説明

画像形成装置

【課題】 回転型現像器を用いた画像形成装置において、トナー補給後にトナー補給装置のトナー補給ノズル内及びノズル先端部付近に残留トナーが残り、その残留トナーが、前記回転型現像器の回転に伴い画像形成装置内に飛散して感光体表面に付着し、混色や出力画像の劣化が生ずる。
【解決手段】 画像形成装置の回転型現像器の現像部へのトナー補給後にトナー補給ノズル内に残留したトナーが放出されたかどうかを検知するセンサを設け、トナー補給ノズルからのトナー放出が無くなった事を確認してから、トナー補給ノズルを退避位置に戻す方法により課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
回転型現像器におけるトナー補給動作に際して、トナー補給装置の補給ノズル内の残留トナーを抑制する制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回転型現像器をもつ画像形成装置において、トナー補給時のトナー補給不足に起因する画像濃度の低下や色むらを防止できる現像装置の発明がある(特許文献1参照)。
【0003】
しかし、上記回転型現像器においては、トナー補給終了後、トナー補給ノズルを現像部から抜いて退避位置に移動する際に、トナー補給ノズル内にトナーが残留しており、その残留トナーがトナー補給口上部などに付着して、回転型現像器の回転動作によって、画像形成装置内に飛散したり、感光体に付着したりして装置内の汚染や画像の劣化が生じる。
【0004】
【特許文献1】特開平10−198149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、回転型現像器にトナー補給を行うトナー補給装置を備えた画像形成装置において、トナー補給後にトナー補給ノズルに残留トナーが残り、その残留トナーが前記回転型現像器の回転に伴い、画像形成装置内に飛散して装置内を汚し、あるいは感光体表面に付着し、混色や出力画像の劣化が生ずる点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、トナー補給ノズルが弾性を有するトナー補給口から挿入され内部のトナー保持部へトナーの補給を受けることが可能な現像部と、前記現像部を円周方向に複数配置して保持し、回転駆動部によって駆動される回転型現像器と、前記トナー補給ノズルを前記トナー補給口に対する退避位置と、前記トナー補給口から挿入させたトナー補給位置との間で往復運動可能にするトナー補給ノズル出退機構とを備えた画像形成装置であって、前記トナー補給位置において前記トナー補給ノズルよりのトナー放出時に、前記トナー補給ノズル内の残留トナーが放出されたことを検知するトナー吐出完了センサを有し、前記トナー吐出完了センサの信号に基づき前記トナー補給ノズルを前記退避位置に戻す制御部を備えたことを最も主要な特徴とする。
【0007】
また、本発明の画像形成装置は、前記画像形成装置であって、前記制御部は、前記トナー補給後、トナー補給モータを前記トナー補給時に比較して高速に回転させて、前記トナー補給ノズル内の残留トナーを放出することを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の画像形成装置は、トナー補給ノズルが弾性を有するトナー補給口から挿入され内部のトナー保持部へトナーの補給を受けることが可能な現像部と、前記現像部を円周方向に複数配置して保持し、回転駆動部によって駆動される回転型現像器と、前記トナー補給ノズルを前記トナー補給口に対する退避位置と、前記トナー補給口から挿入させたトナー補給位置との間で往復運動可能にするトナー補給ノズル出退機構とを備えた画像形成装置であって、前記トナー補給位置において前記トナー補給ノズルよりのトナー放出時に、前記トナー補給ノズル内の残留トナーが放出されたことを検知するトナー吐出完了センサを有し、前記トナー吐出完了センサの信号に基づき前記トナー補給ノズルを前記退避位置に戻す制御部を備えたことを最も主要な特徴とするため、トナー補給後にトナー補給ノズルに残留したトナーが画像形成装置内に飛散して装置内を汚し、あるいは感光体表面に付着し、混色や出力画像の劣化が生ずることを抑制することが可能となった。
【0009】
また、本発明の画像形成装置は、前記画像形成装置であって、前記制御部は、前記トナー補給後、トナー補給モータを前記トナー補給時に比較して高速に回転させて、前記トナー補給ノズル内の残留トナーを放出することを主要な特徴とするため、トナー補給後にトナー補給ノズルに残留したトナーをより確実に除去することが可能となったため、残留トナーが画像形成装置内に飛散して装置内を汚し、あるいは感光体表面に付着し、混色や出力画像の劣化が生ずることを抑制することが可能となった。
【実施例1】
【0010】
[カラープリンタの構成]
以下、本発明の画像形成装置を、コンピュータ等から送信されてくる画像情報に基づいてカラー画像を用紙に印刷する画像形成装置としてのカラープリンタに適用した実施形態について説明する。
【0011】
図1は、本実施例のカラープリンタ1の機能ブロック図である。
【0012】
カラープリンタ1は、感光体ドラム2、レーザユニット4、回転型現像器3、中間転写ベルト7、制御部80、印刷制御部85、トナー補給制御部86、回転制御部87、二次転写ローラ8、給紙カセット52、搬送部67、トナー補給装置6から構成されている。
【0013】
上記の各ブロックのうちの制御部80についてまず説明する。その他の各ブロックについては、その後に続く装置の断面図(図2)を用いた説明の中で行う。
【0014】
制御部80は、画像形成装置の全体の制御をつかさどる。制御部80は、印刷制御部85とトナー補給制御部86と回転制御部87とを備える。
【0015】
印刷制御部85は、コンピュータから送られてきた画像データの印刷を行うために各機能部の制御を行う。
【0016】
トナー補給制御部86は、回転型現像器3(後述図2)の各現像部16(トナー保持部)(後述図5)のトナー量が少なくなると回転型現像器3の回転を止めて、トナー補給ノズル25(後述図5)よりトナーを補給するための各部の動きを制御する。
【0017】
また、トナー補給制御部86は、トナー補給ノズル(後述図5)からのトナーを放出するためのトナー補給モータ33a(後述図6)、トナー搬送用スクリュー30(後述図5)などのトナー放出機構の制御を行う(詳細後述)。
【0018】
回転制御部87は、回転現像器3の回転制御を行う。トナー補給時には、各色毎の現像部のトナー補給口18がトナー補給ノズル25に対向する位置に停止するように制御を行い、トナー補給が終了すると、現像を行うために各色毎の現像ローラ161が感光体2と対向する位置に回転して停止するよう制御を行う。
【0019】
図2にカラープリンタ1の断面図を示し、以下にその動作について説明する。
【0020】
カラープリンタ1は、その表面に静電潜像が形成されるとともに前記静電潜像がトナーにより現像される感光体ドラム2と、前記感光体ドラム2の表面に色成分毎に走査露光することで各色成分の静電潜像を形成する露光装置としてのレーザユニット4と、前記感光体ドラム2に形成された各色成分の静電潜像に対して前記色成分に対応したトナーによって前記静電潜像を現像する回転型現像器3と、前記感光体ドラム2の表面に現像されたトナー像が順次転写される中間転写ベルト7と、前記中間転写ベルト7に転写されたトナー像を用紙に転写する二次転写ローラ8と、前記用紙に転写されたトナー像を用紙に定着する定着装置9と、用紙を収容及び給紙する給紙カセット52と、前記給紙カセット52から給紙される用紙を搬送する搬送部67(第一搬送路55、第二搬送路56、第三搬送路57)と、前記トナー像が定着された用紙、つまり、カラー画像が印刷された用紙が排出される排出部50と、前記回転型現像器3にトナーを補給するトナー補給装置6と、前記トナー補給装置6が前記回転型現像器3に補給するトナーを予め収容しておくトナーコンテナ5と、前記各機能ブロックを統括制御する制御部80等から構成されている。なお、前記制御部80は、単一または複数のCPUや、その動作プログラムが格納されたROM、ワーキングエリアに使用されるRAM等を備えたマイクロコンピュータからなり、前記各機能ブロックを統括制御する。また、前記図2において、右側面をオペレータにより操作が行われる操作面とし、また、図2の右側を装置手前側、図2の左側を装置奥側として以下説明する。
【0021】
前記感光体ドラム2は、当該感光体ドラム2の表面に静電潜像が形成されるとともに前記静電潜像がトナーにより現像されるもので、当該カラープリンタ1のほぼ中央に回転自在に、また、その回転軸が装置手前側からみて横方向に延びるように、即ち、図2の紙面に対して垂直に延びるように設置されている。なお、前記感光体ドラム2の上部には、当該感光体ドラム2の表面を予め一様に帯電しておくための帯電ローラ10が設置されている。また、前記感光体ドラム2の側方には、当該感光体ドラム2の表面に残留したトナーや付着物を清掃するためのドラムクリーニング部11が設置されている。
【0022】
前記レーザユニット4は、外部のコンピュータ等から送信されてきた画像情報に基づいて前記感光体ドラム2の表面をレーザにより走査露光することで、前記感光体ドラム2の表面に色成分毎の静電潜像を形成するもので、前記感光体ドラム2の上方で、且つ、前記回転型現像器3の回転軸より装置奥側(図2の左側)に設置されている。正確には、当該レーザユニット4の前端(レーザ光が発射される側の端部)が、前記回転型現像器3の回転軸のほぼ真上に位置し、後端側に行くにつれて下方に傾斜し、後端は前記回転型現像器3の上端部よりは下方に位置している。なお、前記レーザユニット4の内部の構成は、従来の構成と同様であり、レーザ光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モータ等を備えている。また、前記レーザユニット4の前方には、反射ミラー20が設けられており、前記レーザユニット4から発射されたレーザは、前記反射ミラー20によって屈曲し、前記感光体ドラム2の表面に照射されるように構成されている。
【0023】
前記回転型現像器3は、内部にトナー保持部を有して、その各色のトナーが充填された複数の現像部16と、前記現像部16を支持する回転枠15を備え、前記感光体ドラム2の表面に形成された静電潜像を前記現像部16に充填された前記静電潜像に対応する色のトナーによって現像することで、前記感光体ドラム2の表面に色成分毎のトナー像を形成するように構成されている。なお、前記回転型現像器3は、その中心が前記感光体ドラム2とほぼ同じ高さとなるように、また、前記感光体ドラム2と隣接するように設置されている。
【0024】
前記回転枠15は、その形状を円筒形状とし、前記感光体ドラム2の回転軸と平行な軸の回りに回転自在となるように設置されるとともに、図示しないモータやギアを含む駆動機構(回転駆動部)によって回転させられるように構成されている。また、前記回転枠15は、回転軸の中心から放射状に延びる仕切枠によって円周方向に4等分された4つの区画を備え、前記各区画にそれぞれイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの何れかのトナーが充填された前記現像部16を装着することで、前記各現像部16を支持するように構成されている。
【0025】
なお、前記各色のトナーが充填されたそれぞれの現像部16(トナー保持部)は、予め設定された区画に装着されるように構成されている。つまり、予めイエローに対応したイエロー区画、シアンに対応したシアン区画、マゼンタに対応したマゼンタ区画及びブラックに対応したブラック区画が設定され、前記イエロー区画にイエローのトナーが充填された現像部16yが、前記シアン区画にシアンのトナーが充填された現像部16cが、前記マゼンタ区画にマゼンタのトナーが充填された現像部16mが、前記ブラック区画にブラックのトナーが充填された現像部16bが、それぞれ装着されるように構成されている。また、前記各現像部16は、オペレータ等によるメンテナンスのため、前記回転枠15から前記回転枠15の軸心方向に沿って着脱自在となるように構成されている。
【0026】
前記現像部16は、前記感光体ドラム2に対向配置可能な現像ローラ161(図5)と、トナーを攪拌するための攪拌ローラ165(図5)と、当該現像部16に充填されているトナーの残量を検出するトナー残量センサ(不図示)を備えるとともに、後述のトナー補給ノズル25(図5)により当該現像部16の内部のトナー保持部へトナーを補給可能とするための、図3に示すような、トナー補給口18が当該現像部16のケース17の外周側に形成されている。
【0027】
前記トナー補給口18は、前記ケース17の一部に開口領域が形成されるとともに、普段は密着閉口しているトナー補給口としてのスリット19が形成された弾性部材(ゴム又はシリコーンゴム等)が前記開口領域に固定されている。なお、前記トナー補給口18は、各色のトナーに対応した現像部、つまり、前記イエローのトナーに対応した現像部16y、前記シアンのトナーに対応した現像部16c、前記マゼンタのトナーに対応した現像部16m、前記ブラックのトナーに対応した現像部16b毎に異なる位置、例えば、図4に示すように、装置手前側からみて互いに異なる横方向の位置(前記回転枠15の軸心方向に沿って互いに異なる位置)に形成されている。即ち、詳細は後述するが、前記各現像部16y、16c、16m、16bは、前記各現像部16y、16c、16m、16bにおけるトナーの色に対応したトナー補給ノズルの設置位置に応じた位置に、前記トナー補給口18y、18c、18m、18bが形成されている。また、各トナー補給口18には、スリット19y、19c、19m、19bが形成されている。
【0028】
前記中間転写ベルト7は、前記感光体ドラム2に順次形成される色成分毎のトナー像が順次転写されるもので、対向して設置された駆動ローラ35と従動ローラ36との間に当該中間転写ベルト7が掛け渡された構成となっている。なお、前記中間転写ベルト7は、前記感光体ドラム2及び前記トナーコンテナ5の下方に設置されているとともに、前記中間転写ベルト7の感光体ドラム2と対向する部分が、一対の一次転写ローラ37a、37bによって前記感光体ドラム2に当接するように構成されている。
【0029】
前記二次転写ローラ8は、前記中間転写ベルト7に転写されたトナー像を、搬送されてきた用紙に転写するもので、前記駆動ローラ35の下方に前記駆動ローラ35と対向配置されている。
【0030】
前記定着装置9は、ヒータを内蔵する加熱ローラ9aと、前記加熱ローラ9aに圧接する加圧ローラ9bを備え、前記両ローラ間にトナー像が転写された用紙を挟持して搬送することで、用紙上に転写されたトナー像を前記用紙に溶融定着するように構成されている。また、前記定着装置9は、前記回転型現像器3の下方で、且つ、装置奥側に設置されている。
【0031】
前記給紙カセット52は、トナー像を定着させるための用紙、つまり、カラー画像を印刷するための用紙を収納及び給紙するもので、載置板の上に用紙を収納する用紙収納部と、当該給紙カセット52から用紙を送り出すための給紙部51を備えて構成されている。また、前記給紙部51は、前記載置板上の用紙を送り出すための前送りコロ53と、用紙を1枚ずつ搬送路に送り出すためのローラ対からなる重送防止機構54とを備えて構成されている。なお、前記給紙カセット52は、当該カラープリンタ1の底部に設置されている。
【0032】
前記搬送部67は、前記給紙カセット52から送り出された各用紙上にトナー画像が順次形成されるように用紙を搬送するもので、用紙を案内しながら搬送するガイド板と、ローラ対と、前記ローラ対を駆動するモータと、所定の位置における用紙の有無を検出するセンサ等を備えるとともに、前記給紙部51から前記二次転写ローラ8に至る第一搬送路55と、前記二次転写ローラ8から前記定着装置9に至る第二搬送路56と、前記定着装置9から前記排出部50に至る第三搬送路57が形成されている。なお、前記第一搬送路55は、前記給紙カセット52から送り出された用紙を上方に搬送しつつ搬送方向を逆にするための湾曲路55aと、前記湾曲路55aから前記二次転写ローラ8に至る直線路55bから形成され、前記直線路55bには、用紙の搬送タイミングを制御するためのレジストローラ対60が設置されている。
【0033】
なお、前記定着装置9の出口付近に、分岐爪58を設置し、前記分岐爪58と前記第一搬送路55の途中との間に、用紙を第一搬送路55に戻すための戻し搬送路59を設置した構成としてもよい。
【0034】
前記排出部50は、前記トナー像が定着された用紙が載置されるもので、当該カラープリンタ1の上部表面、即ち、前記レーザユニット4、トナー補給装置6及び前記トナーコンテナ5の上方に形成されている。
【0035】
前記トナーコンテナ5は、前記各現像部16に補給される各色のトナーを予め収容しておくもので、前記感光体ドラム2の上方で、且つ、前記レーザユニット4と対向する側(装置手前側)に設置されている。また、前記トナーコンテナ5は、横方向(図2の紙面垂直方向)に並べて配置されたイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックのそれぞれの各色のトナーを収容する4つのトナー収容部を備え、前記各トナー収容部にそれぞれに対応した色のトナーが収容されている。
【0036】
前記トナー補給装置6は、前記トナーコンテナ5に収容された各色のトナーを、前記各色に対応する前記現像部16に補給するもので、図5に示すように、前記感光体ドラム2の上方において、前記レーザユニット4と前記トナーコンテナ5との間のスペースに配置されている。また、前記トナー補給装置6は、トナーのそれぞれの色に対応した上下方向に移動可能な複数のトナー補給ノズル25と、前記トナー収容部に予め収容されているトナーを対応する前記トナー補給ノズル25に搬送する搬送パイプ26と、当該トナー補給装置6の上下方向への移動の限界位置を検出するリミットスイッチ70と、前記各トナー補給ノズル25を上下動させるための出退機構27(トナー補給ノズル出退機構)を備えている。
【0037】
前記各トナー補給ノズル25は、上下方向に長く、上端が装置手前側に、下側が装置奥側に傾斜している。前記各トナー補給ノズル25は、先端が先細形状となっており、下方に移動した際には、先端が前記トナー補給口18に形成されたスリット19を通って内部に進入可能な構成となっている。また、前記トナー補給ノズル25の内部には、トナー搬送用スクリュー30が回転可能に設置されている。
【0038】
前記リミットスイッチ70は、ラック32が上方向及び下方向へ移動する際の限界位置を検出するものであって、前記トナー補給装置6の上側及び下側に配置されている。
【0039】
前記搬送パイプ26は、前記トナー補給ノズル25の上下動に追従して移動可能なように、可撓性を有するパイプが適用されている。そして、内部には、コイルスプリング31が配置されており、図示しない駆動機構によって回転させられて、これによりトナーが当該搬送パイプ26内を通ってトナー補給ノズル25側に搬送される。
【0040】
上記のトナーコンテナ5、搬送パイプ26、コイルスプリング31、トナー補給ノズル25、トナー搬送用スクリュー30、トナー補給モータ33aによりトナー放出機構を構成している。トナー補給モータ33aは、トナー補給ノズル出退機構に使用されると共に、トナー搬送用スクリュー30の回転駆動にも用いられる。出退機構と放出機構の切り替え制御には、図示しないトナー補給クラッチ及びコンテナ駆動クラッチを用いる。上記のトナー放出機構は、トナー補給制御部86によって制御される。
【0041】
前記トナー補給ノズル出退機構27は、図6(a)に示すように、前記トナー補給ノズル25の外周部に軸方向に沿って設けられたラック32と、前記ラック32に噛み合うピニオンギア33を備え、トナー補給モータ33a及び減速ギア列33bによって駆動されるように構成されている。そして、前記出退機構27によって、前記各トナー補給ノズル25は、上方の退避位置(図2の実践で示す位置)と、下方で先端部が前記現像部16の内部に進入したトナー補給位置(図2の二点鎖線で示す位置)との間を適宜、上下運動することが可能なように構成されている。換言すると、前記トナー補給ノズル25が前記トナー補給口に進入する補給姿勢と離隔する非補給姿勢とに切り替えるように構成されている。
【0042】
ここで、前記各トナー補給ノズル25は、当該トナー補給ノズル25が前記補給姿勢となったときにのみ開くシャッター機構を備えている。具体的には、図7(a)、図7(b)、図7(c)に示すように、前記トナー補給ノズル25は、内筒部251と外筒部252からなる二重構造で構成され、前記内筒部251及び前記外筒部252の先端部における演習方向の一部にそれぞれ内開口251a、外開口252aが形成されている。前記外筒部252の外開口252aは、前記内筒部251の内開口251aよりも開口角度が小さくなっている。また、前記外筒部252は、外筒面に突起が形成されており、前記突起が外筒部252の更に外周に配置され螺旋状ガイド溝28aが形成された回転カム28に係合している(図6(b))。なお図6(b)では、便宜のため、回転カムを分解して示している。
【0043】
つまり、前記各トナー補給ノズル25は、前記各トナー補給ノズル25が前記非補給姿勢のときには、図7(a)に示すように、前記内筒部251の内開口251aと前記外筒部252の外開口252aとを一致させないようにすることで、内部のトナーが外部に漏れ出ないように、また、前記トナー補給ノズル25が前記補給姿勢のときには、前記トナー補給ノズル25が前記非補給姿勢から前記補給姿勢に切り替わる際に、前記外筒部252を前記突起と前記回転カム28の螺旋状ガイド溝28aにより回転することで、図7(b)に示すように、前記内筒部251の内開口251aと前記外筒部252の外開口252aとを一致させ、内部のトナーを前記内筒部251の内開口251aと前記外筒部252の外開口252aとを介して前記現像器16へ補給するように構成されている。
【0044】
また、図7(c)に示すようにトナー補給ノズルの先端には、トナー吐出完了センサ253が搭載されている。同センサは光センサの発光部と受光部を一体型として内部に持ち、同センサの発光部からの光が開口部251a、252aを通して吐き出されるトナーによって散乱され、その散乱光を受光部によって検出することにより、トナー補給ノズルからのトナーの吐出があるかどうかを検知する。
【0045】
なお、トナー吐出完了センサ253は、上記に記載した光センサ型であってもよいし、トナーの磁気を検知する磁気センサ型であってもよい。
【0046】
すでに説明したように、前記制御部80の機能ブロック構成は、図1に示すように、外部のコンピュータから送信されてくる画像情報に基づいて用紙へのカラー画像の印刷制御を実行する印刷制御部85と、前記現像器16へのトナーの補給制御を行うトナー補給制御部86等を備えて構成されている。
【0047】
つまり、前記カラープリンタ1は、上述のように、前記回転型現像器3とは別に、前記各現像部16に補給されるトナーを予め収容可能なトナーコンテナ5を備えるとともに、前記トナー補給装置6により前記トナーコンテナ5から前記各現像部16へトナーを適宜補給することで、前記各現像部16に充填しておくトナーの必要量を少なくすることを可能としている。つまり、前記カラープリンタ1は、前記各現像部16に充填するトナー容量を小さくすることで前記回転型現像器3を小型化するとともに、トナーの充填のために行われる現像部交換等のメンテナンスを削減することが可能なように構成されている。
【0048】
[トナー補給装置の制御]
次にトナー補給時のトナー補給装置の制御について、トナー補給モータのタイミングチャート(図8)を用いて説明する。
【0049】
A:トナー補給ノズル挿入動作
トナー補給クラッチ(不図示)をONにして、トナー補給モータ33a(図6)を800PPS(Pulse Per Second)で正回転させて、トナー補給ノズル25をトナー補給口18(図3)のスリット19(図3)から現像部内部に進入させる。トナー補給下限スイッチ70a(図5)がONになるとトナー補給ノズルが現像部内部に進入したとして、トナー補給クラッチを切り、トナー補給モータを停止する。
【0050】
B:トナー補給動作
トナー補給動作のためにコンテナ駆動クラッチ(不図示)をONにする。
【0051】
トナー補給モータ33aは、トナー補給ノズルの出退機構とトナー搬送用スクリュー30(図5)の両方の駆動に用いられており、トナー補給クラッチがOFF状態でコンテナ駆動クラッチがON状態の場合には、トナーコンテナ5からコイルスプリング31、トナー搬送スクリュー30を経由してトナーが補給される。
【0052】
この際にトナー補給モータは、800PPSの低速での逆回転によりトナー搬送スクリュー30を回転させて、現像部16内部にトナーを補給する。
【0053】
C:トナー補給動作終了確定
トナー満杯検知をトナー残量センサ(不図示)により検知して、トナーが現像部内部に充分に補充されたことを検知する。
【0054】
D:トナー補給完了動作
トナー満杯を検知したので、コンテナ駆動クラッチをOFFにして、トナーコンテナ5からトナー搬送スクリュー30にトナーが搬送されないようにする。その上でトナー補給モータ33aを1600PPSの高速逆回転にして、トナー搬送スクリュー30を高速回転させて、トナー搬送スクリュー内部の残留トナーを放出させる。トナーの吐出はトナー吐出完了センサ253(図5、7)がトナー補給ノズル25の開口部251a、252a(図7)から吐き出されるトナーを検知して、トナーの吐出(放出)が完了したと検知するとトナー補給モータを停止する。
【0055】
E:トナー補給ノズルの退避動作
トナー吐出の終了したトナー補給ノズルは、トナー補給クラッチをONにして、トナー補給モータを800PPSの低速逆回転させることにより、トナー出退機構がトナー補給ノズルをトナー退避位置へと後退させる。退避動作開始後、トナー補給下限スイッチのOFFを検知し、一定時間トナー補給ノズル25を退出させてトナー補給口から抜いて退避位置へと戻す。退避位置に戻るとトナー補給クラッチをOFFにして、トナー補給モータをOFFにする。
【0056】
F:次動作への移行
上記AからEまでの動作により、補給に該当した現像部にトナーが補充されたので、回転現像器は他の現像部への補給動作、ないしは次の現像動作に移行する。
【0057】
[実施例の効果]
本実施例のカラープリンタにより、トナー補給後にトナー補給ノズル内部に残留したトナーが放出された事をトナー吐出完了センサにより確認できるため、トナー補給ノズルのトナー補給口からの抜き出し時や、トナー補給ノズルの退避位置においてトナー補給ノズル内に残留トナーがないため、結果として残留トナーを装置内に飛散させて装置を汚染したり、感光体に付着させて画像を劣化させることが抑制された。
【0058】
また、トナー補給ノズルから残留トナーを放出する際には、トナー補給モータをトナー補給時に比較して高速に回転させて残留トナーを吐き出すために、より確実に残留トナーを除くことができ、前記と同様に装置の汚染防止及び画像劣化防止の効果が得られた。
【0059】
[その他]
本実施例では、トナー吐出完了センサをトナー補給ノズル先端に搭載したが、トナー補給ノズル先端以外の例えばトナー補給ノズルの軸部分(トナー開口部の上部)やトナー補給ノズル内部(開口部251aの内側)などに搭載しても良い。また、トナー補給ノズル以外の例えば、現像部16内部に搭載する方法であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】カラープリンタのブロック構成図(実施例1)。
【図2】カラープリンタの断面図(実施例1)。
【図3】現像部の斜視図(実施例1)。
【図4】現像部の補給口の図(実施例1)。
【図5】トナー補給装置の断面図(実施例1)。
【図6】トナー補給装置の駆動部及びトナー補給ノズルのカム機構図(実施例1)。
【図7】トナー補給ノズル先端図(実施例1)。
【図8】トナー補給装置のトナー補給モータの回転タイミングチャート(実施例1)。
【符号の説明】
【0061】
1 カラープリンタ(画像形成装置)
2 感光体ドラム
3 回転型現像器
4 レーザユニット
5 トナーコンテナ
6 トナー補給装置
7 中間転写ベルト
8 二次転写ローラ
16 現像部(トナー保持部)
18、18y、18m、18c、18b トナー補給口
25、25y、25m、25c、25b トナー補給ノズル
27 トナー補給ノズル出退機構
30 トナー搬送用スクリュー
31 コイルスプリング
33a トナー補給モータ(駆動モータ、トナー補給ノズル出退機構)
80 制御部
85 印刷制御部
86 トナー補給制御部
253 トナー吐出完了センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー補給ノズルが弾性を有するトナー補給口から挿入され内部のトナー保持部へトナーの補給を受けることが可能な現像部と、
前記現像部を円周方向に複数配置して保持し、回転駆動部によって駆動される回転型現像器と、
前記トナー補給ノズルを前記トナー補給口に対する退避位置と、前記トナー補給口から挿入させたトナー補給位置との間で往復運動可能にするトナー補給ノズル出退機構とを備えた画像形成装置であって、
前記トナー補給位置において前記トナー補給ノズルよりのトナー放出時に、前記トナー補給ノズル内の残留トナーが放出されたことを検知するトナー吐出完了センサを有し、前記トナー吐出完了センサの信号に基づき前記トナー補給ノズルを前記退避位置に戻す制御部を備えた
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置であって、
前記トナー吐出完了センサは、前記トナー補給ノズルに装着されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2の画像形成装置であって、
前記トナー吐出完了センサは、光センサ、又は磁気センサである
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかの画像形成装置であって、
前記制御部は、前記トナー補給後、トナー補給モータを前記トナー補給時に比較して高速に回転させて、前記トナー補給ノズル内の残留トナーを放出する
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−242362(P2008−242362A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−86575(P2007−86575)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】