説明

画像形成装置

【課題】複数の画像形成部で帯電補助部材への電圧印加手段を共通化した場合であっても、各画像形成部において帯電電圧の印加時間の増加による画像不良の発生を抑制することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100は、複数の画像形成部PY、PM、PCの帯電補助部材7Y、7M、7Cに電圧を印加する共通の電圧印加手段8と、複数の画像形成部により画像を形成する際に、電圧印加手段8による複数の画像形成部の帯電補助部材への電圧の印加を開始するにあたり、所定のタイミングで、印加する電圧の絶対値をより小さい第1の値からより大きい第2の値に切り替える制御手段110と、を有する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、レーザープリンタ、ファクシミリ、印刷装置、或いはこれらの複合機などの電子写真方式を用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置では、露光装置を用いて電子写真感光体(感光体)に形成した静電像を現像装置により現像してトナー像を形成する。そして、このトナー像を、例えば中間転写体又は記録材搬送体を用いて記録材に転写した後、そのトナーを記録材に定着させる。
【0003】
電子写真方式の画像形成装置では、転写部でトナー像を被転写体(中間転写体、記録材搬送体上の記録材など)へ電気的に転写する際に、1〜10%程度の転写残トナーが発生する。転写残トナーは、転写部を通過して、感光体に連れ回る。転写残トナーを感光体から回収する方法としては、クリーニングブレードを用いたクリーニング装置を用いる方法が一般的である。この他、帯電補助部材を設けて、現像装置で現像同時クリーニングを行って、現像装置に回収したトナーを再利用する方法もある(特許文献1)。
【0004】
帯電補助部材へ直流電圧を印加させることで、転写残トナーを再帯電させ、現像同時クリーニングを行いやすくすることができる。そのため、帯電補助部材に印加する電圧は、放電閾値以上の電圧とすることが望ましい。
【0005】
又、帯電補助部材への電圧印加タイミングは、次の条件A、Bを満たす必要がある。
【0006】
条件Aは、帯電部材への電圧印加により帯電された感光体の位置が帯電補助部材の位置に来るまでに帯電補助部材に電圧を印加することである。帯電された感光体の位置が帯電補助部材の位置に来た場合、帯電補助部材に電圧が印加されていないと、帯電された感光体の電位より帯電補助部材の電位(0V)が大きくなってしまう。そのため、帯電補助部材についた正電荷のトナーが帯電補助部材から感光体へ異常に吐き出され、感光体を通じて帯電部材を汚染してしまい、電位不足やかぶりの画像不良になってしまう。
【0007】
条件Bは、帯電補助部材により帯電された感光体が帯電部材の位置に来るまでに帯電部材に電圧を印加することである。帯電補助部材により帯電した感光体の電位(例として−400V)が現像部(現像電位0V)に到達すると、現像位置での感光体の電位と現像電位との電位差(Vback)が異常になり、キャリア付着やトナーのかぶりが起き、画像不良となってしまう。尚、現像電位とは、現像装置の現像剤担持体に印加される現像電圧の直流成分の電位である。
【0008】
以上の理由から、条件A、Bを満たすように帯電補助部材への電圧印加を行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−145522号公報
【特許文献2】特開2002−148894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、電子写真方式の画像形成装置としては、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の画像をそれぞれ形成する4個の画像形成部を有するタンデム型の画像形成装置がある。この場合、複数の画像形成部の帯電補助部材への電圧印加手段を共通化することで、電圧印加手段である高圧電源やトランスを配置するスペースの省スペース化を図れ、独立に高圧電源やトランスを持つ場合よりコストダウンにつながる(特許文献2参照)。
【0011】
しかしながら、複数の画像形成部において帯電補助部材への電圧印加手段を共通化にする場合、それら全ての画像形成部で帯電補助部材への電圧印加タイミングが同じタイミングとなる。
【0012】
そのため、例えば、最上流側の画像形成部で条件A、Bを満たすように帯電補助部材への電圧印加タイミングを設定する場合、次のような問題が生じる。即ち、この場合、最下流側の画像形成部で電圧印加タイミングの条件A、Bを満たすためには、帯電部材への電圧印加時間を大幅に増加させることになる。つまり、最下流側の画像形成部では、帯電部材に対して、最上流側の帯電印加タイミングにならって電圧の印加を始めることになる。その結果、最下流側の画像形成部になればなるほど、感光体の削れやトナーの融着(フィルミング)を悪化させ、縦スジ状の画像不良につながり、感光体の耐久寿命を低下させてしまう。
【0013】
従って、本発明の目的は、複数の画像形成部で帯電補助部材への電圧印加手段を共通化した場合であっても、各画像形成部において帯電電圧の印加時間の増加による画像不良の発生を抑制することのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、回転可能な感光体と、前記感光体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電した前記感光体を露光して静電像を形成する露光手段と、前記感光体上に形成された静電像をトナーで現像する現像手段と、前記感光体上に形成されたトナー像を被転写体に転写させる転写手段と、前記感光体の回転方向において前記転写手段よりも下流側、且つ、前記帯電手段よりも上流側で前記感光体上のトナーを帯電させる帯電補助部材と、を有し、前記帯電補助部材で正規の帯電極性に帯電させたトナーを前記現像手段で回収する画像形成部を、前記被転写体の移動方向に沿って複数有する画像形成装置において、前記複数の画像形成部の前記帯電補助部材に電圧を印加する共通の電圧印加手段と、前記複数の画像形成部により画像を形成する際に、前記電圧印加手段による前記複数の画像形成部の前記帯電補助部材への電圧の印加を開始するにあたり、所定のタイミングで、印加する電圧の絶対値をより小さい第1の値からより大きい第2の値に切り替える制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の画像形成部で帯電補助部材への電圧印加手段を共通化した場合であっても、各画像形成部において帯電電圧の印加時間の増加による画像不良の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例に係る画像形成装置の構成の説明図である。
【図2】本発明の一実施例に係る画像形成部の構成の説明図である。
【図3】本発明の一実施例に係る画像形成装置の制御系のブロック図である。
【図4】比較例の帯電、露光、帯電補助の電圧印加シーケンスを示すチャート図である。
【図5】本発明の一実施例に従う帯電、露光、帯電補助の電圧印加シーケンスを示すチャート図である。
【図6】帯電補助電圧切り替えタイミングの条件を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。ただし、以下の実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施例に限定する趣旨のものではない。
【0018】
実施例1
1.画像形成装置
図1は、画像形成装置の構成の説明図である。図2は、画像形成部の構成の説明図である。
【0019】
図1に示すように、画像形成装置100は、中間転写ベルト90に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部PY、PM、PC、PKを配列したタンデム型中間転写方式のフルカラープリンタである。
【0020】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各画像形成部PY、PM、PC、PKでは、それぞれ感光ドラム1Y、1M、1C、1Kにイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が形成されて、各一次転写部N1で中間転写ベルト90に転写される。各色の画像形成部の上流の転写位置N1から下流の転写位置N1までの間の距離(以下、「転写ピッチ」ともいう。)は100mmである。
【0021】
4色のトナー像を重ねて形成されたフルカラーのトナー像は、中間転写ベルト90の回転に伴って二次転写部N2へ搬送されて、記録材Sに二次転写される。記録材カセット(図示せず)から取り出された記録材Sは、分離ローラ(図示せず)によって1枚ずつに分離してレジストローラ12へ搬送される。レジストローラ12は、中間転写ベルト90上のトナー像にタイミングを合わせて記録材Sを二次転写部N2へ送り出す。二次転写部N2でフルカラートナー像を二次転写された記録材Sは、定着装置14で加熱及び加圧を受けてその表面に画像が定着された後、装置本体の外部へ排出される。
【0022】
被転写体としての中間転写体である中間転写ベルト90は、駆動ローラ93、テンションローラ92、及び二次転写対向ローラ91に掛け渡して支持され、駆動ローラ93に駆動されて、図示矢印R2方向へ所定のプロセススピードで回転する。二次転写ローラ11は、二次転写対向ローラ91によって内側面を支持された中間転写ベルト90に圧接して二次転写部N2を形成する。
【0023】
ベルトクリーニング装置10は、中間転写ベルト90にクリーニングブレードを当接させて、記録材Sに転写されずに二次転写部N2を通過した中間転写ベルト90上の転写残トナーを除去して回収する。
【0024】
各画像形成部PY、PM、PC、PKは、それぞれの現像装置4Y、4M、4C、4Kで用いるトナーの色が異なる以外は、ほぼ同一の構成を有する。以下では、イエロー画像形成部PYについて説明し、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部PM、PC、PKについては、イエロー画像形成部PYの要素に付した符号の末尾のYをM、C、Kに読み替えて説明されるものとする。又、いずれかの画像形成部の要素であることを区別せずに総括的に説明する場合は、上記末尾のY、M、C、Kは省略する。
【0025】
2.画像形成部
図2に示すように、画像形成部PYは、感光ドラム1Yの周囲に、帯電ローラ2Y、露光装置3Y、現像装置4Y、一次転写ローラ9Y、帯電補助ブラシ7Yが配置されている。円筒形状の像担持体としての感光ドラム1Yは、直径30mmのアルミニウムシリンダの外周面に感光層が形成され、120mm/secのプロセススピードで回転する。
【0026】
帯電手段としての帯電ローラ2Yは、感光ドラム1Yに当接して従動回転する。そして、帯電ローラ2Yには、帯電電圧印加手段としての帯電高圧電源20Yから、直流電圧(帯電DC電圧)と交流電圧(帯電AC電圧)とを重畳した振動電圧である帯電電圧(帯電バイアス)が印加される。これにより、帯電ローラ2Yは、感光ドラム1Yの表面を一様な負極性の暗部電位VDに帯電させる。帯電ローラ2Yによる帯電位置は、一次転写位置N1Yからは、感光ドラム1Yの回転方向に40mmの作像距離(感光ドラム表面に沿った距離)がある。
【0027】
露光手段としての露光装置(レーザスキャナ)3Yは、イエロー画像を展開した画像信号をON/OFF変調したレーザビームを、回転ミラーで走査して、帯電した感光ドラム1Yに静電像(静電潜像)を書き込む。露光を受けた部分は、暗部電位VDが放電して明部電位VLに低下する。露光装置3Yによる露光位置は、一次転写位置N1Yからは、感光ドラム1Yの回転方向に45mmの作像距離がある。
【0028】
現像手段としての現像装置4Yは、トナーとキャリアを含む現像剤を用いて感光ドラム1Y上に形成された静電像を現像して、感光ドラム1Y上にトナー像を形成する。本実施例では、現像装置4Yは、現像剤としてトナー(非磁性トナー粒子)とキャリア(磁性キャリア粒子)とを備えた2成分現像剤を用いる。現像装置4Yは、現像剤を収容する現像容器の感光ドラム1Yに対向する開口部から一部が露出するようにして、現像剤担持体としての回転可能な現像スリーブ41を有する。この現像スリーブ41Y上に現像剤を担持して、感光ドラム1Yとの対向部である現像部(現像位置)に搬送し、現像剤中のトナーを感光ドラム1Y上に供給する。現像スリーブ41Yには、現像電圧印加手段としての現像高圧電源(図示せず)から直流電圧(現像DC電圧)と交流電圧(現像AC電圧)とが重畳された振動電圧である現像電圧(現像バイアス)が印加される。本実施例では、イメージ露光と反転現像の組み合わせにより、トナー像を形成する。即ち、一様に帯電された後に露光されることによって電位の絶対値が低下した露光部に、感光ドラム1Yの帯電極性(本実施例では負極性)と同極性(正規の帯電極性)に帯電したトナーを付着させることで、静電潜像を現像する。
【0029】
一次転写手段としての一次転写ローラ9Yは、中間転写ベルト90の内側面を押圧して、感光ドラム1Yと中間転写ベルト90との間に一次転写部N1Yを形成する。一次転写ローラ9Yには、転写電圧印加手段としての転写高圧電源95より、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の直流電圧(転写DC電圧)である転写電圧(転写バイアス)が印加される。これにより、感光ドラム1Yに担持された負極性のトナー像が中間転写ベルト90へ一次転写される。本実施例では、通常の画像形成時の転写電流は20μAに設定している。
【0030】
帯電補助部材(トナー帯電手段)としての帯電補助ブラシ7Yは、中間転写ベルト90に転写されずに一次転写部N1Yを通過した転写残トナーを、感光ドラム1Yの表面に拡散しつつ負極性の揃った電位に帯電させる。詳しくは後述するように、帯電補助ブラシ7Yには、帯電補助電圧印加手段としての帯電補助高圧電源8よりトナーの正規の帯電極性と同極性の直流電圧(帯電補助DC電圧)である帯電補助電圧(帯電補助バイアス)が印加される。転写残トナーは、負極性の揃った電位に帯電することで、帯電ローラ2Yに付着することなく現像装置4Yに到達する。そして、現像装置4Yにおける転写残トナーの回収、再利用が可能になる。このように、転写残トナーをクリーニングブレードなどで回収させないで現像装置で再利用するシステムを「クリーナレスシステム」と呼ぶ。帯電補助ブラシ7Yによる帯電補助位置は、一次転写位置N1Yからは、感光ドラム1Yの回転方向に30mmの作像距離がある。
【0031】
尚、便宜上、感光ドラム1の回転方向における帯電ローラ2と感光ドラム1との当接部の中央を帯電位置とする。又、感光ドラム1の回転方向における露光装置の光線の照射位置を露光位置とする。又、感光ドラム1の回転方向における中間転写ベルト90を介した一次転写ローラ9と感光ドラム1との当接部の中央を一次転写位置(転写位置)とする。又、感光ドラム1の回転方向における帯電補助ブラシ7と感光ドラムとの当接部の中央を帯電補助位置とする。
【0032】
3.制御部
図3に画像形成装置100の制御部のブロック図を示す。画像形成装置100の動作は、制御手段としてのCPU110が統括的に制御する。CPU110は、内蔵された又は接続された記憶手段(電子的なメモリなど)に格納されたプログラムやデータに従って、画像形成装置100の各部の動作を制御する。
【0033】
本実施例では、イエロー、マゼンタ、シアンの画像形成部PY、PM、PCの帯電補助電圧印加手段としての帯電補助高圧電源8を共通としている。これにより、高圧電源の省スペース化を図れ、独立に高圧電源を持つ場合よりコストダウンにつながる。ただし、電圧印加手段の共通化としては、トランスなどの部品を共通化することも有効である。
【0034】
又、本実施例では、カラー画像より白黒画像が多く形成されることが想定される。そのため、ブラック画像形成部PKの帯電補助ブラシ7Kについては、イエロー、マゼンタ、シアンの画像形成部PY、PM、PCとは別に、帯電補助高圧電源8Kを設けている。ただし、これに限定されるものではなく、例えば全ての画像形成部PY、PM、PC、PKで帯電補助高圧電源を共通としてもよい。
【0035】
4.画像形成の制御フロー
先ず、比較例の制御について説明する。その後、比較例の制御と対比させて本実施例の制御について説明する。
【0036】
4−1.タイミングチャートを用いた比較例の制御の説明
図4は、比較例の制御を説明するためのタイミングチャートである。例えば、ユーザーが直接操作するタッチパネルに該当する操作部120から画像形成信号(プリント開始信号)が入力されると、CPU110は次のように処理を開始していく。先ず、CPU110は、イエロー画像形成部PYの帯電ローラ2Yへの電圧印加、現像スリーブ41Yへの電圧印加、露光装置3Yの駆動、一次転写ローラ9Yへの電圧印加、帯電補助ブラシ7Yへの電圧印加を順次開始していく。
【0037】
重要であるため、図4に帯電ローラ2Yに印加する直流電圧(帯電DC)と露光装置3Yからの発光、帯電補助ブラシ7Yに印加する直流電圧(帯電補助DC)の印加のタイミングチャートを示す。図4中の点線は帯電ローラ2の位置にあった感光ドラム1の表面が露光装置3による露光位置、帯電補助ブラシ7Yの位置を通り過ぎるタイミングを示している。ただし、現像スリーブ4Y、一次転写ローラ9Yへの電圧印加タイミングは、帯電ローラ2Yへの電圧印加タイミングと近く、併記すると複雑になるため、省略した。
【0038】
CPU110は、感光ドラム1Yを駆動させ、帯電高圧電源20Yから帯電ローラ2Yに直流電圧−700Vを印加させる。又、CPU110は、帯電された感光ドラム1Yが現像部に来るタイミングにあわせて、図示していないが、現像スリーブ41Yに直流電圧−550Vを印加させ、感光ドラム1Yの電位と現像スリーブ41Yの電位との電位差Vbackを一定に保つように制御する。感光ドラム1Yの電位を安定させるため、少なくとも感光ドラム1Yを1周以上は帯電させる。ただし、できる限り帯電時間を増やしたくないため、最小限にとどめる。又、CPU110は、図示していないが、帯電された感光ドラム1Yが一次転写ローラ9Yの位置に来るタイミングで、一次転写ローラ9Yに20μAを流させる。トナーが乗せられていない感光ドラム1Yの表面において、一次転写後の感光ドラム1Yの電位はおおよそ−300V程度である。
【0039】
次に、CPU110は、帯電補助高圧電源8から帯電補助ブラシ7Yに直流電圧−900Vを印加させる。この電圧は、一次転写後の感光ドラム1Yの電位−300Vに対しても、帯電補助ブラシ7Yから感光ドラム1Yの方向に十分に放電している電圧である。転写残トナーを十分に再帯電させるためには、放電させることが必要不可欠である。
【0040】
帯電補助ブラシ7Yへの電圧印加タイミングBTは、以下の条件A、Bを満たす必要がある。
【0041】
条件Aとして、帯電された感光ドラム1Yの位置が帯電補助ブラシ7Yの位置に来るまでに、帯電補助ブラシ7Yに電圧を印加することが望ましい。より詳細には、帯電された後に一次転写ローラ9Yを通過した感光ドラム1Yの電位(−300V)の位置が帯電補助ブラシ7Yの位置に来るまでに、帯電補助ブラシ7Yに電圧を印加することが望ましい。これは一次転写ローラ9Yが転写させず、マイナス側に感光ドラム1Yが帯電してしまう場合も同様である。
【0042】
即ち、帯電された感光ドラム1Yの位置が帯電補助ブラシ7Yの位置に来た場合、帯電補助ブラシ7Yに帯電補助電圧が印加されていないと、帯電された感光ドラム1Yの電位(−300V)より帯電補助ブラシ7Yの電位(0V)が大きくなってしまう。そのため、帯電補助ブラシ7Yに付着していた正電荷を有するトナーが、帯電補助ブラシ7Yから感光ドラム1へ異常に吐き出されてしまい、感光ドラム1Yを経て、帯電ローラ2Yを汚染させてしまう。これにより、帯電ローラ2Yによる帯電不足による感光ドラム1Yへ電位不足やかぶりの画像不良になってしまう。
【0043】
又、条件Bとして、電圧が印加された帯電補助ブラシ7Yにより帯電された感光ドラム1Yの位置が帯電ローラ2Yの位置に来るまでに、帯電ローラ2Yに電圧を印加することが望ましい。
【0044】
即ち、帯電補助ブラシ7Yにより帯電された感光ドラム1Yの電位(−400V)が現像スリーブ41Yの位置に到達する。すると、現像位置での感光ドラム1Yの電位(暗部電位VD)と現像電位の差(Vback)が異常になり、キャリア付着やトナーのかぶりが起き、画像不良となってしまう。
【0045】
尚、キャリア付着とは、本来感光体に付着すべきではない現像剤のキャリアが感光体に付着してしまう現象である。又、かぶりとは、感光体上の本来トナーが付着すべきでない非画像領域にトナーが付着してしまう現象である。
【0046】
上述の条件A、Bを満たして帯電補助ブラシ7Yへ電圧を印加した後、感光ドラム1Yの電位が安定したら、CPU110は、露光装置3Yによる露光を開始させる。このタイミングを「画像形成開始」或いは「画像露光開始」と呼ぶ。CPU110から露光装置3Yへ命令を出し、画像信号に応じた露光を行っていく。
【0047】
イエロー画像形成部PYと同様に、マゼンタ画像形成部PMのタイミングチャートを説明する。中間転写ベルト90上でイエロー、マゼンタ、シアンのトナー像を一致させるために、画像形成タイミングは、隣接する画像形成部の感光ドラム間の距離によって決まる。又、帯電補助ブラシ7Mへの電圧印加タイミングBTや電圧値は、イエロー、マゼンタ、シアンの画像形成部PY、PM、PCで共通であるため、イエロー画像形成部PYに対するものによって決まっている。
【0048】
そのため、マゼンタ画像形成部PMにおいて帯電補助ブラシ7Mの電圧印加タイミングの条件A、Bを満たすためには、帯電ローラ2Mへの電圧印加タイミングを理想より早めなければならない。ここで、理想とは、イエロー画像形成部PYの帯電ローラ2Yへの電圧印加タイミングから、画像形成部の隣接する「感光ドラム間距離」÷「プロセスピード」で決まる時間分を加えたタイミングである。これにより、「隣接する感光ドラム間距離」÷「プロセスピード」分の無駄に増加した帯電時間NTが増えてしまっている。
【0049】
又、帯電時間と同様に、基準となるイエロー画像形成部PYの下流に配置されたマゼンタ画像形成部PMの現像スリーブ41Mへの電圧印加タイミングも早まる。
【0050】
そのため、現像剤の劣化が促進することで、感光ドラムの削れやフィルミングが悪化してしまい、感光ドラムの短寿命化につながる。画像形成装置100がプロセスカートリッジ方式である場合は、プロセスカートリッジの短寿命化にもつながる。尚、プロセスカートリッジとは、感光体と、感光体に作用するプロセス手段としての帯電手段、現像手段、クリーニング手段(或いは帯電補助手段)の少なくとも1つとを一体的にカートリッジ化して画像形成装置の装置本体に着脱可能としたものである。
【0051】
同様に、シアン画像形成部PCにおいては、画像形成部2つ分の帯電時間NTが増えてしまっている。従来、クリーナレスシステムは、最下流側の画像形成部ほど、再転写残トナー(転写位置で被転転写体から感光体に再転写したトナー)の影響を大きく受けることが知られている。そのため、無駄に増加した帯電時間NTの影響はより厳しい方向になる。
【0052】
このように、最下流側の画像形成部では、帯電部材に対して、最上流側の帯電印加タイミングにならって電圧の印加を始めることになる。その結果、最下流側の画像形成部になればなるほど、感光体の削れやトナーの融着(フィルミング)を悪化させ、縦スジ上状の画像不良につながり、感光体の耐久寿命を低下させてしまう。
【0053】
4−2.タイミングチャートを用いた本実施例の制御の説明
次に、複数の帯電補助部材に電圧を印加する電源が共通である本実施例の構成おいて、上記課題を解決する制御について説明する。図5は、本件制御を説明するためのタイミングチャートである。
【0054】
本実施例によれば、上述のような無駄な帯電時間を無くすか又は可及的に少なくするために、帯電補助ブラシへ印加する電圧の値を2段階に変更する。
【0055】
図5を参照して、本実施例における帯電DC、露光、帯電補助DCの印加タイミングを説明する。図5中の点線は、図4と同様、帯電ローラ2の位置にあった感光ドラム1の表面が露光装置3による露光位置、帯電補助ブラシ7Yの位置を通り過ぎるタイミングを示している。尚、図4に示す比較例の制御と同様の部分については説明を省略する。
【0056】
先ず、イエロー画像形成部PYについて、CPU110は、帯電補助高圧電源8から帯電補助ブラシ7Yに、1段階目の帯電補助電圧として−400Vを印加させる。この電圧は、一次転写ローラ9Yを通過した後の感光ドラム1Yの電位−300Vに対しても、帯電補助ブラシ7Yから感光ドラム1Yの方向に放電していない電圧である。又、帯電補助ブラシ7への電圧印加タイミングBTは、上述の条件A、Bを満たしている。即ち、1段階目の帯電補助電圧の値(第1の値)は帯電補助部材と感光体との電位差が放電開始電圧より小さくなる値であり、2段階目の帯電補助電圧の値(第2の値)は帯電補助部材と感光体との電位差が放電開始電圧より大きくなる値である。
【0057】
イエロー画像形成部PYと同様に、CPU110は、マゼンタ画像形成部PMについても電圧印加を行っていく。マゼンタ画像形成部PMにおける帯電ローラ2Mへの電圧印加タイミングは、従来の制御とは異なり、「隣接する感光ドラム間距離」÷「プロセススピード」の無駄が無いか又は可及的に少ない最適な条件とする。帯電補助ブラシ7Mへの電圧印加タイミングBTは、イエロー画像形成部PYに対するものによって決まる。これにより、上述の条件A、Bを満たすことができる。
【0058】
ここで、従来の制御と異なる本実施例の制御が、上述の条件Bを満たすことができることに関して説明する。
【0059】
帯電補助ブラシ7Mは、帯電ローラ2Mより前に電圧が印加されている。しかし、感光ドラム1Mの電位(0V)に対して、帯電補助ブラシ7Mに印加される1段階目の帯電補助電圧は−400Vであるため、感光ドラム1Mの電位をほとんど変えない。放電しないためである。そのため、帯電補助ブラシ7Mの位置を通過した感光ドラム1Mの位置が現像位置に到達しても、十分にVbackを保つことができるため、条件Bを満たすことができる。
【0060】
又、帯電補助電圧の1段階目の印加タイミングBTから2段階目の印加タイミングBT2までの間において、帯電ローラ2Mに電圧が印加され帯電された感光ドラム1Mが一次転写位置N1を通過する。そして、一次転写位置N1Mを通過した後の感光ドラム1Mの電位は−300V程度である。この場合、帯電補助ブラシ2Mと感光ドラム1Mとの電位差をつけるため、転写電圧を画像形成時よりも大きくして、例えば転写電流が24μAになるようにすることができる。これにより、一次転写位置N1Mを通過した後の感光ドラム1の電位が−200Vになり、帯電補助ブラシ2Mと感光ドラム1Mとの間の電位差を大きくすることができる。そのため正極性のトナーが帯電補助ブラシ2Mから感光ドラム1Mに転移し難くすることができるためより好ましい。即ち、1段階目(第1の値)の帯電補助電圧が印加されている間に帯電補助部材に到達する感光体の位置であって、電圧が印加された帯電手段を通過した位置が転写手段を通過する際には、転写手段に画像形成時と同極性で絶対値が大きな電圧を印加するのがよい。
【0061】
同様に、シアン画像形成部PCにおいても、帯電ローラ2Cへの電圧印加タイミングは、従来の制御とは異なり、「隣接する感光ドラム間距離」÷「プロセススピード」の2倍の無駄が無いか又は可及的に少ない最適な条件とする。帯電補助ブラシ7Cへの電圧印加タイミングBTは、イエロー画像形成部PYに対するものによって決まる。マゼンタ画像形成部PMと同様、これにより上述の条件A、Bを満たすことができる。
【0062】
次に、帯電補助電圧の値を切り替えるタイミングBT2について説明する。
【0063】
タイミングBT2の後は、転写残トナーを再帯電させるため、帯電補助高圧電源8から帯電補助ブラシ7Y、7M、7Cには−900Vを印加する。一次転写位置N1を通過した後の感光ドラム1の電位−300Vに対しても、帯電補助ブラシ7から感光ドラム1の方向に十分に放電している電圧である。
【0064】
タイミングBT2は、イエロー画像形成部PYにおいて画像形成開始し、その転写残トナーが帯電補助ブラシ7Yの位置に来るまでの時間より早いタイミングで、帯電補助ブラシ7から感光ドラム1の方向に十分に放電しているように設定する。これにより、転写残トナーを十分に再帯電させ、現像スリーブ4Yへの回収性を向上させるためである。
【0065】
又、タイミングBT2は、電源を共通化した画像形成部のうち最下流側の画像形成部であるシアン画像形成部PCにおいて、次のようになるように設定する。即ち、シアン画像形成部PCにおいて、電圧が印加された帯電補助ブラシ7Cの位置を通過した感光ドラム1Cの位置が帯電ローラ2Cに来るまでに、帯電ローラ2Cに電圧を印加するタイミングである(条件B)。
【0066】
このように、本実施例の画像形成装置100は、被転写体90の移動方向に沿って画像形成部を複数有する。各画像形成部PY、PM、PCは、回転可能な感光体1と、感光体の表面を帯電させる帯電手段2と、帯電した感光体を露光して静電像を形成する露光手段3と、感光体上に形成された静電像をトナーで現像する現像手段14と、を有する。又、各画像形成部は、感光体上に形成されたトナー像を被転写体90に転写させる転写手段9と、感光体の回転方向において転写手段9よりも下流側、且つ、帯電手段2よりも上流側で感光体上のトナーを帯電させる帯電補助部材7と、を有する。これら、各画像形成部は、帯電補助部材7で正規の帯電極性に帯電させたトナーを現像手段14で回収する。そして、本実施例では、画像形成装置100は更に、複数の画像形成部PY、PM、PCの帯電補助部材7に電圧を印加する共通の電圧印加手段8と、複数の画像形成部PY、PM、PCにより画像を形成する際に次のような制御を行う制御手段110と、を有する。即ち、制御手段110は、上記電圧印加手段8による複数の画像形成部の帯電補助部材への電圧の印加を開始するにあたり、所定のタイミングBT2で、印加する電圧の絶対値をより小さい第1の値からより大きい第2の値に切り替える。
【0067】
特に、複数の画像形成部のうち被転写体の移動方向における最下流の画像形成部PCにおいて、上記第2の値の電圧に切り替えた後に帯電補助部材7を通過した感光体の位置が帯電手段2に到達するまでに帯電手段2への電圧の印加が開始されるようにする。又、複数の画像形成部のうち同方向における最上流の画像形成部PYにおいて、感光体上の露光装置による画像形成開始位置が帯電補助部材に到達するまでに、上記電圧印加手段8により印加する電圧の値が第1の値から前記第2の値に切り替えられるようにする。
【0068】
以上のように、帯電補助電圧の値を2段階で立ち上げることで、無駄な帯電時間NTを無くすか可及的に(十分に)少なくしつつ、上記条件A、Bを満たす適当な電圧印加のタイミングとすることができる。
【0069】
ここで、このような条件を満たすタイミングBT2一般式を図6に示す。
【0070】
図6において、nは帯電補助部材に電圧を印加する電圧印加手段を共通化した画像形成部の個数である。又、rは感光ドラムの半径である。又、Bは感光ドラムの回転方向に沿う転写位置から帯電補助位置までの距離である。尚、n番目の画像形成部におけるBをBnと表す(B1、B2・・・等)。又、Cは感光ドラムの回転方向に沿う転写位置から帯電位置までの距離である。尚、n番目の画像形成部におけるCをCnと表す(C1、C2・・・等)。又、Lは感光ドラムの回転方向に沿う転写位置から露光位置までの距離である。尚、n番目の画像形成部におけるLをLnと表す(L1、L2・・・等)。又、Kは隣接する画像形成部間の距離(感光ドラム中心間距離)である。又、Pはプロセススピード(感光ドラムの周速度)である。又、xは画像露光開始時間(画像形成開始時間)であり、最上流側の帯電印加時間を0としている。本実施例においてもこの図6の条件を満たしている。
【0071】
図6に示す式の左辺は、n番目の画像形成部における帯電電圧がオンされてから、その位置に対応する感光ドラム1がn番目の画像形成部における帯電補助ブラシ7を通過するまでに、帯電補助ブラシ7による放電が開始されることが望ましいことを意味している。そこで、最上流側の1番目の画像形成部の帯電電圧をオン(0点としている)してから、n番目の画像形成部の帯電電圧をオンするまでの時間は、(n−1)K/Pで表される。n番目の画像形成部の帯電電圧のオンからn番目の画像形成部内の帯電補助ブラシ7までの時間は(Cn−Bn)/Pで表される。これより、帯電補助ブラシ7の2段目の切り替え時間BT2は、(n−1)K/P−(Cn−Bn)/Pより大きい必要がある。
【0072】
一方、図6に示す式の右辺は、最上流側である1番目の画像形成部で転写残トナーが帯電補助ブラシ7の位置に来るまでに、帯電補助ブラシ7による放電を開始することが望ましいことを意味している。そこで、最上流である1番目の画像形成部における画像形成開始時間はxである。又、最上流である1番目の画像形成部における画像形成されたもの(転写残トナー)が帯電補助ブラシ7に到達するまでにかかる時間は(2πr−L1+B1)/Pである。これにより、帯電補助ブラシ7の2段目の切り替え時間BT2は、x+(2πr−L1+B1)/Pより小さい必要がある。
【0073】
一例として、この式に本実施例の構成を当てはめた場合の算出結果を示すと次の通りである。本実施例では、r=15mm、B=30mm、C=40mm、L=45mm、K=100mm、P=120mm/sec、x=1.178secとした場合、左辺は1.58、右辺は1.83となる。そのため、本実施例では、BT=0.7sec、BT2=1.7secである。
【0074】
5.本実施例の効果確認の実験
次に、実施例の効果を確認した実験の結果について説明する。検証条件1は、比較例として、上述の比較例の制御のように無駄に増加した帯電時間NTがある構成とした。又、検証条件2は、本実施例のタイミングBT2で帯電補助電圧を切り替える構成とした。そして、それぞれの検証条件において、5%画像比率で2枚ずつA4用紙に画像を形成する耐久試験を行い、縦スジの不良画像が出るまでの画像形成枚数を各色で比較し、効果確認を行った。結果を表1に示す。
【0075】
【表1】

【0076】
表1より、比較例のイエロー画像形成PYは38000枚近くまで不良画像が発生しなかった。それに対して実施例のイエロー画像形成部PYは41000まで不良画像が発生しなかった。これは、BTからBT2の間の帯電補助ブラシ7Yの放電が抑えられトナーの感光ドラムへの融着が減ったためである。ここで、感光ドラムへの融着とは、感光ドラムにトナーや感光ドラムの削れ粉が溶けて付着した状態を差し、良好な静電潜像の形成が妨げられ画像不良となる。
【0077】
比較例のマゼンタ画像形成部PMは36000枚近くまで不良画像が発生しなかった。それに対して実施例のマゼンタ画像形成部PMは40000まで不良画像が発生しなかった。比較例に比べて本実施例では、無駄な帯電印加時間NTが約1割程度少なくなり、又、BTからBT2の間の帯電補助ブラシ7Mの放電が抑えられ、トナーの感光ドラムへの融着が減ったためである。
【0078】
比較例のシアン画像形成部PCは26000枚近くまで不良画像が発生しなかった。それに対して実施例のシアン画像形成部PCは38000まで不良画像が発生しなかった。比較例に比べて本実施例では無駄な帯電印加時間NTが約3割程度少なくなり、又、BTからBT2の間の帯電補助ブラシ7Cの放電が抑えられトナーの感光ドラムへの融着が減ったためである。
【0079】
又、最下流側の画像形成部ほど、再転写残トナーの影響を受けやすいため、トナーによってフィルミングが起きやすくなっている。そのため、本実施例における大幅な帯電時間NTの削減はより効果が大きいことが分かる。
【0080】
尚、4色の画像形成部で帯電補助ブラシ7の高圧電源8を共通化した場合は、最下流側の画像形成部ほどトナーフィルミングへの影響が大きくなる。従って、比較例での「画像形成部の感光ドラム間距離」÷「プロセスピード」分の無駄に増加した帯電時間NTが、より増加する。そのため、本実施例の制御を用いると、帯電時間を大幅に減らすことができるため、フィルミングに対する効果が大きくなる。
【0081】
以上にように、複数の画像形成部で帯電補助部材への電圧印加手段を共通化した場合であっても、各画像形成部において帯電電圧の印加時間の増加による画像不良の発生を抑制することができる。従って、高圧電源の省スペース化を図れ、独立に高圧電源を持つ場合よりコストダウンしながらも、画像不良を防止しつつ、感光体の耐久寿命を向上させることができる。
【0082】
尚、上述の実施例では、画像形成部PY、PM、PCで帯電補助高圧電源を共通としたが、これに限定されるものではない。少なくとも2つの画像形成部を有し、少なくとも2つの画像形成部において帯電補助高圧電源を共通とする場合には、本発明は有効に作用する。
【符号の説明】
【0083】
1 感光ドラム
2 帯電ローラ
3 露光装置
7 帯電補助ブラシ
8 帯電補助部材の共通高圧電源
110 CPU(制御手段)
BT 帯電補助ブラシへの印加タイミング
BT2 帯電補助ブラシの高圧値を切り替えるタイミング
NT 理想より増えてしまう帯電時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な感光体と、前記感光体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電した前記感光体を露光して静電像を形成する露光手段と、前記感光体上に形成された静電像をトナーで現像する現像手段と、前記感光体上に形成されたトナー像を被転写体に転写させる転写手段と、前記感光体の回転方向において前記転写手段よりも下流側、且つ、前記帯電手段よりも上流側で前記感光体上のトナーを帯電させる帯電補助部材と、を有し、前記帯電補助部材で正規の帯電極性に帯電させたトナーを前記現像手段で回収する画像形成部を、前記被転写体の移動方向に沿って複数有する画像形成装置において、
前記複数の画像形成部の前記帯電補助部材に電圧を印加する共通の電圧印加手段と、
前記複数の画像形成部により画像を形成する際に、前記電圧印加手段による前記複数の画像形成部の前記帯電補助部材への電圧の印加を開始するにあたり、所定のタイミングで、印加する電圧の絶対値をより小さい第1の値からより大きい第2の値に切り替える制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記複数の画像形成部のうち前記被転写体の移動方向における最下流の画像形成部において、前記第2の値の電圧に切り替えた後に前記帯電補助部材を通過した感光体の位置が前記帯電手段に到達するまでに前記帯電手段への電圧の印加が開始されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数の画像形成部のうち前記被転写体の移動方向における最上流の画像形成部において、前記感光体上の前記露光装置による画像形成開始位置が前記帯電補助部材に到達するまでに、前記電圧印加手段により印加される電圧の値が前記第1の値から前記第2の値に切り替えられることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の値は前記帯電補助部材と前記感光体との電位差が放電開始電圧より小さくなる値であり、前記第2の値は前記帯電補助部材と前記感光体との電位差が放電開始電圧より大きくなる値であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の値の電圧が印加されている間に前記帯電補助部材に到達する前記感光体の位置であって、電圧が印加された前記帯電手段を通過した位置が前記転写手段を通過する際には、前記転写手段に画像形成時と同極性で絶対値が大きな電圧が印加されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−101276(P2013−101276A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245895(P2011−245895)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】