画像形成装置
【課題】空冷よりも温度上昇を良好に抑制することができ、複数の温度上昇箇所それぞれに搬送手段と冷却手段とを備えた冷却装置を設けるものに比べて、安価で複数の温度上昇箇所の温度を抑制することができ、かつ、ひとつの冷却手段で複数の温度上昇箇所を抑制するものに比べて冷却手段の大型化や騒音を抑制することができる冷却装置、画像形成装置および冷却方法を提供する。
【解決手段】画像形成装置内の複数の温度上昇箇所であるY,M,C,K用の現像装置にそれぞれ設けられ、冷却液が現像装置の熱を受ける受熱部と、各受熱部にそれぞれ対応する複数の冷却手段とを有している。冷却液を内包する冷却管は、受熱部と冷却手段とを直列に連結している。
【解決手段】画像形成装置内の複数の温度上昇箇所であるY,M,C,K用の現像装置にそれぞれ設けられ、冷却液が現像装置の熱を受ける受熱部と、各受熱部にそれぞれ対応する複数の冷却手段とを有している。冷却液を内包する冷却管は、受熱部と冷却手段とを直列に連結している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、装置内に設けられた書込装置、定着装置及び現像装置、像担持体などを回転駆動させる駆動モータなどの様々な箇所で発熱し、装置内を温度上昇させることが知られている。
【0003】
例えば、現像装置においては、現像装置内の現像剤を攪拌搬送する現像剤攪拌搬送部材を駆動した際に、現像剤攪拌搬送部材と現像剤との摺擦による摩擦熱や、現像剤同士の摺擦による摩擦熱により装置内を温度上昇させる。また、現像剤を現像領域に搬送する前に現像剤担持体上に担持されている現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材と現像剤との摺擦による摩擦熱や、現像剤規制部材による規制の際の現像剤同士の摺擦による摩擦熱により装置内を温度上昇させる。
【0004】
装置内の温度が上昇すると、トナーの帯電量が低下してトナー付着量が増加し、所定の画像濃度が得られなくなる。また、温度上昇によりトナーが溶融して現像剤規制部材や現像剤担持体、像担持体などに固着し、画像にスジ状の異常画像などが生じるおそれがある。特に、近年、定着エネルギーを小さくするために溶融温度の低いトナーを用いた場合は、トナーの固着による異常画像などが生じやすい。
【0005】
そのため、従来においては冷却ファンなどによって装置内部の温度上昇箇所周辺に気流を発生させ温度上昇箇所を空冷し、装置内部の温度が過度に上昇するのを抑制している。しかし、24時間連続稼動するなど装置の使用条件においては、上記冷却ファンによる空冷では、装置内部の温度上昇を十分に抑制することができなかった。
【0006】
特許文献1、2には、液体を循環させて温度上昇箇所を冷却する液冷方式を用いた画像形成装置が記載されている。液冷方式は、空冷方式よりも効率良く冷却できるため、装置内部の温度上昇を効率よく抑制することができ、24時間連続稼動するなど使用条件においても装置内部の温度上昇を良好に抑制することができる。
【0007】
図15は、液冷方式の冷却装置の概略図である。
図に示すように、液冷方式の冷却装置は、冷却液を内包する冷却管83と、ラジエータ81aと冷却ファン81bとで構成され冷却管内の冷却液を冷却する冷却手段81と、装置の温度上昇箇所300に設けられ、冷却液が温度上昇箇所300の熱を奪う受熱部82と、冷却管内の冷却液を冷却手段81と受熱部82との間で循環させるための搬送手段たるポンプ84とを備えている。冷却手段81で冷却された冷却管内の冷却液が受熱部82へ流れ、温度上昇箇所300の熱を奪って温度上昇箇所300を冷却する。受熱部82で加熱された冷却管内の冷却液は、ラジエータ81aへ流れ、冷却液の熱が冷却ファン81bによって放熱されて冷却される。そして、冷却された冷却管内の液体は、再びポンプ84によって受熱部へ向けて送られる。
【0008】
装置内の複数の温度上昇箇所それぞれに図15に示すような冷却装置を設けると、コストが嵩むため、特許文献1や2に記載の画像形成装置においては、複数の温度上昇箇所に対応して設けられた複数の受熱部を並列に連結させたり、直列に連結させたりして、ひとつの冷却手段とで装置内の冷却対象の温度上昇箇所を冷却するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、複数の受熱部を並列に連結した場合、管路が分岐するため、各受熱部に流れる冷却液の流量が低下して、温度上昇箇所の冷却効率が下がってしまう。これは、冷却液の流量が少ないため、少ない熱量で冷却液が温度上昇箇所の温度付近にまで温度上昇してしまう。その結果、温度上昇箇所の熱を十分に奪うことができなくなり、冷却効率が下がるのである。このため、各受熱部に流れる冷却液の温度を、流量の低下による冷却効率の低下を加味して下げる必要がある。冷却手段に流れる冷却液の流量は、各受熱部に流れる冷却液の流量よりも多いので、冷却液が冷えにくい。よって、冷却手段で冷却効率を必要以上に高めなければ、各受熱部に流れる冷却液の温度を、流量の低下による冷却効率の低下を加味した温度にまで下げることができない。このように、冷却手段の冷却効率を必要以上に高める必要があるため、冷却ファンの回転数を上げることになり冷却ファンの風切り音が大きくなって、騒音となる問題がある。また、冷却液の冷却効率を高めるために、ラジエータの放熱面積を広くする必要があり、ラジエータが大型化してしまう。
【0010】
一方、複数の受熱部を直列に連結した場合は、受熱部を通過する度に冷却液の温度が上昇する。このため、全ての温度上昇箇所を所定の温度以下に抑えるためには、冷却手段を基点にして最下流の受熱部に流れる冷却液を、この受熱部に設けられた温度上昇箇所の温度上昇を抑えることのできる温度にする必要がある。このためには、この最下流の受熱部よりも上流側の受熱部による冷却液の温度上昇を考慮し、冷却手段から流出する冷却液の温度をかなり低くする必要があり、冷却手段から流出する冷却液の温度と、複数の受熱部を通って冷却手段に戻ってきた冷却液の温度との差が大きくなる。その結果、冷却手段の冷却液の冷却効率を高める必要が生じ、冷却ファンの回転数を上げることになり冷却ファンの風切り音が大きくなって、騒音となる問題がある。また、ラジエータの冷却液の冷却効率を高めるために、ラジエータの放熱面積を広くする必要があり、ラジエータが大型化してしまう。
【0011】
このように、複数の受熱部を直列配置した場合も並列配置した場合においても、一つの冷却手段で、装置内の冷却対象全ての温度上昇箇所の温度上昇を抑制するためには、冷却手段の冷却効率を高める必要が生じ、冷却ファンの風切り音による騒音が大きくなったり、冷却手段が大型化したりする問題が発生する。
【0012】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、空冷よりも温度上昇を良好に抑制することができ、複数の温度上昇箇所それぞれに搬送手段と冷却手段とを備えた冷却装置を設けるものに比べて、安価で複数の温度上昇箇所の温度を抑制することができ、かつ、ひとつの冷却手段で複数の温度上昇箇所を抑制するものに比べて冷却手段の大型化や騒音を抑制することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数の被冷却部を冷却するための冷却液を冷却する冷却手段と、各被冷却部にそれぞれ設けられ、前記冷却液が被冷却部の熱を受ける複数の受熱部と、冷却液を内包し、複数の受熱部を並列または直列に連結し、内包した冷却液が前記受熱部と前記冷却手段とを循環するように配管された冷却管と、前記冷却管内の冷却液を各受熱部へ搬送するための搬送手段とを備えた画像形成装置において、前記冷却手段を複数有し、各冷却手段を、少なくとも一つの前記被冷却部に対応させ、当該画像形成装置の稼働状態に基づいて各冷却手段を制御する制御手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記被冷却部の稼動開始と稼働後所定時間後とで、前記冷却手段の冷却効率を異ならせることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2記載の画像形成装置において、複数の前記受熱部および複数の前記冷却手段を直列に連結し、少なくとも一つの前記被冷却部の温度が閾値よりも高くなった場合、当該被冷却部よりも冷却液搬送方向における上流側の被冷却部の冷却効率をあげることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1に記載の画像形成装置において、モノクロ画像形成のときは、カラー画像形成のときよりも前記冷却手段の冷却効率を下げることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の被冷却部の温度上昇を液冷方式で抑えることで、被冷却部の温度上昇を空冷で抑制するものに比べて、被冷却部の温度上昇を良好に抑制することができる。
また、冷却管は、冷却液が複数の受熱部を循環するように配管されているので、ひとつの搬送手段で冷却液を各受熱部に流すことができる。よって、複数の被冷却部それぞれに図15に示すような冷却装置を設けたものに比べて、搬送手段を減らすことでき、装置のコストを低減することができる。
また、冷却手段を複数設け、各冷却手段を、少なくとも一つの被冷却部に対応させ、当該画像形成装置の稼働状態に基づいて被冷却部の温度上昇を対応する冷却手段で抑えるよう構成したので、ひとつの冷却手段で全ての被冷却部の温度上昇を抑制するものに比べて、ひとつの冷却手段が温度上昇を抑制する被冷却部の個数を減らすことができる。このように、ひとつの冷却手段が温度上昇を抑制する被冷却部の個数を少なくすることができるので、それぞれの冷却手段の冷却効率は低くても、全ての被冷却部の温度上昇を良好に抑制することができる。その結果、ひとつの冷却手段で全ての被冷却部に対応させたものに比べて、冷却手段の放熱面積が大きくなく冷却効率のあまり高くない小型の冷却手段を用いることができ、画像形成装置を小型化することが可能となる。また、冷却手段が冷却ファンを有する場合は、ひとつの冷却手段で全ての被冷却部を冷却するように構成したものに比べて、冷却ファンの回転数を抑えることができ、冷却ファンの風切り音による騒音を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に係る複写機を示す概略構成図。
【図2】同複写機におけるプリンタ部の内部構成の一部を拡大して示す部分拡大構成図。
【図3】同プリンタ部におけるY用のプロセスユニットを示す拡大構成図。
【図4】実施例1に係る冷却装置を示す概略構成図。
【図5】受熱部の概略構成図。
【図6】現像装置に受熱部を固定した様子を示す概略斜視図。
【図7】実施例1に係る冷却装置の他の構成を示す概略構成図。
【図8】一般的なラジエータにおける空気流量と熱抵抗との関係を示すグラフ。
【図9】実施例2に係る冷却装置の制御フロー図。
【図10】実施例2に係る冷却装置の他の構成例を示す概略構成図。
【図11】実施例3に係る冷却装置のフルカラー画像形成時における各冷却手段の冷却ファンの制御シーケンス図。
【図12】実施例3に係る冷却装置のモノクロ画像形成時における各冷却手段の冷却ファンの制御シーケンス図。
【図13】実施例4に係る冷却装置の概略構成図。
【図14】冷却装置のその他の実施形態を示す概略構成図。
【図15】液冷方式の冷却装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式によって画像を形成する複写機の第1実施形態について説明する。
まず、本第1実施形態に係る複写機の基本的な構成について説明する。図1は、本第1実施形態に係る複写機を示す概略構成図である。この複写機は、プリンタ部1と、白紙供給装置100と、原稿搬送読取ユニット150とを備えている。原稿搬送読取ユニット150は、プリンタ部1の上に固定された原稿読取装置たるスキャナ160と、これに支持される原稿搬送装置たるADF170とを有している。
【0017】
白紙供給装置100は、ペーパーバンク101内に多段に配設された2つの給紙カセット102,103、2組の分離ローラ対104,105、給紙路106、複数の搬送ローラ対107等を有している。2つの給紙カセット102,103は、それぞれ、図示しない記録紙を複数枚重ねた紙束の状態で内部に収容している。そして、プリンタ部1からの制御信号に基づいて、送出ローラ102a,103aを回転駆動させて、紙束における一番上の記録紙を給紙路106に向けて送り出す。送り出された記録紙は、分離ローラ対104,105によって1枚に分離されてから、給紙路106内に至る。そして、給紙路106内に設けられた複数の搬送ローラ対107の搬送ニップを経由して、プリンタ部1の第1受入分岐路30に送られる。
【0018】
プリンタ部1は、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)のトナー像を形成するための4つのプロセスユニット2Y,M,C,Kを備えている。また、第1受入分岐路30、受入搬送ローラ対31、手差しトレイ32、手差し分離ローラ対33、第2受入分岐路34、手差し搬送ローラ対35、転写前搬送路36、レジストローラ対37、搬送ベルトユニット39、定着ユニット43、スイッチバック装置46、排紙ローラ対47、排紙トレイ48、切換爪49、光書込ユニット50、転写ユニット60等も備えている。なお、プロセスユニット2Y,M,C,Kは、所定のピッチで並ぶ潜像担持体たるドラム状の感光体3Y,M,C,Kを有している。
【0019】
後述する2次転写ニップの直前で記録紙を搬送するための転写前搬送路36は、紙搬送方向の上流側で第1受入分岐路30と第2受入分岐路34とに分岐している。白紙供給装置100の給紙路106から送り出された記録紙は、第1受入分岐路30に受け入れられた後、第1受入分岐路30内に配設された受入搬送ローラ対31の搬送ニップを経由して転写前搬送路36に送られる。
【0020】
プリンタ部1の筺体における側面には、手差しトレイ32が筺体に対して開閉可能に配設されており、筺体に対して開いた状態でトレイ上面に紙束が手差しされる。手差しされた紙束における一番上の記録紙は、手差しトレイ32の送出ローラ32aによって第2受入分岐路34に向けて送り出される。そして、手差し分離ローラ対33によって1枚に分離されてから第2受入分岐路34に送られた後、第2受入分岐路34内に配設された手差し搬送ローラ対35の搬送ニップを経由して、転写前搬送路36に送られる。
【0021】
光書込ユニット50は、図示しないレーザーダイオード、ポリゴンミラー、各種レンズなどを有しており、後述するスキャナ160によって読み取られた画像情報や、外部のパーソナルコンピュータから送られている画像情報に基づいて、レーザーダイオードを駆動する。そして、プロセスユニット2Y,M,C,Kの感光体3Y,M,C,Kを光走査する。具体的には、プロセスユニット2Y,M,C,Kの感光体3Y,M,C,Kは、図示しない駆動手段によってそれぞれ図中反時計回り方向に回転駆動せしめられる。光書込ユニット50は、駆動中の感光体3Y,M,C,Kに対して、レーザー光をそれぞれ回転軸線方向に偏向せしめながら照射することで、光走査処理を行う。これにより、感光体3Y,M,C,Kには、Y,M,C,K画像情報に基づいた静電潜像が形成される。
【0022】
図2は、プリンタ部1の内部構成の一部を拡大して示す部分拡大構成図である。各色のプロセスユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ、潜像担持体たる感光体と、その周囲に配設される各種装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、プリンタ部本体に対して着脱可能になっている。そして、互いに使用するトナーの色が異なる点の他が同様の構成になっている。Y用のプロセスユニット2Yを例にすると、これは、感光体3Yの他、これの表面に形成された静電潜像をYトナー像に現像するための現像装置4Yを有している。また、後述するY用の1次転写ニップを通過した後の感光体3Y表面に付着している転写残トナーをクリーニングするドラムクリーニング装置18Yなども有している。本複写機では、4つのプロセスユニット2Y,M,C,Kを、後述する中間転写ベルト61に対してその無端移動方向に沿って並べたいわゆるタンデム型の構成になっている。
【0023】
図3は、Y用のプロセスユニット2Yを示す拡大構成図である。同図に示すように、プロセスユニット2Yは、感光体3Yの周りに、現像装置4Y、ドラムクリーニング装置18Y、除電ランプ17Y、帯電ローラ16Y等を有している。
【0024】
感光体3Yとしては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いても良い。
【0025】
現像装置4Yは、図示しない磁性キャリアと非磁性のYトナーとを含有する二成分現像剤(以下、単に現像剤という)を用いて潜像を現像するようになっている。そして、内部に収容している現像剤を攪拌しながら搬送する攪拌部5Yと、感光体3Y上の静電潜像を現像する現像部9Yとを有している。なお、現像装置4Yとして、二成分現像剤の代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤によって現像を行うタイプのものを使用していもよい。
【0026】
攪拌部5Yは、現像部9Yよりも低い位置に設けられており、互いに平行配設された第1搬送スクリュウ6Y及び第2搬送スクリュウ7Y、これらスクリュウの間に設けられた仕切り板、ケーシングの底面に設けられたトナー濃度センサ8Yなどを有している。
【0027】
現像部9Yは、ケーシングの開口を通して感光体3Yに対向する現像ロール10Y、これに対して自らの先端を近接させるドクターブレード13Yなどを備えている。そして、現像ロール10Yは、非磁性材料からなる筒状の現像スリーブ11Yと、これの内部に回転不能に設けられたマグネットローラ12Yとを有している。このマグネットローラ12Yは、周方向に並ぶ複数の磁極を有している。これら磁極は、それぞれスリーブ上の現像剤に対して回転方向の所定位置で磁力を作用させる。これにより、攪拌部5Yから送られてくる現像剤を現像スリーブ11Y表面に引き寄せて担持させるとともに、磁力線に沿った磁気ブラシをスリーブ表面上に形成する。
【0028】
磁気ブラシは、現像スリーブ11Yの回転に伴ってドクターブレード13Yとの対向位置を通過する際に適正な層厚に規制されてから、感光体3Yに対向する現像領域に搬送される。そして、現像スリーブ11Yに印加される現像バイアスと、感光体3Yの静電潜像との電位差によってYトナーを静電潜像上に転移させて現像に寄与する。更に、現像スリーブ11Yの回転に伴って再び現像部9Y内に戻り、マグネットローラ12Yの磁極間に形成される反発磁界の影響によってスリーブ表面から離脱した後、攪拌部5Y内に戻される。攪拌部5Y内には、トナー濃度センサ8Yによる検知結果に基づいて、現像剤に適量のトナーが補給される。
【0029】
ドラムクリーニング装置18Yとしては、ポリウレタンゴム製のクリーニングブレード20Yを感光体3Yに押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。クリーニング性を高める目的で、本複写機では、外周面を感光体3Yに接触させるファーブラシ19Yを、図中矢印方向に回転自在に有する方式のものを採用している。このファーブラシ19Yは、図示しない固形潤滑剤から潤滑剤を掻き取って微粉末にしながら感光体3Y表面に塗布する役割も兼ねている。
【0030】
ファーブラシ19Yに付着したトナーは、ファーブラシ19Yに対してカウンタ方向に接触して回転しながらバイアスが印加される電界ローラ21Yに転位する。そして、スクレーパ22Yによって電界ローラ21Yから掻き取られた後、回収スクリュウ23Y上に落下する。
【0031】
回収スクリュウ23Yは、回収トナーをドラムクリーニング装置18Yにおける図紙面と直交する方向の端部に向けて搬送して、外部のリサイクル搬送装置に受け渡す。図示しないリサイクル搬送装置は、受け渡されたトナーを現像装置4Yに送ってリサイクルする。
【0032】
除電ランプ17Yは、光照射によって感光体3Yを除電する。除電された感光体3Yの表面は、帯電ローラ16Yによって一様に帯電せしめられた後、上述した光書込ユニットによる光走査が施される。なお、帯電ローラ16Yは、図示しない電源から帯電バイアスの供給を受けながら回転駆動するものである。かかる帯電ローラ16Yを用いる帯電方式に代えて、感光体3Yに対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ方式を採用してもよい。
【0033】
先に示した図2において、4つのプロセスユニット2Y,M,C,Kの感光体3Y,M,C,Kの表面には、これまで説明してきたプロセスによってY,M,C,Kトナー像が形成される。
【0034】
4つのプロセスユニット2Y,M,C,Kの下方には、転写手段としての転写ユニット60が配設されている。この転写ユニット60は、複数のローラによって張架した像担持体たる中間転写ベルトを、感光体3Y,M,C,Kに当接させながら、何れか1つのローラの回転駆動によって図中時計回り方向に無端移動させる。これにより、感光体3Y,M,C,Kと中間転写ベルト61とが当接するY,M,C,K用の1次転写ニップが形成されている。
【0035】
Y,M,C,K用の1次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された1次転写ローラ62Y,M,C,Kによって中間転写ベルト61を感光体3YY,M,C,Kに向けて押圧している。これら1次転写ローラ62Y,M,C,Kには、それぞれ図示しない電源によって1次転写バイアスが印加されている。これにより、Y,M,C,K用の1次転写ニップには、感光体3Y,M,C,K上のトナー像を中間転写ベルト61に向けて静電移動させる1次転写電界が形成されている。
【0036】
図中時計回り方向の無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト61のおもて面には、各1次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト61のおもて面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0037】
中間転写ベルト61の図中下方には、当接部材としての2次転写対向ローラ72が配設されており、これは中間転写ベルト61における2次転写ローラ68に対する掛け回し箇所にベルトおもて面から当接して2次転写ニップを形成している。これにより、中間転写ベルト61のおもて面と、2次転写対向ローラ72とが当接する2次転写ニップが形成されている。
【0038】
中間転写ベルト61のループ内において、転写バイアス部材としての2次転写ローラ68には、図示しない2次転写電源回路により、トナーの正規帯電極性と同極性(本例では負極性)の2次転写バイアスが印加されている。一方、ベルトのおもて面に当接しながら2次転写ニップを形成している2次転写対向ローラ72は、接地されている。これにより、2次転写ニップ内には、負極性のトナーをベルト側から2次転写対向ローラ72側に向けて静電移動させる2次転写電界が形成されている。
【0039】
2次転写ニップの図中右側方には、図示しない上述のレジストローラ対が配設されており、ローラ間に挟み込んだ記録紙を中間転写ベルト61上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで2次転写ニップに送り出す。2次転写ニップ内では、中間転写ベルト61上の4色トナー像が2次転写電界やニップ圧の影響によって記録紙に一括2次転写され、記録紙の白色と相まってフルカラー画像となる。
【0040】
2次転写ニップを通過した中間転写ベルト61のおもて面には、2次転写ニップで記録紙に転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、中間転写ベルト61に当接するベルトクリーニング装置75によってクリーニングされる。
【0041】
先に示した図1において、2次転写ニップを通過した記録紙は、中間転写ベルト61から離間して、搬送ベルトユニット39に受け渡される。この搬送ベルトユニット39は、無端状の搬送ベルト40を駆動ローラ41と従動ローラ42とによって張架しながら、駆動ローラ41の回転駆動によって図中反時計回り方向に無端移動せしめる。そして、2次転写ニップから受け渡された記録紙をベルト上部張架面に保持しながら、ベルトの無端移動に伴って搬送して定着ユニット43に受け渡す。
【0042】
定着ユニット43は、駆動ローラと、発熱源を内包する加熱ローラとによって張架した定着ベルトを駆動ローラの回転駆動に伴って図中時計回り方向に無端移動せしめている。そして、定着ベルトの下方に配設された加圧ローラ45を定着ベルトの下部張架面に当接させて定着ニップを形成している。定着ユニット43に受け入れられた記録紙は、この定着ニップ内で加圧されたり加熱されたりすることで、表面上のフルカラー画像が定着せしめられる。そして、定着ユニット43内から切換爪49に向けて送り出される。
【0043】
切換爪49は、図示しないソレノイドによって揺動するようになっており、その揺動に伴って、記録紙の搬送路を排紙路と反転路とで切り換える。切換爪49によって排紙路が選択されていると、定着ユニット43内から送り出された記録紙は、排紙路と排紙ローラ対47とを経由した後、機外に排出されて排紙トレイ48上にスタックされる。
【0044】
定着ユニット43や搬送ベルトユニット39の下方には、スイッチバック装置46が配設されている。切換爪49によってスイッチバック路が選択されていると、定着ユニット43内から送り出された記録紙は、反転路を経由して上下反転せしめられた後、スイッチバック装置46に送られる。そして、再び2次転写転写ニップに進入して、もう片面にも画像の2次転写処理と定着処理とが施される。
【0045】
プリンタ部1の上に固定されたスキャナ160は、図示しない原稿の画像を読み取るための読取手段として、固定読取部161と、移動読取部162とを有している。光源、反射ミラー、CCD等の画像読取センサなどを有する固定読取部161は、原稿に接触するようにスキャナ160のケーシング上壁に固定された図示しない第1コンタクトガラスの直下に配設されている。そして、ADF170によって搬送される原稿が第1コンタクトガラス上を通過する際に、光源から発した光を原稿面で順次反射させながら、複数の反射ミラーを経由させて画像読取センサで受光する。これにより、光源や反射ミラー等からなる光学系を移動させることなく、原稿を走査する。
【0046】
一方、移動読取部162は、原稿に接触するようにスキャナ160のケーシング上壁に固定された図示しない第2コンタクトガラスの直下に配設されており、光源や、反射ミラーなどからなる光学系を図中左右方向に移動させることができる。そして、光学系を図中左側から右側に移動させていく過程で、光源から発した光を第2コンタクトガラス上に載置された図示しない原稿で反射させた後、複数の反射ミラーを経由させて、スキャナ本体に固定された画像読取センサで受光する。これにより、光学系を移動させながら、原稿を走査する。
【0047】
次に、本実施形態の特徴点である冷却装置について実施例1乃至4に基づき説明する。
複写機内には、定着ユニット43や不図示の電源装置、光書込ユニット50、現像装置4Y〜4Kなど、稼動時に熱を発生する部材やユニットが多く設置されている。一方で、熱を発生する部材の周辺には、感光体3Y〜3Kや現像装置4Y〜4Kなどの熱を嫌う部材がある。これは、温度の高い雰囲気下では感光体や現像装置内のトナー等の特性が変化して良好な画像が得られなくなるため、感光体3Y〜Kや現像装置4Y〜4K周囲の温度上昇箇所を、冷却しなければならない。
【0048】
[実施例1]
図2は、実施例1の冷却装置80の概略構成図である。
図に示すように、冷却装置80は、温度上昇箇所である現像装置4Y〜4Kと接触して、冷却液が現像装置から熱を受ける受熱部82Y〜82Kと、各現像装置に対応して設けられ、現像装置4Y〜4Kを冷却するための液体を冷却する冷却手段81Y〜81Kと、受熱部82Y〜82Kを直列に連結して、冷却液を内包する冷却管83と、冷却液を冷却管内で循環させるための搬送手段たる冷却ポンプ84とを有している。
【0049】
冷却液は、水を主成分とし、冷却液の凍結温度を下げるためにプロピレングリコールやエチレングリコールなどを添加したり、金属の構成部品の錆を防ぐために防錆剤(例えば、リン酸塩系物質:リン酸カリ塩、無機カリ塩等)を添加したりしたものである。
【0050】
冷却手段81Y〜81Kは、放熱手段たるラジエータ81aY〜81aKと冷却ファン81bY〜81bKとで構成され、ラジエータ81aY〜81aKは、良熱伝導性部材で形成された流路と、この流路に接続される良熱伝導性部材で形成されたフィンとを備えている。ラジエータ81aY〜81aKとしては、コルゲートフィンタイプを好適に用いることができ、ラジエータ81aY〜81aKは、複写機の外装材の外側に配置される。冷却手段81Y〜81Kは、ラジエータ81aY〜81aKの流路およびフィンの周辺に冷却ファンに81bY〜81bKよって気流を発生させ強制対流熱伝導により冷却する。複写機の外装材の外側に配置することによって、装置内部よりも温度の低い外気をラジエータの流路やフィンに当てることができ、ラジエータの冷却効率を上げることができる。また、冷却手段を外装材の内側に配置し、ダクトを設けて、装置内の比較的低温の空気や外気を取り込んで、ラジエータに当てるようにしてもよい。
【0051】
図5は、受熱部82Yの概略構成図であり、図6は、現像装置4Yに受熱部82Yを固定した様子を示す概略斜視図である。
図5に示すように、受熱部82Yは、良熱伝導性部材で形成されたケース82aY内部に良熱伝導性部材で形成された流路82bYが設けられている。そして、図6に示すように現像装置4Yのケース外周面に当接している。
なお、他の受熱部82C〜82Kも同様な構成となっている。
【0052】
各現像装置4Y〜4Kには、温度検知手段たる温度検知センサ91Y〜91Kが設けられている。
また、冷却ファン81bY〜81bKは、制御手段である制御部200に接続されており、制御部200は、温度検知センサ91Y〜91Kが検知した現像装置の温度に基づいて各冷却ファンの回転数を制御し、ラジエータ81aY〜81aKの冷却効率を制御している。具体的には、温度検知センサ91の検知の結果、現像装置4の温度が所定値以上の場合は、冷却ファン81bの回転数を上げて、ラジエータ81aの冷却効率を上げて、冷却液の温度を下げる。
【0053】
冷却ポンプ84により送り出された冷却液は、Y用の現像装置4Yに対応するY用ラジエータ81Yによって冷却される。Y用のラジエータ81Yによって冷却された冷却液は、Y用の受熱部82Yに流入して、Y用受熱部82Yの管路内を移動しながら、現像装置4Yの熱を奪って現像装置4Yを冷やす。Y用受熱部82Yで温度上昇した冷却液は、M用の現像装置4Mに対応するM用ラジエータ81Mによって冷却され、M用の受熱部82MでM用現像装置4Mを冷却する。M用の受熱部82で温度上昇した冷却液は、C用の現像装置4Cに対応するC用ラジエータ81Cによって冷却され、C用の受熱部82CでC用の現像装置4Cを冷やす。C用受熱部82Cで温度上昇した冷却液は、K用の現像装置4Kに対応するK用ラジエータ81Kによって冷却され、K用の受熱部82KでK用の現像装置4Kを冷却する。そして、再び冷却ポンプ84によってY用ラジエータ81Yに搬送され、K用の受熱部82で温度上昇した冷却液は、Y用ラジエータ81Yによって冷やされる。
【0054】
この実施例1の冷却装置80においては、温度上昇箇所である現像装置それぞれに対応して冷却手段81Y〜81Kが設けられている。そして、現像装置4に対応する冷却手段を、対応する現像装置よりも冷却液移動方向上流側に隣接配置している。これにより、冷却手段から流れた冷却液が対応する現像装置の受熱部に流れるまでの間に、対応しない受熱部に流れることがない。これにより、冷却手段が対応する現像装置の温度に基づいて冷却された冷却液が対応しない現像装置の熱で温度上昇することがない。よって、冷却手段は、この対応しない現像装置による冷却液の温度上昇を加味して冷却液を冷やす必要がないので、冷却手段の冷却ファンの回転数が少なくて済み、冷却ファンを回転させるファンモータの回転音や、冷却ファンの風切り音が小さくて済み、装置騒音を抑制することができる。また、放熱面積が大きく、冷却効率の高いラジエータを用いずとも、十分に冷却液を冷やすことができ、冷却手段を小型化することができる。
また、現像装置の温度に基づいて、この現像装置に対応する冷却手段の冷却効率を制御しているので、現像装置が過剰に冷却されるのを防止することができ、現像装置内で結露が発生して、現像装置内部でトナーが結露による水滴で凝集するのを防止することができる。
また、液冷で各現像装置を冷却しているので、空冷で各現像装置を冷却するものに比べて、各現像装置を効率よく冷却でき、装置の温度上昇を十分に抑制することができる。
【0055】
また、上述においては、冷却手段81Y〜81K、受熱部82Y〜82Kを直列に連結しているが、図7に示すように並列に配置してもよい。
このように並列配置した場合は、分岐後の各冷却管に流れる流量が少ない。このため、各冷却手段は、冷却効率をあまり高めなくても、温度上昇箇所を冷却するのに十分な温度に冷却液を冷却することができる。よって、冷却手段の冷却ファンの回転数が少なくて済み、冷却ファンを回転させるファンモータの回転音や、冷却ファンの風切り音が小さくて済み、装置騒音を抑制することができる。また、放熱面積が大きく、冷却効率の高いラジエータを用いずとも、十分に冷却液を冷やすことができ、冷却手段を小型化することができる。
また、並列に配置した場合は、各受熱部82Y〜82Kに流れる冷却液の流量にばらつきが生じ、各受熱部における冷却効率が異なる。しかし、図7においては、各現像装置に対応して冷却手段を設けているので、冷却液の流量が少ないところにおいては、冷却手段の冷却効率を高めて、受熱部に流れる冷却液を他より冷やす。これにより、冷却液の流量が少ない受熱部に対応する現像装置の温度上昇も良好に抑制することができる。一方、冷却液の流量が多いところは、冷却手段の冷却効率を他よりも下げて、受熱部に流れる冷却液の温度を他よりも上げることで、多くの冷却液が流れる受熱部に対応する現像装置が冷やされすぎるのを防止することができる。
【0056】
[実施例2]
次に、実施例2について説明する。
定着装置や、電源装置、駆動モータなどの発熱源に近い現像装置は、他の現像装置よりも温度上昇しやすい。このため、他の現像装置よりも温度上昇しやすい現像装置に対応する冷却手段は、他の現像装置に比べて冷却効率を上げる必要がある。
図8は、一般的なラジエータにおける空気流量と熱抵抗との関係を示すグラフである。なお、熱抵抗とは、流入空気温度をTa[℃]、流入冷却液温度をTw[℃]、空気と冷却液との交換熱量をQ[W]とすると、(Tw−Ta)/Q[℃/W]で表すことができるものである。すなわち、熱抵抗が小さいほどラジエータの冷却効率が高いことを意味している。
図8に示すように、空気流量が増えれば、ラジエータの冷却効率は高くなるが、空気流量が多くなるにつれて、熱抵抗の低下率が小さくなってしまう。すなわち、冷却ファンの回転数が多くなるにつれて、ラジエータの冷却効率があまり高まらない。このため、他の現像装置よりも温度上昇しやすい現像装置に対応する冷却ファンの回転数は、他の現像装置に対応する冷却ファンの回転数に比べて、非常に多い回転数で回転することなる。その結果、他の現像装置よりも温度上昇しやすい現像装置に対応する冷却ファンの風切り音や、冷却ファンの駆動モータなどの騒音が大きくなってしまうという不具合が生じる。
【0057】
そこで、実施例2においては、他の現像装置よりも温度上昇しやすい現像装置に対応する冷却手段と、それ以外の冷却手段とを用いて、他の現像装置よりも温度上昇しやすい現像装置を冷却するよう制御するようにしたものである。
【0058】
実施例2における冷却装置の構成は、図4に示した冷却装置と同様の構成である。
図9は、実施例2の冷却装置における制御フローである。なお、実施例2においては、K用の現像装置を例にして説明する。
図9に示すように、制御部200は、まず、K用現像装置4Kが稼動したら、K用現像装置内の温度を温度検知センサ91Kで検知し、検知した現像剤温度(現像装置内温度)が、第1閾値か否かをチェックする(S1)。第1閾値以下(S1のNO)の場合は、制御部200は、K用冷却ファン81bKを初期回転数に設定する(S5)。
一方、現像剤温度(現像装置内温度)が、第1閾値を超えている(S1のYES)場合は、制御部200は、現像剤温度(現像装置温度)が第2閾値を超えているか否かをチェックする(S2)。第2閾値を超えている(S2のYES)場合、現像剤温度(現像装置温度)が第3閾値を超えているか否かをチェックする(S3)。現像剤温度(現像装置温度)が第3閾値を超えている(S3のYES)場合は、現像装置内のトナーが溶融して現像ムラなどを引き起こす可能性があるので、装置の異常であることをユーザーに報知するとともに、K用現像装置の稼動を停止する(S4)。
【0059】
一方、現像剤温度(現像装置温度)が第3閾値以下(S3のNO)の場合は、K用冷却ファン81bKの回転数を初期回転数から10[%]増加した回転数に設定するとともに、K用ラジエータ81Kよりも冷却液移動方向上流側のC用ラジエータ81aCを冷やすためのC用冷却ファン81bCの回転数を初期回転数よりも10[%]増加した回転数に設定する(S9)。これにより、現像剤温度が、第2閾値を超え、第3閾値以下の場合、K用ラジエータ81aKとC用ラジエータ81aCとの冷却効率が高められる。C用ラジエータ81aCの冷却効率を高めることで、C用ラジエータ81aCから流出する冷却液の温度が低くなる。C用現像装置4Cの発熱量は変わらないので、C用受熱部82Cを通過した冷却液の温度は、C用ラジエータ81aCの冷却効率を高めた分低くなっている。その結果、K用ラジエータ81aKに温度の低い冷却液が流入するので、K用冷却ファン81bKのみを初期回転数に比べて10%増加させた場合に比べて、K用ラジエータ81bKから流出する冷却液の温度が低くなる。従って、K用受熱部82Kにより温度の低い冷却液を流入させることができ、K用現像装置4Kを良好に冷やすことができる。なお、C用ラジエータ81aCの冷却効率を高める結果、C用現像装置4Cが冷却ファン81bC初期回転数で駆動させた場合に比べて、冷やされてしまうが、結露が生じるほどC用現像装置4Cが冷やされてしまうことはない。
また、第2閾値を超えていない(S2のNO)場合、K用冷却ファン81bKの回転数を初期回転数から10[%]増加した回転数に設定する(S6)。また、C用冷却ファン81bCの回転数が初期回転数よりも10[%]増加した回転数に設定されており、初期回転数で回転していない(S7のNO)場合は、C用冷却ファン81bCの回転数を初期回転数に戻す(S8)。
【0060】
このように、実施例2においては、K用現像装置4Kが温度上昇した場合に、K用現像装置4Kに対応するK用冷却手段81Kのみで対応するのではなく、K用冷却手段81Kよりも冷却液移動方向上流側のC用現像装置4Cに対応するC用冷却手段とK用冷却手段とを用いてK用現像装置の温度上昇を抑制する。
【0061】
本発明者らは、K用現像装置4Kが他の現像装置に比べて発熱量を3[W]大きくして、K用現像装置4Kの温度上昇をK用冷却手段81Kのみで抑制した場合と、実施例2のように、K用現像装置4Kの温度上昇が第2閾値を超えたときK用冷却手段81KとC用冷却手段81CとでK用現像装置4Kの温度上昇を抑制した場合とでK用冷却ファン81bKの回転数について調べた。その結果、K用冷却手段81Kのみで抑制した場合は、K用冷却ファン81bKの回転数が最大で初期回転数に比べて30%増加した。一方、実施例2においては、K用冷却手段81KとC用冷却手段81Cとがそれぞれ初期回転数に対して10%増加で良好にK用現像装置4Kの温度上昇を抑制することができた。これにより、K用現像装置4Kの温度上昇をK用冷却手段のみで抑制した場合に比べて、冷却ファン81bKの風切り音などの騒音や、消費電力を抑えることができた。
【0062】
上述においては、第1閾値を超えたときにK用冷却ファン81bKの回転数を初期回転数の10[%]増加させ、第2閾値を超えたときは、K用およびC用の冷却ファン81bK、81cKの回転数を初期回転数の10[%]増加させているが、K用現像装置4Kの発熱量に基づいて適宜設定すればよい値である。
また、上述においては、第1閾値、第2閾値、第3閾値の3つの閾値で制御を異ならせているが、更に細かく閾値を設定して制御してもよい。例えば、第1閾値を超えたら、K用冷却ファン81bKの回転数を初期回転数に対して5[%]増加させ、第2閾値を超えたら、K用冷却ファン81bKの回転数を初期回転数に対して10[%]増加させる。そして、第3閾値を超えたら、C用冷却ファン81bCの回転数を初期回転数に対して5[%]増加させ、第4閾値を超えたら、C用冷却ファン81bKの回転数を初期回転数に対して10[%]増加させるように、冷却ファンの回転数を段階的に増加させるよう制御してもよい。また、第1閾値を超えるまでは、K用冷却ファン81bKの回転数をK用現像装置4Kの温度に応じて連続的に制御し、第2閾値を超えるまでは、C用冷却ファン81bCの回転数をK用現像装置4Kの温度に応じて連続的に制御してもよい。
【0063】
また、上述においては、第2閾値を超えたとき、K用冷却手段81Kに対してひとつ上流側に設けられたC用冷却手段81Cを用いているが、例えば、C用冷却ファン81bCを初期回転数に対して5[%]増加させ、C用冷却手段81Cよりも上流側のM用冷却手段の冷却ファン81bMの回転数を5[%]増加させるよう制御してもよい。また、第2閾値を超えたとき、K用冷却手段81Kに対してひとつ上流側に設けられたC用冷却手段81Cの冷却ファン81bCの回転数を増加させ、第3閾値を超えたら、M用冷却手段81Mの冷却ファン81bMの回転数を増加させるよう制御してもよい。もちろん、第2閾値を超えたとき、Y、M、C3つの冷却手段の冷却ファン81bY,81bM,81bCの回転数をそれぞれ所定量増加させるよう制御してもよい。
【0064】
また、Y、M、C用の現像装置4Y,4M,4Cの冷却に関しても、同様な制御を行ってもよい。すなわち、C用の現像装置4Cの温度が第1閾値を越えたときは、C用冷却手段の冷却ファン81bCを初期回転数に対して10[%]増加させ、C用の現像装置4Cの温度が第2閾値を越えたときは、M用冷却手段81Mの冷却ファン81bMを初期回転数に対して10[%]増加させる。また、例えば、K用現像装置4Kの温度が第2閾値を越えたとき、C用現像装置4Cの温度が第1閾値を越えて、C用冷却手段81Cの冷却ファン81bCが既に初期回転数に対して10[%]増加しているときは、C用冷却手段81Cよりも更に上流側のM用冷却手段81Mの冷却ファン81bMの回転数を初期回転数に対して10[%]増加させたり、K用冷却手段81Kの冷却ファン81bKを初期回転数に対して20[%]増加させたりしてもよい。
【0065】
また、上述では、温度センサで現像装置内の温度に基づいて各冷却手段の冷却ファンを駆動制御しているが、図10に示すように、受熱部を通過した冷却液の温度を検知する冷却液温度検知手段たる冷却液温度検知センサ191Y〜191K設け、制御部200は、冷却液温度検知センサ191Y〜191Kが検知した受熱部を通過した冷却液の温度に基づいて、現像装置の温度を推測し、推測した現像装置の温度に基づいて各冷却手段81Y〜81Kの冷却ファン81bY〜81aYの駆動を制御してもよい。
【0066】
[実施例3]
次に、実施例3について説明する。
この実施例3は、温度検知センサを無くして、予め現像装置の温度と稼動時間との関係を実験などで調べておき、現像装置の稼動時間に基づいて、現像装置の温度を推測して、各冷却手段81Y〜81Kの冷却ファン81bY〜81bKを制御するものである。
図11は、フルカラー画像形成時における各冷却手段の冷却ファン81bY〜81bKの制御シーケンス図である。なお、図中縦軸は冷却ファンの回転数であり、横軸は時間である。また、図11は、M色の現像装置4Mが他のユニットから発生した熱の影響を受けて、他の現像装置よりも温度上昇が大きい場合における制御シーケンス図である。
図に示すように、複写機がフルカラー画像を形成すべく、Y,M,C,Kの現像装置を稼動したら、Y,M,C,Kの冷却手段の冷却ファン81bY〜81bKを初期回転数で回転させる。各冷却手段の冷却ファン81bY〜81bKの回転数の大小関係は、Y用冷却ファン81bYの初期回転数をR1−1、M用冷却ファン81bMの初期回転数をR2−1、C用冷却ファン81bCの初期回転数をR3−1、K用冷却ファン81bKの初期回転数をR4−1としたとき、R1−1=R3−1=R4−1<R2−1としている。すなわち、この実施例3においては、M用現像装置4Mの温度上昇が他の現像装置よりも大きいので、M用冷却ファン81bMの初期回転数R2−1を他の冷却ファンの初期回転数よりも大きくしている。
【0067】
M用現像装置4MがT1秒以上連続稼動した場合、M用現像装置4Mの温度が第2閾値を越えることが推測されるので、M用冷却手段81Mよりも上流側のY用冷却手段81Yの冷却ファン81bYの回転数を初期回転数R1−1からR1−2に増加させる。このように、実施例3においても、M用現像装置4Mの温度が閾値よりも高くなった場合は、M用冷却手段よりも上流側のY用冷却手段の冷却効率を上げて、M用現像装置4Mの温度上昇を抑制することで、M用冷却手段のみで対応する場合に比べて、冷却ファンの風切り音などの騒音や、消費電力を抑えることができる。
【0068】
フルカラー画像の形成が終了し、Y,M,C,Kの現像装置の稼動が停止したら、Y,M,C,Kの冷却ファン81bY〜81bKの回転数を落とす。なお、このときの各冷却ファンの回転数の大小関係は、Y用冷却ファン81bYの初期回転数をR1−3、M用冷却ファン81bMの初期回転数をR2−3、C用冷却ファン81bCの初期回転数をR3−3、K用冷却ファン81bKの初期回転数をR4−3としたとき、R1−3=R3−3=R4−3<R2−3としている。これは、M用現像装置は他のユニットからの熱の影響を受けているので、M用冷却ファン81bMの回転数を他の冷却ファンと同じとした場合、他の現像装置に比べて温度が高くなる。よって、M用冷却ファン81bMの回転数を他の冷却ファンの回転数よりも多くして、M用ラジエータ81aMの冷却効率を他のラジエータよりも高くして、M用現像装置を他の現像装置に比べて冷やして、M用現像装置の温度を他の現像装置の温度と同程度になるようにしている。
【0069】
現像装置の稼動終了後、T3秒経過したら、M用冷却ファン81bMの回転数を、R2−3から、R2−4に落として、M用冷却ファン81bMの回転数を、他の冷却ファンの回転終了後における回転数と同じ回転数にする。これは、M用現像装置4Mに熱の影響を与えるユニットの温度が下がり、M用現像装置4Mに熱を与えなくなり、M用現像装置4Mの温度低下が、他の現像装置と同じなる。よって、M用冷却ファン81bMの回転数がR2−3のままだと、M用現像装置4Mが他の現像ユニットよりも温度が低くなる。よって、M用冷却ファン81bMの回転数を他の冷却ファンの回転数と同じとすることで、M用現像装置4Mの温度を他の現像装置の温度と同程度にすることができる。
【0070】
そして、現像装置の稼動終了後、T2秒経過したら、Y,M,C,Kの冷却ファンの駆動を停止する。
【0071】
次に、モノクロ画像を形成するときにおける冷却手段81Y〜81Kの冷却ファンの駆動制御について説明する。
図12は、モノクロ画像を形成時における各冷却手段81Y〜81Kの冷却ファンの制御シーケンス図である。
モノクロ画像の場合は、Y、M、Cの現像装置は、稼動を停止しているため、発熱することがなく、K用の現像装置のみ現像剤の攪拌などにより発熱する。また、M用現像装置は、YやCの現像装置よりも他のユニットからの熱の影響を大きく受けYやCの現像装置よりも温度上昇する。
このため、モノクロ画像形成開始時における各冷却手段の冷却ファンの初期回転数の大小関係は、R1’−1=R3’−1<R2’−1<R4’−1となる。なお、R1’−1は、Y用冷却ファン81bYの初期回転数であり、R2’−1は、M用冷却ファン81bMの初期回転数であり、R3’−1は、C用冷却ファン81bCの初期回転数であり、R4’−1は、K用冷却ファン81bKの初期回転数である。
また、図12からわかるように、各冷却ファンの初期回転数は、フルカラー画像形成時の初期回転数よりも少なくしている。これは、Y、M、Cの現像装置は、稼動していないため、現像剤攪拌時の摩擦熱などが発生しないためY、M、Cの現像装置の発熱量は、フルカラー画像形成時に比べて低くなるため、温度上昇が緩やかになる。また、K用現像装置もK用現像装置に隣接するC用現像装置の熱の影響をほとんど受けないため、フルカラー画像形成時に比べて温度上昇が緩やかになる。このため、フルカラー画像形成時と同じ初期回転数で各冷却ファンを回転させた場合は、各現像装置が冷やされすぎて、結露などが生じるおそれがある。よって、モノクロ画像形成時の各冷却ファンの初期回転数を、フルカラー画像形成時の初期回転数よりも少なくしているのである。
【0072】
そして、モノクロ画像形成中は、各冷却ファンは一定速度で回転し、モノクロ画像形成終了後、各冷却ファンの回転数をR1’−2,R2’−2,R3’−2,R4’−2に落とす。なお、このときの各冷却ファンの回転数は、R1’−2=R2’−2=R3’−2=R4’−2である。
【0073】
[実施例4]
次に、実施例4について説明する。
図13は、実施例4の冷却装置の概略構成図である。
上記実施例1〜3においては、温度上昇箇所である現像装置ひとつずつに対応して冷却手段が設けられているが、この実施例4の冷却装置においては、冷却手段を2つの現像装置に対応させたものである。
【0074】
この実施例4の冷却装置における冷却ファンの駆動制御は、例えば、K用現像装置とM用現像装置とが他のユニットからの熱の影響を受けて、C用現像装置、Y用現像装置に比べて温度上昇しやすい場合、次のような制御となる。
まず、各現像装置が稼動したら、制御部は、Y用現像装置とM用現像装置とに対応する冷却手段81YMの冷却ファン81bYMおよびC用現像装置とK用現像装置とに対応する冷却手段81CKの冷却ファン81bCKを初期回転数で回転させる。
【0075】
C用現像装置、K用現像装置が他のユニットの熱の影響を受けて、いずれか一方の温度が第1の閾値を超えた場合は、冷却手段81CKの冷却ファン81bCKの回転数を初期回転数よりも10[%]増加させる。
さらに、C用現像ユニットおよびK用現像ユニットの両方の温度が第1の閾値を超えた場合は、冷却手段81CKよりも上流側の冷却手段81YMの冷却ファン81bYMの回転数を初期回転数に対して10[%]増加させる。C用現像ユニットおよびK用現像装置の両方の温度が第1の閾値を超えた状態からいずれか一方の温度が第1の閾値となった場合は、冷却手段81YMの冷却ファン81bYMの回転数を初期回転数に戻す。そして、C用現像ユニットおよびK用現像ユニットのいずれか一方の温度が第1の閾値を超えた状態から両方の温度が第1の閾値以下となったら、冷却手段81CKの冷却ファン81bCKの回転数を初期回転数に戻す。
【0076】
この実施例4においても、実施例3のように各現像装置の稼動時間からC用現像ユニットおよびK用現像装置の温度を推測して、冷却手段81YMの冷却ファン81bYMの回転数および冷却手段81CKの冷却ファン81bCKの回転数を制御してもよい。また、受熱部を通過した冷却液の温度を冷却液温度検知センサで検知して、この冷却液温度センサの検知結果から、現像装置の温度を推測して、冷却手段81YMの冷却ファン81bYMの回転数および冷却手段81CKの冷却ファン81bCKの回転数を制御してもよい。また、Y用現像装置とM用現像装置の冷却に関しても、同様な制御を行ってもよい。
【0077】
また、実施例1ないし4においては、装置の温度上昇箇所として現像装置を冷却する冷却装置について説明したが図14に示すように、装置内の温度上昇箇所として、電源装置、駆動ユニット、定着装置などを冷却してもよい。
この冷却装置は、電源装置の温度上昇箇所に取り付けた第1受熱部184と、駆動ユニットの温度上昇箇所に取り付けた第2受熱部185と、定着装置の温度上昇箇所に取り付けた第3受熱部186とを有している。
また、第1受熱部184よりも上流側には、電源装置の温度上昇箇所に対応する第1冷却手段181が設けられており、第1受熱部184と第2受熱部185との間には、駆動ユニットの温度上昇箇所に対応する第2冷却手段182が設けられており、第2受熱部185と第3受熱部186との間には、定着装置の温度上昇箇所に対応する第3冷却手段183が設けられている。冷却液を内包する冷却管188は、ポンプ187を基点として、第1冷却手段181、第1受熱部184、第2冷却手段182、第2受熱部185、第3冷却手段183、第3受熱部186の順で直列に連結している。
図示しない制御部は、電源装置の温度上昇箇所の温度に基づいて、第1冷却手段181の冷却ファン181bの回転数を制御し、駆動ユニットの温度上昇箇所の温度に基づいて、第2冷却手段182の冷却ファン182bの回転数を制御し、定着装置の温度上昇箇所の温度に基づいて、第3冷却手段183の冷却ファン183bの回転数を制御する。
また、不図示の制御部は、定着装置の温度上昇箇所(例えば、定着装置のケース)の温度が閾値を超えたときは、駆動ユニットに対応する第2冷却手段182の冷却ファン182bの回転数を上げて、第2冷却手段182の冷却効率上げる。これにより、第3受熱部186に流れる冷却液の温度が低下し、定着装置の温度上昇箇所の温度上昇を抑制することができる。これにより、装置内温度の上昇や、定着装置近傍に配置された現像装置や感光体の温度上昇を抑制することができる。
【0078】
また、上述では、冷却手段は、ラジエータと冷却ファンとで構成しているが、冷却手段をペルチェ素子と、放熱手段たるペルチェ素子冷却フィンと、冷却ファンとで構成してもよい。
【0079】
以上、本実施形態の冷却装置は、画像形成装置内の複数の温度上昇箇所であるY,M,C,K用の現像装置を冷却するための冷却液を冷却する冷却手段と、各現像装置にそれぞれ設けられ、冷却液が現像装置の熱を受ける受熱部と、冷却液を内包し、複数の受熱部を並列または直列に連結し、内包した冷却液が受熱部と冷却手段とを循環するように配管された冷却管と、冷却管内の冷却液を複数の受熱部に搬送するための搬送手段たるポンプとを備えている。
また、冷却手段を複数設け、各冷却手段を、少なくとも一つの現像装置に対応させ、各冷却手段を、それぞれ対応する現像装置の温度に基づいて制御する制御手段たる制御部を設けている。
このように構成することで、ひとつの冷却手段で全ての現像装置の温度上昇を抑制するものに比べて、ひとつの冷却手段が温度上昇を抑制するための現像装置の個数を減らすことができる。その結果、それぞれの冷却手段の冷却効率は低くても、全ての現像装置の温度上昇を良好に抑制することができる。その結果、ひとつの冷却手段で全ての現像装置の温度上昇を抑制するものに比べて、放熱面積が大きくなく冷却効率のあまり高くない小型のラジエータを用いることができ、冷却装置を小型化することが可能となる。また、冷却ファンの回転数を抑えることができ、冷却ファンの風切り音による騒音を抑制することができる。
また、液冷方式で各現像装置を冷却するので、空冷方式で冷却するものに比べて、効率よく各現像装置を冷却することができる。
また、複数の受熱部を並列または直列に連結し、ひとつのポンプで各受熱部に冷却液を搬送しているので、現像装置毎にポンプと受熱部と冷却手段と、冷却管とからなる冷却装置を設けたものに比べて、装置を安価にすることができる。
【0080】
また、冷却手段で冷却された冷却液が、対応する温度上昇箇所に設けられた受熱部に流れるまでの間に、対応しない温度上昇箇所に設けられた受熱部に流れないよう、冷却管を構成している。このように構成することで、各受熱部には、冷却手段で受熱部と対応する現像装置の温度上昇を抑えるのに十分な温度に冷却された冷却液を流すことができる。よって、温度上昇箇所を良好に冷やすことができる。
【0081】
また、実施例2においては、各受熱部を直列に連結した冷却装置において、現像装置が所定の温度以上となったとき、この温度上昇箇所に対応する冷却手段よりも冷却液移動方向上流側の冷却手段の冷却効率を高めるよう制御する。これにより、ある現像装置が他の現像装置に比べて、温度が高くなり、この現像装置に対応する冷却手段だけでは十分な冷却効果が得難くなっても、冷却に余裕度のある冷却液移動方向上流側の冷却手段の冷却効率を高めることで、他の現像装置よりも温度が高くなった現像装置を良好に冷やすことができる。
【0082】
特に、冷却手段が対応する温度上昇箇所が第1の温度以上となったとき、この冷却手段の冷却効率を高めるよう制御し、ある冷却手段が対応する温度上昇箇所が第1の温度よりも高い第2の温度以上となったとき、この冷却手段よりも冷却液移動方向上流側の冷却手段の冷却効率を高めるようにすることで、現像装置に対応する冷却手段だけでは十分な冷却効果が得難くなったときに、冷却に余裕度のある冷却液移動方向上流側の冷却手段の冷却効率を高めることができる。
【0083】
また、各現像装置に温度検知手段たる温度検知センサを設け、これら温度検知センサの値に基づいて、各冷却手段を制御することで、現像装置の温度上昇を抑えるのに必要な温度に低下した冷却液を現像装置に設けられた受熱部に送ることができる。よって、現像装置の温度上昇を抑えるのに必要以上に温度に低下した冷却液が受熱部に送られて、現像装置が冷やされすぎたり、温度上昇を抑えるのに必要な温度にまで低下していない冷却液が受熱部に流れて、現像装置の温度上昇を抑制できなかったりするのを抑制することができる。
【0084】
また、画像形成装置の画像形成開始してからの経過時間に基づいて、各現像装置の温度を推測して、推測した各現像装置の温度に基づいて各冷却手段を制御してもよい。このように構成することで、温度検知センサを無くして、現像装置の温度上昇を抑えるのに必要な温度に低下した冷却液を現像装置に設けられた受熱部に送ることができ、装置のコストを安価にすることができる。
【0085】
また、現像装置を通過した冷却液の温度を検知する冷却液温度検知手段たる冷却液温度検知センサを設け、冷却液の温度に基づいて、各現像装置の温度を推測して、推測した各現像装置の温度に基づいて各冷却手段を制御してもよい。このように構成しても、現像装置の温度上昇を抑えるのに必要な温度に低下した冷却液を現像装置に設けられた受熱部に送ることができる。
【0086】
また、冷却手段は、冷却液の熱を放出する放熱手段たるラジエータと、ラジエータを冷却する冷却ファンとを有するので、冷却ファンの回転数を制御することで、容易に冷却手段の冷却効率を制御することができる。
【0087】
また、冷却装置は、複数の現像装置の温度上昇を抑制することで、現像装置内のトナーが溶融するのを抑制することができる。
【0088】
また、図12に示すように、稼動してない現像装置に対応する冷却部の冷却効率を、稼動中の現像装置に対応する冷却手段の冷却効率よりも低くすることで、稼動しておらず、発熱していない現像装置が過剰に冷やされてしまうのを抑制することができる。これにより、稼動していない現像装置に結露が生じるのを抑制することができる。
【0089】
また、他の現像装置に比べて、受熱量の多い現像装置に対応する冷却手段の冷却効率を、その他の冷却手段の冷却効率よりも高くすることで、受熱量の多い現像装置の温度上昇を良好に抑制することができる。
【符号の説明】
【0090】
4Y,4M,4C,4K:現像装置
81Y,81M,81C,81K:冷却手段
82Y,82M,82C,82K:受熱部
83:冷却管
84:ポンプ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0091】
【特許文献1】特開2006−171211号公報
【特許文献2】特開2007−206198号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、装置内に設けられた書込装置、定着装置及び現像装置、像担持体などを回転駆動させる駆動モータなどの様々な箇所で発熱し、装置内を温度上昇させることが知られている。
【0003】
例えば、現像装置においては、現像装置内の現像剤を攪拌搬送する現像剤攪拌搬送部材を駆動した際に、現像剤攪拌搬送部材と現像剤との摺擦による摩擦熱や、現像剤同士の摺擦による摩擦熱により装置内を温度上昇させる。また、現像剤を現像領域に搬送する前に現像剤担持体上に担持されている現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材と現像剤との摺擦による摩擦熱や、現像剤規制部材による規制の際の現像剤同士の摺擦による摩擦熱により装置内を温度上昇させる。
【0004】
装置内の温度が上昇すると、トナーの帯電量が低下してトナー付着量が増加し、所定の画像濃度が得られなくなる。また、温度上昇によりトナーが溶融して現像剤規制部材や現像剤担持体、像担持体などに固着し、画像にスジ状の異常画像などが生じるおそれがある。特に、近年、定着エネルギーを小さくするために溶融温度の低いトナーを用いた場合は、トナーの固着による異常画像などが生じやすい。
【0005】
そのため、従来においては冷却ファンなどによって装置内部の温度上昇箇所周辺に気流を発生させ温度上昇箇所を空冷し、装置内部の温度が過度に上昇するのを抑制している。しかし、24時間連続稼動するなど装置の使用条件においては、上記冷却ファンによる空冷では、装置内部の温度上昇を十分に抑制することができなかった。
【0006】
特許文献1、2には、液体を循環させて温度上昇箇所を冷却する液冷方式を用いた画像形成装置が記載されている。液冷方式は、空冷方式よりも効率良く冷却できるため、装置内部の温度上昇を効率よく抑制することができ、24時間連続稼動するなど使用条件においても装置内部の温度上昇を良好に抑制することができる。
【0007】
図15は、液冷方式の冷却装置の概略図である。
図に示すように、液冷方式の冷却装置は、冷却液を内包する冷却管83と、ラジエータ81aと冷却ファン81bとで構成され冷却管内の冷却液を冷却する冷却手段81と、装置の温度上昇箇所300に設けられ、冷却液が温度上昇箇所300の熱を奪う受熱部82と、冷却管内の冷却液を冷却手段81と受熱部82との間で循環させるための搬送手段たるポンプ84とを備えている。冷却手段81で冷却された冷却管内の冷却液が受熱部82へ流れ、温度上昇箇所300の熱を奪って温度上昇箇所300を冷却する。受熱部82で加熱された冷却管内の冷却液は、ラジエータ81aへ流れ、冷却液の熱が冷却ファン81bによって放熱されて冷却される。そして、冷却された冷却管内の液体は、再びポンプ84によって受熱部へ向けて送られる。
【0008】
装置内の複数の温度上昇箇所それぞれに図15に示すような冷却装置を設けると、コストが嵩むため、特許文献1や2に記載の画像形成装置においては、複数の温度上昇箇所に対応して設けられた複数の受熱部を並列に連結させたり、直列に連結させたりして、ひとつの冷却手段とで装置内の冷却対象の温度上昇箇所を冷却するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、複数の受熱部を並列に連結した場合、管路が分岐するため、各受熱部に流れる冷却液の流量が低下して、温度上昇箇所の冷却効率が下がってしまう。これは、冷却液の流量が少ないため、少ない熱量で冷却液が温度上昇箇所の温度付近にまで温度上昇してしまう。その結果、温度上昇箇所の熱を十分に奪うことができなくなり、冷却効率が下がるのである。このため、各受熱部に流れる冷却液の温度を、流量の低下による冷却効率の低下を加味して下げる必要がある。冷却手段に流れる冷却液の流量は、各受熱部に流れる冷却液の流量よりも多いので、冷却液が冷えにくい。よって、冷却手段で冷却効率を必要以上に高めなければ、各受熱部に流れる冷却液の温度を、流量の低下による冷却効率の低下を加味した温度にまで下げることができない。このように、冷却手段の冷却効率を必要以上に高める必要があるため、冷却ファンの回転数を上げることになり冷却ファンの風切り音が大きくなって、騒音となる問題がある。また、冷却液の冷却効率を高めるために、ラジエータの放熱面積を広くする必要があり、ラジエータが大型化してしまう。
【0010】
一方、複数の受熱部を直列に連結した場合は、受熱部を通過する度に冷却液の温度が上昇する。このため、全ての温度上昇箇所を所定の温度以下に抑えるためには、冷却手段を基点にして最下流の受熱部に流れる冷却液を、この受熱部に設けられた温度上昇箇所の温度上昇を抑えることのできる温度にする必要がある。このためには、この最下流の受熱部よりも上流側の受熱部による冷却液の温度上昇を考慮し、冷却手段から流出する冷却液の温度をかなり低くする必要があり、冷却手段から流出する冷却液の温度と、複数の受熱部を通って冷却手段に戻ってきた冷却液の温度との差が大きくなる。その結果、冷却手段の冷却液の冷却効率を高める必要が生じ、冷却ファンの回転数を上げることになり冷却ファンの風切り音が大きくなって、騒音となる問題がある。また、ラジエータの冷却液の冷却効率を高めるために、ラジエータの放熱面積を広くする必要があり、ラジエータが大型化してしまう。
【0011】
このように、複数の受熱部を直列配置した場合も並列配置した場合においても、一つの冷却手段で、装置内の冷却対象全ての温度上昇箇所の温度上昇を抑制するためには、冷却手段の冷却効率を高める必要が生じ、冷却ファンの風切り音による騒音が大きくなったり、冷却手段が大型化したりする問題が発生する。
【0012】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、空冷よりも温度上昇を良好に抑制することができ、複数の温度上昇箇所それぞれに搬送手段と冷却手段とを備えた冷却装置を設けるものに比べて、安価で複数の温度上昇箇所の温度を抑制することができ、かつ、ひとつの冷却手段で複数の温度上昇箇所を抑制するものに比べて冷却手段の大型化や騒音を抑制することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数の被冷却部を冷却するための冷却液を冷却する冷却手段と、各被冷却部にそれぞれ設けられ、前記冷却液が被冷却部の熱を受ける複数の受熱部と、冷却液を内包し、複数の受熱部を並列または直列に連結し、内包した冷却液が前記受熱部と前記冷却手段とを循環するように配管された冷却管と、前記冷却管内の冷却液を各受熱部へ搬送するための搬送手段とを備えた画像形成装置において、前記冷却手段を複数有し、各冷却手段を、少なくとも一つの前記被冷却部に対応させ、当該画像形成装置の稼働状態に基づいて各冷却手段を制御する制御手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記被冷却部の稼動開始と稼働後所定時間後とで、前記冷却手段の冷却効率を異ならせることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2記載の画像形成装置において、複数の前記受熱部および複数の前記冷却手段を直列に連結し、少なくとも一つの前記被冷却部の温度が閾値よりも高くなった場合、当該被冷却部よりも冷却液搬送方向における上流側の被冷却部の冷却効率をあげることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1に記載の画像形成装置において、モノクロ画像形成のときは、カラー画像形成のときよりも前記冷却手段の冷却効率を下げることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の被冷却部の温度上昇を液冷方式で抑えることで、被冷却部の温度上昇を空冷で抑制するものに比べて、被冷却部の温度上昇を良好に抑制することができる。
また、冷却管は、冷却液が複数の受熱部を循環するように配管されているので、ひとつの搬送手段で冷却液を各受熱部に流すことができる。よって、複数の被冷却部それぞれに図15に示すような冷却装置を設けたものに比べて、搬送手段を減らすことでき、装置のコストを低減することができる。
また、冷却手段を複数設け、各冷却手段を、少なくとも一つの被冷却部に対応させ、当該画像形成装置の稼働状態に基づいて被冷却部の温度上昇を対応する冷却手段で抑えるよう構成したので、ひとつの冷却手段で全ての被冷却部の温度上昇を抑制するものに比べて、ひとつの冷却手段が温度上昇を抑制する被冷却部の個数を減らすことができる。このように、ひとつの冷却手段が温度上昇を抑制する被冷却部の個数を少なくすることができるので、それぞれの冷却手段の冷却効率は低くても、全ての被冷却部の温度上昇を良好に抑制することができる。その結果、ひとつの冷却手段で全ての被冷却部に対応させたものに比べて、冷却手段の放熱面積が大きくなく冷却効率のあまり高くない小型の冷却手段を用いることができ、画像形成装置を小型化することが可能となる。また、冷却手段が冷却ファンを有する場合は、ひとつの冷却手段で全ての被冷却部を冷却するように構成したものに比べて、冷却ファンの回転数を抑えることができ、冷却ファンの風切り音による騒音を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に係る複写機を示す概略構成図。
【図2】同複写機におけるプリンタ部の内部構成の一部を拡大して示す部分拡大構成図。
【図3】同プリンタ部におけるY用のプロセスユニットを示す拡大構成図。
【図4】実施例1に係る冷却装置を示す概略構成図。
【図5】受熱部の概略構成図。
【図6】現像装置に受熱部を固定した様子を示す概略斜視図。
【図7】実施例1に係る冷却装置の他の構成を示す概略構成図。
【図8】一般的なラジエータにおける空気流量と熱抵抗との関係を示すグラフ。
【図9】実施例2に係る冷却装置の制御フロー図。
【図10】実施例2に係る冷却装置の他の構成例を示す概略構成図。
【図11】実施例3に係る冷却装置のフルカラー画像形成時における各冷却手段の冷却ファンの制御シーケンス図。
【図12】実施例3に係る冷却装置のモノクロ画像形成時における各冷却手段の冷却ファンの制御シーケンス図。
【図13】実施例4に係る冷却装置の概略構成図。
【図14】冷却装置のその他の実施形態を示す概略構成図。
【図15】液冷方式の冷却装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式によって画像を形成する複写機の第1実施形態について説明する。
まず、本第1実施形態に係る複写機の基本的な構成について説明する。図1は、本第1実施形態に係る複写機を示す概略構成図である。この複写機は、プリンタ部1と、白紙供給装置100と、原稿搬送読取ユニット150とを備えている。原稿搬送読取ユニット150は、プリンタ部1の上に固定された原稿読取装置たるスキャナ160と、これに支持される原稿搬送装置たるADF170とを有している。
【0017】
白紙供給装置100は、ペーパーバンク101内に多段に配設された2つの給紙カセット102,103、2組の分離ローラ対104,105、給紙路106、複数の搬送ローラ対107等を有している。2つの給紙カセット102,103は、それぞれ、図示しない記録紙を複数枚重ねた紙束の状態で内部に収容している。そして、プリンタ部1からの制御信号に基づいて、送出ローラ102a,103aを回転駆動させて、紙束における一番上の記録紙を給紙路106に向けて送り出す。送り出された記録紙は、分離ローラ対104,105によって1枚に分離されてから、給紙路106内に至る。そして、給紙路106内に設けられた複数の搬送ローラ対107の搬送ニップを経由して、プリンタ部1の第1受入分岐路30に送られる。
【0018】
プリンタ部1は、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)のトナー像を形成するための4つのプロセスユニット2Y,M,C,Kを備えている。また、第1受入分岐路30、受入搬送ローラ対31、手差しトレイ32、手差し分離ローラ対33、第2受入分岐路34、手差し搬送ローラ対35、転写前搬送路36、レジストローラ対37、搬送ベルトユニット39、定着ユニット43、スイッチバック装置46、排紙ローラ対47、排紙トレイ48、切換爪49、光書込ユニット50、転写ユニット60等も備えている。なお、プロセスユニット2Y,M,C,Kは、所定のピッチで並ぶ潜像担持体たるドラム状の感光体3Y,M,C,Kを有している。
【0019】
後述する2次転写ニップの直前で記録紙を搬送するための転写前搬送路36は、紙搬送方向の上流側で第1受入分岐路30と第2受入分岐路34とに分岐している。白紙供給装置100の給紙路106から送り出された記録紙は、第1受入分岐路30に受け入れられた後、第1受入分岐路30内に配設された受入搬送ローラ対31の搬送ニップを経由して転写前搬送路36に送られる。
【0020】
プリンタ部1の筺体における側面には、手差しトレイ32が筺体に対して開閉可能に配設されており、筺体に対して開いた状態でトレイ上面に紙束が手差しされる。手差しされた紙束における一番上の記録紙は、手差しトレイ32の送出ローラ32aによって第2受入分岐路34に向けて送り出される。そして、手差し分離ローラ対33によって1枚に分離されてから第2受入分岐路34に送られた後、第2受入分岐路34内に配設された手差し搬送ローラ対35の搬送ニップを経由して、転写前搬送路36に送られる。
【0021】
光書込ユニット50は、図示しないレーザーダイオード、ポリゴンミラー、各種レンズなどを有しており、後述するスキャナ160によって読み取られた画像情報や、外部のパーソナルコンピュータから送られている画像情報に基づいて、レーザーダイオードを駆動する。そして、プロセスユニット2Y,M,C,Kの感光体3Y,M,C,Kを光走査する。具体的には、プロセスユニット2Y,M,C,Kの感光体3Y,M,C,Kは、図示しない駆動手段によってそれぞれ図中反時計回り方向に回転駆動せしめられる。光書込ユニット50は、駆動中の感光体3Y,M,C,Kに対して、レーザー光をそれぞれ回転軸線方向に偏向せしめながら照射することで、光走査処理を行う。これにより、感光体3Y,M,C,Kには、Y,M,C,K画像情報に基づいた静電潜像が形成される。
【0022】
図2は、プリンタ部1の内部構成の一部を拡大して示す部分拡大構成図である。各色のプロセスユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ、潜像担持体たる感光体と、その周囲に配設される各種装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、プリンタ部本体に対して着脱可能になっている。そして、互いに使用するトナーの色が異なる点の他が同様の構成になっている。Y用のプロセスユニット2Yを例にすると、これは、感光体3Yの他、これの表面に形成された静電潜像をYトナー像に現像するための現像装置4Yを有している。また、後述するY用の1次転写ニップを通過した後の感光体3Y表面に付着している転写残トナーをクリーニングするドラムクリーニング装置18Yなども有している。本複写機では、4つのプロセスユニット2Y,M,C,Kを、後述する中間転写ベルト61に対してその無端移動方向に沿って並べたいわゆるタンデム型の構成になっている。
【0023】
図3は、Y用のプロセスユニット2Yを示す拡大構成図である。同図に示すように、プロセスユニット2Yは、感光体3Yの周りに、現像装置4Y、ドラムクリーニング装置18Y、除電ランプ17Y、帯電ローラ16Y等を有している。
【0024】
感光体3Yとしては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いても良い。
【0025】
現像装置4Yは、図示しない磁性キャリアと非磁性のYトナーとを含有する二成分現像剤(以下、単に現像剤という)を用いて潜像を現像するようになっている。そして、内部に収容している現像剤を攪拌しながら搬送する攪拌部5Yと、感光体3Y上の静電潜像を現像する現像部9Yとを有している。なお、現像装置4Yとして、二成分現像剤の代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤によって現像を行うタイプのものを使用していもよい。
【0026】
攪拌部5Yは、現像部9Yよりも低い位置に設けられており、互いに平行配設された第1搬送スクリュウ6Y及び第2搬送スクリュウ7Y、これらスクリュウの間に設けられた仕切り板、ケーシングの底面に設けられたトナー濃度センサ8Yなどを有している。
【0027】
現像部9Yは、ケーシングの開口を通して感光体3Yに対向する現像ロール10Y、これに対して自らの先端を近接させるドクターブレード13Yなどを備えている。そして、現像ロール10Yは、非磁性材料からなる筒状の現像スリーブ11Yと、これの内部に回転不能に設けられたマグネットローラ12Yとを有している。このマグネットローラ12Yは、周方向に並ぶ複数の磁極を有している。これら磁極は、それぞれスリーブ上の現像剤に対して回転方向の所定位置で磁力を作用させる。これにより、攪拌部5Yから送られてくる現像剤を現像スリーブ11Y表面に引き寄せて担持させるとともに、磁力線に沿った磁気ブラシをスリーブ表面上に形成する。
【0028】
磁気ブラシは、現像スリーブ11Yの回転に伴ってドクターブレード13Yとの対向位置を通過する際に適正な層厚に規制されてから、感光体3Yに対向する現像領域に搬送される。そして、現像スリーブ11Yに印加される現像バイアスと、感光体3Yの静電潜像との電位差によってYトナーを静電潜像上に転移させて現像に寄与する。更に、現像スリーブ11Yの回転に伴って再び現像部9Y内に戻り、マグネットローラ12Yの磁極間に形成される反発磁界の影響によってスリーブ表面から離脱した後、攪拌部5Y内に戻される。攪拌部5Y内には、トナー濃度センサ8Yによる検知結果に基づいて、現像剤に適量のトナーが補給される。
【0029】
ドラムクリーニング装置18Yとしては、ポリウレタンゴム製のクリーニングブレード20Yを感光体3Yに押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。クリーニング性を高める目的で、本複写機では、外周面を感光体3Yに接触させるファーブラシ19Yを、図中矢印方向に回転自在に有する方式のものを採用している。このファーブラシ19Yは、図示しない固形潤滑剤から潤滑剤を掻き取って微粉末にしながら感光体3Y表面に塗布する役割も兼ねている。
【0030】
ファーブラシ19Yに付着したトナーは、ファーブラシ19Yに対してカウンタ方向に接触して回転しながらバイアスが印加される電界ローラ21Yに転位する。そして、スクレーパ22Yによって電界ローラ21Yから掻き取られた後、回収スクリュウ23Y上に落下する。
【0031】
回収スクリュウ23Yは、回収トナーをドラムクリーニング装置18Yにおける図紙面と直交する方向の端部に向けて搬送して、外部のリサイクル搬送装置に受け渡す。図示しないリサイクル搬送装置は、受け渡されたトナーを現像装置4Yに送ってリサイクルする。
【0032】
除電ランプ17Yは、光照射によって感光体3Yを除電する。除電された感光体3Yの表面は、帯電ローラ16Yによって一様に帯電せしめられた後、上述した光書込ユニットによる光走査が施される。なお、帯電ローラ16Yは、図示しない電源から帯電バイアスの供給を受けながら回転駆動するものである。かかる帯電ローラ16Yを用いる帯電方式に代えて、感光体3Yに対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ方式を採用してもよい。
【0033】
先に示した図2において、4つのプロセスユニット2Y,M,C,Kの感光体3Y,M,C,Kの表面には、これまで説明してきたプロセスによってY,M,C,Kトナー像が形成される。
【0034】
4つのプロセスユニット2Y,M,C,Kの下方には、転写手段としての転写ユニット60が配設されている。この転写ユニット60は、複数のローラによって張架した像担持体たる中間転写ベルトを、感光体3Y,M,C,Kに当接させながら、何れか1つのローラの回転駆動によって図中時計回り方向に無端移動させる。これにより、感光体3Y,M,C,Kと中間転写ベルト61とが当接するY,M,C,K用の1次転写ニップが形成されている。
【0035】
Y,M,C,K用の1次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された1次転写ローラ62Y,M,C,Kによって中間転写ベルト61を感光体3YY,M,C,Kに向けて押圧している。これら1次転写ローラ62Y,M,C,Kには、それぞれ図示しない電源によって1次転写バイアスが印加されている。これにより、Y,M,C,K用の1次転写ニップには、感光体3Y,M,C,K上のトナー像を中間転写ベルト61に向けて静電移動させる1次転写電界が形成されている。
【0036】
図中時計回り方向の無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト61のおもて面には、各1次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト61のおもて面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0037】
中間転写ベルト61の図中下方には、当接部材としての2次転写対向ローラ72が配設されており、これは中間転写ベルト61における2次転写ローラ68に対する掛け回し箇所にベルトおもて面から当接して2次転写ニップを形成している。これにより、中間転写ベルト61のおもて面と、2次転写対向ローラ72とが当接する2次転写ニップが形成されている。
【0038】
中間転写ベルト61のループ内において、転写バイアス部材としての2次転写ローラ68には、図示しない2次転写電源回路により、トナーの正規帯電極性と同極性(本例では負極性)の2次転写バイアスが印加されている。一方、ベルトのおもて面に当接しながら2次転写ニップを形成している2次転写対向ローラ72は、接地されている。これにより、2次転写ニップ内には、負極性のトナーをベルト側から2次転写対向ローラ72側に向けて静電移動させる2次転写電界が形成されている。
【0039】
2次転写ニップの図中右側方には、図示しない上述のレジストローラ対が配設されており、ローラ間に挟み込んだ記録紙を中間転写ベルト61上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで2次転写ニップに送り出す。2次転写ニップ内では、中間転写ベルト61上の4色トナー像が2次転写電界やニップ圧の影響によって記録紙に一括2次転写され、記録紙の白色と相まってフルカラー画像となる。
【0040】
2次転写ニップを通過した中間転写ベルト61のおもて面には、2次転写ニップで記録紙に転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、中間転写ベルト61に当接するベルトクリーニング装置75によってクリーニングされる。
【0041】
先に示した図1において、2次転写ニップを通過した記録紙は、中間転写ベルト61から離間して、搬送ベルトユニット39に受け渡される。この搬送ベルトユニット39は、無端状の搬送ベルト40を駆動ローラ41と従動ローラ42とによって張架しながら、駆動ローラ41の回転駆動によって図中反時計回り方向に無端移動せしめる。そして、2次転写ニップから受け渡された記録紙をベルト上部張架面に保持しながら、ベルトの無端移動に伴って搬送して定着ユニット43に受け渡す。
【0042】
定着ユニット43は、駆動ローラと、発熱源を内包する加熱ローラとによって張架した定着ベルトを駆動ローラの回転駆動に伴って図中時計回り方向に無端移動せしめている。そして、定着ベルトの下方に配設された加圧ローラ45を定着ベルトの下部張架面に当接させて定着ニップを形成している。定着ユニット43に受け入れられた記録紙は、この定着ニップ内で加圧されたり加熱されたりすることで、表面上のフルカラー画像が定着せしめられる。そして、定着ユニット43内から切換爪49に向けて送り出される。
【0043】
切換爪49は、図示しないソレノイドによって揺動するようになっており、その揺動に伴って、記録紙の搬送路を排紙路と反転路とで切り換える。切換爪49によって排紙路が選択されていると、定着ユニット43内から送り出された記録紙は、排紙路と排紙ローラ対47とを経由した後、機外に排出されて排紙トレイ48上にスタックされる。
【0044】
定着ユニット43や搬送ベルトユニット39の下方には、スイッチバック装置46が配設されている。切換爪49によってスイッチバック路が選択されていると、定着ユニット43内から送り出された記録紙は、反転路を経由して上下反転せしめられた後、スイッチバック装置46に送られる。そして、再び2次転写転写ニップに進入して、もう片面にも画像の2次転写処理と定着処理とが施される。
【0045】
プリンタ部1の上に固定されたスキャナ160は、図示しない原稿の画像を読み取るための読取手段として、固定読取部161と、移動読取部162とを有している。光源、反射ミラー、CCD等の画像読取センサなどを有する固定読取部161は、原稿に接触するようにスキャナ160のケーシング上壁に固定された図示しない第1コンタクトガラスの直下に配設されている。そして、ADF170によって搬送される原稿が第1コンタクトガラス上を通過する際に、光源から発した光を原稿面で順次反射させながら、複数の反射ミラーを経由させて画像読取センサで受光する。これにより、光源や反射ミラー等からなる光学系を移動させることなく、原稿を走査する。
【0046】
一方、移動読取部162は、原稿に接触するようにスキャナ160のケーシング上壁に固定された図示しない第2コンタクトガラスの直下に配設されており、光源や、反射ミラーなどからなる光学系を図中左右方向に移動させることができる。そして、光学系を図中左側から右側に移動させていく過程で、光源から発した光を第2コンタクトガラス上に載置された図示しない原稿で反射させた後、複数の反射ミラーを経由させて、スキャナ本体に固定された画像読取センサで受光する。これにより、光学系を移動させながら、原稿を走査する。
【0047】
次に、本実施形態の特徴点である冷却装置について実施例1乃至4に基づき説明する。
複写機内には、定着ユニット43や不図示の電源装置、光書込ユニット50、現像装置4Y〜4Kなど、稼動時に熱を発生する部材やユニットが多く設置されている。一方で、熱を発生する部材の周辺には、感光体3Y〜3Kや現像装置4Y〜4Kなどの熱を嫌う部材がある。これは、温度の高い雰囲気下では感光体や現像装置内のトナー等の特性が変化して良好な画像が得られなくなるため、感光体3Y〜Kや現像装置4Y〜4K周囲の温度上昇箇所を、冷却しなければならない。
【0048】
[実施例1]
図2は、実施例1の冷却装置80の概略構成図である。
図に示すように、冷却装置80は、温度上昇箇所である現像装置4Y〜4Kと接触して、冷却液が現像装置から熱を受ける受熱部82Y〜82Kと、各現像装置に対応して設けられ、現像装置4Y〜4Kを冷却するための液体を冷却する冷却手段81Y〜81Kと、受熱部82Y〜82Kを直列に連結して、冷却液を内包する冷却管83と、冷却液を冷却管内で循環させるための搬送手段たる冷却ポンプ84とを有している。
【0049】
冷却液は、水を主成分とし、冷却液の凍結温度を下げるためにプロピレングリコールやエチレングリコールなどを添加したり、金属の構成部品の錆を防ぐために防錆剤(例えば、リン酸塩系物質:リン酸カリ塩、無機カリ塩等)を添加したりしたものである。
【0050】
冷却手段81Y〜81Kは、放熱手段たるラジエータ81aY〜81aKと冷却ファン81bY〜81bKとで構成され、ラジエータ81aY〜81aKは、良熱伝導性部材で形成された流路と、この流路に接続される良熱伝導性部材で形成されたフィンとを備えている。ラジエータ81aY〜81aKとしては、コルゲートフィンタイプを好適に用いることができ、ラジエータ81aY〜81aKは、複写機の外装材の外側に配置される。冷却手段81Y〜81Kは、ラジエータ81aY〜81aKの流路およびフィンの周辺に冷却ファンに81bY〜81bKよって気流を発生させ強制対流熱伝導により冷却する。複写機の外装材の外側に配置することによって、装置内部よりも温度の低い外気をラジエータの流路やフィンに当てることができ、ラジエータの冷却効率を上げることができる。また、冷却手段を外装材の内側に配置し、ダクトを設けて、装置内の比較的低温の空気や外気を取り込んで、ラジエータに当てるようにしてもよい。
【0051】
図5は、受熱部82Yの概略構成図であり、図6は、現像装置4Yに受熱部82Yを固定した様子を示す概略斜視図である。
図5に示すように、受熱部82Yは、良熱伝導性部材で形成されたケース82aY内部に良熱伝導性部材で形成された流路82bYが設けられている。そして、図6に示すように現像装置4Yのケース外周面に当接している。
なお、他の受熱部82C〜82Kも同様な構成となっている。
【0052】
各現像装置4Y〜4Kには、温度検知手段たる温度検知センサ91Y〜91Kが設けられている。
また、冷却ファン81bY〜81bKは、制御手段である制御部200に接続されており、制御部200は、温度検知センサ91Y〜91Kが検知した現像装置の温度に基づいて各冷却ファンの回転数を制御し、ラジエータ81aY〜81aKの冷却効率を制御している。具体的には、温度検知センサ91の検知の結果、現像装置4の温度が所定値以上の場合は、冷却ファン81bの回転数を上げて、ラジエータ81aの冷却効率を上げて、冷却液の温度を下げる。
【0053】
冷却ポンプ84により送り出された冷却液は、Y用の現像装置4Yに対応するY用ラジエータ81Yによって冷却される。Y用のラジエータ81Yによって冷却された冷却液は、Y用の受熱部82Yに流入して、Y用受熱部82Yの管路内を移動しながら、現像装置4Yの熱を奪って現像装置4Yを冷やす。Y用受熱部82Yで温度上昇した冷却液は、M用の現像装置4Mに対応するM用ラジエータ81Mによって冷却され、M用の受熱部82MでM用現像装置4Mを冷却する。M用の受熱部82で温度上昇した冷却液は、C用の現像装置4Cに対応するC用ラジエータ81Cによって冷却され、C用の受熱部82CでC用の現像装置4Cを冷やす。C用受熱部82Cで温度上昇した冷却液は、K用の現像装置4Kに対応するK用ラジエータ81Kによって冷却され、K用の受熱部82KでK用の現像装置4Kを冷却する。そして、再び冷却ポンプ84によってY用ラジエータ81Yに搬送され、K用の受熱部82で温度上昇した冷却液は、Y用ラジエータ81Yによって冷やされる。
【0054】
この実施例1の冷却装置80においては、温度上昇箇所である現像装置それぞれに対応して冷却手段81Y〜81Kが設けられている。そして、現像装置4に対応する冷却手段を、対応する現像装置よりも冷却液移動方向上流側に隣接配置している。これにより、冷却手段から流れた冷却液が対応する現像装置の受熱部に流れるまでの間に、対応しない受熱部に流れることがない。これにより、冷却手段が対応する現像装置の温度に基づいて冷却された冷却液が対応しない現像装置の熱で温度上昇することがない。よって、冷却手段は、この対応しない現像装置による冷却液の温度上昇を加味して冷却液を冷やす必要がないので、冷却手段の冷却ファンの回転数が少なくて済み、冷却ファンを回転させるファンモータの回転音や、冷却ファンの風切り音が小さくて済み、装置騒音を抑制することができる。また、放熱面積が大きく、冷却効率の高いラジエータを用いずとも、十分に冷却液を冷やすことができ、冷却手段を小型化することができる。
また、現像装置の温度に基づいて、この現像装置に対応する冷却手段の冷却効率を制御しているので、現像装置が過剰に冷却されるのを防止することができ、現像装置内で結露が発生して、現像装置内部でトナーが結露による水滴で凝集するのを防止することができる。
また、液冷で各現像装置を冷却しているので、空冷で各現像装置を冷却するものに比べて、各現像装置を効率よく冷却でき、装置の温度上昇を十分に抑制することができる。
【0055】
また、上述においては、冷却手段81Y〜81K、受熱部82Y〜82Kを直列に連結しているが、図7に示すように並列に配置してもよい。
このように並列配置した場合は、分岐後の各冷却管に流れる流量が少ない。このため、各冷却手段は、冷却効率をあまり高めなくても、温度上昇箇所を冷却するのに十分な温度に冷却液を冷却することができる。よって、冷却手段の冷却ファンの回転数が少なくて済み、冷却ファンを回転させるファンモータの回転音や、冷却ファンの風切り音が小さくて済み、装置騒音を抑制することができる。また、放熱面積が大きく、冷却効率の高いラジエータを用いずとも、十分に冷却液を冷やすことができ、冷却手段を小型化することができる。
また、並列に配置した場合は、各受熱部82Y〜82Kに流れる冷却液の流量にばらつきが生じ、各受熱部における冷却効率が異なる。しかし、図7においては、各現像装置に対応して冷却手段を設けているので、冷却液の流量が少ないところにおいては、冷却手段の冷却効率を高めて、受熱部に流れる冷却液を他より冷やす。これにより、冷却液の流量が少ない受熱部に対応する現像装置の温度上昇も良好に抑制することができる。一方、冷却液の流量が多いところは、冷却手段の冷却効率を他よりも下げて、受熱部に流れる冷却液の温度を他よりも上げることで、多くの冷却液が流れる受熱部に対応する現像装置が冷やされすぎるのを防止することができる。
【0056】
[実施例2]
次に、実施例2について説明する。
定着装置や、電源装置、駆動モータなどの発熱源に近い現像装置は、他の現像装置よりも温度上昇しやすい。このため、他の現像装置よりも温度上昇しやすい現像装置に対応する冷却手段は、他の現像装置に比べて冷却効率を上げる必要がある。
図8は、一般的なラジエータにおける空気流量と熱抵抗との関係を示すグラフである。なお、熱抵抗とは、流入空気温度をTa[℃]、流入冷却液温度をTw[℃]、空気と冷却液との交換熱量をQ[W]とすると、(Tw−Ta)/Q[℃/W]で表すことができるものである。すなわち、熱抵抗が小さいほどラジエータの冷却効率が高いことを意味している。
図8に示すように、空気流量が増えれば、ラジエータの冷却効率は高くなるが、空気流量が多くなるにつれて、熱抵抗の低下率が小さくなってしまう。すなわち、冷却ファンの回転数が多くなるにつれて、ラジエータの冷却効率があまり高まらない。このため、他の現像装置よりも温度上昇しやすい現像装置に対応する冷却ファンの回転数は、他の現像装置に対応する冷却ファンの回転数に比べて、非常に多い回転数で回転することなる。その結果、他の現像装置よりも温度上昇しやすい現像装置に対応する冷却ファンの風切り音や、冷却ファンの駆動モータなどの騒音が大きくなってしまうという不具合が生じる。
【0057】
そこで、実施例2においては、他の現像装置よりも温度上昇しやすい現像装置に対応する冷却手段と、それ以外の冷却手段とを用いて、他の現像装置よりも温度上昇しやすい現像装置を冷却するよう制御するようにしたものである。
【0058】
実施例2における冷却装置の構成は、図4に示した冷却装置と同様の構成である。
図9は、実施例2の冷却装置における制御フローである。なお、実施例2においては、K用の現像装置を例にして説明する。
図9に示すように、制御部200は、まず、K用現像装置4Kが稼動したら、K用現像装置内の温度を温度検知センサ91Kで検知し、検知した現像剤温度(現像装置内温度)が、第1閾値か否かをチェックする(S1)。第1閾値以下(S1のNO)の場合は、制御部200は、K用冷却ファン81bKを初期回転数に設定する(S5)。
一方、現像剤温度(現像装置内温度)が、第1閾値を超えている(S1のYES)場合は、制御部200は、現像剤温度(現像装置温度)が第2閾値を超えているか否かをチェックする(S2)。第2閾値を超えている(S2のYES)場合、現像剤温度(現像装置温度)が第3閾値を超えているか否かをチェックする(S3)。現像剤温度(現像装置温度)が第3閾値を超えている(S3のYES)場合は、現像装置内のトナーが溶融して現像ムラなどを引き起こす可能性があるので、装置の異常であることをユーザーに報知するとともに、K用現像装置の稼動を停止する(S4)。
【0059】
一方、現像剤温度(現像装置温度)が第3閾値以下(S3のNO)の場合は、K用冷却ファン81bKの回転数を初期回転数から10[%]増加した回転数に設定するとともに、K用ラジエータ81Kよりも冷却液移動方向上流側のC用ラジエータ81aCを冷やすためのC用冷却ファン81bCの回転数を初期回転数よりも10[%]増加した回転数に設定する(S9)。これにより、現像剤温度が、第2閾値を超え、第3閾値以下の場合、K用ラジエータ81aKとC用ラジエータ81aCとの冷却効率が高められる。C用ラジエータ81aCの冷却効率を高めることで、C用ラジエータ81aCから流出する冷却液の温度が低くなる。C用現像装置4Cの発熱量は変わらないので、C用受熱部82Cを通過した冷却液の温度は、C用ラジエータ81aCの冷却効率を高めた分低くなっている。その結果、K用ラジエータ81aKに温度の低い冷却液が流入するので、K用冷却ファン81bKのみを初期回転数に比べて10%増加させた場合に比べて、K用ラジエータ81bKから流出する冷却液の温度が低くなる。従って、K用受熱部82Kにより温度の低い冷却液を流入させることができ、K用現像装置4Kを良好に冷やすことができる。なお、C用ラジエータ81aCの冷却効率を高める結果、C用現像装置4Cが冷却ファン81bC初期回転数で駆動させた場合に比べて、冷やされてしまうが、結露が生じるほどC用現像装置4Cが冷やされてしまうことはない。
また、第2閾値を超えていない(S2のNO)場合、K用冷却ファン81bKの回転数を初期回転数から10[%]増加した回転数に設定する(S6)。また、C用冷却ファン81bCの回転数が初期回転数よりも10[%]増加した回転数に設定されており、初期回転数で回転していない(S7のNO)場合は、C用冷却ファン81bCの回転数を初期回転数に戻す(S8)。
【0060】
このように、実施例2においては、K用現像装置4Kが温度上昇した場合に、K用現像装置4Kに対応するK用冷却手段81Kのみで対応するのではなく、K用冷却手段81Kよりも冷却液移動方向上流側のC用現像装置4Cに対応するC用冷却手段とK用冷却手段とを用いてK用現像装置の温度上昇を抑制する。
【0061】
本発明者らは、K用現像装置4Kが他の現像装置に比べて発熱量を3[W]大きくして、K用現像装置4Kの温度上昇をK用冷却手段81Kのみで抑制した場合と、実施例2のように、K用現像装置4Kの温度上昇が第2閾値を超えたときK用冷却手段81KとC用冷却手段81CとでK用現像装置4Kの温度上昇を抑制した場合とでK用冷却ファン81bKの回転数について調べた。その結果、K用冷却手段81Kのみで抑制した場合は、K用冷却ファン81bKの回転数が最大で初期回転数に比べて30%増加した。一方、実施例2においては、K用冷却手段81KとC用冷却手段81Cとがそれぞれ初期回転数に対して10%増加で良好にK用現像装置4Kの温度上昇を抑制することができた。これにより、K用現像装置4Kの温度上昇をK用冷却手段のみで抑制した場合に比べて、冷却ファン81bKの風切り音などの騒音や、消費電力を抑えることができた。
【0062】
上述においては、第1閾値を超えたときにK用冷却ファン81bKの回転数を初期回転数の10[%]増加させ、第2閾値を超えたときは、K用およびC用の冷却ファン81bK、81cKの回転数を初期回転数の10[%]増加させているが、K用現像装置4Kの発熱量に基づいて適宜設定すればよい値である。
また、上述においては、第1閾値、第2閾値、第3閾値の3つの閾値で制御を異ならせているが、更に細かく閾値を設定して制御してもよい。例えば、第1閾値を超えたら、K用冷却ファン81bKの回転数を初期回転数に対して5[%]増加させ、第2閾値を超えたら、K用冷却ファン81bKの回転数を初期回転数に対して10[%]増加させる。そして、第3閾値を超えたら、C用冷却ファン81bCの回転数を初期回転数に対して5[%]増加させ、第4閾値を超えたら、C用冷却ファン81bKの回転数を初期回転数に対して10[%]増加させるように、冷却ファンの回転数を段階的に増加させるよう制御してもよい。また、第1閾値を超えるまでは、K用冷却ファン81bKの回転数をK用現像装置4Kの温度に応じて連続的に制御し、第2閾値を超えるまでは、C用冷却ファン81bCの回転数をK用現像装置4Kの温度に応じて連続的に制御してもよい。
【0063】
また、上述においては、第2閾値を超えたとき、K用冷却手段81Kに対してひとつ上流側に設けられたC用冷却手段81Cを用いているが、例えば、C用冷却ファン81bCを初期回転数に対して5[%]増加させ、C用冷却手段81Cよりも上流側のM用冷却手段の冷却ファン81bMの回転数を5[%]増加させるよう制御してもよい。また、第2閾値を超えたとき、K用冷却手段81Kに対してひとつ上流側に設けられたC用冷却手段81Cの冷却ファン81bCの回転数を増加させ、第3閾値を超えたら、M用冷却手段81Mの冷却ファン81bMの回転数を増加させるよう制御してもよい。もちろん、第2閾値を超えたとき、Y、M、C3つの冷却手段の冷却ファン81bY,81bM,81bCの回転数をそれぞれ所定量増加させるよう制御してもよい。
【0064】
また、Y、M、C用の現像装置4Y,4M,4Cの冷却に関しても、同様な制御を行ってもよい。すなわち、C用の現像装置4Cの温度が第1閾値を越えたときは、C用冷却手段の冷却ファン81bCを初期回転数に対して10[%]増加させ、C用の現像装置4Cの温度が第2閾値を越えたときは、M用冷却手段81Mの冷却ファン81bMを初期回転数に対して10[%]増加させる。また、例えば、K用現像装置4Kの温度が第2閾値を越えたとき、C用現像装置4Cの温度が第1閾値を越えて、C用冷却手段81Cの冷却ファン81bCが既に初期回転数に対して10[%]増加しているときは、C用冷却手段81Cよりも更に上流側のM用冷却手段81Mの冷却ファン81bMの回転数を初期回転数に対して10[%]増加させたり、K用冷却手段81Kの冷却ファン81bKを初期回転数に対して20[%]増加させたりしてもよい。
【0065】
また、上述では、温度センサで現像装置内の温度に基づいて各冷却手段の冷却ファンを駆動制御しているが、図10に示すように、受熱部を通過した冷却液の温度を検知する冷却液温度検知手段たる冷却液温度検知センサ191Y〜191K設け、制御部200は、冷却液温度検知センサ191Y〜191Kが検知した受熱部を通過した冷却液の温度に基づいて、現像装置の温度を推測し、推測した現像装置の温度に基づいて各冷却手段81Y〜81Kの冷却ファン81bY〜81aYの駆動を制御してもよい。
【0066】
[実施例3]
次に、実施例3について説明する。
この実施例3は、温度検知センサを無くして、予め現像装置の温度と稼動時間との関係を実験などで調べておき、現像装置の稼動時間に基づいて、現像装置の温度を推測して、各冷却手段81Y〜81Kの冷却ファン81bY〜81bKを制御するものである。
図11は、フルカラー画像形成時における各冷却手段の冷却ファン81bY〜81bKの制御シーケンス図である。なお、図中縦軸は冷却ファンの回転数であり、横軸は時間である。また、図11は、M色の現像装置4Mが他のユニットから発生した熱の影響を受けて、他の現像装置よりも温度上昇が大きい場合における制御シーケンス図である。
図に示すように、複写機がフルカラー画像を形成すべく、Y,M,C,Kの現像装置を稼動したら、Y,M,C,Kの冷却手段の冷却ファン81bY〜81bKを初期回転数で回転させる。各冷却手段の冷却ファン81bY〜81bKの回転数の大小関係は、Y用冷却ファン81bYの初期回転数をR1−1、M用冷却ファン81bMの初期回転数をR2−1、C用冷却ファン81bCの初期回転数をR3−1、K用冷却ファン81bKの初期回転数をR4−1としたとき、R1−1=R3−1=R4−1<R2−1としている。すなわち、この実施例3においては、M用現像装置4Mの温度上昇が他の現像装置よりも大きいので、M用冷却ファン81bMの初期回転数R2−1を他の冷却ファンの初期回転数よりも大きくしている。
【0067】
M用現像装置4MがT1秒以上連続稼動した場合、M用現像装置4Mの温度が第2閾値を越えることが推測されるので、M用冷却手段81Mよりも上流側のY用冷却手段81Yの冷却ファン81bYの回転数を初期回転数R1−1からR1−2に増加させる。このように、実施例3においても、M用現像装置4Mの温度が閾値よりも高くなった場合は、M用冷却手段よりも上流側のY用冷却手段の冷却効率を上げて、M用現像装置4Mの温度上昇を抑制することで、M用冷却手段のみで対応する場合に比べて、冷却ファンの風切り音などの騒音や、消費電力を抑えることができる。
【0068】
フルカラー画像の形成が終了し、Y,M,C,Kの現像装置の稼動が停止したら、Y,M,C,Kの冷却ファン81bY〜81bKの回転数を落とす。なお、このときの各冷却ファンの回転数の大小関係は、Y用冷却ファン81bYの初期回転数をR1−3、M用冷却ファン81bMの初期回転数をR2−3、C用冷却ファン81bCの初期回転数をR3−3、K用冷却ファン81bKの初期回転数をR4−3としたとき、R1−3=R3−3=R4−3<R2−3としている。これは、M用現像装置は他のユニットからの熱の影響を受けているので、M用冷却ファン81bMの回転数を他の冷却ファンと同じとした場合、他の現像装置に比べて温度が高くなる。よって、M用冷却ファン81bMの回転数を他の冷却ファンの回転数よりも多くして、M用ラジエータ81aMの冷却効率を他のラジエータよりも高くして、M用現像装置を他の現像装置に比べて冷やして、M用現像装置の温度を他の現像装置の温度と同程度になるようにしている。
【0069】
現像装置の稼動終了後、T3秒経過したら、M用冷却ファン81bMの回転数を、R2−3から、R2−4に落として、M用冷却ファン81bMの回転数を、他の冷却ファンの回転終了後における回転数と同じ回転数にする。これは、M用現像装置4Mに熱の影響を与えるユニットの温度が下がり、M用現像装置4Mに熱を与えなくなり、M用現像装置4Mの温度低下が、他の現像装置と同じなる。よって、M用冷却ファン81bMの回転数がR2−3のままだと、M用現像装置4Mが他の現像ユニットよりも温度が低くなる。よって、M用冷却ファン81bMの回転数を他の冷却ファンの回転数と同じとすることで、M用現像装置4Mの温度を他の現像装置の温度と同程度にすることができる。
【0070】
そして、現像装置の稼動終了後、T2秒経過したら、Y,M,C,Kの冷却ファンの駆動を停止する。
【0071】
次に、モノクロ画像を形成するときにおける冷却手段81Y〜81Kの冷却ファンの駆動制御について説明する。
図12は、モノクロ画像を形成時における各冷却手段81Y〜81Kの冷却ファンの制御シーケンス図である。
モノクロ画像の場合は、Y、M、Cの現像装置は、稼動を停止しているため、発熱することがなく、K用の現像装置のみ現像剤の攪拌などにより発熱する。また、M用現像装置は、YやCの現像装置よりも他のユニットからの熱の影響を大きく受けYやCの現像装置よりも温度上昇する。
このため、モノクロ画像形成開始時における各冷却手段の冷却ファンの初期回転数の大小関係は、R1’−1=R3’−1<R2’−1<R4’−1となる。なお、R1’−1は、Y用冷却ファン81bYの初期回転数であり、R2’−1は、M用冷却ファン81bMの初期回転数であり、R3’−1は、C用冷却ファン81bCの初期回転数であり、R4’−1は、K用冷却ファン81bKの初期回転数である。
また、図12からわかるように、各冷却ファンの初期回転数は、フルカラー画像形成時の初期回転数よりも少なくしている。これは、Y、M、Cの現像装置は、稼動していないため、現像剤攪拌時の摩擦熱などが発生しないためY、M、Cの現像装置の発熱量は、フルカラー画像形成時に比べて低くなるため、温度上昇が緩やかになる。また、K用現像装置もK用現像装置に隣接するC用現像装置の熱の影響をほとんど受けないため、フルカラー画像形成時に比べて温度上昇が緩やかになる。このため、フルカラー画像形成時と同じ初期回転数で各冷却ファンを回転させた場合は、各現像装置が冷やされすぎて、結露などが生じるおそれがある。よって、モノクロ画像形成時の各冷却ファンの初期回転数を、フルカラー画像形成時の初期回転数よりも少なくしているのである。
【0072】
そして、モノクロ画像形成中は、各冷却ファンは一定速度で回転し、モノクロ画像形成終了後、各冷却ファンの回転数をR1’−2,R2’−2,R3’−2,R4’−2に落とす。なお、このときの各冷却ファンの回転数は、R1’−2=R2’−2=R3’−2=R4’−2である。
【0073】
[実施例4]
次に、実施例4について説明する。
図13は、実施例4の冷却装置の概略構成図である。
上記実施例1〜3においては、温度上昇箇所である現像装置ひとつずつに対応して冷却手段が設けられているが、この実施例4の冷却装置においては、冷却手段を2つの現像装置に対応させたものである。
【0074】
この実施例4の冷却装置における冷却ファンの駆動制御は、例えば、K用現像装置とM用現像装置とが他のユニットからの熱の影響を受けて、C用現像装置、Y用現像装置に比べて温度上昇しやすい場合、次のような制御となる。
まず、各現像装置が稼動したら、制御部は、Y用現像装置とM用現像装置とに対応する冷却手段81YMの冷却ファン81bYMおよびC用現像装置とK用現像装置とに対応する冷却手段81CKの冷却ファン81bCKを初期回転数で回転させる。
【0075】
C用現像装置、K用現像装置が他のユニットの熱の影響を受けて、いずれか一方の温度が第1の閾値を超えた場合は、冷却手段81CKの冷却ファン81bCKの回転数を初期回転数よりも10[%]増加させる。
さらに、C用現像ユニットおよびK用現像ユニットの両方の温度が第1の閾値を超えた場合は、冷却手段81CKよりも上流側の冷却手段81YMの冷却ファン81bYMの回転数を初期回転数に対して10[%]増加させる。C用現像ユニットおよびK用現像装置の両方の温度が第1の閾値を超えた状態からいずれか一方の温度が第1の閾値となった場合は、冷却手段81YMの冷却ファン81bYMの回転数を初期回転数に戻す。そして、C用現像ユニットおよびK用現像ユニットのいずれか一方の温度が第1の閾値を超えた状態から両方の温度が第1の閾値以下となったら、冷却手段81CKの冷却ファン81bCKの回転数を初期回転数に戻す。
【0076】
この実施例4においても、実施例3のように各現像装置の稼動時間からC用現像ユニットおよびK用現像装置の温度を推測して、冷却手段81YMの冷却ファン81bYMの回転数および冷却手段81CKの冷却ファン81bCKの回転数を制御してもよい。また、受熱部を通過した冷却液の温度を冷却液温度検知センサで検知して、この冷却液温度センサの検知結果から、現像装置の温度を推測して、冷却手段81YMの冷却ファン81bYMの回転数および冷却手段81CKの冷却ファン81bCKの回転数を制御してもよい。また、Y用現像装置とM用現像装置の冷却に関しても、同様な制御を行ってもよい。
【0077】
また、実施例1ないし4においては、装置の温度上昇箇所として現像装置を冷却する冷却装置について説明したが図14に示すように、装置内の温度上昇箇所として、電源装置、駆動ユニット、定着装置などを冷却してもよい。
この冷却装置は、電源装置の温度上昇箇所に取り付けた第1受熱部184と、駆動ユニットの温度上昇箇所に取り付けた第2受熱部185と、定着装置の温度上昇箇所に取り付けた第3受熱部186とを有している。
また、第1受熱部184よりも上流側には、電源装置の温度上昇箇所に対応する第1冷却手段181が設けられており、第1受熱部184と第2受熱部185との間には、駆動ユニットの温度上昇箇所に対応する第2冷却手段182が設けられており、第2受熱部185と第3受熱部186との間には、定着装置の温度上昇箇所に対応する第3冷却手段183が設けられている。冷却液を内包する冷却管188は、ポンプ187を基点として、第1冷却手段181、第1受熱部184、第2冷却手段182、第2受熱部185、第3冷却手段183、第3受熱部186の順で直列に連結している。
図示しない制御部は、電源装置の温度上昇箇所の温度に基づいて、第1冷却手段181の冷却ファン181bの回転数を制御し、駆動ユニットの温度上昇箇所の温度に基づいて、第2冷却手段182の冷却ファン182bの回転数を制御し、定着装置の温度上昇箇所の温度に基づいて、第3冷却手段183の冷却ファン183bの回転数を制御する。
また、不図示の制御部は、定着装置の温度上昇箇所(例えば、定着装置のケース)の温度が閾値を超えたときは、駆動ユニットに対応する第2冷却手段182の冷却ファン182bの回転数を上げて、第2冷却手段182の冷却効率上げる。これにより、第3受熱部186に流れる冷却液の温度が低下し、定着装置の温度上昇箇所の温度上昇を抑制することができる。これにより、装置内温度の上昇や、定着装置近傍に配置された現像装置や感光体の温度上昇を抑制することができる。
【0078】
また、上述では、冷却手段は、ラジエータと冷却ファンとで構成しているが、冷却手段をペルチェ素子と、放熱手段たるペルチェ素子冷却フィンと、冷却ファンとで構成してもよい。
【0079】
以上、本実施形態の冷却装置は、画像形成装置内の複数の温度上昇箇所であるY,M,C,K用の現像装置を冷却するための冷却液を冷却する冷却手段と、各現像装置にそれぞれ設けられ、冷却液が現像装置の熱を受ける受熱部と、冷却液を内包し、複数の受熱部を並列または直列に連結し、内包した冷却液が受熱部と冷却手段とを循環するように配管された冷却管と、冷却管内の冷却液を複数の受熱部に搬送するための搬送手段たるポンプとを備えている。
また、冷却手段を複数設け、各冷却手段を、少なくとも一つの現像装置に対応させ、各冷却手段を、それぞれ対応する現像装置の温度に基づいて制御する制御手段たる制御部を設けている。
このように構成することで、ひとつの冷却手段で全ての現像装置の温度上昇を抑制するものに比べて、ひとつの冷却手段が温度上昇を抑制するための現像装置の個数を減らすことができる。その結果、それぞれの冷却手段の冷却効率は低くても、全ての現像装置の温度上昇を良好に抑制することができる。その結果、ひとつの冷却手段で全ての現像装置の温度上昇を抑制するものに比べて、放熱面積が大きくなく冷却効率のあまり高くない小型のラジエータを用いることができ、冷却装置を小型化することが可能となる。また、冷却ファンの回転数を抑えることができ、冷却ファンの風切り音による騒音を抑制することができる。
また、液冷方式で各現像装置を冷却するので、空冷方式で冷却するものに比べて、効率よく各現像装置を冷却することができる。
また、複数の受熱部を並列または直列に連結し、ひとつのポンプで各受熱部に冷却液を搬送しているので、現像装置毎にポンプと受熱部と冷却手段と、冷却管とからなる冷却装置を設けたものに比べて、装置を安価にすることができる。
【0080】
また、冷却手段で冷却された冷却液が、対応する温度上昇箇所に設けられた受熱部に流れるまでの間に、対応しない温度上昇箇所に設けられた受熱部に流れないよう、冷却管を構成している。このように構成することで、各受熱部には、冷却手段で受熱部と対応する現像装置の温度上昇を抑えるのに十分な温度に冷却された冷却液を流すことができる。よって、温度上昇箇所を良好に冷やすことができる。
【0081】
また、実施例2においては、各受熱部を直列に連結した冷却装置において、現像装置が所定の温度以上となったとき、この温度上昇箇所に対応する冷却手段よりも冷却液移動方向上流側の冷却手段の冷却効率を高めるよう制御する。これにより、ある現像装置が他の現像装置に比べて、温度が高くなり、この現像装置に対応する冷却手段だけでは十分な冷却効果が得難くなっても、冷却に余裕度のある冷却液移動方向上流側の冷却手段の冷却効率を高めることで、他の現像装置よりも温度が高くなった現像装置を良好に冷やすことができる。
【0082】
特に、冷却手段が対応する温度上昇箇所が第1の温度以上となったとき、この冷却手段の冷却効率を高めるよう制御し、ある冷却手段が対応する温度上昇箇所が第1の温度よりも高い第2の温度以上となったとき、この冷却手段よりも冷却液移動方向上流側の冷却手段の冷却効率を高めるようにすることで、現像装置に対応する冷却手段だけでは十分な冷却効果が得難くなったときに、冷却に余裕度のある冷却液移動方向上流側の冷却手段の冷却効率を高めることができる。
【0083】
また、各現像装置に温度検知手段たる温度検知センサを設け、これら温度検知センサの値に基づいて、各冷却手段を制御することで、現像装置の温度上昇を抑えるのに必要な温度に低下した冷却液を現像装置に設けられた受熱部に送ることができる。よって、現像装置の温度上昇を抑えるのに必要以上に温度に低下した冷却液が受熱部に送られて、現像装置が冷やされすぎたり、温度上昇を抑えるのに必要な温度にまで低下していない冷却液が受熱部に流れて、現像装置の温度上昇を抑制できなかったりするのを抑制することができる。
【0084】
また、画像形成装置の画像形成開始してからの経過時間に基づいて、各現像装置の温度を推測して、推測した各現像装置の温度に基づいて各冷却手段を制御してもよい。このように構成することで、温度検知センサを無くして、現像装置の温度上昇を抑えるのに必要な温度に低下した冷却液を現像装置に設けられた受熱部に送ることができ、装置のコストを安価にすることができる。
【0085】
また、現像装置を通過した冷却液の温度を検知する冷却液温度検知手段たる冷却液温度検知センサを設け、冷却液の温度に基づいて、各現像装置の温度を推測して、推測した各現像装置の温度に基づいて各冷却手段を制御してもよい。このように構成しても、現像装置の温度上昇を抑えるのに必要な温度に低下した冷却液を現像装置に設けられた受熱部に送ることができる。
【0086】
また、冷却手段は、冷却液の熱を放出する放熱手段たるラジエータと、ラジエータを冷却する冷却ファンとを有するので、冷却ファンの回転数を制御することで、容易に冷却手段の冷却効率を制御することができる。
【0087】
また、冷却装置は、複数の現像装置の温度上昇を抑制することで、現像装置内のトナーが溶融するのを抑制することができる。
【0088】
また、図12に示すように、稼動してない現像装置に対応する冷却部の冷却効率を、稼動中の現像装置に対応する冷却手段の冷却効率よりも低くすることで、稼動しておらず、発熱していない現像装置が過剰に冷やされてしまうのを抑制することができる。これにより、稼動していない現像装置に結露が生じるのを抑制することができる。
【0089】
また、他の現像装置に比べて、受熱量の多い現像装置に対応する冷却手段の冷却効率を、その他の冷却手段の冷却効率よりも高くすることで、受熱量の多い現像装置の温度上昇を良好に抑制することができる。
【符号の説明】
【0090】
4Y,4M,4C,4K:現像装置
81Y,81M,81C,81K:冷却手段
82Y,82M,82C,82K:受熱部
83:冷却管
84:ポンプ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0091】
【特許文献1】特開2006−171211号公報
【特許文献2】特開2007−206198号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被冷却部を冷却するための冷却液を冷却する冷却手段と、
各被冷却部にそれぞれ設けられ、前記冷却液が被冷却部の熱を受ける複数の受熱部と、
冷却液を内包し、複数の受熱部を並列または直列に連結し、内包した冷却液が前記受熱部と前記冷却手段とを循環するように配管された冷却管と、
前記冷却管内の冷却液を各受熱部へ搬送するための搬送手段とを備えた画像形成装置において、
前記冷却手段を複数有し、
各冷却手段を、少なくとも一つの前記被冷却部に対応させ、
当該画像形成装置の稼働状態に基づいて各冷却手段を制御する制御手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記被冷却部の稼動開始と稼働後所定時間後とで、前記冷却手段の冷却効率を異ならせることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
複数の前記受熱部および複数の前記冷却手段を直列に連結し、
少なくとも一つの前記被冷却部の温度が閾値よりも高くなった場合、当該被冷却部よりも冷却液搬送方向における上流側の被冷却部の冷却効率をあげることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
モノクロ画像形成のときは、カラー画像形成のときよりも前記冷却手段の冷却効率を下げることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の画像形成装置。
【請求項1】
複数の被冷却部を冷却するための冷却液を冷却する冷却手段と、
各被冷却部にそれぞれ設けられ、前記冷却液が被冷却部の熱を受ける複数の受熱部と、
冷却液を内包し、複数の受熱部を並列または直列に連結し、内包した冷却液が前記受熱部と前記冷却手段とを循環するように配管された冷却管と、
前記冷却管内の冷却液を各受熱部へ搬送するための搬送手段とを備えた画像形成装置において、
前記冷却手段を複数有し、
各冷却手段を、少なくとも一つの前記被冷却部に対応させ、
当該画像形成装置の稼働状態に基づいて各冷却手段を制御する制御手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記被冷却部の稼動開始と稼働後所定時間後とで、前記冷却手段の冷却効率を異ならせることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
複数の前記受熱部および複数の前記冷却手段を直列に連結し、
少なくとも一つの前記被冷却部の温度が閾値よりも高くなった場合、当該被冷却部よりも冷却液搬送方向における上流側の被冷却部の冷却効率をあげることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
モノクロ画像形成のときは、カラー画像形成のときよりも前記冷却手段の冷却効率を下げることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−8065(P2013−8065A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−223815(P2012−223815)
【出願日】平成24年10月9日(2012.10.9)
【分割の表示】特願2008−156679(P2008−156679)の分割
【原出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月9日(2012.10.9)
【分割の表示】特願2008−156679(P2008−156679)の分割
【原出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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