説明

現像装置及びこれを用いた画像形成装置

【課題】現像剤担持体が経時で摩耗しても画像濃度が低下しない現像装置及びこれを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】表面に規則的に形成された凹凸部を有し、現像剤を担持して回転し感光体2と対向する現像領域まで搬送する現像ローラ23と、現像ローラ23上の現像剤を規制し現像領域に搬送する現像剤量を規制するトナー層規制部材24とを備える現像装置4において、現像装置4の駆動時間に応じて現像ローラ23の回転速度を変更するよう制御する制御部40を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、及びこれを用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置においては、像担持体に形成された静電潜像を現像するのに様々な現像装置が使用されている。このような現像装置としては、トナーとキャリアとを含む現像剤を使用した二成分現像方式の現像装置の他に、キャリアを用いずに現像剤としてトナーだけを使用した一成分現像方式の現像装置が知られている。一成分現像装置は、二成分現像装置に比べ装置の構成を簡単にでき小型化が可能である。
【0003】
一成分現像方式の現像装置には、担持する像担持体に対向して配置される現像剤担持体、現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給部材、さらに現像剤担持体上の現像剤量を規制する現像剤規制部材が備えられている。このような現像装置では、現像剤供給部材によって現像剤担持体に供給された現像剤は、現像剤規制部材によって規制され均一な厚みに薄層化されると共に、摩擦帯電によってトナーに電荷が付与され像担持体と対向する現像領域に搬送される。現像剤担持体には現像バイアスが印加され、現像剤担持体に保持される現像剤は静電潜像を担持する像担持体に供給されて現像が行われる。
【0004】
一般に、上記現像剤担持体としては、表面にゴム等で弾性層を形成したローラや、ステンレス等の金属筒表面をブラスト処理して粗表面化処理されたローラが用いられる(例えば、特許文献1)。また、上記現像剤規制部材としては、ステンレス等の金属材料からなる板バネが用いられる。しかし、このようなローラからなる現像剤担持体に対して現像剤規制部材を当接させた場合には、現像剤担持体と現像剤規制部材との間の押圧力がトナーに直接かかるため、トナーが劣化しやすくなり、現像性の低下が早くから発生しやすくなる。また、劣化したトナーが現像剤規制部材に固着してしまい、画像にノイズが生じたりする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、このような問題を改善するため、現像剤担持体として、規則的に配列された複数の凸部及び該凸部を取り囲む凹部を表面に有したローラを用いることが提案されている。これによれば、現像剤規制部材によるトナーへの圧力が低減され、耐久性に優れることがわかっている。
【0006】
しかしながら、表面に凹凸部を有する現像剤担持体であっても、駆動時間の積み重ねにより、現像剤担持体と現像剤規制部材との摩擦で現像剤担持体表面の凸部が磨耗してしまう。その結果、現像剤担持体表面の凹部に保持する現像剤量が少なくなることにより現像剤担持体の現像剤供給能力が低下し、画像濃度の低下が発生するという問題があった。
【0007】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、現像剤担持体が経時で摩耗しても画像濃度が低下しない現像装置及びこれを用いた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、表面に規則的に形成された凹凸部を有し、現像剤を担持して回転し潜像を担持する像担持体と対向する現像領域まで搬送する現像剤担持体と、該現像剤担持体上の現像剤を規制し現像領域に搬送する現像剤量を規制する現像剤規制部材とを備え、該像担持体上の潜像を現像する現像装置において、該現像装置の駆動時間に応じて該現像剤担持体の回転速度を変更するよう制御する制御部を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、現像剤担持体が経時で摩耗しても画像濃度が低下しない現像装置及びこれを用いた画像形成装置を提供できるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係るプリンタの要部構成を示す構成図。
【図2】同プリンタが備える4つのプロセスカートリッジのうちの一つの構成を示す構成図。
【図3】上記プロセスカートリッジが備える現像装置の軸線方向に沿った断面図。
【図4】上記現像装置の現像ローラの形状を説明する平面図であり、(b)は、現像ローラの外周面の形状を示す要部拡大平面図。
【図5】上記現像装置のトナー層規制部材と現像ローラの外周面の形状とを示す要部断面模式図。
【図6】上記現像装置の駆動時間と現像ローラ削れレートとの関係を示す特性図。
【図7】上記現像装置の現像ローラの回転数と画像濃度の関係を示す特性図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を、電子写真方式の画像形成装置であるプリンタ(以下、単にプリンタという)に適用した実施形態について説明する。まず、プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、プリンタの要部構成を示す構成図である。図1に示すように、このプリンタ100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の有色トナー像を作像するための4つのプロセスカートリッジ1Y、M、C、Kを備えている。以下添字Y、M、C、Kはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色をそれぞれ示す。このプロセスカートリッジ1Y、M、C、Kは、それぞれ各色のトナー像を担持し、図中矢印A方向に回転する感光体2Y、M、C、Kを備えている。これら各感光体2Y、M、C、Kの周囲には、各感光体2表面を一様に帯電する帯電装置3Y、M、C、Kや、各感光体2表面に形成される静電潜像を現像する現像装置4Y、M、C、K、トナー像転写後の各感光体2表面をクリーニングするクリーニング装置5Y、M、C、K等を備えている。上記プロセスカートリッジ1Y、M、C、Kは、これら感光体2の周囲に配設される各種装置3、4、5とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、それぞれの不図示のストッパーを解除することによりプリンタ100本体に対して着脱可能になっている。
【0012】
上記帯電装置3は、感光体2の表面に圧接し感光体2の回転により従動回転する帯電ローラを備える。作像時には帯電ローラに図示しない高圧電源により所定のバイアスが印加され、感光体2表面が一様に帯電せしめられる。帯電装置3としては、感光体2の表面に接触する帯電ローラを用いているが、これに限定されるものではなく、コロナ帯電等の非接触帯電方式を用いてもよい。
【0013】
また、上記プリンタ100は、プロセスカートリッジ1Y、C、M、Kの上方に、各感光体2の一様に帯電された表面に画像データに応じたレーザ光を照射して静電潜像を形成する露光装置6を備えている。画像データとは、図示しない外付けのスキャナによる原稿読取で得られた画像情報や、外部のパーソナルコンピュータから送られている画像情報等である。なお、露光装置6としては、レーザーダイオードを用いたレーザービームスキャナ方式を用いているが、LEDを用いる等他の構成であってもよい。
【0014】
また、上記プリンタ100は、プロセスカートリッジ1Y、C、M、Kの下方に、感光体2Y、M、C、Kに現像されたトナー画像を転写紙Pに転写する中間転写ユニット10を備えている。この中間転写ユニット10は、駆動ローラを含む複数の張架ローラにより張架されて図中矢印B方向に回転駆動する中間転写ベルト7を備えている。中間転写ユニット10は、感光体2Y、M、C、Kと所定の電圧が印加される一次転写ローラ8Y、M、C、Kとの間に中間転写ベルト7を挟み込んで一次転写ニップを形成する。また、中間転写ユニット10は所定の電圧が印加される二次転写ローラ9と二次転写対向ローラ9aとの間に中間転写ベルト7を挟み込んで二次転写ニップを形成している。さらに、中間転写ユニット7は、中間転写ベルト7上に残留する転写残トナーを除去するクリーニング装置11等も備えている。
【0015】
また、上記プリンタ100は、中間転写ユニット10の下方に、定着装置12、図示しない給紙カセット、レジストローラ対等を備えている。プリンタ100の筺体内に出し入れ可能に構成された給紙カセットは、収容する転写紙Pの一番上の用紙を一枚づつレジストローラ対に向けて送り出す。レジストローラ対は、給紙カセットにより供給された転写紙Pをローラ間に挟み込み中間転写ベルト7上の4色重ね合わせ有色トナー像に同期させ得るタイミングで二次転写ニップに送り出す。定着装置12は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラと、これに向けて押圧される加圧ローラとの当接による定着ニップに転写紙Pを挟み込み、加熱や加圧の作用によりトナー像を定着せしめる。
【0016】
このような構成のプリンタ100においては、次のように画像形成が行われる。例えばイエロー用のプロセスカートリッジ1Yでは、帯電装置3Yにより一様に帯電された感光体2Yの表面に、露光装置6で変調及び偏向されたレーザ光が走査されながら照射されて静電潜像が形成される。感光体2Y上の静電潜像は、現像装置4Yで現像されてイエロー色のトナー像となる。中間転写ベルト7を挟んで一次転写ローラ8Yに対向する一次転写ニップでは、感光体2Y上のトナー像が転写紙Pに転写される。トナー像が転写された後の感光体2Yの表面は、クリーニング装置5Yでクリーニングされ、除電装置により表面が初期化され次の静電潜像の形成に備えられる。
【0017】
他のプロセスカートリッジ1M、C、Kについても、上述した画像形成行程が中間転写ベルト7の移動に同期して実行され、感光体2M、C、K上の有色トナー像が一次転写ニップで中間転写ベルト7に順次重ね合わされて一次転写され、4色重ね合わせトナー像が形成される。一方、給紙カセットから給送された転写紙Pは、レジストローラ対により所定のタイミングで送出されて二次転写ニップに搬送される。そして、二次転写ニップで4色重ね合わせトナー像が転写紙Pに一括転写される。4色重ね合わせトナー像が一括転写された転写紙Pは、定着装置12による加熱・加圧作用により定着処理が施され、機外に排出される。一方、二次転写ニップで転写紙Pに転写されず中間転写ベルト7の表面上に残留したトナーは、転写ベルトクリーニング装置11によって回収される。
【0018】
次に、上記現像装置4の構成について詳しく説明する。現像装置4C、Y、M、Kは、画像形成物質として、互いに異なる色のトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。このため、以下、添字C、Y、M、Kを省略し、現像装置4として説明する。図2は、プロセスカートリッジ及びこれに備えられる現像装置の概略構成を説明する構成図である。図3は、現像装置の構成を示す軸線方向に沿った断面図である。
【0019】
図2に示すように、現像装置4は、現像剤であるトナーを収容するトナー収容室21と、トナー収容室21の下方に設けられたトナー供給室22とから構成され、トナー収容室21とトナー供給室22とを仕切るように仕切り部材30が設けられている。仕切り部材30には、図3に示すように、トナー収容室21内のトナーをトナー供給室22へ供給する供給口31と、トナー供給室22内のトナーをトナー収容室21に戻す2つの返送口27とが設けられている。
【0020】
上記トナー収容室21内にはトナー収容室21内のトナーを感光体2の回転軸に平行な方向(図2中の紙面に直交する軸線方向)に搬送するトナー搬送部材26が設けられている。トナー収容室21に収容するトナーは、重合法で作成したものを用い、平均粒径が6.5[μm]で、円形度が0.98、安息角33[°]、外添剤としてチタン酸ストロンチュームを含有しているトナーである。本発明を適用したプリンタ100に用いるトナーとしては、これに限るものではない。
【0021】
トナー収容室21内に設けられたトナー搬送部材26は、図3に示すように搬送スクリュ形状26aと搬送板形状26bとを組み合わせた回転軸を有した部材である。トナー搬送部材26は、搬送スクリュ形状26aの回転動作によりトナー収容室21内のトナーをトナー搬送部材26の回転軸に平行な略水平方向(図3中の矢印D方向)に搬送できる構成となっている。トナー収容室21内で搬送板形状26bに到達した現像剤は、自重により又は搬送板形状26bの回転動作を受けて、略鉛直下方に搬送されてトナー供給室22内に搬送される。
【0022】
また、上記トナー供給室22内には、トナー供給室22内のトナーを感光体2の回転軸に平行な方向(図2中の紙面に直行する軸線方向)に搬送するトナー攪拌部材28が設けられている。トナー撹拌部材28は、図3に示すように撹拌スクリュ形状28aと撹拌板形状28bとを組み合わせた回転軸を有した部材である。トナー撹拌部材28は、撹拌スクリュ形状28aの回転動作によりトナー供給室22内のトナーをトナー撹拌部材28の回転軸に平行な略水平方向(図3中の矢印E又はF方向)に搬送できる構成となっている。詳しくは、トナー撹拌部材28の撹拌スクリュ形状28aは、軸方向について供給口31を挟んで外側に向かう方向(矢印E方向)にトナーを搬送するように螺旋状の羽部が設けられている。さらに、トナー撹拌部材28の撹拌スクリュ形状28aは、軸方向について2つの返送口27よりも外側と内側とは螺旋状の羽部が逆巻きになっている。このため、供給口31からトナー供給室22に供給されたトナーは、攪拌板形状28bの回転動作によって攪拌されると同時に、トナー撹拌部材28の撹拌スクリュ形状28aの回転によって軸方向外側(矢印E方向)に搬送され、返送口27よりも外側に到達したトナーは羽部が逆巻きの撹拌スクリュ形状28aによって返送口27に向かって(矢印F方向)搬送される。返送口27を挟んで軸方向の外側と内側とでは、撹拌スクリュ形状28aによるトナーの搬送方向が逆であり、返送口27に向かうようにトナーに搬送力を付与するため、返送口27の下方ではトナーが軸方向両側から集められ、山状に押し上げられる。これにより、トナー収容室21から供給口31又は返送口27を通過してトナー供給室22に供給されたトナーが過剰である場合は、返送口27で山状に押し上げられたトナーがトナー供給室22から返送口27を通ってトナー収容室21に戻される。また、トナー攪拌部材28は、トナー供給室22にあるトナーを攪拌し、さらに下部にある現像ローラ23、トナー供給ローラ25へトナーを供給する役割を持つ。
【0023】
本実施形態に係る現像装置4では、トナー搬送部材26及びトナー攪拌部材28の回転軸に平行な方向にトナーを搬送する搬送スクリュ形状26a、攪拌スクリュ形状28aを備えた構成であるが、現像剤搬送攪拌部材としてはこれに限ったものでなく、搬送ベルトやコイル状の回転体等の搬送機能を有するものを用いることができる。さらにこれらの搬送機能を有するものと、羽根のような板部材や針金を曲げて構成したパドルのようなもの等のほぐし機能を有するものを組み合わせたものでも良い。また、本実施形態に係る現像装置4では、トナーをトナー搬送部材26の回転軸に直交し、且つ、略鉛直下方にトナーを搬送する構成となっているが、トナーの搬送方向としては、トナー搬送部材26の回転軸に直交し、且つ略水平方向に搬送する構成としてもよい。
【0024】
そして、上記現像装置4では、上記トナー供給室22の下部に現像剤担持体である現像ローラ23が設けられている。現像ローラ23は、感光体2に対して非接触で配置されており、図2中矢印C方向に回転する。現像ローラ23と感光体2とが対向する現像領域においては、現像ローラ23の表面移動方向と感光体2の表面移動方向とが同方向となる。そして、現像ローラ23には、後述するように制御部40によって図示しない高圧電源から所定の現像バイアスが印加される。また、トナー供給室22には、現像ローラ23の表面にトナーを供給する現像剤供給部材であるトナー供給ローラ25が現像ローラ23の表面に当接して設けられている。
【0025】
トナー供給ローラ25の表面には空孔(セル)を有した構造の発泡材料が被覆されており、トナー供給室22内に供給されたトナーを効率よく付着させて取り込むと共に、現像ローラ23との当接部での圧力集中によるトナーの劣化を防止している。なお、この発泡材料は10〜1014[Ω]の電気抵抗値に設定される。トナー供給ローラ25は図2中の矢印で示すように図2中の反時計回りの方向に回転し、表面に付着させたトナーを現像ローラ23の表面に塗布するように供給する。
【0026】
さらに、トナー供給室22には、トナー供給ローラ25が当接する位置から現像ローラ23の表面移動方向下流側の現像ローラ23表面に接触するように、現像剤規制部材であるトナー層規制部材24が配置されている。トナー層規制部材24は、その自由端側を現像ローラ23の表面に10〜100[N/m]の押圧力で当接させたもので、現像ローラ23上のトナーに対してその押圧力下を通過させることで、トナー層を薄層化すると共に、摩擦帯電によってトナーに電荷を付与する。トナー供給ローラ25から現像ローラ23の表面に供給されたトナーは、現像ローラ23の回転によってトナー層規制部材24が接触する位置に搬送され、層厚が規制されて感光体2と現像ローラ23との対向部である現像領域に向かう。トナー層規制部材24としては、SUS304CSPやSUS301CSPまたはリン青銅等の金属板バネ材料を用いることができる。また、トナー層規制部材24には、トナーの摩擦帯電を補助する為に、バイアスを印加してもよい。
【0027】
上記現像装置4において、現像領域で現像に用いられず、現像ローラ23上に残されたトナーが再びトナー供給室22内へと戻る箇所には、現像剤除電部材である除電シール29が現像ローラ23に当接して設けられ、トナーが現像装置4の外部に漏れ出ないように封止される。
【0028】
このように構成される現像装置4において、トナー供給位置で現像ローラ23の表面上に供給されたトナーは、トナー供給位置から現像領域に向けて搬送され、途中にあるトナー層規制部材24を通過し、現像ローラ23上にトナー薄層が形成される。形成されたトナー薄層は、更に現像領域まで搬送され、現像ローラ23と感光体3上の静電潜像との間の現像電界によって、感光体2の表面上の静電潜像部分に付着し、これにより現像が行われる。現像電界には、直流バイアスと、トナーが感光体の方向に向かう電圧と現像ローラに戻ってくる電圧が交互に繰り返されるような交流バイアスとを重畳した現像バイアスを用いる。本実施形態では、交流バイアスとしてf=500〜10000Hz、Vpp=500〜3000V、Duty=50〜90%の矩形波を用いた。その後、現像に寄与しなかったトナーは、現像ローラ23の回転によってさらに搬送され、トナーが再びトナー供給室33に戻り、繰り返し利用される。
【0029】
次に、本実施形態における現像ローラ23の具体的構成について説明する。図4(a)は現像ローラの形状を説明する平面図であり、(b)は、現像ローラの外周面の形状を示す要部拡大平面図である。すなわち、図4(b)は、図4(a)のX部分を上方からみた拡大平面図である。図4(b)に示すように、現像ローラ23の外周面上には、複数の凸部とこれら凸部を取り囲む凹部が規則的に配列した網の目状の凹凸パターンが形成されている。図4に示す現像ローラ23ではこの凹凸パターンとして、その外周面の軸方向所定位置に溝が全周にわたって形成されている。その場合、溝は軸方向に対して所定角(図示例では45°であるが、これに限定されない)で傾斜した螺旋状に連続して形成され規則性を有する所定数の第1傾斜溝と、これらの第1傾斜溝と傾斜が逆方向に傾斜した螺旋状に連続する所定数の第2傾斜溝とからなる。これらの第1及び第2傾斜溝は、いずれもそれらの傾斜方向に所定の周期幅Wに周期的に形成されている。なお、第1及び第2傾斜溝の各傾斜角及び周期幅Wは、いずれも互いに異ならせることもできる。また、凸部の幅Tは周期幅Wの2分の1以上の大きさで形成する。
【0030】
上記現像ローラ23は、基材とこの基材の外周面に形成された表面層とからなる。基材は、5056アルミ合金や6063アルミ合金等のアルミニウム系やSTKM等の鉄系等の金属材料スリーブからなる。現像ローラ23の基材の外周面の凹凸パターンは、転造加工によって形成されている。この基材における加工方法は従来公知の加工方法を採用することができる。したがって、この加工方法の説明は省略する。
【0031】
図5は、トナー層規制部材と現像ローラの外周面の形状とを示す要部断面模式図である。図5に示すように、現像時には、現像ローラ23の外周面が矢印C方向に移動するため、現像ローラ23の外周面の凸部とトナー層規制部材24が常に接触・摺擦されることになる。そのため、現像ローラ23の凸部やトナー層規制部材の自由端が削られることになる。このような構成により、現像ローラ23表面上やトナー層規制部材24では、フィルミングや固着が発生しない。実験例では、図5に示すように、初期の溝深さは10μmであったが、図中点線で示すように、120k枚プリント後には8μmまで削れていた。しかしながら、経時により現像ローラ23上のトナー量も約20%低下してしまい、トナー供給能力が低下してしまう。そのため、固定現像バイアスでは画像濃度は初期1.5だったものが120k枚プリント時には1.4まで低下した。
【0032】
一方、処方の異なるローラ3種で、駆動時間当たりの削れ量である削れレートを調べる実験を行った。図6は、現像装置の駆動時間と現像ローラ削れレートとの関係を示す特性図である。図6に示すように、実験の結果、現像ローラのローラ種によって削れレート(溝深さの変化)が異なるが、いずれも連続と間欠駆動の差は大きくなく、駆動時間でおよその削れ量を見積もることができることがわかった。
【0033】
そこで、本実施形態に係る現像装置4の制御部40では、駆動時間の累積時間によりおよその削れ量を算出し、この算出結果に基づいて現像ローラ23の回転数を段階的に変化させる。これにより、現像ローラ23の表面が削れても、画像濃度を一定に保つことができる。図7は、現像ローラの回転数と画像濃度IDとの関係を示す特性図である。図7に示すように、現像ローラ23の回転数を20%アップすることで、画像濃度IDを1.5にすることができることがわかる。
【0034】
また、本実施形態に係る現像装置4では、現像ローラ23の回転数を高くすると、現像ローラ23の表面に担持されるトナーの動きが悪くなる。そのため、現像装置4の制御部40では、現像ローラ23の回転数が高くなるほど、現像バイアスとして印加される交流バイアスの周波数を高くするように制御する。これにより、現像ローラ23の表面に担持されるトナーが動きやすくなり、トナー供給能力の低下をより確実に抑制することができる。
【0035】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次のような特有の効果を奏する。
(態様A)
表面に規則的に形成された凹凸部を有し、現像剤を担持して回転し感光体2等の像担持体と対向する現像領域まで搬送する現像ローラ23等の現像剤担持体と、現像剤担持体上の現像剤を規制し現像領域に搬送する現像剤量を規制するトナー層規制部材24等の現像剤規制部材とを備える現像装置4等の現像装置において、現像装置の駆動時間に応じて現像剤担持体の回転速度を変更するよう制御する制御部40等の制御部を備える。これによれば、現像装置の駆動時間が長くなり現像剤担持体表面の凸部が摩耗したとしても、制御部によって現像剤担持体の回転数を上げることにより、現像剤担持体の現像剤供給能力の低下を抑制することができる。
(態様B)
(態様A)において、上記制御部は、現像剤担持体に直流バイアスと交流バイアスとを重畳した現像バイアスを印加し、現像剤担持体の回転速度が高くなるほど、印加する交流バイアスの周波数を高くするよう制御する。これによれば、上述したように、現像剤担持体の回転速度が高くなっても、トナーが動きやすくなり、トナー供給能力の低下をより確実に抑制することができる。
(態様C)
潜像担持体と、潜像担持体と対向する現像領域に少なくともトナーを含む現像剤を搬送して潜像担持体上の潜像にトナーを付着させて現像する現像装置とを備え、現像装置による現像によって得られるトナー像を潜像担持体上から最終的に記録材上へ転移させることで転写紙P等の記録材上に画像を形成するプリンタ100等の画像形成装置において、上記現像装置として、(態様A)又は(態様B)の現像装置を用いる。これによれば、上記実施形態で説明したように、長期に亘って高品質な画像を得ることが可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 トナーカートリッジ
2 感光体
3 帯電装置
4 現像装置
5 クリーニング装置
6 露光装置
7 中間転写ベルト
8 一次転写ローラ
9 二次転写ローラ
10 中間転写ユニット
11 クリーニング装置
12 定着装置
21 トナー収容室
22 トナー供給室
23 現像ローラ
24 トナー層規制部材
25 トナー供給ローラ
40 制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【特許文献1】特開2000−206780号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に規則的に形成された凹凸部を有し、現像剤を担持して回転し潜像を担持する像担持体と対向する現像領域まで搬送する現像剤担持体と、該現像剤担持体上の現像剤を規制し現像領域に搬送する現像剤量を規制する現像剤規制部材とを備え、該像担持体上の潜像を現像する現像装置において、
該現像装置の駆動時間に応じて該現像剤担持体の回転速度を変更するよう制御する制御部を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
上記制御部は、上記現像剤担持体に直流バイアスと交流バイアスとを重畳した現像バイアスを印加し、該現像剤担持体の回転速度が高くなるほど、印加する交流バイアスの周波数を高くするよう制御することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
潜像担持体と、該潜像担持体と対向する現像領域に少なくともトナーを含む現像剤を搬送して該潜像担持体上の潜像にトナーを付着させて現像する現像装置とを備え、該現像装置による現像によって得られるトナー像を該潜像担持体上から最終的に記録材上へ転移させることで該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、上記現像装置として、請求項1又は2の現像装置を用いることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−64887(P2013−64887A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203772(P2011−203772)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】