説明

画像形成装置および画像形成装置の制御方法

【課題】トナー消費量の如何に関わらず、高湿度環境下での二成分現像剤のトナーの吸湿に起因して発生する不具合を生じないようにする。
【解決手段】画像形成装置は、静電潜像が形成される感光体ドラム16、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を収容し、感光体ドラム16の表面にトナーを供給する現像装置19、および現像装置19にトナーを補給するトナー補給装置を備え、現像装置19から感光体ドラム16にトナーを供給して現像装置19内のトナーが消費され、かつこのトナーの消費に伴ってトナー補給装置から現像装置19にトナーが補給されるトナー強制消費動作が行われる。この画像形成装置は、湿度センサ37、および湿度センサ37にて検出される湿度が閾値以上となる高湿度状態が所定時間以上続いたときに、トナー強制消費動作を行わせる制御装置34とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二成分現像剤を用いる電子写真方式の複写機およびプリンタなどの画像形成装置および画像形成装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用した画像形成装置では、一般に帯電、露光、現像、転写、剥離、クリー二ング、除電および定着の各工程を経ることにより画像が形成される。画像を形成する工程では、例えば、回転駆動される感光体の表面を帯電装置によって均一に帯電し、帯電した感光体表面に露光装置によってレーザ光を照射し、静電潜像を形成する。この静電潜像は現像装置によって現像され、感光体表面上にトナー像が形成される。このトナー像は、転写装置によって転写材上に転写され、その後、定着装置によって加熱され、加圧されることによって転写材上に固定される。一方、感光体表面上に残った転写後残留トナーは、クリー二ング装置により除去され、所定の回収部に回収される。クリー二ングされた後の感光体表面は、次の画像形成に備えるために、除電装置により残留電荷が除去される。
【0003】
感光体上の静電潜像を現像する現像剤としては、トナーのみからなる一成分現像剤やトナーとキャリアとからなる二成分現像剤が一般に用いられる。
【0004】
一成分現像剤は、キャリアを使用しないことから、二成分現像剤のようにトナーとキャリアを均一に混合するための攪拌機構等を必要としない。そのため、一成分現像剤を使用する現像装置は、構造が単純になるといった利点を有する。一方、トナーの帯電量が安定し難い等の欠点を有する。
【0005】
これに対し、二成分現像剤はトナーとキャリアとを均一に混合するための攪拌機構等を必要とする。そのため、二成分現像剤を使用する現像装置は、構造が複雑になるといった欠点を有する。一方、帯電安定性や高速機への適合性に優れるとう利点を有する。したがって、二成分現像剤は、高速処理の画像形成装置やカラー画像形成装置によく使用されている。
【0006】
しかしながら、上記のように、帯電安定性に優れた二成分現像剤であっても、トナー消費量の少ない画像を連続して出力し続けた場合、流動性が低下して、画像濃度の低下や、低濃度部分の粒状性の悪化等の画質劣化が発生するという問題点を有する。
【0007】
このような二成分現像剤の流動性低下に起因する問題点を解決する手法として、例えば特許文献1には、トナー消費量が少ない画像を連続して出力し続けた場合(画像比率が所定値以下の場合)に、トナーを強制的に消費させる処理を行い、それに応じて新たなトナーを補給する構成が開示されている。これにより、特許文献1の構成では、二成分現像剤をリフレッシュし、画像濃度低下や画質劣化を防止できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−338657号公報(2005年12月08日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、二成分現像剤は、高湿度環境下にて長時間放置した場合、トナーの吸湿によって流動性が低下する問題や、帯電性能が低下する問題がさらに顕著となる。その結果、二成分現像剤を使用する画像形成装置では、トナー消費量の如何に関わらず、高湿度環境下での二成分現像剤の長時間放置により、前述の画像濃度不良や画質劣化に加えて、トナー飛散による機内汚染、用紙の裏汚れ、あるいはカブリが発生するという問題点を有している。
【0010】
したがって、本発明は、トナー消費量の如何に関わらず、高湿度環境下での二成分現像剤のトナーの吸湿に起因して発生する不具合を生じない画像形成装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、静電潜像が形成される感光体と、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を収容し、前記感光体の表面にトナーを供給する現像装置と、前記現像装置にトナーを補給するトナー補給装置とを備え、前記現像装置から前記感光体にトナーを供給して現像装置内のトナーが消費され、かつこのトナーの消費に伴って前記トナー補給装置から前記現像装置にトナーが補給されるトナー強制消費動作が行われる画像形成装置において、湿度を検出する湿度センサと、前記湿度センサにて検出される湿度が閾値以上となる高湿度状態が所定時間以上続いたときに、前記トナー強制消費動作を行わせる制御手段とを備えていることを特徴としている。
【0012】
また、本発明の画像形成装置の制御方法は、静電潜像が形成される感光体と、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を収容し、前記感光体の表面にトナーを供給する現像装置と、前記現像装置にトナーを補給するトナー補給装置とを備え、前記現像装置から前記感光体にトナーを供給して現像装置内のトナーを消費し、かつこのトナーの消費に伴って前記トナー補給装置から前記現像装置にトナーを補給するトナー強制消費動作を行う画像形成装置の制御方法において、湿度が閾値以上となる高湿度状態が所定時間以上続いたときに、前記トナー強制消費動作を行うことを特徴としている。
【0013】
上記の構成によれば、湿度が閾値以上となる高湿度状態が所定時間以上続いたときに、前記トナー強制消費動作を行う。
【0014】
ここで、高湿度環境下において二成分現像剤中トナーは吸湿し水分量が増加する。これは、現像装置では、トナー飛散の抑制のために、装置内外の圧力差を無くす構造になっているので、たとえば、フィルター等を介して、現像装置内の現像剤を積極的に外気と接触させるようにしていることによる。すなわち、現像装置のトナーは、現像ローラ上において必ず外気と接触し、高湿度環境下では吸湿する。一方、トナーカートリッジは密封構造のため、高湿度環境下での放置によってもカートリッジ内トナーは吸湿しない。
【0015】
トナー強制消費動作が行われると、現像装置内のトナーの一部は強制的に消費され、かつ新たなトナーが現像装置に補給される。これにより、現像装置内のトナーは、全体として、吸湿による流動性の低下状態および帯電性能の低下状態が改善される。したがって、高湿度環境下での長時間放置に伴う二成分現像剤でのトナーの吸湿に起因して、トナー消費量の如何に関わらず発生する画質劣化等の不具合を防止することができる。
【0016】
上記の画像形成装置は、前記感光体の表面を帯電させる帯電器と、前記現像装置に対して現像バイアスを印加する現像バイアス電源とを備え、前記現像装置は前記感光体にトナーを供給する現像ローラを備え、前記制御手段は、前記トナー強制消費動作において、前記帯電器が前記感光体に対する帯電動作を行わず、前記現像バイアス電源から前記現像装置に対して現像動作において印加される現像バイアスよりも低い現像バイアスを印加させ、前記感光体と前記現像ローラとを回転させる構成としてもよい。
【0017】
上記の構成によれば、トナー強制消費動作では、帯電器が感光体に対する帯電動作を行わず、現像バイアス電源から現像装置に対して、現像動作において印加される現像バイアスよりも低い現像バイアスが印加される。したがって、感光体と現像ローラとを回転させることにより、現像装置の現像ローラから感光体の表面に供給されて付着するトナーの濃度は、全体として低いものとなる。これにより、トナー強制消費動作により多量のトナーが強制的に消費されて、トナー消費量が無駄に増大する事態を防止することができる。
【0018】
上記の画像形成装置において、前記制御手段は、前記トナー強制消費動作において、5秒以上60秒以下の時間、前記現像装置に対して前記トナー強制消費動作用の現像バイアスが印加されるように、前記現像バイアス電源を制御する構成としてもよい。
【0019】
上記の構成によれば、トナー強制消費動作では、5秒以上60秒以下の時間、現像装置に対してトナー強制消費動作用の現像バイアスが印加される。この場合、トナー強制消費動作では、現像装置に対して現像バイアスが印加される上記の時間、現像装置から感光体に対してトナーが供給される。これにより、現像装置から適正な量のトナーを消費することができる。すなわち、現像バイアスの印加時間が5秒間よりも短いと、かぶりの原因となる帯電不良トナーがトナー強制消費動作によって十分に除去されない。一方、現像バイアスの印加時間が60秒間を超えると、帯電量不良トナー以外の余分なトナーまでが無駄に消費されることになる。
【0020】
上記の画像形成装置において、前記制御手段は、前記トナー強制消費動作において、前記感光体の表面電位との電位差が±100V未満の現像バイアスが印加されるように、前記現像バイアス電源を制御する構成としてもよい。
【0021】
上記の構成によれば、感光体の表面電位と現像バイアスとの電位差が±100V未満とう低い電位差の状態にてトナー強制消費動作が行われる。これにより、現像装置内の二成分現像剤から、正常に帯電している劣化の小さいトナーの消費を抑えつつ、帯電不良トナーを効果的に除去することができる。なお、上記のような低い電位差にてトナー強制消費動作を行った場合、感光体表面のトナー濃度IDはたとえば0.5以下となる。
【発明の効果】
【0022】
上記のように、本発明の構成によれば、湿度が閾値以上となる高湿度状態が所定時間以上続いたときに、トナー強制消費動作が行われる。トナー強制消費動作が行われると、現像装置内のトナーの一部は強制的に消費され、かつ新たなトナーが現像装置に補給される。これにより、現像装置内のトナーは、全体として、吸湿による流動性の低下状態および帯電性能の低下状態が改善される。したがって、高湿度環境下での長時間放置に伴う二成分現像剤でのトナーの吸湿に起因して、トナー消費量の如何に関わらず発生する画質劣化等の不具合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態における画像形成装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】図1に画像形成ユ二ットの構成を示す模式図である。
【図3】図1に示した画像形成装置が備えるドラムモータの動作タイミング、ならびに制御グリッド電圧および現像バイアスの印加タイミングを示すタイミングチャートである。
【図4】図2に示した感光体ドラムの表面電位の立ち上がりの経過を示すグラフである。
【図5】図1に示した画像形成装置でのトナー強制消費動作におけるドラムモータ動作タイミング、ならびに制御グリッド電圧および現像バイアスの印加タイミングを示すタイミングチャートである。
【図6】図1に示した現像装置における二成分現像剤中のトナー帯電量分布を示すグラフである。
【図7】図1に示した画像形成装置におけるトナー強制消費動作を行う場合の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態を図面に基づいて以下に説明する。
図1は、本発明の実施の形態における画像形成装置100の全体構成を示す模式図である。図1に示すように、画像形成装置100は、第1〜第4の4つの画像形成ユ二ット1〜4を備えるタンデム方式のカラー画像形成装置である。第1画像形成ユ二ット1では黒トナー画像が形成され、第2画像形成ユ二ット2ではシアントナー画像が形成され、第3画像形成ユ二ット1ではマゼンタトナー画像が形成され、第4画像形成ユ二ット4ではイエロートナー画像が形成される。
【0025】
これら第1〜第4画像形成ユ二ット1〜4の上方には、無端ベルトである中間転写ベルト5が配設されている。中間転写ベルト5は、第1および第2支持ローラ6a,6bに掛け渡され、矢印R方向に回動する。中間転写ベルト5の材料としては、ポリイミドまたはポリアミド等の樹脂に電子伝導性導電材を適当量含有させたものを使用できる。以下では、中間転写ベルト5の回動方向Rに対し、2次転写ローラ8が配置されている2次転写位置を基準として、回動方向上流、下流を規定する。
【0026】
第1〜第4画像形成ユ二ット1〜4は、中間転写ベルト5の回動方向Rの上流側から、ブラック用の第1画像形成ユ二ット1、シアン用の第2画像形成ユ二ット2、マゼンタ用の第3画像形成ユ二ット3、イエロー用の第4画像形成ユ二ット4の順に配置されている。
【0027】
中間転写ベルト5の内側における、第1〜第4画像形成ユ二ット1〜4と中間転写ベルト5を介して対向する各位置には、第1〜第4画像形成ユ二ット1〜4にて形成された単色トナー画像を中間転写ベルト5上に転写する1次転写ローラ7が設けられている。第1〜第4画像形成ユ二ット1〜4にて形成された各色のトナー画像は、中間転写ベルト5上に重なり合うように転写され、一つのカラートナー像となる。
【0028】
第4画像形成ユ二ット4よりも中間転写ベルト5の回動方向Rの下流側には、中間転写ベルト5上に形成されたカラートナー像を用紙(記録媒体)に転写する2次転写ローラ8が配置されている。この2次転写ローラ8は中間転写ベルト5を介して第1支持ローラ6aに圧接されている。
【0029】
また、第2支持ローラ6bと対向する位置には、トナー像転写後の中間転写ベルト5の表面をクリー二ングするためのベルトクリー二ングユ二ット10が設けられている。ベルトクリー二ングユ二ット10は、中間転写ベルト5に接触配置されるベルトクリー二ングブラシ11と、ベルトクリー二ングブレード12とを有している。ベルトクリー二ングブレード12は、ベルトクリー二ングブラシ11より中間転写ベルト5の回転方向Rの下流側に配置されている。
【0030】
また、第1〜第4画像形成ユ二ット1〜4の下方には、用紙を収容するトレー14が配設されている。トレー14内の用紙は、複数の給紙ローラ13にて、2次転写ローラ8と第1支持ローラ6aとの間の2次転写位置まで搬送される。矢符Pは、トレー14から2次転写ローラ8への用紙の搬送方向を示す。
【0031】
2次転写ローラ8の用紙搬送方向下流側には、用紙に転写されたカラートナー像を用紙上に定着するための定着ユ二ット15が設けられている。定着ユ二ット15のさらに用紙搬送方向P下流側には、定着ユ二ット15にてカラートナー像が定着された用紙を画像形成装置100から排出する排紙ローラ13aが設けられている。
【0032】
このような構成において、第1〜第4画像形成ユ二ット1〜4にて形成された各単色トナー画像は、中間転写ベルト5上へ順次転写されて、中間転写ベルト5上にカラートナー像が形成される。中間転写ベルト5上のカラートナー像は、2次転写位置において、給紙ローラ13にて搬送される用紙に転写され、その後、定着ユ二ット15にて用紙に定着される。カラー画像が定着された用紙は、排紙ローラ13aにて画像形成装置から排出される。一方、2次転写後、用紙に転写さないまま中間転写ベルト5上に残ったトナーは、ベルトクリー二ングユ二ット10にて取り除かれる。
【0033】
図2は、図1に示した画像形成ユ二ットの構成を示す模式図である。なお、第1〜第4画像形成ユ二ット1〜4の構成は実質的に同一であるので、ここではひとつの画像形成ユ二ット、たとえば第1画像形成ユ二ットの構成のみを示す。
【0034】
図2に示すように、第1画像形成ユ二ット1は感光体ドラム16を有する。この感光体ドラム16はドラムモータ38によって回転駆動される。この感光体ドラム16の周囲には、帯電装置(帯電器)17、露光装置18、現像装置19、カブリ濃度センサ26、クリー二ング装置20および除電ランプ25が、この順序に感光体ドラム16の回転方向Rdに沿って配置される。
【0035】
帯電装置17は感光体ドラム16を帯電し、露光装置18は感光体ドラム16上に静電潜像を書き込み、現像装置19は感光体ドラム16上の静電潜像を現像して可視化する。クリー二ング装置20は感光体ドラム16上に残留するトナーを含む残留物を除去し、除電ランプ25は感光体ドラム上の残留電荷を除去する。
【0036】
さらに詳細には、帯電装置17は、スコロトロン帯電装置からなり、ノコ歯電極(放電電極)17aから感光体ドラム16の表面に到達するコロナイオンの量を制御可能な制御グリッド(制御グリッド)17bを備えている。ノコ歯電極17aには数kVの高電圧を出力する高電圧電源(図示せず)が接続されている。
【0037】
制御グリッド17bには、切替えスイッチ31を介して、高電圧用トランス(TH)を有する高電圧電源32と、定電圧電源であり、低電圧用トランス(TL )を有する低電圧電源33とが接続されている。本実施の形態において、低電圧電源33の出力電圧は約200Vであり、高電圧電源32の出力電圧は約650Vである。ただし、電圧の極性は何れもマイナスである。上記切替えスイッチ31の切換動作は、例えばマイクロコンピュータを備えた制御装置(制御手段)34によって制御される。
【0038】
露光装置18は、例えばレーザ露光器からなり、入力された画像信号に応じたレーザ走査による露光を行い、帯電装置17によって帯電された感光体ドラム16の表面電位を変化させることで、感光体ドラム16の表面に画像情報に応じた静電潜像を形成する。露光器としては、LDEアレイ装置等を用いることもできる。
【0039】
現像装置19は、現像槽21の内部にキャリアとトナー(本実施形態においては負帯電トナー)からなる二成分現像剤を収容し、二成分現像剤を感光体ドラム16の表面に供給する現像ローラ24を備えている。現像ローラ24には現像バイアス電源35から現像バイアスが印加されている。
【0040】
また、現像槽21には、嵩検知センサ36によって検出される現像槽21内のトナー濃度の低下に応じて、図示しないトナーホッパー(たとえばトナーカートリッジ)からトナーが補給される。具体的には、カートリッジ(トナー補給装置)から現像槽21へトナーを補給するトナー補給部材(たとえばトナー補給ローラ)がトナー補給モータ(トナー補給装置)39によって回転駆動され、トナー補給モータ39の回転が制御装置34によって制御される。
【0041】
前記二成分現像剤は、磁性キャリアとトナーを含み、二成分反転現像方式により、感光体ドラム16に形成された静電潜像を現像する。現像槽21の上部の内面には嵩検知センサ36が設けれている。この嵩検知センサ36は、二成分現像剤の嵩、すなわちトナー濃度を検知する。嵩検知センサ36としては、透磁率センサが使用でき、測定結果を制御装置34に出力する。
【0042】
現像装置19近傍、たとえば現像槽21の上部の外面には、現像装置19周囲の湿度を検出する湿度センサ37が配置されている。湿度センサ37の測定結果は制御装置34に入力される。なお、図2の例では、湿度センサ37は、現像槽21の外面に配置されているが、現像槽21の内面に配置されていてもよい。
【0043】
カブリ濃度センサ26は、感光体ドラム16表面の非画像部におけるトナー付着量を測定する。カブリ濃度センサ26は、発光素子と受光素子とを有するフォトセンサからなる。カブリ濃度センサ26の測定結果は制御装置34に入力される。
【0044】
現像装置19の現像動作により感光の表面に形成されたトナー像は、中間転写ベルト5上に一次転写される。転写後に感光体ドラム16の表面に残留したトナーはクリー二ング装置20によって回収される。一方、感光体ドラム16の表面に残留する電荷は、除電ランプ25によって除去される。
【0045】
次に、画像形成装置100における画像形成動作について説明する。
画像形成動作においては、まず感光体ドラム16がドラムモータ38により回転駆動され、感光体ドラム16の表面が帯電装置17によって均一な電位に帯電される。次に、感光体ドラム16の表面に、露光装置18からレーザ光が照射されて静電潜像が形成される。感光体ドラム16での静電潜像の形成は、感光体ドラム16の基体をなすアルミ二ウム素管(図示せず)がドラムフランジからドラムシャフトを介してグランドに接続されており、上記レーザ光による露光部の電位が未露光部分よりも低下することにより行われる。
【0046】
上記のようにして形成された静電潜像は、現像装置19から供給される、帯電されたトナーによって現像され、トナー像となる。このとき、現像装置19の現像ローラ24には、トナーを感光体ドラム16の表面に供給するために、現像バイアス電源35から現像バイアスが印加されている。本実施の形態において、現像バイアス電源35のプラス側の出力電圧は150Vであり、マイナス側の出力電圧は100Vと500Vである。
【0047】
現像バイアス電源35の出力電圧は、例えばマイクロコンピュータを備えた制御装置34によって制御される。制御装置34は、後述するトナー強制消費動作を含み、画像形成装置100の各部の動作を制御する。
【0048】
図3は図1に示した画像形成装置が備えるドラムモータ38の動作タイミング、ならびに制御グリッド電圧および現像バイアスの印加タイミングを示すタイミングチャートである。
【0049】
ドラムモータ38の回転開始から、感光体ドラム16の表面電位が規定電位に立ち上がるまでの間には、図3に示すタイミングにて各部が動作する。
【0050】
図3に示すように、時刻t1においてドラムモータ38が回転を開始すると、これと同時に、帯電装置17では、ノコ歯電極17aに高電圧が供給される。さらに切替えスイッチ31が低電圧電源33側に切り替えられることにより、制御グリッド17bに低電圧電源33から所定の低グリッド電圧(−200V)が供給される。図3には記載されていないが、同時に除電ランプ25がONとなる。また、現像装置19では、時刻t1において、現像ローラ24に現像バイアス電源35から所定のプラス側現像バイアス電圧(+150V)が供給される。
【0051】
次に、時刻t2において、切替えスイッチ31が高電圧電源32側に切り替えられることにより、帯電装置17では、制御グリッド17bに所定の高グリッド電圧(−650V)が供給される。このとき、制御グリッド17bに印加するグリッド電圧は、低電圧(−200V)から高電圧(−650V)までを8段階に分けて、約−40Vづつ上昇させている。
【0052】
このように、複数段階にてグリッド電圧を上昇させることにより、感光体ドラム16表面電位の立ち上がり時における電位の不安定部分の発生を防止し、感光体ドラム16の表面電位を規定電位まで直線的に立ち上げることができる。この結果、キャリアの飛散による感光体ドラム16の劣化やトナーリサイクル時の飛散キャリアを核としたトナーの凝集による画質の劣化、並びに感光体ドラム16への逆帯電トナーの付着やトナー消費量の増大を防止し得るとともに、安定した画質の画像を得ることができる。
【0053】
一方、時刻t1から所定時間a後の時刻t3において、現像装置19では、現像バイアス電源35から現像ローラ24にマイナス側低現像バイアス電圧(−200V)が供給され、時刻t3から所定時間b後の時刻t4において、マイナス側高現像バイアス電圧(−500V)が供給される。
【0054】
感光体ドラム16が回転を開始し、制御グリッド17bへのグリッド電圧の印加により感光体ドラム16表面電位の上昇した部分が、現像ローラ24と対向する現像部に到達するまでの期間、現像バイアスが0Vのままでは、現像部を通過する部分の感光体ドラム16表面電位が0Vであるために、現像部を通過する部分にトナーが付着することになる。また、このときにグリッド電圧と同極性の電圧を現像バイアスとして印加すると、トナーの帯電量の大小にかかわらず、感光体ドラム16表面へのトナーの付着が生じるが、表面電位上昇部分が現像部に到達するまでの期間において、グリッド電圧とは逆極性の現像バイアスを現像装置19に印加することで、感光体ドラム16表面へのトナーの付着を防止することができる。この結果、トナー消費量の増大を防止し得るとともに、安定した画質の画像を得ることができる。
【0055】
切り替えスイッチ31による低電圧電源33側から高電圧電源32側への切り替えタイミングは、感光体ドラム16の表面電位が制御グリッド17bへの低電圧電源33の印加後に立ち上がった直後(約0.2秒後)に設定される。上記のようにして帯電装置17から電位が供給されることにより、感光体ドラム16の表面電位は上昇していき、最終的に規定電位となる。このとき、帯電装置17の制御グリッド17bには、先ず低電圧電源33から低電圧バイアスを印加し、次に高電圧電源32から高電圧を印加するようにしているので、感光体ドラム16表面電位の立ち上がりは、図4に示すようになる。
【0056】
図4は、図2に示した感光体ドラムの表面電位の立ち上がりの経過を示すグラフである。このグラフにおいて、横軸は経過時間(sec)を示し、縦軸は電位(V)を示す。
【0057】
経過時間は、図3に示した時刻t1、すなわちドラムモータ38の回転開始時刻を0としている。感光体ドラム16の表面電位は、0Vから制御グリッド電圧の出力に伴って段階的に上昇し、規定電位(−600V)に到達する。
【0058】
ここで、現像装置19の現像槽21内のトナーは、たとえば画像形成装置100の電源オフ状態により長時間放置されていた場合、および画像形成装置100の電源オン状態であっても、現像装置19周囲の湿度上昇によりトナーが吸湿状態となった場合(トナーの水分含有量が上昇した場合)に、流動性が低下し、また帯電量が低下する。このようなトナーを含む二成分現像剤により現像が行われた場合、画像濃度不良や画質劣化、さらにはトナー飛散による機内汚染、用紙の裏汚れ、あるいはカブリが発生し易くなる。
【0059】
そこで、画像形成装置100では、電源オフ状態から電源オン状態となったとき、および湿度センサ37にて閾値以上の高湿度状態が検出されたときに、現像槽21内の既存のトナーを強制的に消費させるトナー強制消費動作を行う。トナー強制消費動作を行うことにより、帯電量の低下したトナーや逆極性に帯電したトナーなど、かぶりの原因となる帯電不良トナーは強制的に消費される。
【0060】
また、トナー強制消費動作では、現像装置19から感光体ドラム16へのトナーの供給動作に続いて、現像槽21内にトナーカートリッジから新しいトナーを補給するトナー補給動作が行われる。このトナー補給動作により、現像槽21内のトナーの流動性が低下した状態、および帯電量が低下した状態は解消される。
【0061】
なお、上記トナー補給動作は、現像装置19から感光体ドラム16へのトナーの上記供給動作が行われた場合に、無条件にたとえば一定量のトナーをトナーカートリッジから現像槽21に補給する動作であってもよい。あるいは、現像装置19から感光体ドラム16へのトナーの上記供給動作に伴い、現像槽21内のトナー濃度の低下が検出された場合に、トナー濃度の低下を補う量のトナーをトナーカートリッジから現像槽21に補給する動作であってもよい。
【0062】
トナー強制消費動作では、感光体ドラム16の表面に静電潜像が未形成の状態において、感光体ドラム16の表面電位と現像バイアス電位との電位差を±100V未満として、感光体ドラム16と現像ローラ24を回転動作させる。これにより、感光体ドラム16の表面に、所定のトナー濃度以下の状態にてトナーが付着され、現像槽21内のトナーが強制的に消費される。上記所定のトナー濃度としては、たとえばIDが0.5程度とする。
【0063】
図5は、画像形成装置でのトナー強制消費動作におけるドラムモータ38の動作タイミング、ならびに制御グリッド電圧および現像バイアスの印加タイミングを示すタイミングチャートである。
【0064】
制御装置34は、トナー強制消費動作に関し、湿度センサ37の検出値が所定の閾値以上となり、その状態が所定時間以上続いた場合、すなわち二成分現像剤が高湿度環境下にある状態が所定時間以上続いた場合に、時刻txから時刻tyまでの所定の時間(たとえば30秒間)、ドラムモータ38を回転させる。また、この所定の時間、現像バイアス電源35から現像ローラ24に−10Vの現像バイアス電位(トナー強制消費動作用の現像バイアス)を印加させる。このとき、ノコ歯電極17aならびに制御グリッド17bには電圧を印加しない。ここで、時刻tx、時刻tyはたとえばともに時刻t1より前の時刻であり、トナー強制消費動作は、通常の画像形成動作とは全く別のタイミングで実施される。
【0065】
また、制御装置34は、トナー強制消費動作において、現像装置19から感光体ドラム16へのトナーの上記供給動作が行われた場合に、無条件にたとえば一定量のトナーがトナーカートリッジから現像槽21に補給されるようにトナー補給モータ39を制御する。あるいは、現像装置19から感光体ドラム16へのトナーの供給動作に伴い、現像槽21内のトナー濃度の低下が検出された場合に、トナー濃度の低下を補う量のトナーがトナーカートリッジから現像槽21に補給されるようにトナー補給モータ39を制御する。
【0066】
トナー強制消費動作において制御グリッド電圧を印加する場合、現像バイアス電位は、感光体ドラム16の表面電位と現像バイアス電位との電位差が、−50V〜+50Vとなるように設定される。印加時間としては、5秒間〜60秒間が好ましく、5秒間〜30秒間が特に好ましい。印加時間が5秒間より短いと、かぶりの原因となる帯電不良トナーがトナー強制消費動作によって十分に除去されない。また、印加時間が60秒間を超えると、帯電量不良トナー以外の余分なトナーまでが無駄に消費されることになる。
【0067】
また、現像バイアス電位が−100Vよりもマイナス側に大きいと、帯電不良トナーのみならず、正常な帯電量を有するトナーまでもがトナー強制消費動作により除去されやすくなり、余分なトナー消費が生じる。逆に、現像バイアス電位が+100Vよりもプラス側に大きいと、帯電不良トナーがトナー強制消費動作によって除去されない。
【0068】
図6は、現像装置19における二成分現像剤中のトナー帯電量分布を示すグラフである。グラフAは、高湿度環境下での長期放置によって吸湿した二成分現像剤のトナー帯電量分布を示す。グラフBは、現像装置19内のトナーをカートリッジ内の吸湿していないトナーに置換したときの二成分現像剤のトナー帯電量分布を示す。Aでは未帯電や逆帯電トナーが多いのに対して、Bでは帯電性能が良化することが分かる。
【0069】
次に、画像形成装置100に使用できる二成分現像剤について説明する。
二成分現像剤は、トナーとキャリアを混合することによって作製でき、一般に、キャリア100重量部に対してトナー3〜15重量部の割合で混合され、ナウターミキサ等の混合機で攪拌することによって作製できる。
【0070】
トナーとしては、特に限定されず、公知のトナーを使用できる。例えば、以下で説明するトナーが使用できる。
【0071】
トナーは、着色樹脂粒子(トナー粒子)と、必要に応じて着色樹脂粒子の表面に付着する外添剤とを備えている。外添剤は、トナーの凝集を防ぐことにより、感光体ドラム16から記録媒体へ転写する際の転写効率の低下を防ぐ観点から、トナーに含まれていることが好ましい。
【0072】
トナーは、例えば、外添剤を着色樹脂粒子とヘンシェルミキサのような気流混合機を用いて混合する(すなわち、外添処理する)ことによって作製できる。着色樹脂粒子の体積平均粒径は、4〜7μmの範囲内のものが好ましい。この範囲内であれば、ドット再現性に優れ、カブリやトナー飛散の少ない、高画質画像が得られる。
【0073】
着色樹脂粒子は、混練粉砕法や重合法等の公知の方法によって作製できる。具体的には、混練粉砕法を採用した場合、バインダー樹脂、着色剤、帯電制御剤、離型剤、ならびにその他の添加剤を、ヘンシェルミキサ、スーパーミキサ、メカノミル、Q型ミキサ等の混合機により混合する。得られた原料混合物を、2軸混練機、1軸混練機等の混練機により、100〜180℃程度の温度で溶融混練する。得られた混練物を冷却固化し、固化物をジェットミルのようなエア式粉砕機により粉砕する。得られた粉砕物を、必要に応じて分級等の粒度調整を行うことにより着色樹脂粒子を作製できる。
【0074】
トナーに使用できるバインダー樹脂としては、公知の各種スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等が使用できる。特に線形または非線形のポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂は、機械的強度(微粉が発生しにくい)、定着性(定着後に紙から剥離しにくい)、および耐ホットオフセット性を両立させる上で優れている。
【0075】
トナーに使用できる着色剤としては、トナーに一般に用いられている公知の顔料や染料を使用できる。
【0076】
トナーに使用できる帯電制御剤としては、公知の帯電制御剤を使用できる。
具体的には、負帯電性を付与する帯電制御剤として、クロムアゾ錯体染料、鉄アゾ錯体染料、コバルトアゾ錯体染料、サリチル酸もしくはその誘導体のクロム・亜鉛・アルミ二ウム・ホウ素錯体もしくは塩化合物、ナフトール酸もしくはその誘導体のクロム・亜鉛・アルミ二ウム・ホウ素錯体もしくは塩化合物、ベンジル酸もしくはその誘導体のクロム・亜鉛・アルミ二ウム・ホウ素錯体もしくは塩化合物、長鎖アルキル・カルボン酸塩、長鎖アルキル・スルフォン酸塩等を挙げることができる。
【0077】
正帯電性を付与する帯電制御剤としては、二グロシン染料、およびその誘導体、トリフェ二ルメタン誘導体、四級アンモ二ウム塩、四級ホスフォ二ウム塩、四級ピリジ二ウム塩、グア二ジン塩、アミジン塩等の誘導体等を挙げることができる。
【0078】
これらの帯電制御剤の含有量としては、バインダー樹脂100重量部に対して0.1重量部〜20重量部の範囲内がより好ましく、0.5重量部〜10重量部の範囲内が更に好ましい。
【0079】
トナーに使用できる離型剤としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成ワックスやパラフィンワックスおよびその誘導体、マイクロクリスタリンワックスおよびその誘導体等の石油系ワックスおよびその変成ワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の植物系ワックス等を挙げることができる。これら離型剤をトナー中に含有させることにより、定着ローラまたは定着ベルトに対するトナーの離型性を高めることができ、定着時の高温・低温オフセットを防止できる。離型剤の添加量は特に制限されないが、一般的には、バインダー樹脂100重量部に対して1〜5重量部である。
【0080】
外添剤としては、平均粒径が7nm〜100nmのシリカ、酸化チタン、アルミナ等からなる無機粒子が使用できる。また、無機粒子をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理することによって疎水性を付与してもよい。疎水性を付与した無機粒子は、高湿下において電気抵抗や帯電量の低下が少なくなるので好ましい。特に、シランカップリング剤としてヘキサメチルジシラザン(以下、HMDSと呼ぶこともある)を用いて、表面にトリメチルシリル基を導入したシリカ粒子は、疎水性や絶縁性に優れている。このシリカ粒子を外添したトナーは、高湿度環境下においても、優れた帯電性を提供できる。
【0081】
外添剤としては、粒径が小さくなるとトナー表面に埋没しやすいので、上記の外添剤に加えて、個数平均粒径が80nm以上の外添剤を添加することが望ましい。粒径が300nmを超えるとトナー表面から離脱し、現像槽の下部にたまったりするので、個数平均粒径としては、80nm以上300nm以下の外添剤が好ましい。
【0082】
外添剤の添加量は、0.2〜3重量%が好ましい。0.2重量%未満では、トナーに十分や流動性を与えられないことがある。逆に3重量%を超えると、トナーの定着性が低下することがある。
【0083】
本発明に使用できるキャリアとしては、特に制限されるものはないが、体積平均粒径が20〜100μmであることが好ましい。体積平均粒径は、小さすぎると、現像時に現像ローラから感光体ドラムにキャリアが移動することにより、得られる画像に白抜けが発生することがある。また、大きすぎるとドット再現性が悪くなり、画像が粗くなることがある。体積平均粒径は、30〜60μmが更に好ましい。
【0084】
キャリアの飽和磁化は、低いほど感光体ドラムと接する磁気ブラシが柔らかくなるので、静電潜像に忠実な画像が得られる。しかし、飽和磁化が低すぎると、感光体ドラム表面にキャリアが付着し、白抜け現象が発生しやすくなる。一方、飽和磁化が高すぎると、磁気ブラシの剛直化により、静電潜像に忠実な画像が得られにくくなる。従って、キャリアの飽和磁化は、30〜100emu/gの範囲内が好ましく、50〜80emu/gの範囲内がより好ましい。
【0085】
上記の構成において、トナー強制消費動作を行う場合の画像形成装置100の動作について以下に説明する。図7は、トナー強制消費動作を行う場合の画像形成装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
【0086】
画像形成装置100では、電源がオンにされると(S11)、制御装置34の制御により、トナー強制消費動作を行う(S12)。このトナー強制消費動作では、現像装置19から感光体ドラム16への強制的なトナーの供給動作、およびこれに続くトナーカートリッジから現像装置19の現像槽21へのトナー補給動作を行う。
【0087】
その後、制御装置34は、湿度センサ37により検出される湿度を監視しており(S14)、湿度が所定の閾値以上であるか否かを判定する(S13)。この判定の結果、湿度が所定の閾値以上であれば、湿度が所定の閾値以上であると判定してから、所定の時間が経過するまで湿度が所定の閾値以上である状態が維持されているか否を判定する(S15)。
【0088】
S15の判定の結果、湿度が所定の閾値以上である状態が所定の時間維持されていれば、さらに、前回のトナー強制消費動作から所定時間経過しているか否かを判定する(S16)。この判定の結果、前回のトナー強制消費動作から所定時間経過していれば、トナー強制消費動作を行う(S17)。このトナー強制消費動作では、同様に、現像装置19から感光体ドラム16への強制的なトナーの供給動作、およびこれに続くトナーカートリッジから現像装置19の現像槽21へのトナー補給動作を行う。
【0089】
その後、電源がオフにされるまで(S18)、S14〜S17の処理を繰り返す。
【0090】
上記のS15の判定動作は、湿度が一時的に所定の閾値以上となった場合に、トナー強制消費動作が行われる事態を避けるためのものである。したがって、S15での所定時間は、湿度センサ37にて検出される現像装置19周囲の高湿度状態(湿度が所定値以上の状態)により、現像槽21内のトナーの特性に影響を及ぼす吸湿状態が発生するような時間に設定される。
【0091】
また、上記のS16の判定動作は、トナー強制消費動作が連続して、あるいは頻繁に行われる事態を避けるためのものである。したがって、S16での所定時間は、トナー強制消費動作が連続して、あるいは頻繁に行われることにより、画像形成装置100の本来の画像形成動作の実行に大きく影響するような事態を避けるような時間に設定される。
【0092】
なお、S17の動作は、画像形成装置100の設定に応じて、適宜設定すれば良く、不要な場合には省くこともできる。
【実施例】
【0093】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0094】
<キャリア>
二成分現像剤のキャリアを、以下に示す方法により作製した。
【0095】
フェライト原料(KDK社製)をボールミルにて混合した後、ロータリーキルンにて900℃で仮焼し、得られた仮焼粉を、湿式粉砕機(粉砕媒体としてスチールボール使用)により平均粒径2μm以下にまで微粉砕した。得られたフェライト粉末をスプレードライ方式により造粒し、造粒物を1300℃で焼成した。焼成後、クラッシャを用いて解砕することで、体積平均粒子径が43μm、体積抵抗率が1×109Ω・cmのフェライト成分からなるコア粒子を得た。
【0096】
次に、コア粒子を被覆する熱硬化性シリコーン樹脂層を形成するための被覆用塗液として、ジメチルシリコーン樹脂(東芝シリコン社製)100重量部と、カーボンブラック(三菱化学社製)5重量部とをトルエン1000重量部に溶解し調整した。調製した被覆用塗液中にコア粒子を浸漬させる浸漬法被覆装置によりコア粒子に被覆した。この後、溶剤を完全に蒸発除去した後、230℃で30分間、熱硬化を行い、キャリアC1を作製した。
【0097】
キャリアC1は、体積平均粒子径が40μm、体積抵抗率が2×1011Ω・cm、飽和磁化60emu/gであった。
<トナー>
二成分現像剤のトナーを、以下に示す方法で作製した。
【0098】
トナー材料を下記する。
【0099】
・バインダー樹脂(ビスフェノールAプロピレンオキサイド、テレフタル酸または無水トリメリット酸を単量体として重縮合して得られるポリエステル樹脂:ガラス転移温度60℃、軟化温度115℃:藤倉化成工業社製) 100重量部
・着色剤(C.I.ピグメント・ブルー15:3) 5重量部
・帯電制御剤(ホウ素化合物:日本カーリット社製LR−147) 2重量部
・離型剤(マイクロクリスタリンワックス:日本精鑞社製HNP−9) 3重量部
上記トナー材料をヘンシェルミキサにて10分間混合した後、混練分散処理装置(三井鉱山社製:二ーディックスMOS140−800)で溶融混練分散処理した。その混練物をカッティングミルで粗粉砕した後、ジェット式粉砕機(日本二ューマチック工業社製:IDS−2型)によって微粉砕した。微粉砕物を、風力分級機(日本二ューマチック工業社製:MP−250型)を用いて分級することによって、体積平均粒径が6.0μmの着色樹脂粒子を得た。
【0100】
得られた着色樹脂粒子100重量部に、ヘキサメチルジシラザンで表面を疎水処理した個数平均粒径が7nmのシリカ粒子(デグサ社製)1重量部を加えて、攪拌羽根の先端速度を15m/秒に設定した気流混合機(三井鉱山社製:ヘンシェルミキサ)で2分間攪拌することによって負帯電性のトナーT1を作製した。
【0101】
<二成分現像剤>
キャリアC1とトナーT1とを混合することによって、二成分現像剤を作製した。二成分現像剤は、トナー6重量部とキャリア94重量部とをナウターミキサ(商品名:VL−0、ホソカワミクロン社製)に投入し、20分間攪拌混合することによって二成分現像剤G1を作製した。
【0102】
<画像形成装置>
二成分現像剤G1を使用する画像形成装置として、図1に示した画像形成装置100と同様の構成の画像形成装置を使用した。画像形成は、4つの画像形成ユ二ットのうち、画像形成ユ二ット1のみを用いて行った。なお、画像形成装置の現像条件として、感光体の周速を400mm/秒、現像ローラの周速560mm/秒、感光体と現像ローラのギャップを0.40mm、現像ローラと規制ブレードのギャップを0.4mmとなるように設定し、感光体ドラムの表面電位(−600V)および現像バイアス(−450V)にそれぞれ調整した。試験紙として、A4サイズの電子写真用紙(マルチレシーバー:シャープドキュメントシステム社製)を使用した。
【0103】
<画像評価方法>
5枚の白画像サンプルをプリントし、かぶり濃度の測定を行った。かぶり濃度については、非画像部(0%濃度)の濃度を次の手順により算出した。
【0104】
白度計(日本電色工業社製:Z−Σ90 COLOR MEASURING SYSTEM)を用いて、予めプリント前の紙の白色度を測定する。次に、プリント後の紙の非画像部における白色度を、白度計を用いて測定し、プリント前の白色度との差を求める。この差をかぶり濃度とする。カブリ濃度が0.6未満(肉眼ではカブリがほとんど見えない状態)を良好、0.6以上1.0未満をやや不良、1.0以上(肉眼ではカブリが明確に見える状態)を不良とする。
【0105】
(実施例)
二成分現像剤G1を画像形成装置にセットし、10%カバレージのテキスト画像の50K枚連続印刷テストを行った。トナー強制消費動作は、現像バイアスを+10V、感光体ドラム表面電位0V(帯電装置OFF)の条件で、60秒間行い、トナー強制消費動作を行う直前のトナー濃度センサの出力値になるまで新トナーを補給した。
【0106】
50K枚の連続印刷テストの最中、トナー強制消費動作は計10回実施され、10K枚ごとに印刷した画像サンプルにおいては、画像濃度およびカブリ濃度ともに良好な結果が得られた。
【0107】
(比較例)
トナー強制消費動作を実施しない点を除いて、実施例と同じ方法で50K枚連続印刷テストを行った。その結果、10K枚時に印刷した画像サンプルにおいては、画像濃度およびカブリ濃度ともに良好な結果が得られたが、20K枚時および50K枚時に印刷した画像サンプルにおいては、画像濃度低下(不良)とカブリ濃度上昇(不良)が見られた。
【0108】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0109】
1〜4 第1〜第4画像形成ユニット
16 感光体ドラム
17 帯電装置(帯電器)
19 現像装置
21 現像槽
24 現像ローラ
25 除電ランプ
26 カブリ濃度センサ
31 切替えスイッチ
34 制御装置(制御手段)
35 現像バイアス電源
37 湿度センサ
38 ドラムモータ
39 トナー補給モータ(トナー補給装置)
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される感光体と、
トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を収容し、前記感光体の表面にトナーを供給する現像装置と、
前記現像装置にトナーを補給するトナー補給装置とを備え、
前記現像装置から前記感光体にトナーを供給して現像装置内のトナーが消費され、かつこのトナーの消費に伴って前記トナー補給装置から前記現像装置にトナーが補給されるトナー強制消費動作が行われる画像形成装置において、
湿度を検出する湿度センサと、
前記湿度センサにて検出される湿度が閾値以上となる高湿度状態が所定時間以上続いたときに、前記トナー強制消費動作を行わせる制御手段とを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記感光体の表面を帯電させる帯電器と、
前記現像装置に対して現像バイアスを印加する現像バイアス電源とを備え、
前記現像装置は前記感光体にトナーを供給する現像ローラを備え、
前記制御手段は、前記トナー強制消費動作において、前記帯電器が前記感光体に対する帯電動作を行わず、前記現像バイアス電源から前記現像装置に対して現像動作において印加される現像バイアスよりも低い現像バイアスを印加させ、前記感光体と前記現像ローラとを回転させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記トナー強制消費動作において、5秒以上60秒以下の時間、前記現像装置に対して前記トナー強制消費動作用の現像バイアスが印加されるように、前記現像バイアス電源を制御することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記トナー強制消費動作において、前記感光体の表面電位との電位差が±100V未満の現像バイアスが印加されるように、前記現像バイアス電源を制御することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
静電潜像が形成される感光体と、
トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を収容し、前記感光体の表面にトナーを供給する現像装置と、
前記現像装置にトナーを補給するトナー補給装置とを備え、
前記現像装置から前記感光体にトナーを供給して現像装置内のトナーを消費し、かつこのトナーの消費に伴って前記トナー補給装置から前記現像装置にトナーを補給するトナー強制消費動作を行う画像形成装置の制御方法において、
湿度が閾値以上となる高湿度状態が所定時間以上続いたときに、前記トナー強制消費動作を行うことを特徴とする画像形成装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−3012(P2012−3012A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137436(P2010−137436)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】