説明

画像形成装置

【課題】コード画像を用いて印刷データを特定する画像形成装置において、印刷データの保存場所に関わらずコード画像の情報量を小さくでき、かつ、印刷データの保存場所が変更された場合であっても印刷データを特定することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置を搭載したネットワーク複合機では、入力された印刷データが、当該印刷データを識別するユニークIDと対応付けて保存フォルダに保存され(ステップS106)、ユニークIDを示すコード画像が、印刷データと供に用紙に印刷される。紙文書がコピーされる際には、用紙に印刷されたコード画像が読み取られ、ユニークIDが取得される。また、保存されたパス情報によって、保存フォルダが特定され、この保存フォルダからユニークIDによって識別される印刷データが特定される。そして、特定された印刷データが用紙に印刷される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的には、紙文書をコピーする際、紙文書がスキャナで読み取られ、その読み取られたデータが用紙に印刷される。この場合、コピーを繰り返すうちに、印刷される文字や画像が劣化する。そこで、最初に電子データ(印刷データ)を用いて紙文書を印刷する際に、その印刷データを保存しておき、紙文書をコピーする際に、保存してある印刷データを印刷する画像形成装置が知られている。この場合、スキャンしたデータを印刷するのではなく、印刷データを印刷するので、画像等の劣化を防止できる。
【0003】
このような画像形成装置として、最初に紙文書を印刷する際に、印刷データを保存した場所を示すバーコードを印刷データと供に用紙へ印刷する画像形成装置が、下記特許文献1に開示されている。この画像形成装置では、紙文書をコピーする際に、バーコードが読み取られ、このバーコードによって示される保存場所に保存された印刷データが、用紙に印刷される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−323688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、印刷データは、階層の深いフォルダに保存される場合がある。また、印刷データは、画像形成装置とネットワークで接続されたサーバ内に保存される場合がある。このような場合、印刷データの保存場所を示す情報量が大きくなるので、上記特許文献1に示された画像形成装置では、保存場所を示すバーコード等のコード画像を生成する時間及び読み取る時間が長くなるおそれがある。
【0006】
また、用紙にバーコードが印刷された後、ユーザが印刷データの保存場所を移動する場合、又は、保存場所のフォルダ階層を変更する場合がある。この場合、保存場所を示すパス情報が変更されるので、既に印刷されたバーコードによって印刷データの保存場所を特定することができない。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、コード画像を用いて印刷データを特定する画像形成装置において、印刷データの保存場所に関わらずコード画像の情報量を小さくでき、かつ、印刷データの保存場所が変更された場合であっても印刷データを特定することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像形成装置は、保存フォルダの所在を示すパス情報を記憶する記憶手段と、印刷データを入力する入力手段と、印刷データを識別するユニークIDを生成するID生成手段と、印刷データをユニークIDと対応付けて保存フォルダへ出力する出力手段と、ユニークIDを情報として含むコード画像を生成する画像生成手段と、コード画像と印刷データとを用紙に印刷する印刷手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る画像形成装置によれば、入力された印刷データは、当該印刷データを識別するユニークIDと対応付けて保存フォルダに保存され、ユニークIDを示すコード画像が、印刷データと供に用紙に印刷される。また、印刷データが保存された保存フォルダを示すパス情報が、記憶手段によって記憶されている。これにより、用紙に印刷されたコード画像が示すユニークIDを用いて、記憶手段に記憶されたパス情報によって指定される保存フォルダ内から印刷データを特定することができる。すなわち、コード画像にパス情報が含まれていなくても印刷データを特定することができるため、パス情報の情報量とは関係なく、コード画像の情報量を小さくすることができる。また、印刷データの保存場所が変更された場合、又は、保存場所のフォルダ階層が変更された場合であっても、変更後の保存フォルダを示すパス情報が保存手段によって保存されていれば、ユニークIDを用いて印刷データを特定することができる。
【0010】
本発明に係る画像形成装置では、保存フォルダに保存される印刷データを特定するフルパスであって、パス情報とユニークIDとを含むフルパスを生成するフルパス生成手段を備え、出力手段が、フルパスを利用して、印刷データを保存フォルダへ出力することが好ましい。
【0011】
この場合、フルパスを生成し、生成したフルパスを利用して印刷データを保存するので、保存フォルダにおいて印刷データをユニークIDと対応付けて容易に保存できる。また、保存フォルダ内から印刷データを検索する際にも、印刷データを特定するフルパスを容易に生成することができ、印刷データの検索が容易になる。
【0012】
本発明に係る画像形成装置では、記憶手段が、複数の保存フォルダの所在をそれぞれ示す複数のパス情報と、複数の保存フォルダの優先順位を示す優先情報とを記憶し、出力手段は、複数の保存フォルダのうち優先情報に基づいて選択された保存フォルダへ印刷データを出力することが好ましい。
【0013】
この場合、印刷データを保存するフォルダが複数設定されているので、例えば、1つ目の保存フォルダの容量が足りなくなったときに、次の保存フォルダに保存することができる。そして、優先順位が定められているので、印刷データが複数の保存フォルダのいずれに保存されていても、優先順位の高い順に保存フォルダ内の検索を行うことにより、印刷データを効率よく特定することができる。また、印刷データの保存場所が変更された場合、又は、保存場所のフォルダ階層が変更された場合であっても、ユニークIDを用いて印刷データを容易に特定することができる。
【0014】
本発明に係る画像形成装置は、印刷データが保存された保存フォルダの所在を示すパス情報を記憶する記憶手段と、印刷データを識別するユニークIDを情報として含むコード画像であって、用紙に印刷されたコード画像を読み取る読取手段と、読取手段によって読み取られたコード画像の情報からユニークIDを取得する取得手段と、記憶手段によって記憶されたパス情報により特定される保存フォルダから、取得手段によって取得されたユニークIDにより識別される印刷データを特定する特定手段と、特定手段によって特定された印刷データを用紙に印刷する印刷手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【0015】
本発明に係る画像形成装置によれば、用紙に印刷されたコード画像が読み取られ、ユニークIDが取得される。また、記憶されたパス情報によって、印刷データが保存された保存フォルダが特定され、この保存フォルダからユニークIDによって識別される印刷データが特定される。このため、用紙に印刷されたコード画像が示すユニークIDを用いて、記憶手段に記憶されたパス情報によって特定される保存フォルダ内から印刷データを特定することができる。従って、パス情報の情報量とは関係なく、コード画像の情報量を小さくすることができる。また、印刷データの保存場所が変更された場合、又は、保存場所のフォルダ階層が変更された場合であっても、変更後の保存フォルダを示すパス情報が保存手段によって保存されていれば、ユニークIDを用いて印刷データを特定することができる。
【0016】
本発明に係る画像形成装置では、特定手段は、保存フォルダに保存された印刷データを特定するフルパスであって、パス情報とユニークIDとを含むフルパスを生成し、当該フルパスを利用して、印刷データを特定することが好ましい。
【0017】
この場合、印刷データを特定するフルパスを生成するので、保存フォルダ内から印刷データを容易に特定することが可能となる。
【0018】
本発明に係る画像形成装置では、印刷データは、複数の保存フォルダのうちいずれかの保存フォルダに保存され、記憶手段は、複数の保存フォルダをそれぞれ特定する複数のパス情報と、複数の保存フォルダの優先順位を示す優先情報とを記憶し、特定手段は、優先順位の高い保存フォルダから順に印刷データを検索することにより、印刷データを特定することが好ましい。
【0019】
この場合、印刷データが複数の保存フォルダのいずれに保存されていても、優先順位の高い順に保存フォルダ内の検索を行うことにより、印刷データを効率よく特定することができる。また、印刷データの保存場所が変更された場合、又は、保存場所のフォルダ階層が変更された場合であっても、ユニークIDを用いて印刷データを特定することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、コード画像を用いて印刷データを特定する画像形成装置において、印刷データの保存場所に関わらずコード画像の情報量を小さくでき、かつ、印刷データの保存場所が変更された場合であっても印刷データを特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態に係る画像形成装置が搭載されたネットワーク複合機を含むネットワークの構成を示す図である。
【図2】ネットワーク複合機の構成を示すブロック図である。
【図3】ネットワーク複合機の制御部の構成を説明するための図である。
【図4】ネットワーク複合機によるコード画像の印刷時における文書管理処理を示すフローチャートである。
【図5】ネットワーク複合機によるコピーの処理手順(前半部分)を示すフローチャートである。
【図6】ネットワーク複合機によるコピーの処理手順(後半部分)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ここでは、実施形態に係る画像形成装置が、ネットワーク複合機に搭載された場合を例にして説明する。
【0023】
図1〜図3を併せて用いて、ネットワーク複合機1の構成について説明する。図1は、ネットワーク複合機1を含むネットワークの構成を示す図である。図2は、ネットワーク複合機1の構成を示すブロック図である。図3は、ネットワーク複合機1の制御部10の構成を説明するための図である。
【0024】
ネットワーク複合機1は、紙文書をコピーする際、用紙60に印刷されたコード画像61を読み取り、得られた情報を用いて印刷データを特定し、特定した印刷データを用紙に印刷する機能を有している。すなわち、紙文書をコピーする際、用紙60に印刷されたテキスト62等の画像を複写するのではなく、テキスト62等を示す印刷データ(電子データ)を用いて印刷する。これにより、画像の劣化を防止できる。なお、コード画像61とは、数字、文字列などのコード情報を変換して得られる画像であり、例えば、バーコード等の1次元コード、QRコード(登録商標)等の2次元コードなどが含まれる。
【0025】
図1に示されるように、ネットワーク複合機1は、LAN(ローカルエリアネットワーク)50に接続されている。LAN50には、PC(パーソナルコンピュータ)3及びファイルサーバ4が接続されている。PC3には、ネットワーク複合機1のドライバ31が搭載されている。このドライバ31がPC3上で実行されることにより、PC3内のデータがPDLデータ等の印刷データに変換されて、ネットワーク複合機1へ出力され、PC3を用いたネットワーク複合機1の印刷操作が可能となる。また、ネットワーク複合機1は、LAN50を介してファイルサーバ4との間でデータの送受信が可能に構成されている。
【0026】
図2に示されるように、ネットワーク複合機1は、制御部10、操作部11、表示部12、読取部13、印刷部14、コーデック15、画像記憶部16、モデム17、NCU18、IFAX制御部19、及び、LANインターフェース20等を備えている。なお、各部は通信線21で相互に通信可能に接続されている。
【0027】
制御部10は、演算を行うマイクロプロセッサ、マイクロプロセッサに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM、演算結果などの各種データを一時的に記憶するRAM、及びデータがバックアップされているバックアップRAM等により構成されている。制御部10は、ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、以下に説明するネットワーク複合機1を構成する各部の機能を実現するとともに、ネットワーク複合機1を構成するハードウェアを統合的に制御する。
【0028】
操作部11は、ネットワーク複合機1を操作するために用いられる複数の操作ボタンを備えている。表示部12は、設定内容等を表示するディスプレイである。ユーザは、操作部11及び表示部12を利用して、コード画像を用いたコピーの指示をネットワーク複合機1に入力することができる。
【0029】
読取部13は、光源及びCCD等によって構成されており、紙文書等の原稿を読み取り、画像データを生成する。また、読取部13は、コード画像を用いたコピー指示があった場合には、読取対象となる紙文書に印刷されたコード画像を読み取る。なお、読取部13が、特許請求の範囲に記載の読取手段として機能する。
【0030】
印刷部14は、電子写真方式のプリンタであり、PC3から入力された印刷データ、読取部13により読み取られた画像データ、及び、ファクシミリで受信された画像データ等を用紙に印刷する。印刷部14は、コピーを行う場合、コード画像を用いたコピーの指示があると、コード画像により特定される印刷データを用紙に印刷する。印刷部14は、コード画像を用いたコピーの指示がない場合は、読取部13により読み取った画像データを用紙に印刷する。なお、印刷部14が、特許請求の範囲に記載の印刷手段として機能する。
【0031】
コーデック15は、読取部13で読み取られた画像データを符号化圧縮するとともに符号化圧縮されている画像データを復号する。画像記憶部16は、DRAM等で構成されており、コーデック15で符号化圧縮された画像データ、及びファクシミリ受信された画像データ等を記憶する。
【0032】
NCU(Network Control Unit)18は、モデム17と接続されており、モデム17と公衆交換電話網(PSTN)51との接続を制御する。また、モデム17及びNCU18は、FAXの送受信機能を有する。IFAX制御部19は、インターネットFAX(IFAX)機能を司る部分であり、読み取った送信原稿をTIFF形式等の画像データとして電子メールに添付し、メールアドレス(SMTPサーバ)宛てに送信する。
【0033】
LANインターフェース20は、LAN50に接続され、信号変換及びプロトコル変換等のインターフェース処理を実行し、PC3及びファイルサーバ4との間で、信号及びデータの送受信を行う。なお、LANインターフェース20が、特許請求の範囲に記載の入力手段及び出力手段として機能する。
【0034】
引き続いて、図3を参照して、制御部10の構成について詳細に説明する。なお、図3には、制御部10の説明に関わる構成要素を主に記載し、図2に記載したネットワーク複合機1の一部の構成要素を省略している。制御部10は、ID生成部10A、文書管理部10B、画像生成部10C、パス記憶部10D、ID取得部10E、フォルダ特定部10F、及びデータ特定部10Gを備えている。
【0035】
ID生成部10Aは、PC3から入力された印刷ジョブを識別するユニークIDを生成する。印刷ジョブとは、印刷を行う指示と供に、印刷データ、印刷時の設定等を示すジョブパラメータを含む情報である。このため、印刷ジョブを識別するユニークIDは、印刷データを識別可能なIDである。ユニークIDは、例えば、HEXデータ等である。なお、ID生成部10Aが、特許請求の範囲に記載の生成手段として機能する。
【0036】
文書管理部10Bは、印刷データを用紙1ページ分のデータ毎に1ファイルとし、各ファイルのファイル名を生成規則に従って生成する。ファイル名は、ユニークIDを含んで生成される。例えば、文書管理部10Bは、ページデータである旨を示す「data」、ユニークID「XXXXXXXX」、ページ番号Nを示す「pageN」を組み合わせて、「dataXXXXXXXX_pageN.mmr」といったファイル名を生成する。
【0037】
また、文書管理部10Bは、ネットワーク複合機1内のパス記憶部10Dに記憶された機器設定情報から、印刷データ等を保存する保存フォルダのパス情報を取得する。パス記憶部10Dは、予め設定された複数の保存フォルダを示すパス情報を記憶している。例えば、保存フォルダとして、ネットワーク複合機1内のフォルダ、又は、ファイルサーバ4内のフォルダを利用することができる。また、パス記憶部10Dは、複数の保存フォルダの優先順位を示す優先情報も併せて保存している。この優先順位は、後述するように、印刷データを保存する際及び検索する際の優先順位を示している。なお、このパス記憶部10Dが、特許請求の範囲に記載の記憶手段として機能する。
【0038】
文書管理部10Bは、パス記憶部10Dから取得した保存フォルダのパス情報と生成したファイル名とを連結して、各ページのファイルのフルパスを生成する。ファイル名にはユニークIDが含まれているので、フルパスには、保存フォルダのパス情報とユニークIDとが含まれる。このフルパスにより保存フォルダを指定して、各ページのファイルが保存フォルダに保存される。これにより、印刷データがユニークIDと対応付けられて保存フォルダに保存される。すなわち、文書管理部10Bは、特許請求の範囲に記載のフルパス生成手段として機能する。
【0039】
具体的には、保存フォルダがファイルサーバ4内のフォルダである場合、文書管理部10Bは、各ページのファイルをLANインターフェース20へ出力する。LANインターフェース20は、各ページのファイルがファイルサーバ4内の保存フォルダ41内に保存されるように、各ページのファイルをファイルサーバ4へ出力する。
【0040】
保存フォルダがネットワーク複合機1内のフォルダである場合、文書管理部10Bは、該当する保存フォルダへ各ページのファイルを出力する。すなわち、文書管理部10Bは、特許請求の範囲に記載の出力手段としても機能する。なお、文書管理部10Bは、パス情報に含まれる優先情報に従って、優先順位の高い保存フォルダへ優先的にファイルを出力する。例えば、文書管理部10Bは、保存フォルダのメモリ容量が足りないなどの理由で、ファイルを保存できない場合に、次の優先順位の保存フォルダへファイルを出力する。
【0041】
また、文書管理部10Bは、ジョブパラメータが記述されたファイルを保存するコマンドファイル名を生成規則に従って生成する。コマンドファイル名は、ユニークIDを含む。例えば、文書管理部10Bは、コマンドファイルであることを示す「cmd」、ユニークID「XXXXXXXX」、印刷データの合計ページ数Nを示す「totalpageN」を含み、「cmdXXXXXXXX_totalpageN」といったコマンドファイル名を生成する。このコマンドファイルは、上記の各ページのファイルと同じ保存フォルダに保存される。
【0042】
画像生成部10Cは、コード画像を用いたコピー専用の識別文字列「QRCPID」とユニークIDとを示すコード画像を生成する。識別文字列がコード画像の情報に含まれることにより、ユニークIDと形式が類似する別用途のコード画像と区別することができる。画像生成部10Cによって生成されたコード画像は、印刷部14によって印刷データと共に用紙に印刷される。
【0043】
以上説明したように、ID生成部10A、文書管理部10B、画像生成部10Cは、印刷データを管理するための管理情報を生成する機能を有する。一方、以下説明するように、ID取得部10E、フォルダ特定部10F、データ特定部10Gは、管理情報を利用して、読み取られたコード画像から印刷データを特定する機能を有する。
【0044】
ID取得部10Eは、特許請求の範囲に記載の取得手段として機能し、読取部13によって読み取られたコード画像の情報を解析し、ユニークIDを取得する。フォルダ特定部10Fは、パス記憶部10Dに保存されたパス情報と優先情報に基づいて、優先順位の高い順に検索対象となる保存フォルダを特定する。
【0045】
データ特定部10Gは、検索対象となるファイルのファイル名を生成規則に従って生成する。データ特定部10Gが用いる生成規則は、文書管理部10Bがファイル名又はコマンドファイル名を生成する際の生成規則と同じである。従って、保存された印刷データの各ファイル又はコマンドファイルのファイル名と同じファイル名が、データ特定部10Gによって生成される。
【0046】
データ特定部10Gは、パス記憶部10Dから取得した保存フォルダのパス情報と生成したファイル名とを連結して、検索対象となるファイルのフルパスを生成する。そして、生成したフルパスを用いて、ユニークIDを含むファイルの検索を行う。これにより、データ特定部10Gは、該当する印刷データを特定する。すなわち、データ特定部10Gは、特許請求の範囲に記載の特定手段として機能する。
【0047】
次に、図4を参照して、ネットワーク複合機1によるコード画像の印刷時における文書管理処理について説明する。図4は、ネットワーク複合機1によるコード画像の印刷時における文書管理処理を示すフローチャートである。
【0048】
ユーザがPC3内に保存されたデータの印刷指示を行うと、印刷ジョブが、LANインターフェース20によって受信される(ステップS100)。なお、ユーザは、コード画像を用いたコピーを後に行うため、印刷指示を行う際に、印刷データを保存する旨の指示を印刷ジョブに付加することができる。
【0049】
印刷ジョブが受信されると、印刷ジョブに印刷データの保存指示が含まれているか否かが、制御部10によって判断され(ステップS101)、保存指示が含まれていなければ(ステップS101でNO)、文書管理処理を終了し、印刷データが用紙に印刷される。保存指示が含まれている場合(ステップS101でYES)、印刷ジョブ(印刷データ)を識別するユニークIDが、ID生成部10Aによって生成される(ステップS102)。
【0050】
続いて、保存フォルダのパス情報が、文書管理部10Bによって取得される(ステップS103)。そして、印刷データの1ページ分のデータが1ファイルとされ、各ファイルのファイル名が、生成規則に従い文書管理部10Bによって生成される(ステップS104)。続いて、生成されたファイル名と保存フォルダのパス情報とが連結され、各ページのファイルのフルパスが、文書管理部10Bによって生成される(ステップS105)。
【0051】
そして、各ページのファイルが、それぞれフルパスに従って保存フォルダに保存される(ステップS106)。印刷データの全ページのファイルについて、保存が完了すると(ステップS107でYES)、ステップS108へ進む。保存が完了していない場合(ステップS107でNO)は、ステップS104に戻り、ファイルの保存処理が実行される。
【0052】
ステップS108では、コマンドファイル名が、生成規則に従い文書管理部10Bによって生成される。その後、コマンドファイルが、印刷データが保存された保存フォルダに保存される(ステップS109)。
【0053】
以上の処理により、ユーザがPC3内に保存されたデータの印刷指示を行うと、印刷データがユニークIDと対応付けられて保存フォルダに保存される。一方、ネットワーク複合機1の印刷部14によって、印刷データと供に、ユニークIDを示すコード画像が用紙に印刷され、紙文書が出力される。紙文書には、例えば、最初のページにコード画像が印刷される。
【0054】
ユーザが、このようにして得られた紙文書のコピー操作を行う場合、ネットワーク複合機1では、紙文書を複写するのではなく、保存された印刷データを特定し、印刷データを用紙に印刷することによりコピーを作成する。このコピー処理について、図5及び図6を参照して説明する。図5及び図6は、ネットワーク複合機1によるコピーの処理手順を示すフローチャートである。
【0055】
ユーザが、コード画像の印刷された紙文書をネットワーク複合機1にセットし、操作部11及び表示部12を利用して、コード画像を用いたコピー指示を入力すると、当該コピー指示が、ネットワーク複合機1によって受け付けられる(ステップS110)。そして、コード画像の印刷されたページが、読取部13によって読み取られる(ステップS111)。読み取られた情報からコード画像が検出されなかった場合(ステップS112でNO)は、エラー通知が表示部12によって表示され(ステップS113)、処理が終了する。
【0056】
コード画像が検出された場合(ステップS112でYES)は、コード画像の情報が、制御部10によって解析される(ステップS114)。解析の結果、コード画像の情報に識別文字列「QRCPID」が含まれていなければ(ステップS115でNO)、エラー通知が表示され(ステップS113)、処理が終了する。
【0057】
識別文字列が含まれている場合、コード画像の情報からユニークIDがID取得部10Eによって取得される(ステップS116)。続いて、印刷データを検索するために、パス情報に含まれる優先情報に基づいて、優先順位の高い順に検索対象となる保存フォルダが、フォルダ特定部10Fによって特定される(ステップS117)。
【0058】
続いて、検索対象となるコマンドファイルのファイル名が生成され、生成されたファイル名とパス情報が連結されて、検索対象となるコマンドファイルのフルパスが、データ特定部10Gによって生成される。この生成されたフルパスを用いて、保存フォルダ内からユニークIDが一致するコマンドファイル名を有するコマンドファイルが、データ特定部10Gによって特定される(ステップS118)。
【0059】
該当するコマンドファイルが存在せず(ステップS119でNO)、検索対象となる保存フォルダのうち未検索のフォルダが存在する場合(ステップS120でNO)は、ステップS117へ戻り、次候補の検索対象となる保存フォルダ内の検索が行われる。該当するコマンドファイルが存在せず(ステップS119でNO)、検索対象となる複数の保存フォルダ内の検索が終了している場合(ステップS120でYES)は、エラー通知が表示され(ステップS113)、処理が終了する。
【0060】
該当するコマンドファイルが存在する場合(ステップS119でYES)、コマンドファイル名「cmdXXXXXXXX_totalpageN」からトータルページ数「N」が、データ特定部10Gによって取得される(ステップS121)。続いて、各ページのファイル名が生成され、生成されたファイル名とパス情報が連結されて、ファイルのフルパスが、データ特定部10Gによって生成される。このフルパスを用いて、該当するコマンドファイルが保存されている保存フォルダ内から、ユニークIDが一致するファイル名を有するページ毎のファイルが取得される(ステップS122)。ステップS122の処理を全ページのファイルを取得するまで行い(ステップS123)、その後、処理が終了する。
【0061】
以上の処理により、紙文書に印刷されたコード画像を利用して紙文書に対応する印刷データを特定する。よって、この印刷データを用いて用紙に印刷を行うことができる。このため、画像の劣化なくコピーを行うことができる。
【0062】
以上説明したネットワーク複合機1によれば、入力された印刷データは、当該印刷データを識別するユニークIDと対応付けて保存フォルダに保存され、ユニークIDを示すコード画像が、印刷データと供に用紙に印刷される。また、保存フォルダを示すパス情報が、記憶される。そして、コピーをする際には、用紙に印刷されたコード画像が読み取られ、ユニークIDが取得される。また、保存されたパス情報によって、印刷データが保存された保存フォルダが特定され、この保存フォルダからユニークIDによって識別される印刷データが検索される。これにより、用紙に印刷されたコード画像が示すユニークIDを用いて、保存された印刷データが特定される。従って、パス情報の情報量とは関係なく、コード画像の情報量を小さくすることができる。
【0063】
また、パス記憶部10Dに保存フォルダのパス情報が記憶されているので、印刷データの保存場所が変更された場合、又は、保存場所のフォルダ階層が変更された場合であっても、印刷データが保存された保存フォルダを特定することができる。そして、ユニークIDを用いて保存フォルダ内から印刷データを特定することができる。
【0064】
また、ネットワーク複合機1では、印刷データを保存する際に、ユニークIDを含むファイル名とパス情報とが連結され、保存フォルダに保存される印刷データのフルパスが生成される。そして、このフルパスを利用して、印刷データが保存フォルダ内に保存される。これにより、容易に印刷データをユニークIDと対応付けて保存フォルダに保存することが可能となる。また、印刷データを検索する際には、ユニークIDを含むファイル名とパス情報とが連結され、検索対象となる印刷データのフルパスが生成される。このフルパスを用いるので、印刷データを容易に特定できる。
【0065】
また、ネットワーク複合機1では、複数のパス情報と、複数の保存フォルダの優先順位を示す優先情報とが保存され、優先順位の高い保存フォルダから順にユニークIDによって識別される印刷データが検索される。これにより、印刷データが複数の保存フォルダのいずれに保存されていても、印刷データを効率よく特定することができる。また、印刷データの保存場所が変更された場合、又は、保存場所のフォルダ階層が変更された場合であっても、印刷データを容易に特定することができる。
【0066】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、印刷データが、利用者毎に設定された保存フォルダに保存されることとし、コピーを行う際には、ネットワーク複合機1へログインした利用者に対して設定された保存フォルダ内から印刷データを検索することとしてもよい。この場合、印刷データの作成者が印刷を行うと、その作成者の保存フォルダ内に印刷データが保存されるように設定することにより、作成者以外の者がネットワーク複合機1へログインしても、紙文書のコピーができないようにすることができる。
【0067】
また、上記実施形態では、フルパスを用いて保存フォルダ内に保存された印刷データを特定することとしたが、これに限られない。パス記憶部10Dに記憶されたパス情報によって特定される保存フォルダ内から、フルパスを使用せずに、ユニークIDをキーに印刷データを検索することで、印刷データを特定してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 ネットワーク複合機
3 PC
4 ファイルサーバ
10 制御部
10A ID生成部
10B 文書管理部
10C 画像生成部
10D パス記憶部
10E ID取得部
10F フォルダ特定部
10G データ特定部
11 操作部
12 表示部
13 読取部
14 印刷部
31 ドライバ
41 保存フォルダ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
保存フォルダの所在を示すパス情報を記憶する記憶手段と、
印刷データを入力する入力手段と、
前記印刷データを識別するユニークIDを生成するID生成手段と、
前記印刷データを前記ユニークIDと対応付けて前記保存フォルダへ出力する出力手段と、
前記ユニークIDを情報として含むコード画像を生成する画像生成手段と、
前記コード画像と前記印刷データとを用紙に印刷する印刷手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記保存フォルダに保存される前記印刷データを特定するフルパスであって、前記パス情報と前記ユニークIDとを含むフルパスを生成するフルパス生成手段を備え、
前記出力手段は、前記フルパスを利用して、前記印刷データを前記保存フォルダへ出力することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、複数の前記保存フォルダの所在をそれぞれ示す複数のパス情報と、前記複数の保存フォルダの優先順位を示す優先情報とを記憶し、
前記出力手段は、前記複数の保存フォルダのうち前記優先情報に基づいて選択された保存フォルダへ前記印刷データを出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
印刷データが保存された保存フォルダの所在を示すパス情報を記憶する記憶手段と、
前記印刷データを識別するユニークIDを情報として含むコード画像であって、用紙に印刷されたコード画像を読み取る読取手段と、
前記読取手段によって読み取られた前記コード画像の情報から前記ユニークIDを取得する取得手段と、
前記記憶手段によって記憶されたパス情報により特定される保存フォルダから、前記取得手段によって取得されたユニークIDにより識別される印刷データを特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された印刷データを用紙に印刷する印刷手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記特定手段は、前記保存フォルダに保存された前記印刷データを特定するフルパスであって、前記パス情報と前記ユニークIDとを含むフルパスを生成し、当該フルパスを利用して、前記印刷データを特定することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記印刷データは、複数の保存フォルダのうちいずれかの保存フォルダに保存され、
前記記憶手段は、前記複数の保存フォルダをそれぞれ特定する複数のパス情報と、前記複数の保存フォルダの優先順位を示す優先情報とを記憶し、
前記特定手段は、優先順位の高い前記保存フォルダから順に印刷データを検索することにより、前記印刷データを特定することを特徴とする請求項4又は5に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−55183(P2011−55183A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201397(P2009−201397)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】