説明

画像形成装置用弾性ローラ、画像形成装置用弾性ローラの製造方法、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】画像形成装置内で長期使用にあたっても、良好な画像を与えることができる画像形成装置用弾性ローラを提供する。
【解決手段】芯材の外周に弾性層を有し、弾性層の外周面が凹部及び凸部を有し、凸部の先端が曲面形状を有すること画像形成装置用弾性ローラである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置用弾性ローラ、画像形成装置用弾性ローラの製造方法、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真技術の進歩に伴い、電子写真方式による画像形成装置は高速でかつ高印字の品質が得られ、複写機およびレーザービームプリンタ等において広く利用されている。電子写真方式による画像形成装置では、像保持体である電子写真感光体の表面上に均一な電荷を形成し、LEDやレーザ等により静電潜像を形成した後、帯電したトナーで該静電潜像を現像してトナー像を得る。さらに該トナー像を中間転写体を介して、あるいは紙などの記録媒体へ直接静電的に転写することにより、所望の画像を得ることができる。
【0003】
このような電子写真方式による画像形成装置において、弾性層を有する画像形成装置用弾性ローラは、像保持体表面を帯電させるための帯電ローラ、トナーを供給するためのトナー供給ローラ、像保持体上にトナー像を現像するための現像ローラ、像保持体表面の残存トナーや外添剤等を除去するための像保持体クリーニングローラ、帯電部材表面に付着したトナーや外添剤等を除去するための帯電部材クリーニングローラ、像保持体上に形成されたトナー像を中間転写体あるいは紙などの記録媒体へ転写させるための転写ローラ、紙などの記録媒体を搬送するための搬送ローラ、記録媒体上に転写されたトナー像を定着させるための定着ローラなどに多用されている。これらは、用途に応じた外形形状に高精度に仕上げる為、通常、外周面を切削し、切削した弾性ローラの表面には凹凸部が形成される。
【0004】
弾性層の外周面を切削する方法としては砥石切削やバンドナイフ切削などが多く用いられている。また、形状精度を高めたり、切削工程生産性を高めたりする切削方法としては、例えば特許文献1ではオシュレーション切削方法、特許文献2では高圧水噴射による切削方法、特許文献3では切削用ワイヤによる切削方法、特許文献4では凍結した状態で研磨砥石を用いて研磨する方法、特許文献5では弾性層を構成する材料のガラス転移温度Tg+30℃以下で研磨する方法等が提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−70840号公報
【特許文献2】特開2001−121495号公報
【特許文献3】特開2001−121472号公報
【特許文献4】特開2001−208042号公報
【特許文献5】特開平10−69163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、画像形成装置内で長期使用にあたっても、良好な画像を与えることができる画像形成装置用弾性ローラ、そのような画像形成装置用弾性ローラの製造方法及びプロセスカートリッジである。
【0007】
また、本発明は、長期使用にあたっても、良好な画像を与えることができる画像形成装置である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、芯材の外周に弾性層を有し、前記弾性層の外周面が凹部及び凸部を有し、前記凸部の先端が曲面形状を有する画像形成装置用弾性ローラである。
【0009】
また、画像形成装置用弾性ローラにおいて、前記前記凹部と前記凸部との最大距離が0.25mm以上1.0mm以下であることが好ましい。
【0010】
また、本発明は、芯材の外周に弾性層を有し、外径精度が3.0%以下である画像形成装置用弾性ローラである。
【0011】
また、本発明は、芯材の外周に弾性層を有し、振れ精度が3.0%以下である画像形成装置用弾性ローラである。
【0012】
また、画像形成装置用弾性ローラにおいて、前記弾性層が発泡体により形成されていることが好ましい。
【0013】
また、画像形成装置用弾性ローラにおいて、前記発泡体がポリウレタンフォームであることが好ましい。
【0014】
また、画像形成装置用弾性ローラにおいて、前記弾性ローラが、クリーニングローラ、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、トナー供給ローラまたは搬送ローラであることが好ましい。
【0015】
また、本発明は、芯材の外周に設けられた弾性層の外周面をレーザにより切削処理する切削処理工程を含む前記画像形成装置用弾性ローラの製造方法である。
【0016】
また、本発明は、前記画像形成装置用弾性ローラを備えるプロセスカートリッジである。
【0017】
また、本発明は、前記画像形成装置用弾性ローラを備える画像形成装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1によると、画像形成装置内で長期使用にあたっても、良好な画像を与えることができる画像形成装置用弾性ローラを提供することができる。
【0019】
本発明の請求項2によると、画像形成装置内で長期使用にあたっても、より良好な画像を与えることができる画像形成装置用弾性ローラを提供することができる。
【0020】
本発明の請求項3によると、弾性ローラ表面の接触対象部材への密着性が良好で、画像形成装置内で長期使用にあたっても、良好な画像を与えることができる画像形成装置用弾性ローラを提供することができる。
【0021】
本発明の請求項4によると、弾性ローラ表面全体の接触対象部材への密着性が良好で、画像形成装置内で長期使用にあたっても、良好な画像を与えることができる画像形成装置用弾性ローラを提供することができる。
【0022】
本発明の請求項5によると、弾性ローラの弾性により、画像形成装置内で長期使用にあたっても変形や摩滅が少なく、良好な画像を与えることができる画像形成装置用弾性ローラを提供することができる。
【0023】
本発明の請求項6によると、発泡体の適度な硬さ、弾性が得られるため、画像形成装置内で長期使用にあたっても、良好な画像を与えることができる画像形成装置用弾性ローラを提供することができる。
【0024】
本発明の請求項7によると、画像形成装置内で長期使用にあたっても、良好な画像を与えることができるクリーニングローラ、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、トナー供給ローラまたは搬送ローラとしての画像形成装置用弾性ローラを提供することができる。
【0025】
本発明の請求項8によると、画像形成装置内で長期使用にあたっても、良好な画像を与えることができる画像形成装置用弾性ローラの製造方法を提供することができる。
【0026】
本発明の請求項9によると、画像形成装置内で長期使用にあたっても、良好な画像を与えることができるプロセスカートリッジを提供することができる。
【0027】
本発明の請求項10によると、長期使用にあたっても、良好な画像を与えることができる画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0029】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置用弾性ローラの一例を示す概略外観図である。弾性ローラ1は、芯材10と、芯材10の外周に備えられた弾性層12と有する。また、図2は、本実施形態に係る画像形成装置用弾性ローラの弾性層の表面の様子を示す概略図である。弾性層12は、その外周面に凹部14及び凸部16を有し、凸部16の先端が曲面形状を有する。
【0030】
図3は、従来の弾性ローラの表面の様子を示す概略図である。上述したとおり、切削した弾性層42の外周面に凹部44及び凸部46が形成されるが、砥石、バンドナイフなどによる切削では凸部46が切削方向に長く突出していたり、鋭角を有するような形状を呈す。この鋭角形状を有する凸部46は、画像形成装置内で長期使用すると該ローラと接触して配置されている他の部材表面との摩擦、引っかかりによって脱離しやすく、脱離片は電子写真装置の中で画質異常を発生させる原因となる。また、そのような鋭角形状を有する凸部46は、弾性ローラの外径精度、振れ精度を悪化させていた。
【0031】
また、砥石、バンドナイフなどを用いた弾性層表面の切削、研磨工程では切削粉、研磨粉が多量に発生する。切削粉の飛散を防ぐ為に、吸引などの方法が取られているが、切削時に摩擦により発生した静電気を帯びた切削粉は、切削後の弾性ローラに再び付着しやすい。弾性ローラに付着した切削片が前記同様に画質異常を発生させる原因となる。
【0032】
さらに、前記のような砥石、バンドナイフなどによる切削、研磨工程では切削、研磨手段が弾性体に接触するため、切削時には弾性体が変形するため、精密形状のものを得ることは非常に難しく、弾性ローラの外径精度、振れ精度を悪化させていた。画像形成装置内で使用される弾性ローラの用途は前述したとおりであるが、これまでの弾性ローラ表面の形状、切削方法では、良好な画像品質を満足するものは得られていなかった。
【0033】
このように、画像形成装置内での弾性ローラの長期使用時に発生する脱離片は、弾性ローラの表面の凸部が突出していたり、鋭角を有する形状であるために、該ローラと接触して配置される他の部材表面との摩擦、引っかかりによって発生する。そこで、本発明者らは、弾性層表面の凸部形状を制御することにより脱離片の発生を防止することができることを見出した。
【0034】
すなわち本実施形態に係る弾性ローラ1は、芯材10の外周に弾性層12を有し、弾性層12の外周面が凹部14及び凸部16を有し、凸部16の先端が曲面形状を有する。これにより、画像形成装置内で長期使用にあたっても弾性ローラ表面からの脱離片をほとんど発生させることなく、良好な画像を与えることができる。
【0035】
ここで、「凸部の先端が曲面形状を有する」とは、弾性ローラ表面を光学顕微鏡で観察したときに表面の凸部の先端が曲面であり角部をほとんど有さないこと、具体的には凸部の先端が曲面であり先端角度90度以下の角部をほとんど有さないことをいう。例えば、弾性ローラ表面の25mm幅を観察し、観察範囲内の表面の全ての凸部のうち、先端が先端角度90度以下の角部を有するものの個数が10%以下のことをいう。
【0036】
また、本実施形態に係る画像形成装置用弾性ローラにおいて、図2に示す凹部14と凸部16との最大距離Lが0.25mm以上1.0mm以下であることが好ましく、0.25mm以上0.8mm以下であることがより好ましい。凹部14と凸部16との最大距離Lが1.0mmを超えると、弾性ローラと接触して配置される他の部材表面と凸部16との摩擦、引っかかり等によって脱離片が発生しやすくなる。また、最大距離Lが0.25mm未満であると、弾性ローラとしての性能を発揮できにくくなる。
【0037】
凹部14と凸部16との最大距離Lはレーザ顕微鏡を用いて、弾性ローラ表面の25mm幅を観察し、凹部14と凸部16との最大距離Lを測定することにより求めることができる。レーザ顕微鏡としては例えば、キーエンス社製 VK9510を用いることができる。
【0038】
凹部14と凸部16との最大距離Lは、例えば、弾性層12に用いる弾性体材料として多孔質体である後述するような発泡体を用い、発泡体の孔径を上記最大距離Lの範囲となるように選択すること等により制御することができる。
【0039】
また、弾性ローラの外径精度は、3.0%以下であり、2.8%以下であることが好ましい。弾性ローラの外径精度が3.0%を超えると、弾性ローラの真円度が低く、弾性ローラと接触して配置される他の部材表面と、弾性ローラ表面との密着性が低下する。
【0040】
また、弾性ローラの振れ精度は、3.0%以下であり、2.8%以下であることが好ましい。弾性ローラの振れ精度が3.0%を超えると、弾性ローラと接触して配置される他の部材表面と、弾性ローラ表面全体との密着性が低下する。
【0041】
弾性ローラの外径精度及び振れ精度はレーザ測定器を用いて測定することができる。
【0042】
本実施形態における画像形成装置用弾性ローラの芯材としては、所望の特性が得られるものであればいかなる材料でも使用できる。例えば、アルミニウム、ステンレス等の金属、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂等の高硬度樹脂などが好ましく用いられる。また芯材は円筒形状が好ましく用いられる。さらに、芯材は支持部が細くなっている段付き形状であっても良い。
【0043】
弾性層12に用いる弾性体材料としては、所望の特性が得られるものであればいかなる材料でも使用できる。たとえば、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ブチルゴム、ニトリルゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、シリコーンゴム、天然ゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴムなどの発泡体(フォーム)、エラストマ等を挙げることができる。
【0044】
弾性層12は接触対象部材への密着性を確保する等の点で発泡体により形成されていることが好ましい。また、発泡体としては、弾性ローラの硬さや弾性特性等の点でポリウレタンフォームが好ましく用いられる。
【0045】
ポリウレタンフォームは所要のポリオールおよびイソシアネートを反応させることにより得られる発泡体であり、所望の特性が得られる方法であれば、公知のいかなる方法をも用いることができる。
【0046】
前記ポリオールとしては、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール等を用いることができる。これらのポリオールは単独でも2種以上を混合して用いても良い。
【0047】
前記イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、トリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、リジンエステルトシイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等を用いることができる。これらのイソシアネートは単独でも2種以上を混合して用いても良い。
【0048】
前記ポリオールとイソシアネートとの配合比は、所望の特性が得られる範囲内であれば特に限定はないが、好ましくはイソシアネートのイソシアネート基に対するポリオールの水酸基とのモル比が0.8以上2.0以下、さらに好ましくは0.9以上1.3以下の範囲で用いられる。
【0049】
さらにポリウレタンフォーム原料として適宜、硬化剤、架橋剤、触媒、発泡剤、難燃剤、劣化防止剤、可塑剤、整泡剤、導電剤などの添加剤を用いることができる。
【0050】
硬化剤としては、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール等のグリコール類、グリセリン、トリエタノールアミンなどのトリオール類、ひまし油、ショ糖などの多価アルコール類、β−アミノエチルアルコール等のアミン系化合物、ジアミノジフェニルメタン誘導体、アミノベンゾエート、アミノチオフェニル等のジアミン系化合物などを用いることができる。
【0051】
架橋剤としては、例えば、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等の多価アルコールなどを用いることができる。
【0052】
触媒としては、例えば、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、トリエチレンジアミン等のアミン系触媒、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレエート等の有機金属触媒などが用いられる。
【0053】
発泡剤としては、例えば、水、炭化水素、フルオロカーボン、蟻酸、ほう酸等が用いられる。
【0054】
難燃剤としては、例えば、トリスクロロエチルホスフェート、トリスクロロプロピルホスフェート等のリン酸エステル系化合物等を用いることができる。
【0055】
劣化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系等の光安定剤などを用いることができる。
【0056】
可塑剤としては、ポリエステル系可塑剤、トリメリット酸系可塑剤、アジビン酸系可塑剤、エポキシ系可塑剤、フタル酸系可塑剤などを用いることができる。
【0057】
整泡剤としては、ジメチルシリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル等のシリコーン系界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが用いられる。
【0058】
導電剤としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック等のカーボン系導電剤や、テトラエチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等のようなアンモニウム系化合物などのイオン導電剤などを用いることができる。
【0059】
これらの添加剤は単独で用いても、また複数同時に用いても良い。
【0060】
前述した芯材と弾性フォームとの接着方法については、所望の特性が得られる範囲であればいかなる方法でも用いることができるが、金型にあらかじめ芯材を設置しておき弾性フォーム形成材料を注入し、発泡硬化させる方法、あらかじめ発泡硬化させた弾性フォームを切り出して、芯材を挿入して接着させる方法などが好ましく用いられる。前述した何れの方法においても、必要に応じて芯材と弾性フォームとの間に接着層を設けることができる。接着層を構成する材料としては、所望の特性を得られる範囲であればいかなる材料をも用いることができるが、導電性接着剤、ホットメルト接着剤などが好ましく用いられる。
【0061】
本実施形態に係る画像形成装置用弾性ローラは、芯材の外周に設けられた弾性層の外周面をレーザにより切削処理する切削処理工程を含む方法により製造されることが好ましい。ニクロム線等を用いて熱による切削を行うと、弾性層の表面が固まってしまい、画像形成装置用弾性ローラに適する所望の弾性率を得ることができない。
【0062】
図4に本実施形態に係る画像形成装置用弾性ローラの製造方法の一例を示す。図4のようなトラバース切削では、弾性ローラ1を芯材10の軸を中心に回転させながら、弾性ローラ1の弾性層12の表面に芯材10の軸上方からレーザ18を照射し、弾性ローラ1の軸方向にレーザ18を移動することにより精密切削することができる。また、逆に弾性ローラ1を弾性ローラ1の軸方向に移動させて切削することもできる。切削の為の移動は、往復、複数回繰り返すこともできる。切削を複数回繰り返す場合には、弾性ローラ1表面へのレーザ照射量、時間を順次変化させることもできる。弾性ローラ1の回転速度、レーザ18のトラバース速度、表面への照射位置などは任意に設定することができる。
【0063】
図5に本実施形態に係る画像形成装置用弾性ローラの製造方法の他の例を示す。図5に示した切削では、弾性ローラ1を芯材10の軸を中心に回転させながら、弾性層12の端部から弾性ローラ1の回転軸に平行にレーザ18を照射することにより切削処理される。弾性ローラ1の回転速度、弾性ローラ1表面へのレーザ照射量、時間などは任意に設定することができる。
【0064】
また、前述したように切削粉は切削により発生する。本実施形態においては、弾性層12の切削をレーザを用いて行うことにより、切削粉の発生をほとんど無くするものである。さらに、前述したように弾性層12表面の精密形状が得られないのは、切削手段、研磨手段等が弾性層を変形させるために発生する問題であり、本実施形態においては、弾性層12の切削をレーザを用いて行うことにより所望の精密形状、例えば弾性ローラの外径精度を3.0%以下、振れ精度を3.0%以下とすることができる。
【0065】
このようにして弾性ローラ素材をレーザ切削による方法で切削処理を行うことにより、上記形状特性を有する弾性ローラを得ることができる。レーザを用いることにより、例えば、弾性層12に用いる弾性体材料として発泡体を用い、発泡体の孔径を上記最大距離Lの範囲となるように選択すれば、凹部14と凸部16との最大距離Lを制御することができる。
【0066】
用いるレーザの種類、波長は弾性層の表面を切削できればよく特に限定されない。例えば、Nd−YAG波長変換レーザ、炭酸ガスレーザ等を用いることができる。
【0067】
本実施形態に係る弾性ローラは、切削処理後、塗料を用いて含浸、あるいは表面を塗装することができる。切削処理後に用いる塗料としては、導電性塗料などを用いることができる。
【0068】
本実施形態に係る弾性ローラは、プロセスカートリッジ及び画像形成装置における、像保持体表面を帯電させるための帯電ローラ、トナーを供給するためのトナー供給ローラ、像保持体上にトナー像を現像するための現像ローラ、像保持体表面の残存トナーや外添剤等を除去するための像保持体クリーニングローラ、帯電部材表面に付着したトナーや外添剤等を除去するための帯電部材クリーニングローラ、現像部材表面に付着したトナー等を除去するための現像部材クリーニングローラ等のクリーニングローラ、像保持体上に形成されたトナー像を中間転写体あるいは紙などの記録媒体へ転写させるための転写ローラ、紙などの記録媒体を搬送するための搬送ローラ、記録媒体上に転写されたトナー像を定着させるための定着ローラのうちの少なくとも1つとして用いることができる。帯電ローラ用クリーニングローラ等の帯電部材クリーニングローラ、像保持体クリーニングローラ、現像部材クリーニングローラおよびトナー供給ローラ等として用いることが発泡体によるクリーニングの点で好適であり、特に、帯電ローラ用クリーニングローラ、像保持体クリーニングローラとして用いることが好適である。
【0069】
<プロセスカートリッジ>
プロセスカートリッジとは、像保持体と接触して像保持体を帯電する帯電ローラと、静電潜像が形成される像保持体としての電子写真感光体(感光体ドラム)と、さらに必要に応じて、像保持体の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成する現像手段及びトナー画像の転写後に像保持体の表面に残存したトナーをクリーニングするクリーニング手段等のプロセス手段の少なくとも1つと、を一体的にカートリッジ化し、画像形成装置本体に対して着脱可能とするものである。
【0070】
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、像保持体クリーニングローラ、帯電部材クリーニングローラ等のクリーニングローラ、帯電ローラ、現像ローラ、トナー供給ローラのうちの少なくとも1つとして前記弾性ローラを備える。
【0071】
本発明の実施形態に係るプロセスカートリッジの一例の概略を図6に示し、その構成について説明する。プロセスカートリッジ5は、静電潜像が形成される像保持体としての電子写真感光体(感光体ドラム)20と、電子写真感光体20の表面を接触帯電する接触帯電手段としての帯電ローラ22と、電子写真感光体20の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成する現像手段としての現像ローラ24と、電子写真感光体20の表面に接触して、転写後に電子写真感光体20に残ったトナーをクリーニングするクリーニング手段としてのクリーニングブレード28とが一体に支持されており、画像形成装置に着脱自在である。画像形成装置に装着されたときには電子写真感光体20の周囲に、帯電ローラ22、レーザ光あるいは原稿の反射光等により電子写真感光体20の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段としての露光装置32、現像ローラ24、電子写真感光体20表面のトナー画像を被転写材である記録紙(記録用紙)30に転写処理する転写手段としての転写ローラ26、クリーニングブレード28がこの順序で配置されるようになっている。なお、図6では、他の電子写真プロセスにおいて通常必要な機能ユニットは、その記載を省略してある。
【0072】
本実施形態に係るプロセスカートリッジ5の動作について説明する。
【0073】
まず、電子写真感光体20表面に接触された帯電ローラ22に対して電圧を高圧電源装置(図示せず)から給電することによって、電子写真感光体20の表面を一様な電位に帯電する(接触帯電方式)。このとき電子写真感光体20及び帯電ローラ22は図6の矢印方向にそれぞれ回転する。帯電後、電子写真感光体20表面に露光装置32により画像情報に応じた画像光(露光)34が照射されると、照射された部分は電位が低下する。画像光34は画像の黒/白等に応じた光量の分布であるため、画像光34の照射によって電子写真感光体20表面に記録画像に対応する電位分布、すなわち静電潜像が形成される。静電潜像が形成された部分が、現像ローラ24を通過すると、その電位の高低に応じてトナーが付着し、静電潜像を可視化したトナー画像が形成される。トナー画像が形成された部分に、所定のタイミングでレジストローラ(図示せず)により記録紙30が搬送され、電子写真感光体20表面のトナー画像と重なる。このトナー画像が、転写ローラ26によって記録紙30に転写された後、記録紙30は、電子写真感光体20から分離される。分離された記録紙30は搬送経路を通って搬送され、定着手段としての定着ユニット(図示せず)によって、加熱加圧定着されたあと、機外へ排出される。
【0074】
電子写真感光体20としては光導電体が用いられ、少なくとも静電潜像(静電荷像)が形成される機能を有する。電子写真感光体は、円筒状の導電性の基体外周面に必要に応じて下引き層と、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とがこの順序で形成されたものである。電荷発生層と電荷輸送層の積層順序は逆であってもよい。これらは、電荷発生物質と電荷輸送物質とを別個の層(電荷発生層、電荷輸送層)に含有させて積層した積層型感光体であるが、電荷発生物質と電荷輸送物質との双方を同一の層に含む単層型感光体であってもよく、好ましくは積層型感光体である。また、下引き層と感光層との間に中間層を有していてもよい。また、有機感光体に限らずアモルファスシリコン、アモルファスセレン、酸化亜鉛、酸化チタン感光膜等他の種類の感光層を使用してもよい。また感光体を搭載する形状としては例えばドラム状またはベルト状のものが用いられており、例えばドラムタイプの感光体にあっては、アルミ合金等のシリンダ上に光導電体の蒸着或いは塗工を行ったものである。
【0075】
帯電ローラ22は、従来から使用されているものと同様に、電子写真感光体20の画像形成領域全体に対応させて長いものとして構成し、電子写真感光体20に対して帯電ローラ22を両側の軸に配置したバネ等の付勢手段を用いて、所定の押圧力で接触させ、電子写真感光体20の回転に追従させて、回転しながら電子写真感光体20の表面を帯電させるような動作を行う。帯電ローラ22は、電子写真感光体20に接触させることにより特に駆動手段を有しなくとも電子写真感光体20と同じ周速度で回転し、帯電手段として機能する。しかし、ローラ部材に何らかの駆動手段を取り付け、電子写真感光体20とは異なる周速度で回転させ、帯電させても良い。また、帯電ローラ22表面に付着したトナーや外添剤等を除去するためのクリーニングローラを設けることができる。
【0076】
露光装置32としては、特に制限はなく、例えば、電子写真感光体20表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光源を、所望の像様に露光できるレーザ光学系、LEDアレイなどの光学系機器等が挙げられる。
【0077】
現像手段は、電子写真感光体20上に形成された静電潜像を静電荷像現像用トナーを含む一成分現像剤あるいは二成分現像剤により現像してトナー画像を形成する機能を有する。そのような現像装置としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、トナー層が電子写真感光体20に接触する方式のものでも、接触しない方式のものでもよい。例えば、図6のように静電荷像現像用トナーを現像ローラ24を用いて電子写真感光体20に付着させる機能を有する現像器、あるいはブラシ等を用いてトナーを電子写真感光体に付着させる機能を有する現像器等、公知の現像器等が挙げられる。現像剤担時体には、通常直流電圧が使用されるが、更に交流電圧を重畳させて使用してもよい。
【0078】
現像方法としても、2成分磁気ブラシ現像法、カスケード現像法、タッチダウン現像法、クラウド現像法等の種々の現像法を用いることが可能である。
【0079】
感光体に残存するトナー等のクリーニング手段としては、ブレード、ファーブラシ、磁気ブラシ、ローラなど用いてクリーニング手段を構成することができる。
【0080】
転写手段としては、紙等に直接転写する方式のものでも、中間転写体を介して転写する方式のものでもよい。例えば、図6に示すような記録紙30の表面に記録紙30を介して直接接触して転写する導電性又は半導電性のローラ等を用いた転写ローラ26及び転写ローラ押圧装置(図示せず)を用いることができる。また、記録紙30の裏側からトナーとは逆極性の電荷を記録紙30に与え、静電気力によりトナー画像を記録紙30に転写するものを用いてもよい。転写ローラ26には、電子写真感光体20に付与する転写電流として、直流電流を印加してもよいし、交流電流を重畳させて印加してもよい。転写ローラ26は、帯電すべき画像領域幅、転写帯電器の形状、開口幅、プロセススピード(周速)等により、任意に設定することができる。また、低コスト化のため、転写ローラ26として単層の発泡ローラ等が好適に用いられる。
【0081】
定着手段としての定着ユニットとしては、記録紙30に転写されたトナー画像を加熱、加圧あるいは加熱加圧により定着するものであれば特に制限はない。
【0082】
トナー画像を転写する記録媒体である記録紙30としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、転写材の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
【0083】
プロセスカートリッジにはカートリッジ情報を記憶する通信機構を有してもよい。
【0084】
また、プロセスカートリッジは単色画像を形成するものだけではなく、複数色の画像(例えば2色画像、3色画像あるいはフルカラー等)を形成するものであってもよい。
【0085】
<画像形成装置>
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体クリーニングローラ、帯電部材クリーニングローラ等のクリーニングローラ、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、トナー供給ローラ、搬送ローラのうちの少なくとも1つとして前記弾性ローラを備える。
【0086】
図7は本実施形態に係るプロセスカートリッジが適用される画像形成装置の全体構成の一例を示した図であり、所謂タンデム型のデジタルカラープリンタを示している。図7に示す画像形成装置は、本体50に、各色の階調データに対応して画像形成を行う画像形成部52、記録用紙(シート)を搬送するシート搬送系54、例えばパーソナルコンピュータや画像読み取り装置等に接続され、受信された画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理装置56とを備えている。
【0087】
画像形成部52は、水平方向に一定の間隔を置いて並列的に配置される複数のエンジンであるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成ユニット58Y,58M,58C,58K、この画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kの電子写真感光体20に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト60上に多重転写させる転写ユニット62、画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kに対してレーザ光を照射する光学系ユニット64を備えている。また本体50には、転写ユニット62によって二次転写された記録用紙(シート)上の画像を、熱および圧力を用いて記録用紙に定着させる定着器66を備えている。更に、画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kに対して各色のトナーを供給するためのトナーカートリッジ68Y,68M,68C,68Kが設けられている。
【0088】
転写ユニット62は、中間転写体である中間転写ベルト60を駆動する駆動ローラ70、中間転写ベルト60に一定の張力を付与する張力付与ローラ71、重畳された各色のトナー像を記録用紙に二次転写するためのバックアップローラ72、中間転写ベルト60上に存在する残留トナー等を除去するクリーニング装置73を備えている。中間転写ベルト60は、この駆動ローラ70と張力付与ローラ71およびバックアップローラ72との間に一定の張力で掛け回されており、定速性に優れた専用の駆動モータ(図示せず)によって回転駆動される駆動ローラ70により、矢印方向に所定の速度で循環駆動される。この中間転写ベルト60は、例えば、電荷蓄積を起こさないベルト素材(ゴムまたは樹脂)にて抵抗調整されたものが使用されている。クリーニング装置73は、クリーニングブラシ73aおよびクリーニングブレード73bを備えており、トナー像の転写工程が終了した後の中間転写ベルト60の表面から残留トナーや紙粉等を除去して、次の画像形成プロセスに備えるように構成されている。
【0089】
シート搬送系54は、画像が記録される記録用紙(シート)を積載して供給する給紙装置77、給紙装置77から1枚ずつに分離された記録用紙を画像転写部に向けて搬送する搬送路80を備えている。また、搬送路80を介して搬送された記録用紙に対し、二次転写位置に設けられバックアップローラ72に圧接して記録用紙上に画像を二次転写する二次転写ローラ82を備えている。更に、定着器66によってトナー画像が定着された記録用紙を本体50の機外に排出する排出ローラ83、排出ローラ83によって排出された記録紙を積載する排出受け84を有する。
【0090】
次に、図7に示す画像形成装置の動作について説明する。図示しない原稿読み取り装置によって読み取られた原稿の色材反射光像や、図示しないパーソナルコンピュータ等にて形成された色材画像データは、画像処理装置56に入力される。画像処理装置56では、入力されたデータに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の所定の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色のデータに変換され、光学系ユニット64に出力される。
【0091】
光学系ユニット64では、入力されたデータに応じて、半導体レーザ(図示せず)から出射されたレーザ光(LB−Y,LB−M,LB−C,LB−K)を、画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kの電子写真感光体20に照射している。画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kの電子写真感光体20では、帯電された表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kにて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。
【0092】
画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kの電子写真感光体20上に形成されたトナー像は、中間転写体である中間転写ベルト60上に多重転写される。このとき、黒色のトナー像を形成する黒の画像形成ユニット58Kは、中間転写ベルト60の移動方向の最下流側に設けられ、黒色のトナー像は、中間転写ベルト60に対して最後に一次転写される。
【0093】
一方、シート搬送系54では、画像形成のタイミングに合わせて給紙装置77から所定サイズの記録用紙が供給される。その後、トナー像が形成された中間転写ベルト60の移動タイミングに合わせて、記録用紙は、バックアップローラ72および二次転写ローラ82によって形成される二次転写位置に搬送される。二次転写位置にて下方から上方に向けて搬送される記録用紙には、圧接力および所定の電界を用いて、4色が多重されているトナー像が副走査方向に順次、転写される。そして、各色のトナー像が転写された記録用紙は、定着器66によって熱および圧力で定着処理を受けた後、排出ローラ83によって本体50の上部に設けられた排出受け84に排出される。
【0094】
次に、画像形成部52における画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kについて詳述する。
【0095】
図8は、本実施形態に係るプロセスカートリッジ5を備える画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kの構成を説明するための図であり、ここでは、イエロー(Y)の画像形成ユニット58Yとマゼンタ(M)の画像形成ユニット58Mとが示されている。他の画像形成ユニット58C,58Kもほぼ同様に構成されている。
【0096】
画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kは、トナー像を保持させる像保持体としての電子写真感光体20、帯電部材である帯電ローラ22を用いて電子写真感光体20を帯電させる帯電器86、帯電器86によって帯電され、光学系ユニット64からのレーザ光(LB−Y,LB−M,LB−C,LB−K)によって電子写真感光体20上に形成された静電潜像を現像ローラ24によって現像する現像器87、中間転写ベルト60を挟んで電子写真感光体20に対向して設けられ、電子写真感光体20上に現像されたトナー像を中間転写ベルト60上に転写する一次転写ローラ88、転写後に電子写真感光体20上に残った残留トナーを除去するクリーニング装置73を備えている。
【0097】
更に、前述した実施形態では、電子写真画像形成装置としてレーザービームプリンタを例示したが、これに限定する必要はなく、例えば、電子写真複写機、ファクシミリ装置、或いはワードプロセッサ等の電子写真画像形成装置に使用することも可能である。
【実施例】
【0098】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0099】
(実施例1)
20mm×20mm×250mmの大きさにカットされた、密度70kg/m、セル数60個/25mm、引っ張り強度200Kpaのウレタンフォーム(平均孔径0.4mm)に、SUS303からなる外径φ5mm、長さ230mmの芯材を挿入し、ホットメルト接着剤で芯材とウレタンフォームを接着したのち、芯材両端からそれぞれ5mm位置までのウレタンフォームを切り落とし、弾性ローラ素材を得た。弾性ローラ素材の芯材両端を中心ブレが発生しないように支持しながら100rpmで回転させるとともに、図4に示すように弾性ローラ表面へNd−YAG波長変換レーザ(波長532nm)を用いて照射し、50mm/secの速度で弾性ローラ素材軸方向に2往復させて切削処理し、外径φ9mmの弾性ローラを得た。得られた弾性ローラ表面を光学顕微鏡で観察した結果、凸部形状は曲面であった。また、弾性ローラ表面の凹部と凸部との最大長Lをレーザ顕微鏡を用いて測定した。その結果、凹部と凸部との最大長Lは0.4mmであった。また、外形精度は±1.5%、振れ精度は1.0%であった。
【0100】
弾性ローラの弾性層表面の凸部形状は光学顕微鏡(ニコン社製、SMZ−U、使用倍率:200倍)を用いて観察した。凹部と凸部との最大距離Lはレーザ顕微鏡(キーエンス社製、VK9510、使用倍率:200倍)を用いて、弾性ローラ表面の25mm幅を観察し、凹部と凸部との最大距離Lを10点の平均値として測定した。
【0101】
弾性ローラの外径精度及び振れ精度は、23.0℃±5℃の環境下でレーザ測定器(Mitutoyo製、LSM−6000)を用いて軸方向測定(軸方向を等間隔に5等分し、それぞれの軸方向中央部について、回転速度50rpm、平均化回数512回の条件)で測定した。
【0102】
<評価>
これと同じ条件で研削した弾性ローラを富士ゼロックス(株)製DocuPrint525A改造機に帯電ローラのクリーニングローラとして搭載し、20℃/40%RH環境下で富士ゼロックスオフィスサプライ製P紙を用い、連続10,000枚の30%ハーフトーン画像形成テストを行った。目視により以下の基準で評価したところ、10,000枚目まで脱離片起因の画質欠陥は発生しなかった。結果を表1にまとめる。
【0103】
[評価基準]
◎:A4サイズ紙10,000枚の画像形成テストの結果、画質欠陥発生なし
○:A4サイズ紙10,000枚の画像形成テストの結果、10,000枚目で画質欠陥発生1箇所以上3箇所以下
△:A4サイズ紙10,000枚の画像形成テストの結果、10,000枚目で画質欠陥発生4箇所以上5箇所以下
×:A4サイズ紙10,000枚の画像形成テストの結果、10,000枚目で画質欠陥発生6箇所以上
【0104】
(実施例2)
実施例1と同様の弾性ローラ素材を用いて、弾性ローラ素材の芯材両端を中心ブレが発生しないように支持しながら50rpmで回転させるとともに、図5に示すように弾性ローラ表面へNd−YAG波長変換レーザを用いて照射し、弾性ローラを3回転させて切削処理し、外径φ9mmの弾性ローラを得た。得られた弾性ローラ表面を光学顕微鏡で観察した結果、凸部形状は曲面であった。また、凹部と凸部との最大長Lは0.4mm、外径精度は±1.3%、振れ精度は0.5%であった。
【0105】
<評価>
これと同じ条件で研削した弾性ローラを帯電ローラのクリーニングローラとして富士ゼロックス(株)製DocuPrint525A改造機に搭載し、20℃/40%RH環境下で実施例1と同様にして連続10,000枚の画像形成テストを行った。10,000枚目まで脱離片起因の画質欠陥は発生しなかった。結果を表1にまとめる。
【0106】
(実施例3)
20mm×20mm×250mmの大きさにカットされた、密度57kg/m、セル数55個/25mm、引っ張り強度170Kpaのウレタンフォーム(平均孔径0.4mm)に、アルミニウムからなる外径φ5mm、長さ230mmの芯材を挿入し、ホットメルト接着剤で芯材とウレタンフォームが接着したのち、芯材両端からそれぞれ5mm位置までのウレタンフォームを切り落とし、弾性ローラ素材を得た。弾性ローラ素材の芯材両端を中心ブレが発生しないように支持しながら100rpmで回転させるとともに、図4に示すように弾性ローラ表面へNd−YAG波長変換レーザを用いて照射、50mm/secの速度で弾性ローラ素材軸方向に2往復させて切削処理し、外径φ9mmの弾性ローラを得た。得られた弾性ローラ表面を光学顕微鏡で観察した結果、凸部形状は曲面であった。また、凹部と凸部との最大長Lは0.4mm、外形精度は±1.5%、振れ精度は1.0%であった。
【0107】
<評価>
これと同じ条件で研削した弾性ローラを帯電ローラのクリーニングローラとして富士ゼロックス(株)製DocuPrint525A改造機に搭載し、20℃/40%RH環境下で実施例1と同様にして連続10,000枚の画像形成テストを行った。10,000枚目まで脱離片起因の画質欠陥は発生しなかった。結果を表1にまとめる。
【0108】
(実施例4)
実施例3と同様の弾性ローラ素材を用いて、弾性ローラ素材の芯材両端を中心ブレが発生しないように支持しながら50rpmで回転させるとともに、図5に示すように弾性ローラ表面へNd−YAG波長変換レーザを用いて照射し、弾性ローラを3回転させて切削処理し、外径φ9mmの弾性ローラを得た。得られた弾性ローラ表面を光学顕微鏡で観察した結果、凸部形状は曲面であった。また、凹部と凸部との最大長Lは0.4mm、外径精度は±1.3%、振れ精度は0.5%であった。
【0109】
<評価>
これと同じ条件で研削した弾性ローラを帯電ローラのクリーニングローラとして富士ゼロックス(株)製DocuPrint525A改造機に搭載し、20℃/40%RH環境下で実施例1と同様にして連続10,000枚の画像形成テストを行った。10,000枚目まで脱離片起因の画質欠陥は発生しなかった。結果を表1にまとめる。
【0110】
(実施例5)
ウレタンフォームとして、平均孔径0.25mmのものを用いた以外は実施例1と同様にして、弾性ローラを得た。得られた弾性ローラ表面を光学顕微鏡で観察した結果、凸部形状は曲面であった。また、凹部と凸部との最大長Lは0.25mm、外形精度は±1.0%、振れ精度は0.4%であった。
【0111】
<評価>
これと同じ条件で研削した弾性ローラを帯電ローラのクリーニングローラとして富士ゼロックス(株)製DocuPrint525A改造機に搭載し、20℃/40%RH環境下で実施例1と同様にして連続10,000枚の画像形成テストを行った。10,000枚目まで脱離片起因の画質欠陥は発生しなかった。結果を表1にまとめる。
【0112】
(実施例6)
ウレタンフォームとして、平均孔径1.0mmのものを用いた以外は実施例1と同様にして、弾性ローラを得た。得られた弾性ローラ表面を光学顕微鏡で観察した結果、凸部形状は曲面であった。また、凹部と凸部との最大長Lは1.0mm、外形精度は±3.0%、振れ精度は2.5%であった。
【0113】
<評価>
これと同じ条件で研削した弾性ローラを帯電ローラのクリーニングローラとして富士ゼロックス(株)製DocuPrint525A改造機に搭載し、20℃/40%RH環境下で実施例1と同様にして連続10,000枚の画像形成テストを行った。10,000枚目まで脱離片起因の画質欠陥は発生しなかった。結果を表1にまとめる。
【0114】
(実施例7)
ウレタンフォームとして、平均孔径0.2mmのものを用いた以外は実施例1と同様にして、弾性ローラを得た。得られた弾性ローラ表面を光学顕微鏡で観察した結果、凸部形状は曲面であった。また、凹部と凸部との最大長Lは0.2mm、外形精度は±1.2%、振れ精度は0.4%であった。
【0115】
<評価>
これと同じ条件で研削した弾性ローラを帯電ローラのクリーニングローラとして富士ゼロックス(株)製DocuPrint525A改造機に搭載し、20℃/40%RH環境下で実施例1と同様にして連続10,000枚の画像形成テストを行った。その結果、10,000枚目で脱離片起因の画質欠陥が1箇所発生した。結果を表1にまとめる。
【0116】
(実施例8)
ウレタンフォームとして、平均孔径1.1mmのものを用いた以外は実施例1と同様にして、弾性ローラを得た。得られた弾性ローラ表面を光学顕微鏡で観察した結果、凸部形状は曲面であった。また、凹部と凸部との最大長Lは1.1mm、外形精度は±2.5%、振れ精度は2.0%であった。
【0117】
<評価>
これと同じ条件で研削した弾性ローラを帯電ローラのクリーニングローラとして富士ゼロックス(株)製DocuPrint525A改造機に搭載し、20℃/40%RH環境下で実施例1と同様にして連続10,000枚の画像形成テストを行った。その結果、10,000枚目で脱離片起因の画質欠陥が3箇所発生した。結果を表1にまとめる。
【0118】
(比較例1)
実施例1と同様の弾性ローラ素材を用いて、弾性ローラ素材の芯材両端を中心ブレが発生しないように支持しながら500rpmで回転させるとともに、砥石を前記弾性ローラ素材と同一方向に3000rpmで回転させながら、弾性ローラ表面への食い込み量0.5mmで当接し、砥石を弾性ローラ素材軸方向に2往復させて研削処理し、外径φ9mmの弾性ローラを得た。得られた弾性ローラ表面を光学顕微鏡で観察した結果、凸部形状は鋭角な角状の突出部を有していた。また、凹部と凸部との最大長Lは1.5mm、外径精度は±5%、振れ精度は8%であった。
【0119】
<評価>
実施例1と同様に画質評価を行った。その結果、1枚目に切削粉起因の黒点が5個発生し、10,000枚目では30個の切削粉あるいは脱離片起因の黒点が発生した。結果を表1にまとめる。
【0120】
(比較例2)
実施例3と同様の弾性ローラ素材を用いて、弾性ローラ素材の芯材両端を中心ブレが発生しないように支持しながら500rpmで回転させるとともに、砥石を前記弾性ローラ素材と同一方向に3000rpmで回転させながら、弾性ローラ表面への食い込み量0.5mmで当接し、砥石を弾性ローラ素材軸方向に2往復させて研削処理し、外径φ9mmの弾性ローラを得た。得られた弾性ローラ表面を光学顕微鏡で観察した結果、凸部形状は鋭角な角状の突出部を有していた。また、凹部と凸部との最大長Lは2.1mm、外径精度は±7%、振れ精度は10%であった。
【0121】
<評価>
実施例1と同様に画質評価を行った。その結果、1枚目に切削粉起因の黒点が7個発生し、10,000枚目では45個の切削粉あるいは脱離片起因の黒点が発生した。結果を表1にまとめる。
【0122】
【表1】

【0123】
このように、実施例1〜8の帯電ローラ用クリーニングローラを用いると、画像形成装置内で長期使用にあたっても弾性ローラ表面からの脱離片をほとんど発生させることなく、良好な画像を与えることができた。また、レーザにより切削することにより、弾性ローラの外径精度を3.0%以下、振れ精度を3.0%以下とすることができた。これに対し、比較例1,2の帯電ローラ用クリーニングローラを用いると、長期使用により弾性ローラ表面からの脱離片が発生し、良好な画像を得ることができなかった。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置用弾性ローラの一例を示す概略外観図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置用弾性ローラの表面形状の一例を示す断面模式図である。
【図3】従来の画像形成装置用弾性ローラの表面形状の一例を示す断面模式図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置用ローラの製造方法における切削方法の一例を示す概略図である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像形成装置用ローラの製造方法における切削方法の他の例を示す概略図である。
【図6】本発明の実施形態に係るプロセスカートリッジの構成の一例を示す概略図である。
【図7】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。
【図8】本発明の実施形態に係る画像形成ユニットの構成の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0125】
1 弾性ローラ、5 プロセスカートリッジ、10 芯材、12,42 弾性層、14,44 凹部、16,46 凸部、18 レーザ、20 電子写真感光体、22 帯電ローラ、24 現像ローラ、26 転写ローラ、28 クリーニングブレード、30 記録紙、32 露光装置、34 画像光、50 本体、52 画像形成部、54 シート搬送系、56 画像処理装置、58Y,58M,58C,58K 画像形成ユニット、60 中間転写ベルト、62 転写ユニット、64 光学系ユニット、66 定着器、68Y,68M,68C,68K トナーカートリッジ、70 駆動ローラ、71 張力付与ローラ、72 バックアップローラ、73 クリーニング装置、73a クリーニングブラシ、73b クリーニングブレード、77 給紙装置、80 搬送路、82 二次転写ローラ、83 排出ローラ、84 排出受け、86 帯電器、87 現像器、88 一次転写ローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材の外周に弾性層を有し、
前記弾性層の外周面が凹部及び凸部を有し、前記凸部の先端が曲面形状を有することを特徴とする画像形成装置用弾性ローラ。
【請求項2】
前記凹部と前記凸部との最大距離が0.25mm以上1.0mm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置用弾性ローラ。
【請求項3】
芯材の外周に弾性層を有し、外径精度が3.0%以下であることを特徴とする画像形成装置用弾性ローラ。
【請求項4】
芯材の外周に弾性層を有し、振れ精度が3.0%以下であることを特徴とする画像形成装置用弾性ローラ。
【請求項5】
前記弾性層が発泡体により形成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置用弾性ローラ。
【請求項6】
前記発泡体がポリウレタンフォームであることを特徴とする、請求項5に記載の画像形成装置用弾性ローラ。
【請求項7】
前記弾性ローラが、クリーニングローラ、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、トナー供給ローラまたは搬送ローラであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置用弾性ローラ。
【請求項8】
芯材の外周に設けられた弾性層の外周面をレーザにより切削処理する切削処理工程を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置用弾性ローラの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置用弾性ローラを備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置用弾性ローラを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−275669(P2008−275669A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−115659(P2007−115659)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】