説明

画像処理装置、画像処理方法、並びに画像処理方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】画像の劣化が少なく、高圧縮率で圧縮して保存すること。
【解決手段】無線タグが付加された印刷用紙に画像データを印字するプリンタエンジン219と、この印字された画像データを記憶するHDD212と、上記印刷用紙を無線走査し、無線タグへ無線情報を送信するリーダライター214と、上記印刷用紙を無線走査し、無線タグからの無線情報を受信するリーダライター216と、を備え、無線送信手段は、前記印字画像記憶手段に記憶されている画像データのアドレスを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチファンクション型の画像形成装置などに利用される、画像処理装置、画像処理方法、並びに画像処理方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、MFP(マルチファンクションプリンタ)は、HDD(ハードディスク)を有し、コピー処理後のデータをHDDに蓄積することにより、電子ソート処理の高速化や文章データの保存などに使用されている。
【0003】
このような装置として、スキャナーにより読み込まれた画像データに対して文字領域の抽出と文字部分の2値化と文字部のMMR(modified modified READ)圧縮、文字以外の部分のJPEG(Joint Photographic Expers Group)圧縮を行なうことにより、PDF(Portable Document Format)ファイルへ変換し、高圧縮率で圧縮して保存することが開示されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
また、プリンタで印刷した後も、その画像データをプリンタ内部のHDDへ保存し、プリントデータの再利用を図る技術が開示されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0005】
また、スキャナーから入力された原稿を記憶装置に記憶してファイル化する電子ファイル装置において、原稿に、記憶装置の電子ファイルの識別コードを印字し、スキャナーで読み込むときにその識別コードを読み込み、電子ファイルを検索する方法が開示されている(たとえば、特許文献3参照)。
【0006】
また、原本をコピーするときに原本の画像データを保持し、その原本をコピーする孫コピー時にはコピー原稿から得られた画像データの代わりに保存された原本の画像データを用いてコピーすることにより、孫コピーの画質劣化を防止する方法が開示されている(たとえば、特許文献4参照)。
【0007】
一方、非特許文献1に記述されているように、個別情報を電子的に保持して電磁誘導により非接触で情報伝達するID素子(RFID:Radio Frequency Identification)技術が開発され、物の識別管理のために応用され始めている。このID素子を用いた個体認識方式は、流通分野におけるバーコードに替わる技術として注目されている。このようなID素子を利用するものとして、たとえば、印字用紙に無線タグを付加し、無線タグに印字されたプリント画像データを記憶させる方法が開示されている(たとえば、特許文献5参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2003−244447号公報
【特許文献2】特開2002−73298号公報
【特許文献3】特開平7−21069号公報
【特許文献4】特開平8−331362号公報
【特許文献5】特開2002−337426号公報
【非特許文献1】椎尾一郎,早坂達,「モノに情報を貼り付ける−RFIDタグとその応用−」,情報処理学会誌,1999年8月,第40巻8号,p.846−850
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の特許文献1においてPDFへ変換された画像はスキャナーによる読み込み時の画像劣化や文字領域の抽出の抽出ミスによる画像劣化などが顕著に現れるという問題点があった。
【0010】
また、近年のプリンタの普及は、コピーする画像データの多くがプリンタで印字された画像データであり、プリンタで印字された画像をHDDなどで記憶するプリンタにおいては、そのコピーする画像データの元画像は、プリンタのHDDなどの中に保持されていることが多いため、その記憶容量を多く必要としていた。
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、画像の劣化が少なく、高圧縮率で圧縮して保存することを第1の目的とする。
【0012】
また、元画像データと、抽出した差分画像とを別々に記憶することにより、画像データの記憶容量を小さくすることを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、無線タグが付加された印刷用紙に画像データを印字する画像データ印字手段と、前記印字された画像データを中間言語で記憶する印字画像記憶手段と、前記印刷用紙を無線走査し、前記無線タグへ無線情報を送信する無線送信手段と、前記印刷用紙を無線走査し、前記無線タグからの無線情報を受信する無線受信手段と、を備え、無線送信手段は、前記印字画像記憶手段に記憶されている画像データのアドレスを送信することを特徴とする。
【0014】
この請求項1にかかる発明によれば、印字された画像データを印字画像記憶手段にたとえば中間言語で記憶し、この画像データを後で印字する際に、無線タグが付加された印刷用紙を無線走査し、上記画像データが記憶されている場合に当該画像データを印字画像記憶手段から読み出して印字することにより、画像劣化のない状態で出力することが可能になる。
【0015】
また、請求項2にかかる発明は、前記無線送信手段は、前記印字画像記憶手段を有する機器を認識するためのコードを送信することを特徴とする。
【0016】
この請求項2にかかる発明によれば、請求項1において、無線送信手段が、印字画像記憶手段を有する機器を認識するためのコードを送信することにより、印字画像記憶手段に記憶されている画像データを無線走査で特定することが可能になる。
【0017】
また、請求項3にかかる発明は、無線タグが付加された印刷用紙に印字した画像データを記憶する印字画像記憶手段と、スキャナーの原稿読み取りに同期して無線タグが付加された原稿を無線走査し、無線タグへ無線情報を送信する無線送信手段と、スキャナーの原稿読み取りに同期して無線タグが付加された原稿を無線走査し、無線タグからの無線情報を受信する無線受信手段と、前記無線受信手段により読み取られた無線タグの内容を記憶する無線タグ内容記憶手段と、前記無線タグ内容記憶手段に記憶された内容にしたがって画像データを前記印字画像記憶手段から検索する画像データ検索手段と、前記スキャナーにより読み込まれた画像データと前記画像データ検索手段により検索された画像データとの差分処理を行ない、書き加えられた画像データを抽出する差分データ抽出手段と、前記差分データ抽出手段で抽出された差分データを記憶する差分データ記憶手段と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
この請求項3にかかる発明によれば、印刷時に、印字情報を無線タグへ書き込み、コピーのスキャン時に無線タグ付きの用紙を無線走査し、無線タグデータを読み込み、スキャンしている文章が印字画像記憶手段に蓄積されているかを判断し、印字画像記憶手段に蓄積されている場合は、読み込まれた画像データと印字画像記憶手段の画像データの差分により書き加えられた画像データを抽出し、印字画像記憶手段に蓄積されたれた中間言語へ追加し、所定のフォーマットへ変換することにより、高圧縮率で圧縮し保存することを可能とし、かつ画像の劣化がほとんどなくなり、かつ元画像データと、抽出した差分画像とを別々に記憶することにより、記憶容量を小さくすることが可能になる。
【0019】
また、請求項4にかかる発明は、前記差分データ抽出手段は、前記画像データ検索手段により検索された画像データへ追加する画像データ生成手段を有することを特徴とする。
【0020】
この請求項4にかかる発明によれば、請求項3において、画像データ生成手段が画像データ検索手段により検索された画像データへ追加することにより、差分データの追加によって元画像データへの合成が可能になる。
【0021】
また、請求項5にかかる発明は、前記差分データ抽出手段は、前記印字画像記憶手段に記憶された画像データをプリンタ解像度/コピー解像度の比率にしたがって変倍する変倍手段を有することを特徴とする。
【0022】
この請求項5にかかる発明によれば、請求項3において、変倍手段が印字画像記憶手段に記憶された画像データをプリンタ解像度/コピー解像度の比率にしたがって変倍することにより、プリンタの解像度とコピー(スキャナー)の解像度を合わせて出力したり保存することが可能になる。
【0023】
また、請求項6にかかる発明は、前記差分データ抽出手段は、前記スキャナーにより読み込まれた画像データと前記画像データ検索手段により検索された画像データとの不一致量を検出する不一致量検出手段を有することを特徴とする。
【0024】
この請求項6にかかる発明によれば、請求項3において、不一致量検出手段がスキャナーにより読み込まれた画像データと画像データ検索手段により検索された画像データとの不一致量を検出することにより、その検出量を移動することで両画像の合成が可能になる。
【0025】
また、請求項7にかかる発明は、前記差分データ抽出手段は、前記不一致量検出手段により抽出された不一致量となるX,Y方向を求め、前記画像データ検索手段により検索された画像データを前記X,Y方向へ移動させる検出画像移動手段を有することを特徴とする。
【0026】
この請求項7にかかる発明によれば、請求項6において、検出画像移動手段が不一致量検出手段により抽出された不一致量となるX,Y方向を求め、画像データ検索手段により検索された画像データをX,Y方向へ移動させることにより、スキャナー画像と検索データとを合致させることが可能になる。
【0027】
また、請求項8にかかる発明は、無線タグが付加された印刷用紙に画像データを印字する画像データ印字工程と、前記印字された画像データを中間言語で記憶する印字画像記憶工程と、前記印刷用紙を無線走査し、前記無線タグへ無線情報を送信する無線送信工程と、前記印刷用紙を無線走査し、前記無線タグからの無線情報を受信する無線受信工程と、を含み、無線送信工程は、前記印字画像工程で記憶されている画像データのアドレスを送信することを特徴とする。
【0028】
この請求項8にかかる発明によれば、印字された画像データを印字画像記憶手段にたとえば中間言語で記憶し、この画像データを後で印字する際に、無線タグが付加された印刷用紙を無線走査し、上記画像データが記憶されている場合に当該画像データを印字画像記憶手段から読み出して印字することにより、画像劣化のない状態で出力することが可能になる。
【0029】
また、請求項9にかかる発明は、無線タグが付加された印刷用紙に印字した画像データを記憶する印字画像記憶工程と、スキャナーの原稿読み取りに同期して無線タグが付加された原稿を無線走査し、無線タグへ無線情報を送信する無線送信工程と、スキャナーの原稿読み取りに同期して無線タグが付加された原稿を無線走査し、無線タグからの無線情報を受信する無線受信工程と、前記無線受信工程により読み取られた無線タグの内容を記憶する無線タグ内容記憶工程と、前記無線タグ内容記憶工程で記憶された内容に基づき画像データを検索する画像データ検索工程と、前記スキャナーにより読み込まれた画像データと前記画像データ検索工程により検索された画像データとの差分処理を行ない、書き加えられた画像データを抽出する差分データ抽出工程と、前記差分データ抽出工程で抽出された差分データを記憶する差分データ記憶工程と、を含むことを特徴とする。
【0030】
この請求項9にかかる発明によれば、印刷時に、印字情報を無線タグへ書き込み、コピーのスキャン時に無線タグ付きの用紙を無線走査し、無線タグデータを読み込み、スキャンしている文章が印字画像記憶手段に蓄積されているかを判断し、印字画像記憶手段に蓄積されている場合は、読み込まれた画像データと印字画像記憶手段の画像データの差分により書き加えられた画像データを抽出し、印字画像記憶手段に蓄積されたれた中間言語へ追加し、所定のフォーマットへ変換することにより、高圧縮率で圧縮し保存することを可能とし、かつ画像の劣化がほとんどなくなり、かつ元画像データと、抽出した差分画像とを別々に記憶することにより、記憶容量を小さくすることが可能になる。
【0031】
また、請求項10にかかる発明は、請求項8または9に記載の画像処理方法を、コンピュータに実行させるプログラムを記録したことを特徴とする。
【0032】
この請求項10にかかる発明によれば、請求項8または9に記載の画像処理方法を、コンピュータに実行させるプログラムを記録することにより、請求項8または9に記載の画像処理方法をコンピュータ上で動作させることが可能になる。
【発明の効果】
【0033】
本発明(請求項1)にかかる画像処理装置は、印字された画像データを印字画像記憶手段にたとえば中間言語で記憶し、この画像データを後で印字する際に、無線タグが付加された印刷用紙を無線走査し、上記画像データが記憶されている場合に当該画像データを印字画像記憶手段から読み出して印字するため、画像劣化のない状態でかつ高圧縮率で出力することができるという効果を奏する。
【0034】
また、本発明(請求項2)にかかる画像処理装置は、請求項1において、印字画像記憶手段を有する機器を認識するためのコードを送信するため、印字画像記憶手段に記憶されている画像データを無線走査で特定するすることができるという効果を奏する。
【0035】
また、本発明(請求項3)にかかる画像処理装置は、印刷時に、印字情報を無線タグへ書き込み、コピーのスキャン時に無線タグ付きの用紙を無線走査し、無線タグデータを読み込み、スキャンしている文章が印字画像記憶手段に蓄積されているかを判断し、印字画像記憶手段に蓄積されている場合は、読み込まれた画像データと印字画像記憶手段の画像データの差分により書き加えられた画像データを抽出し、印字画像記憶手段に蓄積されたれた中間言語へ追加し、所定のフォーマットへ変換するため、高圧縮率で圧縮し保存することができ、かつ画像の劣化がほとんどなくなり、かつ元画像データと、抽出した差分画像とを別々に記憶するので、記憶容量を小さくすることができるという効果を奏する。
【0036】
また、本発明(請求項4)にかかる画像処理装置は、請求項3において、画像データ生成手段が画像データ検索手段により検索された画像データへ追加するため、差分データの追加によって元画像データへの合成が可能になるという効果を奏する。
【0037】
また、本発明(請求項5)にかかる画像処理装置は、請求項3において、変倍手段が印字画像記憶手段に記憶された画像データをプリンタ解像度/コピー解像度の比率にしたがって変倍するため、プリンタの解像度とコピー(スキャナー)の解像度を合わせて出力したり保存することが可能になるという効果を奏する。
【0038】
また、本発明(請求項6)にかかる画像処理装置は、請求項3において、不一致量検出手段がスキャナーにより読み込まれた画像データと画像データ検索手段により検索された画像データとの不一致量を検出するため、その検出量を移動することで両画像の合成が可能になるという効果を奏する。
【0039】
また、本発明(請求項7)にかかる画像処理装置は、請求項6において、検出画像移動手段が不一致量検出手段により抽出された不一致量となるX,Y方向を求め、画像データ検索手段により検索された画像データをX,Y方向へ移動させるので、スキャナー画像と検索データとを合致させることが可能になるという効果を奏する。
【0040】
また、本発明(請求項8)にかかる画像処理方法は、印字された画像データを印字画像記憶手段にたとえば中間言語で記憶し、この画像データを後で印字する際に、無線タグが付加された印刷用紙を無線走査し、上記画像データが記憶されている場合に当該画像データを印字画像記憶手段から読み出して印字するため、画像劣化のない状態で出力することができるという効果を奏する。
【0041】
また、本発明(請求項9)にかかる画像処理方法は、印刷時に、印字情報を無線タグへ書き込み、コピーのスキャン時に無線タグ付きの用紙を無線走査し、無線タグデータを読み込み、スキャンしている文章が印字画像記憶手段に蓄積されているかを判断し、印字画像記憶手段に蓄積されている場合は、読み込まれた画像データと印字画像記憶手段の画像データの差分により書き加えられた画像データを抽出し、印字画像記憶手段に蓄積されたれた中間言語へ追加し、所定のフォーマットへ変換するため、高圧縮率で圧縮し保存することができ、かつ画像の劣化がほとんどなくなり、かつ元画像データと、抽出した差分画像とを別々に記憶するので、記憶容量を小さくすることができるという効果を奏する。
【0042】
また、本発明(請求項10)にかかる記録媒体は、請求項8または9に記載の画像処理方法を、コンピュータに実行させるプログラムを記録することにより、請求項8または9に記載の画像処理方法をコンピュータ上で動作させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像処理装置、画像処理方法、並びに画像処理方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0044】
(実施の形態)
本発明は、印刷用紙に無線タグを付加し、プリント時にMFP(マルチファンクションプリンタ)を識別するための番号と印字する中間言語のMFPのHDDアドレスを無線タグへ書き込み、コピーのスキャン時に無線タグ付きの用紙をスキャン(無線走査)する。このとき、無線タグデータを読み込み、スキャンしている文章がHDD(ハードディスク)に蓄積されているかを判断し、HDDに蓄積されている場合は、読み込まれた画像データとHDDの画像データの差分により書き加えられた画像データを抽出し、HDDに蓄積されたれた中間言語へ追加し、PDF(Portable Document Format)へ変換することにより、高圧縮率で圧縮し保存することを可能とし、かつ画像の劣化がほとんどないようにするものである。また、元画像データと、抽出した差分画像とを別々に記憶することにより、記憶容量を小さくすることを可能にするものである。以下、具体的に説明する。
【0045】
まず、本発明が適用される画像形成装置の構成例について説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる画像形成装置の構成を示す説明図である。この画像形成装置は、いわゆる、マルチファンクションタイプであり、複写機能と、これ以外の機能、たとえばプリンタ機能、ファクシミリ機能とを有し、操作部のアプリケーション切り替えキーにより複写機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能である。すなわち、複写機能の選択時には複写モードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリントモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。以下、こにような装置を適宜MFP機と記述する。
【0046】
複写モードでは、つぎのように動作する。自動原稿送り装置(以下、ADFという)101においては、原稿台102に原稿がその画像面を上にしてセットされる原稿束は、操作部上のスタートキーが押下されると、一番下の原稿が給送ローラ103、給送ベルト104によってコンタクトガラス105上の所定の位置に給送される。ADF101は一枚の原稿の給送完了ごとに原稿枚数をカウントアップするカウント機能を有する。コンタクトガラス105上の原稿は、画像読取装置106(以下、スキャナー106と記述する)によって画像情報が読み取られた後に、給送ベルト104、排送ローラ107によって排紙台上に排出される。
【0047】
原稿セット検出器108にて原稿台102上につぎの原稿が有ることが検出された場合には、同様に原稿台102上の一番下の原稿が給紙ローラ103、給送ベルト104によってコンタクトガラス105上の所定の位置に給送される。このコンタクトガラス105上の原稿は、スキャナー106によって画像情報が読み取られた後に、給送ベルト104、排送ローラ107によって排紙台上に排出される。ここで、給送ローラ103、給送ベルト104および排送ローラ107は搬送モータ(不図示)によって駆動される。
【0048】
第1給紙装置112、第2給紙装置113、第3給紙装置114は、操作部(不図示)から選択されたときあるいは自動選択により、それぞれ第1トレイ109、第2トレイ110、第3トレイ111に積載された転写材としての記録紙を給紙し、この記録紙は縦搬送ユニット115によって像担持体としての感光体ドラム116に当接する位置まで搬送される。なお、感光体ドラム116は、メインモータ(不図示)により回転駆動される。
【0049】
スキャナー106によって原稿から読み込まれた画像データは、図示しない画像処理手段を介して書き込みユニット117によって光情報に変換され、感光体ドラム116は図示しない帯電器により一様に帯電された後に書き込みユニット117からの光情報で露光されて静電潜像が形成される。この感光体ドラム116上の静電潜像は現像装置118により現像されてトナー像となる。
【0050】
搬送ベルト119は、用紙搬送手段および転写手段を兼ねており、電源から転写バイアスが印加され、縦搬送ユニット115から搬送される記録紙を感光体ドラム116と等速で搬送しながら感光体ドラム116上のトナー像を記録紙に転写させる。この記録紙は、定着装置120によりトナー像が定着され、排紙ユニット121により排紙トレイに排出される。感光体ドラム116はトナー像が転写された後に図示しないクリーニング装置によりクリーニングされる。なお、感光体ドラム116、帯電器、書き込みユニット117、現像装置118、転写手段は画像データにより画像を記録紙上に形成する画像形成手段を構成している。
【0051】
以上の動作は通常のモードで用紙の片面に画像を複写するときの動作であるが、両面モードで記録紙の両面に画像を複写する場合には、それぞれの給紙トレイ109〜111のいずれかより給紙されて表面に上述のように画像が形成された記録紙は、排紙ユニット121により排紙トレイ側ではなく両面入紙搬送路133側に切り替えられ、反転ユニット134によりスイッチバックされて表裏が反転され、両面搬送ユニットへ搬送される。
【0052】
この両面搬送ユニットへ搬送された記録紙は、両面搬送ユニットにより縦搬送ユニット116へ搬送され、縦搬送ユニット115により感光体ドラム116に当接する位置まで搬送され、感光体ドラム116上に上述と同様に形成されたトナー像が裏面に転写されて定着装置120でトナー像が定着されることにより両面コピーとなる。この両面コピーは排紙ユニット121により排紙トレイに排出される。
【0053】
また、記録紙を反転して排出する場合には、反転ユニットによりスイッチバックして、表裏を反転する。そして、その記録紙は、両面搬送ユニット134に搬送されずに反転排紙搬送路を経て排紙ユニット133により排紙トレイに排出される。
【0054】
プリントモードでは、上記読み取って処理された画像データの代りに外部からの画像データが書き込みユニット117に入力されて上述の画像形成手段により記録紙上に画像が形成される。さらに、ファクシミリモードでは、画像読取装置106からの画像データが図示しないファクシミリ送受信部により相手側ファクシミリ装置に送信され、相手側からの画像データがファクシミリ送受信部で受信されて書き込みユニット117に入力されることにより、上述の画像形成手段により記録紙上に画像が形成される。
【0055】
図2に、図1のスキャナー106の概要を示し、図3には主にスキャナー106の光学系の概要を示す。第1キャリッジ150と第2キャリッジ151は、2本の対称に張架されたワイヤ153により、フォワ−ド方向とその逆のリタ−ン方向に駆動され、フォワ−ド方向の駆動の間に、原稿の画像の輝度が、CCD138で電気信号に変換される。ワイヤ153は、駆動軸4と一体となったプーリ155に巻かれその回転により駆動される。プーリ155は、タイミングベルト156で、ステッピングモータ158の出力軸と一体となっているプーリ157に結合している。モータ158が正転すると、第1キャリッジ150がフォワ−ド方向に移動し、第2キャリッジ151がそれと同方向にその半分の速度で移動する。図2、図3における第1キャリッジ150と第2キャリッジ151の部分が走行体であり、主走査方向にランプを照射し、その反射光をミラー136,139,140、レンズ137をかいして主走査方向のCCD138へ集光し、順次、副走査方向に移動していく。
【0056】
上記第1キャリッジ150の部分に、前述したアンテナ27(図4参照)を配置する。図5は第1キャリッジ150(走査体)により、原稿を副走査方向にスキャン(光学走査)する例を示すものである。
【0057】
特に、図6に示すように、本装置では、給紙部の給紙ローラ112a(113a,114a)の直前に、電波を送受信するアンテナ27を配置している。この給紙ローラ28とアンテナ27と記録紙の関係を図2に示す。このようにアンテナ27を長くのばし、図6に示すように記録紙(プリンタ用紙300)の進行方向に対して垂直方向に長く伸ばし記録紙全体のRFIDを検出できるように構成する。
【0058】
図7に無線タグつきのプリンタ用紙250の例を示す。このように印字領域253の外側にアンテナ251、無線タグ252を付加している。図8に無線タグつきの印字用紙に印字した例を示す。また、図9に無線タグつきの印字用紙に印字した用紙にメモ書きした例を示す。
【0059】
図10は、本発明の実施の形態にかかる処理の概念を示す説明図である。この図において、プリンタで印字するときにその中間言語をHDDに保持している。そして、ユーザーはその印字されたプリンタ用紙にミーテイング時にメモ書きなどを行う。そのメモ書きされた用紙をスキャナー106で読み取り、その画像と、HDDへ蓄えられた画像の差分画像を求め、その差分画像を中間言語へ追加し、新たな中間言語を生成する。これら具体的手段については後述する。
【0060】
図11は、図1における電装・制御装置の構成を示すブロック図である。この図において、スキャナー106は、前述したように光学走査した原稿画像をCCDにより読み込む。平滑フィルター処理装置215は、スキャナー106から読み込んだ画像データをシェーデイング補正、MTFγ補正などの画像処理を行う。CPU201は、MFP(マルチファンクションプリンタ)機器全体の制御や、PDLの解析、中間言語化処理、中間言語→PDF変換処理などを行う。CPUI/F202は、メモリコントローラ203に接続され、CPU201とメモリコントローラ203間のインターフェイスを処理する。メモリコントローラ203は、4メインメモリ204を制御し、CPU201、ローカルバスI/F206、画像処理装置217、通信処理装置213、描画装置205などとメインメモリ204との転送を制御する。メインメモリ204は、スキャナー106からの画像を画像処理したものや、プリンタのPDLやCPU201のプログラムや各種データなどを格納する。画像処理装置217は、メインメモリ204の画像データに対して色変換処理、階調処理などを行ない、エンジンコントローラ218へ転送する。エンジンコントローラ218は、プリンタエンジン219を制御する。プリンタエンジン219は、エンジンコントローラ218からの画像データを記録紙に印字する。
【0061】
リーダライター214は、プリンタ用アンテナ27Pに対して無線タグへの要求を送信したり、無線タグからの回答を受信したりする。プリンタ用アンテナ27Pは、プリンタ用紙250の給紙動作に同期して、プリンタ用紙250に付加する無線タグへHDD212に印字するプリンタ画像の中間言語のアドレスなどを書き込む。スキャナー用アンテナ27Sは、スキャナー106に同期して、スキャナー用紙(原稿)に付加する無線タグへ読み込み、無線タグの認識番号や、印字されたプリンタ画像の中間言語のアドレスなどを読み込む。リーダライター216は、スキャナー用アンテナ27Sに対して無線タグへの要求を送信したり、無線タグからの回答を受信したりする。HDD制御装置211は、HDD212を制御し、メインメモリ204の中間言語を書き込み/読み込みなどを行う。HDD212は、メインメモリ204の中間言語などを記憶する。描画装置205は、メインメモリ204の中間言語を読み込み、メインメモリ204のページメモリ領域へ描画処理を行う。ローカルバスI/F206は、ROM207、パネルコントローラ208などと、CPU201、メインメモリ204などとのインターフェイスを処理する。ROM207は、文字などのフォント情報や、CPU201のプログラムなどを格納する。パネルコントローラ208は、オペレーションパネル209を制御する。オペレーションパネル209は、ユーザーからの操作を本装置へ知らせる。通信処理装置213は、PC200からのPDLを受け取ったり、HDD212に蓄積された画像データをPC200へ転送する。PC(パーソナルコンピュータ)200は、ネットワーク50を介してMFP機に接続され、PDLの生成や、MFP機へ蓄積された画像を読み込む。
【0062】
ネットワーク50は、公衆回線や専用回線を経由して外部と接続するWAN(Wide Area Network:広域通信網)と、同一敷地内でネットークを構築するLAN(Local Area Network:構内通信網)に分類される方式、あるいは、そのいずれの方式であってもよい。また、インターネット機能を備える場合、TCP/IP(Transmission Contorol Protocol/Internet Protocol)であってもよい。さらには、無線LANによる接続であってももちろんよい。
【0063】
図12は、本発明の実施の形態にかかる中間言語化の処理動作を示すフローチャートである。この図において、まず、HDD212内のプリンタ画像中間言語をスキャナDPI(解像度)で描画処理を行ない(ステップS1)、プリンタRGB画像を得る。他方、スキャナー106からの画像を平滑フィルター処理装置215で処理し(ステップS2)、スキャナーRGB画像を得る。続いて、このプリンタRGB画像とスキャナーRGB画像の画像マッチング処理を実行し(ステップS3)、画像処理後のRGB画像を生成する。続いて、差分画像処理を行ない(ステップS4)、差分RGB画像を生成し、これを中間言語として合成処理し(ステップS5)、合成後のプリンタ画像の中間言語を生成する。
【0064】
すなわち、プリンタの解像度とスキャナー解像度の違いから、中間言語を縮小して描画し、プリンタ画像を生成する。そして、スキャナー画像とプリンタ画像でのマッチング処理を行ない、プリンタ画像が、スキャナー画像と一致するようにX,Y方向に移動させて描画処理を行ない、画像処理後のプリンタ画像を生成する。さらに画像処理後のプリンタ画像とスキャナー画像の差分画像処理を行なって差分画像を生成する。最後に差分画像と中間言語を合成し、新たな中間言語を生成する。
【0065】
図13に中間言語の例を示す。ここでの中間言語300は、四角形描画、3角形描画などのグラフィックス描画をコマンドと写真画像を描画する写真画像描画コマンドからなっている。すなわち、ページ初期化コマンド301、色定義コマンド302、四角形描画コマンド303、色定義コマンド304、3角形描画コマンド305、色定義コマンド306、線描画コマンド307、写真画像描画コマンド308、ページ終了コマンド309などから構成されている。なお、スキャナー106からの画像をそのまま記憶する場合は、ページ初期化コマンド301と写真画像描画コマンド308とページ終了コマンド309により構成される。
【0066】
図14は、図11における電装・制御装置の処理の概念を示すブロック図である。PC200は、印字するためのPDLを通信処理装置213へ転送したり、MFP機が保存する画像データを読み込んだりする。通信処理装置213は、PC200からのPDLをメインメモリ204のPDLメモリ領域204bへ書き込んだり、中間言語→PDF変換装置222からの中間言語からPDFへ変換されたファイルを受け取り、PC200へ転送する。メインメモリ204は、ページ画像データや、プリンタのPDL、中間言語、アンテナで読み込まれた無線タグ情報などを格納する。CPU201は、通信処理装置213により読み込まれたPDLを解析して中間言語を生成し、メインメモリ204の中間言語メモリ領域204cへ書き込む。描画装置205は、メインメモリ204の中間言語を読み込み、メインメモリ204のページメモリ領域204dへ描画処理を行う。画像処理装置217は、メインメモリ204のページメモリ領域204dの画像データを読み込み、色変換処理、階調処理などを行ない、エンジンコントローラ218へ転送する。エンジンコントローラ218は、画像処理装置217から画像データを受け取りプリンタエンジン219へ転送する。
【0067】
また、HDD制御装置211は、メインメモリ204の中間言語メモリ領域204cのデータをHDD212へ書き込んだり、HDD212に記憶された画像の中間言語を読み込み、メインメモリ204の中間言語メモリ領域204cへ転送する。HDD212は、HDD制御装置211により制御され、中間言語を記憶する。スキャナー106は、多値のRGBの画像データを読み込む。平滑フィルター処理装置215は、スキャナー106から読み込んだ画像データをシェーデイング補正、MTFγ補正などの画像処理を行ないメインメモリ204のページメモリ領域204dへ書き込む。中間言語化装置221は、HDD212に記憶された画像の中間言語をスキャナー106からの画像との不一致処理や、差分処理を行ない、差分画像を抽出し、旧中間言語に差分画像を追加し新たな中間言語を生成する処理を行う。
【0068】
また、スキャナー用アンテナ27Sは、図5に示すように副走査方向に移動しながら無線タグへの電波を送信したり、無線タグからの電波を受信したりし、読み込む用紙の無線タグを探査し、その識別コードを認識し、その内容を読み込み、メインメモリ204の無線タグ情報メモリ領域204aへ書き込む。リーダライター216は、スキャナー用アンテナ27Sに対して無線タグへの要求を送信したり、無線タグからの回答を受信したりする。無線タグ制御装置220、スキャナー用アンテナ27S、プリンタ用アンテナ27Pを制御する。プリンタ用アンテナ27Pは、図6に示すようにプリンタの給紙動作に同期して、印字用紙の無線タグへの電波を送信したり、無線タグからの電波を受信したりし、印字用紙の無線タグを探査し、識別コードと、図20に示すような情報を書き込む。リーダライター214は、プリンタ用アンテナ27Pに対して無線タグへの要求を送信したり、無線タグからの回答を受信したりする。中間言語→PDF変換装置222は、メインメモリ204の中間言語メモリ領域204bから中間言語を読み込みPDFへ変換し、通信処理装置213を経由させてPC200へ転送する。
【0069】
つぎに、図15〜図19を参照し、本システムを使用したシステムの処理動作について説明する。図15は、無線タグ付き印字用紙(プリント用紙250)へのプリント処理の流れを示すブロック図である。番号付き矢印で示すように、MFP機は、PC200からPDFファイルを受け取る。CPU201(PDL解析装置)は、メインメモリ204のPDLメモリ領域204bからPDLを読み込んで解析し、中間言語メモリ領域204cへ書き込む。描画装置205は、中間言語メモリ領域204cから中間言語を読み込みページメモリ領域204dへ描画する。HDD制御装置211は、中間言語メモリ領域204cのデータをHDD212へ書き込み。そのアドレスを無線タグ制御装置220へ転送する。無線タグ制御装置220は、無線タグ付き印字用紙の無線タグへ印字する画像データのアドレスなどをプリンタ用アンテナ27Pへ送り、無線タグ付き印字用紙(プリント用紙250)の無線タグへ書き込む。画像処理装置217は、ページメモリ領域204dの画像データを読み込んで画像処理を行ない、プリンタエンジン219へ転送する。
【0070】
図16は、スキャナー画像(用紙には無線タグが付加されている。)をHDD212へ保存する場合における処理の流れを示すブロック図である。なお、図16の処理は図17の処理へ続くものである。番号付き矢印で示すように、スキャナー用アンテナ27Sにより、付加した無線タグを探知し、MFP機のHDD212のアドレスを読み込み、HDD制御装置211へアドレスを転送する。スキャナー106は、画像を読み込み、平滑フィルタ処理後、ページメモリ領域204dへ転送する。HDD制御装置211は、無線タグ制御装置220からHDD212のアドレスを受け取り、HDD212の中間言語を読み込み中間言語メモリ領域204cへ“旧中間言語”を生成する。中間言語化装置221は、描画装置205へスキャナー106とプリンタの解像度の違いから生じる縮小率や、スキャン時の読み込み誤差による移動値X,Yなどを設定する。描画装置205は、中間言語化装置221の設定に基づき、中間言語メモリ領域204cの“旧中間言語”を読み込みページメモリ領域204dへプリンタ画像を描画する。中間言語化装置215は、ページメモリ領域204dのスキャナー画像とプリンタ画像を読み込み不一致チェックを行ない、未だ全体が一致しない場合は移動値X,Yを求め直し、上記の処理を繰り返し実行する。
【0071】
図17は、図16の続きの処理を示すブロック図である。番号付き矢印で示すように、中間言語化装置221は、ページメモリ領域204dからスキャナー画像とプリンタ画像を読み込み、差分画像を生成する。中間言語化装置221は、ページメモリ領域204dの差分画像と中間言語メモリの“旧中間言語”を読み込み、“旧中間言語”に差分画像を付加し、“新中間言語”を生成する。HDD制御装置211は、中間言語メモリ領域204cの“新中間言語”を読み込みHDD212へ格納する。
【0072】
図18は、スキャナー画像をHDD212へ保存する場合における処理の流れを示すブロック図であり、スキャナー画像がHDD212に記憶されていないか、もしくは読み込んだ用紙に無線タグがない場合である。番号付き矢印で示すように、スキャナー用アンテナ27Pにより、付加した無線タグを探知しようとしたが探知できないか、HDD212にそのデータがない場合である。スキャナー106は画像を読み込み、平滑フィルタ処理後、ページメモリ領域204dへ転送する。中間言語化装置221は、ページメモリ領域204dのスキャナー画像を読み込み中間言語として、中間言語メモリ領域204cへ“新中間言語”を生成する。HDD制御装置211は、中間言語メモリ領域204cの“新中間言語”を読み込みHDD212へ格納する。
【0073】
図19は、HDD212の画像データをPC200で読み込む処理の流れを示すブロック図である。番号付き矢印で示すように、HDD制御装置211は、PC200から指定された画像データの中間言語を中間言語メモリ領域204cへ転送する。中間言語→PDF変換装置222は、中間言語メモリ領域204cの中間言語を読み込みPDFへ変換し、通信処理装置213へ転送する。通信処理装置213は、中間言語→PDF変換装置222からPDFを受け取りPC200へ転送する。
【0074】
図20に、印字用紙に付加する無線タグの記憶する内容の例を示す。すなわち、タグ情報310として、時間、MFP番号、MFPの記録アドレス、ページ番号、ユーザー名を記憶する。
【0075】
図21は、図14における中間言語化装置221の処理動作を示すフローチャートである。この中間言語化装置は、図13ではCPU201に該当する。この図において、まず、移動値MX,MYを初期化し(ステップS21)、旧中間言語をスキャナー解像度へ縮小し、移動値MX,MYを移動して描画処理を実行し(ステップS22)、プリンタ画像データを得る(ステップS23)。続いて、スキャナー106から読み込まれたスキャナー画像データとプリンタ画像データの不一致処理を行ない(ステップS24)、十分な不一致画像を抽出することができたか否かを判断する(ステップS25)。ここで、十分な不一致画像を抽出することができないと判断した場合(判断、No)、ステップS22に戻る。一方、ステップS25において十分な不一致画像を抽出することができたと判断した場合(判断、Yes)、スキャナー106の画像データとプリンタ画像データの不一致画像を囲む四角形の左上のX,Y座標と右下のX,Y座標を求め、差分画像を抽出する(ステップS27、S28)。続いて、プリンタ解像度での差分画像上の左上のX,Y座標を求め、スキャナー画像とプリンタ画像の解像度による拡大率を求め、旧中間言語に差分画像と右辺上の描画座標X,Yと拡大率を追加し、新しい中間言語を作成する(ステップS29、S30)。
【0076】
図22は、図11における描画装置205の詳細構成を示すブロック図である。この図において、この描画装置205は、メモリコントローラI/F311、描画コマンド解析装置312、描画座標縮小処理装置313、描画座標移動処理装置314、描画処理装置315、ROP処理装置316、描画位置移動処理装置317、画像データ縮小装置318、パラメータ記憶装置319を備えている。
【0077】
メモリコントローラI/F311は、メモリコントローラ203とのインターフェイス処理を行う。描画コマンド解析装置312は、メインメモリ204の中間言語を受け取り、各描画コマンドを解析し、グラフィックス描画コマンドは描画座標縮小処理装置313へ転送され、写真画像データは描画位置移動処理装置317へ転送される。描画座標縮小処理装置313は、スキャナー画像の比較画像を生成するときに、中間言語化装置221により生成されたスキャナー解像度/プリンタ解像度の縮小率を受け取り、描画座標の縮小処理を行う。描画座標移動処理装置314は、スキャナー画像の比較画像を生成するときに、中間言語化装置221により生成された移動値X,Yにより、描画座標を移動させる。描画処理装置315は、グラフィックス画像を描画処理を行う。ROP処理装置316は、描画処理装置315から受け取った描画データに論理演算処理を行ないメモリコントローラI/F311へ転送する。描画位置移動処理装置317は、スキャナー画像の比較画像を生成するときに、中間言語化装置221で生成された移動値X,Yにより写真画像の描画位置を移動させる。画像データ縮小装置318は、スキャナー画像の比較画像を生成するときに、中間言語化装置221により生成されたスキャナー解像度/プリンタ解像度の縮小率を受け取り、写真画像の縮小処理を行う。プリント時は、写真画像データの描画処理を行ない、メモリコントローラI/F311へ転送する。
【0078】
図23は、図11における画像処理装置217の詳細構成を示すブロック図である。図に示すように、この画像処理装置217は、メモリコントローラI/F321、色変換処理装置322、階調処理装置323、バッファー324、パラメータ記憶装置325、エンジンコントローラI/F326を備えている。
【0079】
メモリコントローラI/F321は、メモリコントローラ203とのインターフェイス処理を行う。色変換処理装置322は、メインメモリ204のページメモリ領域204dの画像データを読み込んでRGBからCMYKへ色変換する。階調処理装置323は、色変換処理装置322からのCMYK画像データに対して階調処理を行う。バッファー324は、階調処理装置323の階調処理後における画像データを一時記憶する。パラメータ記憶装置325は、色変換処理装置322、階調処理装置324のパラメータを記憶する。エンジンコントローラI/F326は、エンジンコントローラ218とのインターフェイス処理を実行する。
【0080】
つぎに、図24に示すブロック図を参照し、無線タグとリーダライター214,216の構成について説明する。無線タグ350は、メモリ351、データ処理回路352、変調回路353、送信ドライバー354、電源生成回路356、復調回路357、アンテナ入力回路368、受送信アンテナ359を備えている。
【0081】
メモリ351は、無線タグの認識番号や無線タグの内容などを記憶する。データ処理回路352は、各種のデータ処理を行なう。変調回路353は、送信データに対して変調処理を行なう。送信ドライバー354は、送信処理を行なう。アンテナ入力回路358は、受送信アンテナ359の制御を行なう。電源生成回路356は、受信した電力波を整流して平滑することにより、安定した直流電圧を生成して、各回路に動作電圧として供給する。復調回路357は、受信信号に対して復調処理を行なう。
【0082】
リーダライター214,216は、データ処理回路361、変調回路362、送信ドライバー363、アンテナ入力回路364、復調回路365を備えている。
【0083】
データ処理回路361は、各種のデータ処理を行い、受信した情報を無線タグ制御装置220へ転送する。変調回路362は、送信データに対して変調処理を行なう。送信ドライバー363は、送信処理を行なう。アンテナ入力回路364は、受送信アンテナの制御を行なう。復調回路365は、受信信号に対して復調処理を行なう。
【0084】
図25は、無線タグ350とリーダライター214,216との交信動作例を示す説明図である。まず、リーダライター360は無線タグ350に対して識別情報の要求を行なう(S41)。すると、無線タグ350はリーダライター214,216に対してその識別情報の応答を行なう(S42).続いて、リーダライター214,216は無線タグ350に対して記録内容のアクセスを要求する(S43)。すると、無線タグ350はリーダライター214,216に対して記録内容のアクセス情報(たとえば図20参照)の応答を行なう(S44)。
【0085】
以上、プリンタ画像を中間言語で格納した例を示したが、プリンタ画像がPIXELごとの画像データで構成される場合も、同様に類推することができる。
【0086】
ところで、PDLとは、page description languageの略であり、ページプリンタにおいて、ページイメージを作成するためのプリンタ制御コード(言語)。単純な文字印字のほか、図形描画などの機能を拡張している場合が多い。代表的なページ記述言語としてはPostScript(ポストスクリプト)、HP−PCL、LIPS、ESC/Page、PRESCRIBEなどがある。また、PDFとは、Portable Document Formatの略であり、特定のプラットフォームに依存せずに表示できる文書を実現するために開発されたドキュメントフォーマット。米国Adobe社により開発された。このPDFを利用すれば、各種文字修飾や段組処理など、従来は特定アプリケーションに依存しなければ扱えなかった文書を、さまざまなプラットフォームで表示できるようになる。
【0087】
したがって、以上説明した実施の形態によれば、印刷用紙に無線タグを付加し、プリント時にMFPの番号と印字する中間言語のMFPのHDDアドレスを無線タグへ書き込み、コピーのスキャン時に無線タグ付きの用紙をスキャンする場合に、無線タグデータを読み込み、スキャンしている文章がHDD212に記憶されているかを判断し、HDD212に記憶されている場合は、読み込まれた画像データとHDD212の画像データの差分により書き加えられた画像データを抽出し、HDD212へ蓄積された中間言語へ追加し、PDFへ変換することにより、画像の劣化がほとんどない状態で高圧縮率で圧縮し保存することができる。また、元画像データと、抽出した差分画像とを別々に記憶することにより、記憶容量を小さくすることができる。
【0088】
ところで、これまで説明してきた実施の形態における画像処理方法(動作)を、プログラム化し、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、コンピュータ上で実行することもできる。また、画像処理方法の一部をネットワーク上に有し、通信回線を通して実現することもできる。
【0089】
すなわち、この実施の形態で説明した画像処理方法は、図26に示すように、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータ(CPU30)で実行することにより実現される。このプログラムは、キーボード25の操作などにより、メモリ31、ハードディスク34、フレキシブルディスク37、CD−ROM(Compact−Disc Read Only Memory)36、MO(Magneto Optical)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータ(CPU30)によって記録媒体から読み出し、必要に応じて表示装置33に表示することによって実行される。また、必要に応じてこの画像処理方法のデータを通信装置32から外部装置に送受信することも可能である。
【0090】
また、このプログラムは、図27に示すように、上記記録媒体を介して、インターネット30などのネットワークによってパーソナルコンピュータなどの装置41〜43に配布することができる。
【0091】
すなわち、このプログラムは、たとえばコンピュータに内蔵されている記録媒体としてのハードディスクに、あらかじめインストールした状態で提供することができる。プログラムは記録媒体に一時的あるいは永続的に格納し、コンピュータにユニットとして組み込んだり、あるいは着脱式の記録媒体として利用することで、パッケージソフトウェアとして提供することができる。
【0092】
記録媒体としては、たとえば、フレキシブルディスク、CD−ROM、MOディスク、DVD、磁気ディスク、半導体メモリなどが利用できる。
【0093】
プログラムは、ダウンロードサイトから、LAN(Local Area Network)やインターネットといったネットワークを介して、有線または無線でコンピュータに転送し、そのコンピュータにおいて、内蔵するハードディスクなどの記憶装置にダウンロードさせるようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
以上のように、本発明にかかる画像処理装置、画像処理方法、並びに画像処理方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、カラーデジタル複写機やカラーレーザプリンタなどの画像出力を行なう装置およびシステムなどに有用であり、特に、コピー(スキャン)時/プリント時に保存されている画像データを無線タグで検索し、読み出しや編集加工、更新するといった処理を実現する各種の画像出力システムに適している。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施の形態にかかる画像形成装置の構成を示す説明図である。
【図2】図19におけるスキャナーの構成を示す説明図である。
【図3】図19におけるスキャナーの読取光学系の構成を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかるアンテナの例を示す説明図である。
【図5】原稿に対するアンテナの配置および走査位置関係を示す説明図である。
【図6】図1におけるアンテナと給紙ローラとの関係を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態にかかる無線タグ付き印字用紙の例を示す説明図である。
【図8】図7の無線タグ付き印字用紙での印字例を示す説明図である。
【図9】図8の印字画像に書き込みを行なった例を示す説明図である。
【図10】本発明の実施の形態にかかる処理の概念を示す説明図である。
【図11】図1における電装・制御装置の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の実施の形態にかかる中間言語化の処理動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態にかかる中間言語の例を示す説明図である。
【図14】図11における電装・制御装置の処理の概念を示すブロック図である。
【図15】無線タグ付き印字用紙へのプリント処理の流れを示すブロック図である。
【図16】スキャナー画像(用紙には無線タグが付加している。)をHDDへ保存する場合における処理の流れを示すブロック図である。
【図17】図16の続きの処理を示すブロック図である。
【図18】スキャナー画像をHDDへ保存する場合における処理の流れを示すブロック図である。
【図19】HDDの画像データをPCで読み込む処理の流れを示すブロック図である。
【図20】印字用紙に付加する無線タグの記憶する内容例を示す説明図である。
【図21】図14における中間言語化装置の処理動作を示すフローチャートである。
【図22】図11における描画装置の詳細構成を示すブロック図である。
【図23】図11における画像処理装置の詳細構成を示すブロック図である。
【図24】無線タグとリーダライターの構成を示すブロック図である。
【図25】無線タグとリーダライターとの交信動作例を示す説明図である。
【図26】本発明の実施の形態にかかる画像処理方法をコンピュータに実行させる例を示すブロック図である。
【図27】本発明の実施の形態にかかる画像処理方法をネットワーク上からダウンロードして実行させる例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0096】
27 アンテナ
106 スキャナー
201 CPU
203 メモリコントローラ
204 メインメモリ
205 描画装置
211 HDD制御装置
212 HDD
214,216 リーダライター
217 画像処理装置
218 エンジンコントローラ
219 プリンタエンジン
220 無線タグ制御装置
221 中間言語化装置
222 中間言語→PDF変換装置
250 プリンタ用紙
251 アンテナ
252 無線タグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグが付加された印刷用紙に画像データを印字する画像データ印字手段と、
前記印字された画像データを中間言語で記憶する印字画像記憶手段と、
前記印刷用紙を無線走査し、前記無線タグへ無線情報を送信する無線送信手段と、
前記印刷用紙を無線走査し、前記無線タグからの無線情報を受信する無線受信手段と、
を備え、
無線送信手段は、前記印字画像記憶手段に記憶されている画像データのアドレスを送信することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記無線送信手段は、前記印字画像記憶手段を有する機器を認識するためのコードを送信することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
無線タグが付加された印刷用紙に印字した画像データを記憶する印字画像記憶手段と、
スキャナーの原稿読み取りに同期して無線タグが付加された原稿を無線走査し、無線タグへ無線情報を送信する無線送信手段と、
スキャナーの原稿読み取りに同期して無線タグが付加された原稿を無線走査し、無線タグからの無線情報を受信する無線受信手段と、
前記無線受信手段により読み取られた無線タグの内容を記憶する無線タグ内容記憶手段と、
前記無線タグ内容記憶手段に記憶された内容にしたがって画像データを前記印字画像記憶手段から検索する画像データ検索手段と、
前記スキャナーにより読み込まれた画像データと前記画像データ検索手段により検索された画像データとの差分処理を行ない、書き加えられた画像データを抽出する差分データ抽出手段と、
前記差分データ抽出手段で抽出された差分データを記憶する差分データ記憶手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
前記差分データ抽出手段は、前記画像データ検索手段により検索された画像データへ追加する画像データ生成手段を有することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記差分データ抽出手段は、前記印字画像記憶手段に記憶された画像データをプリンタ解像度/コピー解像度の比率にしたがって変倍する変倍手段を有することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記差分データ抽出手段は、前記スキャナーにより読み込まれた画像データと前記画像データ検索手段により検索された画像データとの不一致量を検出する不一致量検出手段を有することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記差分データ抽出手段は、前記不一致量検出手段により抽出された不一致量となるX,Y方向を求め、前記画像データ検索手段により検索された画像データを前記X,Y方向へ移動させる検出画像移動手段を有することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
無線タグが付加された印刷用紙に画像データを印字する画像データ印字工程と、
前記印字された画像データを中間言語で記憶する印字画像記憶工程と、
前記印刷用紙を無線走査し、前記無線タグへ無線情報を送信する無線送信工程と、
前記印刷用紙を無線走査し、前記無線タグからの無線情報を受信する無線受信工程と、
を含み、
無線送信工程は、前記印字画像工程で記憶されている画像データのアドレスを送信することを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
無線タグが付加された印刷用紙に印字した画像データを記憶する印字画像記憶工程と、
スキャナーの原稿読み取りに同期して無線タグが付加された原稿を無線走査し、無線タグへ無線情報を送信する無線送信工程と、
スキャナーの原稿読み取りに同期して無線タグが付加された原稿を無線走査し、無線タグからの無線情報を受信する無線受信工程と、
前記無線受信工程により読み取られた無線タグの内容を記憶する無線タグ内容記憶工程と、
前記無線タグ内容記憶工程で記憶された内容に基づき画像データを検索する画像データ検索工程と、
前記スキャナーにより読み込まれた画像データと前記画像データ検索工程により検索された画像データとの差分処理を行ない、書き加えられた画像データを抽出する差分データ抽出工程と、
前記差分データ抽出工程で抽出された差分データを記憶する差分データ記憶工程と、
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の画像処理方法を、コンピュータに実行させるプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2006−11977(P2006−11977A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−190275(P2004−190275)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】