説明

生体状態監視装置

【課題】ユーザの生体情報における危険度を正確に判断することができる生体状態監視装置を提供すること。
【解決手段】ユーザから心電波形及び脈波を含む生体情報を取得する生体情報取得手段13、15と、前記心電波形から不整脈を検出する不整脈検出手段7と、前記不整脈に対応する脈波から脈波特徴量を抽出する脈波特徴量抽出手段7と、(A)前記不整脈検出手段7で検出した不整脈の種類及び/又は時間、及び(B)前記脈波特徴量抽出手段7により抽出した脈波特徴量又はその変化量を用いて、ユーザの生体状態における危険度を判定する生体状態判断手段7と、を備えることを特徴とする生体状態監視装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの生体状態を監視する生体状態監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の移動体で、ステアリングから心電信号を計測し、不整脈の判定を行うシステムがあった(特許文献1参照)。このシステムは、ステアリングを把持する両手から第I誘導の心電信号を計測するものである。
【0003】
また、心電から検出した不整脈、カフの圧迫による脈波、光電センサによる脈波から、患者の循環状態を判定することができる循環状態監視装置が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−301101号公報
【特許文献2】特開2001−346769号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来のシステムは、ノイズ等の影響を受けやすく、ユーザの生体情報における危険度を正確に判断することが困難であった。
本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、ユーザの生体情報における危険度を正確に判断することができる生体状態監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の生体状態監視装置は、ユーザから心電波形及び脈波を含む生体情報を取得し、心電波形から不整脈を検出するとともに、不整脈に対応する脈波から脈波特徴量を抽出する。そして、本発明の生体状態監視装置は、(A)不整脈の種類及び/又は時間(持続時間)、及び(B)脈波特徴量(脈波特徴量の絶対値であってもよい)又はその変化量を用いて、ユーザの生体状態における危険度を判定する。
【0007】
本発明の生体状態監視装置は、心電波形だけではなく、脈波を用いて、総合的にユーザの生体状態における危険度を判定する。そのため、仮に、実際には存在しない不整脈を誤検出してしまったり、あるいは、実際には存在しない脈波の異常を誤検出してしまった場合でも、ユーザの生体状態における危険度を正しく判断できる。また、本発明の生体状態監視装置は、生体状態における危険度がどの程度であるかを判断することができる。
【0008】
本発明の生体状態監視装置は、例えば、不整脈及び脈波特徴量を記憶する生体情報記憶手段を備え、その生体情報記憶手段に記憶されている過去の規定時間内の脈波特徴量と、脈波特徴量抽出手段で抽出した脈波特徴量との対比結果を用いて、生体状態の危険度を判定することができる。この場合、例えば、過去の規定時間内の脈波特徴量に対する、脈波特徴量抽出手段で抽出した脈波特徴量の比率が大きいほど、生体状態における危険度が高い(あるいは低い)と判断することができる。こうすることにより、生体状態における危険度を一層正確に判断することができる。
【0009】
前記脈波特徴量としては、例えば、以下のものが挙げられる。
不整脈に対応する一拍分の脈波の最大値
不整脈に対応する一拍分の脈波の最小値
不整脈に対応する一拍分の脈波の振幅
不整脈に対応する一拍分の脈波の立ち上がり時間
一拍前の脈波の立ち上がりから不整脈に対応する一拍分の脈波の立ち上がりまでの時間(Pulse Interval:PI)
不整脈に対応する既定時間内あるいは既定拍数分の脈波の最大値
不整脈に対応する既定時間内あるいは既定拍数分の脈波の最小値
不整脈に対応する既定時間内あるいは既定拍数分の脈波の振幅の平均値
不整脈に対応する既定時間内あるいは既定拍数分の脈波の立ち上がり時間の平均値
不整脈に対応する既定時間内あるいは既定拍数分の脈波のPIの平均値
不整脈に対応する既定時間内あるいは既定拍数分の脈波の振幅の分散
不整脈に対応する既定時間内あるいは既定拍数分の脈波のPIの分散
ここで、不整脈に対応する脈波とは、例えば、不整脈の直後の脈波を意味する。不整脈に対応する脈波は、一拍には限られず、既定時間内あるいは既定拍数分の複数の脈波であってもよい。
【0010】
前記生体情報記憶手段は、例えば、個人毎に、予め入力された、あるいは過去に検出した、不整脈又は既往症の情報のうち少なくとも1つを含む個人情報を記憶し、生体状態判断手段は、生体状態の危険度を判定するときに、その個人情報を用いることができる。こうすることにより、各個人に適応した判断が可能になるので、生体状態における危険度を一層正確に判断することができる。
【0011】
本発明の生体状態監視装置は、例えば、心電波形から心電特徴量を検出し、生体状態の危険度を判定するときに、心電特徴量又はその変化量を用いることができる。こうすることにより、生体状態における危険度を一層正確に判断することができる。心電特徴量としては、例えば、RRI(R波とR波との間隔)、HR、QRS幅、QRS振幅等がある。
【0012】
本発明の生体状態監視装置は、例えば、不整脈の種類に応じて、生体状態の危険度の判定に使用する脈波特徴量と判定方法を変更することができる。こうすることにより、不整脈の種類に応じた判断が可能になるので、生体状態における危険度を一層正確に判断することができる。
【0013】
本発明の生体状態監視装置は、例えば、一拍分の不整脈を検出し、その不整脈発生時から不整脈発生後の最初の脈波立ち上がりまでの時間が、閾値より大きい場合、一拍分の不整脈に対する脈波応答がないと判定することができる。こうすることにより、いわゆる空打ちを判定することができる。
【0014】
本発明の生体状態監視装置は、例えば、移動体(例えば、車両、鉄道車両、航空機、船舶等)に搭載され、車速、加速度、操舵角、ナビ情報のうち少なくとも1つを含む運転情報を取得する運転情報取得手段を備え、生体状態の危険度を判定するときに、運転情報を用いることができる。こうすることにより、移動体の運転情報に応じた判断が可能になるので、生体状態における危険度を一層正確に判断することができる。
【0015】
本発明の生体状態監視装置は、例えば、運転情報に基づき、脈波特徴量を補正することができる。こうすることにより、移動体の移動による脈波特徴量の変化を打ち消し、生体状態における危険度を一層正確に判断することができる。
【0016】
本発明の生体状態監視装置は、例えば、生体状態の判定結果を外部に出力する出力手段を備えることができる。また、本発明の生体状態監視装置は、例えば、生体状態の判定結果に応じて警告を行う警告手段を備えることができる。また、本発明の生体状態監視装置は、例えば、生体状態判断手段の判定結果に応じた支援を行う支援手段を備えることができる。
【0017】
本発明の生体状態監視装置は、例えば、生体状態の判定に用いる情報を分類し、分類毎に危険度を個別に判定し、各々の危険度を演算することで、生体状態の危険度を判定することができる。こうすることにより、仮に、一部の分類に属する情報に誤り(例えばノイズ等に起因する誤検出)があったとしても、生体状態における危険度を正確に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】生体状態監視装置1、及びその周辺の概略構成を表すブロック図である。
【図2】車室内に配置された計測装置3を表す説明図である。
【図3】自動車のステアリングSに設置された計測装置3を表す説明図である。
【図4】生体状態監視装置1が実行する処理を表すフローチャートである。
【図5】脈波危険度を算出する処理を表すフローチャートである。
【図6】心電波形及び脈波を表す説明図である。
【図7】基準脈波を用いて閾値を算出する方法を表す説明図である。
【図8】脈波の危険度を判定する方法を表す説明図である。
【図9】テアリング心電の心電波形には不整脈が表れているが、リファレンス心電、及び脈波には異常がない事例を表すグラフである。
【図10】ステアリング心電及びリファレンス心電の心電波形には不整脈が表れていないが、脈波には異常が表れている事例を表すグラフである。
【図11】生体状態監視装置1が実行する処理を表すフローチャートである。
【図12】脈波危険度の算出に用いる脈波特徴量、判定基準、及び重み付け係数を表す説明図である。
【図13】生体状態監視装置1が実行する処理を表すフローチャートである。
【図14】生体状態監視装置1が実行する処理を表すフローチャートである。
【図15】一拍分の不整脈に対する脈波応答がない事例を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
[第1実施形態]
1.生体状態監視装置1の構成
図1〜図3に基づき、生体状態監視装置1の構成を説明する。図1は、自動車に搭載される生体状態監視装置1、及びその周辺の概略構成を表すブロック図である。図2は、車室内に配置された計測装置3を表す説明図であり、図3は、自動車のステアリングSに設置された計測装置3を表す説明図である。なお、以下では、生体状態監視装置1が搭載された自動車を自車両と称す。
【0020】
生体状態監視装置1は、自車両の運転者から心電波形及び脈波(生体情報)を取得する計測装置(生体情報取得手段)3、自車両に加わる加速度を含む各種情報を取得する情報取得装置群(運転情報取得手段)5、計測装置3や情報取得装置群5で取得した情報を用いて後述する処理を実行する制御装置(不整脈検出手段、脈波特徴量抽出手段、生体状態判断手段)7、公衆通信回線を介してデータ通信するための通信装置(出力手段)9、及び自車両において警告を行うための警告装置(警告手段、支援手段)11を備える。
【0021】
上記計測装置3は、心電波形を計測する心電センサ13と、脈波を計測する脈波センサ15とを備えている。図2、図3に示すように、心電センサ13は、自車両のステアリングSにおいて、右手で把持される部位、及び左手で把持される部位それぞれに埋め込まれた各一対の電極DR1、DR2、DL1、DL2を検出電極として、心電波形を計測するように構成されている。また、脈波センサ15は、ステアリングSにおいて、掌が接触する部位に内蔵され、血管の容積変化を光学的に検出する周知の光学式容積脈波計からなり、脈波を計測するように構成されている。つまり、計測装置3は、心電波形及び脈波を生体情報として計測して、その計測結果(即ち、サンプリング値)を制御装置7に出力するように構成されている。
【0022】
上記情報取得装置群5は、自車両に加わる加速度を検出するための加速度センサ17と、自車両の車速を検出するための速度センサ19と、自車両のステアリングSの舵角を検出する舵角センサ21と、自車両の現在位置を取得すると共に、自車両の走行予定経路等を案内するナビゲーション装置23とを備えている。
【0023】
このうち、加速度センサ17は、自車両に加わる3方向それぞれの(即ち、自車両の全長方向、車幅方向、車高方向)加速度を検出する周知の3軸加速度センサである。
また、ナビゲーション装置23は、自車両の現在位置を検出する位置検出部25と、ユーザからの各種指令を受け付ける操作スイッチ群27と、画像を表示する表示部29と、各種のガイド音声等を出力するための音声出力部31とを備えている。さらに、ナビゲーション装置23は、地図データ等の各種データを格納する記憶部33と、位置検出部25、及び操作スイッチ群27等の入力に従って、記憶部33、表示部29、及び音声出力部31等のナビゲーション装置23を構成する各部を制御する制御部35とを備えている。
【0024】
なお、位置検出部25は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの電波を図示しないGPSアンテナを介して受信して、その受信信号を出力するGPS受信機(図示せず)や、自車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロセンサ(図示せず)、地磁気から進行方位を検出するための地磁気センサ(図示せず)等からなる周知のものである。
【0025】
上記制御装置7は、電源を切断しても記憶内容を保持する必要のあるデータやプログラムを格納するROM37と、処理途中で一時的に生じたデータを格納するRAM39と、ROM37やRAM39に記憶された処理プログラムを実行するCPU41と、これらを接続するバスとを少なくとも備えた周知のマイクロコンピュータを中心に構成されている。なお、マイクロコンピュータには、書き換え可能な不揮発性の記憶装置43(例えば、ハードディスクドライブやフラッシュEEPROM等)が接続されている。このうち、ROM37には、後述する処理を実行するための処理プログラムが格納されている。制御装置7は、生体状態判断手段として機能する。
【0026】
上記通信装置9は、制御装置7からの指令に従って、一般通信回線(ここでは、無線通信)を介して、外部の医療機関に設置された情報処理機器45との間で情報通信を実行するように構成されている。なお、情報処理機器45は、通信装置9から送信された情報を受信する通信機器(図示せず)と、その通信機器にて受信した情報を記憶すると共に、その受信した情報を加工する機能を有した周知の情報処理装置(図示せず)とを少なくとも備えている。
【0027】
2.生体状態監視装置1が実行する処理
生体状態監視装置1(特に制御装置7)が実行する処理を、図4、図5のフローチャート、及び図6〜図8の説明図に基づいて説明する。この処理は、自車両のイグニッション信号が生体状態監視装置1に入力されたときに起動する。また、所定時間ごとに繰り返し実行される。
【0028】
ステップ10では、心電センサ13により、自車両の運転者から心電波形を取得する。取得された心電波形は、制御装置7に出力される。図6(a)に、取得した心電波形の例を示す。
【0029】
ステップ20では、脈波センサ15により、自車両の運転者から脈波波形を取得する。取得された脈波波形は、制御装置7に出力される。図6(b)に、取得した脈波波形の例を示す。
【0030】
ステップ30では、前記ステップ10で取得した心電波形に、不整脈が検出されるか否かを判断する。具体的には、以下のように行う。前記ステップ10で取得した心電波形から、心電特徴量を抽出する。心電特徴量としては、RRI(R波とR波との間隔)、HR、QRS幅、QRS振幅等がある。図6(a)に、RRIとQRS振幅を示す。抽出した心電特徴量から、不整脈の有無と、不整脈の種類とを判定する。なお、不整脈には、心室細動、心室頻拍、心房細動、心房粗動、上室頻拍、房室ブロック、洞停止、心室期外収縮、心房期外収縮等の種類があるが、心電特徴量と不整脈の種類とは一定の関係があるので、心電特徴量から、不整脈の種類を判定できる。生体状態監視装置1は、予め、心電特徴量の値と不整脈の種類との関係を規定したマップを備えており、心電特徴量をそのマップに適用することで、不整脈の種類を判定できる。不整脈を検出した場合はステップ40に進み、不整脈を検出しなかった場合は本処理を終了する。
【0031】
ステップ40では、前記ステップ30で検出した不整脈の危険度(致死性の高さ)を算出する。具体的には以下のように行う。まず、前記ステップ30で判定した不整脈の種類を取得する。次に、前記ステップ10で取得した心電波形から、不整脈の長さ(持続時間)を取得する。最後に、不整脈の種類と長さとから、その不整脈の危険度を判定する。なお、生体状態監視装置1は、予め、不整脈の種類及び長さと、不整脈の危険度との関係を規定したマップを備えており、上記のようにして求めた不整脈の種類及び長さをそのマップに適用することで、不整脈の危険度を判定できる。常時、不整脈の出現に対しては直近の記録と比較し、散発する頻度が高まっている場合は危険度に加味する。
【0032】
ステップ50では、基準脈波を呼び出す。この基準脈波とは、過去の規定時間内に取得された複数の脈波の平均波形であり、記憶装置43(図1参照)に予め記憶されていたものである。
【0033】
ステップ60では、前記ステップ50で呼び出した基準脈波を用いて、閾値を算出する。この閾値の算出を、図7を用いて説明する。図7に示す波形は、前記ステップ50で呼び出した基準脈波である。この基準脈波の最大値から最小値の間を3等分し、最大値の側から、区分A、B、Cとする。また、最小値以下の部分を区分Dとする。
【0034】
ステップ70では、脈波の危険度を算出する。この処理を、図5のフローチャートを用いて説明する。ステップ110では、前記ステップ20で取得した脈波のうち、不整脈に対応する脈波(規定時間内又は規定拍数の脈波)について、それぞれの拍(ピーク)の最大値と、基準脈波とを対比する。その結果、規定の拍数以上における最大値が、区分Dにある場合は、ステップ160にて高危険度(危険度を5段階で評価する場合に最も高い危険度)と判定し、本処理を終了する。一方、上記の条件が成立しない場合はステップ120に進む。
【0035】
ステップ120では、前記ステップ20で取得した脈波のうち、不整脈に対応する脈波(規定時間内又は規定拍数の脈波)について、それぞれの拍(ピーク)の最大値と、基準脈波とを対比する。その結果、規定の拍数以上における最大値が、区分C〜Dにある場合は、ステップ170にて中等度危険(危険度を5段階で評価する場合に2番目に高い危険度)と判定し、本処理を終了する。一方、上記の条件が成立しない場合はステップ130に進む。
【0036】
ステップ130では、前記ステップ20で取得した脈波のうち、不整脈に対応する脈波(規定時間内又は規定拍数の脈波)について、それぞれの拍(ピーク)の最大値と、基準脈波とを対比する。その結果、規定の拍数以上における最大値が、区分B〜Dにある場合は、ステップ180にてやや危険(危険度を5段階で評価する場合に3番目に高い危険度)と判定し、本処理を終了する。一方、上記の条件が成立しない場合はステップ140に進む。
【0037】
ステップ140では、前記ステップ20で取得した脈波のうち、不整脈に対応する脈波(規定時間内又は規定拍数の脈波)について、それぞれの拍(ピーク)の最大値と、基準脈波とを対比する。その結果、規定の拍数以上における最大値が、区分A〜Dにある場合は、ステップ190にて前危険(危険度を5段階で評価する場合に4番目に高い危険度)と判定し、本処理を終了する。一方、上記の条件が成立しない場合はステップ150に進み、危険無し(危険度を5段階で評価する場合に最も低い危険度)と判定し、本処理を終了する。
【0038】
なお、図8に、脈波の危険度を中等度危険と判定した事例を示す。不整脈に対応する脈波において、それぞれの拍(ピーク)の最大値は、全て区分C〜Dにある。
図4に戻り、ステップ80では、総合危険度を算出する。この総合危険度とは、前記ステップ40で算出した不整脈の危険度と、前記ステップ70で算出した脈波の危険度とを総合したものである。例えば、不整脈の危険度に基づいて算出されたポイントと、脈波の危険度に基づいて算出されたポイントとの和に基づいて、総合危険度を算出することができる。
【0039】
ステップ90では、前記ステップ80で算出した総合危険度に基づき、運転支援を行う。例えば、総合危険度が最も高い領域にある場合は。通信装置9により外部に信号を出力する。この信号には、例えば、心電波形、脈波、総合危険度、運転者又は自車両の識別番号等を含むことができる。また、総合危険度がそれよりも低い場合は、表示部29又は音声出力部31により、車内で警告を行うことができる。この警報は、総合危険度が高いほど、目立つものとすることができる。また、総合危険度が存在しないか、所定値以下である場合は、特に運転支援を行わないようにすることができる。
【0040】
3.生体状態監視装置1が奏する効果
(1)生体状態監視装置1は、心電波形だけではなく、脈波を用いて、総合的に運転者の生体状態における危険度を判定する。そのため、自車両の振動、運転者の体動、電磁波等により、実際には存在しない不整脈を誤検出してしまったり、実際には存在しない脈波の異常を誤検出してしまった場合でも、運転者の生体状態における危険度を正しく判断できる。
【0041】
なお、上記効果は、以下のデータにより裏付けられる。図9及び図10は、同一の被験者について、心電センサ13による心電波形(ステアリング心電)と、医療用の心電計による心電波形(リファレンス心電)と、脈波センサ15による脈波とを、同時に取得した結果を示す。
【0042】
図9では、ステアリング心電の心電波形には不整脈が表れているが、リファレンス心電には異常がなく、脈波にも異常がない。このケースは、心電センサ13が不整脈を誤検出していると考えられる。仮に、ステアリング心電のみに基づき運転者の生体状態における危険度を判定すると、誤検出した不整脈により、危険度を誤って判定してしまうが、本実施形態の生体状態監視装置1のように、心電波形と脈波の両方を用いて総合的に運転者の生体状態における危険度を判定すると、そのような問題が生じない。
【0043】
また、図10では、ステアリング心電及びリファレンス心電の心電波形には不整脈が表れていないが、脈波には異常が表れている。このケースは、脈波センサ15が脈波の異常を誤検出していると考えられる。仮に、脈波のみに基づき運転者の生体状態における危険度を判定すると、誤検出した脈波の異常により、危険度を誤って判定してしまうが、本実施形態の生体状態監視装置1のように、心電波形と脈波の両方を用いて総合的に運転者の生体状態における危険度を判定すると、そのような問題が生じない。
(2)生体状態監視装置1は、生体状態における危険度がどれくらいの程度であるかを判断することができる。
[第2実施形態]
第2実施形態における生体状態監視装置1は、前記第1実施形態と同様の構成を有するが、実行する処理が一部相違する。以下では、その相違点を中心に説明し、前記第1実施形態と同様の部分の説明は省略乃至簡略化する。
【0044】
生体状態監視装置1(特に制御装置7)が実行する処理を、図11のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、自車両のイグニッション信号が生体状態監視装置1に入力されたときに起動する。また、所定時間ごとに繰り返し実行される。
【0045】
ステップ310〜340は、それぞれ、前記第1実施形態におけるステップ10〜40と同様である。
ステップ350では、不整脈に対応する脈波の危険度を算出する。その脈波の危険度pul(x)は、以下の式(1)で表される。
式(1):pul(x)=α・f1(x)+β・f2(x)+γ・f3(x)+δ・f4(x)+ε・f5(x)
ここで、α、β、γ、δ、及びεは、図12に示すとおり、前記ステップ330で判定された不整脈の種類により決まる重み付け係数である。例えば、不整脈の種類が心室細動である場合は、β=1、α=γ=δ=ε=0である。また、不整脈の種類が心室頻拍である場合は、α=1、β=γ=δ=ε=0である。
【0046】
また、f1(x)、f2(x)、f3(x)、f4(x)、及びf5(x)は、それぞれ、5種類の脈波特徴量ごとに算出される危険度であり、具体的には、以下のようなものである。
f1(x):脈波特徴量である「一拍分の最大値」(不整脈に対応する一拍分の脈波の最大値)から算出した危険度。この脈波特徴量が閾値より小さければ小さいほど、危険度が高くなる。
【0047】
f2(x):脈波特徴量である「一拍分の振幅」(不整脈に対応する一拍分の脈波の振幅)から算出した危険度。この脈波特徴量が閾値より小さければ小さいほど、危険度が高くなる。
【0048】
f3(x):脈波特徴量である「規定拍数分の振幅」(不整脈に対応する既定拍数分の脈波の振幅の分散))から算出した危険度。この脈波特徴量が閾値より大きければ大きいほど、危険度が高くなる。
【0049】
f4(x):脈波特徴量である「規定拍数分のPIの分散」(不整脈に対応する既定時間内あるいは既定拍数分の脈波のPIの分散)から算出した危険度。この脈波特徴量が閾値より大きければ大きいほど、危険度が高くなる。
【0050】
f5(x):脈波特徴量である「一拍分のPI」(不整脈に対応する一拍分の脈波のPI)から算出した危険度。この脈波特徴量が閾値より大きければ大きいほど、危険度が高くなる。
なお、図12に記載された不整脈の種類、その心電変化及び脈変化、その不整脈を判定するための判定条件の例は、以下のとおりである。
・心室期外収縮(VPC)、心房期外収縮(APC)
心電変化:予定より早くQRS波が発生する。
【0051】
脈波変化:1.対応する脈波の立ち上がりが早くなる。
2.対応する脈波の最大値が低下する。
判定条件:1.不整脈に対応する脈波の一拍前の脈波の立ち上がりから不整脈に対応する脈波の立ち上がりまでの時間(Pulse Interval:PI)が閾値より短い。
【0052】
2.対応する脈波の最大値が閾値以下になる。(1、2は別々でも、組み合わせても良い)
・心室頻拍(VT)
心電変化:予定より早くQRS波が連続で発生する。
【0053】
脈波変化:発生とともに脈波の波高が減少し、持続すればするほどその程度が強くなる。
判定条件:対応する脈波の最大値が規定時間以上あるいは既定回数以上連続的に閾値を下回る。
・心室細動(VF)
心電変化:全く不規則な振幅・波形となる(QRSやTの区別がつかない)。
【0054】
脈波変化:発生直後からほとんど脈波がフラットになってしまう。
判定条件:VFが検出された直後から規定時間以上あるいは所定時間までの脈波振幅が閾値以下。
・心房細動(AF)
心電変化:RRIが不均一になる。
【0055】
脈波変化:脈波の波高や振幅がばらばらになる。
判定条件:1.AF検出直後の脈波から所定時間(複数拍を含む)内のPIの分散が閾値以上。
【0056】
2.AF検出直後の脈波から所定時間(複数拍を含む)内の脈波振幅の分散が閾値以上。(1、2は別々でも、組み合わせても良い)
・心房粗動、上室頻拍
心電変化:心拍数が速い。
【0057】
脈波変化:脈波の波高はあまり変わらなくても振幅が小さくなる。
判定条件:対応する脈波振幅が既定回数以上連続的に閾値を下回る。
・房室ブロック、洞停止
心電変化:局所的にQRS波が発生しない(ポーズあるいは停止する)ため、RRIが延長する。
【0058】
脈波変化:ポーズの長さに一致して脈波が欠落する。
判定条件:ポーズ前の脈波の立ち上がりからポーズ後の脈波の立ち上がりまでの時間(PI)が閾値より長い。
【0059】
以上のように本ステップ350では、不整脈の種類に応じて、脈波の危険度の判定に使用する脈波特徴量と判定方法を変更する。
ステップ360〜370は前記第1実施形態におけるステップ80〜90と同様である。
【0060】
本実施形態の生体状態監視装置1は、上記のように、不整脈の種類に応じて、脈波の危険度の判定に使用する脈波特徴量と判定方法を変更するので、不整脈の種類がいずれであっても、それに応じて、運転者の生体状態における危険度を正しく判断できる。
[第3実施形態]
第3実施形態における生体状態監視装置1は、前記第1実施形態と同様の構成を有するが、実行する処理が一部相違する。以下では、その相違点を中心に説明し、前記第1実施形態と同様の部分の説明は省略乃至簡略化する。
【0061】
生体状態監視装置1(特に制御装置7)が実行する処理を、図13のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、自車両のイグニッション信号が生体状態監視装置1に入力されたときに起動する。また、所定時間ごとに繰り返し実行される。
【0062】
ステップ410〜420は、それぞれ、前記第1実施形態におけるステップ10〜20と同様である。
ステップ430では、規定時間内の過去に検出し、記憶装置43に記憶しておいた不整脈を呼び出す。なお、記憶装置43には、規定時間内の過去に検出された不整脈及び脈波特徴量が記憶されおり、生体情報記憶手段として機能する。
【0063】
ステップ440では、まず、前記ステップ410で取得した心電波形に、不整脈が検出されるか否かを判断する。その方法は、前記第2実施形態におけるステップ330と同様である。次に、不整脈を検出した場合は、その種類が、前記ステップ430で呼び出した不整脈と同じであるか否かを判断する。このステップ440で不整脈を検出し、且つその不整脈の種類が前記ステップ430で呼び出した不整脈とは異なる場合はステップ450に進む。一方、不整脈を検出しなかった場合、又は、不整脈を検出してもその種類が前記ステップ430で呼び出した不整脈と同じであった場合は本処理を終了する。
【0064】
ステップ450〜480は、それぞれ、前記第1実施形態におけるステップ40〜70と同様である。
ステップ490では、記憶装置43に予め記憶しておいた個人情報を呼び出す。この個人情報とは、個人毎に予め入力された、あるいは過去に検出した、不整脈又は既往症の情報である。
【0065】
ステップ500では、前記ステップ490で呼び出した個人情報から危険度を算出する。例えば、前記ステップ450で特定した不整脈が、個人情報に記憶された既往症に対応するものであり、不整脈の検出から、既往症の悪化が推測できる場合は、個人情報からの危険度を高く算出する。一方、前記ステップ450で特定した不整脈が、個人情報に記憶された既往症とは関係ない場合は、上記の場合よりも、個人情報からの危険度を低く算出する。
【0066】
ステップ510では、総合危険度を算出する。この総合危険度とは、前記ステップ450で算出した不整脈の危険度と、前記ステップ480で算出した脈波の危険度と、前記ステップ500で算出した個人情報からの危険度とを総合したものである。例えば、不整脈の危険度に基づいて算出されたポイントと、脈波の危険度に基づいて算出されたポイントと、個人情報からの危険度に基づいて算出されたポイントとの和に基づいて、総合危険度を算出することができる。
【0067】
ステップ520では、前記ステップ510で算出した総合危険度に基づき、運転支援を行う。その内容は、前記第1実施形態におけるステップ90と同様である。
本実施形態の生体状態監視装置1は、前記ステップ430、440の処理により、比較的危険度が低いと考えられる場合(検出された不整脈が過去に発生した不整脈と同じ種類である場合)は、以降の処理を省略する。そのことにより、効率的な処理を行うことができ、運転者も、不要な処理により煩わされることがない。
【0068】
また、本実施形態の生体状態監視装置1は、前記ステップ490〜500の処理により、個人情報も考慮することで、運転者の生体状態における危険度を一層正しく判断できる。
[第4実施形態]
第4実施形態における生体状態監視装置1は、前記第1実施形態と同様の構成を有するが、実行する処理が一部相違する。以下では、その相違点を中心に説明し、前記第1実施形態と同様の部分の説明は省略乃至簡略化する。
【0069】
生体状態監視装置1(特に制御装置7)が実行する処理を、図14のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、自車両のイグニッション信号が生体状態監視装置1に入力されたときに起動する。また、所定時間ごとに繰り返し実行される。
【0070】
ステップ610〜670は、それぞれ、前記第1実施形態におけるステップ10〜70と同様である。
ステップ680では、運転情報を抽出し、その運転情報から運転危険度を算出する。運転情報としては、以下のものを抽出する。
(i)交差点等の停止の仕方に関する運転情報
交差点直前の加速度(ナビ情報+加速度)
交差点直前の速度(ナビ情報+速度)
(ii)直線路の走行の仕方に関する運転情報
直線路の速度(ナビ情報+速度)
直線路の操舵角(ナビ情報+操舵角)
運転危険度は、以下のように算出する。
【0071】
直線走行時、規定時間内に操舵角が閾値を超えた回数が規定回数以上である場合、蛇行運転と判定し、運転危険度を高く算出する。
直線走行時、速度が閾値を連続して超える時間が規定時間以上である場合、スピード超過と判定し、運転危険度を高く算出する。
【0072】
交差点通過時、速度が閾値を下回らない場合、一時停止無視と判定し、運転危険度を高く算出する。
ステップ690では、総合危険度を算出する。この総合危険度とは、前記ステップ640で算出した不整脈の危険度と、前記ステップ670で算出した脈波の危険度と、前記ステップ680で算出した運転危険度とを総合したものである。例えば、不整脈の危険度に基づいて算出されたポイントと、脈波の危険度に基づいて算出されたポイントと、運転危険度に基づいて算出されたポイントとの和に基づいて、総合危険度を算出することができる。
【0073】
ステップ700では、前記ステップ690で算出した総合危険度に基づき、運転支援を行う。例えば、総合危険度が最も高い領域にある場合は、車両の制御(停止、減速、発進の禁止)を行う。また、総合危険度がそれよりも低い場合は、通信装置9により外部に信号を出力する。この信号には、例えば、心電波形、脈波、総合危険度、運転者又は自車両の識別番号等を含むことができる。また、総合危険度がさらに一段低い場合は、表示部29又は音声出力部31により、車内で警告を行うことができる。この警告は、総合危険度が高いほど、目立つものとすることができる。また、総合危険度が存在しないか、所定値以下である場合は、特に運転支援を行わないようにすることができる。
【0074】
本実施形態の生体状態監視装置1は、前記ステップ680の処理により、運転危険度も考慮することで、運転者の生体状態における危険度を一層正しく判断できる。
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0075】
例えば、前記各実施形態の生体状態監視装置1は、図15に示すように、一拍分の不整脈を検出し、その不整脈発生時から不整脈発生後の最初の脈波立ち上がりまでの時間(PTT)が、閾値より大きい場合、一拍分の不整脈に対する脈波応答がないと判定することができる。
【0076】
また、前記各実施形態の生体状態監視装置1は、運転情報に基づき、脈波特徴量を補正するものであってもよい。この補正は、例えば、以下のように行うことができる。まず、情報取得装置群5を用いて、移動体情報を取得する。取得する移動体情報としては、加速度センサ17により取得する自車両の加速度、速度センサ19により取得する自車両の速度、舵角センサ21により取得するステアリングSの舵角、ナビゲーション装置23により取得する、自車両が走行している道路の曲率及び高低差がある。
【0077】
次に、取得した移動体情報を用いて、脈波情報の補正値を算出する。すなわち、生体状態監視装置1は、移動体情報と、脈波情報の補正値との対応テーブルを予めROM37に記憶しており、取得した移動体情報をこの対応テーブルに当てはめることで、脈波情報の補正値を算出する。
【0078】
上記のように脈波情報を補正する意義は、以下のとおりである。脈波情報は、自車両が加速(上下方向、左右方向の加速も含む)をしている場合、血液にGが加わることで、本来の値から変動する。また、脈波情報は、ステアリングSを操作する場合、運転者の手と脈波センサ15が動くことで、本来の値から変動する。本来の脈波情報を得るためには、上記の変動を打ち消すように補正する必要がある。
【0079】
移動体情報のうち、加速度センサ17により取得する自車両の加速度、速度センサ19により取得する自車両の速度、ナビゲーション装置23により取得する、自車両が走行している道路の曲率及び高低差は、自車両の加速度の量及び方向を反映した情報である。加速により生じる脈波情報の変動量は加速度の量及び方向により決まるから、上述した移動体情報から、加速による影響を打ち消すための補正量を算出することができる。
【0080】
また、移動体情報のうち、舵角センサ21により取得するステアリングSの舵角は、運転者の手と脈波センサ15の動きを反映した情報である。よって、ステアリングSの舵角から、運転者の手と脈波センサ15の動きによる影響を打ち消すための補正量を算出することができる。
【0081】
なお、移動体情報と補正量との関係は、移動体情報の量を変えながら脈波情報の変動量を測定する試験を繰り返し行うことで、定めることができる。
生体状態監視装置1は、車載機ではなく、例えば、家庭、病院等に設置する医療機器とすることができる。
【0082】
また、生体状態監視装置1は、脈波特徴量の変化量に基づき、脈波危険度を算出してもよい。
【符号の説明】
【0083】
1・・・生体状態監視装置、3・・・計測装置、5・・・情報取得装置群、
7・・・制御装置、9・・・通信装置、11・・・警告装置、13・・・心電センサ、
15・・・脈波センサ、17・・・加速度センサ、19・・・速度センサ、
21・・・舵角センサ、23・・・ナビゲーション装置、25・・・位置検出部、
27・・・操作スイッチ群、29・・・表示部、31・・・音声出力部、
33・・・記憶部、35・・・制御部、37・・・ROM、43・・・記憶装置、
45・・・情報処理機器、DR1、DR2、DL1、DL2・・・電極、
S・・・ステアリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザから心電波形及び脈波を含む生体情報を取得する生体情報取得手段と、
前記心電波形から不整脈を検出する不整脈検出手段と、
前記不整脈に対応する脈波から脈波特徴量を抽出する脈波特徴量抽出手段と、
(A)前記不整脈検出手段で検出した不整脈の種類及び/又は時間、及び(B)前記脈波特徴量抽出手段により抽出した脈波特徴量又はその変化量を用いて、ユーザの生体状態における危険度を判定する生体状態判断手段と、
を備えることを特徴とする生体状態監視装置。
【請求項2】
不整脈及び脈波特徴量を記憶する生体情報記憶手段を備え、
前記生体状態判断手段は、生体情報記憶手段に記憶されている過去の規定時間内の脈波特徴量と、前記脈波特徴量抽出手段で抽出した脈波特徴量との対比結果を用いて、前記生体状態の危険度を判定することを特徴とする請求項1記載の生体状態監視装置。
【請求項3】
前記脈波特徴量は、
不整脈に対応する一拍分の前記脈波の最大値、
不整脈に対応する一拍分の前記脈波の最小値、
不整脈に対応する一拍分の前記脈波の振幅、
不整脈に対応する一拍分の前記脈波の立ち上がり時間、
一拍前の脈波の立ち上がりから不整脈に対応する一拍分の脈波の立ち上がりまでの時間
不整脈に対応する既定時間内あるいは既定拍数分の前記脈波の最大値、
不整脈に対応する既定時間内あるいは既定拍数分の前記脈波の最小値、
不整脈に対応する既定時間内あるいは既定拍数分の前記脈波の振幅の平均値、
不整脈に対応する既定時間内あるいは既定拍数分の前記脈波の立ち上がり時間の平均値、
不整脈に対応する既定時間内あるいは既定拍数分の前記脈波のPIの平均値、
不整脈に対応する既定時間内あるいは既定拍数分の前記脈波の振幅の分散、
及び不整脈に対応する既定時間内あるいは既定拍数分の前記脈波のPIの分散のうちの
少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は2に記載の生体状態監視装置。
【請求項4】
前記生体情報記憶手段は、個人毎に、予め入力されたあるいは過去に検出した、不整脈又は既往症の情報のうち少なくとも1つを含む個人情報を記憶し、
前記生体状態判断手段は、前記生体状態の危険度を判定するときに、前記個人情報を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の生体状態監視装置。
【請求項5】
前記不整脈検出手段は、心電波形から心電特徴量を検出し、
前記生体状態判断手段は、前記生体状態の危険度を判定するときに、前記心電特徴量又はその変化量を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の生体状態監視装置。
【請求項6】
前記生体状態判断手段は、前記不整脈の種類に応じて、前記生体状態の危険度の判定に使用する脈波特徴量と判定方法を変更することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の生体状態監視装置。
【請求項7】
前記生体状態判断手段は、一拍分の不整脈を検出し、その不整脈発生時から不整脈発生後の最初の脈波立ち上がりまでの時間が、閾値より大きい場合、一拍分の不整脈に対する脈波応答がないと判定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の生体状態監視装置。
【請求項8】
前記生体状態監視装置は移動体に搭載され、
車速、加速度、操舵角、及びナビ情報のうち少なくとも1つを含む運転情報を取得する運転情報取得手段を備え、
前記生体状態判断手段は、前記生体状態の危険度を判定するときに、前記運転情報を用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の生体状態監視装置。
【請求項9】
前記生体状態判断手段は、前記運転情報に基づき、前記脈波特徴量を補正することを特徴とする請求項8に記載の生体状態監視装置。
【請求項10】
前記生体状態判断手段の判定結果を外部に出力する出力手段を備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の生体状態監視装置。
【請求項11】
前記生体状態判断手段の判定結果に応じて警告を行う警告手段を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の生体状態監視装置。
【請求項12】
前記生体状態判断手段の判定結果に応じた支援を行う支援手段を備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の生体状態監視装置。
【請求項13】
前記生体状態判断手段は、判定に用いる情報を分類し、
前記分類毎に危険度を個別に判定し、
各々の危険度を演算することで、生体状態の危険度を判定することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の生体状態監視装置。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−81194(P2012−81194A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231725(P2010−231725)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(500557048)学校法人日本医科大学 (20)
【Fターム(参考)】