説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置本体に着脱可能なユニットに設けられたICチップの破損を防止する。
【解決手段】画像形成装置1は、画像形成装置本体3と、現像器43と、ロック機構81と、ロック検出センサ123と、ICチップ83と、CPU131とを備える。現像器43は、画像形成装置本体3に対して着脱可能なユニットである。ロック機構81は、現像器43を画像形成装置本体3にロックする。ロック検出センサ123は、現像器43が画像形成装置本体3に対してロック状態であるかどうかを判断する。ICチップ83は、現像器43に設けられる。CPU131は、ロック機構81がロック状態である場合にのみ、ICチップ83への電力供給及び/又はICチップとの通信を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、特に電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ又は複合機等の電子写真方式の画像形成装置は、感光体ドラムの周りに、帯電器、露光器、現像器及び転写器を備える。このような画像形成装置では、感光体ドラムを帯電させてさらに露光することで、感光体ドラムの表面に静電潜像を形成する。その後、静電潜像を現像してトナー像を形成し、さらにトナー像を所定の用紙に転写させる。
【0003】
画像形成装置において、現像器又はトナーカートリッジ等の消耗品ユニットは、画像形成装置に着脱可能に装着され、消耗品が全て消費された場合又は消耗品ユニットが寿命に達した場合に交換される。消耗品ユニットには、消耗品の消費状態を管理するために、例えば固有ID及び寿命情報等を記憶するメモリ等のICチップが取り付けられている。画像形成装置本体の制御部は、画像形成装置本体の接点と消耗品ユニットの接点との接触を通じてメモリに記憶されたデータを読み込む。また、ICチップには上記接点同士の接触を通じて電源が供給されている。
【0004】
消耗品ユニットが画像形成装置本体から着脱される際及びその前後では、画像形成装置本体の接点と消耗品ユニットの接点との接触が不安定になる。そのため、着脱時に、消耗品ユニットのメモリが破壊されることがある。そこで従来、消耗品ユニットが画像形成装置に装着されてから所定の時間が経過し、消耗品ユニットの回転が完全に停止した後に、消耗品ユニットのメモリに対して電源を供給する画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−128755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし上記の画像形成装置では、画像形成装置本体の電源がONの状態においては消耗品ユニットの着脱が可能である。従って、画像形成装置本体と消耗品ユニットとの間で通信している間に画像形成装置本体から消耗品ユニットが取り外された場合には、画像形成装置本体の接点と消耗品ユニットの接点との間でチャタリングが発生する。そしてこのようなチャタリングの発生は、メモリに異常負荷をかけメモリ内のデータの破損を招くという問題がある。
【0007】
本発明の課題は、画像形成装置本体に着脱可能なユニットに設けられたICチップの破損を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0009】
本発明の一見地に係る画像形成装置は、本体と、本体に対して着脱可能なユニットと、ロック機構と、ロック検出部と、ICチップと、本体制御部と、を備える。ロック機構は、ユニットを本体にロックする。ロック検出部は、ロック機構がロック状態であるかどうかを判断する。ICチップは、ユニットに設けられる。本体制御部は、ロック機構がロック状態である場合にのみ、ICチップへの電源供給及び/又はICチップとの通信を行う。
【0010】
ここでは、ロック機構がロック状態である場合にのみ、ICチップに電源が供給され、ICチップと本体制御部とが通信可能となる。つまり、ロック機構がロック状態でない場合には、ICチップに電源が供給されず、ICチップと本体制御部とが通信不可能となる。従って、ICチップと本体との間におけるチャタリングの発生を防止できる。その結果、チャタリングの発生を原因とするICチップ内のデータの破損を防止できる。また、ICチップと本体制御部との間の通信の途切れ及び通信の途切れを原因としたICチップへの読み書きの不具合の発生を防止できる。
【0011】
ユニットは現像器であってもよい。ここで、ロック機構は、回転可能な回転軸と、回転軸に固定され、回転軸を中心に回転するレバー部と、を有し、ロック検出部は、レバー部の回転位置を検出することにより、ロック機構のロック状態を判断してもよい。
【0012】
ロック機構は、回転軸に設けられた検出部材をさらに有していてもよい。ここで、ロック検出部は、検出部材を検出することにより、ロック機構のロック状態を判断してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、画像形成装置本体に着脱可能なユニットに設けられたICチップの破損を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置全体の模式図。
【図2】現像器及びその周辺の構成を示す拡大断面図。
【図3】現像器の外観斜視図。
【図4】現像器及びロック機構の待機状態を示す斜視図。
【図5】現像器及びロック機構のロック状態を示す斜視図。
【図6】現像器のロック機構の分解斜視図。
【図7】画像形成装置の要部構成を示すブロック図。
【図8】CPUによるICチップとの通信処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.第1実施形態
(1)画像形成装置の構造
図1を用いて、画像形成装置1について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置全体の模式図である。以下、画像形成装置1における各方向関係を明確にするために、画像形成装置1の前面(図1における手前側)に立った作業者にとっての各方向を左右方向、前後方向及び上下方向とする。
【0016】
画像形成装置1は、画像読取装置2と、画像形成装置本体3とを備える。
画像読取装置2は、画像読取部21と、原稿カバー22とを備える。画像読取部21は、原稿の画像データを読み取る装置であり、いわゆるフラットベッドスキャナである。画像読取部21は、光源23と、複数の反射鏡24と、スキャナユニット25とを有する。画像読取部21では、光源23からプラテンガラス26上の原稿に照射されて反射した光は、複数の反射鏡24によって反射されながらスキャナユニット25へと導かれる。原稿カバー22は、画像読取部21の上に回動自在に配置されている。
【0017】
画像形成装置本体3は、筐体31を備えると共に、筐体31の内部に設けられた画像形成部32、定着装置33、用紙搬送部34、給紙カセット35、手差し給紙トレイ36及び排紙部37を有する。
【0018】
画像形成部32は、画像読取装置2で読み取られた原稿の画像データ及びパーソナルコンピュータから送られてきた画像データに基づいて用紙7に画像を形成する。画像形成部32は、感光体ドラム40と、帯電器41と、露光ヘッド42と、画像形成装置本体3に着脱可能なユニットとしての現像器43と、転写ローラ44とを有する。
【0019】
感光体ドラム40は、表面に静電潜像が形成される装置である。感光体ドラム40は、回転可能に設けられた円柱状の部材である。感光体ドラム40は、図示しない駆動装置によって、図1の紙面方向に垂直な回転軸を中心に、図1における反時計回りに回転される。帯電器41、露光ヘッド42、現像器43、転写ローラ44は、感光体ドラム40の回転方向において、この順に設けられる。
【0020】
帯電器41は、感光体ドラム40の表面を所定電位に一様に帯電させる。
露光ヘッド42は、帯電した感光体ドラム40の表面に光を照射することで、画像データに沿った静電潜像を描く。露光ヘッド42は、光源として、例えばLED(Light Emitting Diode)を備える。
【0021】
現像器43は、感光体ドラム40上の静電潜像にトナーを供給し、静電潜像を現像する。現像器43では、トナーに所定電位が付与される。その電位と静電潜像の電位との差に基づいて、静電潜像にトナーが付着されて、静電潜像が顕像化される。現像器43の詳細は後述する。
【0022】
転写ローラ44は、感光体ドラム40に対向して配置され、感光体ドラム40上のトナー像を、用紙7上に転写する。
なお、転写ローラ44と帯電器41との間には、図示しない除電ランプ、メモリ除去ブラシ及びクリーニング装置が設けられていてもよい。除電ランプは、転写後の感光体ドラム40の外周面を露光して除電する。メモリ除去ブラシは、転写後の感光体ドラム40上に残るトナーの付着力を低下させ、感光体ドラム40の表面に分散させる。クリーニング装置は、感光体ドラム40の回転方向において、メモリ除去ブラシの下流に設けられ、転写後も感光体ドラム40上に残留するトナーを除去する。
【0023】
定着装置33は、転写後の用紙7に熱及び圧力を加えることで、トナー像を用紙7上に定着させる装置である。定着装置33は、加熱ローラ33a及び加圧ローラ33bを備える。
加圧ローラ33bは、金属製のローラ軸とその回りに設けられた弾性部材とから構成されている。加圧ローラ33bは筐体31に回転自在に支持されており、図示しない付勢部材によって加熱ローラ33aに付勢されてニップ部を形成している。加圧ローラ33bは、加熱ローラ33aの回転に従動して回転するようになっている。
【0024】
用紙搬送部34は、搬送路及び複数のローラを備える。用紙搬送部34は、ローラによって、搬送路に沿って用紙7を搬送することで、後述する給紙カセット35又は手差し給紙トレイ36から、画像形成部32及び定着装置33を通って排紙部37まで、用紙7を搬送する。
【0025】
給紙カセット35は、その内部に画像形成前の用紙7の束を収容する。給紙カセット35は、筐体31に対して出し入れ可能に設けられる。
手差し給紙トレイ36は、ハガキ等の特殊な用紙に対する手差し機能を有する。
排紙部37は、画像が形成された用紙7を排出するための部分である。排紙部37は、筐体31の上面に設けられている。
【0026】
(2)現像器の構造
現像器43の構成を、図2及び図3を参照して説明する。図2は、現像器及びその周辺の構成を示す拡大断面図である。図3は、現像器の外観斜視図である。
図2に示すように、現像器43は、主に現像器本体51、蓋体53、現像ローラ55、供給ローラ57、第1撹拌部材59、第2撹拌部材61、第3撹拌部材63及び弾性ブレード65を有している。現像器本体51の上部は、蓋体53で密閉されている。現像器本体51は、第1トナー室67、第2トナー室69及び第3トナー室71を有している。また、第2トナー室69の下部には、トナーの残量を検知するトナー残量検知センサ73が形成されている。
【0027】
現像ローラ55は、現像器本体51内であって感光体ドラム40に接する位置に回転可能に配置される。具体的には、現像ローラ55は、現像器本体51の感光体ドラム40側端部、つまり右端部に配置される。現像ローラ55の回転軸は、感光体ドラム40の回転軸と平行である。現像ローラ55は、供給ローラ57から受け取ったトナーを感光体ドラム40に供給することで、感光体ドラム40上の潜像をトナーによって現像する。
【0028】
供給ローラ57は、現像器本体51内であって現像ローラ55に接する位置に回転可能に配置される。供給ローラ57は、第1トナー室67に収納されたトナーを現像ローラ55に供給する。
【0029】
第1トナー室67、第2トナー室69及び第3トナー室71は、図示しないトナーカートリッジから補給されたトナーを収容する。第1撹拌部材59、第2撹拌部材61及び第3撹拌部材63は、第1トナー室67、第2トナー室69及び第3トナー室71のそれぞれに設けられ、トナーを撹拌しながら供給ローラ57に向けてトナーを送る。
弾性ブレード65は、現像ローラ55に付着したトナーを均一にして、現像ローラ55上にトナーの薄層を形成する。具体的に弾性ブレード65は、現像ローラ55上のトナーを帯電させてトナーの厚さを規制し、現像ローラ55に保持されるトナー量を規制する。
【0030】
現像器43は、図1及び図2における前後方向に画像形成装置本体3に対して着脱可能に配置される。図2において、現像器43を画像形成装置本体3に挿入する場合、現像器43は画像形成装置本体3の筐体31に形成された装着スペースに挿入される。そして、現像器43は、画像形成装置本体3に挿入された後に筐体31に設けられたロック機構81により下方から押し上げられ、現像ローラ55を感光体ドラム40に当接した状態にセットされる。ロック機構81の詳細は後述する。
【0031】
図3に示すとおり、本実施形態の現像器43の蓋体53上にはICチップ83が設けられる。ICチップ83は、メモリ83a及び接点83bを有する(図7参照)。ICチップ83は、例えば二層基板から構成され、下層にメモリ83aが実装され、上層に接点83bを有する。メモリ83aは、後述のCPU(Central Processing Unit)131により制御される。
ICチップ83のメモリ83aは、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)等の不揮発性メモリである。ICチップ83のメモリには、現像器43のロット番号、装着日、トナーの残量の情報及び印字枚数の情報等の情報が記憶されている。
【0032】
ICチップ83の接点83bは、電源用接点、信号用接点及びフレームグランド用接点を有する。ICチップ83は、接点83bと画像形成装置本体3側に設けられた接点(図示せず)とが接触することにより、画像形成装置1を制御するCPU131との間で通信が可能となり、CPU131によるICチップ83に記憶された情報の読み書きが可能となる。また、接点83bと画像形成装置本体3側に設けられた接点とが接触することにより、ICチップ83への電源の供給が可能となる。
【0033】
画像形成装置本体3側に設けられた接点は、接点83bを電気的に接触できるバッテリーコネクタの接触端子等であって、現像器43が画像形成装置本体3に装着された際にICチップ83の接点83bに対向する位置に設けられている。ICチップ83の接点83bと画像形成装置本体3側に設けられた接点とは、ロック機構81によって現像器43が押し上げられ、現像器43が現像ローラ55を感光体ドラム40に接触したときに、互いに接触する。
ICチップ83は、現像器43の蓋体53上にネジ止めされて配置されてもよく、又は現像器43の蓋体53上に形成された樹脂からなるホルダに挿入されて配置されてもよい。
【0034】
(3)ロック機構の構造
次に、図2とさらに図4〜図6とを参照してロック機構81を説明する。図4は、現像器及びロック機構の待機状態を示す斜視図である。図5は、現像器及びロック機構のロック状態を示す斜視図である。図6は、現像器のロック機構の分解斜視図である。
ロック機構81は、前述のとおり、画像形成装置本体3に挿入された現像器43を下方からが押し上げ、現像ローラ55を感光体ドラム40に当接した状態にセットする機構である。ロック機構81は、現像器43の下部側の筐体31において感光体ドラム40側に配設されている。
【0035】
以下、現像ローラ55を感光体ドラム40に当接させて現像器43を画像形成装置本体3にセットさせたロック機構81の状態をロック状態という。ロック機構81のロック状態は、図2及び図5に示される。ロック状態におけるロック機構81のロックレバー91は、図4に示すロック機構81の待機状態から時計回りに回転されたロック位置にある。また、ロック機構81がロック位置ある場合には、現像器43を画像形成装置本体3にセットさせ、ICチップ83の接点83bと画像形成装置本体3側に設けられた接点とは安定して接触した状態にある。
【0036】
一方、現像ローラ55が感光体ドラム40に当接していない状態におけるロック機構81の状態を待機状態という。すなわち待機状態とは、画像形成装置本体3に挿入された現像器43に対してロック機構81が作動していない状態、及び画像形成装置本体3に対する現像器43のセットを解除したロック機構81の状態である。ロック機構81の待機状態は図4に示される。このとき、ロック機構81のロックレバー91は、図5に示すロック機構81のロック状態から、反時計回りに回転されて倒れた待機位置にある。
【0037】
ロック機構81は、ロックレバー91、回転軸93、プレート用カム部材95、基板101及び押し上げプレート111を備える。
ロックレバー91は、回転軸93の前側端部に固定されている。回転軸93は、基板101の前端及び後端において下方に向かって設けられた軸受部102に回転可能に保持されている。
【0038】
プレート用カム部材95は、回転軸93の中間部分に固定されている。プレート用カム部材95は、頂部95aから回転軸93に向かって広がるように形成された2つの傾斜面を有した形状を有する。プレート用カム部材95の前側側面には突起部95bが設けられている。突起部95bには、カム用コイルバネ97の第1端が連結され、カム用コイルバネ97の第2端は、基板101に設けられた第1孔部103に連結されている。カム用コイルバネ97は、プレート用カム部材95を図2における反時計回りに回転するように付勢している。カム用コイルバネ97の付勢力によってプレート用カム部材95が反時計回りに回転すると、回転軸93も回転してロックレバー91は待機位置まで回転する。
【0039】
基板101には、前後方向に帯状に延びた形状を有し、前述した軸受部102及び第1孔部103の他に、切欠き部104、保持受け部105及び凹部106が形成される。
切欠き部104は、基板101における感光体ドラム40に近い側面に、押し上げプレート111の取り付け位置に対応して形成される。切欠き部104には、押し上げプレート111に設けられた保持部112及び収容部114を受けるための保持受け部105が形成されている。また、切欠き部104の前後の辺部には、押し上げプレート111の前後両端部分にある保持部112から前後方向に突出して設けられたガイド用突起部113が上下動するための凹部106がそれぞれ形成されている。
【0040】
押し上げプレート111は、前後方向に帯状に延びたプレートであって、前述する保持部112、ガイド用突起部113及び収容部114と、さらに規制突起部116及びカム受け部117とが形成されている。
収容部114は、作用部材115を収容する部分であって、押し上げプレート111の上下方向の中心線に対して対称位置にそれぞれ前後に設けられている。収容部114は、角柱状に形成されており、内部には作用部材115を収容するために上方が開放された四角形状の空間が形成されている。
【0041】
作用部材115は、円筒状であって、円筒の回りに図示しないコイルバネが装着された状態で収容部114に収容されている。作用部材115は、コイルバネの付勢力によって常時上方に付勢されている。
規制突起部116は、ガイド用突起部113の下方側に設けられる。カム受け部117は、プレート用カム部材95が接触する部分であって、押し上げプレート111の下縁の中心部に水平方向に突出するように設けられる。
【0042】
押し上げプレート111には、さらにカム受け部117に隣接して第2孔部118が設けられる。第2孔部118には、プレート用コイルバネ98の第1端が連結され、プレート用コイルバネ98の第2端は回転軸93に連結されている。プレート用コイルバネ98は、押し上げプレート111を回転軸93の方に常時引っ張るように付勢している。押し上げプレート111は、プレート用コイルバネ98によって付勢されれば、下方に移動して規制突起部116の底面が回転軸93に接触して保持される。
【0043】
本実施形態のロック機構81は、さらにロック機構81のロック状態を検出するためのフィラー121及びロック検出センサ123を有する。
フィラー121は、回転軸93の後側端部に固定されている。
ロック検出センサ123は、例えばマイクロスイッチであって、ロック機構81のロック状態でフィラー121が接触する位置に配置される。ロック検出センサ123は、フィラー121が接触されることによりロック機構81のロック状態を検出する。ロック検出センサ123は、ロック機構81のロック状態を検出した場合にはON信号を出力する。
【0044】
上記のようなロック機構81によって、現像ローラ55を感光体ドラム40に当接させて画像形成装置本体3に挿入された現像器43をセットするには、図4に示す待機位置にあるロックレバー91を手動で時計回りに回転させる。ここでロックレバー91の回転によって回転軸93も同様に回転するため、回転軸93に固定されたプレート用カム部材95は時計回りに回転する。その結果、プレート用カム部材95の頂部95aがカム受け部117を押し上げ、押し上げプレート111が上方に移動する。その際、押し上げプレート111は、筐体31に形成されたガイド面31a(図2参照)に沿って移動する。そして押し上げプレート111の上方への移動によって、作用部材115が現像器本体51の底面に接触して現像器43を押し上げ、現像器43は現像ローラ55を感光体ドラム40に接触した状態にセットされる。そして、頂部95aが押し上げプレート111とガイド面31aとの間に入り込むことでプレート用カム部材95が保持され、ロックレバー91がロック位置で保持されるようになる。
【0045】
このとき、現像器43がロック機構81によって押し上げられることにより画像形成装置本体3にセットされ、ICチップ83の接点83bと画像形成装置本体3に設けられた接点とが接触する。その結果、ICチップ83と画像形成装置本体3に設けられた接点とを介してICチップ83とCPU131とが通信可能となる。
【0046】
また、ロック機構81がロック状態に移行する際、回転軸93に固定されたフィラー121も時計回りに回転する。従って、フィラー121がロック検出センサ123に接触し、その結果ロック検出センサ123は、ロック機構81のロック状態を検出する。
【0047】
なお、画像形成装置本体3に対してセットされた現像器43を取り出す場合には、ロックレバー91を手動にてロック位置から待機位置へと反時計回りに回転させる。この時、ロックレバー91の回転によって回転軸93も同様に回転するため、回転軸93に固定されたプレート用カム部材95も反時計回りに回転する。その結果、プレート用カム部材95の頂部95aとカム受け部117との接触が解消され、押し上げプレート111が下方に移動するすると共に、現像器43が下方に移動する。
【0048】
(4)画像形成装置の制御系の構成
図7を参照して、画像形成装置1の制御系の構成を説明する。図7は、画像形成装置の要部構成を示すブロック図である。
【0049】
図7に示すように、画像形成装置1は、コピー機、プリンタ、スキャナ、ファクシミリ装置等としての機能を有するいわゆる複合機である。画像形成装置1は、上述した構成の他に、CPU131、ROM133、RAM135、CODEC137、画像メモリ139、モデム141及びNCU143を備える。画像形成装置1は、さらにスキャナコントローラ145、プリンタコントローラ147、操作パネル149、ネットワークボード151及び電源供給部153を備える。画像形成装置1は、さらにバス155を備えており、画像形成装置1内の各部はバス155によって互いに接続されている。
【0050】
CPU131は、画像形成装置1の各部を制御する制御部である。CPU131は、ROM133に格納される各種プログラムを読み出して実行することによって、コピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能及びスキャン機能等を実現する。
【0051】
CPU131は、所定の間隔でロック検出センサ123の検出信号を取り込む。そして、ロック検出センサ123から取り込んだ検出信号がロック機構81がロック状態であることを示すON信号である場合には、ICチップ83に接点83bを介して電源を供給するように電源供給部153を制御する。また、ロック検出センサ123から取り込んだ検出信号がロック機構81がロック状態であることを示すON信号である場合には、CPU131は、接点83bを介して接触されたICチップ83との間で通信を行う。CPU131とICチップ83とは、シリアルバス157で接続されている。
【0052】
本実施形態では、CPU131とICチップ83との間には、バッファ159が設け、高い信号電圧からICチップ83を保護するが、バッファ159は省略されてもよい。
【0053】
ROM(Read Only Memory)133は、制御プログラムや予め設定されているパラメータ等を格納する。RAM(Random Access Memory)135は、プログラムを実行するための作業領域として機能する。
CODEC(Coder and Decoder)137は、画像データを圧縮/展開する。すなわち、CODEC137は、スキャナコントローラ145から受け取った原稿の画像データを例えばJPEG形式の画像ファイルの圧縮(符号化)、JPEG形式の画像ファイルの復号、ファクシミリ受信した画像データの復号等を行う。圧縮形式としては、公知の形式が採用可能である。
画像メモリ139には、受信データあるいは画像読取装置2(図1参照)で読み取った画像データが記憶される。
モデム141は、デジタル信号とアナログ信号を相互変換する変復調装置であり、NCU143に接続されている。
【0054】
NCU(Network Control Unit)143は、公衆交換電話網(PSTN:Public Subscriber Telephone Network)に接続されており、電話回線を介して発呼及び着呼を含む通信を制御する。
スキャナコントローラ145は、CPU131の制御の下、前述の画像読取装置2の動作を制御し、読み取られた画像データを画像メモリ139に送信する。
【0055】
プリンタコントローラ147は、CPU131の制御の下、前述の画像形成部32、定着装置33及び用紙搬送部34等の動作を制御することで、プリンタ又はコピー機としての画像形成機能を実現する。
操作パネル149は、表示パネル及びタッチセンサを有するタッチパネル並びにハードキー等を備える。操作パネル149は、表示パネルによって画像を表示することで、画像形成装置1の動作状況及びエラーの発生等の情報をユーザに伝えると共に、ソフトキー及びハードキーを介してユーザからの操作を受け付けることができる。すなわち、ユーザは、操作パネル149を用いてコピー、スキャン、又はファクシミリ送信等の指示を入力することができる。
【0056】
ネットワークボード151は、画像形成装置1のインターネットへの接続を可能とし、画像形成装置1の他の機器との通信を可能とする。
【0057】
電源供給部153は、交流の商用電源を直流に変換し画像形成装置1へ供給する電源装置である。図示しない主電源をオンにすることによって画像形成装置1への電力の供給が開始される。また、CPU131の制御のもと、ICチップ83に対して電力を供給する。
【0058】
(5)CPUによるICチップとの通信処理
図8を参照して、CPU131によるICチップ83との通信処理の流れを説明する。図8は、CPUによるICチップとの通信処理を示すフローチャートである。
【0059】
まず、CPU131は、所定の間隔でロック検出センサ123の検出信号を取り込む(ステップS11)。そして、ロック検出センサ123から取り込んだ検出信号が、ロック機構81がロック状態であることを示すON信号であるかどうかを判断する(ステップS13)。ON信号とは、前述のとおりロック機構81のロックレバー91が回転されることによりフィラー121がロック検出センサ123に接触した場合に、ロック機構81がロック状態であると判断してロック検出センサ123から出力される信号である。なお、ロック機構81がロック状態であるということは、ICチップ83の接点83bと画像形成装置本体3側に設けられた接点とは安定して接触した状態にある。
【0060】
検出信号がON信号である場合は(ステップS13でYes)、CPU131は、電源供給部153を制御して、バッファ159を介してICチップ83へと電源を供給する(ステップS15)。なお、ここで検出信号がON信号でない場合は(ステップS13でNo)、CPU131は、処理を終了する。
次にCPU131は、シリアルバス157を介してICチップ83と通信する(ステップS17)。具体的には、CPU131は、ICチップ83に記憶された情報の読み出し処理をする。その後、CPU131は、バッファ159を介したICチップ83への電源の供給を遮断する(ステップS21)。
【0061】
上記の処理により、ロック機構81がロック状態であり、ICチップ83の接点83bと画像形成装置本体3側に設けられた接点とは安定して接触した状態にある場合にのみ、ICチップ83に電力が供給され、さらにICチップ83とCPU131とが通信可能となる。つまり、ロック機構81がロック状態でない場合には、ICチップ83に電源が供給されず、ICチップ83とCPU131とが通信不可能となる。従って、ICチップ83の接点83bと画像形成装置本体3側に設けられた接点との間におけるチャタリングの発生が防止されている。その結果、チャタリングの発生を原因とするメモリ83a内のデータの破損が防止されている。また、ICチップ83とCPU131との間の通信の途切れ及び通信の途切れを原因としたICチップ83のメモリ83aへの読み書きの不具合の発生が防止されている。
さらに本実施形態では、ロック機構81がロック状態であれば、例えば筐体31に設けられた現像器43を着脱可能とするためのドア(図示せず)が開放された状態であっても、ICチップ83に電力が供給されICチップ83とCPU131とが通信できる。
【0062】
(6)特徴
上記実施形態は、下記のように表現可能である。
(A)画像形成装置1は、画像形成装置本体3と、現像器43と、ロック機構81と、ロック検出センサ123と、ICチップ83と、CPU131とを備える。現像器43は、画像形成装置本体3に対して着脱可能なユニットである。ロック機構81は、現像器43を画像形成装置本体3にロックする。ロック検出センサ123は、現像器43が画像形成装置本体3に対してロック状態であるかどうかを判断する。ICチップ83は、現像器43に設けられる。CPU131は、ロック機構81がロック状態である場合にのみ、ICチップ83への電力供給及び/又はICチップとの通信を行う。
ここでは、ロック機構81がロック状態である場合にのみ、ICチップ83に電源が供給され、ICチップ83とCPU131とが通信可能となる。つまり、ロック機構81がロック状態でない場合には、ICチップ83に電源が供給されず、ICチップ83とCPU131とが通信不可能となる。従って、ICチップ83と画像形成装置本体3との間におけるチャタリングの発生が防止されている。その結果、チャタリングの発生を原因とするICチップ83内のデータの破損を防止できる。また、ICチップ83とCPU131との間の通信の途切れ及び通信の途切れを原因としたICチップ83への読み書きの不具合の発生を防止できる。
【0063】
(B)現像器43は、回転軸93と、回転軸93に固定され、回転軸93を中心に回転するロックレバー91と、を有する。ロック検出センサ123は、ロックレバー91の回転位置を検出することにより、ロック機構81のロック状態を判断する。
(C)ロック機構81は、回転軸93に設けられたフィラー121をさらに有する。ロック検出センサ123は、フィラー121を検出することにより、ロック機構81のロック状態を判断する。
【0064】
2.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0065】
(a)上記の実施形態では、画像形成装置本体3に着脱可能なユニットとして現像器を例に挙げた。しかし、これに限定されず、例えば画像形成装置本体3に着脱可能なユニットは、トナーカートリッジであってもよい。
(b)上記の実施形態では、ロック検出センサがマイクロスイッチである例を挙げた。しかし、ロック機構81のロック状態を検出できるセンサであれば、この例には限定されない。例えば、ロック検出センサとして、透過型光学センサ又はフォトセンサ等の汎用センサを使用してもよい。
(c)上記の実施形態では、ICチップの例としてCPUとメモリとを含む例を挙げた。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、メモリのみが現像器に設けられている場合でも本発明を適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
複写機、ファクシミリ又は複合機等の電子写真方式の画像形成装置に広く適用できる。
【符号の説明】
【0067】
1 画像形成装置
2 画像読取装置
3 画像形成装置本体
7 用紙
31 筐体
31a ガイド面
32 画像形成部
33 定着装置
34 用紙搬送部
35 給紙カセット
36 手差し給紙トレイ
37 排紙部
40 感光体ドラム
43 現像器
51 現像器本体
53 蓋体
55 現像ローラ
57 供給ローラ
81 ロック機構
83 ICチップ
83a メモリ
83b 接点
91 ロックレバー
93 回転軸
95 プレート用カム部材
95a 頂部
97 カム用コイルバネ
98 プレート用コイルバネ
101 基板
111 押し上げプレート
114 収容部
117 カム受け部
121 フィラー
123 ロック検出センサ
131 CPU
133 ROM
135 RAM
137 CODEC
139 画像メモリ
141 モデム
143 NCU
145 スキャナコントローラ
147 プリンタコントローラ
149 操作パネル
151 ネットワークボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体に対して着脱可能なユニットと、
前記ユニットを前記本体にロックするロック機構と、
前記ロック機構がロック状態であるかどうかを判断するロック検出部と、
前記ユニットに設けられたICチップと、
前記ロック機構がロック状態である場合にのみ、前記ICチップへの電力供給及び/又は前記ICチップとの通信を行う本体制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記ユニットは現像器であって、
前記ロック機構は、回転可能な回転軸と、前記回転軸に固定され、前記回転軸を中心に回転するレバー部と、を有し、
前記ロック検出部は、前記レバー部の回転位置を検出することにより、前記ロック機構のロック状態を判断する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記回転軸に設けられた検出部材をさらに有し、
前記ロック検出部は、前記検出部材を検出することにより、前記ロック機構のロック状態を判断する、請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−163703(P2012−163703A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23003(P2011−23003)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】