説明

特異部分分布特徴検出装置及び特異部分分布特徴検出方法

【課題】製品表面の特異部分の分布の特徴を効率的に検出すること。
【解決手段】特異部分分布特徴検出装置100は、画像取得部2が取得した表面画像から処理対象画像を生成する処理対象画像生成部10と、処理対象画像上の直交XY座標系の特異画素の座標を取得する特異画素座標取得部11と、特異画素の座標の二つを用いて補助線を導き出す補助線導出部12と、所定の矩形枠と補助線との間の二つの交点のそれぞれに至るまでの、原点から矩形枠を辿る経路長さを座標軸とする直交パラメータ座標系を用いて、経路長さの組み合わせを直交パラメータ座標系の座標へ変換し、その変換回数を座標毎に計数する座標系変換部13と、計数結果の解析に基づき特異画素が形成する直線状の特徴を検出する直線状特徴検出部14とを備え、直線状特徴検出部14は、検出対象の直線の特性に応じて計数結果の解析対象となる座標範囲を限定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品の表面にある特異部分の分布に関する特徴を検出するための特異部分分布特徴検出装置及び特異部分分布特徴検出方法に関し、特に、直線抽出アルゴリズムを用いてその製品の表面を表す画像における特異部分を表す特異画素の直線状の分布を検出することでその製品の表面にある特異部分の分布に関する特徴を検出する特異部分分布特徴検出装置及び特異部分分布特徴検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像から直線を抽出するためのハフ変換アルゴリズムを利用した技術が知られている(例えば、特許文献1〜4が知られている。)。
【0003】
最初に、ハフ変換アルゴリズムは、直交XY座標系上(原画像上)の一座標(一点)を通る任意の直線に対する原点(X=0、Y=0)から下ろした法線の長さρと角度θとを二つの座標軸とする直交パラメータ座標系を設定する。
【0004】
その後、ハフ変換アルゴリズムは、抽出対象の直線を構成する座標群(点群)を含む直交XY座標系の点群(例えば、その輝度値が閾値以上となる点群である。)のうちの一点を通る(ρ、θで表される)直線群を直交パラメータ座標系における点群のそれぞれに投票する(「投票」は、直交XY座標系における直線を直交パラメータ座標系における座標に変換した場合にその座標に関する変換回数を1だけ計数する処理を意味する。)。
【0005】
その後、ハフ変換アルゴリズムは、それら直交XY座標系上の直線群の全てについてこの投票を繰り返すことによって、抽出対象の直線を構成する点群に関する直交パラメータ座標系上の特定の座標に関する投票数が顕著に増大することを利用して、その抽出対象の直線を抽出する。
【0006】
上述の基本原理に加えて、特許文献1は、最小二乗法を併用して画像内の矩形の2次元コード図形を切り出す方法を開示している。
【0007】
また、特許文献2は、直線をより高精度に抽出するために、その直線を前処理により概略的に検出し、その概略的に検出された直線の長さに基づいて直交パラメータ座標系におけるρ、θのサンプリング間隔Δρ、Δθを決定する方法を開示している。
【0008】
また、特許文献3は、投票回数を低減させるために、抽出しようとする直線(道路境界線)の延在方向に応じて直交パラメータ座標系におけるθの値の範囲を限定し、且つ、抽出しようとする道路境界線と抽出対象でない他の直線との色の違いを利用して、投票の対象となる直交XY座標系上の点群の数を限定する方法を開示している。
【0009】
また、特許文献4は、直交パラメータ座標系における複数の小区間ΔD内の座標群の投票数をまとめた上で直交XY座標系(放射線撮影画像)における直線を大まかに抽出し、その後改めて小区間ΔD内の座標毎の投票数に基づいて放射線撮影画像における直線をより厳密に特定して、放射線撮影画像における矩形の照射野輪郭PSを検出する方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平7−220081号公報
【特許文献2】特開平11−66302号公報
【特許文献3】特開平6−337936号公報
【特許文献4】特開2006−293522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1〜4に記載の方法はいずれも、ρ及びθを二つの座標軸とする直交パラメータ座標系を用いたハフ変換アルゴリズムを採用するので、直線を抽出するための投票回数が多くなり、高速なプロセッサや大きなメモリ容量を必要とし、ハードウェア的な制約を増大させてしまうという問題がある。
【0012】
上述の点に鑑み、本発明は、製品の表面を表す画像における特異部分を表す特異画素の直線状の特徴を検出することによってその製品の表面にある特異部分の分布に関する特徴をより効率的に検出する特異部分分布特徴検出装置及び特異部分分布特徴検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的を達成するために、本発明の実施例に係る特異部分分布特徴検出装置は、 製品の表面にある特異部分の分布に関する特徴を検出する特異部分分布特徴検出装置であって、前記製品の表面を撮影して表面画像を取得する画像取得部と、前記表面画像から製品の表面にある特異部分を表す複数の特異画素を含む処理対象画像を生成する処理対象画像生成部と、前記処理対象画像上に直交XY座標系を設定し、該直交XY座標系における前記特異画素の座標を取得する特異画素座標取得部と、前記特異画素の座標のうちの二つを用いて補助線を導き出す補助線導出部と、X=0、Y=0、X=Lx(定数)、Y=Ly(定数)で表される四つの境界線で定義される矩形枠と前記補助線導出部が導き出す補助線との間の二つの交点のそれぞれに対する、該矩形枠上の所定点から該矩形枠を辿って該二つの交点に至るまでの経路長さS、Tを座標軸とする直交パラメータ座標系を用いて、前記補助線導出部が導き出す補助線に対応する該二つの交点に至るまでの経路長さの組み合わせの、該直交パラメータ座標系上の一座標への変換を実行し、該直交パラメータ座標系上の各座標への変換の回数を該直交パラメータ座標系上の座標毎に計数する座標系変換部と、前記座標系変換部による計数結果の解析に基づいて前記複数の特異画素が形成する直線状の特徴を検出する直線状特徴検出部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、前記直線状特徴検出部は、前記直交パラメータ座標系の一座標における計数結果が閾値を超える場合に、該一座標に対応する前記直交XY座標系の補助線が表す直線状の特徴を、前記複数の特異画素が形成する直線状の特徴として検出することが好ましい。
【0015】
また、前記処理対象画像における画素群のそれぞれは、前記表面画像における複数の画素群を含む画素範囲を代表し、前記画素範囲の大きさは、製品の表面にある特異部分の分布態様に応じて予め決定されることが好ましい。
【0016】
また、前記直線状特徴検出部は、前記補助線導出部が導き出した補助線群のうちX軸に対する角度αが共通する補助線群のそれぞれが、前記直交パラメータ座標系における線分上の座標の何れかに変換されることに基づき、予め決定される前記角度αの変動幅に応じて前記直交パラメータ座標系における計数結果の解析対象となる座標範囲を限定することが好ましい。
【0017】
また、前記経路長さS、Tは、原点(X=0、Y=0)から前記矩形枠を辿って前記二つの交点に至るまでの長さであり、前記座標範囲は、S=0、T=0、S=Lx+Ly、T=Lx+Lyで表される四つの境界線で定義される領域、S=Lx+Ly、S=2Lx+Ly、T=0、T=Lyで表される四つの境界線で定義される領域、及び、S=0、S=Lx、T=Lx+Ly、T=Lx+2Lyで表される四つの境界線で定義される領域であることが好ましい。
【0018】
また、前記経路長さS、Tは、原点(X=0、Y=0)から前記矩形枠を辿って前記二つの交点に至るまでの長さであり、前記直線状特徴検出部は、前記直交XY座標系のX軸に垂直な直線状の特徴を検出するために、前記座標範囲を線分T=S+Ly(0≦S≦Lx)上に限定することが好ましい。
【0019】
また、前記経路長さS、Tは、原点(X=0、Y=0)から前記矩形枠を辿って前記二つの交点に至るまでの長さであり、前記直線状特徴検出部は、前記直交XY座標系のX軸に平行な直線状の特徴を検出するために、前記座標範囲を線分T=S−Lx(Lx≦S≦Lx+Ly)上に限定することが好ましい。
【0020】
また、本発明の実施例に係る特異部分分布特徴検出方法は、製品の表面にある特異部分の分布に関する特徴を検出する特異部分分布特徴検出方法であって、前記製品の表面を撮影して表面画像を取得する画像取得ステップと、前記表面画像から製品の表面にある特異部分を表す複数の特異画素を含む処理対象画像を生成する処理対象画像生成ステップと、前記処理対象画像上に直交XY座標系を設定し、該直交XY座標系における前記特異画素の座標を取得する特異画素座標取得ステップと、前記特異画素の座標のうちの二つを用いて補助線を導き出す補助線導出ステップと、X=0、Y=0、X=Lx(定数)、Y=Ly(定数)で表される四つの境界線で定義される矩形枠と前記補助線導出ステップにおいて導き出される補助線との間の二つの交点のそれぞれに対する、該矩形枠上の所定点から該矩形枠を辿って該二つの交点に至るまでの経路長さS、Tを座標軸とする直交パラメータ座標系を用いて、前記補助線導出ステップにおいて導き出される補助線に対応する該二つの交点に至るまでの経路長さの組み合わせの、該直交パラメータ座標系上の一座標への変換を実行し、該直交パラメータ座標系上の各座標への変換の回数を該直交パラメータ座標系上の座標毎に計数する座標系変換ステップと、前記座標系変換ステップにおける計数結果の解析に基づいて前記複数の特異画素が形成する直線状の特徴を検出する直線状特徴検出ステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
上述の手段により、本発明は、製品の表面を表す画像における特異部分を表す特異画素の直線状の特徴を検出することによってその製品の表面にある特異部分の分布に関する特徴をより効率的に検出する特異部分分布特徴検出装置及び特異部分分布特徴検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例に係る特異部分分布特徴検出装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】表面画像上の画素群と処理対象画像上の代表画素との間の関係を示す図である。
【図3】処理対象画像の一例を示す図である。
【図4】直交XY座標系における複数の特異画素の座標のうちの二つを通る補助線を、直交ST座標系における座標に変換する手順を説明するための図(その1)である。
【図5】直交XY座標系における複数の特異画素の座標のうちの二つを通る補助線を、直交ST座標系における座標に変換する手順を説明するための図(その2)である。
【図6】縦横の長さが等しい処理対象画像に対応する直交ST座標系の構成例を示す図である。
【図7】縦横の長さが異なる処理対象画像に対応する直交ST座標系の構成例を示す図である。
【図8】座標系変換部による計数結果を模式的に示す図である。
【図9】直線状特徴検出部が直交XY座標系における直線状の特徴を検出する手順を説明するための図である。
【図10】図9で示される直線状特徴検出部の検出結果に対応する処理対象画像を示す図である。
【図11】直線状特徴検出処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0024】
図1は、本発明の実施例に係る特異部分分布特徴検出装置100の構成例を示すブロック図である。
【0025】
特異部分分布特徴検出装置100は、平坦な表面を有する製品のその表面にある特異部分の分布に関する特徴を検出するための装置であり、制御部1、画像取得部2、及び出力部3を有する。
【0026】
平坦な表面を有する製品は、例えば、複数の搬送ローラを利用して製造工程内を搬送される長尺の物である。
【0027】
製品の表面にある特異部分は、製品表面の他の部分と特性(例えば、輝き、粗さ、凹凸等の度合いである。)が異なる部分であり、例えば、搬送ローラにおける傷や付着ゴミによってその製品に周期的或いは連続的に転写される凹み等であり、その特異部分は、製品の搬送方向に平行な線状の分布を形成する。なお、その特異部分が形成する線は、直線状の分布を形成する場合があり、また、搬送ローラによる製品搬送中にその製品が搬送ローラ上を幅方向に左右に揺動することに起因して、左右に揺動する曲線又はジグザグ線となる場合もある。
【0028】
また、製品の表面にある特異部分は、例えば、搬送ローラによって搬送されるその製品の表面洗浄工程や表面処理工程における不具合に起因してその製品表面上へ拡散する異物であり、その特異部分は、その製品の表面に円形状又は楕円形状を含む不定形状の広がりを持つ分布を形成する。
【0029】
また、製品の表面にある特異部分は、上述のように意に反して形成されたものばかりでなく、意図的に形成される模様を構成するものであってもよい。
【0030】
制御部1は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えたコンピュータであって、例えば、処理対象画像生成部10、特異画素座標取得部11、補助線導出部12、座標系変換部13、及び直線状特徴検出部14のそれぞれに対応するプログラムをROMに記憶しながら、それら各部に対応する処理をCPUに実行させる。なお、処理対象画像生成部10、特異画素座標取得部11、補助線導出部12、座標系変換部13、及び直線状特徴検出部14は、それぞれ、電子回路等のハードウェアで構成されていてもよい。
【0031】
画像取得部2は、制御部1で処理される画像を取得する装置であり、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子を備えたカメラであって、搬送ローラによって搬送される製品の表面の一部又は全部を断続的に或いは連続的に撮像し、撮像したその製品表面の画像(以下、「表面画像」とする。)を制御部1に対して出力する。
【0032】
出力部3は、各種情報を出力するための装置であり、例えば、制御部1による製品表面にある特異部分の分布に関する特徴の検出結果を表示するためのディスプレイ、又は、その検出結果を音声出力するためのスピーカ等である。
【0033】
次に、制御部1が有する各要素について説明する。
【0034】
処理対象画像生成部10は、画像取得部2が取得した表面画像から製品表面の特異部分を表す画素(以下、「特異画素」とする。)を含む処理対象画像を生成するための要素であり、例えば、その表面画像に各種画像処理を施して特異画素を抽出することによって処理対象画像を生成する。
【0035】
具体的には、処理対象画像生成部10は、その表面画像に対してその輝度に基づくグレースケール化処理を施し、更に、所定の閾値を用いて二値化処理を施す。この二値化処理は、例えば、その製品の正常な表面を表す輝度値を有する画素の値が「0」で示され、その製品の表面の特異部分を表す輝度値(例えば、その製品の正常な表面を表す輝度値以外の輝度値である。)を有する画素の値が「1」で示されるように実行される。
【0036】
その後、処理対象画像生成部10は、その表面画像上の所定画素範囲における画素群を一画素(例えば、表面画像上の縦5画素×横5画素の画素範囲における画素群を代表する画素であり、処理対象画像の構成単位となる画素であって、以下、「代表画素」とする。)で代表させる間引き処理を施す。その代表画素の値は、対応する所定画素範囲内の画素群における一又は複数の所定数の画素の値が「1」となる場合に「1」に設定され、それ以外の場合に「0」に設定される。なお、所定画素範囲は、一画素のみで構成されていてもよく、その場合、その代表画素の値には、その一画素の値がそのまま用いられることとなり、その処理対象画像の解像度には、その表面画像の解像度がそのまま用いられることとなる。
【0037】
処理対象画像の大きさは、表面画像の全部であってもよく、表面画像の一部であってもよい。
【0038】
また、所定画素範囲の大きさは、製品の表面にある特異部分の実際に起こり得る分布態様に応じて決定され、これにより、製品の表面(表面画像)における特異部分の非直線状の分布が処理対象画像における直線状の分布として表され得ることとなる。例えば、製品の表面にある特異部分の分布がジグザグ状の分布となり易い適用例では、所定画素範囲の幅が、実際に起こり得るそのジグザグの幅に適合するように設定されてもよい。
【0039】
図2は、表面画像上の画素群と処理対象画像上の代表画素との間の関係を示す図であり、図2(A)は、表面画像上の縦5画素×横5画素の画素範囲における画素群を代表する、処理対象画像の構成単位となる代表画素を示し、図2(B)は、その画素範囲内の何れか一つの画素の値が「1」である場合に対応する代表画素の値が「1」に設定される場合の例を示す。
【0040】
このようにして、処理対象画像生成部10は、その表面画像における一又は複数の画素を代表する代表画素群で構成される処理対象画像を生成し、その処理対象画像から「1」の値を有する代表画素を特異画素として抽出する。
【0041】
これにより、処理対象画像生成部10は、製品表面の特異部分の分布が形成する、製品幅方向に左右に揺動する曲線若しくはジグザグ線、又は、円形状若しくは楕円形状を、その処理対象画像における直線として扱うことができるようにする。
【0042】
図3は、処理対象画像生成部10が生成した処理対象画像の一例を示す図である。
【0043】
図3で示されるように、製品表面の特異部分が形成する表面画像上の左右に揺動する曲線又はジグザグ線は、処理対象画像上における黒点で表される特異画素が形成する製品搬送方向に平行な直線状の特徴F1として示され、また、製品表面の特異部分が形成する表面画像上の円形状又は楕円形状は、処理対象画像上における黒点で表される特異画素が形成する製品搬送方向に垂直な直線状の特徴F2として示されることとなる。
【0044】
特異画素座標取得部11は、特異画素の座標を取得する要素であり、例えば、処理対象画像上に直交XY座標系を設定し、その直交XY座標系における特異画素の座標を取得する。例えば、その直交XY座標系の原点は、その処理対象画像内の製品搬送方向の最上流における製品端部の一点(図3の処理対象画像における左下隅の一点)とし、そのX軸は、代表画素の数を単位として製品幅方向に延び、また、そのY軸は、代表画素の数を単位として製品長さ方向に延びる。
【0045】
補助線導出部12は、後述の座標系変換部13が用いる補助線を導き出すための要素であり、例えば、特異画素座標取得部11が取得した複数の特異画素の座標群のうちの二つを通る補助線を、それら特異画素の座標群のうちの二つの座標の全ての組み合わせに対して導き出す。
【0046】
また、補助線導出部12は、それら特異画素の座標群のうちの二つの座標の組み合わせのうち、所定の条件を満たす組み合わせに対して、補助線を導き出すようにしてもよく、ランダムに抽出した組み合わせに対して、補助線を導き出すようにしてもよい。なお、その所定の条件は、対象となる特異画素間の距離又は角度に関する条件等を含む。
【0047】
座標系変換部13は、直交XY座標系における補助線を直交パラメータ座標系における座標に変換するための要素である。
【0048】
具体的には、座標系変換部13は、例えば、直交XY座標系における、X=0、Y=0、X=Lx(定数)、Y=Ly(定数)で表される四つの境界線で定義される矩形枠(例えば、処理対象画像の大きさに相当する。)と、補助線導出部12が導き出す補助線との間の二つの交点のそれぞれに対する、その矩形枠上の一点(例えば、原点(X=0、Y=0)である。)からその矩形枠に沿ってそれら二つの交点に至るまでの経路長さS、T(単位:画素)を座標軸とする直交パラメータ座標系(直交ST座標系)を設定する。
【0049】
その後、座標系変換部13は、補助線導出部12が導き出した各補助線の二つの交点に至るまでの経路長さの組み合わせを、その直交ST座標系上の一座標へ変換し、その直交ST座標系上の各座標への変換の回数をその直交ST座標系上の座標毎に計数する。
【0050】
図4及び図5は、制御部1が直交XY座標系における複数の特異画素の座標群のうちの二つの座標を通る補助線を、直交ST座標系における座標に変換する手順を説明するための図であり、縦横の長さが共にL(単位:画素)である処理対象画像における特異画素を黒点で示す。
【0051】
図4(A)において、特異画素座標取得部11は、その処理対象画像内の製品搬送方向の最上流における製品端部の一点(図4の処理対象画像における左下隅の一点)を原点Oとし、製品幅方向をX軸とし、製品長さ方向をY軸とする直交XY座標系を設定する。
【0052】
その後、特異画素座標取得部11は、その処理対象画像内の任意の特異画素P1、P2の座標を取得する。
【0053】
図4(B)において、補助線導出部12は、特異画素座標取得部11が取得した特異画素P1の座標と特異画素P2の座標とに基づいて、二つの特異画素P1、P2を通る補助線L1を導き出す。
【0054】
その後、座標系変換部13は、その直交XY座標系における、X=0、Y=0、X=L、Y=Lで表される四つの境界線で定義される矩形枠と補助線L1との二つの交点Q1、Q2を導き出す。
【0055】
図4(C)において、座標系変換部13は、原点Oからその矩形枠に沿って交点Q1に至るまでの経路長さS1と、原点Oからその矩形枠に沿って交点Q2に至るまでの経路長さT1とを導き出す。
【0056】
図5(A)は、図4(C)で示されるように、特異画素P1、P2を通る補助線L1が、交点Q1において直交XY座標系の境界線X=Lと交差し、交点Q2において直交XY座標系の境界線X=0と交差し、X軸との間で角度−α(右下がりの角度)を形成することを示す。また、図5(A)は、原点Oから交点Q1、Q2までの経路長さがそれぞれS1、T1となることを示す。
【0057】
図5(B)は、特異画素P3、P4を通る補助線L2が、交点Q3において直交XY座標系の境界線Y=0と交差し、交点Q4において直交XY座標系の境界線Y=Lと交差し、X軸との間で角度−α(右下がりの角度)を形成することを示す。また、図5(B)は、原点Oから交点Q3、Q4までの経路長さがそれぞれS2、T2となることを示す。
【0058】
図5(C)は、特異画素P5、P6を通る補助線L3が、交点Q5において直交XY座標系の境界線Y=0と交差し、交点Q6において直交XY座標系の境界線Y=Lと交差し、X軸との間で角度+α(右上がりの角度)を形成することを示す。また、図5(C)は、原点Oから交点Q5、Q6までの経路長さがそれぞれS3、T3となることを示す。
【0059】
図6は、縦横の長さが共にL(単位:画素)である処理対象画像に対応する直交ST座標系の構成例を示す図であり、直交XY座標系におけるX軸との間の角度αが−90°以上+90°以下の範囲にある一の補助線が、直交ST座標系における六つの正方形領域R1〜R6内の一座標に変換されることを示す。
【0060】
領域R2内の▲印で示される座標は、図5(A)の補助線L1に対応し、領域R2内の■印で示される座標は、図5(B)の補助線L2に対応し、領域R5内の●印で示される座標は、図5(C)の補助線L3に対応する。
【0061】
また、直交XY座標系においてX軸との間に形成される角度αが共通する補助線群は、矩形枠との二つの交点の位置がそれぞれ異なる場合であっても、直交ST座標系の六つの正方形領域R1〜R6内に描かれる線分上の座標の何れかに変換される。なお、角度αに加え、矩形枠との二つの交点の位置も共通する補助線群は、直交ST座標系の六つの正方形領域R1〜R6内に描かれる線分上の同一座標に変換される。
【0062】
例えば、角度α=0°の補助線群(X軸に平行な補助線群)は、直交ST座標系の領域R5の左下隅の頂点(S=L、T=0)と右上隅の頂点(S=2L、T=L)とを結ぶ点線で示される線分(以下、「0°線」とする。)上の座標の何れかに変換される。
【0063】
また、角度α=+45°の補助線群は、直交ST座標系の領域R1の左下隅の頂点(S=0、T=2L)と右上隅の頂点(S=L、T=3L)とを結ぶ破線で示される線分、又は、直交ST座標系の領域R6の左下隅の頂点(S=2L、T=0)と右上隅の頂点(S=3L、T=L)とを結ぶ破線で示される線分(以下、「+45°線」とする。)上の座標の何れかに変換される。
【0064】
また、角度α=−45°の補助線群は、直交ST座標系の領域R3の左下隅の頂点(S=0、T=0)と領域R4の右上隅の頂点(S=2L、T=2L)とを結ぶ一点鎖線で示される線分(以下、「−45°線」とする。)上の座標の何れかに変換される。
【0065】
また、角度α=±90°の補助線群(X軸に垂直な補助線群)は、直交ST座標系の領域R2の左下隅の頂点(S=0、T=L)と右上隅の頂点(S=L、T=2L)とを結ぶ二点鎖線で示される線分(以下、「±90°線」とする。)上の座標の何れかに変換される。
【0066】
更に、角度αの値が0°、±45°、±90°以外の共通の角度αを有する補助線群、例えば▲印で示される、図5(A)の補助線L1と同じ角度α(−45°<α<0°)を有する補助線群は、直交ST座標系の領域R3、R5、及びR4を通る線分であり、直交ST座標系の領域R3の左下隅の頂点(S=0、T=0)から発し、領域R3内をS=Lとなるまで45°未満の勾配で右上がりに増大し、S=Lから領域R5内を45°の勾配で右上がりに増大し、領域R4内をS=2Lとなるまで45°より大きい勾配で右上がりに増大し、そして、領域R4の右上隅の頂点(S=2L、T=2L)で終わる線分上の座標の何れかに変換される。
【0067】
また、例えば■印で示される、図5(B)の補助線L2と同じ角度α(−90°<α<−45°)を有する補助線群は、直交ST座標系の領域R3、R2、及びR4を通る線分であり、直交ST座標系の領域R3の左下隅の頂点(S=0、T=0)から発し、領域R3内をT=Lとなるまで45°より大きい勾配で右上がりに増大し、T=Lから領域R2内を45°の勾配で右上がりに増大し、領域R4内をT=2Lとなるまで45°未満の勾配で右上がりに増大し、そして、領域R4の右上隅の頂点(S=2L、T=2L)で終わる線分上の座標の何れかに変換される。
【0068】
このように、角度αの値が0°、±45°、±90°以外の共通の角度αを有する補助線群の変換先である直交ST座標系上の座標群が形成する線分は、領域R2及びR5内では45°の勾配で右上がりに増大し、領域R1、R3、R4、及びR6では45°以外の勾配で右上がりに増大する。
【0069】
図7(A)は、X軸方向の長さがLx(単位:画素)であり、Y軸方向の長さがLy(単位:画素)である処理対象画像の構成例を示す図であり、図7(B)は、その縦横の長さが異なる処理対象画像に対応する直交ST座標系の構成例を示す図である。
【0070】
また、図7(B)は、図6と同様に、直交XY座標系におけるX軸との間の角度αが−90°以上+90°以下の範囲にある一の補助線が、直交ST座標系における六つの矩形領域R1〜R6内の一座標に変換され、角度αが共通する補助線群が、直交ST座標系の六つの矩形領域R1〜R6内に描かれる線分上の座標の何れかに変換されることを示す。
【0071】
また、角度αの値が0°、±45°、±90°以外の共通の角度αを有する補助線群の変換先である直交ST座標系上の座標群が形成する線分は、図6で示す場合と同様、領域R2及びR5内では45°の勾配で右上がりに増大し、領域R1、R3、R4、及びR6では45°以外の勾配で右上がりに増大する。
【0072】
ここで、再度図1を参照して、制御部1が有する各要素の説明を継続する。
【0073】
座標系変換部13は、直交XY座標系の補助線を直交ST座標系の座標へ変換する毎に、その変換回数をその直交ST座標系の各座標に関連付けて計数する。
【0074】
これにより、例えば、処理対象画像上の多数の特異画素が形成するX軸に平行な直線状の特徴は、角度αが0°となり、且つ矩形枠との二つの交点が共通する多数の補助線群として表現されるので、それら補助線群の変換先である直交ST座標系の領域R5(図6又は図7参照。)における点線で示される0°線上の一座標への変換回数は、その線分上の他の座標への変換回数、及び、直交ST座標系における他の座標への変換回数に比べて、著しく大きな値となる。
【0075】
同様に、処理対象画像上の多数の特異画素が形成するX軸に垂直な直線状の特徴は、角度αが+90°又は−90°となり、且つ矩形枠との二つの交点が共通する多数の補助線群として表現されるので、それら補助線群の変換先である直交ST座標系の領域R2(図6又は図7参照。)における二点鎖線で示される±90°線上の一座標への変換回数は、その線分上の他の座標への変換回数、及び、直交ST座標系における他の座標への変換回数に比べて、著しく大きな値となる。
【0076】
直線状特徴検出部14は、座標系変換部13による計数結果に基づいて複数の特異画素が形成する直線状の特徴を検出する要素であり、例えば、その計数結果を解析し(「解析」は、直交ST座標系上の座標のそれぞれにおける計数結果と所定の閾値とを比較する処理を意味する。)、所定の閾値以上の変換回数を有する直交ST座標系の座標に対応する直交XY座標系の補助線が表す直線状の特徴を、処理対象画像上の複数の特異画素が形成する直線状の特徴として検出する。
【0077】
図8は、座標系変換部13による計数結果を模式的に示す図であり、図6で示される直交ST座標系に度数軸(第三の軸)を加えた三次元直交座標系を示す。
【0078】
図8において、領域R2の二点鎖線で表される±90°線上の座標群から度数軸に平行に上方に伸びる線群の高さは、それら座標群のそれぞれに対応する変換回数を表し、線の高さが高い程、対応する座標への変換回数が多かったことを表す。従って、それら線群は、直交XY座標系におけるX軸に垂直な補助線が多数存在することを表す。
【0079】
同様に、領域R5の点線で表される0°線上の座標群から度数軸に平行に上方に伸びる線群は、直交XY座標系におけるX軸に平行な補助線が多数存在することを表す。
【0080】
図9は、直線状特徴検出部14が直交XY座標系における直線状の特徴を検出する手順を説明するための図であり、図9(A)は、直交XY座標系のX軸に垂直な直線状の特徴を検出する手順を説明するための図であり、図9(B)は、直交XY座標系のX軸に平行な直線状の特徴を検出する手順を説明するための図である。
【0081】
図9(A)で示されるように、直線状特徴検出部14は、図6における直交ST座標系の領域R2の二点鎖線で表される±90°線を構成する座標群のそれぞれが有する変換回数の値と閾値TH1とを比較し、閾値TH1より大きな値を有する±90°線上の座標に対応する、直交XY座標系におけるX軸に垂直な補助線のX切片の座標X1を抽出する。
【0082】
このようにして、直線状特徴検出部14は、直交XY座標系上にある、原点Oからの距離がX1(単位:画素)であるX軸に垂直な直線状の特徴を検出する。
【0083】
また、図9(B)で示されるように、直線状特徴検出部14は、図6における直交ST座標系の領域R5の点線で表される0°線を構成する座標群のそれぞれが有する変換回数の値と閾値TH2とを比較し、閾値TH2より大きな値を有する0°線上の座標に対応する、直交XY座標系におけるX軸に平行な補助線のY切片の座標Y1を抽出する。
【0084】
このようにして、直線状特徴検出部14は、直交XY座標系上にある、原点Oからの距離がY1(単位:画素)であるX軸に平行な直線状の特徴を検出する。
【0085】
また、直線状特徴検出部14は、通常、直交ST座標系における±90°線又は0°線を構成する座標群のそれぞれの変換回数と閾値TH1又は閾値TH2とを座標毎に個別に比較するが、±90°線又は0°線上の隣接する複数の座標群のそれぞれの変換回数を合算し、或いは、±90°線又は0°線上以外の隣接する複数の座標群のそれぞれの変換回数を合算し、その合算値と閾値TH1又は閾値TH2とを比較するようにしてもよい。直線状の特徴をより柔軟に検出できるようにするためである。
【0086】
図10は、図9で示される直線状特徴検出部14の検出結果に対応する処理対象画像を示す図であり、原点(左下隅の点)からの距離がX1(単位:画素)であるX軸に垂直な直線状の特徴F1と、原点(左下隅の点)からの距離がY1(単位:画素)であるX軸に平行な直線状の特徴F2とが存在することを示す。
【0087】
次に、図11を参照しながら、特異部分分布特徴検出装置100が処理対象画像における特異画素の分布に関する直線状の特徴を検出する処理(以下、「直線状特徴検出処理」とする。)の流れについて説明する。なお、図11は、直線状特徴検出処理の流れを示すフローチャートであり、この直線状特徴検出処理は、表面画像が取得される毎に実行されてもよく、複数の表面画像が取得された後にそれら複数の表面画像を一括して処理するように実行されてもよい。
【0088】
最初に、特異部分分布特徴検出装置100の制御部1は、画像取得部2が出力する表面画像を取得すると、処理対象画像生成部10により、表面画像に画像処理(例えば、グレースケール化処理、二値化処理、及び間引き処理である。)を施して処理対象画像を生成する(ステップD1)。
【0089】
その後、制御部1は、特異画素座標取得部11により、処理対象画像上に設定した直交XY座標系における各特異画素の座標を取得する(ステップD2)。
【0090】
その後、制御部1は、補助線導出部12により、直交XY座標系における複数の特異画素の座標群のうちの二つの座標を通る補助線を導き出す(ステップD3)。
【0091】
その後、制御部1は、座標系変換部13により、導き出したその直交XY座標系における補助線を直交ST座標系(図6参照。)の一座標に投票する(ステップD4)。
【0092】
その後、制御部1は、直交XY座標系における特異画素の座標群のうちの二つの座標の組み合わせであって、所定の条件を満たす組み合わせの全てに対し、補助線の導出(ステップD3)及び直交ST座標系への投票(ステップD4)を実行したか否かを判定する(ステップD5)。
【0093】
所定の条件を満たす組み合わせの全てに対して補助線の導出及び直交ST座標系への投票を実行していないと判定した場合(ステップD5のNO)、制御部1は、直交XY座標系における特異画素の座標群のうちの二つの座標の別の組み合わせに対して、補助線の導出及び直交ST座標系への投票を実行する。
【0094】
所定の条件を満たす組み合わせの全てに対して補助線の導出及び直交ST座標系への投票を実行したと判定した場合(ステップD5のYES)、制御部1は、直線状特徴検出部14により、直交ST座標系の所定の座標範囲を解析して、投票数が閾値以上となる直交ST座標系の座標を抽出する(ステップD6)。
【0095】
所定の座標範囲は、例えば、X軸に垂直な或いは平行な直線状の特徴のみを抽出する場合には、直交ST座標系の±90°線、若しくは0°線(図6及び図7参照。)上の座標群、又は、それらに隣接する座標群を加えた座標群に限定され、その座標範囲以外の座標群は、解析の対象から除外される。
【0096】
その後、制御部1は、直線状特徴検出部14により、投票数が閾値以上となる直交ST座標系の座標に対応する、直交XY座標系における補助線を、処理対象画像上の多数の特異画素が形成する直線状の特徴として検出する(ステップD7)。
【0097】
その後、制御部1は、検出した直線状の特徴に関する情報(例えば、その直線状の特徴の本数、直交XY座標系におけるX切片の座標、Y切片の座標、X軸に対する角度等である。)を出力部3に対して出力し、出力部3がその直線状の特徴に関する情報を表示或いは音声出力できるようにする(ステップD8)。
【0098】
以上の構成により、特異部分分布特徴検出装置100は、処理対処画像にある特異画素の直線状の分布、ひいては、製品の表面にある特異部分の分布に関する特徴をより効率的に検出することができる。
【0099】
また、特異部分分布特徴検出装置100は、検出すべき補助線の角度(例えば、製品搬送方向に対する角度である。)を指定することにより、解析の対象となる直交ST座標系上の座標群を、直交ST座標系上の特定の線分を構成する座標群に限定することができ、演算負荷を更に低減させながら、処理対処画像にある特異画素の直線状の分布、ひいては、製品の表面にある特異部分の分布に関する特徴をより効率的に検出することができる。
【0100】
また、特異部分分布特徴検出装置100は、検出すべき補助線の角度(例えば、製品搬送方向に対する角度である。)を0°(製品搬送方向に平行な角度)に指定することにより、解析の対象となる直交ST座標系上の座標群を、直交ST座標系上の線分T=S+Ly(0≦S≦Lx)を構成する座標群に限定することができ、演算負荷を更に低減させながら、処理対処画像にある特異画素の直線状の分布、ひいては、製品の表面にある特異部分の分布に関する特徴をより効率的に検出することができる。
【0101】
また、特異部分分布特徴検出装置100は、検出すべき補助線の角度(例えば、製品搬送方向に対する角度である。)を±90°(製品搬送方向に垂直な角度)に指定することにより、解析の対象となる直交ST座標系上の座標群を、直交ST座標系上の線分T=S−Lx(Lx≦S≦Lx+Ly)を構成する座標群に限定することができ、演算負荷を更に低減させながら、処理対処画像にある特異画素の直線状の分布、ひいては、製品の表面にある特異部分の分布に関する特徴をより効率的に検出することができる。
【0102】
また、特異部分分布特徴検出装置100は、解析の対象となる直交ST座標系上の座標群を、所定の線分を構成する座標群から、それらに隣接する座標群を含めた座標群に拡張することができ、処理対処画像にある特異画素の直線状の分布、ひいては、製品の表面にある特異部分の分布に関する特徴をより柔軟に検出することができる。
【0103】
また、特異部分分布特徴検出装置100は、製品の表面にある特異部分の非直線状の分布(表面画像における非直線状の分布)が直線状の分布(処理対象画像における直線状の分布)として扱われるように処理対象画像を生成することができ、処理対処画像にある特異画素の直線状の分布、ひいては、製品の表面にある特異部分の分布に関する特徴をより柔軟に検出することができる。
【0104】
また、特異部分分布特徴検出装置100は、上述のようにして検出した製品の表面にある特異部分の分布に関する特徴に基づいて、その特異部分の発生原因(例えば、搬送ローラ)を早期に特定することができるので、製品の歩留まりを上げることができ、また、不良品の製造を最低限に抑えることができる。
【0105】
また、特異部分分布特徴検出装置100は、上述のようにして検出した製品の表面にある特異部分の分布に関する特徴に基づいて、製品の表面にある模様が意図した通りに形成されたか否かを判定することができる。
【0106】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0107】
例えば、上述の実施例は、直線状特徴検出部14による解析の対象となる直交ST座標系上の座標群を、直交ST座標系上の特定の線分を構成する座標群に限定することによって、処理対処画像にある特異画素の直線状の分布、ひいては、製品の表面にある特異部分の分布に関する特徴をより効率的に検出できるようにするが、補助線導出部12による導出の対象となる補助線群を限定することによって、或いは、座標系変換部13による投票の対象となる経路長さの組み合わせを限定することによって、処理対処画像にある特異画素の直線状の分布、ひいては、製品の表面にある特異部分の分布に関する特徴をより効率的に検出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0108】
1 制御部
2 画像取得部
3 出力部
10 処理対象画像生成部
11 特異画素座標取得部
12 補助線導出部
13 座標系変換部
14 直線状特徴検出部
100 特異部分分布特徴検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の表面にある特異部分の分布に関する特徴を検出する特異部分分布特徴検出装置であって、
前記製品の表面を撮影して表面画像を取得する画像取得部と、
前記表面画像から製品の表面にある特異部分を表す複数の特異画素を含む処理対象画像を生成する処理対象画像生成部と、
前記処理対象画像上に直交XY座標系を設定し、該直交XY座標系における前記特異画素の座標を取得する特異画素座標取得部と、
前記特異画素の座標のうちの二つを用いて補助線を導き出す補助線導出部と、
X=0、Y=0、X=Lx(定数)、Y=Ly(定数)で表される四つの境界線で定義される矩形枠と前記補助線導出部が導き出す補助線との間の二つの交点のそれぞれに対する、該矩形枠上の所定点から該矩形枠を辿って該二つの交点に至るまでの経路長さS、Tを座標軸とする直交パラメータ座標系を用いて、前記補助線導出部が導き出す補助線に対応する該二つの交点に至るまでの経路長さの組み合わせの、該直交パラメータ座標系上の一座標への変換を実行し、該直交パラメータ座標系上の各座標への変換の回数を該直交パラメータ座標系上の座標毎に計数する座標系変換部と、
前記座標系変換部による計数結果の解析に基づいて前記複数の特異画素が形成する直線状の特徴を検出する直線状特徴検出部と、
を備えることを特徴とする特異部分分布特徴検出装置。
【請求項2】
前記直線状特徴検出部は、前記直交パラメータ座標系の一座標における計数結果が閾値を超える場合に、該一座標に対応する前記直交XY座標系の補助線が表す直線状の特徴を、前記複数の特異画素が形成する直線状の特徴として検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の特異部分分布特徴検出装置。
【請求項3】
前記処理対象画像における画素群のそれぞれは、前記表面画像における複数の画素群を含む画素範囲を代表し、
前記画素範囲の大きさは、製品の表面にある特異部分の分布態様に応じて予め決定される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の特異部分分布特徴検出装置。
【請求項4】
前記直線状特徴検出部は、前記補助線導出部が導き出した補助線群のうちX軸に対する角度αが共通する補助線群のそれぞれが、前記直交パラメータ座標系における線分上の座標の何れかに変換されることに基づき、予め決定される前記角度αの変動幅に応じて前記直交パラメータ座標系における計数結果の解析対象となる座標範囲を限定する、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の特異部分分布特徴検出装置。
【請求項5】
前記経路長さS、Tは、原点(X=0、Y=0)から前記矩形枠を辿って前記二つの交点に至るまでの長さであり、
前記座標範囲は、S=0、T=0、S=Lx+Ly、T=Lx+Lyで表される四つの境界線で定義される領域、S=Lx+Ly、S=2Lx+Ly、T=0、T=Lyで表される四つの境界線で定義される領域、及び、S=0、S=Lx、T=Lx+Ly、T=Lx+2Lyで表される四つの境界線で定義される領域である、
ことを特徴とする請求項4に記載の特異部分分布特徴検出装置。
【請求項6】
前記経路長さS、Tは、原点(X=0、Y=0)から前記矩形枠を辿って前記二つの交点に至るまでの長さであり、
前記直線状特徴検出部は、前記直交XY座標系のX軸に垂直な直線状の特徴を検出するために、前記座標範囲を線分T=S+Ly(0≦S≦Lx)上に限定する、
ことを特徴とする請求項4に記載の特異部分分布特徴検出装置。
【請求項7】
前記経路長さS、Tは、原点(X=0、Y=0)から前記矩形枠を辿って前記二つの交点に至るまでの長さであり、
前記直線状特徴検出部は、前記直交XY座標系のX軸に平行な直線状の特徴を検出するために、前記座標範囲を線分T=S−Lx(Lx≦S≦Lx+Ly)上に限定する、
ことを特徴とする請求項4に記載の特異部分分布特徴検出装置。
【請求項8】
製品の表面にある特異部分の分布に関する特徴を検出する特異部分分布特徴検出方法であって、
前記製品の表面を撮影して表面画像を取得する画像取得ステップと、
前記表面画像から製品の表面にある特異部分を表す複数の特異画素を含む処理対象画像を生成する処理対象画像生成ステップと、
前記処理対象画像上に直交XY座標系を設定し、該直交XY座標系における前記特異画素の座標を取得する特異画素座標取得ステップと、
前記特異画素の座標のうちの二つを用いて補助線を導き出す補助線導出ステップと、
X=0、Y=0、X=Lx(定数)、Y=Ly(定数)で表される四つの境界線で定義される矩形枠と前記補助線導出ステップにおいて導き出される補助線との間の二つの交点のそれぞれに対する、該矩形枠上の所定点から該矩形枠を辿って該二つの交点に至るまでの経路長さS、Tを座標軸とする直交パラメータ座標系を用いて、前記補助線導出ステップにおいて導き出される補助線に対応する該二つの交点に至るまでの経路長さの組み合わせの、該直交パラメータ座標系上の一座標への変換を実行し、該直交パラメータ座標系上の各座標への変換の回数を該直交パラメータ座標系上の座標毎に計数する座標系変換ステップと、
前記座標系変換ステップにおける計数結果の解析に基づいて前記複数の特異画素が形成する直線状の特徴を検出する直線状特徴検出ステップと、
を備えることを特徴とする特異部分分布特徴検出方法。

【図1】
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【図9】
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【図11】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−118598(P2011−118598A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−274568(P2009−274568)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(000183303)住友金属鉱山株式会社 (2,015)
【出願人】(504173471)国立大学法人北海道大学 (971)
【Fターム(参考)】