説明

現像ローラ、現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】現像ローラが規則的に回転することによる現像スリーブの周期的な画像濃度ムラが発生することを防止できる現像ローラ、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置はプロセスカートリッジを備えている。プロセスカートリッジは現像ローラを備えている。現像ローラはマグネットローラと、前記マグネットローラに内包された該マグネットローラの磁力により外表面に現像剤を吸着する円筒状の現像スリーブと、前記現像スリーブに圧入されるとともに該現像スリーブに接着剤で固着された、該現像スリーブを回転駆動させる、フランジ部と、を備えている。(イ)前記フランジ部には、瞬間接着剤を被覆(塗布)したテーパ部が設けられ、かつ、(ロ)前記テーパ部の外径が、前記現像スリーブの奥側に向うにしたがって徐々に小さく形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等に用いられる現像ローラ、現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関し、さらに詳しくは、現像スリーブに担持された現像剤を、感光体ドラムと現像スリーブとが間隙をもって対向する現像領域に搬送し、該感光体ドラム上の静電潜像を現像してトナー像を形成する現像ローラ及び現像装置に関する。また、本発明は、かかる現像装置を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、プリンタ等に用いられる画像形成装置では、マグネットローラと、前記マグネットローラに内包された該マグネットローラの磁力により外表面に現像剤を吸着する端部をかしめて固定した円筒状の現像スリーブと、前記現像スリーブを回転駆動させるフランジ部と、を備えた現像ローラ(特許文献1を参照。)が提案されている。
【0003】
前記特許文献1に記載された現像ローラによれば、前記フランジ部は、前記現像スリーブに圧入される圧入部と、前記現像スリーブを回転駆動する前記圧入部から突出された回転軸と、を備えている。前記圧入部の前記回転軸寄りの端部の縁には、面取り部が設けられている。
【0004】
そして、前記フランジ部が圧入された前記現像スリーブの前記端部は、前記面取り部の表面に密接するようにかしめられて、これら前記フランジ部と前記現像スリーブとが、固定されている。
【0005】
また、前述した画像形成装置では、マグネットローラと、前記マグネットローラに内包された該マグネットローラの磁力により外表面に現像剤を吸着する円筒状の現像スリーブと、前記現像スリーブに圧入されて固定された該現像スリーブを回転駆動させるフランジ部と、を備えた現像ローラ(特許文献2を参照。)が提案されている。
【0006】
前記特許文献2に記載された現像ローラによれば、前記フランジ部は、前記現像スリーブに圧入された圧入部と、前記現像スリーブを回転駆動する前記圧入部から突出された回転軸と、を備えている。前記圧入部と前記回転軸とは互いに同軸に位置付けられている。前記圧入部は、前記現像スリーブの内径よりも外径が僅かに大きく形成された大径部と、前記大径部に連なり、かつ、前記現像スリーブの内径よりも外径が僅かに小さく形成されたガイド部と、を備えている。前記現像スリーブと前記フランジ部とは、これら前記現像スリーブと前記フランジ部の前記大径部との弾性復元力によって、互いに固定されている。前記フランジ部の長手方向の断面における前記大径部の外表面と、前記ガイド部の外表面とは平行に設けられ、かつ、前記フランジ部の中心軸とも平行に設けられている。
【0007】
そして、前記フランジ部に、前記ガイド部が設けられているので、前記現像スリーブと前記フランジ部とは、同軸に配置されている。
【0008】
また、前述した画像形成装置では、マグネットローラと、前記マグネットローラに内包された該マグネットローラの磁力により外表面に現像剤を吸着する円筒状の現像スリーブと、前記現像スリーブに圧入されて接着剤によって固着された該現像スリーブを回転駆動させるフランジ部と、を備えた現像ローラ(特許文献3を参照。)が提案されている。
【0009】
図8及び図9は、従来の現像ローラの断面図である。図8及び図9に示されているように、前記現像スリーブ932は、本体部951と、前記本体部951に連なる圧入受け部952と、を備えている。前記圧入受け部952の内径は、前記本体部951の内径よりも僅かに大きく形成されている。
【0010】
そして、前記特許文献3に記載された現像ローラ915によれば、前記フランジ部940は、前記現像スリーブ932に圧入された圧入部944と、前記現像スリーブ932を回転駆動する前記圧入部944から突出された回転軸942と、を備えている。前記圧入部944と前記回転軸942とは互いに同軸に配置されている。前記圧入部944には、前記フランジ部940の長手方向と平行に延在する溝部944aが複数設けられている。前記複数の溝部944aは、前記圧入部944の周方向に互いに間隔をあけて設けられている。前記溝部944aには、前記圧入部944が前記現像スリーブ932に圧入された後、嫌気性接着剤が塗布される。
【0011】
このような、前記現像スリーブ932に前記フランジ部940が圧入されると、前記現像スリーブ932の前記圧入受け部952には、前記フランジ部940の前記圧入部944が固定される。この際、前記圧入受け部952の内径の寸法と、前記圧入部944の外径の寸法とは、同じ寸法に形成されているとともに、前記圧入受け部952の内周面と前記圧入部944の外周面とは隙き間なく重ねられる。
【0012】
また、前記現像スリーブ932の前記本体部951と前記圧入受け部952との内径寸法の差は、前記圧入部944の前記溝部944aの軸方向の寸法(即ち溝部944aの深さ)よりも大きく形成されている。このような前記溝部944aに、前記嫌気性接着剤を塗布すると、前記圧入受け部952の内表面に前記嫌気性接着剤が侵入するので、前記現像スリーブ932に前記フランジ部は固着(即ち固定)されるが、該嫌気性接着剤は、前記本体部951の内表面までは侵入してこないので、該現像スリーブ932と前記マグネットローラとを固着させることなく、該現像スリーブ932に対して、該マグネットローラが回転自在となる。このように、前記現像スリーブ932に前記フランジ部140が固着(即ち固定)されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1乃至特許文献3に記載された前記現像ローラ915には、以下に示す問題があった。
【0014】
即ち、特許文献1に記載された現像ローラにおいては、前記フランジ部は、前記現像スリーブの前記面取り部の表面に沿うようにかしめられることによって固定されているので、前記現像スリーブと前記フランジ部とを同軸に配置することが困難となる、という問題があった。
【0015】
また、特許文献2に記載された現像ローラには、前記現像スリーブと前記フランジ部とが、これら該現像スリーブと該フランジ部との弾性復元力のみによって固定されているので、前記回転軸が回転されることによって、前記現像ローラを回転すると、該現像スリーブから該フランジ部を外してしまったり、空回りする、という問題があった。
【0016】
また、前記現像ローラを規則的に回転させるためには、前記現像スリーブと前記フランジ部とが互いに同軸に配置されるとともに、これら該現像スリーブと該フランジ部とを互いに強固に固定する必要があり、また、前記現像スリーブが高い精度で形成されているとともに、該現像スリーブに圧入される前記フランジ部もまた高い精度で形成される必要があったので、該現像スリーブ及び該フランジ部を製造する際の製造コストが高くなる、という問題があった。前記「高い精度」とは、本明細書においては、寸法誤差が比較的小さなことを意味する。
【0017】
また、図8及び図9に示されているように特許文献3に記載された現像ローラ915には、以下に示す問題があった。即ち、前記現像スリーブ932に前記フランジ部940が圧入された後に用いられる前記嫌気性接着剤は、硬化する時間を要するので、該嫌気性接着剤が硬化している状態の前記現像ローラ915を保管する場所が必要である、という問題があった。
【0018】
また、高温高湿の環境において、前記嫌気性接着剤を用いる際には、硬化の途中で空気中に含有される水分が接着面に対して悪影響を及ぼすので、接着力が低下するために、前記現像スリーブ932と前記フランジ部940との接着力が弱まり、前記現像ローラを回転する際に、前記現像スリーブ932から前記フランジ部940を外してしまったり、空回りすることがあった。それ故、前記現像スリーブ932に前記フランジ部940を確実に固着するには、保管する場所が必要であることに加えて、保管場所の温度や湿度を一定に保つための設備を整える必要がある、という問題があった。
【0019】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。
【0020】
即ち、本発明は、現像スリーブを固定させるフランジ部の傾きによって生じる周期的な画像濃度ムラの発生を防止した現像ローラ、現像装置、及び、該現像装置を備えたプロセスカートリッジ、並びに、画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
請求項1に記載された発明は、マグネットローラと、前記マグネットローラに内包された該マグネットローラの磁力により外表面に現像剤を吸着する円筒状の現像スリーブと、前記現像スリーブに圧入されるとともに該現像スリーブに接着剤で固着された、該現像スリーブを回転駆動させる、フランジ部と、を有する現像ローラにおいて、(イ)前記フランジ部には、瞬間接着剤を被覆したテーパ部が設けられ、かつ、(ロ)前記テーパ部の外径が、前記現像スリーブの奥側に向うにしたがって徐々に小さく形成されていることを特徴とする現像ローラである。
【0022】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記テーパ部に相対する前記現像スリーブの内周面に、接着剤溜まり溝が設けられていることを特徴とするものである。
【0023】
請求項3に記載された発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記フランジ部には、前記テーパ 部の先端部から離れた側に連なる大径部が設けられ、前記大径部の外径が、前記現像スリーブの内径よりも大きく 形成され、かつ、前記大径部の外径寸法と前記現像スリーブの内径寸法との差が、0.05mm以下とされている ことを特徴とするものである。
【0024】
請求項4に記載された発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の発明において、前記フランジ部が、鍛造加工によって形成されたことを特徴とするものである。
【0025】
請求項5に記載された発明は、外表面に現像剤を吸着する現像スリーブを有する現像ローラを有する発明において、前記現像ローラとして、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載の現像ローラを有していることを特徴とする現像装置である。
【0026】
請求項6に記載された発明は、現像装置を少なくとも有する発明において、前記現像装置として、請求項5記載の現像装置を有していることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0027】
請求項7に記載された発明は、感光体ドラムと、帯電装置と、現像装置と、を少なくとも有する発明において、前記現像装置として、請求項6記載の現像装置を有していることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0028】
請求項1に記載の発明によれば、(イ)フランジ部には、瞬間接着剤を被覆したテーパ部が設けられ、かつ、(ロ)前記テーパ部の外径が、現像スリーブの奥側に向うにしたがって徐々に小さく形成されているので、前記現像スリーブを固定させる前記フランジ部の傾きによって生じる周期的な画像濃度ムラの発生を防止した現像ローラを提供することができる。
【0029】
また、前記現像スリーブに前記フランジ部を圧入する際には、前記フランジ部の前記テーパ部が、ガイドとなって前記現像スリーブに圧入されるので、前記現像スリーブに前記フランジ部を傾くことなく配置することができる。即ち、前記現像スリーブと前記フランジ部とが、同軸に配置された現像ローラを提供することができる。
【0030】
また、前記現像スリーブに前記フランジ部を圧入すると、前記テーパ部が、前記現像スリーブの内表面と、前記テーパ部の外表面との間に僅かな隙き間を形成する。前記隙き間は、前記現像スリーブの内表面の寸法誤差を許容するとともに、前記フランジ部の寸法誤差を許容することができる。このため、前記現像スリーブ及び前記フランジ部を有した現像ローラを低コストで提供することができる。
【0031】
請求項2に記載の発明によれば、前記テーパ部に相対する前記現像スリーブの内周面に、前記瞬間接着剤を塗布する接着剤溜まり溝が設けられている。このため、前記現像スリーブに前記フランジ部を圧入する前に、予め前記接着剤溜まり溝に瞬間接着剤が塗布されることによって、前記テーパ部に十分な量の前記瞬間接着剤を供給することができる。こうして、前記現像スリーブと前記フランジ部とが、より強固に固着された現像ローラを提供することができる。
【0032】
請求項3に記載の発明によれば、前記フランジ部には、前記テーパ部の先端部から離れた側に連なる大径部が設けられ、前記大径部の外径が、前記現像スリーブの内径よりも大きく形成され、かつ、前記大径部の外径寸法と前記現像スリーブの内径寸法との差が、0.05mm以下とされている。このため、前記現像スリーブに前記フランジ部を圧入する際には、前記現像スリーブが均一に変形することによって、前記現像スリーブに前記フランジ部を傾くことなく配置することができる。即ち、前記現像スリーブと前記フランジ部とが、同軸に配置された現像ローラを提供することができる。
【0033】
請求項4に記載の発明によれば、前記フランジ部が、鍛造加工によって形成されている。 このように、前記フランジ部を、鍛造加工によって形成された現像ローラは、亜鉛ダイカスト成形によって形成された現像ローラと比較すると、低コストで提供することができる。
【0034】
請求項5に記載の発明は、前述した現像ローラを有しているので、前記現像スリーブを固定させる前記フランジ部の傾きによって生じる周期的な画像濃度ムラの発生を防止した現像装置を提供することができる。
【0035】
請求項6に記載の発明は、請求項5記載の現像装置を有しているので、前記現像スリーブを固定させる前記フランジ部の傾きによって生じる周期的な画像濃度ムラの発生を防止したプロセスカートリッジを提供することができる。
【0036】
請求項7に記載の発明は、請求項6記載の現像装置を有しているので、前記現像スリーブを固定させる前記フランジ部の傾きによって生じる周期的な画像濃度ムラの発生を防止した現像装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、を有する画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施の形態を示す現像ローラの断面図である。
【図2】図1に示された現像ローラの一部拡大説明図である。
【図3】本発明の一実施の形態を示す現像ローラの軸倒れ寸法を測定する状態を示す説明図である。
【図4】他の一実施の形態にかかる現像ローラの断面図である。
【図5】現像スリーブにフランジ部を圧入する際の圧入代とフランジ部の軸倒れ寸法との関係を示すグラフである。
【図6】現像スリーブにフランジ部を圧入する際の圧入力とフランジ部の軸倒れ寸法との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の一実施の形態を示すプロセスカートリッジの断面図である。
【図8】本発明の一実施の形態を示すプロセスカートリッジを有する画像形成装置の構成を正面からみた説明図である。
【図9】従来の現像ローラの断面図である。
【図10】図9中のIV−IV線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0039】
<現像ローラ115、225について>
図1〜図4において、115、215は、現像ローラである。現像ローラ115、215は、マグネットローラ133と、前記マグネットローラ133に内包された該マグネットローラ133の磁力により外表面に現像剤を吸着する円筒状の現像スリーブ132、232と、前記現像スリーブ132、232に圧入されるとともに該現像スリーブ132、232に瞬間接着剤で固着された、該現像スリーブ132、232を回転駆動させる、フランジ部140と、を有している。そして、現像ローラ115、215においては、(イ)前記フランジ部140に、瞬間接着剤を被覆したテーパ部148が設けられ、かつ、(ロ)前記テーパ部148の外径が、前記現像スリーブ132、232の奥側に向うにしたがって徐々に小さく形成されている。
【0040】
このように、マグネットローラ133と、前記マグネットローラ133に内包された該マグネットローラ133の磁力により外表面に現像剤を吸着する円筒状の現像スリーブ132、232と、前記現像スリーブ132、232に圧入されるとともに該現像スリーブ132、232に接着剤で固着された、該現像スリーブ132、232を回転駆動させる、フランジ部140と、を有する現像ローラ115、215において、(イ)前記フランジ部140には、瞬間接着剤を被覆したテーパ部148が設けられ、かつ、(ロ)前記テーパ部148の外径が、前記現像スリーブ132、232の奥側に向うにしたがって徐々に小さく形成されていると、現像スリーブ132、232を固定させるフランジ部140の傾きによって生じる周期的な画像濃度ムラの発生を防止した現像ローラ115、215を提供することができる。また、現像スリーブ132、232にフランジ部140を圧入する際には、フランジ部140のテーパ部148が、ガイドとなって現像スリーブ132、232に圧入されるので、現像スリーブ132、232にフランジ部140を傾くことなく配置することができる。即ち、現像スリーブ132、232とフランジ部140とが、同軸に配置された現像ローラ115、215を提供することができる。また、現像スリーブ132、232にフランジ部140を圧入すると、テーパ部148が、現像スリーブ132、232の内表面と、テーパ部148の外表面との間に僅かな隙き間を形成する。この隙き間は、現像スリーブ132、232の内表面の寸法誤差を許容し、かつ、フランジ部140の寸法誤差を許容するので、現像スリーブ132、232及びフランジ部140を有した現像ローラ115、215を低コストで提供することができる。
【0041】
本発明においては、好ましくは、前記テーパ部148に相対する前記現像スリーブ232の内周面に、接着剤溜まり溝150が設けられている。このように、前記テーパ部148に相対する前記現像スリーブ232の内周面に、前記瞬間接着剤を貯留する接着剤溜まり溝150が設けられていると、前記瞬間接着剤を前記接着剤溜まり溝に貯留した後、前記現像スリーブ232にフランジ部を圧入することとなり、よって、このテーパ部148に十分な量の瞬間接着剤を塗布することができる。こうして、現像スリーブ232とフランジ部140とが、より強固に固着された現像ローラ215を提供することができる。
【0042】
また、本発明においては、好ましくは、前記フランジ部140には、前記テーパ部148の先端部から離れた側に連なる大径部146が設けられ、前記大径部146の外径が前記現像スリーブ132の内径よりも大きく形成され、かつ、前記大径部146の外径寸法と前記現像スリーブ132の内径寸法との差が、0.05mm以下とされているので、現像スリーブ132にフランジ部140を圧入する際には、現像スリーブ132が均一に変形し、そのために、前記現像スリーブ132に前記フランジ部140を傾くことなく配置することができる。即ち、現像スリーブ132とフランジ部140とが、同軸に配置された現像ローラ115を提供することができる。
【0043】
また、本発明においては、好ましくは、前記フランジ部140が鍛造加工によって形成されている。このように、フランジ部140が鍛造加工によって形成されていると、現像ローラ115を、亜鉛ダイカスト成形によって形成された現像ローラ115と比較して、低コストで提供することができる。
【0044】
次に、本発明の現像ローラ115について詳しく説明する。
【0045】
図1、図2に示されているように、現像ローラ115には、芯金134と、円筒状のマグネットローラ(磁石体ともいう)133と、前記芯金134に取り付けられて前記マグネットローラ133が該芯金134の長手方向に沿って移動することを規制するEリング141と、円筒状の現像スリーブ132と、前記現像スリーブ132に固定されて該現像スリーブ132を回転駆動するフランジ部140と、前記フランジ部140に取り付けられる駆動ピン143と、前記フランジ部140と前記芯金134との間に位置付けられて、前記芯金134を回転自在に取り付ける滑り軸受け145と、が備えられている。前記芯金134は、その長手方向が、後述する感光体ドラム108の長手方向と平行に設けられている。この芯金134は、長手方向の一方の端がフランジ部140に回転自在に取り付けられているとともに、他方の端が、後述するケース125に回転することなく固定される。また、前記マグネットローラ133は、磁性材料で構成されており、前記芯金134の外周に軸芯回りに回転することなく固定されている。そして、前記マグネットローラ133には、図示しない複数の固定磁極が取り付けられており、これら複数の固定磁極は、長尺で棒状の磁石であって、前記マグネットローラ133則ち現像ローラ115の長手方向に沿って、その全長に亘って設けられている。前記複数の固定磁極のうちの一つの固定磁極は、後述する攪拌スクリュー118と相対して設けられていて、汲み上げ磁極をなしている。この固定磁極は、前記現像スリーブ132即ち前記現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じさせるので、後述する収容槽117の第2空間121内の現像剤が、前記現像スリーブ132の外表面に吸着される。また、前記複数の固定磁極のうちの他の一つの固定磁極は、後述する感光体ドラム108と相対して設けられていて、現像磁極をなしている。この固定磁極は、前記現像スリーブ132即ち前記現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じさせるので、前記現像スリーブ132と後述する感光体ドラム108との間に磁界を形成させることとなり、そのために、前記磁界によって磁気ブラシが形成されることとなり、よって、前記現像スリーブ132の外表面に吸着された現像剤のトナーが、後述する感光体ドラム108に受け渡される。前記汲み上げ磁極と前記現像磁極との間には、さらに他の少なくとも一つの固定磁極が設けられている。この固定磁極は、前記現像スリーブ132即ち前記現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じさせるので、現像剤を後述する感光体ドラム108に向けて搬送するとともに、現像済みの現像剤を後述する感光体ドラム108から後述する収容槽117内まで搬送する。
【0046】
そして、前記固定磁極が、現像スリーブ132の外表面に現像剤を吸着すると、前記現像剤の磁性粒子は、前記固定磁極が生じる磁力線に沿って複数重ねられるので、前記磁性粒子が、前記現像スリーブ132の外表面上に立設(穂立ち)される。このように、前記磁性粒子が、前記磁力線に沿って複数重なって前記現像スリーブ132の外表面上に立設される状態は、“磁性粒子が現像スリーブの外表面上に「穂立ちする」”といわれている。この穂立ちした磁性粒子には、前記現像剤のトナーが吸着される。即ち、前記現像スリーブ132の外表面には、マグネットローラ133の磁力により、現像剤が吸着されることとなる。
【0047】
前記現像スリーブ132は、マグネットローラ133を内包し(収容し)て、前記現像スリーブ132の軸芯回りに回転自在に設けられているので、その内周面が、前記固定磁極に順に相対するように回転される。前記現像スリーブ132は、アルミニウム合金(A6063)で構成されている。このアルミニウム合金は、加工性、軽さの面で優れている。この現像スリーブ132は、前記アルミニウム合金以外の、真鍮、ステンレス鋼(SUS)、導電性の樹脂などの非磁性材料で構成されていてもかまわない。また、前記現像スリーブ132には、本体部151と、前記本体部151に連なる圧入受け部152と、が備えられている。前記圧入受け部152は、後述するフランジ部140の圧入部144に相対している。前記圧入受け部152の内径は、前記本体部151の内径よりも僅かに大きく形成されて、その圧入受け部152の内径寸法は、例えば16.8mmとしている。そして、現像スリーブ132の軸方向の断面においては、前記本体部151の内表面と、前記圧入受け部152の内表面とは平行に設けられ、かつ、現像スリーブ132の中心軸132A(図3を参照。)とも平行に設けられている。前記現像スリーブ132の軸方向の長さは、好ましくは、300mm〜350mm程度である。
【0048】
前記フランジ部140には、現像スリーブ132に圧入される圧入部144と、前記現像スリーブ132を回転駆動させる回転軸142と、が備えられている。また、前記フランジ部140は、前記圧入部144が亜鉛によって構成され、かつ、前記回転軸142がSUS303によって構成されたステンレス(SUS)製軸インサートの亜鉛ダイキャスト成形によって形成されている。これら圧入部144と回転軸142とは、勿論同軸に位置付けられている。また、前記圧入部144は、全体的に円柱状に形成されている。前記圧入部144には、ストレート部146と、前記ストレート部146の前記現像スリーブ132の奥側に連なる大径部146と、前記大径部146の前記現像スリーブ132の奥側に連なるテーパ部148と、が備えられている。前記ストレート部146の外径は、前記現像スリーブ132の圧入受け部152の内径よりも僅かに大きく形成されて、そのストレート部146の外径寸法は、例えば16.85mmとしている。そして、前記フランジ部140の長手方向の断面においては、前記ストレート部146の外表面と、前記フランジ部140の中心軸140Aとは、平行に設けられている。また、前記大径部147の外径は、前記現像スリーブ132の前記圧入受け部152の内径よりも僅かに大きく形成されて、その大径部147の外径寸法は、例えば16.88mmとされている。また、前記テーパ部148は、前記大径部147から、前記現像スリーブ132の奥側に向かうにしたがって徐々に外径が小さく形成されており、前記大径部147から離れた側の先端部148a(図2に示す)の外径寸法は、例えば16.75mmとされている。即ち、前記テーパ部148は、前記フランジ部140の長手方向の断面においては、直線状に形成されて、前記現像スリーブ132の奥側に向うにしたがって前記フランジ部140の中心軸140Aに近付く方向に傾斜しており、前記中心軸140Aと、前記テーパ部148の外表面とがなす角度θ1(図2を参照。)は、1度に形成されている。前記テーパ部148には、瞬間接着剤が塗布された後、前記現像スリーブ132に前記フランジ部140が圧入される。即ち、前記テーパ部148には、前記現像スリーブ132に前記フランジ部140が圧入される前に、予め瞬間接着剤が塗布される。前記角度θ1は、小さな角度であるほど、前記テーパ部148の長手方向の寸法が長くなるので、前記フランジ部140と前記現像スリーブ132との接着力を高くするために好ましいが、前記テーパ部148の長手方向の寸法が長くなると前記現像スリーブ132に前記フランジ部140を圧入する時間が長引いてしまうので、前記フランジ部140を圧入している最中に、前記瞬間接着剤が硬化し始めるという問題が発生する。よって、前記角度θ1は、好ましくは、0.5度〜3度程度である。
【0049】
前記瞬間接着剤は、シアノアクリレート系の接着剤であるが、本発明の目的に反しないかぎり、それ以外の公知の瞬間接着剤であってもかまわない。また、前記回転軸142は、前記圧入部144よりも外径が小さな円柱状に形成されて、前記圧入部144から突出している。また、前記駆動ピン143は、円環状に形成されており、中央に設けられた貫通孔に前記回転軸142が通されて、前記回転軸142に回転することなく取り付けられている。この駆動ピン143を回転駆動させて、前記フランジ部140に固着(即ち固定)された前記現像スリーブ132が、軸芯回りに回転する。
【0050】
次に、本発明の現像ローラ215について詳しく説明する。
【0051】
図4に示されているように、現像ローラ215には、芯金134と、円筒状のマグネットローラ(磁石体ともいう)133と、芯金134に取り付けられてマグネットローラ133が芯金134の長手方向に沿って移動することを規制するEリング141と、円筒状の現像スリーブ232と、該現像スリーブ232に固定されて現像スリーブ232を回転駆動させるフランジ部140と、が備えられている。なお、現像ローラ215においては、前述した現像ローラ115と同一部分には、同一符号を付して説明する。前記現像スリーブ232には、本体部151と、前記本体部151に連なる圧入受け部152と、が備えられている。前記圧入受け部152は、前記現像スリーブ232に前記フランジ部140が圧入されると、前記フランジ部140の圧入部144(即ち、テーパ部148)に相対して設けられる。この圧入受け部152には、瞬間接着剤を貯留する接着剤溜まり溝150が設けられている。このように圧入部144(即ち、テーパ部148)に相対する位置に設けられた接着剤溜まり溝150は、前記圧入受け部152の内周面に凹に形成されているとともに、その全周に亘って延在している。そして、この接着剤溜まり溝150に瞬間接着剤が貯留された後、前記現像スリーブ232にフランジ部140を圧入すると、前記圧入部144(即ち、テーパ部148)に十分な量の瞬間接着剤を塗布することができる。こうして、現像スリーブ232とフランジ部140とが、より強固に固着された現像ローラ215を提供することができる。
【0052】
<現像装置113について>
図7に示されているように、本発明の現像装置113は、外表面に現像剤を吸着する現像スリーブ132、232を有する現像ローラ115、215を有している。このように、前記現像装置113が、前記現像ローラ115、215を有しているので、現像スリーブ132、232を固定させるフランジ部140の傾きによって生じる周期的な画像濃度ムラの発生を防止した現像装置113を提供することができる。
【0053】
次に、本発明の現像装置113について詳しく説明する。
【0054】
図7に示されているように、現像装置113には、現像剤供給部114と、ケース125と、現像剤担持体としての現像ローラ115、215と、規制部材としてのドクタブレード116と、受け部材149と、が備えられている。前記現像剤供給部114には、収容槽117と、トナー補給部139と、攪拌部材としての一対の攪拌スクリュー118と、が備えられている。前記収容槽117は、後述する感光体ドラム108と長さが略等しい箱状に形成されており、この収容槽117内には、前記収容槽117の長手方向に沿って延びた仕切壁119が設けられている。前記仕切壁119は、前記収容槽117内を第1空間120と、第2空間121とを区画しているが、これら第1空間120と第2空間121との両端部は、互いに連通している。このような収容槽117は、前記第1空間120と前記第2空間121との双方に後述する現像剤を収容する。また、前記トナー補給部139は、前記収容槽117の近傍に設けられている。各トナー補給部139には、後述する各トナーボトル135Y、135M、135C、135Kから、各色のトナーが補給される。また、前記攪拌スクリュー118は、前記第1空間120と前記第2空間121それぞれに収容されている。前記攪拌スクリュー118の長手方向は、前記収容槽117、前記現像ローラ115、215及び後述する感光体ドラム108の長手方向と平行である。そして、前記攪拌スクリュー118は、軸芯周りに回転自在に設けられており、軸芯周りに回転することで、前記トナーと前記磁性粒子とを攪拌するとともに、該軸芯に沿って現像剤を搬送する。即ち、前記第1空間120内に収容された攪拌スクリュー118は、前記現像剤を前記一端部から他端部に向けて搬送し、前記第2空間121内に収容された攪拌スクリュー118は、前記現像剤を他端部から前記一端部に向けて搬送する。
【0055】
また、前記現像剤は、トナーと、磁性粒子(磁性キャリアともいう)とを含んでいる。前記トナーは、前記第1空間120と、前記第2空間121とのうち前記現像ローラ115、215から離れた側の前記第1空間120のみの一端部に、後述するトナー補給部139から適宜補給される。前記トナーは、乳化重合法又は懸濁重合法により製造された球状の微粒子であるが、前記トナーは、種々の染料又は顔料を混入・分散した合成樹脂で構成される塊を粉砕して得られても良く、粉砕加工などにより形成されても良い。このようなトナーの体積平均粒径は、3μm以上で、かつ、7μm以下である。また、前記磁性粒子には、磁性材料としてのフェライトで構成された球状の芯材と、アクリルなどの熱可塑性樹脂とメラミン樹脂とを架橋させた樹脂成分と帯電調整剤とを含有し、かつ、前記芯材の外表面を被覆した樹脂コート膜と、前記樹脂コート膜に分散された球状のアルミナ粒子と、が備えられている。そして、前記磁性粒子の体積平均粒径は、20μm以上で、かつ、50μm以下である。前記芯材は、磁性材料としてのフェライトで構成され、かつ、球形に形成されている。前記樹脂コート膜は、前記芯材の外表面全体を被覆している。前記樹脂コート膜は、アクリルなどの熱可塑性樹脂とメラミン樹脂とを架橋させた樹脂成分と、帯電調整剤とを含有しているので、弾力性と強い接着力を有しており、前記アルミナ粒子を保持している。また、前記アルミナ粒子は、外径が前記樹脂コート膜の厚みより大きな球形に形成されているので、前記樹脂コート膜より磁性粒子の外周側に突出している。このような、小粒径の前記トナーや前記磁性粒子を用いることで、前記現像装置113は、画像再現性が向上し、高品質な画像を得ることができる。また、前記磁性粒子の体積平均粒径が20μm未満であると、磁性粒子一つ一つの磁化の大きさが小さくなるので、前記現像ローラ115、215からの磁気的拘束力が弱くなることとなり、前記磁性粒子が後述する感光体ドラム108に吸着されやすくなるので、望ましくない。また、前記磁性粒子の体積平均粒径が50μmを超えると、前記磁性粒子と後述する感光体ドラム108上の静電潜像との間の電界が疎になることとなり、均一な画像を得ることがでない(即ち画質が劣化する)ので、望ましくない。
【0056】
前述した構成によれば、前記現像剤供給部114は、前記第1空間120の前記一端部に供給された前記トナーと、前記磁性粒子とを攪拌しながら、他端部に搬送し、この他端部から前記第2空間121の他端部に搬送する。そして、前記現像剤供給部114は、前記第2空間121内で前記トナーと前記磁性粒子とを攪拌し、軸芯方向に搬送しながら、前記現像ローラ115、215の外表面に供給する。
【0057】
また、前記ケース125は、箱状に形成され、前記現像剤供給部114の前記収容槽117に取り付けられて、前記収容槽117とともに、前記現像ローラ115、215などを覆う。そして、前記ケース125の後述する感光体ドラム108と相対する部分には、開口部125aが設けられている。また、前記ドクタブレード116は、前記現像スリーブ132の外表面と間隔(以後ドクタギャップSと記す)をあけた状態で、前記ケース125に取り付けられているので、前記ドクタブレード116は、所望の厚さを越える前記現像スリーブ132の外表面上の前記現像剤を前記収容槽117内にそぎ落として、後述する現像領域131に搬送される前記現像スリーブ132の外表面上の前記現像剤を所望の厚さにする。また、前記受け部材149は、前記ドクタブレード116の前記現像スリーブ132の回転方向の上流側に設けられており、前記受け部材149と前記ドクタブレード116とは、図示しない弾性部材を介してぴったりと重ねられている。そして、前記受け部材149は、略直角三角形に形成されており、前記受け部材149の一つの頂部が前記現像スリーブ132、232の外表面に向かって位置付けられているとともに、他の頂部が、ケース125に支持されている。そして、前記受け部材149は、前記ドクタブレード116と、前記現像スリーブ132、232の外表面との間隔(即ちドクタギャップS)と同じ距離(即ち間隔)に位置付けられている。または、前記受け部材149は、前記ドクタブレード116と、前記現像スリーブ132、232の外表面との間隔(即ちドクタギャップS)よりも前記現像スリーブ132、232の外表面に近付けられていても良い。また、円柱状の前記現像ローラ115、215は、前記第2空間121と、前記感光体ドラム108との間で、かつ、前記開口部125aの近傍に設けられおり、前記感光体ドラム108と前記収容槽117との双方と平行に設けられている。そして、前記現像ローラ115、215は、後述する感光体ドラム108と間隔をあけて配されており、前記現像ローラ115、215と後述する感光体ドラム108との間の空間は、前記現像剤の前記トナーを後述する感光体ドラム108に吸着させて、静電潜像を現像してトナー像を得る現像領域131をなしている。前記現像領域131では、前記現像ローラ115、215と後述する感光体ドラム108とが相対する。
【0058】
このような構成の現像装置113は、前記現像剤供給部114で前記現像剤を十分に攪拌し、この攪拌した現像剤を固定磁極により前記現像スリーブ132、232の外表面に吸着する。そして、前記現像装置113は、前記現像スリーブ132、232が回転して、複数の固定磁極により吸着した現像剤を現像領域131に向かって搬送する。前記現像装置113は、前記ドクタブレード116によって所望の厚さになった前記現像剤を後述する感光体ドラム108に吸着させる。こうして、前記現像装置113は、前記現像剤を前記現像ローラ115、215に担持し、現像領域131に搬送して、後述する感光体ドラム108上の静電潜像を現像して、トナー像を形成する。この後、前記現像装置113は、現像済みの現像剤を、前記収容槽117に向かって離脱させる。さらに、前記収容槽117内に収容された前記現像済みの現像剤は、再度、第2空間121内で他の現像剤と十分に攪拌されて、後述する感光体ドラム108の静電潜像の現像に用いられる。なお、前記現像装置113は、前記現像剤供給部114が例えば後述する感光体ドラム108に供給されるトナーの濃度が低下したことを後述するトナー濃度センサが検知すると、不図示のトナー供給制御装置が作動されて、前記トナー補給部139から前記収容槽117にトナーが供給される。
【0059】
上述した本発明によれば、前記現像装置113は、受け部材149を備えている。受け部材149が、ドクタブレード116の現像スリーブ132、232の回転方向の上流側に設けられているので、ドクタギャップSにかかるトナーの剤圧を減少するとともにドクタギャップSの変位を抑制することとなり、感光体ドラム108に供給するトナーのばらつきが極めて少なくなる。こうして、ドクタギャップSの変位による現像ローラ115、215への現像剤のばらつきを低減し、画像濃度のムラのない良好な画像が得られる現像装置113を提供することができる。また、前記現像装置113は、トナーの球形度が0.93以上のものを使用することができる。即ち、画像の画質を向上させるには、前記トナー粒径を小さくすることが知られているが、小粒径化を行う場合、従来の粉砕型のトナーでは粒径分布がブロードになってしまい扱いにくいという特性があるので、重合法等によってトナーの円形度を上げ、粒径分布もシャープなものとして高画質化を実現することができる方法が一般的になっている。しかし、前記トナーの円形度を上げると球形に近づくために、クリーニングが非常に難しくなるが、前記受け部材149が設けられており、前記ドクタギャップSが変位することによる後述する感光体ドラム108へのトナー供給量のばらつきが無くなるので、重合法等による球形トナーを使用してもクリーニング性能を維持することができる。また、前記トナーは、少なくとも、プレポリマー、着色剤、離型剤からなるトナー組成物を、水系媒体中で樹脂微粒子の存在下で分散させ、該トナー組成物を重付加反応させて得られた重合トナーが用いられる。このようなトナーが用いられることにより、粉砕工程がなく、小資源化を図ることができ、粒径分布および帯電分布がシャ−プにでき、円形度を変える形状制御が容易にできる等の効果を得ることができる。また、前記磁性粒子は、磁性材料としての芯材に対して樹脂コート膜を有するものであって、前記樹脂コート膜が、アクリル等の熱可塑性樹脂とメラミン樹脂とを架橋させた樹脂成分に帯電調整剤を含有させたものである。このような磁性粒子を用いることにより、衝撃を吸収して削れを抑制し、強い接着力により大粒子を保持できる効果と、樹脂コート膜への衝撃阻止およびスペント物のクリーニングという効果とをバランス良く得ることができるので、前記磁性粒子の長寿命すなわち膜削れとスペント化を防止できる。
【0060】
<プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kについて>
図7に示されているように、プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kは、少なくとも前記現像装置113を有している。このように、プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kが、前記現像ローラ115、215を有する前記現像装置113を有していると、前記現像スリーブ132、232を固定させる前記フランジ部140の傾きによって生じる周期的な画像濃度ムラの発生を防止したプロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kを提供することができる。
【0061】
次に、本発明のプロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kについて詳しく説明する。
【0062】
図7に示されているように、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kには、カートリッジケース111と、帯電装置としての帯電ローラ109と、感光体ドラム108と、クリーニング装置としてのクリーニングブレード112と、現像装置113と、が備えられている。即ち、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、前記現像装置113を少なくとも備えている。前記カートリッジケース111は、後述する装置本体102に着脱自在で、かつ、前記帯電ローラ109と、前記感光体ドラム108と、前記クリーニングブレード112と、前記現像装置113と、を収容している。また、前記帯電ローラ109は、前記感光体ドラム108の外表面を一様に帯電する。また、前記感光体ドラム108は、前記現像装置113の前記現像ローラ115、215と間隔をあけて配されており、その軸芯を中心として回転自在な円柱状又は円筒状に形成されている。そして、前記感光体ドラム108は、後述する各レーザ書き込みユニット122により、外表面上に静電潜像が形成される。このような感光体ドラム108は、外表面上に形成され、かつ、担持する静電潜像にトナーが吸着して現像することによって得られたトナー像を後述する転写ベルト129に転写する。そして、各感光体ドラム108に形成された前記トナー像は、後述する転写ベルト129に順次重ねられて、後述する転写ベルト129上には、カラー画像が形成される。また、前記クリーニングブレード112は、記録紙107に前記トナー像を転写した後、前記感光体ドラム108の外表面に残留した転写残トナーを除去する。また、各プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは後述する転写ユニット104と、後述するレーザ書き込みユニット122との間に設けられており、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、装置本体102に着脱自在である。そして、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、記録紙107の搬送方向に沿って、互いに並設されている。
【0063】
<画像形成装置101について>
図8に示されているように、画像形成装置101は、少なくとも、前記感光体ドラム108と、帯電装置としての前記帯電ローラ109と、前記現像装置113と、を有している。このように、画像形成装置101が、前記現像ローラ115、215を有する前記現像装置113を有していると、前記現像スリーブ132、232を固定させる前記フランジ部140の傾きによって生じる周期的な画像濃度ムラの発生を防止した画像形成装置101を提供することができる。
【0064】
次に、本発明の画像形成装置101について詳しく説明する。
【0065】
図8に示されているように、画像形成装置101には、装置本体102と、給紙ユニット103と、レジストローラ対110と、転写ユニット104と、定着ユニット105と、光学ユニットとしてのレーザ書き込みユニット122と、複数のプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kと、複数のトナーボトル135Y、135M、135C、135Kと、が備えられている。このため、画像形成装置101は、帯電装置としての帯電ローラ109と、感光体ドラム108と、現像装置113と、を少なくとも備えている。なお、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置101は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像則ちカラー画像を、一枚の転写材としての記録紙107(図8に示す)に形成する。前記装置本体102は、例えば、箱状に形成され、フロア上などに設置される。そして、前記装置本体102は、給紙ユニット103と、レジストローラ対110と、転写ユニット104と、定着ユニット105と、レーザ書き込みユニット122と、複数のプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kと、複数のトナーボトル135Y、135M、135C、135Kと、を収容している。また、前記給紙ユニット103は、装置本体102の下部に複数設けられている。そして、給紙ユニット103には、前記記録紙107を重ねて収容するとともに装置本体102に出し入れ自在な給紙カセット123と、給紙ローラ124と、が備えられている。前記給紙ローラ124は、前記給紙カセット123内の一番上の記録紙107に押し当てられると、一番上の記録紙107を、後述する転写ユニット104の後述する転写ベルト129と、後述する二次転写ローラ137との間に送り出す。また、前記レジストローラ対110は、前記給紙ユニット103から後述する転写ユニット104に搬送される記録紙107の搬送経路に設けられており、一対のローラ110a,110bを備えている。このような、レジストローラ対110は、一対のローラ110a,110b間に記録紙107を挟み込み、前記挟み込んだ記録紙107をトナー像に重ね合わせ得るタイミングで、転写ユニット104の後述する転写ベルト129と、後述する二次転写ローラ137との間に送り出す。
【0066】
また、前記転写ユニット104は、前記給紙ユニット103の上方に設けられている。前記転写ユニット104には、駆動ローラ127と、従動ローラ128と、像担持体としての転写ベルト129と、一次転写ローラ130Y,130M,130C,130Kと、二次転写ローラ137と、転写ベルトクリーニングユニット136と、が備えられている。前記駆動ローラ127は、記録紙107の搬送方向の上流側に配置されており、駆動源としてのモータなどによって回転駆動される。そして、前記従動ローラ128は、装置本体102に回転自在に支持されており、記録紙107の搬送方向の下流側に配置されている。また、前記転写ベルト129は、樹脂フィルム又は、ゴムを基体として構成されている。前記転写ベルト129は、無端環状に形成されており、前記駆動ローラ127と前記従動ローラ128との双方に掛け渡されていて、前記駆動ローラ127が回転駆動されることで、前記駆動ローラ127と前記従動ローラ128との回りを図中反時計回りに循環(無端走行)する。また、前記一次転写ローラ130Y,130M,130C,130Kは、転写ベルト129をプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの各感光体ドラム108との間に挟んで各感光体ドラム108に形成されたトナー像を前記転写ベルト129に転写する。また、前記二次転写ローラ137は、前記転写ベルト129上の記録紙107を該転写ベルト129との間に挟んで、前記転写ベルト129上に形成されたトナー像を前記記録紙107に転写する。そして、前記転写ユニット104は、前記トナー像が転写された前記記録紙107を定着ユニット105に向けて送り出す。また、前記転写ベルトクリーニングユニット136は、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの前記転写ベルト129の搬送方向の上流側に設けられているので、前記転写ベルト129上の残留トナーを回収して、前記トナーを後述する廃トナー回収ボトルに搬送する。
【0067】
また、前記定着ユニット105は、互いの間に記録紙107を挟む一対のローラ105a,105bを備えているのでこれら一対のローラ105a,105b間に転写ユニット104から送り出されてきた記録紙107を押圧加熱することで、転写ベルト129から記録紙107上に転写されたトナー像を、前記記録紙107に定着させる。前記定着ユニット105は、前記転写ユニット104の前記記録紙107の搬送方向の下流側に設けられ、トナー像が転写された記録紙107を排紙ローラ対138に向けて送り出す。そして、前記排紙ローラ対138は、記録紙107を装置本体102の上部に設けられた排紙トレイ102aに送り出す。また、レーザ書き込みユニット122は、給紙ユニット103の上方に取り付けられている。レーザ書き込みユニット122は、各プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kそれぞれに対応している。各レーザ書き込みユニット122は、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの前記帯電ローラ109により一様に帯電された前記感光体ドラム108の外表面にレーザ光を照射して、静電潜像を形成する。また、前記複数のトナーボトル135Y、135M、135C、135Kは、各プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kの上方に設けられており、前記各トナーボトル135Y、135M、135C、135Kには、前記トナー補給部139に補給される各色のトナーが収容されている。各トナーボトル135Y、135M、135C、135Kは、装置本体102に着脱自在である。
【0068】
このような構成の画像形成装置101は、以下に示すように、記録紙107に画像を形成する。まず、前記画像形成装置101は、感光体ドラム108を回転して、この感光体ドラム108の外表面を一様に帯電ローラ109により−700Vに帯電する。前記感光体ドラム108の外表面にレーザ光を照射して、前記感光体ドラム108を露光して、画像部分を−150Vに減衰させて、前記感光体ドラム108の外表面に静電潜像を形成する。そして、前記静電潜像が現像領域131に位置付けられると、この静電潜像に−550Vの現像バイアス電圧を印加して、前記現像装置113の前記現像スリーブ132、232の外表面に吸着した現像剤が前記感光体ドラム108の外表面に吸着して、静電潜像を現像し、トナー像を前記感光体ドラム108の外表面に形成する。前記感光体ドラム108は、こうして得られたトナー像を転写ベルト129に転写する。そして、前記画像形成装置101は、給紙ユニット103の給紙ローラ124などにより搬送されてきた記録紙107を、一対のローラ110a、110b間から、転写ベルト129と、二次転写ローラ137との間に送り出して、転写ベルト129上に形成されたトナー像を、記録紙107に転写する。そして、画像形成装置101は、定着ユニット105で、前記記録紙107にトナー像を定着して、記録紙107にカラー画像を形成する。一方、転写されずに前記感光体ドラム108上に残ったトナーはクリーニングブレード112によって図示しない廃トナー回収ボトルに貯蔵される。前記廃トナー回収ボトルは、貯蔵量が満杯になると交換できるように、装置本体102に着脱自在である。残留トナーを除去された前記感光体ドラム108は図示しない除電ランプで初期化され、次回の画像形成プロセスに提供される。また、前記画像形成装置101では、環境変動や経時変動による画質の変動を抑えるために、プロセスコントロールを行なっている。具体的には、まず現像装置113における現像能力を検出する。例えば、あるトナーパターンの画像を、現像バイアス電圧を一定にした条件下で感光体ドラム108上に形成し、その画像濃度を図示しない光センサで検出し、濃度変化から現像能力を把握する。そして、この現像能力が所定の目標現像能力にかなうように、トナー濃度の目標値を変更することで、画質を一定に保つことができる。例えば、光センサで検出したトナーパターンの画像濃度が、目標現像濃度よりも薄い場合には、トナー濃度を高くするように、図示しない制御手段としてのCPUがトナー供給制御装置を作動して、収容槽117からトナーが供給される。ここで、前記トナー濃度は図示しないトナー濃度センサで検知される。なお、前記感光体ドラム108上に形成されるトナーパターンの画像濃度は、現像スリーブ132、232による画像濃度周期ムラの影響で多少変動することがある。
【0069】
また、画像形成装置101には、装置本体102に着脱自在なトナーボトルを設けても良い。この場合、各トナーボトルが各現像装置113と個別に装置本体102から着脱可能とされているので、各トナーボトルと各現像装置113の交換とを個別に行えることとなり、不要な交換をしなくて済むので、部品交換時のユーザーの出費を低減することができる。また、画像形成装置101の他の部分の開閉や出し入れの回数が減るので、トナー飛散も防止できるようになり、メンテナンス性の向上を図ることができる。また、前記画像形成装置101においては、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、カートリッジケース111と、帯電ローラ109と、感光体ドラム108と、クリーニングブレード112と、現像装置113と、が備えられている。しかしながら、本発明ではプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、少なくとも現像装置113を備えていれば良く、カートリッジケース111と、帯電ローラ109と、感光体ドラム108と、クリーニングブレード112と、を必ずしも備えていなくても良い。また、前述した実施の形態では画像形成装置101は装置本体102に着脱自在なプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kを備えている。しかしながら本発明では画像形成装置101は現像装置113を備えていれば良く、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kを必ずしも備えていなくても良い。
【0070】
本発明は前述した実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0071】
(実施例1)
マグネットローラを内包した現像スリーブの圧入受け部の内径寸法を、16.8mmとした。次に、Znダイキャスト成形によって形成されたフランジ部の長手方向の断面におけるテーパ部の角度を1度とし、該フランジ部の大径部の外径寸法を、16.88mmとし、該フランジ部の先端部の外径寸法を16.75mmとした。このように、前記大径部の外径寸法を16.88mmとし、圧入受け部の内径寸法を16.8mmとすることで、大径部(即ち、フランジ部)の外径寸法と、圧入受け部(即ち、現像スリーブ)との内径寸法との差(以下、圧入代と記す)を0.08mmとした。そして、市販の圧入装置を用いて前記フランジ部を保持した後、前記テーパ部にシアノアクリレート系瞬間接着剤を被覆(塗布)して、前記フランジ部を前記現像スリーブに圧入することによって前記現像ローラを得た。
【0072】
(実施例2)
前記現像スリーブの圧入受け部の内周面に、接着剤溜まり溝を形成した以外は、実施例1と同様にして現像ローラを得た。
【0073】
(実施例3)
前記現像スリーブの圧入受け部の内周面に、前記接着剤溜まり溝を形成し、そして、前記フランジ部の前記大径部の外径寸法を、16.85mmとし、前記フランジ部の前記先端部の外径寸法を16.75mmとし、圧入代を0.05mmとした以外は、実施例1と同様にして現像ローラを得た。
【0074】
(実施例4)
前記現像スリーブの圧入受け部の内周面に、前記接着剤溜まり溝を形成し、そして、前記フランジ部の前記大径部の外径寸法を、16.85mmとし、前記フランジ部の前記先端部の外径寸法を16.75mmとし、圧入代を0.05mmとした。そして、前記フランジ部をアルミニウム合金で構成し、かつ、鍛造加工によって形成した以外は、実施例1と同様にして現像ローラを得た。
【0075】
(比較例1)
前記フランジ部の前記大径部の外径及び、前記フランジ部の前記先端部の外径寸法を16.88mmとした。即ち前記テーパ部の角度を、0度とした。そして、前記テーパ部には、前述した実施例1とは異なりシアノアクリレート系瞬間接着剤を被覆(塗布)しなかったこと以外は、実施例1と同様にして現像ローラを得た。
【0076】
(比較例2)
前記フランジ部の前記大径部の外径及び、前記フランジ部の前記先端部の外径寸法を16.77mmとした。即ち、前記テーパ部の角度を0度とし、圧入代をゼロとした(即ち、圧入代を設けなかった。)。そして、前記テーパ部には、アクリル系嫌気性接着剤を被覆(塗布)した以外は、実施例1と同様にして現像ローラを得た。
【0077】
以上、実施例1で得られた前記現像ローラの前記現像スリーブに前記フランジ部を圧入する際の圧入力を種々変更して、前記現像スリーブに前記フランジ部に圧入した際の、後述する「軸倒れ寸法」を測定した。測定結果は、図5に示される。次に、実施例1で得られた前記現像ローラの圧入代を種々変更した前記フランジ部を複数製造し、これら前記圧入代の寸法を種々変更した複数の前記フランジ部を前記現像スリーブに圧入した際の後述する「軸倒れ寸法」を測定した。圧入する際には、圧入力を600Nに設定した市販の圧入装置を用いた。測定結果は、図6に示される。
【0078】
図3に示されているように、前記「軸倒れ寸法A」は、現像スリーブ132の中心軸132Aと、フランジ部140の先端部148aから離れた基端部の中心点140Rと、の鉛直方向の寸法(単位はマイクロメートル)を意味する。現像スリーブ132の中心軸132Aと、フランジ部140の基端部の中心点140Rとが重なる場合(即ち、軸倒れ寸法Aがゼロの場合)は、現像スリーブ132とフランジ部140とが同軸に配置されたものとなる。(即ち、現像スリーブ132にフランジ部140が、傾くことなく固定されたものとなる。)
【0079】
図5は、軸倒れ寸法と圧入力との関係を示している。図5において縦軸は、前述した軸倒れ寸法を示すとともに、横軸は、フランジ部が現像スリーブに圧入される際の圧入力を示す。図5から、フランジ部が圧入される際の圧入力が、600Nを超えると、軸倒れ寸法が大きくなることがわかる。このため、現像スリーブにフランジ部を圧入する際には、600N程度の圧入力で圧入することが最適であることがわかった。
【0080】
図6は、軸倒れ寸法と圧入代との関係を示している。図6において縦軸は、同じ寸法の圧入代に形成された50個のフランジ部を50個の現像スリーブにそれぞれ50回圧入した際の軸倒れ寸法の平均値を示す。横軸は、フランジ部が現像スリーブに圧入される際の圧入代の寸法を示す。図6から、フランジ部が圧入される際の圧入代が、0.05mmを超えると、軸倒れ寸法が大きくなることがわかる。このため、現像ローラの圧入代を、0.05mm以下とされていることが最適であることがわかった。
【0081】
次に、実施例1乃至実施例4または、比較例1、2で得られた現像ローラを画像形成装置に組み込んで、振れ精度、耐トルク、製造コストを評価した。評価結果は、次の表1に示される。表1中の評価基準は、実用に耐え得るものを○、優れるものを◎、実用に耐え得ないものを×とした。
【0082】
【表1】

【0083】
表1から次のことがわかった。即ち、実施例1乃至実施例4の各現像ローラは、テーパ部の角度が1度に形成され、かつ、テーパ部にはシアノアクリレート系瞬間接着剤が被覆(塗布)されている。前述した比較例1乃至比較例2の現像ローラと比較すると、実施例1乃至実施例4の現像ローラは、製造コスト及び、振れ精度、耐トルクにおいて、実用に耐え得るものであることが確認できた。また、実施例2乃至実施例4の各現像ローラにおいては、現像スリーブの内周面に接着剤溜まり溝が設けられている。接着剤溜まり溝が形成されていない実施例1、比較例1乃至比較例2の現像ローラと比較すると、接着剤溜まり溝が形成された実施例2乃至実施例4の現像ローラは、製造コスト及び、振れ精度、耐トルクにおいて、優れていることが確認できた。また、実施例3乃至実施例4の各現像ローラにおいては、圧入代が、0.05mm(即ち、0.05mm以下)とされている。前述した実施例1乃至実施例2及び、比較例1乃至比較例2の現像ローラと比較すると、圧入代が、0.05mm(即ち、0.05mm以下)とされた実施例3乃至実施例4の現像ローラは、製造コスト及び、振れ精度、耐トルクにおいて、特に優れていることが確認できた。また、実施例4の現像ローラにおいては、フランジ部は、アルミニウム合金によって構成され、かつ、鍛造加工によって形成されている。前述した実施例1乃至実施例3及び、比較例1乃至比較例2の現像ローラと比較すると、フランジ部が、アルミニウム合金によって構成され、かつ、鍛造加工によって形成された実施例4の現像ローラは、製造コストにおいて優れている(即ち、低コストで製造できる)ことが確認できた。
【符号の説明】
【0084】
101 画像形成装置
106Y,106M,106C,106K プロセスカートリッジ
108 感光体ドラム
109 帯電ローラ(帯電装置)
113 現像装置
115、215 現像ローラ
132、232 現像スリーブ
133 マグネットローラ
140 フランジ部
147 大径部
148 テーパ部
150 接着剤溜まり溝

【先行技術文献】
【特許文献】
【0085】
【特許文献1】特開平11−153129号公報
【特許文献2】特開平6−102754号公報
【特許文献3】特開2000−19848号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネットローラと、前記マグネットローラに内包された該マグネットローラの磁力により外表面に現像剤を吸着する円筒状の現像スリーブと、前記現像スリーブに圧入されるとともに該現像スリーブに接着剤で固着された、該現像スリーブを回転駆動させる、フランジ部と、を有する現像ローラにおいて、
(イ)前記フランジ部には、瞬間接着剤を被覆したテーパ部が設けられ、かつ、
(ロ)前記テーパ部の外径が、前記現像スリーブの奥側に向うにしたがって徐々に小さく形成されている
ことを特徴とする現像ローラ。
【請求項2】
前記テーパ部に相対する前記現像スリーブの内周面に、接着剤溜まり溝が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の現像ローラ。
【請求項3】
前記フランジ部には、前記テーパ部の先端部から離れた側に連なる大径部が設けられ、前記大径部の外径が、前記 現像スリーブの内径よりも大きく形成され、かつ、
前記大径部の外径寸法と前記現像スリーブの内径寸法との差が、0.05mm以下とされている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の現像ローラ。
【請求項4】
前記フランジ部が、鍛造加工によって形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の現像ローラ。
【請求項5】
外表面に現像剤を吸着する現像スリーブを有する現像ローラを有する現像装置において、前記現像ローラとして、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載の現像ローラを有していることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
現像装置を少なくとも有するプロセスカートリッジにおいて、前記現像装置として、請求項5記載の現像装置を有していることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項7】
感光体ドラムと、帯電装置と、現像装置と、を少なくとも有する画像形成装置において、前記現像装置として、請求項6記載の現像装置を有していることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−17901(P2011−17901A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162514(P2009−162514)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】