説明

現像剤補給容器およびそれを備えた画像形成装置

【課題】 部品点数が少なく、少ない製造工程数で製造可能な現像剤補給装置およびそれを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】 画像形成装置本体に着脱可能であり、かつ、現像剤を内部に収納可能なトナー収納容器15において、情報を無線通信方式で画像形成装置本体と通信するための非接触ICタグ143を回転容器の第3容器部31cに設け、非接触ICタグ143の基板181の突出部181aが、現像剤の補給にかかわる機能である、トナー収納容器15の支持部材の内面に付着したトナーをかき取るかき取り部材としての機能、およびトナーが上記凹部形成部31dにおける第1凹部41以外の部分と支持部材との隙間に入り込むことを阻止するためのシール部材としての機能を備えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置本体から着脱自在なトナーカートリッジなどの現像剤補給容器およびそれを備えた画像形成装置に関し、詳しくは、自己に関する情報(管理情報)を、非接触方式の通信により、画像形成装置本体との間で読み出しおよび書き込み可能な現像剤補給容器およびそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置は、一様に帯電させた像担持体である感光体ドラムに選択的な露光をして潜像を形成し、この潜像を現像剤で可視化すると共に、得られた可視像(トナー像)を記録媒体に転写して画像記録を行う。
【0003】
このような電子写真方式の画像形成装置では、現像剤がなくなる都度、現像剤を補給しなければならず、この現像剤の補給作業は、煩わしいばかりか、汚れを伴うこともある。また、各部材のメンテナンスは、専門のサービスマンでなければ行うことができず、ユーザーには不便を伴うことが多かった。
【0004】
そこで、現像器に対応して設けられる現像剤補給容器を装置本体に対して着脱自在とすることにより、現像剤がなくなった場合に、ユーザーが該現像剤補給容器を交換可能とし、メンテナンスを容易にしたものが実用化されている。
【0005】
このような着脱自在な現像剤補給容器を用いた画像形成装置では、現像剤がなくなった場合にユーザー自身が現像剤補給容器を交換しなければならないため、現像剤補給容器内の現像剤の残量に関する情報をユーザーに報知する手段が必要となる。
【0006】
そこで、トナー残量の検出手段として、EEPROM(Electrically Erasable/Programmable Read Only Memory)等の不揮発性の記憶手段を装置本体に設けて、カートリッジの使用量を積算して記憶させる方法が提案されている。例えば、感光体ドラムをレーザー光などによって露光させる場合、露光時間の情報、従ってトナー残量に対応する情報を加算記憶する手段を備えた画像形成装置が知られている。
【0007】
例えば、特許文献1には、画像形成装置本体に装着されるトナーカートリッジに不揮発性記憶素子内蔵の非接触通信ICタグを搭載し、この非接触通信ICタグと画像形成装置本体の通信装置との間で、非接触方式でデータの送受信が可能な画像形成装置が開示されている。
【0008】
また、特許文献2には、画像形成装置の装置本体に着脱可能に装着されてこの画像形成装置に新規トナーを供給するカートリッジ本体と、このカートリッジ本体に取り付けられ、前記画像形成装置本体側に配設されたカートリッジ管理装置からの信号に応じて非接触状態で信号やデータのやりとりを行う非接触データキャリア非接触対話部材とを備えるトナーカートリッジが開示されている。
【0009】
また、特許文献3には、感光体ドラム上の静電潜像を現像する複数の現像手段を一体に有し、かつ、画像形成装置本体に対して着脱自在な、円筒形状の現像カートリッジにおいて、所要の情報が非接触状態で記憶される非接触型記憶素子を設けることが開示されている。
【0010】
この現像カートリッジは、現像手段を構成する、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)のトナーをそれぞれ収容する4つの現像剤収容部を有している。また、現像カートリッジには、非接触型記憶素子としての非接触ICメモリが、現像カートリッジの外周面や、現像カートリッジの端面(回転中心側の面)に取り付けられている。従って、画像形成時に4色すべての現像手段が順次感光体ドラムへ対向することにより、画像形成装置では、イエロートナー現像時に非接触ICメモリと非接触型リーダー/ライター装置のアンテナ部が対向して、現像カートリッジの非接触ICメモリに所要の情報を記憶させることが可能となる。例えば、現在までのトナー使用量やプリント枚数をメモリより読み込み、今回のトナー使用量等を加算して、新たにメモリに記憶させることが可能となる。
【0011】
これにより、現像カートリッジの使用された状況を記憶する非接触ICメモリをカートリッジ自身が有しているため、該現像カートリッジの使用状況を正確に画像形成装置本体に伝えることができると共に、1つの装置本体に対して複数の現像カートリッジを使用している場合でも、それぞれの現像カートリッジの正確な状況をユーザーに提供することができる。
【0012】
このように、この画像形成装置では、カートリッジのトナーが完全になくなる前に新品のカートリッジに交換し、その古いカートリッジを他の装置本体に挿入した場合には、元の装置本体の記憶手段に蓄えられた情報が古いカートリッジの挿入された装置本体には反映されないため、トナーが消費された場合や現像ローラ等の部品が寿命となった場合の情報を、ユーザーに正しく報知できなくなってしまうという問題に対しても、カートリッジの寿命等の情報を的確に、ユーザーに報知することのできるプロセスカートリッジ及びこれを装着することが可能な画像形成装置を実現している。
【0013】
なお、特許文献4には、感光体ドラムのフランジの端面に対して、感光体を管理するための管理情報を記憶すると共に画像形成装置本体の本体交信手段と非接触で交信を行う記憶素子を設けた構成の画像形成装置が開示されている。
【特許文献1】特開2001−22230公報(2001年1月26日公開)
【特許文献2】特開平10−221938号公報(1999年7月8日公開)
【特許文献3】特開2002−49206公報(2002年2月15日公開)
【特許文献4】特開2001−117309公報(2001年4月27日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1〜3の構成においては、通信や記憶を行う素子(特許文献1におけるアンテナおよびICチップ、特許文献2における非接触IC主制御部、記憶部、信号変換部、変調部、復調部、送信アンテナ、受信アンテナ、特許文献3におけるメモリーICチップおよびアンテナパターン)や、それが形成されている基板(特許文献1における樹脂板181、特許文献3におけるフレキシブル回路基板)が、何らかの部材に付着した現像剤を掻き取る機能、現像剤を搬送する機能、現像剤を撹拌する機能、現像剤の残量を検出する機能、および容器本体の位置を検出する機能などのような、現像剤の補給に係わる機能(以下、「現像剤補給関連機能」と称する)を兼ね備えていない。そのため、特許文献1〜3の構成において、現像剤補給関連機能を有する部材を設ける場合、無線通信素子および回路基板とは別に現像剤補給関連機能を有する部材を設ける必要が生じる。その結果、部品点数及び製造工程数が多くなる。
【0015】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、部品点数が少なく、少ない製造工程数で製造可能な現像剤補給装置およびそれを用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る現像剤補給容器は、上記課題を解決するために、画像形成装置本体に着脱可能であり、かつ、現像剤を内部に収納可能な現像剤補給容器であって、情報を無線通信方式で画像形成装置本体と通信するための無線通信素子を備え、上記無線通信素子は、基板上に形成されている現像剤補給容器において、上記無線通信素子および基板の少なくとも一方が、現像剤の補給にかかわる機能を有することを特徴としている。
【0017】
上記構成によれば、無線通信素子および基板の少なくとも一方が現像剤の補給にかかわる機能を有するので、その機能を有する部材を無線通信素子および基板とは別に設ける必要がない。したがって、部品点数及び製造工程数(組立て工数)を削減できる。
【0018】
本願明細書において、現像剤の補給にかかわる機能とは、何らかの部材に付着した現像剤を掻き取る機能、現像剤を搬送する機能、現像剤を撹拌する機能、現像剤の残量を検出する機能、および容器本体の回転位置(角度)を検出する機能などからなる群より選ばれる少なくとも1つを指し、単に現像剤を収納する機能は含まないものとする。
【0019】
本発明の現像剤補給容器は、好ましくは、画像形成装置本体に装着された時に画像形成装置本体によって回転駆動されることによって画像形成装置本体に現像剤を補給しうる回転部材を含み、上記無線通信素子は、回転部材に設けられている。
【0020】
上記構成では、無線通信素子が回転部材に設けられているので、無線通信素子が回転部材の回転軸と完全に一致しない限り、画像形成装置本体によって回転駆動された時に、通信素子(より詳細にはアンテナの位置)と画像形成装置本体側の通信位置(より詳細にはアンテナの位置)との距離が変動する。その結果、通信素子から一定の信号強度で送信された無線周波を画像形成装置本体側で受信した場合、回転部材の回転に従って受信信号強度が変動する。そのため、この受信信号強度の変動に基づいて回転部材の角度(あるいは回転数等)を検出することが可能となる。その結果、回転部材の角度を検出し、検出した角度に基づいて回転部材の角度を制御することができる。また、回転部材の角度を検出するための部材、例えば光学式のセンサを無線通信素子とは別に設ける必要がないので、部品点数および製造工程数を削減できる。
【0021】
本発明の現像剤補給容器は、好ましくは、上記回転部材を回転可能に支持する支持部材をさらに備え、上記回転部材は、現像剤を内部に収納可能な容器本体である。
【0022】
トナーカートリッジ内の収納空間にトナーが存在している状態で、トナーカートリッジが様々な環境において長期間放置されると、通常粉体であるトナーがトナーカートリッジ内の収納空間において凝集するパッキングが生じて、ついにはブロック化してしまうこともある。このような状態でトナーカートリッジを画像形成装置本体に装着すると、現像剤供給部の撹拌部材は、角度位置によっては、凝集しているトナーをさらに凝集させるような方向に回転させようとすることがある。このような状態で撹拌部材を回転させると、撹拌部材に駆動力を与えるためのモータおよびギヤなどの駆動部に対する付加が過大になる。このように駆動部に対する付加が過大になると、最悪の場合には、モータのロックおよび撹拌部材を構成するシートの変形および破損、ならびに駆動部を構成するギヤの歯飛びなどによって、画像形成装置が故障してしまう危険性がある。近年、記録紙に画像を形成するときの高画質化のためのトナー粒子の小粒径化、および環境問題対策のための低温定着による低融点化などによって、トナーカートリッジを放置することによるトナーの凝集化の傾向が顕著になっており、前述のような故障が発生し易くなっている。
【0023】
このような故障を防止するために、利用者は新しいトナーカートリッジおよび長期間放置したトナーカートリッジを画像形成装置本体に装着する前に、トナーカートリッジに収納されているトナーをほぐして、トナーをできるだけ粉体の状態にしておかなければならない。このために、利用者は、トナーカートリッジを上下左右に揺動するような、大変面倒な作業を行わなければならない。
【0024】
これに対し、回転駆動される容器本体を備える構成の現像剤補給容器では、現像剤を長期間収納したままで放置し、現像剤が凝集した場合であっても、画像形成装置本体に装着した後、容器本体を回転駆動することによって現像剤をほぐして粉体の状態にすることができる。それゆえ、利用者が、現像剤補給容器を上下左右に揺動するような、大変面倒な作業を行う必要がない。
【0025】
また、画像形成装置本体が、容器本体の現像剤排出口が容器本体の回転軸より低い位置にある状態で容器本体が止まると、現像剤が現像剤排出口からこぼれ出すぎて容器本体の外側で凝集してしまい、現像剤の搬送効率が低下する恐れがある。
【0026】
これに対し、上記構成では、画像形成装置本体が、受信信号強度の変動に基づいて容器本体の角度を検出して容器本体の現像剤排出口が容器本体の回転軸より高い位置にある状態で容器本体が止まるように回転部材の角度を制御することが可能となる。これにより、現像剤が現像剤排出口からこぼれ出すぎて容器本体の外側で凝集してしまい、現像剤の搬送効率が低下することが防止できる。
【0027】
なお、回転駆動される容器本体は、両端が閉じた円筒形であることが好ましいが、その形状を幾らか変形させた回転体の形状であってもよく、さらには回転体以外の形状であってもよい。
【0028】
本発明の現像剤補給容器は、好ましくは、上記無線通信素子は、上記回転部材の外側表面上に配置されており、かつ、絶縁層で被覆されており、上記絶縁層より外側には、上記無線通信素子を保護する保護部材が配置されている。
【0029】
無線通信素子より外側に、絶縁層以外の部材が何もない場合、現像剤補給容器の交換時や輸送時に、ユーザが現像剤補給容器を落としたり床にぶつけたりすると、上記無線通信素子に衝撃が加わり、無線通信素子の破損や故障、剥がれ等の問題が起こる可能性がある。
【0030】
これに対し、上記構成では、無線通信素子より外側に、上記無線通信素子を保護する保護部材が配置されているので、現像剤補給容器の交換時や輸送時に、ユーザが現像剤補給容器を落としたり床にぶつけたりしても、上記無線通信素子に衝撃が加わらない。それゆえ、無線通信素子の破損や故障、剥がれ等の問題が起こることを防止できる。
【0031】
特に、上記構成において、回転部材を、現像剤を内部に収納可能な容器本体とし、かつ、容器本体の構成材料として弾性体(例えばトナー収納容器に広く用いられているポリプロピレン)を用いた場合、衝突などの外力により容易に弾性変形し、無線通信素子の故障、破損、剥がれを生じやすい。しかしながら、上記構成では、保護部材を配置したことによって、上記無線通信素子が設けられた部分の容器本体が弾性変形することを防止でき、その結果、無線通信素子の故障、破損、剥がれ等の問題を起こることを防止できる。
【0032】
なお、保護部材は、無線通信素子を確実に保護できるように、十分な強度を有する材料および厚みを有していることが好ましい。具体的には、保護部材は、基板と同一の材質であってもよい。保護部材が基板と同一の材質である場合、保護部材および基板が、同一の材質であって、弾性を有し、柔軟性に富んだ樹脂であるポリイミド樹脂からなってもよい。保護部材は、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルム(マイラー(商標)フィルム等)からなることが好ましい。また、保護部材の厚みは、50μm以上250μm以下であることが好ましい。また、保護部材は、一般的なポリイミド樹脂からなってもよい。
さらに、必要に応じて、無線通信素子の回路部をシリコーン樹脂などで絶縁モールドしても良い。
【0033】
本発明の現像剤補給容器は、好ましくは、上記容器本体の外周面には凹部が設けられ、上記容器本体は、上記凹部を一部として含むように上記容器本体の回転方向に沿って上記外周面を一周する凹部形成領域を有し、上記凹部には、現像剤を容器本体の内部から外部へ排出するための排出口が設けられ、上記支持部材は、上記排出口から上記凹部内に排出された現像剤を外部に供給するための現像剤供給口を有し、かつ、上記凹部形成領域を少なくとも取り囲むように設けられており、上記凹部には、容器本体が回転駆動された時に上記支持部材の内面上を摺動することで上記支持部材の内面に付着した現像剤をかき取るかき取り部材が設けられ、上記基板が、上記かき取り部材を兼ねている。
【0034】
上記構成によれば、容器本体が回転駆動された時に、上記かき取り部材が、支持部材の内面を摺動して、支持部材の内面に付着した現像剤をかき取ってほぐすことができる。これにより、上記凹部内に搬送された現像剤を、上記凹部内に滞留させることなく、効率的に現像剤供給口から外部へ送り出すことができる。
【0035】
また、上記構成によれば、上記基板が上記かき取り部材を兼ねているので、上記かき取り部材を無線通信素子とは別に設ける必要がない。したがって、部品点数および製造工程数を削減できる。
【0036】
本発明の現像剤補給容器は、好ましくは、上記容器本体の外周面には凹部が設けられ、上記容器本体は、上記凹部を一部として含むように上記容器本体の回転方向に沿って上記外周面を一周する凹部形成領域を有し、上記凹部には、現像剤を容器本体の内部から外部へ排出するための排出口が設けられ、上記支持部材は、上記排出口から上記凹部内に排出された現像剤を外部に供給するための現像剤供給口を有し、かつ、上記凹部形成領域を少なくとも取り囲むように設けられており、上記凹部形成領域には、上記排出口から上記凹部内に排出された現像剤が上記凹部形成領域における凹部以外の部分と上記支持部材との隙間に入り込むことを阻止するためのシール部材が設けられており、上記基板が、上記シール部材を兼ねている。
【0037】
上記構成によれば、上記シール部材によって、上記排出口から上記凹部内に排出された現像剤が上記凹部形成領域における凹部以外の部分と上記支持部材との隙間に入り込むことを阻止することができる。したがって、支持部材の内面に付着した現像剤によって、容器本体の回転が妨げられるという問題を回避できる。
【0038】
また、上記構成によれば、上記基板が上記シール部材を兼ねているので、上記シール部材を無線通信素子とは別に設ける必要がない。したがって、部品点数および製造工程数を削減できる。
【0039】
本発明の現像剤補給容器は、好ましくは、内部に収納している現像剤の残量を検出するための窓と、窓上を摺動して窓をクリーニングするクリーニング部材とをさらに備え、上記基板が、上記クリーニング部材を兼ねている。
【0040】
上記構成によれば、上記クリーニング部材によって、内部に収納している現像剤の残量を検出するための窓をクリーニングすることができる。したがって、トナー残量センサ等によって現像剤の残量を検出する精度を向上させることができる。
【0041】
また、上記構成によれば、上記基板が上記クリーニング部材を兼ねているので、上記クリーニング部材を無線通信素子とは別に設ける必要がない。したがって、部品点数および製造工程数を削減できる。
【0042】
また、上記構成によれば、上記基板が上記クリーニング部材を兼ねているので、上記クリーニング部材を無線通信素子とは別に設ける必要がない。したがって、部品点数および製造工程数を削減できる。
【0043】
本発明の現像剤補給容器は、好ましくは、上記無線通信素子は、アンテナコイルと、アンテナコイルに接続された回路とを備え、上記無線通信素子は、上記回転部材表面に対し、アンテナコイルの内周領域内を上記回転部材の回転軸が通るように設けられている。
【0044】
上記構成によれば、容器本体の回転角度(姿勢)に影響されず常に安定した無線通信が確保できる。なお、「アンテナコイルの内周領域」とは、アンテナコイルの最も内側の1周分の導電線よりも内側の領域を指すものとする。
【0045】
本発明の現像剤補給容器は、好ましくは、上記無線通信素子は、上記回転部材表面に対し、アンテナコイルの中心が上記回転部材の回転軸とほぼ合致するように設けられている。
【0046】
上記構成によれば、容器本体の回転角度(姿勢)に影響されず常に安定した無線通信が確保できる。
【0047】
なお、アンテナコイルの中心が上記回転部材の回転軸とほぼ合致するようにするためには、例えば、回転部材を、現像剤を内部に収納可能な容器本体とし、容器本体の外周面における回転軸とほぼ合致する位置(例えば底の中心部)にアンテナコイルを配置すればよい。
【0048】
本発明の画像形成装置は、上記の課題を解決するために、前記の現像剤補給容器と、この現像剤補給容器の無線通信素子と非接触方式で上記情報を通信する通信手段とを備えることを特徴としている。
【0049】
上記構成によれば、前記の現像剤補給容器を備えているので、部品点数および製造工程数が削減された画像形成装置を提供できる。
【発明の効果】
【0050】
本発明に係る現像剤補給容器および画像形成装置は、以上のように、無線通信素子および基板の少なくとも一方が現像剤の補給にかかわる機能を有するので、部品点数及び製造工程数(組立て工数)を削減できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について、図1ないし図28に基づいて説明すると以下の通りである。
【0052】
図2は、本実施形態に係る画像形成装置を示す断面図である。図2では、理解を容易にするために、厚みを省略している。
【0053】
プリンタ装置および複写装置などの電子写真方式の画像形成装置は、画像形成装置本体(以後、単に「装置本体」と表記することがある)と、現像剤としてのトナーを画像形成装置本体に補給するためのトナー収納容器(現像剤補給容器)15と、からなっている。トナー収納容器15は、装置本体に備えられるトナーホッパ19(後述する)に着脱可能にして装着される。
【0054】
装置本体は、図2に示すように、感光体ドラム1、帯電部2、レーザ露光部3、現像部4、転写装置5、給紙部6、定着部7、およびトナーホッパ19を備えている。給紙部6は、画像を形成すべき記録紙を転写装置5へ供給する。感光体ドラム1は、外周部に感光体が設けられる円筒状のドラムであり、図2に示すように前記駆動部からの駆動力によって回転する。帯電部2は、感光体ドラム1の感光体を帯電させて感光性を与える。レーザ露光部3は、帯電している感光体ドラム1の感光体をレーザ光像で露光して、感光体に静電潜像を形成する。
【0055】
現像部4は、2成分現像材を撹拌するとともに、静電潜像が形成された感光体ドラム1の感光体に2成分現像剤を供給して現像して、静電潜像に対応するトナー像が形成される。転写装置5は、給紙部6から供給された記録紙に、感光体ドラム1のトナー像を転写する。定着部7は、トナー像が転写された記録紙のトナー像を記録紙に定着する。トナー像が定着されて画像が形成された記録紙は、画像形成装置外部に排出される。
【0056】
図3は、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置のトナーホッパ付近を示す断面図である。
【0057】
トナーホッパ19は、図3に示すように、供給ローラ9、ハウジング19a、および撹拌部材82を備える。撹拌部材82は、図示しないトナーが収納されるハウジング19aの内空間である撹拌空間29に配置される。撹拌部材82は、装置本体に装着されている状態で、装置本体に設けられるモータなどの図示しない駆動部からの駆動力によって回転して、撹拌空間29に収納されるトナーを撹拌するとともに、供給ローラ9にトナーを与える。
【0058】
供給ローラ9は、外周部がスポンジなどの多孔質の樹脂で形成され、前記駆動部からの駆動力によって回転して、撹拌部材82によって与えられるトナーを、装置本体に設けられる現像部4に供給する。現像部4は、トナーホッパ19から供給されるトナーと、予め用意されている磁性を有する粒子であるキャリアとを撹拌して2成分現像剤を生成する。また、現像部4における2成分現像剤のトナー濃度を一定にするために、トナーホッパ19の供給ローラ9は、その外周部がスポンジで形成されており、さらにその回転が制御されている。これによって供給ローラ9は、適量なトナーを微粉末の状態で現像部4に供給する。
【0059】
また、トナーホッパ19は、ハウジング19a内の撹拌空間29に収容されているトナーの残量を検出するトナー残量検出部30を備える。
【0060】
トナー収納容器15は、図3に示すように、回転容器31および支持部材32からなる。ここでは図示しないが、後述するように、回転容器31には非接触通信ICタグ(通信素子)が搭載されている。支持部材32は、回転容器31のトナー排出口23(図7参照)から外部(より詳細には、後述する第1凹部41)に排出されたトナーを外部に供給するためのトナー供給部(現像剤供給口)50を有している。
【0061】
トナー収納容器15の上壁部には、トナー収納容器15の支持部材32の装着案内部(案内片)32aが嵌入可能な案内凹所18が形成される。案内凹所18は、トナー収納容器15の支持部材32の装着案内部(案内片)32aがその長手方向に摺動しうるように構成されている。支持部材32は、少なくとも3点以上で回転容器31と当接して回転容器31を下から支持する支持台16を含む。
【0062】
トナー供給部50は、ハウジング19aにおけるトナー収納容器15と対向する壁であり、その厚さ方向に貫通して、回転容器31内の空間とハウジング19a内の撹拌空間29とを連通するトナー搬送路17が設けられる。ハウジング19a内の撹拌空間29には、このトナー搬送路17を通して回転容器31内のトナーが供給される。撹拌部材82は、装置本体に装着されている状態で、装置本体に設けられるモータなどの図示しない駆動部からの駆動力によって回転して、ハウジング19a内の撹拌空間29に収納されるトナーを撹拌するとともに、供給ローラ9にトナーを与える。
【0063】
図4は、本発明に係る実施の一形態に係るトナー収納容器15を示す斜視図である。図5は、トナー収納容器15を示す図であり、図5(a)は正面図、図5(b)は断面図である。
【0064】
図4および図5に示すように、トナー収納容器15は、回転容器(容器本体)31および支持部材32を含んで構成される。回転容器31は、ほぼ、両端が閉じた円筒の形状に形成されている。回転容器31には、電子写真方式の画像形成に用いられるトナーが収納される。支持部材32は、回転容器31を、その軸線まわりに回転自在にして支持する。トナー収納容器15は、例えば、1400グラムのトナーを収納可能である。
【0065】
支持台16を水平面状に設置した状態で、支持部材32には、その上部に、一水平方向に突出するトナー供給部50が形成される。トナー供給部50における支持部材32の軸線方向中間部には、前記水平方向一方向に沿って貫通し、支持部材32の軸線に平行な方向に延びる長円状に開口する導通口20が形成される。この導通口20は、前述したトナー搬送路17に連通している。
【0066】
回転容器31の駆動側(画像形成装置の背面側)の端部には、図5に示すように、駆動側(画像形成装置の背面側)から非駆動側(画像形成装置の正面側)に向かう方向に突出する連結部である嵌合凸部38および補給口部45が形成される。嵌合凸部38は、複数個設けられることが好ましく、本実施の形態では、2個形成される。補給口部45は、回転容器31の駆動側(画像形成装置の背面側)の端部の中央に、回転容器31の軸線方向に貫通し、回転容器31の軸線と同軸の円形状に開口するように形成される。補給口部45には、その形状に対応して形成され、補給口部45に着脱可能な補給蓋46が、補給口部45との間のシールを達成した状態で、回転容器31の回転によって離脱しないようにして装着される。補給蓋46を補給口部45から離脱させることで、回転容器31の内空間と外空間とが連通し、この状態で、トナーを回転容器31に補給することができる。
【0067】
嵌合凸部38は、詳細に述べると、補給口部45よりも半径方向外方に、互いに回転容器31の軸線に関して対称な位置に配置される。嵌合凸部38は、後述する画像形成装置本体に設けられる本体側の凹型受部62(図22参照)に着脱可能である。なお、「半径方向外方」とは、半径方向に平行な方向で、かつ円の中心部から円周部に向かう方向のことをいう。つまり、半径方向内方とちょうど180°反対の方向である。
【0068】
また、回転容器31の駆動側(画像形成装置の背面側)の端面は、図5に示すように、非駆動側(画像形成装置の正面側)から駆動側(画像形成装置の背面側)に向かうにつれて半径方向内方に傾斜するような曲面状に形成される。「半径方向内方」とは、半径方向に平行な方向で、かつ円周部から円の中心部に向かう方向のことをいう。つまり、半径方向外方とちょうど180°反対の方向である。
【0069】
回転容器31の非駆動側(画像形成装置の正面側)の端面は、駆動側(画像形成装置の背面側)から非駆動側(画像形成装置の正面側)に向かうにつれて半径方向内方に傾斜するような曲面状に形成される。詳細に述べると、回転容器31の非駆動側(画像形成装置の正面側)の端面は、その中心部が駆動側(画像形成装置の背面側)から非駆動側(画像形成装置の正面側)に向かう方向に突出するような部分球面状に形成される。
【0070】
図6は、回転容器31における支持部材32によって支持される部分の付近を拡大して示す正面図である。
【0071】
回転容器31は、図6に示すように、第1容器部31aと、第2容器部31bと、第1容器部31aおよび第2容器部31bを連結すると共に支持部材32によって支持される第3容器部31cとからなっている。
【0072】
第3容器部31cの軸線方向の長さ寸法cは、例えば、80ミリメートルであってもよい。第3容器部31cの内径bは、残余の部分である第1容器部31aおよび第2容器部31bの内径aよりも大きく形成される。第3容器部31cの内径bは、例えば、110ミリメートルであってもよい。
【0073】
図7は、第3容器部31cを示す斜視図である。図8は、図6の切断面線S91−S91から見た第3容器部31cの断面図である。
【0074】
第3容器部31cは、大略的に円筒状に形成される筒状のものである。第3容器部31cは、図7および図8に示すように、その外周面の軸線方向中間部には、半径方向内方に陥没する凹部である第1凹部41および第2凹部42が設けられるとともに、第1凹部41に形成され、トナーを回転容器31の内部から外部へ排出するためのトナー排出口(排出口)23が設けられる。
【0075】
より詳細に述べると、第3容器部31cは、図7に示すように、回転容器31の外周面を該回転容器31の回転方向に一周するように形成され、回転容器31の円筒軸方向に沿って配置された、凹部形成部(凹部形成領域)31dと案内片形成部31e・31fとを有している。凹部形成部31dは、2つの案内片形成部31e・31fの間に形成されている。
【0076】
上記凹部形成部31dは、第3容器部31cの周面の外表面(以下、外周面)から円筒軸方向に陥入するように形成された第1凹部(凹部)41及び第2凹部42を有している。該第1凹部41及び第2凹部42は、凹部形成部31dにて、円筒軸に関して互いに対称となる位置に形成されている。上記第1凹部41と第2凹部42とは、回転容器31の円筒軸を中心とする回転方向Rに対して、所定の間隔を隔てて形成される。
【0077】
上記第1凹部41は、回転容器31から排出されるトナーを保持する空間となるとともに、該第1凹部41から、後述するトナー供給部50(図12)にトナーを送り出すための空間として用いられる。上記第1凹部41及び第2凹部42は、第3容器部31cの外周面に凹状に設けられているため、回転容器31の回転時の、第3容器部31cと支持部材32との接触面積を低減することができる。これにより、回転容器31の回転に際して、支持部材32と回転容器31との間の摩擦を低減して、回転容器31のスムーズな回転を実現することができる。
【0078】
上記第1凹部41は、図7に示すように、端壁部41a、底壁部41b、第1側壁部41c、第2側壁部41dを有している。上記端壁部41aは、第1凹部41のうち、回転容器31の回転方向Rに対して下流側の端部に設けられ、凹部形成部31dの外周面に対して垂直となるように形成されている。該端壁部41aは、回転容器31内に収容されたトナーを、第1凹部内に排出するために、回転容器31を貫通して開口されたトナー排出口(排出口)23を有している。
【0079】
上記底壁部41bは、回転方向Rに延在するように設けられ、回転方向Rに対して、下流側の端部が上記端壁部41aに連通し、上流側の端部は、第3容器部31cの外周面に滑らかに連通している。つまり、上記底壁部41bは、外周面に対して大略的に平行となるように、凹部形成部31dの外周面よりも円筒軸側に形成されている。
【0080】
上記第1側壁部41c及び第2側壁部41dは、第1凹部41のうち、回転容器31の円筒軸方向の端部にそれぞれ、互いに平行になるように設けられ、凹部形成部31dの外周面及び底壁部41bに対して垂直となるように形成されている。上記第1側壁部41c及び第2側壁部41dは、回転容器31の回転方向Rに対して下流側にて、それぞれ端壁部41aに連通し、上流側にて、第3容器部31cの外周面に連通している。
【0081】
一方、第2凹部42は、図7に示すように、底壁部42b、第1側壁部42cおよび第2側壁部42dを有している。上記底壁部42bは、回転容器31の回転方向Rに延在するように設けられ、該回転方向Rに対して、上流側及び下流側の端部は、それぞれ、第3容器部31cの外周面に滑らかに連通している。つまり、上記底壁部42bは、外周面に対して大略的に平行となるように、外周面よりも円筒軸側に形成されている。
【0082】
上記第1側壁部42cおよび第2側壁部42dは、第2凹部42のうち、回転容器31の円筒軸方向の端部にそれぞれ設けられ、外周面及び底壁部42bに対して垂直となるように形成されている。上記第1側壁部41c及び第2側壁部41dは、上記回転方向Rに対して上流側及び下流側にて、それぞれ第3容器部31cの外周面に連通している。
【0083】
また、上記案内片形成部31e・31fは、外周面から円筒軸方向とは反対方向に突出するように凸状に形成された複数の排出案内片44b・44cをそれぞれ備えている。該排出案内片44b・44cは、詳細は後述するが、上記第1凹部41のトナー排出口23から排出されたトナーが、案内片形成部31e・31f側に漏れ出た場合に、漏れ出たトナーを第1凹部41又は第2凹部42に送り出すために設けられている。
【0084】
上記案内片形成部31eは、第3容器部31cのうち、第1容器部31a側の端部に配置されている。案内片形成部31eに形成された排出案内片44aは、案内片形成部31eの外周面における周面方向に、所定間隔を隔てて等間隔に、かつ、互いに平行となるように設けられている。また、回転容器31の円筒軸を中心とした回転により、案内片形成部31e上のトナーを、凹部形成部31d側に好適に送り出すことができるように、上記排出案内片44bは、回転容器31の円筒軸に対して平行ではなく、該円筒軸に対して所定の角度で傾斜するように形成されている。
【0085】
一方、案内片形成部31fは、第3容器部31cのうち、第2容器部31b側の端部に配置されている。案内片形成部31fに形成された排出案内片44cは、案内片形成部31fの外周面における周面方向に、所定間隔を隔てて等間隔に、かつ、互いに平行となるように設けられている。また、回転容器31の円筒軸を中心とした回転により、案内片形成部31f上のトナーを、凹部形成部31d側に好適に送り出すことができるように、上記排出案内片44cは、回転容器31の円筒軸に対して平行ではなく、該円筒軸に対して所定の角度で傾斜するように形成され、傾斜の方向は、上記排出案内片44bとは逆方向となっている。
【0086】
回転容器31は、第3容器部31cの軸線方向一端部と第1容器部31aの開口端部とが連結され、第3容器部31cの軸線方向他端部と第2容器部31bの開口端部とが連結されるようにして一体成型される。このような回転容器31は、例えば、ポリエチレンなどの合成樹脂をブロー成型することによって製造されるようにしてもよい。これによって回転容器31を容易に製造することができるとともに、トナー収納容器15の構成部品を少なくすることができる。
【0087】
このように第1容器部31a、第2容器部31bおよび第3容器部31cの各軸線が同軸になるようにして連結されて、回転容器31が形成される。また、この状態では、第3容器部31cは回転容器31の軸線方向両端部を除く軸線方向中間部に配置される。したがって第3容器部31cの第1凹部41、第2凹部42、およびトナー排出口23は、回転容器31の軸線方向両端部を除く軸線方向中間部に配置される。
【0088】
図9(a)は、トナー収納容器15を組み立てる状態を示す正面図である。図9(b)は、図9(a)の切断面線S16−S16から見たトナー収納容器15の断面図である。トナー収納容器15を組み立てる前に、支持部材32を第1支持部24と第2支持部25とに分割しておく。第1支持部24と第2支持部25とによって、回転容器31の第3容器部31cを含む部分を、半径方向外方から挟持する。この状態で、第1支持部24と第2支持部25とをねじ部材によって連結する。
【0089】
図10は、トナー収納容器15から排出されるトナーの量と時間との関係を示すグラフである。図23において、破線の曲線は、回転容器31の第3容器部31cの内径bが、第1容器部31aおよび第2容器部31bの内径a以下である場合の、トナー収納容器15から排出されるトナーの量と時間との関係を示す。また、実線の曲線は、回転容器31の第3容器部31cの内径bが、第1容器部31aおよび第2容器部31bの内径aよりも大きい場合の、トナー収納容器15から排出されるトナーの量と時間との関係を示す。
【0090】
粉体状になったトナーは、例えば、水平面に鋭利な山のように載置しても、すぐになだらかな山のようになってしまう性質がある。例えば、回転容器31の第3容器部31cの内径bが、第1容器部31aおよび第2容器部31bの内径a以下である場合、回転容器31の回転によってトナー排出口23に向けて搬送されたトナーは、回転容器31の回転が停止すると、トナー排出口23から離反するようになる。このような場合、回転容器31内に収納されるトナーの量が非常に少なくなったときには、回転容器31の回転が再開した直後に、充分な量のトナーをトナー排出口23に向けて搬送することが困難となる。
【0091】
本実施の形態では、前述した図6に示すように、回転容器31の第3容器部31cの内径は、残余の部分である第1容器部31aおよび第2容器部31bの内径aよりも大きく形成されるので、回転容器31内に収納されるトナーの量が非常に少なくなったとき、一旦、第3容器部31cに搬送されたトナーが第3容器部31cから離反することを可及的に防止することができる。これによって回転容器31内に収納されるトナーの量が非常に少なくなったときにも、回転容器31の回転が再開した直後に、充分な量のトナーをトナー排出口23に向けて搬送することが可及的に可能となる。さらに回転容器31に収納される全てのトナーを、外部に排出することが可及的に可能となる。
【0092】
図10の破線の曲線に示すように、回転容器31の第3容器部31cの内径bが、第1容器部31aおよび第2容器部31bの内径a以下である場合、回転容器31に収納されているトナーの量が減少すると、トナーの排出量は、それに鋭く対応して減少する。一方、図10の実線の曲線に示すように、回転容器31の第3容器部31cの内径bが、第1容器部31aおよび第2容器部31bの内径aよりも大きい場合、図10の破線の曲線に比べて、回転容器31に収納されているトナーの量が減少しても、トナーの排出量は、トナーの量が零に近くなるまでは、ほぼ一定を保っている。したがって、本実施の形態のトナー収納容器15は、より長時間にわたって安定したトナーの排出が可能になる。
【0093】
回転容器31は、図4に示すように、円筒軸を回転軸として回転可能となるように、第3容器部31cの位置にて、支持部材32によって支持されている。支持部材32は、少なくとも、第3容器部31cの凹部形成部31d全体を取り囲むようにして、回転容器31を支持することが好ましい。図11に、第3容器部31c及び支持部材32の断面図を示す。
【0094】
図11に示すように、支持部材32は、第1支持部24と第2支持部25とを組み合わせてなり、第1支持部24と第2支持部25とを組み合わせることにより、回転容器31の円筒軸と同軸となる円筒状の空間が形成される。この空間に、第3容器部31cが配置されることにより、第1支持部24と第2支持部25とによって、第3容器部31cの外周面全体を取り囲むように挟持されて、回転容器31が支持される。なお、上記支持部材32は、少なくとも凹部形成部31dを含むように、第3容器部31cの外周面を取り囲んで、回転容器31を支持する。
【0095】
つまり、第1支持部24および第2支持部25は、第3容器部31cの円筒形状に合わせた曲率を有する曲面をそれぞれ有している。本実施の形態では、第1支持部24および第2支持部25がそれぞれ備えている曲面は、第3容器部31cの外周面の半周分をそれぞれ取り囲むことによって、回転容器31を支持する円筒状の空間を形成している。
【0096】
上記第2支持部25は、図11に示すように、円筒状の空間を形成するために、曲面の周方向の両端に、該曲面に対して垂直に設けられ、かつ外周方向に延在してなる連結部25a・25bを有している。また、第1支持部24は、曲面の周方向の両端に、該曲面に対して垂直に設けられ、かつ外周方向に延在してなる連結部24a・24bを有している。上記第2支持部25の連結部25a・25bと第1支持部24の連結部24a・24bとをそれぞれ、互いに接触させて、ねじ等の固定部材で固定する。これにより、第2支持部25の曲面の内周側と第1支持部24の曲面の内周側とが対向し、円筒状の空間が形成される。
【0097】
また、図11に示すように、上記支持部材32の上記第2支持部25及び第1支持部24には、それぞれ、上記曲面の外周に、トナー収納容器15を、装置本体に装着する際の装着案内部32b及び32aが設けられている。さらに、上記第2支持部25には、トナー収納容器15を、装置本体に装着する際の装着案内部となると共に、装置本体の外部の平面上に載置する場合に、回転容器31が転がることを防止するための支持台(リブ)16が設けられている。
【0098】
上記第2支持部25には、さらに、トナーホッパ19側に設けられたトナー搬入口へとトナーを送り出すためのトナー供給部50が設けられている。
【0099】
図12(a)(b)および図13(a)(b)に、トナー供給部50付近の断面図を示す。図12(a)に示すように、上記トナー供給部50は、第2支持部25の曲面を貫通する開口部51と、トナー搬送路17と、トナーホッパ19に対向する導通口20とを有し、回転容器31から開口部51を通ったトナーを、トナー搬送路52及び導通口53を介して、トナー収納容器15の外部、すなわちトナーホッパ19へ供給する。上記トナー供給部50は、図3に示すように、トナー収納容器15を装置本体に装着した場合に、回転容器31の円筒軸の位置よりも上方に位置するように形成されている。
【0100】
また、上記トナー供給部50には、回転容器31から供給されるトナーをかき出すためのスクレーパ(かき出し部材)27が取付けられている。該スクレーパ27は、上記開口部51にて、回転容器31に対向するように設けられ、回転容器31の第3容器部31cの凹部形成部31d(図7)の外周面を摺動する。
【0101】
なお、回転容器31を支持部材32で支持する場合には、図14に示すように、回転容器31と支持部材32の第1支持部24及び第2支持部25との間に、例えばシリコンゴム等の弾性材料にて形成され、断面形状がV字型であるVシール59を設けるとよい。本実施の形態では、図9に示すように、第3容器部31cの円筒軸方向の幅よりも大きい幅を有する支持部材32を用いているため、第3容器部31cと、第1容器部31a及び第2容器部31bとの境界部にVシール59を円周方向に沿って巻きつけて、回転容器31と支持部材32とを密着させている。
【0102】
このように、Vシール59を設けることにより、回転容器31と支持部材32とが密着した状態となるので、回転容器31と支持部材32との間の密閉性を高めることができる。従って、回転容器31から、支持部材32のトナー供給部50にトナーを搬送する際に、回転容器31と支持部材32との間にトナーが漏れ出ても、回転容器31の第1容器部31a及び第2容器部31b側へ漏れ出ることを防止することができるので、装置本体でのトナーの機内飛散を防止することができる。
【0103】
図15(a)に、トナーホッパ19側から見た場合のトナー供給部50の斜視図を示し、図15(b)に、回転容器31側から見た場合のトナー供給部50の斜視図を示す。図15(a)(b)に示すように、上記スクレーパ27は、基台部21と、トナー排出シート35と、立て壁33a・33bとを備えている。
【0104】
上記基台部21は、図15(b)に示すように、ポリアセタール樹脂等からなる剛体によって形成され、トナー排出シート35のうち凹部形成部31d(図7)を摺動する端部側を保持するシート保持部21aと、スクレーパ27が凹部形成部31dを摺動する際に、スクレーパ27の支点となる支点部21bとを備えている。上記シート保持部21aは、スクレーパ27の可動時にトナー排出シート35の先端部が凹部形成部31dに接触した場合に、トナー排出シート35の撓み等による変形を防止して、該トナー排出シート35を支持するために設けられている。
【0105】
また、上記支点部21bは、上記シート保持部21aを延在してなり、シート保持部21aとは所定の角度をなすように形成されている。上記支点部21bの、シート保持部21a側とは反対側の端部は、図12(a)に示すように、トナー供給部50の、回転容器31の回転方向に対して下流側に設けられた凹状のスクレーパ取付部54に一端が差し込まれ、該スクレーパ取付部54内で、支点部21bの一端の移動が制限されるようになっている。
【0106】
さらに、上記基台部21は、図15(b)に示すように、支点部21bの、回転容器31に対向する側にて、ばね等の弾性部材34が係止部材36aによって係止めされ、該弾性部材34の両端は、第2支持部25に、係止部材36b・36cによって係止めされている。このように、支点部21bに弾性部材34を設けることにより、スクレーパ27の基台部21の支点部21b側が、弾性部材34によって回転容器31の第3容器部31c側に傾斜するように付勢されている。そのため、トナー排出シート35の先端部が凹部形成部31d(図7)に当接していない場合には、図12(a)に示すように、基台部21のシート保持部21aが第3容器部31c側に倒れ込んだ状態となる。
【0107】
この状態から、回転容器31が回転方向Rへ回転すると、図12(b)に示すように、トナー排出シート35の先端部が凹部形成部31dの外周面を圧接するように当接する。これにより、スクレーパ27は、上記スクレーパ取付部54に取付けられた支点部21bが支点となって可動し、トナー排出シート35の先端部にて、凹部形成部31dの外表面の形状に沿って摺動するようになっている。
【0108】
また、スクレーパ27は、図13(a)(b)に示すように、シート保持部21aによって(図13(a)の場合)、あるいはトナー排出シート35の先端部によって(図13(b)の場合)、回転容器31の凹部形成部31dの第2凹部42表面を摺動する。
【0109】
上記トナー排出シート35は、弾性を有し、柔軟性に富んだポリエチレンテレフタレート(PET)等によって形成されている。トナー排出シート35は、図15(b)に示すように、上記基台部21のシート保持部21aに、両面テープ等を用いて固定される。一方、上記基台部21の支点部21bの方向に延在する一端は、図12(a)に示すように、トナー供給部50に設けられたスクレーパ取付部54内にトナーが入り込まないように、該スクレーパ取付部54上を覆って、トナー搬送路17上に配置される。
【0110】
上記トナー排出シート35は、上記したように、弾性及び柔軟性を有しているので、トナー排出シート35の先端部が、凹部形成部31dに密着して摺動することができる。さらに、この摺動によって、基台部21のシート保持部21aが持ち上げられた場合にも、図12(b)に示すように、シート保持部21aと支点部21bとの間で屈曲して、上記スクレーパ取付部54上を覆った状態で、トナー搬送路17上を摺動することができる。
【0111】
上記立て壁33a・33bは、図15(a)に示すように、開口部51(図12(a))から排出されるトナーをトナー搬送路17へ好適に送り出すために、トナー排出シート35の、トナーの搬送方向における両端部に、該トナー排出シート35に対して垂直方向に設けられている。トナー排出シート35と立て壁33a・33bとは、例えば一体的に形成され、弾性を有する樹脂シートの端部を折り曲げることによって、トナー排出シート35と立て壁33a・33bとを形成すればよい。なお、第2支持部25には、基台部21の支点部21bに対応する溝が設けられている。
【0112】
次に、上記構成のトナー収納容器15の装置本体内での動作について、上記説明にて用いた図面、及び、図16(a)(b)及び図17(c)(d)に基づいて、詳細に説明する。図16(a)(b)及び図17(a)(b)は、トナー収納容器15からトナーが供給される場合の動作を説明するための断面図である。
【0113】
上記にて説明したトナー収納容器15は、前記した図11に示すように、回転容器31が支持部材32によって支持された状態にて、第3容器部31cにおける凹部形成部31dの第1凹部41及び第2凹部42と、支持部材32との間に、空間が形成された状態となっている。この状態にて、装置本体内にて、図22に示す駆動源85からの駆動力によって、回転容器31が円筒軸を中心に回転すると、回転容器31の第1容器部31a及び第2容器部31b(図9)の位置にあるトナーが、搬送部36・39に沿って搬送される。このとき、搬送されたトナーは、第3容器部31cに集められる。
【0114】
第3容器部31cに集められたトナーは、図7に示す第1凹部41に設けられたトナー排出口23から、第1凹部41に排出される。具体的には、図16(a)に示すように、第1凹部41とスクレーパ27とが対向し、該第1凹部41の底壁部41bに、スクレーパ27のトナー排出シート35の先端部分が接触していない状態では、基台部21のシート保持部21aが第3容器部31c側に倒れ込んでいる。この図16(a)に示す状態から、トナー37を収容している回転容器31が円筒軸を中心に回転方向Rに回転すると、図16(b)に示すように、スクレーパ27のトナー排出シート35の先端部分が第1凹部41の底壁部41bに接触する。
【0115】
前記したように、第1凹部41は、回転容器31の回転方向Rに対して下流側に設けられた、回転容器31の内外を貫通するトナー排出口23を有している。そのため、図16(b)に示すように、回転容器31の回転により、トナー排出口23が、回転容器31内のトナー37の表面に接触すると、回転容器31の回転に伴って、トナー排出口23から、第1凹部41と支持部材32との間にトナーが流入する。
【0116】
上記回転容器31の回転により、スクレーパ27が設けられているトナー供給部50の位置を、第1凹部41全体が通過すると、図12(b)に示すように、第1凹部41と第2凹部42との間にある凹部形成部31dの外周面に、トナー排出シート35の先端部分及びシート保持部21aの先端部が当接する。このとき、第1凹部41と支持部材32との間にトナー37が保持された状態で、回転容器31が回転する。
【0117】
さらに、回転容器31が回転すると、図17(a)に示すように、第2凹部42とスクレーパ27とが対向し、スクレーパ27のトナー排出シート35の先端部分が第2凹部42の底壁部42bを摺動する。第2凹部42は、回転容器31の内外を貫通する開口部分を有していないので、第2凹部42と支持部材32との間の空間に、回転容器31内のトナー37が流入することはない。この場合にも、第1凹部41と支持部材32との間にトナー37aが保持された状態で、回転容器31が回転する。
【0118】
その後、第1凹部41と支持部材32との間にトナー37aが保持されて搬送された状態で、第1凹部41が再び、スクレーパ27に対向する。そして、スクレーパ27のトナー排出シート35の先端部分が第1凹部41の底壁部41bに接触すると、図17(b)に示すように、第1凹部41と支持部材32との間のトナー37aが、トナー排出シート35の先端部分ですくい上げられる。このとき、上記第1凹部41の底壁部41bは、回転容器31の外周面に略平行となる、なだらかな傾斜を有しているので、第1凹部41側からトナー排出シート35上を通って、トナー供給部50へとトナー37aがスムーズに送り出される。
【0119】
上記スクレーパ27には、立て壁33a・33b(図15(a))が設けられているので、送り出されたトナーが、トナー供給部50からトナーホッパ19へスムーズに送り出すことができる。すなわち、上記立て壁33a・33bが設けられることにより、トナー収納容器15からトナーホッパ19へのトナーの搬送方向に対して垂直となる方向にトナーが流れ出すことを防止して、上記トナー収納容器15側からトナーホッパ19(図3)の方向であるトナーの搬送方向に沿ってトナーをスムーズに搬送することができる。
【0120】
また、上記では、第2凹部42と支持部材32との空間に、トナーが保持されていない場合について説明したが、該空間には、第1凹部41と支持部材32との間の空間に流入したトナー37aの一部が保持される場合がある。すなわち、回転容器31の回転により、第1凹部41と支持部材32との間の空間に流入したトナー37aの一部が、回転容器31の第3凹部に設けられた案内片形成部35b・35c(図7)側に漏れ出ることがある。このような場合、上記案内片形成部35b・35cに設けられた排出案内片44a・44bにより、該案内片形成部35b・35c上のトナーが第1凹部41及び第2凹部42に搬送されて集められる。従って、第1凹部41と支持部材32との間の空間(以下、第1の空間と記載する)、及び、第2凹部42と支持部材32との間の空間(第2の空間と記載する)には、案内片形成部35b・35c上に漏れ出たトナーが保持されることがある。
【0121】
このように、案内片形成部35b・35c上に漏れ出たトナーのうち、第1の空間に集められたトナーは、図16(a)(b)及び図17(a)(b)に基づいて説明したように、第1凹部41のトナー排出口23から排出されたトナーとともに、トナー供給部50に送り出される。一方、案内片形成部35b・35c上に漏れ出たトナーのうち、第2の空間にトナーが搬送された場合には、図17(a)に示すように、第2凹部42の底壁部42bをスクレーパ27が摺動することにより、トナー排出シート35の先端部分で、上記第2の空間のトナーがすくい上げられる。すくい上げられたトナーは、第2凹部42側からトナー排出シート35上を通って、トナー供給部50へと送り出されるので、案内片形成部35b・35c上に漏れ出たトナーを無駄にすることなく、トナーホッパ19に供給して現像に用いることができる。
【0122】
上記のように、回転容器31を回転させることにより、第1凹部41内にトナーを流入させて、トナー供給部50に搬送することができる。そのため、回転容器31内のトナーの残量が少ない場合にも、回転容器31内にて重力方向に対して下方に位置するトナーを、上記第1の空間にトナーを流入させることができる。従って、回転容器31内のトナーの残量に大きく依存することなく、第1の空間にトナーを流入させることができるので、上記第1凹部41によって搬送されたトナーを、トナー供給部50を介してトナーホッパ19側へと好適に送り出すことができる。
【0123】
また、トナー供給部50は、図3に示すように、回転容器31の円筒軸Lよりも上方に位置するように、装置本体に装着されている。そのため、上記第1の空間に保持されたトナーを、円筒状の回転容器31に設けられた第1凹部41の底壁部41bに沿って、トナー供給部50にスムーズに落下させることができる。これにより、トナー収納容器15からトナーホッパ19へのトナーの供給を好適に行うことができる。
【0124】
さらに、第1凹部41及び第2凹部42と支持部材32との間のトナーは、スクレーパ27が有するトナー排出シート35の先端部分が、第1凹部41・第2凹部の底壁部41b・42bに押し当てられた状態で摺動することにより、第1凹部41及び第2凹部42からトナーをすくい上げて、トナー供給部50側へ掻きだしている。それゆえ、第1の空間及び第2の空間内に集められたトナーを、確実にすくい上げて掻きだすことができるので、回転容器31の第1凹部41及び第2凹部42から、トナー供給部50のトナー搬送路17上へ、トナーを搬送することができる。
【0125】
以上の動作によって、トナー収納容器15からトナーが排出され、回転容器31内のトナー残量が少なくなった場合には、トナー収納容器15を装置本体から取り外し、回転容器31の補給口部45(図5)からトナーを供給すればよい。
【0126】
装置本体からトナー収納容器15を離脱させる場合には、まず、上記した規制部材によるトナー収納容器15に対する規制を解除する。次いで、装置本体にトナー収納容器15を挿入した方向とは逆方向に、トナー収納容器15を移動させ、支持部材32に設けられたリブ57a及び装着案内部57b・57c(図11)によって案内されて、装置本体からトナー収納容器15を離脱させる。
【0127】
上記構成のスクレーパ27には、図18(a)に示すように、トナー搬送路17上でのトナーの滞留を防止するために、トナーブロッキング部材26を取付けてもよい。図18(a)(b)は、トナーブロッキング部材を設けた場合における支持部材のトナー供給部を示す断面図である。
【0128】
上記トナーブロッキング部材26は、スクレーパ27の立て壁33a・33b(図15参照)に両端が固定されて略コの字型となって、トナー搬送路17上に配置される。
【0129】
上記トナーブロッキング部材26は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、ポリオレフィン等を用いて、シート状に成型すればよい。上記トナーブロッキング部材は、50μm〜200μmの厚さを有し、かつ弾性を有していることが好ましい。このように、上記トナーブロッキング部材が薄手のシート状に成型され、かつ弾性材料にて形成されれば、上記トナーブロッキング部材を自在に弾性変形させることができるので、トナーブロッキング部材の形状のフレキシブル性を高めることができる。
【0130】
上記トナーブロッキング部材26は、図18(a)(b)に示すように、スクレーパ27の動きに連動して、トナー搬送路17上を、トナーの搬送方向と平行な方向に移動する。これにより、トナー搬送路17上のトナーを、トナー供給部50の導通口20からトナーホッパ19側に押し出して、トナー搬送路17上にトナーが滞留することを防止することができる。
【0131】
トナーブロッキング部材26を設けた場合、上記トナー供給部50には、図19に示すように、トナー供給部50の導通口20を開閉するためのシャッタ部材58を設けることが好ましい。図19は、トナーブロッキング部材26およびシャッタ部材58を設けたトナー収納容器を示す斜視図である。図20および図21は、シャッタ部材58がスライドする様子を説明するためのトナー収納容器15の要部を示す斜視図である。
【0132】
該シャッタ部材58は、トナー供給部50を覆うシャッタ部58aと、該シャッタ部58aが回転容器31の円筒軸に平行な方向にスライドするためのシャッタ案内部58bとを備えている。上記シャッタ部材58は、トナー収納容器15が装置本体に装着されている場合には、図19に示すように、トナー供給部50の導通口20を開口した開状態となる。これに対し、装置本体からトナー収納容器15を離脱させる場合には、図20に示すように、トナー収納容器15の離脱に伴って、シャッタ部58aがシャッタ案内部58bに沿ってスライドする。そして、トナー供給部50内にトナーブロッキング部材26を収容し、図21に示すように、シャッタ部58aがトナー供給部50の導通口20を覆った閉状態となる。
【0133】
以上の構成を備えたトナー収納容器15は、装置本体に着脱可能に装着されて用いられる。トナー収納容器15を装置本体に装着する場合には、図3に示すように、トナー収納容器15を、装置本体内のトナーホッパ19に隣接する領域に、挿入する。このとき、回転容器31の第1容器部31a(図6)側から装置本体に挿入され、支持部材32に設けられたリブ57a及び装着案内部57b・57c(図11)によって案内されて、装置本体へ装着される。
【0134】
また、トナー収納容器15は、装置本体に装着されていないときには、図21に示すように、シャッタ部材58によって、トナー供給部50の導通口20が覆われて、閉状態となっている。そのため、装置本体内のトナー収納容器15の装着位置には、図示しないシャッタ変位部材が設けられている。これにより、装置本体にトナー収納容器15を装着する際に、図19に示すように、トナー収納容器15の支持部材32に設けられたシャッタ部材58のシャッタ部58aを、上記シャッタ変位部材がスライドさせて、トナー供給部50を開状態とすることができる。このように、トナー収納容器15を装置本体に装着することにより、シャッタ部材58がスライドし、トナー供給部50が開状態となって、該トナー供給部50の導通口20とトナーホッパ19の図示しないトナー搬入口とが連結される。
【0135】
上記のようにして、装置本体に挿入されたトナー収納容器15は、第1容器部31aにて、装置本体に連結される。図22に、トナー収納容器15と装置本体の本体側連結部60とが連結された状態、及び、トナーホッパ19の上面図を示す。上記本体側連結部60は、装置本体のモータ等の駆動源65からの駆動力によって回転する円盤状の継手受部61を有し、該継手受部61とトナー収納容器15の回転容器31とが連結される。より詳細には、継手受部61に設けられた凹型受部62に、回転容器31の第1容器部31aの底部に設けられた嵌合凸部38及び補給蓋46が嵌め込まれることによって、連結される。
【0136】
上記継手受部61は、図22に示すように、装置本体の筐体68を貫通する回転軸64の回転中心に一致するように、該回転軸64に取付けられ、筐体68と継手受部61との間の回転軸64には、圧縮コイルばね等のばね部材63が取付けられている。上記ばね部材63は、継手受部61を筐体68から離間する方向へ付勢している。そのため、トナー収納容器15が上記継手受部61を押圧した状態となるように図示しない規制部材によって、トナー収納容器15の、装着方向に沿った移動が規制される。
【0137】
上記のように装置本体に装着されたトナー収納容器15では、装置本体の駆動源65からの駆動力が、歯車等の減速装置66及び回転軸64を介して、上記継手受部61に伝達されて、該継手受部61が回転することにより、回転容器31が円筒軸を中心に回転する。
【0138】
また、立て壁33a・33bに取付けられたトナーブロッキング部材26は、凹部形成部31dを摺動するスクレーパ27の動きに連動して、トナー搬送路17上を、トナーの搬送方向と平行な方向に移動する(図18(a)(b))。従って、図18(b)に示すように、スクレーパ27に備えられたトナー排出シート35の先端部が、第1凹部41と第2凹部42との間にある凹部形成部31dの外周面に当接すると、図23に示すように、トナーブロッキング部材26の先端部分がトナー供給部50の外部にはみ出した状態となる。つまり、トナーブロッキング部材26の先端部分が、トナー供給部50の導通口20から、トナーホッパ19側に押出された状態となる。これにより、トナー供給部50のトナー搬送路17上のトナーを、トナーホッパ19側へ確実に送り出すことができるので、導通口20付近にトナーが滞留することを防止して、回転容器31から排出されたトナーを確実にトナーホッパ19に供給することができる。
【0139】
なお、本実施の形態では、トナーブロッキング部材26の先端部分が、導通口20からトナー供給部50の外部に押し出されて、トナーホッパ19側にはみ出る構成としているが、これに限定されるものではない。すなわち、導通口20付近でのトナーの滞留を防止するためには、図24に示すように、トナーブロッキング部材26の先端部分が導通口20まで移動する構成であればよい。該構成によっても、導通口20にトナーが滞留することを防止して、導通口20付近のトナーを、トナーホッパ19側に送り出すことができる。他のブロッキング防止部材を示す斜視図である。
【0140】
さらに、スクレーパ27には、トナーブロッキング部材26が設けられているので、スクレーパ27によって、トナー供給部50に送り出されたトナーを、さらにトナーブロッキング部材26によって、トナーホッパ19側へ送り出すことができる。これにより、トナー供給部50の導通口20にトナーが滞留することを防止して、トナー収納容器15からトナーホッパ19へトナーをスムーズに送り出すことができる。
【0141】
上記のようにして、トナーホッパ19に送り出されたトナーは、図22に示すように、トナーホッパ19内にて、まず、撹拌部材82によって撹拌される。撹拌部材82は、撹拌軸82aに撹拌羽根82bが設けられており、撹拌軸82aが回転することにより、撹拌軸82a周りを撹拌羽根82bが回転して、トナーホッパ19内のトナーが撹拌される。続いて、撹拌部材82によって撹拌されたトナーは、該撹拌部材82の撹拌動作によって、供給ローラ9側に送りだされる。供給ローラ9は、撹拌部材82によって送り出されたトナーを、現像部4に供給する。
【0142】
また、装置本体からトナー収納容器15を離脱させたときに、装置本体内に設けられた上記したシャッタ変位部材が、図20および図21に示すように、トナー収納容器15の支持部材32に設けられたシャッタ部材58のシャッタ部58aをスライドさせる。装置本体にトナー収納容器15を装着されている状態では、シャッタ部材58は開状態となっているので、トナー収納容器15を離脱する場合には、シャッタ部材58が開状態から閉状態となるように、上記シャッタ変位部材がシャッタ部58aをスライドさせる。つまり、図21に示すように、トナー供給部50の導通口20をシャッタ部58aが覆うように、シャッタ部58aがスライドする。
【0143】
上記シャッタ部材58がトナー供給部50を閉状態とするために、シャッタ部58aをスライドさせる場合、トナー供給部50の導通口20付近にトナーが滞留していると、シャッタ部58aのスライドにより、導通口20とトナーホッパ19の図示しないトナー搬入口との間に、トナーがこぼれ落ちることがある。しかしながら、トナー供給部50には、トナーブロッキング部材26が設けられているので、上記したように、該トナーブロッキング部材26によってトナーホッパ19側にトナーを押し出されるので、導通口20付近にトナーが滞留することはない。それゆえ、シャッタ部材58が、トナー供給部50を閉状態とするように動作した場合にも、導通口20からトナーがこぼれ落ちることはない。従って、装置本体の機内にて、導通口20からこぼれ出たトナーの機内飛散を防止することができる。
【0144】
また、上記シャッタ部材58が閉状態となる場合には、トナー供給部50の上記スクレーパ27に取付けられたトナーブロッキング部材26を、トナー供給部50内に収容するように、シャッタ部58aがスライドする。これにより、例えば、トナーブロッキング部材26によって押し出されずに、トナー供給部50内の、トナーブロッキング部材26とスクレーパ27との間にトナーが滞留していたとしても、該トナーをトナー排出シート35(図12(a))側に押し戻すことができる。従って、シャッタ部58aのスライドによって、トナー供給部50の導通口20からトナーがこぼれ落ちることを、より確実に防止することができる。
【0145】
さらに、上記トナーブロッキング部材26は、弾性材料にて形成されているため、形状のフレキシブル性を有している。従って、シャッタ部58aのスライドにより、シャッタ部58aとトナーブロッキング部材26とが接触しても、トナーブロッキング部材26は、容易に変形して、トナー供給部50内に押し込まれる。それゆえ、シャッタ部58aのスライドに際して、トナーブロッキング部材26をトナー供給部50に格納をスムーズに行って、シャッタ部材58を閉状態とすることができる。
【0146】
なお、ここでは、図15(a)に示すように、立て壁33a・33bに両端が固定されて、略コの字型を有するトナーブロッキング部材26(図19)を用いているが、トナーブロッキング部材の形状はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、上記立て壁33a・33bのそれぞれに、T字型又はL字型等の弾性を有するトナーブロッキング部材を取付けた場合にも、トナー供給部50のトナー搬送路17上に滞留するトナーを、導通口20に向けて押し出すことができる。
【0147】
また、ここでで、トナーブロッキング部材をスクレーパ27に取付けているが、例えば、トナー供給部50内部に取付けるようにしてもよい。この場合にも、スクレーパ27の、トナー搬送路17上に配置されるトナー排出シート35の先端部分の動きに合わせて、トナーブロッキング部材がトナー搬送路17上に滞留するトナーを押し出すことができるようにすることが好ましい。すなわち、例えば、トナー供給部50内部にて、トナー排出シート35の先端部分が押し当てられることによって開閉可能なドア状に、トナーブロッキング部材を設ければよい。これにより、スクレーパ27が回転容器31の凹部形成部31dを摺動する際のスクレーパ27の動きに連動して、トナーブロッキング部材が導通口20方向に開くことになり、トナー搬送路17上に滞留するトナーを押し出すことができる。
【0148】
これまでの説明に用いた図面には示していなかったが、トナー収納容器15は、画像形成装置本体との間で非接触方式(無線方式)での情報の通信(データの送受信)が可能な非接触通信ICタグ(無線通信素子)を備えている。また、図示していないが、画像形成装置本体には、非接触通信ICタグと非接触方式で情報を通信する非接触型リーダー/ライター装置(通信手段)が設けられている。
【0149】
ここで、本実施形態において、無線方式のICタグを用いている理由について説明する。トナー収納容器15等のカートリッジ上のICチップと画像形成装置本体との間で情報通信を行う方式としては、無線方式のICタグを用いる方式の他に、ICチップとそれに接続された接点とをカートリッジに用意し、画像形成装置本体に設けた接点とカートリッジの接点とを電気的に接続してとカートリッジとの間で情報のやりとりをする接点方式も考えられる。しかしながら、トナー収納容器15等のような回転式のトナーボトルにICチップを設ける場合には、そのような接点方式の実現は難しい。すなわち、接点方式では、画像形成装置本体の1つの接点に対してカートリッジの接点がぴったり位置が合わなければ、接触不良が起こったり、カートリッジの接点が画像形成装置本体の他の接点と電気的に接続してショートが起こったりする。固定されているトナーボトルであれば、接触不良やショートが起こらないように接点同士の位置合わせの精度を高めることは比較的用意であるが、トナー収納容器15等のような回転式のトナーボトルの場合、特に回転容器31等のような回転体にICチップが付けられているトナーボトルの場合、固定されているトナーボトルの場合と比較して接点同士の位置決め精度が悪くなる。そのため、無線方式のICタグを使用する方式は、回転式のトナーボトルに特に利点がある。回転式のトナーボトルに無線方式のICタグを取り付ければ、接点方式のようにトナーボトルの角度や位置を制御しなくても情報通信が可能となる。以上のことから、本実施形態では、無線方式のICタグを用いている。
【0150】
非接触通信ICタグと画像形成装置本体との間で通信される情報としては、例えば、回転容器31内部に収納されているトナーの残量や種類等のような、トナーにかかわる情報;トナー収納容器15自体の種類;現像部4における現像条件;トナー収納容器15に対応した画像形成装置本体の種類等に関する情報が挙げられる。上記情報は、画像形成装置本体で得られる情報、例えば画像形成装置本体内のトナー残量検出器から得られるトナー残量情報である場合には、画像形成装置本体から非接触通信ICタグへ送信するようにすればよい。一方、上記情報が、画像形成装置本体で得られる情報でない場合、例えばトナー収納容器15自体の種類に関する情報である場合には、トナー収納容器15の製造時に非接触通信ICタグへ記憶させておけばよい。非接触通信ICタグは、上記情報を記憶すると共に画像形成装置本体へ送信することができるようになっていることが好ましい。
【0151】
トナー収納容器15に非接触通信ICタグを設けることで、種々の利益が得られる。すなわち、例えば、非接触通信ICタグが、図示しない回転容器31内部のトナー残量を検出する検出器からトナー残量の情報を受け取り、記憶し、画像形成装置本体へ送信することができるようになっている場合、回転容器31内部のトナー残量を回転容器31ごとに管理できる。すなわち、画像形成装置本体側にトナー収納容器15内のトナー残量に関する情報がない場合、例えば他の画像形成装置本体に装着していた使いかけのトナー収納容器15を外して対象の画像形成装置本体に付け替えた場合であっても、画像形成装置本体が非接触通信ICタグからトナー収納容器15内のトナー残量に関する情報を取得することができる。これに対し、トナー収納容器15内のトナー残量を画像形成装置本体のみで計数および管理している場合には、使いかけのトナー収納容器15を取り付けた場合、画像形成装置本体がトナー残量に関する情報を取得することができない。
【0152】
また、非接触通信ICタグと画像形成装置本体との間で現像部4の現像条件に関するデータをやりとりできるようにしておき、現像部4が非接触通信ICタグから取得したデータに基づいて現像条件を変更するようにしておけば、現像部4に直接手を加えることなく現像条件を変更することが可能となる。したがって、例えば、現像剤の変更に伴って現像条件の変更が必要になった場合や、画像形成装置本体の設置後に現像条件の改良を行いたいという要望が生じた場合に、サービスマンがいちいち画像形成装置の設置場所へ出向いて現像部4に手を加えなくとも、現像条件を変更できる。
【0153】
また、本実施形態の画像形成装置本体を、互いに異なる色(例えば、YMCK4色)のトナーを収納した複数のトナー収納容器15を取り付けられるように変更し、トナー収納容器15内に収納されているトナーの色に関する情報をそのトナー収納容器15の非接触通信ICタグに記憶させた場合、同一の形状を持つ複数のトナー収納容器15に各々異なる色のトナーを詰めても、ユーザの誤装着によるトラブルを防止できる。すなわち、各色用のトナー収納容器15が同じ形状である場合、ユーザが、ある色のトナーを詰めたトナー収納容器15を他の色のトナーを詰めたトナー収納容器15を取り付けるべき位置に誤まって装着してしまう可能性がある。しかしながら、トナーの色に関する情報をトナー収納容器15の非接触通信ICタグに記憶させておけば、その情報に基づいて画像形成装置本体がトナー収納容器15に収納されているトナーが正しい色のトナーであるかを判別し、正しい色のトナーでない場合にはトナー収納容器15が誤装着されていることをユーザに報知することが可能になる。したがって、トナー収納容器15を誤装着したまま画像形成装置を使用することが防止できる。これに対し、トナーの色に関する情報をトナー収納容器15の非接触通信ICタグに記憶させていなければ、ユーザが誤装着してもそれに気付かず、特定の色用の現像部にその色と異なる色のトナーを補給してしまうというトラブルが発生してしまう。このようなトラブルは、収納されるトナーの色毎にトナー収納容器15を違う形状にする等の工夫を施すことで解決できる。しかしながら、収納されるトナーの色毎にトナー収納容器15を違う形状にする等の工夫を施すには、各色のトナー収納容器15ごとに個別に製造装置(金型等)を用意する必要があり、製造コストや製造効率が低下する。
【0154】
同様に、トナー収納容器15に対応する画像形成装置本体の種類をそのトナー収納容器15の非接触通信ICタグに記憶させた場合、トナー収納容器15に対応していない画像形成装置本体に対して誤ってトナー収納容器15を装着した場合に、トナー収納容器15が誤装着されていることをユーザに報知することが可能になる。したがって、トナー収納容器15を誤装着したまま画像形成装置を使用することが防止できる。
【0155】
本実施形態に係る発明は、上記非接触通信ICタグの一部(ICチップおよび/または基板)が、何らかの部材に付着したトナーを掻き取る機能、トナーを搬送する機能、トナーを撹拌する機能、トナーの残量を検出する機能、および容器本体の回転位置(角度)を検出する機能などの現像剤補給関連機能を兼ね備えていることを特徴としている。
【0156】
以下、非接触通信ICタグの一部が、スクレイパー(かき取り部材)およびシール部材としての機能を兼ね備える場合を例に挙げて詳細に説明する。
【0157】
図1は、トナー収納容器15の第3容器部31aを、非接触通信ICタグを含めて示す斜視図である。図25は、第3容器部31aにおける非接触通信ICタグが設けられた部分を拡大して示す断面図である。図26は、非接触通信ICタグの平面図である。
【0158】
図1に示すように、非接触通信ICタグ143は、回転容器31の外側表面上に配置されている。より詳細には、非接触通信ICタグ143は、回転容器31の第1凹部41におけるトナー排出口23から遠い側の端部上に配置されている。非接触通信ICタグ143は、アンテナ(無線通信素子)183と、ICチップ(無線通信素子、回路)184と、基板(ベースフィルム)181とを備えている。基板181の一部は、第1凹部41上から突出した突出部181aとなっている。
【0159】
非接触通信ICタグ143の基板181の突出部181aは、回転容器31が回転駆動された時に、図25に示すように、支持部材32の内面上を摺動する。したがって、突出部181aは、支持部材32の内面に付着したトナーをかき取るスクレイパーとして機能する。さらに、非接触通信ICタグ143の基板181の突出部181aは、図25に示すように、回転容器31の凹部形成部31dにおいて、第1凹部41に対して、第1凹部41以外の部分と支持部材32との隙間を封止している。したがって、突出部181aは、トナー排出口23から第1凹部41内に排出されたトナーが回転容器31の凹部形成部31dにおける第1凹部41以外の部分と支持部材32との隙間に入り込むことを阻止するためのシール部材としても機能する。
【0160】
非接触通信ICタグ143は、図25および図26に示すように、基板181と、基板181に金属薄膜をループ状に数回巻いて形成されたアンテナ(アンテナコイル)183と、基板181上に固定されたICチップ184とを備えている。また、アンテナ183とICチップ184とは電気的に接続され、これらが絶縁層185で覆われている。この場合、無線通信素子は、中央に配置されたICチップ184と、通信用のアンテナ183とから構成されている。非接触通信ICタグ143は、図25に示すように、回転容器31表面に対して接着剤286を介して接着されている。
【0161】
この場合、支持部材32は、絶縁層185より外側に配置されて、上記無線通信素子を保護する保護部材として機能する。
【0162】
ここで、非接触通信ICタグ143は、装置本体内に搭載されるトナー収納容器15に設置されている。そして、前述のように、トナー収納容器15は、画像形成装置本体に対して、着脱可能である。
【0163】
基板181は、弾性を有し、柔軟性に富んだ樹脂である、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂によって形成されていることが好ましく、特に弾性および柔軟性に優れていることから、ポリエチレンテレフタレートからなる基板(マイラー(商標)フィルム等)であることが好ましい。基板181は、一般的なICタグに使用されているポリイミド樹脂からなってもよい。
【0164】
また、基板181の厚さは、50μm以上250μm以下であることが好ましい。基板181の厚さが50μmよりも薄いと、摺擦磨耗などに対しての機械的強度不足となってしまう恐れがある。基板181の厚さが250μmを越えると、必要以上の剛性となり柔軟性が不足して、非接触通信ICタグ143を接着固定する際に接着不良を起こす恐れがある。
【0165】
絶縁層185は、例えばDOP(ジ2−エチルヘキシルフタレート)やn−DDP(ジノルマルデシルフタレート)などの可塑剤を含まない樹脂で構成されていることが好ましい。すなわち、絶縁層185は、可塑剤非含有樹脂から構成されていることが好ましい。より具体的には、絶縁層185は、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、およびポリカーボネート系樹脂の群から選ばれる少なくとも1つの樹脂または2種以上の混合物からなる混合樹脂のような、熱可塑性樹脂から構成されていることが好ましい。
【0166】
基板181の突出部181a(スクレーパ)によって支持部材31の内面から剥離されたトナーの一部は、トナー収納容器15内を浮遊して、絶縁層185表面に接触する。絶縁層185が、DOPやn−DDPなどの可塑剤を含む樹脂(ポリ塩化ビニル樹脂など)から形成されている場合、絶縁層185に含まれる可塑剤とトナーの結着樹脂との親和性が高いために、絶縁層185がトナーに汚染されて絶縁層185を形成する可塑剤を含む樹脂とトナーの結着樹脂とが接触した時に、トナー結着樹脂が絶縁層185へ移行し易い。そのため、トナーの結着樹脂が、絶縁層185に含まれる可塑剤を介して、絶縁層185に融着して、絶縁層185上にトナーの層が形成される場合がある。このように、非接触通信ICタグ143の絶縁層185が、絶縁性樹脂であるトナーに覆われれば、画像形成装置本体に非接触通信ICタグ143の情報を読み出し・書き込みを行う非接触型リーダー/ライター装置と、非接触通信ICタグ143との通信に支障をきたす恐れがある。特に、磁性体を含む磁性トナーの場合、その磁性体によって、非接触通信ICタグ143のアンテナ183を磁気シールしてしまう。その結果、非接触通信ICタグ143の電磁誘導が阻害され、電力供給ができなくなったり、非接触通信ICタグ143から送信される通信波が阻害されてしまう恐れがある。このように、絶縁層185に可塑剤が含まれていると、非接触通信ICタグ143と、装置本体側の非接触型リーダー/ライター装置との通信が不安定となる恐れがある。
【0167】
これに対し、非接触通信ICタグ143の絶縁層185には可塑剤が含まれていない場合、たとえ絶縁層185に絶縁性樹脂であるトナーが付着しても、絶縁層にトナーの結着樹脂が融着しない。さらに、絶縁層185の表面に、トナーの層(トナーの皮膜)も形成されない。このため、トナーの層によって、非接触通信ICタグ143と装置本体側の非接触型リーダー/ライター装置との非接触通信に支障をきたす恐れがないため、安定した良好な非接触通信が可能となる。従って、非接触通信ICタグ143の情報の読み出し・書き込みを正確に行うことができる。
【0168】
また、絶縁層185は、接着不良を起こしたり絶縁不良を起こしたりすることを防止するために、表面上にトナーが長時間付着していても表面が変質しない材料、例えば、ポリエステル樹脂や無機絶縁層等からなることが好ましい。
【0169】
また、非接触通信ICタグ143と、装置本体側の非接触型リーダー/ライター装置との間隔は、互いに接触しない範囲で、70mm以下であることが好ましい。これにより、周囲のカートリッジなどとの混信を防止することが可能となる。なお、この間隔が、70mmを越えると、周囲にあるカートリッジなどのICタグと混信する虞がある。
【0170】
以上のように、本実施形態に係るトナー収納容器15では、非接触通信ICタグ143の基板181の突出部181aが、かき取り部材としての機能を有している。これにより、回転容器31が回転駆動された時に、突出部181aが、支持部材32の内面を摺動して、支持部材32の内面に付着したトナーをかき取ってほぐすことができる。これにより、第1凹部41内に搬送されたトナーを、第1凹部41内に滞留させることなく、効率的にトナー供給部50から外部へ送り出すことができる。また、基板181がかき取り部材を兼ねているので、かき取り部材を非接触通信ICタグ143とは別に設ける必要がない。したがって、部品点数および製造工程数を削減できる。
【0171】
また、本実施形態に係るトナー収納容器15では、非接触通信ICタグ143の基板181の突出部181aが、シール部材としての機能を有している。これにより、突出部181aによって、トナー排出口23から第1凹部41内に排出されたトナーが凹部形成部31dにおける第1凹部41以外の部分と支持部材32との隙間に入り込むことを阻止することができる。したがって、支持部材32の内面に付着した現像剤によって、回転容器31の回転が妨げられるという問題を回避できる。また、上記構成によれば、基板181がシール部材を兼ねているので、シール部材を非接触通信ICタグ143と別に設ける必要がない。したがって、部品点数および製造工程数を削減できる。
【0172】
ところで、前述の説明では、1つの非接触通信ICタグ143がトナー収納容器15に備えられていた。しかし、非接触通信ICタグ143に加えて、現像部4、帯電部2、転写装置5など、画像形成装置内の他の部分に、非接触通信ICタグを設けてもよい。これにより、各部の各種情報(例えば、種類、動作回数、複写回数、不具合の回数)を管理し、その情報を累積することによって、各ユニットの交換時期を知らせることが可能となる。
【0173】
次に、図27および図28に基づいて、複数の非接触通信ICタグを備えた画像形成装置における、非接触通信システムについて説明する。図27は、この非接触通信システム全体を示すブロック図であり、図28は、図27の非接触通信システムをさらに詳細に示したブロック図である。すなわち、これらの図は、非接触通信ICタグ143のより詳細な構成、および、装置本体側に固定され、非接触通信ICタグ143と非接触方式で通信する非接触型リーダー/ライター装置174の構成を示すブロック図である。なお、非接触型リーダー/ライター装置174は、非接触通信ICタグ143のように画像形成装置本体に対して着脱可能ではなく、画像形成装置本体に固定されているため、本体側通信装置とする。
【0174】
図27および図28では、3つの非接触通信ICタグ143・153・163が、装置本体側通信装置である非接触型リーダー/ライター装置174と非接触方式で、データや電力をやり取りするようになっている。また、3つの非接触通信ICタグ143・153・163が、それぞれ、異なるユニットに設けられている。
【0175】
図27に示すように、装置本体側の構成は、本体側の通信装置として、装置本体側の読みとり/書き込み装置である非接触型リーダー/ライター装置174と、アンテナ175とからなっている。そして、図27の構成では、装置本体側に搭載された着脱可能なカートリッジであるトナー収納容器15と、装置本体側に搭載された着脱可能な2つのカートリッジ(例えば、現像部4、帯電部2、および転写装置5のうちの2つを着脱可能なカートリッジとしたもの)とに、非接触通信ICタグ143、153、163が搭載されている。
【0176】
図27及び図28に示すように、装置本体側の非接触型リーダー/ライター装置174は、その全体制御を行なう制御回路176と、装置本体内の装置本体制御回路201とのデータの入出力を制御するインターフェイス部177と、送信信号をパラレル信号からシリアル信号に変換した後伝送用の所定の信号に変調して送受信兼用アンテナ175に送る送信回路178と、送受信兼用アンテナ175で受けた受信信号を伝送用の所定の信号から復調した後シリアル信号からパラレル信号に変換して制御回路176に送る受信回路179と、これら各回路に電源を供給する電源回路180と、送受信兼用のアンテナ175とから構成されている。そして、非接触型リーダー/ライター装置174の制御回路176、及び装置本体制御回路201の両方を含んで装置本体側の制御部が構成されている。いずれの制御回路176,201もCPU、ROM、RAMなどのハードウエアを集積したICあるいはLSIなどにより構成されている。
【0177】
装置本体側の制御部では、各種センサ及びスイッチ、並びにカートリッジ側からの情報を読み込み演算処理し、カートリッジ側の非接触通信ICタグ143,153,163、装置本体の電子写真プロセス部(画像形成部)、及び表示部203並びに警告部204に対して所定動作を実行するようになっている。
【0178】
一方、非接触通信ICタグ143,153,163は、その全体の制御を行なう制御回路211と、カートリッジの認識番号などのデータを記憶するEEPROMまたは強誘電体メモリなどの不揮発性メモリ212と、送信信号をパラレル信号からシリアル信号に変換した後伝送用の所定の信号に変調して送受信兼用アンテナ213に送る送信回路214と、送受信兼用アンテナ213で受けた受信信号を伝送用の所定の信号から復調した後シリアル信号からパラレル信号に変換して制御回路211に送る受信回路215と、通信用の電波を整流して電力を供給する電源回路216と、送受信兼用アンテナ213とから構成されている。
【0179】
特に、不揮発性メモリ212として強誘電体メモリを使用すれば、書き換え回数の上限が1010〜1012であり、EEPROMを使用する場合に比べてリサイクル回数を格段に増やすことができる。
【0180】
不揮発性メモリ212の中には、例えば、露光量、帯電量、現像バイアスなどの像形成条件、カートリッジのロット、製造日、種類、保存期間、認識番号、リサイクル回数、リサイクル回数の上限、カートリッジの構成部品の交換時期(リサイクル回数で換算)、トナーのロット、製造日、充填量、種類、保存期間、リサイクル回数、リサイクル回数の上限、リサイクル回数などの、各種管理情報により換算したカートリッジの構成部品の交換時期、カートリッジを装着した画像形成装置の動作可否などの情報を記億させる。そして、不揮発性メモリ212の情報を、非接触通信ICタグ143,153,163の各アンテナ183と、装置本体側のアンテナ175とによって、非接触方式で読み取る。
【0181】
このように、この非接触通信ICタグ143,153,163は、バッテリーは搭載されておらず、該非接触通信ICタグ143のアンテナ183から、画像形成装置本体側の非接触型リーダー/ライター装置174が備えるコイル状のアンテナ175を介して、電磁界結合され電力供給を受ける。
【0182】
また、非接触通信ICタグ143は、ICチップ(回路)184(図26参照)を有するカードである。非接触通信ICタグ143は、非接触通信ICタグ143側と、画像形成装置本体側とに設けられた各アンテナを介して、電磁波により、互いの端子を接触させることなく(外部端子を有さず)データの送受信を行うものである。非接触通信ICタグ143は、アンテナ183を備えているため、外部端子を備えていなくても、画像形成装置本体側の非接触型リーダー/ライター装置174からの電波を、アンテナ183で受信し、電力に変換可能である。このため、非接触通信ICタグ143には、通常、電池は内蔵されていないバッテリーレスである。
【0183】
このような非接触通信ICタグ143は、接触型と比較して、(1)外部端子の磨耗や汚れによるICチップの劣化がない;(2)本体側の非接触型リーダー/ライター装置174の磨耗や汚れに対するメンテナンスが要らない;(3)水や埃などの環境の影響を受けにくいなどのメリットがある。
【0184】
なお、装置本体側の制御部(制御回路176及び装置本体制御回路201)では、例えば、以下の動作を実行するようにすることができる。
【0185】
a)装置本体側の制御部は、各非接触通信ICタグ143,153,163側に個別の情報のやり取りができるようになっている。すなわち、この制御部は、各非接触通信ICタグ143,153,163の各不揮発性メモリ212内の情報を読み取るために応答要求信号を発信する機能と、非接触通信ICタグ143,153,163からのパスワードなどの応答信号を受信・解読できる機能とを有している。さらに、この制御部は、各非接触通信ICタグ143,153,163との通信の順序を決め、1番目の非接触通信ICタグ143から順番に情報の送受信を行い得る。
【0186】
b)装置本体側の制御部は、非接触通信ICタグ143,153,163が保有する、用紙(転写材)への記録動作回数などに換算したカートリッジの寿命情報を読み出し、同じく非接触通信ICタグ143,153,163が保有する実際の用紙(転写材)への記録動作回数などを読み出し、両者を比較してカートリッジが寿命に近付いたと判断したときに、表示部203及び警告部204にカートリッジを交換するよう表示・警告するようになっている。
【0187】
c)装置本体側の制御部では、カートリッジの非接触通信ICタグ143,153,163が保有する、用紙(転写材)への記録動作回数などに換算したカートリッジの寿命情報を読み出し、同じく非接触通信ICタグ143,153,163が保有する実際の用紙(転写材)への記録動作回数などとを比較して上記カートリッジが寿命に達したときに、表示部203及び警告部204に、その表示・警告をすると共に、電子写真プロセス部(画像形成部)に対して画像形成動作を禁止する信号を出力するようになっている。
【0188】
d)装置本体側の制御部は、カートリッジの非接触通信ICタグ143,153,163が保有するカートリッジ情報を読み出し、適正カートリッジか否かを判断すると共に、その適否を表示するよう表示部203を制御するようになっている。
【0189】
e)装置本体側の制御部は、装着検知部205からの誤装着信号を受けたとき、誤装着であることを表示・警告するよう表示部203及び警告部204を制御するようになっている。装着検知部205は、不適合品あるいは適合品に拘わらず、装置本体にカートリッジをセットする際の取り付け状態が間違っていないか否か、暫定装着状態か否か、あるいは完全装着状態か否かを判断するために、例えば、取り付け方向が正しいか、取り付け場所が適切か、取り付けた後にロックしているか否かを電磁リレーなどの各種センサ、スイッチからの信号に基づいて判断するものであり、この装着検知部205は、これら各種センサ、スイッチ類から構成されている。
【0190】
f)装置本体側の制御部は、画像形成動作によりカートリッジの使用が開始されたら、非接触通信ICタグ143,153,163に「使用済み」情報を書き込むようになっている。また、この制御部は、カートリッジの非接触通信ICタグ143,153,163が保有するリサイクル回数情報を読み出し、使用済みか否かを判断すると共に、使用済みの場合にその旨を表示するよう表示部203を制御するようになっている。
【0191】
g)装置本体側の制御部は、カートリッジに送受信可能な非接触通信ICタグ143,153,163を備えておらず、その情報が読み出せない場合、あるいは読み出した情報から現像カートリッジが不適合と判断した場合でも、使用者側で操作される続行指令信号に従って、自己が保有する画像形成条件を読み出し、所定の画像形成条件で装置本体の電子写真プロセス部(画像形成部)を制御し、また、カートリッジが適合と判断した場合に、非接触通信ICタグ143,153,163が保有する画像形成条件に従って最適な条件で電子写真プロセス部(画像形成部)を制御するようになっている。
【0192】
ここで、所定の画像形成条件とは、正規の画像形成条件よりもレベルダウンした画像形成条件をいい、コピー画質などを、通常レベルよりも低下させることをいう。これにより、ユーザーに不適合であることを認識させ、パイレーツ品(海賊品、偽造品、正規品でない互換品などをいう)の使用を防止できることになる。
【0193】
具体的には、トナー消費量が正規の基準値よりもはるかに多く消費される画像形成条件とする。そのための手段としては、帯電電位を通常の設定値よりも高く設定する、あるいは露光手段としての光量を少なくしてコピー全体の明るさを暗めに設定し、トナー消費を多くする。また、別の手段として、定着温度制御を所定の条件にレベルダウンさせ、転写材へのトナーの定着性を悪くするようにする。また、最適な画像形成条件とは、正規の画像形成条件であって、装置本体を動作させる上でコピー品質を低下させることなく問題が生じない画質形成条件をいう。
【0194】
なお、以上の説明では、非接触通信ICタグ143が回転容器31の第1凹部41の底壁部41bに設けられ、非接触通信ICタグ143の基板181が、支持部材32の内面上に付着したトナーを掻き取るスクレイパーとして機能し、かつ、回転容器31の凹部形成部31dにおける第1凹部41以外の部分と支持部材32との隙間にトナーが入り込むことを阻止するためのシール部材として機能していた。しかしながら、非接触通信ICタグ143を他の位置に設けたり、基板181をスクレイパーおよびシール部材の一方のみとして機能させたり、基板181にスクレイパーやシール部材とは異なる現像剤補給関連機能を持たせたりしてもよい。
【0195】
例えば、前述したトナーブロッキング部材をトナー供給部(現像剤供給口)50に設けた構成のトナー収納容器15において、トナーブロッキング部材を非接触通信ICタグ143の基板181として使用し、トナーブロッキング部材(基板181)上にアンテナ183およびICチップ184を設けてもよい。すなわち、本発明に係るトナー収納容器15は、非接触通信ICタグ143の基板181が、トナー供給部50に設けられ、回転容器31の回転時に回転容器31の第1凹部41を摺動することによって第1凹部41内のトナーをかき出すトナーブロッキング部材を兼ねている構成であってもよい。
【0196】
〔実施の形態2〕
実施の形態1では、容器本体が回転駆動されるタイプの着脱可能なトナー収納容器について説明した。しかしながら、本発明は、容器本体が回転駆動されず固定されているタイプの着脱可能なトナー収納容器にも適用可能である。
【0197】
本発明の他の実施の形態として、容器本体が回転駆動されず固定されているタイプの着脱可能なトナー収納容器について、図29ないし図34に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0198】
本実施形態に係る画像形成装置について、図29に基づいて説明する。図29は、本実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す説明図である。
【0199】
本実施形態に係る画像形成装置300は、外部から伝達された画像データに応じて、所定のシート(記録用紙)に対して多色および単色の画像を形成するものである。そして、図示すように、露光ユニット301、現像器302a・302b・302c・302d(以下、これら4つをまとめて「現像器302」と称する)、感光体ドラム303a・303b・303c・303d(以下、これら4つをまとめて「感光体ドラム303」と称する)、帯電器305a・305b・305c・305d(以下、これら4つをまとめて「帯電器305」と記す)、クリーナユニット304a・304b・304c・304d(以下、これら4つをまとめて「クリーナユニット304」と記す)、中間転写ベルトユニット308、定着ユニット312、用紙搬送路S、給紙カセット310、手差しトレイ320、排紙トレイ315等より構成されている。
【0200】
本画像形成装置300において、扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。従って、現像器302、感光体ドラム303、帯電器305、クリーナユニット304は、各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられており、これらにより4つの画像ステーションが構成されている。すなわち、現像器302a、感光体ドラム303a、帯電器305a、およびクリーナユニット304aによって、ブラックの潜像を形成する画像ステーションが構成されている。現像器302b、感光体ドラム303b、帯電器305b、およびクリーナユニット304bによって、シアンの潜像を形成する画像ステーションが構成されている。現像器302c、感光体ドラム303c、帯電器305c、およびクリーナユニット304cによって、マゼンタの潜像を形成する画像ステーションが構成されている。現像器302d、感光体ドラム303d、帯電器305d、およびクリーナユニット304dによって、イエローの潜像を形成する画像ステーションが構成されている。
【0201】
感光体ドラム303は、本画像形成装置の上部に配置(装着)されている。
【0202】
帯電器305は、感光体ドラム303の表面を所定の電位に均一に帯電させるための、帯電手段である。この場合、帯電器305は、図29に示すように、接触型帯電器の一種であるローラ型帯電器である。なお、このローラ型帯電器に代えて、ブラシ型帯電器等のような他の接触型帯電器、あるいは非接触型の帯電器(コロナ帯電器等)を用いてもよい。
【0203】
露光ユニット301は、帯電された感光体ドラム303を入力された画像データに応じて露光することにより、感光体ドラム303の表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有するものである。この場合、露光ユニット301は、図1に示すように、レーザ照射部および反射ミラーを備えた、レーザスキャニングユニット(LSU)である。なお、露光ユニット301として、レーザスキャニングユニットに代えて、発光素子をアレイ状に並べた発光素子アレイ、例えばEL(Electroluminescence)素子アレイやLED(発光ダイオード)アレイ等を用いた書込みヘッドを用いてもよい。
【0204】
現像器302は、感光体ドラム303a・303b・303c・303dのそれぞれの上に形成された静電潜像(K、C、M、Yの静電潜像)をトナーにより顕像化するものである。クリーナユニット304は、現像・画像転写後における感光体ドラム303上の表面に残留したトナーを、除去・回収するものである。
【0205】
感光体ドラム303の上方に配置されている中間転写ベルトユニット308は、中間転写ベルト307、中間転写ベルト駆動ローラ371、中間転写ベルトテンション機構373、中間転写ベルト従動ローラ372、中間転写ローラ306a・306b・306c・306d(以下、これら4つをまとめて「中間転写ローラ306」と記す)、および中間転写ベルトクリーニングユニット309を備えている。中間転写ベルト駆動ローラ371、中間転写ベルトテンション機構373、中間転写ローラ306、および中間転写ベルト従動ローラ372は、中間転写ベルト307を張架し、矢印B方向に回転駆動させるものである。
【0206】
中間転写ローラ306は、中間転写ベルトユニット308の中間転写ベルトテンション機構373の中間転写ローラ取付部に回転可能に支持されており、感光体ドラム303上のトナー像を、中間転写ベルト307上に転写するための転写バイアスを与えるものである。
【0207】
中間転写ベルト307は、それぞれの感光体ドラム303に接触するように設けられている、そして、感光体ドラム303に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト307に順次的に重ねて転写することによって、中間転写ベルト307上にカラーのトナー像(多色トナー像)を形成する機能を有している。この中間転写ベルト307は、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
【0208】
感光体ドラム303から中間転写ベルト307へのトナー像の転写は、中間転写ベルト307の裏側に接触している中間転写ローラ306によって行われる。中間転写ローラ306には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ306は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面は、導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により覆われているローラである。中間転写ローラ306は、この導電性の弾性材により、中間転写ベルト307に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施形態では、中間転写ベルト307に対して転写バイアスを印加するための転写電極としてローラ形状の電極(中間転写ローラ306)を使用しているが、それ以外にブラシなども転写電極として用いることが可能である。
【0209】
上述の様に、各感光体ドラム303上で各色相に応じた顕像化された静電潜像(トナー像)は、中間転写ベルト307上で積層され、装置に入力された画像情報に対応したトナー像となる。このように積層されたトナー像は、中間転写ベルト307の回転によって、後述のシート(用紙)と中間転写ベルト307との接触位置に配置される転写ローラ311によってシート上に転写される。
【0210】
この時、中間転写ベルト307と転写ローラ311とが所定ニップで圧接されると共に、転写ローラ311にはトナーをシート上に転写させるための電圧(トナーの帯電極性とは逆極性の高電圧;トナーの帯電極性が負(−)である場合には正(+)の高電圧)が印加される。さらに、転写ローラ311は上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ311および前記中間転写ベルト駆動ローラ371のうち、何れか一方を硬質材料(金属等)からなるローラとし、他方を軟質材料からなるローラ(例えば、弾性ゴムローラや発泡性樹脂ローラ等のような弾性ローラ)とする。
【0211】
また、上記のように、感光体ドラム303との接触により中間転写ベルト307に付着したトナー、若しくは、転写ローラ311によって用紙上に転写が行われず中間転写ベルト307上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット309によって除去・回収されるように設定されている。中間転写ベルトクリーニングユニット309には、中間転写ベルト307に接触するクリーニング部材が備えられており、クリーニング部材が接触する中間転写ベルト307は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ372で支持されている。クリーニング部材としては、例えばクリーニングブレードが用いられる。
【0212】
給紙カセット310は、画像形成に使用するシート(記録用紙)を蓄積しておくためのカセットであり、本画像形成装置300の画像形成部および露光ユニット301の下側に設けられている。手差しトレイ320は、画像形成に使用するシート(記録用紙)を載置するためのトレイである。また、本画像形成装置300の上部に設けられている排紙トレイ315は、印刷済みのシートをフェイスダウンで載置するためのトレイである。
【0213】
また、本画像形成装置300には、給紙カセット310あるいは手差しトレイ320の上に存在するシートを転写ローラ311や定着ユニット312を経由させて排紙トレイ315に送るための、略垂直形状の用紙搬送路Sが設けられている。さらに、給紙カセット310および手差しトレイ320から排紙トレイ315までの用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ316−1・316−2、レジストローラ314、転写ローラ311、定着ユニット312、シートを搬送する搬送ローラ325−1〜325−8等が配されている。
【0214】
搬送ローラ325−1〜325−8は、シートの搬送を促進・補助するための、小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。ピックアップローラ316−1は、給紙カセット310の端部に備えられ、給紙カセット310から、シートを1枚毎に用紙搬送路Sに供給する呼び込みローラである。ピックアップローラ316−2は、手差しトレイ320の端部に備えられ、手差しトレイ320から、シートを1枚毎に用紙搬送路Sに供給する呼び込みローラである。
【0215】
また、レジストローラ314は、用紙搬送路Sを搬送されているシートをいったん保持するものである。そして、感光体ドラム303上のトナー像の先端とシートの先端を合わせるタイミングでシートを転写部に搬送する機能を有している。
【0216】
定着ユニット312は、ヒートローラ331、加圧ローラ332等を備えており、ヒートローラ331および加圧ローラ332は、シートを挟んで回転するようになっている。また、ヒートローラ331は、図示しない温度検出器からの信号に基づいて制御部によって所定の定着温度となるように設定されており、加圧ローラ332とともにシートを熱圧着することにより、シートに転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接し、シートに対して熱定着させる機能を有している。
【0217】
なお、多色トナー像の定着後のシートは、搬送ローラ325−1〜325−8によって用紙搬送路Sの反転排紙経路に搬送され、反転された状態で(多色トナー像を下側に向けて)、排紙トレイ315上に排出されるようになっている。
【0218】
次に、用紙搬送路Sを詳細に説明する。本画像形成装置には予めシートを収納する給紙カセット310が配置されると共に、ユーザが少数枚の印字を行う時に前記給紙カセット310の開閉動作を行わなくても良い手差しトレイ320が配置されている。両給紙方法の各々に対応してピックアップローラ316−1・316−2が配置され、これらがシートを1枚ずつ搬送路に導くようになっている。
【0219】
給紙カセット310に蓄積されたシートに対して片面印字を行うことが要求された時には、シートは、給紙カセット310から、用紙搬送路S中の搬送ローラ325−1によってレジストローラ314まで搬送され、さらに、シートの先端と中間転写ベルト307上の画像情報の先端とを整合するタイミングで転写ローラ311に搬送される。そして、転写ローラ311にてシート上にトナー像が書き込まれる。その後、シートは、定着ユニット312を通過する事によってシート上の未定着トナーが熱で溶融・固着され、搬送ローラ325−2を経て、搬送ローラ325−3(排紙ローラ)から排紙トレイ315上に排出される。
【0220】
他方、手差しトレイ320に積載されたシートに対して片面印字を行うことが要求された時には、手差しトレイ320に積載されるシートは、ピックアップローラ316−2によって給紙され、複数の搬送ローラ325−6・325−5・325−4を経てレジストローラ314に到達する。それ以降、シートは、給紙カセット310から給紙されるシートと同様の経過を経て排紙トレイ315に排出される。
【0221】
また、給紙カセット310に蓄積されたシート、あるいは手差しトレイ320に積載されたシートに対して両面印字を行うことが要求された時には、上記のように片面印字が終了した後、定着ユニット312を通過したシートの後端が前記排紙ローラ325−3でチャックされ、搬送ローラ325−3(排紙ローラ)が逆回転する事によって搬送ローラ325−7・325−8に導かれる。その後、シートは、レジストローラ314を経て裏面印字が行われた後に排紙トレイ315に排出される。
【0222】
図30および図31は、現像部302の一部を示す斜視図である。図32は、現像部302のトナーカートリッジを示す断面図である。
【0223】
現像部302は、図30および図31に示すように、トナーとキャリアとを混合して二成分現像剤を生成すると共に二成分現像剤を用いて現像を行う現像槽342と、内部にトナーを収納可能なハウジング(支持部材)341aを有するトナーカートリッジ(現像剤補給容器)341とを備えている。ハウジング341aは、図示しない非接触通信ICタグを保護する保護部材としての機能を有している。トナーカートリッジ341は、そのハウジング341aに設けられたトナー排出口344を通して、その内部に収納したトナーを現像槽342へ補給するようになっている。トナーカートリッジ341は、現像槽342に対して着脱可能(交換可能)に装着される。トナーカートリッジ341の高さAおよび奥行きBは任意である。
【0224】
トナーカートリッジ341は、図31に示すように、そのハウジング341a内に、ハウジング341a内のトナーを撹拌するための撹拌部材(回転部材)343を備えている。撹拌部材343は、ドッグクラッチ345を介してハウジング341aに取付られており、これにより水平方向の回転軸を中心に回転しうるようにハウジング341aに支持されている。撹拌部材343は、トナーカートリッジ341に設けられたドッグクラッチ345と、このドッグクラッチ345に連結された画像形成装置本体(画像形成装置300のうちのトナーカートリッジ341を除く部分)側のドッグクラッチ355とを介して、図示しない画像形成装置本体内の駆動回路によって回転駆動される。これによって、トナーを凝集させることなく効率的に現像槽342に送り込むことができる。
【0225】
トナーカートリッジ341のハウジング341aには、図31および図32に示すように、トナー残量検出用の窓である透明窓346・347が設けられている。
【0226】
画像形成装置本体には、図31に示すように、通信アンテナ部材351と、トナー残量センサ352とが設置されている。
【0227】
トナーカートリッジ341に設けられた非接触通信ICタグ(図示しない)と通信するための通信手段としての図示しない非接触型リーダー/ライター装置(実施の形態1における非接触型リーダー/ライター装置174)の一部である。
【0228】
トナー残量センサ352は、透過型フォトセンサであり、ハウジング341aにおける透明窓346・347の裏側に設けられた図示しない光照射器によって光を照射したときに、透明窓346・347を通して受光した2種類の透過光の強度によってトナーの残量を検出する。具体的には、透明窓346・347を通して受光した2種類の透過光の両方の強度が高い場合には、トナー残量が非常に少ないトナーニアエンプティ状態と判定する。また、透明窓346を通して受光した透過光の強度が高いが、透明窓347を通して受光した透過光の強度が低い場合には、トナー残量が、比較的少ないが、トナーニアエンプティ状態よりは多い状態(トナー残量が少ない状態)と判定する。また、透明窓346・347を通して受光した2種類の透過光の両方の強度が低い場合には、トナー残量がトナー残量少状態より多い状態(トナー残量が多い状態)と判定する。
【0229】
図33は、トナーカートリッジ341の透明窓346・347および撹拌部材343の部分を模式的に示す図である。
【0230】
図33に示すように、撹拌部材343の先端部には、非接触通信ICタグ143が、基板181側の面の裏面が撹拌部材343の回転軸(図33における撹拌部材343の上端)と対向するように設けられている。この非接触通信ICタグ143における回転軸と対向する面の裏面上には、非接触通信ICタグ143を保護する保護部材348が取り付けられている。非接触通信ICタグ143の基板181の一部は、保護部材348上からはみ出している。この基板181(ポリエチレンテレフタレートフィルム等)は、透明窓346・347における光路幅Wに相当する領域上を摺動してその領域をクリーニングするクリーニング部材の機能を備えている。したがって、この基板181は、トナー残量センサ352によってトナーの残量を検出する精度を向上させることができる。また、この基板181は、透明窓346・347に付着したトナーを除去できなくとも、トナー層の厚みを均一化して、トナー残量センサ352によってトナーの残量を検出する精度を向上させることができる。また、この基板181は、撓むことによって、撹拌部材343を駆動する駆動装置の負荷トルクの増加を防止することができる。
【0231】
図34(a)〜図34(c)は、撹拌部材343に設けられた非接触通信ICタグの基板の形状が変化する様子を示す図である。基板181は、図34(a)に示すトナーニアエンプティ状態や図34(b)に示すトナー残量が少ない状態では広がる一方、基板181は、図34(c)に示すトナー残量が多い状態では広がらない。
【0232】
以上のように、本実施形態に係るトナーカートリッジ341では、非接触通信ICタグ143の基板181がトナー残量検出用の透明窓346・347をクリーニングするクリーニング部材の機能を兼ね備えている。これにより、基板181によって、透明窓346・347をクリーニングすることができる。したがって、トナー残量センサ352によってトナーの残量を検出する精度を向上させることができる。
【0233】
なお、上述の実施の形態2に関する説明では、非接触通信ICタグ143の基板181が、現像剤補給関連機能として透明窓346・347をクリーニングする機能を兼ね備える場合について説明したが、これに限るものではなく、非接触通信ICタグ143の基板181は、他の現像剤補給関連機能、例えば、実施の形態1で述べたスクレイパーの機能やシール部材の機能等を備えるものであっもよい。
【0234】
また、上述の説明では、非接触通信ICタグ143の基板181が、現像剤補給関連機能を兼ね備える場合について説明したが、これに限るものではなく、非接触通信ICタグ143のICチップ184が、現像剤補給関連機能を兼ね備えていてもよい。非接触通信ICタグ143のICチップ184が、現像剤補給関連機能を兼ね備えている形態としては、回転部材の角度(あるいは回転数等)を検出する検出手段を、回転部材に設けた非接触通信ICタグ143と、非接触通信ICタグ143から受信される信号の強度に基づいて回転部材の角度(あるいは回転数等)を検出する検出器とで構成する形態が考えられる。また、非接触通信ICタグ143から受信される信号の強度は、現像剤補給容器内に収納されたトナーの残量によっても変動する。それゆえ、現像剤補給関連機能を兼ね備えている形態としては、回転部材の角度(あるいは回転数等)を検出する検出手段を、回転部材に設けた非接触通信ICタグ143と、非接触通信ICタグ143から受信される信号の強度に基づいて現像剤補給容器内のトナー残量を検出する検出器とで構成する形態も考えられる。
【0235】
また、上述の説明では、トナー収納容器が、画像形成装置本体に装着された時に回転部材が画像形成装置本体によって回転駆動されることによって画像形成装置本体に現像剤を補給しうる回転部材(回転容器31または撹拌部材343)と、回転部材を回転可能に支持する支持部材(支持部材32またはハウジング341a)とを備え、非接触通信ICタグ143が回転部材に設けられ、支持部材が、非接触通信ICタグ143を保護する保護部材として機能する場合について説明したが、これに限るものではない。支持部材は、非接触通信ICタグ143を保護する保護部材として機能しないものでもよい。支持部材が保護部材として機能しない場合、支持部材とは別に保護部材を設けてもよい。また、非接触通信ICタグ143は、回転部材以外の部分に設けられていてもよい。また、非接触通信ICタグ143が回転部材に設けられている場合には、トナー収納容器は、支持部材を備えていなくてもよい。さらに、非接触通信ICタグ143が回転部材以外の部分に設けられている場合には、トナー収納容器は、回転部材および支持部材の両方を備えていなくてもよい。
【0236】
また、上述の説明では、現像剤補給容器がトナーを補給する場合について説明したが、これに限るものではなく、現像剤補給容器がトナー以外の現像剤(例えば、電子写真方式用の二成分現像剤や、他の方式用の現像剤)を補給するようになっていてもよい。また、上述の説明では、二成分現像剤を用いて現像を行う画像形成装置について説明したが、本発明の画像形成装置は、これに限るものではなく、一成分現像剤等の他の現像剤を用いて現像を行うものであってもよい。
【0237】
本発明は、以下のように表現することもできる。
【0238】
(1)円筒形状しており回転駆動することによりトナーを補給するトナー収納容器において、補給トナーにかかわる情報を画像形成装置と通信するトナー収納容器において、ICタグが回転容器に設けられており、かつ、無線通信方式で有るトナー収納容器。
【0239】
電極パッド部を機械的に接触させる方式は位置精度が要求されるが、上記構成では、無線通信方式を採用することにより通信を確率させるための位置精度が緩和される。特に回転容器にICタグが取り付けられた場合、センサにより回転位置を検出してボトルの回転位置を制御しなくても信頼性の高い通信が可能となる。
【0240】
(2)上記の(1)記載のトナー収納容器において、ICタグが円筒体の外壁で固定部材に覆われて配置されているトナー収納容器。
【0241】
上記構成によれば、ICタグを固定部材で覆われているので、トナー収納容器交換や輸送時に不用意にICタグ部にものがぶつかり、ICタグの破損や故障、接着の剥がれなどのトラブルが起こることを防止できる。特に、トナー収納容器としてポリプロピレンのブロー成形品が広く用いられるが、ポリプロピレンは、弾性体であり、衝突などの外力により容易に弾性変形し、ICタグの故障、破損、剥がれを生じやすい。トナー収納容器としてポリプロピレンのブロー成形品を用いた場合、本発明が特に効果を発揮する。
【0242】
(3)上記の(2)記載のトナー収納容器において、ICタグを含む部材が、トナー撹拌部材やトナー搬送部材などのようなトナー補給動作の機能を有するトナー収納容器。
【0243】
(4)上記の(1)記載のトナー収納容器において、円筒体の底壁面にICタグのアンテナの中心と円筒体の回転中心がほぼ合致、もしくは、コイルの内周領域内に回転中心が配置するように設けられているトナー収納容器。
【0244】
上記構成によれば、円筒体の回転角度に影響されず、常に安定した無線通信が確保できる。
【0245】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0246】
本発明の現像剤補給容器は、部品点数及び製造工程数が少ないので、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置本体から着脱自在なトナーカートリッジなどとして好適に利用できる。また、本発明の画像形成装置は、部品点数及び製造工程数が少ないので、複写機、ファクシミリ、プリンタ等として好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0247】
【図1】本発明の実施の一形態に係るトナー収納容器の第3容器部を、非接触通信ICタグを含めて示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置のトナーホッパ付近を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の一形態に係るトナー収納容器を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の一形態に係るトナー収納容器を示す図であり、(a)は正面図、(b)は断面図である。
【図6】本発明の実施の一形態に係るトナー収納容器の容器本体を示す正面図である。
【図7】本発明の実施の一形態に係るトナー収納容器の第3容器部を、非接触通信ICタグを省略して示す斜視図である。
【図8】本発明の実施の一形態に係るトナー収納容器の第3容器部を示す断面図である。
【図9】本発明に係る実施の一形態のトナー収納容器を組み立てる状態を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は断面図である。
【図10】本発明の実施の一形態に係るトナー収納容器から排出されるトナーの量と時間との関係を示すグラフである。
【図11】本発明の実施の一形態に係るトナー収納容器の第3容器部及び支持部材を示す断面図である。
【図12】(a)(b)は、図11に示す支持部材のトナー供給部を示す断面図である。
【図13】(a)(b)は、図11に示す支持部材のトナー供給部を示す断面図である。
【図14】本発明の実施の一形態に係るトナー収納容器において、第3容器部と支持部材との間にVシールを設けた状態を示す断面図である。
【図15】図11に示す支持部材のトナー供給部を示す斜視図であり、(a)はトナーホッパ側から見た斜視図であり、(b)は回転容器側から見た斜視図である。
【図16】(a)(b)は、トナー収納容器からトナーが供給される場合の動作を説明するための断面図である。
【図17】(a)(b)は、トナー収納容器からトナーが供給される場合の動作を説明するための断面図である。
【図18】(a)(b)は、本発明の実施の一形態に係るトナー収納容器に対し、トナーブロッキング部材を設けた変形例における支持部材のトナー供給部を示す断面図である。
【図19】本発明の実施の一形態に係るトナー収納容器に対し、トナーブロッキング部材およびシャッタ部材を設けた変形例のトナー収納容器を示す斜視図である。
【図20】図19に示すトナー収納容器においてシャッタ部材がスライドする様子を説明するためのトナー収納容器の要部を示す斜視図である。
【図21】図19に示すトナー収納容器においてシャッタ部材がスライドする様子を説明するためのトナー収納容器の要部を示す斜視図である。
【図22】トナー収納容器と画像形成装置本体の本体側連結部とが連結された様子を示す上面図である。
【図23】上記トナー収納容器に備えられたブロッキング防止部材を示す斜視図である。
【図24】上記トナー収納容器に備えられた他のブロッキング防止部材を示す斜視図である。
【図25】上記トナー収納容器の第3容器部における非接触通信ICタグが設けられた部分を拡大して示す部分断面図である。
【図26】非接触通信ICタグを示す平面図である。
【図27】図26の非接触通信ICタグを用いた非接触通信システム全体を示すブロック図である。
【図28】図27の非接触通信システムをさらに詳細に示したブロック図である。
【図29】本発明の他の実施の形態に係る画像形成装置を示す断面図である。
【図30】図29に示す画像形成装置の現像部の一部を示す斜視図である。
【図31】図29に示す画像形成装置の現像部の一部を示す斜視図である。
【図32】図30に示す現像部のトナーカートリッジを示す断面図である。
【図33】図32に示すトナーカートリッジの透明窓および撹拌部材の部分を模式的に示す図である。
【図34】撹拌部材に設けられた非接触通信ICタグの基板の形状が変化する様子を示す図である。
【符号の説明】
【0248】
15 トナー収納容器(現像剤補給容器)
23 トナー排出口
31 回転容器(回転部材、容器本体)
31d 凹部形成部(凹部形成領域)
32 支持部材
37 トナー(現像剤)
41 第1凹部(凹部)
50 トナー供給部(現像剤供給口)
143 非接触通信ICタグ(無線通信素子)
174 非接触型リーダー/ライター装置(通信手段)
181 基板(基板)
183 アンテナ(無線通信素子、アンテナコイル)
184 ICチップ(無線通信素子、回路)
185 絶縁層
300 画像形成装置
302 現像器
341 トナーカートリッジ(現像剤補給容器)
341a ハウジング(支持部材、保護部材)
343 撹拌部材(回転部材)
346 透明窓(窓)
347 透明窓(窓)
348 保護部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に着脱可能であり、かつ、現像剤を内部に収納可能な現像剤補給容器であって、
情報を無線通信方式で画像形成装置本体と通信するための無線通信素子を備え、
上記無線通信素子は、基板上に形成されている現像剤補給容器において、
上記無線通信素子および基板の少なくとも一方が、現像剤の補給にかかわる機能を有することを特徴とする現像剤補給容器。
【請求項2】
画像形成装置本体に装着された時に画像形成装置本体によって回転駆動されることによって画像形成装置本体に現像剤を補給しうる回転部材を含み、
上記無線通信素子は、回転部材に設けられていることを特徴とする請求項1記載の現像剤補給容器。
【請求項3】
上記回転部材を回転可能に支持する支持部材をさらに備え、
上記回転部材は、現像剤を内部に収納可能な容器本体であることを特徴とする請求項2記載の現像剤補給容器。
【請求項4】
上記無線通信素子は、上記回転部材の外側表面上に配置されており、かつ、絶縁層で被覆されており、
上記絶縁層より外側には、上記無線通信素子を保護する保護部材が配置されていることを特徴とする請求項2記載の現像剤補給容器。
【請求項5】
上記容器本体の外周面には凹部が設けられ、
上記容器本体は、上記凹部を一部として含むように上記容器本体の回転方向に沿って上記外周面を一周する凹部形成領域を有し、
上記凹部には、現像剤を容器本体の内部から外部へ排出するための排出口が設けられ、
上記支持部材は、上記排出口から上記凹部内に排出された現像剤を外部に供給するための現像剤供給口を有し、かつ、上記凹部形成領域を少なくとも取り囲むように設けられており、
上記凹部には、容器本体が回転駆動された時に上記支持部材の内面上を摺動することで上記支持部材の内面に付着した現像剤をかき取るかき取り部材が設けられ、
上記基板が、上記かき取り部材を兼ねていることを特徴とする請求項3記載の現像剤補給容器。
【請求項6】
上記容器本体の外周面には凹部が設けられ、
上記容器本体は、上記凹部を一部として含むように上記容器本体の回転方向に沿って上記外周面を一周する凹部形成領域を有し、
上記凹部には、現像剤を容器本体の内部から外部へ排出するための排出口が設けられ、
上記支持部材は、上記排出口から上記凹部内に排出された現像剤を外部に供給するための現像剤供給口を有し、かつ、上記凹部形成領域を少なくとも取り囲むように設けられており、
上記凹部形成領域には、上記排出口から上記凹部内に排出された現像剤が上記凹部形成領域における凹部以外の部分と上記支持部材との隙間に入り込むことを阻止するためのシール部材が設けられており、
上記基板が、上記シール部材を兼ねていることを特徴とする請求項3記載の現像剤補給容器。
【請求項7】
内部に収納している現像剤の残量を検出するための窓と、
窓上を摺動して窓をクリーニングするクリーニング部材とをさらに備え、
上記基板が、上記クリーニング部材を兼ねていることを特徴とする請求項3記載の現像剤補給容器。
【請求項8】
請求項2記載の現像剤補給容器において、
上記無線通信素子は、アンテナコイルと、アンテナコイルに接続された回路とを備え、
上記無線通信素子は、上記回転部材表面に対し、アンテナコイルの内周領域内を上記回転部材の回転軸が通るように設けられていることを特徴とする現像剤補給容器。
【請求項9】
上記無線通信素子は、上記回転部材表面に対し、アンテナコイルの中心が上記回転部材の回転軸とほぼ合致するように設けられていることを特徴とする請求項8記載の現像剤補給容器。
【請求項10】
請求項1ないし9の何れか1項に記載の現像剤補給容器と、
この現像剤補給容器の無線通信素子と非接触方式で上記情報を通信する通信手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2006−11134(P2006−11134A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189570(P2004−189570)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】