説明

生分解性の脂肪−芳香族ポリエステル

芳香族多官能性の酸49〜66モル%、少なくとも70%がセバシン酸である脂肪族の酸51〜34モル%、およびブタンジオールを含む生分解性の脂肪/芳香族コポリエステル、ならびにかかるコポリエステルを含むブレンド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも70%がセバシン酸である脂肪族の酸、少なくとも1つの多官能性の芳香族の酸および少なくとも1つのジアルコールから得られる生分解性の脂肪−芳香族ポリエステル(AAPE)、ならびに該ポリエステルと天然由来もしくは合成由来の他の生分解性ポリマーとの混合物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ジカルボン酸およびジアルコールから得られる生分解性の脂肪−芳香族ポリエステル類は、文献で知られており、市販されている。ポリエステル鎖中の芳香族成分の存在は、十分に高い融点および受容できる結晶化速度を有するポリマーを得るのに重要である。
【0003】
この種のポリエステル類は、最近、市販されているけれども、ポリエステルの生分解パーセントは上記の閾値を著しく低下させるので、鎖中の芳香族酸の量は、49%より象徴的に低い。
【0004】
文献(Mullerら、Angew. Chem., Int., Ed. (1999), 38, pp. 1438-1441)には、51モル%のテレフタレートのモルフラクションを有する物質は、40%より低い生分解性のパーセントを示すのに対して、42モル%のテレフタレートのモルフラクションを有するポリブチレンアジペート−コ−テレフタレートタイプのコポリマーは、完全に生分解して12週間でコンポストを生成すると報告されている。
【0005】
この異なった挙動は、より生分解され難い3以上の長さを有するブチレン・テレフタレート・シーケンスがより多数生成することに起因している。
【0006】
しかしながら、もし好適な生分解性を維持できるのであれば、鎖中の芳香族酸のパーセントの増加は望ましい。なぜならば、ポリエステルの融点の上昇、極限強さおよび弾性率のような重要な機械的特性の向上もしくは少なくとも維持をもたらし、さらにポリエステルの結晶化速度の向上をもたらし、それによって工業的加工性が改善されるからである。
【0007】
最近、市販されている生分解性の脂肪−芳香族ポリエステル類のさらなる欠点は、それらを構成するモノマー類が再生できない源からきており、それらの生分解性にもかかわらず、そのようなポリエステル類の生産に伴って環境に重大なインパクトを与え続けるという事実によって表されている。
【0008】
それらは、特にアジピン酸の存在下に、LDPEおよびHDPEよりはるかに大きなエネルギー・コンテントを有している。
他方、植物由来のモノマーの使用は、大気中へのCO2の排出の減少および再生できない資源から誘導されるモノマーの使用の低減に貢献するだろう。
【0009】
米国特許第4,966,959号は、60〜75モル%のテレフタル酸、25〜40モル%の脂肪族もしくは脂環式カルボン酸、ならびにグリコール成分からなる、ある種のコポリエステル類を開示している。
そのようなポリエステル類の内部粘度は約0.4〜約0.6であり、該ポリエステル類は粘着剤として有用である反面、その他の多くの適用には向いていない。
【0010】
米国特許第4,398,022号は、テレフタル酸、1,12-ドデカンジオイック酸、および1,4-シクロヘキサンジメタノールを含むグリコール成分からなるコポリエステル類を開示している。その酸成分は、ポリエステル類の生産に通常用いられる1種以上の酸を任意に含んでいてもよいとされているが、ポリエステルが所望の溶融強度を有するために、実施例では1,12-ドデカンジオイック酸が存在しなければならないことを示している。
【0011】
米国特許第5,559,171号は、セルロースエステルと脂肪−芳香族コポリエステルとの2成分ブレンドを開示している。該ブレンドのAAPE成分は、コポリマー中30〜95モル%の範囲であり得るC2-C14脂肪族ジ酸から誘導される部分、コポリマー中70〜5モル%の範囲であり得る芳香族酸から誘導される部分を含んでいる。
【0012】
この文献におけるある種のAAPE類は、ブレンドを必要とせず、フィルムへの適用において有用である。それらは、コポリマー中95〜35モル%の範囲であり得るC2-C10脂肪族ジ酸から誘導される部分、およびコポリマー中5〜65モル%の範囲であり得る芳香族酸から誘導される部分を含んでいる。
【0013】
ドイツ特許A-195 08 737号は、テレフタル酸、脂肪族ジ酸およびジオール成分からなる生分解性のAAPE類を開示している。そのようなAAPE類の重量平均分子量MWは常にきわめて低いため(最大51000g/モル)、それらの工業的適用は限定されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明の全体的な目的は、同じものを含む改善されたAAPE類およびブレンドを開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、
A)次の繰り返し単位:
1)49〜66モル%、好ましくは49.5〜63モル%、より好ましくは50〜61モル%の芳香族多官能性の酸;
2)51〜34モル%、好ましくは50.5〜37モル%、より好ましくは50〜39モル%の脂肪族の酸、そのうちの少なくとも70%、好ましくは90%はセバシン酸である;
を含む酸成分;
B) ブタンジオール;
を含む、生分解性の脂肪−芳香族コポリエステル(AAPE)に関する。
【0016】
上記のAAPEは、Standard ISO 14855 Amendment 1により、対照として用いられたセルロースに対して、30日で40%以上、好ましくは60%以上生分解性であり、
- 1.22g/ccより低い密度、好ましくは1.21g/ccより低い密度、さらに好ましくは1.20g/ccより低い密度;
- 数平均分子量Mn 40000〜140000;
- 内部粘度0.8〜1.5
を有する。
【0017】
本発明の目的のために、「多官能性の芳香族の酸」は、フタル酸タイプの芳香族ジカルボン酸化合物およびそれらのエステル、好ましくはテレフタル酸を意味する。
本発明の特許請求の範囲に記載の生分解性のポリエステルにおける芳香族ジカルボン酸の含量は、酸成分の総モル含量に対して、49〜66モル%、好ましくは49.5〜63モル%、より好ましくは50〜61モル%である。
【0018】
本発明によるポリエステルの数平均分子量Mnは40000〜140000の間である。ゲル濾過クロマトグラフィ(GPC)の方法により測定された多分散性指数Mw/Mnは、1.7〜2.6の間であり、好ましくは1.8〜2.5の間である。
本発明によるポリエステルは、速やかに結晶化することにより特徴づけられ、30℃より高い結晶化温度、好ましくは40℃より高い結晶化温度を有する。
【0019】
本発明によるポリエステル類は、CHCl3中25℃で濃度0.2g/dlの溶液用のUbbelhode 粘度計で測定して、0.8dl/g〜1.5dl/gの間の内部粘度、好ましくは0.83dl/g〜1.3dl/gの間、さらに好ましくは0.85dl/g〜1.2dl/gの間の内部粘度を有する。
【0020】
本発明によるポリエステル類の溶融流量(MFR)は、例えばバブルフィルミング、射出成形、発泡などのようなプラスチック材料の典型的な用途に用いる場合には、ASTM D1238 standardにより190℃/2.16kgで測定して、0.5〜100g/10分の間、好ましくは1.5〜70g/10分の間、さらに好ましくは2.0〜50g/10分の間である。
【0021】
該ポリエステル類は、Mohr-Westphal重量計で測定して、1.22g/cm3より低い、好ましくは1.21g/cm3より低い、さらに好ましくは1.20g/cm3より低い密度を有する。
本発明によるポリエステルは、80MJ/m2より高い、好ましくは100MJ/m2より高い破断点エネルギーを示し、そして75MPaより高い弾性率を有するのが有利である。
【0022】
本発明によるポリエステルは、standard ASTM D1922-89により、吹込み比2〜3、引落し比7〜14でフィルム化されたインフレートフィルムについて測定したとき、縦方向で20N/mmより高い、好ましくは25N/mmより高いエルメンドルフ引裂き強さを有し、クォンティティ:
(横方向+縦方向)/2
について60N/mmより高い、好ましくは65N/mmより高いエルメンドルフ引裂き強さを有する。
【0023】
セバシン酸とは異なっていてもよい脂肪族の酸A2は、少なくとも一つのヒドロキシ酸、またはアゼライン酸、ブラシル酸のようなセバシン酸と異なるジカルボン酸を、セバシン酸の総モル含量に対して30モル%まで、好ましくは10モル%含んでいるか、構成されていてもよい。
【0024】
好適なヒドロキシ酸の例は、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ吉草酸、7-ヒドロキシヘプタン酸、8-ヒドロキシカプロン酸、9-ヒドロキシノナン酸、乳酸またはラクチドである。
【0025】
該ヒドロキシ酸は、それ自体が鎖中に挿入されていてもよく、あるいは前もってジ酸もしくはジアルコールと反応するようになされていてもよい。該ヒドロキシ酸単位は、鎖中にランダムに挿入されていてもよく、あるいは隣の単位とブロックを形成していてもよい。
【0026】
本発明によるコポリエステルの製造法において、分岐した物質を得るために、ジカルボン酸(およびヒドロキシ酸)の量に対して、0.02〜3.0モル%の間の、好ましくは0.1モル%〜2.5モル%の間の量で、一つ以上の多官能性の分子を加えてもよい。
【0027】
そのような分子の例は、グリセロール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、クエン酸、ジペンタエリスリトール、モノアンヒドロソルビトール、モノヒドロ−マンニトール、エポキシ化された大豆油、エポキシ化された亜麻仁油などのようなエポキシ化された油類、ジヒドロキシステアリン酸、イタコン酸などである。
【0028】
本発明によるポリマーは、ジおよび/またはポリイソシアネート、ジおよび/またはポリエポキシド、ビス−オキサゾリン、ポリ−カルボジイミドもしくはジビニルエーテルのような連鎖延長剤を加えなくても、高いレベルの性能を有するけれども、所望によりその性状を改変することは可能である。
【0029】
一般に、そのような添加剤は、0.05〜2.5%、好ましくは0.1〜2.0%の範囲で用いられる。そのような添加剤の反応性を改善するために、ポリエポキシドに対して、例えばステアリン酸亜鉛(脂肪酸の金属塩)のような特定の触媒が用いられ得る。
【0030】
ポリエステル類の分子量の増加は、例えば押出工程の間に種々の有機過酸化物を加えることにより達せられる。
生分解性のポリエステル類の分子量の増加は、過酸化物で処理した後のポリエステルについて粘度の値の増加を観察することにより、容易に分かる。
【0031】
フィルムを製造するために本発明によるポリエステル類を使用する場合、ヨーロッパ特許第1 497 370号の教示に従って上記の連鎖延長剤を添加すると、ポリエステルに対して4.5重量%より低いゲルフラクションの生成をもたらす。このことに関連して、ヨーロッパ特許第1 497 370号の内容は、本明細書中に参考として組み込まれる。
【0032】
本発明によるポリエステル類は、その相対的分子量を適宜調節することにより、フィルム、射出成形製品、押出被覆製品、繊維、発泡体、熱成形製品、押出形材およびシート、押出吹込成形品、射出吹込成形品、回転成形品、延伸吹込成形品などのような多数の実際の用途に用いるのに適した性質および粘度の値を有する。
【0033】
フィルムの場合、インフレート法、フィルム流延法および共押出法のような製造技術が採用され得る。さらに、そのようなフィルムはインラインでまたはフィルム製造後に二軸延伸に付され得る。フィルムは1:2から1:15までの延伸割合、好ましくは1:2.2から1:8までの延伸割合で、1方向に延伸して引き伸ばすこともできる。延伸は、無機の充填剤で高度に充填された材料の存在下でも可能である。そのような場合、延伸は微細な孔を形成することができ、そのようにして得られたフィルムは衛生的な用途に特に適している。
【0034】
特に、本発明によるポリエステルは、次のようなものを製造するのに適している。
- 一方向性または二方向性いずれかのフィルム、、および他のポリマー材料との多層フィルム;
- マルチングフィルムのような農業分野で使用するためのフィルム;
- 食品用、農業分野での梱包用、および残り物の包装用のクリングフィルム
【0035】
- 例えばパレット、ミネラルウォーター、シックスパックリング用などのようなシュリンクフィルム;
- 食品の残り物の収集、刈り取られた草や庭のゴミを集めるためのような有機物を集めるための袋およびライナー;
- 例えばミルク、ヨーグルト、肉、飲料などのための容器のような、食品のための熱成形された単層もしくは多層のパッケージ;
【0036】
- 押出コーティング技術で得られる被覆;
- 紙、プラスチック材料、アルミニウム、蒸着フィルムの層との多層ラミネート;
- 焼結により形成されるピースを製造するための発泡したもしくは発泡し得るビーズ;
【0037】
- 予備発泡した粒子で得られる発泡ブロックを含む、発泡もしくは半発泡製品;
- 発泡シート、熱成形された発泡シート、それらから得られる食品包装用の容器;
- 果物および野菜のための一般的な容器;
【0038】
- ゲル化、分解および/または複合化澱粉、天然の澱粉、小麦粉、天然、植物もしくは無機物由来のその他の充填材との複合材料;
- 繊維、マイクロ繊維、PLA、PET、PTTなどのような硬質ポリマーからなるコアとの複合繊維、および本発明による材料で作られた外部シェル、複合繊維、(円形から多裂形の)種々の分野での繊維、フレーク状の繊維、衛生分野、衛生学分野、農業分野、土地改良、造園および衣服分野用の織物および不織布あるいは紡いで結合したもしくは熱で結合した織物。
【0039】
本発明によるポリエステル類は、さらに、(例えば、ポリブチレンテレフタレートアジペート PBTA、ポリブチレンテレフタレートサクシネート PBTS、およびポリブチレンテレフタレートグルタレート PBTGのごとき脂肪族/芳香族コポリエステルのような)同じタイプのポリエステル類、あるいは他の生分解性ポリエステル類(例えば、ポリ乳酸、ポリ-ε-カプロラクトン、ポリ-3-ヒドロキシブチレート、ポリ-4-ヒドロキシブチレートおよびポリヒドロキシブチレート-バレレート、ポリヒドロキシブチレート-プロパノエート、ポリヒドロキシブチレート-ヘキサノエート、ポリヒドロキシブチレート-デカノエート、ポリヒドロキシブチレート-ドデカノエート、ポリヒドロキシブチレート-ヘキサデカノエート、ポリヒドロキシブチレート-オクタデカノエートのようなポリヒドロキシブチレート類、ならびにポリアルキレンサクシネートおよびそれらとアジピン酸、乳酸もしくはラクチドおよびカプロラクトンとのコポリマー、ならびにそれらの組合せ)、あるいはポリエステル類とは異なった他のポリマーのいずれかと反応性押出によっても得られるブレンドで用いることもできる。
【0040】
ポリエステル類とポリ乳酸との混合物が特に好ましい。
本発明によるポリエステル類は、例えば澱粉、セルロース、キトサン、アルギネート、天然ゴムもしくは(例えばジュート、ケナフ、麻のような)天然繊維のような天然由来のポリマーとブレンドで用いることもできる。
【0041】
澱粉およびセルロースは変性されていてもよく、0.2〜2.5の間の置換度を有するこれらの澱粉およびセルロースエステルには、例えばヒドロキシプロピル化された澱粉、および脂肪鎖で変性された澱粉などが挙げられる。好ましいエステルは、アセテート、プロピオネート、ブチレートおよびそれらの組合せである。さらに、澱粉は分解された形態およびゲル化された形態で充填剤として用いられる。
本発明によるAAPEと澱粉との混合物が特に好ましい。
【0042】
本発明によるAAPEと澱粉との混合物は、耐老化性および耐湿性に優れた生分解性のポリマー組成物を形成し得る。熱可塑性の澱粉および澱粉と相容性のない熱可塑性のポリマーを含むこれらの組成物では、澱粉は分散相を構成し、AAPE熱可塑性ポリマーは連続相を構成している。このことに関連して、ヨーロッパ特許第947 559号の内容は参考として本明細書に組み込まれる。
【0043】
該ポリマー組成物は、低い湿度の条件下でも高い引裂強度を維持し得る。かかる性質は、澱粉が1μmより小さい平均粒径で分散相を形成するときに得られる。澱粉の好ましい粒子径は0.1〜0.5μmの間であり、粒子の80%以上が1μmより小さい大きさを有する。
【0044】
そのような性質は、上記の成分を混合する間、組成物の水分含量を好ましくは1〜15%の間に保ったときに達成され得る。しかしながら、1重量%より低い含量で操作することもできる。この場合には、予め乾燥され、予備可塑化された澱粉から出発する。
【0045】
最終材料または最終製品における澱粉の内部粘度を1〜0.2dl/gの間、好ましくは0.6〜0.25dl/gの間、さらに好ましくは0.55〜0.3dl/gの間とするために、本発明のポリエステル類と混合する前または混合する間に、澱粉を低分子量に分解することも有益である。
【0046】
分解澱粉は、水、グリセロール、ジおよびポリグリセロール、エチレンもしくはプロピレングリコール、エチレンおよびプロピレンジグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、スクロース、1,3-プロパンジオール、1,2-、1,3-、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-、1,5-ヘキサンジオール、1,2,6-、1,3,5-ヘキサントリオール、ネオペンチルグリコール、ならびにポリビニルアルコールプレポリマーおよびポリマー、ポリオールアセテート、エトキシレートおよびプロポキシレート、特にソルビトールエトキシレート、ソルビトールアセテート、およびペンタエリスリトールアセテートのような可塑化剤の存在下に、本発明のAAPEと混合する前もしくは混合する間に得られる。
【0047】
用いられる高沸点の可塑化剤(水とは異なる可塑化剤)の量は、一般に澱粉に対して0〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。
水は、高沸点の可塑化剤と組み合わせて、または単独で、組成物を混合する前もしくは混合する間に、澱粉相の可塑化の間に、可塑化剤として用いることができ、押出の間に1以上の工程でガス抜きすることにより、必要とされるレベルまで除去することができる。
【0048】
可塑化および成分の混合が完了したら、水はガス抜きによって除去され、最終含量が約0.2〜3重量%となる。
水および高沸点の可塑化剤は、澱粉相の粘度を変え、分散粒子の大きさを測定するのを助け、澱粉/ポリマーシステムの流動学的性質に影響を与える。相溶化剤も上記の混合物に加えることができる。
【0049】
それらは次のクラスに属する。
・8より大きい親水性/親油性バランスの指数(HLB)を有し、ポリオールおよび4.5より低い解離定数pKを有するモノもしくはポリカルボン酸(ポリカルボン酸の場合は最初のカルボキシ基のpKに関する値)から得られるエステルのような添加剤、
・ポリオールおよび炭素数が12より少なくて、4.5(この値はポリカルボン酸の場合は最初のカルボキシ基のpKに関する)より大きいpK値を有するモノもしくはポリカルボン酸から得られ、5.5〜8の間のHLB値を有するエステル、
・ポリオールおよび12〜22の炭素原子を有する脂肪酸から得られ、5.5より低いHLB値を有するエステル。
【0050】
これらの相溶化剤は、澱粉に対して0.2〜40重量%、好ましくは1〜20重量%の量で用いられ得る。
上記の澱粉ブレンドは、2つの成分(一つは澱粉と相溶であるかまたは溶解することができ、もう一つはポリエステルと相溶であるかまたは溶解することができる)を有するポリマーの相溶化剤を含むこともできる
【0051】
その例は、エステル交換触媒を介しての澱粉/ポリエステルコポリマーである。そのようなポリマーは、配合する間の反応性ブレンドにより生成させるか、あるいは別々の方法で製造し、次いで押出の間に加えることによって製造することができる。
【0052】
一般に、親水性単位および疎水性単位のブロックコポリマーが特に適している。
ジ-およびポリ-エポキシド、ジ-およびポリ-イソシアネート、イソシアヌレート、ポリカルボジイミド、および過酸化物のような添加剤を加えることもできる。それらは安定化剤および連鎖延長剤として作用し得る。
上記の方法はいずれも必要とされる微細構造を作るのに助けとなり得る。
【0053】
澱粉とポリマーマトリックスとの間の結合を作る反応を促進することもできる。また、脂肪族もしくは芳香族のジイソシアネートまたはジ-もしくはポリ−エポキシドまたはイソシアヌレート、あるいはオキサゾリンで延長され、1dl/gより高い極限粘度を有する脂肪−芳香族ポリマー鎖、あるいはいずれの場合も190℃、2.16kgでのMnとMFIとの間の比が10000より大きい、好ましくは12500より大きい、そしてより好ましくは15000より大きい脂肪−芳香族ポリエステル類は、必要とされる微細構造を達成するのに用いることもできる。
【0054】
微細構造を改善するもう一つの方法は、澱粉−ポリエステル混合物において澱粉コンプレックス化を達成することである。このことに関連して、ヨーロッパ特許第965 615号の内容が参考として本明細書に組み込まれる。
【0055】
そのような場合、本発明によるポリエステルとの組成物のX線スペクトルにおいて、コンプレックスの13〜14°の範囲におけるピークの高さ(Hc)と、約20.5°に現れるアモルファス澱粉のピークの高さ(Ha)(アモルファス相におけるピークのプロフィールは再構成されている)との間の比Hc/Haは、2より小さく、0.02より大きい。
澱粉/ポリエステルの比は、5/95重量%〜60/40重量%、より好ましくは10/90〜45/55重量%の範囲に含まれる。
【0056】
本発明のポリエステルと組み合わさった上記のような澱粉ベースのブレンド中には、ポリオレフィン、高および低加水分解度のポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコールとエチレンビニルアセテートとのコポリマーおよびそれらの組合せ、ならびにポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネートアジペートカプロラクテート、ポリブチレンサクシネートラクテートのような脂肪族ポリエステル類、ポリカプロラクトンポリマーおよびコポリマー、PBT、PET、PTT、ポリアミド、テレフタル酸の含量が40〜70%の間であり、分岐していてもよく、ジイソシアネートもしくはシアヌレートで連鎖が延長されていてもよいスルホン化された基を有するか、または有しないポリブチレンテレフタレートアジペート、ポリウレタン、ポリアミド−ウレタン、セルロースおよび置換度が1〜3の間、好ましくは1.5〜2.5の間のアセテート、プロピオネートおよびブチレートのような澱粉エステル、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ-L-乳酸、ポリ-D-乳酸およびラクチド、それらの混合物およびコポリマーを加えることもできる。
【0057】
本発明のポリエステルの澱粉ブレンドは、コポリエステルがテレフタル酸の含量が45〜49%の間(工業的に生産された製品の範囲)のポリブチレンアジペートテレフタレートであるコンポストされ得る澱粉ブレンドに比べて、より良い結晶化能を維持しており、マトリックスの高い結晶化速度ゆえに、7g/10分のMFI(170℃、5kg)でさえもインフレートで容易に加工できる。さらに、それらは(10℃、相対湿度5%以下で30μmの厚さのインフレートフィルムで測定して)20kj/m2より高い、好ましくは30kj/m2より高い、そしてより好ましくは45kj/m2より高い衝撃強さを有している。
【0058】
特に抵抗性で容易に加工できるコンパウンドは、本発明のポリエステルならびにポリエポキシド、カルボジイミドおよび/もしくはパーオキサイドのような添加物を含んでいてもよいポリ乳酸ポリマーおよびコポリマーと組み合わさった、分解された澱粉を含んでいる。
【0059】
澱粉ベースのフィルムは、500μmより小さい粒径、そして好ましくは300μmより小さい粒径を有する澱粉のナノ粒子の場合には、透明であり得る。
液滴の形態にある澱粉の分散液から、2つの共に連続する相が共存し、そのブレンドが加工の際により高い水分含量を許容することで特徴づけられる分散液に移行することも可能である。
【0060】
一般に、高いアミロペクチン含量を有する澱粉の選択および/または澱粉−ポリエステル組成物への疎水性単位および親水性単位を有するブロックコポリマーの添加のいずれかによって、共に連続する構造を得ることができる。可能な例は、ポリビニルアセテート/ポリビニルアルコールおよびポリエステル/ポリエーテルコポリマーである。これらにおいて、ブロックの長さ、ブロックの親水性と疎水性との間のバランスおよび用いられる相溶化剤の品質は、澱粉−ポリエステル組成物の微細構造を精巧に調整するために適当に変えることができる。
【0061】
本発明によるポリエステル類は、上記の合成由来のポリマーおよび天然由来のポリマーとのブレンドで用いることもできる。ポリエステルと澱粉およびポリ乳酸との混合物が特に好ましい。
【0062】
本発明によるAAPEとPLAとのブレンドは、本発明の脂肪−芳香族ポリエステルの高い結晶化速度ならびにそれらのPLAポリマーおよびコポリマーとの高い相溶性が、広い範囲の剛性および高速の結晶化を有する材料をカバーでき、したがってこれらのブレンドは射出成形および押出成形に特に適している。
【0063】
さらに、そのようなポリエステルとポリL−乳酸およびポリD−乳酸またはポリL−ラクチドおよびポリD−ラクチドとのブレンドは、ポリL−およびポリD−乳酸もしくはラクチドの比が 10 / 90〜90 / 10、好ましくは 20 / 80〜80 / 20 の間であり、脂肪−芳香族ポリエステルとポリ乳酸またはPLAブレンドとの比が 5 / 95〜95 / 5、好ましくは 10/90〜90/10 の間である場合、高い結晶化速度および高い耐熱性ゆえに特に興味がある。ポリ乳酸またはラクチドポリマーもしくはコポリマーは、通常、分子量Mnが 30 000 〜 300 000、より好ましくは 50 000 〜 250 000 の間である。
【0064】
そのようなブレンドの透明性および靭性を向上させ、またポリラクチドポリマーの板状構造を低減させるか回避するために、ポリブチレンサクシネート、およびアジピン酸および/または乳酸および/またはヒドロキシカプロン酸とのコポリマー、ポリカプロラクトン、C2 〜 C13のジオールおよびC4 〜 C13のジ酸からの脂肪族ポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート、加水分解度が75〜99%の間のポリビニルアルコールおよびそのコポリマー、加水分解度が0〜70%、好ましくは0〜60%の間のポリビニルアセテートのような他のポリマーを相溶化剤または靭性化剤として加えることができる。
【0065】
ジオールとして特に好ましいのは、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオールであり、ジ酸として特に好ましいのはアゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、ブラシル酸およびそれらの組合せである。
【0066】
本発明のAAPEとポリ乳酸との相溶性を最大限とするためには、本発明の脂肪−芳香族コポリエステルに対して高い親和性を有するブロック、および乳酸ポリマーまたはコポリマーに対して親和性を有するブロックを含んだコポリマーの導入がきわめて有用である。特に好ましい例は、本発明の脂肪−芳香族コポリマーとポリ乳酸とのブロックコポリマーである。そのようなブロックコポリマーは、ヒドロキシ基を末端に有する2つの原ポリマーを採り、これらのポリマーを、ジイソシアネートのようなヒドロキシ基と反応し得る連鎖延長剤と反応させることにより得られる。
【0067】
例えば、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、トルエンジイソシアネートなどである。ジ-およびポリ-エポキシド(例えば、ビスフェノールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル)、ブレンドのポリマーの末端が酸の基である場合にはジビニル誘導体のような酸の基と反応し得る連鎖延長剤を用いることもできる。カルボジイミド、ビス−オキサゾリン、イソシアヌレートなどを連鎖延長剤として用いることもできる。
【0068】
そのようなブロックコポリマーの極限粘度は、0.3〜1.5dl/gの間、より好ましくは0.45〜1.2dl/gの間である。脂肪−芳香族コポリエステルとポリ乳酸とのブレンドにおける相溶化剤の量は、0.5〜50重量%の間、好ましくは1〜30重量%の間、より好ましくは2〜20重量%の間である。
【0069】
本発明によるAAPEは、好ましくは有機および無機の性質を有する充填剤とブレンドすることもできる。充填剤の好ましい量は、0.5〜70重量%、より好ましくは5〜50重量%の範囲である。
【0070】
有機の充填剤としては、木の粉、プロテイン、セルロースパウダー、グレープ残渣、糠、トウモロコシの皮、コンポスト、その他の天然の繊維、ポリオールのような可塑剤を含むか含まない荒挽きの穀類が挙げられる。
【0071】
無機の充填剤としては、分散され得るそして/または好ましくは500nmより小さい、より好ましくは300nmより小さい、さらに好ましくは50nmより小さいサブミクロンの大きさを有する薄片に分解され得る物質が挙げられる。特に好ましいのは、ゼオライト、およびウォラストナイト、モントモリロナイト、ヒドロタルサイトのような種々のシリケート、ならびに澱粉および/または特定のポリエステルと相互作用し得る分子で機能化されたものなどである。
【0072】
そのような充填剤の使用は、剛性、水やガスの透過性、寸法安定性を向上させることができ、しかも透明性を維持することができる。
本発明によるポリエステル類の製造法は、当該技術分野で公知の方法に従って行なうことができる。特に、ポリエステルは重縮合反応で有利に得ることができる。
【0073】
コポリエステルの重合方法は、適当な触媒の存在下に行なうのが有利である。適当な触媒としては、例えば錫の半無機(metallo-organic)化合物、例えば錫酸の誘導体、チタニウム化合物、例えばオルトブチルチタネート、およびアルミニウム化合物、例えばトリイソプロピルアルミニウム、アンチモン化合物、および鉛化合物が挙げられる。
【0074】
実施例
以下に示される実施例において、
- MFRは、150℃および5kg、または190℃および2.16kgで、ASTM D 1238-89 standardにより描かれた条件で測定された。
【0075】
- 融点および結晶化温度ならびにエンタルピーは、示差走査熱量計Perkin Elmer DSC7を用いて、次の温度プロフィルで操作して測定された:
−30℃から200℃まで20℃/分の第1スキャン
200℃から−30℃まで10℃/分の第2スキャン
−30℃から200℃まで20℃/分の第3スキャン
【0076】
- Tm1は第1スキャンの吸熱ピークの値として測定され、そしてTm2は第3スキャンのそれとして測定され;Tcは第2スキャンの発熱ピークとして測定された。
【0077】
- 密度
Mohr Westphal 法による密度の測定は、Sartorius Kit YDK 01を備えた化学天秤Sartorius AC 120S を用いて行なわれた。上記のキットは2つの小さなかごを備えている。キットが取り付けられると、エタノールがクリスタライザーに導入された。バランスは室温に維持された。
各試験は約2g(一つ以上のペレット)のポリマーで行なわれた。
密度dは、次の式に従って決定された。
D=(Wa/G)dfl
【0078】
ここで、
a:大気中でのサンプルの重量
fl:アルコール中でのサンプルの重量
G=Wa−Wfl
fl=室温でのエタノールの密度(キットとともにSartorius 社から提供された表で読まれた値)
密度の値の実験誤差は、±2.5×10-3の範囲内であった。
【0079】
- ηinはASTM 2857-87 standard に従って測定された。
- Mnは、溶出剤としてクロロホルムを用い、検量線のためにポリスチレン・スタンダード を用い、Agilent 1100 シリーズGPCシステムで測定された。
【0080】
実施例1
撹拌機、窒素気流の入口、コンデンサーおよび真空ポンプへの連結を備えた25−lのスチール製反応器に、
2890g のテレフタル酸(17.4モル)、
3000g のセバシン酸(14.8モル)、
3500g のブタンジオール(38.9モル)、
6.1g のブチルスズ酸
を充填した。
【0081】
ジカルボン酸の総量に対するテレフタル酸のモル%は54.0モル%であった。
反応器の温度を200℃まで上げ、窒素気流を適用した。理論量でおよそ90%の水を蒸発させた後、圧力を3mmHgより低い値まで徐々に下げ、温度を250℃に上げた。
およそ3時間後、溶融物質を反応器から注ぎ、水浴中で冷却し、顆粒化した。後の操作の間に、生成物がいかに速く固化し始めて、容易に顆粒化し得るかを認めることができた。得られた物質は、内部粘度(クロロホルム中、25℃で測定、c=0.2g/dl)ηin=0.93 (dl/g)、 Mn = 52103、MFR (190°C; 2.16kg)=20g/10分、そして密度1.18 g/cm2を有していた。
H-NMR 分析から芳香族単位の%は、53.5±0.5%であることが分かった。
【0082】
実施例2
実施例1の反応器に実施例1と同じ材料:
2890g のテレフタル酸 (17.4モル)、
3000g のセバシン酸 (14.8モル)、
3500g のブタンジオール (38.9モル)、
6.1g のブチルスズ酸
を充填した
【0083】
ジカルボン酸の総量に対するテレフタル酸のモル%は54.0モル%であった。
内部粘度(クロロホルム中、25℃、 c=0.2g/dlで測定) ηin=1.03 (dl/g)、 Mn = 58097、MFR (190℃; 2.16kg)=14.8g/10分を有する物質を得るのに必要な時間、反応を行なった。
【0084】
実施例3
次の材料:
- 3476.48 g のジメチルテレフタレート (17.92 モル)
- 3493.80 g のブタンジオール ( 38.82 モル)
- 2411.88 g のセバシン酸 (11.94 モル)
を用いて、実施例1の方法を繰り返した。
【0085】
酸の総量に対する芳香族の含量(モル%)は60モル%であった。
Mn = 56613、Mw/Mn= 2.0364 、内部粘度(クロロホルム中、25℃、c=0.2g/dlで測定) ηin=0.97 (dl/g)、密度 120 g/cc および MFR (190℃; 2.16kg)= 7.8 g/10分を有する物質を得た。
【0086】
実施例4(比較)
次の材料:
2480g のテレフタル酸 (14.9モル)、
3400g のセバシン酸 (16.8モル)、
3430g のブタンジオール (38.1モル)、
6.1g のブチルスズ酸
を用いて、実施例1の方法を繰り返した。
【0087】
カルボン酸の総量に対するテレフタル酸のモル%は、47モル%であった。
内部粘度 (クロロホルム中、25℃、c=0.2g/dlで測定) ηin=1.00 (dl/g) および MFR (190℃; 2.16kg)=15g/10分を有する物質を得た。
H-NMR 分析から芳香族単位の%は、47.0±0.5%であることが分かった。
【0088】
実施例5(比較)
次の材料:
3294.1 g のジメチルテレフタレート ( 16.98 モル)、
3108.4 g のプロパンジオール (40.9 モル)、
2922.9 g のセバシン酸 ( 11.94 モル)
を用いて、実施例1の方法を繰り返した。
【0089】
酸の総量に対する芳香族の含量(モル%)は54モル%であった。
内部粘度(クロロホルム中、25℃、c=0.2g/dlで測定) ηin=0.96 (dl/g)、密度 1.20 g/cc および MFR (190℃; 2.16kg)= g/10分を有する物質を得た。
【0090】
実施例6(比較)
次の材料:
3080.7 g のジメチルテレフタレート( 15.88 モル)、
3277.2 g のヘキサンジオール(27.77 モル)、
2211.9 g のセバシン酸(11.94 モル)
を用いて、実施例1の方法を繰り返した。
【0091】
酸の総量に対する芳香族の含量(モル%)は60モル%であった。
内部粘度(クロロホルム中、25℃、c=0.2g/dlで測定) ηin= 0.87 (dl/g)、密度 1.15 g/cc および MFR (190℃; 2.16kg)= g/10分を有する物質を得た。
【0092】
実施例7
次の材料:
3858.7 g のジメチルテレフタレート( 19.89 モル)、
3526.4 g のブタンジオール (39.18 モル)、
2070.5 g のセバシン酸 ( 10.25 モル)
を用いて、実施例1の方法を繰り返した。
【0093】
酸の総量に対する芳香族の含量(モル%)は66モル%であった。
内部粘度 (クロロホルム中、25℃、 c=0.2g/dlで測定) ηin= 0.90 (dl/g)、密度 1.21 g/cc を有する物質を得た。
【0094】
計量スクリュー20C13、L/D=25、RC=1.3、エアーギャップ1mm;30-50 RPM;T=140-180℃を備えたFormac Polyfilm 20 装置を用いて、上記の実施例で得られた試験片を、次いでインフレート技術でフィルムにした。このようにして得られたフィルムは、約30μmの厚さを有していた。
【0095】
フィルム化して1週間後、そして25℃、相対湿度55%でコンディショニングした後に、ASTM D882-88 standards に従って、引張特性を測定した。
実施例で得られた物質の熱的性質を表1に示し、フィルムの機械的性質を表2に示す。
【0096】
【表1】

【0097】
【表2】

* 実施例6のエルメンドルフ値は、フィルムの質が極めて貧弱であったため測定で きなかった。
【0098】
生分解性試験
実施例1〜7の物質について、Standard ISO 14855 Amendment 1 に従って、制御されたコンポスティングにおいて、生分解性試験を行なった。
試験は、30ミクロンのフィルムが液体窒素中で2mmより小さいサイズに破砕されるまで、またはペレットが250μmより小さい直径を有する粒子に粉砕されるまで行なわれた。
ポジティブなコントロールとして、カラムクロマトグラフィ用の微結晶性のセルロースAvicel(登録商標)lot No. K29865731 202 を用いた。粉末粒子径:80%が20μm〜160μm;20%が20μmより小さい。
【0099】
【表3】

【0100】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
A) 次の繰り返し単位:
1)芳香族多官能性酸を49〜66 モル%、好ましくは49.5〜63、より好ましくは50〜61%;
2)脂肪族酸を51〜34%、好ましくは50.5〜37%、より好ましくは50〜39 モル%、そのうち少なくとも70%、好ましくは90%はセバシン酸である;
を含む酸成分;
B) ブタンジオール;
を含み、
上記の脂肪/芳香族コポリエステル(AAPE)が、Standard ISO 14855 Amendment 1により、対照として用いられるセルロースに対して、30日間に40%より高い、好ましくは60%より高い生分解性を有し、
- 1.22 g/cc より低い、好ましくは1.21 g/ccより低い、より好ましくは1.20 g/ccより低い密度;
- 40,000 〜 140,000 の数平均分子量Mn
- 0.8 〜 1.5の内部粘度
を有する、生分解性の脂肪/芳香族コポリエステル。
【請求項2】
脂肪族の酸A2が、セバシン酸の総モル含量に対して30モル%まで、好ましくは10モル%までの量の、セバシン酸とは異なる少なくとも1つのヒドロキシ酸または1つのジカルボン酸を含むことを特徴とする、請求項1に記載の生分解性ポリエステル。
【請求項3】
芳香族ポリカルボン酸が、フタル酸タイプの化合物、好ましくはテレフタル酸である、請求項1に記載の生分解性ポリエステル。
【請求項4】
本発明によるポリエステルの分子量Mnが好ましくは40,000 〜 140,000の間であり、多分散性インデックスMw/Mnが1.7 〜 2.6の間、好ましくは1.8 〜 2.5の間である、請求項1〜3のいずれかに記載の生分解性ポリエステル。
【請求項5】
速やかに結晶化することができ、30℃より高い、好ましくは40℃より高い結晶化温度Tcを有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル。
【請求項6】
破断エネルギーが80 MJ/m2より高い、好ましくは100 MJ/m2より高いことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル。
【請求項7】
弾性率が75 MPa より高いことを特徴とする、請求項5に記載のポリエステル。
【請求項8】
エルメンドルフ引裂強さが、縦方向で20 N/mmより高い、好ましくは25 N/mmより高く、クォンティティ:(横方向+縦方向)/2について60 N/mmより高い、好ましくは65 N/mmより高いことを特徴とする、請求項6に記載のポリエステル。
【請求項9】
同じタイプのポリエステル類および天然由来もしくは合成由来いずれかの他の生分解性ポリマーとの反応性押出の手段によっても得られるブレンドに用いられる、請求項1〜8のいずれかに記載のポリエステル。
【請求項10】
合成由来のポリマーが、ポリ乳酸、ポリ-ε-カプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート-バレレート、ポリヒドロキシブチレート-プロパノエート、ポリヒドロキシブチレート-ヘキサノエート、ポリヒドロキシブチレート-デカノエート、ポリヒドロキシブチレート-ドデカノエート、ポリヒドロキシブチレート-ヘキサデカノエート、ポリヒドロキシブチレート-オクタデカノエートのようなポリヒドロキシブチレート類、ならびにポリアルキレンサクシネート類から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の生分解性ポリエステルのブレンド。
【請求項11】
天然由来のポリマーが、澱粉、セルロース、キトサン、アルギネートまたは天然ゴムであることを特徴とする、請求項9に記載の生分解性ポリエステルのブレンド。
【請求項12】
置換度が0.2〜2.5の間である澱粉もしくはセルロース、ヒドロキシプロピル化された澱粉、および脂肪鎖で変性された澱粉のように、澱粉およびセルロースが変性されていることを特徴とする、請求項11に記載の生分解性ポリエステルのブレンド。
【請求項13】
澱粉が分解もしくはゲル化形態または充填剤の形態で存在することを特徴とする、請求項9に記載の生分解性ポリエステルのブレンド。
【請求項14】
合成由来のポリマーがポリ乳酸であり、天然由来のポリマーが澱粉である、請求項9に記載の生分解性ポリエステルのブレンド。
【請求項15】
- 一方向性または二方向性フィルムいずれかのフィルム 、および他のポリマー材料との多層フィルム;
- マルチングフィルムとして農業分野で使用されるためのフィルム;
- 有機物を集めるための袋および包み;
- 例えば牛乳、ヨーグルト、肉、飲料などのための容器のような、食品用の単層および多層のパッケージ;
- 押出コーティング技術により得られるコーティング;
- 紙、プラスチック材料、アルミニウム、蒸着フィルムの層との多層ラミネート;
- 焼結により形成されるピースを製造するための発泡したもしくは発泡し得るビーズ;
- 予備発泡した粒子で得られる発泡ブロックを含む、発泡もしくは半発泡製品;
- 発泡シート、熱成形されたシート、それらから得られる食品包装用の容器;
- 果物および野菜のための一般的な容器;
- ゲル化、分解および/または複合化澱粉、天然の澱粉、小麦粉、天然、植物もしくは無機物由来のその他の充填材との複合材料;
- 健康分野、衛生製品および衛生学分野のための繊維、織物および不織布
を製造するための、請求項1〜14のいずれかに記載のポリエステルの使用。

【公表番号】特表2008−536961(P2008−536961A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501246(P2008−501246)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【国際出願番号】PCT/EP2006/002672
【国際公開番号】WO2006/097354
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(592081988)ノバモント・ソシエタ・ペル・アチオニ (19)
【氏名又は名称原語表記】NOVAMONT SOCIETA PER AZIONI
【Fターム(参考)】