説明

画像形成装置及び画像形成方法

【課題】像露光手段の発光量特性の個体差によらず、短時間で画像形成条件の設定、制御を行うことが可能な画像形成装置及び画像形成方法を提供する。
【解決手段】像担持体2と、像担持体2上を帯電させる帯電手段3と、発光量設定値に基づいて発光レベルを変更可能であって、帯電した像担持体2上を露光して像担持体2上に静電像を形成する像露光手段20と、像担持体2上に形成された静電像を現像剤を用いて現像する現像手段6と、目標とする画像形成条件に対応して設定されている発光量設定値にて像担持体2を露光したときの像担持体2上の静電像と現像手段6との間に設けられる電位差であるコントラスト電圧が目標値となるように画像形成条件を設定する設定手段31と、を有する画像形成装置1は、発光量設定値に対する像露光手段20の実際の露光量の関係に基づいて、上記目標とする画像形成条件に対応して設定されている発光量設定値を補正する補正手段31を有する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写装置、レーザビームプリンタ等の電子写真方式を利用した画像形成装置及び画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置は、一般的に、感光体(感光層)を有する感光ドラム(像担持体)を備えている。そして、感光ドラムの表面を一次帯電装置(プロセス手段)にて一様に帯電した後、露光装置(プロセス手段)にて該表面を露光することにより静電潜像を形成する。更に、現像装置(プロセス手段)にて静電潜像にトナーを付着させることによりトナー像を形成する。
【0003】
尚、本明細書では、電子写真画像形成装置において広く用いられている設定として、感光体の帯電電位が負極性であり、イメージスキャンニング方式、反転現像方式を採用する場合を例にして説明する。イメージスキャニング方式は、画像部を露光して静電潜像を形成する方式である。又、反転現像方式は、帯電した感光体の露光により電荷が減衰した部分に、感光体の帯電極性と同極性に帯電したトナーを付着させることで静電潜像を現像する方式である。但し、本明細書では、説明の容易化のために、感光体の帯電電位等についてはその極性を省略して絶対値で表し、又その値の大小関係もその絶対値で比較したものとして表す。勿論、本発明は、感光体の帯電極性、露光方式(画像部と背景部のいずれを露光するか)、現像方式(反転現像方式と正規現像方式のいずれであるか)等を何ら制限するものではない。
【0004】
ところで、上述のようにして形成されるトナー像の濃度は、主に、雰囲気の湿度や温度の影響を受けて変化する。これは、トナー像の濃度を決定するコントラスト電圧VCONTが、湿度や温度(絶対湿度係数)に伴って変化するからである。
【0005】
尚、コントラスト電圧VCONTは、感光ドラムの露光部における表面電位VLと現像バイアス電圧(直流成分)VDCとの電位差で決定される。図7は、コントラスト電圧VCONTとトナー像の濃度(画像濃度)との関係等を示したものである(イメージスキャニング方式の場合)。図7(a)は、縦軸には電位を、横軸には感光ドラムの主走査方向(回転軸線方向)をそれぞれ取っており、感光ドラムの表面電位分布と、現像装置に印加する現像バイアス電圧VDCとの関係を示している。特に、図7(a)は、感光ドラムの表面を一次帯電装置により一様な電位(暗部電位VD)に帯電した後、一部を露光して明部電位VLにまで下げた時の当該関係を示している。図7(a)に示すように、暗部電位VDと現像バイアス電圧VDCとの間には電位差VBACKが設けられており、この電位差VBACKの値は、非露光部においてのトナーのかぶりを抑えるため所定値以上とされている。一方、図7(b)は、縦軸には画像濃度を、横軸には感光ドラムの主走査方向をそれぞれ取っており、図7(a)の条件でトナーを付着させて露光部に画像を形成した時の画像濃度分布を示している。
【0006】
従来、上述のようなトナー像の濃度変化を回避すべく、画像濃度制御が行われる(特許文献1参照)。
【0007】
更に説明すると、斯かる画像濃度制御のために、感光ドラムに対向する位置には、感光ドラム表面の電位を測定する表面電位センサ(表面状態検知手段)が設けられ、この表面電位センサには制御手段が接続される。
【0008】
先ず、使用環境下における必要なコントラスト電圧VCONTを算出する。次に、一次帯電装置に印加する異なるグリッドバイアス電圧の下での明部電位と暗部電位とをそれぞれ測定することで、図8に示すような電位変化特性を求めておく。図8は、横軸には一次帯電装置に印加するグリッドバイアス電圧を、縦軸には感光ドラムの表面電位をそれぞれ取っている。図8において、VD(VG)はグリッドバイアス電圧を変化させた場合の暗部電位変化特性を示しており、VL(VG)はグリッドバイアス電圧を変化させた場合の明部電位変化特性を示している。この時、像露光手段の露光量は、使用環境下における必要なコントラスト電圧VCONTに対応した基準となる値に固定されるよう設定されている。
【0009】
そして、使用環境下における必要なコントラスト電圧VCONTに対応するグリッドバイアス電圧を、電位変化特性より求める。
【0010】
この方法によれば、感光体の帯電電位が一意に決定されないため、予め決められた像露光手段の露光量に対して、目標VCONTが得られる帯電電位が所望の範囲に入らない場合がでてくる。帯電電位が低すぎた場合には感光体メモリ(ドラムメモリ)の発生を促す場合があり、又高すぎた場合には出力可能な高圧電圧の上限を超えてしまうことも考えられる。従って、そのように帯電電位が所望の範囲に入らない場合には、一定の値だけ像露光手段の露光量を変化させて再度上記制御を行い、帯電電位が所望の範囲に入るまで繰り返すことができる。
【0011】
使用環境に対する必要なコントラスト電圧(潜像コントラスト)VCONTは、予め画像形成装置の本体(装置本体)に記憶されている(例えば、後述する表1参照)。又、このコントラスト電圧VCONTに対応した像露光手段の露光量の設定値が予め決められている(例えば、後述の表2参照)。同じ露光量であれば、必要なコントラスト電圧VCONTが大きいほど帯電電位を高くしなければならないため、コントラスト電圧VCONTが大きいほどレーザパワーを強めて、帯電電位が大きく変わらないように設定されている。これは、標準的な感光ドラムの感度特性に基づいて設定されており、計算の結果、帯電高圧条件や帯電電位が一定の範囲にない場合には、レーザパワーを変化させて再度制御を行えばよい。
【特許文献1】特開昭62−283356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、使用する像露光手段の発光量特性に個体差が存在する場合には、上記繰り返しの制御が多くなりすぎて、動作時間が著しく長くなってしまう場合がある。
【0013】
更に説明すると、図3は、像露光手段としてのレーザスキャナの発光レベルを指定する発光量設定値(光量制御設定値)であるレーザパワー設定値(レーザ出力信号値)に対する、感光ドラムの表面上での光量の関係を示している。通常、発光量設定値の最大値であるFFhレベル(即ち、0〜255レベル(256階調)のうち255レベル)における感光ドラムの表面上での最大光量は、装置の仕様に基づき一定の光量に調整されて出荷される。しかしながら、例えば図3に示すレーザスキャナ(2)のように、発光量設定値が小さくなるに従い、感光ドラムの表面上での光量が、標準的なレーザスキャナ(1)より小さくなることがある。このようなばらつきが存在する理由は、レーザ発光部の制御回路構成によるものであるが、一般に発光量は、全ての発光量設定値領域で同じ発光量に揃えることは困難である。
【0014】
そうすると、予め決められている必要なコントラスト電圧VCONTと発光量設定値との関係を示す標準的なテーブル値(例えば、後述の表2参照)に基づいて画像濃度制御を行うと、上述のような繰り返し制御の回数が増えてしまうことがある。即ち、例えば128レベルの発光量設定値とされるべき環境において、標準の特性を示すレーザスキャナ(1)では問題はないが、レーザスキャナ(2)では発光量が低下しているために1回の制御では所定の帯電電位の範囲に入れることができないことがある。これにより、上述のような繰り返し制御の回数が増えることになる。
【0015】
又、環境が大きく変化した場合にも、追随性が悪くなってしまう。更に説明すると、図4は、使用環境下における必要なコントラスト電圧VCONTに対する発光量設定値と、帯電電位との関係を示している。図4中のラインAは、レーザスキャナ(1)を用いた場合の標準の設定を示すラインであり、帯電電位はどの環境においても700Vになる関係になっている。つまり、必要なコントラスト電圧VCONTが決定された時に、それに対応する発光量設定値をこのライン上で決定して電位制御を行うと、帯電電位は700Vになる。又、図4中のラインB、Cはそれぞれ、レーザスキャナ(1)を用いた場合に帯電電位が600V、800Vになる場合のラインである。
【0016】
一方、図4中のラインDは、レーザスキャナ(2)を用いた場合に帯電電位が700Vとなるラインである。光量が小さいため、同じコントラスト電圧VCONTを得て、且つ、帯電電位を700Vに調整するためには、ラインAよりも発光量設定値を大きくする必要があることを示している。又、図4中のラインE、Fはそれぞれ、同様にレーザスキャナ(2)を用いた場合に帯電電位が600V、800Vとなる場合のラインである。
【0017】
従って、装置本体にレーザスキャナ(2)が搭載されているにも拘わらず、標準のテーブル値により発光量設定値を決定した場合には、次のようなことになることがある。例えば、図4と同様の関係を示す図5を参照して、コントラスト電圧VCONTが450Vの時には、標準のテーブル値(ラインA)によれば発光量設定値は128レベルである。しかし、レーザスキャナ(2)では光量が小さいために、この発光量設定値では帯電電位は800Vを超えてしまうことになる。レーザスキャナユニット(2)を用いる場合には、実際には、発光量設定値は152レベルにしなければ帯電電位を700Vにすることができない。従って、発光量設定値を例えば6ずつ上昇させていった場合でも、帯電電位が700Vとなるまでには6回の繰り返し制御が必要となり迂遠である。又、1回の繰り返し制御において変更する発光量設定値を大きく設定すれば、この繰り返し制御の回数を減らすことが可能である。しかし、目標となるレーザパワーと調整前のレーザパワーの差が少ない場合には、1度の変化が大きすぎて最適な値に調整ができないという不具合が生じる。
【0018】
尚、上述では一の画像形成条件設定方法を用いて従来の課題について説明したが、像露光手段による露光量を可変制御する方法については、他の制御方法においても同様の課題がある。
【0019】
従って、本発明の目的は、像露光手段の発光量特性の個体差によらず、短時間で画像形成条件の設定、制御を行うことが可能な画像形成装置及び画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的は本発明に係る画像形成装置及び画像形成方法にて達成される。要約すれば、本発明は、像担持体と、前記像担持体上を帯電させる帯電手段と、発光量設定値に基づいて発光レベルを変更可能であって、帯電した前記像担持体上を露光して前記像担持体上に静電像を形成する像露光手段と、前記像担持体上に形成された静電像を現像剤を用いて現像する現像手段と、目標とする画像形成条件に対応して設定されている発光量設定値にて前記像担持体を露光したときの前記像担持体上の静電像と前記現像手段との間に設けられる電位差であるコントラスト電圧が目標値となるように画像形成条件を設定する設定手段と、を有する画像形成装置において、前記発光量設定値に対する前記像露光手段の実際の露光量の関係に基づいて、前記目標とする画像形成条件に対応して設定されている前記発光量設定値を補正する補正手段を有することを特徴とする画像形成装置である。
【0021】
本発明の他の態様によると、像担持体を帯電手段にて帯電する工程と、帯電した前記像担持体上を像露光手段にて露光して前記像担持体上に静電像を形成する工程と、前記像担持体上に形成された静電像を現像手段にて現像剤を用いて現像する工程と、目標とする画像形成条件に対応した前記発光量設定値により露光することで画像形成条件を制御する工程と、を有する画像形成方法において、前記発光量設定値に対する前記像露光手段の実際の露光量を検知し、この検知結果に基づいて前記目標とする画像形成条件に対応した前記発光量設定値を変更する工程を有することを特徴とする画像形成方法が提供される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、像露光手段の発光量特性の個体差によらず、短時間で画像形成条件の設定、制御を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る画像形成装置及び画像形成方法を図面に則して更に詳しく説明する。
【0024】
実施例1
[画像形成装置の全体構成]
先ず、本発明に係る画像形成装置の一実施例の全体構成について説明する。
【0025】
図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施例の全体構成を示す模式図である。本実施例の画像形成装置1は、電子写真方式の複写装置である。
【0026】
画像形成装置1は、像担持体としてドラム型の電子写真感光体(感光体)、即ち、感光ドラム2を有する。本実施例では、感光ドラム2の帯電極性は負極性である。又、本実施例では、感光ドラム2は、有機光導電体(OPC)感光膜を有する有機感光体である。感光ドラム2は、画像形成装置1の本体(装置本体)50に回転自在に支持されると共に、駆動手段(図示せず)により図示矢印の方向(時計回り)に回転駆動される。
【0027】
感光ドラム2の周りには、感光ドラム2の回転方向に沿って順に、次の各手段が配設されている。先ず、被帯電体としての感光ドラム2の表面(像担持体上)を一様に帯電する帯電手段(プロセス手段)としての一次帯電装置(コロナ帯電器)3である。次に、感光ドラム2の表面電位を測定する表面状態検知手段としての表面電位センサ5である。次に、感光ドラム2の表面に形成された静電潜像(静電像)に現像剤のトナーを付着させてトナー像を形成する現像手段(プロセス手段)としての現像装置6a、6b、6c、6dである。各現像装置6a、6b、6c、6dは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナーをそれぞれ収納している。次に、シートカセット13から供給されてきた転写材Pを把持する転写材担持体としての転写ドラム7である。転写ドラム7の内周面側には、感光ドラム2の表面に形成されたトナー像を転写材Pに転写する転写手段としての転写帯電装置9が配設されている。次に、感光ドラム2の表面の残留トナーを除去するクリーニング手段(プロセス手段)としてのクリーニング装置10である。次に、感光ドラム2の表面を除電する除電手段としての除電装置(コロナ帯電器)11である。又、除電手段として、転写工程の後且つ一次帯電工程の前に感光ドラム2を露光する前露光手段である前露光ランプなどを設けることができる。
【0028】
一次帯電装置3は、グリッド電極3a及びコロナワイヤ3bを有しており、これらグリッド電極3a、コロナワイヤ3bにはそれぞれ、バイアス出力手段としての高圧制御ユニット33a、33bが接続されている。グリッド電極3aには、高圧制御ユニット33aから感光ドラム2の帯電極性と同極性のグリッドバイアス電圧(画像形成条件)VGが印加される。又、コロナワイヤ3bには、高圧制御ユニット33bからコロナワイヤ印加電圧(画像形成条件)が印加される。
【0029】
現像装置6a、6b、6c、6dはそれぞれ、現像剤担持体としてトナーを担持する現像スリーブ12a、12b、12c、12dを備えている。各現像スリーブ12a、12b、12c、12dにはそれぞれ、バイアス出力手段としての現像バイアス電圧制御回路35a、35b、35c、35dにより感光ドラム2の帯電極性と同極性の現像バイアス電圧(画像形成条件)VDCが印加される。
【0030】
転写ドラム7の表面には剥離爪15が当接されており、転写の終了した転写材Pをこの剥離爪15が転写ドラム7より分離するようになっている。
【0031】
そして、転写ドラム7から分離された転写材Pは、定着手段としての定着装置16にてトナー像の定着を受け、排出トレイ17上に排出される。
【0032】
又、感光ドラム2の近傍には、像露光手段としてのレーザスキャナユニット(露光部)20が配設されている。レーザスキャナユニット20は、入力される画像入力信号に応じて変調したレーザビームをレーザ光源ユニット(発光部)24に発生させるレーザ制御ユニット21を備えている。レーザ光源ユニット24は、レーザ発振素子を有している。レーザスキャナユニット20において、レーザ制御ユニット21、レーザ光源ユニット24の近傍には、駆動手段(図示せず)により回転駆動されるポリゴンミラー22が回転自在に支持されている。ポリゴンミラー22は、レーザ光源ユニット24からのレーザビームを感光ドラム2の表面に走査するように構成されている。又、レーザスキャナユニット20において、レーザビームの光路上には、f/θ特性を有する結像レンズ23が配設されている。
【0033】
表面電位センサ5は、レーザスキャナユニット20による感光ドラム2上の露光位置よりも下流(本実施例では現像装置6a〜6dよりも上流)の位置の感光ドラム2の表面の電位を測定するように配置されている。表面電位センサ5には、A/D変換器30が接続されている。A/D変換器30は、表面電位センサ5から送られるアナログ信号をデジタル信号に変換して、そのデジタル信号を制御手段である電圧制御部31に送信するようになっている。電圧制御部31は、装置本体50側の記憶手段としてのRAM、ROM等の内部メモリ200(図6)、演算制御手段としてのCPU100(図6)等を有して構成されており、後述する現像バイアス電圧の演算等を行う。又、電圧制御部31にはD/A変換器32が接続されている。D/A変換器32は、電圧制御部31からのデジタル信号をアナログ信号に再変換し、そのアナログ信号を高圧制御ユニット33a、33b及び現像バイアス電圧制御回路35a、35b、35c、35dに送るようになっている。これにより、電圧制御部31は、コロナワイヤ印加電圧、グリッドバイアス電圧VG、及び現像バイアス電圧VDCの制御を行うようになっている。即ち、電圧制御部31は、画像形成条件を設定する設定手段としての機能を有する。
【0034】
上述のような構成の画像形成装置1において、例えばカラー画像を形成する場合は、次のように動作する。先ず、感光ドラム2上が一次帯電装置3によって一様に帯電される。帯電した感光ドラム2の表面は、先ず、1色目(例えばイエロー)の画像情報に従ったレーザ光によって走査露光され、感光ドラム2上に1色目の画像情報に従った静電潜像が形成される。この静電潜像は、次いで、対応する色(例えばイエロー)の現像装置6aによって現像剤を用いてトナー像として現像される。感光ドラム2上に形成されたトナー像は、次いで転写ドラム7上に担持された転写材Pに転写される。
【0035】
上述の帯電、露光、現像、転写の各工程を、その他の色(例えば、マゼンタ、シアン、ブラック)についても順次に行う。これにより、転写ドラム7上の転写材P上に、4色のトナー像が順次に重ね合わせて転写された多重トナー像が形成される。
【0036】
その後、転写材Pは、剥離爪15によって転写ドラム7から分離されて、定着装置16へと搬送される。そして、転写材Pは、定着装置16において熱及び圧力によってトナー像が定着された後、排出トレイ17に排出される。
【0037】
転写工程後に感光ドラム2上に残留したトナー(転写残トナー)は、クリーニング装置10によって回収される。更に、感光ドラム2は、転写残トナーが除去された後に、除電装置11によって除電されて、繰り返し画像形成に供される。
【0038】
尚、画像形成装置1は、所望の単色又はマルチカラーの画像を形成することもできる。その場合、使用する現像装置の数が異なることを除いて、実質的に上述と同様のプロセスで画像を形成することができる。
【0039】
[画像濃度制御(電位制御)]
次に、図2を参照して、電圧制御部31が行う画像濃度制御(電位制御)について説明する。
【0040】
画像濃度制御のスタート信号が入力されると、先ず、感光ドラム2の前回転が行われ、その前回転と同時に、除電装置11により感光ドラム2の表面の残留電位の除去が行われる。又、電圧制御部31は、使用環境条件等の各種画像形成条件パラメータより、下記表1、表2に示すようなデータテーブルに基づいて、目標とする電位差VBACK、電位差VCONT、発光量設定値(レーザ光量)を4色分決定し、その値を入力する(S101)。
【0041】
表1は、各色トナーの現像特性に応じて、環境ごとに所定の最大濃度が得られるコントラスト電圧VCONTが求められたものであり、予め電圧制御部31の内部メモリ200に記憶されている。
【0042】
又、表2は、コントラスト電圧VCONTに対応したレーザスキャナユニット20の発光量設定値が求められたものであり、予め電圧制御部31の内部メモリ200に記憶されている。この発光量設定値に応じて像露光手段の発光量レベルが変更可能となっている。
【0043】
尚、本実施例では、画像形成装置1の使用環境条件を検知する環境検知手段として、装置本体50の内部及び/又は周囲の温湿度を検知する環境センサ(温湿度検知センサ)51(図6)が、装置本体50に設けられている。電圧制御部31には、この環境センサ51の出力信号が、A/D変換器30を介して入力される。そして、電圧制御部31は、環境センサ51から入力された信号から、画像形成装置1の使用環境条件として絶対水分量を求めるようになっている。
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】

【0046】
次に、予め決められたグリッドバイアス電圧VG1をグリッド電極3aに印加した状態で一次帯電装置3により感光ドラム2の表面を帯電する。そして、レーザスキャナユニット20による露光を行わない状態での暗部電位VD(VG1)と、レーザスキャナユニット20による露光を行った状態での明部電位VL(VG1)とをそれぞれ測定する。これらの測定結果は、A/D変換器30にてデジタル信号に変換されて電圧制御部31に入力される。続いて、予め決められたVG2においても同様に測定を行う。即ち、レーザスキャナユニット20による露光を行わない状態での暗部電位VD(VG2)と、レーザスキャナユニット20による露光を行った状態での明部電位VL(VG2)とをそれぞれ測定する。これらの測定結果は、A/D変換器30にてデジタル信号に変換されて電圧制御部31に入力される(S102〜S106)。
【0047】
続いて、電圧制御部31は、上述のようにして得られた暗部電位VD(VG1)、VD(VG2)及び明部電位VL(VG1)、VL(VG2)から、それぞれの傾きα、βを下記式(1)、(2)より求め、内部メモリ200に記憶させる。
α={VD(VG1)−VD(VG2)}/(VG2−VG1) ・・・(1)
β={VL(VG1)−VL(VG2)}/(VG2−VG1) ・・・(2)
更に、電圧制御部31は、上記α、βの値、暗部電位VD(VG1)、VD(VG2)、及び明部電位VL(VG1)、VL(VG2)から、感光ドラム2の電位変化特性について、直線近似を行う。斯かる直線近似をした電位変化特性、即ち、暗部電位変化特性VD(VG)、明部電位変化特性VL(VG)は、下記式(3)、(4)で表わされる。
D(VG)=α(VG−VG1)+VD(VG1) ・・・(3)
L(VG)=β(VG−VG1)+VL(VG1) ・・・(4)
次に、電圧制御部31は、上記式(3)、(4)から目標とする電位差VBACKとコントラスト電圧VCONTとの和に相当するグリッドバイアス電圧VGを求める。即ち、図7(a)に示した関係から、下記式(5)、(6)が成立する。
D−VL=VBACK+VCONT ・・・(5)
DC=VL+VCONT ・・・(6)
そのため、上記式(3)、(4)の関係から、
G={VD(VG)−VL(VG)−(VD(VG1)−VL(VG1))}/(α−β)+VG1
となる。更に、上記式(5)から、VGは、
G={VBACK+VCONT−(VD(VG1)−VL(VG1))}/(α−β)+VG1 ・・・(7)
となる。
【0048】
上記式(7)中の値は全て既知のため、一義的に決定することができる。又、電圧制御部31は、上記式(3)、(4)、(6)式から、明部電位VL、暗部電位VD、現像バイアス電圧VDCを求める。これら明部電位VL、暗部電位VD、現像バイアス電圧VDCは、目標とする電位差VBACK、電位差VCONTの切り換えに応じて、電圧制御部31の内部メモリ200に記憶させる。
【0049】
このようなグリッドバイアス電圧VG、現像バイアス電圧VDC等の演算は、各色毎に行い、全色のデータの格納が行われる(S107〜S109)。そして、これら全色のデータの格納が終了した時点で画像形成準備の終了となるが、レーザスキャナユニット20の発光量が標準的な値からずれている場合などには、繰り返しの制御が必要になることがある。
【0050】
即ち、詳しくは後述するように、感光ドラム2の帯電電位には、所望の範囲がある。換言すれば、感光ドラム2の帯電電位には上下限がある。
【0051】
上述のようにして記憶された全色の暗部電位VDが感光ドラム2の帯電電位の上下限の範囲に入っていれば、そこで制御は終了となる。
【0052】
一方、上述のようにして記憶された暗部電位VDが感光ドラム2の帯電電位の上限を超えていた色があった場合には、その色についての発光量設定値を大きくし、レーザ光量を大きくして、再度、同様のフローを行う(S110,S111)。又、上述のようにして記憶された暗部電位VDが感光ドラム2の帯電電位の下限を下回っている色があった場合には、その色についての発光量設定値を下げ、レーザ光量を下げて、再度、同様のフローを行う(S112,S113)。このように、繰り返しの制御が実行され、最終的に、全色についての帯電電位が所望の範囲に収まった段階で、最終的に各色のグリッドバイアス設定値VG、現像バイアスVDC等が電圧制御部31の内部メモリ200に記憶され、制御は終了となる(S114)。
【0053】
以上の画像形成準備が終了し画像形成をする時には、電圧制御部31は、1色毎にグリッドバイアス電圧VG、現像バイアス電圧VDCを内部メモリ200から読み出し、高圧制御ユニット33a、33b及び現像バイアス電圧制御回路35a〜35dに信号を送る。これによって、高圧制御ユニット33a、33b、現像バイアス電圧制御回路35a〜35dはそれぞれ、指定されたグッリドバイアス電圧VG、現像バイアス電圧VDCを印加する。斯かる状態で、先ず、1色目のトナー像を感光ドラム2上へ形成し、形成されたトナー像を転写材P上に転写する。そして、他の色についても同様の動作を行うが、グリッドバイアス電圧VG及び現像バイアス電圧VDCは、各色毎に変えていく。そして、4色の画像形成が終了したかどうかを判断し、4色全ての画像形成が終了した場合には画像形成動作を終了する。
【0054】
ここで、予め決められるVG1及びVG2について説明する。上記演算が成立することは、VD(VG1)、VD(VG2)、VL(VG1)、VL(VG2)に基づき、VGに対する感光体の帯電、露光特性が直線に近似できることが前提となっている。しかし、実際には直線にはならないことがある。そのため、VG1とVG2が、設定されるべきVG値と大きく離れる場合には、算出されたVGに対するVDと、実際のVDの値に差が生じてしまう場合がある。従って、本実施例においては、帯電電位の設定領域を考慮し、VG1=400V、VG2=700Vとした。
【0055】
[帯電電位]
次に、感光体の目標帯電電位について説明する。感光体の帯電電位は、感光体上の電位履歴が残る現象である感光体メモリ(ドラムメモリ)の発生しない領域を選択する必要性から決定される場合がある。本実施例の構成においては、帯電電位が比較的低い場合に、先行する画像の静電潜像の電位履歴が後続の画像に現れる像露光ゴーストと言われる現象が発生した。
【0056】
この現象は、一次転写部を通過した後の帯電工程に入った時に、感光体上の像露光部と非露光部とで、前露光によって発生したキャリアの残量のレベルに差があることで発生する現象と考えられている。そのため、像露光部と非露光部の電位のコントラストが小さい方が、ゴーストは発生し難くなる。従って、帯電電位を高く設定することが、この問題の解決に有効な手段となる。
【0057】
又、この現象は、感光体のキャリアの走行性に感度があると思われる。そのため、使用環境によっても発生レベルが異なってくることが確認されている。
【0058】
下記表3は、本実施例において、環境に応じて設定された目標帯電電位の上下限値を示す。
【0059】
【表3】

【0060】
表3においては、低湿環境から高温高湿環境までの絶対水分量が7段階に分けて示されている。しかし、電圧制御部31は、環境センサ51の検知結果に応じて線形補間することにより、表中に示された各環境間の環境に対しても、帯電電位の上下限を算出することができる。
【0061】
本実施例の構成では、表3に示す下限値よりも帯電電位が低い場合は、ゴーストが発生した。
【0062】
本実施例の画像形成装置1には、画像形成枚数(或いは通紙枚数)を記録するカウンターが設けられている。そして、本実施例では、画像形成枚数に応じて目標帯電電位を異ならせている。その理由は、次の通りである。
【0063】
先ず、帯電電位の下限については、感光体のキャリアの走行性の特性が使用により変化していくため、その変化に応じて帯電電位の許容レベルが異なるからである。目標帯電電位は可能な限り広く取ることで、電位制御における繰り返し制御の回数を最小限に抑えることができ、画像形成装置1の画像生産性(単位時間当たりの画像形成枚数)を高めることができる。
【0064】
一方、帯電電位の上限は、グリッドバイアス電圧VGを設定し得る上限値である900Vとした時に得られる感光体の帯電電位となる。本実施例で用いられる有機感光体は、使用とともに露光感度が低下してくる傾向にあるため、レーザスキャナユニット20による露光量が一定の場合には、必要なコントラスト電圧VCONTを確保するために帯電電位を上昇させていくことになる。しかし、帯電電位の上限に到達した場合には、レーザスキャナユニット20による露光量を大きくする必要がある。
【0065】
[レーザスキャナユニット]
図2には、VDの計算値が帯電電位の上限を超えた場合にはレーザ光量を所定量強めて、又VDの計算値が帯電電位の下限を下回った場合にはレーザ光量を所定量弱めて、再び電位制御のための測定を行うフローが示されている。前述の如く、必要なコントラスト電圧VCONTに対する発光量設定値が、標準のレーザスキャナユニット20に対応する値で固定されていると、発光量特性の異なるレーザスキャナユニット20が搭載された場合には、この繰り返し制御の回数が多くなってしまう。
【0066】
本実施例の目的の1つは、レーザスキャナユニット20の発光量特性の個体差によらず、短時間で画像形成条件の設定、制御を行うことを可能とすることである。又、本実施例の目的の1つは、装置本体50においてレーザスキャナユニット20の発光量を検知する特別の検知手段を用いることなく、短時間で画像形成条件の設定、制御を行うことを可能とすることである。
【0067】
そこで、本実施例では、レーザスキャナユニット20の単体の特性を反映して、データテーブルの変更を行う。即ち、本実施例では、画像形成装置1は、発光量設定値に基づいて発光レベルを変更可能であって、帯電した感光ドラム2上を露光して感光ドラム2上に静電像を形成するレーザスキャナユニット20を有する。又、目標とする画像形成条件に対応して設定されている発光量設定値にて感光ドラム2を露光したときの感光ドラム2上の静電像と現像装置6との間に設けられる電位差であるコントラスト電圧が目標値となるように画像形成条件を設定する設定手段を有する。そして、本実施例では、画像形成装置1は、発光量設定値に対するレーザスキャナユニット20の実際の露光量の関係に基づいて、上記目標とする画像形成条件に対応して設定されている発光量設定値を補正する補正手段を有する構成とされている。
【0068】
より具体的には、レーザスキャナユニット20の発光量の個体差を装置本体50側で認識し、画像形成条件の設定、制御(画像調整制御)におけるデータテーブルを補正する。即ち、本実施例では、レーザスキャナユニット20は、読み出し及び書き込み可能な記憶手段を有し、この記憶手段にレーザスキャナユニット20の個別の発光量情報が書き込まれている。そして、装置本体50側でその記憶手段内の発光量情報を読み取り、レーザスキャナユニット20による露光量を可変制御する画像形成条件の設定、制御(画像調整制御)に反映させる。これにより、短時間で精度の高い画像形成条件の設定、制御を行うことができる。以下、更に詳しく説明する。
【0069】
図6は、本実施例の画像形成装置1の装置本体50及び装置本体50に搭載されたレーザスキャナユニット20の関係を示す概略制御ブロックを示す。
【0070】
本実施例では、レーザスキャナユニット20内には、読み出し及び書き込み可能な記憶手段としてのメモリ(以下、「EPROM」という)25が取り付けられている。EPROM25には、そのレーザスキャナユニット20に固有の発光量情報が予め記憶されている。
【0071】
EPROM25は、レーザスキャナユニット20が装置本体50に取り付けられた状態で、制御手段である電圧制御部31と通信可能に接続される。当該接続は、有線であっても無線であってもよい。
【0072】
尚、この発光量情報は、典型的には、次のような時期にEPROM25に、所定の治具を用いて記憶される。即ち、レーザスキャナユニット20の組み立て時、組み立てたレーザスキャナユニット20の装置本体50への取り付け時、或いはレーザスキャナユニット20が装置本体50に取り付けられた画像形成装置1の工場出荷時等における、検査工程時である。
【0073】
図9は、本実施例において、EPROM25に記憶させる発光量情報と、それを読み出して制御用テーブルに反映させる方法を説明するためのグラフである。
【0074】
本実施例では、0〜255レベル(256階調)の発光量設定値(LPW信号値)のうち、64(40h)レベル及び192(C0h)レベルの2点の光量が、予め測定され、その発光量設定値と関係付けられてEPROM25に記憶される。即ち、発光量情報は、発光レベルを指定する発光量設定値に対する実際の発光量(露光量)の関係を示す情報である。尚、本実施例では、2点の光量と発光量設定値との関係を発光量情報としてEPROM25に記憶するが、更に多くの点について光量と発光量設定値との関係を記憶してもよい。
【0075】
一方、装置本体50側の記憶手段、即ち、本実施例では電圧制御部31の内部メモリ200には、下記表4に示すように、各環境における必要なコントラスト電圧VCONTに対する最適なレーザ光量を示すデータテーブル(光量テーブル)が設定されている。
【0076】
【表4】

【0077】
本実施例では、前述の画像濃度制御(電位制御)において、先ず、環境センサ51により装置本体50の使用環境が検知される。次いで、電圧制御部31のCPU100は、電圧制御部31の内部メモリ200に記憶された光量テーブル(表4)から、その使用環境下における最適なレーザ光量を取り出して設定する。次いで、電圧制御部31は、レーザ制御ユニット21がレーザ光源ユニット24を制御して上記設定された最適なレーザ光量を得るための電流供給を指示する発光量設定値を求め、レーザ制御ユニット21に送る。具体的な発光量設定値の算出方法は次の通りである。
【0078】
即ち、Xを光量(μW)とし、Yを発光量設定値とする。この時、X、Yの関係は、直線近似として、下記式(8)で表される。
Y=γX+δ ・・・(8)
上記式(8)に、レーザスキャナユニット20のEPROM25に記憶された発光量情報、即ち、(X、Y)=(c、64)、(a、192)を代入すると、下記式(9)、(10)が得られる。
64=γc+δ ・・・(9)
192=γa+δ ・・・(10)
上記式(9)、(10)より、そのレーザスキャナユニット20に固有のγ、δを求める。これにより、任意のレーザ光量Xに対する発光量設定値Yを求めることが可能となる。
【0079】
従って、使用環境下における必要なコントラスト電圧VCONTが決定された場合、電圧制御部31の内部メモリ200に記憶された光量テーブル(表4)より、そのコントラスト電圧VCONTに対応する光量Xを読み出し、発光量設定値Yを計算する。これにより、そのコントラスト電圧VCONTに対応する、そのレーザスキャナユニット20に固有の発光量設定値を求めることができる。
【0080】
このようにして、レーザスキャナユニット20のEPROM25に記憶された、そのレーザスキャナユニット20に固有の発光量情報に基づいて、装置本体50側に記憶されている光量テーブルを補正(変更)して用いることができる。これにより、画像濃度制御(電位制御)に、そのレーザスキャナユニット20に固有の発光量特性を反映させることができる。
【0081】
即ち、本実施例では、装置本体50は、EPROM25から読み出された発光量情報を用いて画像形成条件を設定する設定手段として機能する電圧制御部31を有する。ここで、本実施例では、電圧制御部31は、装置本体50の使用環境条件に応じて画像形成条件を設定するようになっている。より詳細には、電圧制御部31は、コントラスト電圧を装置本体50の使用環境条件に応じて設定される目標値に調整するために、次のような制御を行う。即ち、一次帯電装置3による感光ドラム2の帯電電位、レーザスキャナユニット20による感光ドラム2の露光量、現像装置6a〜6dに印加するバイアスのうち少なくとも1つを可変制御する。コントラスト電圧は、感光ドラム2上の静電像と現像装置6a〜6dとの間に設けられる電位差である。特に、本実施例では、電圧制御部31は、装置本体50の使用環境条件に応じて設定されるコントラスト電圧の目標値に対応した、レーザスキャナユニット20による感光ドラム2の露光量の設定値を有している。そして、該露光量の設定値を補正(変換)する補正手段として機能する電圧制御部31は、EPROM25から読み出された発光量情報に基づいて、該露光量の設定値を変換するようになっている。
【0082】
このように、本実施例による画像形成方法は、感光ドラム2を一次帯電装置3にて帯電する工程と、帯電した感光ドラム2上をレーザスキャナユニット20にて露光して感光ドラム2上に静電像を形成する工程と、を有する。該画像形成方法は更に、感光ドラム2上に形成された静電像を現像装置6にて現像剤を用いて現像する工程と、目標とする画像形成条件に対応した発光量設定値により露光することで画像形成条件を制御する工程と、を有する。そして、本実施例では、該画像形成方法は更に、発光量設定値に対するレーザスキャナユニット20の実際の露光量を検知し、この検知結果に基づいて上記目標とする画像形成条件に対応した発光量設定値を変更する工程を有する。特に、本実施例では、この実際の露光量は、EPROM25に記憶された情報に基づいて検知する。
【0083】
尚、上述では、装置本体50側に記憶された光量テーブルから必要とされるコントラスト電圧VCONTに対応するレーザ光量を求める度に、レーザスキャナユニット20側に記憶された発光量情報に基づいて発光量設定値を算出した。しかし、本発明は斯かる態様に限定されるものではない。例えば、レーザスキャナユニット20側に記憶された発光量情報に基づいて、そのレーザスキャナユニット20に固有の、各環境における必要なコントラスト電圧VCONTに対する発光量設定値を示すデータテーブルを作成することができる。そして、このデータテーブルを、装置本体50側の記憶手段に記憶させておくことができる。即ち、このデータテーブルにおける発光量設定値は、例えばレーザスキャナユニット20側のEPROM25より読み出された上記2点の光量データから、そのレーザスキャナユニット20に固有の発光量設定値が算出され、書き込まれるものである。このようにすることによっても、上記同様、レーザスキャナユニット20のEPROM25に記憶された、そのレーザスキャナユニット20に固有の発光量情報に基づいて、装置本体50側に記憶されている光量テーブルを補正(変更)して用いることができる。これにより、画像濃度制御(電位制御)に、そのレーザスキャナユニット20に固有の発光量特性を反映させることができる。
【0084】
又、図2の制御フローには、レーザ光量を所定量増減させるプロセス(S111,S113)がある。この時増減させるレーザ光量の所定量は、図4に示すような各レーザスキャナユニット20の発光量特性に基づいて、使用環境下における必要なコントラスト電圧VCONTに見合った値がそれぞれ決められていることが好ましい。従って、この所定の変更量についても、レーザスキャナユニット20のEPROM25に記憶された個別の発光量情報に基づいて変更することで、より制御の収束性を高めることが可能となる。例えば、この所定量は、光量値として装置本体50の電圧制御部31の内部メモリ200に記憶させておく。そして、その光量値分の光量変化に必要な発光量設定値の増減分を、レーザスキャナユニット20のEPROM25に記憶された上述のような2点の光量と発光量設定値との関係を示す発光量情報から求めることができる。
【0085】
このように、従来は、装置本体に搭載されるレーザスキャナユニットに固有の特性にばらつきがあった場合には、目標の画像形成条件が設定されるまで、多数回にわたり繰り返しレーザ光量を変更して制御動作が実行されていた。そのため、通常一定の使用量毎に行われる制御のために、長い時間が費やされ、画像生産性が著しく低下することがあった。これに対して、本実施例に従う制御を行うことによって、画像形成条件が短時間で設定され、画像生産性を低下させずに維持することができる。又、装置本体に搭載されたレーザスキャナユニットに固有の特性に応じた、精度の高い制御を行うことができる。
【0086】
以上説明したように、本実施例では、画像形成装置1は、帯電電位及びレーザ照射条件の双方を効率的に変化させて必要なVCONT及びVBACKを維持する電位制御手段を有する。そして、この場合において、レーザスキャナユニットの発光量の個体差を、レーザスキャナユニット20のEPROM25に書き込まれた発光量情報により装置本体50側で認識し、制御値を補正する。これにより、レーザスキャナユニット20の個体差によらず、又典型的には装置本体50においてレーザスキャナユニット20の発光量を検知する特別の検知手段を用いずに、画像形成動作の生産性を落とすことなく、短時間で当該制御を行うことができる。即ち、本実施例によれば、像露光手段の発光量特性の個体差によらず、短時間で画像形成条件の設定、制御を行うことが可能である。
【0087】
尚、上記実施例では、特定の電位制御の方法を用いて説明したが、像露光手段による露光量を可変制御する方法については、他の制御方法においても本発明は有効に適用される。一例として、次のような電位制御が想定される。
【0088】
感光ドラム上に、一次帯電装置によって帯電は行うが露光は行わない部分(暗部)を、異なるグリッドバイアス電圧又は異なるコロナワイヤ印加電圧を用いて同時又は順次に形成する。そして、それぞれの暗部の表面電位を表面電位センサで測定し、その結果を制御手段(設定手段)に送信する。制御手段は、それらの測定結果に基づいて、目標となる表面電位が得られるグリッドバイアス電圧を算出し、該グリッドバイアス電圧を決定する。次に、感光ドラム上に、上記決定されたグリッドバイアス電圧を用いて帯電を行うと共に露光も行う部分(明部)を、異なるレーザ照射条件によって同時又は順次に形成する。そして、それぞれの明部の表面電位を表面電位センサで測定し、その結果を制御手段に送信する。制御手段はそれらの測定結果に基づいて、目標となるVCONTが得られるレーザ照射条件を算出し、レーザ照射条件を決定する。このような制御においては、明部電位を測定する際に段階的に照射される露光量を、レーザスキャナユニットのEPROMに記憶された光量情報に基づき最適な設定に変更することが可能である。
【0089】
又、レーザスキャナユニットのEPROMに記憶されるデータについても、上記実施例におけるものに限定されるものではない。例えば、このデータは、より多数の発光量設定値に対する光量データを有したり、使用環境に応じて多数のテーブルを有したりしてもよく、種々の代替形式が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例の概略構成図である。
【図2】本発明に従う画像濃度制御(電位制御)の一例における動作を示すフローチャート図である。
【図3】レーザスキャナユニットの発光量の個体差を説明するためのグラフ図である。
【図4】2つの異なる特性のレーザスキャナユニットを用いた場合のコントラスト電圧、発光量設定値、帯電電位の関係を示すグラフ図である。
【図5】2つの異なる特性のレーザスキャナユニットを用いた場合のコントラスト電圧、発光量設定値、帯電電位の関係を示すグラフ図である。
【図6】本発明の一実施例に係る制御態様を示すブロック図である。
【図7】現像バイアス電圧と画像濃度との相対関係を説明する模式図である。
【図8】グリッドバイアス電圧を求めるための電位変化近似特性を示すグラフ図である。
【図9】本発明の一実施例に係る発光量情報の内容を説明するためのグラフ図である。
【符号の説明】
【0091】
1 画像形成装置
2 感光ドラム(像担持体)
3 一次帯電装置(帯電手段)
5 表面電位センサ(表面状態検知手段)
6 現像装置(現像手段)
12 現像スリーブ(現像剤担持体)
20 レーザスキャナユニット(像露光手段)
21 レーザ制御ユニット
25 EPROM(記憶手段)
31 電圧制御部(設定手段、補正手段)
33 高圧制御ユニット(高圧制御部)
35 現像バイアス電圧制御回路(高圧制御部)
100 CPU(演算制御手段)
200 内部メモリ(装置本体側記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、前記像担持体上を帯電させる帯電手段と、発光量設定値に基づいて発光レベルを変更可能であって、帯電した前記像担持体上を露光して前記像担持体上に静電像を形成する像露光手段と、前記像担持体上に形成された静電像を現像剤を用いて現像する現像手段と、目標とする画像形成条件に対応して設定されている発光量設定値にて前記像担持体を露光したときの前記像担持体上の静電像と前記現像手段との間に設けられる電位差であるコントラスト電圧が目標値となるように画像形成条件を設定する設定手段と、を有する画像形成装置において、
前記発光量設定値に対する前記像露光手段の実際の露光量の関係に基づいて、前記目標とする画像形成条件に対応して設定されている前記発光量設定値を補正する補正手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記発光量設定値に対する前記像露光手段の実際の露光量の関係を示す情報を記憶する記憶手段を有し、前記補正手段は前記記憶手段に記憶された情報に基づいて前記発光量設定値の補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記設定手段は、前記帯電手段による前記像担持体の帯電電位、前記像露光手段による前記像担持体の露光量、前記現像手段に印加するバイアスのうち少なくとも1つを可変制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記設定手段は、前記画像形成装置の使用環境条件に応じて前記画像形成条件を設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
像担持体を帯電手段にて帯電する工程と、帯電した前記像担持体上を像露光手段にて露光して前記像担持体上に静電像を形成する工程と、前記像担持体上に形成された静電像を現像手段にて現像剤を用いて現像する工程と、目標とする画像形成条件に対応した前記発光量設定値により露光することで画像形成条件を制御する工程と、を有する画像形成方法において、
前記発光量設定値に対する前記像露光手段の実際の露光量を検知し、この検知結果に基づいて前記目標とする画像形成条件に対応した前記発光量設定値を変更する工程を有することを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−209528(P2008−209528A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−44767(P2007−44767)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】