説明

現像装置及びこれを用いる画像形成装置

【課題】飛散抑制対象領域に配置される飛散抑制部材と現像剤担持体の外周面との間で現像剤が現像剤担持体から離脱するのを抑制して現像剤飛散を抑制することを課題とする。
【解決手段】現像スリーブ81の内部に配置された磁石ローラ82は、現像スリーブ回転方向に沿って回転するものであり、現像領域の現像スリーブ回転方向下流側に隣接した飛散抑制対象領域に飛散抑制部材85が設けられている。この飛散抑制部材は、現像スリーブ外周面と対向する現像スリーブ対向面85aが現像スリーブ外周面の曲面に沿って湾曲している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー及び磁性キャリアを含む二成分現像剤により潜像担持体上の潜像を現像する現像装置、及び、これを用いる複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二成分現像剤(以下、単に「現像剤」という。)を用いる現像装置は、一般に、現像剤を収容する現像ケース、現像ケース内の現像剤を攪拌・搬送する攪拌搬送部材、現像ケース内の現像剤を担持して搬送する現像剤担持体などから構成される。現像剤担持体は、一般に、回転可能な現像スリーブで構成され、その現像スリーブ内部に磁界発生手段が配置される。現像ケース内では、現像剤が攪拌搬送部材により攪拌・搬送されながら循環しており、その一部が現像スリーブ上へ供給され、現像スリーブ内部の磁界発生手段が生じさせる磁界の作用によって現像スリーブの外周面に担持される。現像スリーブ外周面上に担持された現像剤は、現像スリーブの回転に伴って現像スリーブ回転方向へ搬送され、潜像担持体との対向領域(現像領域)を通過する。現像スリーブ外周面上の現像剤は、現像領域の通過時に、潜像担持体上の静電潜像にトナーを付着させて現像処理を行い、その後、再び現像ケース内に回収される。
【0003】
現像スリーブ外周面に担持された現像剤は、周囲の磁束分布に応じた向きに磁気ブラシを形成する。現像領域では、現像スリーブ外周面の法線方向に磁気ブラシを穂立ちさせて潜像担持体の表面を摺擦することで、磁気ブラシ中のトナーを潜像担持体上の静電潜像に付着させる。
【0004】
一般的によく用いられているマグネット固定方式では、磁界発生手段が現像スリーブ内部に固定配置されている。この磁界発生手段は、現像領域近辺に磁極を備えており、これにより磁気ブラシを現像領域で穂立ちさせ、潜像担持体を摺擦することができる。このようなマグネット固定方式では、現像領域で潜像担持体上の静電潜像へ移動できるトナーは、穂立ちした磁気ブラシの潜像担持体表面に接触又は近接した部分(磁気ブラシの先端部分)に付着しているトナーだけである。そのため、ほぼ現像スリーブ外周面の線速が潜像担持体表面の線速と同程度であると、潜像担持体上の静電潜像が現像領域を通過するまでに対向する現像剤の量が少なく、静電潜像へ付着するトナーの量が不足する。
【0005】
よって、マグネット固定方式では、多くの場合、現像スリーブ外周面線速を潜像担持体の表面線速よりも大きくなるように設定されている。これにより、潜像担持体上の静電潜像が現像領域を通過するまでに対向する現像剤の量が多くなり、静電潜像へ付着するトナー量の不足を解消することができる。しかしながら、現像領域において現像スリーブ上の現像剤と潜像担持体との速度差が大きくなると、潜像担持体上の静電潜像に一度は付着したトナーが、後から搬送されてくる現像剤の磁気ブラシによって擦られて、画像のカスレ等の画質劣化が深刻化する。
【0006】
一方、現像スリーブ内部で磁界発生手段を回転させ、N極とS極とが現像スリーブ回転方向に沿って交互に配置された複数の磁極を現像スリーブ回転方向へ移動させるマグネット回転方式も知られている(特許文献1)。このマグネット回転方式を用いた現像方式はMS現像と呼ばれる現像方式であり、画像形成時に磁界発生手段を回転させることで、現像スリーブ上の現像剤は磁気ブラシの立ち上げと倒れを繰り返しながら現像スリーブの回転に伴って搬送される。
【0007】
マグネット回転方式では、磁界発生手段の各磁極が現像領域との対向位置を順次通過することにより、現像領域内で現像剤が磁気ブラシの立ち上げと倒れを繰り返すことになる。マグネット回転方式でも、現像領域内では、磁気ブラシが立ち上がったときにその磁気ブラシの先端部分のトナーが潜像担持体上の静電潜像に付着して消費される。しかしながら、この磁気ブラシが倒れることで、トナーを消費した部分がトナーを消費していない部分と混ざり合い、再び磁気ブラシが立ち上がったときには、その磁気ブラシの先端部分にトナーが十分に補充されている。その結果、現像領域において現像スリーブ上の現像剤と潜像担持体との速度差を小さくしても、潜像担持体上の静電潜像が現像領域を通過する間に磁気ブラシの立ち上げと倒れが繰り返されることで、十分な量のトナーを静電潜像に付着させることができる。よって、現像領域において現像スリーブ上の現像剤と潜像担持体との速度差が大きいことに起因した画像のカスレ等の画質劣化の問題を解消することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、マグネット回転方式には、マグネット固定方式と比較して、次のような不利な点が存在する。
現像領域の現像スリーブ回転方向下流側に隣接する領域においてトナーやキャリア(以下、これらを総じて「現像剤」ということがある。)が現像スリーブ上から離脱すると、現像剤が現像装置外部へ飛散する現像剤飛散が生じ、キャリア付着などの不具合を引き起こす。キャリア付着とは、現像スリーブ上から離脱したキャリアが潜像担持体の表面に付着してしまう現象である。キャリアが潜像担持体の表面に付着した場合、キャリアは一般にトナーよりも粒径が大きいため、潜像担持体上のトナー像中にキャリアが付着すると、潜像担持体上のトナー像を中間転写体や記録材上に転写する際、そのキャリア周囲のトナーが転写されず、画像の白抜けが生じるといった不具合を引き起こす。
【0009】
このようなキャリア付着などの問題を引き起こす現像剤飛散は、画像形成装置の高速化に伴い、より悪化する傾向にある。なぜなら、画像形成装置を高速化させるためには、必然的に現像スリーブの回転数を増大させる必要があり、現像スリーブ上に担持搬送される現像剤にかかる遠心力が大きくなる結果、現像スリーブから現像剤が離脱しやすくなるからである。
【0010】
現像剤飛散は、現像装置の外部において現像スリーブ内の磁界発生手段による磁界の作用によって現像剤を現像スリーブ上に拘束する磁気的拘束力が及ばない範囲にまで現像剤が現像スリーブから離脱することで発生する。ただし、現像装置の外部に露出した現像スリーブ外周面部分のうち現像領域の現像スリーブ回転方向上流側に隣接する領域では、現像剤飛散があまり問題にならない。
【0011】
なぜなら、この領域に存在する現像スリーブ上の現像剤中のトナーは、未だ現像領域で現像電界の作用を受けておらず、トナーがキャリアに付着した状態が適切に維持されるため、トナーが現像スリーブから離脱しにくい。また、この領域でトナーが離脱しても、潜像担持体の表面上の静電潜像部分に静電的に引き寄せられて付着し、その後、潜像担持体の回転に伴って現像領域へと送り込まれる。そして、現像領域では現像剤が磁気ブラシを形成して潜像担持体の表面を摺擦するので、この摺擦により、現像スリーブから離脱して潜像担持体表面に付着したトナーは現像スリーブ上の現像剤に取り込まれる。よって、現像領域の現像スリーブ回転方向上流側に隣接する領域では、トナーの飛散による問題が生じにくい。
また、キャリアについても、現像領域の現像スリーブ回転方向上流側に隣接する領域で離脱しても余り問題にならない。なぜなら、この領域で離脱したキャリアが潜像担持体の表面に付着しても、潜像担持体の回転に伴って現像領域へと送り込まれる。よって、現像領域内での磁気ブラシの摺擦を受け、現像スリーブ上の現像剤に取り込まれるため、キャリアの飛散によるキャリア付着等の問題も生じにくい。
【0012】
これに対し、現像領域の現像スリーブ回転方向下流側に隣接する領域で現像剤の飛散が発生すると、問題である。
すなわち、この領域に存在するトナーは現像領域の通過時に現像電界の作用を受けて帯電量が落ちており、キャリアとの静電的な付着力が低下しているため、現像スリーブ上のキャリアから離脱しやすい状態にある。しかも、潜像担持体表面上の静電潜像部分には既にトナーが付着しているので、現像スリーブから離脱したトナーをその静電潜像部分へ静電的に引き寄せる力も弱い。そのため、この領域で現像スリーブから離脱したトナーは、潜像担持体表面に付着せずに現像装置外部へ飛散しやすい。また、キャリアについても、この領域で現像スリーブから離脱した場合、そのキャリアが潜像担持体表面に付着してしまうと、もはや現像スリーブ内の磁界発生手段による磁界作用では当該キャリアを現像装置内へ回収することができず、潜像担持体表面に付着したまま転写処理がなされる。そのため、この領域でキャリアの飛散が発生すると、キャリア付着による白抜け画像などの問題が発生しやすい。以下、現像領域の現像スリーブ回転方向下流側に隣接する領域を飛散抑制対象領域という。
【0013】
マグネット回転方式においては、現像スリーブ回転方向における現像スリーブ上のどの箇所でも磁気ブラシの立ち上がりが起こる。したがって、現像領域の現像スリーブ回転方向下流側に隣接する領域すなわち飛散抑制対象領域でも、磁気ブラシの立ち上がりが起こる。磁気ブラシが立ち上がる際、現像スリーブ外周面上の現像剤はスリーブ表面から離れる方向へ移動するので、現像スリーブの回転による遠心力を受けて現像スリーブから現像剤が離脱しやすい。マグネット固定方式の場合、通常、現像領域の現像スリーブ回転方向下流側に隣接する領域(飛散抑制対象領域)が磁極と磁極の間に存在するため、飛散抑制対象領域では磁気ブラシが常に倒れた状態となる。これに対し、マグネット回転方式では、上述したように飛散抑制対象領域でも磁気ブラシが立ち上がるので、マグネット固定方式よりも、飛散抑制対象領域で現像剤中のトナーやキャリアが現像スリーブ上から離脱しやすい。したがって、マグネット回転方式には、マグネット固定方式よりも、現像剤飛散が生じやすいという不利な点が存在する。
【0014】
特許文献1には、キャリア付着による問題を抑制する目的で、現像領域(development zone)の現像スリーブ回転方向下流側に隣接した領域において回収プレート(scavenger plate)を感光体(photoconductor)に対向させた現像装置が開示されている。この現像装置は、その回収プレートが現像領域に向かって伸びる端部を有しており、回収プレートと感光体との間に形成される電界や磁界の作用により感光体に付着してしまったキャリアを回収することができる。
【0015】
上記特許文献1の記載によれば、上記回収プレートは、上述したように、感光体に付着してしまった電界や磁界の作用によりキャリアを回収するものであるが、この回収プレートは以下のような飛散抑制部材としての機能も果たしていると考えられる。
【0016】
すなわち、現像領域の現像スリーブ回転方向下流側に隣接した領域すなわち飛散抑制対象領域であっても、現像スリーブの外周面に近い領域、具体的には、磁界発生手段による磁気的拘束力が及ぶ領域(拘束領域)であれば、現像剤が離脱せず、又は、仮に離脱してもすぐに現像スリーブ上に拘束されるので、現像剤飛散を引き起こすことはない。これに対し、現像スリーブの外周面から離れた領域、具体的には、磁界発生手段による磁気的拘束力が及ばない領域(非拘束領域)では、現像スリーブから現像剤が離脱しやすく、かつ、離脱した現像剤を現像スリーブへ引き戻すことが困難となり、現像剤飛散を引き起こしやすい。
【0017】
上記回収プレートは、このような非拘束領域の一部に配置され、現像領域を通過した現像スリーブ上の現像剤が搬送される空間の広さ(高さ)を制限している。これにより、現像領域通過後の現像スリーブ上の現像剤は、現像スリーブ外周面と回収プレートの内壁面(現像スリーブ外周面と対向する壁面)との間の空隙を通って現像装置内へ戻される。回収プレートを設けた場合、回収プレートが存在しない構成よりも、非拘束領域が狭くなるので、現像剤飛散が起きにくいものとなる。すなわち、回収プレートは、現像剤の飛散を抑制する機能を果たしている。
【0018】
ところが、上記特許文献1に記載の現像装置は、回収プレートによる現像剤の飛散抑制機能を考慮しておらず、現像スリーブ外周面と回収プレートの内壁面との距離について規定されていない。しなしながら、現像スリーブ外周面と回収プレートの内壁面との距離は、現像剤の飛散抑制効果を得る上で重要なパラメータである。なぜなら、現像スリーブ外周面と回収プレートの内壁面との距離が磁界発生手段による磁気的拘束力が及ぶ範囲を超えるものに設定されていると、現像スリーブ外周面と回収プレートの内壁面との間の空隙内に非拘束領域が存在することになる。その結果、この空隙内に現像スリーブから離脱した現像剤が発生し、これが気流に乗って浮遊し、現像スリーブの回転軸方向端部の隙間その他の隙間から現像装置外へ吹き出て、現像剤の飛散を引き起こす。
【0019】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、飛散抑制対象領域に配置される飛散抑制部材と現像剤担持体の外周面との間で現像剤が現像剤担持体から離脱するのを抑制して現像剤飛散を抑制できる現像装置及びこれを用いた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために、本発明は、内部に配置された磁界発生手段が複数の磁極より発生させる磁界の作用により磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を外周面上に担持して回転する円筒状の現像剤担持体を有し、該現像剤担持体の外周面上に担持された二成分現像剤中のトナーを潜像担持体上に形成された静電潜像に付着させることにより該静電潜像を現像する現像装置において、上記磁界発生手段は、現像剤担持体回転方向に沿って上記複数の磁極を周回移動させるものであり、上記現像剤担持体と上記潜像担持体とが対向する現像領域の現像剤担持体回転方向下流側に隣接した飛散抑制対象領域に飛散抑制部材が設けられており、上記飛散抑制部材は、上記現像剤担持体の外周面と対向する現像剤担持体対向面が該現像剤担持体の外周面の曲面に沿って湾曲したものであることを特徴とする。
【0021】
飛散抑制部材の現像剤担持体対向面が現像剤担持体の外周面の曲面に沿って湾曲していない場合(例えば平面である場合)、飛散抑制部材と現像剤担持体外周面との最近接部分を限界まで近付けたとしても、他の部分では磁気的拘束力が及ぶ範囲まで飛散抑制部材の現像剤担持体対向面を現像剤担持体外周面へ近付けることができないことがある。本発明においては、飛散抑制対象領域に設けられる飛散抑制部材の現像剤担持体対向面が現像剤担持体の外周面の曲面に沿って湾曲しているので、飛散抑制部材の現像剤担持体対向面の全域で、現像剤担持体外周面との距離を狭めることができる。よって、飛散抑制部材の現像剤担持体対向面の全域を、現像剤担持体内部の磁界発生手段による磁気的拘束力が及ぶ範囲まで現像剤担持体外周面に近付けることが可能となる。その結果、飛散抑制部材の現像剤担持体対向面と現像剤担持体外周面との間で現像剤担持体から離脱する現像剤が発生することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上、本発明によれば、飛散抑制対象領域に配置される飛散抑制部材と現像剤担持体の外周面との間で現像剤が現像剤担持体から離脱するのを抑制して現像剤飛散を抑制できるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態に係る複写機の概略構成を示す説明図である。
【図2】4つプロセスカートリッジにそれぞれ装備されている現像装置及び感光体ドラムを示す説明図である。
【図3】現像剤搬送路内の現像剤の流れを説明する同現像装置の斜視断面図である。
【図4】トナーを補給する位置を説明する同現像装置の外観斜視図である。
【図5】同現像装置の現像ローラの周辺を拡大した説明図である。
【図6】ブロック磁石を希土類ボンド磁石としたときのキャリア回収スリーブ上での磁束密度を示すグラフである。
【図7】ブロック磁石を希土類焼結磁石としたときのキャリア回収スリーブ上での磁束密度を示すグラフである。
【図8】感光体ドラム上の磁束密度とキャリア回収率との関係についての実験結果を示すグラフである。
【図9】現像領域の近傍を感光体ドラム側から見たときの斜視図である。
【図10】飛散抑制部材を設けたことによる現像剤飛散抑制効果の確認試験の結果を示すグラフである。
【図11】飛散抑制部材を設けたことによるキャリア付着抑制効果の確認試験の結果を示すグラフである。
【図12】変形例1に係る現像装置の現像領域近傍を拡大した説明図である。
【図13】同現像装置の効果確認試験における地汚れ評価の結果を示すグラフである。
【図14】変形例2に係る現像装置の現像領域近傍を拡大した説明図である。
【図15】同現像装置の効果確認試験における現像剤飛散量の評価結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るフルカラー複写機(以下「複写機」という。)500の概略について説明する図である。なお、本実施形態において物質の量として使用する「部」はすべて重量部を表す。
【0025】
複写機500は、プリンタ部100、これを搭載する給紙装置200、プリンタ部100の上に固定されるスキャナ300などを備えている。また、スキャナ300の上には原稿自動搬送装置400が固定されている。
【0026】
プリンタ部100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像を形成するための4組のプロセスカートリッジ18Y,18M,18C,18Kからなる画像形成ユニット20を備えている。各符号の数字の後に付されたY、M、C、Kは、イエロー、マゼンタ、シアン、黒用の部材であることを示している(以下同様)。プロセスカートリッジ18Y,18M,18C,18Kの他には、光書込ユニット21、中間転写ユニット17、二次転写装置22、レジストローラ対49、ベルト定着方式の定着装置25などが配設されている。光書込ユニット21は、図示しない光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラーなどを有し、画像データに基づいて後述の感光体ドラム1の表面にレーザ光を照射する。
【0027】
プロセスカートリッジ18Y,18M,18C,18Kは、ドラム状の感光体ドラム1、帯電器、現像装置4、ドラムクリーニング装置、除電器などを有している。以下、イエロー用のプロセスカートリッジ18Yについて説明する。
【0028】
帯電手段たる帯電器によって、感光体ドラム1Yの表面は一様帯電される。帯電処理が施された感光体ドラム1Yの表面には、光書込ユニット21によって変調及び偏向されたレーザ光が照射される。これにより、照射部(露光部)の感光体ドラム1Yの表面の電位が減衰する。この表面の電位の減衰により、感光体ドラム1Yの表面にY用の静電潜像が形成される。形成されたY用の静電潜像は現像手段たる現像装置4Yによって現像されてYトナー像となる。
【0029】
Y用の感光体ドラム1Y上に形成されたYトナー像は、後述の中間転写ベルト110に一次転写される。一次転写後の感光体ドラム1Yの表面は、ドラムクリーニング装置によって転写残トナーがクリーニングされる。Y用のプロセスカートリッジ18Yにおいて、ドラムクリーニング装置によってクリーニングされた感光体ドラム1Yは、除電器によって除電される。そして、帯電器によって一様帯電せしめられて、初期状態に戻る。以上のような一連のプロセスは、他のプロセスカートリッジ18M,18C,18Kについても同様である。
【0030】
次に、中間転写ユニット17について説明する。
中間転写ユニット17は、中間転写ベルト110やベルトクリーニング装置70などを有している。また、張架ローラ14、駆動ローラ15、二次転写バックアップローラ16、4つの一次転写バイアスローラ62Y,62M,62C,62Kなども有している。中間転写ベルト110は、張架ローラ14を含む複数のローラによってテンション張架されている。そして、図示しないベルト駆動モータによって駆動される駆動ローラ15の回転によって図中時計回りに無端移動せしめられる。
【0031】
4つの一次転写バイアスローラ62Y,62M,62C,62Kは、それぞれ中間転写ベルト110の内周面側に接触するように配設され、図示しない電源から一次転写バイアスの印加を受ける。また、中間転写ベルト110をその内周面側から感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに向けて押圧してそれぞれ一次転写ニップを形成する。各一次転写ニップには、一次転写バイアスの影響により、感光体ドラム1とそれぞれの一次転写バイアスローラ62Y,62M,62C,62Kとの間に一次転写電界が形成される。
【0032】
Y用の感光体ドラム1Y上に形成された上述のYトナー像は、この一次転写電界やニップ圧の影響によって中間転写ベルト110上に一次転写される。このYトナー像の上には、M、C、K用の感光体ドラム1M,1C,1K上に形成されたM、C、Kトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト110上には多重トナー像たる4色重ね合わせトナー像(以下「4色トナー像」という。)が形成される。
【0033】
中間転写ベルト110上に重ね合わせ転写された4色トナー像は、後述の二次転写ニップで図示しない記録材たる転写紙に二次転写される。二次転写ニップ通過後の中間転写ベルト110の表面に残留する転写残トナーは、図中左側の駆動ローラ15との間にベルトを挟み込むベルトクリーニング装置70によってクリーニングされる。
【0034】
次に、二次転写装置22について説明する。
中間転写ユニット17の図中下方には、2本の張架ローラ23によって紙搬送ベルト24を張架している二次転写装置22が配設されている。紙搬送ベルト24は、少なくとも一方の張架ローラ23の回転駆動に伴って、図中反時計回りに無端移動せしめられる。2本の張架ローラ23のうち、図中右側に配設された一方のローラは、中間転写ユニット17の二次転写バックアップローラ16との間に、中間転写ベルト110及び紙搬送ベルト24を挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ユニット17の中間転写ベルト110と、二次転写装置22の紙搬送ベルト24とが接触する二次転写ニップが形成されている。そして、この一方の張架ローラ23には、トナーと逆極性の二次転写バイアスが図示しない電源によって印加される。
【0035】
この二次転写バイアスの印加により、二次転写ニップには中間転写ユニット17の中間転写ベルト110上の4色トナー像をベルト側からこの一方の張架ローラ23側に向けて静電移動させる二次転写電界が形成される。後述のレジストローラ対49によって中間転写ベルト110上の4色トナー像に同期するように二次転写ニップに送り込まれた転写紙には、この二次転写電界やニップ圧の影響を受けた4色トナー像が二次転写せしめられる。なお、このように一方の張架ローラ23に二次転写バイアスを印加する二次転写方式に代えて、転写紙を非接触でチャージさせるチャージャを設けてもよい。
【0036】
複写機500の本体下部に設けられた給紙装置200には、内部に複数の転写紙を紙束の状態で複数枚重ねて収容可能な給紙カセット44が、鉛直方向に複数重なるように配設されている。それぞれの給紙カセット44は、紙束の一番上の転写紙に給紙ローラ42を押し当てている。そして、給紙ローラ42を回転させることにより、一番上の転写紙を給紙路48に向けて送り出される。
【0037】
給紙カセット44から送り出された転写紙を受け入れる給紙路48は、複数の搬送ローラ対47と、給紙路48内の末端付近に設けられたレジストローラ対49とを有している。そして、転写紙をレジストローラ対49に向けて搬送する。レジストローラ対49に向けて搬送された転写紙は、レジストローラ対49のローラ間に挟まれる。一方、中間転写ユニット17において、中間転写ベルト110上に形成された4色トナー像は、ベルトの無端移動に伴って二次転写ニップに進入する。レジストローラ対49は、ローラ間に挟み込んだ転写紙を二次転写ニップにて4色トナー像に密着させ得るタイミングで送り出す。
【0038】
これにより、二次転写ニップでは、中間転写ベルト110上の4色トナー像が転写紙に密着する。そして、転写紙上に二次転写されて、白色の転写紙上でフルカラー画像となる。このようにしてフルカラー画像が形成された転写紙は、紙搬送ベルト24の無端移動に伴って二次転写ニップを出た後、紙搬送ベルト24上から定着装置25に送られる。
【0039】
定着装置25は、定着ベルト26を2本のローラによって張架しながら無端移動せしめるベルトユニットと、このベルトユニットの一方のローラに向けて押圧される加圧ローラ27とを備えている。これら定着ベルト26と加圧ローラ27とは互いに当接して定着ニップを形成しており、紙搬送ベルト24から受け取った転写紙をここに挟み込む。ベルトユニットにおける2本のローラのうち、加圧ローラ27から押圧される方のローラは、内部に図示しない熱源を有しており、これの発熱によって定着ベルト26を加熱する。加熱された定着ベルト26は、定着ニップに挟み込まれた転写紙を加熱する。この加熱やニップ圧の影響により、フルカラー画像が転写紙に定着される。
【0040】
定着装置25内で定着処理が施された転写紙は、プリンタ筐体の図中左側板の外側に設けたスタック部57上にスタックされるか、もう一方の面にもトナー像を形成するために上述の二次転写ニップに戻されるかの何れかの搬送形態が選択される。
【0041】
原稿のコピーがとられる際には、例えばシート原稿の束が原稿自動搬送装置400の原稿台30上セットされる。但し、例えばその原稿が本状に閉じられている片綴じ原稿である場合には、コンタクトガラス32上にセットされる。このセットに先立ち、複写機本体に対して原稿自動搬送装置400が開かれ、スキャナ300のコンタクトガラス32が露出される。この後、閉じられた原稿自動搬送装置400によって片綴じ原稿が押さえられる。
【0042】
このようにして原稿がセットされた後、図示しないコピースタートスイッチが押下されると、スキャナ300による原稿読取動作がスタートする。但し、原稿自動搬送装置400にシート原稿がセットされた場合には、この原稿読取動作に先立って、原稿自動搬送装置400がシート原稿をコンタクトガラス32まで自動移動させる。原稿読取動作では、まず、第一走行体33と第二走行体34とがともに走行を開始し、第一走行体33に設けられた光源から光が発射される。そして、原稿面からの反射光が第二走行体34内に設けられたミラーによって反射せしめられ、結像レンズ35を通過した後、読取センサ36に入射される。読取センサ36は、入射光に基づいて画像情報を構築する。
【0043】
このような原稿読取動作と並行して、各プロセスカートリッジ18Y,18M,18C,18K内の各機器や、中間転写ユニット17、二次転写装置22、定着装置25がそれぞれ駆動を開始する。そして、読取センサ36によって構築された画像情報に基づいて、光書込ユニット21が駆動制御されて、各感光体ドラム1Y,1M,1C,1K上に、Y、M、C、Kトナー像が形成される。これらトナー像は、中間転写ベルト110上に重ね合わせ転写された4色トナー像となる。
【0044】
また、原稿読取動作の開始とほぼ同時に、給紙装置200内では給紙動作が開始される。この給紙動作では、給紙ローラ42の1つが選択回転せしめられ、ペーパーバンク43内に多段に収容される給紙カセット44の1つから転写紙が送り出される。送り出された転写紙は、分離ローラ45で1枚ずつ分離されて給紙路48に進入した後、搬送ローラ対47によって二次転写ニップに向けて搬送される。このような給紙カセット44からの給紙に代えて、手差しトレイ51からの給紙が行われる場合もある。この場合、手差し給紙ローラ50が選択回転せしめられて手差しトレイ51上の転写紙を送り出した後、分離ローラ52が転写紙を1枚ずつ分離してプリンタ部100の手差し給紙路53に給紙する。
【0045】
複写機500は、2色以上のトナーからなる多色画像を形成する場合には、中間転写ベルト110をその上部張架面がほぼ水平になる姿勢で張架して、上部張架面にすべての感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kを接触させる。これに対し、Kトナーのみからなるモノクロ画像を形成する場合には、図示しない機構により、中間転写ベルト110を図中左下に傾けるような姿勢にして、その上部張架面をY、M、C用の感光体ドラム1Y,1M,1Cから離間させる。そして、4つの感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kのうち、K用の感光体ドラム1Kだけを図中反時計回りに回転させて、Kトナー像だけを作像する。この際、Y、M、Cについては、感光体ドラムだけでなく、現像装置も駆動を停止させて、感光体ドラムや現像装置の各部材及び現像装置内の現像剤の不要な消耗を防止する。
【0046】
複写機500は、複写機500内の各機器の制御を司るCPU等から構成される図示しない制御部と、液晶ディスプレイや各種キーボタン等などから構成される図示しない操作表示部とを備えている。操作者は、この操作表示部に対するキー入力操作により、制御部に対して命令を送ることで、転写紙の片面だけに画像を形成するモードである片面プリントモードについて、3つのモードの中から1つを選択することができる。この3つの片面プリントモードとは、ダイレクト排出モードと、反転排出モードと、反転デカール排出モードとからなる。
【0047】
図2は、4つプロセスカートリッジ18Y,18M,18C,18Kにそれぞれ装備されている現像装置4及び感光体ドラム1について説明する図である。なお、4つのプロセスカートリッジ18Y,18M,18C,18Kは、それぞれ扱うトナーの色が異なる点以外はほぼ同様の構成になっているので、同図ではY、M、C、Kという添字を省略している。
【0048】
図2に示すように感光体ドラム1は図中矢印G方向に回転しながら、その表面を不図示の帯電装置により帯電される。帯電された感光体ドラム1の表面には、光書込ユニット21によりレーザ光が照射されて静電潜像を形成され、その静電潜像に対して現像装置4からトナーを供給することによりトナー像が形成される。現像装置4は、図中矢印I方向に現像剤を搬送しながら感光体ドラム1の表面の静電潜像にトナーを供給し、現像する現像ローラ5を有している。現像ローラ5は、回転可能な現像剤担持体としての現像スリーブ81を備え、複数の磁極からなり図中矢印A方向に回転可能な磁気発生手段としての磁石ローラ82を内包している。
【0049】
現像領域の感光体ドラム回転方向下流側には、現像ローラ5および感光体ドラム1の両方に近接するように、キャリア回収部材としてのキャリア回収ローラ13を有している。キャリア回収ローラ13も、現像ローラ5と同様、回転可能なキャリア回収スリーブ90を備え、複数の固定磁極からなる磁気発生手段としてのキャリア回収磁石ローラ91を内包している。感光体ドラム1に付着したキャリアは、キャリア回収磁石ローラ91の磁気力によりキャリア回収ローラ13上に回収され、キャリア回収スリーブ90の回転により現像装置4内へ戻される。
【0050】
また、現像ローラ5に現像剤を供給しながら現像ローラ5の軸線方向に沿って図2の紙面の奥側(以下、便宜上、図中奥側あるいは図2中奥側と称する場合もある。)に向けて現像剤を搬送する供給搬送部材としての供給スクリュー8を有している。また、供給スクリュー8との対向部から現像スリーブ回転方向下流側には、現像ローラ5に供給された現像剤を現像に適した厚さに規制する現像剤規制手段としてのドクタブレード12を備えている。
【0051】
また、現像領域よりも現像スリーブ回転方向下流側では、現像領域を通過し、現像装置の内部で現像スリーブ表面から剥離された現像済み現像剤を回収する回収搬送路7が現像ローラ5と対向する。回収搬送路7は、回収した回収現像剤を現像ローラ5の軸線方向に沿って供給スクリュー8と同方向に搬送する回収搬送部材として、軸線方向に平行に配置された螺旋状の回収スクリュー6を備えている。供給スクリュー8を備えた供給搬送路9は現像ローラ5の上方に、そして回収スクリュー6を備えた回収搬送路7は現像ローラ5の下方に並設されている。
【0052】
現像装置4は、供給搬送路9と回収搬送路7に並列して攪拌搬送路10を設けている。攪拌搬送路10は奥側では回収搬送路7、手前側では供給搬送路9と略同じ高さになるよう傾斜を設けてある。攪拌搬送路10は、現像ローラ5の軸線方向に沿って現像剤を攪拌しながら供給スクリュー8とは逆方向である、図2に示す紙面の手前側(以下、便宜上、図中手前側と称する場合もある。)に向けて搬送する攪拌搬送部材として、軸線方向に傾斜状に配置された、螺旋状の攪拌スクリュー11を備えている。
【0053】
供給搬送路9と攪拌搬送路10とは仕切り壁としての第一仕切り壁133によって仕切られている。第一仕切り壁133の供給搬送路9と攪拌搬送路10とは、図中手前側が開口部となっており、供給搬送路9と攪拌搬送路10とが連通している。供給搬送路9と回収搬送路7との間は第二仕切り壁134によって仕切られている。第二仕切り壁134の供給搬送路9と回収搬送路7とは、図中奥側が開口部となっており、供給搬送路9と回収搬送路7とが連通している。また、攪拌搬送路10と回収搬送路7との2つの現像剤搬送路は仕切り部材としての第三仕切り壁135によって仕切られている。第三仕切り壁135は、図中奥側が開口部となっており、攪拌搬送路10と回収搬送路7とが連通している。
【0054】
現像剤搬送部材である供給スクリュー8、回収スクリュー6及び攪拌スクリュー11は、樹脂もしくは金属のスクリューからなっている。各スクリュー径は、供給スクリュー8及び回収スクリュー6がφ26[mm]、攪拌スクリュー11がφ30[mm]である。スクリューピッチは、供給スクリューが54[mm]の2条巻き、回収スクリュー6が36[mm]の2条巻き、攪拌スクリュー11が54[mm]の2条巻きである。回転数はすべて約600[rpm]に設定されている。現像ローラ5の直径はφ40[mm]、ドクタブレード12及び感光体ドラム1とのギャップは0.3[mm]程度となっている。
【0055】
現像ローラ5上に担持された現像剤は、ステンレスからなるドクタブレード12によって薄層化されたうえで現像領域へ搬送されて現像が行われる。現像後の現像剤は回収搬送路7にて回収が行われ、図2中奥側に搬送され、非画像領域部に設けられた第三仕切り壁135の開口部で、攪拌搬送路10へ現像剤が移送される。なお、供給搬送路9における現像剤搬送方向下流側の第二仕切り壁134の開口部の付近で、供給搬送路9の上方には、図4に示すように、後述するトナー補給口19が形成されている。
【0056】
図3は、現像剤搬送路内の現像剤の流れを説明する現像装置4の斜視断面図である。なお、図中の各矢印は現像剤の移動方向を示している。
攪拌搬送路10から現像剤の供給を受けた供給搬送路9では、現像剤が移動しながら現像ローラ5に接触して供給される。そして、現像ローラ5に供給されずに供給搬送路9の搬送方向下流端まで移動した余剰現像剤は第二仕切り壁134の余剰開口部より回収搬送路7に供給される(図3中矢印E)。
【0057】
一方、現像ローラ5に供給された現像剤は、現像領域で現像に用いられた後、再び現像装置の内部へ搬送されてから、所定の剥離領域で現像ローラ5から剥離され、回収搬送路7に受け渡される。回収搬送路7に受け渡された現像剤(回収現像剤)は、回収スクリュー6によって回収搬送路7の搬送方向下流端まで搬送され、第三仕切り壁135の回収開口部より攪拌搬送路10に供給される(図3中矢印F)。そして、攪拌搬送路10では、供給搬送路9から供給された余剰現像剤と回収搬送路7に回収された回収現像剤と後述するトナー補給口19(図4参照)から補給されたトナーとが攪拌されながら、攪拌スクリュー11によって現像剤搬送方向下流側へ搬送され、第一仕切り壁133の供給開口部より供給搬送路9に供給される(図3中矢印D)。
【0058】
攪拌搬送路10の底部には、透磁率センサからなるトナー濃度センサ(不図示)が設けられ、センサ出力により不図示のトナー補給制御装置を作動し、不図示のトナー収容部からトナー補給を行っている。
【0059】
図3に示す現像装置4では、供給搬送路9と回収搬送路7とを備え、現像剤の供給と回収とを異なる現像剤搬送路で行うので、現像済みの現像剤が供給搬送路9に混入することがない。このため、供給搬送路9内の現像剤を供給搬送路全域にわたって一定のトナー濃度に維持できる。また、回収搬送路7と攪拌搬送路10とを備え、現像剤の回収と攪拌とを異なる現像剤搬送路で行うので、現像済みの現像剤が攪拌搬送路の途中に混入することがない。これにより、攪拌が不十分な現像剤が供給搬送路9に供給されることがなくなるため、現像ローラ5上に供給される現像剤が攪拌不足となることを抑制することができる。
【0060】
図4は、トナーを補給する位置を説明する外観斜視図である。
図4に示すように、トナーを補給するトナー補給口19は、供給スクリュー8を備える供給搬送路9の現像剤搬送方向下流端部の上方に設けてられている。このトナー補給口19は第二仕切り壁134の余剰開口部(図3中矢印E)の上部であるため、トナーは余剰現像剤および回収現像剤と混ざりやすい。この位置で補給を行うことによってより効率よく現像剤の攪拌を行うことができる。
【0061】
図5は、現像装置の現像ローラ5の周辺を拡大して説明する図である。
現像ローラ5は、現像剤を担持する円筒状の現像スリーブ81と現像スリーブ81に内包され磁気力により現像剤を吸着する磁界発生手段としての磁石ローラ82からなる。現像スリーブ81はアルミニウム、オーステナイト系ステンレス、マグネシウム等の非磁性かつ導電材料が選定可能だが、高速・高耐久機においては、電磁誘導による発熱防止と耐久性向上のためオーステナイト系ステンレスが好適である。表面は平滑でも構わないが高速機では現像剤のスリップを抑制するために下記の粗し処理・加工を施しても良い。
(A)V溝またはU溝等の溝押し出し加工・各種凹形状の機械加工またはレーザ加工またはエッジング加工
(B)ブラスト処理
(C)金属またはセラミック等の溶射処理
【0062】
磁石ローラ82は、現像スリーブ回転方向Iとは反対向きの矢印Aの方向へ回転可能に設けられており、偶数個の磁石83を等間隔に配置し(本実施形態の構成では16個の磁石を配置している。)、その極性は隣り合う磁石間で反対磁性となるように構成されている。本実施形態では、磁石ローラ82と現像スリーブ81との回転方向を、互いに同方向又は互いに反対方向のいずれも選択できるようになっている。これらの回転方向の関係は、磁石ローラ82及び現像スリーブ81の回転速度も考慮して、現像スリーブ81の外周面に担持される現像剤と磁石ローラ82の各磁石83とのすれ違い回数が多くなることを条件に、適宜設定される。磁石ローラ82の磁石83に対する現像剤のすれ違い回数の増加によって、現像剤が磁極と対向したときに穂立ちが形成され、磁極から離れた際に穂立ちが崩されるという現象を繰り返す回数が増加する。この繰り返しにより、トナーとキャリアと摩擦接触機会が増えるので、トナーの帯電特性を向上させることができる。
【0063】
磁石ローラ82の磁石83は、従来の廉価なフェライト磁石が使用可能であるが、小型化や高速化のためにはより強力なサマリウムコバルト磁石やネオジウム磁石等の希土類磁石の使用も可能である。磁石83は、磁石ホルダ84に接着により支持し、その外周を図示しない熱収縮チューブ等で保護しても良い。磁石ホルダ84を磁性材料とすると、磁石83の磁気力を若干向上させることが可能である。但し、コスト高となるうえ、一般に鉄を主成分とする磁性材料は高比重のため高速回転時に慣性モーメントが増大して駆動部の耐久性に問題が生じる場合がある。そのため、磁石83の磁気力は若干低くなるが、非磁性かつ軽比重のアルミニウムやマグネシウムを材料としても良い。
【0064】
図5において、本実施形態における磁石ローラ82の回転中心P’は現像スリーブ81の回転中心Pより距離Tだけ離れた位置に偏心させて位置決めされている。偏心の方向は、現像領域に向かう方向に設定されている。また、その偏心量は、現像スリーブ81の内面に最も接近することができる量である。この偏心量と磁石83の磁気力は、現像領域においてキャリアが感光体ドラム1に移行するのを磁界の作用で抑制できるように適宜設定される。
【0065】
一方、偏心方向とは反対側の現像スリーブ81の外周面では磁気力が低く抑えられる。このため、現像スリーブ81の外周面に担持されている現像剤を現像装置の内部でスムーズに剥離させることができる。よって、上述したような偏心構造を採用するだけで、現像スリーブ81からの現像剤の剥離を、外部からの機械的な外力を用いることなく、容易に行うことができる。
【0066】
次に、本実施形態における現像剤の動きについて説明する。
供給スクリュー8から樋部9’に供給された現像剤は、磁石ローラ82の磁気力によって現像スリーブ81上に吸着され、現像スリーブ81の回転に伴って現像スリーブ回転方向へと搬送される。現像スリーブ上の現像剤は、ドクタブレード12を通過する際に一定量に規制される。ドクタブレード12を通過した現像剤は、磁石ローラ82による磁力線に沿って配列される。つまり、各磁石83との対向箇所では、図5中符号B1で示すように磁気ブラシが立ち上がり、磁石83と磁石83との間の箇所では、符号B2で示すように磁気ブラシが倒れた状態になる。
【0067】
ドクタブレード12を通過した現像剤は、現像スリーブ81の回転に伴って現像領域へと搬送されていく中、磁石ローラ82の偏心により次第に現像スリーブ81への吸着力が増大する。磁石ローラ82の回転速度が大きいほど、現像領域内における現像剤の磁気ブラシの立ち上げと倒れが繰り返されるので、現像効率が高まる。現像領域を通過した現像剤は、引き続き現像スリーブ81の回転に伴って、磁石ローラ82の偏心により次第に現像スリーブ81への吸着力を減少させながら現像装置の内部へと搬送される。そして、現像スリーブ上の現像済み現像剤は、現像スリーブ81から剥離し、回収搬送路7へ自重により回収される(矢印K、矢印L)。
【0068】
キャリア回収ローラ13のキャリア回収磁石ローラ91は、アルミニウム、オーステナイト系ステンレス、マグネシウム、各種樹脂材料等の非磁性材料からなるシャフト92に、複合磁石93、ブロック磁石94を貼り付けてなる。複合磁石93はマグネット粉末としてはSrフェライトないしBaフェライトを用い、高分子化合物としては6PAもしくは12PA等のPA(ポリアミド)系材料、EEA(エチレン・エチル共重合体)又はEVA(エチレン・ビニル共重合体)等のエチレン系化合物、CPE(塩素化ポリエチレン)等の塩素系材料、NBR等のゴム材料を使用することができる。キャリア回収磁石ローラ91は、軸方向に対して直交する断面の形状が半月状に成型され、着磁により3個の磁極を有している。複合磁石93が存在しない切り欠き部は、現像ローラ5側に配置され、現像ローラ5に対向する側には磁極を有しないようにしてある。
【0069】
ブロック磁石94は、感光体ドラム1に付着したキャリアを回収するために複合磁石93よりも小さい体積で高い磁気力が必要となる。そのため、Br>0.5[T]の材料を用いることが望ましく、多くはNe系(Ne−Fe−B等)またはSm系(Sm−Co、Sm−Fe−N等)の希土類焼結磁石もしくはこれらのマグネット粉を高分子化合物と混合した希土類ボンド磁石を用いることができる。また、希土類系マグネット粉には等方性、異方性のマグネット粉があり、異方性マグネット粉の方が高磁気力を得られるが、所望の磁気特性に応じてどちらのタイプを用いてもかまわない。そして、上記の材料を、燒結、押出し成型・射出成型、あるいは、磁性粉とバインダーの型内圧縮成型等することで、例えば、幅3[mm]、厚さ3[mm]のブロック磁石94を作成する。長さは346[mm]で、磁石ローラ82よりも約10[mm]長くして端部まで確実にキャリア回収を可能にしている。
【0070】
図6は、ブロック磁石94を希土類ボンド磁石としたときのキャリア回収スリーブ90上での磁束密度を示すグラフである。このグラフの円周方向位置は、キャリア回収スリーブ90上の回転方向位置に対応している。
図6に示すように、ブロック磁石94に対応する磁極P21では、150[mT]と高磁束密度が得られた。他の磁極は、磁極P22が100[mT]、磁極P23が70[mT]、磁極P24が40[mT]であった。ブロック磁石94に対応する磁極P21による磁束密度は、キャリア回収ローラ13の表面から0.5[mm]離れた感光体ドラム1の表面では140[mT]であった。
【0071】
図7は、ブロック磁石94を希土類焼結磁石としたときのキャリア回収スリーブ90上での磁束密度を示すグラフである。このグラフの円周方向位置は、キャリア回収スリーブ90上の回転方向位置に対応している。
図7に示すように、ブロック磁石94に対応する磁極P21では、230[mT]と更に高磁束密度が得られた。他の磁極は、磁極P22が110[mT]、磁極P23が70[mT]、磁極P24が40[mT]であった。ブロック磁石94に対応する磁極P21による磁束密度は、キャリア回収ローラ13の表面から0.5[mm]離れた感光体ドラム1の表面では200[mT]であった。
【0072】
ここで、ブロック磁石94の磁束密度を選定するために行った実験について説明する。
現像工程後であって転写工程前の感光体ドラム1上の単位面積当たりのキャリア個数をキャリア回収ローラ13が有る場合と無い場合とでカウントし、その比率をキャリア回収率とした。キャリア回収ローラ13と感光体ドラム1との間隙は0.5[mm]とし、感光体ドラム1上の磁束密度とキャリア回収率の関係を調査した。
【0073】
<実験条件>
・キャリア:(株)リコー imagio MP C7500用 35[μm]フェライトキャリア
・トナー:(株)リコー imagio MP C7500用 PxP重合トナー
・トナー濃度:4[wt%]
・帯電量:−24[μC/g]
・現像ポテンシャル:114[V]
・地肌ポテンシャル:150[V]
・感光体ドラム線速:600[mm/s]
・現像スリーブ線速:750[mm/s]
・現像ギャップ:0.4[mm]
【0074】
図8は、感光体ドラム1上の磁束密度とキャリア回収率との関係についての実験の結果を示すグラフである。
感光体ドラム1上の磁束密度が高いほどキャリア回収率も高まる傾向にあり、キャリア回収率を通常問題とならない98[%]以上とするには、感光体ドラム1上の磁束密度が140[mT]以上である必要がある。感光体ドラム1上の磁束密度が200[mT]以上であれば、キャリア回収率は100[%]に近い値を示す。
【0075】
感光体ドラム1上の磁束密度を140[mT]とすることは、ブロック磁石94を希土類ボンド磁石で作成しても達成可能であるが、感光体ドラム1上の磁束密度を200[mT]とするには、ブロック磁石94を高価な希土類焼結磁石で作成する必要がある。ブロック磁石94の材質はコストとキャリア付着の問題レベルから適宜選択するのが良い。
【0076】
キャリア回収スリーブ90は、アルミニウム、オーステナイト系ステンレス、マグネシウム等の非磁性かつ導電材料からなる。上述したような高磁束密度の磁極P21の磁界作用によってキャリア回収スリーブ90上に吸着するキャリアを、キャリア回収スリーブ90の回転により比較的低磁束密度の磁極P22へスリップなく搬送するためには、キャリア回収スリーブ90の表面に下記の粗し処理・加工を施すのが望ましい。
(A)V溝またはU溝等の溝押し出し加工・各種凹形状の機械加工またはレーザ加工またはエッジング加工
(B)ブラスト処理
(C)金属またはセラミック等の溶射処理
【0077】
上記加工(A)については、溝・凹の深さは0.05[mm]〜0.5[mm]程度で形状や個数等公知技術を使用可能である。
上記処理(B)については、その粗さはRz7[μm]〜Rz50[μm]が製作可能でかつキャリアのスリップを防止できる範囲である。
上記処理(C)については、その粗さはRz40[μm]〜Rz90[μm]が製作可能でかつキャリアのスリップを防止できる範囲である。
【0078】
本実施形態において、キャリア回収ローラ13は、図2又は図5中符号Jの方向に回転している。つまり、キャリア回収ローラ13は、現像ローラ5と同方向に回転する。感光体ドラム1に付着してしまったキャリアは、図5中破線矢印で示すように、感光体ドラム1の回転に伴ってキャリア回収ローラ13との対向領域まで搬送され、ブロック磁石94による高磁束密度の磁極P21の磁界作用によってキャリア回収ローラ13上に吸着・回収される。本実施形態では、キャリア回収スリーブ90の表面が粗し処理されているため、キャリア回収ローラ13上のキャリアはスリップすることなくキャリア回収ローラ13の回転に伴って搬送される。そして、下部ケーシング95の内壁との対向領域が終わる箇所で、キャリア回収ローラ13上のキャリアの一部は、図5中符号Mで示すように、自重により回収搬送路7へと落下する。
【0079】
ただし、この箇所で剥離されずにキャリア回収ローラ13上に残ったキャリアは、更にキャリア回収スリーブ90の回転に伴って搬送され、現像ローラ5との対向部へと搬送される。キャリア回収ローラ13と現像ローラ5との対向部では、現像ローラ5上の現像剤が磁気ブラシの立ち上げと倒れを繰り返しており、この磁気ブラシによってキャリア回収ローラ13の表面が摺擦される。また、キャリア回収ローラ13と現像ローラ5との対向部において、キャリア回収ローラ13側には磁極が存在しない。よって、現像ローラ5との対向部まで搬送されたキャリア回収ローラ13上のキャリアは、図5中符号Nで示すように、現像ローラ5上の現像剤に取り込まれ、回収される(矢印N)。
【0080】
キャリア回収ローラ13と感光体ドラム1との間隙を例えば0.5[mm]と狭く設定することで、感光体ドラム1上の磁束密度はキャリア回収スリーブ90上での磁束密度より10[mT]〜30[mT]程度の減衰に抑えられる。これにより、感光体ドラム1に付着したキャリアをより確実に回収することができる。なお、本実施形態のキャリア回収ローラ13は、極低速で間欠回転するように制御されているので、キャリア回収ローラ13上に付着したキャリアが遠心力で飛散することはほとんどない。
【0081】
また、キャリア回収ローラ13と現像ローラ5との間隙を例えば2[mm]と狭めに設定すれば、図5に示すように、現像ローラ5上の磁気ブラシB3をキャリア回収ローラ13に接触させることができる。これにより、キャリア回収ローラ13上に付着したキャリアを現像ローラ5上の磁気ブラシB3によってキャリア回収ローラ13から剥離させることができ、キャリア回収ローラ13からのキャリア回収を適切に行うことができる。また、現像ローラ5とキャリア回収ローラ13との空隙が磁気ブラシB3によって塞がれるので、現像装置内で浮遊する現像剤がこの空隙から現像装置外部へと流出することが抑制される。
【0082】
また、現像ローラ5とは反対側でキャリア回収ローラ13と対向する下部ケーシング95の内壁とキャリア回収ローラ13との間隙を例えば1.5[mm]と狭く設定することで、磁極P24の磁界作用により穂立ちした磁気ブラシB4が下部ケーシング95の内壁に接触する。これにより、下部ケーシング95の内壁上に付着したキャリアあるいは現像剤をキャリア回収ローラ13上の磁気ブラシによって回収でき、下部ケーシング95の内壁上にキャリアや現像剤が堆積するのを抑制できる。また、キャリア回収ローラ13と下部ケーシングの内壁との空隙が磁気ブラシB4によって塞がれるので、現像装置内で浮遊する現像剤がこの空隙から現像装置外部へと流出することが抑制される。
【0083】
次に、本発明の特徴部分である飛散抑制部材85について詳しく説明する。
現像装置の内部であれば、現像スリーブ81の内部の磁石ローラ82による磁気的拘束力が及ばずに現像剤が浮遊していても、その現像剤が現像装置の外部へ流出することは少ない。特に、本実施形態では、現像ローラ5とキャリア回収ローラ13との間の空隙は、図5に示すように磁気ブラシB3によって塞がれ、キャリア回収ローラ13と下部ケーシング95の内壁との間の空隙も、図5に示すように磁気ブラシB4によって塞がれているので、これらの空隙から現像剤が流出することがない。
【0084】
しかしながら、現像領域の現像スリーブ回転方向下流側に隣接する領域(飛散抑制対象領域)、具体的には、現像スリーブ81の外周面と、感光体ドラム1の表面と、キャリア回収ローラ13の表面とに囲まれた領域で、現像スリーブ81の内部の磁石ローラ82による磁気的拘束力が及ばない現像剤が発生すると、その現像剤が現像装置の外部へ流出して現像剤飛散を引き起こす。具体的には、この飛散抑制対象領域で磁気的拘束力を逃れた現像剤は、気流に乗って現像スリーブ回転軸方向端部へと流れ、その端部の隙間から現像装置の外部に吹き出て現像剤の飛散を引き起こす。特に、本実施形態のように、磁石ローラ82が回転するマグネット回転方式の場合、現像スリーブ81上の現像剤によって飛散抑制対象領域で磁気ブラシが立ち上がる。これにより、現像スリーブ81の回転による遠心力に加えて磁気ブラシの立ち上がりによる勢いを受けて、現像スリーブ81上の現像剤が飛散抑制対象領域内で磁気的拘束力を逃れて離脱しやすい。
【0085】
図9は、現像領域の近傍を感光体ドラム側から見たときの斜視図である。
本実施形態では、この飛散抑制対象領域内に飛散抑制部材85を配置している。このように飛散抑制対象領域を飛散抑制部材85で埋めることで、現像スリーブ81の外周面から離れた領域すなわち磁石ローラ82による磁気的拘束力が及ばない領域(非拘束領域)を少なくすることができる。これにより、飛散抑制対象領域において磁気的拘束力を逃れて離脱する現像剤の発生を抑制できる。
【0086】
また、一般に、飛散抑制対象領域の空隙が広いと、周辺の気流が安定せず、現像装置外へ漏れ出る気流の流量が増えるため、これも、現像剤飛散を悪化させる要因となる。本実施形態のように、飛散抑制対象領域内に飛散抑制部材85を配置することで、飛散抑制対象領域の空隙が狭くなる結果、周辺の気流が安定し、また、現像スリーブ81の回転による現像装置内部への吸い込み気流も発生しやすくなる。これも、現像剤の飛散抑制に機能している。
【0087】
ただし、飛散抑制部材85の現像スリーブ対向面85aが現像スリーブ81の外周面の曲面に沿って湾曲していない場合(例えば平面である場合)、飛散抑制部材85と現像スリーブ外周面との最近接部分を限界まで近付けたとしても、他の部分では磁気的拘束力が及ぶ範囲まで飛散抑制部材85の現像スリーブ対向面を現像スリーブ外周面へ近付けることができないことがある。
【0088】
そこで、本実施形態の飛散抑制部材85は、現像スリーブ対向面85aが現像スリーブ外周面の曲面に沿って湾曲したものとなっている。これにより、飛散抑制部材85の現像スリーブ対向面85aの全域にわたって、その現像スリーブ対向面85aを、現像スリーブ内部の磁石ローラ82による磁気的拘束力が及ぶ範囲まで現像スリーブ外周面に近付けることができる。よって、飛散抑制部材85の現像スリーブ対向面85aと現像スリーブ外周面との間で現像スリーブ81から離脱する現像剤が発生することを抑制することができる。
【0089】
本実施形態の飛散抑制部材85は、プレート86とステー87とから構成されている。プレート86は、ステー87の感光体ドラム対向面に固定支持されている。プレート86は、そのプレート面が感光体ドラム1に対向するように配置され、現像領域側のプレートエッジ部が現像領域に近接するように配置されている。このプレートエッジ部を現像領域に近づけるほど、現像剤飛散を防ぐ効果が高まる。また、プレートエッジ部と現像スリーブ81とのギャップは、このギャップから現像装置内へ向かう吸い込み気流が適切に発生するように最適化するのが良い。このような吸い込み気流により、飛散抑制対象領域内で現像剤の離脱が発生しても、その現像剤を現像装置内部へと回収することができ、現像剤飛散を抑制することができる。ただし、プレートエッジ部を現像領域に近づけ過ぎると、現像プロセスや現像スリーブ81による現像剤搬送に不具合を生じさせるおそれがあるので、そのような不具合が発生しない範囲で適宜調整される。具体的には、プレート86のプレートエッジ部が現像スリーブ81上の磁気ブラシに接触すると、現像剤が飛散抑制部材85と感光体ドラム1との間の空隙に入り込んでしまい、現像装置外に現像剤が溢れてしまうおそれがあるので、このような不具合が発生しないように調整される。
【0090】
ステー87は、その現像スリーブ対向面85aが現像スリーブ81の外周面の曲面に沿って湾曲している。ステー87は、現像スリーブ81の外周面に近づくほど、非拘束領域が狭まるので、現像剤飛散を抑制する効果が高くなる。このとき、ステー87の現像スリーブ対向面85aと現像スリーブ81の外周面とのギャップは一定である方が、周辺の気流を安定化させる効果が高い。しかしながら、必ずしも一定である必要はなく、その他の要求に合わせて適宜形状を変化させることも可能である。
【0091】
また、ステー87は、キャリア回収ローラ13と対向する回収ローラ対向面85bがキャリア回収ローラ13の表面の曲面に沿って湾曲している。ステー87は、キャリア回収ローラ13の表面に近づくほど、ステー87の回収ローラ対向面85bとキャリア回収ローラ13の表面との空隙が狭くなり、現像剤飛散を抑制する効果が高くなる。このとき、ステー87の回収ローラ対向面85bとキャリア回収ローラ13の表面とのギャップは一定である方が、周辺の気流を安定化させる効果が高い。しかしながら、必ずしも一定である必要はなく、その他の要求に合わせて適宜形状を変化させることも可能である。
【0092】
また、本実施形態においては、ステー87の回収ローラ対向面85bと、ステー87の感光体ドラム対向面(プレート86が固定される面)との接続辺が角部(丸みを帯びていない)となるように、ステー87が構成されている。このような角部がステー87に設けられていることで、この角部が基準となってステー87の加工精度や寸法の測定精度が出しやすくなる。その結果、飛散抑制部材85を現像装置に組み付ける際の各ギャップ、具体的には、現像スリーブ81の外周面と飛散抑制部材85の現像スリーブ対向面85aとのギャップ、キャリア回収ローラ13の表面と飛散抑制部材85の回収ローラ対向面85bとのギャップなどの精度が向上し、吸い込み気流の安定化につながる。
【0093】
ここで、プレート86とステー87とを単一部品で構成した飛散抑制部材85とすると、部品加工における制約などによって、飛散抑制部材85による現像剤飛散を最大限に低減できる形状とすることが困難であった。これに対し、本実施形態のように飛散抑制部材85をプレート86とステー87の2部品で構成することで、各部の形状や周囲とのギャップをそれぞれの要求に応じて最適化することが可能となる。但し、これは飛散抑制部材85を構成する部品点数を何ら限定するものではない。
【0094】
本実施形態の具体例としては、プレート86のプレートエッジ部と現像スリーブ81の外周面とのギャップを1[mm]とし、ステー87の現像スリーブ対向面85aと現像スリーブ81の外周面とのギャップを1.5[mm]とし、ステー87の回収ローラ対向面85bとキャリア回収ローラ13の表面とのギャップを1.5 [mm]とする。また、プレート86には、そのプレートエッジ部をできるだけ現像領域へ近づけるために、0.2[mm]厚の板金を用いている。ただし、これらの条件は必ずしも限定されるものではなく、使用する画像形成装置や現像装置の構成、動作条件等に合わせて最適化されるのが良い。
【0095】
飛散抑制部材85による現像剤飛散の低減効果を高めるには、上述したように、飛散抑制部材85を現像スリーブ81に近づける方が良い。また、上述したように、現像剤飛散を低減することで、飛散したキャリアが感光体ドラム1の表面に付着してキャリア付着が発生することを抑制できる。しかしながら、飛散抑制部材85によるキャリア付着抑制効果は、あくまで、現像領域通過後に飛散したキャリアに対するものであり、現像領域にて発生したキャリア付着を防ぐことはできない。そのため、飛散抑制部材85により現像領域にて発生したキャリア付着も抑制するためには、飛散抑制部材85に対し、感光体ドラム1に付着したキャリアを磁気的に回収する機能を付加することが考えられる。
【0096】
しかしながら、本実施形態のように磁石ローラ82が回転するマグネット回転方式においては、現像スリーブ81に近接配置される飛散抑制部材85が強い磁界を発生させると、回転している磁石ローラ82と磁場干渉して振動を発生させる。現像装置が振動すると、現像スリーブ81と感光体ドラム1との間の現像ギャップが変動し、現像領域に生じている現像電界の強度が変動する。感光体ドラム1上の静電潜像に付着するトナー量は現像電界の強度によって変化するので、振動が生じると、その振動周期に対応したムラが画像上に表われてしまう。すなわち、飛散抑制部材単体で、現像剤飛散の低減とキャリア回収の効果を両立させようとすると、このような振動周期に対応した画像濃度ムラが発生するという不具合を引き起こす。
【0097】
そこで、本実施形態においては、飛散抑制部材85とキャリア回収ローラ13とを別個に設け、飛散抑制部材85を非磁性としたことで、現像剤飛散の低減とキャリア回収の効果を両立しつつ、振動周期に対応した画像濃度ムラの発生を抑制している。キャリア回収効率の高い高磁気力のキャリア回収ローラ13を設けるには、現像スリーブ内部の磁石ローラ82に振動を生じさせないように、現像スリーブ81から離してキャリア回収ローラ13を設置する必要がある。しかしながら、この場合、現像スリーブ81とキャリア回収ローラとの間すなわち飛散抑制対象領域に大きな空隙が生じてしまう。そのため、そのままでは、磁石ローラ82の磁界作用が及ばない非拘束領域が広く、現像スリーブ81から離脱する現像剤が発生しやすいので、現像剤飛散が生じやすい。本実施形態によれば、このような広い飛散抑制対象領域の空隙を飛散抑制部材85によって埋めることで、磁石ローラ82の磁界作用が及ばない非拘束領域を減らし、現像スリーブ81から離脱する現像剤の発生を抑制して、現像剤飛散を抑えることができる。このようにキャリア回収ローラ13を現像スリーブ81から離して設置しても、飛散抑制部材85の機能により現像剤飛散が抑制されるので、高磁気力のキャリア回収ローラ13を採用しても、振動を生じさせずに、キャリアの回収効率を高めることができる。
【0098】
また、飛散抑制部材85の電位がフロートの状態だと、トナーが付着して蓄積してしまうことがある。これを防ぐには、飛散抑制部材の電位を現像スリーブ81の電位よりも低く設定して、飛散抑制部材85と現像スリーブ81との間に、正規帯電極性がマイナスである本実施形態のトナーを現像スリーブ81側へ移動させる電界が形成されるようにするのがよい。具体的には、飛散抑制部材85に電圧印加手段としての電源を接続して電圧印加する。例えば、飛散抑制部材85の電位が作像プロセス中の感光体ドラム上の非画像部(地肌部)と同じ電位となるように構成することで、飛散抑制部材85上にトナーが蓄積されるのを抑制することができる。このように、飛散抑制部材85の電位を調整するためには、飛散抑制部材85が導電性である必要である。
【0099】
ただし、導電性を得るために飛散抑制部材85を金属で形成すると、回転する磁石ローラ82により生じる交番磁界によって、飛散抑制部材85に渦電流が発生し、誘導磁場の発生や誘導加熱の発生といった弊害が生じることがある。誘導磁場が生じると、回転する磁石ローラ82と磁場干渉を起こして振動が発生し、上述したような画像濃度ムラが発生してしまう。また、誘導加熱によって飛散抑制部材85が発熱すると、周辺の温度が上昇してトナーが軟化、固着したり、画像上にトナーの塊が落下することもある。
【0100】
こうした不具合を防ぐために、本実施形態では飛散抑制部材85のプレート86及びステー87の材質として、非磁性のSUSを用いている。このような飛散抑制部材85であれば、飛散抑制部材85に電圧を印加してトナーの蓄積を抑制できる上、誘導磁場の発生や誘導加熱の発生といった弊害を画像形成装置の動作上問題の無いレベルまで抑えることができる。
【0101】
図10は、飛散抑制部材85を設けたことによる現像剤飛散抑制効果の確認試験の結果を示すグラフである。
この試験では、現像装置のみを画像形成装置から取り外し、その現像装置を所定の条件にて駆動させ、現像装置の現像スリーブ81から飛散する現像剤を捕集し、1分間あたりの現像剤飛散量を測定した。その結果、飛散抑制部材85を設けない場合には1分間当たりの現像剤飛散量が3.5[mg]であったところ、飛散抑制部材85を設けた場合には、これを1.0[mg]へと減らすことができ、現像剤飛散量を1/3以下に低減できた。
【0102】
図11は、飛散抑制部材85を設けたことによるキャリア付着抑制効果の確認試験の結果を示すグラフである。
この試験では、本実施形態の複写機を用いて画像を出力し、画像上に現れた白斑点の数をキャリア付着数としてカウントした。その結果、飛散抑制部材85を用いることで、キャリア付着発生数を1/3以下に減らすことができた。なお、この試験では、出力する画像パターンとして、キャリア付着の発生数の最も多いとされるドットパターンを使用した。また、図11に示すグラフの横軸は、非画像部ポテンシャルであり、これが大きいほど非画像部でのトナー汚れが少なくなり、通常使用されるのは50〜250[V]前後の領域である。また、キャリア付着の発生数は、通常150個程度より少なければ画質上問題ないレベルとされる。但し、これらの基準はあくまで参考である。
【0103】
上記試験の主な条件は以下の通りである。
・画像形成速度:A4版135枚/分相当
・現像スリーブ:φ40のSUS製スリーブ
・現像スリーブの表面線速:630[mm/s]
・磁石ローラの磁極数:20極
・磁石ローラ回転数:1400[rpm]
・現像剤:(株)リコー製 RICOH Pro C901用現像剤
【0104】
〔変形例1〕
次に、上述した実施形態における現像装置の一変形例(以下、本変形例を「変形例1」という。)について説明する。
図12は、本変形例1の特徴部分である現像剤移動阻害部材を配置した現像装置の現像領域近傍を拡大した説明図である。
上述した実施形態において、現像スリーブ81とキャリア回収ローラ13との最近接部は、上述したように狭く設定されており、現像剤が現像装置外部へ流出するのを抑制している。一方、現像スリーブ81とキャリア回収ローラ13との対向部分では、両者の電位差により電界が形成され、現像スリーブ81上のキャリアがキャリア回収ローラ13側へ引き付ける静電気力が生じる場合がある。現像スリーブ81上のキャリアは、現像スリーブ内部の磁石ローラ82が発生させる磁界によって現像スリーブ81上に拘束されるが、例えば、現像スリーブ81上のキャリアのうち比較的磁化率の小さいキャリアは、磁石ローラ82による磁気拘束力が小さい。そのため、このようなキャリアは、上述の静電気力の影響で、現像スリーブ81からキャリア回収ローラ13へ移動してしまうことがある。
【0105】
特に、本変形例1では、負極性に帯電するトナーと正極性に帯電するキャリアとからなる現像剤を用い、現像スリーブ81及びキャリア回収ローラ13の両方に負極性の電圧を印加している。キャリア回収ローラ13に負極性の電圧を印加することで、感光体ドラム1に付着したキャリアを静電気力によって回収することが可能となり、キャリア回収能力が高まる。このとき、キャリア回収ローラ13の電位は、負極性に帯電したトナーが、キャリア回収ローラ13から感光体ドラム1へ、あるいは、現像スリーブ81からキャリア回収ローラ13へと移動するのを抑制するために、感光体ドラム1上の静電潜像電位(露光部電位)及び現像バイアスと同電位かそれ以下の電位とする必要がある。しかしながら、現像スリーブ81に担持されているキャリアは正極性に帯電しているため、キャリア回収ローラ13の電位をこのように設定すると、キャリアをキャリア回収ローラ13側へ引き付ける向きの電界を生じさせてしまう。そのため、現像スリーブ81からキャリア回収ローラ13へキャリアが移動する事態が生じやすい。
【0106】
また、現像スリーブ81からキャリア回収ローラ13へ移動するキャリアが周囲に飛散しているトナーと接触すると、正極性に帯電しているキャリアと負極性に帯電しているトナーとの間に生じる静電気力によって、当該キャリアにトナーが拘束される。この場合、キャリアだけでなく、トナーも、キャリア回収ローラ13に拘束されることになる。
【0107】
通常であれば、現像スリーブ81からキャリア回収ローラ13へ移動したトナーやキャリア(現像剤)は、キャリア回収ローラ13に拘束された状態で、キャリア回収ローラ13と感光体ドラム1との対向部を通過して、現像装置内へと回収される。しかしながら、キャリア回収ローラ13が搬送できる単位時間当たりの現像剤量には上限がある。そのため、この上限を超えた量の現像剤が感光体ドラム1及び現像スリーブ81から入力されると、キャリア回収ローラ13の中で最も強い磁極P21が設置されている感光体ドラム1との最近接部にて、余剰の現像剤がキャリア回収ローラ13の回転に追従できずに滞留してしまう。そして、滞留する現像剤が一定量を超えると、その滞留する現像剤が磁極P21の磁力によって穂立ちし、これにより形成される現像剤の磁気ブラシが感光体ドラム1に接触してしまう。その結果、この磁気ブラシが感光体ドラム1上の画像部に接触すると、画像のカスレが現れ、地肌部(非画像部)に接触すると、穂跡状の地汚れが生じるといった不具合を生じさせる。
【0108】
そこで、本変形例1では、図12に示すように、キャリア回収ローラ13と現像スリーブ81との対向領域に、現像スリーブ81に担持された現像剤がキャリア回収ローラ13へ移動することを阻害する現像剤移動阻害部材88を設けている。この現像剤移動阻害部材88は、現像スリーブ81とキャリア回収ローラ13との最近接部に存在するように配置されており、現像スリーブ81からキャリア回収ローラ13へ移動しようとする現像剤がキャリア回収ローラ13に直接的に接触することを防止する機能を果たしている。これにより、仮に、現像スリーブ81とキャリア回収ローラ13との対向部(主に最近接部)にて、正極性に帯電したキャリアがキャリア回収ローラ13側に引き付けられても、そのキャリアが最近接部でキャリア回収ローラ13へと移動し接触することがない。これにより、現像スリーブ81からキャリア回収ローラ13へ入力する現像剤量を減らすことができ、上述したようなキャリア回収ローラ13へ入力される現像剤量の増加に伴う各種不具合を抑制できる。
【0109】
また、本変形例1の現像剤移動阻害部材88は、その一端部が飛散抑制部材85に取り付けられ、その一端部から飛散抑制対象領域に対して離れる方向の他端部(自由端)がキャリア回収ローラ13の表面に接触するように、配置されている。これにより、この現像剤移動阻害部材88を、飛散抑制部材85とキャリア回収ローラ13との隙間を通って現像装置内の現像剤が現像装置外部へ流出するのを防ぐシール部材として機能させることができる。
【0110】
また、本変形例1の現像剤移動阻害部材は薄板状の部材で形成されている。これにより、現像スリーブ81とキャリア回収ローラ13とのギャップを狭く保つことができ、現像ローラ5とキャリア回収ローラ13との空隙が磁気ブラシB3によって塞がれるので、飛散抑制部材85とキャリア回収ローラ13との隙間を通って現像装置内の現像剤が現像装置外部へ流出するのを抑制する効果が維持できる。
【0111】
また、本変形例1の現像剤移動阻害部材88は、その自由端が現像スリーブ81とキャリア回収ローラ13との最近接部よりも飛散抑制対象領域から離れた位置まで延びるように、配置されている。これにより、回転しているキャリア回収ローラ13と現像剤移動阻害部材88との摩擦によって現像剤移動阻害部材88がめくれる不具合の発生を抑制できる。
【0112】
また、本変形例1の現像剤移動阻害部材88は、現像スリーブ81が現像剤を担持する領域の現像スリーブ回転軸方向にわたって、当該領域よりも現像スリーブ回転軸方向外方まで延出して配置されている。これにより、画像形成領域全体にわたって現像剤移動阻害部材の効果を発揮することができる。
【0113】
本変形例1における現像剤移動阻害部材88の具体的な構成について説明する。
本変形例1では、PET(Polyethylene terephthalate)により作製した厚さ0.2 [mm]のシート状部材を現像剤移動阻害部材88として用い、その位置端部を飛散抑制部材85の現像スリーブ81と対向した現像スリーブ対向面85aに接着して設置されている。また、この現像剤移動阻害部材88は、その自由端(現像スリーブ回転方向下流側の端部)がキャリア回収ローラ13との接触部よりも約1[mm]、現像装置内部側へ延出するように配置される。
【0114】
ただし、現像剤移動阻害部材88の設置方法、固定方法、形状等については、本変形例1に限定されるものではない。また、本変形例1では、現像剤移動阻害部材88がキャリア回収ローラ13と接触している箇所が、現像スリーブ81とキャリア回収ローラ13との最近接部に一致するように設定されているが、必ずしも一致している必要はない。また、本変形例1では、現像剤移動阻害部材88の材質としてPETを用いたが、その他の材質を用いてもよい。PET以外にも、ポリウレタン系の樹脂など、現像装置のシール部材として用いられる公知の材質であれば、トナー固着等の不具合を生じにくく、現像剤移動阻害部材88の材質として適している。
【0115】
次に、本変形例1の現像剤移動阻害部材88を用いる効果を確認した試験について説明する。
本試験では、変形例1で説明した現像装置を画像形成装置本体にセットし、現像剤移動阻害部材88を外した場合と取り付けた場合とで、出力画像を比較した。その結果、現像剤移動阻害部材88を外した場合に生じていた画像のカスレは、現像剤移動阻害部材88を取り付けることで解消することができた。
【0116】
また、穂跡状の地汚れについては、現像剤移動阻害部材88の有無によって、非画像部の電位をパラメータとしたときの地汚れ濃度の推移を比較した。その結果、図13に示すように、現像剤移動阻害部材88を設けることで、地汚れ濃度の低下が確認できた。また、通常、地汚れ濃度は0.01[−]以下であれば画質上問題ないとされるが、現像剤移動阻害部材88を設けることで、この基準よりも低いレベルまで地汚れを改善することができた。
【0117】
なお、本試験を行った際のその他の条件は、以下の通りである。
・キャリア:(株)リコー製 35[μm]フェライトキャリア
・トナー:(株)リコー ProC901用 PxP重合トナー
・トナー濃度:8[wt%]
・トナー帯電量:−20〜−30[μC/g]
・感光体線速:630[mm/s]
・現像スリーブ線速:540[mm/s]
・現像ギャップ:0.25[mm]
・現像バイアス:−200〜−400[V]
・非画像部電位:−300〜−500[V]
・キャリア回収ローラ電位:−500〜−800[V]
【0118】
〔変形例2〕
次に、上述した実施形態における現像装置の他の変形例(以下、本変形例を「変形例2」という。)について説明する。
図14は、本変形例2の特徴部分であるシール部材を配置した現像装置の現像領域近傍を拡大した説明図である。
上述したとおり、飛散抑制部材85を設けたことで、現像領域下流側の現像剤は現像ローラの拘束から逃れにくくなっている。また、飛散抑制部材85と現像スリーブ81のギャップが狭く設定されていることで、図中符号Oで示すように、現像装置内部へ向かう吸い込み気流が生じており、現像スリーブ81外周部の現像剤は、現像装置内に誘導されるようになっている。
【0119】
一方、飛散抑制部材85とキャリア回収ローラ13との対向部では、上述したように、現像スリーブ81内の磁石ローラ82による交番磁界との干渉を抑えるため、キャリア回収ローラ13による磁気拘束力が極力小さくなるよう設定されている。そのため、この対向部に飛散してきた現像剤は、周囲の磁界に拘束されないまま、図中符号Pで示すように、飛散抑制部材85とキャリア回収ローラ13との隙間を通って現像装置外部へ流出することがある。
【0120】
そこで、本変形例2では、図14に示すように、キャリア回収ローラ13と飛散抑制部材85との隙間を塞ぐシール部材89を設けている。シール部材89にて飛散抑制部材85とキャリア回収ローラ13との間の開口部が塞がれることで、現像スリーブ81の拘束から離脱した現像剤が浮遊したままその開口部を通じて外部へ漏出することを抑制することができる。そして、浮遊した現像剤の漏出を抑えれば、その現像剤は、現像スリーブ81やキャリア回収ローラ13へ接近した際に再び拘束されるため、現像スリーブ81やキャリア回収ローラ13の搬送力によって現像装置内部へと回収される。
【0121】
本変形例2におけるシール部材89の具体的な構成について説明する。
本変形例2では、シール部材89の一端が飛散抑制部材85のプレート86に接着されている。このシール部材89の他端部は自由端であり固定されていないが、キャリア回収ローラ13に接触している。これにより、キャリア回収ローラ13と飛散抑制部材85との間の開口部が塞がれている。この自由端とキャリア回収ローラ13とが接触する位置は、キャリア回収ローラ13と感光体ドラム1との最近接部よりも、キャリア回収ローラ13の回転方向上流側に設定されている。仮に、シール部材89がキャリア回収ローラ13と感光体ドラム1との最近接部に介在すると、感光体ドラム1上のキャリアをキャリア回収ローラ13へ回収することが阻害されてしまうためである。ただし、シール部材89の設置については、例えば、シール部材89の一端がプレート86ではなくステー87に固定されていてもよく、キャリア回収ローラ13や飛散抑制部材85の機能を妨げずに、キャリア回収ローラ13と飛散抑制部材85との隙間を塞げる構成となっていればよい。
【0122】
また、本変形例2のシール部材89は薄板状の部材で形成されている。これにより、現像領域近傍の狭いスペースをシール部材89で占有することがないため、現像装置の機能に副作用をもたらすことを抑制できる。
【0123】
また、本変形例2のシール部材89に可撓性を持った材質を使用することで、キャリア回収ローラ13と接する自由端においてシール部材89がキャリア回収ローラ13側に押し付けられる向きの弾性力を働かせることができる。これにより、長期にわたって当該開口部を塞ぐ効果を維持できる。
【0124】
また、本変形例2のシール部材89は、現像スリーブ81が現像剤を担持する領域の現像スリーブ回転軸方向にわたって、当該領域よりも現像スリーブ回転軸方向外方まで延出して配置されている。これにより、画像形成領域全体にわたってシール部材89の効果を発揮することができる。
【0125】
本変形例2におけるシール部材89の具体的な構成について説明する。
本変形例2では、ポリウレタン系の樹脂により作製した厚さ0.1[mm]のシート状の部材をシール部材89として用い、飛散防止部材85のプレート86の下端から2[mm]程度の領域に接着させている。また、シール部材89の自由端は、キャリア回収ローラ13の表面に接触しており、このとき1[mm]程度の食い込み量を持たせて設置することで、シール部材の弾性によりキャリア回収ローラ13側に押し付けられる向きの力が適性に働いている。
【0126】
ただし、シール部材89の設置方法、固定方法、形状等については、本変形例2に限定されるものではない。また、本変形例2では、シール部材89の材質としてポリウレタン系の樹脂を用いたが、これ以外にも、PETなど、現像装置のシール部材として用いられる公知の材質であれば、トナー固着等の不具合を生じにくく、シール部材89の材質として適している。
【0127】
次に、本変形例2のシール部材89を用いる効果を確認した試験について説明する。
本試験では、変形例2で説明した現像装置を画像形成装置本体にセットし、シール部材89を外した場合と取り付けた場合とで、現像装置外部に飛散する単位時間あたりの現像剤量を比較した。なお、単位時間当たりに飛散する現像剤の量はわずかであり、測定誤差の影響を抑えるため、本試験では1時間で飛散した現像剤を収集し、測定した。
【0128】
図15に示すように、シール部材89を取り付けることで、シール部材89を外した場合よりも現像装置外部に飛散する現像剤の量が低減することを確認できた。この結果からは、単位時間あたりに飛散する量やシール部材89による改善効果もごく僅かであるかに見えるかも知れないが、本試験では相対比較が目的であったため、現像剤飛散量がより増加するような使用条件も存在する。そして、画像形成装置及び現像装置の動作寿命を考慮すると、この違いが大きな効果となって表われる。具体的には、現像装置外部に飛散するはずの現像剤を現像装置内に回収させることができるため、現像剤の浪費を抑えられるため、コストパフォーマンスが向上し、環境負荷が低減する。また、各色の現像装置の外部に飛散した現像剤は、画像形成装置内では共通の集塵タンクに集められ、定期的に廃棄されるが、集塵タンク交換の頻度を減少させることが可能となる。
【0129】
なお、本試験を行った際のその他の条件は、以下の通りである。
・キャリア:(株)リコー製 35[μm]フェライトキャリア
・トナー:(株)リコー ProC901用 PxP重合トナー
・トナー濃度:8[wt%]
・トナー帯電量:−20〜−30[μC/g]
・感光体線速:630[mm/s]
・現像スリーブ線速:540[mm/s]
・現像ギャップ:0.25[mm]
【0130】
なお、本実施形態(上述した各変形例を含む。以下同じ。)には、以下のような現像剤を用いることができる。
本実施形態に用いられるトナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤を含有し、必要に応じて離型剤や帯電制御剤、その他の成分が含有される。また、添加剤として上述のもの以外に、必要に応じて流動性向上剤やその他の成分が添加される。これら材料に関しては、公知のものがすべて可能である。結着樹脂としては、例えば、スチレン、パラクロレスチレン、ビニルトルエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)タクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリロニトリル酸、(メタ)アクリアミド、(メタ)アクリル酸、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル。ビニルメチルケトン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、ブタジエン等の単量体の重量体、又は、これらの単量体の2種類以上からなる共重合体、あるいはそれらの混合物が挙げられる。その他、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ロジン、変性ロジン、テルベン樹脂、フェノール樹脂、水添石油樹脂、アイオノマー樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂等が単独あるいは混合して使用できる。
【0131】
着色剤としては公知の染料及び顔料がすべて使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレトVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。使用量は一般にバインダー樹脂100重量部に対し0.1〜50重量部である。
【0132】
帯電制御剤としては、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む。)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、2〜5重量部の範囲がよい。0.1重量部未満では、トナーの負帯電が不足し実用的でない。10重量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、キャリアとの静電的吸引力の増大のため、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0133】
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等の低分子量ポリオレフィンワックスやフィッシャー・トロプシュワックス等の合成炭化水素系ワックスや密ロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、モンタンワックス、等の天然ワックス類、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス類、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、等の高級脂肪酸及び高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸アミド等及びこれらの各種変性ワックスが挙げられる。
【0134】
これらは1種または2種以上を併用して用いることができるが、融点が70[℃]〜125[℃]の範囲のものを使用するのが好ましい。融点が70[℃]以上とすることにより転写性、耐久性が優れたトナーとすることができ、融点を125[℃]以下とすることにより定着時に速やかに溶融し、確実な離型効果を発揮できる。これらの離型剤の使用量は、トナーに対して1[重量%]〜15[重量%]が好適である。1[重量%]より少ない場合にはオフセット防止効果が不充分であり、15[重量%]以上では転写性、耐久性が低下する。
【0135】
添加剤(外添剤)としては、少なくとも体積平均粒径50[nm]〜500[nm]、嵩密度0.3[g/cm]以上の微粒子を添加する。外添量としては、トナー母体に対して0.2[重量%]〜3[重量%]が好ましい。この範囲より少ないとトナー間やトナーとその他との間に適度な空隙を形成する効果が発現されない。逆に多いと、流動性を阻害したり、脱離量が多くなることにより外添剤の凝集体ができたりして、画像品質を低下させる。上述の添加剤と合わせて、この範囲以外の添加剤を添加することも可能であり、流動性向上を目的として体積平均粒径が小さい微粒子を添加することが好ましい。
【0136】
本実施形態での添加剤において、無機化合物としては、SiO、TiO、Al、MgO、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO(TiO)n、Al・2SO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO、SrTiO等を例示することができ、好ましくは、SiO、TiO、Alがあげられる。特にこれら無機化合物は各種のカップリング剤、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、オクチルトリメトキシシラン等で疎水化処理が施されていてもよい。また、有機化合物の添加剤としては、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよく、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂微粒子としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。
【0137】
ビニル系樹脂の具体的な例としては、ビニル系モノマーを単独重合又は共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0138】
本実施形態における添加剤(微粒子)は、現像装置4内の現像剤用のトナーとしても優れている。すなわち、トナー粒子、感光体ドラム1、帯電付与部材との接触面積が非常に小さく、均等に接触するので付着力低減効果が大きく、現像・転写効率の向上に有効である。さらに、コロの役割を果たすため、感光体ドラム1を摩耗又は損傷させることなく、クリーニングブレードと感光体ドラム1との高ストレス(高荷重、高速度等)下でのクリーニングの際も、トナー粒子に埋没し難く、あるいは少々埋没しても離脱、復帰が可能であるので、長期間にわたって安定した特性を得ることができる。さらに、トナーの表面から適度に脱離し、クリーニングブレードの先端部に蓄積し、いわゆるダム効果によって、ブレードからトナーが通過する現象を防止する効果がある。
【0139】
本実施形態におけるトナーの製造方法としては、トナー構成材料を溶融混練後、粉砕分級して得る方法が従来の方法として一般的であるが、この方法に限らず、重合法等も含めてさまざまな方法が可能である。
【0140】
重合法としては懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法などが可能であり、重合法とは異なるが溶解懸濁法、ポリマー懸濁法等の他、伸長反応法等が使用可能である。
【0141】
先に説明した粒径範囲や円形度のトナーを容易に得られる点では、従来の方法以外が好ましい。また、粉砕分級後のトナーを加熱処理することにより円形度を調整しても良い。
【0142】
本実施形態における添加剤の添加方法は特に制限されず、トナー母体粒子と添加剤とを各種の公知の混合装置を用いて、機械的に混合して付着させる方法や、液相中でトナー母体粒子と添加剤とを界面活性剤等で均一に分散させ、付着処理後、乾燥させる方法等がある。
【0143】
先に説明したトナーの粒径分布は、コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置を用いて測定することができる。これら装置として、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。以下に測定方法について述べる。
【0144】
まず、電解水溶液100[ml]〜150[ml]中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1[ml]〜5[ml]加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1[%]NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、さらに測定試料を2[mg]〜20[mg]加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1分〜3分間分散処理をおこない、上述の測定装置により、アパーチャーとして100[μm]アパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの重量、個数を測定して、重量分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
【0145】
チャンネルとしては、2.00[μm]〜2.52[μm]未満;2.52[μm]〜3.17[μm]未満;3.17[μm]〜4.00[μm]未満;4.00[μm]〜5.04[μm]未満;5.04[μm]〜6.35[μm]未満;6.35[μm]〜8.00[μm]未満;8.00[μm]〜10.08[μm]未満;10.08[μm]〜12.70[μm]未満;12.70[μm]〜16.00[μm]未満;16.00[μm]〜20.20[μm]未満;20.20[μm]〜25.40[μm]未満;25.40[μm]〜32.00[μm]未満;32.00[μm]〜40.30[μm]未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00[μm]以上40.30[μm]未満の粒子を対象とする。
【0146】
以下、本実施形態に用いられるキャリアについて補足的に説明する。
本実施形態で用いられるキャリアは、重量平均粒径が20[μm]〜60[μm](好ましくは、20[μm]〜45[μm]である。)になるように形成されている。この粒径範囲は、現像装置4内の現像剤用のキャリアとしても優れている。
【0147】
キャリアの平均粒径が20[μm]未満であると、キャリア粒子の分布において微粉が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがある。これに対してキャリアの平均粒径が45[μm]を超えると、現像工程時のキャリアの穂立ちが粗くなって、ベタやハーフトーンの均一性が劣る場合がある(特に、平均粒径が60[μm]を超えると顕著になる)。また比表面積が低下するため、小粒径トナーではトナーの飛散が生じることがある。
【0148】
キャリアとしては、粒径以外に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
【0149】
芯材の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、50×4π×10-4〜90×4π×10-4[A/m](50〜90[emu/g])のマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料等が好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100[emu/g]以上)、マグネタイト(75×4π×10-4〜120×4π×10-4[A/m](75〜120[emu/g]))等の高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている感光体ドラム1への当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30×4π×10-4〜80×4π×10-4[A/m](30〜80[emu/g]))等の弱磁化材料が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0150】
キャリアの樹脂層の材料としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0151】
樹脂層には、必要に応じて導電粉等を含有させてもよく、その導電粉としては、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が挙げられる。これらの導電粉の平均粒子径としては、1[μm]以下が好ましい。平均粒子径が[1μm]を超えると、電気抵抗率の制御が困難になることがある。
【0152】
キャリアの樹脂層は、例えば、前記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付をおこなうことにより形成することができる。塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法等が挙げられる。
【0153】
キャリアにおける樹脂層の量としては、0.01[質量%]〜5.0[質量%]が好ましい。樹脂層の量が、0.01[質量%]未満であると、芯材の表面に均一な樹脂層を形成することができないことがあり、5.0[質量%]を超えると、樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
【0154】
また、現像装置4内に予め収容される現像剤(初期剤)も、上述したトナーとキャリアとを混合したものである。現像剤におけるキャリアの含有量(キャリア濃度)としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、90[質量%]〜98[質量%]が好ましく、93[質量%]〜97[質量%]がより好ましい。
【0155】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
内部に配置された磁石ローラ82等の磁界発生手段が複数の磁極より発生させる磁界の作用により磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を外周面上に担持して回転する現像スリーブ81等の円筒状の現像剤担持体を有し、該現像剤担持体の外周面上に担持された二成分現像剤中のトナーを感光体ドラム1等の潜像担持体上に形成された静電潜像に付着させることにより該静電潜像を現像する現像装置4において、上記磁界発生手段は、現像剤担持体回転方向に沿って上記複数の磁極を周回移動させるものであり、上記現像剤担持体と上記潜像担持体とが対向する現像領域の現像剤担持体回転方向下流側に隣接した飛散抑制対象領域に飛散抑制部材85が設けられており、上記飛散抑制部材85は、上記現像剤担持体の外周面と対向する現像剤担持体対向面85aが該現像剤担持体の外周面の曲面に沿って湾曲したものである。
これによれば、上述したように、飛散抑制部材85の現像剤担持体対向面85aの全域で、現像剤担持体外周面との距離を狭めることができる。よって、飛散抑制部材85の現像剤担持体対向面85aの全域を、現像剤担持体内部の磁界発生手段による磁気的拘束力が及ぶ範囲まで現像剤担持体外周面に近付けることが可能となる。その結果、飛散抑制部材85の現像剤担持体対向面85aと現像剤担持体外周面との間で現像剤担持体から離脱する現像剤が発生することを抑制でき、現像剤飛散を低減できる。
【0156】
(態様B)
上記態様Aにおいて、上記現像領域の潜像担持体表面移動方向下流側に隣接する領域で、上記潜像担持体の表面上に付着した磁性キャリアを磁界若しくは電界又はその両方の作用により外表面上に吸着させて回収するキャリア回収ローラ13等のキャリア回収部材を有する。
上述したように、飛散抑制部材85は現像剤担持体に近接配置されるため、この飛散抑制部材85で磁界を発生させて潜像担持体の表面上に付着した磁性キャリアを飛散抑制部材85に回収させる構成とすると、現像剤担持体内部の磁界発生手段の磁界と磁場干渉して振動を発生させる。このような振動が発生すると、画像上に濃度ムラが発生するなどの不具合を引き起こす。本態様Bのように、飛散抑制部材85とは別個に、潜像担持体の表面上に付着した磁性キャリアを回収するキャリア回収部材を設けることで、このような不具合を発生させることなく、潜像担持体の表面上に付着した磁性キャリアを回収することが可能となる。
特に、キャリア回収効率を高めるために高磁気力のキャリア回収部材を設ける場合、現像剤担持体内部の磁界発生手段との磁場干渉により振動が生じないように、キャリア回収部材を現像剤担持体から離れた位置に設置する必要がある。この場合、飛散抑制対象領域に大きな空隙が生じ、そのままでは、磁界発生手段の磁界作用が及ばない非拘束領域が広いために現像剤担持体から離脱する現像剤が発生しやすくなる。しかしながら、本態様Bでは、このような広い飛散抑制対象領域の空隙を飛散抑制部材85によって埋めて現像剤担持体から離脱する現像剤の発生を抑制することができる。したがって、高磁気力のキャリア回収部材を採用してキャリアの回収効率を高めても、振動を生じさせずに、かつ、現像剤飛散も抑制される。
【0157】
(態様C)
上記態様Bにおいて、上記キャリア回収部材は、外周面に磁性キャリアを付着させるキャリア回収ローラ13等の回転体であり、上記飛散抑制部材85は、上記キャリア回収部材の外周面と対向するキャリア回収部材対向面85bが該キャリア回収部材の外周面の曲面に沿って湾曲したものである。
これによれば、上述したように、飛散抑制部材85のキャリア回収部材対向面85bの全域を、キャリア回収部材の外周面に近付けることができる。その結果、飛散抑制部材85のキャリア回収部材対向面85bとキャリア回収部材の外周面との間の空隙から現像剤が飛散するのを抑制できる。
【0158】
(態様C’)
上記態様Cにおいて、上記飛散抑制部材85のキャリア回収部材対向面85bと上記キャリア回収部材の外周面とが平行になるように構成されている。
これによれば、上述したように、上記飛散抑制部材85のキャリア回収部材対向面85bと上記キャリア回収部材の外周面とのギャップが一定となるので、そのギャップを通過する気流が安定し、現像剤飛散の抑制効果の向上に寄与する。
【0159】
(態様D)
上記態様B又はCにおいて、上記キャリア回収部材と上記現像剤担持体との対向領域に、該現像剤担持体に担持された現像剤が該キャリア回収部材へ移動することを阻害する現像剤移動阻害部材88を有する。
これによれば、現像剤担持体とキャリア回収部材との対向部にて、キャリアがキャリア回収部材側に引き付けられても、そのキャリアがキャリア回収部材へと移動することが阻害される。これにより、現像剤担持体からキャリア回収部材へ入力する現像剤量を減らすことができ、キャリア回収部材へ入力される現像剤量の増加に伴う画像のカスレや穂跡状の地汚れなどの不具合を抑制できる。
【0160】
(態様E)
上記態様Dにおいて、上記現像剤移動阻害部材88は、上記現像剤担持体と上記キャリア回収部材との最近接部に存在するように配置されている。
これによれば、現像剤担持体からキャリア回収部材への入力が最も活発に行われる当該最近接部において、現像剤担持体からキャリア回収部材へ入力する現像剤量を減らすことができる。よって、現像剤担持体からキャリア回収部材へ入力する現像剤量を効果的に減らすことができる。
【0161】
(態様F)
上記態様D又はEにおいて、上記キャリア回収部材と上記現像剤担持体との間に負極性等の正規帯電極性に帯電したトナーを該キャリア回収部材側へ移動させる電界が形成されるように、該キャリア回収部材に電圧を印加する電源96等のキャリア回収部材用電圧印加部材を設ける。
これによれば、現像剤担持体からトナーがキャリア回収部材へ入力されるのを抑制でき、キャリア回収部材へ入力されたトナーが潜像担持体との対向部へと搬送されて、地汚れを生じさせる等の不具合の発生を抑制できる。
【0162】
(態様G)
上記態様Fにおいて、上記キャリア回収部材用電圧印加部材は、上記キャリア回収部材の電位が上記潜像担持体の非画像部電位と同電位となるように、該キャリア回収部材に電圧を印加する。
これによれば、キャリア回収部材に電圧を印加しても、これにより潜像担持体上の非画像部に付着したキャリアをキャリア回収部材へ回収する能力が阻害されることがなくなる。
【0163】
(態様H)
上記態様Fにおいて、上記キャリア回収部材用電圧印加部材は、上記キャリア回収部材と上記潜像担持体の非画像部との間に、該非画像部に付着するキャリアを該キャリア回収部材側へ移動させる電界が形成されるように、該キャリア回収部材に電圧を印加する。
これによれば、キャリア回収部材に印加した電圧によって、潜像担持体上の非画像部に付着したキャリアをキャリア回収部材へ回収する能力が向上する。
【0164】
(態様I)
上記態様D〜Hのいずれかの態様において、上記現像剤移動阻害部材88は、薄板状の部材である。
これによれば、現像剤担持体とキャリア回収部材の対向部に現像剤移動阻止部材を配置しても、その対向部のギャップを広げることなく又は広げる量を最小限に抑えることができ、現像剤移動阻止部材の配置による副作用を少なくできる。特に、現像剤担持体とキャリア回収部材とのギャップを狭く保つことで、そのギャップを通じた現像剤の流出を抑制する効果を得ている場合には、現像剤移動阻止部材を配置しても、その効果を阻害することがない。
【0165】
(態様J)
上記態様Iにおいて、上記現像剤移動阻害部材88は、その一端部が上記飛散抑制部材85に取り付けられ、該一端部から上記飛散抑制対象領域に対して離れる方向の他端部が上記キャリア回収部材の表面に接触するように、配置されている。
これによれば、現像剤担持体とキャリア回収部材との間に形成される隙間を通って現像装置内の現像剤が現像装置外部へ流出するのを抑制するシール部材として、現像剤移動阻害部材88を利用することができる。
【0166】
(態様K)
上記態様Jにおいて、上記現像剤移動阻害部材88は、上記他端部が上記現像剤担持体と上記キャリア回収部材との最近接部よりも上記飛散抑制対象領域から離れた位置まで延びるように、配置されている。
これによれば、回転するキャリア回収部材と現像剤移動阻害部材88との摩擦によって現像剤移動阻害部材88がめくれる不具合の発生を抑制できる。
【0167】
(態様L)
上記態様D〜Kのいずれかの態様において、上記現像剤移動阻害部材88は、現像剤担持体が現像剤を担持する領域の現像剤担持体回転軸方向にわたって、該領域よりも現像剤担持体回転軸方向外方まで延出して配置されている。
これによれば、画像形成領域全体にわたって現像剤移動阻害部材の効果を発揮することができる。
【0168】
(態様M)
上記態様B〜Lのいずれかの態様において、上記キャリア回収部材と上記飛散抑制部材85との隙間を塞ぐシール部材89を有する。
これによれば、飛散抑制部材85とキャリア回収部材との隙間を通って現像装置内の現像剤が現像装置外部へ流出するのを抑制できる。
【0169】
(態様N)
上記態様Mにおいて、上記シール部材89は薄板状の部材である。
これによれば、シール部材89を配置したことによる副作用を少なくできる。
【0170】
(態様O)
上記態様Nにおいて、上記シール部材89は、可撓性を有していて、上記キャリア回収部材と接触する端部が該キャリア回収部材に押し付けられるように配置されている。
これによれば、長期にわたってシール効果を維持できる。
【0171】
(態様P)
上記態様M〜Oのいずれかの態様において、上記シール部材89は、現像剤担持体が現像剤を担持する領域の現像剤担持体回転軸方向にわたって、該領域よりも現像剤担持体回転軸方向外方まで延出して配置されている。
これによれば、画像形成領域全体にわたってシール部材89の効果を発揮することができる。
【0172】
(態様Q)
上記態様A〜Pのいずれかの態様において、上記飛散抑制部材85の現像剤担持体対向面85aと上記現像剤担持体の外周面とが平行になるように構成されている。
これによれば、上述したように、上記飛散抑制部材85の現像剤担持体対向面85aと上記現像剤担持体の外周面とのギャップが一定となるので、そのギャップを通過する吸い込み気流が安定する。その結果、飛散抑制対象領域の離脱した現像剤を吸い込み気流に乗せて現像装置内部へと回収する効率が高まり、現像剤飛散の抑制効果が高まる。
【0173】
(態様R)
上記態様A〜Qのいずれかの態様において、上記飛散抑制部材85は非磁性であることを特徴とする現像装置。
これによれば、上述したように、現像剤担持体に近接配置される飛散抑制部材85が非磁性であるため、現像剤担持体内部の磁界発生手段と飛散抑制部材85との間で磁場干渉がなく、磁場干渉による振動が発生しない。その結果、その振動に起因した画像濃度ムラの発生を抑制できる。また、回転する磁界発生手段の磁極による磁界作用によって飛散抑制部材85に発生する渦電流が小さくなり、誘導加熱による飛散抑制部材85の発熱を抑制して、トナーが軟化するなどの不具合を抑制できる。
【0174】
(態様S)
上記態様A〜Rのいずれかの態様において、上記飛散抑制部材85は導電性を有し、上記飛散抑制部材85と上記現像剤担持体との間に、正規帯電極性に帯電したトナーを該現像剤担持体側へ移動させる電界が形成されるように、該飛散抑制部材85に電圧を印加する電源等の電圧印加部材を設ける。
これによれば、上述したように、飛散抑制部材85上にトナーが蓄積されるのを抑制することができる。
【0175】
(態様T)
上記態様A〜Sのいずれかの態様において、上記飛散抑制部材85は、上記潜像担持体の表面と対面するように配置されたプレート86等の薄板状部材と、該潜像担持体の表面と対面する該薄板状部材の潜像担持体対向面とは反対側の面に設けられていて上記現像剤担持体対向面85aを有するステー87等の棒状部材とから構成されており、上記薄板状部材のプレートエッジ部等の現像領域側端部は上記棒状部材の現像領域側端部よりも現像領域側に突出している。
飛散抑制部材85の現像領域側端部を現像領域に近付けるためには、飛散抑制部材85が現像領域に向けて先細るような形状とする必要がある。このような形状を単一部材によって作成することは、部品加工の制約等の関係で実際には非常に困難を伴う。これに対し、本態様Gであれば、現像領域に向けて先細るような飛散抑制部材85を比較的容易に作成することができる。
【0176】
(態様U)
上記態様Tにおいて、上記棒状部材は、現像剤担持体回転軸方向に延びる少なくとも1つの角部を有する。
これによれば、上述したように、この角部が基準となって棒状部材の加工精度や寸法の測定精度が出しやすくなる。その結果、飛散抑制部材85を現像装置に組み付ける際の各ギャップなどの精度が向上し、吸い込み気流の安定化につながり、現像剤飛散の抑制効果を高めることができる。
【0177】
(態様V)
上記態様A〜Uのいずれかの態様において、上記飛散抑制部材85は、上記現像剤担持体の外周面上における現像剤担持領域の現像剤担持体回転軸方向全域及びその現像剤担持体回転軸方向外側の領域に対向するように構成されている。
これによれば、現像剤担持体回転軸方向端部付近の空隙も飛散抑制部材85で埋めることができ、そのような端部付近で生じる現像剤飛散を効果的に抑制できる。
【0178】
(態様W)
感光体ドラム1等の潜像担持体と、該潜像担持体上に潜像を形成する光書込ユニット21等の潜像形成手段と、トナー及び磁性キャリアを含む二成分現像剤により該潜像担持体上の潜像を現像する現像装置4とを有し、該現像装置により該潜像担持体上に形成されたトナー像を最終的に転写紙等の記録材へ転移させて、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、上記現像装置として、上記態様A〜Vのいずれかの態様に係る現像装置を用いる。
これによれば、現像剤飛散に起因したキャリア付着による白抜け画像の発生等の不具合を抑制できる。
【符号の説明】
【0179】
1 感光体ドラム
4 現像装置
5 現像ローラ
6 回収スクリュー
7 回収搬送路
8 供給スクリュー
9 供給搬送路
10 攪拌搬送路
11 攪拌スクリュー
12 ドクタブレード
13 キャリア回収ローラ
81 現像スリーブ
82 磁石ローラ
85 飛散抑制部材
85a 現像スリーブ対向面
85b 回収ローラ対向面
86 プレート
87 ステー
90 キャリア回収スリーブ
91 キャリア回収磁石ローラ
95 下部ケーシング
【先行技術文献】
【特許文献】
【0180】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0136267号明細書

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に配置された磁界発生手段が複数の磁極より発生させる磁界の作用により磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を外周面上に担持して回転する円筒状の現像剤担持体を有し、該現像剤担持体の外周面上に担持された二成分現像剤中のトナーを潜像担持体上に形成された静電潜像に付着させることにより該静電潜像を現像する現像装置において、
上記磁界発生手段は、現像剤担持体回転方向に沿って上記複数の磁極を周回移動させるものであり、
上記現像剤担持体と上記潜像担持体とが対向する現像領域の現像剤担持体回転方向下流側に隣接した飛散抑制対象領域に飛散抑制部材が設けられており、
上記飛散抑制部材は、上記現像剤担持体の外周面と対向する現像剤担持体対向面が該現像剤担持体の外周面の曲面に沿って湾曲したものであることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
上記現像領域の潜像担持体表面移動方向下流側に隣接する領域で、上記潜像担持体の表面上に付着した磁性キャリアを磁界若しくは電界又はその両方の作用により外表面上に吸着させて回収するキャリア回収部材を有することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項2の現像装置において、
上記キャリア回収部材は、外周面に磁性キャリアを付着させる回転体であり、
上記飛散抑制部材は、上記キャリア回収部材の外周面と対向するキャリア回収部材対向面が該キャリア回収部材の外周面の曲面に沿って湾曲したものであることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項2又は3の現像装置において、
上記キャリア回収部材と上記現像剤担持体との対向領域に、該現像剤担持体に担持された現像剤が該キャリア回収部材へ移動することを阻害する現像剤移動阻害部材を有することを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項4の現像装置において、
上記現像剤移動阻害部材は、上記現像剤担持体と上記キャリア回収部材との最近接部に存在するように配置されていることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項4又は5の現像装置において、
上記キャリア回収部材と上記現像剤担持体との間に正規帯電極性に帯電したトナーを該現像剤担持体側へ移動させる電界が形成されるように、該キャリア回収部材に電圧を印加するキャリア回収部材用電圧印加部材を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項6の現像装置において、
上記キャリア回収部材用電圧印加部材は、上記キャリア回収部材の電位が上記潜像担持体の非画像部電位と同電位となるように、該キャリア回収部材に電圧を印加することを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項6の現像装置において、
上記キャリア回収部材用電圧印加部材は、上記キャリア回収部材と上記潜像担持体の非画像部との間に、該非画像部に付着するキャリアを該キャリア回収部材側へ移動させる電界が形成されるように、該キャリア回収部材に電圧を印加することを特徴とする現像装置。
【請求項9】
請求項4乃至8のいずれか1項に記載の現像装置において、
上記現像剤移動阻害部材は、薄板状の部材であることを特徴とする現像装置。
【請求項10】
請求項9の現像装置において、
上記現像剤移動阻害部材は、その一端部が上記飛散抑制部材に取り付けられ、該一端部から上記飛散抑制対象領域に対して離れる方向の他端部が上記キャリア回収部材の表面に接触するように、配置されていることを特徴とする現像装置。
【請求項11】
請求項10の現像装置において、
上記現像剤移動阻害部材は、上記他端部が上記現像剤担持体と上記キャリア回収部材との最近接部よりも上記飛散抑制対象領域から離れた位置まで延びるように、配置されていることを特徴とする現像装置。
【請求項12】
請求項4乃至11のいずれか1項に記載の現像装置において、
上記現像剤移動阻害部材は、現像剤担持体が現像剤を担持する領域の現像剤担持体回転軸方向にわたって、該領域よりも現像剤担持体回転軸方向外方まで延出して配置されていることを特徴とする現像装置。
【請求項13】
請求項2乃至12のいずれか1項に記載の現像装置において、
上記キャリア回収部材と上記飛散抑制部材との隙間を塞ぐシール部材を有することを特徴とする現像装置。
【請求項14】
請求項13の現像装置において、
上記シール部材は薄板状の部材であることを特徴とする現像装置。
【請求項15】
請求項14の現像装置において、
上記シール部材は、可撓性を有していて、上記キャリア回収部材と接触する端部が該キャリア回収部材に押し付けられるように配置されていることを特徴とする現像装置。
【請求項16】
請求項13乃至15のいずれか1項に記載の現像装置において、
上記シール部材は、現像剤担持体が現像剤を担持する領域の現像剤担持体回転軸方向にわたって、該領域よりも現像剤担持体回転軸方向外方まで延出して配置されていることを特徴とする現像装置。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載の現像装置において、
上記飛散抑制部材の現像剤担持体対向面と上記現像剤担持体の外周面とが平行になるように構成されていることを特徴とする現像装置。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれか1項に記載の現像装置において、
上記飛散抑制部材は非磁性であることを特徴とする現像装置。
【請求項19】
請求項1乃至18のいずれか1項に記載の現像装置において、
上記飛散抑制部材は導電性を有し、
上記飛散抑制部材と上記現像剤担持体との間に、正規帯電極性に帯電したトナーを該現像剤担持体側へ移動させる電界が形成されるように、該飛散抑制部材に電圧を印加する電圧印加部材を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれか1項に記載の現像装置において、
上記飛散抑制部材は、上記潜像担持体の表面と対面するように配置された薄板状部材と、該潜像担持体の表面と対面する該薄板状部材の潜像担持体対向面とは反対側の面に設けられていて上記現像剤担持体対向面を有する棒状部材とから構成されており、
上記薄板状部材の現像領域側端部は上記棒状部材の現像領域側端部よりも現像領域側に突出していることを特徴とする現像装置。
【請求項21】
請求項20の現像装置において、
上記棒状部材は、現像剤担持体回転軸方向に延びる少なくとも1つの角部を有することを特徴とする現像装置。
【請求項22】
請求項1乃至21のいずれか1項に記載の現像装置において、
上記飛散抑制部材は、上記現像剤担持体の外周面上における現像剤担持領域の現像剤担持体回転軸方向全域及びその現像剤担持体回転軸方向外側の領域に対向するように構成されていることを特徴とする現像装置。
【請求項23】
潜像担持体と、該潜像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、トナー及び磁性キャリアを含む二成分現像剤により該潜像担持体上の潜像を現像する現像装置とを有し、該現像装置により該潜像担持体上に形成されたトナー像を最終的に記録材へ転移させて、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
上記現像装置として、請求項1乃至22のいずれか1項に記載の現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−76980(P2013−76980A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−166217(P2012−166217)
【出願日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】