説明

画像形成装置

【課題】無端移動すると共にその上に制御用画像が形成される、転写材担持体、中間転写体などとして使用されるベルトの駆動ローラーとベルトとの間に必要な摩擦力を確保しつつ、ベルト上の制御用画像を高精度に読み取ることを可能とする画像形成装置を提供する。
【解決手段】回転軸52e付近の内周部52cと、外周部52aと、を有し、駆動力を受けて回転する駆動ローラー52と;駆動ローラー52の外周部52aで駆動ローラー52と接触し、無端移動するベルト51と;を有する画像形成装置100は、駆動ローラー52の外周部52aと内周部52cが同じ材料で構成されており、駆動ローラー52の外周部52aのベルト51との接触面の表面粗さRzは2μm≦Rz≦9μmである構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式、静電記録方式を採用する複写機、レーザープリンタなどの画像形成装置に関し、より詳細には、無端移動すると共にその上に制御用画像が形成される転写材担持体、中間転写体などとして使用されるベルトを有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、電子写真方式を利用した多色画像形成装置において、現像剤による像(トナー像)が転写される中間転写体、或いはトナー像が転写される転写材を担持して搬送する転写材担持体として、無端移動するベルト(中間転写ベルト、搬送ベルト)を用いるものがある。
【0003】
このベルトは、複数のローラーに張架され、複数のローラーの一つである駆動ローラーに駆動力が伝達されることで回転駆動される。ベルトを回転駆動するため、駆動ローラーとベルトの接触部には、ある程度の摩擦力が必要である。そのため、従来、駆動ローラーは、金属などから成る内周部と、高摩擦抵抗を得るためのゴムなどの材料から成る外周部(表層部)とを設けて構成されることが多かった。
【0004】
一方で、駆動ローラーを構成する材料が温度変化により膨張・収縮することにより、駆動ローラーの径が変化してベルトの回転スピード(表面移動速度:周速)が変化すること、或いは2種類以上の材料を組み合わせたローラーを用いる場合において、ローラーを構成する材料間での熱膨張率の違いから、材料が疲労して劣化することがあるという問題があった。
【0005】
特許文献1では、ベルトを駆動する駆動ローラーの表面粗さをRz=10〜100μmと規定することにより、駆動ローラーを金属部材で構成することが開示されている。
【0006】
ベルトの駆動ローラーとして金属製のローラーを用いる場合、ゴム製のローラーを用いる場合に比較して、環境の温度変化による膨張・収縮は小さくなる。
【0007】
しかしながら、近年、更なる高画質化のために、ベルト上のパターンを高精度に読み取ることが要求されるようになってきた。
【0008】
つまり、従来、多色画像の形成時に複数の成分色画像を中間転写ベルト、或いは搬送ベルト上の転写材上に重ね合わせて転写する際に、それぞれの成分色画像がずれることなく重畳されるように、所定のタイミングで中間転写ベルト又は搬送ベルトに画像位置ずれ検知(レジスト検知)用の基準画像(レジスト検知パターン)を形成し、これをセンサ、例えば反射型の光学センサで読み取ることが行われている。又、画像濃度制御(γ補正制御、現像器内のトナー濃度制御などを含む。)のために、中間転写ベルト又は搬送ベルト上に所定の画像情報に従う基準画像(濃度検知パッチ)を形成し、これをセンサ、例えば、反射型の光学センサで読み取ることが行われている。
【0009】
このようなレジスト検知用画像、濃度検知パッチなどの制御用画像を高精度に読み取るためには、駆動ローラーの表面の凹凸がベルトの表面に与える影響を少なくして、より安定した速度でベルトを走行させることが要求されるようになってきた。
【0010】
又、ベルトの駆動ローラーとして金属製のローラーを用いる場合、ゴム製のローラーを用いる場合に比較して、環境の温度変化による膨張・収縮は小さくなるが、更なる高画質化のためには、金属製の駆動ローラーについても温度変化による膨張・収縮の影響を更に低減することが要求される。又、環境の温度変化などによってベルト自体の温度が変化することで、ベルトの表面移動速度が変化することが考えられ、例えば装置本体内の温度上昇に伴ってベルトが加熱されて膨張することがないように、ベルト自体の熱を放熱できることも重要である。
【特許文献1】特開2001−27850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、転写材担持体、中間転写体などとして使用されるベルトをより安定して駆動することのできる画像形成装置を提供することである。
【0012】
本発明のより詳細な目的の一つは、無端移動すると共にその上に制御用画像が形成される、転写材担持体、中間転写体などとして使用されるベルトの駆動ローラーとベルトとの間に必要な摩擦力を確保しつつ、ベルト上の制御用画像を高精度に読み取ることを可能とする画像形成装置を提供することである。
【0013】
本発明のより詳細な目的の一つは、無端移動すると共にその上に制御用画像が形成される、転写材担持体、中間転写体などとして使用されるベルトの駆動ローラーを単に金属部材で構成するだけでなく、その断面形状を放熱に優れた形状とすることで、ベルトを効果的に放熱したり、温度による膨張・収縮の影響を少なくすることのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、回転軸付近の内周部と、外周部と、を有し、駆動力を受けて回転する駆動ローラーと;前記駆動ローラーの外周部で前記駆動ローラーと接触し、無端移動するベルトと;を有する画像形成装置において、前記駆動ローラーの外周部と内周部が同じ材料で構成されており、前記駆動ローラーの外周部の前記ベルトとの接触面の表面粗さRzは2μm≦Rz≦9μmであることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、転写材担持体、中間転写体などとして使用されるベルトをより安定して駆動することができる。本発明により得られる作用効果の一つとして、無端移動すると共にその上に制御用画像が形成される、転写材担持体、中間転写体などとして使用されるベルトの駆動ローラーとベルトとの間に必要な摩擦力を確保しつつ、ベルト上の制御用画像を高精度に読み取ることが可能となることが挙げられる。又、本発明により得られる作用効果の一つとして、無端移動すると共にその上に制御用画像が形成される、転写材担持体、中間転写体などとして使用されるベルトの駆動ローラーを単に金属部材で構成するだけでなく、その断面形状を放熱に優れた形状とすることで、ベルトを効果的に放熱したり、温度による膨張・収縮の影響を少なくすることができることが挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0017】
実施例1
[画像形成装置の全体構成及び動作]
図1は本実施例の画像形成装置の概略構成を示す。本実施例の画像形成装置100は、画像形成装置本体(装置本体)Aに通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ、原稿読み取り装置或いはデジタルカメラなどの外部機器からの画像情報信号に応じて、電子写真方式を利用してイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色フルカラー画像を転写材(記録用紙、OHPシート、布など)Sに形成することのできる所謂タンデム方式のフルカラーレーザービームプリンタである。
【0018】
画像形成装置100は、像形成手段たる複数の画像形成部として、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像を形成する第1、第2、第3、第4の画像形成部PY、PM、PC、PKを有する。又、画像形成装置100は、各画像形成部PY、PM、PC、PKにおいて形成された画像を転写材Sに転写するための転写ユニット5を有する。転写ユニット5は、転写材担持体としての無端移動するベルト、即ち、搬送ベルト51を備えている。各画像形成部PY、PM、PC、PKにおいて、像担持体を含むプロセス手段はプロセスカートリッジBY、BM、BC、BKとして装置本体Aに対して着脱可能になっている。各プロセスカートリッジBY、BM、BC、BKは、搬送ベルト51の表面移動方向に沿って直線上に配置される。
【0019】
尚、本実施例では、各画像形成部PY、PM、PC、PKの構成は、現像剤の色が異なることを除いて実質的に同じであるので、以下、特に区別を要しない場合は、何れかの色用の画像形成部に属する要素であることを示すために符号に与えた添え字Y、M、C、Kは省略して総括的に説明する。
【0020】
画像形成部Pには、像担持体として回転可能なドラム型の電子写真感光体、即ち、感光ドラム1が設けられている。感光ドラム1の外周に沿って、感光ドラム1を帯電させる帯電手段としての帯電ローラー2、感光ドラム1に形成された静電像を現像する現像手段としての現像器4、感光ドラム1上に残ったトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーナ6が配置されている。又、各画像形成部Pに対向するように転写ユニット5が配置されている。更に、各画像形成部Pの感光ドラム1に画像情報に応じて変調されたレーザーを照射し得るように、本実施例では、画像形成部P毎に露光手段(画像書き込み装置)としての走査光学装置(レーザースキャナー)3が設けられている。詳しくは後述するが、転写ユニット5は、搬送ベルト51と、この搬送ベルト51を介して各画像形成部Pの感光ドラム1と対向する位置に配置された転写手段としての転写ローラー56を有する。転写ローラー56の位置で搬送ベルト51と感光ドラム1とは接触し、転写部(転写ニップ)が形成される。
【0021】
画像形成装置100には、この他、転写材Sを搬送ベルト51へと供給する転写材供給部7、転写材Sに形成されたトナー像を定着させる定着手段としての熱定着器8などが設けられている。
【0022】
次に、画像形成動作について説明する。画像形成開始指示が装置本体Aに入力されると、転写ベルト51の回転と同期して感光ドラム1が図示矢印方向(反時計回り)に回転させられる。この感光ドラム1の表面は、帯電ローラー2によって本実施例では負極性に一様に帯電させられる。そして走査光学装置3によって帯電した感光ドラム1の表面が露光され、感光ドラム1上に画像情報信号に応じた静電像(潜像)が形成される。
【0023】
走査光学装置3は、装置本体Aに接続したコンピュータなどから送られる画像情報信号に対応して変調されたレーザー光を出力して、一様に帯電処理された感光ドラム1の表面を走査露光することにより、感光ドラム1上に静電像を形成する。走査光学装置3は、レーザー光学系(図示せず)と、レーザー光学系より射出されたレーザー光をスキャニングする、モータによって回転駆動される回転多面鏡31と、レーザー光のスポットを形成するレンズ群32などを有する。
【0024】
本実施例では、画像形成装置100は、複数の感光ドラム1に対応して、同数の走査光学装置3を備える。但し、走査光学装置本体及び回転多面鏡は感光ドラム1と必ずしも同数である必要はなく、最終的に射出されるレーザー光の数が各感光ドラム1に対応していればよい。又、例えばLEDアレイ等の露光手段であっても差し支えない。
【0025】
上述のようにして感光ドラム1上に形成された静電像は、現像器4によってトナー像として現像される。つまり、現像器4は、トナーを収容する現像剤収納容器(容器)と、この容器内の現像剤を担持搬送して感光ドラム1に供給する現像剤担持体(現像ローラー)とを有する。本実施例では、現像器4内には現像剤として負帯電性の非磁性一成分現像剤(トナー)が収納されている。そして、現像ローラーに現像バイアスが印加されることで、現像ローラーと感光ドラム1との対向部(現像領域)において、現像ローラー上のトナーが、静電像に応じて感光ドラム1上に転移し、静電像はトナーとして可視化される。
【0026】
感光ドラム1上に形成されたトナー像は、転写ローラー56に印加される転写バイアスの作用によって、搬送ベルト51上に担持されて転写部へと搬送されてきた転写材S上に転写される。
【0027】
例えば、4色フルカラー画像の形成時には、上述の動作が、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像形成部で行われることによって、搬送ベルト51上に担持された転写材S上に、各色の画像が順次重ね合わせて転写された多重トナー像が形成される。
【0028】
ここで、転写材Sの供給方法について説明すると、画像形成動作が開始されると、転写材Sは、転写材供給部7から転写ユニット5の搬送ベルト51へと供給され、搬送ベルト51上に担持された後、各画像形成部Pにおける転写部を通過するように搬送される。
【0029】
転写材供給部7は、転写材収納部としてのカセット71、転写材供給部材たる供給ローラー72、転写材Sの斜行補正を行うと共にトナー像の形成動作と転写材Sの供給のタイミングを合わせレジストローラー73などを有する。カセット71に積載して収納された転写材Sは、供給ローラー72の回転動作により一枚ずつ分離給送され、レジストローラー73によってタイミングが取られて、転写ユニット5の搬送ベルト51へと供給される。搬送ベルト51は、転写材Sを静電的に吸着して搬送する。
【0030】
搬送ベルト51の表面移動方向において最下流の画像形成部Pにおける転写部を出た転写材Sは、次いで、熱定着器8へと搬送される。熱定着器8は、加熱手段としてのヒーターを内蔵した熱ローラー81と、熱ローラー81に圧接する加圧ローラー82とを有する。転写材Sは、熱ローラー81と加圧ローラー82との当接部(定着ニップ部)を通過することで加熱加圧され、その上にトナー像が定着される。そして、トナー像が定着された転写材Sは、排紙ローラー対9によって、スタッカ10上に排出される。
【0031】
一方、トナー像を転写材Sに転写した後の感光ドラム1の表面に残留するトナーなどの付着物は、クリーナ6によって回収される。
【0032】
尚、本実施例では、感光ドラム1と、感光ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電ローラー2、現像器4及びクリーナ3とは、一体的にカートリッジ化され、装置本A体に対して着脱可能なプロセスカートリッジBとされている。
【0033】
プロセスカートリッジBは、トナーを消耗した場合や感光ドラム1に異常が発生した場合には使用者が自ら交換することができる。プロセスカートリッジBは、装置本体Aの内部に設けられた装着手段としてのレール状の部材に沿って、所定の位置に装着される。本実施例では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色用の4個のプロセスカートリッジBが装置本体Aに対して着脱自在とされている。ここで、本実施例では、4個のプロセスカートリッジBは鉛直方向よりやや傾けて並べて配置されているが、本発明はプロセスカートリッジの配置方向を限定するものではない。
【0034】
[転写ユニット]
次に、転写ユニット5について更に詳しく説明する。
【0035】
本実施例では、搬送ベルト51は、駆動ローラー52及び従動ローラー53の2個のローラーに張架されている。駆動ローラー52及び従動ローラー53はベルトフレーム55に回転可能に支持されている。これにより、搬送ベルト51はベルトフレーム55に周回移動可能に取り付けられている。
【0036】
従動ローラー53は、軸受部がベルトフレーム55に対してスライド可能となっている。又、このスライド可能な軸受部は、付勢手段としてのバネ54によって、駆動ローラー52とは反対方向に付勢されており、搬送ベルト51に所定のテンションを与えるようになっている。
【0037】
搬送ベルト51としては、これに限定されるものではないが、ポリイミド、ポリカーボネート、PVDF、ETFE、PTFE、ポリアミド、PVC、PE、PETなどの樹脂材料を好適に用いることができる。本実施例では、PVDFを用いた。又、本実施例では、搬送ベルト51の周長(表面移動方向の長さ)は481mm、搬送方向と直交する方向の幅は243mm、厚さは100μmであった。又、駆動ローラー52の外径は17.2mm、回転軸方向の長さは245mmであり、従動ローラー53の外径は17.2mm、回転軸方向の長さは245mmであった。搬送ベルト51に与えられるテンションは、3100gfであった。
【0038】
尚、本実施例においては、搬送ベルト51は、駆動ローラー52及び従動ローラー53の2本のローラーに張架されるが、これに限定されるものではなく、搬送ベルト51は、3本以上のローラーに張架してもよい。又、従動ローラー53とは別のローラーが搬送ベルト51にテンションを与えてもよい。
【0039】
本実施例では、駆動ローラー52は、装置本体Aが備える駆動源(図示せず)より、駆動継手(図示せず)を介して駆動力が伝達される。但し、ベルトフレーム55上にモータを備える構成でも差し支えない。
【0040】
又、搬送ベルト51の内周面側には、各画像形成部PY、PM、PC、PKの感光ドラム1Y、1M、1C、1Kに対向する位置に、転写ローラー56Y、56M、56C、56Kが配置されている。
【0041】
ここで、本実施例では、ベルトフレーム55は、図1中下端付近に設けられたヒンジ57を介して、装置本体Aに対して回動可能に保持されている。つまり、操作者が、装置本体Aの内部を開放してプロセスカートリッジBの交換やジャム処理(転写材Sが搬送経路で詰まった場合にこれを取り除く操作)を行う場合には、先ず、装置本体Aの正面のドアパネル11を開く。ドアパネル11は、図1中下端付近に設けられたヒンジ11aを中心に回動し、図示矢印のように操作者から見て手前下方に向けて開く。これにより、ベルトフレーム55にアクセス可能となる。次に、ベルトフレーム55ヒンジ57を中心に回動させて、ドアパネル11と同様に操作者から見て手前下方に向けて開くことで、プロセスカートリッジBにアクセスできるようになり、プロセスカートリッジBの交換又はジャム処理を行うことができる。
【0042】
次に、本実施例の特徴的構成を説明する。
【0043】
前述のように、搬送ベルト55を駆動するために必要な摩擦力を得るために、従来は、回転軸近傍に配置される金属等のローラーとされる内周部の表面に、ゴム等で形成される外周部を設けた駆動ローラーが一般的であった。しかし、ゴムの線膨張係数が比較的大きいため、画像形成装置内の温度が上昇することによってローラーの温度が上昇した場合、ローラーの外径が大きくなり、色ずれ等の原因となることがあった。更に、2種類以上の線膨張係数の異なる材質を組み合わせることで、膨張・収縮を繰り返すうちに、一方の材質に疲労劣化を招く場合があった。
【0044】
本発明の目的の一つは、無端移動すると共にその上に制御用画像が形成される、転写材担持体、中間転写体などとして使用されるベルトの駆動ローラーを単に金属部材で構成するだけでなく、その断面形状を放熱に優れた形状とすることで、ベルトを効果的に放熱したり、温度による膨張・収縮の影響を少なくすることである。
【0045】
図2は、本実施例における搬送ベルト51の張架方法を示す。上述したように、搬送ベルト51は、駆動ローラー52及び従動ローラー53の2本のローラーに張架されている。従動ローラー53は、バネ54によりテンションを与えられている。駆動ローラー52は、回転軸付近の内周部と、外周部を有し、外周部で搬送ベルト51と接触する。
【0046】
本実施例では、駆動ローラー52は、金属により作製される。金属製の駆動ローラー52は、強度や精度、耐久性に優れている。又、金属製の駆動ローラー52は、温度変化による膨張・収縮が少ない。これにより、耐久による搬送ベルト51の表面移動速度の変化、或いは温度変化による搬送ベルト51の表面移動速度の変化を抑制することができる。駆動ローラー52を構成する金属としては、加工性、熱伝導性の良好な材料が好ましい。又、駆動ローラー52は、外周部と、回転軸付近の内周部とが同じ材料で構成される。駆動ローラー52は、単一の材料による単一の部材で構成されている。これにより、膨張・収縮による疲労劣化を抑制することができる。これに限定されるものではないが、本実施例では、駆動ローラー52は、アルミニウムを主体とする合金(アルミ合金)を材料とする押し出し材で作製される、単一の材料による単一部材とした。アルミニウム合金は、加工性に優れ、熱伝導性にも優れている。
【0047】
ここで、好ましい一実施態様では、駆動ローラー52は、断面において、内周部52cと外周部52aの間が、回転軸中心52eから放射状に繋ぐ部分(連結部)52bとそれ以外の肉抜き部52dからなり、連結部52bと外周部52aと内周部52cが同じ材料、好ましくは、金属で構成される。
【0048】
本実施例では、駆動ローラー52は、三ツ矢管で構成した。即ち、本実施例では、回転軸52e近傍の内周部には軸部52cが配置され、この軸部52cから等間隔で外周部52aの内周面まで放射状に3個の連結部52bが設けられている。本実施例において放射状の連結部を3個とした理由は、材料の使用量と強度、精度のバランスに優れるからであり、必ずしも連結部が3個でなければならないという必然性は無い。
【0049】
このように、駆動ローラー52を肉抜き構造とすることにより、駆動ローラー52で搬送ベルト51の放熱を高効率に行うことができる。又、駆動ローラー52の材料の使用量の低減と放熱性とを両立することができる。
【0050】
更に、駆動ローラー52の両端部を空気が通過可能なように開放することが好ましい。これにより、駆動ローラー52の放熱性を高めることができる。本実施例では、駆動ローラー52の回転軸方向両端部を開放し、駆動ローラー52の内周面側の空間を外部と連通させる。これにより、更に放熱に効果的である。
【0051】
つまり、駆動ローラー52として三ツ矢管を用いることによる利点としては、無垢の材料と比較して材料費が下げられること、及び表面積が増えることによる優れた放熱性とが挙げられる。更に、駆動ローラー52の回転軸方向両端部を開放して通気性を持たせることにより、例えば、金属パイプ材の長手方向両端部に、軸部を有するフランジを組み合わせて構成されたローラーに対して、放熱特性において遙かに優位性がある。駆動ローラー52の放熱性が良いことは、駆動ローラー52の熱膨張の影響の低減において有効である。
【0052】
又、本実施例では、駆動ローラー52は金属製であり(本実施例では駆動ローラー52は単一の材料(アルミニウム合金)で作製される。)、搬送ベルト51と駆動ローラー52との間にゴム等の別部材が介在しないため、搬送ベルト51自体の熱を放熱する効果が得られる。特に、本実施例のようにベルトの巻きつけ角を大きく取っている場合には、とりわけ有効である。搬送ベルト51の温度上昇を抑えることができれば、搬送ベルト51自体の伸びを抑えることができ、より良い画像を得ることができる。
【0053】
尚、回転を支持する軸部については、本実施例のように外周部52aの内側の内周部と一体的に配置し、即ち外周部52a(更には連結部52b)と同材料で一体的に構成しても良いが、例えば駆動ローラー52の長手方向両端部に別材料の軸部を組み合わせてもよい。
【0054】
ところで、前述のように、従来、搬送ベルト51上に制御用画像(トナー像)を形成して、その位置或いは濃度などを読み取ることで現像剤の補給や、画像形成プロセス条件の設定を行うことが行われているが、更なる高画質化のためには、搬送ベルト上に形成される制御用画像の読み取り精度を向上することが求められる。
【0055】
本発明の目的の一つは、無端移動すると共にその上に制御用画像が形成される、転写材担持体、中間転写体などとして使用されるベルトの駆動ローラーとベルトとの間に必要な摩擦力を確保しつつ、ベルト上の制御用画像を高精度に読み取ることを可能とすることである。
【0056】
本発明者は、駆動ローラー52と搬送ベルト51との間に必要な摩擦力を確保しつつ、搬送ベルト51上の制御用画像を高精度に読み取ることが可能となる、駆動ローラー52の表面粗さを検討した。
【0057】
その結果、駆動ローラー52の表面粗さRz(JIS十点平均粗さ(JIS B 0601):基準長さ0.8mm)を2μm≦Rz≦9μmと規定することにより、駆動ローラー52の表面に搬送ベルト51との摩擦力を与えて搬送性を確保しつつ、搬送ベルト51上の制御用画像の読み取りを高精度で行えることを見出した。
【0058】
本実施例では、駆動ローラー52の外周部52aの表面にブラスト処理をし、表面を所定の表面粗さとする。但し、駆動ローラー52の表面性を所定の表面粗さに設定することができるのであれば、表面の加工方法は特に制限されるものではない。
【0059】
更に説明すると、一般に、搬送ベルト51の材質には、上述の如き樹脂材料が用いられる。そして、本発明者らによる多くの実験研究の結果、駆動ローラー52の表面粗さRz=2μm以上あれば必要十分な摩擦力を得ることができることが判った。
【0060】
実験においては、A6063アルミニウム合金の駆動ローラー52を用いた。ブラスト処理しないもの(Rz=1.9)、ブラスト処理の粒度を変えたものを数種用意して比較した。ベルトを固定して駆動ローラー52に回転トルクを与え、スリップするトルクを測定した。その結果、ブラスト処理しないものは0.80Kgf・cm、ブラスト処理したものは目の細かい順に1.68Kgf・cm、1.70Kgf・cm、1.75Kgf・cmという結果を得た(各供試駆動ローラーの表面のRz値は、ブラスト処理なしのものが1.9、ブラスト処理したものが目の細かい順に5.3、9.4、24.4であった。)。
【0061】
つまり、ブラスト処理の有無では大きな差があるものの、ブラスト処理品において摩擦力は表面粗さの大小にほとんど影響されないことがわかった。0.80Kgf・cmのトルクでもベルトの搬送自体は可能であるものの、ブラスト処理品とは摩擦力で2倍の差があり、装置の信頼性という観点から、表面未処理品、即ち、表面粗さRzが2μm未満は実用不可と判断した。
【0062】
一方、前述のように、従来、中間転写ベルト或いは搬送ベルトなどの像搬送体上に画像位置ずれ検知(レジスト検知)用の基準画像(レジスト検知パターン)、或いは所定の画像情報に従う基準画像(濃度検知パッチ)を形成し、これをセンサ、例えば反射型の光学センサで読み取ることが行われている。
【0063】
本実施例の画像形成装置100においても、搬送ベルト51上に制御用画像(レジスト検知パターン、濃度検知パッチ)Tを描き、搬送ベルト51の表面と制御用画像T上に当てた光の反射率の違いから、レジスト検知及び画像濃度検知を行う。これにより、各画像形成部PY、PM、PC、PKで形成される画像の位置合わせ(レジ合わせ)及び画像濃度制御を行う。
【0064】
そして、このように、搬送ベルト51上に形成された制御用画像Tを検知する場合、制御用画像を高精度にて読み取るためには、駆動ローラー52の表面粗さは9μm以下とする必要があることが分かった。
【0065】
更に説明すると、搬送ベルト51上に形成された制御用画像を検知するための検知手段としての反射型の光学センサ58は、図3に示すように、搬送ベルト51が駆動ローラー52に巻きついている部分、つまり駆動ローラー52の対向部で測定を行うことが好ましい。これにより、センサ58が、搬送ベルト51のばたつきの影響を受けないようにすることができる。
【0066】
しかし、一般的に使用される搬送ベルト51の厚さは50〜300μmであり、駆動ローラー52の表面に凹凸があれば、搬送ベルト51の駆動ローラー31への巻き付き部表面にも凹凸が現れる。このため、特に、上述のようにセンサ58を駆動ローラー52の対向部に設け、駆動ローラー52上にある搬送ベルト51上の制御用画像Tを検知する場合、搬送ベルト51の表面に現れる凹凸が制御用画像Tの検知精度に与える影響が無視できなくなる場合がある。
【0067】
例えば、本実施例においては制御用画像Tの正反射光を測定することにより、制御用画像Tの濃度を測定している。センサ58が照射した光の反射光のうち正反射光の光量を検知することで、センサ58は制御用画像Tの濃度に応じた信号を出力する。制御用画像Tによる正反射光を測定する場合、読み取り面の凹凸の影響を受けやすい。即ち、このような場合、搬送ベルト51の凹凸になっている表面上で正反射光を測定すると、図4に示すように光が散乱して正確なデータが得られない。つまり、同じ制御用画像Tを測定しても、搬送ベルト51の1周目と2周目で異なる測定データとなる。
【0068】
図5はこの1周目と2周目のセンサ出力の比を表したグラフを模式的に示したものである。縦軸は、搬送ベルト51の1周目と2周目とでベルト上の同じ位置を測定したセンサ58の出力の比を示し、横軸は、測定開始点からの経過時間を示す。理想的には、全域1.0となるはずであるが、測定値の誤差がグラフで上下の振れとして表れている。駆動ローラー52の表面の凹凸が小さいほどセンサ58の測定データは正確なものとなり、図5のグラフの振れは小さくなる。
【0069】
本発明者らの実験研究により得られたデータによれば、駆動ローラー52の表面粗さRzが9μmを超えた場合、センサ58の測定値の誤差は目標値をオーバーする為、Rz=9μm以下のものについて、実使用可能であると判断できた。
【0070】
実験においては、A6063アルミニウム合金の駆動ローラー52に対してブラスト処理の粒度を変えたものを数種用意して比較した。その結果、Rz=9.4μmの駆動ローラーを用いた場合、測定値の誤差は最大±4〜5%となり、目標値である±4%をオーバーする場合があった。この結果より、Rzが9μmを超えるものは実用不可と判断した。
【0071】
尚、測定値の誤差は±1%に収まるのが理想であるが、±2.5%程度に入れば実用上好ましい。本実施例では、駆動ローラー52の表面粗さRz=5.3μmとすると、±2.5%に収まることが実験から分かっている。
【0072】
即ち、以上説明したように、駆動ローラー52の表面粗さRzが2μm≦Rz≦9μmの範囲内であれば、搬送ベルト51に対する摩擦力と制御用画像Tの検知精度の両方を満足することができる。斯かる表面粗さの範囲の駆動ローラー52は、上述のように厚さが50〜300μmである搬送ベルト51と組み合わせて用いることに何ら支障はない。
【0073】
この時、より好ましくは、駆動ローラー52に接触している部分(巻き付き部)の搬送ベルト51の表面における制御用画像Tの検知面、即ち、ベルトと駆動ローラー52とが接触している箇所のベルトの逆面の表面粗さがRz=2.2μm未満(Rz<2.2μm)となるようにする。センサ検知位置はベルトのばたつきを拾わずに安定して測定できるという理由から、ベルトが駆動ローラー52上に接触している部分で測定することが多い。つまり、センサは、ベルトと駆動ローラー52とが接触している箇所のベルトの逆面に担持されているトナーを検知する。ベルト自体の表面粗さは通常Rz=1μm程度であるが、この接触部においては、駆動ローラー52の凹凸がベルト表面に顕著に現れるため、ベルト上の凹凸について調査した。
【0074】
実験によれば、搬送ベルト51上の駆動ローラー52に接触している部分の表面粗さRzが上記範囲であれば、センサ58の測定値の誤差は±4%となり、駆動ローラー52に巻き付いた部分の搬送ベルト51の表面に形成された制御用画像Tを高精度に読み取ることができる。
【0075】
本実施例では、駆動ローラー52の表面粗さRzは5.3μmとした。この時、駆動ローラー52に接触している部分の搬送ベルト51の表面における、制御用画像Tの検知面の表面粗さがRzは1.2μmであった。上記構成におけるセンサ検知誤差は、上述したように±2.5%以下となる。
【0076】
以上、本実施例によれば、無端移動すると共にその上に制御用画像が形成される搬送ベルト51の駆動ローラー52と搬送ベルト51との間に必要な摩擦力を確保しつつ、搬送ベルト51上の制御用画像Tを高精度に読み取ることを可能とすることができる。又、駆動ローラー52を単に金属部材で構成するだけでなく、その断面形状を放熱に優れた形状とすることで、搬送ベルト51を効果的に放熱したり、駆動ローラー52の温度による膨張・収縮の影響を少なくすることができる。
【0077】
実施例2
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置200は、中間転写方式を採用したタンデム式のフルカラーレーザービームプリンタである。本実施例の画像形成装置200において、実施例1の画像形成装置100のものと実質的に同一若しくは相当する機能を有する要素には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0078】
[画像形成装置の全体構成及び動作]
本実施例では、4個のプロセスカートリッジBY、BM、BC、BKは水平方向に並べて配置されているが、本発明はプロセスカートリッジの配置方向を限定するものではない。
【0079】
又、本実施例では、走査光学装置3は、レーザー光学系(図示せず)と、レーザー光学系より射出されたレーザー光をスキャニングする、モータによって回転駆動される回転多面鏡31と、レーザー光のスポットを形成するレンズ群(図示せず)の他、反射鏡33を有する。つまり、本実施例においては、単一の筐体からなる走査光学装置3が使用される。但し、実施例1と同様に、各色につき1台ずつの走査光学装置を備えても良い。
【0080】
そして、本実施例では、第1、第2、第3、第4の画像形成部PY、PM、PC、PKに対向して、各画像形成部PY、PM、PC、PKにおいて形成された画像を転写材Sに転写するための中間転写ユニット105を有する。中間転写ユニット105は、中間転写体として無端移動するベルト、即ち、中間転写ベルト151を有する。詳しくは後述するが、中間転写ユニット105は、中間転写ベルト151と、この中間転写ベルト151を介して各画像形成部Pの感光ドラム1と対向する位置に1次転写手段としての1次転写ローラー156を有する。1次転写ローラー156の位置で中間転写ベルト151と感光ドラム1とは接触し、1次転写部(1次転写ニップ)が形成されている。更に、中間転写ベルト151が張架された2個のローラーのうち駆動ローラー152に対向して、2次転写手段としての2次転写ローラー159が配置されている。2次転写ローラー159に対向する位置で、2次転写ローラー159が中間転写ベルト151に接触し、2次転写部(2次転写ニップ)が形成される。
【0081】
例えば4色フルカラー画像形成時の画像形成動作について説明する。各画像形成部Pにおいて、実施例1と同様にして、感光ドラム1上にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が形成される。そして、本実施例では、各画像形成部Pにおいて感光ドラム1上に形成されたトナー像は、1次転写ローラー156に印加される転写バイアスの作用によって、中間転写ベルト151上に、各色の画像が順次重ね合わされるように1次転写される。
【0082】
その後、中間転写ベルト151上に1次転写されたトナー像は、2次転写部において、2次転写ローラー159に印加される2次転写バイアスの作用によって、転写材供給部7から搬送されてきた転写材S上に一括して2次転写される。転写材Sは、供給ローラー72の回転動作によりカセット71から一枚ずつ分離給送され、レジストローラー73を経て2次転写部へと搬送されてくる。
【0083】
2次転写部を出た転写材Sは、実施例1と同様に、熱定着器8を経てスタッカ10上に排出される。
【0084】
[中間転写ユニット]
次に、中間転写ユニット105について更に詳しく説明する。本実施例における中間転写ユニット105は、図7に示すように、実施例1における転写ユニット5と実質的に同じ構成を有する。
【0085】
つまり、本実施例では、中間転写ベルト151は、駆動ローラー152及び従動ローラー153の2個のローラーに張架されている。駆動ローラー152及び従動ローラー153は、ベルトフレーム155に回転可能に支持されている。これにより、中間転写ベルト151はベルトフレーム155に周回移動可能に取り付けられる。
【0086】
従動ローラー153は、軸受部がベルトフレーム155に対してスライド可能となっている。又、このスライド可能な軸受部は、付勢手段としてのバネ154によって、駆動ローラー152とは反対方向に付勢されており、中間転写ベルト151に所定のテンションを与えるようになっている。
【0087】
中間転写ベルト151としては、実施例1の搬送ベルト51と同様に、ポリイミド、ポリカーボネート、PVDF、ETFE、PTFE、ポリアミド、PVC、PE、PETなどの樹脂材料を好適に用いることができる。本実施例では、PVDFを用いた。又、本実施例では、中間転写ベルト151の周長(表面移動方向の長さ)は481mmであり、搬送方向と直交する方向の幅は243mm、厚さは100μmであった。又、駆動ローラー152の外径は17.2mm、回転軸方向の長さは245mmであり、従動ローラー153の外径は17.2mm、回転軸方向の長さは245mmであった。中間転写ベルト151に与えられるテンションは、3100gfであった。
【0088】
尚、実施例1の搬送ベルト51と同様に、中間転写ベルト151は、3本以上のローラーに張架してもよい。又、従動ローラー153とは別のローラーがテンションを与えてもよい。
【0089】
本実施例では、駆動ローラー152は、装置本体Aが備える駆動源(図示せず)より、駆動継手(図示せず)を介して駆動力が伝達される。但し、ベルトフレーム155上にモータを備える構成でも差し支えない。
【0090】
又、中間転写ベルト151の内周面側には、各画像形成部PY、PM、PC、PKの感光ドラム1Y、1M、1C、1Kに対向する位置に、1次転写ローラー156Y、156M、156C、156Kが配置されている。
【0091】
[駆動ローラー]
本実施例において、中間転写ユニット105が備える駆動ローラー152は、実施例1における転写ユニットが備える駆動ローラー52と同じ構成とされる。
【0092】
つまり、本実施例では、駆動ローラー152は、実施例1と同様に、単一のアルミニウム合金を材料とする押し出し材である三ツ矢管で作製される。駆動ローラー152を金属、好ましくは単一の材料から成る単一の部材で構成すること、又駆動ローラー152を肉抜き構造として、更には回転軸方向両端部を開放して通気性を持たせることにより得られる効果は、実施例1と同様である。
【0093】
そして、本実施例においても、実施例1と同様に、駆動ローラー152の表面にブラスト処理を施すことによって、駆動ローラー152の表面を所定の表面粗さとして、中間転写ベルト151との摩擦力を与えている。
【0094】
つまり、実施例1における搬送ベルト51と同様に、一般に、中間転写ベルト151の材質には上述の如き樹脂材料を用いており、その厚さは、通常50〜300μmである。又、本実施例においても、実施例1において搬送ベルト51上に制御用画像Tを形成して、これをセンサ158により検知したのと同様に、中間転写ベルト151上に制御用画像(レジスト検知パターン、濃度検知パッチ)Tを描き、中間転写ベルト151の表面と制御用画像T上に当てた光の反射率の違いからレジスト検知、及び画像濃度検知を行う。これにより、各画像形成部PY、PM、PC、PKで形成される画像の位置合わせ(レジ合わせ)、及び画像濃度制御を行う。本実施例においても、実施例1と同じく、中間転写ベルト151のばたつきの影響をなくすために、センサ158は、駆動ローラー152の対向部で測定を行う。
【0095】
本実施例のように中間転写ベルト151を用いる中間転写方式の画像形成装置200においても、実施例1と同様に、駆動ローラー152の表面粗さRzが2μm≦Rz≦9μmの範囲内であれば、中間転写ベルト151に対する摩擦力と制御用画像Tの検知精度の両方を満足することができる。斯かる駆動ローラー152の範囲で、実施例1と同様にして求められたセンサ158の測定値の誤差は±2.5%程度となる。
【0096】
斯かる駆動ローラー152の表面粗さの範囲に規定することにより、特に、センサ158を駆動ローラー152の対向部に設けて駆動ローラー152上にある中間転写ベルト151上の制御用画像Tを検知する場合、更にはセンサ158によって正反射光を検知する場合における制御用画像Tの検知精度の向上に有効である。又、斯かる表面粗さの範囲の駆動ローラー152は、上述のように厚さが50〜300μmである中間転写ベルト151と組み合わせて用いることに何ら支障はない。
【0097】
この時、より好ましくは、駆動ローラー152に接触している部分の中間転写ベルト151の表面における、制御用画像Tの検知面の表面粗さがRz=2.2μm未満(Rz<2.2μm)となるようにする。尚、この部分の中間転写ベルト151の表面粗さは、駆動ローラー52の表面の凹凸が浮き出たものである。ベルト単品については、製造上の理由等により、通常、Rz=1.0程度である。検知面の表面粗さが上記の範囲内では、センサの測定値誤差は±4%以内に入り、駆動ローラー152に巻き付いた部分の中間転写ベルト151の表面に形成された制御用画像Tを高精度に読み取ることができる。
【0098】
本実施例では、駆動ローラー152の表面粗さRzは5.3μmとした。この時、駆動ローラー152に接触している部分の中間転写ベルト151の表面における、制御用画像Tの検知面の表面粗さがRzは1.2μmであった。上記構成におけるセンサ検知誤差は、±2.5%以下となる。
【0099】
以上、本実施例によれば、無端移動すると共にその上に制御用画像が形成される中間転写ベルト151の駆動ローラー152と中間転写ベルト151との間に必要な摩擦力を確保しつつ、中間転写ベルト151上の制御用画像Tを高精度に読み取ることを可能とすることができる。又、駆動ローラー152を単に金属部材で構成するだけでなく、その断面形状を放熱に優れた形状とすることで、中間転写ベルト151を効果的に放熱したり、駆動ローラー152の温度による膨張・収縮の影響を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例の主断面図である。
【図2】搬送ベルトの張架方法の一実施例を示す斜視図である。
【図3】センサによる検知パターン読み取り位置を説明するための説明図である。
【図4】ベルトの表面粗さによる、反射光測定に対する影響を説明するための説明図である。
【図5】センサの検知精度を説明するための模式図である。
【図6】本発明に係る画像形成装置の他の実施例の主断面図である。
【図7】中間転写ベルトの張架方法の一実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0101】
1 感光ドラム(像担持体)
2 帯電ローラー(帯電手段)
3 走査光学装置(露光手段)
4 現像器(現像手段)
5 転写ユニット
6 クリーナ(クリーニング手段)
51 搬送ベルト(像搬送体)
52 駆動ローラー
53 従動ローラー
54 バネ(付勢手段)
55 ベルトフレーム
56 転写ローラー(転写手段)
58 光学センサ(検知手段)
105 中間転写ユニット
151 中間転写ベルト
152 駆動ローラー
156 1次転写ローラー(1次転写手段)
158 光学センサ(検知手段)
159 2次転写ローラー(2次転写手段)
S 転写材
T 検知パターン(制御用画像)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸付近の内周部と、外周部と、を有し、駆動力を受けて回転する駆動ローラーと、
前記駆動ローラーの外周部で前記駆動ローラーと接触し、無端移動するベルトと、
を有する画像形成装置において、
前記駆動ローラーの外周部と内周部が同じ材料で構成されており、前記駆動ローラーの外周部の前記ベルトとの接触面の表面粗さRzは2μm≦Rz≦9μmであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記駆動ローラーの断面において、前記内周部と前記外周部との間が、回転軸中心から放射状に繋ぐ部分とそれ以外の肉抜き部とからなり、前記放射状に繋ぐ部分と前記外周部と前記内周部とが同じ材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
回転軸付近の内周部と、外周部と、を有し、駆動力を受けて回転する駆動ローラーと、
前記駆動ローラーの外周部で前記駆動ローラーと接触し、無端移動するベルトと、
を有する画像形成装置において、
前記駆動ローラーの断面において、前記内周部と前記外周部との間が、回転軸中心から放射状に繋ぐ部分とそれ以外の肉抜き部とからなり、前記放射状に繋ぐ部分と前記外周部と前記内周部とが同じ材料で構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記駆動ローラーの外周部の前記ベルトとの接触面の表面粗さRzは2μm≦Rz≦9μmであることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記内周部と前記外周部との間を放射状に繋ぐ部分と前記外周部と前記内周部とが金属からなることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記内周部と前記外周部との間を放射状に繋ぐ部分と前記外周部と前記内周部がアルミニウムを主体とする金属からなることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記駆動ローラーは、回転軸方向両端部が空気が通過可能なように開放されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記駆動ローラーが、三ツ矢管で構成されることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
ベルト上のトナーを検知する検知手段を有し、前記検知手段は前記ベルトと前記駆動ローラーとが接触している箇所の前記ベルトの逆面に担持されているトナーを検知することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記ベルトと前記駆動ローラーとが接触している箇所の前記ベルトの逆面の表面粗さRzはRz<2.2μmであることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記検知手段は、前記ベルトに照射した光の正反射光を検知することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記検知手段は、前記ベルト上のトナー像の濃度を検知することを特徴とする請求項9または11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記ベルトは、50〜300μmの厚みを有することを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記ベルトは、前記像形成手段によってその上にトナー像を形成する転写材を担持して搬送する転写材担持体であり、前記像形成手段は、前記転写材担持体上にトナー像を形成し得ることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記ベルトは、前記像形成手段によってその上に形成されたトナー像を転写材に転写するための中間転写体であり、前記像形成手段は、前記中間転写体上にトナー像を形成し得ることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−220965(P2006−220965A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−34915(P2005−34915)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】