画像形成装置及び画像形成方法
【課題】
像担持体と現像剤担持体間で発生するリブレットを解消することで、画像ムラの発生を抑え、品質の高い画像を提供する。
【解決手段】
液体現像剤を貯留する現像剤貯留部311、及び現像剤貯留部311から供給された液体現像剤を担持する現像剤担持体36を有する現像部30と、現像部30により現像される像担持体10と、液体現像剤のトナー濃度を調整する現像剤濃度調整部711、現像剤濃度調整部711から現像剤貯留部311に液体現像剤を補給する現像剤補給路712、及び現像剤濃度調整部311に配設されて液体現像剤の粘度を調整する粘度調整部83、84を有する現像剤補給部70と、入力情報に基づいて像担持体10の移動速度、及び粘度調整部83、84の制御因子を制御する制御部20と、を備える。
像担持体と現像剤担持体間で発生するリブレットを解消することで、画像ムラの発生を抑え、品質の高い画像を提供する。
【解決手段】
液体現像剤を貯留する現像剤貯留部311、及び現像剤貯留部311から供給された液体現像剤を担持する現像剤担持体36を有する現像部30と、現像部30により現像される像担持体10と、液体現像剤のトナー濃度を調整する現像剤濃度調整部711、現像剤濃度調整部711から現像剤貯留部311に液体現像剤を補給する現像剤補給路712、及び現像剤濃度調整部311に配設されて液体現像剤の粘度を調整する粘度調整部83、84を有する現像剤補給部70と、入力情報に基づいて像担持体10の移動速度、及び粘度調整部83、84の制御因子を制御する制御部20と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体上に形成した静電潜像をトナーとキャリア液とを有する液体現像剤によって現像し、現像された現像剤像を記録媒体に転写し、定着することで画像形成を行う画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キャリア液としての液体溶媒中に固形成分からなるトナーを分散させた高粘度の液体現像剤を用いて静電潜像を現像し可視化する種々の画像形成装置が提案されている。この画像形成装置に用いられる現像剤は、シリコンオイルや鉱物油、食用油などからなる電気絶縁性を有した高粘度の有機溶剤(キャリア液)中に固形成分(トナー粒子)を懸濁させたものである。このトナー粒子には、粒子径が1μm前後と極めて微細な粒子が使用され、従来の粒子径7μmを使用する乾式画像形成装置と比べて高画質化を図ることができる。
【0003】
このような液体現像剤を用いた画像形成装置として、例えば、特許文献1〜3には、現像ローラーと感光体が接触することで現像を行う画像形成装置が記載されている。特に、特許文献1の第46段落に記載されるように、トナーの圧縮状態が弱い場合には、現像ニップにおいてリブレットと呼ばれる縦筋状の画像乱れが発生することが分かっている。この現象は、トナーの圧縮が弱いことで、現像ニップでのトナー粒子の移動速度が十分でなくなり、感光体への押しつけが不十分となる結果、現像剤担持体と感光体間で形成される現像ニップ出口において液体現像剤が糸引き現象を起こすことに起因している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−170602号公報
【特許文献2】米国特許第5610694号
【特許文献3】米国特許第5737666号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この画像乱れの原因となるリブレットについて図1、図2を用いて詳しく説明する。図1は、像担持体(感光体)と現像剤担持体との間の液体現像剤の移動の様子を示した図である。図に示すように像担持体と現像剤担持体とは、同方向に移動して像担持体上に形成された潜像を、現像剤担持体の表面に塗布されている液体現像剤にて現像する。現像の際、現像剤担持体から像担持体へ液体現像剤が移動することになるが、現像剤担持体と像担持体の間のニップ出口付近で液体現像剤の流体挙動が乱れ、液体現像剤は糸を引きながら離れていく現象が生じる。
【0006】
この現象による像担持体上での画像の乱れを図2に示す。図2(a)は、像担持体上に形成したテストパッチ(AMスクリーン、283線、50%網点(1200dpi、3×3格子))である。また、図2(b)は、このテストパッチの一部分を拡大した図である。正常な状態であれば、このテストパッチは濃淡の一様な画像となるが、前述の現象が生じた場合には図2(b)にみられるような、像担持体の移動方向と垂直方向(図の横方向)に画像の濃淡が生じ、ちょうど小川のような縦スジ(リブレット)を含む画像となってしまう。
【0007】
この像担持体上で発生したリブレットは、当然のことながら紙などの記録媒体への転写画像にも影響を及ぼすこととなり、転写画像における画像ムラとなって現れることとなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、この像担持体と現像剤担持体間で発生するリブレットを抑制することで、画像ムラの発生を抑え、品質の高い画像形成を行う画像形成装置、並びに、画像形成方法を提供するものである。
【0009】
そのため、本発明の画像形成装置は、トナーとキャリア液とを有する液体現像剤を貯留する現像剤貯留部、及び前記現像剤貯留部から供給された前記液体現像剤を担持する現像剤担持体を有する現像部と、前記現像部により現像される像担持体と、前記液体現像剤のトナー濃度を調整する現像剤濃度調整部、前記現像剤濃度調整部から前記現像剤貯留部に前記液体現像剤を補給する現像剤補給路、及び前記現像剤濃度調整部に配設されて前記液体現像剤の粘度を調整する粘度調整部を有する現像剤補給部と、入力情報が入力される入力部と、入力情報に基づいて前記像担持体の移動速度、及び前記粘度調整部の制御因子を制御する制御部と、を備えることを特徴とするものである。
【0010】
さらに、本発明の画像形成装置において、前記制御部は、前記像担持体の移動速度が第1の移動速度のときには、前記液体現像剤の粘度が第1の粘度となるように前記粘度調整部を制御し、前記像担持体の移動速度が第1の移動速度よりも遅い第2の移動速度のときには、前記液体現像剤の粘度が第1の粘度よりも大きい第2の粘度となるように前記粘度調整部を制御するものである。
【0011】
さらに、本発明の画像形成装置において、前記入力情報は、記録材情報とするものである。
【0012】
さらに、本発明の画像形成装置において、前記粘度調整部の制御因子は、前記液体現像剤の温度とするものでる。
【0013】
さらに、本発明の画像形成装置において、前記粘度調整部は、前記液体現像剤を攪拌する攪拌部材を有し、前記粘度調整部の制御因子は、前記攪拌部材の攪拌速度とするものである。
【0014】
さらに、本発明の画像形成装置において、前記現像剤濃度調整部に配設された、前記液体現像剤の粘度を検出する粘度検出部を有し、前記粘度調整部は、前記粘度検出部が検出する前記液体現像剤の粘度に応じて前記液体現像剤の粘度を調整するものである。
【0015】
また、本発明の画像形成方法は、現像剤濃度調整部からトナーとキャリア液とを有する液体現像剤を現像剤貯留部に補給し、前記現像剤貯留部に貯留される前記液体現像剤を供給して現像剤担持体に塗布し、前記現像剤担持体に塗布された前記液体現像剤を用いて像担持体に形成された潜像を現像し、入力部から入力される入力情報に基づいて前記像担持体の移動速度、及び前記液体現像剤の粘度を調整することを特徴とするものである。
【0016】
さらに、本発明の画像形成方法は、前記像担持体の移動速度が第1の移動速度のときには、前記液体現像剤の粘度が第1の粘度となるように、前記像担持体の移動速度が第1の移動速度よりも遅い第2の移動速度のときには、前記液体現像剤の粘度が第1の粘度よりも大きい第2の粘度となるように制御するものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】像担持体から現像ローラーへの液体現像剤の転移の様子を示す図。
【図2】潜像担持体上の画像ムラを示す図。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置の主要構成を示す断面図。
【図4】本発明の実施形態に係る現像部、現像剤補給部の主要構成を示す断面図。
【図5】液体現像剤粘度と印刷速度に対する画像ムラの関係を示す図。
【図6】紙種毎の印刷速度を示す図。
【図7】液体現像剤粘度と印刷速度に対する画像ムラの関係を示す図。
【図8】本発明の実施形態に係る印刷速度に対する各パラメーターの最適値を示す図。
【図9】本発明の実施形態に係る制御構成を示す図。
【図10】本発明の実施形態に係る液体現像剤の粘度決定のフロー図。
【図11】本発明の実施形態に係る現像剤補給部、及び、その制御構成を示す図。
【図12】本発明の他の実施形態に係る現像剤補給部、及び、その制御構成を示す図。
【図13】本発明の他の実施形態に係る現像剤補給部、及び、その制御構成を示す図。
【図14】本発明の実施形態に係る粘度検出部を示す図。
【図15】温度、並びに、攪拌速度に対する液体現像剤の粘度の関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図3は本発明の実施形態に係る画像形成装置の主要構成を示した図である。画像形成装置の中央部に配設された画像形成部に対し、4つの現像部30Y、30M、30C、30Kは、画像形成部の下部に配設され、中間転写体40、2次転写部(2次転写ユニット60)は画像形成部の上部に配設されている。以下、画像形成部、現像部30について説明を行うが、各色の構成は同様であるため色を示す添字のアルファベットは省略して説明を行う。なお、本実施形態の画像形成装置は、YMCK4色によるフルカラー画像を形成可能なものとしているが、この実施形態に限らず、例えば、単色とするなど適宜数の画像形成装置であってもよい。
【0019】
画像形成部は、像担持体10、コロナ帯電器11、露光ユニット12などを備える。露光ユニット12は、半導体レーザー、ポリゴンミラー、F−θレンズなどの光学系を有し、入力された画像信号に基づいて変調されたレーザー光を帯電された像担持体10上に照射して静電潜像を形成する。
【0020】
現像部30は、概略、各色の液体現像剤を貯蔵する現像剤容器31と、これら現像剤容器31から液体現像剤を現像ローラー36に塗布する供給ローラー35などを備え、各色の液体現像剤により像担持体10上に形成された静電潜像を現像する。中間転写体40(本発明における「転写体」)は、エンドレスのベルトなどによって構成され、駆動ローラー41とテンションローラー42に張架され、1次転写部50にて像担持体10と当接しながら駆動ローラー41により回転駆動される。1次転写部50では、中間転写体40を挟んで像担持体10と1次転写バックアップローラー51が対向して配設され、それらの像担持体10との当接位置を転写位置として、現像された像担持体10上の各色のトナー像を中間転写体40上に順次重ねて転写してフルカラーのトナー像を形成する。
【0021】
2次転写部60では、2次転写ローラー61が中間転写体40を挟んで駆動ローラー41と対向して配設される。さらに2次転写ローラークリーニングブレード62が2次転写ローラー61に当接して配設される。そして、2次転写ローラー61における転写位置において、中間転写体40上に形成されたトナー像をシート材搬送経路Lにて搬送される用紙、フィルム、布などの記録媒体に転写する。
【0022】
さらに、シート材搬送経路Lの下流には、図示しない定着ユニットが配設され、用紙などの記録媒体上に転写されたトナー像を融着することで定着させる。また、テンションロ
ーラー42は、駆動ローラー41と共に中間転写体40を張架しており、中間転写体40のテンションローラー42に張架されている箇所にて、中間転写体クリーニングブレード46が当接して配設される。
【0023】
次に、本発明の実施の形態に係る画像形成部、現像部、現像剤補給部について説明する。図4は、画像形成部、現像部30、現像剤補給部70の主要構成を示した断面図である。本発明は単色における画像形成装置において有効であるため、図3で説明したK(黒)色の画像形成部、現像部、現像剤補給部を例として説明する。他色の画像形成部、現像部、現像剤補給部の構成についてもK色のものと同様であるため、説明中、添字のアルファベットは省略して説明を行うこととする。
【0024】
像担持体10の外周には、その回転方向に沿って、像担持体クリーニングブレード18、コロナ帯電器11、露光ユニット12、現像ローラー36、中間転写体40が配設されている。また、中間転写体40に沿って、像担持体10と対向する位置には1次転写バックアップローラー51が配設される。
【0025】
像担持体10は、現像ローラー36の幅より広く、外周面に感光層が形成された円筒状の部材からなる感光体ローラーであり、一例として図に示すように時計回りの方向に回転する。像担持体10の感光層は、有機像担持体またはアモルファスシリコン像担持体等で構成される。コロナ帯電器11は、像担持体10と現像ローラー36とのニップ部より像担持体10の回転方向の上流側に配設され、図示しない電源装置からの印加電圧により像担持体10をコロナ帯電させる。露光ユニット12は、コロナ帯電器11より像担持体10の回転方向の下流側において、コロナ帯電器11によって帯電された像担持体10にレーザー光を照射し、像担持体10に静電潜像を形成する。
【0026】
現像部30は、現像剤担持体としての現像ローラー36と、塗布部材としての供給ローラー35と、キャリア液にトナーを概略重量比20%程度に分散した状態の液体現像剤を貯蔵する現像剤容器31、現像剤に対しコンパクション作用を施す圧縮ローラー37を主な構成としている。現像ローラー36の外周には、現像ローラークリーニングブレード361、圧縮ローラー37が配設されている。現像ローラー36は、その表面を像担持体10と供給ローラー35に当接させている。供給ローラー35の付属構成として、現像剤貯留部311から汲み上げた液体現像剤の量を調整する規制ブレード351が設けられる。この規制ブレード351は、供給ローラー35の表面に当接し、供給ローラー35表面に彫刻された凹部パターンにて液体現像剤を汲み上げ、現像ローラー36に塗布する。
【0027】
現像剤容器31内には、現像剤貯留部311が形成されており、供給ローラー35に供給するための液体現像剤を貯留する。この現像剤貯留部311内に搬送スクリューを設け、補給された液体現像剤を攪拌しながら搬送してもよい。また、現像剤容器31には、現像剤貯留部311に液体現像剤を補給する現像剤補給部70が接続されている。現像剤補給部70は、現像剤容器31に設けられる補給口から液体現像剤貯留部311へ濃度調整された液体現像剤を補給する。現像剤貯留部311に補給される液体現像剤は、従来一般的に使用されている、Isopar(商標:エクソン)をキャリアとした低濃度(1〜2wt%)か
つ低粘度の常温で揮発性を有する揮発性液体現像剤ではなく、高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性樹脂中へ顔料などの着色剤を分散させた平均粒径1μmの固形子を、有機溶媒、シリコンオイル、鉱物油又は食用油等の液体溶媒中へ分散剤とともに添加し、トナー固形分濃度を約20%とした高粘度(30〜10000mPa・s程度)の液体現像剤が用いられる。
【0028】
塗布部材としての供給ローラー35は、液体現像剤担持体としての現像ローラー36に液体現像剤を供給する機能を有する。この供給ローラー35は、円筒状の部材であり、表面に液体現像剤を担持し易いように表面に微細且つ一様に螺旋状に彫刻された螺旋溝など
による凹部パターンが形成されたローラーである。現像ローラー36と同様に、金属の芯金にウレタン、NBRなどのゴム層を巻き付けたものや、PFAチューブを被せたものなどが用いられる。
【0029】
本実施形態では、現像ローラー36に液体現像剤を塗布する塗布部材として供給ローラー35のみを用いた構成としているが、塗布部材としては、この供給ローラー35に加えて中間ローラーを用いた構成としてもよい。このような構成において、中間ローラーは、供給ローラー35と現像ローラー36の間に配置され、液体現像剤は、供給ローラー35から中間ローラーへ、そして中間ローラーから現像ローラー36へと塗布されることとなる。
【0030】
規制ブレード351は、金属製、あるいは、表面に弾性体を被覆して構成した弾性を有する部材である。本実施形態では、供給ローラー34の表面に当接するウレタンゴム等からなるゴム部と、該ゴム部を支持する金属等の板で構成されている。そして、供給ローラー35によって担持搬送されてきた液体現像剤の膜厚、量を規制、調整し、中間ローラー35に供給する液体現像剤の量を調整する。なお、規制部材としては、ブレードのみならず、ローラー状の規制ローラーを用いてもよい。
【0031】
現像剤担持体としての現像ローラー36は、円筒状の部材であり、本実施形態では、図に示すように回転軸を中心に反時計回りに回転し、その表面が供給ローラー35の表面、並びに、像担持体10の表面と同方向に移動するように回転する。現像ローラー36は、鉄等、金属製の内芯の外周部に、ポリウレタンゴム、シリコンゴム、NBR、PFAチューブなどの弾性層を設けたものである。現像ローラー36の表面に当接する現像ローラークリーニングブレード361は、ゴム等の弾性体で構成され、現像ローラー36が像担持体10と当接する現像ニップ部より現像ローラー36の回転方向の下流側に配設され、現像ローラー36に残存する液体現像剤を掻き落として除去する。
【0032】
圧縮ローラー37は、円筒状の部材であって、金属ローラーの表層に導電性の樹脂層やゴム層を備えている。図に示すように、現像ローラー36と反対方向の時計回り、即ち、現像ローラー36と連れ回りで回転し、現像ローラー36上に塗布された液体現像剤を圧縮する。なお、圧縮ローラー36の回転方向、回転速度は適宜に設定することができる。圧縮ローラー37には、現像ローラー36とは異なる電圧が印加され、両ローラー間に電位差が設けられる。なお、現像ローラー36上の液体現像剤の圧縮には、この圧縮ローラー37に代え、現像ローラー36の表面の帯電バイアスを増加させるコロナ発生器を用いてもよい。
【0033】
現像ローラー36に担持されてトナー圧縮された液体現像剤は、現像ローラー36と像担持体10が当接する現像ニップ部において、所望の電界によって、像担持体10の静電潜像に対応して現像される。現像ニップ部を通過した後、現像に寄与しなかった現像剤は、現像ローラークリーニングブレード361によって掻き落とされて回収液貯留部に滴下する。滴下した現像剤は現像剤濃度調整部711にてその濃度が調整され、再び現像剤貯留部311に補給されることで再利用される。
【0034】
1次転写部50では、像担持体10上に現像された画像を1次転写バックアップローラー51により中間転写体40へ転写する。ここで、像担持体10と中間転写体40とは、等速度で移動することで、回転及び移動の駆動負荷を軽減するとともに、像担持体10の画像への外乱作用を抑制している。1次転写部50を通過した後、像担持体10の表面は、像担持体クリーニングブレード18にて清掃され、再びコロナ帯電器11以降における画像形成に供される。
【0035】
現像剤補給部70は、現像剤貯留部311に濃度調整された液体現像剤を補給する手段であって、本実施形態では、濃度調整容器71、攪拌部材72、高濃度現像剤貯蔵部73、キャリア液貯蔵部74を主な構成要素としている。濃度調整容器71内部に形成された現像剤濃度調整部711には、高濃度現像剤貯蔵部73から高濃度現像剤補給路731を介して高濃度現像剤が、また、キャリア液貯蔵部74からキャリア液補給路741を介してキャリア液が供給される。これらの供給は、印刷量を監視することや、現像剤濃度調整部711内の液体現像剤の量、濃度を検出することで適宜に行われる。また、現像ローラークリーニングブレード361などにて回収された液体現像剤を一旦、この現像剤濃度調整部711に回収して再利用するようにしてもよい。
【0036】
現像剤濃度調整部711内の液体現像剤は、図に示すようなプロペラ状の攪拌部材72により攪拌されて一様な濃度に保たれ、現像剤補給路712を介して現像剤貯留部311に補給される。本実施形態では、さらに現像剤貯留部311内の液体現像剤を現像剤濃度調整部711に回収する現像剤回収路713が設けられており、液体現像剤を循環させることで液体現像剤の濃度は更に一様となる。
【0037】
以上、本発明の画像形成装置の主要構成について説明したが、これらの主要構成を用いた制御について図5〜図10を用いて説明を行う。図5、図6は、液体現像剤粘度と印刷速度に対する画像ムラの関係を示す図であり、図7は、紙種毎に適した印刷速度を示す図であり、図8は、印刷速度に対する各パラメーターの最適値を示す図であり、図9は、画像形成装置の制御構成を示す図であり、図10は、液体現像剤の粘度決定のフロー図となっている。
【0038】
図5は、横軸に液体現像剤の粘度η[Pa・s]を、縦軸に印刷速度V[m/s]を取った場合における像担持体10上での画像ムラ発生の状況を示した図である。ここでいう印刷速度V[m/s]とは、印刷対象となる紙などの記録媒体の搬送速度であって、像担持体10、現像
ローラー36、中間転写体40などの回転(移動)速度はこの印刷速度と連動した速度となる。像担持体10と現像ローラー36などの表面速度(周速)などは、この印刷速度V[m/s]に略等しいものとなる。なお、これら速度間には若干の差を持たせることとしても
よい。
【0039】
発明者等による鋭意研究の結果、この粘度ηと印刷速度Vと画像ムラ発生の因果関係を発見するに至った。即ち、リブレットによる画像ムラが発生した場合には、液体現像剤の粘度を大きくするか、または、印刷速度を速くすることで、現像ローラー36と像担持体10との間のニップ出口での液体現像剤の流体挙動の乱れを抑止し、画像ムラを抑えることが可能となる。具体的には、V>0.063/η(図の領域A)の範囲であれば、図中右上
に示すように画像ムラの許容範囲となり、図の領域Bの範囲であれば、図中左下に示すような画像ムラが目立つものとなる。言い換えると、印刷速度Vと粘度ηの積が等しい(V・η=a(a:任意定数))関係にあれば、画像ムラは同程度となる。
【0040】
本発明は、このような印刷速度Vと液体現像剤の粘度ηの関係を利用し、画像ムラ、即ち、リブレットの解消を試みるものである。具体的には、記録材の種別(記録材が紙の場合には紙種)に適した印刷速度Vに応じて、液体現像剤の粘度を調整することを特徴としている。図6は、紙種毎に好適となる印刷速度Vを示した図である。紙種毎によって異なる表面状態に応じて印刷速度Vを適当なものとすることで印刷状態の向上を図ることが可能となる。
【0041】
図7は、コート紙(グロス系)と非コート紙(中質紙)について、好適な印刷速度Vと、現像剤粘度ηの関係を示したものである。コート紙(グロス系)の場合、図6によれば、好適な印刷速度Vは0.4[m/s]であるため、V・η=a(a:任意定数)の関係式により
、およそ0.16[Pa・s]より大きい粘度であれば領域Aの範囲となり、リブレットによる画
像ムラを小さくすることが可能となる。また、非コート紙(中質紙)の場合、好適な印刷速度Vは0.25[m/s]であるため、およそ0.25[Pa・s]より大きい粘度であれば領域Aの範囲となることが分かる。
【0042】
画像形成装置において、コート紙(グロス系)を使用する場合には、図の丸印で示す位置に印刷速度Vが決定され現像剤粘度ηが調整される。その後、紙種が非コート紙(中質紙)に変更された場合には、印刷速度Vを遅くする必要がある。粘度一定のまま印刷速度Vを遅くすると領域Bに入り画像ムラが目立つこととなるが、液体現像剤の粘度を大きくすることで画像ムラの発生を抑えることが可能となる。
【0043】
以上、本実施形態は、印刷速度Vに応じて定まる好適な液体現像剤の粘度ηに基づいて液体現像剤の粘度を調整することを特徴としている。なお、本実施形態では、印刷の対象となる記録材の種別(紙種)に従って印刷速度Vを決定することを説明したが、実際には、印刷速度Vは、紙種に限ることなく、ユーザーによる印刷濃度、印刷品質、あるいは印刷速度自体の指定など、1または複数の各種の入力情報で決定することが可能である。
【0044】
画像形成装置において印刷速度Vを変化させた場合には、その変化に伴って、画像形成装置の各種構成要素のパラメーターを変化させる必要がある。図8は、印刷速度Vに対応した画像形成装置の各種パラメーターを掲載したルックアップテーブル(LUT)である。図中の各パラメーターは、帯電電圧はコロナ帯電器30に関しての、露光量は露光ユニット12に関しての、現像電圧は現像ローラー36に関しての、1次転写電圧は像担持体10と1次転写バックアップローラー51間に関しての、2次転写電圧は駆動ローラー41と2次転写ローラー61間に関しての、そして、定着ローラー温度は図示しない定着ユニットに関してのパラメーターである。
【0045】
本実施形態では、このルックアップテーブルに基づき、印刷速度Vの制御に伴って画像形成装置の各種パラメーターも制御する。なお、この図を見ると、印刷速度Vと各種パラメーターは線形な関係となっており、このように特定の関係が成立する場合にはルックアップテーブルのみならず、印刷速度Vと各種パラメーターを所定の関係式で関係付けておくこととしてもよい。関係式を用いた場合には、どのような印刷速度Vであっても簡易にパラメーターを取得することができる。
【0046】
図9は、本発明の実施形態に係る制御構成を示した図である。入力部90から入力された紙種情報(本発明における「記録材情報」)や濃度情報などの入力情報は、制御部20に入力される。入力情報が紙種のみの場合には、図6で示した関係により制御部20にて紙種に応じた印刷速度Vが決定され、像担持体10、現像剤ローラー36、中間転写体40など、印刷速度Vに関連する各種構成の速度が調整される。
【0047】
また、制御部20では、決定した印刷速度Vに応じて液体現像剤の粘度ηが決定され、液体現像剤の粘度が調整される。液体現像剤の粘度ηの決定は、V・η=a(a:任意定数)の関係において、定数aが領域Aの範囲内となる関係にて決定してもよいし、予め、印刷速度Vと粘度ηの関係を定めたテーブルを用いることとしてもよい。また、液体現像剤の粘度調整のための制御量は、画像形成装置が単色の場合には、決定した粘度ηとなるようにすればよい。しかしながら、図3で説明した複数色の液体現像剤を使用する画像形成装置の場合には、各色毎に液体現像剤の粘度特性が異なる場合がある。その場合には、粘度調整のための制御量は各色毎に異なるものとしてもよいし、簡略化して全ての色についての制御量を同じものとしてもよい。
【0048】
印刷速度Vが決定された後、図8で説明した印刷速度Vと各種パラメーターの関係に基
づいて、決定した印刷速度Vに対応する各種パラメーターが決定され、対応する構成の調整が行われ、画像形成装置は印刷速度Vに最適な状態に設定される。以上、本実施形態によれば、入力部80からの入力情報に応じて印刷速度V、液体現像剤の粘度η、並びに、各種パラメーターの調整が行われ、印刷状況の変化に伴って発生する画像ムラを抑制することが可能となる。
【0049】
図10は、本発明の実施形態に係る液体現像剤の粘度決定のフロー図である。まず、S100にて印刷開始指令が入力されると、S101にて、当該印刷にて使用する入力情報が取得される。S103では入力情報に応じて印刷速度Vが決定されることとなる。この場合、図6のように予め備えられたテーブルで決定することとしてもよい。入力情報が濃度情報のような数値で表せる場合には関係式で決めることとしてもよい。また、入力情報には、例えば、記録材(紙種)情報と濃度情報といったように複数の情報を併せて用いることとしてもよい。S103では決定された印刷速度Vに基づいて液体現像剤の粘度ηが決定される。この場合、V・η=aの関係式において、図5において領域Aと領域Bの境界となるa=0.063に設定すると共に、粘度ηに0.1を加算することで、画像ムラの少ない
領域A内に収まるように決定している。
【0050】
このように決定した液体現像剤の粘度ηに基づいて、実際の液体現像剤の粘度を調整する実施形態について図11〜図15を用いて説明を行う。図11〜図13は、現像剤濃度調整部711内での液体現像剤の粘度調整を示した図である。粘度調整を行う箇所は、この実施形態に限られるものではなく、現像剤貯留部311内にて行ってもよいし、現像剤濃度調整部711と現像剤貯留部311内の両方で行うこととしてもよい。図14は、図13の実施形態で使用する粘度検出部80の実施形態を示した図であり、図15は、液体現像剤の粘度と、温度、並びに、攪拌速度の関係を示したグラフとなっている。
【0051】
図11で示す液体現像剤の粘度は、液体現像剤の温度を制御因子として調整される。制御部20は、入力部90からの入力情報により液体現像剤が粘度ηとなるような制御量を温度制御部22に対して出力する。制御量は図15に示す粘度と温度の関係に基づいて決定される。図ではK色についての温度制御の様子を示しているが、図3のような複数色を使用する画像形成装置では、各色の温度制御部22に対して制御量が出力される。制御量は、各色の液体現像剤の粘度特性を考慮して異ならせることとしてもよい。温度制御部22は受け取った制御量にて液体現像剤の温度を調整する。
【0052】
本実施形態では、ヒーター83(電熱線)にて液体現像剤の温度上昇を、チラー(水冷管)にて液体現像剤の温度下降を行うこととしているが、温度調整の形態はこれに限るものではない。また、温度制御の範囲は限られることとなるが、温度上昇、温度下降どちらか一方を制御する構成としてもよい。このような構成により、液体現像剤の温度が調整されることで、液体現像剤の粘度は印刷速度Vに適したものとなり、リブレットの発生を抑え、良好な印刷品質を実現することが可能となる。
【0053】
液体現像剤の粘度は、温度のみならず攪拌速度を制御因子としても調整することが可能である。図12は、攪拌速度を利用した液体現像剤の粘度調整の構成を示した図である。制御部20は、入力部90からの入力情報により液体現像剤が粘度ηとなるような制御量を攪拌速度制御部23に対して出力する。制御量は図15に示す粘度と攪拌速度の関係に基づいて決定される。図11の温度調整の場合と同様、各色に対する制御量は液体現像剤の粘度特性を考慮して異なることとしてもよいし、同じものであってもよい。攪拌速度制御部23は受け取った制御量にて攪拌部材72を駆動して粘度の調整を行う。
【0054】
図13は、液体現像剤の粘度を、温度と攪拌速度の両方を制御因子として調整することを特徴としている。更には、粘度検出部80にて液体現像剤の粘度を検出し、制御部20
に対してフィードバックをかけることでより正確な粘度調整を行うことが可能となっている。制御部20は、入力部90からの入力情報により液体現像剤が粘度ηとなるような制御量を温度調整部22、並びに、攪拌速度制御部23に対して出力する。制御量は図15に示す粘度に対する温度、並びに攪拌速度の関係に基づいて決定される。各色に対する制御量は液体現像剤の粘度特性を考慮して異なることとしてもよいし、同じものであってもよい。温度制御部22は、ヒーター83、チラー84を制御して温度調整を行う。また、攪拌速度制御部23は受け取った制御量にて攪拌部材72を駆動して粘度の調整を行う。
【0055】
本実施形態では、現像剤濃度調整部711内の液体現像剤の濃度を検出する粘度検出部80が配設されている。粘度検出部80で検出された液体現像剤の粘度は、制御部20にフィードバックされ、目的とする粘度となるように各制御量に反映される。このように、粘度検出部80で実際の粘度をモニターしながら液体現像剤の粘度を調整することで、より正確な粘度調整を行うことが可能となる。粘度のモニターは各色の液体現像剤毎に行ってもよいし、液体現像剤の特性、設置環境などが同等である場合には、いずれかの液体現像剤の粘度をモニターし、他の液体現像剤の粘度調整の制御に反映することとしてもよい。また、この粘度検出部80による粘度のモニターは、図11、図12で説明した実施形態に採用することとしてもよい。粘度検出部80は、攪拌部材72にて発生する乱流に影響を受けない箇所に配設することが好ましい。このような配設場所とすることで、液体現像剤の粘度を正確に検知することが可能となる。
【0056】
図14は、粘度検出部80の例を示した図である。図14(a)は、回転体81を用いた粘度検出部80を示した図である。液体現像剤に浸された回転体81は、モーターなどの駆動源によって一定速度で回転される。その際に必要となる駆動源でのトルク電流を計測することで液体現像剤の粘度が検出できる。
【0057】
図14(b)は、超音波圧電素子などの振動子82を用いた粘度検出部80を示した図である。回転体81の場合と同様、液体現像剤に浸された振動子82は、それに接続される発振器によって一定振幅で振動するように駆動される。その際に必要となる駆動電流を計測することで液体現像剤の粘度が検出できる。
【0058】
以上、本発明の種々の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。
【符号の説明】
【0059】
10(Y、M、C、K)…像担持体、11(Y、M、C、K)…コロナ帯電器、12(Y、M、C、K)…露光ユニット、18Y…像担持体クリーニングブレード、20…制御部、22…温度制御部、23…攪拌速度制御部、
30(Y、M、C、K)…現像部、31(Y、M、C、K)…現像剤容器、311Y…現像剤貯留部、35Y…供給ローラー、351Y…規制ブレード、36Y…現像ローラー(現像剤担持体)、361Y…現像ローラークリーニングブレード、37Y…圧縮ローラー、371…圧縮ローラークリーニングブレード、
40…中間転写体、41…駆動ローラー、42…テンションローラー、46…中間転写体クリーニングブレード、
50(Y、M、C、K)…1次転写部、51(Y、M、C、K)…1次転写バックアップローラー、
60…2次転写部、61…2次転写ローラー、62…2次転写ローラークリーニングブレード、
70(Y、M、C、K)…現像剤補給部、71(Y、M、C、K)…濃度調整容器、711(Y、M、C、K)…現像剤濃度調整部、712(Y、M、C、K)…現像剤補給路、
713(Y、M、C、K)…現像剤回収路、72(Y、M、C、K)…攪拌部材、73…(Y、M、C、K)高濃度現像剤貯蔵部、731(Y、M、C、K)…高濃度現像剤補給路、74…キャリア液貯蔵部、741(Y、M、C、K)…キャリア液補給路、742(Y、M、C、K)…キャリア液バッファ、743…キャリア液共通補給路、80(Y、M、C、K)…粘度検出部、81…回転体、82…振動子、83…ヒーター(電熱線)、84…チラー(水冷管)
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体上に形成した静電潜像をトナーとキャリア液とを有する液体現像剤によって現像し、現像された現像剤像を記録媒体に転写し、定着することで画像形成を行う画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キャリア液としての液体溶媒中に固形成分からなるトナーを分散させた高粘度の液体現像剤を用いて静電潜像を現像し可視化する種々の画像形成装置が提案されている。この画像形成装置に用いられる現像剤は、シリコンオイルや鉱物油、食用油などからなる電気絶縁性を有した高粘度の有機溶剤(キャリア液)中に固形成分(トナー粒子)を懸濁させたものである。このトナー粒子には、粒子径が1μm前後と極めて微細な粒子が使用され、従来の粒子径7μmを使用する乾式画像形成装置と比べて高画質化を図ることができる。
【0003】
このような液体現像剤を用いた画像形成装置として、例えば、特許文献1〜3には、現像ローラーと感光体が接触することで現像を行う画像形成装置が記載されている。特に、特許文献1の第46段落に記載されるように、トナーの圧縮状態が弱い場合には、現像ニップにおいてリブレットと呼ばれる縦筋状の画像乱れが発生することが分かっている。この現象は、トナーの圧縮が弱いことで、現像ニップでのトナー粒子の移動速度が十分でなくなり、感光体への押しつけが不十分となる結果、現像剤担持体と感光体間で形成される現像ニップ出口において液体現像剤が糸引き現象を起こすことに起因している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−170602号公報
【特許文献2】米国特許第5610694号
【特許文献3】米国特許第5737666号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この画像乱れの原因となるリブレットについて図1、図2を用いて詳しく説明する。図1は、像担持体(感光体)と現像剤担持体との間の液体現像剤の移動の様子を示した図である。図に示すように像担持体と現像剤担持体とは、同方向に移動して像担持体上に形成された潜像を、現像剤担持体の表面に塗布されている液体現像剤にて現像する。現像の際、現像剤担持体から像担持体へ液体現像剤が移動することになるが、現像剤担持体と像担持体の間のニップ出口付近で液体現像剤の流体挙動が乱れ、液体現像剤は糸を引きながら離れていく現象が生じる。
【0006】
この現象による像担持体上での画像の乱れを図2に示す。図2(a)は、像担持体上に形成したテストパッチ(AMスクリーン、283線、50%網点(1200dpi、3×3格子))である。また、図2(b)は、このテストパッチの一部分を拡大した図である。正常な状態であれば、このテストパッチは濃淡の一様な画像となるが、前述の現象が生じた場合には図2(b)にみられるような、像担持体の移動方向と垂直方向(図の横方向)に画像の濃淡が生じ、ちょうど小川のような縦スジ(リブレット)を含む画像となってしまう。
【0007】
この像担持体上で発生したリブレットは、当然のことながら紙などの記録媒体への転写画像にも影響を及ぼすこととなり、転写画像における画像ムラとなって現れることとなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、この像担持体と現像剤担持体間で発生するリブレットを抑制することで、画像ムラの発生を抑え、品質の高い画像形成を行う画像形成装置、並びに、画像形成方法を提供するものである。
【0009】
そのため、本発明の画像形成装置は、トナーとキャリア液とを有する液体現像剤を貯留する現像剤貯留部、及び前記現像剤貯留部から供給された前記液体現像剤を担持する現像剤担持体を有する現像部と、前記現像部により現像される像担持体と、前記液体現像剤のトナー濃度を調整する現像剤濃度調整部、前記現像剤濃度調整部から前記現像剤貯留部に前記液体現像剤を補給する現像剤補給路、及び前記現像剤濃度調整部に配設されて前記液体現像剤の粘度を調整する粘度調整部を有する現像剤補給部と、入力情報が入力される入力部と、入力情報に基づいて前記像担持体の移動速度、及び前記粘度調整部の制御因子を制御する制御部と、を備えることを特徴とするものである。
【0010】
さらに、本発明の画像形成装置において、前記制御部は、前記像担持体の移動速度が第1の移動速度のときには、前記液体現像剤の粘度が第1の粘度となるように前記粘度調整部を制御し、前記像担持体の移動速度が第1の移動速度よりも遅い第2の移動速度のときには、前記液体現像剤の粘度が第1の粘度よりも大きい第2の粘度となるように前記粘度調整部を制御するものである。
【0011】
さらに、本発明の画像形成装置において、前記入力情報は、記録材情報とするものである。
【0012】
さらに、本発明の画像形成装置において、前記粘度調整部の制御因子は、前記液体現像剤の温度とするものでる。
【0013】
さらに、本発明の画像形成装置において、前記粘度調整部は、前記液体現像剤を攪拌する攪拌部材を有し、前記粘度調整部の制御因子は、前記攪拌部材の攪拌速度とするものである。
【0014】
さらに、本発明の画像形成装置において、前記現像剤濃度調整部に配設された、前記液体現像剤の粘度を検出する粘度検出部を有し、前記粘度調整部は、前記粘度検出部が検出する前記液体現像剤の粘度に応じて前記液体現像剤の粘度を調整するものである。
【0015】
また、本発明の画像形成方法は、現像剤濃度調整部からトナーとキャリア液とを有する液体現像剤を現像剤貯留部に補給し、前記現像剤貯留部に貯留される前記液体現像剤を供給して現像剤担持体に塗布し、前記現像剤担持体に塗布された前記液体現像剤を用いて像担持体に形成された潜像を現像し、入力部から入力される入力情報に基づいて前記像担持体の移動速度、及び前記液体現像剤の粘度を調整することを特徴とするものである。
【0016】
さらに、本発明の画像形成方法は、前記像担持体の移動速度が第1の移動速度のときには、前記液体現像剤の粘度が第1の粘度となるように、前記像担持体の移動速度が第1の移動速度よりも遅い第2の移動速度のときには、前記液体現像剤の粘度が第1の粘度よりも大きい第2の粘度となるように制御するものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】像担持体から現像ローラーへの液体現像剤の転移の様子を示す図。
【図2】潜像担持体上の画像ムラを示す図。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置の主要構成を示す断面図。
【図4】本発明の実施形態に係る現像部、現像剤補給部の主要構成を示す断面図。
【図5】液体現像剤粘度と印刷速度に対する画像ムラの関係を示す図。
【図6】紙種毎の印刷速度を示す図。
【図7】液体現像剤粘度と印刷速度に対する画像ムラの関係を示す図。
【図8】本発明の実施形態に係る印刷速度に対する各パラメーターの最適値を示す図。
【図9】本発明の実施形態に係る制御構成を示す図。
【図10】本発明の実施形態に係る液体現像剤の粘度決定のフロー図。
【図11】本発明の実施形態に係る現像剤補給部、及び、その制御構成を示す図。
【図12】本発明の他の実施形態に係る現像剤補給部、及び、その制御構成を示す図。
【図13】本発明の他の実施形態に係る現像剤補給部、及び、その制御構成を示す図。
【図14】本発明の実施形態に係る粘度検出部を示す図。
【図15】温度、並びに、攪拌速度に対する液体現像剤の粘度の関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図3は本発明の実施形態に係る画像形成装置の主要構成を示した図である。画像形成装置の中央部に配設された画像形成部に対し、4つの現像部30Y、30M、30C、30Kは、画像形成部の下部に配設され、中間転写体40、2次転写部(2次転写ユニット60)は画像形成部の上部に配設されている。以下、画像形成部、現像部30について説明を行うが、各色の構成は同様であるため色を示す添字のアルファベットは省略して説明を行う。なお、本実施形態の画像形成装置は、YMCK4色によるフルカラー画像を形成可能なものとしているが、この実施形態に限らず、例えば、単色とするなど適宜数の画像形成装置であってもよい。
【0019】
画像形成部は、像担持体10、コロナ帯電器11、露光ユニット12などを備える。露光ユニット12は、半導体レーザー、ポリゴンミラー、F−θレンズなどの光学系を有し、入力された画像信号に基づいて変調されたレーザー光を帯電された像担持体10上に照射して静電潜像を形成する。
【0020】
現像部30は、概略、各色の液体現像剤を貯蔵する現像剤容器31と、これら現像剤容器31から液体現像剤を現像ローラー36に塗布する供給ローラー35などを備え、各色の液体現像剤により像担持体10上に形成された静電潜像を現像する。中間転写体40(本発明における「転写体」)は、エンドレスのベルトなどによって構成され、駆動ローラー41とテンションローラー42に張架され、1次転写部50にて像担持体10と当接しながら駆動ローラー41により回転駆動される。1次転写部50では、中間転写体40を挟んで像担持体10と1次転写バックアップローラー51が対向して配設され、それらの像担持体10との当接位置を転写位置として、現像された像担持体10上の各色のトナー像を中間転写体40上に順次重ねて転写してフルカラーのトナー像を形成する。
【0021】
2次転写部60では、2次転写ローラー61が中間転写体40を挟んで駆動ローラー41と対向して配設される。さらに2次転写ローラークリーニングブレード62が2次転写ローラー61に当接して配設される。そして、2次転写ローラー61における転写位置において、中間転写体40上に形成されたトナー像をシート材搬送経路Lにて搬送される用紙、フィルム、布などの記録媒体に転写する。
【0022】
さらに、シート材搬送経路Lの下流には、図示しない定着ユニットが配設され、用紙などの記録媒体上に転写されたトナー像を融着することで定着させる。また、テンションロ
ーラー42は、駆動ローラー41と共に中間転写体40を張架しており、中間転写体40のテンションローラー42に張架されている箇所にて、中間転写体クリーニングブレード46が当接して配設される。
【0023】
次に、本発明の実施の形態に係る画像形成部、現像部、現像剤補給部について説明する。図4は、画像形成部、現像部30、現像剤補給部70の主要構成を示した断面図である。本発明は単色における画像形成装置において有効であるため、図3で説明したK(黒)色の画像形成部、現像部、現像剤補給部を例として説明する。他色の画像形成部、現像部、現像剤補給部の構成についてもK色のものと同様であるため、説明中、添字のアルファベットは省略して説明を行うこととする。
【0024】
像担持体10の外周には、その回転方向に沿って、像担持体クリーニングブレード18、コロナ帯電器11、露光ユニット12、現像ローラー36、中間転写体40が配設されている。また、中間転写体40に沿って、像担持体10と対向する位置には1次転写バックアップローラー51が配設される。
【0025】
像担持体10は、現像ローラー36の幅より広く、外周面に感光層が形成された円筒状の部材からなる感光体ローラーであり、一例として図に示すように時計回りの方向に回転する。像担持体10の感光層は、有機像担持体またはアモルファスシリコン像担持体等で構成される。コロナ帯電器11は、像担持体10と現像ローラー36とのニップ部より像担持体10の回転方向の上流側に配設され、図示しない電源装置からの印加電圧により像担持体10をコロナ帯電させる。露光ユニット12は、コロナ帯電器11より像担持体10の回転方向の下流側において、コロナ帯電器11によって帯電された像担持体10にレーザー光を照射し、像担持体10に静電潜像を形成する。
【0026】
現像部30は、現像剤担持体としての現像ローラー36と、塗布部材としての供給ローラー35と、キャリア液にトナーを概略重量比20%程度に分散した状態の液体現像剤を貯蔵する現像剤容器31、現像剤に対しコンパクション作用を施す圧縮ローラー37を主な構成としている。現像ローラー36の外周には、現像ローラークリーニングブレード361、圧縮ローラー37が配設されている。現像ローラー36は、その表面を像担持体10と供給ローラー35に当接させている。供給ローラー35の付属構成として、現像剤貯留部311から汲み上げた液体現像剤の量を調整する規制ブレード351が設けられる。この規制ブレード351は、供給ローラー35の表面に当接し、供給ローラー35表面に彫刻された凹部パターンにて液体現像剤を汲み上げ、現像ローラー36に塗布する。
【0027】
現像剤容器31内には、現像剤貯留部311が形成されており、供給ローラー35に供給するための液体現像剤を貯留する。この現像剤貯留部311内に搬送スクリューを設け、補給された液体現像剤を攪拌しながら搬送してもよい。また、現像剤容器31には、現像剤貯留部311に液体現像剤を補給する現像剤補給部70が接続されている。現像剤補給部70は、現像剤容器31に設けられる補給口から液体現像剤貯留部311へ濃度調整された液体現像剤を補給する。現像剤貯留部311に補給される液体現像剤は、従来一般的に使用されている、Isopar(商標:エクソン)をキャリアとした低濃度(1〜2wt%)か
つ低粘度の常温で揮発性を有する揮発性液体現像剤ではなく、高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性樹脂中へ顔料などの着色剤を分散させた平均粒径1μmの固形子を、有機溶媒、シリコンオイル、鉱物油又は食用油等の液体溶媒中へ分散剤とともに添加し、トナー固形分濃度を約20%とした高粘度(30〜10000mPa・s程度)の液体現像剤が用いられる。
【0028】
塗布部材としての供給ローラー35は、液体現像剤担持体としての現像ローラー36に液体現像剤を供給する機能を有する。この供給ローラー35は、円筒状の部材であり、表面に液体現像剤を担持し易いように表面に微細且つ一様に螺旋状に彫刻された螺旋溝など
による凹部パターンが形成されたローラーである。現像ローラー36と同様に、金属の芯金にウレタン、NBRなどのゴム層を巻き付けたものや、PFAチューブを被せたものなどが用いられる。
【0029】
本実施形態では、現像ローラー36に液体現像剤を塗布する塗布部材として供給ローラー35のみを用いた構成としているが、塗布部材としては、この供給ローラー35に加えて中間ローラーを用いた構成としてもよい。このような構成において、中間ローラーは、供給ローラー35と現像ローラー36の間に配置され、液体現像剤は、供給ローラー35から中間ローラーへ、そして中間ローラーから現像ローラー36へと塗布されることとなる。
【0030】
規制ブレード351は、金属製、あるいは、表面に弾性体を被覆して構成した弾性を有する部材である。本実施形態では、供給ローラー34の表面に当接するウレタンゴム等からなるゴム部と、該ゴム部を支持する金属等の板で構成されている。そして、供給ローラー35によって担持搬送されてきた液体現像剤の膜厚、量を規制、調整し、中間ローラー35に供給する液体現像剤の量を調整する。なお、規制部材としては、ブレードのみならず、ローラー状の規制ローラーを用いてもよい。
【0031】
現像剤担持体としての現像ローラー36は、円筒状の部材であり、本実施形態では、図に示すように回転軸を中心に反時計回りに回転し、その表面が供給ローラー35の表面、並びに、像担持体10の表面と同方向に移動するように回転する。現像ローラー36は、鉄等、金属製の内芯の外周部に、ポリウレタンゴム、シリコンゴム、NBR、PFAチューブなどの弾性層を設けたものである。現像ローラー36の表面に当接する現像ローラークリーニングブレード361は、ゴム等の弾性体で構成され、現像ローラー36が像担持体10と当接する現像ニップ部より現像ローラー36の回転方向の下流側に配設され、現像ローラー36に残存する液体現像剤を掻き落として除去する。
【0032】
圧縮ローラー37は、円筒状の部材であって、金属ローラーの表層に導電性の樹脂層やゴム層を備えている。図に示すように、現像ローラー36と反対方向の時計回り、即ち、現像ローラー36と連れ回りで回転し、現像ローラー36上に塗布された液体現像剤を圧縮する。なお、圧縮ローラー36の回転方向、回転速度は適宜に設定することができる。圧縮ローラー37には、現像ローラー36とは異なる電圧が印加され、両ローラー間に電位差が設けられる。なお、現像ローラー36上の液体現像剤の圧縮には、この圧縮ローラー37に代え、現像ローラー36の表面の帯電バイアスを増加させるコロナ発生器を用いてもよい。
【0033】
現像ローラー36に担持されてトナー圧縮された液体現像剤は、現像ローラー36と像担持体10が当接する現像ニップ部において、所望の電界によって、像担持体10の静電潜像に対応して現像される。現像ニップ部を通過した後、現像に寄与しなかった現像剤は、現像ローラークリーニングブレード361によって掻き落とされて回収液貯留部に滴下する。滴下した現像剤は現像剤濃度調整部711にてその濃度が調整され、再び現像剤貯留部311に補給されることで再利用される。
【0034】
1次転写部50では、像担持体10上に現像された画像を1次転写バックアップローラー51により中間転写体40へ転写する。ここで、像担持体10と中間転写体40とは、等速度で移動することで、回転及び移動の駆動負荷を軽減するとともに、像担持体10の画像への外乱作用を抑制している。1次転写部50を通過した後、像担持体10の表面は、像担持体クリーニングブレード18にて清掃され、再びコロナ帯電器11以降における画像形成に供される。
【0035】
現像剤補給部70は、現像剤貯留部311に濃度調整された液体現像剤を補給する手段であって、本実施形態では、濃度調整容器71、攪拌部材72、高濃度現像剤貯蔵部73、キャリア液貯蔵部74を主な構成要素としている。濃度調整容器71内部に形成された現像剤濃度調整部711には、高濃度現像剤貯蔵部73から高濃度現像剤補給路731を介して高濃度現像剤が、また、キャリア液貯蔵部74からキャリア液補給路741を介してキャリア液が供給される。これらの供給は、印刷量を監視することや、現像剤濃度調整部711内の液体現像剤の量、濃度を検出することで適宜に行われる。また、現像ローラークリーニングブレード361などにて回収された液体現像剤を一旦、この現像剤濃度調整部711に回収して再利用するようにしてもよい。
【0036】
現像剤濃度調整部711内の液体現像剤は、図に示すようなプロペラ状の攪拌部材72により攪拌されて一様な濃度に保たれ、現像剤補給路712を介して現像剤貯留部311に補給される。本実施形態では、さらに現像剤貯留部311内の液体現像剤を現像剤濃度調整部711に回収する現像剤回収路713が設けられており、液体現像剤を循環させることで液体現像剤の濃度は更に一様となる。
【0037】
以上、本発明の画像形成装置の主要構成について説明したが、これらの主要構成を用いた制御について図5〜図10を用いて説明を行う。図5、図6は、液体現像剤粘度と印刷速度に対する画像ムラの関係を示す図であり、図7は、紙種毎に適した印刷速度を示す図であり、図8は、印刷速度に対する各パラメーターの最適値を示す図であり、図9は、画像形成装置の制御構成を示す図であり、図10は、液体現像剤の粘度決定のフロー図となっている。
【0038】
図5は、横軸に液体現像剤の粘度η[Pa・s]を、縦軸に印刷速度V[m/s]を取った場合における像担持体10上での画像ムラ発生の状況を示した図である。ここでいう印刷速度V[m/s]とは、印刷対象となる紙などの記録媒体の搬送速度であって、像担持体10、現像
ローラー36、中間転写体40などの回転(移動)速度はこの印刷速度と連動した速度となる。像担持体10と現像ローラー36などの表面速度(周速)などは、この印刷速度V[m/s]に略等しいものとなる。なお、これら速度間には若干の差を持たせることとしても
よい。
【0039】
発明者等による鋭意研究の結果、この粘度ηと印刷速度Vと画像ムラ発生の因果関係を発見するに至った。即ち、リブレットによる画像ムラが発生した場合には、液体現像剤の粘度を大きくするか、または、印刷速度を速くすることで、現像ローラー36と像担持体10との間のニップ出口での液体現像剤の流体挙動の乱れを抑止し、画像ムラを抑えることが可能となる。具体的には、V>0.063/η(図の領域A)の範囲であれば、図中右上
に示すように画像ムラの許容範囲となり、図の領域Bの範囲であれば、図中左下に示すような画像ムラが目立つものとなる。言い換えると、印刷速度Vと粘度ηの積が等しい(V・η=a(a:任意定数))関係にあれば、画像ムラは同程度となる。
【0040】
本発明は、このような印刷速度Vと液体現像剤の粘度ηの関係を利用し、画像ムラ、即ち、リブレットの解消を試みるものである。具体的には、記録材の種別(記録材が紙の場合には紙種)に適した印刷速度Vに応じて、液体現像剤の粘度を調整することを特徴としている。図6は、紙種毎に好適となる印刷速度Vを示した図である。紙種毎によって異なる表面状態に応じて印刷速度Vを適当なものとすることで印刷状態の向上を図ることが可能となる。
【0041】
図7は、コート紙(グロス系)と非コート紙(中質紙)について、好適な印刷速度Vと、現像剤粘度ηの関係を示したものである。コート紙(グロス系)の場合、図6によれば、好適な印刷速度Vは0.4[m/s]であるため、V・η=a(a:任意定数)の関係式により
、およそ0.16[Pa・s]より大きい粘度であれば領域Aの範囲となり、リブレットによる画
像ムラを小さくすることが可能となる。また、非コート紙(中質紙)の場合、好適な印刷速度Vは0.25[m/s]であるため、およそ0.25[Pa・s]より大きい粘度であれば領域Aの範囲となることが分かる。
【0042】
画像形成装置において、コート紙(グロス系)を使用する場合には、図の丸印で示す位置に印刷速度Vが決定され現像剤粘度ηが調整される。その後、紙種が非コート紙(中質紙)に変更された場合には、印刷速度Vを遅くする必要がある。粘度一定のまま印刷速度Vを遅くすると領域Bに入り画像ムラが目立つこととなるが、液体現像剤の粘度を大きくすることで画像ムラの発生を抑えることが可能となる。
【0043】
以上、本実施形態は、印刷速度Vに応じて定まる好適な液体現像剤の粘度ηに基づいて液体現像剤の粘度を調整することを特徴としている。なお、本実施形態では、印刷の対象となる記録材の種別(紙種)に従って印刷速度Vを決定することを説明したが、実際には、印刷速度Vは、紙種に限ることなく、ユーザーによる印刷濃度、印刷品質、あるいは印刷速度自体の指定など、1または複数の各種の入力情報で決定することが可能である。
【0044】
画像形成装置において印刷速度Vを変化させた場合には、その変化に伴って、画像形成装置の各種構成要素のパラメーターを変化させる必要がある。図8は、印刷速度Vに対応した画像形成装置の各種パラメーターを掲載したルックアップテーブル(LUT)である。図中の各パラメーターは、帯電電圧はコロナ帯電器30に関しての、露光量は露光ユニット12に関しての、現像電圧は現像ローラー36に関しての、1次転写電圧は像担持体10と1次転写バックアップローラー51間に関しての、2次転写電圧は駆動ローラー41と2次転写ローラー61間に関しての、そして、定着ローラー温度は図示しない定着ユニットに関してのパラメーターである。
【0045】
本実施形態では、このルックアップテーブルに基づき、印刷速度Vの制御に伴って画像形成装置の各種パラメーターも制御する。なお、この図を見ると、印刷速度Vと各種パラメーターは線形な関係となっており、このように特定の関係が成立する場合にはルックアップテーブルのみならず、印刷速度Vと各種パラメーターを所定の関係式で関係付けておくこととしてもよい。関係式を用いた場合には、どのような印刷速度Vであっても簡易にパラメーターを取得することができる。
【0046】
図9は、本発明の実施形態に係る制御構成を示した図である。入力部90から入力された紙種情報(本発明における「記録材情報」)や濃度情報などの入力情報は、制御部20に入力される。入力情報が紙種のみの場合には、図6で示した関係により制御部20にて紙種に応じた印刷速度Vが決定され、像担持体10、現像剤ローラー36、中間転写体40など、印刷速度Vに関連する各種構成の速度が調整される。
【0047】
また、制御部20では、決定した印刷速度Vに応じて液体現像剤の粘度ηが決定され、液体現像剤の粘度が調整される。液体現像剤の粘度ηの決定は、V・η=a(a:任意定数)の関係において、定数aが領域Aの範囲内となる関係にて決定してもよいし、予め、印刷速度Vと粘度ηの関係を定めたテーブルを用いることとしてもよい。また、液体現像剤の粘度調整のための制御量は、画像形成装置が単色の場合には、決定した粘度ηとなるようにすればよい。しかしながら、図3で説明した複数色の液体現像剤を使用する画像形成装置の場合には、各色毎に液体現像剤の粘度特性が異なる場合がある。その場合には、粘度調整のための制御量は各色毎に異なるものとしてもよいし、簡略化して全ての色についての制御量を同じものとしてもよい。
【0048】
印刷速度Vが決定された後、図8で説明した印刷速度Vと各種パラメーターの関係に基
づいて、決定した印刷速度Vに対応する各種パラメーターが決定され、対応する構成の調整が行われ、画像形成装置は印刷速度Vに最適な状態に設定される。以上、本実施形態によれば、入力部80からの入力情報に応じて印刷速度V、液体現像剤の粘度η、並びに、各種パラメーターの調整が行われ、印刷状況の変化に伴って発生する画像ムラを抑制することが可能となる。
【0049】
図10は、本発明の実施形態に係る液体現像剤の粘度決定のフロー図である。まず、S100にて印刷開始指令が入力されると、S101にて、当該印刷にて使用する入力情報が取得される。S103では入力情報に応じて印刷速度Vが決定されることとなる。この場合、図6のように予め備えられたテーブルで決定することとしてもよい。入力情報が濃度情報のような数値で表せる場合には関係式で決めることとしてもよい。また、入力情報には、例えば、記録材(紙種)情報と濃度情報といったように複数の情報を併せて用いることとしてもよい。S103では決定された印刷速度Vに基づいて液体現像剤の粘度ηが決定される。この場合、V・η=aの関係式において、図5において領域Aと領域Bの境界となるa=0.063に設定すると共に、粘度ηに0.1を加算することで、画像ムラの少ない
領域A内に収まるように決定している。
【0050】
このように決定した液体現像剤の粘度ηに基づいて、実際の液体現像剤の粘度を調整する実施形態について図11〜図15を用いて説明を行う。図11〜図13は、現像剤濃度調整部711内での液体現像剤の粘度調整を示した図である。粘度調整を行う箇所は、この実施形態に限られるものではなく、現像剤貯留部311内にて行ってもよいし、現像剤濃度調整部711と現像剤貯留部311内の両方で行うこととしてもよい。図14は、図13の実施形態で使用する粘度検出部80の実施形態を示した図であり、図15は、液体現像剤の粘度と、温度、並びに、攪拌速度の関係を示したグラフとなっている。
【0051】
図11で示す液体現像剤の粘度は、液体現像剤の温度を制御因子として調整される。制御部20は、入力部90からの入力情報により液体現像剤が粘度ηとなるような制御量を温度制御部22に対して出力する。制御量は図15に示す粘度と温度の関係に基づいて決定される。図ではK色についての温度制御の様子を示しているが、図3のような複数色を使用する画像形成装置では、各色の温度制御部22に対して制御量が出力される。制御量は、各色の液体現像剤の粘度特性を考慮して異ならせることとしてもよい。温度制御部22は受け取った制御量にて液体現像剤の温度を調整する。
【0052】
本実施形態では、ヒーター83(電熱線)にて液体現像剤の温度上昇を、チラー(水冷管)にて液体現像剤の温度下降を行うこととしているが、温度調整の形態はこれに限るものではない。また、温度制御の範囲は限られることとなるが、温度上昇、温度下降どちらか一方を制御する構成としてもよい。このような構成により、液体現像剤の温度が調整されることで、液体現像剤の粘度は印刷速度Vに適したものとなり、リブレットの発生を抑え、良好な印刷品質を実現することが可能となる。
【0053】
液体現像剤の粘度は、温度のみならず攪拌速度を制御因子としても調整することが可能である。図12は、攪拌速度を利用した液体現像剤の粘度調整の構成を示した図である。制御部20は、入力部90からの入力情報により液体現像剤が粘度ηとなるような制御量を攪拌速度制御部23に対して出力する。制御量は図15に示す粘度と攪拌速度の関係に基づいて決定される。図11の温度調整の場合と同様、各色に対する制御量は液体現像剤の粘度特性を考慮して異なることとしてもよいし、同じものであってもよい。攪拌速度制御部23は受け取った制御量にて攪拌部材72を駆動して粘度の調整を行う。
【0054】
図13は、液体現像剤の粘度を、温度と攪拌速度の両方を制御因子として調整することを特徴としている。更には、粘度検出部80にて液体現像剤の粘度を検出し、制御部20
に対してフィードバックをかけることでより正確な粘度調整を行うことが可能となっている。制御部20は、入力部90からの入力情報により液体現像剤が粘度ηとなるような制御量を温度調整部22、並びに、攪拌速度制御部23に対して出力する。制御量は図15に示す粘度に対する温度、並びに攪拌速度の関係に基づいて決定される。各色に対する制御量は液体現像剤の粘度特性を考慮して異なることとしてもよいし、同じものであってもよい。温度制御部22は、ヒーター83、チラー84を制御して温度調整を行う。また、攪拌速度制御部23は受け取った制御量にて攪拌部材72を駆動して粘度の調整を行う。
【0055】
本実施形態では、現像剤濃度調整部711内の液体現像剤の濃度を検出する粘度検出部80が配設されている。粘度検出部80で検出された液体現像剤の粘度は、制御部20にフィードバックされ、目的とする粘度となるように各制御量に反映される。このように、粘度検出部80で実際の粘度をモニターしながら液体現像剤の粘度を調整することで、より正確な粘度調整を行うことが可能となる。粘度のモニターは各色の液体現像剤毎に行ってもよいし、液体現像剤の特性、設置環境などが同等である場合には、いずれかの液体現像剤の粘度をモニターし、他の液体現像剤の粘度調整の制御に反映することとしてもよい。また、この粘度検出部80による粘度のモニターは、図11、図12で説明した実施形態に採用することとしてもよい。粘度検出部80は、攪拌部材72にて発生する乱流に影響を受けない箇所に配設することが好ましい。このような配設場所とすることで、液体現像剤の粘度を正確に検知することが可能となる。
【0056】
図14は、粘度検出部80の例を示した図である。図14(a)は、回転体81を用いた粘度検出部80を示した図である。液体現像剤に浸された回転体81は、モーターなどの駆動源によって一定速度で回転される。その際に必要となる駆動源でのトルク電流を計測することで液体現像剤の粘度が検出できる。
【0057】
図14(b)は、超音波圧電素子などの振動子82を用いた粘度検出部80を示した図である。回転体81の場合と同様、液体現像剤に浸された振動子82は、それに接続される発振器によって一定振幅で振動するように駆動される。その際に必要となる駆動電流を計測することで液体現像剤の粘度が検出できる。
【0058】
以上、本発明の種々の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。
【符号の説明】
【0059】
10(Y、M、C、K)…像担持体、11(Y、M、C、K)…コロナ帯電器、12(Y、M、C、K)…露光ユニット、18Y…像担持体クリーニングブレード、20…制御部、22…温度制御部、23…攪拌速度制御部、
30(Y、M、C、K)…現像部、31(Y、M、C、K)…現像剤容器、311Y…現像剤貯留部、35Y…供給ローラー、351Y…規制ブレード、36Y…現像ローラー(現像剤担持体)、361Y…現像ローラークリーニングブレード、37Y…圧縮ローラー、371…圧縮ローラークリーニングブレード、
40…中間転写体、41…駆動ローラー、42…テンションローラー、46…中間転写体クリーニングブレード、
50(Y、M、C、K)…1次転写部、51(Y、M、C、K)…1次転写バックアップローラー、
60…2次転写部、61…2次転写ローラー、62…2次転写ローラークリーニングブレード、
70(Y、M、C、K)…現像剤補給部、71(Y、M、C、K)…濃度調整容器、711(Y、M、C、K)…現像剤濃度調整部、712(Y、M、C、K)…現像剤補給路、
713(Y、M、C、K)…現像剤回収路、72(Y、M、C、K)…攪拌部材、73…(Y、M、C、K)高濃度現像剤貯蔵部、731(Y、M、C、K)…高濃度現像剤補給路、74…キャリア液貯蔵部、741(Y、M、C、K)…キャリア液補給路、742(Y、M、C、K)…キャリア液バッファ、743…キャリア液共通補給路、80(Y、M、C、K)…粘度検出部、81…回転体、82…振動子、83…ヒーター(電熱線)、84…チラー(水冷管)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリア液とを有する液体現像剤を貯留する現像剤貯留部、及び前記現像剤貯留部から供給された前記液体現像剤を担持する現像剤担持体を有する現像部と、
前記現像部により現像される像担持体と、
前記液体現像剤のトナー濃度を調整する現像剤濃度調整部、前記現像剤濃度調整部から前記現像剤貯留部に前記液体現像剤を補給する現像剤補給路、及び前記現像剤濃度調整部に配設されて前記液体現像剤の粘度を調整する粘度調整部を有する現像剤補給部と、
入力情報が入力される入力部と、
入力情報に基づいて前記像担持体の移動速度、及び前記粘度調整部の制御因子を制御する制御部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記像担持体の移動速度が第1の移動速度のときには、前記液体現像剤の粘度が第1の粘度となるように前記粘度調整部を制御し、
前記像担持体の移動速度が第1の移動速度よりも遅い第2の移動速度のときには、前記液体現像剤の粘度が第1の粘度よりも大きい第2の粘度となるように前記粘度調整部を制御する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記入力情報は、記録材情報である請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記粘度調整部の制御因子は、前記液体現像剤の温度である請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記粘度調整部は、前記液体現像剤を攪拌する攪拌部材を有し、
前記粘度調整部の制御因子は、前記攪拌部材の攪拌速度である請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記現像剤濃度調整部に配設された、前記液体現像剤の粘度を検出する粘度検出部を有し、
前記粘度調整部は、前記粘度検出部が検出する前記液体現像剤の粘度に応じて前記液体現像剤の粘度を調整する請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の画像形成装置。
【請求項7】
現像剤濃度調整部からトナーとキャリア液とを有する液体現像剤を現像剤貯留部に補給し、
前記現像剤貯留部に貯留される前記液体現像剤を供給して現像剤担持体に塗布し、
前記現像剤担持体に塗布された前記液体現像剤を用いて像担持体に形成された潜像を現像し、
入力部から入力される入力情報に基づいて前記像担持体の移動速度、及び前記液体現像剤の粘度を調整することを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
前記像担持体の移動速度が第1の移動速度のときには、前記液体現像剤の粘度が第1の粘度となるように、
前記像担持体の移動速度が第1の移動速度よりも遅い第2の移動速度のときには、前記液体現像剤の粘度が第1の粘度よりも大きい第2の粘度となるように制御する請求項7に記載の画像形成方法。
【請求項1】
トナーとキャリア液とを有する液体現像剤を貯留する現像剤貯留部、及び前記現像剤貯留部から供給された前記液体現像剤を担持する現像剤担持体を有する現像部と、
前記現像部により現像される像担持体と、
前記液体現像剤のトナー濃度を調整する現像剤濃度調整部、前記現像剤濃度調整部から前記現像剤貯留部に前記液体現像剤を補給する現像剤補給路、及び前記現像剤濃度調整部に配設されて前記液体現像剤の粘度を調整する粘度調整部を有する現像剤補給部と、
入力情報が入力される入力部と、
入力情報に基づいて前記像担持体の移動速度、及び前記粘度調整部の制御因子を制御する制御部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記像担持体の移動速度が第1の移動速度のときには、前記液体現像剤の粘度が第1の粘度となるように前記粘度調整部を制御し、
前記像担持体の移動速度が第1の移動速度よりも遅い第2の移動速度のときには、前記液体現像剤の粘度が第1の粘度よりも大きい第2の粘度となるように前記粘度調整部を制御する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記入力情報は、記録材情報である請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記粘度調整部の制御因子は、前記液体現像剤の温度である請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記粘度調整部は、前記液体現像剤を攪拌する攪拌部材を有し、
前記粘度調整部の制御因子は、前記攪拌部材の攪拌速度である請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記現像剤濃度調整部に配設された、前記液体現像剤の粘度を検出する粘度検出部を有し、
前記粘度調整部は、前記粘度検出部が検出する前記液体現像剤の粘度に応じて前記液体現像剤の粘度を調整する請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の画像形成装置。
【請求項7】
現像剤濃度調整部からトナーとキャリア液とを有する液体現像剤を現像剤貯留部に補給し、
前記現像剤貯留部に貯留される前記液体現像剤を供給して現像剤担持体に塗布し、
前記現像剤担持体に塗布された前記液体現像剤を用いて像担持体に形成された潜像を現像し、
入力部から入力される入力情報に基づいて前記像担持体の移動速度、及び前記液体現像剤の粘度を調整することを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
前記像担持体の移動速度が第1の移動速度のときには、前記液体現像剤の粘度が第1の粘度となるように、
前記像担持体の移動速度が第1の移動速度よりも遅い第2の移動速度のときには、前記液体現像剤の粘度が第1の粘度よりも大きい第2の粘度となるように制御する請求項7に記載の画像形成方法。
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【公開番号】特開2010−181436(P2010−181436A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22221(P2009−22221)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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