説明

現像カートリッジおよび画像形成装置

【課題】フレームの小型化を図ることができる現像カートリッジおよびそれを備える画像形成装置を提供する。
【解決手段】この現像カートリッジ4では、アジテータギヤ49(ギヤ機構部44)を覆うギヤカバー35が、アジテータギヤ49を支持するアジテータ軸32を介してフレーム11に固定されている。そのため、フレーム11の左側の側壁11aの表面に、ギヤカバー35の脚部55をねじ止めするための領域を設けることなく、ギヤカバー35をフレーム11に固定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像カートリッジおよびそれを備えるレーザプリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザプリンタなどの画像形成装置では、トナーが収容されている現像カートリッジが、装置本体に対して着脱可能に装着されている。現像カートリッジには、たとえば、トナーを供給する供給ローラと、トナーを担持する現像ローラとが設けられている。また、供給ローラおよび現像ローラは、現像カートリッジに設けられる入力ギヤから入力される駆動力を受けて回転される。
【0003】
このような現像カートリッジにおいて、現像ローラのローラ軸と供給ローラのローラ軸と入力ギヤの入力部とを、共通のギヤホルダによって支持する構成が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。これによって、各ギヤの相対位置を精度よく位置決めして、現像ローラおよび供給ローラの駆動の安定化を図ることができる。
【特許文献1】特開2003−295614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記提案に係る構成によれば、ギヤホルダには、その周端部に複数(たとえば、3つ)のねじ孔が設けられている。そして、ねじ孔を介して、ギヤホルダが現像カートリッジの筐体にねじ止めされている。ギヤホルダを筐体に取り付けるためには、筐体にねじを螺着させるためのスペースを確保する必要があり、それが筐体の小型化を阻害する要因となる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、フレームの小型化を図ることができる現像カートリッジおよびそれを備える画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、現像カートリッジであって、フレームと、前記フレームの外表面から外方に突出して設けられ、ギヤを支持する軸部材と、前記ギヤを覆うギヤカバーとを備え、前記ギヤカバーは、前記軸部材を介して前記フレームに固定されていることを特徴としている。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ギヤカバーを前記軸部材に固定するための固定部材をさらに備え、前記ギヤカバーには、前記軸部材の軸方向に貫通した貫通孔が形成され、前記固定部材の一端部は、前記軸部材に固定され、その他端部は、前記貫通孔よりも前記軸方向と直交する方向に膨出され、前記一端部と前記他端部との間が前記貫通孔に挿通されていることを特徴としている。
【0007】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記軸部材は、前記ギヤと一体的に回転することを特徴としている。
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記フレーム内には、現像剤が収容されており、前記軸部材は、前記現像剤を循環させるための循環手段を支持することを特徴としている。
【0008】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記循環手段は、攪拌羽根であることを特徴としている。
また、請求項6に記載の発明は、請求項2ないし5のいずれかに記載の発明において、前記固定部材の他端部には、前記他端部を前記軸方向と直交する方向に弾性変形させるための割り溝が形成されていることを特徴としている。
【0009】
また、請求項7に記載の発明は、請求項2ないし6のいずれかに記載の発明において、前記貫通孔は、前記ギヤカバーにおける前記フレームと対向する部分の略中央部に形成されていることを特徴としている。
また、請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ギヤは、前記軸部材に対して相対回転可能であり、前記ギヤカバーを前記軸部材に固定するための固定部材をさらに備え、前記軸部材の先端部には、嵌合部が形成され、前記固定部材の一端部は、前記ギヤカバーに固定され、その他端部は、前記嵌合部に嵌合されていることを特徴としている。
【0010】
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記固定部材の他端部は、前記嵌合部に接着されていることを特徴としている。
また、請求項10に記載の発明は、画像形成装置であって、請求項1ないし9のいずれかに記載の現像カートリッジを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、ギヤを覆うギヤカバーが、ギヤを支持する軸部材を介してフレームに固定されている。そのため、フレームにギヤカバーを固定するための領域を設けることなく、ギヤカバーをフレームに固定することができる。その結果、フレームの小型化を図ることができる。また、軸部材は、フレームと、それよりも外方に配置されているギヤカバーとに支持されるため、軸心ずれを抑制することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、固定部材の一端部が軸部材に固定され、その他端部がギヤカバーの貫通孔よりも軸方向と直交する方向に膨出され、それら一端部と他端部との間が貫通孔に挿通されている。そのため、ギヤカバーは、固定部材によって軸部材に簡易かつ確実に固定される。その結果、ギヤカバーを簡易かつ確実に、軸部材を介してフレームに固定することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、軸部材は、ギヤと一体的に回転する。そのため、回転が必要な部材を軸部材に設ければ、その部材をギヤに入力される駆動力により回転させることができる。
請求項4に記載の発明によれば、軸部材の回転に伴って、循環手段が軸部材を中心として回転する。これにより、現像剤をフレーム内で循環させることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、軸部材の回転に伴って、攪拌羽根が軸部材を中心として回転し、現像剤を攪拌する。また、攪拌羽根は、他の部材と摺動することなく独立して現像剤を攪拌するので、攪拌羽根の回転に起因して軸部材が軸ぶれすることが少ない。よって、ギヤカバーを確実に固定することができる。
請求項6に記載の発明によれば、固定部材の他端部には、他端部を軸方向と直交する方向に弾性変形させるための割り溝が形成されている。そのため、まず、固定部材の他端部に軸心方向の押圧力を付与すれば、他端部が軸心方向に縮小するので、そのままその他端部をギヤカバーの貫通孔に挿通させる。その後、他端部への押圧力を解放すれば、他端部が軸心から外方向に拡大して復元するので、ギヤカバーを固定部材に対して固定することができる。その結果、ギヤカバーをフレームに対して容易に装着することができる。
【0015】
請求項7に記載の発明によれば、ギヤカバーの略中央部でフレームに対して固定することができる。そのため、それ以外の部分でギヤカバーをフレームに対して固定しなくても、ギヤカバーをフレームに対して確実に固定することができる。
請求項8に記載の発明によれば、固定部材の一端部がギヤカバーに固定され、その他端部が嵌合部に嵌合されている。そのため、ギヤカバーは、固定部材によって軸部材に簡易かつ確実に固定される。その結果、ギヤカバーを簡易かつ確実に、軸部材を介してフレームに固定することができる。
【0016】
請求項9に記載の発明によれば、固定部材の他端部は、嵌合部に接着されている。そのため、ギヤカバーをさらに確実に軸部材に固定することができる。
請求項10に記載の発明によれば、請求項1ないし9のいずれかに記載の現像カートリッジを備えている。その結果、画像形成装置の小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
1.プリンタの全体構成
図1は、本発明の画像形成装置の一例としてのプリンタの一実施形態の側断面図である。
プリンタ1は、タンデム型のカラーレーザプリンタである。プリンタ1は、本体ケーシング2を備えている。本体ケーシング2の一方側壁には、フロントカバー3が開閉可能に設けられている。
【0018】
なお、以下の説明において、フロントカバー3が設けられる側(図1における右側)を前側(正面側)とし、その反対側(図1における左側)を後側(背面側)とする。また、プリンタ1を前側から見たときを左右の基準とする。以下では、左右方向を幅方向という場合がある。また、現像カートリッジ4に関しては、ドラムユニット5に対して装着された状態を基準とし、具体的には、各図に示した方向矢印を基準とする。
【0019】
本体ケーシング2内には、ドラムユニット5が備えられている。ドラムユニット5は、フロントカバー3が開かれた状態で、本体ケーシング2内に対して着脱される。
ドラムユニット5は、4つのドラムサブユニット8と、4つのドラムサブユニット8に設けられる4つの感光ドラム7および4つの現像カートリッジ4とを備えている。
各ドラムサブユニット8は、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの各色に対応して設けられ、前側から後側に向かって、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの順に、互いに前後方向に等間隔を隔てて並列的に配置されている。また、ドラムサブユニット8は、スコロトロン型帯電器9およびクリーニングブラシ10を保持している。
【0020】
各感光ドラム7は、各ドラムサブユニット8に対応して設けられ、各ドラムサブユニット8の下側において回転自在に支持されている。
各現像カートリッジ4は、各感光ドラム7に対応して設けられ、その対応する感光ドラム7の前側に配置され、ドラムサブユニット8に対して着脱自在に装着されている。現像カートリッジ4は、下端部が下方に開放されるボックス形状のフレーム11を備えている。
【0021】
フレーム11には、アジテータ12、供給ローラ13、現像ローラ14および層厚規制ブレード15が設けられている。また、フレーム11には、各色の現像剤としての非磁性一成分のトナーが収容されている。
感光ドラム7の表面は、スコロトロン型帯電器9によって一様に帯電された後、ドラムユニット5の上方に配置される露光器16からの光によって選択的に露光される。この露光により、感光ドラム7の表面に、画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0022】
一方、現像カートリッジ4において、フレーム11内のトナーは、アジテータ12により攪拌および搬送され、供給ローラ13を介して、現像ローラ14上に供給される。
現像ローラ14上に供給されるトナーは、層厚規制ブレード15により一定厚さに規制され、薄層として現像ローラ14上に担持される。
感光ドラム7の回転に伴って、静電潜像が現像ローラ14に対向すると、現像ローラ14から静電潜像にトナーが供給され、静電潜像がトナーによって可視像化される。これにより、感光ドラム7の表面上に、トナー像が形成される。
【0023】
本体ケーシング2の底部には、用紙Pを収容する給紙カセット17が配置されている。給紙カセット17に収容されている用紙Pは、各種ローラにより、搬送ベルト18上に搬送される。搬送ベルト18は、4つの感光ドラム7に下方から対向して配置されている。感光ドラム7に対して搬送ベルト18の上側部分を挟んで対向する各位置には、転写ローラ19が配置されている。
【0024】
搬送ベルト18上に搬送された用紙Pは、搬送ベルト18の走行により、搬送ベルト18と各感光ドラム7との間を順次に通過する。そして、感光ドラム7の表面上のトナー像は、用紙Pと対向したときに、転写ローラ19に印加された転写バイアスによって、用紙Pに転写される。
搬送ベルト18に対して用紙Pの搬送方向における下流側には、定着器20が設けられている。トナー像が転写された用紙Pは、定着器20に搬送される。定着器20では、加熱および加圧により、トナー像が用紙Pに定着される。トナー像が定着した用紙Pは、各種ローラにより、本体ケーシング2の上面の排紙トレイ21に排出される。
2.現像カートリッジ
図2は、現像カートリッジの左側面図であり、ギヤカバーが装着された状態を示す。また、図3は、現像カートリッジの部分斜視図であり、ギヤカバーが装着された状態を示す。また、図4は、現像カートリッジの左側面図であり、ギヤカバーが装着されていない状態を示す。また、図5は、現像カートリッジの部分斜視図であり、ギヤカバーが装着されていない状態を示す。また、図6は、現像カートリッジの幅方向断面図であり、ギヤカバーが装着された状態を示す。
【0025】
以下、図1ないし図6を参照して、現像カートリッジ4の詳細について説明する。
現像カートリッジ4は、上述したように、フレーム11と、そのフレーム11に設けられる、現像ローラ14、供給ローラ13、層厚規制ブレード15およびアジテータ12とを備えている(図1参照)。
(1)フレーム
フレーム11は、図1に示すように、後側下方が開放されるボックス形状に形成されている。フレーム11では、その前側上方の空間が、トナーを収容するトナー収容室30として区画され、その後側下方の空間が、現像ローラ14などが設けられる現像室31として区画されている。
【0026】
トナー収容室30には、トナーが充填されており、アジテータ12が回転自在に設けられている。
また、現像室31には、現像ローラ14、供給ローラ13および層厚規制ブレード15が設けられている。
(1−1)アジテータ
アジテータ12は、断面円形に形成された軸部材の一例としてのアジテータ軸32と、そのアジテータ軸32から径方向に延びる攪拌羽根33とを備えている。アジテータ12は、アジテータ軸32の両端部がフレーム11の両側壁11a(図2参照)に回転自在に支持されることにより、フレーム11に回転自在に支持されている。また、アジテータ軸32の左側端部は、左側の側壁11aを挿通して、その左側表面から左側外方に突出しており、その左側端部には、固定部材の一例としての爪部材34が一体的に成形されている。
【0027】
図6に示すように、爪部材34は、一端部および他端部を一体的に備えている。爪部材34の一端部は、アジテータ軸32の左側端部から連続して形成されるアジテータ軸32と同径の連続部分34aとして形成されている。また、爪部材34の他端部は、連続部分34aよりも径方向に膨出され、先端に向かって先細りになる断面三角台形状に形成される膨出部分34bとして形成されている。そして、連続部分34aと膨出部分34bとの間は、連続部分34aと同径の中間部分34cとして形成されている。
【0028】
また、爪部材34には、この爪部材34を径方向に弾性変形させるための割り溝37が形成されている。割り溝37は、爪部材34を直径方向に2分割するように、膨出部分34bの先端から連続部分34aに達する深さで、爪部材34の軸方向に沿って形成されている。
(1−2)現像ローラ
現像ローラ14は、図1に示すように、フレーム11の後側下方から露出するように、フレーム11の後側下端部に配置されている。現像ローラ14は、現像ローラ軸40と、その現像ローラ軸40の周りに設けられるゴムローラ41とを備えている。現像ローラ14は、現像ローラ軸40がフレーム11の両側壁11aに回転自在に支持されることにより、フレーム11に回転自在に支持されている。現像ローラ軸40の左側端部は、図4に示すように、左側の側壁11aを挿通して、その左側表面から左側外方に突出している。
(1−3)供給ローラ
供給ローラ13は、図1に示すように、現像ローラ14の前側上方に対向配置されている。供給ローラ13は、供給ローラ軸42と、その供給ローラ軸42の周りに設けられるスポンジローラ43とを備えている。供給ローラ13は、供給ローラ軸42が、フレーム11の両側壁11aに回転自在に支持されることにより、フレーム11に回転自在に支持されている。供給ローラ軸42の左側端部は、図4に示すように、左側の側壁11aを挿通して、その左側表面から左側外方に突出している。なお、スポンジローラ43は、図1に示すように、現像ローラ14のゴムローラ41に対して圧接されている。
(1−4)層厚規制ブレード15
層厚規制ブレード15は、その基端部がフレーム11に支持され、その先端部が現像ローラ14に対して上側から圧接されている。
(2)ギヤ機構部
また、現像カートリッジ4は、図4および図5に示すように、現像ローラ14、供給ローラ13およびアジテータ12を回転させるためのギヤ機構部44と、図2および図3に示すように、そのギヤ機構部44を覆うギヤカバー35とを備えている。
【0029】
ギヤ機構部44は、図4および図5に示すように、フレーム11の左側の側壁11aに設けられている。ギヤ機構部44は、入力カップリング45、供給ローラギヤ46、現像ローラギヤ47、中間ギヤ48、アジテータギヤ49および検出ギヤ50を備えている。
入力カップリング45は、供給ローラ軸42の後側に配置されている。左側の側壁11aには、その表面から左方に突出した入力カップリング軸52が設けられている。入力カップリング45は、その入力カップリング軸52の軸端部において、入力カップリング軸52に対して相対回転可能に支持されている。
【0030】
供給ローラギヤ46は、入力カップリング45の前側に配置され、入力カップリング45と噛合するように、供給ローラ軸42の軸端部において、供給ローラ軸42に対して相対回転不能に設けられている。
現像ローラギヤ47は、入力カップリング45の下側に配置され、入力カップリング45と噛合するように、現像ローラ軸40の軸端部において、現像ローラ軸40に対して相対回転不能に設けられている。
【0031】
中間ギヤ48は、入力カップリング45の前側上方において、入力カップリング45と噛合するように配置されている。左側の側壁11aには、その表面から左方に突出した中間ギヤ軸53が設けられている。中間ギヤ48は、その中間ギヤ軸53の軸端部において、中間ギヤ軸53に対して相対回転可能に支持されている。
アジテータギヤ49は、中間ギヤ48の後側上方に配置され、中間ギヤ48と噛合するように、アジテータ軸32の軸端部において、アジテータ軸32に対して相対回転不能に設けられている。これにより、アジテータギヤ49は、アジテータ軸32に支持される。
【0032】
検出ギヤ50は、現像カートリッジ4の新旧判別のために設けられ、その周面の一部にギヤ歯を備える欠歯ギヤであり、アジテータギヤ49の前側上方において、アジテータギヤ49と噛合するように、左側の側壁11aにおいて回転自在に支持されている。
ギヤカバー35は、図2および図3に示すように、ギヤ機構部44を覆うように、現像カートリッジ4の左側の側壁11aに設けられている。ギヤカバー35は、ギヤ機構部44に対して左方から対向するカバー板54と、カバー板54の周端縁から左側の側壁11aに向かって右方に屈曲する脚部55とを一体的に備えている。
【0033】
カバー板54の下端部は、現像ローラギヤ47を露出させるように切り欠かれている。また、カバー板54の下側には、入力カップリング45が挿通される筒部51が形成されている。また、カバー板54の略中央部には、爪部材34を挿通させるための貫通孔36が形成されている。貫通孔36は、図6に示すように、爪部材34の中間部分34cよりも大径、かつ、爪部材34の膨出部分34bよりも小径の円形状に形成されている。
【0034】
フレーム11に対してギヤカバー35を装着するには、まず、ギヤカバー35の貫通孔36を爪部材34に左側から対向させるとともに、ギヤカバー35の筒部51を入力カップリング45に左側から対向させる。そして、爪部材34の膨出部分34bに軸心方向の押圧力を付与すれば、膨出部分34bが軸心方向に縮小するので、そのままその膨出部分34bをギヤカバー35の貫通孔36に挿通させる。このとき、入力カップリング45は、筒部51内に挿通される。その後、膨出部分34bへの押圧力を解放すれば、膨出部分34bが軸心から外方向に拡大して復元するので、ギヤカバー35を爪部材34に対して固定することができる。その結果、ギヤカバー35をフレーム11に対して装着することができる。
(3)現像カートリッジの動作
本体ケーシング2内には、入力カップリング45に対して進退自在に嵌合する出力カップリング(図示せず)が備えられている。出力カップリングには、出力カップリングに動力を伝達するためのモータ(図示せず)が連結されている。
【0035】
現像カートリッジ4がドラムユニット5に装着され、さらにドラムユニット5が本体ケーシング2に装着されると、出力カップリングが進出して入力カップリング45と嵌合する。そして、モータが駆動されると、その駆動力は、出力カップリングを介して入力カップリング45に伝達され、現像ローラ14、供給ローラ13およびアジテータ12が回転される。
【0036】
すなわち、入力カップリング45に駆動力が伝達されると、入力カップリング45が回転される。すると、入力カップリング45に噛合する供給ローラギヤ46が回転される。そして、供給ローラギヤ46は、供給ローラ軸42に対して相対回転不能に設けられているので、供給ローラギヤ46の回転により、供給ローラ13が回転される。
また、入力カップリング45に噛合する現像ローラギヤ47が回転される。そして、現像ローラギヤ47は、現像ローラ軸40に対して相対回転不能に設けられているので、現像ローラギヤ47の回転により、現像ローラ14が回転される。
【0037】
また、入力カップリング45に噛合する中間ギヤ48が回転され、次いで、中間ギヤ48に噛合するアジテータギヤ49が回転される。そして、アジテータギヤ49は、アジテータ軸32に対して相対回転不能に設けられているので、アジテータギヤ49の回転により、アジテータ軸32が回転される。アジテータ軸32の回転に伴ってフレーム11内において攪拌羽根33が回転され、フレーム11内に収容されたトナーが流動される。このとき、アジテータ軸32の回転に伴って、アジテータ軸32の先端部に一体的に形成される爪部材34は、ギヤカバー35に設けられる貫通孔36に対して摺動しながら回転する。
3.作用効果
(1)以上のように、この現像カートリッジ4では、アジテータギヤ49(ギヤ機構部44)を覆うギヤカバー35が、アジテータギヤ49を支持するアジテータ軸32を介してフレーム11に固定されている。そのため、フレーム11の左側の側壁11aの表面に、ギヤカバー35の脚部55をねじ止めするための領域を設けることなく、ギヤカバー35をフレーム11に固定することができる。その結果、フレーム11の小型化を図ることができる。また、アジテータ軸32は、左側の側壁11aに回転自在に支持されているとともに、それに一体的に設けられている爪部材34が、左側の側壁11aよりも左方に配置されているギヤカバー35の貫通孔36に支持されるため、軸心ずれを抑制することができる。
(2)また、爪部材34の連続部分34aがアジテータ軸32と一体的に形成され、爪部材34の先端の膨出部分34bがギヤカバー35の貫通孔36よりも径方向に膨出され、それら連続部分34aと膨出部分34bとの間の中間部分34cが貫通孔36に挿通されている。そのため、ギヤカバー35は、爪部材34によってアジテータ軸32に簡易かつ確実に固定される。その結果、ギヤカバー35を簡易かつ確実に、アジテータ軸32を介してフレーム11に固定することができる。
(3)また、アジテータギヤ49は、アジテータ軸32に対して相対回転不能に設けられているため、アジテータ軸32は、アジテータギヤ49と一体的に回転する。そのため、攪拌羽根33をアジテータ軸32に設けることにより、攪拌羽根33をアジテータギヤ49に入力される駆動力により回転させることができる。
(4)そして、アジテータ軸32の回転に伴って、攪拌羽根33がアジテータ軸32を中心として回転する。これにより、トナーをトナー収容室30内で循環させることができる。
(5)また、現像ローラ14や供給ローラ13は、互いに圧接されており、いずれか一方の回転が他方の回転に影響を与えるが、アジテータ12の攪拌羽根33は、他の部材と摺動することなく独立してトナーを攪拌するので、攪拌羽根33の回転に起因してアジテータ12が軸ぶれすることが少ない。よって、ギヤカバー35を確実に固定することができる。
(6)また、爪部材34の先端部には、先端部を径方向に弾性変形させるための割り溝37が形成されている。そのため、まず、爪部材34の膨出部分34bに軸心方向の押圧力を付与すれば、膨出部分34bが軸心方向に縮小するので、そのままその膨出部分34bをギヤカバー35の貫通孔36に挿通させる。その後、膨出部分34bへの押圧力を解放すれば、膨出部分34bが軸心から外方向に拡大して復元するので、ギヤカバー35を爪部材34に対して固定することができる。その結果、ギヤカバー35をフレーム11に対して容易に装着することができる。
(7)また、アジテータ軸32は、カバー板54の略中央部に設けられた貫通孔36と左右方向に対向しているので、ギヤカバー35の略中央部でフレーム11に対して固定することができる。そのため、それ以外の部分でギヤカバー35をフレーム11に対して固定しなくても、ギヤカバー35をフレーム11に対して確実に固定することができる。
(8)また、プリンタ1は、上記のように現像カートリッジ4を備えている。その結果、プリンタ1の小型化を図ることができる。
4.第2の実施形態
図7は、本発明の他の実施形態に係る現像カートリッジの断面図である。なお、図7において、図6に示す各部に相当する部分には、それらの各部と同一の参照符号を付している。また、以下では、図7に示す構成に関して、図6に示す構成との相違点を中心に説明し、図6に示す各部に相当する部分についての説明を省略する。
【0038】
図6に示す現像カートリッジ4では、フレーム11とギヤカバー35とが、アジテータ軸32と一体的に形成された爪部材34によって固定されているのに対し、図7に示す現像カートリッジ101では、フレーム11とギヤカバー35とが、アジテータ軸32と一体的に形成されたカップリング部材102によって固定されている。
カップリング部材102の一端部は、アジテータ軸32の左側端部から連続して形成されるアジテータ軸32と同径の連続部分102aとして形成されている。また、カップリング部材102の他端部は、連続部材102aよりも径方向に膨出され、本体ケーシング2に設けられた出力カップリングが嵌合するような略円筒形状に形成される膨出部分102bとして形成されている。そして、連続部分102aと膨出部分102bとの間は、連続部分102aと同径の中間部分102cとして形成されている。
【0039】
また、カップリング部材102には、このカップリング部材102を径方向に弾性変形させるための割り溝103が形成されている。割り溝103は、カップリング部材102を直径方向に2分割するように、膨出部分102bの先端から連続部分102aに達する深さで、カップリング部材102の軸方向に沿って形成されている。
この現像カートリッジ101では、カップリング部材102を介して出力カップリングから駆動力を入力することができるので、入力カップリング45(図2ないし図5参照)を省略することができる。すなわち、カップリング部材102に噛合されている中間ギヤ48を供給ローラギヤ46および現像ローラギヤ47に直接噛合させるか、または、入力カップリング45に替えて、別途中間ギヤ(図示せず)を設けることにより、カップリング部材102に入力された駆動力を、中間ギヤ48を介して供給ローラギヤ46および現像ローラギヤ47に伝達し、供給ローラ13および現像ローラ14を回転駆動させることができる。
【0040】
より具体的には、現像カートリッジ101がドラムユニット5に装着され、さらにドラムユニット5が本体ケーシング2に装着されると、出力カップリングが進出してカップリング部材102と嵌合する。そして、モータが駆動されると、その駆動力は、出力カップリングを介してカップリング部材102に伝達され、現像ローラ14、供給ローラ13およびアジテータ12が回転される。
【0041】
この図7に示す現像カートリッジ101によっても、図6に示す現像カートリッジ4と同様な効果を奏することができる。
5.第3の実施形態
図8は、本発明のさらに他の実施形態に係る現像カートリッジの断面図である。なお、図8において、図6に示す各部に相当する部分には、それらの各部と同一の参照符号を付している。また、以下では、図8に示す構成に関して、図6に示す構成との相違点を中心に説明し、図6に示す各部に相当する部分についての説明を省略する。
【0042】
図6に示す現像カートリッジ4では、アジテータ軸32と一体的に形成された爪部材34の膨出部分34bによって、フレーム11とギヤカバー35とが固定されている。これに対し、図8に示す現像カートリッジ111では、アジテータ軸32に爪部材34が設けられず、また、ギヤカバー35に貫通孔36が設けられず、フレーム11とギヤカバー35とが、一端部がギヤカバー35に固定された固定部材の一例としてのボス部材112によって固定されている。ボス部材112は、ギヤカバー35の右側面から右側に向かって延びる円筒形状に形成されている。
【0043】
また、軸部材の一例としての中間ギヤ軸53には、ボス部材112の他端部を受け入れるための嵌合部の一例としての筒状部113が形成されている。フレーム11にギヤカバー35が装着されると、ボス部材112の他端部は、筒状部113に嵌合される。
なお、筒状部113の内周面またはボス部材112の外周面に予め接着剤を塗布しておき、それらの嵌合とともに、筒状部113にボス部材112を接着することもできる。
【0044】
この現像カートリッジ111では、ギヤカバー35は、ボス部材112によって中間ギヤ軸53に簡易かつ確実に固定される。その結果、ギヤカバー35を簡易かつ確実に、中間ギヤ軸53を介してフレーム11に固定することができる。また、ボス部材112の他端部を筒状部113に接着する場合には、ギヤカバー35をさらに確実に中間ギヤ軸53に固定することができる。
【0045】
また、中間ギヤ軸53に代えて、入力カップリング軸52の先端部に筒状部113を設けることもできる。すなわち、筒状部113は、フレーム11に対して相対回転不能に設けられる軸の端部に設けることができる。
6.第4の実施形態
図9は、本発明のさらに他の実施形態に係る現像カートリッジの断面図である。なお、図9において、図8に示す各部に相当する部分には、それらの各部と同一の参照符号を付している。また、以下では、図9に示す構成に関して、図8に示す構成との相違点を中心に説明し、図8に示す各部に相当する部分についての説明を省略する。
【0046】
図8に示す現像カートリッジ111では、一端部がギヤカバー35に固定されたボス部材112によって固定されている。これに対し、図9に示す現像カートリッジ121では、ギヤカバー35にボス部材112が設けられず、フレーム11とギヤカバー35とが、ねじ122によって固定されている。
また、軸部材の一例としての中間ギヤ軸53には、ねじ122を螺着するための嵌合部の一例としての筒状螺着部123が形成されている。筒状螺着部123の内面には、雌ねじが切られている。また、ギヤカバー35のカバー板54には、筒状螺着部123と幅方向に対向する位置に、右側に向かって凹む凹部56が設けられ、この凹部56にギヤカバー35を幅方向に貫通するねじ孔57が形成されている。フレーム11にギヤカバー35が装着された後、ねじ122は、ギヤカバー35の左方からねじ孔57に挿通され、筒状螺着部123に螺着される。
【0047】
この現像カートリッジ121では、ギヤカバー35は、ねじ122によって中間ギヤ軸53に簡易かつ確実に固定される。その結果、ギヤカバー35を簡易かつ確実に、中間ギヤ軸53を介してフレーム11に固定することができる。
また、中間ギヤ軸53に代えて、入力カップリング軸52の先端部に筒状螺着部123を設けることもできる。すなわち、筒状螺着部123は、フレーム11に対して相対回転不能に設けられる軸の端部に設けることができる。
7.変形例
たとえば、上記の各実施形態において、アジテータ12とともにオーガを設けてもよい。オーガは、幅方向にわたって延びるオーガ軸周りに螺旋状の歯を備えており、トナー収容室30内のトナーを幅方向にわたって移動させることができる。オーガが設けられる場合には、貫通孔36をオーガ軸と幅方向に対向する位置に設け、爪部材34をアジテータ軸32に設けずにオーガ軸と一体的に設けることにより、ギヤカバー35を簡易かつ確実に、オーガ軸を介してフレーム11に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るプリンタの側断面図である。
【図2】図1に示すプリンタに装着される現像カートリッジの左側面図であり、ギヤカバーが装着された状態を示す。
【図3】図2に示す現像カートリッジの部分斜視図であり、ギヤカバーが装着された状態を示す。
【図4】図1に示すプリンタに装着される現像カートリッジの左側面図であり、ギヤカバーが装着されていない状態を示す。
【図5】図4に示す現像カートリッジの部分斜視図であり、ギヤカバーが装着されていない状態を示す。
【図6】図2に示す現像カートリッジの幅方向断面図であり、ギヤカバーが装着された状態を示す。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る現像カートリッジの幅方向断面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る現像カートリッジの幅方向断面図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る現像カートリッジの幅方向断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 プリンタ
4 現像カートリッジ
11 フレーム
32 アジテータ軸
33 攪拌羽根
34 爪部材
35 ギヤカバー
36 貫通孔
37 割り溝
49 アジテータギヤ
101 現像カートリッジ
111 現像カートリッジ
112 ボス部材
113 筒状部
121 現像カートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
前記フレームの外表面から外方に突出して設けられ、ギヤを支持する軸部材と、
前記ギヤを覆うギヤカバーとを備え、
前記ギヤカバーは、前記軸部材を介して前記フレームに固定されていることを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項2】
前記ギヤカバーを前記軸部材に固定するための固定部材をさらに備え、
前記ギヤカバーには、前記軸部材の軸方向に貫通した貫通孔が形成され、
前記固定部材の一端部は、前記軸部材に固定され、その他端部は、前記貫通孔よりも前記軸方向と直交する方向に膨出され、前記一端部と前記他端部との間が前記貫通孔に挿通されていることを特徴とする、請求項1に記載の現像カートリッジ。
【請求項3】
前記軸部材は、前記ギヤと一体的に回転することを特徴とする、請求項2に記載の現像カートリッジ。
【請求項4】
前記フレーム内には、現像剤が収容されており、
前記軸部材は、前記現像剤を循環させるための循環手段を支持することを特徴とする、請求項3に記載の現像カートリッジ。
【請求項5】
前記循環手段は、攪拌羽根であることを特徴とする、請求項4に記載の現像カートリッジ。
【請求項6】
前記固定部材の他端部には、前記他端部を前記軸方向と直交する方向に弾性変形させるための割り溝が形成されていることを特徴とする、請求項2ないし5のいずれかに記載の現像カートリッジ。
【請求項7】
前記貫通孔は、前記ギヤカバーにおける前記フレームと対向する部分の略中央部に形成されていることを特徴とする、請求項2ないし6のいずれかに記載の現像カートリッジ。
【請求項8】
前記ギヤは、前記軸部材に対して相対回転可能であり、
前記ギヤカバーを前記軸部材に固定するための固定部材をさらに備え、
前記軸部材の先端部には、嵌合部が形成され、
前記固定部材の一端部は、前記ギヤカバーに固定され、その他端部は、前記嵌合部に嵌合されていることを特徴とする、請求項1に記載の現像カートリッジ。
【請求項9】
前記固定部材の他端部は、前記嵌合部に接着されていることを特徴とする、請求項8に記載の現像カートリッジ。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の現像カートリッジを備えていることを特徴とする、画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−288549(P2009−288549A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−141411(P2008−141411)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】