説明

画像形成装置

【課題】生体情報読取装置を作業台に対して取り付けつつ、ユーザ認証を行う際の操作性を向上することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、指定されたジョブを実行する画像処理ユニットを備えた装置本体2と、装置本体に対して棚状に取り付けられる作業台9と、作業台9に対して支持台7を介して取り付けられ、ユーザの生体情報を読み取る生体情報読取装置8と、生体情報読取装置8から得られる生体情報に基づいてユーザ認証を行い、ユーザを特定することができた場合に画像処理ユニット5に関する機能の実行を許可するCPU10とを備えている。生体情報読取装置8は、作業台9に対して所定の軸周りに回動可能に取り付けられ、作業台9に対する姿勢を調整可能とした構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報を用いてユーザを特定する機能を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機やMFP(Multi Function Peripheral)などと呼ばれる画像形成装置は、近年、ネットワーク環境で使用されるようになっており、例えば画像形成装置において原稿を読み取った際の画像データをネットワーク経由で他のコンピュータに出力することや、画像形成装置がネットワーク上のコンピュータにアクセスし、そこに保存されている画像データを読み出して出力することなどが可能である。そのため画像形成装置を使用することによる情報の流出や消失などを防止するため、近年は画像形成装置を使用するに際して高いセキュリティ機能が求められるにようになっている。
【0003】
従来、画像形成装置のセキュリティを高める技術として、例えばユーザの指紋などの生体情報を読み取ってユーザ認証を行い、その認証結果に応じて画像形成装置における各種機能の利用を許可する技術が知られている(例えば、特許文献1)。かかる技術によれば、ユーザの生体情報を読み取る生体情報読取装置は操作パネルの内側に組み込むように構成されているため、操作パネルが大型化する。このような操作パネルは、通常、画像形成装置本体の前面側に張り出した状態で固定されている。そのため、例えば画像形成装置において紙詰まりが生じた場合などのメンテナンス作業の作業性を考慮すれば、操作パネルの大型化は抑制することが好ましい。
【0004】
一方、従来は、操作パネルとは別に、装置本体の側面に対して作業台を設置し、この作業台の上に生体情報読取装置を設置するようにした画像形成装置も公知である。図17は、このような従来の画像形成装置100を示す図である。従来の画像形成装置100は、装置本体100aの前面側に、ユーザが各種操作入力を行うための操作パネル110が設けられている。また装置本体100aの側面には操作パネル110とは別に作業台120が設けられており、ユーザはこの作業台120の上を一時的な作業スペースとして活用することができると共に、生体情報読取装置130がこの作業台120の上に設置されている。したがって、図17に示す画像形成装置100によれば、操作パネル110自体が大型化することを抑制できるという利点がある。
【0005】
【特許文献1】特開2005−123699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図17に示す画像形成装置100のように生体情報読取装置130が作業台120の上のほぼ中央に一定の状態で設置されていると、ユーザ認証を行うためにはユーザは作業台120の上に手を伸ばし、かつ生体情報読取装置130に対して生体情報の読み取りが可能となる適切な状態で指を載せる必要がある。ところが、画像形成装置を使用するユーザの身長、腕の長さや手の大きさなどは、個人差によるばらつきが大きいため、上記のような動作を行う際、ユーザによっては無理な姿勢を強いられることがあり、従来の画像形成装置100は、ユーザ認証を行う際の操作性が悪いという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、上記従来の問題点を解決することを目的としてなされたものであり、生体情報読取装置を作業台に対して取り付けつつ、ユーザ認証時の操作性を向上することができる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、画像形成装置であって、指定されたジョブを実行する画像処理ユニットを備えた装置本体と、前記装置本体に対して棚状に取り付けられる作業台と、ユーザの生体情報を読み取る生体情報読取手段と、前記生体情報読取手段から得られる生体情報に基づいてユーザ認証を行い、ユーザを特定することができた場合に前記画像処理ユニットに関する機能の実行を許可する制御手段と、を備え、前記生体情報読取手段が、前記作業台に対して所定の軸周りに回動可能に設置されることを特徴としている。
【0009】
かかる構成によれば、作業台に設置される生体情報読取手段が所定の軸周りに回動可能であるので、作業台に対する生体情報読取手段の姿勢を変化させることができる。そのため、ユーザ認証を行う際には、ユーザ自身が無理な姿勢をとることなく、生体情報読取手段を操作しやすい姿勢に適宜調整したうえで生体情報読取手段に対する操作を行うことができ、画像形成装置においてユーザ認証を行う際の操作性が改善される。
【0010】
また請求項2にかかる発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記生体情報読取手段が、前記作業台に対して上下方向及び/又は左右方向に回動可能に設置されることを特徴としている。
【0011】
かかる構成によれば、生体情報読取手段が、作業台に対して上下方向及び/又は左右方向に回動可能である。そのためユーザ認証を行う際には、生体情報読取手段を上下方向及び/又は左右方向に回動させることによって生体情報読取手段の姿勢を操作しやすい姿勢に適宜調整することができるようになる。尚、生体情報読取手段は、作業台に対して上下方向及び左右方向の2方向に回動可能であっても良いし、いずれかの1方向のみに回動可能であっても良い。また上下方向及び左右方向の2方向に加え、さらに他の方向にも回動可能として良い。
【0012】
また請求項3にかかる発明は、請求項2記載の画像形成装置において、上下方向及び/又は左右方向に回動する回動機構を介して前記作業台に取り付けられた支持台を更に備え、前記生体情報読取手段が、前記支持台に配置されることを特徴としている。
【0013】
かかる構成によれば、生体情報読取手段が支持台に設けられており、その支持台が上下方向及び/又は左右方向に回動する回動機構を介して作業台に取り付けられる。そのため、回動機構を調整して作業台に対する支持台の姿勢を調整することにより、作業台に対する生体情報読取手段の姿勢を調整することができる。
【0014】
また請求項4にかかる発明は、請求項3に記載の画像形成装置において、前記支持台が、所定の軸周りに回動して前記作業台の下部に収納可能であることを特徴としている。
【0015】
かかる構成によれば、画像形成装置に対するメンテナンス作業時など、支持台が作業の妨げになるような場合には、支持台を作業台の下部に収納することができ、作業性を向上させることができる。
【0016】
また請求項5にかかる発明は、請求項4記載の画像形成装置において、前記支持台が、前記作業台に対して折りたたみ可能であることを特徴としている。
【0017】
かかる構成によれば、画像形成装置に対するメンテナンス作業時など、支持台が作業の妨げになるような場合には、支持台を作業台に対して折りたたむことで作業台の下部に収納することができ、作業性を向上させることができる。
【0018】
また請求項6にかかる発明は、請求項3乃至5のいずれかに記載の画像形成装置において、前記回動機構には、予め定められた回動位置又は任意の回動位置で回動を停止させ、前記支持台の姿勢を保持する保持手段が設けられることを特徴としている。
【0019】
かかる構成によれば、回動機構に設けられた保持手段が、回動調整された支持台の姿勢を保持するので、支持台および生体情報読取手段の姿勢が安定し、ユーザ認証を行う際の操作性がより向上する。
【0020】
また請求項7にかかる発明は、請求項3乃至6のいずれかに記載の画像形成装置において、前記生体情報読取手段はユーザの手の指から生体情報を読み取るように構成され、前記支持台は、前記生体情報読取手段がユーザの手の指から生体情報を読み取る際に、ユーザの手を補助的に支持するための補助部材を備えることを特徴としている。
【0021】
かかる構成によれば、ユーザ認証を行うためにユーザが手の指を生体情報読取手段に配置する際、ユーザの手を補助部材に置いて支持させることができる。したがって、ユーザの手が安定し、生体情報読取手段に配置する指がぶれることを抑制できるので、生体情報の読み取りエラーなどが減少し、安定したユーザ認証が行えるようになる。
【0022】
また請求項8にかかる発明は、請求項3乃至7のいずれかに記載の画像形成装置において、前記支持台は、前記生体情報読取手段の周囲に設けた規制手段を備えており、前記生体情報読取手段は、前記規制手段によって規定される範囲内で移動可能であることを特徴としている。
【0023】
かかる構成によれば、生体情報読取手段が、規制手段によって規定された範囲内で支持台の上を移動可能であるため、生体情報読取手段のとり得る姿勢がさらに多様なものとなり、生体情報読取手段をより一層操作しやすい姿勢に調整することができる。
【0024】
また請求項9にかかる発明は、請求項3乃至8のいずれかに記載の画像形成装置において、前記生体情報読取手段には、読み取った生体情報を出力するケーブルが接続され、前記支持台は、前記生体情報読取手段から延びる前記ケーブルを所定長さの位置で固定する固定手段を備えることを特徴としている。
【0025】
かかる構成においても、生体情報読取手段は、所定長さ分のケーブルによって規定された範囲内で支持台の上を移動可能となるため、生体情報読取手段のとり得る姿勢がさらに多様なものとなり、生体情報読取手段をより一層操作しやすい姿勢に調整することができる。
【0026】
また請求項10にかかる発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載の画像形成装置において、前記生体情報読取手段が、ユーザの手の指の静脈パターンを読み取る静脈パターン読取装置であることを特徴としている。
【0027】
かかる構成によれば、利用しやすく、かつ高いセキュリティレベルでのユーザ認証が行えるようになる。
【発明の効果】
【0028】
本発明にかかる画像形成装置によれば、画像形成装置を使用するユーザの身長、腕の長さや手の大きさなどに応じて生体情報読取手段を所定の軸周りに回動させることにより、作業台に対する生体情報読取装置の姿勢を調整することができるので、ユーザ認証時にユーザ自身が無理な姿勢をとる必要がなく、生体情報読取手段に対して適切な状態で指などを載せることが行いやすくなる。したがって、生体情報読取装置を作業台に対して取り付けつつも、ユーザ認証を行う際の操作性を向上させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。尚、以下に説明する幾つかの実施形態において互いに共通する部材については同一符号を付しており、それらについて繰り返しとなる説明は省略する。
【0030】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態における画像形成装置1の外観構成を示す斜視図である。この画像形成装置1は、いわゆる複合機やMFPなどと呼ばれる装置であり、コピー機能、FAX機能、プリンタ機能、スキャナ機能など、複数の機能を備えており、例えばLANなどのネットワークに接続可能であると共に、電話回線などの通信網にも接続可能である。そして画像形成装置1において原稿を読み取った際の画像データをネットワーク経由で他のコンピュータに出力することや、画像形成装置1がネットワーク上のコンピュータにアクセスし、そこに保存されている画像データを読み出して出力することなどができると共に、通信網を介してFAXデータなどのデータの送受信ができるように構成されている。この画像形成装置1は、装置本体2の上部に設けられた画像読取部3と、装置本体2のほぼ中央内部に設けられた画像形成部4とを備えており、これら画像読取部3と画像形成部4とにより、ユーザによって指定されたジョブを実行する画像処理ユニット5が構成されている。
【0031】
画像読取部3は、原稿を読み取って画像データを生成する画像読取手段であり、例えば画像形成装置1のコピー機能、FAX機能又はスキャナ機能が使用される際に動作する。画像読取部3は、読取ガラス3aの上に載置された原稿を読み取って画像データを生成する。尚、読取ガラス3aの上部には、読取ガラス3aに対して接離自在なように回動する蓋部材3bが設けられているが、この蓋部材3bの代わりに複数枚の原稿を1枚ずつ画像読取部3に搬送する自動原稿搬送装置(いわゆるADF)を設けても良い。
【0032】
例えば画像形成装置1においてコピー機能に関するジョブの実行が指示された場合、画像読取部3は原稿を読み取って画像データを生成し、その画像データを画像形成部4に出力する。またFAX機能又はスキャナ機能に関するジョブの実行が指示された場合、画像読取部3は原稿を読み取って画像データを生成し、その画像データは画像形成装置1の外部に出力される。
【0033】
画像形成部4は、入力する画像データに基づいて画像形成を行う画像形成手段であり、例えば画像形成装置1のコピー機能、FAX機能又はプリンタ機能が使用される際に動作する。この画像形成部4は、入力する画像データに基づいて画像形成媒体となる用紙などに画像形成を行い、プリント出力を行う。
【0034】
例えば画像形成装置1においてコピー機能に関するジョブの実行が指示された場合、画像形成部4は、画像読取部3から入力する画像データに基づいて用紙に画像形成を行って出力する。またFAX機能又はプリンタ機能に関するジョブの実行が指示された場合、画像形成部4は画像形成装置1の外部から入力する画像データに基づいて用紙などに画像形成を行って出力する。
【0035】
画像形成装置1の装置本体2の前面側(正面側)には、ユーザが画像形成装置1を使用する際に各種設定や操作を行うための操作入力手段として操作パネル6が設けられている。操作パネル6は、各種情報を表示するための表示部61を備えており、この表示部61の前面にはタッチパネル62が設けられている。また表示部61の周囲には、画像形成装置1に対する各種設定操作を行ったり、ジョブの実行を指示したりするための複数の操作ボタン63が配置されている。このような操作パネル6は装置本体2の前面側から張り出した張出部2aの先端に取り付けられ、この張出部2aによってユーザが視認しやすく、且つ操作しやすい角度で支持されている。
【0036】
また画像形成装置1の装置本体2の側面には、画像読取部3とほぼ同じ高さ位置に着脱可能な作業台9が棚状に取り付けられている。この作業台9は、その上面に略平坦な平板部9aと、平板部9aの前方端部から下方に垂下する前面壁9cと、平板部9aの側方端部から下方に垂下する側面壁9bとを備えており、例えば樹脂成形などによってこれらが一体形成された構成となっている。この作業台9は、装置本体2の側面に沿って前後方向に長く配置された平板部9aの上を一時的な作業スペースとして利用可能であり、例えば読み取り対象となる原稿やプリント出力された用紙などを置くことができるようになっている。
【0037】
そして作業台9の側面壁9bの前方端部には、ほぼ水平な回動軸R1周りに回動可能な支持台7が取り付けられており、この支持台7の側面に対して生体情報読取装置8が着脱可能に取り付けられる。したがって、生体情報読取装置8は、作業台9の側面に対して支持台7を介して取り付けられ、作業台9に対してほぼ水平な回動軸R1周りの矢印M1方向(上下方向)に回動可能となる。言い換えると、作業台9は、平板部9aの上の作業スペースに対して何ら影響を与えることなく、支持台7および生体情報読取装置8を回動軸R1周りの矢印M1方向に回動可能に支持している。
【0038】
生体情報読取装置8はユーザの手の指から生体情報を読み取る生体情報読取手段であり、本実施形態ではユーザの手の指から静脈の血管パターンを読み取る静脈パターン読取装置として構成されている。生体情報読取装置8は読み取り対象となるユーザの指を配置するために凹溝状に形成された読取部8aを備えており、この読取部8aに指が置かれた状態で指の静脈パターンを読み取る構成となっている。生体情報読取装置8が読み取った生体情報は平板部9aの下部を配線されるケーブル8bを介して装置本体2内部に出力され、画像形成装置1においてユーザの認証が行われる。このユーザ認証では、生体情報読取装置8が読み取った静脈パターンが、画像形成装置1に予め登録されたユーザの静脈パターンに一致するか否かの静脈認証が行われる。
【0039】
静脈認証は、静脈パターンという生体内部の特徴を利用してユーザの認証を行うものであるため、指紋認証や顔認証などのようにユーザの外見に現れる特徴を読み取って認証する場合と比較すれば、ユーザに与える心理的抵抗感は少なく、また偽造が極めて困難であるという利点を有している。そのため、本実施形態の画像形成装置1は、利用しやすく、かつ高いセキュリティレベルでのユーザ認証が行えるようになっている。
【0040】
尚、生体情報読取装置8はユーザの掌の静脈パターンを読み取るものであっても良いが、その場合には装置が大型化する。そのため、装置の小型化を図る点では、上述したようにユーザの手の指の静脈パターンを読み取る装置とすることがより好ましい。
【0041】
図2は、図1における作業台9を拡大した図であり、支持台7から生体情報読取装置8を取り外した状態を示している。図2に示すように支持台7には、円形の孔7aが形成されている。この孔7aには作業台9の側面壁9bから水平方向に設けられた軸部材20が装着されている。軸部材20は、支持台7を回動させる回動機構として設けられ、上述した回動軸R1に対応する。そのため支持台7は軸部材20に対して回動する。図3は、生体情報読取装置8を取り外した状態の支持台7を側方からみた図である。図3に示すように、軸部材20と孔7aの内壁との間には抵抗部材21が配置されており、該抵抗部材21によって支持台7の回動に一定の抵抗力が付与されている。そのため、支持台7を回動させる力が、抵抗部材21の抵抗力よりも大きい場合には支持台7が軸部材20の周りに回動するのに対し、抵抗部材21の抵抗力よりも小さい場合には支持台7は回動せず、任意の回動位置で停止した状態となる。抵抗部材21の抵抗力は、人が手又は指で支持台7を回動操作したとき、容易に支持台7を回動させることができる程度に設定される。したがって、抵抗部材21は、支持台7の回動を許容し、かつ、任意の回動位置で回動を停止させ、支持台7の姿勢を保持する保持手段として設けられている。
【0042】
また図2に示すように支持台7の側面には生体情報読取装置8の裏面側を保持する保持部材7bが設けられている。保持部材7bは生体情報読取装置8を着脱可能に保持するものであり、例えば面ファスナー部材や磁石などで構成される。なおこの場合、生体情報読取装置8の裏面側にも保持部材7bと対になる面ファスナー部材や磁石などが設けられる。また保持部材7bは両面テープなどの面接着材を用いても良い。さらに支持台7と生体情報読取装置8とをネジ止めするなど、他の手法を用いて生体情報読取装置8を支持台7に取り付けても良い。
【0043】
このようにして支持台7に取り付けられる生体情報読取装置8は、作業台9の側面壁9bの前方端部において上下方向に回動可能となり、かつ、任意の回動位置でその姿勢を保持することができるようになっている。また本実施形態では、作業台9の平板部9aの上面を全て作業スペースとして活用できるようになるため、従来の画像形成装置(図17参照)と比較すれば、原稿などを一時的に載置するための作業スペースを広く確保できるようになる。
【0044】
つぎに図4は、本実施形態における画像形成装置1の機能的な構成を示したブロック図である。図4に示すように、画像形成装置1の装置本体2には、上述した画像読取部3および画像形成部4の他、CPU10と、メモリ11と、データ通信部13とが設けられている。画像読取部3および画像形成部4は上述したように画像形成装置1における画像処理ユニット5を構成しており、この画像処理ユニット5によってコピー機能、FAX機能、プリンタ機能およびスキャナ機能における各種の画像処理が行われ、ユーザによって指定されたジョブが実行される。データ通信部13は、その内部に通信インタフェースを備えており、ネットワークや通信網と接続して外部の装置(例えばコンピュータやFAX装置など)とデータの送受信を行う。
【0045】
生体情報読取装置8は、凹溝状の読取部8aの側面に配置された投光部81と、読取部8aの底面に配置された撮像部82とを備えており、投光部81が読取部8aに配置されたユーザの指の側面から赤外光を照射し、指を透過して読取部8aの底面に向かう光が撮像部82に入射するように構成されている。生体情報読取装置8には装置本体2の図示しない電源から常時電力が供給されており、投光部81は常時赤外光を照射し続けると共に、撮像部82は常時赤外光を検知できるようになっている。撮像部82が出力する情報には2種類の情報があり、ひとつは読取部8aに何らかの物体が配置されたときに出力する検知情報であり、もうひとつは例えばCPU10から読取指令を受信した場合にユーザの手の指の静脈パターンを読み取って出力する生体情報である。したがって、生体情報読取装置8は、読取部8aにユーザの手の指など何らかの物体が配置されたか否かを常時監視しており、それを検知した時点で検知情報を出力すると共に、CPU10から読取指令を受信するとそれに応答して静脈パターンの読み取りを行い、生体情報を出力する。なお、生体情報は静脈パターンを撮像した画像データであるが、検知情報は画像データである必要はなく、単なるオン・オフ信号で良い。
【0046】
尚、生体情報読取装置8は必ずしも上述した2種類の情報を出力することが可能なものである必要はなく、CPU10から読取指令を受信した場合の生体情報のみを出力するものであっても構わない。
【0047】
メモリ11は、各種情報やプログラムなどを記憶する記憶手段であり、本実施形態ではユーザ管理データ12が格納されている。ユーザ管理データ12は、画像形成装置1のセキュリティを向上させるため、画像形成装置1を使用することができるユーザを管理するデータである。このユーザ管理データ12には、画像形成装置1を使用することが許可されたユーザごとに生体情報登録データ12aと機能登録データ12bとが互いに関連づけられて予め登録されている。生体情報登録データ12aは、ユーザ登録時に生体情報読取装置8で読み取った生体情報を予め登録したデータである。また機能登録データ12bは、登録されたユーザが使用できる画像形成装置1の機能を予め登録したデータである。例えば、あるユーザは画像形成装置1のコピー機能のみを使用できるが、別のユーザはコピー機能とスキャナ機能とを使用することができ、さらに別のユーザは画像形成装置1の全ての機能を使用することができる、というように機能登録データ12bにはユーザごとに使用することが許可された機能が登録されている。
【0048】
CPU10は、所定のプログラムを実行することにより、画像形成装置1の動作を制御する制御手段である。このCPU10は、生体情報読取装置8からユーザの生体情報(静脈パターン)を入力してユーザの認証を行い、その認証の結果、ユーザを特定することができた場合にそのユーザに対して予め許可された1つ又は複数の機能を実行許可状態とし、ユーザがそれら機能を使用できる状態とする。
【0049】
例えばCPU10は、生体情報読取装置8から検知情報を入力すると、生体情報読取装置8に対して読取指令を送出し、生体情報読取装置8の読取部8aに置かれたユーザの手の指からの生体情報の読み取りを行わせる。またCPU10は、操作ボタン63に含まれる認証キー(ユーザ認証の開始を指示する操作ボタン)が操作された場合にも、生体情報読取装置8に対して読取指令を送出し、生体情報読取装置8の読取部8aに置かれたユーザの手の指からの生体情報の読み取りを行わせる。そしてCPU10は生体情報読取装置8から生体情報を取得し、その取得した生体情報を、メモリ11に格納されている生体情報登録データ12aと照合して生体情報の認証、すなわちユーザの認証を行い、生体情報読取装置8から取得した生体情報が、生体情報登録データ12aに含まれる複数ユーザの生体情報のうちいずれか一つと適合する場合には、その適合した生体情報の登録ユーザを特定する。
【0050】
このようにしてユーザが特定されると、CPU10は、画像形成装置1における各種機能のうち、特定されたユーザに予め許可された機能を使用可能な状態に移行させる。具体的には、メモリ11から機能登録データ12bを読み込み、特定されたユーザに対して機能登録データ12bに登録されている1つ又は複数の機能を特定し、画像形成装置1においてそれらの機能を実行することが可能な実行許可状態とする。これに伴い、CPU10は、操作パネル6の表示部61の表示画面を初期画面から更新し、画像形成装置1において実行許可状態となった各種機能を操作するための操作案内画面(例えば、メニュー画面や設定画面など)を表示すると共に、タッチパネル62および操作ボタン63に対する入力操作を受け付け、その入力情報を許可された各種機能に反映させる。これにより、例えば画像形成装置1のコピー機能が使用される場合には、コピー部数の設定や両面/片面コピーの選択設定などが可能になる。そしてユーザが操作ボタン63に含まれる実行キー(ジョブの実行を指示する操作ボタン)を操作した場合、CPU10が画像処理ユニット5およびデータ通信部13を制御することにより指定されたジョブを実行させる。
【0051】
このように本実施形態では、画像形成装置1を使用するユーザの生体情報を生体情報読取装置8によって読み取り、その生体情報に基づいてユーザ認証を行った結果、ユーザを特定することができた場合に限り、画像形成装置1の各種機能を使用することができる状態に移行させるので、不特定者によって画像形成装置1が使用されることを防止でき、画像形成装置1のセキュリティが確保されるようになっている。
【0052】
そして本実施形態の画像形成装置1は、上述したように生体情報読取装置8が作業台9の側面壁9bに取り付けられているので、作業台9の上に十分な作業スペースを確保することができ、作業台9の利便性をより高めることができるようになっている。
【0053】
また本実施形態の画像形成装置1は、上述したように生体情報読取装置8を取り付けた支持台7が作業台9に対して上下方向に回動可能であり、かつ任意の位置で停止可能であるため、作業台9および装置本体2に対する生体情報読取装置8の姿勢を自由に設定できるようになっている。そのため、ユーザごとに身長や腕の長さ、或いは手の大きさなどが異なる場合であっても、画像形成装置1を使用するユーザは、生体情報読取装置8の姿勢を調整することにより、ユーザ自身の身長などに合わせて生体情報読取装置8の読取部8aに指を載せやすい状態に設定することができる。それ故、ユーザ自身が無理な姿勢をとる必要はなく、ユーザ認証を行う際の操作性が向上する。そしてユーザは、姿勢調整された生体情報読取装置8の読取部8aに対し、適切な角度などで指を載せることが行い易くなり、その結果、生体情報読取装置8における読み取りエラーが少なくなると共に、画像形成装置1において適切なユーザ認証が行われるようになるので、ユーザ認証時の信頼性も向上させることができる。
【0054】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施形態では、生体情報読取装置8を取り付けた支持台7が作業台9に対して左右方向に回動可能とした一構成例について説明する。なお、本実施形態でも、画像形成装置の機能的な構成は第1の実施の形態で説明したものと同様である。
【0055】
図5は、第2の実施の形態における画像形成装置1の外観構成を示す斜視図である。図5に示すように本実施形態では、第1の実施の形態と同様、画像形成装置1の装置本体2の側面2bに対して作業台9が棚状に取り付けられている。そして作業台9の平板部9aの前方下部には、ほぼ垂直な回動軸R2周りに回動可能な支持台7が取り付けられており、この支持台7の上面に生体情報読取装置8が載置して設けられる。
【0056】
図5に示すように作業台9の前方側でかつ装置本体2寄りとなる作業台9のコーナー部分近傍には平板部9aに軸支された軸部材22が下方に延設されている。軸部材22は支持台7を回動させる回動機構として設けられ、上述の回動軸R2に対応する。支持台7の後端部はこの軸部材22の下部に回動可能に支持されており、支持台7は軸部材22周りの矢印M2方向(左右方向)に回動する。したがって、作業台9の前方に支持台7を介して設けられた生体情報読取装置8は、支持台7と共に作業台9に対してほぼ垂直な回動軸R2周りの矢印M2方向(左右方向)に回動可能となる。言い換えると、作業台9は、平板部9aの上の作業スペースに対して何ら影響を与えることなく、支持台7および生体情報読取装置8を回動軸R2周りの矢印M2方向に回動可能に支持している。
【0057】
なお、本実施形態では、第1の実施の形態で説明したような抵抗部材21を特に設けずとも、支持台7は任意の回動位置で停止可能であり、かつその姿勢を保持することができるが、支持台7の姿勢をより安定させるために第1の実施の形態と同様の抵抗部材21などを保持手段として設けても良い。
【0058】
上記のような支持台7を、図5に示すように装置本体2に対して前方側に回動させた状態とする場合、生体情報読取装置8は作業台9の更に前方側に設置することができる。そのため、ユーザ認証を行う際、ユーザは手を作業台9の上まで伸ばす必要がなくなり、無理な姿勢をとることなく、生体情報読取装置8の読取部8aに指を載せることができるようになる。また支持台7を矢印M2方向に回動させれば、それに伴って支持台7に載置された生体情報読取装置8もその姿勢(向き)を変化させるため、ユーザの位置に応じて生体情報読取装置8の姿勢(向き)を調整することができる。さらに生体情報読取装置8は支持台7の上に載置された状態であるので、ユーザ認証を行う際には支持台7を回動させることなく、支持台7の上の生体情報読取装置8の姿勢(向き)だけを自由に調整することもできる。それ故、ユーザは生体情報読取装置8の読取部8aに対して適切な角度などで指を載せることが行い易くなり、操作性が向上する。そして生体情報読取装置8における読み取りエラーが少なくなり、画像形成装置1において適切なユーザ認証が行われるようになるので、ユーザ認証時の信頼性も向上させることができる。
【0059】
また図5に示す状態では、生体情報読取装置8と操作パネル6との距離が短くなるので、ユーザ認証を行った後に操作パネル6に対する設定操作などを行う際の腕の移動距離を短くでき、この点においても操作性を向上することができる。
【0060】
図6は作業台9を拡大した図である。図6に示すように本実施形態の画像形成装置1は、支持台7を軸部材22に対して回動させることにより、支持台7を作業台9の平板部9aの下部に収納可能となっている。そのため、例えば画像形成装置1において紙詰まりが生じた場合などのメンテナンス作業を行う際には、支持台7に載置していた生体情報読取装置8を一時的に作業台9の上に置き、支持台7を作業台9の平板部9aの下部に収納することで、支持台7が作業の邪魔になることを防止でき、メンテナンス作業の作業性を向上することができる。
【0061】
また図6に示すように作業台9の平板部9aは装置本体2の上面よりも若干低い位置に設けられており、この平板部9aにおける装置本体2の側面2bから一定間隔を隔てた位置に凸状壁90が設けられている。凸状壁90は、装置本体2の側面2bとの間に生体情報読取装置8に接続されるケーブル8bを収容する収容空間91を形成するためのものであり、凸状壁90の上端部の適宜の箇所には収容空間91に収容したケーブル8bの浮き上がりを防止するための押さえ部材92が配置されている。この凸状壁90の所定位置には、上端部を切り欠いた切欠部93が設けられている。切欠部93は、図6に示すように生体情報読取装置8を一時的に作業台9の上に置く際、ケーブル8bを収容空間91から作業台9の上に引き出すためのものであり、凸状壁90の前方端部から距離D1の位置に形成されている。これに対し、生体情報読取装置8におけるケーブル8bの接続面と凹溝状の読取部8aの端面との長さはLである。切欠部93が形成される凸状壁90の前方端部からの距離D1は、生体情報読取装置8の長さLとの関係においてD1≧Lとなっている。このように切欠部93が凸状壁90の前方端部から生体情報読取装置8の長さL以上の位置に形成されることにより、図6に示すように生体情報読取装置8を一時的に作業台9の上に置いた場合でも、凹溝状の読取部8aを画像形成装置1の前方側に向けた状態で配置することができる。したがって、この状態でも画像形成装置1の前方側から生体情報読取装置8の読取部8aに対して指を置くことができるようになり、ユーザ認証を行う際の操作性が向上する。
【0062】
図7は凸状壁90が設けられた部分の拡大断面図である。図7に示すように作業台9の平板部9aは装置本体2の上面から高さH2だけ低い位置に設けられている。また凸状壁90の上端部は平板部9aから高さH1だけ突出しており、高さH1とH2との関係はH2>H1であり、凸状壁90の上端部が装置本体2の上面を超えないように設定されている。また凸状壁90の装置本体2側とは異なる側の側面90aは平板部9aに対して緩やかに傾斜する傾斜面として構成されている。
【0063】
このような構成により、装置本体2の上面(読取ガラス3a)と平板部9aの作業スペースとの間で例えば原稿などを相互に移動させる際の操作性が向上する。図8はこれを説明する図であり、図8(a)は装置本体2の上面から平板部9aに原稿Wを移動させる場合を、図8(b)は平板部9aから装置本体2の上面に原稿Wを移動させる場合を示している。まず、図8(a)に示すように装置本体2の上面から平板部9aに原稿Wを移動させる場合、読取ガラス3a上の原稿Wを矢印F1方向にスライドさせることにより、原稿Wの端部は凸状壁90の上端部を超えて平板部9aの上に導かれ、そのまま原稿Wの全体が平板部9aの上の作業スペースに移動する。また図8(b)に示すように平板部9aの作業スペースから装置本体2の上面に原稿Wを移動させる場合、平板部9a上の原稿Wを矢印F2方向にスライドさせることにより、原稿Wの端部は凸状壁90の傾斜面90aに沿って凸状壁90を登り、凸状壁90の上端部を超えて装置本体2の上面に導かれる。そしてそのまま原稿Wをスライドさせることにより原稿Wの全体が装置本体2の読取ガラス3aの上に移動する。したがって、上記のような構成を採用することにより、装置本体2の上面(読取ガラス3a)と平板部9aの作業スペースとの間で原稿などを相互に移動させる際には原稿などを持ち上げる必要がなくなるので操作性が向上する。
【0064】
以上のように本実施形態の画像形成装置1は、生体情報読取装置8を作業台9の前方側に設けることができるので、作業台9の上に十分な作業スペースを確保することができ、作業台9の利便性をより高めることができるようになっている。
【0065】
また本実施形態の画像形成装置1は、生体情報読取装置8を載置する支持台7が作業台9に対して左右方向に回動可能であり、かつ任意の位置で停止可能であるため、作業台9および装置本体2に対する生体情報読取装置8の姿勢を自由に設定できるようになっている。加えて生体情報読取装置8は支持台7に対して載置された状態であるため、生体情報読取装置8の姿勢を支持台7の上で自由に調整することもできる。そのため、ユーザごとに身長や腕の長さ、或いは手の大きさなどが異なる場合であっても、画像形成装置1を使用するユーザは、生体情報読取装置8の姿勢を調整することにより、ユーザ自身の身長などに合わせて生体情報読取装置8の読取部8aに指を載せやすい状態に設定することができる。それ故、ユーザ自身が無理な姿勢をとる必要はなく、ユーザ認証を行う際の操作性が向上する。そしてユーザは、姿勢調整された生体情報読取装置8の読取部8aに対し、適切な角度などで指を載せることが行い易くなり、その結果、生体情報読取装置8における読み取りエラーが少なくなると共に、画像形成装置1において適切なユーザ認証が行われるようになるので、ユーザ認証時の信頼性も向上させることができる。
【0066】
さらに本実施形態では、支持台7が、所定の軸周りに回動して平板部9aの下部に収納可能であるので、画像形成装置1のメンテナンス作業などを行う際には、支持台7に載置していた生体情報読取装置8を一時的に作業台9の上に置き、支持台7を作業台9の平板部9aの下部に収納することで、メンテナンス作業の作業性を向上することができる。またこの場合においても、生体情報読取装置8の読取部8aを装置本体2の前方側に向けた状態で配置できるので、ユーザ認証時の操作が行い易くなる。
【0067】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。本実施形態では、生体情報読取装置8を取り付けた支持台7が作業台9の前方側に設けられると共に、作業台9に対して上下方向および左右方向に回動可能とした一構成例について説明する。なお、本実施形態でも、画像形成装置の機能的な構成は第1の実施の形態で説明したものと同様である。
【0068】
図9は、第3の実施の形態における画像形成装置1の外観構成を示す斜視図である。図9に示すように本実施形態では、第1の実施の形態と同様、画像形成装置1の装置本体2の側面に対して作業台9が棚状に取り付けられている。作業台9はその前方側に支持台7を支持しており、その支持台7の上面に生体情報読取装置8が固定されている。
【0069】
支持台7の裏面には後述する回動機構が設けられており、支持台7は3つの回動軸R3,R4,R5のそれぞれについて回動可能となっている。回動軸R3は左右横方向に沿って設けられたほぼ水平の軸であり、支持台7はこの回動軸R3周りの矢印M3方向(上下方向)に回動する。また回動軸R4は支持台7のほぼ中央に設定され、回動軸R1に対してほぼ直角の軸であり、支持台7はこの回動軸R4周りの矢印M4方向(左右方向)に回動する。さらに回動軸R5は回動軸R3,R4に対してほぼ直角の前後方向に延びる軸であり、支持台7はこの回動軸R5周りの矢印M5方向(左右方向)に回動する。したがって、支持台7は、作業台9に対し、これら回動軸R3,R4,R5のそれぞれについて回動することによって上下方向および左右方向に回動する。言い換えると、作業台9は、平板部9aの上の作業スペースに対して何ら影響を与えることなく、支持台7および生体情報読取装置8を回動軸R3,R4,R5のそれぞれに対して回動可能に支持している。
【0070】
図10は支持台7を取り外した状態を示す拡大図である。作業台9は、その前面壁9cの下部から前方側に延びる一対の支持アーム95を備えており、これら支持アーム95の先端には回動軸R3周りの回動を許容する第1回動機構30が設けられている。この第1回動機構30のほぼ中央には回動軸R4周りの回動を許容する第2回動機構40が設けられており、この第2回動機構40の上部には回動軸R5周りの回動を許容する第3回動機構50が支持されている。そして支持台7は、その裏面が第3回動機構50に固定され、第1ないし第3回動機構30,40,50を介して矢印M3,M4,M5のそれぞれの方向に回動可能となっている。
【0071】
図11は、第1ないし第3回動機構30,40,50の詳細を示す断面図である。図11に示すように第1回動機構30は、作業台9から前方側に延びる支持アーム95の先端にその両端が支持された軸部材31と、この軸部材31に回動可能に装着された支持部材32とを備えて構成される。
【0072】
軸部材31は上述の回動軸R3に対応している。この軸部材31の所定位置には、図11に示すように軸方向に対して直角の貫通孔31aが形成されており、その貫通孔31aにネジ34、バネ35および球状体36が設けられている。ネジ34は貫通孔31aの一方側から貫通孔31aの内部に装着され固定される。またバネ35は貫通孔31aの他方側から貫通孔31aの内部に挿入され、そのバネ35の更に外側に球状体36が配置されている。バネ35はネジ34と球状体36の間に収縮させた状態で設けられ、球状体36に対して付勢力を作用させる。そして貫通孔31aにおけるネジ34の位置を調整することにより、バネ35の付勢力を調整できるようになっている。なお、図例では貫通孔31aにおいてネジ34が固定される部分の孔径が大径となっており、バネ35および球状体36が挿入される部分の孔径が小径となっている場合を示しているが、必ずしもこのような形態である必要はない。
【0073】
支持部材32は、軸部材31の貫通孔31aが形成された位置に対応して軸部材31の周方向に複数の孔37が所定間隔で設けられている。これらの孔37は、その直径が球状体36の直径よりも若干小さく形成されている。したがって、支持部材32に対して軸部材31周りの回動方向へ、ある程度の外力が作用すると、球状体36は貫通孔31aの内側に沈み込み、支持部材32が軸部材31の周りに回動する。そして球状体36はその回動方向に位置する次の孔37に達すると、バネ35の付勢力によってその孔37に向かって押し出され、球状体36と孔37とが互いに係合して支持部材32の回動が停止する。この状態で支持部材32はその姿勢が保持され、その結果、支持台7の姿勢も保持される。そして支持部材32に対して更なる外力が作用すると、球状体36は再び貫通孔31aの内側に沈み込み、支持部材32が軸部材31の周りに回動し、球状体36がさらにその次の孔37に達したときに支持部材32の回動が停止する。
【0074】
したがって、第1回動機構30に設けられたネジ34、バネ35、球状体36および複数の孔37は、支持部材32を予め定められた回動位置で停止させ、支持台7の姿勢を保持する保持手段38として設けられている。なお、保持手段38は、作業台9に対して回動可能な支持台7の姿勢を保持することができれば良く、必ずしも上述した構造のものに限定するものではない。
【0075】
第2回動機構40は、支持台7の裏面側ほぼ中央に対応する位置で第1回動機構30の支持部材32から上方に突出させた円筒状の支持部41と、この支持部41の内側に装着される軸部42と、軸部42の上部に設けられるアーム部材43とを備えて構成される。支持部41は、その内側に軸部42を装着して回動可能に支持する。軸部42は、上述の回動軸R4に対応し、支持部41の内側で回動する。
【0076】
軸部42には、図11に示すように軸芯を通り、かつ軸方向に直角の貫通孔42aが形成されており、その貫通孔42aにネジ44、バネ45および球状体46が設けられている。ネジ44は貫通孔42aの一方側から貫通孔42aの内部に装着され固定される。またバネ45は貫通孔42aの他方側から貫通孔42aの内部に挿入され、そのバネ45の更に外側に球状体46が配置されている。バネ45はネジ44と球状体46の間に収縮させた状態で設けられ、球状体46に対して付勢力を作用させる。そして貫通孔42aにおけるネジ44の位置を調整することにより、バネ42aの付勢力を調整できるようになっている。
【0077】
支持部材32に設けられた支持部41は、軸部42の貫通孔42aが形成された位置に対応して軸部42の周方向に複数の孔47が所定間隔で設けられている(図例では1個のみ図示している。)。これらの孔47は、その直径が球状体46の直径よりも若干小さく形成されている。したがって、軸部42に対してその軸周り方向へのある程度の外力が作用すると、球状体46は貫通孔42aの内側に沈み込み、軸部42がその軸周りに回動する。そして球状体46はその回動方向に位置する次の孔47に達すると、バネ45の付勢力によってその孔47に向かって押し出され、球状体46と孔47とが互いに係合して軸部42の回動が停止する。この状態で軸部42はその姿勢が保持され、その結果、支持台7の姿勢も保持される。そして軸部42に対して更なる外力が作用すると、球状体46は再び貫通孔42aの内側に沈み込み、軸部42がその軸周りに回動し、球状体46がさらにその次の孔47に達したときに軸部42の回動が停止する。
【0078】
したがって、第2回動機構40に設けられたネジ44、バネ45、球状体46および複数の孔47は、軸部42を予め定められた回動位置で停止させ、支持台7の姿勢を保持する保持手段48として設けられている。なお、保持手段48についても、作業台9に対して回動可能な支持台7の姿勢を保持することができれば良く、必ずしも上述した構造のものに限定するものではない。
【0079】
第3回動機構50は、第2回動機構40のアーム部材43の先端にその両端が支持された軸部材51と、この軸部材51に回動可能に装着された支持部材52とを備えて構成される。なお、支持台7は支持部材52の外面に固定される。
【0080】
軸部材51は上述の回動軸R5に対応している。この軸部材51の所定位置には、図11に示すようにその軸芯を通り、軸方向に対して直角の貫通孔51aが形成されており、その貫通孔51aにネジ54、バネ55および球状体56が設けられている。ネジ54は貫通孔51aの一方側から貫通孔51aの内部に装着され固定される。またバネ55は貫通孔51aの他方側から貫通孔51aの内部に挿入され、そのバネ55の更に外側に球状体56が配置されている。バネ55はネジ54と球状体56の間に収縮させた状態で設けられ、球状体56に対して付勢力を作用させる。そして貫通孔51aにおけるネジ54の位置を調整することにより、バネ55の付勢力を調整できるようになっている。なお、図例では貫通孔51aにおいてネジ54が固定される部分の孔径が大径となっており、バネ55および球状体56が挿入される部分の孔径が小径となっている場合を示しているが、必ずしもこのような形態である必要はない。
【0081】
支持部材52は、軸部材51の貫通孔51aが形成された位置に対応して軸部材51の周方向に複数の孔57が所定間隔で設けられている(図例では1個のみ図示している。)。これらの孔57は、その直径が球状体56の直径よりも若干小さく形成されている。したがって、支持部材52に対して軸部材51周りの回動方向へ、ある程度の外力が作用すると、球状体56は貫通孔51aの内側に沈み込み、支持部材52が軸部材51の周りに回動する。そして球状体56はその回動方向に位置する次の孔57に達すると、バネ55の付勢力によってその孔57に向かって押し出され、球状体56と孔57とが互いに係合して支持部材52の回動が停止する。この状態で支持部材52はその姿勢が保持され、その結果、支持台7の姿勢も保持される。そして支持部材52に対して更なる外力が作用すると、球状体56は再び貫通孔51aの内側に沈み込み、支持部材52が軸部材51の周りに回動し、球状体56がさらにその次の孔57に達したときに支持部材52の回動が停止する。
【0082】
したがって、第3回動機構50に設けられたネジ54、バネ55、球状体56および複数の孔57は、支持部材52を予め定められた回動位置で停止させ、支持台7の姿勢を保持する保持手段58として設けられている。なお、保持手段58は、作業台9に対して回動可能な支持台7の姿勢を保持することができれば良く、必ずしも上述した構造のものに限定するものではない。
【0083】
以上のように本実施形態の支持台7は、上述した回動機構により、作業台9に対して上下方向及び左右方向に回動可能に支持されている。そのため、支持台7は作業台9に対してその姿勢を変化させて調整できるようになっている。また上述の保持手段38,48,58により支持台7はその変化させた姿勢をそのまま保持することができる。
【0084】
したがって、支持台7に取り付けられる生体情報読取装置8は、作業台9に対して上下方向及び左右方向に回動可能となり、かつ、予め定められた回動位置でその姿勢を保持することができるので、ユーザの身長などに合わせて適宜その姿勢を調整することができる。また本実施形態では、生体情報読取装置8は作業台9の前方側に取り付けられるため、作業台9の平板部9aの上面を全て作業スペースとして活用できるようになり、従来の画像形成装置(図17参照)と比較すれば、原稿などを一時的に載置するための作業スペースを広く確保できるようになる。
【0085】
また本実施形態では、図9に示すように操作パネル6の裏面側にも回動機構が設けられており、操作パネル6は2つの回動軸R6,R7のそれぞれについて回動可能となっている。回動軸R6は左右横方向に沿って設けられたほぼ水平の軸であり、操作パネル6はこの回動軸R6周りに矢印M6方向(上下方向)に回動する。また回動軸R7は操作パネル6の左右方向ほぼ中央位置に設定され、回動軸R6に対してほぼ直角の軸であり、支持台7はこの回動軸R7周りに矢印M7方向(左右方向)に回動する。したがって、操作パネル6は、装置本体2に対し、これら回動軸R6,R7のそれぞれについて回動することにより上下方向および左右方向に回動する。なお、このような回動機構は、上述した回動機能のうち第1回動機構30および第2回動機構40(図10、図11参照)と同様の構成を採用することにより実現することができる。
【0086】
このように本実施形態では、作業台9に取り付けた支持台7を上下方向および左右方向に回動可能とすると共に、操作パネル6も装置本体2に対して上下方向および左右方向に回動可能としているので、ユーザは生体情報読取装置8の姿勢を自由に調整できるだけでなく、操作パネル6の姿勢も自由に調整できるようになるので、画像形成装置1の操作性がより一層向上する。
【0087】
以上のように本実施形態の画像形成装置1は、生体情報読取装置8を作業台9の前方側に設けているので、作業台9の上に十分な作業スペースを確保することができ、作業台9の利便性をより高めることができるようになっている。
【0088】
また本実施形態の画像形成装置1は、生体情報読取装置8を設置する支持台7が作業台9に対して上下方向および左右方向に回動可能であり、かつ予め定められた位置で停止可能であるため、作業台9および装置本体2に対する生体情報読取装置8の姿勢を自由に設定できるようになっている。特に本実施形態の場合には、生体情報読取装置8のとり得る姿勢がより多様なものとなっている。そのため、ユーザごとに身長や腕の長さ、或いは手の大きさなどが異なる場合であっても、画像形成装置1を使用するユーザは、生体情報読取装置8の姿勢を調整することにより、ユーザ自身の身長などに合わせて生体情報読取装置8の読取部8aに指を載せやすい状態に設定することができる。それ故、ユーザ自身が無理な姿勢をとる必要はなく、ユーザ認証を行う際の操作性が向上する。そしてユーザは、姿勢調整された生体情報読取装置8の読取部8aに対し、適切な角度などで指を載せることが行い易くなり、その結果、生体情報読取装置8における読み取りエラーが少なくなると共に、画像形成装置1において適切なユーザ認証が行われるようになるので、ユーザ認証時の信頼性も向上させることができる。
【0089】
なお、本実施形態では、生体情報読取装置8を設けた支持台7が作業台9に対して上下方向および左右方向を含む3方向に回動可能とした構成を例示したが、これに限定するものではなく、上下方向および左右方向の2方向に回動可能な構成としても良いし、また上下方向および左右方向のいずれか1方向のみに回動可能な構成としても良い。ただし、生体情報読取装置8のとり得る姿勢をより多様なものとするためには、支持台7が回動する回動軸は多い方が好ましく、1方向のみに回動可能な構成よりも2方向或いは上述した3方向に回動可能な構成の方がより好ましい。
【0090】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態について説明する。本実施形態では、生体情報読取装置8を取り付けた支持台7が作業台9の前方側に設けられ、かつ作業台9に対して折りたたみ可能とした一構成例について説明する。なお、本実施形態でも、画像形成装置の全体的な外観構成および機能的な構成は第1の実施の形態で説明したものと同様である。
【0091】
図12は本実施形態における作業台9を拡大した図である。本実施形態では、第1の実施の形態と同様、画像形成装置1の装置本体2の側面に対して作業台9が棚状に取り付けられている。そしてこの作業台9の前方端部に支持台7が支持されている。支持台7は左右方向のほぼ水平な回動軸R8周りに回動可能に支持されており、この支持台7の上面に生体情報読取装置8が載置して設けられる。
【0092】
図12に示すように作業台9の前面壁9cの下部には回動部材27が設けられており、支持台7はこの回動部材27に連結され、回動部材27と共に回動するようになっている。回動部材27の内部には回動軸R8に対応する軸部材27aが配置されており、その軸部材27aの両端が前面壁9cによって支持されている。よって回動部材27および支持台7は、軸部材27a周りの矢印M8方向(上下方向)に回動する。言い換えると、作業台9は、平板部9aの上の作業スペースに対して何ら影響を与えることなく、支持台7および生体情報読取装置8を回動軸R8周りの矢印M8方向に回動可能に支持している。そして回動部材27は、回動軸27a周りに180°以上回動するようになっている。なお、回動部材27と回動軸27aには、第3の実施の形態と同様の保持手段を設けておき、支持台7が軸部材27aの周りに回動したとき予め定められた位置でその姿勢を保持することができる構成とすることが好ましい。
【0093】
上記のような支持台7を、図12に示すように作業台9に対して前方側に回動させた状態とする場合、生体情報読取装置8をその支持台7の上に載置することにより、生体情報読取装置8を作業台9の前方側に配置することができる。そのため、ユーザ認証を行う際、ユーザは手を作業台9の上まで伸ばす必要がなくなり、無理な姿勢をとることなく、生体情報読取装置8の読取部8aに指を載せることができるようになる。また生体情報読取装置8は支持台7の上に載置された状態であるので、ユーザ認証を行う際には生体情報読取装置8の姿勢(向き)を自由に調整することができる。それ故、ユーザは生体情報読取装置8の読取部8aに対して適切な角度などで指を載せることが行い易くなり、操作性が向上する。そして生体情報読取装置8における読み取りエラーが少なくなり、画像形成装置1において適切なユーザ認証が行われるようになるので、ユーザ認証時の信頼性も向上させることができる。
【0094】
また図12に示す状態では、生体情報読取装置8と操作パネル6との距離が短くなるので、ユーザ認証を行った後に操作パネル6に対する設定操作などを行う際の腕の移動距離を短くでき、この点においても操作性を向上することができる。
【0095】
図13は支持台7を回動軸R8の周りに回動させた状態を示す図である。図13(a)に示すように支持台7を回動軸R8の周りに回動させる際には生体情報読取装置8を一時的に作業台9の上に置き、支持台7を回動させたときに生体情報読取装置8が支持台7から落下しないようにする。図13(b)は支持台7を作業台9の裏面側に折りたたんだ状態を示している。図13(b)に示すように支持台7を回動軸R8の周りに回動させて折りたたむことにより、支持台7を作業台9の平板部9aの下部に収納可能となっている。そのため、例えば画像形成装置1において紙詰まりが生じた場合などのメンテナンス作業を行う際には、支持台7に載置していた生体情報読取装置8を一時的に作業台9の上に置き、支持台7を作業台9の平板部9aの下部に収納することで、支持台7が作業の邪魔になることを防止でき、メンテナンス作業の作業性を向上することができる。また画像形成装置1においてユーザ認証機能をオプション機能とする場合、ユーザ認証機能を付加しない状態では、支持台7を作業台9の裏面側に折りたたんでおくことにより、支持台7が操作や作業の妨げになることを防止でき、またユーザ認証機能を付加する状態では、支持台7を回動させて作業台9の前方に配置することにより、生体情報読取装置8をその支持台7の上に設置することができる。
【0096】
以上のように本実施形態の画像形成装置1は、生体情報読取装置8を作業台9の前方側に設けることができるので、作業台9の上に十分な作業スペースを確保することができ、作業台9の利便性をより高めることができるようになっている。
【0097】
また本実施形態の画像形成装置1は、生体情報読取装置8を載置する支持台7が作業台9に対して上下方向に回動可能であるため、支持台7の上に載置された生体情報読取装置8が支持台7から滑り落ちない程度の範囲内で、生体情報読取装置8の設置角度を自由に調整することができる。この場合、生体情報読取装置8の底面に滑り止めシート材などを貼着しておくことにおり、調整可能な角度範囲を比較的大きくすることができる。また生体情報読取装置8は支持台7に対して載置された状態であるため、生体情報読取装置8の姿勢を支持台7の上で自由に調整することもできる。そのため、ユーザごとに身長や腕の長さ、或いは手の大きさなどが異なる場合であっても、画像形成装置1を使用するユーザは、生体情報読取装置8の姿勢を調整することにより、ユーザ自身の身長などに合わせて生体情報読取装置8の読取部8aに指を載せやすい状態に設定することができる。それ故、ユーザ自身が無理な姿勢をとる必要はなく、ユーザ認証を行う際の操作性が向上する。そしてユーザは、姿勢調整された生体情報読取装置8の読取部8aに対し、適切な角度などで指を載せることが行い易くなり、その結果、生体情報読取装置8における読み取りエラーが少なくなると共に、画像形成装置1において適切なユーザ認証が行われるようになるので、ユーザ認証時の信頼性も向上させることができる。
【0098】
さらに本実施形態では、支持台7が、回動軸R8の周りに回動して平板部9aの下部に収納可能であるので、画像形成装置1のメンテナンス作業などを行う際には、支持台7に載置していた生体情報読取装置8を一時的に作業台9の上に置き、支持台7を作業台9の平板部9aの下部に収納することで、メンテナンス作業の作業性を向上することができる。
【0099】
なお、本実施形態においても、第2の実施の形態と同様に、装置本体2の側面との間にケーブルを収容する収容空間を形成する凸状壁を設け、生体情報読取装置8を一時的に作業台9の上に置く場合であっても生体情報読取装置8の読取部8aを装置本体2の前方側に向けた状態で配置できるようにしても良い。
【0100】
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施の形態について説明する。本実施形態では、ユーザ認証時の操作性をより一層向上させることができる構成例について説明する。なお、本実施形態でも、画像形成装置の機能的な構成は第1の実施の形態で説明したものと同様である。
【0101】
図14は、第5の実施の形態における画像形成装置1の外観構成を示す斜視図である。図14に示すように本実施形態では、第1の実施の形態と同様、画像形成装置1の装置本体2の側面に対して作業台9が棚状に取り付けられている。作業台9はその前方側に支持台7を支持しており、その支持台7の上面に生体情報読取装置8が配置されている。
【0102】
支持台7の裏面には、第3の実施の形態で説明したものと同様の回動機構が設けられており、支持台7は3つの回動軸R3,R4,R5のそれぞれについて回動可能であり、回動軸R3周りの矢印M3方向(上下方向)、回動軸R4周りの矢印M4方向(左右方向)、および、回動軸R5周りの矢印M5方向(左右方向)に回動する。また操作パネル6の裏面にも回動機構が設けられており、操作パネル6は2つの回動軸R6,R7のそれぞれについて回動可能であり、回動軸R6周りの矢印M6方向(上下方向)および回動軸R7周りの矢印M7方向(左右方向)に回動する。
【0103】
また本実施形態では、支持台7の前面側下部にユーザの手を置くことができる補助部材71が更に前方に突出するように設けられている。この補助部材71は、生体情報読取装置8がユーザの手の指から生体情報を読み取る際に、ユーザの手を補助的に支持するものである。そのためユーザはこの補助部材71に手を置いて安定させた状態で、その手の指を生体情報読取装置8の読取部8aに置くことができる。補助部材71がユーザの手を安定して支持することにより、ユーザ認証を行う際には、生体情報読取装置8の読取部8aに置いた指がぶれることを抑制でき、生体情報読取装置8の読み取りエラーやユーザ認証時の認証エラーが生じる可能性を低減させることができるようになる。そして画像形成装置1の信頼性を高めることが可能になる。なお、図例では補助部材71を平板状に構成した場合を示しているが、補助部材71の形態は平板状に限られるものではなく、ユーザ認証を行うためにユーザが生体情報読取装置8の読取部8aに指を置く際、そのユーザの手を補助的に支持することができるものであればどのような形態であっても良い。
【0104】
図15は、支持台7の拡大図である。本実施形態では支持台7に設置される生体情報読取装置8は、支持台7の上面70に固定されるのではなく、支持台7の上面70に載置することにより設置される。そして支持台7には、生体情報読取装置8が読み取った生体情報を出力するために接続されているケーブル8bを所定位置で固定する固定具73が設けられている。固定具73は、ケーブル8bに一定の撓みが生じるように生体情報読取装置8から所定長さの位置でケーブル8bを固定している。したがって、支持台7の上に載置された生体情報読取装置8は、ケーブル8bの撓み分によって許容される範囲内で上面70を移動可能となっている。
【0105】
また支持台7の上面70には、図15に示すように生体情報読取装置8が載置される部分の周囲に規制部材72が設けられている。この規制部材72は、支持台7に載置された生体情報読取装置8の移動範囲を規制する規制手段として設けられており、ケーブル8bの撓み分によって許容される生体情報読取装置8の移動範囲を更に狭い範囲に規制することにより、ケーブル8bの固定具73で固定された部分および生体情報読取装置8との接続部分に対して過大な負荷がかかることを防止する。なお、図例では、生体情報読取装置8の周囲3箇所に矩形状の規制部材72を突出形成した場合を例示しているが、このような態様に限定されるものではなく、例えば生体情報読取装置8の移動可能な範囲を凹部として形成し、その凹部の周壁によって規制部材を構成しても良い。
【0106】
このように本実施形態では、支持台7に設置される生体情報読取装置8が規制部材72によって規制された範囲内で縦横に移動可能となり、かつその姿勢も自由に変化させることができるため、生体情報読取装置8のとり得る姿勢がより多様なものとなる。
【0107】
図16は、本実施形態の生体情報読取装置8に対してユーザの指を置いた状態の一例を示す図である。上述したように生体情報読取装置8は規制部材72で規制される範囲内でその位置および姿勢を変化させることができるので、図16に示すようにユーザが支持台7に対して斜め前方側から手を置いたとしても、生体情報読取装置8はその方向に適合するように姿勢を変化させることができる。また上述した補助部材71がユーザの手を補助的に支持するので、生体情報読取装置8の読取部8aに置いたユーザの指がぶれることはない。
【0108】
以上のように、本実施形態の画像形成装置1は、装置本体2に対する生体情報読取装置8のとり得る姿勢が最も多様なものとなり、ユーザごとに身長や腕の長さ、或いは手の大きさなどはが異なる場合であっても、画像形成装置1を使用するユーザは、生体情報読取装置8の姿勢を適宜変化させることにより、ユーザ自身の身長などに合わせて生体情報読取装置8の読取部8aに指を載せやすい状態に設定でき、ユーザ自身が無理な姿勢をとる必要がなくなるので、ユーザ認証を行う際の操作性が向上する。また本実施形態においても、ユーザは、姿勢調整された生体情報読取装置8の読取部8aに対して適切な角度で指を載せることができる。そしてユーザは上述の補助部材71に手を置いて安定させることができるので、本実施形態の場合には生体情報読取装置8における読み取りエラーが特に少なくなり、画像形成装置1において適切なユーザ認証が行われる。そのため、画像形成装置1におけるユーザ認証の信頼性も著しく向上させることができる。
【0109】
また本実施形態においても、生体情報読取装置8を作業台9の前方側に設けているので、作業台9の上に十分な作業スペースを確保することができ、作業台9の利便性をより高めることができるようになる。
【0110】
(変形例)
以上、本発明に関する幾つかの実施形態を説明したが、本発明は上述した内容のものに限定されるものではなく、本発明には種々の変形例が適用可能である。
【0111】
例えば、上述した各実施形態では、画像形成装置が、いわゆる複合機やMFPなどと呼ばれる複数の機能を備えた装置である場合を例示したが、これに限定されるものではなく、例えばコピー専用機、FAX専用機、プリンタ専用機又はスキャナ専用機などの単機能機であっても良い。
【0112】
また上述した各実施形態では、画像形成装置1の装置本体2の右側面に対して作業台9が取り付けられる場合を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば装置本体2の左側面に設けても良いし、また前面側に設けても良い。
【0113】
また上述した各実施形態では、生体情報読取装置8がユーザの手の指から静脈の血管パターンを読み取る静脈パターン読取装置である場合を例示したが、これに限定されるものでもない。生体情報読取装置には静脈パターン読取装置の他、指紋読取装置など、静脈パターン以外の生体情報を読み取る装置もあるため、そのような他の装置を採用しても良い。ただし、静脈パターン読取装置は、上述したようにユーザに与える心理的抵抗感は少なく、また偽造が極めて困難であるという利点を有しているため、画像形成装置を利用しやすいものとし、かつ、より信頼性の高いセキュリティを求める場合には、生体情報読取装置8として静脈パターン読取装置を採用することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の外観構成を示す斜視図である。
【図2】図1における作業台を拡大した図であり、支持台から生体情報読取装置8を取り外した状態を示している。
【図3】生体情報読取装置を取り外した状態の支持台を側方からみた図である。
【図4】画像形成装置の機能的な構成を示したブロック図である。
【図5】第2の実施の形態における画像形成装置の外観構成を示す斜視図である。
【図6】第2の実施の形態における作業台を拡大した図である。
【図7】作業台において凸状壁が設けられた部分の拡大断面図である。
【図8】装置本体の上面と作業台の平板部との間で原稿などを相互に移動させる際の凸状壁の作用を説明する図である。
【図9】第3の実施の形態における画像形成装置の外観構成を示す斜視図である。
【図10】第3の実施の形態において支持台を取り外した状態を示す拡大図である。
【図11】第3の実施の形態における第1ないし第3回動機構の詳細を示す断面図である。
【図12】第4の実施の形態における作業台を拡大した図である。
【図13】第4の実施の形態において支持台を回動軸の周りに回動させた状態を示す図である。
【図14】第5の実施の形態における画像形成装置の外観構成を示す斜視図である。
【図15】第5の実施の形態における支持台の拡大図である。
【図16】第5の実施の形態において生体情報読取装置に対してユーザの指を置いた状態の一例を示す図である。
【図17】従来の画像形成装置を示す図である。
【符号の説明】
【0115】
1 画像形成装置
2 装置本体
5 画像処理ユニット
6 操作パネル
7 支持台
8 生体情報読取装置(生体情報読取手段)
8b ケーブル
9 作業台
10 CPU(制御手段)
20 軸部材(回動機構)
22 軸部材(回動機構)
30 第1回動機構(回動機構)
38 保持手段
40 第2回動機構(回動機構)
48 保持手段
50 第3回動機構(回動機構)
58 保持手段
72 規制部材(規制手段)
73 固定具(固定手段)
R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7 回動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定されたジョブを実行する画像処理ユニットを備えた装置本体と、
前記装置本体に対して棚状に取り付けられる作業台と、
ユーザの生体情報を読み取る生体情報読取手段と、
前記生体情報読取手段から得られる生体情報に基づいてユーザ認証を行い、ユーザを特定することができた場合に前記画像処理ユニットに関する機能の実行を許可する制御手段と、
を備え、
前記生体情報読取手段は、前記作業台に対して所定の軸周りに回動可能に設置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記生体情報読取手段は、前記作業台に対して上下方向及び/又は左右方向に回動可能に設置されることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
上下方向及び/又は左右方向に回動する回動機構を介して前記作業台に取り付けられた支持台を更に備え、
前記生体情報読取手段は、前記支持台に配置されることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記支持台は、所定の軸周りに回動して前記作業台の下部に収納可能であることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記支持台は、前記作業台に対して折りたたみ可能であることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記回動機構には、予め定められた回動位置又は任意の回動位置で回動を停止させ、前記支持台の姿勢を保持する保持手段が設けられることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記生体情報読取手段は、ユーザの手の指から生体情報を読み取るように構成され、
前記支持台は、前記生体情報読取手段がユーザの手の指から生体情報を読み取る際に、ユーザの手を補助的に支持するための補助部材を備えることを特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記支持台は、前記生体情報読取手段の周囲に設けた規制手段を備えており、
前記生体情報読取手段は、前記規制手段によって規定される範囲内で移動可能であることを特徴とする請求項3乃至7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記生体情報読取手段には、読み取った生体情報を出力するケーブルが接続され、
前記支持台は、前記生体情報読取手段から延びる前記ケーブルを所定長さの位置で固定する固定手段を備えることを特徴とする請求項3乃至8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記生体情報読取手段は、ユーザの手の指の静脈パターンを読み取る静脈パターン読取装置であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−192861(P2009−192861A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34042(P2008−34042)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】