説明

現像装置及びこれを備えた画像形成装置

【課題】トナー補給部内に補給用トナーを疎密なく均一に充填して現像剤収容部に補給用トナーを経時的に安定して供給することができる現像装置を提供する。
【解決手段】トナー収容部177内に回転自在に形成され、軸方向に沿って配設されたフィルム状の搬送羽根178bを有し、補給用トナーTをトナー補給部175に充填供給するトナー充填部材178と、トナー補給部175内に配設され、充填された補給用トナーTを現像剤収容部173に供給する回転自在に形成されたトナー搬送部材175aと、トナー充填部材178の搬送羽根178bの周回位置を検出する周回位置検出手段PMと、周回位置検出手段PMによって検出されたトナー充填部材178の搬送羽根178bの周回位置に基づいて、トナー搬送部材175a及び/又はトナー充填部材178の回転状態を変更制御する回転状態変更制御手段CCMとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー補給部を介してトナー収容部から現像収容部へと補給用トナーを供給する現像装置の改良及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2006−276810号公報
【0003】
従来、電子写真方式を適用した複写機、プリンタ、ファクシミリあるいはこれらの機能を兼ね備えた複合機等の画像形成装置として、トナーと磁性キャリアとを含む、いわゆる二成分現像剤を使用するものが広く普及している。この種の画像形成装置では、二成分現像剤を収容した現像装置を像保持体に対向配置し、像保持体の表面にトナーを転移させて静電潜像を可視像化するようになっている。また、このような画像形成装置では、トナータンクを現像装置と一体化し、画像形成装置の本体に対して着脱可能とし、所定量の画像形成が行われると現像装置を含むユニット又はカートリッジを画像形成装置の本体から取り出して交換することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ここで、特許文献1には、ハウジング内にトナー収容部と現像剤収容部とこれらを連通するトナー補給部とを備え、トナー収容部内に配設されたアジテータにより、トナー収容部とトナー補給部との間に設けられたトナー充填口へ補給用トナーを供給し、かかるトナー補給部内に配設されたオーガーにより、補給用トナーを軸方向に撹拌搬送し、トナー補給部と現像剤収容部との間に形成されたトナー供給口から当該補給用トナーを現像剤収容部へ供給するように構成した現像装置が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的とするところは、トナー収容部からトナー補給部を介して現像剤収容部に補給用トナーを供給する現像装置において、当該トナー補給部内に補給用トナーを疎密なく均一に充填して現像剤収容部に補給用トナーを経時的に安定して供給することができる現像装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された現像装置は、その内部に磁界発生手段を有して、トナーと磁性キャリアとが含まれる二成分現像剤を搬送保持する現像剤保持体と、該現像剤保持体に隣接して二成分現像剤を収容する現像剤収容部と、該現像剤収容部にトナー補給部を介して連通すると共に、このトナー補給部を通じて補給用トナーを現像剤収容部に供給可能に収容するトナー収容部とを有する現像装置において、前記トナー収容部内に回転自在に形成され、軸方向に沿って配設されたフィルム状の搬送羽根を有し、前記補給用トナーをトナー補給部に充填供給するトナー充填部材と、前記トナー補給部内に配設され、充填された補給用トナーを前記現像剤収容部に供給する回転自在に形成されたトナー搬送部材と、前記トナー充填部材の搬送羽根の周回位置を検出する周回位置検出手段と、前記周回位置検出手段によって検出された前記トナー充填部材の搬送羽根の周回位置に基づいて、前記トナー搬送部材及び/又はトナー充填部材の回転状態を変更制御する回転状態変更制御手段とを備えることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載の現像装置は、請求項1に記載の構成において、前記回転状態変更制御手段は、前記周回位置検出手段が、前記トナー充填部材の搬送羽根の周回位置を、少なくともトナー充填口の開口領域に対応する所定の周回領域内で検出した場合には、前記トナー搬送部材の駆動を許容する一方、該所定の周回領域外で検出した場合には、前記トナー搬送部材の駆動を禁止することを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に記載された現像装置は、請求項1又は2に記載の構成において、前記回転状態変更制御手段は、さらに、前記周回位置検出手段により検出された前記トナー充填部材の搬送羽根の周回位置に基づいて、前記トナー充填部材の回転速度を変更制御することを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に記載の現像装置は、請求項3に記載の構成において、前記回転状態変更制御手段は、前記周回位置検出手段がトナー充填口の開口領域に対応する所定の周回領域を検出している間は、該所定の周回領域外を検出している間に比し、前記トナー充填部材の回転速度を相対的に遅くすることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5に記載の現像装置は、請求項1ないし4のいずれかに記載の構成において、形成した画像のピクセル数を累積カウントするカウント手段をさらに備え、前記回転状態変更制御手段は、前記カウント手段の累積ピクセルカウント数が設定値を超えた場合に、前記トナー充填部材の搬送羽根の周回位置に基づいた前記トナー搬送部材及び/又はトナー充填部材の回転状態の変更制御を行うことを特徴とするものである。
【0011】
請求項6に記載の現像装置は、請求項5に記載の構成において、前記設定値は、補給用トナーの複数の水位に対応させて複数設けられており、前記回転状態変更制御手段は、前記カウント手段の累積ピクセルカウント数に基づいて、前記各設定値ごとに前記トナー搬送部材の駆動を許容する前記トナー充填部材の所定の周回領域を変更することを特徴とするものである。
【0012】
請求項7に記載の現像装置は、請求項1ないし6のいずれかに記載の構成において、前記周回位置検出手段は、前記トナー充填部材の駆動軸の回転角度を検出することにより、前記トナー充填部材の搬送羽根の周回位置を検出することを特徴とするものである。
【0013】
請求項8に記載の現像装置は、請求項7に記載の構成において、前記周回位置検出手段は、前記駆動軸を駆動するギアに設けられた穴を検出することにより、前記駆動軸の回転角度を検出することを特徴とするものである。
【0014】
請求項9に記載の現像装置は、請求項8に記載の構成において、前記穴は、ギアと同心円状に形成された円弧状の穴であることを特徴とするものである。
【0015】
請求項10に記載の現像装置は、請求項7に記載の構成において、前記周回位置検出手段は、前記駆動軸を駆動するギアに設けられた反射板を検出することにより、前記駆動軸の回転角度を検出することを特徴とするものである。
【0016】
請求項11に記載の現像装置は、請求項1ないし10のいずれかに記載の構成において、前記トナー充填部材の搬送羽根を複数枚設けたことを特徴とするものである。
【0017】
請求項12に記載の画像形成装置は、請求項1ないし11のいずれかに記載の現像装置と、記録用紙に所定の画像を形成する画像形成手段とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、トナー充填部材の搬送羽根の周回位置に応じて変動する補給用トナーの供給量を、当該周回位置に基づいてトナー搬送部材及び/又はトナー充填部材の回転状態を変更することにより効果的に変動抑制して、補給用トナーの経時的に安定した定量供給性の向上に寄与することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、トナー搬送部材を駆動する際には、トナー充填部材の搬送羽根がトナー充填口近傍に位置することとなり、トナー補給部内に補給用トナーが確実に供給されてトナー補給部から現像剤収容部への補給用トナーの供給性能の向上に寄与することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、トナー充填部材とトナー搬送部材の間での補給用トナーの適切な受け渡しを可能とするトナー充填部材の回転速度を、トナー充填部材の搬送羽根の周回位置に基づいて適切に設定することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、トナー搬送部材の駆動が禁止されている時間を短くして、トナー搬送部材の駆動制限に伴う補給用トナーの応答性の低下を未然に防止し、高密度画像を形成する場合などの多量のトナー消費に対して十分なトナー補給性能を確保することができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、トナー充填部材からトナー搬送部材への補給用トナーの受け渡しが円滑に行われる段階でのトナー搬送部材の駆動制限を不要とし、駆動制限に伴うトナー追従能力のむやみな低下を未然に防止することができる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、トナー収容部内の補給用トナーの残量に応じたトナー充填部材及びトナー搬送部材のより適切な協調動作により、一層安定した補給用トナーの定量供給性能の向上に寄与することができる。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、搬送羽根の周回位置を検出することができる周回位置検出手段を容易に実現することができる。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、搬送羽根の周回位置を検出する周回位置検出手段を簡易な構成で容易に実現することができる。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、搬送羽根の周回位置を検出する周回位置検出手段を簡易な構成で容易に実現することができる。
【0027】
請求項10に記載の発明によれば、搬送羽根の周回位置を検出する周回位置検出手段を簡易な構成で容易に実現することができる。
【0028】
請求項11に記載の発明によれば、トナー充填部材が一周回転する間のトナー搬送部材の駆動禁止時間を簡易な構成で容易に短縮することができる。
【0029】
請求項12に記載の発明によれば、上記いずれかの現像装置を画像形成装置に好適に適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0031】
まず、本発明が適用可能な画像形成装置の一実施形態について、図1を参照して説明する。ここで、図1は本発明が適用可能なタンデム型カラー画像形成装置の概略構成図である。
【0032】
本実施の形態に係る画像形成装置は、例えば、原稿読取装置により読み取られたカラー原稿のカラー画像情報、図示しないパーソナルコンピュータや画像データ入力装置等から送られてくるカラー画像情報等が入力され、入力された画像情報に対して画像処理が行われるようになっている。
【0033】
図1において、1はタンデム型のデジタルカラー画像形成装置の本体を示すものであり、本体1の上部に、原稿2を一枚ずつ分離した状態で自動的に搬送する自動原稿搬送装置(ADF)3と、当該自動原稿搬送装置3によって搬送される原稿2の画像を読み取る原稿読取装置4が配設されている。この原稿読取装置4は、プラテンガラス5上に載置された原稿2を光源6によって照明し、原稿2からの反射光像を、フルレートミラー7及びハーフレートミラー8,9及び結像レンズ10からなる縮小光学系を介してCCD等からなる画像読取素子11上に走査露光して、この画像読取素子11によって原稿2の色材反射光像を所定のドット密度(例えば、16ドット/mm)で読み取るようになっている。
【0034】
上記原稿読取装置4によって読み取られた原稿2の色材反射光像は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)(各8bit)の3色の原稿反射率データとしてIPS(Image Processing System)12に送られ、このIPS12では、原稿2の反射率データに対して、シェーデイング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の所定の画像処理が施される。また、IPS12は、パーソナルコンピュータ等から送られてくる画像データに対しても、所定の画像処理を行うようになっている。
【0035】
そして、上記の如くIPS12で所定の画像処理が施された画像データは、同じくIPS12によって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)(各8ビット)の4色の原稿再現色材階調データに変換され、次に述べるように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット13Y,13M,13C,13KのROS(Raster Output Scanner)14に送られ、露光手段であるROS14では、所定の色の原稿再現色材階調データに応じてレーザ光LBによる画像露光が行われる。
【0036】
4つの画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kは、複数の張架ロールにより張架された無端状の中間転写ベルト25の進行方向に沿って水平方向に一定の間隔をおいて並列的に配置されており、それぞれイエロー色、マゼンタ色、シアン色及び黒色のトナー像が所定のタイミングで順次形成されるように構成されている。なお、これらの各画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kは、全て同様に構成されているため、以下、各構成部材の符号は総称表記(例えば、感光ドラム15)とする。
【0037】
各画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kは、大別して、所定の速度(例えば、200mm/sec)で回転駆動される像保持体としての感光ドラム15と、この感光ドラム15の表面を一様に帯電する帯電手段としての帯電ロール16と、当該感光ドラム15の表面に所定の色に対応した画像を露光して静電潜像を形成する露光手段としてのROS14と、感光ドラム15上に形成された静電潜像を所定の色のトナーで現像する現像手段としての現像装置17と、感光ドラム15の表面を清掃するクリーニング手段としてのドラムクリーニング装置18等とから構成されている。なお、本実施の形態において、感光ドラム15とその周辺に配置される各構成機器は、一体的にユニット化されており本体1から個別に交換可能に構成されている。
【0038】
本実施の形態において、ROS14は、4つの画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kに共通に構成されており、図示しない4つの半導体レーザを各色の原稿再現色材階調データに応じて変調して、これらの半導体レーザからレーザ光LB−Y,LB−M,LB−C,LB−Kを階調データに応じて照射するように構成されている。なお、上記ROS14は、複数の画像形成ユニット毎に個別に構成してもよい。上記半導体レーザから出射されたレーザ光LB−Y,LB−M,LB−C,LB−Kは、図示しないf−θレンズを介してポリゴンミラー19に照射され、このポリゴンミラー19によって偏向走査される。上記ポリゴンミラー19によって偏向走査されたレーザ光LB−Y,LB−M,LB−C,LB−Kは、図示しない結像レンズ及び複数枚のミラーを介して、感光ドラム15上の露光ポイントに、斜め下方から走査露光される。
【0039】
本実施の形態において、上記ROS14は、その周囲が直方体状のフレーム20によって密閉されていると共に、当該フレーム20の上部には、4本のレーザ光LB−Y,LB−M,LB−C,LB−Kを、各画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kの感光ドラム15上に露光するため、シールド部材としての透明なガラス製のウインドウ21Y,21M,21C,21Kが設けられている。
【0040】
上記IPS12からは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kに共通して設けられたROS14に、各色の画像データが順次出力され、このROS14から画像データに応じて出射されたレーザ光LB−Y,LB−M,LB−C,LB−Kは、対応する感光ドラム15の表面に走査露光され、静電潜像が形成される。上記感光ドラム15上に形成された静電潜像は、現像装置17によって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。
【0041】
上記各画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kの感光ドラム15上に、順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、各画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kの上方にわたって配置された転写ユニット22の中間転写ベルト(ベルト状の中間転写体)25上に、4つの一次転写ロール26Y,26M,26C,26Kによって順次多重に転写される。これらの一次転写ロール26Y,26M,26C,26Kは、各画像形成ユニット13Y,13M,13C,13Kの感光ドラム15に対応した中間転写ベルト25の裏面側に配設されている。ここで、各一次転写ロール26Y,26M,26C,26Kは、所望の体積抵抗値に調整されており、これらの一次転写ロール26Y,26M,26C,26Kには、不図示の転写バイアス電源が接続されており、所定のトナー極性とは逆極性(本実施の形態では正極性)の転写バイアスが所定のタイミングで印加されるようになっている。
【0042】
また、上記中間転写ベルト25は、ドライブロール27と、テンションロール24と、バックアップロール28との間に一定のテンションで掛け回されており、図示しない定速性に優れた専用の駆動モーターによって回転駆動されるドライブロール27により、矢印方向に所定の速度で循環駆動されるようになっている。上記中間転写ベルト25は、例えば、チャージアップを起こさないべルト素材(ゴムまたは樹脂)にて抵抗調整されたものが使用されている。
【0043】
上記中間転写ベルト25上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、当該中間転写ベルト25の側面に配置されたバックアップロール28に圧接する二次転写ロール29によって、圧接力及び静電吸引力により記録媒体としての記録用紙P上に二次転写され、これら各色のトナー像が転写された記録用紙Pは、上方に位置する定着装置30へと搬送される。上記二次転写ロール29は、バックアップロール28の側方に圧接しており、鉛直方向の下方から上方に搬送される記録用紙P上に、各色のトナー像を二次転写するようになっている。
【0044】
上記記録用紙Pは、装置本体1の内部に配設された給紙カセット34から、所定のサイズのものが、ナジャーロール35及び用紙分離搬送用のフィードロール36により、1枚ずつ分離された状態で用紙搬送路37に設けられたレジストロール38まで一旦搬送され停止される。上記給紙カセット34から供給された記録用紙Pは、所定のタイミングで回転するレジストロール38によって中間転写ベルト25の二次転写位置へ送出される。
【0045】
なお、本実施の形態に係るデジタルカラー画像形成装置において、フルカラー等の両面コピーをとる場合には、片面に画像が定着された記録用紙Pを、排出ロール32によって排出トレイ33上にそのまま排出せずに、図示しない切替ゲートによって搬送方向を切り替え、用紙搬送用のローラ対39を介して両面用搬送ユニット40へと搬送する。そして、この両面用搬送ユニット40では、搬送径路41に沿って設けられた図示しない搬送用ローラ対により、記録用紙Pの表裏が反転された状態で、再度レジストロール38へと搬送され、今度は、当該記録用紙Pの裏面に画像が転写・定着された後、排出トレイ33上に排出される。
【0046】
上記各色の画像形成ユニット13Y、13M,13C、13Kは、上述したように、感光ドラム15を備えており、これらの感光ドラム15の表面は、帯電用の帯電ロール16によって一様に帯電される。その後、上記感光ドラム15の表面は、ROS14から画像データに応じて出射される画像形成用のレーザ光LBが走査露光されて、各色に対応した静電潜像が形成される。上記感光ドラム15上に走査露光されるレーザ光LBは、当該感光ドラム15の直下よりやや右側寄りの斜め下方から露光されるように設定されている。上記感光ドラム15上に形成された静電潜像は、各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの現像装置17の現像ロールによってそれぞれイエロー色、マゼンタ色、シアン色、黒色の各色のトナーにより現像されて可視トナー像となり、これらの可視トナー像は、一次転写ロール26の帯電によって中間転写ベルト25上に順次多重に転写される。
【0047】
なお、トナー像の転写工程が終了した後の感光ドラム15の表面は、ドラムクリーニング装置18によって残留トナー等が除去されて、次の画像形成プロセスに備える。上記ドラムクリーニング装置18は、不図示のクリーニングブレードによって感光ドラム15上の残留トナー等を除去するようになっている。また、トナー像の転写工程が終了した後の中間転写ベルト25の表面は、クリーニングブラシ43a及びクリーニングブレード43bを備えたベルトクリーニング装置43によって残留トナーや紙粉等が除去されて、次の画像形成プロセスに備える。
【0048】
このような中間転写ベルト25等が装備された画像形成装置1では、感光ドラム15上のトナー像が一次転写位置で中間転写ベルト25に静電的に一次転写される。この際、単色画像を形成する場合には、中間転写ベルト25に一次転写されたトナー像が二次転写位置で直ちに記録用紙Pへ静電的に二次転写される。これに対し、カラー画像を形成する場合には、複数色のトナー像が中間転写ベルト25に順次一次転写されて重ね合わされた後に、二次転写位置で記録用紙Pに一括して二次転写される。
【0049】
そして、中間転写ベルト25上から各色のトナー像が二次転写された記録用紙Pは、中間転写ベルト25から分離された後、二次転写手段の下流側に配設された定着装置30へと搬送され、この定着装置30によって熱及び圧力でトナー像が記録用紙P上に定着されるようになっている。定着後の記録用紙Pは、排出ロール32を介して排出トレイ33上に排出される。このような一連の画像形成プロセスを経て単色画像又はカラー画像の形成が行われる。
【0050】
次に、本実施の形態に係る現像装置17の構成について、図面を参照してさらに説明する。ここで、図2は、本実施の形態に係る現像装置の構成を説明するための模式的側断面図であり、図3は、本実施の形態に係る現像装置の構成を説明するための模式的平面図である。なお、図2においては、明瞭化のために各開口部C1(C2),S0,D0を通る断面にて表示している。
【0051】
本実施の形態に係る現像装置17は、いわゆる二成分現像方式を採用したものであって、図2に示すように、感光ドラム15の下方に感光ドラム15側に開口する現像ハウジング170を有し、この現像ハウジング170内には、トナー及びキャリアからなる二成分現像剤G(以下、単に現像剤Gとも称する)を収容する現像剤収容部173と、補給用トナーTを現像剤収容部173に定量的に供給可能とするトナー補給部175と、補給用トナーTをトナー補給部175を介して現像剤収容部173に供給可能に収容するトナー収容部177とが各々区画形成されている。より具体的には、現像剤収容部173とトナー収容部177とは、仕切壁W1を介して隣接配置されていると共に、仕切壁W1の下部には、トンネル通路状の中空の空間が形成されており、このトンネル通路状の中空空間をトナー補給部175として、かかるトナー補給部175を介してトナー収容部177に収容された補給用トナーTを現像剤収容部173に定量的に供給(補給)するようになっている。
【0052】
現像剤収容部173(現像ハウジング170)の開口に面した部位には、感光ドラム15と略平行に対向配置され回転自在に形成された現像剤保持体としての現像ロール171が配設されている。この現像ロール171は、その内部に磁界発生手段171aと、その外周部に非磁性材料からなる回転可能に形成されたスリーブ171bとを有して現像剤Gの搬送保持を行うものであり、現像ロール171により搬送された現像剤Gは、現像剤規制部材172により層厚が規制された後、感光ドラム15上の静電潜像をトナーで可視像化するようになっている。
【0053】
また、本実施の形態において、現像剤収容部173は、図3に示すように、上記現像ロール171の軸方向(長手方向)全域に渡って軸方向に沿って設けられていると共に、現像ロール171の軸方向に沿って延びる仕切壁W0にて区分されており、さらに、区分された現像剤収容部173には一対の撹拌搬送オーガー173a,173bが仕切壁W0を介して現像ロール171の軸方向に沿って配設されている。そして、仕切壁W0の軸方向(長手方向)両端部に連通口C1,C2を開設することにより現像剤収容部173内に現像剤循環路を形成し、一対の撹拌搬送オーガー173a,173bにより現像剤循環路内の現像剤Gを撹拌しながら循環搬送するようになっている。
【0054】
ここで、現像ロール171側の撹拌搬送オーガー173aはトナーの撹拌混合機能に加えて現像ロール171への現像剤供給機能を担ったサプライオーガーであり、他方の撹拌搬送オーガー173bは既存の現像剤Gに補給されたトナーTを撹拌混合することを主眼としたアドミックスオーガーである。なお、本実施の形態では、現像ロール171寄りの撹拌搬送オーガー173aが現像ロール171への現像剤供給機能を兼用しているが、撹拌搬送オーガー173aとは別に現像剤供給部材(ロールやパドル等)を付加してもよい。
【0055】
本実施の形態において、トナー補給部175は、安定したディスペンス性能(定量供給性能)を確保するという観点から、現像剤収容部173と同様に軸方向全域に渡って設けられており、その内部には螺旋状の羽根を有するトナー搬送部材としてのディスペンスオーガー175aが現像剤収容部173内の撹拌搬送オーガー173a,173bと略平行に配設されている。このディスペンスオーガー175aは、回転軸の周りに所定の方向に巻回形成された螺旋羽根を有しており、トナー補給部175内のトナーTを所定の軸方向(図中、矢印方向)に搬送するようになっている。また、本実施の形態では、ディスペンスオーガー175aの駆動量に応じて補給用トナーTを精度良く定量的に供給するという観点から、ディスペンスオーガー175aは現像剤収容部173内の撹拌搬送オーガー173a,173bと略同径かそれ以下の螺旋羽根を備えたものとなっており、さらに、ディスペンスオーガー175aのピッチが撹拌搬送オーガー173a,173bのピッチ以下に設定されている。
【0056】
さらに、本実施の形態に係るトナー補給部175においては、上記ディスペンスオーガー175aの搬送方向下流側の現像剤収容部173側に、トナー供給口S0が開口されている。一方、上記ディスペンスオーガー175aの搬送方向上流側のトナー収容部177側の軸方向端部には、トナー収容部177に収容されているトナーTを受け入れるトナー充填口D0が開口されている。
【0057】
また、図2に最も良く示されるように、現像剤収容部173とトナー収容部177とを区画すると共に、トナー補給部175を形成する上記仕切壁W1は薄肉部W10を有し、この薄肉部W10の下方が末広がり状に形成されている。
【0058】
具体的には、薄肉部W10の下方は、ディスペンスオーガー175aの回転軌跡に倣うような円弧状の湾曲部W11が現像剤収容部173側に形成されていると共に、トナー収容部177側にも同様にディスペンスオーガー175aの回転軌跡に倣うような厚肉部W12が現像ハウジング170と一体的な接合が可能なように形成されており、これにより、ディスペンスオーガー175aの外周径と略同等な断面略円形の長尺通路(トンネル状通路)を軸方向に渡って構成して、ディスペンスオーガー175aの駆動量に応じた補給用トナーTの定量供給性能を確保している。
【0059】
なお、トナー収容部177に面した厚肉部W12の軸方向端部には、トナー充填口D0が開口形成されており、かかる厚肉部W12の外壁面(トナー収容部177の内面の一部)を、後述するアジテータ178の回転軌跡に略倣うように形成することにより、トナー収容部177内のトナーTがアジテータ178の回転により円滑にトナー充填口D0を介してトナー補給部175に充填供給されるようになっている。
【0060】
また、本実施の形態において、トナー供給口S0は、その下端が現像剤収容部173に収容される現像剤Gの表面位置よりも下方に位置するように開口形成されている。より具体的には、トナー供給口S0の下端がアドミックスオーガー173bの回転中心より下方に設定されており、これにより、アドミックスオーガー173bの回転中心より下方からトナーTが補給されることとなり、補給されたトナーTがアドミックスオーガー173bに巻き込まれて、現像剤Gの表面に浮かび上がることを抑制すると共に、速やかな現像剤Gとの撹拌混合を可能としている。
【0061】
さらに、本実施の形態では、トナー補給部175内の補給用トナーTがトナー供給口S0から押し出される押圧力が現像剤収容部173の現像剤Gによる内圧よりも大きくなるように設定されている。具体的には、トナー充填口D0からのトナー充填量がトナー供給口S0から排出されるトナー供給量より多くなるようにトナー充填口D0、トナー供給口S0の長手方向長が設定されていると共に、ディスペンスオーガー175aの径寸法や羽根ピッチ、回転数などについては、ディスペンスオーガー175aによるトナーの搬送力に基づくトナー内圧がトナー供給口S0にかかる現像剤収容部173内の現像剤Gの内圧に比べて大きくなるように選定されている。
【0062】
本実施の形態におけるトナー収容部177は、図2に示すように、補給用トナーTを撹拌搬送するためのアジテータ179と、このアジテータ179にて撹拌搬送されたトナーTをトナー補給部175壁面に沿ってトナー充填口D0に向けて撹拌搬送するトナー充填部材であるアジテータ178とを備えており、これらのアジテータ178,179が協働してトナー収容部177内の補給用トナーTをトナー補給部175に供給するようになっている。
【0063】
ここで、各アジテータ178,179は、それぞれ回転軸178a,179aの軸方向に沿って径方向に突出するように取り付けられたPETフィルム等からなるアジテートフィルム(搬送羽根)178b,179bを有し、このアジテートフィルム178b,179bによりトナーTを撹拌搬送するようになっている。
【0064】
なお、本実施の形態では、アジテータ178,179の回転中心は、トナー充填口D0、トナー供給口S0、ディスペンスオーガー175a及び撹拌搬送オーガー173a,173bよりも上方に位置するように配置されている。これにより、トナー収容部177からトナー補給部175、現像剤収容部173までトナーTを持ち上げる必要がないため、トナー補給部175でのトナー内圧を損なうことなく、現像剤収容部173へのトナー補給をスムーズに行うことができる。
【0065】
ところで、上述のように構成した現像装置17においては、図2に模式的に示すようにトナー収容部177内の補給用トナーTが多いときにはアジテータ178からディスペンスオーガー175aへの補給用トナーTの受け渡しが間断なく比較的スムーズに行われるが、図4に模式的に示すようにトナーTの残量が少なくなってくると、アジテータ178がトナー充填口D0から離れてしまっている間はトナーTの受け渡しが全くできなくなり、図5に模式的に示すようにアジテータ178がトナーを掻き集めてトナー充填口D0近傍まで周回して来たときにしかディスペンスオーガー175aにトナーTが受け渡されなくなってしまう。その一方でディスペンスオーガー175aは、トナー収容部177内の状態に関わらず画像形成により消費されたトナーTの消費量分を補給したり画像形成装置の状態変化をトナー濃度で補正する必要が生じた際に随時駆動されていた。このため、ディスペンスオーガー175aが駆動される際の、アジテータ178の搬送羽根(アジテートフィルム)178bのトナー収容部177内における周回位置によって、アジテータ178からディスペンスオーガー175aへ受け渡される補給用トナーTの受け渡し量に差が発生してしまい、トナー補給部175内でトナーの疎密ができ易くなってしまうという問題が生じていた。このことは、現像剤収容部173へのトナー供給が不安定になることを意味しており、結果として画像濃度の不安定化や、濃度調整が頻繁に入ることによる生産性低下を招いたり、補給用トナーTのライフ予測を困難にさせる原因となっていた。
【0066】
そこで本実施の形態に係る現像装置17では、アジテータ178のフィルム状の搬送羽根178bのトナー収容部177内の周回位置を検出する周回位置検出手段PMを設け、さらに、この周回位置検出手段PMの検出結果に基づいて、ディスペンスオーガー175a及び/又はアジテータ178の回転状態(駆動状態)を変更制御する次のような回転状態変更制御手段CCMを設けることによりトナー補給部175内のトナー濃度を均一に維持すると共に、補給用トナーTの即応性(応答性)、定量供給性の向上を図っている。
【0067】
具体的には、本実施の形態における周回位置検出手段PMは、例えば図7(a)に示すように、アジテータ178を駆動する駆動軸178aに取り付けられたギアGrの同心円上に角度領域θの円弧状に設けられた穴Ha(被検出部)と、この穴Haを検出可能にギアGrを挟み込むように設置された透過型光電センサSnとで構成されている。
【0068】
ここで、穴Haは、アジテータ178の周回(回転)方向に沿って、図5に示すようなアジテータ178がトナー充填口D0の上流側近傍に対応する位置(搬送羽根178bがトナー充填口D0の下端に到達する直前の搬送羽根178bの周回位置)と、図6に示すようなアジテータ178がトナー充填口D0の下流側近傍に対応する位置(搬送羽根178bがトナー充填口D0の上端を通過した直後の搬送羽根178bの周回位置)に相当するギアGrの回転領域θに渡って円弧状に形成されている。そして、図8に模式的に示すように、透過型光電センサSnによりギアGrに形成された円弧状穴Haが通過するタイミングを検出し、回転領域θを検出することにより、対応する駆動軸178aの回転角度、すなわちアジテータ178の搬送羽根178bのトナー収容部177内における周回位置を検出するようになっている。なお、上述したアジテータ178の搬送羽根178の周回位置に対応する周回領域θは、適宜任意に設定することができる。
【0069】
また、本発明に係る周回位置検出手段PMは、上述のような形態に限定されるものではなく、アジテータ178の搬送羽根178bの周回位置を少なくとも一箇所特定し、この特定位置を基準にして、上記所定の周回領域θをアジテータ178の周回速度を基に算出するように構成してもよい。例えば、図7(b)に例示するように、搬送羽根178bの特定位置に対応する穴Hbを少なくとも一箇所ギアGr上に設け、この穴Hbを透過型光電センサSnにより検出するように構成してもよいし、周回領域θの両端部に対応する個所にそれぞれ穴Hbを設ける構成としてもよい。また、図7(c)に例示するように、搬送羽根178bの特定位置に対応する反射板Mを少なくとも一箇所ギアGr上に貼り付け、この反射板Mを反射型光学センサSn1にて検出するように構成してもよい。あるいは、図示は省略するが、ギアGrに突起を設けてそれを接触式センサで検知させることで、搬送羽根178bの特定位置に対応するギアGrの円周上の位置を検出する構成としてもよい。
【0070】
そして、本実施の形態に係る回転状態変更制御手段CCMは、上述した周回位置検出手段PMにより検出されたアジテータ178の搬送羽根178bの周回位置に基づいて、ディスペンスオーガー175aの回転状態を変更制御するようになっている。
【0071】
具体的には、周回位置検出手段PMにより穴Haが検知されている場合(アジテータ178の搬送羽根178bの周回位置がトナー充填口D0の開口領域に対応する周回領域θ内に存在する場合)には、回転状態変更制御手段CCMにより、ディスペンスオーガー175aの駆動を許容し、穴Haが検知されていないときには、ディスペンスオーガー175aを駆動しないように不図示の装置コントローラを介してディスペンスオーガー175aの回転状態を変更制御している。なお、本発明に係る回転状態変更制御手段CCMは、上記周回位置検出手段PMによる検出結果を用いて、例えば、既存の装置コントローラによる構成機器(本例では、ディスペンスオーガー175a)の制御機能を流用することにより容易に実現することができる。
【0072】
このように、所定の周回領域θをディスペンスオーガー175aの駆動許容領域とすると共に、その他の領域を駆動禁止領域とすることにより、ディスペンスオーガー175aを駆動する際には、トナー充填口D0近傍に位置するアジテータ178の搬送羽根178bにより、確実にトナー補給部175内に補給用トナーTが供給されることとなるので、トナー補給部175から現像剤収容部173への補給用トナーTの安定した供給に寄与することができる。
【0073】
さらに、本実施の形態に係る回転状態変更制御手段CCMは、アジテータ178の搬送羽根178bの周回位置がディスペンスオーガー175aの駆動許容領域θにあるときにはアジテータ178の回転速度(周回速度)を、穴Haが検知されていないときに比し、相対的に遅く回転させる(駆動許容領域θ外のときにはアジテータ178を相対的に速く回転させる)ように不図示の装置コントローラを介してアジテータ178を回転制御している。
【0074】
これにより、ディスペンスオーガー175aの駆動が禁止されている時間を短くして、ディスペンスオーガー175aの駆動制限に伴うトナーTの補給追従性の低下を未然に防止して、高密度画像を形成する場合などの多量のトナー消費に対して十分なトナー補給性能の確保を可能としている。
【0075】
なお、十分なトナー補給性能を確保するという観点からは、図9に示すように、トナー充填口D0に近接するアジテータ178の回転軸178aに沿って配設されたフィルム状の搬送羽根178bを、回転軸178a周りに複数枚(本例では、2枚の搬送羽根178b1,178b2)設けることで、アジテータ178が一周回転する間のディスペンスオーガー175aの駆動禁止時間を簡易な構成でさらに短くすることができる。
【0076】
さらにまた、本実施の形態に係る回転状態変更制御手段CCMは、形成した画像のピクセル数を累積カウントするカウント手段を用いて、このカウント手段による累積ピクセル数が所定の設定値を超えるまでは、上述したディスペンスオーガー175aやアジテータ178の回転状態の変更制御を行わない(補給用トナーTの表面高さが所定の高さとなってから、回転状態の変更制御を行う)ようにすることもできる。ここで、上記カウント手段としては、画像形成した際の画像のピクセル数を累積カウントする、不図示の装置コントローラの既存の機能を流用することができる。
【0077】
具体的には、画像形成装置1が印刷した形成画像のピクセル数を累積でカウントしておくと共に、例えば、補給用トナーTの水位(表面高さ)が初期状態(トナー収容部177内の補給用トナーTが満充填されている状態)からトナー充填口D0の上端に対応する高さまで下がった状態になるまでに消費するトナー量に相当する累積ピクセルカウント数をあらかじめ設定しておき、かかる累積ピクセルカウント数が設定値以上になるまでディスペンスオーガー175aの駆動制限を発動させないように制御してもよい。
【0078】
これにより、トナー収容部177内に十分な補給用トナーTが収容されている間は、ディスペンスオーガー175aの駆動制限を不要として、アジテータ178からディスペンスオーガー175aへの補給用トナーTの受け渡しが円滑に行われる期間での駆動制限に伴うトナー追従能力のむやみな低下を未然に防止することができる。
【0079】
また、補給用トナーTの水位に対応させた累積ピクセル数に基づく設定値を複数用いることで、補給用トナーTの残量に応じてディスペンスオーガー175aの駆動制限角度範囲を段階的に変更することも可能となり、よりきめ細かい制御ができるようになる。
【0080】
以下に具体例を挙げると、例えば、トナー収容部177に100gのトナーが収容できるとして、それが300万ピクセル(=300万ドット)分印字できる量と仮定した場合、
[段階1]残量30g=消費量70g=累積210万ピクセルに達するまでは、ディスペンスオーガー175aの回転(駆動)規制を行わない。
[段階2]残量25g=消費量75g=累積225万ピクセルに達するまでは、アジテータ178の周回位置が90°〜300°のときディスペンスオーガー175aの駆動を許容する。ここで、アジテータ178(アジテートフィルム178b)の周回位置が、回転軸178aの鉛直上方にあるときを基準位置0°とし、反時計周り方向(図2参照)を正とする。また、本例では、アジテータ178の搬送羽根178bがトナー充填口D0の開口部を通過する範囲は、275°〜300°に設定されている。
[段階3]残量20g=消費量80g=累積240万ピクセルに達するまでは、アジテータ178の周回位置が120°〜300°のときディスペンスオーガー175aの駆動を許容する。
[段階4]残量15g=消費量85g=累積255万ピクセルに達するまでは、アジテータ178の周回位置が180°〜300°のときディスペンスオーガー175aの駆動を許容する。
[段階5]残量10g=消費量90g=累積270万ピクセルに達するまでは、アジテータ178の周回位置が240°〜300°のときディスペンスオーガー175aの駆動を許容する。
[段階6]残量5g=消費量95g=累積285万ピクセルに達するまでは、アジテータ178の周回位置が270°〜300°のときディスペンスオーガー175aの駆動を許容する。
というように、例えばアジテータ178の所定の周回領域(駆動許容領域)θの設定値を複数設け、これに対応する累積ピクセルカウント数に基づいて、アジテータ178の周回領域(ディスペンスオーガー175aの駆動許容領域)θを変更する(本例では、補給用トナーTの残量が減少するに伴って、ディスペンスオーガー175aの駆動許容領域θを狭める)ことにより、トナー収容部177内の補給用トナーTの残量に応じたアジテータ178及びディスペンスオーガー175aのより適切な協調動作が可能となり、より安定した補給用トナーTの定量供給性能の向上に寄与することができる。
【0081】
以上説明した様に、本実施の形態に係る現像装置によれば、アジテータ178のトナー収容部177内における周回位置を検知し、設定した周回範囲にあるときにディスペンスオーガー175aの駆動を許容するように制御することで、トナー補給部175に補給用トナーTを疎密なく充填させることが可能となった。これにより、現像剤収容部173に経時的に安定して補給用トナーTを供給することができ、トナーライフを全うするまでに亘って、画像濃度の不安定化や生産性の低下を招くことなく、その性能を安定的に維持することが可能となった。また、ディスペンスオーガー175aによる安定した定量供給性が得られることより、トナーライフの正確な予測が可能となる。併せて、ライフカウントの進み具合に応じて制御に用いる周回領域θを変更したり、設定周回領域θの内外でアジテータ178の周回速度を変更したり、あるいはアジテータ178の羽根178bを複数枚設けることにより、トナー供給の待ち時間を容易に低減することができる。
【0082】
なお、本発明の技術的範囲は詳述した実施形態の範囲に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨に逸脱しない範囲において多様な変更もしくは改良を加え得るものであり、当然に、上述した実施形態において例示した各具体例を適宜組み合わせてもよいし、それぞれ単独で実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明が適用可能な画像形成装置の一実施形態を示す構成図である。
【図2】本発明に係る現像装置の構成を説明するための模式的側断面図である。
【図3】本発明に係る現像装置の構成を説明するための模式的平面図である。
【図4】トナー収容部内のトナーが減少した際の補給用トナーの供給状態を説明するための模式的側断面図である。
【図5】トナー収容部内のアジテータがトナー充填口の下端に到達する直前の搬送羽根の周回位置を示す模式的側断面図である。
【図6】トナー収容部内のアジテータがトナー充填口の上端を通過した直後の搬送羽根の周回位置を示す模式的側断面図である。
【図7】本発明に係る周回位置検出手段の構成を説明するための模式的構成図である。
【図8】周回位置検出手段による搬送羽根の検出動作を示す模式図である。
【図9】アジテータの回転軸周りに複数枚の搬送羽根を設けた構成例を示す模式的側断面図である。
【符号の説明】
【0084】
1:画像形成装置、13Y,13M,13C,13K:画像形成ユニット、14:ROS、15Y,15M,15C,15K:感光ドラム、16Y,16M,16C,16K:帯電ロール、17Y,17M,17C,17K:現像装置、18:ドラムクリーニング装置、25:中間転写ベルト、26Y,26M,26C,26K:一次転写ロール、28:バックアップロール、29:二次転写ロール、30:定着装置、34:給紙カセット、38:レジストロール、40:両面用搬送ユニット、43:ベルトクリーニング装置、170:現像ハウジング、171:現像ロール、173:現像剤収容部、173a:サプライオーガー、173b:アドミックスオーガー、175:トナー補給部、175a:ディスペンスオーガー、177:トナー収容部、178,179:アジテータ、178a,179a:回転軸、178b,179b:アジテートフィルム、C1,C2:連通口、D0:トナー充填口、S0:トナー供給口、G:二成分現像剤、Gr:ギア、Ha,Hb:穴、P:記録用紙、Sn:透過型光電センサ、Sn1:反射型光学センサ、T:補給用トナー、W0,W1:仕切壁、θ:駆動許容領域、PM:周回位置検出手段、CCM:回転状態変更制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その内部に磁界発生手段を有して、トナーと磁性キャリアとが含まれる二成分現像剤を搬送保持する現像剤保持体と、該現像剤保持体に隣接して二成分現像剤を収容する現像剤収容部と、該現像剤収容部にトナー補給部を介して連通すると共に、このトナー補給部を通じて補給用トナーを現像剤収容部に供給可能に収容するトナー収容部とを有する現像装置において、
前記トナー収容部内に回転自在に形成され、軸方向に沿って配設されたフィルム状の搬送羽根を有し、前記補給用トナーをトナー補給部に充填供給するトナー充填部材と、
前記トナー補給部内に配設され、充填された補給用トナーを前記現像剤収容部に供給する回転自在に形成されたトナー搬送部材と、
前記トナー充填部材の搬送羽根の周回位置を検出する周回位置検出手段と、
前記周回位置検出手段によって検出された前記トナー充填部材の搬送羽根の周回位置に基づいて、前記トナー搬送部材及び/又はトナー充填部材の回転状態を変更制御する回転状態変更制御手段と
を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記回転状態変更制御手段は、前記周回位置検出手段が、前記トナー充填部材の搬送羽根の周回位置を、少なくともトナー充填口の開口領域に対応する所定の周回領域内で検出した場合には、前記トナー搬送部材の駆動を許容する一方、該所定の周回領域外で検出した場合には、前記トナー搬送部材の駆動を禁止することを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記回転状態変更制御手段は、さらに、前記周回位置検出手段により検出された前記トナー充填部材の搬送羽根の周回位置に基づいて、前記トナー充填部材の回転速度を変更制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記回転状態変更制御手段は、前記周回位置検出手段がトナー充填口の開口領域に対応する所定の周回領域を検出している間は、該所定の周回領域外を検出している間に比し、前記トナー充填部材の回転速度を相対的に遅くすることを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
形成した画像のピクセル数を累積カウントするカウント手段をさらに備え、前記回転状態変更制御手段は、前記カウント手段の累積ピクセルカウント数が設定値を超えた場合に、前記トナー充填部材の搬送羽根の周回位置に基づいた前記トナー搬送部材及び/又はトナー充填部材の回転状態の変更制御を行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
前記設定値は、補給用トナーの複数の水位に対応させて複数設けられており、前記回転状態変更制御手段は、前記カウント手段の累積ピクセルカウント数に基づいて、前記各設定値ごとに前記トナー搬送部材の駆動を許容する前記トナー充填部材の所定の周回領域を変更することを特徴とする請求項5に記載の現像装置。
【請求項7】
前記周回位置検出手段は、前記トナー充填部材の駆動軸の回転角度を検出することにより、前記トナー充填部材の搬送羽根の周回位置を検出することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の現像装置。
【請求項8】
前記周回位置検出手段は、前記駆動軸を駆動するギアに設けられた穴を検出することにより、前記駆動軸の回転角度を検出することを特徴とする請求項7に記載の現像装置。
【請求項9】
前記穴は、ギアと同心円状に形成された円弧状の穴であることを特徴とする請求項8に記載の現像装置。
【請求項10】
前記周回位置検出手段は、前記駆動軸を駆動するギアに設けられた反射板を検出することにより、前記駆動軸の回転角度を検出することを特徴とする請求項7に記載の現像装置。
【請求項11】
前記トナー充填部材の搬送羽根を複数枚設けたことを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の現像装置。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載の現像装置と、記録用紙に所定の画像を形成する画像形成手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−300876(P2009−300876A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156894(P2008−156894)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】