説明

現像カートリッジ

【課題】本発明は、現像カートリッジの改良発明を提供することを目的とする。
【解決手段】現像カートリッジ28は、内部に現像剤を収容する筐体(カートリッジ本体60)と、前記筐体に回転可能に支持される現像ローラ31と、前記筐体の外面よりも外側に突出するとともに、前記筐体に対して移動可能な検出部材90と、を備えている。そして、検出部材90は、現像カートリッジ28の装着方向に沿って延在する長尺状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置において新品検知される現像カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、レーザプリンタなどの画像形成装置では、その装置本体に対してトナーが収容されている現像カートリッジが着脱可能に装着されている。このような画像形成装置としては、従来、装着された現像カートリッジが新品であるか否かを判別(新品検知)するものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
具体的に、特許文献1に開示された画像形成装置は、装置本体側に、揺動自在なアーム状のアクチュエータと、アクチュエータを中立位置に付勢するばねと、アクチュエータの揺動を検知するセンサと、センサからの信号に基づいて新品検知を行う制御装置とを備えている。また、画像形成装置に装着される現像カートリッジには、所定の軸部から径方向外側へ延出する板状の当接突起と、前記軸部を中心として当接突起と一体に回転する検出ギヤと、この検出ギヤに噛合するとともに、現像ローラに駆動力を伝達するギヤ機構が設けられている。
【0004】
この画像形成装置では、装置本体に対して現像カートリッジを装着すると、当接突起がアクチュエータの一端を押圧してアクチュエータが揺動し、この揺動がセンサによって検知される。このセンサで検知された信号は、制御装置に送信され、制御装置は、この検知信号を受信すると、現像カートリッジが新品であると判断する。
【0005】
また、この画像形成装置では、現像カートリッジを装着した後例えばフロントカバーを閉じると、制御装置によってウォーミング動作(ガラ回し動作)が実行される。ここで、ガラ回し動作とは、現像カートリッジ内のトナーを攪拌すべく、カートリッジ内の攪拌板(アジテータ)を回転させる動作をいう。
【0006】
そして、このようなガラ回し動作においては、装置本体側に設けられる駆動源からの伝達力が、ギヤ機構を介して現像カートリッジ側のアジテータと検出ギヤとに伝達される。これにより、アジテータによるトナーの攪拌が開始されるとともに、当接突起が回転してアクチュエータから外れることとなる。そして、このように当接突起が初期位置から移動することにより、使用後の現像カートリッジを装置本体から外して再度装着した場合には、アクチュエータに当接突起が当接しなくなるので、アクチュエータのセンサから信号を受信しない制御装置は現像カートリッジが使用済みであると判断する。
【0007】
【特許文献1】特開2006−267994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、このような新品検知がなされる現像カートリッジについては、種々の改良が要望されている。
【0009】
そこで、本発明は、現像カートリッジの改良発明を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決する本発明は、内部に現像剤を収容する筐体と、前記筐体に回転可能に支持される現像ローラと、前記筐体の外面から外側に突出するとともに、前記筐体に対して移動可能な検出部材と、を備えた現像カートリッジであって、前記筐体は、現像ローラを支持するローラ支持部と、前記現像剤を収容する収容部と、前記収容部に対して、前記ローラ支持部とは反対側に位置する壁部とを有し、前記検出部材が、前記ローラ支持部と前記壁部とが並ぶ並列方向に沿って延在する長尺状に形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、検出部材が、ローラ支持部と壁部とが並ぶ並列方向に沿って長尺状に形成されているので、従来のような板状の当接突起に比べ、並列方向における強度を上げることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、検出部材が並列方向に沿って長尺状に形成されているので、並列方向における強度を上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[第1の実施形態]
次に、本発明の第1の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、レーザプリンタの全体構成を簡単に説明した後、本発明の特徴部分の詳細を説明することとする。また、以下の説明においては、レーザプリンタ1の使用時におけるユーザを基準にした方向で説明することとする。すなわち、図1においては、右側を「手前側」と称し、左側を「奥側」と称し、紙面垂直方向のうち奥側を「右側」と称し、紙面垂直方向のうち手前側を「左側」と称する。また、上下方向については、図の上下方向をそのまま「上下方向」と称することとする。
【0014】
<レーザプリンタの全体構成>
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体ケーシング2内に用紙3を給紙するためのフィーダ部4や、用紙3に画像を形成するための画像形成部5などを備えている。
【0015】
<フィーダ部の構成>
フィーダ部4は、公知の構造であり、主に、給紙トレイ6、用紙押圧板7および用紙搬送機構9を備えている。そして、フィーダ部4では、給紙トレイ6内の用紙3が、用紙押圧板7によって上方に寄せられ、用紙搬送機構9によって画像形成部5に搬送される。
【0016】
<画像形成部の構成>
画像形成部5は、スキャナユニット16、プロセスカートリッジ17、定着部18などを備えている。
【0017】
スキャナユニット16は、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備えている。スキャナユニット16では、レーザビームが図の鎖線で示す経路を通って、感光ドラム27の表面上に高速走査にて照射される。
【0018】
プロセスカートリッジ17は、本体ケーシング2の手前側のフロントカバー2Aを適宜開放することで、本体ケーシング2に対して着脱可能となっている。このプロセスカートリッジ17は、現像カートリッジ28とドラムユニット51とで主に構成されている。
【0019】
現像カートリッジ28は、ドラムユニット51を介して本体ケーシング2に対して着脱自在、或いは本体ケーシング2に固定されたドラムユニット51に対して着脱自在に装着されている。現像カートリッジ28は、主に、現像ローラ31、層厚規制ブレード32、供給ローラ33およびトナーホッパ34を備えている。
【0020】
この現像カートリッジ28では、トナーホッパ34内の現像剤の一例としてのトナーが、アジテータ34Aで攪拌された後、供給ローラ33により現像ローラ31に供給され、このとき、供給ローラ33と現像ローラ31との間で正に摩擦帯電される。現像ローラ31上に供給されたトナーは、現像ローラ31の回転に伴って、層厚規制ブレード32と現像ローラ31との間に進入し、さらに摩擦帯電されつつ、一定厚さの薄層として現像ローラ31上に担持される。なお、現像カートリッジ28の詳細については、後で詳述することとする。
【0021】
ドラムユニット51は、公知の感光ドラム27、スコロトロン型帯電器29および転写ローラ30を主に備えている。そして、このドラムユニット51内において、感光ドラム27の表面は、スコロトロン型帯電器29により一様に正帯電された後、スキャナユニット16からのレーザビームの高速走査により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0022】
次いで、現像ローラ31の回転により、現像ローラ31上に担持されているトナーが、感光ドラム27の表面上に形成される静電潜像に供給されて、感光ドラム27の表面上にトナー像が形成される。その後、感光ドラム27と転写ローラ30の間で用紙3が搬送されることで、感光ドラム27の表面に担持されているトナー像が用紙3上に転写される。
【0023】
定着部18は、公知の構造であり、加熱ローラ41と、押圧ローラ42とを備えている。そして、定着部18では、用紙3上に転写されたトナーを、用紙3が加熱ローラ41と押圧ローラ42との間を通過する間に熱定着させている。なお、定着部18で熱定着された用紙3は、排紙ローラ45によって排紙トレイ46上に送り出される。
【0024】
<現像カートリッジの詳細構造>
次に、本発明の特徴部分となる現像カートリッジ28の詳細構造について説明する。
図2(a)および(b)に示すように、現像カートリッジ28は、前記した現像ローラ31等を備える他、筐体の一例としてのカートリッジ本体60およびカバー体70を備えて構成されている。カバー体70はカートリッジ本体60の左側面に着脱可能に装着されており、カートリッジ本体60とカバー体70との間には、図2(a)に示すように、現像ローラ31等に駆動力を伝達するためのギヤ機構61と、一方向に回転可能なカム80と、上下方向に移動可能となる検出部材90とが設けられている。
【0025】
ギヤ機構61は、本体ケーシング2側に設けられる駆動装置110(図4参照)から駆動力が伝達される入力ギヤ62と、この入力ギヤ62に直接噛み合う現像ローラ駆動ギヤ63および供給ローラ駆動ギヤ64と、入力ギヤ62に中間ギヤ65を介して噛み合うアジテータ駆動ギヤ66とを備えて構成されている。ここで、現像ローラ駆動ギヤ63、供給ローラ駆動ギヤ64およびアジテータ駆動ギヤ66は、それぞれ図1に示した現像ローラ31、供給ローラ33およびアジテータ34Aを駆動させるギヤであり、現像ローラ31、供給ローラ33およびアジテータ34Aの各軸の端部に一体に設けられている。
【0026】
図3に示すように、カム80は、半円状のギヤ部81と、ギヤ部81よりも大径となる半円状の支持部82とを備えて構成されている。これらのギヤ部81および支持部82には、半円状のギヤ部81および支持部82の中心を通るように、貫通孔83が形成されており、これにより、カム80がカートリッジ本体60の左側面に形成される支持軸67によって回転可能に支持されている。そして、図2(a)に示すように、現像カートリッジ28の未使用時においては、ギヤ部81がアジテータ駆動ギヤ66と噛み合うとともに、支持部82の円筒面で検出部材90が下側から支持されるようになっている。
【0027】
なお、カム80の構造を言い換えると、支持部82は、検出部材90と接触するカムとして機能する。また、ギヤ部81は、半円筒面の部分にギヤ歯部が形成され、残りの平面部分にアジテータ駆動ギヤ66と非接触となる欠歯部が形成される欠歯ギヤとして機能する。そして、カムとして機能する支持部82が、欠歯ギヤとして機能するギヤ部81に対して同軸上で一体的に回転可能に設けられている。
【0028】
図3に示すように、検出部材90は、現像カートリッジ28の装着方向(図4参照)に沿って延在する長尺状の基体91と、弾性変形可能(凹み変形可能な)な弾性部材の一例としてのスポンジ92とを備えて構成されている。ここで、「装着方向」とは、装着方向と平行な方向を意味する他、装着方向から僅かに(鋭角に)ずれた方向をも意味する。
【0029】
言い換えると、装着方向は、カートリッジ本体60の奥側端部に形成されて現像ローラ31を支持するローラ支持部60Aと、カートリッジ本体60の手前側の壁部60Bとが並ぶ並列方向を意味する。ここで、カートリッジ本体60の手前側の壁部60Bは、トナーを収容する収容部60C(図1参照)に対してローラ支持部60Aとは反対側に位置している。
【0030】
図3に示すように、基体91の前後面における左右方向略中央部には、前後方向外側に突出して上下方向に沿って延びるスライド片93が形成されている。また、基体91の上面におけるスライド片93よりも左側の部位には、スポンジ92が基体91の長手方向に沿って設けられている。
【0031】
そして、カバー体70には、検出部材90のスポンジ92を外面71から外側に突出させるための開口部72と、開口部72の前後の縁部の裏側に形成されるスライド溝73とが形成されている。スライド溝73は、カバー体70の裏面に形成される断面視L字状のスライドレール片74と、カバー体70の裏面との間で形成されている。
【0032】
そして、このスライド溝73に検出部材90のスライド片93が挿入されることで、スポンジ92が、開口部72から外側に突出して、カバー体70に対して略上下方向(装着方向に交差する方向)に沿って移動可能となっている。
【0033】
なお、図4に示すように、本体ケーシング2内には、公知の駆動装置110や新品検知装置120が設けられている。以下に、これらについて簡単に説明する。
【0034】
本体ケーシング2内の現像カートリッジ28が装着される部分には、現像カートリッジ28の入力ギヤ62に駆動力を伝達する駆動装置110と、現像カートリッジ28が新品であるか否かを検知する新品検知装置120とが設けられている。なお、本実施形態において、新品(未使用)の現像カートリッジとは、未だ入力ギヤ62に駆動力が付与されておらず、現像ローラ31が駆動されていないものをいう。また、旧品(使用済み)の現像カートリッジとは、既に入力ギヤ62に駆動力が付与され、現像ローラ31が駆動されたものをいう。
【0035】
駆動装置110は、図示せぬ複数のギヤと駆動モータとで構成されている。そして、現像カートリッジ28が本体ケーシング2内に装着された際に、駆動装置110側のギヤが入力ギヤ62と噛み合うことで、駆動モータからの駆動力が各ギヤを介して入力ギヤ62に伝達される。駆動装置110において、入力ギヤ62と噛み合うギヤは、例えば、フロントカバー2Aの開閉に連動して、入力ギヤ62に対して進退するように構成される。
【0036】
新品検知装置120は、図5に示すように、光センサ121、検知用アーム122およびコイルばね123と、制御装置124とを主に備えて構成されている。
【0037】
光センサ121は、検知用アーム122の揺動を検知するセンサであり、発光部121Aからの光を受光部121Bで受けたときに、所定の信号を制御装置124に出力する。
【0038】
検知用アーム122は、本体ケーシング2に回転可能に支持される筒状部122Aと、筒状部122Aから径方向外側へ延びる遮光用アーム122Bおよび当接用アーム122Cとを備えており、筒状部122Aを中心にして揺動可能に構成されている。また、検知用アーム122の遮光用アーム122Bの適所にはコイルばね123が取り付けられており、これにより検知用アーム122がコイルばね123によって常時中立位置に付勢されている。そして、この中立位置において、遮光用アーム122Bの先端部122Dは、発光部121Aと受光部121Bとの間に配置される。また、中立位置において、当接用アーム122Cの先端部122Eは、本体ケーシング2に装着される現像カートリッジ28の外面から突出する検出部材90のスポンジ92と当接可能な位置に配置される。
【0039】
制御装置124は、光センサ121で検知する検知用アーム122の揺動の有無に応じて、現像カートリッジ28が新品であるか否かを判別する機能を備えている。また、制御装置124は、フロントカバー2Aの閉動作を検出するセンサからの閉信号またはレーザプリンタ1の電源を入れたときに発せられる信号に基づいて、公知のガラ回し動作を実行する。
【0040】
次に、現像カートリッジ28を本体ケーシング2に装着する際における検出部材90の動作について説明する。
【0041】
図4に示すように、新品の現像カートリッジ28を本体ケーシング2内に装着していくと、図6(a)に示すように、検出部材90のスポンジ92の上面が検知用アーム122の下端部(当接用アーム122Cの先端部122E)に接触することで、検知用アーム122の下端部がスポンジ92と摩擦係合してスポンジ92(現像カートリッジ28)とともに奥側に移動する。このとき、検知用アーム122の揺動に応じて、検知用アーム122の下端部が円弧状の軌跡を描いて下側に移動するが、この下側への移動は、スポンジ92の凹み変形によって許容される。
【0042】
そして、このように検知用アーム122が揺動すると、前述した制御装置124により新品であると判断される。その後、制御装置124により公知のガラ回し動作が実行されると、図6(b)に示すように、駆動装置110の駆動力が入力ギヤ62、中間ギヤ65およびアジテータ駆動ギヤ66を介してカム80のギヤ部81に伝達され、カム80が反時計回りに回転される。
【0043】
カム80が初期位置から90°以上回転すると、カム80の円筒面による検出部材90の支持が解除され、図6(c)に示すように、検出部材90が重力やスポンジ92の反力により下方にスライドする。これにより、検知用アーム122の下端部とスポンジ92との摩擦係合が解除され、検知用アーム122がコイルばね123によって中立位置に戻る。
【0044】
そして、カム80が初期位置から半回転した際には、カム80のギヤ部81がアジテータ駆動ギヤ66から外れて、カム80の回転が止まって、カム80がその位置に留まることとなる。これにより、検出部材90が元の位置(上方の位置)に戻ることがないので、使用後の現像カートリッジ28を本体ケーシング2から一度取り外した後再度取り付けても、スポンジ92が検知用アーム122に接触することはなく、検知用アーム122が揺動しないことにより制御装置124で旧品(使用済み)であると判断される。
【0045】
次に、検知用アーム122が誤差や仕様によって前述した位置よりも手前側にずれている場合における検出部材90の動作について説明する。
【0046】
図7(a)に示すように、新品の現像カートリッジ28を本体ケーシング2内に装着すると、検出部材90のスポンジ92の手前側部分が検知用アーム122の下端部と摩擦係合する。これにより、前述と同様に、検知用アーム122が揺動して、制御装置124によって新品であると判断される。その後は、図7(b)および(c)に示すように、ガラ回し動作を実行すると、前述と同様に、カム80が半回転することで、検出部材90が下方にスライドして検知用アーム122が中立位置に戻ることとなる。
【0047】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
検出部材90が装着方向に沿って長尺状に形成されているので、従来のような板状の当接突起に比べ、装着方向における強度を上げることができる。また、検出部材90が装着方向に沿って長尺状に形成されることによって、検知用アーム122が誤差や仕様によって装着方向においてずれて配置された場合であっても、検知用アーム122を揺動させることができ、良好に新品検知を行うことができる。
【0048】
検出部材90にスポンジ92を設けたので、検知用アーム122の下端部と摩擦係合する際に、検知用アーム122の下端部が下方に移動しても、その移動をスポンジ92の凹み変形により許容することができ、確実に検知用アーム122を揺動させることができる。
【0049】
カバー体70にスライド溝73が形成されるとともに、検出部材90にスライド溝73と摺動可能に係合するスライド片93が形成されるので、検出部材90をスライド溝73の方向(上下方向)に沿って確実に直線状に移動させることができる。
【0050】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態は、前記した第1の実施形態の一部の構造を変更したものであるため、第1の実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0051】
図8に示すように、第2の実施形態に係る現像カートリッジ282は、第1の実施形態で用いたカム80の代わりに、ラック部材200で検出部材90を下側から支持した構造となっている。
【0052】
ラック部材200は、略矩形の本体部210と、本体部210の下面に形成されるラック歯220と、本体部210の上面の手前側から上方へ突出して検出部材90を下側から支持する支持部230と、本体部210の右側面から右側へ突出するスライド片240とを備えて構成されている。そして、ラック部材200は、そのスライド片240がカートリッジ本体600に形成されたスライド溝601に摺動可能に係合することで、現像カートリッジ282の装着方向に沿って移動可能となっている。
【0053】
また、ラック部材200のラック歯220とアジテータ駆動ギヤ66との間には、アジテータ駆動ギヤ66と噛み合う第1ギヤ300と、第1ギヤ300とラック歯220とに噛み合うピニオンギヤとしての第2ギヤ310が設けられている。そして、第2ギヤ310は、欠歯部が形成された欠歯ギヤとなっており、これにより、ラック部材200が手前側にのみ移動可能となっている。なお、第2ギヤ310の代わりに第1ギヤ300を欠歯ギヤとしてもよい。
【0054】
以上のように構成される現像カートリッジ282を、新品の状態において、本体ケーシング2に装着すると、図9(a)に示すように、検出部材90のスポンジ92が検知用アーム122の下端部と摩擦係合する。これにより、第1の実施形態と同様に、検知用アーム122が揺動して、制御装置124によって新品であると判断される。
【0055】
その後は、図9(b)に示すように、ガラ回し動作を実行すると、第1ギヤ300および第2ギヤ310の回転によりラック部材200が手前側に移動し、ラック部材200の支持部230が検出部材90の下面から外れる。これにより、検出部材90が下方にスライドして、スポンジ92が検知用アーム122の下端部から外れて、検知用アーム122が中立位置に戻ることとなる。
そのため、第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0056】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態は、前記した各実施形態の一部の構造を変更したものであるため、前記各実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0057】
図10(a)および(b)に示すように、第3の実施形態に係る現像カートリッジ283は、検出部材900を現像カートリッジ283の装着方向に沿って移動可能にした構造となっている。具体的に、検出部材900は、図11に示すように、現像カートリッジ283の装着方向に沿って延在する長尺状の基体901と、基体901の長手方向に沿って延在する弾性変形可能(凹み変形可能な)なスポンジ902とを備えて構成されている。スポンジ902は、基体901の上面の左側(カバー体710側)に配設されており、基体901の下面の右側(カートリッジ本体610)には、基体901の長手方向に並ぶラック歯903が形成されている。
【0058】
そして、検出部材900は、その下面の左側がカバー体710の開口部711の下端から外側に向かって突出するスライドレール片712で支持されることによって、装着方向に沿って移動可能となっている。また、図10(a)に示すように、検出部材900のラック歯903とアジテータ駆動ギヤ66との間には、第2の実施形態と同構造となる第1ギヤ300および第2ギヤ310が設けられている。
【0059】
以上のように構成される現像カートリッジ283を、新品の状態において、本体ケーシング2に装着すると、図12(a)に示すように、検出部材900のスポンジ902が検知用アーム122の下端部と摩擦係合する。これにより、第1の実施形態と同様に、検知用アーム122が揺動して、制御装置124によって新品であると判断される。
【0060】
その後は、図12(b)に示すように、ガラ回し動作を実行すると、第1ギヤ300および第2ギヤ310の回転により検出部材900が手前側に移動し、スポンジ902と検知用アーム122の下端部との摩擦係合が解除されて、検知用アーム122が中立位置に戻ることとなる。
そのため、第3の実施形態でも、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0061】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態は、前記した各実施形態の一部の構造を変更したものであるため、前記各実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0062】
図13(a)および(b)に示すように、第4の実施形態に係る現像カートリッジ284は、検出部材910をカートリッジ本体620に近づく方向へ回転させる構造となっている。
【0063】
検出部材910は、第1の実施形態に係る検出部材90(図3参照)からスライド片93を取り除いた構造となっており、主に、第1の実施形態と同様の基体91およびスポンジ92を備えて構成されている。そして、検出部材910の右側面の略中央部には右側へ向かって突出する突出部911(図14(a)参照)が形成されており、この突出部911は、前後方向に沿う軸回りに回転可能となる回転体の一例としての第1かさ歯ギヤ320の外周面に一体に固定されている。なお、図13(b)に示すように、カバー体720には、第1かさ歯ギヤ320の回転による検出部材910の突出部911の下方への移動を許容するための開口部721が形成されている。
【0064】
第1かさ歯ギヤ320は、カートリッジ本体620の左側面に回転可能に支持される第2かさ歯ギヤ330に噛み合うように配置されている。ここで、第1かさ歯ギヤ320は、図示せぬ回転軸と、この回転軸を支持する図示せぬ支持アームとを介してカートリッジ本体620またはカバー体720に支持されている。
【0065】
また、第2かさ歯ギヤ330とアジテータ駆動ギヤ66との間には、これらのギヤ330,66に噛み合う中間ギヤ340が設けられている。そして、中間ギヤ340は、欠歯部を有する欠歯ギヤとなっており、これにより、図14(a)および(b)に示すように、検出部材910が所定量だけ下方に回転するようになっている。なお、中間ギヤ340の代わりに第1かさ歯ギヤ320または第2かさ歯ギヤ330を欠歯ギヤとしてもよい。
以上により、第4の実施形態でも、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0066】
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態は、前記した各実施形態の一部の構造を変更したものであるため、前記各実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0067】
図15(a)に示すように、第5の実施形態に係る現像カートリッジ285は、検出部材920をカートリッジ本体630の左側面に沿って回転させる構造となっている。
【0068】
検出部材920は、第1の実施形態と同様の基体91およびスポンジ92を備えて構成されており、その手前側の端部がカートリッジ本体630の左側面に回転可能に設けられている。そして、検出部材920の奥側の端部は、円周面の一部が径方向外側に突出するカム800の突出部801で支持されている。なお、図示せぬカバー体には、第1の実施形態の開口部72よりも大きな開口部75が形成されており、これにより、検出部材920のスポンジ92が開口部75から飛び出した状態において、検出部材920が手前側の端部を中心に下方へ回転可能となっている。
【0069】
カム800は、カートリッジ本体630の左側面に回転可能に設けられており、その一部にギヤ歯を有している。そして、このカム800のギヤ歯には、アジテータ駆動ギヤ66に噛み合うギヤ350が噛み合っている。そして、カム800は、欠歯部を有する欠歯ギヤとなっており、これにより、図15(b)に示すように、カム800が時計回りに所定量だけ回転して、検出部材920が下方に回転するようになっている。なお、カム800の代わりにギヤ350を欠歯ギヤとしてもよい。
以上により、第5の実施形態でも、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0070】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
前記各実施形態では、弾性部材としてスポンジ92を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばフェルトや複数の空孔を有するゴムなどを採用してもよい。
【0071】
前記各実施形態における各ギヤの数やレイアウトは、適宜変更可能である。例えば、第1の実施形態では、アジテータ駆動ギヤ66に直接カム80を噛み合せたが、これらの間に所定数のギヤを設けてもよい。また、カム80を中間ギヤ65に直接または所定数のギヤを介して連結してもよい。
【0072】
前記各実施形態では、検知用アーム122の下端部に検出部材90を接触させることで検知用アーム122を揺動させたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、検知用アーム122の左側面または右側面に検出部材90を接触させることで、検知用アーム122を揺動させてもよい。
【0073】
第1の実施形態では、カム80による検出部材90の支持を解除することで検出部材90を下方に直線状に移動させたが、本発明はこれに限定されるものではない。また、カム80を直接検出部材90に接触させたが、本発明はこれに限定されず、カム80と検出部材90との間に検出部材90と同方向に動く部材を設け、この部材を介してカム80と検出部材90とを間接的に接触させてもよい。
【0074】
第1の実施形態では、検出部材90を重力やスポンジ92の反力で下方に移動させたが、本発明はこれに限定されず、例えば検出部材90を下方へ付勢するばね等の付勢部材を設け、この付勢部材によって検出部材90を下方に移動させてもよい。
また、第1の実施形態では、支持部82がギヤ部81よりも大径となるように形成されていたが、検出部材90を支持しつつ、回転可能であれば、ギヤ部81が支持部82よりも大径となるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るレーザプリンタを示す側断面図である。
【図2】現像カートリッジのカバー体を外した状態を示す側面図(a)と、カバー体を付けた状態を示す側面図(b)である。
【図3】カムおよび検出部材を示す斜視図である。
【図4】本体ケーシングから現像カートリッジを取り外した状態を示す断面図である。
【図5】新品検知装置の各構成部品を示す斜視図である。
【図6】検出部材の動作を説明する説明図であり、現像カートリッジを本体ケーシングに装着したときにおける検出部材と検知用アームとの関係を示す説明図(a)と、ガラ回し動作を開始したときの状態を示す説明図(b)と、カムが半回転したときの検出部材の状態を示す説明図(c)である。
【図7】検知用アームが手前側にずれているときの検出部材の動作を説明する説明図であり、現像カートリッジを本体ケーシングに装着したときにおける検出部材と検知用アームとの関係を示す説明図(a)と、ガラ回し動作を開始したときの状態を示す説明図(b)と、カムが半回転したときの検出部材の状態を示す説明図(c)である。
【図8】第2の実施形態に係る現像カートリッジを示す側面図である。
【図9】第2の実施形態に係る検出部材の動作を説明する説明図であり、現像カートリッジを本体ケーシングに装着したときにおける検出部材と検知用アームとの関係を示す説明図(a)と、ガラ回し動作後の状態を示す説明図(b)である。
【図10】第3の実施形態に係る現像カートリッジのカバー体を外した状態を示す側面図(a)と、カバー体を付けた状態を示す側面図(b)である。
【図11】図10の検出部材の詳細を示す斜視図である。
【図12】第3の実施形態に係る検出部材の動作を説明する説明図であり、現像カートリッジを本体ケーシングに装着したときにおける検出部材と検知用アームとの関係を示す説明図(a)と、ガラ回し動作後の状態を示す説明図(b)である。
【図13】第4の実施形態に係る現像カートリッジのカバー体を外した状態を示す側面図(a)と、カバー体を付けた状態を示す側面図(b)である。
【図14】第4の実施形態に係る検出部材の動作を奥側から見て説明する説明図であり、現像カートリッジを本体ケーシングに装着したときにおける検出部材の位置を示す説明図(a)と、ガラ回し動作後の検出部材の位置を示す説明図(b)である。
【図15】第5の実施形態に係る現像カートリッジのカートリッジ本体を左側から見た状態を示す側面図(a)と、ガラ回し動作後の状態を示す側面図(b)である。
【符号の説明】
【0076】
1 レーザプリンタ
28 現像カートリッジ
31 現像ローラ
60 カートリッジ本体
62 入力ギヤ
63 現像ローラ駆動ギヤ
64 供給ローラ駆動ギヤ
65 中間ギヤ
66 アジテータ駆動ギヤ
70 カバー体
71 外面
72 開口部
73 スライド溝
74 スライドレール片
80 カム
81 ギヤ部
82 支持部
83 貫通孔
90 検出部材
91 基体
92 スポンジ
93 スライド片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に現像剤を収容する筐体と、
前記筐体に回転可能に支持される現像ローラと、
前記筐体の外面から外側に突出するとともに、前記筐体に対して移動可能な検出部材と、を備えた現像カートリッジであって、
前記筐体は、現像ローラを支持するローラ支持部と、前記現像剤を収容する収容部と、前記収容部に対して、前記ローラ支持部とは反対側に位置する壁部とを有し、
前記検出部材が、
前記ローラ支持部と前記壁部とが並ぶ並列方向に沿って延在する長尺状に形成されていることを特徴とする現像カートリッジ。
【請求項2】
前記検出部材は、前記並列方向に交差する方向に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の現像カートリッジ。
【請求項3】
前記検出部材は、前記並列方向に沿って移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の現像カートリッジ。
【請求項4】
前記検出部材は、前記筐体に対して回転可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の現像カートリッジ。
【請求項5】
前記検出部材に、弾性変形可能な弾性部材が前記検出部材の長手方向に沿って設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の現像カートリッジ。
【請求項6】
前記筐体に回転可能に支持されて、前記検出部材に直接または間接的に接触するカムを備え、
前記検出部材が前記カムによって直線状に移動するように構成されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の現像カートリッジ。
【請求項7】
前記筐体に回転可能に支持されるピニオンギヤと、
前記検出部材に設けられ、前記ピニオンギヤと噛み合うラック歯と、を備え、
前記ラック歯が前記ピニオンギヤの回転により押圧されることによって、前記検出部材が直線状に移動するように構成されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の現像カートリッジ。
【請求項8】
前記筐体に回転可能に支持されるピニオンギヤと、
前記ピニオンギヤと噛み合うラック歯を下面に有するとともに、上面の一部に前記検出部材を下側から支持する支持部を有するラック部材と、を備え、
前記ラック歯が前記ピニオンギヤの回転により押圧されて前記ラック部材が横方向に移動して、前記支持部が前記検出部材から外れることによって、前記検出部材が下方に移動するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の現像カートリッジ。
【請求項9】
前記筐体には、前記現像ローラの回転軸と直交する軸を中心にして回転可能となる回転体が設けられ、
前記回転体に、前記検出部材が固定されていることを特徴とする請求項4に記載の現像カートリッジ。
【請求項10】
前記現像ローラに対して同軸上で一体的に回転可能に設けられる現像ローラ駆動ギヤと、
前記現像ローラ駆動ギヤと噛み合い、外部から駆動力が伝達される入力ギヤと、
前記入力ギヤに中間ギヤを介して噛み合うアジテータ駆動ギヤと、
前記中間ギヤまたは前記アジテータ駆動ギヤから駆動力が伝達されるギヤ歯部を一部に有し、前記中間ギヤまたは前記アジテータ駆動ギヤからの駆動力が伝達不能となる欠歯部を他部に有する欠歯ギヤと、を備え、
前記カムが、前記欠歯ギヤに対して同軸上で一体的に回転可能に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の現像カートリッジ。
【請求項11】
前記現像ローラに対して同軸上で一体的に回転可能に設けられる現像ローラ駆動ギヤと、
前記現像ローラ駆動ギヤと噛み合い、外部から駆動力が伝達される入力ギヤと、
前記入力ギヤに中間ギヤを介して噛み合うアジテータ駆動ギヤと、を備え、
前記ピニオンギヤは、前記中間ギヤまたは前記アジテータ駆動ギヤから駆動力が伝達されるとともに前記ラック歯に駆動力を伝達させるギヤ歯部を一部に有し、前記中間ギヤまたは前記アジテータ駆動ギヤからの駆動力が伝達不能となる欠歯部を他部に有する欠歯ギヤであることを特徴とする請求項7に記載の現像カートリッジ。
【請求項12】
前記現像ローラに対して同軸上で一体的に回転可能に設けられる現像ローラ駆動ギヤと、
前記現像ローラ駆動ギヤと噛み合い、外部から駆動力が伝達される入力ギヤと、
前記入力ギヤに中間ギヤを介して噛み合うアジテータ駆動ギヤと、
前記中間ギヤまたは前記アジテータ駆動ギヤから駆動力が伝達されるギヤ歯部を一部に有し、前記中間ギヤまたは前記アジテータ駆動ギヤからの駆動力が伝達不能となる欠歯部を他部に有する欠歯ギヤと、を備え、
前記回転体は、前記欠歯ギヤから駆動力が伝達されるギヤであることを特徴とする請求項9に記載の現像カートリッジ。
【請求項13】
前記筐体および前記検出部材の一方には、前記検出部材の移動方向に沿ったスライド溝が形成され、他方には前記スライド溝に摺動可能に係合するスライド片が形成されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の現像カートリッジ。
【請求項14】
前記検出部材の一端が、前記現像ローラの回転軸と平行な軸回りで前記筐体に回転可能に支持されるとともに、
前記検出部材の他端に当接するとともに、前記筐体に回転可能に支持されるカムをさらに備えたことを特徴とする請求項4に記載の現像カートリッジ。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−180986(P2009−180986A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20542(P2008−20542)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】