説明

画像形成方法及び画像形成装置、有機感光体及びプロセスカートリッジ

【課題】 本発明の目的は、面発光レーザアレイの露光手段で形成される静電潜像に発生しやすい文字太りや、筋ムラを防止し、高速で、良好な電子写真画像を作製できる画像形成装置、画像形成方法、プロセスカートリッジ及び有機感光体の提供。
【解決手段】 露光手段は縦横、各々3本以上のレーザビーム発光点を有する面発光レーザアレイを露光光源として備え、前記レーザビーム発光点を有機感光体上に走査させて静電潜像を形成させるマルチビーム方式を採用する構成を有しており、有機感光体の導電性支持体から最も離れた位置にある表面層の水に対する接触角が90°以上であり、現像手段に、粒径が0.7×(Dp50)以下のトナー粒子の含有量が8個数%以下であり且つ含水率が0.1〜2.0質量%(30℃、80%RH環境下)であるトナーを含有することを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成に用いる画像形成方法及び画像形成装置に関するものであり、更に詳しくは、複写機やプリンターの分野で用いられる電子写真方式の画像形成に用いる画像形成方法及び画像形成装置、該画像形成方法に用いられる有機感光体、及びプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷分野やカラー印刷の分野において、電子写真方式の複写機やプリンタを使用される機会が増加している。該印刷分野やカラー印刷の分野においては、高画質のデジタルのモノクロ画像或いはカラー画像を求める傾向が強い。このような要求に対し、露光光源の露光ビームを小さくし、高精細のデジタル画像を形成することが提案されている。このような露光方法において、感光体上に細密のドット露光によるドット潜像を形成する場合に、単一の露光ビームを用いると、1ページ分の露光を完了する為に、多大の時間を要することから、多数本のレーザビームで同時に露光する露光手段が検討されている。
【0003】
これらの同時露光の多数本レーザビームに関する公知例としては、面発光レーザアレイを用いた画像形成装置が知られている(特許文献1)
しかしながら、該面発光レーザアレイは、キャビティの容量が小さく、各発光点の露光強度にバラツキが出やすく、これらのバラツキを反映した静電潜像では、文字太りや筋状濃度ムラ(細い線幅の筋状濃度ムラ)が発生しやすい。更に、面発光レーザビームは主走査方向の隣接する境界領域には、露光過不足が発生しやすく、上記文字太りや筋状濃度ムラ(以下、単に筋ムラとも云う)を増幅するけいこうにある。
【0004】
又、高精細の静電潜像をトナー画像として再現する為に、粒度分布を狭くした重合トナーを現像手段に用いることが提案されている(特許文献2)。しかしながら、ここで提案された粒度分布のトナーでは、面発光レーザアレイで発生する文字太りや筋ムラの発生を十分に抑制できていない。
【特許文献1】特開2005−10662号公報
【特許文献2】特開2002−244336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、面発光レーザアレイの露光手段で形成される静電潜像に発生しやすいカブリや画像濃度の劣化、文字太りや、筋ムラを防止し、高速で鮮鋭性が良好な電子写真画像を提供することであり、その為の画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ及び有機感光体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記課題は、面発光レーザアレイの露光手段で形成される静電潜像の小さなバラツキを修正し、なめらかなトナー画像に再現するためには、小さな静電潜像の変化を均一にならすことができる表面特性の有機感光体を用いることが有効であることを見出し、本発明を完成した。即ち、低表面エネルギーの有機感光体を面発光レーザアレイの露光手段と共に採用することにより、小さな静電潜像の変化を均一にならすことができ、本発明の目的を達成することができる。
【0007】
本発明の前記課題は、面発光レーザアレイの露光手段で形成される静電潜像のバラツキに対して、余分なトナー付着の発生させない為に、表面が粗れにくい低表面エネルギーの有機感光体を用いると共に、現像剤に用いるトナーに微小トナー成分を少なくし、且つトナーの含水率を小さくすることが効果的であることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明の目的は以下のような構成を有することにより達成される。
(請求項1)
導電性支持体上に感光層を有する有機感光体と、前記有機感光体を帯電させる帯電工程と、前記帯電工程により帯電された有機感光体に露光して静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成させる現像工程と、前記トナー像を前記有機感光体から中間転写体(中間転写媒体)を介してあるいは介さずして転写材に転写する転写工程とを少なくとも備えている画像形成方法において、前記露光工程は縦横、各々3本以上のレーザビーム発光点を有する面発光レーザアレイを露光光源として備え、前記レーザビーム発光点を前記有機感光体上に走査させて前記静電潜像を形成させるマルチビーム方式を採用する構成を有しており、前記有機感光体は導電性支持体から最も離れた位置にある表面層の水に対する接触角が90°以上であり、前記トナーは、トナー粒子の50%個数粒径をDp50とすると、粒径が0.7×(Dp50)以下のトナー粒子の含有量が8個数%以下であり且つ含水率が0.1〜2.0質量%(30℃、80%RH環境下)であることを特徴とする画像形成方法。
(請求項2)
前記トナーの体積平均粒径が3〜8μmであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
(請求項3)
前記トナーが重合法から作られた重合トナーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
(請求項4)
前記表面層の水に対する接触角のバラツキの範囲が±3°以内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
(請求項5)
前記有機感光体は中間層、電荷発生層、電荷輸送層、必要に応じて保護層をこの順に設けた積層型有機感光体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
(請求項6)
前記面発光レーザアレイは、主走査方向に3行以上、副走査方向に3列以上のレーザビーム発生源が2次元的に配置された構造を有するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成方法。
(請求項7)
導電性支持体上に感光層を有する有機感光体と、前記有機感光体を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段により帯電された有機感光体に露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記有機感光体から中間転写体(中間転写媒体)を介してあるいは介さずして転写材に転写する転写手段とを有する画像形成装置において、前記露光手段は縦横、各々3本以上のレーザビーム発光点を有する面発光レーザアレイを露光光源として備え、前記レーザビーム発光点を前記有機感光体上に走査させて前記静電潜像を形成させるマルチビーム方式を採用する構成を有しており、前記有機感光体は導電性支持体から最も離れた位置にある表面層の水に対する接触角が90°以上の有機感光体であり、現像手段にトナー粒子の50%個数粒径をDp50とすると、粒径が0.7×(Dp50)以下のトナー粒子の含有量が8個数%以下であり且つ含水率が0.1〜2.0質量%(30℃、80%RH環境下)のトナーを具備することを特徴とする画像形成装置。
(請求項8)
請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成方法に用いられる有機感光体であって、導電性支持体から最も離れた位置にある表面層の水に対する接触角が90°以上であることを特徴とする有機感光体。
(請求項9)
請求項7に記載の画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジであって、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段の少なくとも何れか1つと、導電性支持体から最も離れた位置にある表面層の水に対する接触角が90°以上である有機感光体を一体化し、画像形成装置本体に対し一体的に出し入れ可能に形成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【発明の効果】
【0009】
本発明の画像形成方法等を用いることにより、面発光レーザアレイを用いた場合に発生していたカブリや画像濃度の劣化、文字太り、筋ムラの発生を防止でき、中間転写媒体を有する電子写真方式の画像形成方法で、高速で、色再現性が良好な電子写真画像を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の画像形成装置は、導電性支持体上に感光層を有する有機感光体と、前記有機感光体を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段により帯電された有機感光体に露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記有機感光体から中間転写体(中間転写媒体)を介してあるいは介さずして転写材に転写する転写手段とを少なくとも備えている画像形成装置であり、前記露光手段は縦横、各々3本以上のレーザビーム発光点を有する面発光レーザアレイを露光光源として備え、前記レーザビーム発光点を前記有機感光体上に走査させて前記静電潜像を形成させるマルチビーム方式を採用する構成を有しており、前記有機感光体の導電性支持体から最も離れた位置にある表面層の水に対する接触角が90°以上であり、現像手段に用いられるトナー粒子の50%個数粒径をDp50とすると、粒径が0.7×(Dp50)以下のトナー粒子の含有量が8個数%以下であり且つ含水率が0.1〜2.0質量%(30℃、80%RH環境下)であるトナーを含有することを特徴とする。
【0011】
本発明の画像形成装置は、上記構成を有することにより、高速で電子写真画像を作製でき、マルチビーム露光方式で発生しやすいカブリや画像濃度の劣化、文字太り筋ムラを防止でき、色再現性が良好な電子写真画像を提供することができる。
【0012】
本発明に係わる面発光レーザアレイは、発光面に複数のレーザ発光点を有し、一回の露光走査で同時に多数本のレーザ露光を完了できることから、露光時間の大幅な短縮が可能となる。
【0013】
しかしながら、面発光のレーザアレイは、各発光点のレーザ強度がバラツキ易く、この為、筋状の濃度ムラが発生しやすいこと、及び面発光レーザビームは主走査方向の隣接する境界領域が、露光過不足のライン潜像を形成しやすく、その跡に不要なライン画像が発生しやすい等の問題が解決されていない。
【0014】
本発明は、このような面発光レーザアレイを用いた場合に発生しやすい画像欠陥の発生を、表面層を低表面エネルギー状態に構成した有機感光体を用いることにより、防止することができる。以下に、本発明に用いられる有機感光体について記載する。
【0015】
本発明の有機感光体は、導電性支持体から最も離れた位置にある表面層の水に対する接触角が90°以上であることを特徴とする。このような有機感光体と、トナー粒子の50%個数粒径をDp50とすると、粒径が0.7×(Dp50)以下のトナー粒子の含有量が8個数%以下であり且つ含水率が0.1〜2.0質量%(30℃、80%RH環境下)であるトナーを併用することにより、面発光レーザアレイを用いた場合に発生しやすい筋ムラや文字太りの発生を目立たなくし、色再現性が良好な電子写真画像を作製することができる。特に、微小トナー粒子の含有率が小さい本発明に係わるトナーは、帯電量の過不足のトナー粒子の割合が少なくなるので、筋ムラがなめらかに均されたトナー画像が得られやすい。
【0016】
本発明に係わる有機感光体は、純水に対する接触角が90°以上の低表面エネルギーの表面層を有する。更に、該接触角は95°〜115°がより好ましい。
【0017】
静電潜像の微細なバラツキが接触角90°以上の有機感光体を用いるとなめらかなトナー画像に修正される理由は明白ではないが、このような低表面エネルギーの有機感光体は表面が荒れにくく、更に表面がスベリ易いことから、現像時にトナー像が均一にならされると考えている。
【0018】
ここで、有機感光体の接触角の測定法について記載する。
【0019】
接触角及び接触角のバラツキ測定
感光体の表面の接触角は、純水(20℃で抵抗率5〜20MΩ・cmの純水)に対する接触角を全自動接触角計(CA−W型ロール特型:協和界面科学社製)を用いて20℃50%RHの環境下で測定する。水の蒸発による測定値の変化と測定の安定性を両立させる為、水滴滴下後5秒から30秒以内に測定を終了させる。測定はθ/2法による。通常の水滴量範囲内では接触角の値は変化しないが、感光体ドラムの場合軸方向に対して直角の方向からの測定とし、ドラムの曲率に対する偏差を無視するものとする為、滴下量は70μlに設定する。
【0020】
測定個所は円筒状感光体の中央部、左右端部から5cmの位置の3カ所について、それぞれ円周方向90°づつの4カ所、計12カ所を測定し、この平均値を本発明の接触角とし、この平均値から最も大きく正又は負にずれた値をバラツキの値とする。
【0021】
上記のような接触角の表面層を形成するには、平均一次粒径0.02μm以上、0.20μm未満で且つ結晶化度が90%未満の含フッ素樹脂微粒子を表面層に含有させることが好ましい。結晶化度が90%以上では、含フッ素樹脂微粒子の分散性は向上するが、含フッ素樹脂微粒子自体の延展性が小さくなり、接触角のばらつきが大きくなりやすい。また前記結晶化度の下限値は本発明の目的が達成される限り特に制限されるものではないが、含フッ素樹脂微粒子の結晶化度が小さくなりすぎと延展性が過大になり、分散性が劣化しやすいことから、40%以上の結晶化度の含フッ素樹脂微粒子が好ましい。
【0022】
含フッ素樹脂微粒子の結晶化度の測定は広角X線回折測定により、発生した回折ピークを結晶質と非晶質に分離し、ベースライン補正を行なった後、結晶質と非晶質の全X線積分強度(分母)に対する結晶質のX線積分強度(分子)の百分率(%)で表示する。
【0023】
本発明では広角X線回折測定装置及び測定条件を下記のようにして測定したが、同じ結果が得られれば、他の測定装置等を用いてもよい。
【0024】
X線発生装置:Rigaku RU−200B
出力:50kV,150mA
モノクロメータ:グラファイト
線源:CuKα(0.154184nm)
走査範囲:3°≦2θ≦60°
走査方法:θ−2θ
走査速度:2°/min
含フッ素樹脂微粒子の構成材料は含フッ素重合性モノマーの単独重合体または共重合体、または含フッ素重合性モノマーとフッ素フリー重合性モノマーとの共重合体である。含フッ素重合性モノマーは一般式(1);
【0025】
【化1】

【0026】
(一般式(1)中、R4〜R7のうち少なくとも1つの基はフッ素原子であり、残りの基はそれぞれ独立して水素原子、塩素原子、メチル基、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、またはトリフルオロメチル基である)で表されるモノマーである。好ましい含フッ素重合性モノマーとして、四フッ化エチレン、三フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、六フッ化プロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、二フッ化二塩化エチレン等が挙げられる。含フッ素重合性モノマーとして、2種類以上のモノマーが使用されてもよい。
【0027】
フッ素フリー重合性モノマーとして、例えば、塩化ビニル等が挙げられる。フッ素フリー重合性モノマーとして、2種類以上のモノマーが使用されてもよい。
【0028】
含フッ素樹脂微粒子はいずれも、上記構成材料の中で、含フッ素重合性モノマーの単独重合体または共重合体からなることが好ましく、より好ましくはポリ四フッ化エチレン(PTFE)、ポリ三フッ化エチレン、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、特にポリ四フッ化エチレンである。
【0029】
含フッ素樹脂微粒子を構成する重合体の平均分子量は本発明の目的を達成できる限り特に制限されないが、通常はいずれも1万から100万の範囲が好適である。
【0030】
本発明に係わる含フッ素樹脂微粒子の結晶化度は含フッ素樹脂微粒子の構成材料によっても変わるが、含フッ素樹脂微粒子を熱処理することによっても変えられる。例えば、平均一次粒径0.12μmおよび結晶化度91.3のPTFE微粒子(ポリエチレンテレフタレート微粒子)を250℃で65分間加熱処理すると、結晶化度を82.8に低下させることができる。熱処理手段は特に制限されず、公知の乾燥機または加熱炉を使用できる。
【0031】
又、上記含フッ素樹脂微粒子を用いて水に対する接触角が90°以上の表面層を形成するためには、表面層中の含フッ素樹脂微粒子の比率を高くすることが好ましく、質量比でバインダー樹脂100質量部に対し、少なくとも20質量部以上200質量部以下の量で用いることが好ましい。20質量量部未満では接触角の90°以上の表面層を形成するのが難しく、200質量部より多いと表面層が脆弱な膜となり、擦り傷等が発生しやすい。
【0032】
又、接触角のバラツキの範囲が±3.0°以内(より好ましくは±2.0°以内)の表面層を形成するためにも、上記表面層中の含フッ素樹脂微粒子の比率が有効である。
【0033】
又、接触角を90°以上にするには、表面層中のバインダー樹脂としては、ポリシロキサン基を部分構造に有するポリカーボネートやポリアリレートを用いてもよい。特に、下記に示すシロキサン基を部分構造に有するシロキサン変成ポリカーボネートが好ましい。
【0034】
【化2】

【0035】
【化3】

【0036】
【化4】

【0037】
【化5】

【0038】
分子量は10,000〜100,000が好ましい。
【0039】
上記ポリシロキサン部分構造を有するポリカーボネートとは、ポリカーボネートの基本構造の中に、部分構造としてポリシロキサンを含有するものであり、このようなポリカーボネートを用いた有機感光体は、接触角が90°以上の低表面エネルギーの均一な表面層を形成でき、クリーニング部材等との摩擦により発生しやすい表面層の凹凸を防止し、筋ムラの発生を目立たなくしたハーフトーン画像を形成することができる。その結果、文字太りや筋ムラ或いは画像ムラが防止された電子写真画像を作製することができる。
【0040】
上記ポリシロキサン部分構造を有するポリカーボネートは表面層を形成する主要バインダー樹脂として用いられ、表面層の全樹脂中に占める割合が50質量%以上であることが好ましい。
【0041】
又、上記含フッ素樹脂微粒子とポリシロキサン部分構造を有するポリカーボネートを併用するとより接触角のバラツキが小さくなりやすい。
【0042】
上記シロキサン部分構造を有するポリカーボネート以外にも、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂等を併用して用いることもできる。
【0043】
上記表面層の作製に用いられるシロキサン部分構造を持つポリカーボネートの濃度は表面層全質量の10〜70質量%が好ましい。10質量%未満だと安定した低表面エネルギーの表面層が得られず、70質量%より多いと表面層の電荷輸送性が低下し、電位安定性が失われる。
【0044】
本発明に係わる有機感光体は表面の接触角が90°以上である。又、接触角のバラツキの範囲は、±3.0°以内であることが好ましい。このような接触角及び接触角のバラツキ特性を有することにより、感光体の表面摩耗を小さくでき、且つ表面がスベリ易いことから筋ムラの発生を防止することができる。
【0045】
次に、本発明の電子写真感光体の構成について記載する。
【0046】
本発明の電子写真感光体は有機感光体が好ましい。本発明の表面層は、有機感光体の表面層を形成する電荷輸送層、或いは保護層等に適用することが好ましい。以下、本発明の表面層を用いた有機感光体を中心に説明する。
【0047】
本発明において、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能のいずれか一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機電子写真感光体を全て含有する。
【0048】
有機感光体の層構成は、特に限定はないが、電荷発生層、電荷輸送層、或いは電荷発生・電荷輸送層(電荷発生と電荷輸送の機能を同一層に有する層)等の感光層とその上に必要により、保護層を塗設した構成をとるのが好ましい。
【0049】
導電性支持体
本発明の感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状、円筒状のどちらを用いても良いが、画像形成装置をコンパクトに設計するためには円筒状導電性支持体の方が好ましい。
【0050】
円筒状導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真円度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0051】
導電性の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。
【0052】
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/L、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/L、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
【0053】
中間層
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、バリヤー機能を備えた中間層を設けることもできる。
【0054】
本発明においては導電性支持体と前記感光層のとの接着性改良、或いは該支持体からの電荷注入を防止するために、該支持体と前記感光層の間に中間層(下引層も含む)を設けることもできる。該中間層の材料としては、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂が挙げられる。これら下引き樹脂の中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さくできる樹脂としてはポリアミド樹脂が好ましい。又、これら樹脂を用いた中間層の膜厚は0.01〜0.5μmが好ましい。
【0055】
又本発明に好ましく用いられる中間層はシランカップリング剤、チタンカップリング剤等の有機金属化合物を熱硬化させた硬化性金属樹脂を用いた中間層が挙げられる。硬化性金属樹脂を用いた中間層の膜厚は、0.1〜2μmが好ましい。
【0056】
又、本発明に好ましく用いられる中間層としては疎水化表面処理を行った酸化チタン微粒子(平均粒径が0.01〜1μm)をポリアミド樹脂等のバインダーに分散させた中間層が挙げられる。該中間層の膜厚は、1〜15μmが好ましい。
【0057】
感光層
本発明の感光体の感光層構成は前記中間層上に電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に持たせた単層構造の感光層構成でも良いが、より好ましくは感光層の機能を電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に分離した構成をとるのがよい。機能を分離した構成を取ることにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。負帯電用の感光体では中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)の構成を取ることが好ましい。正帯電用の感光体では前記層構成の順が負帯電用感光体の場合の逆となる。本発明の最も好ましい感光層構成は前記機能分離構造を有する負帯電感光体構成である。
【0058】
以下に機能分離負帯電感光体の感光層構成について説明する。
【0059】
電荷発生層
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
【0060】
電荷発生物質(CGM)としては公知の電荷発生物質(CGM)を用いることができる。例えばフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを用いることができる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCGMは複数の分子間で安定な凝集構造をとりうる立体、電位構造を有するものであり、具体的には特定の結晶構造を有するフタロシアニン顔料、ペリレン顔料のCGMが挙げられる。例えばCu−Kα線に対するブラッグ角2θが27.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン、同2θで、少なくとも7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、28.1°の位置に特徴的な回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料、同2θで、少なくとも7.4°、16.6°、25.5°、28.3°の位置に特徴的な回折ピークを有するクロルガリウムフタロシアニン顔料、同2θで、少なくとも6.8°、12.8°、15.8°、26.6°の位置に特徴的な回折ピークを有するガリウムフタロシアニン顔料、同2θで、12.4に最大ピークを有するベンズイミダゾールペリレン等のCGMは繰り返し使用に伴う劣化がほとんどなく、残留電位増加小さくすることができる。
【0061】
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.01μm〜2μmが好ましい。
【0062】
電荷輸送層
電荷輸送層が有機感光体の表面層となる場合は、電荷輸送層に本発明の表面層を適用することが好ましい。
【0063】
電荷輸送層には電荷輸送物質(CTM)及びCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。該バインダー樹脂として、本発明のシロキサン部分構造を持つポリカーボネートと重合性官能基を有する化合物から得られた重合体溶液を塗布液成分として用い、その他の物質として、酸化防止剤等の添加剤を必要により含有させてることが好ましい。
【0064】
電荷輸送物質(CTM)としては公知の電荷輸送物質(CTM)を用いることができる。例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを用いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCTMは高移動度で、且つ組み合わされるCGMとのイオン化ポテンシャル差が0.5(eV)以下の特性を有するものであり、好ましくは0.25(eV)以下である。
【0065】
CGM、CTMのイオン化ポテンシャルは表面分析装置AC−1(理研計器社製)で測定される。
【0066】
電荷輸送層が表面層とならない場合は、電荷輸送層(CTL)に用いられる樹脂としては、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂とうが挙げられる。又、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。特にポリカーボネートが電子写真特性(帯電性、感度等)を良好に保つ上で好ましい。
【0067】
表面層(保護層)
前記した表面層を有機感光体の表面に形成する。又、該表面層に電荷輸送物質、酸化防止剤、塗布助剤等の添加剤を加えて調製し、表面層を形成してもよい。電子写真特性(帯電性、感度等)を良好に維持する為には、表面層にも電荷輸送層、酸化防止剤等を存在させる方がより好ましい。
【0068】
又、表面層には酸化防止剤を含有させることが好ましい。該酸化防止剤とは、その代表的なものは有機感光体中ないしは有機感光体表面に存在する自動酸化性物質に対して、光、熱、放電等の条件下で酸素の作用を防止ないし、抑制する性質を有する物質である。代表的には下記の化合物群が挙げられる。
【0069】
【化6】

【0070】
【化7】

【0071】
【化8】

【0072】
【化9】

【0073】
中間層、感光層、保護層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0074】
次に本発明の電子写真感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお本発明の樹脂層は前記円形量規制型塗布加工方法を用いるのが最も好ましい。前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0075】
以下、本発明に用いられるトナーについて記載する。
【0076】
本発明に係わる現像剤は、トナー粒子の50%個数粒径をDp50とすると、粒径が0.7×(Dp50)以下のトナー粒子の含有量が8個数%以下であり且つ含水率が0.1〜2.0質量%(30℃、80%RH環境下)であるトナーを含有する。
【0077】
このようなトナーと、接触角が90°以上の有機感光体を併用することにより、面発光レーザで形成されるドット潜像がくっきりとしたトナー画像として再現され、又、面発光レーザで発生しやすい筋ムラが低表面エネルギーの有機感光体上で均されて、なめらかなハーフトーン画像に再現される。
【0078】
粒径0.7×(Dp50)以下のトナー粒子の含有量が8個数%を越えると小粒径成分の存在比率が増大し、弱帯電トナーの増加や逆極性のトナーの発生、あるいは過帯電トナーの発生などの原因となる。その結果、カブリの発生や筋ムラが発生しやすく、カラー画像では色再現性が劣化しやすい。
【0079】
又、トナーの含水率は、トナーの帯電性及び帯電保持性に強く関連し、本発明では、上記分布特性を有するトナーでは、含水率が0.1〜2.0質量%の範囲で、トナーの帯電立ち上がり及び帯電保持性が良好であることが見出された。含水量が0.1質量%未満では帯電立ち上がり特性が低下し、弱帯電トナーが発生しやすく、カブリや文字太りの発生や筋ムラが発生しやすく、カラー画像では色再現性が劣化しやすい。一方、含水率が2.0質量%を超えると、トナーの電荷保持性が低下し、カブリが発生しやすく、カラー画像では色再現性が劣化しやすい。
【0080】
更に、本発明に係わるトナーの粒度分布は、50%体積粒径(Dv50)と50%個数粒径(Dp50)の比(Dv50/Dp50)が1.0〜1.11が好ましく、より好ましくは1.0〜1.10がよい。
【0081】
また、トナー粒子の大きい方からの累積75%体積粒径(Dv75)と累積75%個数粒径(Dp75)の比(Dv75/Dp75)が1.0〜1.10であることが好ましい。1.10を越える場合には小粒径成分の存在比率が増大し、弱帯電成分の増加や逆極性のトナーの発生、あるいは過帯電成分の発生などの原因となる。その結果、カブリや文字太りの発生や筋ムラが発生しやすく、カラー画像では色再現性が劣化しやすい。
【0082】
なお、トナーの体積平均粒径、即ち、上記50%体積粒径(Dv50)は2〜9μm、より好ましくは3〜7μmであることが望ましい。この範囲とすることにより、解像度を高くすることができる。さらに上記の範囲と組み合わせることにより、小粒径トナーでありながら、微細な粒径のトナーの存在量を少なくすることができ、長期に亘ってドット画像の再現性が改善され、色再現性の良好な、安定した画像を形成することができる。
【0083】
本発明において、大きい方からの累積75%体積粒径(Dv75)或いは累積75%個数粒径(Dp75)とは、粒径の大きな方からの頻度を累積し、全体積の和或いは個数の和に対して、それぞれが75%を示す粒径分布部位の体積粒径或いは個数粒径で表す。
【0084】
本発明において、粒度分布、50%体積粒径(Dv50)、50%個数粒径(Dp50)、累積75%体積粒径(Dv75)、累積75%個数粒径(Dp75)等は、シースフロー電気抵抗式粒度分布測定装置SD−2000を用いて測定することができる。通常アパーチャー径=100μmのアパーチャーを用いて2.0〜40μmの範囲における粒径分布を測定するが、更に小粒径の部分を測定する場合、30μmのアパーチャー径を用いる。
【0085】
尚、静電潜像を乾式現像で顕像化する技術分野においては、少なくとも着色剤と樹脂よりなる着色粒子(トナー粒子の原型)に、外添剤等を加えたものをトナーとして用いている。しかし、特に問題がない限り着色粒子とトナーとをあまり区別せず、記載しているのが一般的である。本発明におけるその粒径および粒径分布においても、着色粒子とトナー粒子の何れを測定してもその測定値に変化はない。
【0086】
また、外添剤等の径粒はnmオーダーであり(数平均1次粒子)、光散乱電気泳動粒径測定装置「ELS−800」(大塚電子工業株式会社製)で測定することが出来る。
【0087】
以下、前記した粒度分布を示す本発明に用いられるトナーの構成及び製造方法について詳細に説明する。
【0088】
〈トナー〉
本発明に用いるトナーは、粉砕トナーでも、重合トナーでも、前記範囲に作製されたトナーであればよいが、本発明に係わるトナーとしては、安定した粒度分布を得られる観点から、重合法で作製できる重合トナーが好ましい。
【0089】
重合トナーとはトナー用のバインダー樹脂(樹脂粒子)の生成とトナー形状がバインダー樹脂の原料モノマーの重合と、必要によりその後の化学的処理により形成されるトナーを意味する。より具体的には懸濁重合、乳化重合等の重合反応と、必要によりその後に行われる粒子同士の融着工程を経て形成されるトナーを意味する。
【0090】
本発明では、トナーとして離型剤を含有する樹脂粒子と着色剤とを塩析/融着させて得られた会合型トナーを使用することが好ましい。
【0091】
この理由としては前記のような粒度分布を示すトナーを製造出来ることに加え会合型トナーはトナー粒子間の表面性が均質なものとなっており、転写性を損なうことなく、本発明の効果を発揮することができたものと推定される。
【0092】
上記の「塩析/融着」とは、塩析(粒子の凝集)と融着(粒子間の界面消失)とが同時に起こること、または、塩析と融着とを同時に起こさせる行為をいう。塩析と融着とを同時に行わせるためには、樹脂粒子を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)以上の温度条件下において粒子(樹脂粒子、着色剤)を凝集させる必要がある。
【0093】
〈離型剤〉
本発明に係わるトナーを構成する離型剤としては、特に限定されるものではないが、下記一般式(2)で示される結晶性のエステル化合物(以下、「特定のエステル化合物」という。)からなるものであることが好ましい。
【0094】
一般式(2):R1−(OCO−R2n
(式中、R1およびR2は、それぞれ、置換基を有していてもよい炭素数が1〜40の炭化水素基を示し、nは1〜4の整数である。)
〈特定のエステル化合物〉
特定のエステル化合物を示す一般式(2)において、R1およびR2は、それぞれ、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。
【0095】
炭化水素基R1の炭素数は1〜40とされ、好ましくは1〜20、更に好ましくは2〜5とされる。
【0096】
炭化水素基R2の炭素数は1〜40とされ、好ましくは16〜30、更に好ましくは18〜26とされる。
【0097】
また、一般式(2)において、nは1〜4の整数とされ、好ましくは2〜4、さらに好ましくは3〜4、特に好ましくは4とされる。
【0098】
特定のエステル化合物は、アルコールとカルボン酸との脱水縮合反応により好適に合成することができる。
【0099】
最も好適な特定のエステル化合物としては、ペンタエリスリトールテトラベヘン酸エステルを挙げることができる。
【0100】
特定のエステル化合物の具体例としては、下記式1)〜26)に示す化合物を例示することができる。
【0101】
【化10】

【0102】
【化11】

【0103】
〈離型剤の含有割合〉
本発明に係わるトナーにおける離型剤の含有割合としては、通常1〜30質量%とされ、好ましくは2〜20質量%、更に好ましくは3〜15質量%とされる。
【0104】
〈離型剤を含有する樹脂粒子〉
本発明において「離型剤を含有する樹脂粒子」は、樹脂粒子を得るための単量体中に離型剤を溶解させ、得られる単量体溶液を水系媒体中に分散させ、この系を重合処理することにより、ラテックス粒子として得ることができる。
【0105】
かかる樹脂粒子の重量平均粒径は50〜2000nmであることが好ましい。
【0106】
離型剤を含有する樹脂粒子を得るための重合法としては、乳化重合法、懸濁重合法、シード重合法などの造粒重合法を挙げることができる。
【0107】
離型剤を含有する樹脂粒子を得るための好ましい重合法としては、臨界ミセル濃度以下の濃度の界面活性剤を溶解してなる水系媒体中に、単量体中に離型剤を溶解してなる単量体溶液を、機械的エネルギーを利用して油滴分散させて分散液を調製し、得られた分散液に水溶性重合開始剤を添加して、ラジカル重合させる方法(以下、この明細書において「ミニエマルジョン法」という。)を挙げることができる。なお、水溶性重合開始剤を添加することに代えて、または、当該水溶性重合開始剤を添加するとともに、油溶性の重合開始剤を前記単量体溶液中に添加してもよい。
【0108】
ここに、機械的エネルギーによる油滴分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではないが、例えば、高速回転するローターを備えた攪拌装置「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム−テクニック(株)社製)、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリンおよび圧力式ホモジナイザーなどを挙げることができる。また、分散粒子径としては、10〜1000nmとされ、好ましくは30〜300nmとされる。
【0109】
〈バインダー樹脂〉
本発明に係わるトナーを構成するバインダー樹脂は、GPCにより測定される分子量分布で100,000〜1,000,000の領域にピークまたは肩を有する高分子量成分と、1,000〜20,000の領域にピークまたは肩を有する低分子量成分とを含有する樹脂であることが好ましい。
【0110】
ここに、GPCによる樹脂の分子量の測定方法としては、測定試料0.5〜5.0mg(具体的には1mg)に対してTHFを1ml加え、マグネチックスターラーなどを用いて室温にて撹拌を行って十分に溶解させる。次いで、ポアサイズ0.45〜0.50μmのメンブランフィルターで処理した後にGPCへ注入する。
【0111】
GPCの測定条件としては、40℃にてカラムを安定化させ、THFを毎分1mlの流速で流し、1mg/mlの濃度の試料を約100μl注入して測定する。カラムは、市販のポリスチレンジェルカラムを組み合わせて使用することが好ましい。例えば、昭和電工社製のShodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807の組合せや、東ソー社製のTSKgelG1000H、G2000H,G3000H,G4000H,G5000H,G6000H,G7000H,TSK guard columnの組合せなどを挙げることができる。また、検出器としては、屈折率検出器(IR検出器)またはUV検出器を用いるとよい。試料の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作製した検量線を用いて算出する。検量線作製用のポリスチレンとしては10点程度用いるとよい。
【0112】
以下、樹脂粒子の構成材料および調製方法(重合方法)について説明する。
〔単量体〕
樹脂粒子(バインダー樹脂)を得るために使用する重合性単量体としては、ラジカル重合性単量体を必須の構成成分とし、必要に応じて架橋剤を使用することができる。また、以下の酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体を少なくとも1種類含有させることが好ましい。
(1)ラジカル重合性単量体:
ラジカル重合性単量体としては、特に限定されるものではなく従来公知のラジカル重合性単量体を用いることができる。また、要求される特性を満たすように、1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
【0113】
具体的には、芳香族系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を用いることができる。
【0114】
芳香族系ビニル単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体が挙げられる。
【0115】
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
【0116】
ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。
【0117】
ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0118】
モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
【0119】
ジオレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
【0120】
ハロゲン化オレフィン系単量体としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等が挙げられる。
【0121】
(2)架橋剤:
架橋剤としては、トナーの特性を改良するためにラジカル重合性架橋剤を添加しても良い。ラジカル重合性架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
【0122】
(3)酸性基または塩基性基を有するラジカル重合性単量体:
酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、例えば、カルボキシル基含有単量体、スルホン酸基含有単量体、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等のアミン系の化合物を用いることができる。
【0123】
酸性基を有するラジカル重合性単量体としては、カルボン酸基含有単量体として、アクリル酸、メタクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル等が挙げられる。
【0124】
スルホン酸基含有単量体としては、スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル等が挙げられる。
【0125】
これらは、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩あるいはカルシウムなどのアルカリ土類金属塩の構造であってもよい。
【0126】
塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、アミン系の化合物が挙げられ、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、および上記4化合物の4級アンモニウム塩、3−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド;ビニルピリジン、ビニルピロリドン;ビニルN−メチルピリジニウムクロリド、ビニルN−エチルピリジニウムクロリド、N,N−ジアリルメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。
【0127】
本発明に用いられるラジカル重合性単量体としては、酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体が単量体全体の0.1〜15質量%使用することが好ましく、ラジカル重合性架橋剤はその特性にもよるが、全ラジカル重合性単量体に対して0.1〜10質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0128】
〔連鎖移動剤〕
樹脂粒子の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることが可能である。
【0129】
連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく例えばオクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル等のメルカプトプロピオン酸エステル類、四臭化炭素およびスチレンダイマー等が使用される。
【0130】
〔重合開始剤〕
本発明に用いられるラジカル重合開始剤は水溶性であれば適宜使用が可能である。例えば過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。
【0131】
更に上記ラジカル性重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とする事が可能である。レドックス系開始剤を用いる事で、重合活性が上昇し重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が期待できる。
【0132】
重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であればどの温度を選択しても良いが例えば50℃から90℃の範囲が用いられる。但し、常温開始の重合開始剤、例えば過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸等)の組み合わせを用いる事で、室温またはそれ以上の温度で重合する事も可能である。
【0133】
〔界面活性剤〕
前述のラジカル重合性単量体を使用して重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行う必要がある。この際に使用することのできる界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適なものの例として挙げることができる。
【0134】
イオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
【0135】
また、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等を挙げることができる。
【0136】
〈着色剤〉
本発明に係わるトナーを構成する着色剤としては無機顔料、有機顔料、染料を挙げることができる。
【0137】
無機顔料としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な無機顔料を以下に例示する。
【0138】
黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
【0139】
これらの無機顔料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0140】
磁性トナーとして使用する際には、前述のマグネタイトを添加することができる。この場合には所定の磁気特性を付与する観点から、トナー中に20〜60質量%添加することが好ましい。
【0141】
有機顔料及び染料としても従来公知のものを用いることができる。具体的な有機顔料及び染料を以下に例示する。
【0142】
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0143】
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156等が挙げられる。
【0144】
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0145】
また、染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いる事ができ、またこれらの混合物も用いる事ができる。
【0146】
これらの有機顔料及び染料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0147】
着色剤は表面改質して使用することもできる。その表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等が好ましく用いることができる。
【0148】
〈外添剤〉
本発明に係わるトナーには、流動性、帯電性の改良およびクリーニング性の向上などの目的で、いわゆる外添剤を添加して使用することができる。これら外添剤としては特に限定されるものでは無く、種々の無機微粒子、有機微粒子及び滑剤を使用することができる。
【0149】
無機微粒子としては、従来公知のものを使用することができる。具体的には、シリカ、チタン、アルミナ微粒子等が好ましく用いることができる。これら無機微粒子としては疎水性のものが好ましい。具体的には、シリカ微粒子として、例えば日本アエロジル社製の市販品R805、R976、R974、R972、R812、R809、ヘキスト社製のHVK2150、H200、キャボット社製の市販品TS720、TS530、TS610、H5、MS5等が挙げられる。
【0150】
チタン微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
【0151】
アルミナ微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等が挙げられる。
【0152】
また、有機微粒子としては数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。このものとしては、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体を使用することができる。
【0153】
滑剤には、例えばステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
【0154】
これら外添剤の添加量は、トナーに対して0.1〜5質量%が好ましい。
【0155】
本発明に係わるトナーは、離型剤を含有する樹脂粒子と、着色剤とを水系媒体中で塩析/融着させて得られる会合型のトナーであることが好ましい。このように、離型剤を含有する樹脂粒子を塩析/融着させることで、離型剤が微細に分散されたトナーを得ることができ、且つ、粒径分布の効果に加えて帯電性の安定化等の効果を発揮することができる。
【0156】
そして、本発明に係わるトナーは、その製造時から表面に凹凸がある形状を有しており、さらに、樹脂粒子と着色剤とを水系媒体中で融着して得られる会合型のトナーであるために、トナー粒子間における形状および表面性の差がきわめて小さく、結果として表面性が均一となりやすい。このためにトナー間での転写性、帯電性に差異を生じにくく、画像を良好に保つことができるものである。
【0157】
〈トナーの製造工程〉
本発明に係わるトナーを製造する方法の一例としては、
(1)単量体に離型剤を溶解して単量体溶液を調製する溶解工程、
(2)得られる単量体溶液を水系媒体中に分散する分散工程、
(3)得られる単量体溶液の水系分散系を重合処理することにより、離型剤を含有する樹脂粒子の分散液(ラテックス)を調製する重合工程、
(4)得られる樹脂粒子と、前記着色剤とを水系媒体中で塩析/融着させて会合粒子(トナー粒子)を得る塩析/融着工程、
(5)得られる会合粒子を水系媒体中より濾別し、当該会合粒子から界面活性剤などを洗浄除去する濾過・洗浄工程、
(6)洗浄処理された会合粒子の乾燥工程から構成され、
(7)乾燥処理された会合粒子に外添剤を添加する外添剤添加工程が含まれていてもよい。
【0158】
〔溶解工程〕
単量体に離型剤を溶解する方法としては特に限定されるものではない。
【0159】
単量体への離型剤の溶解量としては、最終的に得られるトナーにおける離型剤の含有割合が1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%、更に好ましくは3〜15質量%となる量とされる。
【0160】
なお、この単量体溶液中に、油溶性重合開始剤および他の油溶性の成分を添加することもできる。
【0161】
〔分散工程〕
単量体溶液を水系媒体中に分散させる方法としては、特に限定されるものではないが、機械的エネルギーにより分散させる方法が好ましく、特に、臨界ミセル濃度以下の濃度の界面活性剤を溶解してなる水系媒体中に、機械的エネルギーを利用して単量体溶液を油滴分散させること(ミニエマルジョン法における必須の態様)が好ましい。
【0162】
ここに、機械的エネルギーによる油滴分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではないが、例えば「クレアミックス」、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリンおよび圧力式ホモジナイザーなどを挙げることができる。また、分散粒子径としては、10〜1000nmとされ、好ましくは30〜300nmとされる。
【0163】
〔重合工程〕
重合工程においては、基本的には従来公知の重合法(乳化重合法、懸濁重合法、シード重合法などの造粒重合法)を採用することができる。
【0164】
好ましい重合法の一例としては、ミニエマルジョン法、すなわち、臨界ミセル濃度以下の濃度の界面活性剤を溶解してなる水系媒体中に、機械的エネルギーを利用して単量体溶液を油滴分散させて得られる分散液に水溶性重合開始剤を添加して、ラジカル重合させる方法を挙げることができる。
【0165】
〔塩析/融着工程〕
塩析/融着工程においては、上記の重合工程により得られる樹脂粒子の分散液に着色剤の分散液を添加し、前記樹脂粒子と、前記着色剤とを水系媒体中で塩析/融着させる。
【0166】
また、当該塩析/融着工程においては、樹脂粒子および着色剤とともに、荷電制御剤などの内添剤粒子なども融着させることもできる。
【0167】
塩析/融着工程における「水系媒体」とは、主成分(50質量%以上)が水からなるものをいう。ここに、水以外の成分としては、水に溶解する有機溶媒を挙げることができ、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらのうち、樹脂を溶解しない有機溶媒であるメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール系有機溶媒が特に好ましい。
【0168】
塩析/融着工程に使用される着色剤は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理は、水中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われる。
【0169】
着色剤の分散処理に使用する分散機は特に限定されないが、好ましくは「クレアミックス」、超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。また、使用される界面活性剤としては、前述の界面活性剤と同様のものを挙げることができる。
【0170】
なお、着色剤(粒子)は表面改質されていてもよい。着色剤の表面改質法は、溶媒中に着色剤を分散させ、その分散液中に表面改質剤を添加し、この系を昇温することにより反応させる。反応終了後、着色剤を濾別し、同一の溶媒で洗浄濾過を繰り返した後、乾燥することにより、表面改質剤で処理された着色剤(顔料)が得られる。
【0171】
塩析/融着法は、樹脂粒子と着色剤とが存在している水中に、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩等からなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、次いで、前記樹脂粒子のガラス転移点以上に加熱することで塩析を進行させると同時に融着を行う工程である。この工程では、水に無限溶解する有機溶媒を添加してもよい。
【0172】
ここで、塩析剤であるアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩は、アルカリ金属として、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられ、好ましくはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが挙げられる。また塩を構成するものとしては、塩素塩、臭素塩、沃素塩、炭酸塩、硫酸塩等が挙げられる。
【0173】
さらに、前記水に無限溶解する有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトン等があげられるが、炭素数が3以下のメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールのアルコールが好ましく、特に、2−プロパノールが好ましい。
【0174】
塩析/融着工程においては、塩析剤を添加した後に放置する時間(加熱を開始するまでの時間)をできるだけ短くすることが好ましい。すなわち、塩析剤を添加した後、樹脂粒子および着色剤の分散液の加熱をできるだけ速やかに開始し、樹脂粒子のガラス転移温度以上とすることが好ましい。
【0175】
この理由としては明確ではないが、塩析した後の放置時間によって、粒子の凝集状態が変動し、粒径分布が不安定になったり、融着させたトナーの表面性が変動したりする問題が発生する。
【0176】
加熱を開始するまでの時間(放置時間)は、通常30分以内とされ、好ましくは10分以内である。
【0177】
塩析剤を添加する温度は特に限定されないが、樹脂粒子のガラス転移温度以下であることが好ましい。
【0178】
また、塩析/融着工程においては、加熱により速やかに昇温させる必要があり、昇温速度としては、1℃/分以上とすることが好ましい。昇温速度の上限は、特に限定されないが、急速な塩析/融着の進行による粗大粒子の発生を抑制する観点から15℃/分以下とすることが好ましい。
【0179】
さらに、樹脂粒子および着色剤の分散液が前記ガラス転移温度以上の温度に到達した後、当該分散液の温度を一定時間保持することにより、塩析/融着を継続させることが肝要である。これにより、トナー粒子の成長(樹脂粒子および着色剤の凝集)と、融着(粒子間の界面消失)とを効果的に進行させることができ、最終的に得られるトナーの耐久性を向上することができる。
【0180】
また、会合粒子の成長を停止させた後に、加熱による融着を継続させてもよい。
【0181】
〔濾過・洗浄工程〕
この濾過・洗浄工程では、上記の工程で得られたトナー粒子の分散液から当該トナー粒子を濾別する濾過処理と、濾別されたトナー粒子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。
【0182】
ここに、濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法など特に限定されるものではない。
【0183】
〔乾燥工程〕
この工程は、洗浄処理されたトナー粒子を乾燥処理する工程である。
【0184】
この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、攪拌式乾燥機などを使用することが好ましい。
【0185】
乾燥処理されたトナー粒子の含水率は、2質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは1.5質量%以下とされる。
【0186】
なお、乾燥処理されたトナー粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
【0187】
〔外添剤の添加工程〕
この工程は、乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する工程である。
【0188】
外添剤を添加するために使用される装置としては、タービュラーミキサー、ヘンシエルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を挙げることができる。
【0189】
さらに、本発明に係わるトナーは、0.7×(Dp50)以下の粒径のトナーが8個数%以下である。この範囲に粒径分布を調整するためには、塩析/融着段階での温度制御を狭くすることがよい。具体的にはできるだけすばやく昇温する、すなわち、昇温を速くすることである。この条件としては、前述の条件に示したものであり、昇温までの時間としては30分未満、好ましくは10分未満、さらに、昇温速度としては、1〜15℃/分が好ましい。
【0190】
本発明に係わるトナーは、着色剤、離型剤以外にトナー用材料として種々の機能を付与することのできる材料を加えてもよい。具体的には荷電制御剤等が挙げられる。これらの成分は前述の塩析/融着段階で樹脂粒子と着色剤と同時に添加し、トナー中に包含する方法、樹脂粒子自体に添加する方法等種々の方法で添加することができる。
【0191】
荷電制御剤も同様に種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
【0192】
本発明に係わるトナーの含水率は0.1〜2.0質量%である。トナーの含水量は以下のような方法により調整することができる。
【0193】
具体的なトナー含水率調整方法;
1)トナー特にそのバインダー樹脂の疎水成分を増量する。バインダー樹脂の構成成分中、疎水性の強いスチレン成分を全モノマー中50質量%以上占めるようにする。特に好ましくは60%以上、更に、好ましくは70%以上がよい。
【0194】
2)トナーの外添剤の含水率を下げる。それには後記するように外添剤の疎水化度を高くするのが効果的である。外添剤の疎水化度が60以上のものを使用するのが望ましい。
【0195】
3)表面に存在する非極性の離型剤量を多くするのも有効な方法である。それには特にポリオレフィン系ワックスを使用すると好適であり、表面に存在するポリオレフィンの量を増加させるためには、機械式粉砕機を使用し、破砕時に摩擦熱を付与しトナー表面にブリードアウトさせる方法がある。
【0196】
4)トナー表面のカルボン酸量を調整する。
【0197】
含水率の範囲
本発明に係わるトナーは30℃、80%RH(相対湿度)環境における含水率が0.1〜2.0質量%である。より好ましくは0.2〜1.8質量%である。
【0198】
トナーの含水率の測定法
トナーをフィッシャーサンプル瓶に入れ開封したまま、30℃、80%RH環境に72時間放置する。放置後密栓をし、カールフィッシャー法により測定する。測定器は平沼式自動微量水分測定器AQS−724で、測定条件としては、気化温度を110℃、気化時間を25秒とする。
【0199】
〈現像剤〉
本発明に係わるトナーは、一成分現像剤でも二成分現像剤として用いてもよい。
【0200】
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤、あるいはトナー中に0.1〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤としたものがあげられ、いずれも使用することができる。
【0201】
又、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。この場合は、キャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いることが出来る。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは25〜80μmのものがよい。
【0202】
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0203】
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0204】
次に、本発明の画像形成装置について説明する。
【0205】
図1に示す画像形成装置1は、デジタル方式による画像形成装置であって、画像読取り部A、画像処理部B、画像形成部C、転写紙搬送手段としての転写紙搬送部Dから構成されている。
【0206】
画像読取り部Aの上部には原稿を自動搬送する自動原稿送り手段が設けられていて、原稿載置台11上に載置された原稿は原稿搬送ローラ12によって1枚宛分離搬送され読み取り位置13aにて画像の読み取りが行われる。原稿読み取りが終了した原稿は原稿搬送ローラ12によって原稿排紙皿14上に排出される。
【0207】
一方、プラテンガラス13上に置かれた場合の原稿の画像は走査光学系を構成する照明ランプ及び第1ミラーから成る第1ミラーユニット15の速度vによる読み取り動作と、V字状に位置した第2ミラー及び第3ミラーから成る第2ミラーユニット16の同方向への速度v/2による移動によって読み取られる。
【0208】
読み取られた画像は、投影レンズ17を通してラインセンサである撮像素子CCDの受光面に結像される。撮像素子CCD上に結像されたライン状の光学像は順次電気信号(輝度信号)に光電変換されたのちA/D変換を行い、画像処理部Bにおいて濃度変換、フィルタ処理などの処理が施された後、画像データは一旦メモリに記憶される。
【0209】
画像形成部Cでは、画像形成ユニットとして、像担持体であるドラム状の感光体21と、その外周に、該感光体21を帯電させる帯電手段(帯電工程)22、帯電した感光体の表面電位を検出する電位検出手段220、現像手段(現像工程)23、転写手段(転写工程)である転写搬送ベルト装置45、前記感光体21のクリーニング装置(クリーニング工程)26及び光除電手段(光徐電工程)としてのPCL(プレチャージランプ)27が各々動作順に配置されている。また、現像手段23の下流側には感光体21上に現像されたパッチ像の反射濃度を測定する反射濃度検出手段222が設けられている。感光体21には、本発明に係わる有機感光体を使用し、図示の時計方向に駆動回転される。
【0210】
回転する感光体21へは帯電手段22による一様帯電がなされた後、像露光手段(像露光工程)30としての露光光学系により画像処理部Bのメモリから呼び出された画像信号に基づいた像露光が行われる。書き込み手段である像露光手段30としての露光光学系は図示しないレーザダイオードを発光光源とし、回転するポリゴンミラー31、fθレンズ34、シリンドリカルレンズ35を経て反射ミラー32により光路が曲げられ主走査がなされるもので、感光体21に対してAoの位置において像露光が行われ、感光体21の回転(副走査)によって静電潜像が形成される。本実施の形態の一例では文字部に対して露光を行い静電潜像を形成する。
【0211】
本発明の画像形成装置においては、感光体上に静電潜像を形成するに際し、面発光レーザアレイは、発振波長が350〜500nmの半導体レーザを像露光光源として用いることを前提としている。該面発光レーザアレイは、少なくとも縦横、各々3本以上のレーザビーム発光点を有しており、これらの像露光光源を用いて、書込みの主査方向の露光ドット径が10〜50μmに絞り込み、有機感光体上にデジタル露光を行うことにより、600dpi(dpi:2.54cm当たりのドット数)以上から2500dpiの高解像度の電子写真画像をうることができる。
【0212】
前記露光ドット径とは該露光ビームの強度がピーク強度の1/e2以上の領域の主走査方向にそった露光ビームの長さ(Ld:長さが最大位置で測定する)を云う。
【0213】
用いられる光ビームとしては半導体レーザを用いた走査光学系等があり、光強度分布についてもガウス分布及びローレンツ分布等があるがそれぞれのピーク強度の1/e2以上の領域を本発明に係わる露光ドット径とする。
【0214】
ここで、上記600dpi〜2500dpiの電子写真画像を得る為には、トナーの粒径は、体積平均粒径で3〜8μmが好ましい。このトナーの体積平均粒径は、コールターカウンターTAII、コルターマルチサイザー、SLAD1100(島津製作所製レーザー回折式粒径測定装置)等を用いて測定することができる。コールターカウンターTAII及びコールターマルチサイザーではアパーチャー径=100μmのアパーチャーを用いて2.0〜40μmの範囲における粒径分布を用いて測定されたものを示す。
【0215】
感光体21上の静電潜像は現像手段23によって反転現像が行われ、感光体21の表面に可視像のトナー像が形成される。本発明の画像形成方法では、該現像手段に用いられる現像剤には重合トナーを用いることが好ましい。形状や粒度分布が均一な重合トナーを本発明に係わる有機感光体と併用することにより、より鮮鋭性が良好な電子写真画像を得ることができる。
【0216】
転写紙搬送部Dでは、画像形成ユニットの下方に異なるサイズの転写紙Pが収納された転写紙収納手段としての給紙ユニット41(A)、41(B)、41(C)が設けられ、また側方には手差し給紙を行う手差し給紙ユニット42が設けられていて、それらの何れかから選択された転写紙Pは案内ローラ43によって搬送路40に沿って給紙され、給紙される転写紙Pの傾きと偏りの修正を行う対の給紙レジストローラ44によって転写紙Pは一時停止を行ったのち再給紙が行われ、搬送路40、転写前ローラ43a、給紙経路46及び進入ガイド板47に案内され、感光体21上のトナー画像が転写位置Boにおいて転写極24及び分離極25によって転写搬送ベルト装置45の転写搬送ベルト454に載置搬送されながら転写紙Pに転写され、該転写紙Pは感光体21面より分離し、転写搬送ベルト装置45により定着手段50に搬送される。
【0217】
定着手段50は定着ローラ51と加圧ローラ52とを有しており、転写紙Pを定着ローラ51と加圧ローラ52との間を通過させることにより、加熱、加圧によってトナーを定着させる。トナー画像の定着を終えた転写紙Pは排紙トレイ64上に排出される。
【0218】
以上は転写紙の片側への画像形成を行う状態を説明したものであるが、両面複写の場合は排紙切換部材170が切り替わり、転写紙案内部177が開放され、転写紙Pは破線矢印の方向に搬送される。
【0219】
更に、搬送機構178により転写紙Pは下方に搬送され、転写紙反転部179によりスイッチバックさせられ、転写紙Pの後端部は先端部となって両面複写用給紙ユニット130内に搬送される。
【0220】
転写紙Pは両面複写用給紙ユニット130に設けられた搬送ガイド131を給紙方向に移動し、給紙ローラ132で転写紙Pを再給紙し、転写紙Pを搬送路40に案内する。
【0221】
再び、上述したように感光体21方向に転写紙Pを搬送し、転写紙Pの裏面にトナー画像を転写し、定着手段50で定着した後、排紙トレイ64に排紙する。
【0222】
本発明の画像形成装置としては、上述の感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
【0223】
図2は、本発明の一実施の形態を示すカラー画像形成装置の断面構成図である。
【0224】
このカラー画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成部(画像形成ユニット)10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体(中間転写媒体)ユニット7と、給紙搬送手段21及び定着手段24とから成る。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
【0225】
イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Yの周囲に配置された帯電手段(帯電工程)2Y、露光手段(露光工程)3Y、現像手段(現像工程)4Y、一次転写手段(一次転写工程)としての一次転写ローラ5Y、クリーニング手段6Yを有する。マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラ5M、クリーニング手段6Mを有する。シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラ5C、クリーニング手段6Cを有する。黒色画像を形成する画像形成部10Bkは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Bk、帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写手段としての一次転写ローラ5Bk、クリーニング手段6Bkを有する。
【0226】
前記4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkを中心に、回転する帯電手段2Y、2M、2C、2Bkと、像露光手段3Y、3M、3C、3Bkと、回転する現像手段4Y、4M、4C、4Bk、及び、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkをクリーニングするクリーニング手段5Y、5M、5C、5Bkより構成されている。
【0227】
前記画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体1Y、1M、1C、1Bkにそれぞれ形成するトナー画像の色が異なるだけで、同じ構成であり、画像形成ユニット10Yを例にして詳細に説明する。
【0228】
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体ドラム1Yの周囲に、帯電手段2Y(以下、単に帯電手段2Y、あるいは、帯電器2Yという)、露光手段3Y、現像手段4Y、クリーニング手段5Y(以下、単にクリーニング手段5Y、あるいは、クリーニングブレード5Yという)を配置し、感光体ドラム1Y上にイエロー(Y)のトナー画像を形成するものである。また、本実施の形態においては、この画像形成ユニット10Yのうち、少なくとも感光体ドラム1Y、帯電手段2Y、現像手段4Y、クリーニング手段5Yを一体化するように設けている。
【0229】
帯電手段2Yは、感光体ドラム1Yに対して一様な電位を与える手段であって、本実施の形態においては、感光体ドラム1Yにコロナ放電型の帯電器2Yが用いられている。
【0230】
像露光手段3Yは、帯電器2Yによって一様な電位を与えられた感光体ドラム1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段であって、この露光手段3Yとしては、感光体ドラム1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子(商品名;セルフォックレンズ)とから構成されるもの、あるいは、レーザ光学系などが用いられる。
【0231】
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
【0232】
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkより形成された各色の画像は、一次転写手段としての一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bkにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された転写材(定着された最終画像を担持する支持体:例えば普通紙、透明シート等)としての転写材Pは、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラ5bに搬送され、転写材P上に二次転写してカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された転写材Pは、定着手段24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。ここで、中間転写体や転写材等の感光体上に形成されたトナー画像の転写支持体を総称して転写媒体と云う。
【0233】
一方、二次転写手段としての二次転写ローラ5bにより転写材Pにカラー画像を転写した後、転写材Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6bにより残留トナーが除去される。
【0234】
画像形成処理中、一次転写ローラ5Bkは常時、感光体1Bkに当接している。他の一次転写ローラ5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに当接する。
【0235】
二次転写ローラ5bは、ここを転写材Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状中間転写体70に当接する。
【0236】
また、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。
【0237】
筐体8は、画像形成部10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とから成る。
【0238】
画像形成部10Y、10M、10C、10Bkは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Bkの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ローラ71、72、73、74を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体70、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bk、及びクリーニング手段6bとから成る。
【0239】
次に図3は本発明の有機感光体を用いたカラー画像形成装置(少なくとも有機感光体の周辺に帯電手段、露光手段、複数の現像手段、転写手段、クリーニング手段及び中間転写体を有する複写機あるいはレーザビームプリンタ)の構成断面図である。ベルト状の中間転写体70は中程度の抵抗の弾性体を使用している。
【0240】
1は像形成体として繰り返し使用される回転ドラム型の感光体であり、矢示の反時計方向に所定の周速度をもって回転駆動される。
【0241】
感光体1は回転過程で、帯電手段(帯電工程)2により所定の極性・電位に一様に帯電処理され、次いで不図示の像露光手段(像露光工程)3により画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザビームによる走査露光光等による画像露光を受けることにより目的のカラー画像のイエロー(Y)の色成分像(色情報)に対応した静電潜像が形成される。
【0242】
次いで、その静電潜像がイエロー(Y)の現像手段:現像工程(イエロー色現像器)4Yにより第1色であるイエロートナーにより現像される。この時第2〜第4の現像手段(マゼンタ色現像器、シアン色現像器、ブラック色現像器)4M、4C、4Bkの各現像器は作動オフになっていて感光体1には作用せず、上記第1色目のイエロートナー画像は上記第2〜第4の現像器により影響を受けない。
【0243】
中間転写体70はローラ79a、79b、79c、79d、79eで張架されて時計方向に感光体1と同じ周速度をもって回転駆動されている。
【0244】
感光体1上に形成担持された上記第1色目のイエロートナー画像が、感光体1と中間転写体70とのニップ部を通過する過程で、1次転写ローラ5aから中間転写体70に印加される1次転写バイアスにより形成される電界により、中間転写体70の外周面に順次中間転写(1次転写)されていく。
【0245】
中間転写体70に対応する第1色のイエロートナー画像の転写を終えた感光体1の表面は、クリーニング装置6aにより清掃される。
【0246】
以下、同様に第2色のマゼンタトナー画像、第3色のシアントナー画像、第4色のクロ(ブラック)トナー画像が順次中間転写体70上に重ね合わせて転写され、目的のカラー画像に対応した重ね合わせカラートナー画像が形成される。
【0247】
2次転写ローラ5bで、2次転写対向ローラ79bに対応し平行に軸受させて中間転写体70の下面部に離間可能な状態に配設してある。
【0248】
感光体1から中間転写体70への第1〜第4色のトナー画像の順次重畳転写のための1次転写バイアスはトナーとは逆極性で、バイアス電源から印加される。その印加電圧は、例えば+100V〜+2kVの範囲である。
【0249】
感光体1から中間転写体70への第1〜第3色のトナー画像の1次転写工程において、2次転写ローラ5b及び中間転写体クリーニング手段6bは中間転写体70から離間することも可能である。
【0250】
ベルト状の中間転写体70上に転写された重ね合わせカラートナー画像の第2の画像担持体である転写材Pへの転写は、2次転写ローラ5bが中間転写体70のベルトに当接されると共に、対の給紙レジストローラ23から転写紙ガイドを通って、中間転写体70のベルトに2次転写ローラ5bとの当接ニップに所定のタイミングで転写材Pが給送される。2次転写バイアスがバイアス電源から2次転写ローラ5bに印加される。この2次転写バイアスにより中間転写体70から第2の画像担持体である転写材Pへ重ね合わせカラートナー画像が転写(2次転写)される。トナー画像の転写を受けた転写材Pは定着手段24へ導入され加熱定着される。
【0251】
本発明の画像形成方法は電子写真複写機、レーザプリンター、LEDプリンター及び液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適応するが、更に、電子写真技術を応用したディスプレー、記録、軽印刷、製版及びファクシミリ等の装置にも幅広く適用することができる。
【実施例】
【0252】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。又、文中の「部」は
感光体1の作製
下記の様に感光体1を作製した。
【0253】
円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工し、十点表面粗さRz=1.5(μm)の導電性支持体を用意した。
〈中間層〉
下記中間層分散液を同じ混合溶媒にて二倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製リジメッシュ5μmフィルター)し、中間層塗布液を作製した。
【0254】
ポリアミド樹脂CM8000(東レ社製) 1部
無機粒子:酸化チタン(数平均一次粒径35nm:シリカ・アルミナ処理及びメチルハイドロジェンポリシロキサン処理の酸化チタン) 3部
メタノール 10部
を混合し、分散機としてサンドミルを用い、バッチ式で10時間の分散を行い、中間層分散液を作製した。
【0255】
上記塗布液を用いて前記支持体上に、乾燥膜厚1.0μmとなるよう塗布した。
【0256】
〈電荷発生層:CGL〉
電荷発生物質(CGM):前記CGM1 24部
ポリビニルブチラール樹脂「エスレックBL−1」(積水化学社製) 12部
2−ブタノン/シクロヘキサノン=4/1(v/v) 300部
上記組成物を混合し、サンドミルを用いて分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を浸漬塗布法で塗布し、前記中間層の上に乾燥膜厚0.5μmの電荷発生層を形成した。
【0257】
〈電荷輸送層:CTL〉
電荷輸送物質(前記CTM1) 225部
ポリカーボネート(Z300:三菱ガス化学社製) 300部
ジクロロメタン 2000部
シリコンオイル(KF−54:信越化学社製) 1部
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液1を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、110℃70分の乾燥を行い、乾燥膜厚20.0μmの電荷輸送層1を形成した。
【0258】
〈ポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子(PTFE粒子)分散液の調製〉
PTFE粒子(平均一次粒径0.12μmおよび結晶化度91.3のPTFE粒子)を250℃で40分間加熱処理し、結晶化度を82.8にしたPTFE粒子を用い、下記のPTFE粒子分散液を調製した。
【0259】
PTFE粒子(PT1:平均一次粒径0.12μm、結晶化度を82.8)200部
トルエン 600部
シロキサン変性ポリカーボネート樹脂(Po−1:粘度平均分子量:4万)15部を混合した後ガラスビーズを用いたサンドグラインダー((株)アメックス製)にて分散し、PTFE粒子分散液を調製した。
【0260】
〈表面層:OCL〉
PTFE粒子分散液 815部
電荷輸送物質(前記CTM1) 150部
シロキサン変性ポリカーボネート樹脂(Po−1) 150部
ポリカーボネート(Z300:三菱ガス化学社製) 150部
酸化防止剤(AO2−1) 12部
THF:テトラヒドロフラン 2800部
シリコンオイル(KF−54:信越化学社製) 4部
を混合し、溶解して表面層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷輸送層の上に円形スライドホッパ型塗布機で塗布し、110℃70分の乾燥を行い、乾燥膜厚5.0μmの表面層を形成し、感光体1を作製した。
【0261】
感光体2〜5の作製
感光体1の作製において、電荷発生層の電荷発生物質、電荷輸送層及び表面層の電荷輸送物質、表面層のフッ素系樹脂粒子の種類と添加量を表1のように変化させた以外は感光体1と同様にして感光体2〜5を作製した。
【0262】
感光体6の作製
下記のようにして感光体6を作製した。
【0263】
円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工し、十点表面粗さRz=1.5(μm)の導電性支持体上に、下記の中間層を形成した。
【0264】
〈中間層〉
ポリアミド樹脂「CM8000」(東レ社製) 10.0部
酸化チタン「SMT500SAS」(テイカ社製) 30.0部
メタノール 100.0部
上記を循環式湿式分散機(デイスパーマットSLC12EX;VMA GETZMANN社製)を用いて分散した中間層塗布液を浸漬塗布して、乾燥膜厚4.0μmの中間層を形成した。
【0265】
〈電荷発生層〉
電荷発生物質(CGM):前記CGM1 32部
ポリビニルブチラール樹脂「エスレックBL−1」(積水化学社製)
24.0部
酢酸t−ブチル 300.0部
上記を混合しサンドグラインダーにて分散し、電荷発生層塗布液を作製し、前記中間層上に該電荷発生層塗布液を浸漬塗布して、乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0266】
〈電荷輸送層〉
CTM:CTM1 200.0部
ポリカーボネート「ユーピロンZ300」(三菱瓦斯化学社製)
300.0部
2,6−ジ−t−ブチル−4−フェニルフェノール 5.0部
1,2−ジクロロエタン 2000.0部
上記組成物を加熱溶解して、電荷輸送層塗布液を作製し、電荷輸送層塗布液を電荷発生層上に円形スライドホッパーにて塗布して、乾燥膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
【0267】
〈表面層〉
(a)溶液
ポリカーボネート(Po−10:粘度平均分子量4万) 100部
1,2−ジクロロエタン 1200部
(b)
CTM:CTM1 4部
上記(a)溶液を加熱溶解して、表面層の塗布母液を作製し、次に該塗布母液を放冷した後、(b)の電荷輸送物質と酸化防止剤をさらに加えて固形分濃度10質量%になるように調製して、表面層塗布液を作製した。
【0268】
次に、前記電荷輸送層上に上記の表面層塗布液を円形スライドホッパーにて塗布して、110℃;60分加熱硬化し、乾燥膜厚5.0μmの表面層を形成し、感光体6を作製した。
【0269】
感光体7〜10の作製
感光体6の作製において、電荷発生層のCGM、電荷輸送層及び表面層のCTM、表面層の(a)溶液のポリカーボネートの種類、量を表2のように代えた以外は感光体6と同様にして感光体7〜10を作製した。
【0270】
感光体11の作製
感光体6の作製において、表面層を設けないで、電荷輸送層の乾燥膜厚を25μmとした以外は、感光体6と同様にして感光体11を作製した。
【0271】
【表1】

【0272】
【表2】

【0273】
表1中、
PTFEは、ポリエチレンテレフタレート樹脂粒子
又、表1、表2中、
CGM1はCuKα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも27.3°の位置に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン
CGM2はCu−Kαの特性X線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.2°)において、少なくとも7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、28.1°の位置に特徴的な回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料
CGM3はCu−Kαの特性X線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.2°)において、少なくとも7.4°、16.6°、25.5°、28.3°の位置に特徴的な回折ピークを有するクロルガリウムフタロシアニン顔料
CGM4はCu−Kαの特性X線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.2°)において、少なくとも6.8°、12.8°、15.8°、26.6°の位置に特徴的な回折ピークを有するガリウムフタロシアニン顔料
表1、表2中、CTM1、CTM2は下記構造の電荷輸送物質を表す。
【0274】
尚、表1中の表面層の接触角及び接触角のバラツキは、下記のカラー画像の評価終了時に測定した。
【0275】
【化12】

【0276】
実施例に用いるトナー及び該トナーを用いた現像剤を作製した。
【0277】
下記のごとくしてトナーを作製した。
【0278】
*トナー1−Bkの作製
スチレン:ブチルアクリレート:ブチルメタクリレート=80:10:10の質量比からなるスチレン−アクリル樹脂100部、カーボンブラック10部、低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=3500)5部とを溶融、混練した後、機械式粉砕機を使用し、微粉砕を行い、風力分級機により念入りな分級をして、50%体積粒径(Dv50)が3.8μmの着色粒子を得た。この着色粒子に対して疎水性シリカ(疎水化度=80/数平均一次粒子径=12nm)を1.2質量%添加しトナーを得た。これを「トナー1−Bk」とする。
【0279】
*トナー2−Bkの作製
スチレン:ブチルアクリレート:ブチルメタクリレート:アクリル酸=75:18:5:2の質量比からなるスチレン−アクリル樹脂100部、カーボンブラック10部、低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=3500)5部とを溶融、混練した後、機械式粉砕機を使用し、微粉砕を行い、風力分級機により念入りな分級をして50%体積粒径(Dv50)が8.1μmの着色粒子を得た。この着色粒子に対して疎水性シリカ(疎水化度=80/数平均一次粒子径=12nm)を1.2質量%添加しトナーを得た。これを「トナー2−Bk」とする。
【0280】
*トナー3−Bkの作製
スチレン:ブチルアクリレート:メタクリル酸=70:20:10の質量比からなるスチレン−アクリル樹脂100部、カーボンブラック10部、低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=3500)4部とを溶融、混練した後、機械式粉砕機を使用し、微粉砕を行い、風力分級機により念入りな分級をして50%体積粒径(Dv50)が4.8μmの着色粒子を得た。この着色粒子に対して疎水性シリカ(疎水化度=75/数平均一次粒子径=12nm)を1.2質量%添加しトナーを得た。これを「トナー3−Bk」とする。
【0281】
*トナー4−Bk、トナー4−Y、トナー4−M、トナー4−Cの作製
n−ドデシル硫酸ナトリウム=0.90kgと純水10.0Lを入れ撹拌溶解する。この液に、撹拌下、リーガル330R(キャボット社製カーボンブラック)1.20kgを徐々に加え、ついで、サンドグラインダー(媒体型分散機)を用いて、20時間連続分散した。分散後、大塚電子社製・電気泳動光散乱光度計ELS−800を用いて、上記分散液の粒径を測定した結果、重量平均粒径で122nmであった。また、静置乾燥による質量法で測定した上記分散液の固形分濃度は16.6質量%であった。この分散液を「着色剤分散液1」とする。
【0282】
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055kgをイオン交換水4.0Lに混合し、室温下撹拌溶解する。これを、アニオン界面活性剤溶液Aとする。
【0283】
ノニルフェニルアルキルエーテル0.014kgをイオン交換水4.0Lに混合し、室温下撹拌溶解する。これを、ノニオン界面活性剤溶液Aとする。
【0284】
過硫酸カリウム=223.8gをイオン交換水12.0Lに混合し、室温下撹拌溶解する。これを、開始剤溶液Aと呼ぶ。
【0285】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けた100Lの反応釜に、数平均分子量(Mn)が3500のポリプロピレンエマルジョン3.41kgとアニオン界面活性剤溶液Aとノニオン界面活性剤溶液Aとを入れ、撹拌を開始する。次いで、イオン交換水44.0Lを加える。
【0286】
加熱を開始し、液温度が75℃になったところで、開始剤溶液Aを全量添加する。その後、液温度を75℃±1℃に制御しながら、スチレン14.3kgとアクリル酸n−ブチル2.88kgとメタクリル酸0.8kgとt−ドデシルメルカプタン548gとを投入する。
【0287】
さらに、液温度を80℃±1℃に上げて、6時間加熱撹拌を行った。液温度を40℃以下に冷却し撹拌を停止する。ポールフィルターで濾過し、これをラテックスA1とした。
【0288】
なお、ラテックスA1中の樹脂粒子のガラス転移温度は59℃、軟化点は116℃、分子量分布は、重量平均分子量=1.34万、重量平均粒径は125nmであった。
【0289】
過硫酸カリウム=200.7gをイオン交換水12.0Lに混合し、室温下撹拌溶解する。これを、開始剤溶液Bとする。
【0290】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルを付けた100Lの反応釜に、ノニオン界面活性剤溶液Aを入れ、撹拌を開始する。次いで、イオン交換水44.0Lを投入する。
【0291】
加熱を開始し、液温度が70℃になったところで、開始剤溶液Bを添加する。この時、スチレン11.0kgとアクリル酸n−ブチル4.00kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン9.02gとをあらかじめ混合した溶液を投入する。
【0292】
その後、液温度を72℃±2℃に制御して、6時間加熱撹拌を行った。さらに、液温度を80℃±2℃に上げて、12時間加熱撹拌を行った。
【0293】
液温度を40℃以下に冷却し撹拌を停止する。ポールフィルターで濾過し、この濾液をラテックスB1とした。
【0294】
なお、ラテックスB1中の樹脂粒子のガラス転移温度は58℃、軟化点は132℃、分子量分布は、重量平均分子量=24.5万、重量平均粒径は110nmであった。
【0295】
塩析剤としての塩化ナトリウム=5.36kgとイオン交換水20.0Lを入れ、撹拌溶解する。これを、塩化ナトリウム溶液Aとする。
【0296】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルを付けた100LのSUS反応釜(撹拌翼はアンカー翼)に、上記で作製したラテックスA1=20.0kgとラテックスB1=5.2kgと着色剤分散液1=0.4kgとイオン交換水20.0kgとを入れ撹拌する。ついで、35℃に加温し、塩化ナトリウム溶液Aを添加する。その後、5分間放置した後に、昇温を開始し、液温度85℃まで5分で昇温する(昇温速度=10℃/分)。液温度85℃±2℃にて、6時間加熱撹拌し、塩析/融着させる。その後、30℃以下に冷却し撹拌を停止する。目開き45μmの篩いで濾過し、この濾液を会合液とする。ついで、遠心分離機を使用し、会合液よりウェットケーキ状の非球形状粒子を濾取した。その後、イオン交換水により洗浄した。
【0297】
上記で洗浄を完了したウェットケーキ状の着色粒子を、40℃の温風で乾燥し、着色粒子を得た。更に風力分級機により念入りな分級をして50%体積粒径(Dv50)が4.2μmの着色粒子を得た。さらに、この着色粒子に疎水性シリカ(疎水化度=70、数平均一次粒子径=12nm)を1.0質量%添加し、「トナー4−Bk」を得た。
【0298】
トナー4−Bkの製造において、カーボンブラック10部の代わりにC.I.ピグメントイエロー185を8部使用した以外同様にして「トナー4−Y」を得た。
【0299】
トナー4−Bkの製造において、カーボンブラック10部の代わりにC.I.ピグメントレッド122を10部使用した以外同様にして「トナー4−M」を得た。
【0300】
トナー4−Bkの製造において、カーボンブラック10部の代わりにC.I.ピグメントブルー15:3を5部使用した以外同様にして「トナー4−C」を得た。
【0301】
*トナー5−Bk、トナー5−Y、トナー5−M、トナー5−Cの作製
トナー4−Bkの融着条件を変更して粒径を変化させた着色粒子を調製した。更に風力分級機により念入りな分級をして50%体積粒径(Dv50)が5.0μmの着色粒子を得た。この着色粒子に疎水性シリカ(疎水化度=75、数平均一次粒径=12nm)を1.0質量%添加し、「トナー5−Bk」を得た。
【0302】
トナー5−Bkの製造において、カーボンブラック10部の代わりにC.I.ピグメントイエロー185を8部使用した以外同様にして「トナー5−Y」を得た。
【0303】
トナー5−Bkの製造において、カーボンブラック10部の代わりにC.I.ピグメントレッド122を10部使用した以外同様にして「トナー5−M」を得た。
【0304】
トナー5−Bkの製造において、カーボンブラック10部の代わりにC.I.ピグメントブルー15:3を5部使用した以外同様にして「トナー5−C」を得た。
【0305】
*トナー6−Bk、トナー6−Y、トナー6−M、トナー6−Cの作製
トナー5−Bkの分級条件を変え、50%体積粒径(Dv50)が9.5μmの着色粒子を得た。この着色粒子に疎水性シリカ(疎水化度=75、数平均一次粒径=12nm)を1.0質量%添加し、「トナー6−Bk」を得た。
【0306】
トナー6−Bkの製造において、カーボンブラック10部の代わりにC.I.ピグメントイエロー185を8部使用した以外同様にして「トナー6−Y」を得た。
【0307】
トナー6−Bkの製造において、カーボンブラック10部の代わりにC.I.ピグメントレッド122を10部使用した以外同様にして「トナー6−M」を得た。
【0308】
トナー6−Bkの製造において、カーボンブラック10部の代わりにC.I.ピグメントブルー15:3を5部使用した以外同様にして「トナー6−C」を得た。
【0309】
*トナー7−Bk、トナー7−Y、トナー7−M、トナー7−Cの作製
酸価=45のポリエステル樹脂100部、カーボンブラック10部、低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=3500)5部とを溶融、混練した後、機械式粉砕機を使用し、微粉砕を行い、風力分級機により分級を念入りに行い、50%体積粒径(Dv50)が7.5μmの着色粒子を得た。この着色粒子に対して疎水性シリカ(疎水化度=65/数平均一次粒子径=12nm)を1.2質量%添加しトナーを得た。これを「トナー7−Bk」とする。
【0310】
トナー7−Bkの製造において、カーボンブラック10部の代わりにC.I.ピグメントイエロー185を8部使用した以外同様にして「トナー7−Y」を得た。
【0311】
トナー7−Bkの製造において、カーボンブラック10部の代わりにC.I.ピグメントレッド122を10部使用した以外同様にして「トナー7−M」を得た。
【0312】
トナー7−Bkの製造において、カーボンブラック10部の代わりにC.I.ピグメントブルー15:3を5部使用した以外同様にして「トナー7−C」を得た。
*トナー8−Bk、トナー8−Y、トナー8−M、トナー8−Cの作製
酸価=45のポリエステル樹脂100部、カーボンブラック10部、低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=3500)5部とを溶融、混練した後、機械式粉砕機を使用し、微粉砕を行い、風力分級機により分級して50%体積粒径(Dv50)が10.4μmの着色粒子を得た。この着色粒子に対して疎水性シリカ(疎水化度=65/数平均一次粒子径=12nm)を1.2質量%添加しトナーを得た。これを「トナー8−Bk」とする。
【0313】
トナー8−Bkの製造において、カーボンブラック10部の代わりにC.I.ピグメントイエロー185を8部使用した以外同様にして「トナー8−Y」を得た。
【0314】
トナー8−Bkの製造において、カーボンブラック10部の代わりにC.I.ピグメントレッド122を10部使用した以外同様にして「トナー8−M」を得た。
【0315】
トナー8−Bkの製造において、カーボンブラック10部の代わりにC.I.ピグメントブルー15:3を5部使用した以外同様にして「トナー8−C」を得た。
【0316】
上記トナーの30℃、80RH%環境における含水率(質量%)の測定結果を表3に示す。
【0317】
現像剤の作製
上記の各トナー、即ちトナー1−Bk〜トナー8−C(全部で23のトナー)に、シリコーン樹脂を被覆した50%体積粒径(Dv50)が45μmのフェライトキャリアを混合し、トナー濃度6%の現像剤をそれぞれ調製し、評価に供した。これらの現像剤23種ををトナーに対応してそれぞれ現像剤1−Bk〜現像剤8−Cとする。
【0318】
キャリアの50%体積粒径(Dv50)の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0319】
【表3】

【0320】
評価1
感光体及び現像剤を表4のように組み合わせて、基本的に図2の構成を有する市販の中間転写媒体を有するフルカラー複合機8050(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)社製)改造機(露光手段を下記面発光レーザアレイに変更)に搭載し、カラー画像の評価を行った。
【0321】
画像形成のその他の条件
プロセススピード:220mm/sec
現像剤:前記キャリア及びトナーを含有する二成分現像剤を用いた。
【0322】
感光体のクリーニング装置:ゴム弾性のクリーニングブレードを(線荷重:18N/m)の当接条件で用いた。
【0323】
帯電条件
帯電器;スコロトロン帯電器、初期帯電電位を−750V
露光条件
図4に例示したような面発光レーザアレイを用いた。面発光レーザアレイは、縦(副走査方向)及び横(主走査方向)で、各発光点が重ならないように、配置されている。
【0324】
面発光レーザアレイは、縦横各々、6×6マトリックスの36個の発光点を有するものを用いた。実際に使用する場合にはコンピュータでの制御条件の制約[2のn乗(この場合は25)]による。そのため、36本ではなく、32本を使用している。
【0325】
評価の環境条件;10万枚プリント後、高温高湿(30℃80%RH)の環境で作製したプリント等で評価した。
【0326】
評価項目及び評価基準
カブリ
スタート時、10万枚目について濃度計「RD−918」(マクベス社製)を使用し、カブリ濃度についてはA4紙の反射濃度を0.000とした相対濃度で測定した。
◎:0.010未満(非常に良好)
○:0.010以上0.020未満(実用上問題ないレベル)
×:0.020以上(実用上問題あり)
画像濃度
スタート時、10万枚目について濃度計「RD−918」(マクベス社製)を使用し、プリンター用紙の濃度を0.0とした相対濃度で測定した。
【0327】
◎:1.3以上/良好
○:1.0以上〜1.3未満/実用上問題ないレベル
×:1.0未満/実用上問題あり
(文字太りの評価)
文字太りは、3ポイント及び5ポイントの文字をプリントし、文字画像を目視で評価した。
【0328】
評価基準
◎:面発光レーザアレイの発光点光量バラツキによる文字太りの発生が全くなく、3ポイント、5ポイントとも明瞭であり、容易に判読可能(良好)
○:面発光レーザアレイの発光点光量バラツキによる文字太りの発生が少なく、3ポイントは一部判読不能、5ポイントは明瞭であり容易に判読可能(実用上問題ないレベル)
×:面発光レーザアレイの発光点光量バラツキによる文字太りの発生が著しく、3ポイントは殆ど判読不能、5ポイントも一部或いは全部が判読不能(実用上問題あり)
筋状濃度ムラの評価
面発光レーザアレイの発光点光量のバラツキによる筋状濃度ムラの評価を下記基準により評価した。
【0329】
◎:ハーフトーン画像に筋状濃度ムラが全く発生していない。(良好)
○:ハーフトーン画像の一部に筋状濃度ムラが発生しているが、注意しないと気がつかない(実用上問題ないレベル)
×:ハーフトーン画像に筋状濃度ムラが発生しており、容易に発見できる。(実用上問題あり)
膜厚減耗量の評価
上記評価において、10万枚プリントのスタート時と終了時の膜厚差を測定した。
【0330】
膜厚測定法
感光層の膜厚は均一膜厚部分をランダムに10ケ所測定し、その平均値を感光層の膜厚とする。膜厚測定器は渦電流方式の膜厚測定器EDDY560C(HELMUT FISCHER GMBTE CO社製)を用いて行い、実写試験前後の感光層膜厚の差を膜厚減耗量とする。
【0331】
評価結果を表4に示した。
【0332】
【表4】

【0333】
表4から明らかなように、本発明の感光体と現像剤の組み合わせ1〜10は、文字太りや筋状濃度ムラを防止でき、カブリや画像濃度も含めて各評価で良好な結果をを得ているが、本発明の表面層を有しない本発明外の感光体と現像剤の組み合わせ11及び12では、カブリ及び筋状濃度ムラが発生しており、本発明外の組み合わせ13及び14では、カブリや画像濃度の劣化、文字太り、筋状濃度ムラの各評価が劣化しており、膜厚減耗量も増大している。
【0334】
評価2
表5のように感光体及びトナーを組み合わせ(組み合わせNo.21〜25)、市販のフルカラー複合機8050(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)社製)改造機(中間転写体を用いたタンデム方式のフルカラー複合機8050(プロセススピード220mm/sec)をカウンター現像方式に改造)に搭載し、カラー画像の評価を行った。評価は、白地部、べた黒部、及びレッド、グリーン、ブルーのソリッド画像部、文字画像部を有するオリジナル画像を用いて、A4紙に複写し評価した。詳しくは、スタート時及び5000枚毎に、文複写画像を計10万枚印刷して評価した。評価項目は、評価1で行った評価の他に、下記の色再現性を追加して行った。
【0335】
感光体の線速:220mm/sec
現像スリーブの線速:220mm/sec
色再現性の評価
1枚目の画像および100枚目の画像のY、M、C各トナーにおける二次色(レッド、ブルー、グリーン)のソリッド画像部(ハーフトーンソリッド画像部:反射濃度0.50)の色を「MacbethColor−Eye7000」により測定し、CMC(2:1)色差式を用いて各ソリッド画像の1枚目と100枚目の色差を算出した。
【0336】
◎:ハーフトーンソリット画像の場所による色差の変化がが1未満。(良好)
○:ハーフトーンソリット画像の場所による色差の変化が3未満(実用上問題ないレベル)
×:ハーフトーンソリット画像の場所による色差の変化が3以上(実用上問題あり)
結果を表5に示す。
【0337】
【表5】

【0338】
表5より明らかなように、有機感光体の水に対する接触角が90°以上の感光体1を用い、トナー粒子の50%個数粒径をDp50とすると、粒径が0.7×(Dp50)以下のトナー粒子の含有量が8個数%以下であり且つの含水率が0.1〜2.0質量%(30℃、80%RH環境下)である組み合わせNo.21及び22は、画像濃度、カブリ、文字太り、筋状濃度ムラの各評価が良好で、色再現性も良好である。一方、組み合わせNo.23の粒径が0.7×(Dp50)以下のトナー粒子の含有量が8個数%より大きいトナーを用いた場合は、カブリが発生し、色再現性も劣化している。含水率が2.0より大きいトナーを用いた組み合わせNo.24はカブリ及び筋状濃度ムラが発生し、色再現性が劣化している。又、トナー粒子の含有量が8個数%より大きく、含水率も2.0より大きいトナーを用いた組み合わせNo.25は、カブリが発生し、画像濃度、文字太り、筋状濃度ムラが発生し、色再現性が劣化している。
【図面の簡単な説明】
【0339】
【図1】本発明の画像形成装置の機能が組み込まれた概略図である。
【図2】本発明の一実施の形態を示すカラー画像形成装置の断面構成図である。
【図3】本発明の有機感光体を用いたカラー画像形成装置の構成断面図である。
【図4】面発光レーザアレイを説明した図である。
【符号の説明】
【0340】
1 画像形成装置
21 感光体
22 帯電手段
23 現像手段
24 転写極
25 分離極
26 クリーニング装置
30 露光光学系
45 転写搬送ベルト装置
50 定着手段
250 分離爪ユニット
L 発光点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性支持体上に感光層を有する有機感光体と、前記有機感光体を帯電させる帯電工程と、前記帯電工程により帯電された有機感光体に露光して静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成させる現像工程と、前記トナー像を前記有機感光体から中間転写体(中間転写媒体)を介してあるいは介さずして転写材に転写する転写工程とを少なくとも備えている画像形成方法において、前記露光工程は縦横、各々3本以上のレーザビーム発光点を有する面発光レーザアレイを露光光源として備え、前記レーザビーム発光点を前記有機感光体上に走査させて前記静電潜像を形成させるマルチビーム方式を採用する構成を有しており、前記有機感光体は導電性支持体から最も離れた位置にある表面層の水に対する接触角が90°以上であり、前記トナーは、トナー粒子の50%個数粒径をDp50とすると、粒径が0.7×(Dp50)以下のトナー粒子の含有量が8個数%以下であり且つ含水率が0.1〜2.0質量%(30℃、80%RH環境下)であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
前記トナーの体積平均粒径が3〜8μmであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記トナーが重合法から作られた重合トナーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記表面層の水に対する接触角のバラツキの範囲が±3°以内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記有機感光体は中間層、電荷発生層、電荷輸送層、必要に応じて保護層をこの順に設けた積層型有機感光体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項6】
前記面発光レーザアレイは、主走査方向に3行以上、副走査方向に3列以上のレーザビーム発生源が2次元的に配置された構造を有するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項7】
導電性支持体上に感光層を有する有機感光体と、前記有機感光体を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段により帯電された有機感光体に露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記有機感光体から中間転写体(中間転写媒体)を介してあるいは介さずして転写材に転写する転写手段とを有する画像形成装置において、前記露光手段は縦横、各々3本以上のレーザビーム発光点を有する面発光レーザアレイを露光光源として備え、前記レーザビーム発光点を前記有機感光体上に走査させて前記静電潜像を形成させるマルチビーム方式を採用する構成を有しており、前記有機感光体は導電性支持体から最も離れた位置にある表面層の水に対する接触角が90°以上の有機感光体であり、現像手段にトナー粒子の50%個数粒径をDp50とすると、粒径が0.7×(Dp50)以下のトナー粒子の含有量が8個数%以下であり且つ含水率が0.1〜2.0質量%(30℃、80%RH環境下)のトナーを具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成方法に用いられる有機感光体であって、導電性支持体から最も離れた位置にある表面層の水に対する接触角が90°以上であることを特徴とする有機感光体。
【請求項9】
請求項7に記載の画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジであって、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段の少なくとも何れか1つと、導電性支持体から最も離れた位置にある表面層の水に対する接触角が90°以上である有機感光体を一体化し、画像形成装置本体に対し一体的に出し入れ可能に形成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−3675(P2007−3675A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−181813(P2005−181813)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】