説明

画像処理システム、画像処理装置、画像形成装置及びプログラム

【課題】再印刷に係るリソースの消費及び色再現の精度低下を低減させる。
【解決手段】プリントジョブの入力に基づいて画像データを出力するプリントコントローラ2と画像データに基づいて画像を形成するプリントエンジン3とを有する画像処理システム1において、プリントコントローラ2は、画像データのガンマ調整を行うための色調整データを出力する制御部21、色調整データを記憶する記憶部22を備え、プリントエンジン3は、入力された色調整データを記憶する記憶部22、色調整データを編集する操作パネル36、編集後の色調整データをプリントコントローラ2へ出力する制御部21、色調整データに基づいて画像データのガンマ調整を行う調整部33を備え、制御部21は、編集後の色調整データを記憶部22に記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理システム、画像処理装置、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ等の画像形成装置による画像形成を行う場合、プリンタと、プリンタに画像形成を行わせる命令(プリントジョブ)を出力する機器(例えばPCや携帯端末等)との間にプリントコントローラ等の画像処理装置を介在させる方法がある。プリントコントローラは、プリントジョブを入力されると、プリントジョブに含まれるページ記述言語(Page Description Language、以下「PDL」と記載する)に基づいてビットマップ等の画像データを生成するラスタライズ処理を行い、画像データを出力する。プリンタは、プリントコントローラから入力された画像データに基づいて画像を形成する。
【0003】
図18は、プリントジョブの構成の一例を示す説明図である。
本例のプリントジョブは、PJL(Printer Job Language)及びPDLを含む。
PJLは、画像形成に関する命令をコマンド形式で記載した情報である。PJLコマンドによって決定される内容の一つとして、PDLによって生成される画像データに対して適用する色調整データに関する内容がある。
【0004】
図19は、色調整データの一例を示す図である。
図19に示す色調整データは、入力階調値と出力階調値との関係を示すガンマ変換テーブルを4組含み、各組はシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の各色に対応する。
図19に示すガンマ変換テーブルは、256階調即ち8[bit]カラーの各色の入出力階調の関係を示す。
【0005】
図19に示すように、各組のガンマ変換テーブルは、各色について独立したガンマ特性曲線によって表すことができるデータであり、各々のガンマ特性曲線の軌跡は、各々の色のガンマ値に対応する。
【0006】
ガンマ値は、ガンマ特性曲線の強度を示す値であり、ガンマ値がプラスであれば入力階調値(図19に示す横軸)に対して出力階調値(図19に示す縦軸)が相対的に大きくなるカーブ(例えば、図19に示すADJUST2の一番上のカーブ)を示し、マイナスであれば入力階調値に対して出力階調値が相対的に小さくなるカーブ(例えば、図19に示すADJUST1の何れかのカーブ)を示す。また、ガンマ値の絶対値の大小でカーブの大きさが変化する。ガンマ値の絶対値が小さいほど入力階調値と出力階調値との差は小さくなり、カーブが小さくなる。ガンマ値の絶対値が大きいほど入力階調値と出力階調値との差は大きくなり、カーブが大きくなる。
【0007】
図19に示すように、各色調整データには色調整データ名が付与されており、例えば、図18に示す「@PJL SET COLORADJUST=ADJUST1」の記載は、図19に示す「ADJUST1」の色調整データ名を有する色調整データを適用することを示す。
【0008】
図19に示すように、色調整データによる色の調整は、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の各色が独立して階調調整を受ける処理であり、ICCプロファイルの適用等による色空間変換に関する処理とは異なる。
【0009】
PDLは、画像の描画を指示するコマンドであり、プリントコントローラはPDLコマンドの内容を解釈してラスタライズ処理を行い、画像データを生成する。
【0010】
従来、プリントコントローラはラスタライズ処理を行うとき、色調整データによるガンマ調整済みの画像データを生成していた。つまり、プリントコントローラによって生成された画像データは、色調整データによるガンマ調整後の色情報のみを有していた。
このため、PDLによって指示される描画内容が過去のプリントジョブと同一であっても、PJLによって指定される色調整データを異ならせて改めて印刷(以下、「再印刷」と記載することがある。)するような場合、プリンタコントローラは再度ラスタライズ処理を行って新たな画像データを生成し、プリンタへ入力する(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−82482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述した従来のプリントコントローラによる画像データの生成では、色調整データが異なる再印刷の度にラスタライズ処理を行うので、色調整データが異なる再印刷のためにプリントコントローラの処理能力を大幅に割くこととなり、他のプリントジョブに基づくラスタライズ処理のために割り当て可能な処理能力を減少させ、プリントコントローラのレスポンスを悪化させる。
【0013】
また、プリンタにガンマ調整を行うための構成を設けてプリンタに入力された画像データのガンマ調整を行うことがある。
ここで、ラスタライズ処理を行うとき色調整データによるガンマ調整を適用した状態の画像データを生成すると、色調整データによるガンマ調整前の色情報即ち色調整データによるガンマ調整を加味しなかった場合の画像データの階調情報(以下「元の階調情報」と記載することがある。)が失われる。
このため、ラスタライズ処理を行うとき色調整データによるガンマ調整を適用した状態の画像データを生成すると、プリンタにおけるガンマ調整は、色調整データによるガンマ調整後の画像データに対するものとなり、元の階調情報に対するガンマ調整を行うことができない。つまり、色調整データによる色調整後の画像データにさらに色調整を行うこととなり、元の階調情報に基づく色再現の精度が低下する。
【0014】
本発明の課題は、再印刷に係るリソースの消費及び色再現の精度低下を低減させることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に記載の発明は、プリントジョブの入力に基づいて画像データを出力する画像処理装置と前記画像データに基づいて画像を形成する画像形成装置とを有する画像処理システムにおいて、前記画像処理装置は、前記画像データのガンマ調整を行うための色調整データを出力する第一の制御部と、前記色調整データを記憶する第一の記憶部と、を備え、前記画像形成装置は、前記画像処理装置から入力された色調整データを記憶する第二の記憶部と、前記色調整データを編集する編集部と、前記編集部によって編集された色調整データを前記画像処理装置へ出力する第二の制御部と、前記第一の制御部から出力された色調整データ又は前記編集部によって編集された色調整データの少なくともいずれか一方に基づいて前記画像データのガンマ調整を行う調整部と、を備え、前記第一の制御部は、前記画像形成装置から入力された色調整データを前記第一の記憶部へ記憶させることを特徴とする。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理システムにおいて、前記第一の制御部は、前記第一の記憶部に記憶された色調整データを編集し、編集後の色調整データを前記画像形成装置へ出力することを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像処理システムにおいて、前記第一の制御部は、編集後の色調整データを編集前の色調整データと別名で前記第一の記憶部に記憶させることを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理システムにおいて、前記第二の制御部は、編集後の色調整データを編集前の色調整データと別名で前記第二の記憶部に記憶させることを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の画像処理システムにおいて、前記第一の制御部は、前記画像データに基づく画像形成に関するパラメータを含むチケットデータを出力することを特徴とする。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像処理システムにおいて、前記第一の記憶部は、前記チケットデータを記憶し、前記第二の記憶部は、前記画像処理装置から入力されたチケットデータを記憶し、前記編集部は、前記チケットデータを編集し、前記第二の制御部は、前記編集部によって編集されたチケットデータを前記画像処理装置へ出力し、前記第一の制御部は、前記画像形成装置から入力されたチケットデータを前記第一の記憶部へ記憶させることを特徴とする。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の画像処理システムにおいて、前記第一の制御部は、前記第一の記憶部に記憶されたチケットデータを編集し、編集後のチケットデータを前記画像形成装置へ出力することを特徴とする。
【0022】
請求項8に記載の発明は、プリントジョブの入力に基づいて画像データを生成して画像形成装置へ出力する画像処理装置において、前記画像処理装置は、前記画像データのガンマ調整を行うための色調整データを出力する制御部と、前記色調整データを記憶する記憶部と、を備え、前記制御部は、前記画像形成装置によって編集され、当該画像形成装置から入力された色調整データを前記第一の記憶部へ記憶させることを特徴とする。
【0023】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の画像処理装置において、前記制御部は、前記記憶部に記憶された色調整データを編集し、編集後の色調整データを前記画像形成装置へ出力することを特徴とする。
【0024】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の画像処理装置において、前記制御部は、編集後の色調整データを編集前の色調整データと別名で前記記憶部に記憶させることを特徴とする。
【0025】
請求項11に記載の発明は、請求項8から10のいずれか一項に記載の画像処理装置において、前記制御部は、前記画像データに基づく画像形成に関するパラメータを含むチケットデータを出力することを特徴とする。
【0026】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の画像処理装置において、前記記憶部は、前記チケットデータを記憶し、前記制御部は、前記画像形成装置によって編集され、当該画像形成装置から入力されたチケットデータを前記第一の記憶部へ記憶させることを特徴とする。
【0027】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の画像処理装置において、前記制御部は、前記記憶部に記憶されたチケットデータを編集し、編集後のチケットデータを前記画像形成装置へ出力することを特徴とする。
【0028】
請求項14に記載の発明は、画像処理装置から入力された画像データに基づいて画像を形成する画像形成装置において、前記画像処理装置から入力された、前記画像データのガンマ調整を行うための色調整データを記憶する記憶部と、前記色調整データを編集する編集部と、前記編集部によって編集された色調整データを前記画像処理装置へ出力する制御部と、前記画像処理装置から出力された色調整データ又は前記編集部によって編集された色調整データの少なくともいずれか一方に基づいて前記画像データのガンマ調整を行う調整部と、を備えることを特徴とする。
【0029】
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の画像形成装置において、前記制御部は、編集後の色調整データを編集前の色調整データと別名で前記記憶部に記憶させることを特徴とする。
【0030】
請求項16に記載の発明は、請求項14又は15に記載の画像形成装置において、前記記憶部は、前記画像処理装置から入力された、前記画像データに基づく画像形成に関するパラメータを含むチケットデータを記憶し、前記編集部は、前記チケットデータを編集し、前記制御部は、前記編集部によって編集されたチケットデータを前記画像処理装置へ出力することを特徴とする。
【0031】
請求項17に記載の発明は、プログラムであって、プリントジョブの入力に基づいて画像データを生成して画像形成装置へ出力する画像処理装置のコンピュータを、前記画像データのガンマ調整を行うための色調整データを出力する手段、前記色調整データを記憶する手段、前記画像形成装置によって編集され、当該画像形成装置から入力された色調整データを記憶する手段、として機能させることを特徴とする。
【0032】
請求項18に記載の発明は、プログラムであって、画像処理装置から入力された画像データに基づいて画像を形成する画像形成装置のコンピュータを、前記画像処理装置から入力された、前記画像データのガンマ調整を行うための色調整データを記憶する手段、前記色調整データを編集する手段、編集された色調整データを前記画像処理装置へ出力する手段、前記画像処理装置から出力された色調整データ又は編集された色調整データの少なくともいずれか一方に基づいて前記画像データのガンマ調整を行う手段、として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、再印刷に係るリソースの消費及び色再現の精度低下を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本実施形態による画像処理システムの主要構成を示すブロック図である。
【図2】画像処理システムによる画像形成処理の概要を示す説明図である。
【図3】チケットデータの構成の一例を示す図である。
【図4】色調整データの構成の一例を示す図である。
【図5】PCからのチケットデータの編集における画像処理システムの処理の流れを示すシーケンス図である。
【図6】カラーユーティリティ動作時の表示内容の一例を示す。
【図7】PCからチケットデータの編集が行われた場合における再印刷処理の流れを示す説明図である。
【図8】プリントエンジン3からのチケットデータの編集における画像処理システム1の処理の流れを示すシーケンス図である。
【図9】色調整データ編集画面の一例を示す説明図である。
【図10】プリントエンジン3側でチケットデータの編集が行われた場合における再印刷処理の流れを示す説明図である。
【図11】プリントジョブを入力されたプリントコントローラの処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】プリントデータを入力されたプリントエンジンの処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】上書き保存の可否を示すパラメータを含むチケットデータの一例を示す。
【図14】編集後のチケットデータの上書き処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】編集後の色調整データの上書き処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】複数の色調整データを付加されたチケットデータの構成の一例を示す図である。
【図17】画像データに対して複数の色調整データを適用する画像処理システムの実施形態の一例を示す説明図である。
【図18】プリントジョブの構成の一例を示す説明図である。
【図19】色調整データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図を参照して本発明の実施の形態の例を詳細に説明する。
図1は、本実施形態による画像処理システム1の主要構成を示すブロック図である。
画像処理システム1は、プリントコントローラ2、プリントエンジン3及びPC4を備える。
【0036】
プリントコントローラ2は、プリントジョブの入力に基づいて画像データを生成してプリントエンジン3へ入力する画像処理装置として機能する。
プリントコントローラ2は、制御部21、記憶部22、ネットワーク部23及びデータ送受信部24を備え、プリントコントローラ2の各部はバス25によって接続される。
【0037】
制御部21は、プリントコントローラ2の各部の動作を制御する。本実施形態の制御部21は、CPU、RAM、ROMを備え、CPUがROMから処理内容に応じたプログラム、データ等をRAMに読み出してこれを実行或いは処理することで各種の処理を行う。プリントジョブの入力に基づいた画像データの生成処理及び画像データのプリントエンジン3に対する入力処理は制御部21が行う。
【0038】
記憶部22は、各種のプログラム、データ等を記憶可能な記憶装置として機能する。記憶部22は、CMYKの各色についてガンマ変換テーブルを有した色調整データを記憶する。記憶部22は、複数の色調整データを記憶することができる。これら色調整データ同士は互いに異なり、少なくともCMYKのいずれか一色についてガンマ変換テーブルが異なる。記憶部22は、読み取り専用の記憶装置又は媒体(ROM)と書き換え可能な記憶装置又は媒体の組み合わせでもよいし、書き換え可能な記憶装置又は媒体のみによって構成されてもよい。
【0039】
ネットワーク部23は、PC4等の外部機器とプリントコントローラとの間で通信を行うための通信装置として機能する。ネットワーク部23は、例えばNIC(Network Interface Card)等であり、プリントコントローラ2とPC4等の外部機器との間の有線又は無線の通信回線42を介した通信によるデータ転送を可能とする。
【0040】
データ送受信部24は、プリントコントローラ2とプリントエンジン3との間のデータ送受信を行うためのインターフェースとして機能する。
【0041】
プリントエンジン3は、プリントコントローラ2から入力された画像データに基づいて画像を形成する画像形成装置として機能する。
プリントエンジン3は、制御部31、記憶部32、調整部33、画像形成部34、データ送受信部35及び操作パネル36を備え、プリントエンジン3の各部はバス37によって接続される。
【0042】
制御部31は、プリントエンジン3の各部の動作を制御する。本実施形態の制御部31は、CPU、RAM、ROMを備え、CPUがROMから処理内容に応じたプログラム、データ等をRAMに読み出して実行或いは処理することで各種の処理を行う。
記憶部32は、各種のプログラム、データ等を記憶可能な記憶領域として機能する。記憶部32は、プリントコントローラ2から入力された画像データや色調整データを記憶する。記憶部32は、読み取り専用の記憶装置又は媒体(ROM)と書き換え可能な記憶装置又は媒体の組み合わせでもよいし、書き換え可能な記憶装置又は媒体のみによって構成されてもよい。
【0043】
記憶部32は、補正データを記憶する。
補正データは、色調整データと同様、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の各色のガンマ変換テーブルを示すデータであり、画像データの色調整を行う際に用いられるデータである。補正データは、CMYK各色の256階調のガンマ変換テーブルを示すデータである。
【0044】
補正データは、プリントエンジン3が有する固有のガンマ特性を補正するためのデータである。例えば、プリントエンジン3に入力されるプリントデータによって指定される色のガンマ特性と、プリントエンジン3による画像形成に用いられる各色のトナーの発色に基づく画像形成出力時のガンマ特性との間に差異が生じる場合がある。このような差異を補正データにより補正し、入力されるプリントデータによって指定される色のガンマ特性が画像形成時に再現されるようにする。また、トナーの発色特性の他、感光体ドラムの帯電特性の経時変化、転写ベルトの抵抗特性の経時変化、記録用紙種による各種特性差等、種々の原因によりプリントデータによって指定される色のガンマ特性との差異が生じ、これらの差異を補正することが行われる。
【0045】
調整部33は、画像データの色調整を行う。調整部33による画像データの色調整は、色調整データ及び補正データ又は補正データのみに基づいて画像データのガンマ調整を行う処理である。
画像形成部34は、紙等の印刷媒体に対して画像を形成する。以下、画像形成部34による画像の形成を「印刷」と記載する。
【0046】
データ送受信部35は、プリントコントローラ2とプリントエンジン3との間のデータ送受信を行うためのインターフェースとして機能する。データ送受信部23とデータ送受信部35との間は、ケーブル41等により接続される。
【0047】
操作パネル36は、プリントエンジン3の動作に関する各種の情報を表示する表示部としての機能と、プリントエンジン3に対する各種の入力指示を行う操作部としての機能を有する表示入力装置である。
【0048】
PC4は、プリントコントローラ2に対する入力を行う外部機器である。PC4は、プリントコントローラ2に対するプリントジョブの入力及びプリントジョブの編集ならびに後述する色調整データの登録、編集等の各種処理を行うことができる。
【0049】
PC4は少なくとも制御部43、記憶部44を有する。記憶部44は少なくともプリンタドライバP41、ジョブ編集ユーティリティP42及びカラーユーティリティP43を記憶し、制御部43が処理内容に応じてプリンタドライバP41、ジョブ編集ユーティリティP42又はカラーユーティリティP43を記憶部44から読み出して実行処理する。プリンタドライバP41はプリントジョブを出力するためのプログラムである。ジョブ編集ユーティリティP42は過去に出力されたプリントジョブを編集するためのプログラムである。カラーユーティリティP43は色調整データの登録、編集を行うためのプログラムである。
【0050】
次に、画像処理システム1による画像形成処理について説明する。
図2は、画像処理システム1による画像形成処理の概要を示す説明図である。
まず、PC4によってカラーユーティリティP43が実行され、該カラーユーティリティP43を介してプリントコントローラ2に対する色調整データの登録又は編集が行われる(図2の矢印61)。登録又は編集された色調整データはプリントコントローラ2の記憶部22に記憶される。色調整データの登録、編集はプリントコントローラ2に対するプリントジョブの入力前に行われていればよく、プリントジョブの入力の度に行う必要はない。色調整データは記憶部22に記憶される。
【0051】
次に、PC4によるプリンタドライバP41の実行処理を介してプリントジョブがプリントコントローラ2へ入力される(図2の矢印62)。プリントジョブは、ネットワーク部23を介して制御部21へ入力される。
プリントジョブを入力された制御部21は、プリントジョブを解析して(図2の63)、ラスタライズ処理を行い(図2の64)、プリントジョブに含まれるPDLに基づく画像データを生成する(図2の65)。ラスタライズ処理において、プリントジョブに含まれるPJLコマンドが色調整データの指定及びその適用を示す内容を含んでいたとしても、制御部21は色調整データを適用せずに画像データを生成する。
【0052】
そして、制御部21は、プリントジョブの解析後、プリントジョブのPJLコマンドに含まれる色調整データの指定に基づいて、該PJLコマンドによって指定された色調整データを読み込み(図2の矢印66)、該プリントジョブのチケットデータに付加する(図2の矢印67)。図示しないが、PJLコマンドによる色調整データの指定がない場合、チケットデータに対する色調整データの付加は行われない。
【0053】
図3は、チケットデータの構成の一例を示す図である。
チケットデータは、画像形成に関する各種の項目及びそのパラメータを有するデータである。チケットデータが有する項目として、例えば図3に示すように、そのプリントジョブによって画像を形成される印刷媒体の部数(図3の「部数」)、印刷媒体の両面に対する印刷の有無(図3の「片面/両面」)、ステープル処理に関する情報(図3「Staple」)があるが、図3に示す項目に限らず、その他の画像の形成に関する各種の項目をチケットデータに含ませることができる。
チケットデータは、プリントジョブの入力と共にPC4からプリントコントローラ2へ入力される。また、チケットデータは、記憶部22に記憶される。
【0054】
図3に示すように、チケットデータの項目として、色調整に関する情報を含ませることができる(図3の「色情報」)。そして、色調整を行う際に用いる色調整データを付加することができる(図3の「色調整データ」)。プリントコントローラ2は、PJLによって指定された色調整データをチケットデータに付加する。
【0055】
図4に色調整データの構成の一例を示す。図4に示すように、色調整データは、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色について複数の数値を有するデータである。色調整データに含まれる数値は、図19の例で示すような各色のガンマカーブに対応する。
【0056】
制御部21は、データ送受信部24を介してチケットデータ及び画像データをプリントデータとして出力する(図2の68)。
プリントジョブに含まれるPJLコマンドが色調整データの指定及びその適用を示す内容を含んでいる場合、制御部21はチケットデータに対する色調整データの付加後、該チケットデータ及び画像データを出力する。
プリントジョブに含まれるPJLコマンドが色調整データの指定及びその適用を示す内容を含んでいない場合、制御部21は、チケットデータに対する色調整データの付加を行うことなく、データ送受信部24を介してチケットデータ及び画像データを出力する。
【0057】
チケットデータは、該チケットデータと該チケットデータが適用されるプリントジョブとを対応付ける情報や、該チケットデータと画像データとを対応付ける情報等を含んでいる。データ送受信部24を介して出力される画像データは、画像データとの対応付け情報を含むチケットデータと共にプリントデータとして出力される。
【0058】
プリントデータとして画像データ及びチケットデータを入力されたプリントエンジン3は、画像データ及びチケットデータに基づく画像の形成を行う。
具体的には、まず制御部31が、入力された画像データ及びチケットデータを記憶部32に記憶させる(図2の矢印69)。そして、制御部31は、調整部33に画像データの色調整を行わせる。
【0059】
調整部33は、入力された画像データを読み込む(図2の矢印70)。そして、調整部33は、読み込んだ画像データに対して、該画像データと共に入力されたチケットデータに付加された色調整データの適用(図2の矢印71)及び記憶部32に記憶された補正データの適用(図2の矢印72)を行い、画像データの色調整を行う(図2の73)。色調整が行われた後の画像データは、画像形成部34へ出力される(図2の74)。画像データを入力された画像形成部34は、該画像データを印刷する。
【0060】
図2の矢印71に示す色調整データの適用は、チケットデータによって色調整の指示が為されている場合、即ち図3に示すチケットデータの「色調整」の項目が「する」である場合に行われる。
【0061】
チケットデータに付加された色調整データ及び記憶部32に記憶された補正データの両方を画像データに適用する場合の処理は一つの方法に限らない。例えば、調整部33が色調整データ又は補正データのいずれか一方を画像データに適用する色調整を行った後、一方による色調整後の画像データに対してさらに他方を適用する色調整を行ってもよい。一方、制御部31が色調整データ及び補正データのそれぞれによって指定される各色のガンマ変換テーブルに基づいて画像データの色調整を行うための一のデータ(例えば色調整テーブル等)を生成し、調整部33が該一のデータによる色調整を行うようにしてもよい。
【0062】
チケットデータによって色調整の指示が為されていない場合、即ち図3に示す即ちチケットデータの「色調整」の項目が「しない」である場合、調整部33は、画像データに対する補正データの適用のみを行って色調整を行う。
【0063】
次に、チケットデータの編集について説明する。チケットデータの編集は、PC4又はプリントエンジン3から行うことができる。そして、画像処理システム1は、編集後のチケットデータや色調整データに基づいた再印刷処理を行う機能を有する。
【0064】
まず、PC4からチケットデータの編集を行う場合について説明する。
図5は、PC4からのチケットデータの編集における画像処理システム1の処理の流れを示すシーケンス図である。
まず、チケットデータの編集指示が行われる(図5の81)。
チケットデータの編集は、チケットデータが含む各種の項目に対するパラメータ変更を行う処理である。チケットデータの編集には、ジョブ編集ユーティリティP42が用いられる。
これに伴い、PC4がプリントコントローラ2に保存されているチケットデータの取得要求をプリントコントローラ2に対して行う(図5の82)。プリントコントローラ2は、PC4からの要求の返信として、記憶部22に記憶されたチケットデータの情報をPC4へ出力する。PC4は、入力されたチケットデータの情報を反映したジョブ編集ユーティリティP42の実行画面(チケットデータ編集画面)を表示する(図5の83)。
その後、PC4に対する入力操作により、編集対象となるチケットデータの選択及び選択されたチケットデータの編集が行われる。
【0065】
チケットデータの編集に際して、ユーザは画像データに適用する色調整データの編集を行うことができる。その場合、色調整データの編集指示が行われる(図5の84)。色調整データの編集には、カラーユーティリティP43が用いられる。
これに伴い、PC4がプリントコントローラ2に保存されている色調整データの取得要求をプリントコントローラ2に対して行う(図5の85)。プリントコントローラ2は、PC4からの要求の返信として、記憶部22に記憶された色調整データの情報をPC4へ出力する(図5の86)。PC4は、返信された色調整データに基づいてカラーユーティリティP43の画面を表示する。ユーザは、カラーユーティリティP43の表示内容に対して入力操作を行うことにより、色調整データの編集を行うことができる。
【0066】
図6に、カラーユーティリティP43動作時の表示内容の一例を示す。
色調整データの編集では、図6に示すように、色調整データの編集前後の画像がそれぞれ表示される。表示される色調整データの編集前後の画像は、編集対象となる色調整データによる色調整を受ける画像データによる描画内容に対応する。
図6に示す例では、左側(Before)に色調整データの編集前の画像が、右側(after)に色調整データの編集後の画面が表示される。ユーザは、色調整データの編集前後の画像を確認しながら色調整データの編集を行うことができる。
【0067】
図6に示すように、カラーユーティリティP43動作時の表示内容は、ガンマカーブGを含む。色調整データの編集は、各色のガンマカーブを手動で操作することにより行われる。具体的には、カラーユーティリティP43起動時に、色調整データの編集前のガンマカーブが表示される。そして、ユーザは、編集を行う色をチェックボックスで指定し、ガンマカーブの所望位置をポイントして(指定して)ドラッグする。このドラッグ操作に伴い、ポイントを頂点としたガンマカーブに変更することができる。尚、ポイントする位置は任意の数を指定でき、ガンマカーブは指定した数だけの頂点を有する曲線に変更することが可能である。更に、一旦ポイントした位置は解除も可能である。以上の手動操作により色調整データの編集を行う。
【0068】
図6に示すように、カラーユーティリティP43動作時の表示内容には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック及び全ての色に対応するチェックボックスC1〜C5が含まれる。ガンマカーブGの表示内容は、チェックボックスC1〜C5のチェック内容に対応する。つまり、ユーザはチェックボックスC1〜C5により選択された色のデータのみをガンマカーブGに表示させて編集することができる。これによって、編集する必要の無い色のガンマカーブを誤って操作、編集してしまうことを防止することができる。
【0069】
色調整データの編集が行われた場合、編集後のチケットデータには編集後の色調整データが対応付けられる。色調整データの編集が行われなかった場合、編集後のチケットデータには編集前のチケットデータと同一の色調整データが対応付けられる。
【0070】
色調整データの編集が完了し、ユーザによって色調整データの保存が指示されると(図5の87)、PC4は、編集後の色調整データをプリントコントローラ2へ出力する(図5の88)。プリントコントローラ2は、入力された編集後の色調整データを記憶部22へ記憶させる(図5の89)。また、チケットデータの編集が完了し、ユーザによってチケットデータの保存が指示されると(図5の90)、PC4は、編集後のチケットデータをプリントコントローラ2へ出力する(図5の91)。プリントコントローラ2は、入力された編集後のチケットデータを記憶部22へ記憶させる(図5の92)。図5の86、89で示すデータ出力内容は、画像データを含まない。
【0071】
図7は、PC4からチケットデータの編集が行われた場合における再印刷処理の流れを示す説明図である。
まず、PC4によってジョブ編集ユーティリティP42が実行され(図7の矢印101)、チケットデータの編集が行われる。色調整データの編集を行う場合には、カラーユーティリティP43を介した色調整データの編集が行われる(図7の矢印102)。編集後のチケットデータや色調整データは、PC4からプリントコントローラ2へ出力される(図7の矢印103)。色調整データの編集が行われている場合、PC4はチケットデータと色調整データの両方をプリントコントローラ2へ出力する。色調整データの編集が行われていない場合、PC4はチケットデータのみをプリントコントローラ2へ出力する。プリントコントローラ2は、PC4から入力されたチケットデータや色調整データを記憶部22に記憶する。
【0072】
本実施形態では、ジョブ編集ユーティリティP42やカラーユーティリティP43は入力操作を行うためのインターフェースを提供するプログラムである。プリントコントローラ2の制御部21は、ジョブ編集ユーティリティP42やカラーユーティリティP43を介して行われた入力操作内容に応じてチケットデータや色調整データの編集を行う。記憶部22は、制御部21がチケットデータの編集処理や色調整データの編集処理を行うためのプログラムを記憶しており、制御部21は処理内容に応じたプログラムを記憶部22から読み出して実行処理する。
【0073】
プリントコントローラ2は、チケットデータや色調整データの編集を受けると、該チケットデータをプリントエンジン3へ出力する(図7の104)。色調整データの編集が行われている場合、プリントコントローラ2はチケットデータと色調整データの両方をプリントエンジン3へ出力する。色調整データの編集が行われていない場合、プリントコントローラ2はチケットデータのみをプリントエンジン3へ出力する。
編集されたチケットデータを入力されたプリントエンジン3は、編集されたチケットデータ及び該チケットデータと対応付けられた画像データに基づく画像の形成を行う。
具体的には、まず制御部31が、編集されたチケットデータを記憶部32に記憶させる(図7の矢印105)。そして、制御部31は、調整部33に画像データの色調整を行わせる(図7の106)。調整部33による色調整の流れは、図2に示す内容及びその説明と同様である。ここで、色調整データの編集が行われている場合は、編集後の色調整データが用いられる。一方、色調整データの編集が行われていない場合は、プリントエンジン3の記憶部32に記憶されていた編集前の色調整データが用いられる。色調整が行われた後の画像データは、画像形成部34へ出力される(図2の107)。画像データを入力された画像形成部34は、該画像データを印刷する。
【0074】
図7に示すように、色調整データは画像データの各ページに対して個別に設けることができる。色調整データを画像データの各ページに対して個別に設けることは、再印刷に限らず、図2に示す通常の画像形成時においても可能である。この場合、どの色調整データをどのページに適用するのかを示す情報をチケットデータに付加するようにしてもよい。
【0075】
次に、プリントエンジン3によるチケットデータの編集について説明する。
プリントエンジン3は、記憶部32に記憶されたチケットデータ及び色調整データを編集する機能を有する。プリントエンジン3による記憶部32に記憶されたチケットデータ及び色調整データの編集は、操作パネル36を介して行われる。
【0076】
図8は、プリントエンジン3からのチケットデータの編集における画像処理システム1の処理の流れを示すシーケンス図である。
操作パネル36を介してチケットデータの編集指示が行われると(図8の111)、制御部31はチケットデータ編集画面を操作パネル36に表示させる(図8の112)。ユーザは、チケットデータ編集画面に対する入力操作を介して、編集するチケットデータの選択及び選択したチケットデータの編集を行うことができる。
【0077】
チケットデータ編集画面において、色調整データの編集指示が入力されると(図8の113)、制御部31は色調整データ編集画面を操作パネルに表示させる(図8の114)。操作パネル36を介した色調整データの編集は、色調整データ編集画面を介して行われる。編集する色調整データの選択は、前述のチケットデータ編集画面においてチケットデータを選択することにより行うことができる。
【0078】
図9は、色調整データ編集画面の一例を示す説明図である。
図9に示す色調整データ編集画面は、操作パネル36に表示される表示内容である。図9に示すように、色調整データの編集前後の画像がそれぞれ表示される。表示される色調整データの編集前後の画像は、編集対象となる色調整データによる色調整を受ける画像データによる描画内容に対応する。
図9に示す例では、左側(Before)に色調整データの編集前の画像が、右側(after)に色調整データの編集後の画面が表示される。ユーザは、色調整データの編集前後の画像を確認しながら色調整データの編集を行うことができる。
【0079】
図9に示すように、色調整データ編集画面の表示内容は、ガンマカーブG1〜G4を含む。ガンマカーブG1〜G4は、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のガンマカーブを表示する。プリントエンジン3側からの色調整データの編集は、各色のガンマカーブG1〜G4を手動で操作することにより行われる。具体的には、色調整データ編集画面を介した色調整データの編集開始時に、色調整データの編集前のガンマカーブG1〜G4が表示される。そして、ユーザはガンマカーブG1〜G4を手動で操作して色調整データの編集を行う。
【0080】
ユーザは各色のガンマカーブG1〜G4の下方に設けられた「低」、「中」、「高」、「全体」のボタンの何れかと、「OK」ボタンの上方に設けられた編集ボタンE1、E2に対する操作により色調整データの編集を行う。具体的には、まずガンマカーブG1〜G4のうち、編集したいガンマカーブの下にある「低」、「中」、「高」、「全体」のボタンの何れかを操作する。その後、上向きの矢印が描かれた編集ボタンB1を押すと、ガンマカーブの弧が左上側に膨らむよう変形する。一方、下向きの矢印が描かれた編集ボタンB2を押すと、ガンマカーブの弧が右下側に膨らむよう変形する。「低」、「中」、「高」、「全体」の各種ボタンは、ガンマカーブのうちどの部分を変形させるかを選択するためのボタンである。「低」、「中」、「高」の各種ボタンはそれぞれガンマカーブの低彩度部分、中間部分、高彩度部分を変形対象とするボタンであり、「全体」のボタンはガンマカーブ全体を変形対象とするボタンである。
【0081】
色調整データ編集画面は、OKボタンB3及びキャンセルボタンB4を有する。OKボタンB3が操作されると、編集後の色調整データが記憶部32に記憶される。一方、キャンセルボタンB4が操作されると、編集された色調整データは破棄される。
【0082】
色調整データの編集が完了し、ユーザによって色調整データの保存が指示されると(図8の115)制御部31は、記憶部32に色調整データを保存する(図8の116)。そして、制御部31は、編集後の色調整データをプリントコントローラ2へ出力する(図8の矢印117)。プリントコントローラ2の制御部21は、入力された編集後の色調整データを記憶部22へ記憶させる(図8の118)。また、チケットデータの編集が完了し、ユーザによってチケットデータの保存が指示されると(図8の119)、制御部31は、記憶部32にチケットデータを保存する(図8の120)。そして、制御部31は、編集後のチケットデータをプリントコントローラ2へ出力する(図8の121)。プリントコントローラ2の制御部21は、入力された編集後のチケットデータを記憶部22へ記憶させる(図8の122)。図8の117、121で示すデータ出力内容は、画像データを含まない。
【0083】
本実施形態では、操作パネル36を介して行われた操作内容に応じて、プリントエンジン3の制御部31が記憶部32に記憶されたチケットデータ及び色調整データに対して編集内容を反映する。記憶部32は、制御部31がチケットデータの編集処理や色調整データの編集処理を行うためのプログラム及びチケットデータ編集画面や色調整データ編集画面を操作パネル36に表示させるためのプログラムを記憶しており、制御部31は処理内容に応じたプログラムを記憶部32から読み出して実行処理する。
【0084】
操作パネル36によるチケットデータの編集後や色調整データの編集後に、ユーザは操作パネル36を介して再印刷の指示入力操作を行うことができる。調整部33は、編集後のチケットデータと対応付けられた画像データによる画像形成を行う。色調整データの編集があった場合、画像データのガンマ調整は編集後の色調整データと、補正データとに基づいて行う。
【0085】
図10は、プリントエンジン3側でチケットデータの編集が行われた場合における再印刷処理の流れを示す説明図である。
まず、操作パネル36からの入力操作を介して、チケットデータの編集指示が行われると、チケットデータ編集画面が操作パネル36に表示され(図10の131)、チケットデータの編集が可能となる。ここで、色調整データの編集指示があると、色調整データ編集画面が操作パネル36に表示され(図10の132)、色調整データの編集が可能となる。
【0086】
チケットデータや色調整データの編集の完了後(図10の133)、制御部31は、編集されたチケットデータや色調整データを記憶部32に記憶させる(図7の矢印134)。また、制御部31は、編集されたチケットデータや色調整データをプリントコントローラ2へ出力する(図10の135)。色調整データの編集が行われている場合、制御部31はチケットデータと色調整データの両方をプリントコントローラ2へ出力する。色調整データの編集が行われていない場合、制御部31はチケットデータのみをプリントコントローラ2へ出力する。プリントコントローラ2の制御部21は、入力されたチケットデータや色調整データを記憶部22へ記憶させる(図10の136)。
【0087】
さらに、制御部31は、調整部33に画像データの色調整を行わせる(図10の137)。調整部33による色調整の流れは、図2に示す内容及びその説明と同様である。ここで、色調整データの編集が行われている場合は、編集後の色調整データが用いられる。一方、色調整データの編集が行われていない場合は、プリントエンジン3の記憶部32に記憶されていた編集前の色調整データが用いられる。色調整が行われた後の画像データは、画像形成部34へ出力される(図10の138)。画像データを入力された画像形成部34は、該画像データを印刷する。
【0088】
図10に示すように、図7に示す場合と同様に、色調整データは画像データの各ページに対して個別に設けることができる。色調整データを画像データの各ページに対して個別に設けることは、再印刷に限らず、図2に示す通常の画像形成時においても可能である。
【0089】
なお、画像処理システム1は、チケットデータや色調整データの編集を経ずに再印刷処理を行うこともできる。再印刷処理において、ユーザはPC4やプリントエンジン3の操作パネル36を介して再印刷を行うプリントジョブに対応するチケットデータを選択して再印刷を指示する。プリントエンジン3は、選択されたチケットデータに応じた内容の画像形成を行う。
【0090】
編集後のチケットデータや色調整データに対して、さらに編集を行うこともできる。例えば、プリントエンジン3側で編集された編集後のチケットデータや色調整データはプリントコントローラ2に対して出力され、プリントコントローラ2の記憶部22に記憶される。その後、PC4のジョブ編集ユーティリティP42やカラーユーティリティP43により、プリントコントローラ2の記憶部22に記憶された編集後のチケットデータや色調整データをさらに編集することができる。同様に、PC4により編集された編集後のチケットデータや色調整データを、プリントエンジン3側でさらに編集することもできる。
【0091】
次に、画像処理システム1による各種処理の流れについて、図11及び図12のフローチャートを用いて説明する。
図11は、プリントジョブを入力されたプリントコントローラ2の処理の流れを示すフローチャートである。
プリントコントローラ2は、まず、プリントジョブを受信する(ステップS1)。次に、プリントコントローラ2の制御部21は、ステップS1で受信したプリントジョブに含まれるPJLコマンドの解析、(ステップS2)、同プリントジョブに含まれるPDLの解析に基づくラスタライズ処理を行って画像データを生成する(ステップS3)。ステップS2とステップS3は順不同であり、図11に示すフローチャートと逆の順序でもよい。
【0092】
次に、制御部21は、PJLコマンドに色調整データの適用を指示する内容が含まれているか否かを判定する(ステップS4)。PJLコマンドに色調整データの適用を指示する内容が含まれている場合(ステップS4:YES)、制御部21は記憶部22より色調整データを読み込んで取得し(ステップS5)、ステップS5で取得した色調整データをチケットデータに付加し(ステップS6)、チケットデータ及びステップS3で生成された画像データをプリントデータとして出力する(ステップS7)。PJLコマンドに色調整データの適用を指示する内容が含まれていない場合(ステップS4:NO)、ステップS7の処理に移行する。
【0093】
図12は、プリントデータを入力されたプリントエンジン3の処理の流れを示すフローチャートである。
プリントエンジン3は、まず、プリントデータを受信する(ステップS11)。次に、プリントエンジン3の制御部31は、ステップS11で受信したプリントデータのチケットデータ及び画像データを記憶部32に記憶させる(ステップS12)。そして、制御部31は、チケットデータによって色調整の指示があるか否か判定する(ステップS13)。
【0094】
チケットデータによって色調整の指示がある場合(ステップS13:YES)、調整部33は、チケットデータに付加された色調整データと、補正データと、を記憶部32から読み込んで取得し(ステップS14)、ステップS14で取得した色調整データ及び補正データによる画像データの色調整を行う(ステップS15)。
チケットデータによって色調整の指示がない場合(ステップS13:NO)、調整部33は、補正データを記憶部32から読み込んで取得し(ステップS16)、ステップS16で取得した補正データによる画像データの色調整を行う(ステップS17)。
【0095】
ステップS15又はステップS17の処理後、色調整が行われた画像データは画像形成部34へ出力され、画像データを入力された画像形成部34は該画像データを印刷する(ステップS18)。
【0096】
本実施形態によれば、プリントコントローラ2の制御部21は画像データのガンマ調整するための色調整データをプリントエンジン3へ出力し、プリントエンジン3の調整部33は入力された色調整データに基づいてラスタライズ済みの画像データの色調整を行い、色調整後の画像データによる印刷を行う。
このため、再印刷を行うときに画像のガンマ特性を変更したい場合、プリントコントローラ2は色調整データのみをプリントエンジン3へ出力し、プリントエンジン3側で再印刷時に入力された色調整データによる画像データの色調整を行えば足りる。色調整データはガンマ特性に関する情報を有するデータであり、ビットマップパターン等の画像データに比してデータ量を極めて小さくすることができるので、従来のように再印刷時に色調整を施された画像データを出力する構成に比して再印刷に係るプリントコントローラとプリントエンジンとの間の転送経路における再印刷時のトラフィックを極めて小さくすることができる。これによって、再印刷に係るプリントコントローラとプリントエンジンとの間の転送時間を短縮することができ、再印刷のタイムサイクルを大幅に向上させることができる。
さらに、色調整データによるガンマ調整をプリントエンジン3の調整部33によって行うので、プリントコントローラ2はラスタライズ処理時に色調整データを適用しない。このため、再印刷を行う時にガンマ値の変更を生じたとしても、プリントコントローラ2はガンマ値の変更を生じたプリントジョブについて再度のラスタライズ処理を行う必要がない。これによって、再印刷時におけるプリントコントローラ2の負荷を大幅に減少させることができ、プリントコントローラ2のリソースを他の処理、例えば他のプリントジョブのラスタライズ処理等に割り当てることができる。
さらに、プリントエンジン3へ入力される画像データは色調整前の画像データである。つまり、プリントエンジン3へ入力される画像データは色調整データによる階調情報の喪失を生じていない。このため、プリントエンジン3で色調整データを編集して画像データに適用する場合に、色調整前の画像データに対して編集後の色調整データを適用することができ、色調整データによる色調整後の画像データにさらに色調整を行う従来の構成に比して元の階調情報に基づく色再現の精度を大幅に向上させることができる。
さらに、プリントエンジン3は記憶部32に記憶された色調整データを編集することが可能な操作パネル36を備え、調整部33は操作パネル36を介して編集された色調整データに基づいた画像データの色調整を行う。これによって、色調整データの編集を行いたい場合、プリントコントローラ2やPC4等の他の機器を介さず、プリントエンジン3単独で色調整データの編集を行うことができる。つまり、プリントエンジン3単独で印刷される画像のガンマ調整を行うことができる。
さらに、プリントエンジン3側で編集された編集後の色調整データはプリントコントローラ2へ出力され、プリントコントローラ2の記憶部22に記憶される。これによって、プリントコントローラ2とプリントエンジン3の双方に記憶されている色調整データの同期を取ることができる。このため、プリントエンジン3側で色調整データの編集が行われた場合であっても、PC4のカラーユーティリティP43を介して色調整データを編集するときに、プリントエンジン3側で編集された編集後の色調整データに基づく編集を行うことができ、プリントエンジン3からの編集結果を踏まえたガンマ調整を行うことができる。
そして、プリントエンジン3とプリントコントローラ2との間で行われる、色調整データの編集に伴う色調整データの入出力は、当該色調整データによるガンマ調整を受ける画像データの入出力を伴わない。このため、画像データの入出力による大容量のデータ転送を伴わずに画像データのガンマ調整を行うことができる。
以上のように、本実施形態による画像処理システム1は、再印刷に係るリソースの消費及び色再現の精度低下を低減させることができる。
【0097】
さらに、プリントコントローラ2の制御部21は、PC4のカラーユーティリティの操作内容に応じて色調整データの編集を行う。これによって、プリントエンジン3で編集された編集後の色調整データをさらにPC4等の外部機器から編集することができ、プリントエンジン3と外部機器との間で編集履歴を相互に受け継ぐことができる。
【0098】
さらに、プリントコントローラ2の制御部21は画像データに基づく印刷に関するパラメータを含むチケットデータをプリントエンジン3へ出力し、プリントエンジン3は入力されたチケットデータに基づいて印刷を行う。
そして、プリントエンジン3は記憶部32に記憶されたチケットデータを編集することが可能な操作パネル36を備え、プリントエンジン3は操作パネル36を介して編集されたチケットデータに基づいた印刷を行う。これによって、色調整データ以外の印刷に関するパラメータについても、プリントコントローラ2やPC4等の他の機器を介さず、プリントエンジン3単独で印刷に関するパラメータの編集を行うことができる。つまり、プリントエンジン3単独で印刷設定の変更を行うことができる。
さらに、プリントエンジン3側で編集された編集後のチケットデータはプリントコントローラ2へ出力され、プリントコントローラ2の記憶部22に記憶される。これによって、プリントコントローラ2とプリントエンジン3の双方に記憶されているチケットデータの同期を取ることができる。このため、プリントエンジン3側でチケットデータの編集が行われた場合であっても、PC4のジョブ編集ユーティリティP42を介してチケットデータを編集するときに、プリントエンジン3側で編集された編集後のチケットデータに基づく編集を行うことができ、プリントエンジン3からの編集結果を踏まえた印刷設定の変更を行うことができる。
そして、プリントエンジン3とプリントコントローラ2との間で行われる、チケットデータの編集に伴うチケットデータの入出力は、当該チケットデータと対応付けられた画像データの入出力を伴わない。このため、画像データの入出力による大容量のデータ転送を伴わずに印刷設定の変更を行うことができる。
【0099】
さらに、プリントエンジン3は、記憶部32に画像データを記憶し、記憶部32に記憶された画像データと同一の画像データを用い、かつ、過去の色調整データとは異なる色調整データによる印刷を行う場合、プリントコントローラ2の制御部21はPC4のジョブ編集ユーティリティP42を介して変更された色調整データをプリントエンジン3へ出力し、プリントエンジン3の調整部33は入力された変更後の色調整データに基づいて画像データの色調整を行い、色調整後の画像データによる再印刷を行う。
このため、記憶部32に記憶された画像データを用いた再印刷を行う場合、プリントコントローラ2は変更された色調整データをプリントエンジン3へ出力すればよく、画像データを再度出力する必要がない。これによって、前述のように、再印刷に係るリソースの消費及び色再現の精度低下を低減させることができる。
【0100】
さらに、プリントエンジン3の記憶部32に記憶された画像データに関する問い合わせとして、プリントコントローラ2の制御部21は、プリントエンジン3が保有する画像データ及びチケットデータの情報を取得する。そして、プリントエンジン3の制御部31は、プリントコントローラ2からの要求に基づいて、記憶部32に記憶された画像データ及びチケットデータの情報をプリントコントローラ2へ返す。これによって、プリントコントローラ2やプリントコントローラ2に接続する機器を介してプリントエンジン3に記憶された画像データを把握することができ、再印刷時に色調整データのみをプリントエンジン3へ入力すれば足りるプリントジョブを把握した上で再印刷を行うことができる。
【0101】
さらに、プリントエンジン3の記憶部32は補正データを記憶し、プリントエンジン3の調整部33は色調整データ及び補正データに基づいて画像データの色調整を行う。これによって、トナーの発色等によるプリントエンジン3が有する固有のガンマ特性に関する特徴を補正して印刷を行うことができる。
【0102】
さらに、プリントエンジン3の調整部33は、色調整データ又は補正データのいずれか一方に基づいて画像データの色調整を行った後、他方に基づいて一方によるガンマ調整後の画像データの色調整を行うことができる。これによって、調整部33は色調整処理を繰り返すことにより色調整データ及び補正データの両方に基づく画像データの色調整を行うことができるので、色調整データ及び補正データの両方に基づく画像データの色調整を行うための特別な構成をプリントエンジン3に設ける必要がない。
【0103】
さらに、プリントエンジン3の制御部31は、色調整データ及び補正データの両方に基づくガンマ調整を行うための一のデータを生成することができ、調整部33は該一のデータに基づいて画像データの色調整を行うことができる。このとき、色調整テーブルの生成を制御部31が行い、色調整テーブルに基づく画像データの色調整を調整部33が行うので、画像データの色調整に係る処理の負荷を分散させることができる。
【0104】
なお、本発明の実施の形態は、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0105】
例えば、チケットデータや色調整データの編集のときに、編集後のチケットデータや色調整データを編集前のチケットデータや色調整データに上書き保存するか否かを選択できるようにしてもよい。
【0106】
図13に、上書き保存の可否を示すパラメータを含むチケットデータの一例を示す。
図13に示すチケットデータは、上書き保存の可否を示すパラメータF1を含んでいる。プリントコントローラ2の制御部21やプリントエンジン3の制御部31は、上書き保存の可否を示すパラメータF1に基づいて編集後のチケットデータを編集前のチケットデータに上書きするか否かを判定する。
例えば図13に示す「上書きOK」のように、上書き保存の可否を示すパラメータF1が上書きの許可を示す場合、制御部21、31は編集後のチケットデータを編集前のチケットデータに上書き保存する。一方、上書き保存の可否を示すパラメータF1が上書きの禁止を示す場合、制御部21、31は編集後のチケットデータを編集前のチケットデータに上書き保存せず、別名で保存する。別名で保存する場合、制御部21、31は、編集後のチケットデータに含まれるナンバー情報F2及びファイル名情報F3を編集前のチケットデータと異なるものとして保存する。なお、編集後のチケットデータの別名をPC4や操作パネル36から入力できるようにしてもよい。
【0107】
チケットデータに上書き許可の可否を示すパラメータF1を付加する工程は、チケットデータの生成時でもよいし、事後でもよい。チケットデータの生成時にユーザが上書き保存の可否を手動で設定するようにしてもよいし、チケットデータの生成時に上書き許可又は上書き禁止の何れか一方を示すパラメータが自動的に付与されるようにしてもよい。上書き保存の可否に関するパラメータが自動的に付与される場合、ユーザの手動により当該パラメータを事後に変更することができるようにしてもよい。
【0108】
編集後の色調整データの上書きについては、編集後の色調整データの保存時に、既に同名の色調整データが記憶部22、32に保存されているか否かを制御部21、31が判定する。そして、同名の色調整データがある場合、上書きを行うか否かをユーザに選択させるための問い合わせ処理を行う。その上で、ユーザが上書きを指示した場合に編集後の色調整データを編集前の色調整データに上書きする。問い合わせ処理は、PC4が備える表示装置(図示略)やプリントエンジン3の操作パネル36による問い合わせメッセージの表示及び上書き保存処理の許可/禁止を選択するための選択肢の表示等により行われる。上書き保存の禁止が選択された場合、編集後の色調整データを別名で保存する。このとき、編集後の色調整データの別名をPC4や操作パネル36から入力できるようにしてもよい。
【0109】
図14、図15のフローチャートを用いて、編集後のチケットデータの上書き処理及び編集後の色調整データの上書き処理の流れを説明する。
【0110】
図14に、編集後のチケットデータの上書き処理の流れを示す。
まず、PC4やプリントエンジン3を用いたチケットデータの編集により、チケットデータが編集され、更新される。制御部21は、チケットデータの更新を受けつけると(ステップS51)、チケットデータに含まれる上書き許可の可否を示すパラメータF1を取得し、上書き保存が許可されているか否か判定する(ステップS52)。上書き保存が許可されている場合(ステップS52:YES)、制御部21はチケットデータを上書き保存する(ステップS53)。一方、上書き保存が禁止されている場合(ステップS53:NO)、制御部21は編集後のチケットデータを編集前のチケットデータと異なるファイル名で保存する(ステップS54)。
【0111】
図15に、編集後の色調整データの上書き処理の流れを示す。
まず、PC4やプリントエンジン3を用いた色調整データの編集により、色調整データが編集され、更新される。制御部21は、色調整データの更新を受けつけると(ステップS61)、既に同名のファイルが記憶部22に保存されているか否かを判定する(ステップS62)。同名の色調整データが記憶部22に保存されている場合(ステップS62:YES)、制御部21は、上書きを行うか否かをユーザに選択させるための問い合わせを行う(ステップS63)。ステップS63の問い合わせに対し、上書きが禁止された場合(ステップS64:NO)、制御部21は色調整データの別名をユーザに入力させるための画面をPC4の表示装置に表示させる(ステップS65)。そして、ステップS65の画面に対する入力内容に基づいて、制御部21は色調整データを記憶部22に保存する(ステップS66)。
なお、ステップS62において、同名の色調整データが記憶部22に保存されていない場合(ステップS62:NO)、制御部21はステップS63〜66の処理を行わず、色調整データを記憶部22に保存する(ステップS67)。また、ステップS64において、上書きが許可された場合(ステップS64:YES)、制御部21は色調整データを上書き保存する(ステップS68)。
【0112】
図14、図15のフローでは、一例としてプリントコントローラ2の制御部21による処理の流れを示すが、プリントエンジン3の制御部31による処理についても同様である。
【0113】
これによって、制御部21、31は、編集後の色調整データを編集前の色調整データと別名で記憶部22、32に記憶させることができるので、編集前後の色調整データをそれぞれ事後に活用することができる。例えば、編集前後の色調整データに基づく印刷をそれぞれについて行い、より良好な印刷結果を得られた色調整データに基づいて再度色調整データの編集を行う等の活用方法が挙げられる。このとき、色調整データを上書きしていると、編集前の色調整データの方が良好な結果を得られた場合に色調整データを編集前の状態へ戻すことが困難となったり、手間を生じたりすることがあるが、編集後の色調整データを別名で保存することにより編集前の色調整データを温存することができるので、編集前の色調整データに基づく色調整を容易に行うことができる。
【0114】
また、本発明の画像処理システムは、一つの画像データに対して複数の色調整データを付加することができる。
図16は、複数の色調整データを付加されたチケットデータの構成の一例を示す図である。
図16に示すように、チケットデータに対して複数の色調整データを付加することができる。チケットデータに対する複数の色調整データの付加は、図7、図10に示すような各ページに対して個別の色調整データを適用する場合の他、画像データに対して複数の色調整データのいずれか一つを適用する場合にも用いることができる。
【0115】
図17は、画像データに対して複数の色調整データを適用する画像処理システムの実施形態の一例を示す説明図である。図17及び以下の説明において、前述の実施形態と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
プリントコントローラ2の制御部21が行うPJLコマンドによって指定された色調整データを読み込んで該プリントジョブのチケットデータに付加する処理において、制御部21は画像データに対して複数の色調整データを読み込んでチケットデータに付加する(図17の矢印151、152、153)。このとき付加される複数の色調整データは、各ページに対して個別に適用される色調整データではなく、同一のページの画像データに対して個別に適用する複数の色調整データである。
【0116】
そして、プリントエンジン3は、チケットデータに付加された複数の色調整データのそれぞれを適用した画像データの色調整を個別に行い(図17の154、155、156)、各色調整データによる色調整後の画像データを個別に画像形成部34へ出力する(図17の矢印157、158、159)。画像形成部34は、個別に入力された画像データのそれぞれを印刷する。
なお、チケットデータに付加された複数の色調整データのそれぞれを適用した画像データの色調整において、補正データによる色調整も個別に行われる。
【0117】
つまり、図17に示す画像処理システム1は、チケットデータに付加された複数の色調整データのそれぞれによる色調整を施された画像データの印刷結果を個別に得ることができる。例えば、図17に示すように、画像データに対して三つの色調整データを適用する場合、三つの色調整データのうち一つを適用された画像データの印刷結果を三通り得られることとなる。
【0118】
一つの画像データに対して複数の色調整データを付加することで、ユーザは複数の色調整データのそれぞれに基づくガンマ調整を行った同一の画像データの複数の印刷結果を一度に得ることができる。つまり、同一の画像について色調整後の色再現が異なる複数の印刷結果を得たい場合、複数回のプリントジョブの入力を必要とせず、一度のプリントジョブの入力で足りる。
これによって、画像を印刷するときに色調整を行うガンマ変換テーブルの候補が複数生じた場合において、複数回のプリントジョブの入力を要せず、一度の作業で全てのガンマ変換テーブルの候補をそれぞれ用いた複数の印刷結果を確認し、最善の印刷結果を選定することができる。
【0119】
なお、一つの画像データに対して付加される複数の色調整データは、編集前の色調整データと編集後の色調整データであってもよい。例えば、PC4からプリントコントローラ2を介して入力された編集前の色調整データと、PC4又はプリントエンジン3で編集された編集後の色調整データの両方を一つの画像データに対して付加し、編集前後の色調整データに基づく印刷結果をあわせて確認できるようにする場合が挙げられる。
同一のページの画像データに対して個別に適用する複数の色調整データと、各ページに対して個別に適用する複数の色調整データの両方をチケットデータに付加してもよい。
【0120】
本発明におけるガンマ調整の対象となる色はCMYKに限らず、他の色空間による色再現に対するものであってもよい。他の色空間として例えば、CMYの三色のみ、Kのみ(白黒)、RGB等が挙げられる。
【0121】
操作パネルに代えて、入力装置と表示装置とを個別に設けてもよい。
【0122】
前述の実施形態では、調整部33は独立した構成として設けられているが、制御部31が調整部33として機能するためのプログラムを記憶部32に記憶させ、制御部31が当該プログラムを読み出して実行処理することにより調整部として機能するようにしてもよい。
【0123】
前述の実施形態では、プリントコントローラ2とプリントエンジン3とはケーブル41によって直結されているが、他の接続方法によってもよい。例えば、プリントコントローラ2とPC4との接続のようにネットワーク接続によってもよい。プリントコントローラ2とPC4とをネットワーク接続以外の方法により接続してもよい。例えば、1対1のインターフェース(USBその他の規格に基づくインターフェース等)を介した接続や、専用線による接続が挙げられる。
また、プリントコントローラ2、プリントエンジン3及びPC4をネットワーク接続等により相互接続し、それぞれが他の構成に対して直接データの送受信を行うことができるようにしてもよい。
【0124】
画像処理システム1は、プリントコントローラ2、プリントエンジン3及びPC4のいずれか一つまたは複数の構成を、複数備えてもよい。また、PC4の有するプリンタドライバ、ジョブ編集ユーティリティ及びカラーユーティリティの機能を複数のPCで分担して担ってもよい。
【0125】
以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてROMを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【符号の説明】
【0126】
2 プリントコントローラ
3 プリントエンジン
21 制御部
23 ネットワーク部
24 データ送受信部
31 制御部
32 記憶部
33 調整部
34 画像形成部
35 データ送受信部
36 操作パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリントジョブの入力に基づいて画像データを出力する画像処理装置と前記画像データに基づいて画像を形成する画像形成装置とを有する画像処理システムにおいて、
前記画像処理装置は、前記画像データのガンマ調整を行うための色調整データを出力する第一の制御部と、
前記色調整データを記憶する第一の記憶部と、を備え、
前記画像形成装置は、前記画像処理装置から入力された色調整データを記憶する第二の記憶部と、
前記色調整データを編集する編集部と、
前記編集部によって編集された色調整データを前記画像処理装置へ出力する第二の制御部と、
前記第一の制御部から出力された色調整データ又は前記編集部によって編集された色調整データの少なくともいずれか一方に基づいて前記画像データのガンマ調整を行う調整部と、を備え、
前記第一の制御部は、前記画像形成装置から入力された色調整データを前記第一の記憶部へ記憶させることを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記第一の制御部は、前記第一の記憶部に記憶された色調整データを編集し、編集後の色調整データを前記画像形成装置へ出力することを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記第一の制御部は、編集後の色調整データを編集前の色調整データと別名で前記第一の記憶部に記憶させることを特徴とする請求項2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記第二の制御部は、編集後の色調整データを編集前の色調整データと別名で前記第二の記憶部に記憶させることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記第一の制御部は、前記画像データに基づく画像形成に関するパラメータを含むチケットデータを出力することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記第一の記憶部は、前記チケットデータを記憶し、
前記第二の記憶部は、前記画像処理装置から入力されたチケットデータを記憶し、
前記編集部は、前記チケットデータを編集し、
前記第二の制御部は、前記編集部によって編集されたチケットデータを前記画像処理装置へ出力し、
前記第一の制御部は、前記画像形成装置から入力されたチケットデータを前記第一の記憶部へ記憶させることを特徴とする請求項5に記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記第一の制御部は、前記第一の記憶部に記憶されたチケットデータを編集し、編集後のチケットデータを前記画像形成装置へ出力することを特徴とする請求項6に記載の画像処理システム。
【請求項8】
プリントジョブの入力に基づいて画像データを生成して画像形成装置へ出力する画像処理装置において、
前記画像処理装置は、前記画像データのガンマ調整を行うための色調整データを出力する制御部と、
前記色調整データを記憶する記憶部と、を備え、
前記制御部は、前記画像形成装置によって編集され、当該画像形成装置から入力された色調整データを前記第一の記憶部へ記憶させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記記憶部に記憶された色調整データを編集し、編集後の色調整データを前記画像形成装置へ出力することを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、編集後の色調整データを編集前の色調整データと別名で前記記憶部に記憶させることを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記画像データに基づく画像形成に関するパラメータを含むチケットデータを出力することを特徴とする請求項8から10のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記記憶部は、前記チケットデータを記憶し、
前記制御部は、前記画像形成装置によって編集され、当該画像形成装置から入力されたチケットデータを前記第一の記憶部へ記憶させることを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記記憶部に記憶されたチケットデータを編集し、編集後のチケットデータを前記画像形成装置へ出力することを特徴とする請求項12に記載の画像処理装置。
【請求項14】
画像処理装置から入力された画像データに基づいて画像を形成する画像形成装置において、
前記画像処理装置から入力された、前記画像データのガンマ調整を行うための色調整データを記憶する記憶部と、
前記色調整データを編集する編集部と、
前記編集部によって編集された色調整データを前記画像処理装置へ出力する制御部と、
前記画像処理装置から出力された色調整データ又は前記編集部によって編集された色調整データの少なくともいずれか一方に基づいて前記画像データのガンマ調整を行う調整部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
前記制御部は、編集後の色調整データを編集前の色調整データと別名で前記記憶部に記憶させることを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記記憶部は、前記画像処理装置から入力された、前記画像データに基づく画像形成に関するパラメータを含むチケットデータを記憶し、
前記編集部は、前記チケットデータを編集し、
前記制御部は、前記編集部によって編集されたチケットデータを前記画像処理装置へ出力することを特徴とする請求項14又は15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
プリントジョブの入力に基づいて画像データを生成して画像形成装置へ出力する画像処理装置のコンピュータを、
前記画像データのガンマ調整を行うための色調整データを出力する手段、
前記色調整データを記憶する手段、
前記画像形成装置によって編集され、当該画像形成装置から入力された色調整データを記憶する手段、として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項18】
画像処理装置から入力された画像データに基づいて画像を形成する画像形成装置のコンピュータを、
前記画像処理装置から入力された、前記画像データのガンマ調整を行うための色調整データを記憶する手段、
前記色調整データを編集する手段、
編集された色調整データを前記画像処理装置へ出力する手段、
前記画像処理装置から出力された色調整データ又は編集された色調整データの少なくともいずれか一方に基づいて前記画像データのガンマ調整を行う手段、として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−138447(P2011−138447A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16(P2010−16)
【出願日】平成22年1月4日(2010.1.4)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】