説明

画像形成装置、画像形成装置の設定値修正方法及びプログラム

【課題】設定値の再設定に伴う時間の短縮を実現する。
【解決手段】各デバイスを制御する複数の制御手段と、制御手段それぞれの正常な状態での各動作モードに応じた設定値を格納する設定値格納手段と、制御手段に設定された設定値と、設定値格納手段に格納された対応する設定値と、を比較する比較手段と、比較手段による比較結果の異なる制御手段の設定値を初期化レベルを変化させて再設定する再設定手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置を構成する制御回路において、設定値を正常値となるよう再設定する画像形成装置、その設定値修正方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、内部に複数の制御回路を有しており、それらの制御回路を構成するデバイスにおいても、様々な機能がある。これら複数のデバイスは、ユーザがそれぞれ設定を行うことで、必要な機能を動作させている。
【0003】
制御回路を安定させて動作させるためには、上記の設定が正しく行われることが必須条件となる。
【0004】
従来では、常に正しい回路設定を行うために、ウォッチドック信号でリセットをかけて再起動させていた。
【0005】
しかしながら、リセットのようにすべての設定を最初からやり直すのでは、時間もかかる上、再設定を行う必要のない箇所まで処理が発生してしまっていた。
【0006】
そこで、例えば特許文献1には、省エネモード中に電源をOFFしたデバイスを省エネ復帰後に問題なく使用することができるように、省エネ移行時及び省エネ復帰時にパワーフックキューに登録されたパワーフック関数を呼び出して不整合をなくす技術について開示されている。
【特許文献1】特開2007−306143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術では、正しい設定値が設定されていても再設定が行われてしまうために無駄な時間を浪費することになってしまう。
【0008】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、設定値の再設定に伴う時間の短縮を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明における画像形成装置は、各デバイスを制御する複数の制御手段と、制御手段それぞれの正常な状態での各動作モードに応じた設定値を格納する設定値格納手段と、制御手段に設定された設定値と、設定値格納手段に格納された対応する設定値と、を比較する比較手段と、比較手段による比較結果の異なる制御手段の設定値を初期化レベルを変化させて再設定する再設定手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明における画像形成装置の設定値修正方法は、各デバイスを制御する複数の制御部に設定された設定値と、それぞれの正常な状態での各動作モードに応じた設定値を格納する設定値格納部に格納された対応する設定値と、を比較する比較ステップと、比較ステップによる比較結果の異なる制御部の設定値を初期化レベルを変化させて再設定する再設定ステップと、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明におけるプログラムは、各デバイスを制御する複数の制御部に設定された設定値と、それぞれの正常な状態での各動作モードに応じた設定値を格納する設定値格納部に格納された対応する設定値と、を比較する比較処理と、比較処理による比較結果の異なる制御部の設定値を初期化レベルを変化させて再設定する再設定処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、必要な箇所のみに回路の再設定を行うことで、再設定に伴う時間の短縮を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、画像形成装置の概略構成を示す図である。画像形成装置は、原稿自動搬送装置(ADF)1を有する原稿読取装置2、及び給紙トレイを有する画像形成装置本体3から構成される。
【0015】
原稿の読取動作は、ADF1の原稿台4、又は原稿読取装置2の原稿読取ガラス5上にセットされた原稿をランプ6によって光を照射し、その反射信号をCCD(Charge Couppled Device)やCIS(Contact Image Sensor)といったセンサ7で読み取る。
【0016】
読み取られた信号はAFE(Analog Front End)と呼ばれるデバイス等でデジタル信号へと変換され、スキャナもしくはプリンタ側にある図示しないコントローラに送信される。送信されたスキャン信号(画像データ)は、コントローラで画像処理によりプリンタ用画像データに変換され、PC(ディスプレイ)やプリンタエンジン(図示せず)等に送信される。プリンタエンジンでは、インクジェットの場合、レンダリング処理(画像データをヘッド転送順にデータを置き換える処理)が行われる。
【0017】
用紙への印刷動作は、給紙トレイ12から排出された印刷用紙13が用紙搬送ベルト10へと送られ、用紙端センサ9によって印刷用紙が検知される。その後、ヘッドを搭載したキャリッジ8が、印刷開始位置に移動すると、レンダリング処理を行った印字データがヘッドに転送され、印字開始となる。印刷完了後、印刷用紙は排紙トレイ11へと排紙される。
【0018】
このような画像形成装置において、原稿の両面を同時に読み取る場合には、ADF1を用いたシートスルー方式によって読み取られる。すなわち、原稿台4にセットされた原稿は、原稿搬送方向上流側で停止したランプ6に照射され、その照射光を反射、収束し、センサ7で読み取ることによって表面の読み取りが行われる。
【0019】
図2は、画像形成装置の制御回路の一部であるコントローラボードの構成図を示す。コントローラボード101は、CPU102と、ASIC103と、メモリ104と、ASIC105と、HDD106と、画像データを処理するエンジンとのI/F107と、ASIC108と、ROM109と、ASIC110と、NVRAM111と、ホストコンピュータとのI/F112と、を備えて構成される。なお、HDD106は、主にエンジンから送られてきたデータを保存する。
【0020】
なお、CPU及び各ASICは、複数の動作モードを有し、それぞれのデバイスにおける動作モードの設定値は、初期設定回路によって設定される。
【0021】
ASIC103は、メモリコントローラを内蔵しており、メモリ104には、各動作モードに対応する正常状態における正しい設定値が格納されている。ASIC105は、ASIC103とエンジンとを仲介しており、HDD106を有する。ASIC108は、ASIC103とASIC110とを仲介しており、プログラムが格納されたROM109を有する。ASIC110は、各種設定情報を保存するNVRAM111や、ホストI/F112を有する。
【0022】
図3は、本発明の実施形態におけるCPU及び各ASICの機能ブロック図である。本画像形成装置におけるCPU及び各ASICは、初期設定部120と、設定値比較部121と、再設定部122と、を有して構成される。
【0023】
初期設定部120は、選択されている動作モードに対応した初期設定を行い、値を設定する。
【0024】
設定値比較部121は、装置が起動した際に読み出した初期設定値と、メモリに格納されている対応する正しい設定値と、を比較する。
【0025】
再設定部122は、設定値比較部121における比較結果が異なった場合に、異なったCPUあるいはASICのみ初期化レベルを変化させ、初期化を行って設定値を再設定する。なお、変化させる初期化レベルは、回路を構成するデバイスによって決定される。
【0026】
図4は、CPU及び各ASICにおける動作を示すフローチャート図である。
【0027】
電源が投入される(装置が起動する)と(ステップS1)、CPU及び各ASICは、動作モードに対応する初期設定値を読み出す(ステップS2)。読み出した初期設定値と、メモリに格納されている対応する正しい設定値と、を比較し(ステップS3)、初期設定が変化したかどうかをデバイスごとに判断する(ステップS4)。
【0028】
ここで初期設定の変化を検出した場合には、初期化レベルを変化させて設定値の再設定処理を実行させる(ステップS5)。なお、再設定処理は、設定値が正しい値になるまで繰り返す。また、初期化レベルは、変化を検出したデバイスに応じて決定する。
【0029】
上記処理がCPU及び全てのASICについて完了すると終了となる。
【0030】
図5は、再設定処理におけるフローチャート図である。
【0031】
まず、電源が投入される(装置が起動する)と(ステップS11)、CPU及び各ASICは、初期設定レジスタを読み出す(ステップS12)。読み出した初期設定レジスタの値と、CPU及び各ASICそれぞれに備えられた初期設定回路に保存してある正しい設定値と、を比較し(ステップS13)、初期設定が変化したかどうかをデバイスごとに判断する(ステップS14)。
【0032】
ステップS14にて初期設定値の変化があったと判断された場合には、再設定実行カウンタを1増加する(ステップS15)。増加後、カウンタの値が1であるか否かを判断する(ステップS16)。
【0033】
カウンタが1であった場合、すなわち最初の再設定処理実行時には、再設定処理を行うかを操作部に表示し、ユーザに選択させる(ステップS17)。なお、2回目以降の再設定処理時は操作部の表示は行わない。ここで、ユーザが再設定実行を選択したか否かを判断する(ステップS18)。再設定が選択されなかった場合は、他の未処理のASICにおける初期設定の読み出しを行う(ステップS22)。
【0034】
一方、再設定が選択された場合は、再設定カウンタが一定値未満であるか否かを判断する(ステップS19)。再設定カウンタが一定値を超えていなければ、再設定処理を実行して(ステップS20)、再度設定値の確認を行う(ステップS12)。
【0035】
一方、再設定カウンタが上限を超えている場合には再設定処理を何度行っても設定値が元に戻らない状態として、操作部にその旨(故障)を表示させる(ステップS21)。
【0036】
なお、上記処理は、初期設定の必要なデバイスそれぞれに備えられるASICにおいて行われる。
【0037】
本発明における実施形態によれば、制御回路において、回路を構成する各デバイスの初期設定値の変化に伴い、初期化レベルを変化させているので、必要な部分のみを再設定することができるようになり、これにより再設定に必要な時間を短縮することが可能となる。
【0038】
また、初期化レベルを回路を構成するデバイスによって決定しているので、必要な部分のみを再設定することができるようになり、これにより再設定に必要な時間を短縮することが可能となる。
【0039】
また、再設定時に初期設定値を比較して元に戻ったかどうかを判断しているので、常に正しい設定が行われる様になり、製品の信頼性を向上することが可能となる。
【0040】
また、再設定を実行しても元の値に戻らない場合、正常値に戻るまで再設定を実行しているので、必ず正しい設定が行われる様になり、製品の信頼性を向上することが可能となる。
【0041】
また、ある決まった回数の再設定を実行しても正常値に戻らなかった場合は、故障表示させているので、故障によって設定値が変化したことを検出可能となる。
【0042】
また、初期設定値が変わっていた場合、操作部に表示させ、ユーザに再設定を行うかどうか選択させているので、あえて設定値を変えることも可能になり、機能性を向上できる。
【0043】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】画像形成装置の構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係るコントローラボードの構成図である。
【図3】CPU及び各ASICにおける機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置のフローチャート図である。
【図5】再設定処理におけるフローチャート図である。
【符号の説明】
【0045】
101 コントローラボード
102 CPU
103 ASIC
104 メモリ
105 ASIC
106 HDD
107 エンジンI/F
108 ASIC
109 ROM
110 ASIC
111 NVRAM
112 ホストコンピュータI/F
120 初期設定部
121 設定値比較部
122 再設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各デバイスを制御する複数の制御手段と、
前記制御手段それぞれの正常な状態での各動作モードに応じた設定値を格納する設定値格納手段と、
前記制御手段に設定された設定値と、前記設定値格納手段に格納された対応する設定値と、を比較する比較手段と、
前記比較手段による比較結果の異なる前記制御手段の設定値を初期化レベルを変化させて再設定する再設定手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記初期化レベルは、デバイスによって決定されることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記再設定手段は、前記比較結果が等しくなるまで再設定を繰り返し行うことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記再設定手段は、規定回数に達するまで再設定を繰り返し行うことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記規定回数再設定を行っても前記比較結果が等しくならないと故障の旨を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記再設定手段による再設定を行うか否かを選択可能に表示部に表示することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
各デバイスを制御する複数の制御部に設定された設定値と、それぞれの正常な状態での各動作モードに応じた設定値を格納する設定値格納部に格納された対応する設定値と、を比較する比較ステップと、
前記比較ステップによる比較結果の異なる前記制御部の設定値を初期化レベルを変化させて再設定する再設定ステップと、を備えることを特徴とする画像形成装置の設定値修正方法。
【請求項8】
各デバイスを制御する複数の制御部に設定された設定値と、それぞれの正常な状態での各動作モードに応じた設定値を格納する設定値格納部に格納された対応する設定値と、を比較する比較処理と、
前記比較処理による比較結果の異なる前記制御部の設定値を初期化レベルを変化させて再設定する再設定処理と、をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−130618(P2010−130618A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306198(P2008−306198)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】