説明

画像形成装置

【課題】現像剤収容器と現像装置の間に配置される補給装置内にある補給現像剤の有無を時間的な間隔をあけて検出し、異常な状態のときに現像剤有りとの検出結果を出力する残量検出器を有する場合、残量検出器から現像剤有りとの検出結果が連続して出力された際に、故障等の異常が発生しているときには画像形成動作が停止され、それ以外のときには画像形成動作が停止されず画像の形成を良好にできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像装置を備えた画像形成手段と、現像剤収容器と、現像剤収容器から排出される補給現像剤を貯留して現像装置に送り出す補給装置と、上記残量検出器と、現像装置内にある現像剤の濃度を検出する濃度検出器と、残量検出器から現像剤無しとの検出結果が出力されたときに現像剤収容器の搬送部材を駆動させる制御手段とを有し、制御手段は、残量検出器から現像剤有りとの検出結果が連続して出力された場合、濃度検出器の検出結果が設定値よりも小さいと判定したときに画像形成手段の動作を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現像剤で構成される画像を形成する画像形成装置は、感光体に形成する静電潜像を現像剤により現像する現像装置を備えた画像形成手段を有している。このような画像形成装置は、画像形成手段による現像を伴う画像形成の動作を行うことで現像装置に収容されている現像剤が次第に消費されて減るため、一般に、現像装置に対し、補給現像剤が収容されている現像剤収容器から補給装置を通して補給現像剤を補給するよう構成されている。
【0003】
ここで、補給装置は、現像剤収容器と現像装置の間に配置されるものであり、現像剤収容器から排出される補給現像剤を受け入れて一時的に貯留し、その貯留されている補給現像剤を必要な量だけ現像装置にむけて送り出す機能を有するものである。
【0004】
このような現像剤を補給する構成を採用する場合、例えば、現像剤収容器、補給装置、現像装置等において故障、断線、組立て不良等の異常が発生すると、現像剤の補給が正常に行われなくなり、これにより画像品質の低下や正常な機器の新たな故障を誘発することなどがある。
【0005】
従来においても、現像装置への現像剤の補給を行う場合に異常の発生を検知して必要な対応処理を実行する画像形成装置等として、例えば以下のものが知られている。
【0006】
すなわち、ホッパー内のトナーが現像器内へ補給されない場合に、短時間で、異常が発生している箇所を判別し得る現像装置(画像形成装置)である(特許文献1)。
【0007】
この画像形成装置は、まず、ホッパーに収容されているトナー残量を検出するトナー残量検出手段の結果の如何にかかわらず、現像器内のトナー量(トナー濃度)を検出するトナー濃度検出手段の検出結果(トナー濃度の低下の有無)を確認する。このとき、そのトナー濃度が所定値以上になっている場合は、画像形成動作(コピー)を可能な状態にする。一方、ホッパーのトナー残量がなくかつトナー濃度が所定値未満で低下している場合は、コピーを不可の状態にする。また、ホッパーのトナー残量がありかつトナー濃度が所定値未満で低下している場合は、ホッパーのトナー補給ローラを所定の時間だけ駆動する。この際、トナー補給ローラを駆動するモータが所定の回転数にならないときには、トナー補給モータが異常であると判断してモータ異常を報知する。またこの際、モータが所定の回転数になったときには、トナー濃度が適正か否かを判定し、適正でないと判定されたときにはホッパーの残量を再度確認し、そのときのトナー残量がなければ現像器に異常が発生しているとしてコピーを不可の状態にする。
【0008】
また、トナーホッパーから現像器へトナーを搬送するトナー搬送部の異常を専用の検出手段を用いることなく安価な方法で検出し、これにより故障を最小限に止めることができる画像形成装置である(特許文献2)。
【0009】
この画像形成装置は、現像器中のトナー濃度を検出するトナー濃度検出センサがトナー濃度低下と検出した場合、駆動モータを所要の時間だけ回転させた後、トナー濃度検出センサによりトナー濃度が上昇したかを確認する。この際、トナー濃度が上昇しているときには、画像形成動作を可能にする。一方、トナー濃度が上昇していないときには、トナーホッパー内のトナーエンドセンサの出力がON(トナーがある)か否かを確認する。この際、その出力がONでなければ、トナーエンドを表示する。一方、その出力がONであれば、トナー搬送状態が異常であると判断して駆動モータの動作を停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平6−186851号公報
【特許文献2】特開2006−220960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この発明は、現像剤収容器と現像装置の間に配置される補給装置に収容されている補給現像剤の有無を時間的な間隔をあけて検出し、異常な状態になったときに現像剤有りとの検出結果を出力する残量検出器を有している場合、その残量検出器から現像剤有りとの検出結果が連続して出力された際に、故障等の異常が発生しているときには画像形成動作が停止され、それ以外のときには画像形成動作が停止されずかつ画像の形成を良好に行うことができる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明(A1)の画像形成装置は、
収容されている現像剤を供給して静電潜像を現像する現像装置を備え、その現像剤で構成される画像を形成する画像形成手段と、
前記現像装置に補給するための補給現像剤を収容し、その収容されている補給現像剤を現像剤の排出口にむけて搬送するよう駆動する搬送部材を備える現像剤収容器と、
前記現像剤収容器と前記現像装置の間に配置され、前記現像剤収容器の排出口から排出される補給現像剤を現像剤の受け口から受け入れて一時的に貯留するとともに、その貯留されている補給現像剤を前記現像装置にむけて送り出す現像剤の送出口に移動させるよう駆動する移動部材を備える補給装置と、
前記補給装置に貯留されている補給現像剤の有無を時間的な間隔をあけて検出するとともに、異常な状態になったときに現像剤有りとの検出結果を出力する残量検出器と、
前記現像装置に収容されている現像剤の濃度を検出する濃度検出器と、
前記画像形成手段、補給装置、残量検出器及び濃度検出器を含む機器の動作を制御し、前記残量検出器から現像剤無しとの検出結果が出力されたときに前記現像剤収容器の搬送部材を駆動させる制御手段と
を有し、
前記制御手段は、前記残量検出器から現像剤有りとの検出結果が連続して出力された場合、前記濃度検出器の検出結果が設定値よりも小さいと判定したときに前記画像形成手段の動作を停止させるものである。
【0013】
この発明(A2)の画像形成装置は、上記発明A1の画像形成装置において、前記制御手段が、前記残量検出器から現像剤有りとの検出結果が連続して出力された場合、前記補給装置の移動部材の駆動量が設定値よりを超えていると判定したときに前記濃度検出器の検出結果が設定値よりも小さいか否かを判定するものである。
【発明の効果】
【0014】
上記発明A1の画像形成装置によれば、その構成を有しない場合に比べて、現像剤収容器と現像装置の間に配置される補給装置に収容されている補給現像剤の有無を時間的な間隔をあけて検出し、異常な状態になったときに現像剤有りとの検出結果を出力する残量検出器を有している場合、その残量検出器から現像剤有りとの検出結果が連続して出力された際、故障等の異常が発生したときには画像形成動作が停止され、それ以外のときには画像形成動作が停止されずかつ画像の形成を良好に行うことができる。
【0015】
上記発明A2の画像形成装置では、その構成を有しない場合に比べて、残量検出器から現像剤有りとの検出結果が連続して出力された際、故障等の異常が発生したときにはより適切に画像形成動作が停止され、それ以外のときには画像形成動作が停止されずかつ画像の形成をより良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態1に係る画像形成装置の概要を示す説明図である。
【図2】図1の画像形成装置における要部(作像装置と現像剤の補給に関する構成部分)を概念的に示す説明図である。
【図3】トナーカートリッジと補給装置の構成を概念的に示す説明図である。
【図4】図3の補給装置の構成を示す一部断面説明図であり、(a)は図3における補給装置のQ−Q線にほぼ沿う横断面図、(b)は図3における補給装置の一部を示す縦断面図である。
【図5】現像装置に収容される現像剤のトナー濃度の制御範囲と濃度閾値を示すグラフ図である。
【図6】現像剤の補給動作に関する監視処理の動作を示すフローチャートである。
【図7】補給待機時の処理の動作を示すフローチャートである。
【図8】補給実行時の処理の動作を示すフローチャートである。
【図9】異常予兆時の処理の動作を示すフローチャートである。
【図10】異常発生時の処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施の形態1]
図1は実施の形態1に係る画像形成装置1の概要を示し、図2はその画像形成装置1の要部(作像装置と現像剤の補給に関する構成部分)を示している。
【0018】
この画像形成装置1は、例えばカラープリンタとして構成されたものである。画像形成装置1は、筐体10の内部空間に、公知の電子写真方式、静電記録方式等の画像記録方式を利用して入力画像情報に基づいて現像剤としてのトナー(着色等がされた微粉体)で現像されるトナー像を形成する複数の作像装置20と、作像装置20で形成されたトナー像を保持して最終的に被記録材としての記録用紙9に転写する中間転写装置30と、中間転写装置30の二次転写位置に供給すべき所要の記録用紙9を収容して搬送する給紙装置40と、中間転写装置3でトナー像が転写された記録用紙9を通過させてトナー像の定着を行う定着装置45等が設置されている。また、画像形成装置1においては、上記した作像装置20、中間転写装置30、給紙装置40、定着装置45等により画像を形成するための画像形成部2の主要部が構成されている。筐体10は、支持部材、外装カバー等で支持構造部や外装部が形成されている。図中の一点鎖線は、筐体10内において記録用紙9が主に搬送される搬送経路を示す。
【0019】
作像装置20は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(黒:K)の4色のトナー像を専用に形成することができる4つの作像装置20Y,20M,20C,20Kで構成されている。4つの作像装置20(Y,M,C,K)は、筐体10の内部空間において直列に並べた状態となるよう配置されている。また、各作像装置20(Y,M,C,K)は、以下に示すようにほぼ共通した構成のものである。
【0020】
各作像装置20(Y,M,C,K)は、図1等に示すように、回転する感光ドラム21を備えており、この感光ドラム21の周囲に、次のような各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光ドラム21の像保持面(トナー像を保持し得る表面部分)を所要の電位に帯電させる帯電装置22と、感光ドラム21の帯電された像保持面に画像情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する露光装置23と、その静電潜像を対応する色(Y,M,C,K)のトナーで現像して可視像であるトナー像とする現像装置24(Y,M,C,K)と、そのトナー像を中間転写装置30(の中間転写ベルト)に転写する一次転写装置25と、転写後の感光ドラム21の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物をかき取って除去する清掃装置26とである。
【0021】
感光ドラム21は、接地処理される円筒又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものであり、図示しない回転駆動装置から動力を受けて矢印で示す方向に回転するようになっている。帯電装置22は、感光ドラム21の像保持面に接触した状態で配置されるとともに帯電バイアスが供給される帯電ロール等の接触部材を備えた接触型の帯電装置である。帯電バイアスとしては、現像装置24が反転現像を行うものである場合、その現像装置から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が供給される。
【0022】
露光装置23は、画像形成装置1に入力される画像情報に応じて構成される光(矢付き点線)を、帯電された後の感光ドラム21の像保持面に対して照射して静電潜像を形成するものである。露光装置22としては、半導体レーザとポリゴンミラー等の光学部品を用いて構成される走査型のものを使用しているが、その他にも、例えば、発光ダイオードと光学部品等を用いて構成される非走査型の露光装置を使用してもよい。画像形成装置1には、図2に示すように、画像読取装置や、パーソナルコンピュータ等の情報端末や、記憶媒体の読み書き装置等の画像情報機器が接続通信部16を介して接続されており、その画像情報機器から画像情報が接続通信部16を介して入力されるようになっている。また、その入力された画像情報は、画像処理装置28において必要な画像処理が施された後に各色成分の画像信号として各作像装置2の露光装置23に送信されるようになっている。
【0023】
現像装置24は、図2に示すように、現像剤(例えば非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤など)Gを収容する現像剤収容器24aを有し、その現像剤収容器24aに収容されている現像剤Gを回転しながら保持して感光ドラム21と近接して対向する現像領域に搬送する現像ロール24bや、その収容されている現像剤Gを回転して攪拌しながら現像ロール24bに搬送する攪拌搬送部材24cや、現像ロール24bに保持される現像剤の量(層厚)を規制する層厚規制部材24dを有している。現像装置24は、その現像ロール24bに現像バイアスが供給されるとともに、その現像ロール24b及び攪拌搬送部材24cがモータ、回転伝達機構等の回転駆動装置14からの駆動力により所要の方向に回転させられる。現像剤のトナーは、現像剤収容器24a内において攪拌搬送部材24cにより攪拌されながら搬送されることでキャリアと擦れ合って所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)に摩擦帯電される。
【0024】
現像装置24には、後述するように現像剤が補給される構成が採用されている。また、現像装置24には、その現像剤収容器24aに収容されている現像剤Gのトナー濃度(TC:現像剤におけるトナーの割合)を検出するトナー濃度センサ81が取り付けられている。
【0025】
一次転写装置25は、感光ドラム21の像保持面に接触して回転するとともに一次転写バイアスが供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。一次転写バイアスとしては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧等が印加される。
【0026】
中間転写装置30は、図1や図2に示すように、各作像装置20(Y,M,C,K)の下方の位置に存在するように配置される。この中間転写装置30は、感光ドラム21と一次転写装置25(一次転写ロール)の間となる一次転写位置を通過しながら矢印で示す方向に回転する中間転写ベルト31と、中間転写ベルト31をその内面から所望の状態に保持して回転自在に支持する複数の支持ロール32a〜32fと、支持ロール32eに支持されている中間転写ベルト31に所定の圧力で接触して回転する二次転写ロール35と、二次転写ロール35を通過した後に中間転写ベルト31に残留して付着するトナー等を除去するベルト清掃装置36とで主に構成されている。
【0027】
中間転写ベルト31としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボン等の抵抗調整剤を分散した材料を用いて所定の厚さからなる無端状のベルトに形成されたものが使用される。支持ロール32aは駆動ロールとして、支持ロール32cは張力付与ロールとして構成されている。支持ロール32e(又は二次転写ロール35)には、二次転写バイアスが供給される。二次転写バイアスとしては、トナーの帯電極性と同極性(又は逆極性)を示す直流の電圧等が供給される。
【0028】
給紙装置40は、中間転写装置30の下方側の位置に存在するように配置される。給紙装置4は、筐体10の正面(操作者が使用時に向き合う側面)側に引き出すことができるように取り付けられ、所望のサイズ、種類等の記録用紙9を積載した状態で収容する単数(又は複数)の用紙収容体41と、用紙収容体41から記録用紙9を1枚ずつ送り出す送出装置42とで主に構成されている。給紙装置40から送りされる記録用紙9は、複数の用紙搬送ロール対43や搬送ガイド材で構成される搬送路を経由して中間転写装置30の二次転写位置(中間転写ベルト31と二次転写ロール35の間)に搬送される。
【0029】
定着装置45は、筐体46の内部に、矢印で示す方向に回転するとともに表面温度が所定の温度に保持されるように加熱手段によって加熱される加熱回転体47と、この加熱回転体47の軸方向にほぼ沿う状態で所定の圧力で接触して従動回転する加圧用回転体48とを設置したものである。定着装置45でトナー像の定着が終了して画像が形成された記録用紙9は、複数の搬送ロール対や搬送ガイド材で構成される排出搬送路を通して筐体10等に設置される排出部に搬送されて収容される。
【0030】
この画像形成装置1(画像形成部2)による基本的な画像形成動作は、以下に説明するように行われる。ここでは、前記4つの作像装置20(Y,M,C,K)のすべてを使用して形成する4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成する画像形成動作のパターン(フルカラーモード)を説明する。
【0031】
前記した画像情報機器などから画像形成動作(プリント)の要求の指示があると、4つの作像装置20(Y,M,C,K)において、まず各感光ドラム21が矢印で示す方向に回転し、各帯電装置22がその各感光ドラム21の像保持面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電させる。続いて、露光装置23が、帯電後の感光ドラム21の像保持面に対し、画像処理装置28から送信された各色成分(Y,M,C,K)に分解された画像データに基づいて発光される光を照射して露光を行い、所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。次いで、各現像装置24(Y,M,C,K)が、感光ドラム21に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,K)のトナーを供給して静電的に付着させる。
【0032】
このときの現像工程について詳述すると、各現像装置24では、現像ロール24b及び攪拌搬送部材24dが回転駆動し、その現像剤収容部24a内に収容されている現像剤Gが攪拌搬送部材24dで攪拌されながら現像ロール24bに至るまで搬送される。このように攪拌して搬送された現像剤Gは、回転する現像ロール24bに付着し、層厚規制部材24eで所要の厚さに規制された後に、感光ドラム21と対向する現像領域に搬送される。このように現像領域に搬送された現像剤G(実施の形態1ではトナー成分)は、現像ロール24bと感光ドラム21の間に供給される現像バイアスで形成される現像電界により感光ドラム21に供給されて、静電潜像部分に付着する。この現像に供されなかった現像剤Gの多くは、回転する現像ロール24bによって現像剤収容部24aに戻される。このようにして各感光ドラム21で形成された各色成分の静電潜像が、対応する色のトナーでそれぞれ現像されて4色(Y,M,C,K)のトナー像として顕像化される。
【0033】
次いで、各作像装置2(Y,M,C,K)の感光ドラム21上に形成された各色のトナー像が、一次転写装置25により、中間転写装置30の中間転写ベルト31に対して順番に重ね合わるようにして一次転写される。次いで、中間転写装置30は、中間転写ベルト31に一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置まで搬送した後、二次転写ロール34が給紙装置40から搬送されて送り込まれる用紙9に一括して二次転写させる。トナー像が二次転写された用紙9は、中間転写ベルト31から剥離された後に定着装置45に導入されて必要な定着処理(加熱及び加圧)を受け、そのトナー像が定着される。定着が終了した後の用紙9は、その片面への画像の形成を行うだけの画像形成動作のときは、例えば筐体10に形成される図示しない排出収容部に排出されて収容される。
【0034】
以上の動作により、4色のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像が形成された用紙9が出力される。
【0035】
また、この画像形成装置1は、図1〜図4に示すように、現像装置24(Y,M,C,K)に対し、4色(Y,M,C,K)の補給現像剤SGをそれぞれ収納するトナーカートリッジ5(Y,M,C,K)から補給装置6(Y,M,C,K)を通して補給現像剤SGが補給されるようになっている。
【0036】
トナーカートリッジ5(Y,M,C,K)は、図2、図3等に示すように、補給現像剤SGであるトナーを収容する収容空間部51を有し、その収容空間部51の下部に当たる部位に現像剤の排出口52が形成された容器本体53と、その収容空間部51内に収容されている補給現像剤SGを排出口52にむけて搬送するよう駆動する搬送部材54を備えている。実施の形態1では補給現像剤SGとしてトナーのみを対象にしているが、これに限定されず、例えばキャリアを含むトナーを補給現像剤SGとして採用してもよい。また、トナーカートリッジ5は、筐体10に形成される装着部に対して着脱自在に装着することで自由に交換しながら使用される形式のものであるが、このカートリッジ方式のものに代えて例えば筐体10に固定し補給現像剤を補充して使用する形式のトナー収容器を採用することもできる。
【0037】
容器本体53における収容空間部51は、一方向に相対的に長い形状(例えば円柱形状)に形成されている。また、排出口52は、収容空間部51の長手方向における一端側に片寄った部位の下部に形成されている。搬送部材54は、例えば、収容空間部51の長手方向における一端部から他端部に至るように金属等の線材を螺旋状に曲げ加工した構造のものが使用されており、搬送機能を発揮させる方向に回転することで補給現像剤SGを攪拌しながら少しずつ排出口52にむけて移動させるようになっている。搬送部材54は、モータ、回転伝達機構等で構成される回転駆動装置15から伝えられる回転動力を受けて回転する。
【0038】
補給装置6(Y,M,C,K)は、図2〜図4に示すように、トナーカートリッジ5から排出される補給現像剤SGを一時的に貯留する貯留空間部61を有し、その貯留空間部61の上部に当たる部位に補給現像剤SGを受け入れるための受け口62が形成されているとともに貯留空間部61の下部に当たる部位に補給現像剤SGを現像装置24にむけて送り出すための送出口63が形成された筐体64と、筐体64の貯留空間部61に貯留された補給現像剤SGを攪拌しながら搬送するように駆動する2つの攪拌搬送部材65A,65Bと、筐体64の貯留空間部61に貯留された補給現像剤SGを送出口63に移動させるように駆動する移動部材66を備えている。
【0039】
筐体64における貯留空間部61は、その下部のほぼ中央部に、移動部材66の3方向の周囲を囲む隆起部61aを形成した形状になっている(図4a等を参照)。受入口62は、トナーカートリッジ5における排出口52と対応する位置であるとともに第一攪拌搬送部材65Aの搬送方向(矢印で示す方向)の下流側の片寄った位置に形成されている。送出口63は、隆起部61で囲まれた領域のうち奥側の位置に形成されている。
【0040】
第一攪拌搬送部材65Aと第二攪拌搬送部材65Bはいずれも、貯留空間部61の両側の端部領域にそれぞれ存在するよう回転自在に配置される回転軸65cに、その搬送方向上流側から下流側の途中までに至る領域に位置するように線材を螺旋状に曲げ加工した攪拌搬送部65dと、その搬送方向下流側に位置するように線材を回転軸65cとほぼ平行して突出する形状に形成した送り出し搬送部65eを取り付けた構造のものである。移動部材66は、ほぼ平行した状態で配置される2つの攪拌搬送部材65A,65Bの間に存在するよう配置された回転軸66aに、連続する螺旋状の羽根部66bを突出させた状態で形成した構造のもの(例えばスクリューオーガーと呼ばれるもの)である。羽根部62bは、回転軸62aの一端側から前記隆起部61aで囲まれる領域内に存在する部位までに形成されている。また、攪拌搬送部材65A,65Bと移動部材66は、モータ、回転伝達機構等で構成される回転駆動装置16からの回転動力を、各回転軸65c、66aにそれぞれ固定された被伝達ギヤ65f、66cを介して受けることで、所要の方向にそれぞれ同時に回転駆動する。
【0041】
この補給装置6では、貯留収容部61に貯留されている補給現像剤SGが、攪拌搬送部材65A,65Bの回転駆動により実線の矢印で示す方向にそれぞれ攪拌されながら搬送される。特に攪拌搬送部材65A,65Bの送り出し搬送部65eでは、補給現像剤SGを、相手側の攪拌搬送部材が配置される領域内に送り出すように搬送することになる。したがって、攪拌搬送部材65A,65Bで搬送されるときの補給現像剤SGは、貯留収容部61の全体のなかで、貯留収容部61における前記隆起部6で囲まれる領域を除く外側の領域内を循環して移動するような状態で搬送される。また、この補給装置6では、移動部材66が回転駆動すると、第二攪拌搬送部材65Bから第一攪拌搬送部材65Aに送り出す補給現像剤SGの一部がその移動部材66により点線の矢印で示す方向に搬送される。移動部材66で搬送される補給現像剤SGは、前記隆起部6で囲まれる領域内に移動させられ、最後に送出口63に達するよう搬送される。
【0042】
また、補給装置6(Y,M,C,K)は、その各送出口63と各現像装置24(Y,M,C,K)の現像剤の受け口との間を接続して、各補給装置6から送り出される各補給現像剤SGを対応する各現像装置24までそれぞれ搬送する接続搬送装置67を備えている。この接続搬送装置67は、補給現像剤SGを重力により自然落下して搬送させる管状の部材だけで構成されたものか、あるいは管状の部材とその管状部材の内部で現像剤を搬送するよう駆動する搬送部材とで構成されたものである。
【0043】
さらに、補給装置6(Y,M,C,K)には、その筐体61の貯留空間部61内に貯留されている補給現像剤SGの残量の有無を検出する空検センサ81が設けられている。この空検センサ81は、その検出面部81aを、貯留空間部61のうち受け口62とほぼ同じ位置の側面部分から貯留空間部61の内部に露出させた状態で取り付けられている。このセンサ81としては、例えば、圧電センサが使用される。また、この空検センサ81の設置に関係して第一攪拌搬送部材65A(の回転軸65c)には、空検センサ81の検出面部81aに接触して通過するように回転移動して、その検出面部81aの前に存在する補給現像剤SGを一時的に除去する(払いのける)除去部材68が設けられている。除去部材68は、例えば、検出面部81aと平行する状態に張った線材を検出面部81aに接触させた状態で通過させることができるように回転軸65cに取り付けた構造のものである。
【0044】
この空検センサ81は、例えば、その検出面部81aを除去部材68が通過する時期に合わせて検出を行い、その検出時に検出面部81aの前に補給現像剤SGであるトナーが存在していれば「トナー有り」の検出情報(信号)を出力し、その検出時に検出面部81aの前にトナーが存在していなければ「トナー無し」の検出情報を出力するようになっている。
【0045】
このようなトナーカートリッジ5(Y,M,C,K)及び補給装置6(Y,M,C,K)を中心とする現像剤の補給動作は、制御装置8により制御される。
【0046】
まず、制御装置8は、演算処理装置、記憶素子及び装置、制御装置、入出力装置等で構成されるものであり、その記憶素子に格納される制御プログラム及びデータに基づいて所要の制御動作を実行するようになっている。記憶素子及び装置は、ROM,RAM等の記憶素子や磁気ディスク装置等の記録装置で構成されている。制御装置8には、空検センサ81、トナー濃度センサ82等の検出器や、画像処理装置28や、各種の情報の入力や表示を行う入力・表示装置(操作パネル等)13が接続され、制御に必要な情報が入力されるようになっている。また、制御装置8には、その制御対象となる画像形成部2(の構成機器)の一部である回転駆動装置14,15、画像処理装置28、接続通信部12、入力・表示装置137、送信部8等と接続されており、各動作に必要な制御信号を送信するようになっている。なお、制御装置8は、補給装置6とその補給動作に関連する機器の動作を制御する専用の制御装置として構成してもよい。
【0047】
この制御装置8では、画像処理装置28から、画像形成動作により各作像装置20(Y,M,C,K)で形成した各色成分のトナー像を構成するピクセルの累計情報を、予め設定された検出時期に入手して検出している。制御装置8は、そのピクセルの累積値が設定閾値を超えた作像装置20があると判定したときに、その該当する作像装置20に装備された補給装置6の回転駆動装置16を、予め設定した所要の時間だけ駆動させるように制御する。
【0048】
これにより、該当する補給装置6の攪拌搬送部材65A,65B及び移動部材66が所定時間だけ回転駆動するので、筐体64の貯留空間部61内に貯留している補給現像剤SGの一部が移動部材66により送出口63から送り出され、接続搬送装置67を通して対象となる現像装置24に補給現像剤SGであるトナーが搬送されて補給される。この結果、補給動作が実行された現像装置24には、その現像工程で消費されたトナーの量にほぼ対応するような量のトナーが補給される。一方、前記ピクセルの累積値が設定閾値を超えていない時期は、補給装置6は作動しない。
【0049】
この制御装置8では、図5に示すように、各現像装置24内のトナー濃度が所定の範囲(制御範囲)に維持されるようトナー濃度センサ81の検出情報について監視している。そして、そのトナー濃度が制御範囲(の下限値又は上限値)を超えた状態になったとき(図5中の円内に示すような値になったとき)には、移動部材66の回転駆動装置16に設定される補給駆動時間を、それ以降に行われる補給動作に最初に使用される駆動時間についてだけ増減して調整するようになっている。
【0050】
また、この制御装置8では、空検センサ81からの検出情報(検出結果)を前記したように補給動作の実行時に検出している。制御装置8は、その検出情報が「トナー無し」との出力があった作像装置20があると判定されたときに、その該当する作像装置20に装備された補給装置6のトナーカートリッジ5に対する回転駆動装置15を空検センサ81が「トナー有り」と検出するまでの間だけ駆動させるように制御する。
【0051】
これにより、該当する補給装置6に装着されるトナーカートリッジ5の攪拌搬送部材53が所要の量だけ回転駆動するので、容器本体53の収容空間部51内に収容されている補給現像剤SGの一部が排出口52から排出され、受け口62を通して補給装置6の貯留空間部61内に貯留される。ちなみに、このトナーカートリッジ5から補給装置6への補給現像剤SGの供給(補充)が行われているときは、補給動作の実行時期と一部重なるため補給装置6内の攪拌搬送部材65A,65Bなどが回転駆動しているので、その供給された新たな補給現像剤SGが貯留空間部61内で既に貯留されて残っている補給現像剤SGと攪拌されて混合される。この結果、補給装置6の貯留空間部61内には、補給現像剤SGが所定の量以上貯留され続ける。
【0052】
この際、制御装置8は、トナー無しの検出が連続して所定の回数だけ出力されたときには、トナーカートリッジ5内に収容されている補給現像剤SGが無くなった(空になった)ものとみなして、回転駆動装置15の駆動を停止し、例えば入力・表示装置13にトナーカートリッジ5の交換を利用者に促す警告メッセージなどを表示して報知する。一方、空検センサ81からの検出情報が「トナー有り」のときには、トナーカートリッジ5の回転駆動装置15は作動しない。
【0053】
そして、この画像形成装置1では、空検センサ81の故障、断線、組立て不良等の異常が発生しているときに「トナー有り」との検出情報を出力するように構成している。具体的には、センサ81からの出力信号がないときに「トナー有り」とする検出情報を出力するように構成されている。
【0054】
このように構成しているのは、空検センサ81に上記した異常が発生しているときに「トナー無し」との検出情報を出力するように構成している場合に以下の問題があるので、それを回避するためである。すなわち、そのトナー無しの検出情報が出力されると、補給装置6の貯留空間部61内に補給現像剤SGが十分に存在している状態であるにもかかわらず、トナーカートリッジ5から補給現像剤SGが補給装置6側に連続して供給されることになる。この結果、補給装置6では、予定以上の量の補給現像剤SGが貯留空間部61内に押し込まれるように入り込むことになるので、その貯留空間部61において凝集されて塊の状態になって現像不良(ひいては画像品質の低下)を誘発してしまったり、最悪の場合はその凝集された補給現像剤SGが攪拌搬送部材65A,65Bの回転駆動に対する負荷となって攪拌搬送部材65A,65Bそのものが破損してしまう等の新たな異常を誘発してしまうのである。また、「トナー無し」との検出情報が連続して出力された場合、その検出情報が異常の発生により出力されているときの「トナー無し」の検出情報であるか否かの判別ができないので、この点も回避するためでもある。
【0055】
また、この画像形成装置1では、空検センサ81から「トナー有り」の検出情報が連続して出力されると、以下の問題がある。その時期はトナーカートリッジ5の回転駆動装置15が作動しないので、実際には少なくとも空検センサ81の検出面部81aの前にトナーが存在しない状態になっているにもかかわらず、トナーカートリッジ5から補給装置6にトナーが一切供給されない状態が続き、ひいては補給装置6から現像装置24への現像剤の補給も十分に又はまったくなされなくなるので、現像装置24内に収容されている現像剤のトナー濃度が低下してしまうことがある。
【0056】
そこで、この画像形成装置1では、以下に説明するように、現像剤の補給動作の状態を監視し、その各補給動作の状態において空検センサ81から特に「トナー有り」の検出情報が連続して出力された際にも、適切な処理を実行するように構成されている。
【0057】
はじめに、画像形成装置1では、制御装置8において、図6に示すように、監視の時期になると、作像装置20(Y,M,C,K)毎に補給動作の状態についての確認が行われる。監視の時期は、例えば、予め設定して経過時間に達した時点である。
【0058】
また、実施の形態1では、補給動作の状態について、補給待機状態(補給動作が実行されずに又は正常に実行された後に次の補給動作を前に待機しているときの状態)、補給実行状態(補給動作が実行されて異常の発生の有無を監視する必要性の有無をみる状態)、異常予兆状態(異常が発生した可能性が高く監視を行う状態)及び異常発生状態(異常が発生したと判定された後の状態)という4つの状態を設定している。
【0059】
制御装置8は、補給動作の各状態を確認した後、図7〜図10に示すように、補給動作の各状態に対してそれぞれ用意されている処理動作を実行する。
【0060】
補給待機状態のときの処理は、図7に示すように、まず空検センサ81の前回の検出結果と今回(最新)の検出結果についての確認が行われる(ステップS10)。
【0061】
この際、前回と今回のいずれもが「トナー無し」の検出結果であると確認されたときや、前回が「トナー有り」の検出結果であって今回が「トナー無し」の検出結果であると確認されたときには、空検センサ81が「トナー無し」の検出をしているので正常に動作しているとみなして、補給動作のときの回転駆動装置16(移動部材66)の駆動時間を監視する必要性の有無を判断するための「駆動監視時間」をクリアしてゼロにする(S11)。
【0062】
また、ステップS10において前回が「トナー無し」の検出結果であって今回が「トナー有り」の検出結果であると確認されたときには、補給動作が正常に実行されているとみなして、監視処理に関する処理を行わず補充待機状態を維持する(S12)。
【0063】
さらに、ステップS10において前回と今回の検出結果がいずれも「トナー有り」であって連続していると確認されたときには、駆動監視時間にその直前に実行された現像剤の補給駆動時間が加算され(S13)、そのときの駆動監視時間が予め設定する閾値(時間)Tx以上であるか否かが判断される(S14)。この場合、駆動監視時間が閾値Tx未満であるときには、空検センサ81に異常が発生している可能性が低いとみなして本処理を終了するが、その駆動監視時間が閾値Tx以上であるときには、空検センサ81に異常が発生している可能性が少しあるとみなして、補給動作の状態について「補給待機状態」から「補給実行状態」に変更し(S15)、それまでの駆動監視時間をクリアしてゼロにする(S16)。これにより、補給動作の状態について監視のレベルを1段階高める。駆動監視時間の閾値Txは、例えば、攪拌搬送部材65A(又は除去部材68)の1回転に要する時間以上の値に設定される。
【0064】
補給実行状態のときの処理は、図8に示すように、まず空検センサ81の前回の検出結果と今回の検出結果についての確認が行われる(ステップS20)。
【0065】
この際、前回と今回の検出結果がいずれも「トナー無し」であると確認されたときには、空検センサ81が「トナー無し」の検出をしているので正常に動作していて異常が発生している可能性がないとみなして、補給動作の状態について「補給実行状態」から「補給待機状態」に変更し(S21)、それまでに実行された補給動作のための回転駆動装置16(ひいては移動部材66)の駆動時間を累積した駆動累積時間(カウント値)をクリアしてゼロにする(S22)。これにより、補給動作の状態について監視のレベルを最も低くする。また、ステップS20において前回が「トナー無し」の検出結果であって今回が「トナー有り」の検出結果であると確認されたときや、前回が「トナー有り」の検出結果であって今回が「トナー無し」の検出結果であると確認されたときには、空検センサ81が「トナー無し」の検出を少なくとも1回行っていることから異常が発生している可能性が低いとみなして、監視処理に関する処理を行わず補給実行状態を維持する(S23)。
【0066】
さらに、ステップS20において前回と今回の検出結果がいずれも「トナー有り」であって連続していると確認されたときには、補給動作に関する駆動累積時間にその直前に実行された現像剤の補給駆動時間が加算され(S24)、そのときの駆動累積時間が閾値Ty以上であるか否かが判断される(S25)。この場合、駆動監視時間が閾値Ty未満であるときには、空検センサ81に異常が発生している可能性が低いとみなして本処理を終了するが、その駆動累積時間が閾値Ty以上であるときには、補給動作が多く実行されているにもかかわらず補給装置6内に補給現像剤SGが有ると検出され続けているのは空検センサ81に何らかの異常が発生している可能性があるとみなして、補給動作の状態について「補給実行状態」から「異常予兆状態」に変更する(S26)。これにより、補給動作の状態について監視のレベルを更に1段階高める。
【0067】
異常予兆状態のときの処理は、図9に示すように、まず空検センサ81の前回の検出結果と今回の検出結果についての確認が行われる(ステップS30)。
【0068】
この際、前回と今回の検出結果がいずれも「トナー無し」であると確認されたときには、空検センサ81が「トナー無し」の検出をしているので正常に動作していて異常が発生している可能性がないとみなして、補給動作の状態について「異常予兆状態」から「補給待機状態」に変更し(S31)、それまでの駆動累積時間をクリアしてゼロにする(S32)。これにより、補給動作の状態について監視のレベルを最も低くする。また、ステップS30において前回が「トナー無し」の検出結果であって今回が「トナー有り」の検出結果であり、又は前回が「トナー有り」の検出結果であって今回が「トナー無し」の検出結果であると確認されたときには、空検センサ81が「トナー無し」の検出を少なくとも1回行っていることから異常が発生している可能性が低いとみなして、監視処理に関する処理を行わず、異常予兆状態を維持する(S33)。
【0069】
さらに、ステップS30において前回と今回の検出結果がいずれも「トナー有り」であって連続していると確認されたときには、駆動累積時間にその直前に実行された現像剤の補給駆動時間が加算され(S34)、そのときの駆動累積時間が閾値Ty以上であるか否かが判断される(S35)。この場合、駆動累積時間が閾値Ty未満であるときには、空検センサ81に異常が発生している可能性が低いとみなして本処理を終了するが、その駆動累積時間が閾値Ty以上であるときには、補給動作が多く実行されているにもかかわらず補給装置6内に補給現像剤SGが有ると検出され続けているのは空検センサ81に異常が発生している可能性が高いとみなして、該当する現像装置24のトナー濃度センサ82の検出結果であるトナー濃度が予め設定する閾値(濃度)Dx未満であるか否かが判定される(S36)。このときの閾値Dxは、図5に示すようにトナー濃度の制御範囲の下限値よりも低い濃度の値であり、例えば、画像濃度として実用に耐えないレベルの濃度値などに設定される。
【0070】
ステップS36においてトナー濃度が閾値Dx未満であるときには、トナー有りの検出結果の1つが空検センサ81に異常が発生したときに出力されるトナー有りの検出結果に該当し、異常が発生しているとみなして、補給動作の状態について「異常予兆状態」から「異常発生状態」に変更した後、画像形成部2による画像形成動作を停止する処理を行う(S37〜S38)。
【0071】
これにより、空検センサ81からトナー有りの検出結果が連続して出力されていることで、その出力がされている補給装置6から現像装置24にトナーが補給されない状態が続き、その現像装置24内のトナー濃度が閾値Dxに満たないレベルまでに低下した状況になるが、画像形成動作が停止されることで、そのトナー濃度が低下した現像装置24で現像されたトナー像の画像濃度が低下してしまうことも防止される。この結果、空検センサ81からトナー有りの検出結果が連続して出力された場合であっても、画像形成動作が適切に停止されて画像品質の低下の発生が防止されことになる。
【0072】
また、実施の形態1では、空検センサ81からトナー有りの検出結果が連続して出力された場合に、現像装置24におけるトナー濃度の閾値Dxとの対比判定を行う前に、ステップS35として補給動作の駆動累積時間が閾値Dy異常であるか否かの判定が行われて、ステップS36のトナー濃度が閾値Dx未満であるか否かの判定が行われるので、トナー有りの連続した検出結果の確認工程が増えるので、前記した画像形成動作の停止処理が必要なときにより適切に行われようになる。
【0073】
ちなみに、空検センサ81からトナー有りの検出結果が連続して出力された場合には、補給装置6が作動しないので、トナーカートリッジ5から補給装置6に補給現像剤SGが必要以上に供給されることがない。また、この画像形成動作が停止された場合は、入力・表示装置13に、例えば「故障の発生とその発生箇所」等の内容を知らせる警告メッセージを表示することが行われる。
【0074】
一方、ステップS36においてトナー濃度が閾値Dx以上であるときには、トナー有りの検出結果がいずれも空検センサ81に異常が発生したときに出力されるトナー有りの検出結果でなく、補給装置6に補給現像剤SGが実際に存在している状態が検出された結果であるとみなして、ステップS30に戻り、次の空検センサ81の検出結果に基づいて前述したような処理(S31〜S36)が同様に繰り返される。
【0075】
これにより、空検センサ81からトナー有りの検出結果が連続して出力された場合であっても、そのトナー有りの検出結果が空検センサ81に異常が発生したときに出力されるものでないときまでも(誤検出の場合を含む)、画像形成動作が一律に停止されてしまうことが防止される。この結果、空検センサ81に異常が発生していないと判定されたときには、画像形成動作が停止されないので、画像形成動作を続けて行うことが可能になり、しかも、その画像形成動作で得られる画像は画像の濃度が必要以上に低下したものにならず良好な画像形成が可能になる。
【0076】
最後に、異常発生状態のときの処理は、図10に示すように、まず空検センサ81の前回の検出結果と今回の検出結果についての確認が行われる(ステップS40)。
【0077】
この際、前回と今回の検出結果がいずれも「トナー無し」であると確認されたときには、空検センサ81が「トナー無し」の検出をしているので正常に動作していて異常が発生している可能性がないとみなして、補給動作の状態について「異常発生状態」から「補給待機状態」に変更し(S41)、それまでの駆動累積時間をクリアしてゼロにする(S42)。これにより、補給動作の状態について監視のレベルを最も低くする。
【0078】
また、ステップS40において前回が「トナー無し」の検出結果であって今回が「トナー有り」の検出結果であると確認されたときや、前回が「トナー有り」の検出結果であって今回が「トナー無し」の検出結果であると確認されたときや、前回と今回の検出結果がいずれも「トナー有り」であって連続していると確認されたときには、空検センサ81に発生した異常が解消されていない可能性が高いとみなして、監視処理に関する処理を行わず、異常発生状態を維持する(S43)。
【0079】
[他の実施の形態]
前記した実施の形態では、空検センサ81からトナー有りの検出結果が連続して出力された場合に、最終的に補給動作の駆動累積時間が閾値Dy以上であるか判定し(図9のステップS35)、閾値Dy以上であるときにトナー濃度センサ82のトナー濃度が閾値Dx未満であるか否かの判定を行う(図9のS36)ように構成した場合を例示したが、これに限定されない。この他にも、例えば、空検センサ81からトナー有りの検出結果が連続して出力される回数の累積値が予め設定する閾値(回数)を超えるか否かを判定し、その回数累積値が閾値を超えたときにトナー濃度センサ82のトナー濃度が閾値Dx未満であるか否かの判定を行うように構成することも可能である。
【0080】
画像形成装置1については、中間転写装置3を使用せずに記録用紙9を複数の作像装置20の一次転写位置を通過させるように搬送する用紙搬送装置を採用したものや、単色画像を形成するものであってもよい。現像装置24は、二成分現像剤を使用するものに限定されず、他の現像剤(一成分現像剤など)を使用する現像装置であっても構わない。補給装置6の制御は、画像のピクセル情報に基づいて行う場合に限らず、他の検出情報を併用して又は単独で使用して行うように構成することも可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 …画像形成装置
2 …画像形成部
5 …トナーカートリッジ(現像剤収容器)
6 …補給装置
8 …制御装置(制御手段)
15…制御装置
20…作像装置(画像形成部の一部)
24…現像装置
30…中間転写装置(画像形成部の一部)
40…給紙装置(画像形成部の一部)
45…定着装置(画像形成部の一部)
52…排出口
54…搬送部材
62…受け口
66…移動部材
67…接続搬送装置(補給装置の一部)
81…空検センサ(残量検出器)
82…トナー濃度センサ(濃度検出器)
G …現像剤
SG…補給現像剤
Dx…濃度閾値(濃度検出器の検出結果に関する設定値)
Ty…時間閾値(移動部材の駆動量に関する設定値)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容されている現像剤を供給して静電潜像を現像する現像装置を備え、その現像剤で構成される画像を形成する画像形成手段と、
前記現像装置に補給するための補給現像剤を収容し、その収容されている補給現像剤を現像剤の排出口にむけて搬送するよう駆動する搬送部材を備える現像剤収容器と、
前記現像剤収容器と前記現像装置の間に配置され、前記現像剤収容器の排出口から排出される補給現像剤を現像剤の受け口から受け入れて一時的に貯留するとともに、その貯留されている補給現像剤を前記現像装置にむけて送り出す現像剤の送出口に移動させるよう駆動する移動部材を備える補給装置と、
前記補給装置に貯留されている補給現像剤の有無を時間的な間隔をあけて検出するとともに、異常な状態になったときに現像剤有りとの検出結果を出力する残量検出器と、
前記現像装置に収容されている現像剤の濃度を検出する濃度検出器と、
前記画像形成手段、補給装置、残量検出器及び濃度検出器を含む機器の動作を制御し、前記残量検出器から現像剤無しとの検出結果が出力されたときに前記現像剤収容器の搬送部材を駆動させる制御手段と
を有し、
前記制御手段は、前記残量検出器から現像剤有りとの検出結果が連続して出力された場合、前記濃度検出器の検出結果が設定値よりも小さいと判定したときに前記画像形成手段の動作を停止させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記残量検出器から現像剤有りとの検出結果が連続して出力された場合、前記補給装置の移動部材の駆動量が設定値よりを超えていると判定したときに前記濃度検出器の検出結果が設定値よりも小さいか否かを判定する請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−141370(P2012−141370A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292641(P2010−292641)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】