説明

画像形成装置

【課題】致命的なエラーをより適切に予測可能とする。
【解決手段】
制御部160は、機器情報検出部161の検出又は監視対象部162の動作から計測等して得たエラー予測情報を一時記憶部163に格納し(Sa)、RTC48を参照して定期的に、一時記憶部163に格納されたエラー予測情報と、ROM43に格納さているエラー予測情報(設定値情報)とを監視し、監視して得た情報を履歴記憶部164に随時格納する(Sb、Sc)。上記格納後、一時記憶部163の記憶内容を消去する(Sd)。上記ステップSa〜Sdを所定期間(送信期間)繰り返す。送信部160aは、上記送信期間満了後、履歴記憶部164に格納されたエラー予測情報履歴200を管理サーバ500に送信する(Se)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理コンピュータに情報を伝達可能な伝達手段を備えた画像形成装置に係わり、特に、該伝達手段を用いて機器情報を送信する画像形成装置に関する。
【0002】
従来、画像形成装置に予め定められた致命的なエラー(以下、単にエラーと略す場合がある)が発生した場合、本体表示パネルにエラー表示(サービスマンコール)を行い、ユーザはそれを確認してサービスマンに連絡し、メンテナンスを依頼していた。
【0003】
この際、ユーザは、画像形成装置内部のエラー情報や設定値情報などを含むステータス情報を印刷し、機器の情報をサービスマンに連絡していたが、致命的なエラー発生後に連絡した場合、サービスマンがユーザのもとへ行き、メンテナンスするまでの間、ユーザはその画像形成装置を使用できなくなり、また無理に使用すると機器をさらに壊すおそれがあった。
【0004】
よって、致命的なエラー発生前のステータス情報を取得して、これに基づきエラーを事前に予測して、サービスマンがユーザのもとへメンテナンスに行くか、または的確な対処指示をすることが望まれる。
【0005】
そこで、下記特許文献1及び2では、所定のタイミングで機器内部の設定値情報又はインク残量情報などを含むステータス情報を管理者端末に送信する構成が開示されている。
【特許文献1】特開2002−281224号公報
【特許文献2】特開2003−63104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1及び2の発明に係るものを含む一般的なステータス情報には限りがあり、致命的なエラーに結びつくような例えばローラ回転速度など、致命的なエラーを事前に予測可能な複数種のエラー予測情報を取得し、これらを送信するような構成は開示されていない。また、これらの構成は、現時点でのステータス情報を送信するのみである。よって、ステータス情報を受信する管理者は、現時点の機器の状態を知ることができても、過去の状態を知ることができないので、致命的なエラーを適切に予測することができない。
【0007】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、致命的なエラーをより適切に予測可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による画像形成装置の第1態様では、
制御手段と、該制御手段に結合された記憶手段と、該制御手段に結合され、管理コンピュータに情報を伝達可能な伝達手段とを備えた画像形成装置において、
該制御手段は、
予め定められた致命的なエラーに結びつくエラー予測情報を監視し、監視した情報をエラー予測情報履歴の要素として該記憶手段に蓄積し、所定のタイミングで該記憶手段に蓄積されたエラー予測情報履歴を、該伝達手段により該管理コンピュータに送信させ、又は、該伝達手段に格納する、
ことを特徴とする。
【0009】
ここで、「予め定められた致命的なエラー」とは、画像形成装置の表示画面にサービスマンコール、トナーエンプティ、用紙ジャム等が表示される等して、一部若しくは全ての画像形成装置の操作若しくは機能使用が不可能になった状態、又は異常な画像が出力された場合を言う。
【0010】
なお、上記制御手段は、上記機能を実現するプログラム及び該プログラムを実行するCPUを含み、上記伝達手段は、例えば、上記管理コンピュータにネットワークを介して結合される送信手段、又は上記管理コンピュータに結合可能なリムーバブル記憶媒体を含む。
【0011】
本発明による画像形成装置の第2態様では、
該エラー予測情報を検出又は計測するエラー予測情報取得手段をさらに備える、ことを特徴とする。
【0012】
本発明による画像形成装置の第3態様では、
該制御手段は、定期的に、該エラー予測情報を監視し、監視した情報をエラー予測情報履歴の要素として該記憶手段に蓄積することを特徴とする。
【0013】
本発明による画像形成装置の第4態様では、
該エラー予測情報取得手段の一部として、該画像形成装置の構成要素に係わる駆動時間又は駆動回数を計測する駆動時間計測手段又は駆動回数計測手段を備え、
該制御手段は、監視対象である、該画像形成装置の構成要素に係わる駆動時間情報又は駆動回数情報を該エラー予測情報履歴の要素として該記憶手段に蓄積する、
ことを特徴とする。
【0014】
本発明による画像形成装置の第5態様では、
該画像形成装置の構成要素に係わる駆動時間又は駆動回数は累積値である、ことを特徴とする。
【0015】
本発明による画像形成装置の第6態様では、
該制御手段は、監視対象の該エラー予測情報に変化があった場合に、その情報を該エラー予測情報履歴の要素として該記憶手段に蓄積する、ことを特徴とする。
【0016】
本発明による画像形成装置の第7態様では、
該エラー予測情報取得手段の一部として、該画像形成装置の各種ローラの回転速度を検出するローラ回転速度検出手段を備え、
該制御手段は、監視対象である、該画像形成装置の各種ローラの回転速度情報を該エラー予測情報履歴の要素として該記憶手段に蓄積する、
ことを特徴とする。
【0017】
本発明による画像形成装置の第8態様では、
該制御手段は、監視対象である、該画像形成装置のキャリブレーション情報を該エラー予測情報履歴の要素として該記憶手段に蓄積する、
ことを特徴とする。
【0018】
本発明による画像形成装置の第9態様では、
該エラー予測情報取得手段は、温度検出手段又は湿度検出手段、を含み、
該制御手段は、監視対象である、該温度検出手段又は該湿度検出手段が検出する温度又は湿度を該エラー予測情報履歴の要素として該記憶手段に蓄積する、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0019】
本発明による画像形成装置の第10態様では、
タイマをさらに備え、
該制御手段はさらに、該タイマが示す日時を取得し、該日時と、監視対象の該エラー予測情報とを関連付けて該エラー予測情報履歴の要素として該記憶手段に蓄積する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
上記第1態様の構成によれば、制御手段が「予め定められた致命的なエラーに結びつくエラー予測情報を監視し、監視した情報をエラー予測情報履歴の要素として該記憶手段に蓄積」するので、サービスマンは、この履歴を参照して致命的なエラーに結びつく情報の変遷を把握することができ、もって致命的なエラーをより適切に予測することができるという効果を奏する。
【0021】
また、制御手段が「所定のタイミングで該記憶手段に蓄積されたエラー予測情報履歴を、該伝達手段に対し該管理コンピュータに送信させ、又は、該伝達手段に格納する」ので、管理コンピュータで受信したエラー予測情報履歴に基づき致命的なエラーを予測でき、致命的なエラーが発生する前に、サービスマンがユーザのもとへメンテナンスに行くか、又は的確な対処指示をすることができるという効果を奏する。
【0022】
上記第2態様の構成によれば、「該エラー予測情報を検出するエラー予測情報検出手段をさらに備える」ので、サービスマンは、ステータス情報以外のエラー予測情報を監視することができ、もってより多くのエラー予測情報を把握できるという効果を奏する。
【0023】
上記第3態様の構成によれば、制御手段が「定期的に、該エラー予測情報を監視し、監視した情報をエラー予測情報履歴の要素として該記憶手段に蓄積する」ので、送信までの間に保存する致命的なエラーの予測に必要な情報量を少なくすることができる。これにより保存時のエラーを少なくすることができるとともに、保存時にエラーが発生してもその被害を最小限に抑えることができるという効果を奏する。
【0024】
上記第4態様の構成によれば、該制御手段が「監視対象である、該画像形成装置の構成要素に係わる駆動時間情報又は駆動回数情報を該エラー予測情報履歴の要素として該記憶手段に蓄積する」ので、サービスマンは、ステータス情報以外のエラー予測情報、すなわち駆動時間情報又は駆動回数情報も把握することができ、例えば駆動系の構成要素の寿命切れエラーの発生をより適切に予測できるという効果を奏する。
【0025】
上記第5態様の構成によれば、「該画像形成装置の構成要素に係わる駆動時間又は駆動回数は累積値である」ため、例えば上記駆動系の構成要素の寿命切れエラーの発生を、累積駆動時間、累積駆動回数に基づいて、より正確に予測できるという効果を奏する。
【0026】
上記第6態様の構成によれば、制御手段が「監視対象の該エラー予測情報に変化があった場合に、その情報を該エラー予測情報履歴の要素として該記憶手段に蓄積する」ので、必要な情報のみを含んだ履歴を参照することができる。これにより、上記記憶部手段の記憶容量を少なくし、コストを抑えることができるという効果を奏する。また、その履歴の参照の際に煩雑とならない。
【0027】
上記第7態様の構成によれば、該制御手段が「監視対象である、該画像形成装置の各種ローラの回転速度情報を該エラー予測情報履歴の要素として該記憶手段に蓄積する」ので、サービスマンは、ステータス情報以外のエラー予測情報、すなわち回転速度情報も把握することができ、例えば上記ローラの寿命切れエラーや駆動エンジンの故障など種々の致命的なエラーの発生をより適切に、かつ、リアルタイムに予測できるという効果を奏する。
【0028】
上記第8態様の構成によれば、該制御手段が「監視対象である、該画像形成装置のキャリブレーション情報を該エラー予測情報履歴の要素として該記憶手段に蓄積する」ので、サービスマンは、ステータス情報以外のエラー予測情報、すなわちキャリブレーション情報(キャリブレーション時間/回数)を把握することができ、例えば、現像剤や現像器の異常状態や寿命を、より適切に予測することができるという効果を奏する。
【0029】
上記第9態様の構成によれば、制御手段が「該温度検出手段又は該湿度検出手段が検出する温度又は湿度を該エラー予測情報履歴の要素として該記憶手段に蓄積する」ので、サービスマンは、ステータス情報以外のエラー予測情報、すなわち画像形成装置内の温度又は湿度を把握することができ、例えば異常な温度上昇があった場合には定着器のサーミスタの異常状態や寿命を予測でき、また温湿度情報は定着不良等の画像の不具合が発生した際の判断要因としても使用することができるという効果を奏する。
【0030】
上記第10態様の構成によれば制御手段が「該制御手段はさらに、該タイマが示す日時を取得し、該日時と、監視対象の該エラー予測情報とを関連付けて該エラー予測情報履歴の要素として該記憶手段に蓄積する」ので、サービスマンは、エラー予測情報の時系列的な変遷を把握することができる。
【0031】
本発明の他の目的、構成及び効果は以下の説明から明らかになる。
【実施例1】
【0032】
図1は、本発明の実施例1に係わるメンテナンスシステムの概略構成を示す図である。
[1]メンテナンスシステムの概略構成
このシステムは、画像形成装置10、例えば複合機に、インターネット400を介して管理サーバ500が結合されて構成されている。
【0033】
画像形成装置10は、致命的なエラーに結びつく機器内部の情報(以下、エラー予測情報という)を検出又は計測等して取得し、この取得した情報を、定期的にエラー予測情報履歴の要素として記憶手段に蓄積し、所定のタイミングでエラー予測情報履歴を管理サーバ500へ送信する。
【0034】
管理サーバ500は、受信したエラー予測情報履歴に基づき、後述する抽出及びグラフ化などの情報処理を行う。サービスマンは、この処理結果に基づき、致命的なエラーを予測し、その発生前にユーザのもとへ行き、画像形成装置10のメンテナンスを行って致命的なエラーの発生を未然に防止する。また、サービスマンが行くまでの間、後述する延命処理を施して致命的なエラーのうち寿命切れエラーの発生を抑止する。
【0035】
本実施例1では、画像形成装置10によるエラー予測情報の蓄積及び送信の詳細を述べる。
[2]画像形成装置のハードウェア構成
図2は、本発明の実施例1に係わる画像形成装置10のハードウェア構成を概略的に示す図である。簡単化のために、以下では画像形成装置10をプリンタとして利用する場合の構成について説明する。
【0036】
画像形成装置10は、A4給紙トレイ111及びA3給紙トレイ112を備え、それぞれA4サイズの用紙121、A3サイズの用紙122が縦向きにセットされている。
【0037】
給紙トレイ111〜112にはそれぞれ、用紙受け板131a〜132aとコイルスプリング131b〜132bと昇降装置131c〜132cとを含む付勢手段131〜132が配設されている。また画像形成装置10には、給紙トレイ111〜112に対応して、それぞれ給紙ローラ141〜142が配設され、さらに給紙ローラ141〜142に対応して、それぞれ用紙搬送ローラ151〜152が配設されている。
【0038】
例えば上記用紙受け板131aは、昇降装置131cの駆動に連動して突出されるコイルスプリング131bによって上方に向けて付勢され、これによって用紙受け板131a上の用紙束の先端側上面が、給紙トレイ111の先端上方に設けられた給紙ローラ141に押接するようになっている。そして、給紙ローラ141の駆動でA4給紙トレイ111の用紙束からA4用紙121が搬送路100へ1枚ずつ繰り出され、用紙搬送ローラ151を介して画像形成部20へ給紙可能となっている。
【0039】
図3は、図2に示す給紙ローラ141付近(以下、給紙部という)の具体的構成の一実施例を示す概略構成図である。なお、給紙ローラ142付近の給紙部の構成も、以下の構成と同一である。
【0040】
給紙部はA4給紙トレイ111の他、給紙ローラ141、該給紙ローラ141の回転軸300、該回転軸300に装着された回転検知エンコーダ301、駆動源である駆動モータ304、複数のギヤ列305、該駆動モータ304と該給紙ローラ141を断続可能に連結する連結手段としての電磁クラッチ306等から構成されている。
【0041】
駆動モータ304のモータシャフトにはギヤが接続され、一連のギヤ列305によって回転速度が調整されながら回転駆動力が伝達される。そして、最終段のギヤシャフトには電磁クラッチ306が設けられており、電磁コイルへの電源のオン・オフにより、駆動モータ304の回転駆動力の被駆動側への伝達を制御している。
【0042】
給紙ローラ141のローラ回転軸300には被駆動ギヤ307が同軸に装着されており、複数のギヤ列305と電磁クラッチ306等を介して伝達される回転駆動力は,被駆動ギヤ307を回転駆動することにより給紙ローラ141に伝達される。
【0043】
また、給紙ローラ141のローラ回転軸300には給紙ローラ141の回転速度や給紙ローラ141の回転立ち上り時間を計測するための回転検知エンコーダ301が設けられている。この回転検知エンコーダ301はローラ回転軸300と同軸に装着された円盤状遮光板302と発光素子と受光素子から構成されるフォトセンサ303及び図示しない波形処理部からなっている。
【0044】
透明板で構成される円盤状遮光板302の外周線の内側近傍には、放射状に、かつ等間隔に形成されたバーラインが設けられており、このバーラインを両側から挟んでフォトセンサ303の発光素子と受光素子が配置されている。そして、円盤状遮光板302が回転すると、バーラインがフォトセンサ303の光を遮断し、フォトセンサ303の受光側出力から回転速度に応じたパルス列が検出されるように構成されている。
【0045】
フォトセンサ303の他に、給紙ローラ141の下流側にも同様のフォトセンサ308が搬送路100に向けて配置されており、給紙ローラ141から搬送されたA4用紙121がフォトセンサ308の光を遮断することによりA4用紙121が当該位置まで到達したことが検出される。
【0046】
図2に戻って、画像形成部20では、感光体ドラム21の表面がチャージローラ22により一様に帯電され、レーザビームLBにより感光体ドラム21上の帯電が選択的に消去されて感光体ドラム21上に静電潜像が形成され、現像器23によりにトナーが帯電部に付着されて現像される。
【0047】
感光体ドラム21付近には、温度を検出する温度センサ及び湿度を検出する湿度センサを兼ね備えた温湿度センサ16が配設されている。
【0048】
レジストレーションローラ24は、用紙搬送ローラ151〜152から供給される用紙の搬送を一旦停止し、所定のタイミングで搬送を再開して静電転写ローラ25と感光体ドラム21との間に用紙を供給する。静電転写ローラ25は、感光体ドラム21上のトナー像を、給紙される用紙に静電転写させる。転写された用紙は、定着器30を通って加熱・加圧され、これによりトナー像が用紙に定着される。感光体ドラム21上の転写後のトナー残りは、クリーナ26で除去される。
【0049】
例えば普通紙片面印刷の場合、この用紙は、排紙ローラ155を通って、排紙トレイ15上にフェイスダウン排出される。両面印刷の場合、上記排出前に、排紙ローラ155が逆回転して用紙がスイッチバックされ、用紙搬送ローラ156及び157を通って画像形成部20のレジストレーションローラ24へ戻される。
【0050】
画像形成装置10内を制御するため、画像形成装置10にはシステム制御装置40が備えられ、このシステム制御装置40に、メイン電源41と、RAM42と、ROM43と、HDD44と、操作部45と、搬送制御装置46と、画像形成部制御装置47と、RTC(Real Time Clock)48と、NIC(Network Interface Card)49と、USBポート50と、が結合されている。
【0051】
システム制御装置40は、例えば操作部45から印刷指示があった場合、RAM42に格納された印刷対象の画像情報を、画像形成部制御装置47に供給するとともに、搬送制御装置46に対し用紙搬送制御を行わせる。画像形成部制御装置47は、この画像情報をビットマップ展開し、レーザビームLBを感光体ドラム21上で走査させながら、ビットマップデータに基づいてレーザビームLBをオン/オフ制御することにより、感光体ドラム21上に所望の静電潜像を形成させる。また、操作部45から設定指示があった場合、設定された値をROM43に格納する。
【0052】
メイン電源41は、画像形成装置10の電源のオン又はオフをユーザが指示するための電源スイッチと、該指示に応答してシステム制御装置40の電源のオン/オフを制御する電源オン/オフ制御部と、を含んで構成される。メイン電源41で電源が投入された後、一般的に初期化処理が行われる。初期化処理には、例えば、不図示のトナータンクへのトナー補給有無の判定、カラーレジストの調整処理、濃度の調整処理等複数の処理項目がある。このような初期化処理により、画像形成に係る各機能が正常に機能するように準備される。
【0053】
RAM42は、ワークエリア用であり、印刷対象の画像情報等を一時格納する。ROM43は、例えばフラッシュメモリなどの再書き込み可能な不揮発性メモリであり、画像形成装置10の機種名及び各種設定値情報が格納される。
【0054】
HDD44は、データ格納用である。操作部45は、タッチパネルとハードウェアキーの組合せで構成され、指示又は設定値を入力し、各種操作画面又は確認画面などを表示させるためのものである。
【0055】
RTC48は、日時をカウントするものであり、独自のバッテリで駆動し、メイン電源41がOFFされても絶えずカウント動作を行っている。また、RTC48はタイムアウトパルスをシステム制御装置40の割込入力端子に周期的に供給する。システム制御装置40はこれに応答して、内部のCPUに割込をかける。
【0056】
NIC49は、インターネット400を介し画像形成装置10と管理サーバ500との互いの通信を可能とする。USBポート50は、USBメモリ1000を脱着可能で、画像形成装置10とUSBメモリ1000との電子データの遣り取りを仲介する。
[3]画像形成装置の主要部構成
図4は、本発明の実施例1に係わる画像形成装置10の主要部構成を示す機能ブロック図である。
【0057】
本発明を実現するために、画像形成装置10は、制御部160と、送信部160aと、機器情報検出部161と、監視対象部162と、一時記憶部163と、履歴記憶部164と、メイン電源41と、ROM43と、RTC48と、を主に備える。
【0058】
制御部160は、上記システム制御装置40、搬送制御装置46及び画像形成部制御装置47を含み、CPU、OS、該OS上で動作する制御プログラムから構成される。送信部160aは、上記システム制御装置40、NIC49、ROM43を含み、CPU、OS、該OS上で動作するメールソフトから構成される。
【0059】
以下、括弧内は図4のステップ識別符号である。この制御部160は、機器情報検出部161の検出又は監視対象部162の動作から計測等して得たエラー予測情報を一時記憶部163に格納し(Sa)、RTC48を参照して定期的に、一時記憶部163に格納されたエラー予測情報と、ROM43に格納さているエラー予測情報(設定値情報)とを監視し、監視して得た情報を履歴記憶部164に随時格納する(Sb、Sc)。上記格納後、一時記憶部163の記憶内容を消去する(Sd)。上記ステップSa〜Sdを所定期間(送信期間)繰り返す。送信部160aは、上記送信期間満了後、履歴記憶部164に格納されたエラー予測情報履歴200を管理サーバ500に送信する(Se)。なお、この制御部160及び送信部160aの各動作の詳細説明は、後述する。
【0060】
機器情報検出部161は、例えば上記温湿度センサ16又は回転検知エンコーダ301である。この回転検知エンコーダ301では、給紙ローラ141又は142の回転速度の平均値が検出される。なお、給紙ローラ141又は142の回転速度以外にも、ローラ付近に図3に示すような回転検知エンコーダ301を備える構成であれば、チャージローラ22、レジストレーションローラ24、静電転写ローラ25、用紙搬送ローラ151〜152、排紙ローラ155、又は用紙搬送ローラ156〜157の回転速度を検出してもよい。また、スキャナが搭載されている場合には、スキャナローラの回転速度を検出するようにしてもよい。
【0061】
監視対象部162は、本発明に係るエラー予測情報の一部である、累積駆動回数、累積駆動時間、又は、ジョブ履歴を取得するために、制御部160が監視する動作対象である。累積駆動回数又は累積駆動時間を取得(計測)するための監視対象としては、例えば、メイン電源41のオン/オフ動作、RAM42、ROM43若しくはHDD44のアクセス、現像器23の駆動、定着器30の駆動、感光体ドラム21の駆動、上記に例示した各種ローラの駆動、電磁クラッチ306の駆動、付勢手段131〜132の昇降装置131c〜132cの駆動、画像形成部20のキャリブレーション動作若しくは印刷動作、又は、スキャナ搭載される場合のスキャン動作等、が挙げられる。ジョブ履歴を取得するための監視対象は、例えばジョブ実行指示である。
【0062】
一時記憶部163は、例えば上記RAM42の記憶領域のうちエラー予測情報が格納される領域である。
【0063】
図5は、一時記憶部163の記憶内容の概略説明図である。一時記憶部163には、例えば機器情報検出部161によって検出された、所定の期間(保存期間)の、ローラ回転速度の履歴170、温度の履歴171及び湿度の履歴172が一時格納される。他にも、制御部160によって計測された、保存期間の、監視対象部162の各種動作による累積駆動回数173、累積駆動時間174又はジョブ情報の履歴175が一時格納される。上記保存期間が経過すると、記憶可能領域(空き領域)が欠乏するのを防止するため、制御部160によって一時記憶部163の記憶内容は消去され、次の期間の満了時まで上記エラー予測情報が格納されていく。なお、上記保存期間は、1時間、3時間又は1日等であってもよく、エラー予測情報毎に異なる期間でもよい。
【0064】
図4に戻って、履歴記憶部164には、検出・計測等によって一時記憶部163に格納された、及び、ROM43に予め格納されている、複数種のエラー予測情報がエラー予測情報履歴200の要素として定期的に格納される。
[4]履歴記憶部164の記憶内容
図6は、履歴記憶部164の記憶内容の概略説明図である。この履歴記憶部164には、各種機器情報のうち、致命的なエラーに結びつく複数種のエラー予測情報が定期的に格納され、エラー予測情報の履歴200が形成される。このエラー予測情報履歴200の要素には、例えば以下のものが挙げられる。
(1)機器設定履歴200a
(2)回転速度履歴200b
(3)温度履歴200c
(4)湿度履歴200d
(5)累積加算駆動回数200e
(6)累積加算駆動時間200f
(7)ジョブ履歴200g
以下、上記各要素について図6を参照しながら簡単に説明する。
【0065】
(1)機器設定履歴200aには、ROM43から定期的にコピーされた、致命的なエラーに結びつく各種機器設定と、そのコピー日時(エラー予測情報を監視した日時)と、が複数個含まれる。
【0066】
(2)回転速度履歴200bは、機器情報検出部161によって検出され、一時記憶部163に格納されている所定期間の回転速度履歴170のうち、一日毎に一つの回転速度、例えば、一日毎に、最初の省電力モードから復帰されて一回目の画像形成時の回転速度がコピーされたものであり、その回転速度と、その計測日時と、が複数個含まれる。この回転速度履歴200dは、例えば、搬送に係る構成要素の寿命切れエラーの発生、又は、駆動モータ304の故障エラー若しくは異常状態の発生等を予測するために役立てられる。なお、検出部161が上述した複数種のローラの回転速度を検出可能な場合は、回転速度履歴200bには、ローラ毎の回転速度履歴が含まれる。
【0067】
(3)温度履歴200cは、機器情報検出部161によって検出され、一時記憶部163に格納されている温度履歴171のうち、例えば一時間毎に一つの温度がコピーされたものであり、その温度と、その計測日時と、が複数個含まれる。この温度履歴200cは、例えば、定着器30のサーミスタの寿命切れエラーの発生、又は、故障等の異常状態の発生を予測するために役立てられる。
【0068】
(4)湿度履歴200dは、機器情報検出部161によって検出され、一時記憶部163に格納されている所定期間の湿度履歴172のうち、例えば一時間毎に一つの湿度がコピーされたものであり、その湿度と、その計測日時と、が複数個含まれる。この湿度履歴200dは、定着不良等による印刷画像の不具合が発生することを予測するために役立てられる。
【0069】
(5)累積加算駆動回数200eは、制御部160によって計測され、一時記憶部163に格納されている所定期間の累積駆動回数173が、定期的に、制御部160によって履歴記憶部164に格納されている累積駆動回数に加算されたものである。監視対象部162に上述した複数種の動作が含まれる場合は、累積加算駆動回数200eには、監視対象毎に一つ累積駆動回数が含まれる。この累積加算駆動回数200eは、例えば、駆動に係る構成要素の寿命切れエラーの発生を予測するために役立てられる。なお、致命的なエラーを予測するためには用いないが、所定期間の累積駆動回数173の履歴も履歴記憶部164に格納するようにしてもよい。
【0070】
(6)累積加算駆動時間200fは、制御部160によって計測され、一時記憶部163に格納されている所定期間の累積駆動時間174が、定期的に、制御部160によって履歴記憶部164に格納されている累積駆動時間に加算されたものである。監視対象部162に上述した複数種の動作が含まれる場合は、累積加算駆動時間200fには、監視対象毎に一つ累積時間が含まれる。この駆動時間200fは、例えば、駆動に係る構成要素の寿命切れエラーの発生を予測するために役立てられる。なお、致命的なエラーを予測するためには用いないが、所定期間の累積駆動時間174の履歴も履歴記憶部164に格納するようにしてもよい。
【0071】
(7)ジョブ履歴200gは、制御部160によって取得され、一時記憶部163に格納されている所定期間のジョブ履歴175が、定期的にコピーされたものである。このジョブ履歴200gは、各種ジョブに係る構成要素の寿命切れエラーの発生を予測するために役立てられる。
[5]制御部160の動作の詳細説明
以下、図7を参照しながら制御部160の動作の詳細説明をする。図7は、制御部160の動作の一部詳細フローチャートである。
【0072】
この処理は、RTC48のタイマ割込により、例えば10msec毎に開始される。以下、括弧内は図7のステップ識別符号である。
【0073】
(S1)機器情報検出部161が、エラー予測情報の一部である、各種ローラの回転速度、温度又は湿度等を検出したか否かを判定する。肯定判定した場合にはステップS2に進み、否定判定した場合にはステップS3に進む。
【0074】
(S2)上記検出されたエラー予測情報を、RTC48が示す日時とともに、一時記憶部163に格納する。
【0075】
(S3)現像器23の駆動など、監視対象部162に含まれる各種動作が開始されたか否かを判定する。肯定判定した場合にはステップS4に進み、否定判定した場合にはステップS10に進む。
【0076】
(S4)動作の種類に応じて、エラー予測情報の一部である駆動回数又は/及び駆動時間を計測する。またその動作が、ジョブ実行指示である場合には、そのジョブ情報を取得する。例えば、プリントジョブが開始された場合は、ジョブ情報には、ジョブ名(プリントジョブ)、用紙サイズ、印刷枚数及び印刷タイプ(カラー/モノクロ)等が含まれる。
【0077】
(S5)上記計測又は取得したエラー予測情報を、RTC48が示す日時とともに、一時記憶部163に格納する。
【0078】
(S10)RTC48を参照し、前回のステップS24で一時記憶部163の記憶内容を全消去してから所定期間、例えば一時間経過したか否か判定する。肯定判定した場合にはステップS11に進み、否定判定した場合には処理を終える。
【0079】
(S11)ROM43に格納されている機器設定のうち、エラー予測情報となるものを履歴記憶部164にコピーする。
【0080】
(S12)取得され一時記憶部163に格納されたジョブ履歴175を、履歴記憶部164にコピーする。
【0081】
(S13)検出され一時記憶部163に格納された温度履歴171及び湿度履歴172の中から、例えば一組のみ、又は、10分間隔の温度履歴及び湿度履歴を抽出し、これらを履歴記憶部164にコピーする。
【0082】
(S14、S17)機器情報検出部161の検出対象となるローラの数だけ、以下のステップS15及び16を繰り返す。
【0083】
(S15)検出され一時記憶部163に格納された回転速度履歴170の中に、一日の間で、最初に省電力モードから復帰されてその後一回目の画像形成時の回転速度が含まれているか否かを判定し、肯定判定した場合にはステップS16に進み、否定判定した場合にはステップS17に進む。
【0084】
(S16)回転速度履歴170から、一日の間で最初に省電力モードから復帰されてその後一回目の画像形成時の回転速度のみを抽出し、これを履歴記憶部164にコピーする。
【0085】
(S18、20)監視対象部162において累積駆動回数の計測対象となる数だけ、以下のステップS19を繰り返す。
【0086】
(S19)計測され一時記憶部163に格納された累積駆動回数173を、履歴記憶部164に格納されている累積加算駆動回数200eに加算し、履歴記憶部164に上書きする。
【0087】
(S21、S23)監視対象部162の中で、累積駆動時間の計測対象となる数だけ、以下のステップS22を繰り返す。
【0088】
(S22)計測され一時記憶部163に格納された累積駆動時間174を、履歴記憶部164に格納されている累積加算駆動時間200fに加算し、履歴記憶部164に上書きする。
【0089】
(S24)一時記憶部163の記録内容を全消去する。
[6]送信部160aの動作の詳細説明
以下、図8を参照しながら送信部160aの動作の詳細説明をする。図8は、送信部160aの動作の一部詳細フローチャートである。
【0090】
(S30)RTC48を参照し、前回のステップS37におけるエラー予測情報履歴200の削除日から、例えば三週間経過したか否か判定する。肯定判定した場合にはステップS31に進み、否定判定した場合には処理を終える。
【0091】
(S31)NIC49を介してインターネット400の接続処理を行う。
【0092】
(S32)インターネット400に接続済みか否かを判定する。肯定判定した場合にはステップS33に進み、否定した場合にはステップS32aに進む。
【0093】
(S32a)接続回数をカウントする。
【0094】
(S32b)接続回数が四回であるか否かを判定する。肯定判定した場合にはステップS32cに進み、否定した場合にはステップS31に戻る。
【0095】
(S32c)USB1000がポート50に挿着されているか否かを判定する。肯定した場合にはステップS32dに進み、否定した場合には処理を終える。
【0096】
(S32d)履歴記憶部164に格納されているエラー予測情報履歴200をUSBメモリ1000にコピーし、ステップS36に進む。
【0097】
(S33)メールソフトを起動し、エラー予測情報履歴200が添付されている旨を本文に記載し、電子メールの宛先に管理サーバ500のメールアドレスを入力して電子メールを作成する。
【0098】
(S34)履歴記憶部164に格納されているエラー予測情報履歴200をファイルとして、作成した電子メールに添付する。
【0099】
(S35)添付ファイル付きの電子メールを宛先に送信する。
【0100】
(S36)送信した旨又はUSBメモリ1000にコピーした旨を操作部45のパネルに表示する。
【0101】
(S37)エラー予測情報履歴200を履歴記憶部164から削除する。
[7]実施例1の発明の効果
本実施例1によれば、制御部160が、検出・計測等により致命的なエラーに結びつく様々なエラー予測情報170〜175を取得して一時記憶部163に格納し、定期的に、蓄積したエラー予測情報を監視し、これらをエラー予測情報履歴200の要素として履歴記憶部164に蓄積し、所定のタイミングで履歴200を管理サーバ500に送信する。これにより、サービスマンは、管理サーバ500でこの履歴200を参照し、種々の致命的なエラーを事前に予測することができるという効果を奏する。
【0102】
本実施例1では、特に、一般的な送信対象となる機器設定履歴200aの他に、回転速度履歴200b、温度履歴200c、湿度履歴200d、累積加算駆動回数200e、累積加算駆動時間200f、ジョブ履歴200gを管理サーバ500に送信するので、上述のように画像形成装置10の各構成要素の寿命切れエラーの発生又は異常状態の発生をより適切に予測することができる。
【実施例2】
【0103】
本実施例2は、実施例1の発明の一つの変形例を示す。本実施例2では、上述の実施例1とは、検出されたローラ回転速度を一時記憶部163から履歴記憶部164に保存するタイミングが異なる。以下、説明しない構成及びステップは、実施例1で説明した構成と同一である。
[8]実施例2に係る制御部160の動作説明
図9は、ローラ回転速度のみを対象とした制御部160及び送信部160aの各動作の一部詳細フローチャートである。その他のエラー予測情報は、実施例1と同様に履歴記憶部164に、定期的に保存される。
【0104】
この処理は、RTC48のタイマ割込により、例えば10msec毎に開始される。以下、括弧内は図9のステップ識別符号である。
【0105】
(S50、S56)機器情報検出部161の検出対象となるローラの数だけ、以下のステップS51〜55を繰り返す。
【0106】
(S51)機器情報検出部161が、エラー予測情報の一部である、所定のローラの回転速度を検出したか否かを判定する。肯定判定した場合にはステップS52に進み、否定判定した場合にはステップS56に進む。
【0107】
(S52)上記検出された回転速度を、RTC48が示す日時とともに、一時記憶部163に格納する。
【0108】
(S53)一時記憶部163に格納されたローラ回転速度が、履歴記憶部164に格納されているローラ回転速度履歴200bの中で直近の回転速度と比較して、変化があるか否かを判定する。肯定判定した場合にはステップS54に進み、否定判定した場合にはステップS56に進む。
【0109】
(S54)変化のあったローラ回転速度を、一時記憶部163から履歴記憶部164にコピーする。
【0110】
(S55)一時記憶部163に格納されたローラ回転速度を削除する。
【0111】
(S57)送信部160aが、実施例1で説明した図8に示すステップS30〜S37と同一の送信処理を行う。なお、ローラ回転速度の変化履歴は、他の履歴より致命的なエラーに結びつく重要な情報であるため、上記ステップS30に示した三週間毎などの定期的な送信に代えて、変化があったときに即時送信する処理を行うようにしてもよい。
[9]実施例2の発明の効果
本実施例2によれば、各種エラー予測情報のうちローラ回転速度については、その速度に変化があった場合にのみ、その情報をエラー予測情報履歴200の要素として履歴記憶部164に保存するので、エラー予測に重要な情報のみを含んだ履歴200を送信することができる。これにより、履歴記憶部164の記憶容量を少なくし、コストを抑えることができる。また、重要な情報のみ送信するので、その履歴200の参照の際に煩雑とならない。
[9]実施例1及び2の発明の変形例
なお、上述した本発明の実施例1及び2は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施例にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱することなしに、様々な変形が可能である。以下に、その変形の一部を例示する。
【0112】
本発明が適用される装置は、実施例1で説明した画像形成装置10に限られず、メンテナンスを必要とする情報処理装置であればよい。例えば、パソコン、ビデオデッキ、DVDプレイヤー、ゲーム機、及び、テレビなどが挙げられる。
【0113】
さらに、エラー予測情報履歴200は、図8のステップS30に示すように定期的に送信される以外にも、操作部45によるユーザの指示又は管理サーバ500の指示に応答して送信されるように構成してもよい。操作部45による指示とは、例えば送信ボタン又は送信アイコンを押下することが挙げられる。
【0114】
さらにまた、エラー予測情報履歴200の送信方法は電子メールに限られず、SNMP(Simple Network Management Protocol)又はSOAP(Simple Object Access Protocol)などの他の送信方法を用いて送信するようにしてもよい。
【0115】
SNMPを用いて送信する場合、画像形成装置10の不図示のプログラム格納部に、SNMPエージェント及びMIB(Management Information Base)が格納され、MIBには、各種エラーに結びつく情報(エラー予測情報)が登録される。このSNMPエージェントはtrapコマンドにより各種エラー予測情報を常に監視し、その値が指定された状態に変化した場合、その旨を管理サーバ500に通知する。一方、管理サーバ500の不図示のハードディスクドライブには、SNMPマネージャ、及び、画像形成装置10のIDとIPアドレスとを対応させたテーブルが格納され、画像形成装置10に対しOID(Object ID)を指定してGETコマンドを送信することにより、OIDで識別されるMIB内のオブジェクト(エラー予測情報)がSNMPエージェントにより読み出されて管理サーバ500のマネージャへレスポンスとして送信される。
【0116】
一方、SOAPを用いて送信する場合には、画像形成装置10及び管理サーバ500の両者にSOAPエンジンとSOAPリスナが搭載されている必要がある。この構成では、画像形成装置10は、管理サーバ500の宛先をSOAPヘッダに記述し、蓄積したエラー予測情報履歴200の内容とこの解析依頼をSOAPボディに記述してSOAPメッセージを作成し、このメッセージを管理サーバ500に送信する。
【0117】
また、実施例1では、送信手段がない場合又はインターネット400に接続できなかった場合等には、図7に示すようにエラー予測情報履歴200は、USBメモリ1000に格納される構成を説明したが、USBメモリ1000の代わりに、例えばフローピー(登録商標)ディスク、CD、MD、HDD、SDカード、又は、CFカードのような他のリムーバブル記憶装置を用いる構成であってもよい。
【0118】
さらに、実施例1では、機器情報検出部161が検出した又は制御部160が計測等したエラー予測情報を、一時記憶部163に格納し、定期的にこの記憶部163から履歴記憶部164にコピーする場合を説明したが、検出・計測等したエラー予測情報を直に履歴記憶部164に格納するようにしてもよい。この場合、検出した情報は、適宜制御部160によって取捨選択され、必要な情報のみが履歴記憶部164に格納される。
【0119】
さらにまた、画像形成装置10は、上述した構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、或いは、上記した構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。
【0120】
また、本発明は、上記した実施例のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲において、種々改変することができる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の実施例1に係わるメンテナンスシステムの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例1に係わる画像形成装置のハードウェア構成を概略的に示す図である。
【図3】図2に示す給紙ローラ付近(以下、給紙部という)の具体的構成の一実施例を示す概略構成図である。
【図4】本発明の実施例1に係わる画像形成装置の主要部構成を示す機能ブロック図である。
【図5】図4に示す一時記憶部の記憶内容の概略説明図である。
【図6】図4に示す履歴記憶部の記憶内容の概略説明図である。
【図7】図4に示す制御部の動作の一部詳細フローチャートである。
【図8】図4に示す送信部の動作の一部詳細フローチャートである。
【図9】実施例2に係わる制御部及び送信部の各動作の一部詳細フローチャートである。
【符号の説明】
【0122】
10 画像形成装置
15 排紙トレイ
16 温湿度センサ
20 画像形成部
21 感光体ドラム
22 チャージローラ
LB レーザビーム
23 現像器
24 レジストレーションローラ
25 静電転写ローラ
26 クリーナ
30 定着装置
40 システム制御装置
41 メイン電源
42 画像情報メモリ
43 設定情報メモリ
44 エラー予測情報履歴記憶装置
45 操作部
46 搬送制御装置
47 画像形成部制御装置
48 RTC
49 NIC
50 USBポート
100 搬送路
111 A4給紙トレイ
112 A3給紙トレイ
121 A4用紙
122 A3用紙
131a、132a 用紙受け板
131b、132b コイルスプリング
131c、132c 昇降装置
131、132 付勢手段
141、142 給紙ローラ
151、152 用紙搬送ローラ
155 排紙ローラ
156、157 用紙搬送ローラ
160 制御部
160a 送信部
161 機器情報検出部
162 監視対象部
163 一時記憶部
164 履歴記憶部
170 回転速度履歴
171 温度履歴
172 湿度履歴
173 累積駆動回数
174 累積駆動時間
175 ジョブ履歴
200 エラー予測情報履歴
200a 機器設定履歴
200b 回転速度履歴
200c 温度履歴
200d 湿度履歴
200e 累積加算駆動回数
200f 累積加算駆動時間
200g ジョブ履歴
300 回転軸
301 回転検知エンコーダ
302 円盤状遮光板
303 フォトセンサ
304 駆動モータ
305 複数のギヤ列
306 電磁クラッチ
307 被駆動ギヤ
308 フォトセンサ
310 制御部
311 機器情報検出部
312 機器情報記憶部
313 エラー予測情報履歴記憶部
314 送信部
400 インターネット
500 管理サーバ
1000 USBメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御手段と、該制御手段に結合された記憶手段と、該制御手段に結合され、管理コンピュータに情報を伝達可能な伝達手段とを備えた画像形成装置において、
該制御手段は、
予め定められた致命的なエラーに結びつくエラー予測情報を監視し、監視した情報をエラー予測情報履歴の要素として該記憶手段に蓄積し、所定のタイミングで該記憶手段に蓄積されたエラー予測情報履歴を、該伝達手段により該管理コンピュータに送信させ、又は、該伝達手段に格納する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
該エラー予測情報を検出又は計測するエラー予測情報取得手段をさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
該制御手段は、定期的に、該エラー予測情報を監視し、監視した情報をエラー予測情報履歴の要素として該記憶手段に蓄積することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
該エラー予測情報取得手段の一部として、該画像形成装置の構成要素に係わる駆動時間又は駆動回数を計測する駆動時間計測手段又は駆動回数計測手段を備え、
該制御手段は、監視対象である、該画像形成装置の構成要素に係わる駆動時間情報又は駆動回数情報を該エラー予測情報履歴の要素として該記憶手段に蓄積する、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
該画像形成装置の構成要素に係わる駆動時間又は駆動回数は累積値である、ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
該制御手段は、監視対象の該エラー予測情報に変化があった場合に、その情報を該エラー予測情報履歴の要素として該記憶手段に蓄積する、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項7】
該エラー予測情報取得手段の一部として、該画像形成装置の各種ローラの回転速度を検出するローラ回転速度検出手段を備え、
該制御手段は、監視対象である、該画像形成装置の各種ローラの回転速度情報を該エラー予測情報履歴の要素として該記憶手段に蓄積する、
ことを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項8】
該制御手段は、監視対象である、該画像形成装置のキャリブレーション情報を該エラー予測情報履歴の要素として該記憶手段に蓄積する、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項9】
該エラー予測情報取得手段は、温度検出手段又は湿度検出手段、を含み、
該制御手段は、監視対象である、該温度検出手段又は該湿度検出手段が検出する温度又は湿度を該エラー予測情報履歴の要素として該記憶手段に蓄積する、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項10】
タイマをさらに備え、
該制御手段はさらに、該タイマが示す日時を取得し、該日時と、監視対象の該エラー予測情報とを関連付けて該エラー予測情報履歴の要素として該記憶手段に蓄積する、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1つに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−196133(P2009−196133A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−38195(P2008−38195)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】