説明

画像形成装置

【課題】本発明は、現像器のシャッタの操作性を向上することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置は、開口部74Aが形成されるケースおよび開口部74Aを開閉する現像器シャッタ120を有する複数の現像器72と、複数の現像器72のそれぞれに現像剤を供給する複数の現像剤カートリッジとを備えている。そして、複数の現像器72のそれぞれに設けられた各現像器シャッタ120は、互いに連結されることにより連動するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の現像剤カートリッジからそれぞれトナーが供給される複数の現像器を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置として、帯電された感光ドラムに光を照射して、光で照射された部分の電位を変えて感光ドラム上に静電潜像を形成し、その静電潜像にトナーを供給することにより形成されるトナー像を記録シートに転写することで、記録シートに所定の画像を形成するものが知られている。
【0003】
このような画像形成装置としては、従来、複数の感光体と、異なる色のトナーがそれぞれ収容された現像剤カートリッジと、各現像剤カートリッジ内のトナーを各感光体に供給させる複数の現像器とを備えたものが知られている(特許文献1参照)。そして、各現像器には、現像剤カートリッジからトナーを受け入れる開口部と、開口部を開閉するシャッタとが設けられている。
【0004】
【特許文献1】特開平6−194886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述したような複数の現像器のシャッタが、それぞれ別々に開閉するように構成されていた場合には、操作性が悪いといった問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、現像器のシャッタの操作性を向上することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する本発明は、開口部が形成されるケースおよび前記開口部を開閉する現像器シャッタを有する複数の現像器と、前記複数の現像器のそれぞれに現像剤を供給する複数の現像剤カートリッジとを備えた画像形成装置であって、前記複数の現像器のそれぞれに設けられた各現像器シャッタは、互いに連結されることにより連動するように構成され、前記複数の現像器は、装置本体に対して一体的に着脱可能に構成され、各現像剤カートリッジと各現像器との間にそれぞれ配設される複数のカートリッジ側シャッタをさらに備え、前記現像器シャッタには、前記カートリッジ側シャッタに設けられる被係合部と係合する係合部が設けられ、前記現像器シャッタと前記カートリッジ側シャッタとは、前記被係合部と前記係合部とが係合することにより連動し、前記複数の現像器は、上下方向に交差する装着方向に沿って装置本体内に挿入された後、少なくとも上方向または下方向に案内されて装置本体の所定位置に装着され、前記現像器シャッタと前記カートリッジ側シャッタは、前記複数の現像器が前記所定位置に到達したときに係合するように構成されたことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、各現像器シャッタが互いに連結して連動するように構成されることにより、1回の操作で各現像器シャッタの全てを開閉することができるので、その操作性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、各現像器シャッタが互いに連結されることにより、1回の操作で各現
像器シャッタの全てを開閉できるので、その操作性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
参照する図面において、図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例としてのカラープリンタの全体構成を示す断面図であり、図2は現像器の開口部を示す断面図である。また、図3はクリーニング部の着脱構造を示す断面図である。なお、以下の説明においては、まず、カラープリンタの全体構成を説明した後、本発明の特徴部分の詳細を説明することとする。
【0011】
<カラープリンタの全体構成>
図1に示すように、カラープリンタ1は、装置本体2内に、用紙Pを供給する給紙部3と、給紙された用紙Pに画像を形成する画像形成部4と、画像が形成された用紙Pを外部に排出する排紙部5とを備えている。
【0012】
なお、以下の説明において、特に断りがないかぎり図1に示した上下方向を上下、図1における右側を手前、左側を奥、紙面の奥側を右、紙面の手前側を左として、各方向を示す。ここでの方向は、カラープリンタ1の手前側に立った者から見た方向を基準として規定してある。
【0013】
<給紙部>
給紙部3は、装置本体2内の下方において、装置本体2に着脱自在に装着される給紙トレイ31と、給紙トレイ31から用紙Pを画像形成部4へ搬送する用紙供給機構32およびレジストローラ33とを備えている。用紙供給機構32は、公知の給紙ローラ、分離ローラ、分離パッドおよび紙粉取りローラ(符号略)などからなり、給紙トレイ31内の用紙Pを一枚ずつ分離して上方のレジストローラ33に供給する。レジストローラ33に供給された用紙Pは、レジストローラ33でその先端が揃えられた後、上方の画像形成部4へ搬送される。
【0014】
<画像形成部>
画像形成部4は、スキャナ部6、プロセス部7、転写部8および定着部9を備えている。
【0015】
[スキャナ部]
スキャナ部6は、装置本体2の下部、詳しくは給紙トレイ31とプロセス部7との間に設けられており、公知のレーザ発光部、ポリゴンミラー、複数のレンズおよび反射鏡(符号略)を備えている。スキャナ部6では、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色に対応させてレーザ発光部から発光されるレーザが、図に2点鎖線で示す経路を通って、プロセス部7の各感光ドラム75に照射されている。
【0016】
[プロセス部]
プロセス部7は、スキャナ部6の上方、詳しくはスキャナ部6と転写部8の間に配置されており、箱状のドロア71と、ドロア71内に配設される複数の現像器72と、ドロア71外(左側)に配設される複数の現像剤カートリッジ73(図2参照)とを備えている。以下に、プロセス部7の構成について簡単に説明し、詳細な構造は後で詳述する。
【0017】
ドロア71は、装置本体2に前後方向において着脱自在に装着されるものであり、その内部に4つ(複数)の現像器72が前後方向に並べられて一体に固定されている。すなわち、4つの現像器72は、ドロア71によって、装置本体2に対して一体的に着脱可能となっている。
【0018】
現像器72は、現像ケース74と、現像ケース74内に配設される感光ドラム75、現像ローラ76、供給ローラ77、一対の搬送オーガ78および帯電器79とを主に備えている。そして、現像ケース74の左側壁の下部には、図2に示すように、現像ケース74内外に貫通する開口部74Aが形成されている。なお、この開口部74Aは、四角い孔と丸い孔とで構成され、現像剤カートリッジ73に対向するように配置される。
【0019】
以上のように構成されるプロセス部7では、前述の帯電器79により感光ドラム75の表面がプラスに帯電され、この帯電された部分がスキャナ部6から出射されるレーザ光によって露光されて電位が下がることによって、感光ドラム75上に画像データに基づく静電潜像が形成される。一方、図2に示す現像剤カートリッジ73内のトナーが開口部74Aを介して現像器72内に供給され、現像器72内に供給されたトナーは、搬送オーガ78と供給ローラ77とによって現像ローラ76に搬送される。そして、現像ローラ76から感光ドラム75の静電潜像にプラスに帯電されたトナーが供給されることで、感光ドラム75上にトナー像が担持される。現像に使われなかった現像剤は、搬送オーガ78によって、開口部74Aを介して、現像剤カートリッジ73に戻される。
【0020】
[転写部]
転写部8は、駆動ローラ82、従動ローラ81、中間転写ベルト83、1次転写ローラ84、2次転写ローラ85およびクリーニング部86を備えている。
【0021】
駆動ローラ82および従動ローラ81は、前後方向に離間して平行に配置され、これらの間に無端状の中間転写ベルト83が張り渡されている。そして、中間転写ベルト83は、駆動ローラ82の回転駆動により、従動ローラ81とともに回転駆動される。
【0022】
また、中間転写ベルト83の内側には各感光ドラム75との間で中間転写ベルト83を挟み込む1次転写ローラ84が配置されている。1次転写ローラ84には、図示しない高圧基板から転写バイアス(本実施形態ではマイナスの転写バイアス)が印加される。これにより、各感光ドラム75上のトナー像が中間転写ベルト83上に転写される。
【0023】
また、従動ローラ81の奥側には、2次転写ローラ85が配設されている。この2次転写ローラ85にも、図示しない高圧基板から転写バイアス(本実施形態ではマイナスの転写バイアス)が印加される。これにより、レジストローラ33から上方に向かって搬送される用紙P上に、中間転写ベルト83上のトナー像が転写される。
【0024】
クリーニング部86は、中間転写ベルト83の上方に配置され、中間転写ベルト83に付着したトナーを回収し、その内部でトナーを貯留するようになっている。なお、このクリーニング部86は、図3に示すように、装置本体2の手前側に回動可能に設けられた第1フロントカバー21を開放することで交換可能となっている。
【0025】
[定着部]
定着部9は、転写部8の下流側、詳しくは2次転写ローラ85の上方に配置され、公知の加熱ローラ91および加圧ローラ92を備えている。この定着部9では、加熱ローラ91と加圧ローラ92との間で用紙Pを挟持しつつ送り出すことで、用紙P上のトナー像を熱定着させる。
【0026】
<排紙部>
排紙部5は、複数の搬送ローラ(符号省略)を有しており、定着部9から排出された用紙Pを、装置本体2の上部に形成された排紙トレイ51へ搬送する。
【0027】
次に、本発明の特徴部分の構造、すなわち現像器72の開口部74Aを開閉するシャッタ構造について詳細に説明する。参照する図面において、図4は各現像器シャッタが閉じた状態のドロアを左側から見た状態を示す側面図(a)と、各現像器シャッタを開放した状態を示す側面図(b)と、ドロアを手前側から見た状態を示す正面図(c)である。また、図5はシャッタ機構を分解して示す分解斜視図(a)と組み立てた状態を示す斜視図(b)であり、図6は案内部とカートリッジ側シャッタ機構を示す斜視図である。
【0028】
図4(a)〜(c)に示すように、ドロア71の左側壁71Bの下部には、4つの現像器72の開口部74Aを同時に開閉させるシャッタ機構100が設けられている。このシャッタ機構100は、図5(a)および(b)に示すように、シャッタ支持壁110と、4つ(複数)の現像器シャッタ120と、各現像器シャッタ120を互いに連結させるシャッタ連結体130とを備えて構成されている。
【0029】
シャッタ支持壁110は、前後方向に延びる長方形状の板状部品であり、各現像ケース74の開口部74Aに対応して形成される4つの開口部111を有しており、開口部111の周囲には、開口部111の外縁部に倣った形状のスポンジSが接合されている。そして、このシャッタ支持壁110は、ドロア71の左側壁71Bに所定の支持柱112を介して固定されることで、ドロア71の左側壁71Bから所定の隙間を離して配置されている。ここで、支持柱112は、各現像ケース74の開口部74Aに対応して形成される開口部が形成されることによって、筒状に形成されている。
【0030】
現像器シャッタ120は、断面視略C字状に形成されており、シャッタ支持壁110に対して前後方向に摺動可能に取り付けられている。具体的に、現像器シャッタ120は、矩形に形成される縦壁121と、縦壁121の上下端から右方向に延びる上壁122および下壁123と、上壁122の右側の端縁から下方に延びる爪部124と、下壁123の右側の端縁から上方に延びる爪部125とを備えて構成されている。
【0031】
現像器シャッタ120の縦壁121には、その上部に左方向へ突出する2つの円柱状の突起126が前後方向に並ぶように形成されるとともに、その下部に2つの凹部127が前後方向に並ぶように形成されている。そして、これらの突起126と凹部127は、前後方向において同じ位置となるように(上下方向から見て重なるように)配置されている。ここで、各突起126および各凹部127は、係合部の一例に相当する。
【0032】
シャッタ連結体130は、シャッタ支持壁110とドロア71の左側壁71Bとの間に配置され、シャッタ支持壁110と略同じ大きさで形成される長方形状の枠状部131と、枠状部131の手前側(ドロア71の着脱方向における脱離側)の面に形成されるシャッタ操作部132とを備えて構成されている。枠状部131には、4つの現像器シャッタ120の爪部124,125が接合されており、これにより、ユーザがシャッタ操作部132を前後方向に移動させることで、4つの現像器シャッタ120が連動して前後方向(現像器72の並列方向)に移動するようになっている。
【0033】
シャッタ操作部132は、枠状部131に一体に形成される基部133と、基部133の上部から手前側に延出する第1延出部134と、第1延出部134の先端から下方に延出する第2延出部135と、第2延出部135の下端から奥側に延出する第3延出部136とを備えて構成されている。そして、このシャッタ操作部132は、図示せぬ移動規制部によって、その前後方向の移動範囲が規定されている。
【0034】
これにより、図4(a)に示すように、ユーザがシャッタ操作部132を最も手前側の閉位置に移動させると、各現像器シャッタ120によって現像器72の開口部74Aが閉じられる。また、図4(b)に示すように、ユーザがシャッタ操作部132を最も奥側の
開位置に移動させると、各現像器シャッタ120が奥側に移動して現像器72の開口部74Aが開放される。
【0035】
なお、前述したように図5(a)に示すシャッタ支持壁110の開口部111の周囲にスポンジSが接合されていることにより、現像器シャッタ120が閉じた状態においては、スポンジSが現像器シャッタ120に対して押し付けられるように密着することで、現像器72内が密閉される。また、現像器シャッタ120の開放時には、現像器シャッタ120を押圧していたスポンジSが現像剤カートリッジ73側に向かって伸びるようになっている。
【0036】
また、シャッタ操作部132の第1延出部134は、図2に示すように、開位置に位置する状態において、装置本体2の手前側に回動可能に設けられた第2フロントカバー22の挿通孔22Aを貫通しており、第2延出部135が装置本体2の手前側に配置されるようになっている。これにより、シャッタ操作部132を閉位置に移動させない限り、第2フロントカバー22が開放することができないようになっている。
【0037】
なお、この挿通孔22Aは、シャッタ操作部132が閉位置に位置する状態において第2フロントカバー22を回動させるときに、第2フロントカバー22とシャッタ操作部132とが干渉しないような大きさで形成されている(図10参照)。
【0038】
ここで、第2フロントカバー22は、その上部に配設されるトップカバーTの把持部T1によって、手前側への揺動が規制されている。なお、トップカバーTは、図10に示すように、転写部8の従動ローラ81の回転軸82Aと、排紙トレイ51の奥側に配設される軸部51Aとを中心にして、上下に回動可能となっている。
【0039】
さらに、図2に示すように、シャッタ操作部132の第3延出部136は、開位置に位置する状態において、第2フロントカバー22の係合孔22Bに手前側から嵌り込むようになっている。
【0040】
また、装置本体2内には、シャッタ操作部132の位置を検知する光センサ23が設けられている。具体的に、この光センサ23は、開位置に位置するシャッタ操作部132によって光が遮られることでシャッタ操作部132が開位置に位置すると検知し、シャッタ操作部132が閉位置に移動して光の遮断が解除されることでシャッタ操作部132が閉位置に位置すると検知する。
【0041】
また、図4(a)〜(c)に示すように、ドロア71は、各現像器シャッタ120の移動方向と同じ方向に着脱可能となるように、その手前側(着脱方向の脱離側)に現像器操作部の一例としてのドロア操作部71Cが設けられるとともに、その上部に車輪71Dおよびスライド用フランジ71Eが設けられている。
【0042】
ドロア操作部71Cは、ドロア71の手前側の面に固定される回動軸部71Fと、この回動軸部71Fに回動可能に設けられる把持部71Gとを備えて構成されている。回動軸部71Fは左右方向に沿って配置されており、この回動軸部71Fを中心にして把持部71Gが上下に揺動するようになっている。
【0043】
車輪71Dは、ドロア71の左右両側壁71B,71H(図4(c)参照)の奥側上部から奥側に向けて突出する一対の突出片71Jに対して2つずつ前後方向に並ぶように回転可能に設けられている。
スライド用フランジ71Eは、図4(c)に示すように、ドロア71の左右両側壁71B,71Hから左右方向外側に向けて延出するように形成されている。
【0044】
これに対し、装置本体2には、図6に示すように、ドロア71を所定位置まで案内するための案内部24がドロア71を左右に挟み込むように設けられている(左側の案内部24のみ図示)。具体的に、案内部24は、手前側から順に配設される第1案内ローラ24A、第1傾斜壁24B、第1案内レール24C、第2案内ローラ24D、第2傾斜壁24Eおよび第2案内レール24Fを備えて構成されている。
【0045】
第1案内ローラ24Aは、装置本体2を構成する壁25に回転可能に設けられている。第1案内レール24Cは、前後方向に延びる板状に形成されており、第1案内ローラ24Aの下部と上下方向において略同位置になるように配置されている。そして、第1傾斜壁24Bは、第1案内ローラ24Aの上部から第1案内レール24Cの上面に向けて傾斜する傾斜面を有している。
【0046】
第2案内ローラ24Dは、装置本体2を構成する壁25に回転可能に設けられており、その上部が、第1案内レール24Cと上下方向において略同位置になるように配置されている。第2案内レール24Fは、前後方向に延びるとともに後端部が上方に向けて湾曲した板状に形成されており、第2案内ローラ24Dの下部と上下方向において略同位置になるように配置されている。そして、第2傾斜壁24Eは、第2案内ローラ24Dの上部から第2案内レール24Fの上面に向けて傾斜する傾斜面を有している。
【0047】
以上のように案内部24やドロア71が構成されることにより、ドロア71を装置本体2内に挿入していく際、ドロア71の車輪71Dが、案内部24の第1案内ローラ24A、第1傾斜壁24Bおよび第1案内レール24C上を転動していき、奥側に進む。ドロア71の車輪71Dが第1案内レール24C上に到達すると、ドロア71のスライド用フランジ71Eが第1案内ローラ24A上に載置される。
【0048】
これにより、ドロア71の車輪71Dが第1案内レール24C上を転動して奥側に進むとともに、ドロア71のスライド用フランジ71Eが第1案内ローラ24Aの転動により奥側にスライドすることにより、ドロア71が安定した姿勢で奥側に移動する。その後は、ドロア71の車輪71Dが、第2案内ローラ24D、第2傾斜壁24Eおよび第2案内レール24F上を転動していき、第2案内レール24Fの湾曲した後端部で止められることで、前後方向に移動していたドロア71が下斜め奥側に移動して所定位置で位置決めされる。
【0049】
また、案内部24の下方には、各現像剤カートリッジ73内から各現像器72へのトナーの供給(または、各現像器72から各現像カートリッジ73内へのトナーの回収)を許容・遮断するカートリッジ側シャッタ機構200が設けられている。具体的に、このカートリッジ側シャッタ機構200は、前述したドロア71側のシャッタ機構100と略同様の構造となっており、主に、シャッタ支持壁210と、4つ(複数)のカートリッジ側シャッタ220とを備えて構成されている。
【0050】
シャッタ支持壁210は、ドロア71側のシャッタ支持壁110と同様に、4つの開口部211を有しており、装置本体2を構成する壁26に所定の隙間を空けた状態で固定されている。また、各開口部211の周囲には現像器72側のスポンジSと同形状のスポンジSが固定されている。そして、このスポンジSは、カートリッジ側シャッタ220が閉じているときにおいてカートリッジ側シャッタ220に密着しており、カートリッジ側シャッタ220が開放したときにおいて、外部に伸びて、現像器72側のスポンジSと密着するようになっている。
【0051】
カートリッジ側シャッタ220は、各現像剤カートリッジ73と各現像器72との間に
それぞれ配設されており、ドロア71側の各現像器シャッタ120を上下逆にした構造となっている。すなわち、カートリッジ側シャッタ220の縦壁221には、その上部に一対の凹部227が形成されるとともに、その下部に一対の突起226が形成されている。
【0052】
そのため、各現像器シャッタ120の一対の突起126が各カートリッジ側シャッタ220の一対の凹部227に係合し、各現像器シャッタ120の一対の凹部127が各カートリッジ側シャッタ220の一対の突起226に係合するようになっている。ここで、カートリッジ側シャッタ220の各凹部227および各突起226は、被係合部の一例に相当する。
【0053】
なお、各現像剤カートリッジ73の下部には、各現像器72の下部に形成される開口部74Aと同形状の開口部73Aが形成されるとともに、この開口部73Aがシャッタ支持壁210の開口部211を介して現像器72側に開口するようになっている。
【0054】
なお、各現像剤カートリッジ73のシャッタの開閉構造は任意に設定可能である。例えば、現像剤カートリッジ73を装置本体2に取り付ける際に、シャッタと装置本体2の一部が係合することで、現像剤カートリッジ73の取付動作に伴ってシャッタが開くように構成してもよい。また、例えば、現像剤カートリッジ73を装置本体2に取り付けた後、ユーザが図示せぬ操作片を操作することによって、各現像剤カートリッジ73の各シャッタを別々に、または、同時に開閉するように構成してもよい。また、各現像剤カートリッジ73のシャッタの開放時において、各現像剤カートリッジ73から外部に伸びて装置本体2の壁26と密着するスポンジを、各現像剤カートリッジ73に適宜設けてもよい。
【0055】
以上のように、各現像剤カートリッジ73やカートリッジ側シャッタ機構200が構成されることにより、ドロア71が案内部24に沿って前後方向に移動した後で下斜め奥側に移動して所定位置に到達したときに、各現像器シャッタ120の一対の突起126および凹部127が各カートリッジ側シャッタ220の一対の凹部227および突起226に係合する。続いて、ユーザがドロア71側のシャッタ操作部132を操作することで、各現像器シャッタ120と各カートリッジ側シャッタ220を連動させて開閉することができる。
【0056】
なお、各現像器シャッタ120と各カートリッジ側シャッタ220が開放された際には、各現像器シャッタ120および各カートリッジ側シャッタ220に密着していた各スポンジSが伸びることで、互いに当接し合うこととなる。これにより、各現像剤カートリッジ73と各現像器72とを繋ぐトナーの通路が形成されて、各現像剤カートリッジ73から各現像器72にトナーが供給可能となる。
【0057】
次に、本実施形態に係るカラープリンタ1の操作方法について説明する。参照する図面において、図7はドロアが装着されていない装置本体を示す断面図であり、図8はトップカバーと第2フロントカバーを開いた状態を示す断面図である。また、図9はドロアを所定位置まで挿入した状態を示す断面図であり、図10は第2フロントカバーを閉めた状態を示す断面図である。さらに、図11はトップカバーを閉めた状態を示す断面図であり、図12は各現像器シャッタを開いた状態を示す断面図である。
【0058】
図7に示すように、装置本体2内にドロア71が装着されていない状態において、トップカバーTを上方に揺動した後、第2フロントカバー22を手前側に倒すことにより、図8に示すように、装置本体2の手前側にドロア71を挿入するための開口2Aを形成する。そして、この開口2Aからドロア71を、案内部24に沿って奥側へ挿入する。
【0059】
ドロア71の装着方向先頭に配置される車輪71Dが、図9に示すように、案内部24
の第2案内レール24Fの湾曲した後端部まで移動すると、ドロア71全体が下斜め奥側に下がって所定位置に位置決めされる。このとき、図5に示す各現像器シャッタ120の各突起126および各凹部127が、図6に示す各カートリッジ側シャッタ220の各凹部227および各突起226に係合する。
【0060】
その後、図10に示すように、第2フロントカバー22を上方に揺動して閉めるとともに、図11に示すように、トップカバーTを下方に揺動して閉める。これにより、転写部8の中間転写ベルト83とドロア71内の各現像器72に設けられる各感光ドラム75が当接する。
【0061】
その後、図12に示すように、シャッタ操作部132を奥側の開位置まで押し込むことによって、各現像器シャッタ120および各カートリッジ側シャッタ220が連動して開いて、各現像剤カートリッジ73(図2参照)から各現像器72にトナーが供給可能となる。また、このとき、シャッタ操作部132の第3延出部136が、光センサ23の光を遮断することによって、光センサ23によってシャッタ操作部132が開位置に位置したことが検知される。
【0062】
そして、この検知信号を条件として、カラープリンタ1での印刷が可能な状態となる。すなわち、カラープリンタ1を制御する制御装置(図示せず)は、光センサ23によってシャッタ操作部132が開位置に位置したことが検知されると、その後の印刷制御を許容し、検知されていない間は、印刷制御を禁止する制御を行っている。以上により、各現像器シャッタ120および各カートリッジ側シャッタ220が閉まっているときにおいて、印刷制御が実行されることが防止される。
【0063】
また、カラープリンタ1からドロア71を取り出す場合には、図12から図11に示すように、シャッタ操作部132を手前側の閉位置まで引っ張ることによって、各現像器シャッタ120および各カートリッジ側シャッタ220を閉める。その後は、図10から図9に示すように、トップカバーTおよび第2フロントカバー22を順に開けていくことで装置本体2の手前側に開口2Aを形成させ、この開口2Aからドロア71を引き出して取り出す。
【0064】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
各現像器シャッタ120が互いに連結されて連動することにより、1回の操作で各現像器シャッタ120の全てを開閉することができるので、その操作性を向上させることができる。
【0065】
各現像器シャッタ120が複数の現像器72の並列方向に移動可能に構成されることにより、各現像器シャッタ120を連結するシャッタ連結体130を長手方向に動かすことができるので、シャッタ連結体130の歪みを抑制することができるとともに、各現像器シャッタ120をスムーズに動かすことができる。ちなみに、シャッタ連結体130を上下に動かすことによっても、各現像器シャッタ120を連動して開閉させることができるが、この場合には、シャッタ連結体130が例えば現像器72のスポンジSとの摺接部分を中心にして回動することがあるため、シャッタ連結体130が歪んで、各現像器シャッタ120がスムーズに動かなくなるおそれがある。
【0066】
複数の現像器72がドロア71に固定されることで装置本体2に対して一体的に着脱可能に構成されているので、各現像器シャッタ120を連結させた状態のまま複数の現像器72を一体的に交換することができ、その構造を簡易化することができる。ちなみに、各現像器を装置本体に対してそれぞれ別個に着脱可能な構造とする場合は、交換の際、各現像器シャッタの連結を解除する構造が必要となるので、その構造が複雑化する。
【0067】
ドロア操作部71Cとシャッタ操作部132とが共に着脱方向における脱離側に設けられているので、脱離側で操作を行うユーザによるドロア71および各現像器シャッタ120の操作性が向上する。また、ドロア71の着脱方向と各現像器シャッタ120の移動方向が同じであるため、ドロア71の着脱のためのスペースと、各現像器シャッタ120の開閉のためのスペースとを共有させることができ、スペースの有効利用を図ることができる。
【0068】
装置本体2にシャッタ操作部132の位置を検知する光センサ23を設けたので、各現像器シャッタ120の開閉状態を光センサ23からの出力値に基づいて判断でき、印刷制御の誤動作を防止することができる。また、光センサ23をシャッタの数に対応して複数設ける必要が無い。
【0069】
各突起126および各凹部127と各凹部227および各突起226との係合により、各現像器シャッタ120と各カートリッジ側シャッタ220が連動して開閉されるので、カートリッジ側シャッタ220を動かすための機構を別に設ける必要がなく、構造を簡易化することができる。
【0070】
ドロア71を下斜め奥側に移動させることによって各現像器シャッタ120と各カートリッジ側シャッタ220とを係合させたので、ドロア71を左右方向に移動させることによって各シャッタを係合させる構造に比べ、構造を簡易化することができる。特に、ドロア71の下方への移動は重力を利用して簡単に行うことができるので、ドロア71を左右方向または上方に移動させることによって各シャッタを係合させる構造に比べて、ドロア71の装着を容易に行うことができる。
【0071】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
前記実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
【0072】
前記実施形態では、各現像器シャッタ120を各現像器72の並列方向に移動させたが、本発明はこれに限定されず、各現像器72の並列方向に直交する方向に移動させてもよい。また、前記実施形態では、各現像器シャッタ120を各現像器72の並列方向に移動させることで各現像器72の各開口部74Aを同時に開閉するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、回動式のアームに各シャッタを連結することで、各シャッタの開閉のタイミングがずれるように構成してもよい。
【0073】
前記実施形態では、各現像器シャッタ120を連結させる部材(シャッタ連結体130)を設けたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、各現像器シャッタを隣接する現像器シャッタと接触可能な大きさで形成し、各現像器シャッタを接着剤等によって直接連結してもよい。
【0074】
前記実施形態では、シャッタ操作部132の位置を検知するセンサとして、光センサ23を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第3延出部136によって押圧されることでON状態となるスイッチ式(機械式)のセンサであってもよい。
【0075】
前記実施形態では、複数の現像器72を一体に備えたドロア71を下斜め奥側に移動させることで、各現像器シャッタ120と各カートリッジ側シャッタ220とを係合させたが、本発明はこれに限定されず、ドロア71を少なくとも上方または下方に移動させることで各シャッタを係合させればよい。すなわち、例えば、ドロア71を装置本体2の奥側
の壁に一旦当接させた後、そのまま真下に移動させる構造としてもよい。また、例えば、ドロア71を上斜め奥側に移動させる構造としてもよい。
【0076】
前記実施形態では、係合部および被係合部として左右方向に突出する突起126,227と、左右方向に凹む凹部227,127とを採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上下方向に突出する突起と上下方向に凹む凹部とを係合部および被係合部として採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例としてのカラープリンタの全体構成を示す断面図である。
【図2】現像器の開口部を示す断面図である。
【図3】クリーニング部の着脱構造を示す断面図である。
【図4】各現像器シャッタが閉じた状態のドロアを左側から見た状態を示す側面図(a)と、各現像器シャッタを開放した状態を示す側面図(b)と、ドロアを手前側から見た状態を示す正面図(c)である。
【図5】シャッタ機構を分解して示す分解斜視図(a)と、組み立てた状態を示す斜視図(b)である。
【図6】案内部とカートリッジ側シャッタ機構を示す斜視図である。
【図7】ドロアが装着されていない装置本体を示す断面図である。
【図8】トップカバーと第2フロントカバーを開いた状態を示す断面図である。
【図9】ドロアを所定位置まで挿入した状態を示す断面図である。
【図10】第2フロントカバーを閉めた状態を示す断面図である。
【図11】トップカバーを閉めた状態を示す断面図である。
【図12】各現像器シャッタを開いた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0078】
1 カラープリンタ
23 光センサ
24 案内部
71 ドロア
71A 開口部
72 現像器
73 現像剤カートリッジ
73A 開口部
74 現像ケース
74A 開口部
100 シャッタ機構
110 シャッタ支持壁
111 開口部
112 支持柱
120 現像器シャッタ
126 突起
127 凹部
130 シャッタ連結体
132 シャッタ操作部
200 カートリッジ側シャッタ機構
220 カートリッジ側シャッタ
226 突起
227 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が形成されるケースおよび前記開口部を開閉する現像器シャッタを有する複数の現像器と、
前記複数の現像器のそれぞれに現像剤を供給する複数の現像剤カートリッジとを備えた画像形成装置であって、
前記複数の現像器のそれぞれに設けられた各現像器シャッタは、互いに連結されることにより連動するように構成され、
前記複数の現像器は、装置本体に対して一体的に着脱可能に構成され、
各現像剤カートリッジと各現像器との間にそれぞれ配設される複数のカートリッジ側シャッタをさらに備え、前記現像器シャッタには、前記カートリッジ側シャッタに設けられる被係合部と係合する係合部が設けられ、前記現像器シャッタと前記カートリッジ側シャッタとは、前記被係合部と前記係合部とが係合することにより連動し、
前記複数の現像器は、上下方向に交差する装着方向に沿って装置本体内に挿入された後、少なくとも上方向または下方向に案内されて装置本体の所定位置に装着され、前記現像器シャッタと前記カートリッジ側シャッタは、前記複数の現像器が前記所定位置に到達したときに係合するように構成されたことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記複数の現像器は並列され、
前記各現像器シャッタが、前記複数の現像器の並列方向に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数の現像器の着脱方向と、前記各現像器シャッタの移動方向が同じであり、
一体に連結された前記各現像器シャッタの前記着脱方向の脱離側に、前記各現像器シャッタを移動させるためのシャッタ操作部と、前記複数の現像器を一体に移動させるための現像器操作部とが設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
装置本体には、前記シャッタ操作部の位置を検知するセンサが設けられていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−152414(P2010−152414A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90369(P2010−90369)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【分割の表示】特願2007−336914(P2007−336914)の分割
【原出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】