説明

現像搬送装置およびそれを備えた現像装置、トナーカートリッジおよびクリーニングユニット

【課題】現像剤搬送路の下流側において、現像剤の滞留を抑えてスムーズに搬送することができる現像剤搬送装置を提供すること。
【解決手段】現像剤搬送路f、現像剤搬送路fの上流側に配置されたトナー導入口115aおよび現像剤搬送路fの下流側の下流開口部111dを有する現像剤搬送筒体111Aと、現像剤搬送筒体111A内に設けられたスクリュー形シャフト112とを備え、スクリュー形シャフト112は、回転軸112bと、回転軸112bの外周面に取り付けられた螺旋羽根112aa、112abとを有し、回転軸112bは下流開口部111dを臨む位置に下流側に向うにつれて徐々に太くなる錐状部112baを有し、螺旋羽根112aa、112abは下流開口部111dを臨む位置にそのリード角が下流側に向うにつれて徐々に大きくなる撹拌羽根部112aa1、112ab1を有していることを特徴とする現像剤搬送装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくともトナーを含む現像剤を搬送する現像剤搬送装置およびそれを備えた現像装置、トナーカートリッジおよびクリーニングユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フルカラー化や高画質化に対応した電子写真方式の画像形成装置には、トナーの帯電安定性に優れる二成分現像剤(以下、単に「現像剤」という)が広く使用されている。
この現像剤は、トナーとキャリアとからなり、それらを現像装置の現像剤槽内で撹拌することによりトナーとキャリアとが摩擦し、この摩擦によって適正に帯電したトナーが得られる。
現像装置において、帯電したトナーは、現像ローラの表面に供給され、静電的吸引力によって現像ローラから感光体ドラムの表面に形成された静電潜像に移動する。これにより、感光体ドラム上に静電潜像に基づいたトナー像が形成される。
【0003】
さらに、最近では、画像形成装置の高速化および小型化が要求されており、それに伴って現像剤の帯電を迅速かつ充分に行うと共に、現像剤の搬送を迅速に行うことが必要となっている。
そのため、従来技術1として、現像剤槽内に設けられた仕切り板によって区画された第1および第2現像剤搬送路と、第1現像剤搬送路と第2現像剤搬送路とを両端側で連通させる第1および第2連通路と、第1および第2現像剤搬送路内に配置されて相互に逆方向に現像剤を搬送する第1および第2オーガスクリューとを備えた循環方式の現像装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この現像装置は、第1オーガスクリューによって第1現像剤搬送路の下流側へ搬送された現像剤が、第1現像剤搬送路の上流側から搬送されてきた現像剤と現像剤槽内壁の手前で行き場を失った現像剤との間で生じる圧力によって、現像剤槽の内壁面に沿って第1連通路から第2現像剤搬送路へ押し出され、かつ第2オーガスクリューによって第2現像剤搬送路の下流側へ搬送されてきた現像剤が、第2現像剤搬送路の上流側から搬送される現像剤と、現像剤槽内壁の手前で行き場を失った現像剤との間で生じる圧力によって、現像剤槽の内壁面に沿って第2連通路から第1現像剤搬送路へ押し出され、このようにして現像剤を第1現像剤搬送路と第2現像剤搬送路の間で循環させるように構成されている。
【0005】
従来技術1の現像装置では、オーガスクリューの下流側端部の連通路を臨む位置で、現像剤は直角に進行方向を変えなければならないが、オーガスクリューの回転により現像剤は回転軸方向のみに押出される。そのため、現像剤は現像剤槽内壁によって行き場を失い、現像剤槽の隅部付近にある現像剤は、現像剤搬送路の下流側へ順次搬送されてくる現像剤によって圧縮され、その状態でせん断力を受けることになる。
その結果、トナーの流動性向上剤(外添剤)が、ストレスによる発熱やせん断力によってトナーを構成する樹脂粒子に埋没し、それによって現像剤の流動性が極端に低下してしまい、十分な量の現像剤が現像ローラを介して感光体ドラムに供給され難くなり、記録媒体に印刷された画像の濃度が低下するという問題があった。
【0006】
これに対して、従来技術2として、第1および第2オーガスクリューにおいて、現像剤槽内の第1および第2連通路を臨む位置の螺旋羽根のリード角を大きくして回転軸と平行に近づけるようにした循環方式の現像装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
この現像装置によれば、オーガスクリューによって現像剤搬送路の下流側へ搬送された現像剤は、螺旋羽根のリード角が大きい部分によって周方向に回転するため連通路に向かい易くなり、現像剤に対するストレスを低減させることができるとされている。
【0007】
また、画像形成装置には、印刷時に現像装置内のトナーが消費され減少することによって現像剤中のトナー濃度が所定値以下とならないように、現像装置内にトナーを補給するトナーカートリッジが備えられている。
この従来のトナーカートリッジとしては、補給用トナーを収容するトナー貯蔵部と、トナーを現像装置に向けて排出するトナー排出口と、トナー貯蔵部とトナー排出口との間に配置されたトナー搬送路と、トナー貯蔵部内のトナーをトナー搬送路へ送るパドル部材と、トナー搬送路内のトナーをトナー排出口へ搬送するオーガスクリューとを備えたトナーカートリッジが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−255723号公報
【特許文献2】特開2008−256917号公報
【特許文献3】特開2006−235255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術2の現像装置において、螺旋羽根は回転しているため、螺旋羽根のリード角が大きい部分は、現像剤を連通路に送るよう働くと共に、連通路から現像剤を引き戻すようにも働く。
そのため、オーガスクリューの最下流部まで搬送された現像剤は、一方の現像剤搬送路から他方の現像剤搬送路へ速やかに搬送されずに滞留してストレスを受け続ける傾向にあるため、現像剤の流動性低下による印刷画像の濃度低下の問題は未だ解消されていない。
【0010】
また、現像装置に未使用のトナーを補給する従来技術3のトナーカートリッジや、記録用紙への転写後の感光体ドラムまたは転写ベルト上に残存するトナーを除去する従来のクリーニングユニットも、現像装置と同様の問題を有している。
すなわち、従来のトナーカートリッジやクリーニングユニットの場合、オーガスクリューを回転させてトナー搬送路の下流側に配置されたトナー排出口へトナーを搬送する際、トナー搬送路の下流側壁面にトナーが付着して堆積し、この堆積したトナーが、順次搬送されてくるトナーから圧力を受けて下流側壁面に滞留するという問題があった。
さらに、この場合、トナー搬送路の下流側壁面に滞留したトナーが圧密状態となってオーガスクリューの回転を妨げるロック現象に繋がっていた。
【0011】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、少なくともトナーを含む現像剤を搬送する現像剤搬送路の下流側において、現像剤の滞留を抑えてスムーズに搬送することができる現像剤搬送装置を提供することを主たる目的とする。
また、本発明は、この現像剤搬送装置を備えた現像装置、トナーカートリッジおよびクリーニングユニット、並びにこれらを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かくして、本発明によれば、内部に配置された一方向に延びる現像剤搬送路と、該現像剤搬送路内に外部からトナーを導入するために現像剤搬送路の上流側に配置されたトナー導入口と、前記現像剤搬送路の下流側における前記一方向と直角な方向に開口して少なくともトナーを含む現像剤を流通させる下流開口部とを有する現像剤搬送筒体と、
前記現像剤搬送筒体内に回転可能に設けられて、前記現像剤搬送路内の現像剤を上流側から下流側へ搬送するスクリュー形シャフトとを備え、
前記スクリュー形シャフトは、前記現像剤搬送筒体が有する上流側壁部と下流側壁部に回転可能に支持された回転軸と、該回転軸の外周面に取り付けられた螺旋羽根とを有し、
前記回転軸は前記下流開口部を臨む位置に下流側に向うにつれて徐々に太くなる錐状部を有し、かつ前記螺旋羽根は前記下流開口部を臨む位置にそのリード角が下流側に向うにつれて徐々に大きくなる撹拌羽根部を有している現像剤搬送装置(第1の発明)が提供される。
【0013】
また、本発明の別の観点によれば、表面に静電潜像が形成される感光体ドラムを備えた電子写真方式の画像形成装置に装着される現像装置であって、
第1現像剤搬送路としての前記現像剤搬送路および第1スクリュー形シャフトとしての前記スクリュー形シャフトを有する前記現像剤搬送装置を一体状に具備し、かつトナーとキャリアとを含む二成分現像剤が収容される現像剤槽と、
該現像剤槽内に前記第1現像剤搬送路と平行に隣接して配置された第2現像剤搬送路および第2現像剤搬送路内に回転可能に設けられた第2スクリュー形シャフトと、
前記現像剤槽内に設けられ二成分現像剤を担持した状態で回転しながら静電潜像が形成された感光体ドラムの表面にトナーを供給するための現像ローラとを備え、
前記第1現像剤搬送路の下流端は第1連通路としての前記下流開口部にて前記第2現像剤搬送路の上流端と連通し、かつ前記第1現像剤搬送路の上流端は第2連通路にて前記第2現像剤搬送路の下流端と連通し、
前記第1および第2スクリュー形シャフトが相互に逆方向に現像剤を搬送して前記現像剤槽内で循環させ、かつ前記現像ローラに現像剤を供給するように構成された現像装置(第2の発明)が提供される。
【0014】
また、本発明のさらに別の観点によれば、前記現像剤搬送装置およびこの現像剤搬送装置に隣接して配置されたトナー収容部を内部に有するカートリッジ本体と、該カートリッジ本体の外面側に設けられて前記現像剤搬送装置のトナー排出口としての前記下流開口部を開閉するためのシャッターと、前記カートリッジ本体内に回転可能に設けられて前記トナー収容部内のトナーを前記現像剤搬送装置の前記トナー導入口から前記現像剤搬送路内へ送り込むためのパドル部材とを備えたトナーカートリッジ(第3の発明)が提供される。
【0015】
また、本発明のさらに別の観点によれば、前記現像剤搬送装置と、該現像剤搬送装置の前記現像剤搬送筒体における前記トナー導入口の開口縁に取り付けられたブレード部材とを備えたクリーニングユニット(第4の発明)が提供される。
【0016】
また、本発明のさらに別の観点によれば、表面に静電潜像が形成される感光体ドラムと、該感光体ドラムの表面を帯電させる帯電装置と、前記感光体ドラムの表面に静電潜像を形成する露光装置と、前記感光体ドラムの表面の静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する前記現像装置と、該現像装置にトナーを補給するトナー補給装置と、前記感光体ドラムの表面のトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、トナー像を記録媒体に定着させる定着装置とを備えた画像形成装置(第5の発明)が提供される。
【0017】
また、本発明のさらに別の観点によれば、表面に静電潜像が形成される感光体ドラムと、該感光体ドラムの表面の静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する現像部と、該現像部にトナーを補給するための前記トナーカートリッジと、前記感光体ドラムの表面のトナー像を記録媒体に転写する転写部と、前記トナー像を記録媒体に定着させる定着部とを備えた画像形成装置(第6の発明)が提供される。
【0018】
また、本発明のさらに別の観点によれば、表面に静電潜像が形成される感光体ドラムと、該感光体ドラムの表面の静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する現像部と、前記感光体ドラムの表面のトナー像を記録媒体に転写する転写部と、前記トナー像を記録媒体に定着させる定着部と、廃トナー回収部と、前記ブレード部材が前記感光体ドラムの表面に当接するように設けられた前記クリーニングユニットとを備え、該クリーニングユニットによって転写後に残留する前記感光体ドラムの表面の残留トナーを除去して前記廃トナー回収部へ搬送する画像形成装置(第7の発明)が提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明の現像剤搬送装置によれば、スクリュー形シャフトの螺旋羽根は、搬送方向下流側の一端にリード角が下流側に向うにつれて徐々に大きくなる撹拌羽根部を有しているため、この撹拌羽根部による現像剤の搬送方向への搬送能力が徐々に小さくなると共に、回転軸周方向の攪拌力が高まる。
さらに、このスクリュー形シャフトの回転軸は、現像剤の搬送方向下流側の一端に下流側に向うにつれて徐々に太くなる錐状部を有しているため、この錐状部によって現像剤が回転軸の径方向へ移動させられる。
【0020】
これらの相乗効果により、現像剤は速やかに現像剤搬送路から下流開口部へ移動することができるため、現像剤が現像剤搬送路の下流側壁面に突き当たって滞留し、滞留する現像剤が順次搬送されてくる現像剤にて押圧されてストレスを受けることを抑制することができる。
この結果、トナーの流動性向上剤(外添剤)が、ストレスによる発熱やせん断力によってトナーを構成する樹脂粒子に埋没し、それによって現像剤の流動性が極端に低下してトナーの流動性が低下するという従来の問題を解消できる。
【0021】
したがって、この現像剤搬送装置を備える現像装置および画像形成装置によれば、現像剤の流動性低下を抑制し、印刷画像の濃度低下を抑制することができる。
また、この現像剤搬送装置を備えるトナーカートリッジおよび画像形成装置によれば、スクリュー形シャフトのロック現象が防止されるため、現像装置へ安定してトナーを補給することができ、記録用紙に安定した画像濃度で画像を形成することができる。
また、この現像剤搬送装置を備えたクリーニングユニットおよび画像形成装置によれば、スクリュー形シャフトのロック現象が防止されるため、クリーニングユニット内が除去トナー(廃トナー)で満杯になって感光体ドラム側へ溢れ、画像形成装置内がトナー汚染されるという事故を防止でき、クリーニングユニットによるクリーニング機能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は本発明の現像剤搬送装置の実施形態1を示す平断面図である。
【図2】図2は実施形態1の現像剤搬送装置の変形例を示す正面断面図である。
【図3】図3は実施形態1の現像剤搬送装置におけるスクリュー形シャフトの一部を示す部分拡大正面図である。
【図4】図4は実施形態1の現像剤搬送装置におけるスクリュー形シャフトの一部を示す部分拡大平面図である。
【図5】図5は図4のA−A線断面図である。
【図6】図6は実施形態2の現像剤搬送装置におけるスクリュー形シャフトの一部を示す部分拡大正面図である。
【図7】図7は図6のスクリュー形シャフトの回転軸部分を示す部分拡大正面図である。
【図8】図8は本発明の現像剤搬送装置を有する現像装置(実施形態3)を備えた画像形成装置の全体の構成を示す説明図である。
【図9】図9は図8で示した現像装置の概略拡大断面図である。
【図10】図10は図9のB−B線断面矢視図である。
【図11】図11は図9のC−C線断面矢視図である。
【図12】図12は図10のD−D線断面矢視図である。
【図13】図13は実施形態1の現像装置におけるトナー補給装置を示す概略断面図である。
【図14】図14は図13のE−E線断面矢視図である。
【図15】図15は実施形態3で説明した画像形成装置に搭載されるトナーカートリッジ(実施形態4)を具備するトナーカートリッジユニットの構成を示す斜視図である。
【図16】図16(A)は実施形態4におけるトナーカートリッジの側面断面図であり、図16(B)は図16(A)におけるトナーカートリッジのF−F線断面図であり、図16(C)は図16(A)におけるトナーカートリッジのG−G線断面図であり、図16(D)は図16(A)におけるトナーカートリッジのH−H線断面図である。
【図17】図17は実施形態3で説明した画像形成装置に搭載されるクリーニングユニット(実施形態5)の構成を示す上流側から見た概略断面図である。
【図18】図18は実施形態5のクリーニングユニットを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の現像剤搬送装置は、前記のように現像剤搬送筒体と、現像剤搬送筒体内に回転可能に設けられたスクリュー形シャフトとを備え、電子写真方式での画像形成に用いられる現像剤を搬送するものである。
例えば、モノクロまたはフルカラーのコピー機、プリンター、ファクシミリ装置およびこれらの機能を含む複合機等の電子写真方式の画像形成装置、特に、トナーとキャリアを含む二成分現像剤を用いる画像形成装置の現像剤搬送機構に好適である。
【0024】
二成分現像剤においては、トナーが、画像形成装置の感光体ドラム上の静電潜像を現像する。そのため、本発明において「現像剤」とは、二成分現像剤に用いられるトナー単体を含み、無論、トナーにキャリアが混合した二成分現像剤も含まれる。
したがって、本発明の現像剤搬送装置は、二成分現像剤を搬送する現像装置や、トナー単体を搬送するトナーカートリッジおよびクリーニングユニットの搬送機構として適用される。
【0025】
このような現像剤搬送機構の多くは、直線状の現像剤搬送路内にスクリュー形シャフトが設けられ、スクリュー形シャフトが回転することで現像剤を直進させ、現像剤搬送路の下流端で直角方向に現像剤を方向転換させて他の搬送路へ搬送させるように構成されている。
この際、通常は現像剤搬送路の下流端の隅部に現像剤が滞留し易いが、本発明の現像剤搬送装置は、そのスクリュー形シャフトに現像剤の滞留を抑制するための機能が備わっている。
【0026】
本発明において、スクリュー形シャフトは、現像剤搬送筒体の上流側壁部と下流側壁部に回転可能に支持された回転軸と、該回転軸の外周面に取り付けられた螺旋羽根とを有している。
第1の特徴として、回転軸は、現像剤搬送筒体の下流開口部を臨む位置に、下流側に向うにつれて徐々に太くなる錐状部を有している。
第2の特徴として、螺旋羽根は、現像剤搬送筒体の下流開口部を臨む位置に、そのリード角が下流側に向うにつれて徐々に大きくなる撹拌羽根部を有している。
ここで、用語「リード角」とは、回転軸の軸心が垂直に貫通する平面に対する螺旋羽根の角度を意味し、回転軸の直径をDとし、螺旋羽根の螺旋1ピッチの距離をLとし、リード角をαとすると、L=πDtanαで表される。すなわち、回転軸の軸心が垂直に貫通する平面に対して螺旋羽根が平行であるときリード角は0°である。
【0027】
本発明の現像装置は次の(1)〜(4)のように構成されてもよく、各構成が組み合わされてもよい。
(1)前記撹拌羽根部のリード角が連続的に大きくなっている。
このようにすれば、撹拌羽根部のリード角が段階的に連続的に大きくなっている場合のように、撹拌羽根部に屈曲部が形成されないため、撹拌羽根部にて搬送される現像剤に急激な圧力変動が加わることを防止でき、現像剤にかかるストレスを抑制することができる。
【0028】
(2)前記撹拌羽根部のリード角の最大値が90°である。
このようにすれば、撹拌羽根部のリード角90°の部分は回転軸と平行であるため、この部分による現像剤搬送方向への搬送能力がゼロになると共に、回転軸周方向の回転力を最大化でき、現像剤の滞留をより効果的に抑えることができる。
【0029】
(3)前記錐状部は、その外周面に螺旋溝を有しており、この前記螺旋溝の螺旋巻き方向が、前記螺旋羽根の螺旋巻き方向と逆方向である。
このようにすれば、回転軸が回転すると螺旋溝は螺旋羽根で搬送されてくる現像剤を押し戻す方向に付勢するので、現像剤搬送路の下流端の隅部に現像剤が滞留するのを防止し、順次送られてくる現像剤からの圧力およびそれによるストレスをより低減することができる。
【0030】
(4)前記螺旋羽根が、二重螺旋羽根である。
このようにすれば、二重に巻かれた各螺旋羽根のそれぞれに180°対向した位置に撹拌羽根部が設けられるため、現像剤搬送路から連通路への現像剤の移動をよりスムーズに行うことができる。
【0031】
このような構成を有する本発明の現像剤搬送装置は、前記のように、循環式の現像装置、トナーカートリッジ、クリーニングユニットに適用することができる。
現像装置の場合、次の(1)および(2)のように構成してもよく、各構成が組み合わされてもよい。
(1)前記第2現像剤搬送路および第2スクリュー形シャフトが、別の現像剤搬送装置にて構成されており、
前記別の現像剤搬送装置の下流開口部が前記第2連通路として機能する。
すなわち、2つの現像剤搬送装置を、互いに逆方向に現像剤を搬送するように一体化させてもよい。
このようにすれば、第1現像剤搬送路から第1連通路へスムーズに現像剤を搬送できると共に、第2現像剤搬送路から第2連通路へスムーズに現像剤を搬送でき、現像剤槽内での現像剤の滞留箇所を無くすことができる。
【0032】
(2)前記現像剤槽は、前記第1および第2連通路のうちの少なくとも一方の底部に逆流防止突条部を有しており、
前記第1および第2現像剤搬送螺旋部材は、それらの前記螺旋羽根の外周部が前記逆流防止突条部に対して下方から近接する方向に回転する。
このようにすれば、一方の現像剤搬送路から逆流防止突条部を超えて他方の現像剤搬送路へ搬送した現像剤が戻り難くなり、現像剤の逆流を防止できる。
【0033】
以下、図面を参照しながら本発明に係る現像剤搬送装置およびそれを備えた現像装置、トナーカートリッジ、クリーニングユニット、並びにこれらを備えた画像形成装置の実施形態を詳説する。
【0034】
<現像剤搬送装置:実施形態1>
図1は本発明の現像剤搬送装置の実施形態1を示す平断面図であり、図2は実施形態1の現像剤搬送装置の変形例を示す正面断面図であり、図3は実施形態1の現像剤搬送装置におけるスクリュー形シャフトの一部を示す部分拡大正面図であり、図4は実施形態1の現像剤搬送装置におけるスクリュー形シャフトの一部を示す部分拡大平面図であり、図5は図4のA−A線断面図である。なお、図2において、図1中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
【0035】
図1に示す現像剤搬送装置G1は、現像剤搬送筒体111Aと、現像剤搬送筒体111A内に回転可能に設けられたスクリュー形シャフト112とを備える。
現像剤搬送筒体111Aは、上流側壁部111aと、下流側壁部111bと、対向する前壁111c1と後壁111c2および対向する上壁と下壁とからなる周囲壁部111cとを有してなり、一方向に延びた角筒状に形成されており、その内部が現像剤搬送路fとされている。
周囲壁部111cにおいて、図示しない上壁の上流側にはトナー導入口115a(点線部分)が形成され、後壁111c2の下流側に下流開口部111dが形成されている。なお、下流開口部111dは後壁111c2ではなく前壁111c1の下流側に形成されていてもよい。
【0036】
本発明において、トナー導入口115aと下流開口部111dの形成位置は前記箇所に限定されるものではなく、図2に示す変形例としての現像剤搬送装置G2の現像剤搬送筒体111Bのように、周囲壁部111cの図示されていない前壁または後壁にトナー導入口115aが形成され、周囲壁部111cの下壁111c4の下流側に下流開口部111dが形成されていてもよい。
要するに、下流開口部111dは、現像剤搬送路fの長手方向と直角な方向に開口していればよい。
【0037】
スクリュー形シャフト112は、図1に示す現像剤搬送装置G1と図2に示す現像剤搬送装置G2において共通である。
このスクリュー形シャフト112は、現像剤搬送筒体111Aまたは現像剤搬送筒体111Bの上流側壁部111aと下流側壁部111bに回転可能に支持された回転軸112bと、回転軸112bの外周面に取り付けられた二重の螺旋羽根112aa、112abと、下流側壁部111bを貫通した回転軸112bの下流端に取り付けられたギア112cとを有する。
なお、ギア112cは、現像剤搬送装置G1または現像剤搬送装置G2が備えられる画像形成装置の駆動ギアと噛合し、駆動ギアからの回転力を回転軸112bに伝達する。
【0038】
図1〜図5に示すように、回転軸112bは、下流開口部111dを臨む位置に下流側に向うにつれて徐々に太くなる錐状部112baを有する。
実施形態1の場合、回転軸112bは円柱形であり、錐状部112baは円錐台形であり、錐状部112baは回転軸112bから螺旋羽根112aa、112abの略最大径まで拡径している。
【0039】
螺旋羽根112aa、112abは、下流開口部111dを臨む位置に、そのリード角αが下流側に向うにつれて徐々に大きくなる撹拌羽根部112aa1、112ab1を有している。
実施形態1の場合、螺旋羽根112aa、112abにおける撹拌羽根部112aa1、112ab1以外の部分のリード角αは一定であり、例えば20〜50°の範囲から任意の角度に設定される。
また、撹拌羽根部112aa1、112ab1のリード角αは最下流端側が最大となっている。この最大リード角αは90°であり、この部分の撹拌羽根部112aa1、112ab1は回転軸112bと平行になっている。
【0040】
このように構成された図1および図2に示す現像剤搬送装置G1、G2は、スクリュー形シャフト112の螺旋羽根112aa、112abが回転することにより、現像剤搬送路f内の図示しない現像剤が上流側から下流側に搬送される。この際、現像剤には、主として搬送方向(矢印方向)の搬送力が加わっている。
螺旋羽根112aa、112abの撹拌羽根部112aa1、112ab1はリード角αが下流側へ向うにつれて大きくなっていることから、現像剤に対する搬送方向への搬送能力は徐々に小さくなり、かつ回転軸周方向の攪拌力が高まる。
さらに、回転軸112cの下流側に向うにつれて徐々に太くなる錐状部112baによって、現像剤は回転軸径方向へ移動させられる。
【0041】
したがって、現像剤は速やかに現像剤搬送路fから下流開口部111dへ移動することができ、そのため、現像剤が現像剤搬送路fの下流側壁面111bに突き当たって滞留し、滞留することによって順次搬送されてくる現像剤にて押圧されることによって受けるストレスが低減する。
この際、下流開口部111dが搬送方向に対して水平直角方向に開口していても(図1参照)、あるいは下方直角方向に開口していても(図2参照)、現像剤へのストレスは同様に低減する。
この結果、トナーの流動性向上剤(外添剤)が、ストレスによる発熱やせん断力によってトナーを構成する樹脂粒子に埋没し、それによって現像剤の流動性が極端に低下してトナーの流動性が低下するという従来の問題が解消される。
【0042】
<現像剤搬送装置:実施形態2>
図6は実施形態2の現像剤搬送装置におけるスクリュー形シャフトの一部を示す部分拡大正面図であり、図7は図6のスクリュー形シャフトの回転軸部分を示す部分拡大正面図である。
実施形態2の現像剤搬送装置は、スクリュー形シャフト212の回転軸212bが、実施形態1のスクリュー形シャフト112の回転軸112bと異なる以外は、実施形態1と同様の構成である。
以下、実施形態2における実施形態1とは異なる点を主に説明する。
【0043】
図6と図7に示すように、実施形態2におけるスクリュー形シャフト212の回転軸212bも、実施形態1と同様に、錐状部212baを有しているが、この錐状部212baはその外周面に螺旋溝212ba1を有している。
つまり、実施形態2の錐状部212baは、実施形態1の円錐台形の錐状部112baの外周面に、螺旋羽根112aa、112abの螺旋巻き方向と逆方向に螺旋溝212ba1を形成したものに相当する。
実施形態2の螺旋羽根212aa、212abの撹拌羽根部212aa1、212ab1は、錐状部212baのテーパ面に接合されており、撹拌羽根部212aa1、212ab1と螺旋溝212ba1の間には隙間が形成されている。
実施形態2の現像剤搬送装置によれば、実施形態1と同様の効果が得られると共に、回転軸212bが回転すると螺旋溝212ba1は螺旋羽根212aa、212abで搬送されてくる現像剤を押し戻す方向に付勢するので、現像剤搬送路の下流端の隅部に現像剤が滞留するのを防止し、順次送られてくる現像剤からの圧力およびそれによるストレスをより低減することができる。
【0044】
<現像装置:実施形態3>
図8は本発明の現像剤搬送装置を有する現像装置(実施形態3)を備えた画像形成装置の全体の構成を示す説明図である。
この画像形成装置100は、複数の現像装置2a〜2dがケーシング内に収容された現像装置収容部100Aと、定着装置12がケーシング内の現像装置収容部100Aの上方に収容された定着装置収容部100Bと、それらの間に設けられて定着装置12の熱が現像装置側に伝わらないように断熱するための隔壁30とを備え、外部から伝達される画像データに応じてシート状の記録媒体(記録用紙)に多色または単色の画像を形成することができるプリンターである。
なお、定着装置収容部100Bの横に位置する現像装置収容部100Aの上面は排紙トレイ15とされている。
【0045】
本実施形態では、画像形成装置としてプリンターの場合を例示しているが、画像形成装置としては、外部から伝達される画像データおよび/またはスキャナによって原稿から読み取った画像データに応じても記録媒体に多色または単色の画像を形成することができるコピー機、ファクシミリ装置またはこれらの機能を備えた複合機であってもよい。
【0046】
〔現像装置収容部〕
現像装置収容部100Aには、図8に示すように、4つの感光体ドラム3a、3b、3c、3dと、各感光体ドラム3a〜3dの表面を帯電させる4つの帯電器(帯電装置)5a、5b、5c、5dと、各感光体ドラム3a〜3dの表面に静電潜像を形成する露光ユニット(露光装置)1と、黒、シアン、マゼンタおよびイエローのトナーを個別に収容して各感光体ドラム3a〜3dの表面の静電潜像を現像してトナー像を形成する4つの現像装置2a、2b、2c、2dと、現像および画像転写後の各感光体ドラム3a〜3dの表面に残存する残留トナーを除去するクリーナユニット4a、4b、4c、4dと、各現像装置2a〜2dに前記4色のトナーを個別に補給する4つのトナー補給装置22a、22b、22c、22dと、各感光体ドラム3a〜3dの表面のトナー像を記録媒体に転写する中間転写ベルトユニット(転写装置)8と、中間転写ベルトクリーニングユニット9等が収容されている。
【0047】
さらに、現像装置収容部100Aは、その最下部に配置された複数の記録媒体を収容する給紙トレイ10と、一側面に配置されて不定形サイズの記録媒体がセットされる手差しトレイ20と、給紙トレイ10または手差しトレイ20から記録媒体を中間転写ベルトユニット(転写装置)8に搬送するためのシート搬送路S等を備えている。
なお、a〜dを有する符号で示された各部材において、aは黒画像形成用の部材、bはシアン画像形成用の部材、cはマゼンタ画像形成用の部材、dはイエロー画像形成用の部材である。
【0048】
すなわち、この画像形成装置100は、黒、シアン、マゼンタおよびイエローの色成分毎の画像データに基づいて、各感光体ドラム3a〜3dの表面に、黒トナー画像、シアントナー画像、マゼンタトナー画像およびイエロートナー画像が選択的に形成され、形成された各トナー画像が中間転写ベルトユニット8上で重ねられ、記録媒体上にカラー画像が形成されるように構成されている。
各色に対応する感光体ドラム3a〜3dは同じ構成であるため、それらの構成の説明では符号を3に統一し、これと同様に、現像装置は符号を2、帯電器は符号を5、クリーナユニットは符号を4、トナー補給装置は符号を22に統一して説明する。
【0049】
(感光体ドラムおよびその周辺部材)
感光体ドラム3は、導電性基体およびその表面に形成される感光層から構成され、帯電と露光による潜像形成を担う円筒状部材であり、光の照射によって導電性を示し、その表面に静電潜像とよばれる電気的な画像が形成される。
感光体ドラム3は、軸線回りに回転駆動が可能となるよう図示しない駆動手段により支持されている。
【0050】
帯電器5としては、接触ローラ型、接触ブラシ型または非接触チャージャー型等の帯電器が用いられ、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させる。
露光ユニット1は、画像データに応じた光を、帯電器5と現像装置2との間を通過させて、帯電された感光体ドラム3の表面に照射して露光することにより、感光体ドラム3の表面に画像データに応じた静電潜像を形成する。
本実施形態においては、露光ユニット1として、レーザ照射部および反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)を使用した場合を例示しているが、発光素子をアレイ状に並べたEL(エレクトロルミネッセンス)またはLED書込みヘッドを用いることもできる。
【0051】
(現像装置)
図9は図8で示した現像装置の概略拡大断面図であり、図10は図9のB−B線断面矢視図であり、図11は図9のC−C線断面矢視図であり、図12は図10のD−D線断面矢視図である。なお、これらの図において、現像剤槽311内に収容されている現像剤は図示省略している。
【0052】
図9〜図12に示すように、現像装置2は、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤が収容される略直方容器形の現像剤槽311と、現像剤槽311内にトナーを補給するためのトナー補給口315aと、現像剤槽311内に設けられた現像ローラ314と、現像剤槽311内のトナーが補給される位置と現像ローラ314との間に設けられた第1および第2現像剤搬送路P、Qと、第1および第2現像剤搬送路P、Qの両端側に設けられてこれらを連通する第1および第2連通路a、bと、第1および第2現像剤搬送路P、Q内に回転可能に設けられた第1および第2スクリュー形シャフト312、313と、ドクターブレード316と、トナー濃度検知センサ(透磁率センサ)319とを備え、現像ローラ314によって感光体ドラム3の表面にトナーを供給して、感光体ドラム3の表面に形成された静電潜像を顕像化する(現像する)装置である。
なお、この現像装置2は、実施形態1の現像剤搬送装置G1が、現像剤槽311および第1および第2スクリュー形シャフト312、313として組み込まれたものである。
【0053】
現像剤槽311の内部は、現像ローラ314の軸心方向と平行な仕切り板317によって2つの部屋に区画されており、2つの部屋のうちのトナー補給口315a側が第1現像剤搬送路Pであり、現像ローラ314側が第2現像剤搬送路Qである。
さらに、第1現像剤搬送路Pと第2現像剤搬送路Qとは前記軸心方向の両側の第1連通路aと第2連通路bによって連通している。
よって、第1および第2現像剤搬送路P、Qと第1および第2連通路a、bが1つの環状現像剤搬送路となっている。
【0054】
また、現像剤槽311は、その上壁を構成する取り外し可能な現像剤槽カバー315を有している。
この現像剤槽カバー315には、第1現像剤搬送路Pにおける現像剤搬送方向(矢印X方向)の上流側に未使用のトナーを補給するためのトナー補給口315aが形成されている。
また、現像剤槽311は、第2現像剤搬送路Q側の側壁と現像剤槽カバー315の下端縁との間に開口部を有しており、その開口部の位置に現像ローラ314が回転可能にかつ感光体ドラム3との間に所定の現像ニップ部Nをもって配置されている。
【0055】
現像ローラ314は、図示しない駆動手段によって軸心回りに回転駆動するマグネットローラであり、現像剤槽311内の現像剤をその表面に担持してトナーを感光体ドラム3に供給するものであり、図示しない電源から現像バイアス電圧が印加されることにより、現像ローラ314の表面の現像剤から感光体ドラム3の表面の静電潜像へトナーが供給される。
ドクターブレード316は、現像ローラ314の軸線方向に平行に延びる長方形の板状部材であって、その下端316bは現像剤槽311の開口部の下端縁に固定され、かつその上端316aは現像ローラ314の表面に対して所定の間隙をもって離間している。
ドクターブレード316の材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、合成樹脂等が挙げられる。
【0056】
第1および第2スクリュー形シャフト312、313は、実施形態1(図1〜図5)で説明したスクリュー形シャフト112と同じものである。
つまり、現像剤槽311内に第1および第2スクリュー形シャフト312、313が設けられた構成は、図1で説明した現像剤搬送装置G1を二機組み合わせたものに相当する。
なお、図10〜図12中の符号312aa、313aaは螺旋羽根、312ab1、313ab1は撹拌羽根部、312b、313bは回転軸、312ba、313baは錐状部、312c、313cはギアを表している。
【0057】
さらに詳しく説明すると、一方の現像剤搬送装置G1の現像剤搬送路fおよびスクリュー形シャフト112が第1現像剤搬送路Pおよび第1スクリュー形シャフト312に相当し、他方の現像剤搬送装置G1の現像剤搬送路fおよびスクリュー形シャフト112が第2現像剤搬送路Qおよび第2スクリュー形シャフト313に相当し、一方の現像剤搬送装置G1のトナー導入口115aが第1現像剤搬送路Pの上流のトナー導入口315aに相当し、各現像剤搬送装置G1、G1の下流開口部が第1および第2連通路a、bに相当する。
さらにこの場合、図10と図12に示すように、現像剤槽311は、第1および第2連通路a、bの底部に逆流防止突条部117a、117bを有している。
【0058】
第1スクリュー形シャフト312のギア312cは図示しない駆動手段(例えば、モータ)の第1駆動ギアと噛合し、第2スクリュー形シャフト313のギア313cは前記駆動手段の第2駆動ギアに噛合しており、第1駆動ギアと第2駆動ギアが相対的に逆回転することにより、ギア312c、313cとは相対的に逆方向に回転する。
よって、第1スクリュー形シャフト312の螺旋羽根312aa、312abと第2スクリュー形シャフト313の螺旋羽根313aa、313abとは相対的に逆回転するため、図10に示すように、第1現像剤搬送路P内の現像剤は回転方向に撹拌されながら矢印X方向に搬送され、第2現像剤搬送路Q内の現像剤は回転方向に撹拌されながら矢印Y方向に搬送される。
この場合、第1および第2スクリュー形シャフト312、313は、それらの螺旋羽根の外周部が逆流防止突条部317a、317bに対して下方から接近する方向(矢印J、K方向)に互いに逆方向に回転している。
【0059】
なお、ギア312c、313cを噛合させ、これらのうちの一方を1つの駆動ギアと噛合させて回転させることにより、第1スクリュー形シャフト312と第2スクリュー形シャフト313を相対的に逆回転させても、現像剤は第1現像剤搬送路Pと第2現像剤搬送路Qで逆方向に搬送されるため、現像装置2をこのように構成してもよい。
あるいは、第1スクリュー形シャフト312の螺旋羽根312aa、312abと第2スクリュー形シャフト313の螺旋羽根313aa、313abの螺旋の巻回方向を相対的に逆向きとし、ギア312c、313cを同じ駆動ギアに噛合させて同じ方向に回転させることによっても、現像剤は第1現像剤搬送路Pと第2現像剤搬送路Qで逆方向に搬送されるため、現像装置2をこのように構成してもよい。
【0060】
現像剤搬送時の第1現像剤搬送路Pにおいて、第1連通路aを臨む位置へ搬送されていく現像剤に対して、搬送方向(矢印X方向)の搬送力が徐々に低下すると共に、第1スクリュー形シャフト312の撹拌羽根部312aa1、312ab1によって回転方向の撹拌力が徐々に増加する。さらに、現像剤は錐状部312baによって回転軸径方向にも移動する。
したがって、現像剤は第1現像剤搬送路Pから第1連通路aへ逆流することなくスムーズに移動し、第1現像剤搬送路Pの隅部に滞留し難くなる。
第2現像剤搬送路Pにおいても同様に、搬送方向(矢印Y方向)に搬送される現像剤は、第2現像剤搬送路Qから第2連通路bへ逆流することなくスムーズに移動し、第2現像剤搬送路Qの隅部に滞留し難くなる。
この結果、第1および第2現像剤搬送路P、Qの隅部に滞留してストレスを受け続ける現像剤が低減するため、現像剤の流動性低下が抑制され、現像ローラ314に十分な量の現像剤が供給されなくなって生じる印刷画像の濃度低下が抑制される。
【0061】
トナー濃度検知センサ319は、第2スクリュー形シャフト313の直下の現像剤槽311の底面であって、第2現像剤搬送路Qの略中央部に装着されており、そのセンサ面が、第2現像剤搬送路Q内部に露出している。
トナー濃度検知センサ319は、図示しないトナー濃度制御手段に電気的に接続されている。
トナー濃度制御手段は、トナー濃度検知センサ319が検知するトナー濃度測定値に応じて、後述するトナー補給装置22(図11参照)のトナー排出部材122を回転駆動させ、トナーをトナー排出口123から排出して現像装置2の第1現像剤搬送路P内に供給するように制御する。
【0062】
トナー濃度制御手段によって、トナー濃度測定値がトナー濃度設定値よりも低いと判定されると、トナー排出部材122を回転駆動させる駆動手段に制御信号が送信され、トナー排出部材122が回転する。
トナー濃度検知センサ319としては、例えば、透過光検知センサ、反射光検知センサ、透磁率検知センサ等の一般的なトナー濃度検知センサを使用することができ、これらの中でも、透磁率検知センサが好ましい。
【0063】
透磁率検知センサ(トナー濃度検知センサ319)には図示しない電源が接続される。
この電源は、透磁率検知センサを駆動させるための駆動電圧およびトナー濃度の検知結果を制御手段に出力するための制御電圧を、透磁率検知センサに印加する。
電源による透磁率検知センサへの電圧の印加は、制御手段によって制御される。
透磁率検知センサは、制御電圧の印加を受けてトナー濃度の検知結果を出力電圧値として出力する型式のセンサであり、基本的に出力電圧の中央値近傍の感度がよいため、その付近の出力電圧が得られるような制御電圧を印加して用いられる。
このような型式の透磁率検知センサは市販されており、例えば、TDK社製の商品名TS−L、TS−A、TS−Kなどが挙げられる。
【0064】
(トナー補給装置)
図13は実施形態1の現像装置におけるトナー補給装置を示す概略断面図であり、図14は図13のE−E線断面矢視図である。
図13と図14に示すように、トナー補給装置22は、トナー排出口123を有するトナー収容容器121と、トナー攪拌部材125と、トナー排出部材122とを備え、その内部に未使用のトナーが収容される。
トナー補給装置22は、現像剤槽311の上方に配置されており(図1参照)、そのトナー排出口123と、現像装置2のトナー補給口315a(図9参照)とが、トナー搬送パイプ102にて接続されている。
【0065】
トナー収容容器121は、内部空間を有するほぼ半円筒状の容器部材であり、半円筒状部分の周方向の横位置にトナー排出口123が配置されている。
トナー攪拌部材125はトナー収容容器121の半円筒状部分の略中央位置に回転可能に配置されており、トナー排出部材122はトナー排出口123の上方近傍位置に回転可能に配置されている。
【0066】
トナー攪拌部材125は、回転軸125aを中心に回転する板状部材であり、回転軸125aから離間した両側先端には、可撓性を有する樹脂製(例えば、ポリエチレンテレフタレート)からなるシート状のトナー汲み上げ部材125bを有している。なお、回転軸125aは、トナー収容容器121の長手方向両側の側壁に回転可能に支持されており、その一端は前記側壁を貫通し、図示しない駆動手段の駆動ギアと噛合するギアがその一端に固定されている。
【0067】
トナー攪拌部材125は、そのトナー汲み上げ部材125bがトナー排出口123に対して下方から上方へ向って回転することにより、トナー収容容器121内に収容されるトナーを攪拌しながら汲み上げてトナー排出部材122へ搬送する。
このとき、トナー汲み上げ部材125bは、その可撓性によって、トナー収容容器121の内壁に沿って摺動して変形しつつ回転し、トナーをトナー排出部材122側に供給する。
なお、トナー排出部材122とトナー攪拌部材125との間には、トナー攪拌部材125によって汲み上げられたトナーがトナー排出部材122の周辺に適量のトナーを保持できるように、トナー排出部材隔壁124が設けられている。
【0068】
トナー排出部材122は、トナー収容容器121の長手方向両側の側壁に両端が回転可能に支持された回転軸122bと、回転軸122bの外周面に固定された螺旋羽根122aと、トナー収容容器121の前記側壁を貫通した回転軸122bの一端に固定されたギア122cとで構成されている。
ギア122cは、図示しない駆動手段の駆動ギアと噛合している。
トナー排出口123はトナー排出部材122によってトナーを搬送する方向の下流側に配置されている。
トナー排出部材122が回転することにより、トナーは螺旋羽根122によってトナー排出口123側に向けて搬送され、トナー排出口123からトナー搬送パイプ102を介して現像剤槽111内へ供給される。
【0069】
《現像装置の作動》
次に、図9〜図14を参照しながら現像装置2の作動について説明する。
画像形成装置の現像工程においては、図9および図10に示すように、現像装置2の現像ローラ314、第1・第2スクリュー形シャフト312、313がそれぞれ矢印J、K方向に回転する。
このとき、第1現像剤搬送路P内の現像剤が第1スクリュー形シャフト312によってその回転周方向に撹拌されながら矢印X方向(図10、図11参照)に搬送されて下流側へ送られると共に、第2現像剤搬送路Q内の現像剤が第2スクリュー形シャフト313によってその回転周方向に撹拌されながら矢印Y方向(図10参照)に搬送されて下流側へ送られる。
これと同時に、第1現像剤搬送路P内の下流側の現像剤が撹拌羽根部312aa1、312ab1によって汲み上げられてスムーズに第1連通路aを介して第2現像剤搬送路Qへ送られると共に、第2現像剤搬送路Q内の下流側の現像剤が撹拌羽根部313aa1、313ab1によって汲み上げられてスムーズに第2連通路bを介して第1現像剤搬送路Pへ送られる。
このように、現像剤槽311内の現像剤は第1現像剤搬送路Pと第2現像剤搬送路Qの間で循環し、現像剤のトナーはキャリアとの摩擦により十分に帯電する。
【0070】
また、第2現像剤搬送路Q内を移動する現像剤の一部は現像ローラ314に供給される。
現像ローラ314に供給される現像剤は、ドクターブレード316によって現像ローラ314の外周面に均一な所定厚みの現像剤層となって感光体ドラム3(図9参照)へ送られ、現像剤層から一部のトナーが感光体ドラム3へ供給され、その後、トナー濃度が低下した現像剤が現像ローラ314から第2現像剤搬送路Q内の現像剤と混合する。
したがって、第2現像剤搬送路Q内の現像剤のトナー濃度は徐々に低下していく。
【0071】
第2現像剤搬送路Q内の現像剤のトナー濃度は、トナー濃度検知センサ319によって検知されているため、トナー濃度が所定値以下となると、トナー補給装置22から第1現像剤搬送路P内の現像剤(内在現像剤)上に未使用のトナーが補給され、第1スクリュー形シャフト312の回転によって補給トナーは内在現像剤中に混合され分散していく。
【0072】
(中間転写ベルトユニットおよび中間転写ベルトクリーニングユニット)
図8に示すように、各感光体ドラム3の上方に配置された中間転写ベルトユニット8は、中間転写ベルト7と、中間転写ベルト7を張架して図8の矢印B方向に回転駆動させるための中間転写ローラ6a、6b、6c、6d(以下、符号を6に統一して説明する)、駆動ローラ71、従動ローラ72およびベルトテンション機構(図示省略)と、駆動ローラ71の横に近接して配置された転写ローラ11とを備える。なお、各中間転写ローラ6は、ベルトテンション機構におけるローラ取付部に回転可能に支持されている。
さらに、中間転写ベルトユニット8の従動ローラ72側には中間転写ベルトクリーニングユニット9が配置されている。
【0073】
中間転写ベルト7が各感光体ドラム3に接触するよう、駆動ローラ71と従動ローラ72は4つの感光体ドラム3のうちの両側の感光体ドラム3よりも外側に配置されている。
中間転写ベルト7は、厚さが例えば100〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されており、その外側の面上に、各感光体ドラム3に形成された各色成分のトナー像が順次重ねて転写されてカラートナー像(多色トナー像)が形成される。
【0074】
各感光体ドラム3から中間転写ベルト7へのトナー像の転写は、中間転写ベルト7の内側の面に接触している各中間転写ローラ6によって行われる。
中間転写ローラ6は、直径が例えば8〜10mmの金属軸(例えばステンレス製)と、金属軸の外周面を覆う導電性の弾性材層によって覆われている。
この導電性の弾性材層の材料としては、例えば、カーボンブラックなどの導電剤を含むエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、発泡ウレタン等が挙げられる。
中間転写ローラ6の金属軸には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加され、これによって中間転写ローラ6は中間転写ベルト7に対して均一に高電圧を印加することができる。
本実施の形態では、転写電極として中間転写ローラ6を使用しているが、これ以外にブラシなども用いることが可能である。
【0075】
中間転写ベルト7の外側の面上に積層されたトナー像は、中間転写ベルト7が回転することによって転写ローラ11の位置(転写部)に移動する。
一方、記録媒体もシート搬送路Sを通って転写部に搬送され、転写ローラ11によって記録媒体が中間転写ベルト7側へ押し付けられることにより、中間転写ベルト7上のトナー像が記録媒体上に転写される。
この場合、中間転写ベルト7と転写ローラ11とは所定ニップで互いに圧接されると共に、転写ローラ11にはトナー像を記録媒体に転写させるためのトナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧が印加される。
また、中間転写ベルト7と転写ローラ11との前記ニップが定常的に得られるよう、転写ローラ11と駆動ローラ71の何れか一方は金属といった硬質材料から形成され、他方はゴムや発泡樹脂等の軟質材料から形成される。
【0076】
中間転写ベルト7から記録媒体へ転写されずに中間転写ベルト7上に残存したトナーは、中間転写ベルト7上に新たなトナー像を積層する際にトナーの混色を発生させる原因となるため、中間転写ベルトクリーニングユニット9によって除去され回収される。
中間転写ベルトクリーニングユニット9は、中間転写ベルト7に接触して残留トナーを除去するクリーニングブレードと、除去されたトナーを回収するトナー回収部とを備えている。なお、中間転写ベルト7におけるクリーニングブレードに接触している部分は、従動ローラ72にて支持されている。
【0077】
(シート搬送路およびその周辺部材)
図8に示すように、シート搬送路Sは、給紙トレイ10および手差しトレイ20から後述する定着装置12を通って排紙トレイ15に通じており、その周辺には、ピックアップローラ16a、16b、搬送ローラ25a〜25f(以下、符号を25に統一して説明する)、レジストローラ14、転写ローラ11、定着装置12等が配置されている。
搬送ローラ25は、シートの搬送を促進および補助するための小型ローラであり、シート搬送路Sに沿って複数対設けられている。
ピックアップローラ16aは、給紙トレイ10の端部に備えられ、給紙トレイ10からシート状の記録媒体(記録用紙)を1枚ずつシート搬送路Sに供給する呼び込みローラである。
ピックアップローラ16bは、手差しトレイ20の近傍に備えられ、手差しトレイ20から記録媒体を1枚ずつシート搬送路Sに供給する呼び込みローラである。
レジストローラ14は、シート搬送路Sを搬送されている記録媒体を一旦保持し、中間転写ベルト7上のトナー像の先端と記録媒体の先端とを合わせるタイミングで、記録媒体を転写部に搬送するものである。
【0078】
〔定着装置収容部〕
図8に示すように、定着装置収容部100Bに収容された定着装置12は、トナー画像が転写された記録媒体を挟んで相互に逆方向に回転するヒートローラ81および加圧ローラ82と、搬送ローラ25bと、排紙ローラ25cとを備えている。
ヒートローラ81は、所定の定着温度となるように図示しない制御部によって制御される。なお、この制御部は、図示しない温度検出器からの検出信号に基づいてヒートローラ81の温度を制御する。
定着温度に昇温したヒートローラ81と加圧ローラ82は、記録媒体に圧接してトナーを溶融することにより、記録媒体上にトナー画像を定着させる。
トナー像が定着された記録媒体は、搬送ローラ25bと排紙ローラ25cによってシート搬送路Sの反転排紙経路に搬送され、反転された状態(トナー像を下側に向けた状態)で排紙トレイ15上に排出される。
【0079】
<トナーカートリッジ:実施形態4>
図15は実施形態3で説明した画像形成装置に搭載されるトナーカートリッジ(実施形態4)を具備するトナーカートリッジユニットの構成を示す斜視図である。
また、図16(A)は実施形態4におけるトナーカートリッジの側面断面図であり、図16(B)は図16(A)におけるトナーカートリッジのF−F線断面図であり、図16(C)は図16(A)におけるトナーカートリッジのG−G線断面図であり、図16(D)は図16(A)におけるトナーカートリッジのH−H線断面図である。
【0080】
詳しく説明すると、図15および図16に示すトナーカートリッジ400は、実施形態3で説明した画像形成装置のトナー補給装置22(図13および図14参照)の代わりに置き換えられる。
このトナーカートリッジ400は、カートリッジ本体411と、カートリッジ本体411内に設けられた本発明の現像剤搬送装置G2(図2参照)およびパドル部材406を備えている。
具体的に説明すると、トナーカートリッジ400は、一方向に長い密封容器状に形成されてその長手方向一端側にトナー排出口404aを有するトナー収容用カートリッジ本体411と、カートリッジ本体411の外面側に設けられてトナー排出口404aを開閉するためのシャッター403と、カートリッジ本体411内に長手方向の回転軸心廻りに回転可能にかつトナー排出口404aと重なる位置に設けられてカートリッジ本体411内のトナー(図示省略)をトナー排出口404aへ搬送するためのスクリュー形シャフト412と、カートリッジ本体411内にスクリュー形シャフト412の回転軸412bと平行な回転軸406aを有しカートリッジ本体411内のトナーをスクリュー形シャフト412側へ送り込むための前記パドル部材406とを備える。
【0081】
このトナーカートリッジ400において、カートリッジ本体411は、略直方体部分411aと、略直方体部分411aの長手方向の一端側に連設された突出部分411bとを有している。なお、カートリッジ本体411内のスクリュー形シャフト412の回転軸412bの一端は、突出部分411bの側壁を貫通して外部に突出しており、その一端にギア412cが取り付けられている。
【0082】
トナーカートリッジ400は、図15に示すように、トナーカートリッジホルダ40xに4つ並んで装着されており、これによりトナーカートリッジユニット40が構成されている。
トナーカートリッジホルダ40xは、上方開口容器形であって、その内部には区画壁によって仕切られた4つの凹部を有し、4つ凹部にトナーカートリッジ400が収容される。
また、トナーカートリッジホルダ40xの凹部の長手方向両側の壁部には、各トナーカートリッジ400の前記ギア412cを挿通させる窓部およびロックレバー40aが揺動可能に取り付けられた切欠き部が形成されている。
トナーカートリッジ400をトナーカートリッジホルダ40xの凹部に嵌め込み、トナーカートリッジホルダ40xのロックレバー40aを持ち上げることにより、カートリッジ本体411を右方向(矢印F方向)に移動させて、トナーカートリッジホルダ40xのストッパプレート40bに押し当てた状態で保持される。
【0083】
さらに、トナーカートリッジホルダ40xの凹部の底壁には、装着された各トナーカートリッジ400のトナー排出口404aと対向する位置からその近傍の端縁に亘って切欠き窓部(図示省略)が形成されている。
画像形成装置にトナーカートリッジユニット40を装着する際、トナーカートリッジ400がトナー補給パイプ102(図9参照)に対して略水平方向に移動することにより、前記切欠き窓部を通過したトナー補給パイプ102の上端にシャッター403の端面が当接してシャッター403が略水平方向に移動し、トナー排出口404aがトナー補給パイプ102と対向する位置に配置されると、トナー排出口404aが開放する。
なお、画像形成装置には、各トナーカートリッジ400のパドル部材406側のギアとスクリュー形シャフト412側のギアとにそれぞれ噛合して駆動モータからの回転力を伝達する駆動ギアが設けられている。
【0084】
カートリッジ本体411はその内部に、パドル部材406が配置される大容積の空間であってトナーの大半が収容されるトナー収容部401xと、スクリュー形シャフト412が配置される小容積の空間であってトナー収容部401xと連通して隣接しかつその長手方向の一端側にトナー排出口404aが配置されたトナー搬送路401yとを有している。
このトナー搬送路401yの長手方向の一端部分は、カートリッジ本体411の突出部分411bの内部空間であって、トナー排出口404aを有するトナー排出部404となっている。
つまり、カートリッジ本体411は、トナー搬送路401yがトナー収容部401xよりも長手方向の一端側へ突出する形状に形成されていると共に、トナー排出口404aは、トナー収容部401xよりも長手方向の一端側へ突出したトナー搬送路401yの突出空間に配置されている。
なお、トナー収容部401xおよびトナー搬送路401yの底面は円弧状に形成されている。
【0085】
トナー排出口404aは、トナー排出部404の底部に設けられる四角形の開口部であり、スクリュー形シャフト412で運ばれてきたトナーをトナーカートリッジ400の外部へ排出するための下流開口部である。
シャッター403は、トナー排出口404aを閉鎖する位置にスライド可能に設けられる略四角形の板状のシャッターであり、トナーカートリッジ400が画像形成装置に装着された際にトナー排出口404aを開放するためのものである。
トナーカートリッジ400が画像形成装置に装着される前の状態において、シャッター403は、例えば、図示しないバネ部材によってトナー排出口404aを閉鎖する方向に弾発付勢されている。
【0086】
パドル部材406は、回転軸406aと、回転軸406aに取り付けられた1枚の長方形撹拌羽根406bとを有してなる。
回転軸406aの一端は、トナー収容部401x内のカートリッジ本体411の長手方向一端側の側壁を回転可能に貫通し、その一端に図示しないギアが取り付けられている。
また、回転軸406aの他端は、トナー収容部401x内のカートリッジ本体411の長手方向他端側の側壁に設けられた凹部に回転可能に嵌め込まれて支持されている。
【0087】
撹拌羽根406bは、適度な柔軟性と剛性を併せ持つ樹脂シート(例えば、PETシート)、ゴムシート等の可撓性シート部材からなり、その長さはトナー収容部401xの長さよりも僅かに短い寸法であり、その幅はトナー収容部401xの底面に摺接するまたは底面に近接する寸法である。
攪拌パドル406は、回転軸406aが回転することにより、トナー収容部401x内のトナーを解し、かつ解したトナーを汲み上げてトナー搬送路401y内に送り込む。
【0088】
トナー搬送装置G2は、カートリッジ本体411と一体化され、トナーカートリッジ400の構成の一部として組み込まれている。
つまり、図2と図16とを参照しながら説明すると、トナー搬送装置G1のトナー搬送筒体111Bがカートリッジ本体411におけるスクリュー形シャフト412の周囲壁部に相当し、スクリュー形シャフト112がスクリュー形シャフト412に相当し、トナー搬送装置G1のトナー導入口がトナー搬送路401yとトナー収容部401xとの境界にある連通部分に相当し、下流開口部111dがトナー排出口404aに相当する。
【0089】
したがって、このトナーカートリッジ400は、トナー搬送装置G2およびこのトナー搬送装置G2に隣接して配置されたトナー収容部401xを内部に有するカートリッジ本体411と、カートリッジ本体411の外面側に設けられてトナー排出口404aを開閉するためのシャッター403と、カートリッジ本体411内に回転可能に設けられてトナー収容部401x内のトナーをトナー導入口からトナー搬送路401y内へ送り込むためのパドル部材406とを備えている。
なお、図16において、符号412aa、412abは螺旋羽根、412aa1、412ab1は撹拌羽根部、412baは錐状部、412cはギアを表している。
【0090】
〔トナーカートリッジの作用効果〕
トナーカートリッジ200を画像形成装置に装着することにより、シャッター203が開いてトナー排出口404aとトナー補給パイプ102とが連通する。
そして、画像形成装置の駆動時に、パドル部材406が回転してトナー収容部401x内のトナーを解しながら掻き出すようにしてトナー搬送路401yへ送り、かつスクリュー形シャフト412が回転してトナー搬送路401y内のトナーをトナー排出部404へ送り、トナーがトナー排出口404aからトナーパイプ102を通って現像装置2へ補給される(図8参照)。
【0091】
このとき、トナーカートリッジ400は、使用前の状態において、トナー排出部404側にトナーの凝集物や塊が存在する場合がある。
しかしながら、スクリュー形シャフト412の撹拌羽根部412aa1、412ab1および錐状部412baの作用により、トナー排出部404の凝集トナーは解されて流動性を回復し、トナー排出部404のトナーはトナー排出口404aからスムーズに押し出されて現像装置2へ補給される。
したがって、トナー搬送路401yの下流側壁面にトナーが突き当たって押圧され、ストレスを受けて流動性が低下することが抑制されると共に、トナー排出部404内でトナーが圧密状態となって生じるスクリュー形シャフト412のロック現象が防止され、現像装置2へ適切にトナーが補給される。
【0092】
(クリーニングユニット:実施形態5)
図17は実施形態3で説明した画像形成装置に搭載されるクリーニングユニット(実施形態5)の構成を示す上流側から見た概略断面図であり、図18は実施形態5のクリーニングユニットを示す断面図である。
詳しく説明すると、図17および図18に示すクリーニングユニット500は、実施形態3で説明した画像形成装置のクリーナユニット4または中間転写ベルトクリーニングユニット9(図8参照)の代わりに置き換えられる。
このクリーニングユニット500は、本発明の現像剤搬送装置G2(図2参照)と、現像剤搬送装置G2の現像剤搬送筒体511におけるトナー導入口501aの開口縁に取り付けられた上ブレード部材(クリーニングブレード)502および下ブレード部材(廃トナー落下防止マイラー)503とを備え、中継搬送装置530を介して廃トナー回収部510と接続されている。
【0093】
クリーニングユニット500は、転写後に残留する感光体ドラム3の表面の残留トナーを除去するものである。
クリーニングユニット500に設けられた現像剤搬送装置G2は、内部のトナー搬送路501yと、トナー搬送路501yの下流側に配置されたトナー排出口504aを有するトナー排出部504と、感光体ドラム3側に開口するトナー導入口501aとを有する略直方体形の現像剤搬送筒体511を備えると共に、現像剤搬送筒体511内に回転可能に設けられた実施形態1と同じ構成のスクリュー形シャフト512を備えてなる。
なお、図17と図18において、符号512aa、512abは螺旋羽根、512aa1、512ab1は撹拌羽根部、512bは回転軸、512baは錐状部、512cはギアを表している。
【0094】
上ブレード部材502は、所定硬度のゴム状部材からなり、感光体ドラム3の表面に当接して残留トナーを落とすように、先端側に向って下方へ傾斜した状態でビスにてトナー搬送筒体511に取り付けられている。
下ブレード部材503は、プラスチック材からなり、上ブレード部材502にて感光体ドラム3の表面から落とされた残留トナーを受けて現像剤搬送路601y内に導入するよう、先端側に向って上方へ傾斜した状態で現像剤搬送筒体611に取り付けられている。
なお、図17において、矢印Aは感光体ドラム3の回転方向を示している。
【0095】
中継搬送装置530は、トナー搬送装置G2のトナー排出口504aと廃トナー回収部510とを連通接続する可撓性チューブからなる中継搬送路531と、中継搬送路531内に回転可能に設けられたコイルスプリング532と、コイルスプリング532を回転駆動する駆動部533とを備える。
さらに詳しく説明すると、トナー搬送筒体511の下流側の端部には、トナー排出口504aと連通するL字形の接続筒部501bが設けられている。この接続筒部501bの下端は、トナー排出口504aと直交する向きに開口して中継搬送路531と接続されている。そして、コイルスプリング532の搬送上流側端部は、接続筒部501b内に配置されている。
【0096】
中継搬送装置530の駆動部533としては、例えば、接続筒部501bの側壁を貫通して回転可能に枢着された連動軸と、該連動軸の接続筒部501bの内部側の端部に固着された図示しない回転板と、スクリュー形シャフト512の回転軸512bの回転力を連動軸に伝達する図示しない伝達ギヤ等を備えた構成とすることができ、前記回転板にコイルスプリング532の搬送上流側の端部が連結される。
廃トナー回収部510は、中継搬送路531の搬送下流側と連通接続する上部接続口を有する外側ボックスと、外側ボックス内に着脱可能に装着される上方開口状の廃トナー回収ボックスとを備える。
【0097】
このように構成されたクリーニングユニット500は、感光体ドラム3の外周面に所定圧力で接触する上ブレード部材502の先端が、回転する感光体ドラム3の表面から弾かれる現象(いわゆる「スティック・スリップ現象」)を利用して、感光体ドラム3の表面に付着した残留トナーおよび紙粉等を感光体ドラム3から弾き飛ばし、下ブレード部材503によって弾き飛ばされた残留トナー等が現像剤搬送筒体511内に導入される。
【0098】
このように構成されたクリーニングユニット500によれば、スクリュー形シャフト512が回転することにより、現像剤搬送筒体511内に導入された廃トナーおよび紙粉等をトナー排出口504aへ搬送して中継搬送装置530内へ送り込む。
この場合も、実施形態4と同様に、クリーニングユニット500におけるトナー排出部504内で廃トナーが塊となって生じるロック現象は防止される。
【0099】
一方、スクリュー形シャフト512の回転時には、中継搬送装置530の駆動部533が連動してコイルスプリング532も回転しており、中継搬送路531内の廃トナーは、回転するコイルスプリング532にて中継搬送路531内を搬送されて廃トナー回収部510内に落とし込まれる。
なお、廃トナー回収部510内に回収された廃トナー(残留トナーや紙粉等を含む)は、ある程度の量が集積された時、またはクリーニングユニットG2が所定時間駆動した後、あるいは定期的なメンテナンス時に、外側ボックスから廃トナー収容ボックスを取り出して廃棄される。
【0100】
(他の実施形態)
実施形態3〜5の現像剤搬送装置G1におけるスクリュー形シャフト112の代わりに、実施形態2のスクリュー形シャフト212(図6参照)を用いてもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 露光ユニット(露光装置)
2、2a〜2d 現像装置
3、3a〜3d 感光体ドラム
5、5a〜5d 帯電器(帯電装置)
8 中間転写ベルトユニット(転写装置)
12 定着ユニット(定着装置)
22、22a〜22d トナー補給装置
100 画像形成装置
100A 現像装置収容部
100B 定着装置収容部
115a、315a トナー導入口
111d 下流開口部
111A、111B 現像剤搬送筒体
112 スクリュー形シャフト
112b 回転軸
112aa、112ab 螺旋羽根
112ba 錐状部
112aa1、112ab1 撹拌羽根部
311 現像剤槽
312 第1スクリュー形シャフト
313 第2スクリュー形シャフト
314 現像ローラ
400 トナーカートリッジ
500 クリーニングユニット
G1、G2 現像剤搬送装置
P 第1現像剤搬送路
Q 第2現像剤搬送路
a 第1連通路
b 第2連通路
f 現像剤搬送路
α リード角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に配置された一方向に延びる現像剤搬送路、該現像剤搬送路内に外部からトナーを導入するために現像剤搬送路の上流側に配置されたトナー導入口、および前記現像剤搬送路の下流側における前記一方向と直角な方向に開口して少なくともトナーを含む現像剤を流通させる下流開口部を有する現像剤搬送筒体と、
前記現像剤搬送筒体内に回転可能に設けられて、前記現像剤搬送路内の現像剤を上流側から下流側へ搬送するスクリュー形シャフトとを備え、
前記スクリュー形シャフトは、前記現像剤搬送筒体が有する上流側壁部と下流側壁部に回転可能に支持された回転軸と、該回転軸の外周面に取り付けられた螺旋羽根とを有し、
前記回転軸は前記下流開口部を臨む位置に下流側に向うにつれて徐々に太くなる錐状部を有し、かつ前記螺旋羽根は前記下流開口部を臨む位置にそのリード角が下流側に向うにつれて徐々に大きくなる撹拌羽根部を有していることを特徴とする現像剤搬送装置。
【請求項2】
前記撹拌羽根部のリード角が連続的に大きくなっている請求項1に記載の現像剤搬送装置。
【請求項3】
前記撹拌羽根部のリード角の最大値が90°である請求項1または2に記載の現像剤搬送装置。
【請求項4】
前記錐状部は、その外周面に螺旋溝を有しており、この前記螺旋溝の螺旋巻き方向が、前記螺旋羽根の螺旋巻き方向と逆方向である請求項1〜3のいずれか1つに記載の現像剤搬送装置。
【請求項5】
前記螺旋羽根が、二重螺旋羽根である請求項1〜4のいずれか1つに記載の現像剤搬送装置。
【請求項6】
表面に静電潜像が形成される感光体ドラムを備えた電子写真方式の画像形成装置に装着される現像装置であって、
第1現像剤搬送路としての前記現像剤搬送路および第1スクリュー形シャフトとしての前記スクリュー形シャフトを有する請求項1〜5のいずれか1つに記載の現像剤搬送装置を一体状に具備し、かつトナーとキャリアとを含む二成分現像剤が収容される現像剤槽と、
該現像剤槽内に前記第1現像剤搬送路と平行に隣接して配置された第2現像剤搬送路および第2現像剤搬送路内に回転可能に設けられた第2スクリュー形シャフトと、
前記現像剤槽内に設けられ二成分現像剤を担持した状態で回転しながら静電潜像が形成された感光体ドラムの表面にトナーを供給するための現像ローラとを備え、
前記第1現像剤搬送路の下流端は第1連通路としての前記下流開口部にて前記第2現像剤搬送路の上流端と連通し、かつ前記第1現像剤搬送路の上流端は第2連通路にて前記第2現像剤搬送路の下流端と連通し
前記第1および第2スクリュー形シャフトが相互に逆方向に現像剤を搬送して前記現像剤槽内で循環させ、かつ前記現像ローラに現像剤を供給するように構成された現像装置。
【請求項7】
前記第2現像剤搬送路および第2スクリュー形シャフトが、請求項1〜5のいずれか1つに記載の別の現像剤搬送装置にて構成されており、
前記別の現像剤搬送装置の下流開口部が前記第2連通路として機能する請求項6に記載の現像装置。
【請求項8】
前記現像剤槽は、前記第1および第2連通路のうちの少なくとも一方の底部に逆流防止突条部を有しており、
第1および第2スクリュー形シャフトは、それらの前記螺旋羽根の外周部が前記逆流防止突条部に対して下方から近接する方向に回転する請求項7に記載の現像装置。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の現像剤搬送装置およびこの現像剤搬送装置に隣接して配置されたトナー収容部を内部に有するカートリッジ本体と、該カートリッジ本体の外面側に設けられて前記現像剤搬送装置のトナー排出口としての前記下流開口部を開閉するためのシャッターと、前記カートリッジ本体内に回転可能に設けられて前記トナー収容部内のトナーを前記現像剤搬送装置の前記トナー導入口から前記現像剤搬送路内へ送り込むためのパドル部材とを備えたトナーカートリッジ。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の現像剤搬送装置と、該現像剤搬送装置の前記現像剤搬送筒体における前記トナー導入口の開口縁に取り付けられたブレード部材とを備えたクリーニングユニット。
【請求項11】
表面に静電潜像が形成される感光体ドラムと、該感光体ドラムの表面を帯電させる帯電装置と、前記感光体ドラムの表面に静電潜像を形成する露光装置と、前記感光体ドラムの表面の静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する請求項6〜8のいずれか1つに記載の現像装置と、該現像装置にトナーを補給するトナー補給装置と、前記感光体ドラムの表面のトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、トナー像を記録媒体に定着させる定着装置とを備えた画像形成装置。
【請求項12】
表面に静電潜像が形成される感光体ドラムと、該感光体ドラムの表面の静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する現像部と、該現像部にトナーを補給するための請求項9に記載のトナーカートリッジと、前記感光体ドラムの表面のトナー像を記録媒体に転写する転写部と、前記トナー像を記録媒体に定着させる定着部とを備えた画像形成装置。
【請求項13】
表面に静電潜像が形成される感光体ドラムと、該感光体ドラムの表面の静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する現像部と、前記感光体ドラムの表面のトナー像を記録媒体に転写する転写部と、前記トナー像を記録媒体に定着させる定着部と、廃トナー回収部と、前記ブレード部材が前記感光体ドラムの表面に当接するように設けられた請求項10に記載のクリーニングユニットとを備え、該クリーニングユニットによって転写後に残留する前記感光体ドラムの表面の残留トナーを除去して前記廃トナー回収部へ搬送する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−8257(P2012−8257A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142826(P2010−142826)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】