説明

画像形成装置

【課題】出力画像のバンディングを抑制することができる画像形成装置を得る。
【解決手段】装着位置に配置されたLPH20の支持部材38の側面部38Bには、粘弾性部材62がコイルスプリング72の付勢力で付勢されている。このように、コイルスプリング72が粘弾性部材62を側面部38Bへ付勢することで、LPH20の側方への振動の振幅を減少させ、これにより、LPH20の振動を減衰させることができる。また、LPH20の脱着時には、粘弾性部材62が回転するため、粘弾性部材62がLPH20と摺動して変形したり、劣化することはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体ドラムの表面を露光する複数個の発光素子が並べられた発光器を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の画像形成装置では、感光体ドラムの軸方向へ延びる発光器が、感光体ドラムの表面に沿って配置されている。この発光器の両端部には、感光体ドラムへ向って延びる当接棒が設けられている。そして、この当接棒の先端部を感光体ドラムの軸受部材と当接させることで、発光器の焦点距離を所定の距離に保つことができ、良質な出力画像を得ることが出来るようになっている。
【特許文献1】特開2001−130047公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、発光器の中央部には、当接ピンが設けられていないため、発光器に外力が作用すると発光器の中央部では、発光器が変形して発光器の焦点距離を所定の距離に保つことができない。仮に発光器の中央部に当接ピンを設けると、感光体ドラムの露光領域に当接させなければならないため、発光器の中央部に当接ピンを設けることはできない。
【0004】
そこで、この画像形成装置の発光器では、各部を駆動するモータ等の振動による外乱により発光器の中央部が変形し、発光器が振動する。この発光器の振動により、発光器の焦点距離が変化し、出力画像にすじ(所謂バンディング)が発生することが考えられる。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、出力画像のバンディングを抑制することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る画像形成装置は、光の照射によって潜像が形成される感光体ドラムと、前記感光体ドラムの軸方向に沿って延びると共に、前記感光体ドラムの表面へ光を照射する複数の発光素子が並べられ、フレーム部材に対して脱着方向に可動させ脱着される発光器と、前記発光器と当接し、前記脱着方向へ回転可能とされた減衰部材と、を有することを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、画像形成装置には、感光体が設けられている。また、フレーム部材に対して脱着方向に可動させ脱着される発光器は、感光体ドラムの軸方向に沿って延びて設けられている。さらに、発光器には、感光体ドラムの外表面へ光を照射する複数の発光素子が並べられている。
【0008】
また、発光器の脱着方向へ回転可能とされた減衰部材が、発光器と当接している。
【0009】
ここで、フレーム部材がモータ等の駆動源の振動により振動すると、発光器は振動しようとする。
【0010】
しかし、減衰部材が発光器と当接しているため、発光器の振動エネルギーが吸収され、振幅が減少するため、発光器の振動を減衰させることができる。
【0011】
また、発光器の脱着時には、減衰部材が回転するため、減衰部材が発光器と摺動して変形したり、劣化することはない。そして、発光器と減衰部材の当接状態が安定するため、所定の減衰効果を得ることができる。
【0012】
このように、発光器の振動が低減されるため、出力画像のバンディングを抑制することができる。
【0013】
本発明の請求項2に係る画像形成装置は、請求項1に記載において、前記減衰部材を揺動可能に支持する揺動部材と、前記揺動部材を前記発光器へ向けて付勢する付勢部材と、を有することを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、揺動部材が減衰部材を揺動可能に支持し、さらに、付勢部材が揺動部材を発光器へ向けて付勢する。
【0015】
このように、付勢部材が揺動部材を発光器へ向けて付勢することで、減衰部材が発光器に押し付けられる。これにより、発光器と減衰部材の当接力を所定の値に保つことができ、安定した状態で、発光器の振動を減衰させることができる。
【0016】
本発明の請求項3に係る画像形成装置は、請求項1又は2に記載において、前記発光器は、前記発光素子が発光した光を透過する光学部材と、前記光学部材を支持する直方体形状の支持部材と、を備え、前記支持部材は、前記発光器の焦点方向と直交する直交面部と、前記直交面部と直交する側面部と、を備え、前記減衰部材は、ローラであって、前記側面部に当接することを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、感光体ドラムの軸方向に沿って延びて設けられる発光器は、発光素子が発光した光を透過する光学部材と、光学部材を支持する直方体形状の支持部材を備えている。
【0018】
また、支持部材は、発光器の焦点方向と直交する直交面部と、直交面部と直交する側面部を備えている。
【0019】
そして、ローラである減衰部材は、支持部材の側面部に当接している。発光器を脱着させる際には、ローラが回転するため、発光器を無理なく脱着させることができる。
【0020】
また、減衰部材が側面部に当接しているため、発光器の側方への振動を減衰させることができる。
【0021】
本発明の請求項4に係る画像形成装置は、請求項1又は2に記載において、前記発光器は、前記発光素子が発光した光を透過する光学部材と、前記光学部材を支持する直方体形状の支持部材と、を備え、前記支持部材は、前記発光器の焦点方向と直交する直交面部と、前記直交面部と直交する側面部と、を備え、前記減衰部材は、ローラであって、前記直交面部に当接することを特徴とする。
【0022】
上記構成によれば、感光体ドラムの軸方向に沿って延びて設けられる発光器は、発光素子が発光した光を透過する光学部材と、光学部材を支持する直方体形状の支持部材を備えている。
【0023】
また、支持部材は、発光器の焦点方向と直交する直交面部と、直交面部と直交する側面部を備えている。
【0024】
そして、ローラである減衰部材は、支持部材の直交面部に当接している。発光器を脱着させる際には、ローラが回転するため、発光器を無理なく脱着させることができる。
【0025】
また、減衰部材が直交面部に当接しているため、発光器の焦点方向の振動を減衰させることができる。
【0026】
本発明の請求項5に係る画像形成装置は、請求項1又は2に記載において、前記発光器は、前記発光素子が発光した光を透過する光学部材と、前記光学部材を支持する直方体形状の支持部材と、を備え、前記支持部材は、前記発光器の焦点方向と直交する直交面部と、前記直交面部と直交する側面部と、を備え、それぞれの前記側面部には、前記焦点方向と直交する当接面部を備えた突起部材が配置され、前記減衰部材は、前記側面部と前記当接面部に当接することを特徴とする。
【0027】
上記構成によれば、感光体ドラムの軸方向に沿って延びて設けられる発光器は、発光素子が発光した光を透過する光学部材と、光学部材を支持する直方体形状の支持部材を備えている。
【0028】
また、支持部材は、発光器の焦点方向と直交する直交面部と、直交面部と直交する側面部を備えている。さらに、それぞれの側面部には、焦点方向と直交する当接面部を備えた突起部材が配置されている。
【0029】
そして、減衰部材は、支持部材の側方面部と突起部材の当接面部に当接している。このため、発光器の側方への振動と焦点方向へ振動を減衰させることができる。
【0030】
本発明の請求項6に係る画像形成装置は、請求項1から5何れか1項に記載において、前記発光器の脱着方向は、前記発光器の焦点方向であることを特徴とする。
【0031】
上記構成によれば、発光器の脱着方向は発光器の焦点方向である。発光器の脱着時には、減衰部材が焦点方向に回転するため、減衰部材が発光器と摺動して変形したり、劣化することはない。
【0032】
本発明の請求項7に係る画像形成装置は、請求項1から5何れか1項に記載において、前記発光器の脱着方向は、前記感光体ドラムの軸方向であることを特徴とする。
【0033】
上記構成によれば、発光器の脱着方向は感光体ドラムの軸方向である。発光器の脱着時には、減衰部材が軸方向に回転するため、減衰部材が発光器と摺動して変形したり、劣化することはない。
【0034】
本発明の請求項8に係る画像形成装置は、請求項1から7何れか1項に記載において、前記減衰部材は、粘弾性部材で構成されることを特徴とする。
【0035】
上記構成によれば、減衰部材は、粘弾性部材で構成される。このため、発光器の振動により粘弾性部材が変形し、発光器の振動エネルギーを吸収することで、発光器の振動を減衰させることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明の画像形成装置によれば、出力画像のバンディングを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の実施形態を図1〜図6に従って説明する。
【0038】
図6に示されるように、画像形成装置10には、本体を構成する筐体11の内部に、複数のローラ12に張架され、モータ(図示省略)の駆動により矢印A方向に搬送される無端ベルト状の中間転写体ベルト14が設けられている。
【0039】
この画像形成装置10は、カラー画像の形成に対応しており、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色に対応するトナー像を形成する画像形成ユニット15Y、15M、15C、15Kが、中間転写体ベルト14の長手方向に沿って配置されている。
【0040】
なお、各色毎に設けられた部材については、符号の末尾に各々の色を示すアルファベット(Y/M/C/K)を付与して示すが、特に色を区別せずに説明する場合は、この符号末尾のアルファベットを省略して説明する。
【0041】
画像形成ユニット15は、図示しないモータ及びギアからなる駆動手段によって反時計方向へ回転する感光体ドラム16を備えている。
【0042】
さらに、感光体ドラム16の周面には、感光体ドラム16の表面を所定の電位に一様に帯電させるための帯電ローラ18が配置されている。帯電ローラ18は、導電性のローラであり、その周面が感光体ドラム16の周面に接触し、かつ帯電ローラ18の軸線方向と感光体ドラム16の軸線方向とが一致するように配設されている。
【0043】
また、感光体ドラム16の回転方向の帯電ローラ18よりも下流側の周面には、感光体ドラム16上に静電潜像を形成するための発光素子としてのLED(発光ダイオード)を光源とした発光器としてのLEDプリントヘッド(LPH)20が感光体ドラム16の軸方向に延びて備えられている。なお、以後、LEDプリントヘッド20をLPH20と記載する。
【0044】
図5に示すように、LPH20は、多数のLEDをライン状に配列したLEDチップ30が配置されたLEDアレイ28と、LEDから出力された光を感光体表面に結像させるために、複数のロッドレンズを配列したセルフォックレンズアレイ32と、セルフォックレンズアレイ32を支持する直方体状の支持部材38を含んで構成されている。
【0045】
詳細には、LEDアレイ28は、LEDアレイ28の駆動を制御する各種信号を供給するための回路が形成されたプリント基板28Aに、LEDチップ30が複数配置されて構成されている。LEDアレイ28全体のLEDの数は、解像度に応じた画素(ドット)数分、例えば、A3サイズ(420mm×297mm)の用紙まで対応し、LEDの配列方向(LPH長手方向)について600dpiで印刷する場合には、約7020個設けられている。
【0046】
さらに、LEDチップ30は、各々のLEDの配列方向をLPH20の長手方向に一致させるとともに、取付位置を所定のピッチだけ交互にずらしてLPH20の長手方向に並べられ(千鳥配置)、プリント基板28Aに取り付けられている。
【0047】
このようにLEDチップ30を千鳥配置にしたことにより、LPH20の長手方向に隣接するLEDチップ30のLPH長手方向位置を重複させて配置することができ、各LEDの間隔にばらつきが発生することがないようになっている。
【0048】
なお、LEDチップ30の配置は、LPH長手方向のLEDの配設間隔が等間隔であれば、千鳥配置に拘らず一列に並べて配置してもよいし、LEDチップ30を複数個ではなく1つだけ配置してあってもよい。
【0049】
また、セルフォックレンズアレイ32は、結像レンズとして、LEDアレイ28と感光体ドラム16との間に設けられている。セルフォックレンズアレイ32は、屈折率分布型のロッドレンズが、例えば、解像度に応じた各画素(ドット)に対応したピッチで配列されて構成されており、各LEDから出射された光ビームを感光体ドラム16上に結像させる。なお、LPH20については、詳細を後述する。
【0050】
上記構成のLPH20は、画像データに応じて光ビームを感光体ドラム16に照射することにより、感光体ドラム16上に静電潜像を形成するようになっている。
【0051】
さらに、図6に示されるように、各感光体ドラム16の回転方向のLPH20よりも下流側の周面には、感光体ドラム16上に形成された静電潜像を所定色(イエロー/マゼンタ/シアン/ブラック)のトナーによって現像してトナー像を形成させる現像器22が配設されている。
【0052】
現像器22は、感光体ドラム16に近接配置され、回転可能に設けられた円筒状の現像ローラ24を有している。現像ローラ24は、現像バイアスが印加され、現像器22内に装填されたトナーが周面に付着される。現像ローラ24の回転により、現像ローラ24に付着されたトナーが感光体ドラム16の表面に搬送され、トナーが感光体ドラム16に擦りつけられて、感光体ドラム16上に形成された静電潜像が現像される構成となっている。
【0053】
また、各感光体ドラム16の回転方向の現像器22よりも下流側の周面には、各感光体ドラム16上のトナー像を中間転写体ベルト14に転写する転写ローラ25が設けられている。転写ローラ25は、所定の電位に帯電されて時計方向に回転して中間転写体ベルト14を所定の速度で搬送し、感光体ドラム16に順次対向させる。これにより、転写ローラ25は、感光体ドラム16上のトナーを中間転写体ベルト14上に転写させるようになっている。
【0054】
また、感光体ドラム16の周面の転写ローラ25よりも下流側には、感光体ドラム16上の転写残トナーやリトランスファートナー等の残留トナーを回収するクリーニングブレード26が配置されている。クリーニングブレード26は、一辺が感光体ドラム16と接触するように配設されており、中間転写体ベルト14に転写されずに感光体ドラム16上に残留したトナーや、転写時に感光体ドラム16上に付着してしまった他の色のトナー等を削ぎとって回収するようになっている。
【0055】
ここで、各画像形成ユニット15により形成された互いに異なる色のトナー像は、中間転写体ベルト14のベルト面上で、互いに重なり合うように転写される。これにより、中間転写体ベルト14上にカラーのトナー像が形成される。なお、本実施形態では、このようにして4色のトナー像が重ねて転写されたトナー像を最終トナー像と称する。
【0056】
4つの画像形成ユニット15よりも中間転写体ベルト14の搬送方向下流側には、対向する2つのローラ34A、34Bからなる転写装置34が配設されている。中間転写体ベルト14上に形成された最終トナー像は、このローラ34A、34Bの間に送り込まれ、画像形成装置10の底部に設けられた用紙トレイ36から取り出されて、同じくローラ34A、34Bの間に搬送されてきたシート材Pに転写されるようになっている。
【0057】
また、最終トナー像が転写されたシート材Pの搬送経路には、加熱ローラ40Aと加圧ローラ40Bとからなる定着装置40が配設されている。定着装置40に搬送されたシート材Pは、加熱ローラ40Aと加圧ローラ40Bとによって挟持搬送されることにより、シート材P上のトナーが溶融すると共にシート材Pに圧着されて、定着される。
【0058】
一方、転写装置34よりも中間転写体ベルト14の搬送方向下流側には、転写装置34によってシート材Pに転写されずに中間転写体ベルト14上に残留したトナーを回収するクリーナ42が配設されている。クリーナ42には、中間転写体ベルト14に接するようにブレード44が備えられており、残留したトナーを擦り取ることによって回収する。
【0059】
上記構成による画像形成装置10では、次のようにして画像が形成される。
【0060】
まず、帯電ローラ18が、感光体ドラム16の表面を予定の帯電部電位で一様にマイナス帯電する。さらに、帯電された感光体ドラム16上の画像部分が予定の露光部電位になるようにLHP20で露光を行ない感光体ドラム16上に静電潜像が形成される。
【0061】
すなわち、図示せぬ制御部から供給される画像データに基づき、LHP20のレーザ光をオン・オフすることによって画像に対応した静電潜像が各感光体ドラム16上に形成される。
【0062】
さらに、回転する感光体ドラム16上の静電潜像が現像器22に備えられた現像ローラ24を通過すると、電気力によって現像剤Gのトナーが静電潜像へ付着し、静電潜像はトナー画像として可視化される。
【0063】
可視化された各色のトナー画像は、転写ローラ25の電気力で中間転写体ベルト14へ順次転写され、中間転写体ベルト14上にカラーの最終トナー画像が形成される。
【0064】
この最終トナー像は、転写装置34に設けられたローラ34A、34Bの間に送り込まれ、用紙トレイ36から取り出されて、同じくローラ34A、34Bの間に搬送されてきたシート材Pに転写される。
【0065】
さらに、シート材Pへ転写されたトナー画像は定着装置40で定着され、シート材Pは、装置外へ排出される。
【0066】
次に、LPH20、及び感光体ドラム16について詳細に説明する。
【0067】
図1に示されるように、感光体ドラム16は、両端面から外側へ突設された円柱状の軸部50を有している。さらに、感光体ドラム16の両端部には、円筒形状のベアリング52がそれぞれ設けられ、ベアリング52は感光体ドラム16を回転可能に支持している。
【0068】
さらに、感光体ドラム16と対向するように、感光体ドラム16の下方には、LPH20が配置されており、LPH20の両端部には、ベアリング52へ向って延びる当接ピン46が夫々設けられている。
【0069】
図3(A)に示されるように、この当接ピン46の先端部はベアリング52の表面に当っており、LPH20の感光体ドラム16に対する焦点方向が所定の距離に保たれる。また、当接ピン46が固定されるLPH20の支持部材38は、LPH20の焦点方向と直交面部38Aと直交面部38Aと直交する側面部38Bを備えている。
【0070】
一方、LPH20の両端部には、図示せぬフレーム部材に固定され、上方が開放された断面コ字形状とされるブラケット54(図1参照)が設けられている。
【0071】
このブラケット54の立設板54Aの内側には、半球形状の突起部56が設けられており、突起部56に対向する立設板54Aには、断面く字形状の板バネ58が設けられている。この板バネ58の端部は、立設板54Aに固定され、板バネ58は、支持部材38の側面部38Bを付勢し、支持部材38を突起部56に押し付けている。
【0072】
さらに、立設板54Aには、支持部材38の直交面部38Aを下方から付勢する一対の断面く字形状の板バネ60が対向して取り付けられている。詳細には、板バネ60の傾斜部60Aで直交面部38Aを焦点方向に付勢し、当接ピン46をベアリング52に当てるようになっている。
【0073】
この構成により、LPH20の両端部は、ブラケット54に支持されるようになっている。
【0074】
また、LPH20は、焦点方向に脱着可能とされており、図3(A)に示すLPH20の装着位置から駆動手段(図示省略)でLPH20を下方へ移動させることで図3(B)に示す離脱位置へ移動するようになっている。
【0075】
LPH20を装着位置から離脱位置へ移動させる際には、板バネ60が撓むことでLPH20が下方へ移動可能となり、LPH20が離脱位置へ移動すると板バネ60が復帰して、板バネ60の傾斜部60Bが支持部材38の上方に位置した直交面部38Aと当接する。これにより、LPH20は離脱位置で支持されるようになっている。
【0076】
一方、図1に示されるように、減衰部材であるローラ状の粘弾性部材62が、LPH20の側面部38Bの長手方向中央部に当接している。
【0077】
詳細には、図2(A)に示されるように、ローラ状の粘弾性部材62の中心部には、粘弾性部材62を回転可能に支持する軸部材64が、感光体ドラム16の軸方向へ延びている。また、粘弾性部材62の両端部から露出した軸部材64は、長板状の揺動部材66の一端に固定され、揺動部材66の他端は、直方体状の保持部材68に軸部70で軸支されている。
【0078】
さらに、揺動部材66の長手方向中央部には、引張り用のコイルスプリング72の一端が固定されており、コイルスプリング72の他端は、保持部材68に固定されている。この構成により、粘弾性部材62は、コイルスプリング72の付勢力で、軸部70を中心に反時計方向(矢印B方向)へ回転しようとし、支持部材38の側面部38Bへ付勢される。
【0079】
また、図2(B)に示す離脱位置へLPH20が移動する際は、粘弾性部材62は、側面部38Bとの摩擦力で反時計方向へ回転し、側面部38Bと離間するようになっている。さらに、LPH20が離脱位置へ移動すると、粘弾性部材62を支持する揺動部材66が軸部70を中心に反時計方向へ揺動し、軸部70に設けられた図示せぬストッパーによって揺動部材66は、水平方向に保持される。
【0080】
LPH20を図2(B)に示す離間位置から図2(A)に示す装着位置へ移動させる際は、前述した動作と逆動作となる。つまり、装着位置へ移動するLPH20の側面部38Bに粘弾性部材62が当り、粘弾性部材62が時計方向に回転すると共に、揺動部材66が時計方向へ揺動する。これにより、粘弾性部材62がコイルスプリング72によって側面部38Bに付勢される初期位置に復帰する。
【0081】
ここで、本願の発明者は、実験にて、両端部が支持されたLPH20の中央部を粘弾性部材62を介して付勢した場合と、粘弾性部材62を介さずに付勢した場合とで、LPH20の振幅について調査した。
【0082】
図4に示されるように、粘弾性部材62を用いると、固有周波数近傍で顕著に振幅が低減するのが分かる。
【0083】
ここで、LPH20が各部を駆動するモータ等の振動により加振され、LPH20が振動して、LPH20の感光体ドラム16に対する焦点距離が変化して、出力画像にすじ(所謂バンディング)が発生する場合がある。
【0084】
しかし、本実施形態では、装着位置に配置されたLPH20の支持部材38の側面部38Bには、粘弾性部材62がコイルスプリング72の付勢力で付勢されている。
【0085】
このように、コイルスプリング72が粘弾性部材62を側面部38Bへ付勢することで、LPH20の側方への振動の振幅を減少させ、これにより、LPH20の振動を減衰させることができる。
【0086】
また、LPH20の脱着時には、粘弾性部材62が回転するため、粘弾性部材62がLPH20と摺動して変形したり、劣化することはない。
【0087】
また、コイルスプリング72が粘弾性部材62をLPH20に押し付けるため、LPH20と粘弾性部材62の当接力を所定の値に保つことができ、安定した状態で、LPH20の振動を減衰させることができる。
【0088】
このように、LPH20の振動が低減されるため、出力画像のバンディングを抑制することができる。
【0089】
なお、粘弾性部材76の材質としては、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、ポリノルボルネンゴム、軟質ポリウレタン、シリコーンゲル、ウレタンゲル等を選択することができるが、本実施形態では、シリコーンゴムを用いている。
【0090】
次に第2実施形態の画像形成装置10について図7から図8に従って説明する。
【0091】
なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0092】
この実施形態では、図7、図8に示されるように、第1実施形態のように、粘弾性部材80は、コイルスプリング72によって支持部材38の側面部38Bに付勢されておらず、直交面部38Aに付勢されている。また、粘弾性部材80の外形は、一回り小さくされている。
【0093】
このように、コイルスプリング72が粘弾性部材80を支持部材38の直交面部38Aへ付勢することで、LPH20の焦点方向への振動の振幅を減少させ、LPH20の振動を減衰させることができる。
【0094】
次に第3実施形態の画像形成装置10について図9から図11に従って説明する。
【0095】
なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0096】
この実施形態では、図9、図10に示されるように、第1実施形態のように、粘弾性部材88は、LPH20の焦点方向へ回転可能に軸支されておらず、感光体ドラム16の軸方向へ回転可能に軸支されている。
【0097】
また、図9、図11に示されるように、LPH20の両端部には、図示せぬフレーム部材に固定され、上方が開放された断面コ字形状とされるブラケット82が設けられている。
【0098】
このブラケット82の立設板82Aの内側には、半球形状の突起部84が設けられており、突起部84に対向する立設板54Aには、上から見て断面く字形状の板バネ86が設けられている。この板バネ86の端部は、立設板82Aに固定され、板バネ86は、支持部材38の側面部38Bを付勢し、支持部材38を突起部84に押し付けている。
【0099】
この構成により、LPH20の両端部は、ブラケット54に支持されるようになっており、さらに、図11(A)に示す装着位置から感光体ドラム16の軸方向(矢印C方向)へLPH20を移動させることで、図11(B)に示す離脱位置へLPH20を移動させることができるようになっている。
【0100】
また、図10(A)に示されるように、コイルスプリング72が粘弾性部材88を支持部材38の側面部38Bへ付勢することで、LPH20の側方への振動の振幅を減少させ、LPH20の振動を減衰させることができる。
【0101】
また、図10(B)に示されるように、LPH20を感光体ドラム16の軸方向(矢印C方向)へ移動させて脱着させる際には、粘弾性部材80が回転するため、粘弾性部材80がLPH20と摺動して変形したり、劣化することはない。
【0102】
次に第4実施形態の画像形成装置10について図12から図13に従って説明する。
【0103】
なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0104】
この実施形態では、図12、図13に示されるように、第1実施形態と違い、粘弾性部材62は、LPH20を挟んで反対側にも配置されている。
【0105】
さらに、支持部材38の夫々の側面部38Bには、LPH20の焦点方向と直交する当接面部90Aを備えた断面三角形状の突起部材90が設けられている。
【0106】
この構成により、コイルスプリング72は、粘弾性部材62を側面部38Bと当接面部90Aに付勢している。
【0107】
このようにして、粘弾性部材62を側面部38Bと当接面部90Aに付勢することで、LPH20の側方への振動と焦点方向へ振動を減衰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に採用された、感光体ドラム及びLPH等を示した斜視図である。
【図2】(A)(B)本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に採用された、感光体ドラム及びLPH等の長手方向中央部の断面図である。
【図3】(A)(B)本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に採用された、感光体ドラム及びLPH等の長手方向端部の断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に採用されたLPHにおける振動の実験結果を示した図面である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に採用された、LPHを示した斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置に採用された、感光体ドラム及びLPH等を示した斜視図である。
【図8】(A)(B)本発明の第2実施形態に係る画像形成装置に採用された、感光体ドラム及びLPH等の長手方向中央部の断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る画像形成装置に採用された、感光体ドラム及びLPH等を示した斜視図である。
【図10】(A)(B)本発明の第3実施形態に係る画像形成装置に採用された、感光体ドラム及びLPH等の長手方向中央部の断面図である。
【図11】(A)(B)本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に採用された、感光体ドラム及びLPH等の長手方向端部の断面図である。
【図12】本発明の第4実施形態に係る画像形成装置に採用された、感光体ドラム及びLPH等を示した斜視図である。
【図13】(A)(B)本発明の第4実施形態に係る画像形成装置に採用された、感光体ドラム及びLPH等の長手方向中央部の断面図である。
【符号の説明】
【0109】
10 画像形成装置
16 感光体ドラム
20 LPH(発光器)
32 セルフォックレンズアレイ(光学部材)
38 支持部材
38B 側面部
38A 直交面部
54 ブラケット(フレーム部材)
62 粘弾性部材(減衰部材)
66 揺動部材
72 コイルスプリング(付勢部材)
76 粘弾性部材(減衰部材)
80 粘弾性部材(減衰部材)
82 ブラケット(フレーム部材)
90A 当接面部
90 突起部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の照射によって潜像が形成される感光体ドラムと、
前記感光体ドラムの軸方向に沿って延びると共に、前記感光体ドラムの表面へ光を照射する複数の発光素子が並べられ、フレーム部材に対して脱着方向に可動させ脱着される発光器と、
前記発光器と当接し、前記脱着方向へ回転可能とされた減衰部材と、
を有することを特徴とした画像形成装置。
【請求項2】
前記減衰部材を揺動可能に支持する揺動部材と、
前記揺動部材を前記発光器へ向けて付勢する付勢部材と、
を有することを特徴とした請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記発光器は、前記発光素子が発光した光を透過する光学部材と、前記光学部材を支持する直方体形状の支持部材と、を備え、
前記支持部材は、前記発光器の焦点方向と直交する直交面部と、前記直交面部と直交する側面部と、を備え、
前記減衰部材は、ローラであって、前記側面部に当接することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記発光器は、前記発光素子が発光した光を透過する光学部材と、前記光学部材を支持する直方体形状の支持部材と、を備え、
前記支持部材は、前記発光器の焦点方向と直交する直交面部と、前記直交面部と直交する側面部と、を備え、
前記減衰部材は、ローラであって、前記直交面部に当接することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記発光器は、前記発光素子が発光した光を透過する光学部材と、前記光学部材を支持する直方体形状の支持部材と、を備え、
前記支持部材は、前記発光器の焦点方向と直交する直交面部と、前記直交面部と直交する側面部と、を備え、
それぞれの前記側面部には、前記焦点方向と直交する当接面部を備えた突起部材が配置され、
前記減衰部材は、前記側面部と前記当接面部に当接することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記発光器の脱着方向は、前記発光器の焦点方向であることを特徴とする請求項1から5何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記発光器の脱着方向は、前記感光体ドラムの軸方向であることを特徴とする請求項1から5何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記減衰部材は、粘弾性部材で構成されることを特徴とする請求項1から7何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−14984(P2009−14984A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176291(P2007−176291)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】