説明

現像装置

【課題】シール部材を用いてトナー漏れを防止するに際して、より確実にトナー漏れを防止することができる現像装置を提供する。
【解決手段】感光体ドラム3aに供給されるトナーが収容されるトナー収容室10aを有する本体ケース10と、本体ケース10に対して着脱自在であり、トナー収容室10aに補給されるトナーが充填されるトナーユニット20と、トナーユニット20の装着時に、互いに向かい合うように構成されるトナー収容室側の第1開口部15、および、トナーユニット20側の第2開口部24と、第1開口部15の周囲に取り付けられるトナーシール部材30と、を備え、トナーユニット20の装着時に、トナーシール部材30が圧縮されることで、第1開口部15と第2開口部24の周囲からのトナー漏れを防止した現像装置1であって、トナーシール部材30を、独立気泡構造を有するスポンジにより形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体ドラムに供給されるトナーが収容されるトナー収容室を有する本体ケースと、前記本体ケースに対して着脱自在であり、前記トナー収容室に補給されるトナーが充填されるトナーユニットと、を有する現像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置(例えば、デジタル複合機)には、現像剤であるトナーを用いて感光体ドラムに画像形成させるための現像装置が設けられている。例えば、特許文献1に開示される現像装置は、トナー溜め部およびトナー投入口を有する装置ケース(本体ケース)と、トナーが封入され、装置ケースに着脱自在なトナーパック(トナーユニット)を有している。トナー投入口の周囲には、スポンジなどの弾性を有するシ−ル部材(トナーシール部材)が接着されている。トナーパックを装置ケースに装着したとき、このシール部材が圧縮されることで、外部へのトナー漏れを防止するようにしている。
【0003】
図10は、従来技術に係るシール部材の具体的な構成を示す平面図である。図11は、同じく従来技術に係るシール部材の組み立て手順を示す側面図である。シール部材は、矩形の額縁形状であり、短辺側の第1シール部材100と長辺側の第2シール部材101を接合して構成される。また、第2シール部材101の表面には、樹脂シート102が貼り付けられている。トナーパックには、トナーが封入され、シールシートにより封止されているが、トナーパックを装置ケースに装着した後は、シールシートをはがす必要がある。はがすときの抵抗を小さくするため、上記の樹脂シート102が貼り付けられている。
【0004】
図11(b)に示すように、第2シール部材101を組み立てる際に、その端部が第1シール部材100に若干オーバーラップするように組み立てられる。組み立てた直後は、11(c)に示すように、端部が浮き上がっているが、トナーパックが装着されると、シール部材は圧縮されて、最終的には、11(a)で示すように表面が平坦になるように均される。このように構成することで、シール部材の接合部からのトナー漏れを抑制する。
【0005】
なお、図11(b)に示すように、製造上の都合により、第2シール部材101の端部101aと樹脂シート102の端部102aは一致している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−83186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の先行技術における課題は次の通りである。スポンジで形成されるシール部材を設けることで、トナーパックと装置ケースの着脱部分からのトナー漏れを抑制している。しかし、上記シール部材を形成するスポンジは、連続気泡構造のものが使用されており、気泡を介してトナーが外部に漏れるという問題があった。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、シール部材を用いてトナー漏れを防止するに際して、より確実にトナー漏れを防止することができる現像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明に係る現像装置は、
感光体ドラムに供給されるトナーが収容されるトナー収容室を有する本体ケースと、前記本体ケースに対して着脱自在であり、前記トナー収容室に補給されるトナーが充填されるトナーユニットと、前記トナーユニットの装着時に、互いに向かい合うように構成される本体ケース側の第1開口部、および、前記トナーユニット側の第2開口部と、前記第1開口部の周囲に取り付けられるトナーシール部材と、を備え、前記トナーユニットの装着時に、前記トナーシール部材が圧縮されることで、第1開口部と第2開口部の周囲からのトナー漏れを防止した現像装置であって、
前記トナーシール部材を、独立気泡構造を有するスポンジにより形成したことを特徴とするものである。
【0010】
かかる構成による現像装置の作用および効果を説明する。トナーが充填されるトナーユニットは、トナー収容室を有する本体ケースに対して着脱自在に構成される。トナーユニットからトナーを補充するため、本体ケース側には第1開口部が形成され、トナーユニット側には第2開口部が形成され、トナーユニットを装着したときに、これら開口部が向かい合うように構成される。第1開口部の周囲にトナーシール部材が取り付けられており、トナーユニットを装着したときに、このトナーシール部材が圧縮されることで、装着箇所からのトナー漏れを防止する。ここで、トナーシール部材は、独立気泡構造を有しており、気泡を介してトナーが外部に漏れていくことがない。したがって、トナーシール部材の内部の気泡を介してのトナー漏れを防止することができる。その結果、シール部材を用いてトナー漏れを防止するに際して、より確実にトナー漏れを防止することができる。
【0011】
本発明において、前記トナーシール部材は複数のシール部材を接合することにより構成され、前記シール部材の接合部をラビリンス構造としたことが好ましい。
【0012】
トナーシール部材を複数のシール部材で構成すると、接合部からのトナー漏れが発生しやすい。そこで、接合部をラビリンス構造とすることで、接合部からのトナー漏れを抑制することができる。
【0013】
本発明に係る前記ラビリンス構造は、凹部と凸部の組み合わせにより構成されることが好ましい。かかる構成により、外部に漏れようとするトナーの移動を確実に阻止することができる。また、シール部材同士の接合も簡単、かつ、確実に行うことができる。
【0014】
本発明において、前記トナーシール部材の表面に、トナーシール部材よりも摩擦抵抗の小さな樹脂シートを取り付けており、かつ、前記樹脂シートが前記接合部を被覆するように取り付けられることが好ましい。
【0015】
かかる樹脂シートは、前述のように、トナーユニットに取り付けられているシールシートをはがしやすくするためである。樹脂シートは、接合部を被覆するようにトナーシール部材の表面に取り付けられる。したがって、従来技術における図11の構成と比較すると、接合部からのトナー漏れをより確実に防止することができる。
【0016】
本発明に係る前記トナーシール部材は、前記第1開口部に対応した開口穴を有する額縁状に形成され、額縁形状の長手方向に沿った辺に、前記樹脂シートが取り付けられ、かつ、前記樹脂シートの長手方向の端部は、非直線的に形成されることが好ましい。
【0017】
樹脂シートは、通常は厚さの薄いフィルム状の部品が用いられる。しかし、たとえ厚みが薄くとも、樹脂シートの両端部には、段差が形成されやすく、その段差部分に空間部が形成されて、トナー漏れが生じやすくなる。そこで、上記構成のように、樹脂シートの長手方向の端部を非直線的に形成することで直線的なトナー漏れ経路をなくし、樹脂シートの端部近傍からのトナー漏れを確実に防止することができる。
【0018】
本発明において、前記端部における非直線的な形状は、中央部分が長手方向に突出した形状であることが好ましい。かかる突出形状にすることで、前述のラビリンス構造と同様の効果を奏することができ、より確実にトナー漏れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る現像装置を備えた画像形成装置の内部構成を示した概略断面図
【図2】現像装置の外観構成を示す斜視図
【図3】トナーユニットを裏側から見た斜視図
【図4】本体ケースを上方から見た斜視図
【図5】本体ケースに貼り付けられたトナーシール部材の形状を示す平面図
【図6】トナーシール部材の構成を示す平面図と側面図
【図7】トナーユニットを本体ケースに装着したときの、開口部周辺の構成を示す断面図
【図8】シール部材の接合部の変形例を示す図
【図9】樹脂シートの端面構成の変形例を示す図
【図10】従来技術に係るトナーシール部材の構成を示す平面図
【図11】従来技術に係るトナーシール部材の組み立て手順を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る現像装置の好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る現像装置1を備えた画像形成装置の内部構成を示した概略断面図である。この画像形成装置は、原稿読取部2、画像形成部3(現像装置1を含む)、及び、給紙部4を備えた複写機(デジタル複合機)である。
【0021】
<画像形成装置の内部構成>
原稿読取部2(フラットベッドスキャナー)は、原稿の画像を読み取るための走査部2aを備えている。原稿読取部2の上方に設けられたガラス板2b上に原稿を載置することにより、走査部2aを移動読取領域2cで移動させながら原稿の画像を読み取ることもできる。なお、原稿の画像面は、ガラス板2b上で下側の面を向くように載置する。
【0022】
画像形成部3は、感光体ドラム3a、帯電器3b、光書込みユニット3c、現像装置1、転写器3d及び定着器3eを備え、電子写真方式により記録紙に画像を形成する。感光体ドラム3aの表面には感光体が形成されており、画像形成時には、回転駆動される感光体ドラム3aの表面が帯電器3bにより一様に帯電される。光書込みユニット3cは、走査部2aで読み取った原稿の画像情報などに基づいて、LED(Light-Emitting Diode)又はレーザ光源から光を出力する。帯電器3bにより一様に帯電された感光体ドラム3aの表面には、光書込みユニット3cから出力される光で露光されることにより、静電潜像が形成される。
【0023】
静電潜像が形成された感光体ドラム3aの表面には、現像装置1から供給されるトナーが付着することによりトナー像が形成され、このトナー像が転写器3dを用いて記録紙に転写される。トナー像が転写された記録紙は、定着器3eにより加熱処理及び加圧処理が施された後、排出ローラ3fから排出トレイ3g上に排出される。
【0024】
給紙部4は、記録紙Pを収容するための記録紙カセット4aを備えており、この記録紙カセット4a内に設けられた支持板4b上に、記録紙Pを積層した状態で収容することができるようになっている。支持板4bは、その一端部に設けられた支軸4cを中心に回転可能となっており、支軸4a側とは反対側の端部が不図示のバネによって上方へ付勢されることにより、最上部の記録紙Pが給紙ローラ4dに対して押圧される。この状態で給紙ローラ4dが回転駆動されることにより、記録紙カセット4a内に収容されている記録紙Pが、給紙ローラ4dと分離パッド(図示せず)によりそれぞれ分離されて搬送路5に1枚ずつ送り出される。
【0025】
搬送路5には、1つ又は複数の搬送ローラ5aが設けられている。記録紙カセット4aから1枚ずつ送り出される記録紙Pは、搬送ローラ5aにより搬送路5内を搬送され、画像形成部3へと送られる。そして、レジストローラ5bにより記録紙Pは感光体ドラム3aの直前で一旦停止され、感光体ドラム3aに形成されるトナー像を転写させるタイミングに合わせて送り出される。
【0026】
手差しで記録紙を送り込むための手差しトレイ4eが筐体6の側部に取り付けられている。手差しトレイ4eに載置された記録紙は、給紙ローラ4fにより搬送路5へと送り込むことができる。
【0027】
上記のような原稿読取部2、画像形成部3及び給紙部4は、筺体6内に収容されており、当該筺体6の上面に上記ガラス板2bが形成されている。プラテンカバー7は、筺体6の上面に対して上下に開閉可能に取り付けられている。したがって、ガラス板2b上に置かれた原稿を走査部2aで読み取る場合には、プラテンカバー7を閉じることにより、当該プラテンカバー7とガラス板2bとの間に原稿を挟むことができるようになっている。
【0028】
<現像装置の構成>
次に、現像装置1の構成を説明する。図1に示すように、現像装置1は本体ケース10を備えており、その内部に現像剤であるトナーが収容されるトナー収容室10aが設けられる。トナー収容室10aには、トナーを攪拌するための攪拌部材11が設けられている。また、供給ローラ12と現像ローラ13が設けられている。供給ローラ12は、トナー収容室10a内のトナーを担持して現像ローラ13に供給する。現像ローラ13は、供給ローラ12から供給されたトナーを担持して感光ドラム3aに搬送する。上記の攪拌部材11、供給ローラ12、現像ローラ13は、不図示の駆動機構により回転駆動される。
【0029】
図2は、現像装置1の外観構成を示す斜視図である。本体ケース10の上部には、トナーユニット20が着脱自在に取り付けられる。図2は、トナーユニット20を本体ケース10に装着した状態を示す。本体ケース10の長手方向の端部に、ロックレバー14が設けられており、ロックレバー14をスライド操作することで、トナーユニット20の着脱を行うことができる。
【0030】
トナーユニット20には、トナーが充填されており、トナー収容室10a内のトナーがなくなり補充するときは、新しいトナーユニット20を装着することで、トナーの補充をすることができる。トナーユニット20は、直方体状のユニットケース20aを有しており、その内部にトナーが充填される。トナーユニット20の着脱を容易にするための凹部21が形成されている。また、トナーユニット20の装着を完了するまでは、内部のトナーが漏れないように、シールシート22が予め貼り付けられている。トナーユニット20を本体ケース10に装着した後、このシールシート22を引き剥がすことで、トナーユニット20内のトナーが、トナー収容室10a内へと充填される。
【0031】
<トナーユニットの構成>
図3は、トナーユニット20を裏面側から見た斜視図であり、(a)はシールシート22が貼り付けられている状態を示し、(b)はシールシート22を引き剥がした状態を示している。ユニットケース20aの長手方向の端部に引掛け部20bが形成され、本体ケース10に形成された引っ掛け溝(不図示)に差し込む。ユニットケース20aの長手方向のもう一方の端部には、ロック爪20cが形成されており、本体ケース10側のロックレバー14によりロックされる。
【0032】
ロック爪20cの少し内側にスリット20dが形成されており、シールシート22が挿入される。挿入されたシールシート22の先端部22aは、図2に示すように表面側に位置している。
【0033】
トナーユニット20の下面側には、矩形状の第2開口部24が形成される。第2開口部24の周囲にはフランジ23が形成されている。フランジ23には、第2開口部24に近い側から突出部23a、溝部23b、突出部23cの順に形成されている。これらは、矩形状の第2開口部24の3辺に対応する箇所に形成される。すなわち、スリット20dが形成されている辺を除いた3辺に突出部23a、溝部23b、突出部23cが形成される。
【0034】
シールシート22は、上記の第2開口部24を完全に閉鎖するように貼り付けられ、貼り付け部分22bと、引掛け部20bの近傍で折り返し部22cが形成され、折り返されたのち、前述のスリット20dから先端部22aが通される。シールシート22の貼り付けは、両面テープや適宜の粘着剤により行うことができる。トナーユニット20内にトナーを充てんするときは、上記のシールシート22を図3(a)に示すような状態にセットし、その後、投入穴20e(図2参照)からトナーを内部に充填する。トナーが充填されたのち、投入穴20eを不図示のシールで閉鎖する。これにより、トナーユニット20内部にトナーが密閉された状態になる。
【0035】
<本体ケースの構成>
図4は、本体ケース10を上方から見た斜視図である。ロックレバー14は、ガイド14aに沿ってスライド移動可能であり、ロック位置とロック解除位置のいずれかにセットすることができる。
【0036】
本体ケース10の上面部には、矩形状の第1開口部15が形成されている。第1開口部15は、連結部15aにより複数の開口部に分割されているが、全体として、トナーユニット20の第2開口部24に対応した形状を有している。したがって、トナーユニット20を装着したときは、第1開口部15と第2開口部24がちょうど向かい合う位置関係にある。この第1開口部15の下側の空間が、トナー収容室10aとなる。
【0037】
<トナーシール部材の構成>
第1開口部15の周囲には、トナーシール部材30が貼り付けられる。図5は、本体ケース10に貼り付けられたトナーシール部材30の形状を示す平面図である。トナーシール部材30は、全体として額縁状(矩形リング状)に形成される。このシール部材30は、トナーユニット20を本体ケース10に装着したときに、装着箇所からトナーが外部に漏れることを防止するために設けられる。
【0038】
図6は、トナーシール部材30のみを示す(a)平面図と、(b)側面図である。トナーシール部材30は、1つの部材で額縁状に形成してもよいが、本体ケース10への貼り付け作業のしやすさを考慮して、複数のシール部材に分割している。また、複数のシール部材の表面に樹脂シート32を貼り付けている。
【0039】
トナーシール部材30は、長手方向に延びる一対の第1シール部材31c、短辺側に位置する第2シール部材31a,31bにより構成される。これらトナーシール部材30は、独立気泡構造を有するスポンジ(例えば、ウレタンスポンジ、シリコンスポンジ)が使用される。従来は、連続気泡構造のスポンジを用いていたので、気泡を介して内部のトナーが外部に漏れるということがあったが、独立気泡とすることで、気泡を介してのトナー漏れを防止することができる。
【0040】
なお、複数のシール部材31a,31b,31cを組み立てるときの手順は、図11で説明したのと同様である。すなわち、長手方向に沿った第1シール部材31cの両端部は、第2シール部材31a,31bに若干(1mm程度)オーバーラップするようにする。トナーユニット20を装着することで、最終的には、図6(b)に示すような一体化された状態に固定される。
【0041】
なお、上記のようなオーバーラップを設ける場合、オーバーラップの上側に位置する第1シール部材31cを硬めのスポンジとし、下側に位置する第2シール部材31a,31bを軟らかめのスポンジとすることが好ましい。これにより、複数のシール部材を一体化させることが容易になる。
【0042】
樹脂シート32は、長手方向に沿った直線状に形成され、その幅寸法は、第1シール部材30aと同じである。樹脂シート32は、前述のようにシールシート22を引き剥がすときの、抵抗を減らすために設けられるものである。したがって、樹脂シート32の摩擦抵抗は、トナーシール部材30よりも小さくなるような素材が用いられる。例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)で形成される。
【0043】
複数のシール部材31a,31b,31cを接合する場合、その接合部31dにおいてトナー漏れが発生しやすくなる。そこで、接合部31dを覆い隠すように、樹脂シート32をトナーシール部材30の表面に貼り付ける。従来技術において、樹脂シートの端面は、接合部31dの位置と一致していたが、これでは、トナー漏れが発生する可能性がある。そこで、図6に示すように、接合部31dを樹脂シート32で隠すことで、トナー漏れを確実に防止することができる。
【0044】
図6(a)に示すように、樹脂シート32の右側の端面は直線的であり、第2シール部材31bの外側の側面と一致するように貼り付けられる。樹脂シート32の左側の端面32aは幅方向の中央が三角形に突出している。すなわち、端面が非直線的な形状となっている。樹脂シート32は、0.1mm程度の薄いフィルム素材で形成されるが、それでも、端面32aにおいては段差が形成される。この段差により、トナーが外部に漏れる空間が形成される可能性がある。そこで、上記のように長手方向に突出した形状とすることで、トナーの外部への移動を阻止することができ、より効果的にトナー漏れを防止することができる。
【0045】
なお、本体ケース10の第1開口部15の周囲にトナーシール部材30を貼り付けるときは、トナーシール部材30の裏面を両面テープにより貼り付ける。また、トナーシール部材30の表面に樹脂シート32を貼り付けるときも両面テープを用いて行う。
【0046】
図7は、トナーユニット20を本体ケース10に装着したときの、下部周辺の構成を示す断面図である。トナーシール部材30は、第1開口部15の周囲に設けられた貼り付け面15bに貼り付けられている。トナーシール部材30の更に外側に突出部16が形成されている。
【0047】
トナーユニット20を装着したとき、突出部23aがトナーシール部材30の表面にある樹脂シート32を押圧する。これにより、トナーシール部材30が圧縮され、密閉性が高まる。なお、トナーユニット20を装着した直後は、シールシート22が突出部23aと樹脂シート21に挟持された状態であるが、シールシート22を引き剥がした後は、突出部23aが直接樹脂シート32の表面に作用する。
【0048】
トナーユニット20側の溝部33bにもトナーシール部材33が貼り付けられており、これは本体ケース10側の突出部16により圧縮させられる。このトナーシール部材33についても独立気泡構造を有するスポンジで形成することができる。上記のような突出部23a、溝部23b、突出部23cと、突出部16によりラビリンス構造を実現することができ、効果的にトナー漏れを防止することができる。このトナーシール部材33についても、本体ケース10側のトナーシール部材30と同様に、複数のシール部材で構成することができる。
【0049】
前述の実施形態では、第1シール部材31cと第2シール部材31a(シール部材31bも同様)とは、オーバーラップさせる接合を行ったが、図8に示すようなラビリンス構造を採用してもよい。特に、いずれのシール部材31a,31b,31cも硬いスポンジを用いる場合は、オーバーラップのために圧縮させることが難しくなる。そこで、図8の各実施形態で示すようなラビリンス構造を採用することが好ましい。
【0050】
ラビリンス構造は凹部と凸部の組み合わせにより実現することができる。(a)は角型の凸部と凹部の組み合わせの例である。(b)は三角形の凸部と凹部の組み合わせの例である。(c)は、凸部と凹部を複数形成した構成例である。(d)は半円形の凸部と凹部の組み合わせの例である。このように、多様な変形例が考えられる。
【0051】
図9は、樹脂シート32の端面32aの構成例を示す図である。いずれも、端面32aを非直線的に形成しており、トナー漏れを効果的に防止することができる。(a)は、幅方向の中央部分が角型に突出した形状である。(b)は同様に三角形に突出した形状である。(c)は、三角形に突出しているが非対称に形成している。このように、多様な変形例が考えられる。
【0052】
<作用および効果>
以上のように、本発明による現像装置は、トナーユニット20を本体ケース10に着脱自在に構成するに際して、トナーシール部材30が独立気泡構造を有するスポンジを使用しているので、スポンジの気泡を介してのトナー漏れを防止することができる。
【0053】
<別実施形態>
本実施形態において、トナーシール部材30は4つのシール部材により構成したが、分割する場合の部材の数は、適宜決めることができる。また、接合部の場所についても、適宜の場所に設定することができる。この点は、トナーシール部材33についても同様である。
【符号の説明】
【0054】
1 現在位置
10 本体ケース
10a トナー収容室
15 第1開口部
20 トナーユニット
20a ユニットケース
22 シールシート
23 フランジ
23a,23c 突出部
23b 溝部
24 第2開口部
30 トナーシール部材
31a,31b 第2シール部材
31c 第1シール部材
32 樹脂シート
32a 端面
33 トナーシール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ドラムに供給されるトナーが収容されるトナー収容室を有する本体ケースと、
前記本体ケースに対して着脱自在であり、前記トナー収容室に補給されるトナーが充填されるトナーユニットと、
前記トナーユニットの装着時に、互いに向かい合うように構成される本体ケース側の第1開口部、および、前記トナーユニット側の第2開口部と、
前記第1開口部の周囲に取り付けられるトナーシール部材と、を備え、
前記トナーユニットの装着時に、前記トナーシール部材が圧縮されることで、第1開口部と第2開口部の周囲からのトナー漏れを防止した現像装置であって、
前記トナーシール部材を、独立気泡構造を有するスポンジにより形成したことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記トナーシール部材は複数のシール部材を接合することにより構成され、前記シール部材の接合部をラビリンス構造としたことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記ラビリンス構造は、凹部と凸部の組み合わせにより構成されることを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記トナーシール部材の表面に、トナーシール部材よりも摩擦抵抗の小さな樹脂シートを取り付けており、かつ、前記樹脂シートが前記接合部を被覆するように取り付けられることを特徴とする請求項2又は3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記トナーシール部材は、前記第1開口部に対応した開口穴を有する額縁状に形成され、額縁形状の長手方向に沿った辺に、前記樹脂シートが取り付けられ、かつ、前記樹脂シートの長手方向の端部は、非直線的に形成されることを特徴とする請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
前記端部における非直線的な形状は、中央部分が長手方向に突出した形状であることを特徴とする請求項5に記載の現像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−70114(P2011−70114A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223103(P2009−223103)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】