説明

画像形成装置

【課題】複数の感光体上に形成された色の異なる各トナー像を各接触転写部材によって転写ベルトに一次転写し、その転写ベルト上の重ねトナー像を記録媒体に二次転写する画像形成装置において、感光体の総回転数を少なくする。
【解決手段】作像状態から停止状態への移行時に、感光体2Y,2M,2C上のトナー像を、転写ベルト3に転写し終えた時点以降であって、転写ベルト3が回転している間に、感光体2Y,2M,2Cと該感光体に対向配置された接触転写部材12Y,12M,12Cとの当接圧を下げ、その減圧時点以降であって、転写ベルト3が回転している間に該感光体2Y,2M,2Cを減速制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれ異なる色のトナー像が形成される複数の感光体と、これらの感光体に当接した転写ベルトと、該転写ベルトに接触した状態で、該転写ベルトを介して、各感光体に当接した接触転写部材とを具備し、各接触転写部材の作用により、各感光体に形成されたトナー像を転写ベルト又は転写ベルトに担持されて搬送される記録媒体に転写して記録画像を得る画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子複写機、プリンタ、ファクシミリ或いはその複合機などとして構成される上記形式の画像形成装置は従来より周知である(特許文献1及び2参照)。このように転写ベルトを用いた画像形成装置は、各感光体に形成されたトナー像を、転写ベルトに順次重ねて一次転写し、その転写ベルト上の重ねトナー像を記録媒体に二次転写する中間転写方式のものと、各感光体に形成されたトナー像を、転写ベルトに担持されて搬送される記録媒体に直に転写する直接転写方式のものとがある。いずれの形式の画像形成装置においても、感光体の耐久性を高めるために、該感光体の無用な回転を可能な限りなくし、その総回転数を少なく抑えることが望ましい。そこで、記録媒体に黒画像のみを形成する白黒モード時に、有彩色トナー像が形成される感光体を転写ベルトから離間させると共に、その感光体の回転を停止させるか、又は減速させることにより、感光体の総回転数を少なく抑え、該感光体が早期に劣化することを阻止した画像形成装置が提案されている(特許文献1参照)。ところが、この形式の画像形成装置においては、記録媒体に多色画像を形成する多色モード時に、感光体の総回転数を抑えることはできない。
【0003】
【特許文献1】特開2003−337454号公報
【特許文献2】特開平5−19641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、多色モード時の感光体の無用な回転を抑え、その総回転数を減少させることのできる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するため、冒頭に記載した形式の画像形成装置において、少なくとも1つの感光体と該感光体に対向配置された接触転写部材との当接圧を変更制御する当接圧変更手段を設け、作像状態から停止状態への移行時に、前記少なくとも1つの感光体上のトナー像を、前記転写ベルト又は記録媒体に転写し終えた時点以降であって、転写ベルトが回転している間に、前記当接圧変更手段によって、前記少なくとも1つの感光体と該感光体に対向配置された接触転写部材との当接圧を下げ、その減圧時点以降であって、前記転写ベルトが回転している間に該感光体を減速制御することを特徴とする画像形成装置を提案する(請求項1)。
【0006】
同じく、本発明は、上記目的を達成するため、冒頭に記載した形式の画像形成装置において、少なくとも1つの感光体と該感光体に対向配置された接触転写部材との当接圧を変更制御する当接圧変更手段を設け、作像状態から停止状態への移行時に、前記少なくとも1つの感光体上のトナー像を、前記転写ベルト又は記録媒体に転写し終えた時点以降であって、転写ベルトが回転している間に、前記当接圧変更手段によって、前記少なくとも1つの感光体と転写ベルトを離間させ、その離間時点以降であって、前記転写ベルトが回転している間に該感光体を停止させることを特徴とする画像形成装置を提案する(請求項2)。
【0007】
さらに、上記請求項1又は2に記載の画像形成装置において、転写ベルトの移動方向に沿って配設された第1乃至第4の4つの感光体と、該第1乃至第4の感光体のそれぞれに対向配置された第1乃至第4の接触転写部材と、第1乃至第4の感光体とこれらの感光体にそれぞれ対向配置された第1乃至第4の接触転写部材との当接圧をそれぞれ変更制御する当接圧変更手段とを有し、作像開始指令に伴って、前記第1乃至第4の感光体と、転写ベルトが回転を開始したとき、前記当接圧制御手段によって、該第1乃至第4の感光体と、その各感光体に対向配置された第1乃至第4の接触転写部材との当接圧がトナー像転写時の当接圧よりも低く設定されていると共に、第1乃至第4の感光体の回転速度をトナー像転写時の回転速度よりも低速に設定されていて、前記第1の感光体への画像書き込み開始前に、該第1の感光体の回転速度をトナー像転写時の回転速度に上昇させ、その上昇時点以降であって、第1の感光体から転写ベルト又は記録媒体へのトナー像の転写の開始前に、前記当接圧変更手段によって、第1の感光体と第1の接触転写部材との当接圧をトナー像転写時の当接圧に高め、前記第1の感光体への画像書き込み開始後であって、前記第2の感光体への画像書き込み開始前に、該第2の感光体の回転速度をトナー像転写時の回転速度に上昇させ、その上昇時点以降であって、第2の感光体から転写ベルト又は記録媒体へのトナー像の転写の開始前に、前記当接圧変更手段によって、第2の感光体と第2の接触転写部材との当接圧をトナー像転写時の当接圧に高め、前記第2の感光体への画像書き込み開始後であって、前記第3の感光体への画像書き込み開始前に、該第3の感光体の回転速度をトナー像転写時の回転速度に上昇させ、その上昇時点以降であって、第3の感光体から転写ベルト又は記録媒体へのトナー像の転写の開始前に、前記当接圧変更手段によって、第3の感光体と第3の接触転写部材との当接圧をトナー像転写時の当接圧に高め、前記第3の感光体への画像書き込み開始後であって、前記第4の感光体への画像書き込み開始前に、該第4の感光体の回転速度をトナー像転写時の回転速度に上昇させ、その上昇時点以降であって、第4の感光体から転写ベルト又は記録媒体へのトナー像の転写の開始前に、前記当接圧変更手段によって、第4の感光体と第4の接触転写部材との当接圧をトナー像転写時の当接圧に高めるように構成すると有利である(請求項3)。
【0008】
また、本発明は、上記目的を達成するため、それぞれ異なる色のトナー像が形成される第1乃至第4の感光体と、これらの感光体に当接した転写ベルトと、該転写ベルトに接触した状態で、該転写ベルトを介して、第1乃至第4の感光体のそれぞれに当接した第1乃至第4の接触転写部材とを具備し、該第1乃至第4の接触転写部材の作用により、前記第1乃至第4の感光体に形成されたトナー像を転写ベルト又は転写ベルトに担持されて搬送される記録媒体に転写して記録画像を得る画像形成装置において、前記第1乃至第4の感光体とこれらの感光体にそれぞれ対向配置された第1乃至第4の接触転写部材との当接圧をそれぞれ変更制御する当接圧変更手段を設け、作像開始指令に伴って、前記第1乃至第4の感光体と、転写ベルトが回転を開始したとき、前記当接圧制御手段によって、該第1乃至第4の感光体と、その各感光体に対向配置された第1乃至第4の接触転写部材との当接圧がトナー像転写時の当接圧よりも低く設定されていると共に、第1乃至第4の感光体の回転速度がトナー像転写時の回転速度よりも低速に設定されていて、前記第1の感光体への画像書き込み開始前に、該第1の感光体の回転速度をトナー像転写時の回転速度に上昇させ、その上昇時点以降であって、第1の感光体から転写ベルト又は記録媒体へのトナー像の転写の開始前に、前記当接圧変更手段によって、第1の感光体と第1の接触転写部材との当接圧をトナー像転写時の当接圧に高め、前記第1の感光体への画像書き込み開始後であって、前記第2の感光体への画像書き込み開始前に、該第2の感光体の回転速度をトナー像転写時の回転速度に上昇させ、その上昇時点以降であって、第2の感光体から転写ベルト又は記録媒体へのトナー像の転写の開始前に、前記当接圧変更手段によって、第2の感光体と第2の接触転写部材との当接圧をトナー像転写時の当接圧に高め、前記第2の感光体への画像書き込み開始後であって、前記第3の感光体への画像書き込み開始前に、該第3の感光体の回転速度をトナー像転写時の回転速度に上昇させ、その上昇時点以降であって、第3の感光体から転写ベルト又は記録媒体へのトナー像の転写の開始前に、前記当接圧変更手段によって、第3の感光体と第3の接触転写部材との当接圧をトナー像転写時の当接圧に高め、前記第3の感光体への画像書き込み開始後であって、前記第4の感光体への画像書き込み開始前に、該第4の感光体の回転速度をトナー像転写時の回転速度に上昇させ、その上昇時点以降であって、第4の感光体から転写ベルト又は記録媒体へのトナー像の転写の開始前に、前記当接圧変更手段によって、第4の感光体と第4の接触転写部材との当接圧をトナー像転写時の当接圧に高めることを特徴とする画像形成装置を提案する(請求項4)。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、多色モード時の感光体の無用な回転を抑え、該感光体の総回転数を少なくすることができ、感光体の寿命を伸ばすことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態例を図面に従って詳細に説明する。先ず、本発明の各構成に共通する画像形成装置の一般的な構成を明らかにする。
【0011】
図1は中間転写方式の画像形成装置の一例を示す概略断面図である。ここに示した画像形成装置は、転写ユニット1を有し、この転写ユニット1は、ユニットケース6と、このユニットケース6に回転可能に支持された複数の支持ローラ4A、4B、4C、4D、4Eと、ユニットケース6に収容され、かつ複数の支持ローラ4A乃至4Eに巻き掛けられて矢印A方向に回転駆動される無端ベルトより成る転写ベルト3とを有している。また、転写ベルト3には、その移動方向に沿って、ドラム状に形成された第1乃至第4の4つの感光体2Y,2M,2C,2BKが配設されており、これらの感光体2Y乃至2BKには、後述するように、それぞれ異なる色のトナー像が形成される。また転写ベルト3は第1乃至第4の感光体2Y乃至2BKに当接している。さらに、転写ベルト3に接触した状態で、その転写ベルト3を介して、第1乃至第4の感光体2Y乃至2BKのそれぞれに対向配置された第1乃至第4の接触転写部材12Y,12M,12C,12BKが設けられている。図1に示した接触転写部材12Y乃至12BKは、図1における反時計方向に回転する転写ローラとして構成されているが、転写ベルト3に接触する転写ブレード又は転写ブラシなどとして構成された接触転写部材を採用することもできる。第1乃至第4の接触転写部材12Y乃至12BKは、転写ベルト3を介して、それぞれ第1乃至第4の感光体2Y乃至2BKの周面に当接している。
【0012】
ここで、記録媒体上に多色画像を形成する多色モード時の作像動作を説明しながら、画像形成装置のより詳細な構成を明らかにする。
【0013】
第1乃至第4の感光体2Y,2M,2C,2BKは、転写ベルト3に当接しながら、図示していない駆動モータによって、それぞれ図1における時計方向に回転駆動される。このとき、第1の感光体2Yは、帯電装置の一例である帯電ローラ7によって所定の極性に帯電され、次いでその帯電面に光学ユニット8から出射する光変調されたレーザビームLが照射され、これによって第1の感光体2Yに静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置9によってイエロートナー像として可視像化される。また、転写ベルト3を挟んで、第1の感光体2Yに対向配置された第1の接触転写部材12Yは、回転する転写ベルト3に従動して図1における反時計方向に回転している。このとき、この第1の接触転写部材12Yには、第1の感光体2Y上のトナー像の帯電極性と逆極性の転写電圧が印加され、これによって、第1の感光体2Y上のトナー像が、矢印A方向に回転する転写ベルト3の表面に一次転写される。トナー像転写後の第1の感光体12Y上に付着する転写残トナーは、クリーニング装置13によって除去される。また、転写残トナーが除去された第1の感光体12Yの表面には、図示していない除電ランプから出射した除電光が照射され、これによって該感光体12Yの表面電位が初期化される。
【0014】
第2乃至第4の感光体2M,2C,2BKのまわりにも、第1の感光体2Yのまわりに設けられたプロセス機器と同様なプロセス機器、すなわち帯電ローラ、現像装置、クリーニング装置及び除電ランプが配設されていて、上述したところと全く同様にして、第2乃至第3の感光体2M,2C,2BK上にマゼンタトナー像、シアントナー像及びブラックトナー像がそれぞれ形成され、その各トナー像は、イエロートナー像の転写された転写ベルト3上に、第2乃至第4の接触転写部材12M,12C,12BKの作用によって、順次重ねて転写される。
【0015】
一方、光学ユニット8の下方には、例えば転写紙又は樹脂フィルムなどから成る記録媒体Pを収容した給紙カセット14と、給紙ローラ15を有する給紙装置16が配置され、給紙ローラ15の回転によって、最上位の記録媒体Pが矢印B方向に送り出される。送り出された記録媒体は、レジストローラ対17の回転によって、所定のタイミングで転写ベルト3と、これに対置された二次転写ローラ18との間に給送される。このとき、二次転写ローラ18に所定の転写電圧が印加されているので、転写ベルト3上の重ねトナー像が記録媒体Pに二次転写される。
【0016】
重ねトナー像を二次転写された記録媒体は、さらに上方に搬送され、定着装置19の定着ローラ20と加圧ローラ21との間を通り、記録媒体上のトナー像が熱と圧力の作用により定着される。定着装置19を通過した記録媒体は画像形成装置本体の上部の排紙部22に排出される。また、トナー像転写後の転写ベルト3上に付着する転写残トナーはクリーニング装置5によって除去される。
【0017】
図1に示した画像形成装置は、上述のように、各感光体2Y乃至2BKに形成されたトナー像を、転写ベルト3に重ねて一次転写し、その重ねトナー像を記録媒体Pに二次転写するように構成されているが、本発明は、各感光体上のトナー像を、転写ベルトに担持されて搬送される記録媒体上に直に転写し、その記録媒体上の重ねトナー像を定着して記録画像を得る直接転写方式の画像形成装置にも適用できるものである。かかる画像形成装置は、従来より周知であるため、これ以上の説明は省略する。
【0018】
上述の如く、本発明の対象としている画像形成装置は、それぞれ異なる色のトナー像が形成される複数の感光体と、これらの感光体に当接した転写ベルトと、その転写ベルトに接触した状態で、該転写ベルトを介して、各感光体に当接した接触転写部材とを具備し、各接触転写部材の作用により、各感光体に形成されたトナー像を転写ベルト又は転写ベルトに担持されて搬送される記録媒体に転写して記録画像を得るように構成されている。第1乃至第4の接触転写部材により、第1乃至第4の感光体に形成されたトナー像を転写ベルト又は転写ベルトに担持たれて搬送される記録媒体に転写して記録画像を得るのである。
【0019】
また、図1に示した画像形成装置は、上述した多色モードのほかに、記録媒体上に黒画像のみを形成する白黒モードも選択できるように構成されている。この白黒モード時には、第4の感光体2BKが図1における時計方向に回転駆動され、前述したところと全く同様にして、その第4の感光体2BKにブラックトナー像が形成される。第1乃至第3の感光体2Y,2M,2Cにはトナー像は形成されない。第4の感光体2BK上のトナー像は、矢印A方向に回転する転写ベルト3上に第4の接触転写部材12BKの作用で一次転写され、次いでその転写ベルト3上のトナー像は、給紙装置16から給送された記録媒体Pに、二次転写ローラ18の作用により二次転写される。次いでその記録媒体Pが定着装置19を通るとき、記録媒体Pに転写されたトナー像がその記録媒体に定着され、次いで該記録媒体Pが排紙部22に排出される。トナー像転写後に第4の感光体2BKに付着した転写残トナーと、トナー像転写後に転写ベルト3に付着した転写残トナーは、各クリーニング装置によってそれぞれ除去されることも、多色モード時の動作と変りはない。このようにして、白黒画像のみの形成された記録媒体が得られる。
【0020】
以上が画像形成装置の一般的な構成である。次に本発明の特徴とする構成の具体例を明らかにする。
【0021】
図1に示すように、第3の接触転写部材12Cと、第4の接触転写部材12BKとの間には、転写ベルト3の裏面に当接したバックアップローラ23が配置され、このバックアップローラ23の支軸10は、転写ユニット1のユニットケース6に回転可能に支持されている。しかも、このバックアップローラ23の支軸10には、回動フレーム24の基端側が回動可能に枢着され、この回動アーム24は、支軸10のまわりに矢印C,D方向に回動可能となっている。かかる回動フレーム24には、前述の支持ローラ4Dと、転写ローラより成る第1乃至第3の接触転写部材12Y,12M,12Cがそれぞれ回転可能に支持されている。また、この回動フレーム24の上方にはカム26が配置され、そのカム26を固定支持した支軸27は、転写ユニット1のユニットケース6に回転可能に支持されている。カム26は、支軸27の中心からの半径が最も大きな大径部26Aと、支軸27の中心からの半径が最も小さな小径部26Bを有している。さらに、回動フレーム24と、ユニットケース6には、引張ばね25の各端部がそれぞれ係止されている。これによって回動フレーム24は、図1に矢印Cで示した方向、すなわち第1乃至第3の接触転写部材12Y,12M,12Cが第1乃至第3の感光体2Y,2M,2Cから離間する方向に回動付勢され、この付勢作用によって回動アーム24がカム26の周面に圧接する。
【0022】
図1は、カム26の大径部26Aが回動フレーム24に圧接した状態を示しているが、このとき第1乃至第3の接触転写部材12Y,12M,12Cは、これらにそれぞれ対向した第1乃至第3の感光体2Y,2M,2Cに対して、最も大きな当接圧で圧接している。
【0023】
これに対し、図示していない駆動モータによって、カム26の支軸27をほぼ180°回転させて当該カム26の小径部26Bを回動アーム24に圧接させると、回動アーム24は、引張ばね25の作用で、バックアップローラ23の支軸24のまわりに矢印C方向に回動し、第1乃至第3の接触転写部材12Y,12M,12Cは、これらにそれぞれ対向した第1乃至第3の感光体2Y,2M,2Cに対して最も小さな当接圧で圧接する。
【0024】
上述のように、回動アーム24と、引張ばね25と、バックアップローラ23と、カム26と、そのカムを回転駆動する駆動モータは、感光体2Y,2M,2Cとその各感光体に対向配置された接触転写部材12Y,12M,12Cとの当接圧を変更制御する当接圧変更手段30を構成している。
【0025】
なお、図1に示した画像形成装置においては、第4の接触転写部材12BKは、ユニットケース6に回転可能に支持されている。
【0026】
図1は、多色モードが選択されて作像動作が行われているときの状態を示している。これに対し、白黒モードが選択されると、その作像動作の開始に先立って、駆動モータによりカム26が回転駆動され、その小径部26Bが回動フレーム24に圧接する。これにより、回動アーム24が支軸27のまわりに矢印C方向に回動し、第1乃至第3の接触転写部材12Y,12M,12Cと、第1乃至第3の感光体2Y,2M,2Cとの当接圧が最も弱くなる。この状態で、前述の白黒モードの作像動作が実行される。このとき、第4の感光体2BKが図1における時計方向に回動駆動され、その周面にブラックトナー像が形成されるが、第1乃至第3の感光体2Y,2M,2Cは、回転せずに停止したままであるか、又はその回転速度が多色モード時よりも遅い速度に設定される。白黒モード時には、第1乃至第3の感光体2Y,2M,2Cにはトナー像が形成されないので、これらの感光体2Y,2M,2Cが停止し、或いはその速度が遅く設定されても問題はない。これらの感光体を停止させ、又はその速度を遅くすることによって、当該感光体の総回転数を少なくし、その寿命を伸ばすことができる。但し、これらの感光体2Y、2M、2Cを停止させ、又はその速度を遅くすると、これらの感光体と、その表面に当接する転写ベルト3との表面線速度が大きく相違することになるが、前述のように、第1乃至第3の接触転写部材12Y,12M,12Cと第1乃至第3の感光体2Y,2M,2Cとの当接圧は最も低い値に設定されているので、感光体2Y,2M,2Cの表面と転写ベルト3の表面の摺擦により、これらの表面に傷が付けられる不具合を防止することができる。
【0027】
一方、多色モード時には、図1に示したように、カム26の大径部26Aを回動フレーム24に圧接させ、第1乃至第3の接触転写部材12Y,12M,12Cを、転写ベルト3を介して、第1乃至第3の感光体2Y,2M,2Cに、最も大きな当接圧で圧接させる。このときの当接圧は、感光体上のトナー像を転写ベルト3に一次転写するのに適した圧力である。このとき、第4の接触転写部材12BKも、転写ベルト3を介して、トナー像の転写に適した当接圧で第4の感光体2BKに圧接している。この状態で、前述の多色モードの作像動作が実行される。1回のジョブ中に複数枚の記録媒体に、順次、記録画像を形成する場合には、カム26の大径部26Aを回動フレーム24に圧接させたままにして作像動作を順次実行すればよい。そして、作像状態から画像形成装置の停止状態への移行時には次の動作が行われる。
【0028】
ここで、Nを1以上の整数とし、1回のジョブでN枚の記録媒体に記録画像を形成するものとする。また、N枚目の記録媒体に転写されるトナー像が、第1乃至第4の感光体2Y乃至2BKにそれぞれ形成され、その各トナー像が転写ベルト3に順次一次転写され、次いでその転写ベルト3上の重ねトナー像がN枚目の記録媒体に二次転写されるまでの作像工程を最終作像工程と称することにすると、この最終作像工程において、第3の感光体3C上のシアントナー像を転写ベルト3に一次転写し終えた時点以降であって、転写ベルト3が未だ回転している間に、前述の駆動モータによって、それまで図1に示した回転位置を占めていたカム26を、ほぼ180°回転させ、その小径部26Bを回動アーム24に圧接させる。これにより、回動アーム24は、図1に示した位置から、支軸10のまわりに矢印D方向に回動し、第1乃至第3の接触転写部材12Y,12M,12Cと、これらにそれぞれ対向して位置する第1乃至第3の感光体2Y,2M,2Cとの当接圧が弱められる。さらに、この減圧時点以降であって、転写ベルト3が回転している間に、第1乃至第3の感光体2Y,2M,2Cを回転駆動する駆動モータの速度を下げて、これらの感光体2Y,2M,2Cを減速制御する。例えば、第1乃至第3の接触転写部材12Y,12M,12Cと第1乃至第3の感光体2Y,2M,2Cとの当接圧を、トナー像転写時の当接圧の半分以下に下げ、これらの感光体2Y,2M,2Cの回転速度を、トナー像転写時の回転速度の半分以下に低下させるのである。
【0029】
次いで、第4の感光体2BK上のブラックトナー像を転写ベルト3に一次転写し、転写ベルト3上の重ねトナー像を最後の記録媒体に二次転写する。このとき、第4の感光体2BKと第4の接触転写部材12BKとの当接圧は常時トナー像の転写に適した値に維持される。トナー像の二次転写終了後に、第1乃至第4の感光体2Y乃至2BKと転写ベルト3の回転が全て止められる。
【0030】
上述のように、最終作像工程において、転写ベルト3の回転を停止させる前に、転写ベルト3へのトナー像の転写を終えた感光体2Y,2M,2Cの回転速度を下げるので、その感光体2Y,2M,2Cの無用な回転を抑え、その回転数を少なくし、各感光体2Y,2M,2Cの寿命を伸ばすことが可能である。しかも、これらの感光体2Y,2M,2Cに当接し、又は近接して位置するプロセス機器の寿命も伸ばすことができる。例えば、感光体上の転写残トナーを除去するクリーニング装置のクリーニング部材の摩耗を抑え、或いは感光体に対向配置された帯電ローラが早期に汚染することを防止することができる。また、当接圧変更手段によって、感光体2Y,2M,2Cとその各感光体に対向配置された接触転写部材12Y,12M,12Cとの当接圧を下げ、その減圧完了後に感光体2Y,2M,2Cを減速制御するので、その減速制御により、感光体2Y,2M,2Cと転写ベルト3の表面線速に大きな差が生じても、感光体と転写ベルトの表面に傷が付けられる不具合を防止できる。
【0031】
より具体的に示すと、最終作像工程において、第3の感光体3C上のシアントナー像を転写ベルト3に一次転写し終えた時点で、カム26を回転させ、第1乃至第3の感光体2Y,2M,2Cと第1乃至第3の接触転写部材12Y,12M,12Cの当接圧を下げる。この時点から、前述の除電ランプによって、第1乃至第3の感光体の1周分の除電動作を行った後に、第1乃至第3の感光体2Y,2M,2Cの回転速度を、それまでのトナー像転写時の回転速度の1/5に減速する。引き続き、第4の感光体2BK上のトナー像を転写ベルト3に一次転写し終えてから、除電ランプによりその感光体2BKの1周分の除電動作を行う。次いで、転写ベルト3上の重ねトナー像をN枚目の記録媒体Pに二次転写し終えたときに、第1乃至第4の感光体2Y乃至2BKと転写ベルト3の回転を同時に停止させる。
【0032】
上述した構成によれば、これを採用しなかった場合に比べて、第1乃至第3の感光体2Y,2M,2Cは、(第3の感光体2Cから転写ベルト3にトナー像を一次転写する位置と転写ベルト上の重ねトナー像を記録媒体Pに二次転写する位置との間の距離−感光体の周長)×4/5で表わされる移動距離を、不要に走行することを防ぐことができる。
【0033】
以上説明した画像形成装置の当接圧変更手段30は、第1乃至第3の各感光体2Y,2M,2Cとその各感光体に対向して配置された第1乃至第3の接触転写部材12Y,12M,12Cとの当接圧を変更するように構成されているが、当接圧変更手段が、少なくとも1つの感光体とその感光体に対向配置された接触転写部材との当接圧を変更するように構成されていれば、本発明の所期の目的を達成できる。例えば、第1の感光体2Yと第1の接触転写部材12Yとの当接圧だけを変更可能な当接圧変更手段を設け、最終作像工程において、第1の感光体2Y上のイエロートナー像が転写ベルト3に一次転写され終えた時点以降であって、転写ベルト3が回転している間に、当接圧変更手段によって、第1の感光体2Yと第1の接触転写部材12Yとの当接圧を弱め、その減圧時点以降であって、転写ベルト3が回転している間に、第1の感光体2Yを減速制御する。これによっても、支障なく第1の感光体2Yの総回転数を減少させ、その寿命を伸ばすことができる。或いは、第1乃至第4の全ての感光体2Y乃至2BKと、その各感光体に対向配置された第1乃至第4の接触転写部材12Y乃至12BKとの当接圧を変更可能に構成し、最終作像工程において、第4の感光体2BK上のトナー像を転写ベルト3に一次転写し終えた時点以降であって、転写ベルト3が回転している間に、全ての感光体2Y乃至2BKと、全ての接触転写部材12Y乃至12BKとの当接圧を下げ、その減圧時点以降であって、転写ベルト3が回転している間に、全ての感光体2Y乃至2BKを減速制御することもできる。これにより、全ての感光体2Y乃至2BKの総回転数を少なくし、その寿命を伸ばすことができる。
【0034】
感光体に対する当接圧を変更可能とする接触転写部材だけを回動アーム24に回転可能に支持し、他の接触転写部材は、転写ユニット1のユニットフレーム6に回転可能に支持することにより、上述した各構成を実現できるが、図2を参照して後に説明する構成により、又は他の適宜な構成によっても、上述した各構成を実現することができる。
【0035】
また、各感光体2Y乃至2BK上のトナー像を、転写ベルトに担持されて搬送される記録媒体に一次転写する直接転写方式の画像形成装置の場合には、接触転写部材との当接圧が変更可能な感光体に形成されたトナー像を記録媒体に一次転写し終えた時点以降にその感光体と接触転写部材との当接圧を下げればよい。
【0036】
要するに、少なくとも1つの感光体と該感光体に対向配置された接触転写部材との当接圧を変更制御する当接圧変更手段を設け、作像状態から停止状態への移行時に、前記少なくとも1つの感光体上のトナー像を、転写ベルト又は記録媒体に転写し終えた時点以降であって、転写ベルトが回転している間に、当接圧変更手段によって、前記少なくとも1つの感光体と該感光体に対向配置された接触転写部材との当接圧を下げ、その減圧時点以降であって、前記転写ベルトが回転している間に該感光体を減速制御するように画像形成装置を構成するのである。
【0037】
上述した具体例においては、作像状態から停止状態への移行時に、当接圧変更手段によって、感光体と接触転写部材との当接圧を下げ、しかも感光体を減速制御するだけであったが、当接圧変更手段によって、感光体と接触転写部材とを離間させ、その感光体を停止させるように構成することもできる。このようにすれば、感光体の無用な回転をより一層少なくすることができる。しかも、転写ベルトが回転している状態で感光体を停止させたとき、その感光体と転写ベルトは離間しているので、感光体が停止していても、当該感光体と転写ベルトとに傷が付く不具合を阻止できる。かかる構成の画像形成装置をより一般的に示せば、当該画像形成装置は、少なくとも1つの感光体と該感光体に対向配置された接触転写部材との当接圧を変更制御する当接圧変更手段を有し、作像状態から停止状態への移行時に、前記少なくとも1つの感光体上のトナー像を、転写ベルト又は記録媒体に転写し終えた時点以降であって、転写ベルトが回転している間に、当接圧変更手段によって、前記少なくとも1つの感光体と転写ベルトを離間させ、その離間時点以降であって、前記転写ベルトが回転している間に該感光体を停止させるように構成されている。
【0038】
図2は、図1に示した当接圧変更手段30とは異なる当接圧変更手段130を備えた画像形成装置を示す概略図である。ここに示した当接圧変更手段130は、第1乃至第4の接触転写部材12Y乃至12BKにそれぞれ対応して設けられた第1乃至第4のばね受け部材31Y,31M,13C,31BKと、その各ばね受け部材と第1乃至第4の各接触転写部材12Y乃至12BKとの間に圧装された第1乃至第4の圧縮ばね32Y,32M,32C,32BKと、第1乃至第4のばね受け部材31Y乃至31BKに圧接する第1乃至第4のカム33Y,33M,33C,33BKと、その各カムをそれぞれ回転駆動する図示していない第1乃至第4の駆動モータとを有している。第1乃至第4のカム受け部材31Y乃至31BKと、第1乃至第4の接触転写部材12Y乃至12BKは、第1乃至第4の感光体2Y乃至2BKに対して接近又は離間する方向に移動可能に、転写ユニット1のユニットケース6に支持されている。また、第1乃至第4のカム33Y乃至33BKは、回転可能ではあるが、位置不動にユニットケース6に支持されていて、これらのカム33Y乃至33BKも、その回転中心からの半径が最大の大径部34Y,34M,34C,34BKと、回転中心からの半径が最小の小径部35Y,35M,35C,35BKとを有している。また、図2に示した画像形成装置においては、支軸4Dがユニットケース6に、位置不動ではあるが回転可能に支持されている。
【0039】
図2は、上述した第1乃至第4のカム33Y乃至33BKの大径部34Y,34M,34C,34BKが第1乃至第4のばね受け部材31Y乃至31BKにそれぞれ圧接した状態を示している。従って、このとき第1乃至第4の接触転写部材12Y乃至12BKは、転写ベルト3を介して、第1乃至第4の感光体2Y乃至2BKに、トナー像の転写に適した最も大きな当接圧で圧接する。
【0040】
これに対し、前述の第1乃至第4の駆動モータの作動により、第1乃至第4のカム33Y乃至33BKをほぼ180°回転させて、その小径部35Y,35M,35C,35BKを第1乃至第4のばね受け部材31Y乃至31BKにそれぞれ圧接させると、第1乃至第4の接触転写部材12Y乃至12BKは、転写ベルト3を介して、第1乃至第4の感光体2Y乃至2BKに、最も小さな当接圧で圧接する。
【0041】
上述のように、図2に示した当接圧変更手段130は、第1乃至第4の感光体2Y乃至2BKと、これらの感光体にそれぞれ対向配置された第1乃至第4の接触転写部材12Y乃至12BKとの当接圧をそれぞれ変更制御することができる。図2に示した画像形成装置の他の基本構成は図1に示した画像形成装置と変りはなく、図1に示した部分と同一ないしは対応する部分には、図1に付した符号と同一の符号を付してある。
【0042】
図2に示した画像形成装置において、白黒モードが選択されたときは、第1乃至第3の接触転写部材12Y,12M,12Cと第1乃至第3の感光体2Y,2M,2Cとの当接圧を最も弱く設定すると共に、その各感光体2Y,2M,2Cの回転を停止させるか、又はその回転速度をトナー像転写時の速度よりも遅く設定し、第4の接触転写部材12BKと第4の感光体2BKとの当接圧を最大にして、前述した白黒モードの作像動作を実行する。
【0043】
これに対し、多色モードが選択されたときは、図2に示したように、第1乃至第4のカム33Y乃至33BKの大径部34Y乃至34BKを第1乃至第4のばね受け部材31Y乃至31BKにそれぞれ圧接させて、第1乃至第4の接触転写部材12Y乃至12BKを最大の当接圧で、第1乃至第4の感光体2Y乃至2BKにそれぞれ圧接させる。この状態で前述の多色モード時の作像動作を実行するが、最終作像工程においては次の動作が実行される。
【0044】
第1の感光体2Y上のイエロートナー像を転写ベルト3に一次転写し終えた時点以降であって、転写ベルト3が未だ回転している間に、第1の駆動モータにより第1のカム33Yを回転駆動して、その小径部35Yを第1のばね受け部材31に圧接させ、第1の接触転写部材12Yと第1の感光体2Yとの当接圧を下げる。さらに、この減圧時点以降であって、転写ベルト3が未だ回転している間に、第1の感光体2Yの回転速度を、トナー像転写時の速度よりも低速にする。
【0045】
同様にして、第2の感光体2M上のマゼンタトナー像を転写ベルト3に一次転写し終えた時点以降であって、転写ベルト3が未だ回転している間に、第2のカム33Mを回転駆動して、第2の接触転写部材12Mと第2の感光体2Mとの当接圧を最も小さな値に設定し、この減圧時点以降であって、転写ベルト3が未だ回転している間に、第2の感光体2Mの回転速度を、トナー像転写時の速度よりも低速にする。
【0046】
全く同様にして、第3及び第4の感光体2C,2BK上のシアントナー像とブラックトナー像を転写ベルト3に一次転写し終えた時点以降であって、転写ベルト3が未だ回転している間に、第3及び第4の接触転写部材12C,12BKと第3及び第4の感光体2C,2BKとの当接圧をそれぞれ最も小さな値にし、その各減圧時点以降であって、転写ベルト3が未だ回転している間に、第3及び第4の感光体2C,2BKの回転速度を、それぞれトナー像転写時の速度よりも低速にする。
【0047】
より具体的には、最終作像工程において、各感光体2Y乃至2BK上のトナー像を転写ベルト3に一次転写し終える毎に、各接触転写部材12Y乃至12BKと、各感光体2Y乃至2BKとの当接圧を、トナー像転写時の当接圧の1/2以下とし、その各減圧後に、除電ランプによって各感光体2Y乃至2BKの1周分除去した後、各感光体2Y乃至2BKの回転速度を1/2以下、例えば1/5に減速する。転写ベルト3に一次転写された重ねトナー像がN枚目の記録媒体に二次転写された後に、第1乃至第4の感光体2Y乃至2BKと転写ベルト3の回転を停止する。
【0048】
上述した構成によっても、感光体と転写ベルトの表面に傷を付けることなく、感光体の総回転数を少なく留め、その寿命を伸ばすことができる。各感光体の回転速度を、上述のように1/5に減速させるとすると、その減速を行わなかった場合に比べ、各感光体2Y乃至2BKは、(各感光体から転写ベルトにトナー像を一次転写する位置と、転写ベルト上の重ねトナー像を記録媒体に二次転写する位置との間の距離−各感光体の周長)×4/5で表わされる移動距離を不要に走行することを防ぐことができる。
【0049】
図2に示したように、カムと圧縮ばねなどによって感光体と接触転写部材との当接圧を変更するように構成した場合も、少なくとも1つの感光体とこれに対向配置された接触転写部材との当接圧を変更できるように構成すればよい。しかも、かかる当接圧変更手段は、各感光体上のトナー像を転写ベルトに担持されて搬送される記録媒体に転写する直接転写方式の画像形成装置にも採用することができる。
【0050】
ところで、一般に、上述した画像形成装置においては、その画像形成装置のプリントキーの押下により、或いはパソコンへの入力によって、作像開始指令が生ぜしめられると、実際に第1乃至第4の感光体への作像を開始する前に、全ての感光体と転写ベルトを予備的に回転駆動し、画像形成装置の各要素が作像可能な状態に立ち上がってから、各感光体への画像形成を開始している。このように、図2に示した画像形成装置の感光体と転写ベルトを予備回転させ、次いで作像動作に移行する際、図2に示した画像形成装置を次のように制御すると、感光体の総回転数をより一層減少させることができる。
【0051】
作像開始指令に伴って、第1乃至第4の感光体2Y乃至2BKと、転写ベルト3が予備回転を開始するが、この予備回転時に、当接圧制御手段130によって、第1乃至第4の感光体2Y乃至2BKと、その各感光体に対向配置された第1乃至第4の接触転写部材12Y乃至12BKとの当接圧がトナー像転写時の当接圧よりも低く設定されていると共に、第1乃至第4の感光体2Y乃至2BKの回転速度がトナー像転写時の回転速度よりも低速に設定されている。図2に示した第1乃至第4のカム33Y乃至33BKの小径部35Y乃至35BKが第1乃至第4のばね受け部材31Y乃至31BKにそれぞれ圧接して、各感光体と各接触転写部材との当接圧を一番低く設定し、かつ各感光体の回転速度を、例えばトナー像転写時の1/5に設定するのである。このとき、転写ベルト3は、トナー像転写時の通常の速さで回転駆動される。
【0052】
上述のように、感光体2Y乃至2BKの予備回転時にその回転速度を遅くするので、各感光体の総回転数を少なくすることができる。しかも、このとき各感光体2Y乃至2BKと各接触転写部材12Y乃至12BKとの当接圧が低く設定されているので、互いに当接しながら異なった表面線速で回転する各感光体2Y乃至2BKと転写ベルト3の表面に傷が付けられることはない。
【0053】
上述のように感光体と転写ベルトを予備回転させる間に、各要素の立ち上げが完了する。すると、各感光体2Y乃至2BKが帯電ローラにより帯電され、光学ユニット8から出射するレーザ光が各感光体に照射されて各感光体への画像書き込みが開始され、引き続きその画像書き込みにより形成された静電潜像が現像装置によってトナー像として可視像化される。かかる作像開始に当って、第1の感光体2Yへの画像書き込み(すなわち感光体へのレーザ光の照射)の開始前に、その第1の感光体2Yの回転速度がトナー像転写時の回転速度に上昇させられると共に、その上昇時点以降であって、第1の感光体2Yから転写ベルト3へのトナー像の転写の開始前に、当接圧変更手段130によって、第1の感光体2Yと第1の接触転写部材12Yとの当接圧がトナー像転写時の当接圧に高められる。第1の駆動モータの回転により、第1のカム33Yをほぼ180°回転させて、大径部34を第1のばね受け31Yに圧接させ、第1の感光体2Yと第1の接触転写部材12Yとの当接圧を上昇させるのである。このようにして、第1の感光体2Yに支障なく静電潜像を形成し、その静電潜像をトナー像として可視像化して、当該トナー像を転写ベルト3に一次転写することができる。
【0054】
同様にして、第1の感光体2Yへの画像書き込み開始後であって、第2の感光体2Mへの画像書き込み開始前に、該第2の感光体2Mの回転速度をトナー像転写時の回転速度に上昇させ、その上昇時点以降であって、第2の感光体2Mから転写ベルト3へのトナー像の転写の開始前に、当接圧変更手段130によって、第2の感光体2Mと第2の接触転写部材12Mとの当接圧をトナー像転写時の当接圧に高める。さらに、第2の感光体2Mへの画像書き込み開始後であって、第3の感光体2Cへの画像書き込み開始前に、該第3の感光体2Cの回転速度をトナー像転写時の回転速度に上昇させ、その上昇時点以降であって、第3の感光体2Cから転写ベルト3へのトナー像の転写の開始前に、当接圧変更手段130によって、第3の感光体2Cと第3の接触転写部材12Cとの当接圧をトナー像転写時の当接圧に高める。同様に、第3の感光体2Cへの画像書き込み開始後であって、第4の感光体2BKへの画像書き込み開始前に、該第4の感光体2BKの回転速度をトナー像転写時の回転速度に上昇させ、その上昇時点以降であって、第4の感光体2BKから転写ベルト3へのトナー像の転写の開始前に、当接圧変更手段130によって、第4の感光体2BKと第4の接触転写部材12BKとの当接圧をトナー像転写時の当接圧に高める。
【0055】
上述のようにして、第2乃至第4の感光体2M,2C,2BKにも支障なく静電潜像を形成し、その静電潜像をトナー像化すると共に、当該トナー像を転写ベルト3上に一次転写することができる。
【0056】
上述した例では、各感光体2Y乃至2BKから転写ベルト3へのトナー像の開始前に、各感光体2Y乃至2BKと各接触転写部材12Y乃至12BKとの当接圧を高めたが、各感光体上のトナー像を、転写ベルトに担持された記録媒体に一次転写する直接転写方式の画像形成装置の場合には、各感光体から記録媒体へのトナー像の転写の開始前に、当接圧変更手段によって、各感光体と各接触転写部材との当接圧をトナー像転写時の当接圧に高めればよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】画像形成装置の一例を示す概略断面図である。
【図2】画像形成装置の他の例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0058】
2Y,2M,2C,2BK 感光体
3 転写ベルト
12Y,12M,12C,12BK 接触転写部材
30,130 当接圧変更手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ異なる色のトナー像が形成される複数の感光体と、これらの感光体に当接した転写ベルトと、該転写ベルトに接触した状態で、該転写ベルトを介して、各感光体に当接した接触転写部材とを具備し、各接触転写部材の作用により、各感光体に形成されたトナー像を転写ベルト又は転写ベルトに担持されて搬送される記録媒体に転写して記録画像を得る画像形成装置において、
少なくとも1つの感光体と該感光体に対向配置された接触転写部材との当接圧を変更制御する当接圧変更手段を設け、作像状態から停止状態への移行時に、前記少なくとも1つの感光体上のトナー像を、前記転写ベルト又は記録媒体に転写し終えた時点以降であって、転写ベルトが回転している間に、前記当接圧変更手段によって、前記少なくとも1つの感光体と該感光体に対向配置された接触転写部材との当接圧を下げ、その減圧時点以降であって、前記転写ベルトが回転している間に該感光体を減速制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
それぞれ異なる色のトナー像が形成される複数の感光体と、これらの感光体に当接した転写ベルトと、該転写ベルトに接触した状態で、該転写ベルトを介して、各感光体に当接した接触転写部材とを具備し、各接触転写部材の作用により、各感光体に形成されたトナー像を転写ベルト又は転写ベルトに担持されて搬送される記録媒体に転写して記録画像を得る画像形成装置において、
少なくとも1つの感光体と該感光体に対向配置された接触転写部材との当接圧を変更制御する当接圧変更手段を設け、作像状態から停止状態への移行時に、前記少なくとも1つの感光体上のトナー像を、前記転写ベルト又は記録媒体に転写し終えた時点以降であって、転写ベルトが回転している間に、前記当接圧変更手段によって、前記少なくとも1つの感光体と転写ベルトを離間させ、その離間時点以降であって、前記転写ベルトが回転している間に該感光体を停止させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
転写ベルトの移動方向に沿って配設された第1乃至第4の4つの感光体と、該第1乃至第4の感光体のそれぞれに対向配置された第1乃至第4の接触転写部材と、第1乃至第4の感光体とこれらの感光体にそれぞれ対向配置された第1乃至第4の接触転写部材との当接圧をそれぞれ変更制御する当接圧変更手段とを有し、作像開始指令に伴って、前記第1乃至第4の感光体と、転写ベルトが回転を開始したとき、前記当接圧制御手段によって、該第1乃至第4の感光体と、その各感光体に対向配置された第1乃至第4の接触転写部材との当接圧がトナー像転写時の当接圧よりも低く設定されていると共に、第1乃至第4の感光体の回転速度がトナー像転写時の回転速度よりも低速に設定されていて、前記第1の感光体への画像書き込み開始前に、該第1の感光体の回転速度をトナー像転写時の回転速度に上昇させ、その上昇時点以降であって、第1の感光体から転写ベルト又は記録媒体へのトナー像の転写の開始前に、前記当接圧変更手段によって、第1の感光体と第1の接触転写部材との当接圧をトナー像転写時の当接圧に高め、前記第1の感光体への画像書き込み開始後であって、前記第2の感光体への画像書き込み開始前に、該第2の感光体の回転速度をトナー像転写時の回転速度に上昇させ、その上昇時点以降であって、第2の感光体から転写ベルト又は記録媒体へのトナー像の転写の開始前に、前記当接圧変更手段によって、第2の感光体と第2の接触転写部材との当接圧をトナー像転写時の当接圧に高め、前記第2の感光体への画像書き込み開始後であって、前記第3の感光体への画像書き込み開始前に、該第3の感光体の回転速度をトナー像転写時の回転速度に上昇させ、その上昇時点以降であって、第3の感光体から転写ベルト又は記録媒体へのトナー像の転写の開始前に、前記当接圧変更手段によって、第3の感光体と第3の接触転写部材との当接圧をトナー像転写時の当接圧に高め、前記第3の感光体への画像書き込み開始後であって、前記第4の感光体への画像書き込み開始前に、該第4の感光体の回転速度をトナー像転写時の回転速度に上昇させ、その上昇時点以降であって、第4の感光体から転写ベルト又は記録媒体へのトナー像の転写の開始前に、前記当接圧変更手段によって、第4の感光体と第4の接触転写部材との当接圧をトナー像転写時の当接圧に高める請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
それぞれ異なる色のトナー像が形成される第1乃至第4の感光体と、これらの感光体に当接した転写ベルトと、該転写ベルトに接触した状態で、該転写ベルトを介して、第1乃至第4の感光体のそれぞれに当接した第1乃至第4の接触転写部材とを具備し、該第1乃至第4の接触転写部材の作用により、前記第1乃至第4の感光体に形成されたトナー像を転写ベルト又は転写ベルトに担持されて搬送される記録媒体に転写して記録画像を得る画像形成装置において、
前記第1乃至第4の感光体とこれらの感光体にそれぞれ対向配置された第1乃至第4の接触転写部材との当接圧をそれぞれ変更制御する当接圧変更手段を設け、作像開始指令に伴って、前記第1乃至第4の感光体と、転写ベルトが回転を開始したとき、前記当接圧制御手段によって、該第1乃至第4の感光体と、その各感光体に対向配置された第1乃至第4の接触転写部材との当接圧がトナー像転写時の当接圧よりも低く設定されていると共に、第1乃至第4の感光体の回転速度をトナー像転写時の回転速度よりも低速に設定し、前記第1の感光体への画像書き込み開始前に、該第1の感光体の回転速度をトナー像転写時の回転速度に上昇させ、その上昇時点以降であって、第1の感光体から転写ベルト又は記録媒体へのトナー像の転写の開始前に、前記当接圧変更手段によって、第1の感光体と第1の接触転写部材との当接圧をトナー像転写時の当接圧に高め、前記第1の感光体への画像書き込み開始後であって、前記第2の感光体への画像書き込み開始前に、該第2の感光体の回転速度をトナー像転写時の回転速度に上昇させ、その上昇時点以降であって、第2の感光体から転写ベルト又は記録媒体へのトナー像の転写の開始前に、前記当接圧変更手段によって、第2の感光体と第2の接触転写部材との当接圧をトナー像転写時の当接圧に高め、前記第2の感光体への画像書き込み開始後であって、前記第3の感光体への画像書き込み開始前に、該第3の感光体の回転速度をトナー像転写時の回転速度に上昇させ、その上昇時点以降であって、第3の感光体から転写ベルト又は記録媒体へのトナー像の転写の開始前に、前記当接圧変更手段によって、第3の感光体と第3の接触転写部材との当接圧をトナー像転写時の当接圧に高め、前記第3の感光体への画像書き込み開始後であって、前記第4の感光体への画像書き込み開始前に、該第4の感光体の回転速度をトナー像転写時の回転速度に上昇させ、その上昇時点以降であって、第4の感光体から転写ベルト又は記録媒体へのトナー像の転写の開始前に、前記当接圧変更手段によって、第4の感光体と第4の接触転写部材との当接圧をトナー像転写時の当接圧に高めることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−96751(P2008−96751A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−279228(P2006−279228)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】