説明

画像形成システム

【課題】 (1)後処理装置で処理する専用の記録シートの給紙性能の最適化を図る。
(2)給紙仕様(紙の種類、収納枚数)の制限を不要とし、後処理装置の汎用性を向上する。
(3)記録シートの誤装填を減少させる。
【解決手段】 (A)後処理装置に収納、及び給紙手段を設けたことにより、給紙性能を最適化。
(B)後処理装置を使用することによって、画像形成装置における給紙仕様の制限の必要をなくした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等の画像形成装置と、画像形成装置に併設され、画像形成装置でトナー画像を定着した記録シートを特殊用途に定着処理する後処理装置を備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラの普及に伴い電子写真方式による画像形成装置で、高光沢な写真画質の出力が望まれている。
【0003】
従来、高光沢な写真画質を電子写真方式の複写機で出力する為に、特許文献1に開示されているように、表面に熱可塑性樹脂のコート層を設け、トナーをこのコート層に埋め込むことで平滑な表面を得る特殊な記録シートが用いられている。
【0004】
さらに特許文献2に開示されているように、トナー像を定着装置で加熱定着した後、ベルト方式の熱定着装置によって、再加熱定着し、冷却することで高光沢な画像出力を得る画像形成装置が提案されている。
【0005】
また、特許文献3においては、画像形成装置から排出されたトナー像を加熱定着した記録シートを再加熱定着する定着オプション装置が提案されている。
【0006】
これらの従来の装置では、特殊用途に定着するための記録シートを収納し、給紙する給送手段を、画像形成装置の本体内に設けたものや、通常使用する記録シートの給送手段と兼用して使用されている。
【特許文献1】特開昭63−92965号公報
【特許文献2】特開2002−91048号公報
【特許文献3】特開2002−214948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、表面に熱可塑性樹脂のコート層を有した記録シートを使用する際には、該記録シート用に最適化した給紙手段を設けることが望ましい。
【0008】
そのため、前記従来の画像形成装置では、製品仕様である給紙可能な用紙の種類や収納枚数を制限して、前記専用の記録シートの給紙収納手段を設けなければならない。
【0009】
さらに前記画像形成装置では、処理する記録シートが通常使用する記録シートと異なる為、給紙条件を最適化する必要がある。
【0010】
また専用の給紙収納手段を設けた場合、通常使用する記録シートの誤装填を防止しなければ給紙不良を招いてしまう。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みなされたものである。
【0012】
その目的は、画像形成装置に併設される後処理装置に、特殊用途の記録シートの専用収納部と給紙部を設けることで、給紙性能を安定化させた定着用後処理装置を備えた画像形成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、第1の発明における画像形成システムは、
記録シートにトナーの画像を形成し、該画像を記録シートに定着して排紙部から排紙する画像形成装置と、
専用の記録シートを用いて、トナーの画像を特殊用途に定着処理する後処理装置とを有し、該後処理装置が該画像形成装置に着脱可能に構成した画像形成システムにおいて、
前記後処理装置には、前記専用の記録シートの収納部と、給紙手段と、
前記画像形成装置から排紙される記録シートの搬送部とを設け、
前記画像形成装置には、前記後処理装置から給紙された記録シートの搬送部と、前記後処理装置へと記録シートを排紙する搬送部とを設けたことを特徴とする。
【0014】
又、第2の発明における画像形成システムは、
前記後処理装置の給紙手段から給紙された記録シートは、前記画像形成装置でトナーの画像を形成し定着された後、前記後処理装置へと搬送することを特徴とする。
【0015】
更に、第3の発明における画像形成システムは、
前記後処理装置には、加圧ローラと加熱ローラとを圧接配置し、これらの間に挟持搬送されるベルト体とで構成した定着手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、後処理装置で処理する専用の記録シートを後処理装置に収納、及び給紙手段を設けたことにより、給紙性能の最適化が可能となる。
【0017】
さらに、後処理装置を使用することによって、画像形成装置における給紙仕様(紙の種類、収納枚数)を制限する必要がないことから、後処理装置の汎用性が向上する。
【0018】
また、画像形成装置で通常使用する給紙部と独立した専用の給紙部を設けたことで記録シートの誤装填を減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【実施例1】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は、本実施形態の後処理装置と、後処理装置を備えた画像形成装置で構成される画像形成システムの概略断面図である。
【0022】
画像形成装置は、電子写真方式であり、記録シート(以下シート)の表面に現像剤(以下、トナー)によってトナー像を形成する複写機、レーザビームプリンタ、及びこれらの複合機等である。
【0023】
尚、図1に示す画像形成装置は、下部に給紙部、その上方に画像形成部と排紙部を設け、上部に画像読み取り部119と原稿読み取り部120で構成した複写機である。
【0024】
また、画像形成装置100に併設された後処理装置1は、後述する特殊シートを使用し、特殊定着処理を行なう定着用後処理装置である。
【0025】
(プリンタ)
図1に示す画像形成装置100は、カラー電子写真プリンタで、シートの搬送方向に沿った断面図である。
【0026】
本実施形態では、カラー電子写真プリンタを単に「プリンタ」という。
【0027】
シートは、トナー像が形成されるものである。シートの具体例として、普通紙、普通紙の代用品である樹脂製のシート状のもの、厚紙、オーバーヘッドプロジェクター用などがある。
【0028】
図1のプリンタ100は、Y(イエロ)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の各色の画像形成部101を備えている。(符号は各色共通である為省略する)
感光ドラム102は、帯電部103によってあらかじめ帯電される。
【0029】
その後、感光ドラム102は、レーザスキャナ104によって、潜像を形成されている。
【0030】
潜像は、現像器105によってトナー像になる。
【0031】
感光ドラム102のトナー像は、一次転写ローラ106によって、像担持体である例えば中間転写ベルト107に順次転写される。
【0032】
転写後、感光ドラム102に残ったトナーは、クリーナ108によって除去される。この結果、感光ドラム102の表面は、清浄になり、次の画像形成に備える。
【0033】
一方、シートPは、給紙カセット109から、1枚ずつ送り出されてレジストローラ対110に送り込まれる。レジストローラ対110は、シートPを一旦受け止めて、シートが斜行している場合、真っ直ぐに直す。そして、レジストローラ対110は、中間転写ベルト107上のトナー像と同期を取って、シートを中間転写ベルト107と二次転写ローラ111との間に送り込む。
【0034】
中間転写ベルト上のカラーのトナー像は、転写体である例えば二次転写ローラ111によってシートPに転写される。その後、シートのトナー像は、シートが定着器112によって、加熱加圧されることでシートに定着される。
【0035】
さらに搬送ガイド部117で搬送されたシートは、切り換えフラッパ113の切り換えにより分岐し、排紙ローラ114を介してシートを画像形成装置100の上部方向に配置されている排紙部115に排出する。このとき排紙されたシートは、画像面側を下にしたフェイスダウンとなる。
【0036】
また、切り換えフラッパ113を前記と反対側に切り替えた場合には、シートPはフェイスアップ(トナー像が上側)で排紙ローラ116によって排出される。
【0037】
(定着装置の詳細)
次に図を用いて、特殊用途に定着する定着後処理装置に関する定着方式について説明する。
【0038】
図3に示す定着手段5では、加圧ローラ11と加熱ローラ12とを圧接配置し、これらの間に挟持搬送されるベルト体15を配置したものである。
【0039】
加圧ローラ11は、熱伝導性の高い金属製円筒ロールに弾性層(例えばJIS−Aゴム硬度が40°程度のシリコーンゴム層)及び離型層(例えばPFA等のフッ素樹脂製チューブ)を被覆形成して構成されている。
【0040】
加熱ローラ12は、熱伝導性の高い金属製円筒ロールに離型層(例えばPFA等のフッ素樹脂製チューブ)を被覆形成し、そのロール内部にハロゲンヒータ12−1を配置したものである。
【0041】
本実施例の場合、該加熱ローラ12の温調温度は200℃に設定されており、4色のトナー像を定着する場合においても良好な定着性を確保している。尚、本発明の主旨からして定着装置の温調温度はこれに限定されるものではない。
【0042】
またベルト体15は、厚さが75μm程度のポリイミドフィルム等からなるベルト基材に離型層(例えば厚さが30μmのPFAチューブ)を形成したものであり、図中矢印b方向に回転駆動される。定着動作の際には前記加熱ローラ12により加熱されて、前記加圧ローラ11に圧接されているもので、転写材Sを該加圧ローラ11に加熱押圧することにより良好な定着性を確保するものである。
【0043】
この本発明において、定着手段5の構成について、図3を用いてもう少し詳しく説明する。同図に示すように前記定着手段5は、前述の加圧ローラ11と加熱ローラ12と、剥離ローラ13と、ステアリングローラ14と、この各ローラ11〜14に架け回されたベルト体15と、該ベルト体15を加圧ローラ11に押圧してニップを形成して同時に加熱作用する前述の加熱ローラ12と、ベルト体15のニップ下流側の部位を冷却する冷却装置16等を備えている。
【0044】
さらに本実施例の定着手段5では、図2に示すように、該冷却装置16に対向し、ベルト体15の外側より冷却風を発生させる冷却ファン6を設け、冷却強化を行なっている。
【0045】
剥離ローラ13は、ベルト体15から転写材Sを自身の剛性により剥離させるためのものである。このローラ13の外形寸法は、ベルト体15と転写材Sの付着力、及びベルト体15の剥離ローラ13への巻き付き角度によって決定される。ステアリングローラ14は、ベルト体15の回転時に発生する片寄り走行によりベルト端部が破損することを防止するためにベルト体15の進行方向を調整するためのものである。具体的には、そのローラ14の一方の軸を位置的に固定し、その他方の軸を図示しない変位機構により加熱ローラ12の軸線に対して傾くように変位させる仕組みになっている。
【0046】
ベルト体15は、熱硬化型のポリイミド製の無端状フィルム(75μm以上)に表面が平滑なシリコーンゴム等の表面層(30μm以上)を被覆形成したものである。冷却装置16は、実際にはベルト体15と密着している転写材Sを冷却するためのものである。この冷却装置16は、加熱ローラ12と剥離ローラ13の間となるベルト体15の内周面領域に配置され、その内周面に接触してベルト体15の熱を吸収するものであり、例えば放熱板等で構成されている。この冷却装置16の冷却目標温度は、使用するトナーや転写材の受像層等の種類等によっても異なるが、一般にベルト体15上の転写材Sの温度が60〜80℃になるような温度である。
【0047】
本発明において特徴的である定着後処理装置1の定着手段5による高光沢画像の作成メカニズムについて説明する。
【0048】
この後処理装置1は、高光沢画像出力用転写材Sを使用し写真調の高光沢な画像をプリント出力するものである。
【0049】
この高光沢用画像出力転写材としては、図4に例示するようにシート状基材51の片面に熱可塑性樹脂からなる透明な受像層52を設けた光沢出力用転写材S1を使用する。このような光沢出力用転写材S1は、その受像層52が形成された面が全面にわたって均一な光沢感を有するものとなる(図4(a)、図4(b))。
【0050】
(定着用後処理装置)
次に画像形成装置に併設され、前記定着部を配置した後処理装置について、図1と図2を用いて説明する。
【0051】
図2に示す後処理装置1は、下部に高光沢用画像出力転写材S1(以下、転写材S1)を積載収納する給紙カセット2と、転写材S1を矢印方向に給紙する給紙手段3を配置しているなお給紙手段3の給紙ローラは、転写材S1に対して最適なローラ材質としている。
【0052】
例えば、シリコンゴム等の材料を用いると良い。通常複写機で使用されているローラ材質は、安価であることからEPDM等のゴム材が使用されている。しかし前記転写材S1の給紙分離には、摩擦係数や耐久性で不十分であることからシリコンゴムが最適であった。
【0053】
給紙手段3から給紙された転写材S1は、画像形成装置100によって画像形成され、上方の排紙部116より、後処理装置1の上部に配置した搬送部4へと搬送される。
【0054】
搬送部4から搬送された転写材S1は、前述した定着手段5によって、画像面を平滑に処理される。さらに定着手段5で冷却し分離された転写材S1は、搬送部8によって排紙トレイ10に排出される。
【0055】
尚本実施例では搬送部8において所定サイズに裁断する裁断部7と、裁断した紙片を収容する紙片収容部9を配置している。
【0056】
この裁断部7は高光沢な出力が得られることから、写真サイズに裁断する機能を備えたものである。しかし裁断機能は製品の仕様によるもので本発明で限定するものではない。
【0057】
さらに、本発明の後処理装置1は、画像形成装置100に対して、位置決め部17と上部に設けた固定部18によって、着脱可能に支持した。
【0058】
ここで、後処理装置1による高光沢画像の出力について説明する。
【0059】
最初に画像形成装置100の操作部より高光沢画像処理が選択されると、後処理装置1の給紙部3より記録シートS1が画像形成装置100へと給送される。
【0060】
次ぎに記録シートS1は、画像形成装置100の画像形成部によってトナー画像が形成され、さらに定着部112で定着され、切り換えフラッパ113によって排紙部116から後処理装置1へと搬送される。
【0061】
トナー画像を定着した記録シートS1は、後処理装置1の定着部5によって画像面が平滑な光沢処理され、搬送部8を通過して、排紙トレイ10に排出される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明を実施した画像形成システムの画像形成装置及び後処理装置の構成図である。
【図2】本発明の後処理装置の断面図。
【図3】本発明の後処理装置に使用する定着手段の断面図。
【図4】本発明の後処理装置に使用する転写材の説明図である。
【符号の説明】
【0063】
100 画像形成装置
1 後処理装置
2 給紙カセット
3 給紙手段
4 搬送部
5 定着手段
6 冷却ファン
7 裁断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録シートにトナーの画像を形成し、該画像を記録シートに定着して排紙部から排紙する画像形成装置と、
専用の記録シートを用いて、トナーの画像を特殊用途に定着処理する後処理装置と
を有し、該後処理装置が該画像形成装置に着脱可能に構成した画像形成システムにおいて、
前記後処理装置には、前記専用の記録シートの収納部と、給紙手段と、
前記画像形成装置から排紙される記録シートの搬送部とを設け、
前記画像形成装置には、前記後処理装置から給紙された記録シートの搬送部と、前記後処理装置へと記録シートを排紙する搬送部とを設けたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記後処理装置の給紙手段から給紙された記録シートは、前記画像形成装置でトナーの画像を形成し定着された後、前記後処理装置へと搬送することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記後処理装置には、加圧ローラと加熱ローラとを圧接配置し、これらの間に挟持搬送されるベルト体とで構成した定着手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−32696(P2010−32696A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193532(P2008−193532)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】