに基づき、5重量%〜50重量%の割合の1種もしくはそれ以上の粘着付与性樹脂、および/または5重量%〜40重量%の割合の硬化剤、および所望の場合には促進剤、を伴うエポキシ樹脂
を有することを特徴とする、請求項1〜3の少なくとも1項のスタンプ成形製品。
【請求項5】
接着剤シートが10〜500μmの厚さを有することを特徴とする、前期請求項の少なくとも1項のスタンプ成形製品。
【請求項6】
使用される裏当て材料が、アルミニウムフォイル、テキスタイル裏当てまたはポリマーフィルム(例えば、PVC、PP、PET、PU)、なかでも横糸カウント70〜80および/または縦糸カウント70〜80を有する木綿織布を含んでなることを特徴とする、前期請求項の少なくとも1項のスタンプ成形製品。
【請求項7】
層状物が金属から成ることを特徴とする、前期請求項の少なくとも1項のスタンプ成形製品。

【図1】
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【公表番号】特表2008−520453(P2008−520453A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540630(P2007−540630)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【国際出願番号】PCT/EP2005/055679
【国際公開番号】WO2006/053827
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(501237327)テサ・アクチエンゲゼルシヤフト (62)
【Fターム(参考)】