説明

画像処理方法、画像処理プログラムを記録した機械読み取り可能な記録媒体、および画像処理装置

【課題】 本発明は、画像データにローパス処理を施す画像処理方法に関し、画像の鮮鋭度をなるべく落とさずに、ノイズおよびジャギーを適切に除去することを目的とする。
【解決手段】 対象画素を含む局所領域内で少なくとも4方向について非類似度を求め、非類似度の低い方向(類似している方向)の加算重みを増やして、対象画素に周辺画素を加重平均する。このとき、対象画素の隣接ライン上の画素間レベル差を非類似度の値に含めることにより、従来除去が困難であったジャギーを綺麗に除去することが可能となる。さらに、異色画素間の特徴差などの色情報を加味して類似性を判断することにより、画像構造の判断がさらに正確になり、より適正な方向依存ローパス処理を実行することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、デジタルスチルカメラ等で撮影・記録される画像データに対して、空間周波数のローパス処理を行う画像処理方法に関する。また、本発明は、その画像処理方法をコンピュータ上で実現するための画像処理プログラムを記録した記録媒体に関する。さらに、本発明は、その画像処理方法を実行する画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、画像データのノイズを除去する目的から、画像データにローパス処理をかけることが良く知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、通常の等方的なフィルターをかけた場合は、上記の効果は得られるものの、微細構造も同時に失われるという欠点が生じていた。したがって、本発明の目的は、画像の微細構造を失わないように、画像データにローパス処理を施すことである。特に、請求項2の発明の目的は、従来除去が困難であったジャギー(傾斜エッジなどに発生するギザギザ)を的確に除去することが可能な画像処理方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】以下、後述する実施形態のステップ番号を対応付けながら、解決するための手段を説明する。なお、これらの対応付けは参考のためであり、本発明の内容を限定するものではない。
【0005】《請求項1》請求項1に記載の発明は、画像データに対して、空間周波数のローパス処理を施す画像処理方法において、ローパス処理の対象画素を含む局所領域に関して、少なくとも4つの方向における画素の類似性を判定する類似性判定手順(S2〜5)と、類似性判定手順の判定結果に基づいて画素類似性の強い方向の重み比率を増やしたうえで、対象画素に周辺画素を加重平均する方向依存ローパス演算手順(S6〜7)とを有することを特徴とする。
【0006】上記の画像処理方法では、まず、対象画素を含む局所領域において、少なくとも4つの方向(例えば、『縦』『横』『斜め上』『斜め下』)に画素ラインを設定する。これらの画素ラインごとに、画素間の特徴差(レベル差、色相差、彩度差など)などを検出して、各方向の画素類似性を判定する。次に、この画素類似性の強い方向の重み比率を増やしたうえで、対象画素に周辺画素を加重平均する。したがって、画素類似性の低い方向については、小さな重み比率(ゼロも含む)で加重平均がなされるため、対象画素の画像構造をさほど損なうことがない。また、画素類似性の強い方向については、大きな重み比率で加重平均がなされるため、対象画素の微小な起伏(ノイズなど)を効果的に抑制することができる。
【0007】《請求項2》請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理方法において、類似性判定手順(S2〜5)は、所定方向の非類似度を、下記(1)(2)のいずれか一方の値または両方の値に基づいて算出し、非類似度に基づいて画素類似性の判定を行うことを特徴とする。
(1)対象画素を通る所定方向のライン上に位置する画素間の特徴差(2)対象画素の近くを通る所定方向のライン上に位置する画素間の特徴差以下、場合に分けて説明を行う。
【0008】◎前者(1)の特徴差のみを使用して類似性判定を行う場合前者(1)の特徴差が小さければ、対象画素と周辺画素との類似性(以下『中心ライン上の類似性』という)は高いと判定できる。
【0009】このような中心ライン上の類似性に基づいて重み比率を決定した場合、対象画素のもつ画像構造(エッジ構造など)を確実に保ちつつ、対象画素の微小な起伏(すなわちノイズ)を強く抑制することができる。
【0010】◎後者(2)の特徴差のみを使用して類似性判定を行う場合後者(2)の特徴差が小さければ、対象画素の隣接ライン上における、周辺画素同士の類似性(以下『隣接ライン上の類似性』という)が高いと判定できる。このような隣接ライン上の類似性に基づいて重み比率を決定した場合、後述の実施形態(図3)にも示されるように、ジャギーを効果的に除去することが可能となる。以下、このような効果の理由について説明する。通常、目立つジャギーは、傾斜エッジや傾斜ラインの境界線上に発生する。このようにジャギーを発生している画素は、周辺画素との連続性が顕著に途切れている。そのため、周辺との特徴差(前者(1)の特徴差に相当)が大きく、ジャギー発生画素を中心に周辺との特徴差をとっても画像構造との区別がなかなかつかない。そこで、ジャギー発生範囲(箇所)に隣接し、かつ各方向に伸びる隣接ラインに注目する。これら隣接ラインのうちで、傾斜エッジや傾斜ラインの境界線と略平行する方向に伸びる隣接ライン(以下『傾斜方向の隣接ライン』という)は、局所領域内において傾斜エッジや傾斜ラインの境界線内側(または外側)を通過する。このような境界線内側は、境界線の直上におけるジャギーの影響をさほど受けず、かつ画像構造上も濃淡差が少ないため、画素の連続性がよく保たれている。したがって、傾斜方向の隣接ラインの上では、画素間の特徴差は小さく、その結果、傾斜方向の類似性は高いと判定される。一方、傾斜方向とは異なる方向へ伸びる隣接ラインは、傾斜エッジや傾斜ラインの境界線と交差したり、ジャギー発生箇所を直にまたぐため、画素の連続性が顕著に途切れてしまう。そのため、傾斜方向以外の隣接ラインでは、画素間の特徴差が大きく発生する。その結果、傾斜方向以外の隣接ラインについては、画素類似性が低いと判定される。このような画素類似性の判定結果に従って、傾斜方向の重み比率が特に大きく設定される。そのため、ジャギー発生画素は、傾斜方向に沿って画素値が平滑化されることなり、ジャギーが軽減する。また、このような傾斜方向の平滑化では、傾斜エッジや傾斜ラインの画像構造を保つ(ジャギーで崩れた線については修復する)ことができる。このような理由から、後者(2)の特徴差を用いて類似性判定を行った場合、画像上のジャギーを効果的に除去し、併せてジャギーで崩れた画像構造を修復することも可能となる。
【0011】◎両方の特徴差を使用して類似性判定を行う場合この場合、両方の特徴差について、類似性判定に反映する度合いを適宜に調整することが可能となる。その結果、上記した両方の効果を適宜に調整し、画像のノイズとジャギーとをバランス良く除去することが可能となる。
【0012】《請求項3》請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の画像処理方法において、類似性判定手順は、少なくとも4方向の非類似度を、局所領域内の画素間の特徴差に基づいて算出し(S3)、少なくとも4方向の非類似度について平均またはメディアンを取ることにより非類似度の代表値m1を求め(S4)、少なくとも4方向の非類似度tt1,yy1,nu1,ns1と、代表値m1とに基づいて[式1〜4]の非線形変換を実行して、tt2=max{m1−tt1+δ,γ}・・・[式1]
yy2=max{m1−yy1+δ,γ}・・・[式2]
nu2=max{m1−nu1+δ,γ}・・・[式3]
ns2=max{m1−ns1+δ,γ}・・・[式4]
(ただし、上式中のδ,γは予め定められた値であり、0の場合も含む)
類似度tt2,yy2,nu2,ns2を求める動作(S5)を行う手順であり、方向依存ローパス演算手順は、求めた類似度tt2,yy2,nu2,ns2に応じて、少なくとも4方向に位置する周辺画素の重み比率を決定し(S6)、対象画素に周辺画素を加重平均する動作(S7)を行う手順であることを特徴とする。以下、[式1〜4]に示される非線形変換の特徴点[A],[B]について説明する。
【0013】[A]代表値m1を基準にした相対的な変換である。代表値m1は、対象画素ごとに非類似度の平均(ふつうの加算平均、二乗平均、メディアン、あるいはその他の平均法でもよい)をとって決定される。この場合、非類似度が総体的に高いと代表値m1は高くなるし、非類似度が全体的に低いと代表値m1は低くなる。[式1〜4]では、max演算の比較第1項の中で、このような代表値m1と、非類似度tt1,yy1,nu1,ns1との差分をとる。この差分は、代表値m1を基準にした相対差分である。したがって、ある方向の非類似度が低くても、その他の非類似度が同様に低ければ、上記差分の絶対値は小さくなる。この場合は、非類似度がたとえ低くても、類似度の値は小さく、さほど類似性はないと判断される。逆に、ある方向の非類似度がその他の非類似度に比べて突出して低いような場合、上記差分は大きくなる。この場合は、その非類似度がある程度高い値であったとしても、類似度の値は相対的に大きくなり、類似性は高いと判断される。したがって、絶対基準の変換(非類似度の逆数をとって類似度とするなど)とは異なり、非類似度の突出度合いなどを十分考慮に入れた、より適切な類似度を求めることが可能となる。なお、上記差分の算出にあたっては、オフセット項δを加算する。この場合、オフセット項δが大きくなるに従って、[式1〜4]の各値の差異が小さくなり、均等な重みのローパス処理に近づく。このように、オフセット項δの分だけ、設計上の自由度を高くすることも可能となっている。
【0014】[B]閾値(m1+δ−γ)を上限値とした、非線形な変換(リミッタ)である。非類似度が閾値(m1+δ−γ)を上回ると、max演算中の比較第1項はγよりも小さくなる。この場合、[式1〜4]の計算結果は、γの値に制限される。したがって、明らかに画像構造などに起因すると思われる『閾値以上の非類似度』については、重み比率への反映をγに制限することが可能となる。好ましくは、このγの値をゼロにしておけば、明らかに画像構造と思われる方向(類似性が特に低い方向)の重み比率がゼロとなる。この場合、類似性の低い方向の寄与を排除して、類似性の高い方向だけでローパスをかけることになるので、画像構造を確実に維持することが可能となる。また、このγの値を負の値としておけば、明らかに画像構造と思われる方向については、結果的にハイパス処理(重み比率が負の値)を施すこととなり、その方向の画像コントラストを強調することが可能となる。上記の[A],[B]に説明したように、[式1〜4]の非線形変換を使用することにより、ローパス処理の重み比率をより適切に決定することが可能となる。
【0015】《請求項4》請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の画像処理方法において、画像データは、カラー画像データであり、類似性判定手順(S41〜S43)は、カラー画像データの2種類以上の色情報に基づいて類似性の判定を行うことを特徴とする。上記構成では、カラー画像データの2種類以上の色情報に基づいて類似性の判定を行う。したがって、1種類の色情報では差が現れないような色の境界を的確に判断して、方向依存ローパス処理を適正に実行することが可能となる。
【0016】《請求項5》請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像処理方法において、類似性判定手順(S41〜S43)は、補間処理前のカラー画像データに基づいて類似性の判定を行うことを特徴とする。上記構成では、補間処理前のカラー画像データに基づいて類似性の判定を行う。したがって、補間処理後に生じる偽色成分などによって、画像構造の方向性を誤判断するおそれがない。また、G全面補間前の情報で類似性の判定ができるので、処理の規模を小さくすることができる。
【0017】《請求項6》請求項6に記載の発明は、請求項4または請求項5に記載の画像処理方法において、類似性判定手順(S41〜S43)は、所定方向の非類似度を、所定方向における同色画素間および/または異色画素間の特徴差を用いて算出し、非類似度に応じて類似性の判定を行うことを特徴とする。以下、場合に分けて説明を行う。
【0018】◎同色画素間の特徴差のみを使用して非類似度を算出する場合同色画素間の特徴差を取るので、高彩度な局所領域において画像構造の方向性を正確に判断することができる。
【0019】◎異色画素間の特徴差のみを使用して非類似度を算出する場合最近接画素間の特徴差を取ることなどが可能となり、より微細な画像構造の方向性を判断することが可能となる。(ただし、高彩度な局所領域では類似性に関して適切な結果を与えない場合があるので、その点に留意することが好ましい。)
【0020】◎同色画素間および異色画素間の特徴差を使用して非類似度を算出する場合この場合、類似性判定に反映する両特徴差の度合いを適宜に調整することが可能となる。その結果、上記した両方の利点を兼ね合わせて、画像構造の方向性を最適に判断することが可能となる。
【0021】《請求項7》請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の画像処理方法において、類似性判定手順(S41〜S43)は、ホワイトバランス処理後のカラー画像データから異色画素間の特徴差を算出することを特徴とする。上記構成では、ホワイトバランス処理後のカラー画像データを用いて異色画素間の特徴差を算出する。この場合、ホワイトバランス処理によって、カラー画像データの極端な色の偏りが抑制される。したがって色の偏りが特徴差として現れるおそれが少なく、画像構造の方向性を正確に判断することが可能となる。
【0022】《請求項8》請求項8に記載の発明は、請求項6または請求項7のいずれか1項に記載の画像処理方法において、類似性判定手順は、ローパス処理の対象画素について彩度を検出し(S51)、検出した彩度に対応して、非類似度の算出における異色画素間の特徴差の寄与率を可変すること(S52)を特徴とする。一般に、極端に高彩度な箇所では、異色画素間の特徴差が大きくなるため、これを画像構造の方向性と誤って判断するおそれが高い。そこで、上記構成では、彩度に対応して非類似度における異色画素間の特徴差の寄与率を可変する。その結果、画像構造の方向性をより正確に判断することが可能となる。
【0023】《請求項9》請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の画像処理方法において、画像データは、欠落した画素について補間処理が施された画像データであり、方向依存ローパス演算手順は、補間処理が実施された画素のみを対象画素としてローパス処理を施すこと(S28,S29)を特徴とする。
【0024】通常、補間処理に起因して偽色やジャギーが発生する場合がある。本発明の画像処理方法は、このような偽色やジャギーを軽減する上で有効な方法である。そこで、補間処理が実施されて偽色やジャギーを発生している可能性のある画素に対して、本発明のローパス処理を重点的にかける。その結果、補間処理に起因する偽色やジャギーを確実に軽減することが可能となる。一方、非補間画素に対しては、ローパス処理を施さない(または弱くかける)。したがって、非補間画素については、データが忠実に保存される。したがって、ユーザー側では、非補間画素の忠実なデータに基づいて、所望の画像処理を後日改めて実施することなどが可能となる。
【0025】《請求項10》請求項10に記載の発明は、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の画像処理方法において、画像データは、欠落した画素について補間処理が施された画像データであり、類似性判定手順は、ローパス処理に先だって、補間処理が実施された画素の値を、その画素近傍の所定領域における画素最大値または最小値に対応する境界値で制限する(S27)ことを特徴とする。特殊な補間処理においては、補間画素にピークが生じる場合がある。請求項5の画像処理方法では、このような補間画素のピークを、ローパス処理に先立って制限する。したがって、ローパス処理を介して補間画素のピークが周辺画素に拡大しなくなり、画質が向上する。
【0026】《請求項11》請求項11に記載の発明は、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の画像処理方法において、画像データは、画素密度の一番高い第1色と、空格子を有して画素密度の低い第2色とを少なくとも有するカラー画像データであり、第2色の存在する画素について、第2色と第1色の色差をとる色差算出手順(S25)と、第2色の存在しない画素について、色差算出手順で得た色差に基づいて色差補間値を求める色差補間手順(S26)と、色差補間手順で求めた色差補間値を、第1色を用いて第2色に変換する第2色復元手順(S30)とを有し、色差算出手順において、色差の算出に使用する第1色は、ローパス処理前の第1色であることを特徴とする。上記の画像処理方法では、画素の色差について補間処理を行う。この場合、色差の算出に際して、ローパス処理前の第1色を使用する。したがって、ローパス処理前の豊富な情報量に基づいて色差を求め、その豊富な情報量の色差に基づいて、なるべく元画像に忠実な補間処理を実施することが可能となる。
【0027】《請求項12》請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の画像処理方法において、第2色復元手順(S30)において、第2色の算出に使用する第1色は、ローパス処理後の第1色であることを特徴とする。ローパス処理により、第1色についてはノイズまたはジャギーが適度に抑制されている。このローパス処理後の第1色を、補間処理後の色差に加算(または乗算)して、第2色を生成する。この場合、第1色を介して、第2色に混入するノイズやジャギーが少なくなり、第2色に対するその後の画像処理(ローパス処理など)を省いたり、軽減することが可能となる。
【0028】《請求項13》請求項13に記載の発明は、請求項11または請求項12に記載の画像処理方法において、方向依存ローパス演算手順は、前記第1色から重み比率を求め、その重み比率を利用して前記第2色または前記色差にローパス処理を施す(S29)を特徴とする。第1色は画素密度が一番高いため、第1色から求めた重み比率は、画像の起伏を最も高精度に反映した重み比率となる。このような重み比率を利用して、第2色(または色差)にローパス処理を施すことにより、第2色に対して的確なローパス処理を施すことが可能となる。また、この場合は、第1色のローパス処理時に求めた重み比率を流用することが可能となる。したがって、第2色用に重み比率を新たに算出するなどの手間を省くことが可能となり、画像処理の所要時間を短縮することが可能となる。
【0029】《請求項14》請求項14に記載の発明は、請求項1ないし請求項13に記載の画像処理方法において、前記方向依存ローパス演算手順は、少なくとも、類似性の最も低い方向の重み比率を実質的にゼロにすることを特徴とする。このように、類似性の最も低い方向の重み比率を実質的にゼロとすることにより、その方向の画像構造を確実に維持することが可能となり、ローパス処理による画像の崩れを確実に防ぐことができる。
【0030】《請求項15》請求項15に記載の記録媒体は、コンピュータに請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載の全ての手順を実行させるための画像処理プログラムが記録されていることを特徴とする。この記録媒体内の画像処理プログラムをコンピュータ上で実行することにより、請求項1ないし14のいずれか1項に記載の画像処理方法を実行することが可能となる。
【0031】なお、デジタルスチルカメラ等の携帯型装置では、例えば、本発明の記録媒体は、装置内のROMメモリに該当する。また、本発明の記録媒体として、前記携帯型装置に脱着可能な記録媒体(例えばメモリカードなど)を使用することもできる。この場合、前記携帯型装置(のCPU)は、装着された前記記録媒体から画像処理プログラムを読み出して実行することになる。
【0032】《請求項16》請求項16に記載の画像処理装置は、請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載される全ての手順を実行する画像処理部を備えて構成される。なお、後述する第1の実施形態では、画像処理プログラムに沿って各手順を実行するコンピュータが画像処理装置に該当する。また、第2および第4の実施形態では、画像処理部15または電子カメラ11が画像処理装置に該当する。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、発明の実施形態について説明する。
【0034】《第1の実施形態》第1の実施形態は、請求項1〜3、15、16に記載の発明に対応する実施形態である。なお、本実施形態は、コンピュータ上において、画像処理プログラムを実行するものであり、そのための画像処理プログラムは記録媒体に記録された状態で製造および配布される。また、通信回線を介して画像処理プログラムを提供して相手国内の記録媒体(コンピュータの内部メモリやハードディスクなど)に記録されることにより、相手国内において上記記録媒体を製造する場合もある。
【0035】図1は、この画像処理プログラムの動作手順を説明する流れ図である。以下、図1に示す動作手順に従って、第1の実施形態の動作を説明する。まず、コンピュータは、処理対象とする画像ファイルを読み出し、画像データに展開してメモリ上に格納する(ステップS1)。
【0036】ここでの画像処理は、このようにメモリ上に展開された単色の画像データ(カラー画像の各色ごとのデータも含む。あるいは複数色から合成した輝度画像であってもよい。)を対象に実施される。コンピュータは、この画像データの中からi行j列目に位置する対象画素FG[i, j]を一つ選択し、その対象画素を中心にして5行5列程度の局所領域を設定する(ステップS2)。
【0037】コンピュータは、この局所領域内の画素間レベル差に基づいて下式を計算し、4方向(縦,横,斜め上,斜め下)の非類似度tt1,yy1,nu1,ns1をそれぞれ算出する(ステップS3)。
縦方向の非類似度tt1:tt1= a×(|FG[i,j]-FG[i,j-1]|+|FG[i,j]-FG[i,j+1]|) + b×(|FG[i,j+1]-FG[i,j-1]|+|FG[i-1,j]-FG[i-1,j+2]|+|FG[i-1,j]-FG[i-1,j-2]|) + c×(|FG[i, j+1]-FG[i, j-1]|+|FG[i+1, j]-FG[i+1, j+2]|+|FG[i+1, j]-FG[i+1, j-2]|) ・・・[式5]
横方向の非類似度yy1:yy1= a×(|FG[i,j]-FG[i-1,j]|+|FG[i,j]-FG[i+1,j]|) + b×(|FG[i+1,j]-FG[i-1,j]|+|FG[i,j-1]-FG[i+2,j-1]|+|FG[i,j-1]-FG[i-2,j-1]|) + c×(|FG[i+1,j]-FG[i-1,j]|+|FG[i,j+1]-FG[i+2,j+1]|+|FG[i,j+1]-FG[i-2,j+1]|) ・・・[式6]
斜め上方向の非類似度nu1:nu1= a×(|FG[i,j]-FG[i+1,j-1]|+|FG[i,j]-FG[i-1,j+1]|) + b×(|FG[i-2,j+1]-FG[i-1,j]|+|FG[i-1,j]-FG[i,j-1]|+|FG[i,j-1]-FG[i+1,j-2]|) + c×(|FG[i-1,j+2]-FG[i,j+1]|+|FG[i,j+1]-FG[i+1,j]|+|FG[i+1,j]-FG[i+2,j-1]|) ・・・[式7]
斜め下方向の非類似度ns1:ns1= a×(|FG[i,j]-FG[i-1,j-1]|+|FG[i,j]-FG[i+1,j+1]|) + b×(|FG[i-2,j-1]-FG[i-1,j]|+|FG[i-1,j]-FG[i,j+1]|+|FG[i,j+1]-FG[i+1,j+2]|) + c×(|FG[i-1,j-2]-FG[i,j-1]|+|FG[i,j-1]-FG[i+1,j]|+|FG[i+1,j]-FG[i+2,j+1]|) ・・・[式8]
図2(1)〜(4)は、上記の[式5〜8]の演算式をそれぞれ図示したものである。図2中において、両端向きの矢印はレベル差算出を行う画素位置を示し、矢印上のa,bはレベル差の比例定数を表す。なお、図示していない比例定数cの項については、対象画素を挟んで、比例定数bの項と対称関係に位置する。
【0038】次に、コンピュータは、4方向の非類似度について、下記の平均演算を行い、代表値m1を算出する(ステップS4)。
m1=(tt1+yy1+nu1+ns1)/4 ・・・[式9]
【0039】続いて、コンピュータは、4方向の非類似度tt1,yy1,nu1,ns1と、代表値m1とに基づいて、次の非線形変換を実施し、tt2=max{m1−tt1+δ,γ}・・・[式10]
yy2=max{m1−yy1+δ,γ}・・・[式11]
nu2=max{m1−nu1+δ,γ}・・・[式12]
ns2=max{m1−ns1+δ,γ}・・・[式13]
(例えば、δ=0,γ=0)
4方向の類似度tt2,yy2,nu2,ns2を算出する(ステップS5)。
【0040】次に、コンピュータは、4方向の類似度tt2,yy2,nu2,ns2を正規化して、m2=tt2+yy2+nu2+ns2 ・・・[式14]
tt=tt2/m2 ・・・[式15]
yy=yy2/m2 ・・・[式16]
nu=nu2/m2 ・・・[式17]
ns=ns2/m2 ・・・[式18]
4方向の重み比率tt,yy,nu,nsを求める(ステップS6)。
【0041】ここで、コンピュータは、対象画素FG[i,j]に周辺画素を加重平均し、G[i,j]={FG[i,j] +k×tt(FG[i,j-1]+FG[i,j+1])
+k×yy(FG[i-1,j]+FG[i+1,j])
+k×nu(FG[i-1,j+1]+FG[i+1,j-1])
+k×ns(FG[i-1,j-1]+FG[i+1,j+1])}/(1+k×2)
・・・[式19]
(ただし、kはローパス処理の強さを調整する定数値。例えば、k=1/2)
ローパス処理後の対象画素G[i,j]を算出する(ステップS7)。
【0042】コンピュータは、このローパス処理後の対象画素G[i,j]を、メモリ上に設けられるローパス処理結果の記憶領域に記録する(ステップS8)。
【0043】ここで、コンピュータは、全画素についてローパス処理が完了したか否かを判断する(ステップS9)。ローパス処理が完了していない場合(ステップS9のNO側)、コンピュータは、新たな対象画素を画像データの中から選んだ後(ステップS10)、上述したステップS2に動作を戻す。一方、ローパス処理が全画素について完了した場合(ステップS9のYES側)、コンピュータは、ローパス処理後の画像データを、所定形式の画像ファイルに変換するなどした後、動作を終了する。
【0044】(第1の実施形態の効果)図3(1)〜(5)は、第1の実施形態におけるローパス処理の効果を示す、ディスプレイ上の中間調画像の写真である。図3(1)は、ローパス処理前の元画像データである。なお、図中には、画像の微細構造、ジャギーA,Bの発生箇所を白点線で囲って示す。
【0045】図3(2)は、方向依存性のないローパス処理(対象画素の重み係数を1/2とし、周辺8画素の重み係数を均等に1/16とした局所平均演算)を施した画像データである。この場合、画像全体のノイズは低減する。しかしながら、鮮明度も落ち、微細構造はかなり失われる。また、ジャギーA,Bは依然として残存し、傾斜ライン上のギザギザが目立つ。
【0046】図3(3)は、非類似度の計算式[式5〜8]において、比例定数をa=1,b=c=0として、本実施形態のローパス処理を施した画像データである。この場合のローパス処理は、図2に示されるように、対象画素を通る中心ラインLc上の画素間レベル差を主として、非類似度を算出したケースである。このようなローパス処理により、画像全体のノイズは低減する。また、鮮明度の低下は見られず、微細構造もよく保持される。さらに、ジャギーBには一応の改善が見られる。しかしながら、ジャギーAについては依然として残存し、傾斜ライン上のギザギザが目立っている。
【0047】図3(4)は、非類似度の計算式[式5〜8]において、比例定数をb=1,a=c=0として、本実施形態のローパス処理を施した画像データである。この場合のローパス処理は、図2に示されるように、対象画素に隣接する隣接ラインLn上の画素間レベル差を主として、非類似度を算出したケースである。このようなローパス処理により、画像全体のノイズは低減する。また、鮮明度は若干低下し、微細構造が僅かに損なわれている。一方、ジャギーA,Bについては顕著な改善が見られ、傾斜ライン上のギザギザが小さな画素単位に分散(平滑化)されて、明らかに目立たなくなっている。
【0048】図3(5)は、非類似度の計算式[式5〜8]において、比例定数をa=b=1,c=0として、本実施形態のローパス処理を施した画像データである。この場合のローパス処理は、図2に示されるように、『中心ラインLc上の画素間レベル差』および『隣接ラインLn上の画素間レベル差』の両方に基づいて、非類似度を算出したケースである。このようなローパス処理により、画像全体のノイズは低減する。また、画像全体の鮮明度は低下せず、微細構造はよく維持されている。さらに、ジャギーA,Bについても顕著な改善が見られ、傾斜ライン上のギザギザが小さな画素単位に分散されて、明らかに目立たなくなっている。
【0049】(第1の実施形態の補足事項)なお、上述した実施形態では、画素間のレベル差に基づいて非類似度を算出しているが、これに限定されるものではない。一般的には、画素間の特徴の違いに基づいて非類似度を算出すればよい。例えば、カラー画像であれば、色相差や彩度差などに基づいて非類似度を算出してもよい。また、空間周波数領域における特徴差(特定の周波数帯域を含むか否かなどの特徴差)や、画像データをハイパス処理して得たエッジ成分画像のレベル差などに基づいて、非類似度を算出してもよい。
【0050】また、上述した実施形態では、[式5〜8]を用いて非類似度を算出しているが、これに限定されるものではない。一般的には、対象画素を含む局所領域内において、対象画素を通る中心ラインLcと、対象画素に隣接する隣接ラインLnとを設定する。そして、これらラインLc,Ln上において(隣接もしくは1コ間をおいて並ぶ)画素間の特徴差をそれぞれ求め、この特徴差を所定比率で加算することにより非類似度を算出すればよい。
【0051】例えば、下記の[式20,21]を用いて非類似度tt1,yy1を算出してもよい。
縦方向の非類似度tt1:tt1= a×(|FG[i,j]-FG[i,j-1]|+|FG[i,j]-FG[i,j+1]|) + b×(|FG[i-1,j]-FG[i-1,j+2]|+|FG[i-1,j]-FG[i-1,j-2]|)×s + c×(|FG[i+1,j]-FG[i+1,j+2]|+|FG[i+1,j]-FG[i+1,j-2]|)×s ・・・[式20]
横方向の非類似度yy1:yy1= a×(|FG[i,j]-FG[i-1,j]|+|FG[i,j]-FG[i+1,j]|) + b×(|FG[i,j-1]-FG[i+2,j-1]|+|FG[i,j-1]-FG[i-2,j-1]|)×s + c×(|FG[i,j+1]-FG[i+2,j+1]|+|FG[i,j+1]-FG[i-2,j+1]|)×s ・・・[式21]
(ただし、sは、絶対値の加算項の数が斜め方向に比べて少ないことを補うための係数であり、例えば1〜1.5に設定される)また、上述した実施形態では、[式9〜13]を用いて類似度を算出しているが、これに限定されるものではない。例えば、[式9〜13]の代わりに、下記の[式101〜107]を用いて類似度を算出してもよい。
ty= tt1−yy1 ・・・[式101]
us= nu1−ns1 ・・・[式102]
tt2=max{−ty,0} ・・・[式103]
yy2=max{ty,0} ・・・[式104]
nu2=max{−us,0} ・・・[式105]
ns2=max{us,0} ・・・[式106]
if tt2+yy2+nu2+ns2==0 then tt2=1,yy2=1,nu2=1,ns2=1 [式107]
【0052】この[式101〜106]では、次の独立した処理■が一度になされている。
■『縦と横』,『斜め上と斜め下』などといった略直交する2方向において、類似性のより低い方向は、方向依存ローパス処理の重み比率が実質ゼロに設定される。
■『縦と横』,『斜め上と斜め下』などといった略直交する2方向において、類似性のより高い方向は、方向依存ローパス処理の重み比率が『2方向の非類似度の差の絶対値』に基づいて決定される。
【0053】上記の処理■では、略直交する2方向の内、どちらか1方向のみについてローパス処理が実行される。したがって、略直交する2方向にローパス処理が同時に施されることはなく、画像構造の方向性をより明確に維持することが可能となる。一方、上記の処理■では、略直交する2方向の非類似度が明らかに異なるほど、類似性のより高い方向にかかるローパス処理が強くなる。したがって、明らかに類似している方向に対して強力にノイズやジャギーを軽減することが可能となる。次に、別の実施形態について説明する。
【0054】《第2の実施形態》第2の実施形態は、請求項1〜3,9〜16に記載の発明に対応する電子カメラ11の実施形態である。図4は、電子カメラ11の構成ブロック図である。図4において、電子カメラ11には撮影レンズ12が装着される。この撮影レンズ12の像空間には、撮像素子13の受光面が配置される。撮像素子13から出力されるRGBの画像データは、A/D変換部14を介してディジタル化された後、マイクロプロセッサからなる画像処理部15に入力される。画像処理部15には、データバス16を介して読み出し専用メモリ17(請求項15の記録媒体に対応)および画像メモリ18などが接続される。読み出し専用メモリ17には画像処理プログラムが記録されている。画像処理部15は、この画像処理プログラムを読み出して実行する。
【0055】図5は、この画像処理プログラムの動作手順を示す流れ図である。図6は、画像処理の各過程における画像データを示すデータフローである。以下、図4〜図6を用いて、本実施形態の画像処理動作について説明する。撮像素子13から出力される画像データORGは、3色RGBがベイヤ配列されたデータである。この画像データORGの画素一つ一つには、ベイヤ配列のルールに従って、G[○,△],R[○,△],B[○,△]のいずれか1つの画素値が割り当てられている。画像処理部15は、この画像データORGを取り込み、以下の手順で画像処理を実行する。
【0056】◎ステップS21:補間処理用の非類似度計算まず、画像処理部15は、G色成分(請求項11の第1色に対応する)の空き格子位置[i,j]を対象に、下記の[式22〜27]を実行し、縦方向の非類似度Cv0および横方向の非類似度Ch0を算出する。
Cv1=|G[i, j-1]-G[i, j+1]| ・・[式22]
Cv2=(|G[i, j-1]-Z[i, j]|+|G[i, j+1]-Z[i, j]|)/2 ・・[式23]
Ch1=|G[i-1, j]-G[i+1, j]| ・・[式24]
Ch2=(|G[i-1, j]-Z[i, j]|+|G[i+1, j]-Z[i, j]|)/2 ・・[式25]
Cv0[i,j]=A1・Cv1+A2・Cv2 ・・[式26]
Ch0[i,j]=A1・Ch1+A2・Ch2 ・・[式27]
(ただし、ZはR,Bいずれかの値を使用する。また、A1,A2は重み係数であり、少なくとも一方は非零である。代表的にはA1=A2=1)。
【0057】◎ステップS22:非類似度の平滑化処理次に、画像処理部15は、非類似度Cv0,Ch0について、下記の[式28,29]を用いて近傍平均をとり、非類似度Cv,Chを算出する。
Cv[i,j]=(4Cv0[i, j]+Cv0[i-1,j-1]+Cv0[i+1,j-1]+Cv0[i-1,j+1]+Cv0[i+1,j+1])/8 ・・・[式28]
Ch[i,j]=(4Ch0[i, j]+Ch0[i-1,j-1]+Ch0[i+1,j-1]+Ch0[i-1,j+1]+Ch0[i+1,j+1])/8 ・・・[式29]
なお、この近傍平均を省略してCv[i,j]=Cv0[i,j]
Ch[i,j]=Ch0[i,j]
としてもよい。
【0058】◎ステップS23:非類似度に基づく補間方向の判定次に、画像処理部15は、下記の条件判定に従って、方向フラグHVを設定する。
縦類似の判定 : Cv[i, j]+th0 < Ch[i, j]ならば 、HV[i, j]=1 とする横類似の判定 : Ch[i, j]+th0 < Cv[i, j]ならば、 HV[i, j]=−1 とする方向性ナシの判定:上記以外は HV[i, j]=0とする(例えば、th0は、G(i,j)のとりうる範囲が0〜255の場合、0〜数10程度の閾値)
【0059】◎ステップS24:Gの補間演算画像処理部15は、方向フラグHVに従って、下記の補間演算を実行する。
非空格子の場合:FG[i, j]=G[i, j]とする縦類似の場合 :HV[i, j]=1 ならば、 FG[i, j]=Gv とする横類似の場合 :HV[i, j]=-1 ならば、FG[i, j]=Gh とする方向性ナシの場合:HV[i, j]=0 ならば、 FG[i, j]= (Gv+Gh)/2 とするなお、上記のGvおよびGhは、下式の値である。
Gv=(G[i, j-1]+G[i, j+1])/2+C1(2Z[i,j]-Z[i,j-2]-Z[i,j+2])/4Gh=(G[i-1, j]+G[i+1, j])/2+C1(2Z[i,j]-Z[i-2,j]-Z[i+2,j])/4(ここでC1は所定の定数であり、零又は1又はその中間値である)
【0060】◎ステップS25:RおよびBの色差変換画像処理部15は、R色成分およびB色成分(請求項11の第2色に対応する)の画素位置に関して、補間後のGを基準にして、下記の色差変換を実行する。
DR[i, j]=R[i, j]-FG[i, j] ・・・[式30]
DB[i, j]=B[i, j]-FG[i, j] ・・・[式31]
【0061】◎ステップS26:色差補間画像処理部15は、色差について、下記の補間処理を実行する。
上下にRの画素がある場合:FDR[i, j]=(DR[i, j-1]+DR[i, j+1])/2左右にRの画素がある場合:FDR[i, j]=(DR[i-1, j]+DR[i+1, j])/2斜めにRの画素がある場合:FDR[i, j]=(DR[i-1, j-1]+DR[i-1, j+1]+DR[i+1, j-1]+DR[i+1, j+1])/4上下にBの画素がある場合:FDB[i, j]=(DB[i, j-1]+DB[i, j+1])/2左右にBの画素がある場合:FDB[i, j]=(DB[i-1, j]+DB[i+1, j])/2斜めにBの画素がある場合:FDB[i, j]=(DB[i-1, j-1]+DB[i-1, j+1]+DB[i+1, j-1]+DB[i+1, j+1])/4
【0062】◎ステップS27:G補間値の範囲制限画像処理部15は、G補間値について、周辺8画素の最大値Gmax、最小値Gminを用いて範囲制限を行う。
最大値以上の場合: FG[i, j]>(Gmax+Th4)ならば、FG[i, j]=Gmaxとする最小値以下の場合: FG[i, j]<(Gmin−Th4)ならば、FG[i, j]=Gminとする(なお、Th4は、補間値のピークをどこまで許容するかを決定する閾値である。また、周辺画素数は8個である必要はなく、6個程度以上あればよい。)
【0063】◎ステップS28:G補間画素に対するローパス処理画像処理部15は、G補間画素について、第1の実施形態と同様の方向依存ローパス処理を実行する。この場合、次の2通りのローパス処理が可能である。
(a)第1の実施形態と同様に、すべてのG画素について方向依存ローパス処理を施す。
(b)補間処理されていないG画素については、方向依存ローパス処理を実行せず、補間処理されたG画素のみに方向依存ローパス処理を施す。
【0064】◎ステップS29:色差補間画素に対するローパス処理画像処理部15は、補間処理後のG面について、第1の実施形態と同様にして重み比率tt,yy,nu,nsを算出する(ステップS28で既に重み比率を求めていた画素位置については、その重み比率を再利用する)。画像処理部15は、色差補間画素について、この重み比率に基づく方向依存ローパス処理を下式により実行する。
Tmp_DR[i, j]=[FDR[i,j] +k×tt(FDR[i,j-1]+FDR[i,j+1]) +k×yy(FDR[i-1,j]+FDR[i+1,j]) +k×nu(FDR[i-1,j+1]+FDR[i+1,j-1]) +k×ns(FDR[i-1,j-1]+FDR[i+1,j+1])]/(1+k×2) ・・・[式32]
Tmp_DB[i, j]=[FDB[i,j] +k×tt(FDB[i,j-1]+FDB[i,j+1]) +k×yy(FDB[i-1,j]+FDB[i+1,j]) +k×nu(FDB[i-1,j+1]+FDB[i+1,j-1]) +k×ns(FDB[i-1,j-1]+FDB[i+1,j+1])]/(1+k×2) ・・・[式33]
(ただし、kはローパス処理の強さを調整する定数値であり、例えばk=1/2)
画像処理部15は、上記の加重平均が画面全体について完了した後、下記の置き換えを実行する。
FDR[i, j]=Tmp_DR[i, j]FDB[i, j]=Tmp_DB[i, j]
【0065】◎ステップS30:R、Bの復元画像処理部15は、色差面に対して、ローパス処理後のG面を加算して、RおよびBを復元する。
FR[i, j]=FG[i, j] +FDR[i, j] ・・・[式34]
FB[i, j]=FG[i, j] +FDB[i, j] ・・・[式35]
画像処理部15は、以上のようにして求めた、FR[i, j]、FG[i, j]、FB[i, j]を記録機構などへ出力する。
【0066】(第2の実施形態の効果)以上説明したように、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。特に、第2の実施形態に特有な効果としては、次の点が挙げられる。
【0067】◎画像処理部15はG補間画素、色差補間画素に対してローパス処理をかける。したがって、補間処理に起因する偽色やジャギーを十分に軽減することが可能となる。また、画像処理部15が、それ以外の非補間画素にローパス処理をかけない場合、元々の画像データを忠実に維持し、かつ処理時間を短縮することができる。なお、全画素に対してローパス処理をかけた場合には、十分にジャギーなどを除去した滑らかな画像を得ることができる。
【0068】◎画像処理部15は、補間画素のピークを、ローパス処理に先立って範囲制限する。したがって、補間画素のピークを目立たなくすると同時に、ローパス処理を介して補間画素のピークが周辺画素に拡大するのを防ぐことができる。
【0069】◎画像処理部15は、情報量が豊富なローパス処理前のG色成分を基準にして色差を求める。したがって、色差の情報量が豊かになり、より的確な色差補間を行うことが可能となる。
【0070】◎画像処理部15は、色差からR(B)色成分を復元するにあたり、ローパス処理後のG色成分を使用する。したがって、G色成分を介して、R(B)色成分にノイズやジャギーが混入する不具合を防止することができる。
【0071】◎画像処理部15は、情報量の豊富なG色成分について重み比率を求め、その重み比率を利用して、R(B)色成分にローパス処理を施す。したがって、R(B)色成分に対して、G色成分の精細な起伏に適応したローパス処理を施すことが可能となる。なお、本発明者は、上述した実施形態において補間処理の前後どちらに階調変換(階調補正も含む)を行っても、本発明の方向依存ローパス処理が良好な効果を得られることを、画質の主観評価によって確認している。
【0072】(第2の実施形態の補足事項)なお、上述した実施形態では、画像処理部15が画像処理プログラムを実行する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、画像処理部15の処理速度を上げるために、上述した画像処理の一部もしくは全部を演算回路などで実行してもよい。また、上述した実施形態では、色差に対してローパス処理を実行しているが、これに限定されるものではない。例えば、色差から復元したR(B)に対してローパス処理を施してもよい。この場合も、G色成分について求めた重み比率を利用することにより、R(B)のローパス処理を正確に行うことが可能となる。さらに、上述した実施形態では、色差(またはR,B)に対してローパス処理を施しているが、これに限定されるものではない。一般に、色差やR,B成分は輝度成分(G、Y)に比較して改善効果が目立たないので、色差(またはR、Bなど)に対するローパス処理を省いてもよい。この場合は、処理時間を短縮できるという利点がある。以下、別の実施形態について説明する。
【0073】《第3の実施形態》第3の実施形態は、請求項4,6に対応した実施形態であり、類似性の判断に2種類以上の色情報を使用する点に特徴を有する。以下、第3の実施形態について、非類似度の算出動作を説明する。まず、第3の実施形態は、非類似度の算出用に、RGBからなる3面の色情報を用意する。なお、RGB3面の色情報が揃っていない場合には、補間処理を先行して、RGB3面の色情報を用意する。
【0074】第3の実施形態では、このように用意したRGB3面の色情報について、下記の[式110〜113]を算出して、i行j列目における非類似度を求める。
縦方向の非類似度tt1:tt1= a×(|FG[i,j]-FG[i,j-1]|+|FG[i,j]-FG[i,j+1]|)+b×(|FG[i,j+1]-FG[i,j-1]|+|FG[i-1,j]-FG[i-1,j+2]|+|FG[i-1,j]-FG[i-1,j-2]|)+a1×(|FR[i,j]-FR[i,j-1]|+|FR[i,j]-FR[i,j+1]|)+b1×(|FR[i,j+1]-FR[i,j-1]|+|FR[i-1,j]-FR[i-1,j+2]|+|FR[i-1,j]-FR[i-1,j-2]|)+a2×(|FB[i,j]-FB[i,j-1]|+|FB[i,j]-FB[i,j+1]|)+b2×(|FB[i,j+1]-FB[i,j-1]|+|FB[i-1,j]-FB[i-1,j+2]|+|FB[i-1,j]-FB[i-1,j-2]|) ・・・[式110]
横方向の非類似度yy1:yy1= a×(|FG[i,j]-FG[i-1,j]|+|FG[i,j]-FG[i+1,j]|)+b×(|FG[i+1,j]-FG[i-1,j]|+|FG[i,j-1]-FG[i+2,j-1]|+|FG[i,j-1]-FG[i-2,j-1]|)+a1×(|FR[i,j]-FR[i-1,j]|+|FR[i,j]-FR[i+1,j]|)+b1×(|FR[i+1,j]-FR[i-1,j]|+|FR[i,j-1]-FR[i+2,j-1]|+|FR[i,j-1]-FR[i-2,j-1]|)+a2×(|FB[i,j]-FB[i-1,j]|+|FB[i,j]-FB[i+1,j]|)+b2×(|FB[i+1,j]-FB[i-1,j]|+|FB[i,j-1]-FB[i+2,j-1]|+|FB[i,j-1]-FB[i-2,j-1]|) ・・・[式111]
斜め上方向の非類似度nu1:nu1= a×(|FG[i,j]-FG[i+1,j-1]|+|FG[i,j]-FG[i-1,j+1]|)+b×(|FG[i-2,j+1]-FG[i-1,j]|+|FG[i-1,j]-FG[i,j-1]|+|FG[i,j-1]-FG[i+1,j-2]|)+a1×(|FR[i,j]-FR[i+1,j-1]|+|FR[i,j]-FR[i-1,j+1]|)+b1×(|FR[i-2,j+1]-FR[i-1,j]|+|FR[i-1,j]-FR[i,j-1]|+|FR[i,j-1]-FR[i+1,j-2]|)+a2×(|FB[i,j]-FB[i+1,j-1]|+|FB[i,j]-FB[i-1,j+1]|)+b2×(|FB[i-2,j+1]-FB[i-1,j]|+|FB[i-1,j]-FB[i,j-1]|+|FB[i,j-1]-FB[i+1,j-2]|) ・・・[式112]
斜め下方向の非類似度ns1:ns1= a×(|FG[i,j]-FG[i-1,j-1]|+|FG[i,j]-FG[i+1,j+1]|)+b×(|FG[i-2,j-1]-FG[i-1,j]|+|FG[i-1,j]-FG[i,j+1]|+|FG[i,j+1]-FG[i+1,j+2]|)+a1×(|FR[i,j]-FR[i-1,j-1]|+|FR[i,j]-FR[i+1,j+1]|)+b1×(|FR[i-2,j-1]-FR[i-1,j]|+|FR[i-1,j]-FR[i,j+1]|+|FR[i,j+1]-FR[i+1,j+2]|)+a2×(|FB[i,j]-FB[i-1,j-1]|+|FB[i,j]-FB[i+1,j+1]|)+b2×(|FB[i-2,j-1]-FB[i-1,j]|+|FB[i-1,j]-FB[i,j+1]|+|FB[i,j+1]-FB[i+1,j+2]|) ・・・[式113]
なお、上式において、FR[○,△]、FG[○,△]、FB[○,△]は、RGB3面の色情報における○行△列目の各値である。また、a1,a,a2、b1,b,b2は、非類似度におけるRGB色の寄与率を決定する重み係数である。上記のように求めた非類似度から出発して、方向依存ローパス処理を行う過程については、第1の実施形態または第2の実施形態と同じため、ここでの説明を省略する。
【0075】(第3の実施形態の効果など)第3の実施形態においても、第1の実施形態および第2の実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。特に、第3の実施形態では、カラー画像データの色情報を2種類以上加味して非類似度の算出を行っている。したがって、G面はほぼ一様でR面またはB面のみが変化している画像においても、色の境界を正確に判断することが可能となる。したがって、このような色の境界を十分保存しながらノイズやジャギーを適切に除去することが可能となる。
【0076】(第3の実施形態の補足事項)なお、上述した実施形態では、RGBを用いて非類似度の算出を行っているが、これに限定されるものではない。一般的には、画像の色に関する情報を2種類以上用いて類似性の判定を行えばよい。例えば、色情報として色差値や補色値その他の色刺激値を用いてもよい。
【0077】また例えば、下記の[式114]のように、カラー画像データの2種類以上の色情報を用いて適当な画像データYをまず合成し、その画像データYについて類似性を判定してもよい。
Y=a×G+b×R+c×B ・・・[式114]
なお、上式の重み係数a,b,cは、各色情報の視覚感度に対応した値に設定することが好ましい。この場合は、視覚感度に沿って類似性を判断することが可能となる。また、重み係数a,b,cを逆に偏った値(負値も含む)に設定することにより、特定の分光エネルギー分布について類似性を判断することも可能となる。
【0078】なお、上述した実施形態では、上記算出式を用いて一度に非類似度を算出しているが、これに限定されるものではない。例えば、視覚感度の高い色情報について類似性を判定し、その類似性から画像構造の方向性が不明確な場合のみ、その他の色情報について改めて類似性を判定してもよい。このような段階的な演算動作では、視覚感度の高い色情報を優先して類似性が判定されるので、視覚感度に合ったローパス処理を実行することが可能となる。また、大部分の画素では、1回目の演算で類似性を判断できるので、全体の演算処理量を軽減することも可能となる。次に、別の実施形態について説明する。
【0079】《第4の実施形態》第4の実施形態は、請求項1〜16の発明に対応した電子カメラの実施形態である。なお、第4の実施形態の装置構成については、第2の実施形態(図4)と同一のため、ここでの説明を省略する。図7は、第4の実施形態における画像処理動作を説明する流れ図である。なお、この画像処理動作は、第2の実施形態(図5)のステップS28〜S29をステップS41〜S45に代えたものである。以下、この差異部分について説明する。
【0080】◎ステップS41:同色画素間および異色画素間による非類似度の算出画像メモリ18には、撮像素子13から読み出されたベイヤ配列の画像データORGが残存する。この画像データORGは、ホワイトバランス処理後で、かつ色に関する補間処理前のカラー画像データである。画像処理部15は、この画像データORGについて下記の演算を実行し、i行j列目における非類似度を求める。(なお、ここでは、画像データORGの画素値を、RGBいずれの色であるかを問わず、全てZ[○,△]と表記する。)
縦方向の非類似度tt1:tt1=p1×(|Z[i,j]-Z[i,j-1]|+|Z[i,j]-Z[i,j+1]|)+p2×(|Z[i-1,j]-Z[i-1,j-1]|+|Z[i-1,j]-Z[i-1,j+1]|)+p3×(|Z[i,j+1]-Z[i,j-1]|+|Z[i,j]-Z[i,j-2]| +|Z[i,j]-Z[i,j+2]|)+p4×(|Z[i-1,j+1]-Z[i-1,j-1]|+|Z[i-1,j]-Z[i-1,j-2]|+|Z[i-1,j]-Z[i-1,j+2]|) ・・・[式124]
横方向の非類似度yy1:yy1=q1×(|Z[i,j]-Z[i-1,j]|+|Z[i,j]-Z[i+1,j]|)+q2×(|Z[i,j-1]-Z[i-1,j-1]|+|Z[i,j-1]-Z[i+1,j-1]|)+q3×(|Z[i+1,j]-Z[i-1,j]|+|Z[i,j]-Z[i+2,j]|+|Z[i,j]-Z[i-2,j]|)+q4×(|Z[i+1,j-1]-Z[i-1,j-1]|+|Z[i,j-1]-Z[i+2,j-1]|+|Z[i,j-1]-Z[i-2,j-1]|) ・・・[式125]
斜め上方向の非類似度nu1:nu1=r1×(|Z[i,j]-Z[i+1,j-1]|+|Z[i,j]-Z[i-1,j+1]|)+r2×(|Z[i-1,j]-Z[i,j-1]|+|Z[i-1,j]-Z[i-2,j+1]|)+r3×(|Z[i-1,j+1]-Z[i+1,j-1]|+|Z[i,j]-Z[i+2,j-2]| +|Z[i,j]-Z[i-2,j+2]|)+r4×(|Z[i-2,j+1]-Z[i,j-1]| +|Z[i-1,j]-Z[i+1,j-2]|) ・・・[式126]
斜め下方向の非類似度ns1:ns1=s1×(|Z[i,j]-Z[i-1,j-1]|+|Z[i,j]-Z[i+1,j+1]|)+s2×(|Z[i+1,j]-Z[i,j-1]|+|Z[i+1,j]-Z[i+2,j+1]|)+s3×(|Z[i+1,j+1]-Z[i-1,j-1]|+|Z[i,j]-Z[i-2,j-2]| +|Z[i,j]-Z[i+2,j+2]|)+s4×(|Z[i+2,j+1]-Z[i,j-1]| +|Z[i+1,j]-Z[i-1,j-2]|) ・・・[式127]
ただし、上式において、Z[○,△]は、画像データORGの○行△列目に位置するRGBいずれかの値である。また、p1〜4,q1〜4,r1〜4,s1〜4は、非類似度における各項の寄与率を決定する重み係数(例えば、すべて1)である。
【0081】また、絶対値の加算に重み付けを行ってもよい。例えば[式124]の第3項について一例を挙げると、p3×(|Z[i,j+1]-Z[i,j-1]|+u|Z[i,j]-Z[i,j-2]| +v|Z[i,j]-Z[i,j+2]|)(ただし、u=v=1/2程度が好ましい)
としても良い。
【0082】◎ステップS42:非類似度における方向別の重み調整画像処理部15は、求めた非類似度に対して、方向別に重みを変更しても良い。この場合、例えば、次の2通りの重み調整が好ましい。
(a)tt1=tt1,yy1=yy1,nu1=nu1,ns1=ns1(b)tt1=tt1×2,yy1=yy1×2,nu1=nu1,ns1=ns1特に、(b)の重み調整では、斜め方向の非類似度が相対的に小さくなるので、方向依存ローパス処理において斜め方向の重み比率が高くなる。そのため、例えば、奇数列(行)と偶数列(行)とにゲイン差などの段差を生じる撮像素子において、その段差ノイズをキャンセルする効果が大きくなる。なお実際的には、画像データの特徴(欠陥)に応じて適正な重み調整を実行することが、より好ましい。(より具体的には、テスト画像の主観評価実験などを通して、上記(a)(b)のいずれか、あるいは更に別の重みを用いるかなどを最終的に決定する)
【0083】◎ステップS43:重み比率の決定次に、画像処理部15は、非類似度について、下記の平均演算を行い、代表値m1を算出する。
m1=(tt1+yy1+nu1+ns1)/4 ・・・[式128]
続いて、画像処理部15は、4方向の非類似度tt1,yy1,nu1,ns1と、代表値m1とに基づいて、次の非線形変換を実施し、tt2=max{m1−tt1+δ,γ}・・・[式129]
yy2=max{m1−yy1+δ,γ}・・・[式130]
nu2=max{m1−nu1+δ,γ}・・・[式131]
ns2=max{m1−ns1+δ,γ}・・・[式132]
(例えば、δ=1,γ=0)
4方向の類似度tt2,yy2,nu2,ns2を算出する。次に、画像処理部15は、4方向の類似度tt2,yy2,nu2,ns2を正規化して、m2=tt2+yy2+nu2+ns2 ・・・[式133]
tt=tt2/m2 ・・・[式134]
yy=yy2/m2 ・・・[式135]
nu=nu2/m2 ・・・[式136]
ns=ns2/m2 ・・・[式137]
4方向の重み比率tt,yy,nu,nsを求める。
【0084】◎ステップS44:G面に対する方向依存ローパス処理ここで、画像処理部15は、対象画素FG[i,j]に周辺画素を加重平均し、Tmp_FG[i,j]={FG[i,j] +k×tt(FG[i,j-1]+FG[i,j+1])
+k×yy(FG[i-1,j]+FG[i+1,j])
+k×nu(FG[i-1,j+1]+FG[i+1,j-1])
+k×ns(FG[i-1,j-1]+FG[i+1,j+1])}/(1+k×2)
・・・[式138]
(ただし、kはローパス処理の強さを調整する数値。例えば、k=1/2)ローパス処理後の対象画素FG[i,j]を算出する。
【0085】◎ステップS45:色差補間画素に対するローパス処理画像処理部15は、色差補間画素について方向依存ローパス処理を下式により実行する。
Tmp_DR[i, j]=[FDR[i,j] +k×tt(FDR[i,j-1]+FDR[i,j+1]) +k×yy(FDR[i-1,j]+FDR[i+1,j]) +k×nu(FDR[i-1,j+1]+FDR[i+1,j-1]) +k×ns(FDR[i-1,j-1]+FDR[i+1,j+1])]/(1+k×2) ・・・[式139]
Tmp_DB[i, j]=[FDB[i,j] +k×tt(FDB[i,j-1]+FDB[i,j+1]) +k×yy(FDB[i-1,j]+FDB[i+1,j]) +k×nu(FDB[i-1,j+1]+FDB[i+1,j-1]) +k×ns(FDB[i-1,j-1]+FDB[i+1,j+1])]/(1+k×2) ・・・[式140]
(ただし、kはローパス処理の強さを調整する定数値であり、例えばk=1/2)
画像処理部15は、上記の方向依存ローパス処理が画面全体について完了した後、下記の置き換えを実行する。
FG[i, j]=Tmp_FG[i, j]FDR[i, j]=Tmp_DR[i, j]FDB[i, j]=Tmp_DB[i, j]
【0086】(第4の実施形態の効果など)第4の実施形態においても、第2の実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。特に、第4の実施形態では、補間処理前のデータで非類似度の計算を行うので、処理規模が少なくてすむ利点がある。また、第4の実施形態では、ホワイトバランス処理後のカラー画像データを用いて異色画素間の特徴差を算出するのが好ましい。このホワイトバランス処理によって、色の極端な偏りが予め抑制されるので、色の偏りに起因する類似性の誤判断を低減することが可能となる。なお、本発明者は、上述した実施形態において補間処理の前後どちらに階調変換や階調補正を行っても、本発明の方向依存ローパス処理が良好な効果をもたらすことを、画質の主観評価によって確認している。
【0087】(第4の実施形態の補足事項など)なお、上述した実施形態では、画像処理部15が画像処理プログラムを実行する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、画像処理部15の処理速度を上げるために、上述した画像処理の一部もしくは全部を演算回路などで実行してもよい。
【0088】なお、第4の実施形態においては、画像データが高彩度の場合に非類似度における異色画素間の特徴差の寄与率を低くし、低彩度の場合に非類似度における異色画素間の特徴差の寄与率を高くすることが好ましい。図8は、このような寄与率の自動調整を追加した流れ図である。以下、追加部分の動作について説明する。
【0089】◎ステップS51:2種類の彩度算出画像処理部15は、下式を用いて、画像データORGについてi行j列目の彩度CCt,CCyを算出する。
CCt=(|Z[i,j-1]-Z[i,j]|+|Z[i,j+1]-Z[i,j]|)/2CCy=(|Z[i-1,j]-Z[i,j]|+|Z[i+1,j]-Z[i,j]|)/2
【0090】◎ステップS52:彩度の判定画像処理部15は、次の条件式を判定する。
(CCt>BWth) and (CCy>BWth)
2種類の彩度CCt,CCyがどちらも閾値BWthを上回った場合、高彩度箇所である可能性が高い。この場合、画像処理部15は、異色画素間の特徴差の係数p1〜2,q1〜2,r1〜2,s1〜2を低減し、同色画素間の特徴差の係数p3〜4,q3〜4,r3〜4,s3〜4を増やして、異色画素間の特徴差の寄与率を低下させる。逆に、2種類の彩度CCt,CCyのいずれかが閾値BWthを下回った場合低彩度と判断される。この場合、画像処理部15は、異色画素間の特徴差の係数p1〜2,q1〜2,r1〜2,s1〜2を増やすなどして、異色画素間の特徴差の寄与率を高くする。
【0091】なお、極端な場合、次のように係数を可変してもよい。
(a)完全に同色画素間と異色画素間とを切り換えるケース高彩度と判断した場合に、画像処理部15は、異色画素間の特徴差の係数p1〜2,q1〜2,r1〜2,s1〜2をゼロにし、同色画素間の特徴差の係数p3〜4,q3〜4,r3〜4,s3〜4を1にする。一方、低彩度と判断した場合に、画像処理部15は、異色画素間の特徴差の係数p1〜2,q1〜2,r1〜2,s1〜2を1にし、同色画素間の特徴差の係数p3〜4,q3〜4,r3〜4,s3〜4をゼロにする。
(b)高彩度時は同色画素間のみ使用するケース高彩度と判断した場合に、画像処理部15は、異色画素間の特徴差の係数p1〜2,q1〜2,r1〜2,s1〜2をゼロにし、同色画素間の特徴差の係数p3〜4,q3〜4,r3〜4,s3〜4を1にする。一方、低彩度と判断した場合に、画像処理部15は、異色画素間の特徴差の係数p1〜2,q1〜2,r1〜2,s1〜2を1にし、同色画素間の特徴差の係数p3〜4,q3〜4,r3〜4,s3〜4を1にする。
【0092】以上のように、非類似度における異色画素間の特徴差の寄与率を彩度に応じて可変することにより、高彩度箇所を画像構造と誤判断することが少なくなる。したがって、画像構造の方向性をより正確に判断して、方向依存ローパス処理を実行することが可能となる。なお正確には、G格子の位置においてr1,s1は同色画素間の特徴差の係数となり、RB格子の位置においてr2,s2は同色画素間の特徴差の係数となる。そこで、G格子かRB格子かに応じて、r1〜2,s1〜2の値を更に可変してもよい。この場合には、より厳密に画像構造を判断できるという利点がある。しかしながら、この場合には、格子位置によって非類似度の算出値が上下し、方向依存ローパス処理後に格子状の固定むらが生じるおそれがある。このような不具合を生じる場合には、上記処理に示したように、r1〜2,s1〜2を一律に異色画素間の特徴差の係数として扱うことが好ましい。
【0093】なお、上述した第1〜4の実施形態では、それぞれ特徴的な類似性判断の手法を述べたが、これらの手法を適宜に組み合わせたり、各手法の判断結果を比較して顕著な差の現れたものを採用したり、平均的なものを採用するなどしてもよい。このような複合的な手法により、一段と適切な類似性判断が可能となる。
【0094】また、上述した第1〜4の実施形態では、説明をわかりやすくするために、非類似度などの変数名を請求項中の変数名と一致させている。しかしながら、このような具体的な記載によって、請求項中の変数の内容が不必要に限定されるものではない。
【0095】なお、上述した第1〜4の実施形態では、マトリクス画素配列やベイヤ配列の場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ハニカム画素配列その他の特殊な画素配列においても、各方向の画素間隔などを考慮して『少なくとも4方向』や『重み比率の値』などを適宜に決定すれば、本発明が適用可能である。
【0096】
【発明の効果】《請求項1》請求項1に記載の発明では、類似性の低い方向については、小さな重み比率で加重平均がなされるため、画像構造の劣化が極めて少ない。また、類似性の強い方向については、大きな重み比率で加重平均がなされるため、微小な起伏(ノイズなど)を効果的に抑制することができる。
【0097】《請求項2》請求項2に記載の発明では、前者(1)の特徴差を使用して類似性判定を行うことにより、対象画素のノイズを効果的に抑制することができる。一方、後者(2)の特徴差を使用して類似性判定を行うことにより、対象画素のジャギーを顕著に抑制することができる。さらに、(1)および(2)の特徴差を加味して類似性判定を行うことにより、ノイズとジャギーとをバランス良く抑制することが可能となる。
【0098】《請求項3》請求項3に記載の発明では、非類似度を重み比率に変換する過程で、[式1〜4]に示す非線形変換を実施する。この非線形変換により、非類似度の突出度合いなどを考慮した、相対的な重み比率を決定することが可能となる。また、この非線形変換は、閾値以上の非類似度を持つ方向について、重み比率への反映を一律にγに制限することが可能となる。例えば、このγの値をゼロにしておけば、明らかに画像構造と思われる方向の重み比率がゼロとなり、その方向の画像構造を確実に維持することが可能となる。
【0099】《請求項4》請求項4に記載の発明では、カラー画像データの2種類以上の色情報に基づいて類似性の判定を行う。したがって、同一輝度の色境界などのように画像構造の判断が困難な箇所を的確に判断することが可能となる。したがって、同一輝度の色境界などを十分保存しながら、ノイズやジャギーを抑制することが可能となる。
【0100】《請求項5》請求項5に記載の発明では、補間処理前のカラー画像データに基づいて類似性の判定を行う。したがって、補間処理後に生じる偽色成分などによって、画像構造の方向性を誤判断するおそれがない。
【0101】《請求項6》請求項6に記載の発明では、同色画素間の特徴差から非類似度を算出することにより、高彩度箇所において画像構造の方向性を正確に判断できる。また、異色画素間の特徴差から非類似度を算出することにより、単板式などで撮像された画像データにおいても最近接画素間の特徴差を取ることが可能となり、より微細な画像構造の方向性を判断することが可能となる。さらに、両特徴差を加味して非類似度を算出することにより、両特徴差の利点を兼ね合わせて画像構造の方向性を判断することが可能となる。
【0102】《請求項7》請求項7に記載の発明では、ホワイトバランス処理によってカラー画像データの極端な色の偏りを抑制した後に、異色画素間の特徴差を算出する。この場合、極端な色の偏りによって異色画素間の特徴差が大きくなるなどの弊害を防止することができる。したがって、画像構造の方向性をより正確に判断することが可能となる。
【0103】《請求項8》請求項8に記載の発明では、高彩度な箇所において異色画素間の特徴差の寄与率を下げることが可能となり、画像構造の方向性を彩度によって誤判断するおそれが少なくなる。したがって、画像構造をより正確に判断しながら、ノイズやジャギーを抑制することが可能となる。
【0104】《請求項9》請求項9に記載の発明では、補間画素に対してローパス処理を重点的にかけるので、補間処理に起因する偽色やジャギーを軽減することが可能となる。
【0105】《請求項10》請求項10に記載の発明では、補間画素のピークをローパス処理に先立って制限する。したがって、ローパス処理によって補間画素のピークが周辺画素に拡大して目立つのを防ぐことができる。
【0106】《請求項11》請求項11に記載の発明では、情報量が豊富なローパス処理前の第1色を用いて色差を求める。したがって、情報量の豊富の色差を求めることができる。
【0107】《請求項12》請求項12に記載の発明では、第2色の変換に際して、ローパス処理後の第1色を使用する。したがって、第1色を介して、第2色に混入するノイズやジャギーが少なく、第2色に対するその後の画像処理を省いたり、軽減することが可能となる。
【0108】《請求項13》請求項13に記載の発明では、第1色から求めた正確な重み比率を使用して、第2色または色差にローパス処理を施す。したがって、第2色に対して適切なローパス処理をかけることができる。
【0109】《請求項14》請求項14に記載の発明では、類似性が最も低い方向の重み比率を実質的にゼロとする。したがって、その方向について画像構造を正確に保存することが可能となり、ローパス処理による画像の崩れを確実的に回避することができる。
【0110】《請求項15》請求項15に記載の記録媒体を使用することにより、コンピュータ上で請求項1ないし14のいずれか1項に記載の画像処理方法を実行することが可能となる。
【0111】《請求項16》請求項16に記載の画像処理装置を用いて、請求項1ないし14のいずれか1項に記載の画像処理方法を実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態における画像処理プログラムを示す図である。
【図2】非類似度の計算を説明するための図である。
【図3】ディスプレイ上の中間調画像の写真である。
【図4】電子カメラ11の構成ブロック図である。
【図5】第2の実施形態における画像処理プログラムを示す流れ図である。
【図6】画像処理プログラムの動作手順を説明するための図である。
【図7】電子カメラの画像処理動作を説明する流れ図である。
【図8】電子カメラの画像処理動作を説明する流れ図である。
【符号の説明】
11 電子カメラ
12 撮影レンズ
13 撮像素子
14 A/D変換部
15 画像処理部
16 データバス
17 読み出し専用メモリ
18 画像メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 画像データに対して、空間周波数のローパス処理を施す画像処理方法において、ローパス処理の対象画素を含む局所領域に関して、少なくとも4つの方向における画素の類似性を判定する類似性判定手順と、前記類似性判定手順の判定結果に基づいて前記類似性の強い方向の重み比率を増やしたうえで、前記対象画素に周辺画素を加重平均する方向依存ローパス演算手順とを有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】 請求項1に記載の画像処理方法において、前記類似性判定手順は、所定方向の非類似度を、下記(1)(2)のいずれか一方の値または両方の値を用いて算出し、前記非類似度に基づいて類似性の判定を行うことを特徴とする画像処理方法。
(1)対象画素を通る所定方向のライン上に位置する画素間の特徴差(2)対象画素の近くを通る所定方向のライン上に位置する画素間の特徴差
【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の画像処理方法において、前記類似性判定手順は、少なくとも4方向の非類似度tt1,yy1,nu1,ns1を、前記局所領域内の画素間の特徴差に基づいて算出し、前記少なくとも4方向の非類似度tt1,yy1,nu1,ns1について平均またはメディアンを取ることにより、非類似度の代表値m1を求め、前記少なくとも4方向の非類似度tt1,yy1,nu1,ns1と、前記代表値m1とに基づいて、下記の非線形変換を実行して、tt2=max{m1−tt1+δ,γ} ・・・[式1]
yy2=max{m1−yy1+δ,γ} ・・・[式2]
nu2=max{m1−nu1+δ,γ} ・・・[式3]
ns2=max{m1−ns1+δ,γ} ・・・[式4]
(ただし、上式中のδ,γは予め定められた値であり、0の場合も含む)
類似度tt2,yy2,nu2,ns2を求める手順であり、前記方向依存ローパス演算手順は、求めた類似度tt2,yy2,nu2,ns2に応じて、少なくとも4方向に位置する周辺画素の重み比率を決定し、対象画素に周辺画素を加重平均する手順であることを特徴とする画像処理方法。
【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の画像処理方法において、前記画像データは、カラー画像データであり、前記類似性判定手順は、カラー画像データの2種類以上の色情報に基づいて前記類似性の判定を行うことを特徴とする画像処理方法。
【請求項5】 請求項4に記載の画像処理方法において、前記類似性判定手順は、補間処理前のカラー画像データに基づいて前記類似性の判定を行うことを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】 請求項4または請求項5に記載の画像処理方法において、前記類似性判定手順は、所定方向の非類似度を、所定方向における同色画素間および/または異色画素間の特徴差を用いて算出し、前記非類似度に応じて類似性の判定を行うことを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】 請求項6に記載の画像処理方法において、前記類似性判定手順は、ホワイトバランス処理後のカラー画像データから異色画素間の特徴差を算出することを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】 請求項6または請求項7のいずれか1項に記載の画像処理方法において、前記類似性判定手順は、ローパス処理の対象画素について彩度を検出し、検出した彩度に対応して、非類似度の算出における異色画素間の特徴差の寄与率を可変することを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】 請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の画像処理方法において、前記画像データは、欠落した画素について補間処理が施された画像データであり、前記方向依存ローパス演算手順は、補間処理が実施された画素のみを対象画素として、前記ローパス処理を施すことを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】 請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の画像処理方法において、前記画像データは、欠落した画素について補間処理が施された画像データであり、前記類似性判定手順は、ローパス処理に先だって、補間処理が実施された画素の値を、その画素近傍の所定領域における画素最大値または最小値に対応する境界値で制限することを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】 請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の画像処理方法において、前記画像データは、画素密度の一番高い第1色と、空格子を有して画素密度の低い第2色とを少なくとも有するカラー画像データであり、前記第2色の存在する画素について、第2色と第1色の色差をとる色差算出手順と、前記第2色の存在しない画素について、前記色差算出手順で得た色差に基づいて色差補間値を求める色差補間手順と、前記色差補間手順で求めた色差補間値と第1色とに基づいて、第2色を復元する第2色復元手順とを有し、前記色差算出手順において、色差の算出に使用する第1色は、前記ローパス処理前の第1色であることを特徴とする画像処理方法。
【請求項12】 請求項11に記載の画像処理方法において、前記第2色復元手順において、第2色の復元に使用する第1色は、前記ローパス処理後の第1色であることを特徴とする画像処理方法。
【請求項13】 請求項11または請求項12に記載の画像処理方法において、前記方向依存ローパス演算手順は、前記第1色から重み比率を求め、その重み比率を用いて前記第2色または前記色差を加重平均することを特徴とする画像処理方法。
【請求項14】 請求項1ないし請求項13に記載の画像処理方法において、前記方向依存ローパス演算手順は、少なくとも、類似性の最も低い方向の重み比率を実質的にゼロにすることを特徴とする画像処理方法。
【請求項15】 コンピュータに、請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載の画像処理方法を実行させるための画像処理プログラムを記録した機械読み取り可能な記録媒体。
【請求項16】 請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載の全ての手順を実行する画像処理部を備えたことを特徴とする画像処理装置。

【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2001−61157(P2001−61157A)
【公開日】平成13年3月6日(2001.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−98937(P2000−98937)
【出願日】平成12年3月31日(2000.3.31)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】