説明

画像生成装置、遊技機、及びプログラム

【課題】半透明オブジェクト同士が重なる場合でも、不自然な表示にならないようにする。
【解決手段】半透明オブジェクトのデータを記憶するオブジェクトデータ記憶部301と、半透明オブジェクトを構成する各画素の深度情報に基づいて、ある描画位置におけるもっとも視点に近い深度情報をその描画位置の深度情報としてフレームバッファ303に記憶する第1の半透明オブジェクト描画処理部3041と、各画素の深度情報を、対応する描画位置のフレームバッファ303に記憶された深度情報と比較し、記憶された深度情報と等しいか、または視点により近い値の場合には、その画素の色情報をフレームバッファ303に記憶する第2の半透明オブジェクト描画処理部3042と、フレームバッファ303に記憶された情報に基づいて、描画タイミングごとに演出表示装置40に画像を表示させる表示制御部305を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機等のメモリ容量の限られた装置に適した画像生成装置、遊技機、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技ごとに行われる抽選に応じて図柄を変動する変動表示部(以下、リール)を備え、各リールの回転及び停止によって表示される図柄の組合せにより、入賞の成否を判定する遊技機(スロットマシンなど)が知られている。
【0003】
このような遊技機においては、遊技者に大当たりへの期待感とスリルを感じさせる遊技盤上での演出が重要な要素である。特に、液晶表示装置を用いた画像演出は演出効果が高いため、多種多様な画像演出が用いられるようになってきている。画像演出において、半透明の物体を表示する場合がある。物体を半透明表示すると、その物体の背後にある背景や他のオブジェクトが透けて見えるため、使い方を工夫することによって演出効果を高めることができる。
【0004】
半透明オブジェクトの表示に関する従来の技術として、例えば特許文献1に記載された従来の描画装置は、半透明オブジェクトと背景オブジェクトのそれぞれのZ値を格納するZバッファと、半透明オブジェクトと背景オブジェクトのそれぞれに対応する画像情報を格納するフレームバッファと、フレームバッファへの画像情報の書込み動作を伴わずに、半透明オブジェクトを構成する複数のポリゴンのそれぞれについてZバッファのZ値を更新した後に、この更新されたZ値に基づいてフレームバッファに対して画像情報を書き込むことにより半透明オブジェクトに関する描画処理を行う半透明画像書込み部とを備えている。
【特許文献1】特開2006−293470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複雑な物体を半透明表示する場合、半透明のオブジェクト同士が重なって表示されることが起こりうる。例えば、荷物を背負った人を半透明で表示する場合、人のオブジェクトの後ろに荷物のオブジェクトが透けて見えてしまい、不自然で見た目の良くない画像となってしまう。
また、特許文献1に記載の方法では、半透明オブジェクトの描画処理にフレームバッファとZバッファの両方の記憶領域が必要である。
【0006】
そこで、本発明の目的は、半透明オブジェクト同士が重なる場合でも、不自然な表示にならないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像生成装置は、仮想三次元空間に配置されたオブジェクトを透視投影した二次元画像を生成する画像生成装置であって、半透明オブジェクトのデータを記憶するオブジェクトデータ記憶部と、前記半透明オブジェクトを構成する各画素の深度情報に基づいて、ある描画位置におけるもっとも視点に近い深度情報をその描画位置の深度情報として画像データ記憶部に記憶する第1の半透明オブジェクト描画処理部と、前記各画素の深度情報を、対応する描画位置の前記画像データ記憶部に記憶された深度情報と比較し、記憶された深度情報と等しいか、または前記視点により近い値の場合には、その画素の色情報を前記画像データ記憶部に記憶する第2の半透明オブジェクト描画処理部と、前記画像データ記憶部に記憶された情報に基づいて、描画タイミングごとに画像を表示させる表示制御部を備えたものである。
ここで半透明オブジェクトとは、半透明表示の対象となるオブジェクトであり、最初から特定のキャラクタを半透明表示の対象とする場合と、オブジェクトの位置関係(重なりが生じた場合等)や演出の都合で半透明化する場合がある。
【0008】
これにより、半透明オブジェクト同士が重なる場合でも、不自然な表示にならないようにすることができる。また、半透明オブジェクトの描画に用いる記憶領域は画像データ記憶部のみなので、記憶領域の容量も削減できる。
【0009】
本発明による画像生成装置は、遊技機に適用することができる。
ここで、遊技機に限定は無いが、例えば、ぱちんこ機(第一種ぱちんこ機、第二種ぱちんこ機を含む)、回動式遊技機(以下、「スロットマシン」という。)等を含む。
【0010】
本発明によるプログラムは、コンピュータに、仮想三次元空間に配置されたオブジェクトを透視投影した二次元画像を生成する機能を実行させるプログラムであって、オブジェクトデータ記憶部から取得した半透明オブジェクトを構成する各画素の深度情報に基づいて、ある描画位置におけるもっとも視点に近い深度情報をその描画位置の深度情報として画像データ記憶部に記憶する機能と、前記各画素の深度情報を、対応する描画位置の前記画像データ記憶部に記憶された深度情報と比較し、記憶された深度情報と等しいか、または前記視点により近い値の場合には、その画素の色情報を前記画像データ記憶部に記憶する機能と、前記画像データ記憶部に記憶された情報に基づいて、描画タイミングごとに画像を表示させる機能とを実行させるものである。
【0011】
また本発明のプログラムは、記憶媒体に格納されて流通されるものである。このような記憶媒体としては、コンピュータに読み取り可能な媒体であり、各種ROM、フラッシュメモリを備えたUSBメモリ、SDメモリ、メモリスティック、メモリカードや、FD、CD−ROM、DVD−ROM等の物理的な記憶媒体を含む。また広義の記録媒体として、プログラムを伝送可能なインターネット等の伝送媒体をも含むものとする。伝送媒体を通して伝送(ダウンロード)されたプログラムは、そのままメモリに記憶されて、コンピュータに実行されるものだからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態として、遊技場等に設置される遊技機(スロットマシン)に適用したものを例示する。以下の実施形態は本発明の適用例に過ぎず、本発明は以下の実施形態に限定されず種々に変更して適用することが可能である。
【0013】
実施の形態1.
本実施形態は、本発明の基本構成に係る画像生成装置を備えた遊技機に関する。
まず筐体構成から説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るスロットマシンの外観を示す正面図である。
図1に示すように、本実施形態に係るスロットマシン10の筐体の前面部は、開閉自在にフロントパネル20が取り付けられている。フロントパネル20の上部は、表示機能を有する演出表示装置40が設けられた表示領域となっており、中央部には操作部が設けられている。
【0014】
筐体上部には、表示機能を有する演出表示装置40が設けられている。演出表示装置40は、例えば液晶パネルを含んで構成されており、種々の演出のための画像や遊技に必要な情報を表示領域に表示可能に構成されている。演出表示装置40には、1つの透明な表示窓21が設けられている。表示窓21の領域には、画像を表示するための液晶や液晶を構成する部材(偏光板など)や液晶を制御する回路などが設けられておらず、光を透過するようになっており、物理的に画像表示できない領域となっている。
【0015】
筐体内部であって表示窓21を通して視認可能な位置には、3つのリール(回胴)が配置されている。正面から見て左側から、左リール31L、中リール31C、右リール31Rの順番で配置されている。
【0016】
リール31L、31C及び31Rは、リング状の中空構造に成形されている。リールの外周は、外周面に貼られるリールテープの幅に成形されており、外周面にはリールテープ上に印刷される図柄の形状に合わせて開口が複数設けられている。リールの内部は中空になっており、外周面から延びるフレームで回転軸が支持されている。
【0017】
リールの外周面には入賞図柄(入賞役を構成する図柄)を印刷したリールテープが各々貼られている。それぞれのリールテープには、例えば21個の図柄が等間隔で配列されて印刷されている。図柄の配列は、リールテープごとに異なるようになっている。リールテープの図柄が、リールの外周面に設けられた開口に対応するようになっている。表示窓21からは、この表示窓を通してリール31L、31C及び31Rが観察されるようになっており、各リール外周面の上下方向で連続する3つの図柄が見えるように表示窓21の大きさが設定されている。図1では、リール群31(リール31L、31C及び31Rのまとまりを意味する)上に示された円が、一つの図柄を示している。
【0018】
リール31L、31C及び31Rのそれぞれの回転軸には、ステッピングモータ(図示せず)が各々連結されている。このステッピングモータは、リール31L、31C及び31Rを任意の速度で回転させたり、任意の角度(位置)で停止させたりすることが可能になっている。各リールが回転する場合には、リール31L、31C及び31Rの図柄が表示窓21内で上下に移動しているように視認されるようになっている。
【0019】
リール31L、31C及び31Rの内側には、バックランプ(図示せず)が設けられている。バックランプはリールごとに3個ずつ配置されており、リールが停止した時に表示窓21から見える総計で9個の図柄に対して、リール外周面の開口を通して光を照射するようになっている。
【0020】
図1に示す表示窓21上の破線は、有効ライン22a、22b及び22cからなる有効ライン群22を示すものである。有効ライン群22は、水平方向の中段の有効ライン22aと、水平方向の上段及び下段の2本の有効ライン22bと、右下がり及び左下がりの斜め方向の2本の有効ライン22cとから構成されている。そして、リール31L、31C及び31Rに付された図柄は、リール31L、31C及び31Rが停止した時に、表示窓21から見える9個の図柄が全てこれらの有効ライン群22上に位置するような間隔で配置されている。
【0021】
スロットマシン10の筐体の中央部において、演出表示装置40の右下側に当たる位置には、メダル投入口23が設けられている。メダル投入口23からメダルが投入されると、投入されたメダル枚数に応じて有効ライン22a、22b及び22cの1ライン乃至5ラインが有効になるように構成されている。すなわち、投入されたメダルはゲームの対価として徴収され、投入されたメダルが1枚の場合には1つの有効ライン22aが有効になり、2枚のときは水平方向の3つの有効ライン22a及び22bが有効になり、3枚のときはさらに加えて斜め方向の2つの有効ライン22cを含む総計で5つの有効ライン22a〜22cが有効になる。これらの制御は、後述のメインCPU(中央演算装置)51(図2参照)により行われる。例えば、3枚のメダルが投入されている場合には、リール31L、31C及び31Rが停止した時に、少なくとも1つの有効ライン22a〜22cに特定の図柄の組み合わせが停止していれば、その組み合わせに応じた役に入賞したこととなる。
【0022】
また筐体の中央部には、遊技者によって操作される各種の操作スイッチが設けられている。例えば、本実施形態では、スタートスイッチ41、ストップスイッチ群42及びベットスイッチ群43が設けられている。
【0023】
スタートスイッチ41は、リール31L、31C及び31Rの回転をスタートさせるときに遊技者が操作するスイッチ、例えばレバーとして構成される。ストップスイッチ群42は、左リール31Lを停止させるときに操作する左ストップスイッチ42Lと、中リール31Cを停止させるときに操作する中ストップスイッチ42Cと、右リール31Rを停止させるときに操作する右ストップスイッチ42Rとから構成されている。これらのストップスイッチ42L、42C及び42Rは、例えばボタンとして並設されている。
【0024】
ベットスイッチ群43は、遊技者がクレジット内のメダルを投入する際にベット数(賭数)を指定するスイッチ群であり、1ベット・2ベットスイッチ43a及びMAXベットスイッチ(3ベットスイッチ)43bから構成されている。これらのベットスイッチ43a及び43bも、例えばボタンとして配置されている。1ベット・2ベットスイッチ43aが操作されると、1枚又は2枚のメダルがベットされ(ゲームの対価として徴収され)、MAXベットスイッチ43bが操作されると、最大ベット数である3枚のメダルがベットされる。すなわち、ベットスイッチ群43の操作で指定されるベット数が、クレジットとなっているメダル数から徴収され、クレジットがベット数だけ減算される。
【0025】
さらに、筐体の下部の中央部には、メダル払出口90が設けられ、メダル払出口90の両側には、スピーカ71が設けられている。遊技(ゲーム)中には、種々の演出、例えばバックランプの点灯、演出表示装置40を用いた画像表示及びスピーカ71からの音声の出力等が行われる。さらに、このような演出として、入賞可能性の告知演出が行われることもある。
【0026】
これらの構成を有するスロットマシンにおいて実施される通常遊技の概要を簡単に説明する。
スロットマシン10において、遊技者がメダル投入口23からメダルを投入するか、ベットスイッチ群43を操作すると、有効ライン22a〜22cがベット数に応じて有効化される。
【0027】
ベット数を指定した遊技者がスタートスイッチ41を操作すると、ベット数に応じた役の抽選が行われると共に、リール31L、31C及び31Rが回転し始める。そして、遊技者がストップスイッチ42L、42C及び42Rを操作すると、操作されたボタンに応じてリール31L、31C及び31Rの回転が停止する。このとき、スタートスイッチ41の操作と同時に行われている役の抽選結果が当選であった場合には、有効化されている有効ライン群22上に並ぶ図柄の組み合わせが、予め定められた何らかの役の図柄の組み合わせに一致するようにリールが停止制御され、その入賞役に応じたメダルの払い出し等が行われる。
【0028】
(システム構成)
次に、スロットマシン10の内部構成等のシステム構成について説明する。
図2は、本発明の実施形態に係るスロットマシン10のシステム構成を示すブロック図である。スロットマシン10の筐体内部には、メイン制御基板50、並びにこのメイン制御基板50に接続されたサブ制御基板60、リール基板11、中央表示基板12及び電源装置基板13が配置されている。
【0029】
(メイン制御基板50)
メイン制御基板50には、メインCPU51、ROM52、RAM53及びインタフェース回路(I/F回路)54が設けられており、これらはバス55を介して互いに接続されている。
【0030】
メインCPU51は、プログラムを構成する命令の読み出し(フェッチ)、解釈(デコード)及び実行を行う。そして、メインCPU51は、ROM52に記憶されているプログラム及びデータ等を読み出し、これらに基づいてスロットマシン10全体の制御を行う。
【0031】
ROM52には、メインCPU51に、後述の図6のフローチャートに示すような操作に基づく抽選処理及びその他の遊技の制御に必要なソフトウェアプログラム及びデータ等が記憶されている。また、RAM53は、メインCPU51が各種の制御を行う時に用いられ、データ等を一時的に記憶可能に構成されている。
【0032】
I/F回路54は、メイン制御基板50と、サブ制御基板60、リール基板11、中央表示基板12及び電源装置基板13との間で行われる信号の送受信の際に、タイミングの制御等を行うようになっている。但し、メイン制御基板50とサブ制御基板60との間では、メイン制御基板50からサブ制御基板60への信号の送信は行われるが、サブ制御基板60からメイン制御基板50への信号の送信は行われないように構成されている。
【0033】
(サブ制御基板60)
サブ制御基板60には、サブCPU61、ROM62、RAM63、及びインターフェース回路(I/F回路)69、画像制御ユニット64、画像データROM65a、RAM65b、ビデオRAM66、音源回路67a、サウンドROM67b、アンプ68などが設けられている。画像制御ユニット64は、CPU64aとVDP(Video Display Processor)64bとを備えて構成されている。
サブCPU61と画像制御ユニット64のCPU64aとは、バス70を介して互いに接続されている。また、画像データROM65a及びRAM65bはCPU64aと接続され、ビデオRAM66はVDP64bに接続され、アンプ68は音源回路67aに接続されている。
【0034】
サブCPU61は、プログラムを構成する命令の読み出し(フェッチ)、解釈(デコード)及び実行を行う。そして、サブCPU61は、ROM62に記憶されているプログラム及びデータ等を読み出し、サブ制御基板60全体の制御、特に遊技者に対する演出パターンの選択や、画像制御ユニット64のCPU64aに対するコマンドの送出などを行うようになっている。なお、サブCPU61の処理能力や開発言語等には、何らの制約もない。
【0035】
ROM62には、サブCPU61に、遊技中の演出に必要なソフトウェアプログラム及びデータ等が記憶されている。また、RAM63は、サブCPU61が各種の制御を行う時に用いられ、データ等を一時的に記憶可能に構成されている。
【0036】
これらのサブCPU61、ROM62及びRAM63は、夫々メイン制御基板50に設けられたメインCPU51、ROM52及びRAM53と同様の機能を有するものである。なお、ROM62及びRAM63は、夫々ROM52及びRAM53と同一のものを用いてもよいが、これらよりも容量の大きいものを用いてもよい。
【0037】
I/F回路69は、メイン制御基板50からの信号の受信の際に、タイミングの制御等を行う。なお、上述のように、メイン制御基板50からサブ制御基板60への信号の送信は行われるが、サブ制御基板60からメイン制御基板50への信号の送信は行われない。すなわち、一方向の送信のみが可能となっている。
【0038】
画像制御ユニット64のCPU64aは、プログラムを構成する命令の読み出し(フェッチ)、解釈(デコード)及び実行を行う。そして、CPU64aは、サブCPU61から与えられるコマンド等に従って、画像データROM65aに記憶されているプログラム及びデータ等を読み出し、演出に応じた画像を表示するための制御など行う。画像データROM65aには、演出表示装置40に表示されるキャラクタ、文字及び背景等の画像データを生成するための元画像データが記憶されている。
【0039】
VDP64bは、演出表示装置40に対する映像出力全般を担っており、CPU64aの制御の下、画像データROM65aから転送される元画像データ等に基づきフレーム画像データを生成し、ビデオRAM66に展開するなどの制御を行う。
【0040】
ビデオRAM66は、演出表示装置107に表示しようとする画像を、VDP64bが作成するときに用いられるメモリであり、複数のフレーム画像データが記憶可能となっている。
【0041】
音源回路67aは、所定のチャネル数、例えば8つの音源チャネルの発音回路を備えており、音源チャネル数分のフレームの同時再生が可能になっている。音源回路67aは、CPU64aから出力される演出パターンの選択コマンドなどによって制御される。音源回路67aは、CPU64aから出力される演出パターンの選択コマンドなどを受け取ると、これに対応する音源チャネルの音源データをサウンドROM67bから読み出して合成し、Rチャネル、Lチャネル別に発生させる。そして、D/A変換してアナログ音響信号として出力する。アンプ68は、R、Lチャネルそれぞれのアナログ音響信号を増幅し、楽音としてスピーカ71から出力する。
【0042】
ここで、サブCPU61と画像制御ユニット64のCPU64aの間では、サブCPU61からCPU64aへの信号の送信のみならず、CPU64aからサブCPU61への信号の送信も行われる。具体的には、サブCPU61からCPU64aへ各種コマンドやデータが送信されるほか、CPU64aからサブCPU61へ各種チェックエラー(パリティエラー、チェックサムエラーなど)の検出結果が送信される。
【0043】
(リール基板11)
リール基板11には、左リール31L、中リール31C及び右リール31Rを駆動するためのステッピングモータ(図示せず)が接続されている。各ステッピングモータは、さらに、これらのリール31L、31C及び31Rの回転軸に接続されていく。これらのリール31L、31C及び31Rの動作を制御するための制御信号は、メインCPU51からリール基板11に供給されるようになっている。
【0044】
(中央表示基板12)
中央表示基板12は、例えばフロントパネル20の裏側の中央部に取り付けられる。
中央表示基板12には、セレクタ81、1ベット・2ベットスイッチ43a、MAXベットスイッチ(3ベットスイッチ)43b、スタートスイッチ(レバー)41、左ストップスイッチ(ボタン)42L、中ストップスイッチ(ボタン)42C、右ストップスイッチ(ボタン)42R、設定表示部82及び設定変更スイッチ83が接続されている。
【0045】
セレクタ81は、メダル投入口23から投入されたメダルが正規のものであるか識別し、不正なメダルを排除するように構成されている。設定表示部82は、フロントパネル20の裏側から見えるように配置されており、確率や払い出しに関する設定(例えば、設定1〜設定6)等が表示される。設定変更スイッチ83は、確率や払い出しに関する設定等を変更する際に操作されるスイッチである。
【0046】
(電源装置基板13)
電源装置基板13には、設定変更有効化スイッチ91、電源スイッチ92、ホッパ装置93及び電源装置94が接続されている。
設定変更有効化スイッチ91は、設定変更スイッチ83を用いた設定の変更を可能な状態にする際に操作するスイッチである。すなわち、設定変更有効化スイッチ91がオンの状態になっているときに限り、設定変更スイッチ83を用いた設定の変更が可能になる。電源スイッチ92は、電源装置94のオン/オフを切り替えるためのスイッチである。ホッパ装置93は、メダルの貯蔵及び払い出しを行う装置であり、電源装置基板13を介したメインCPU51からの指示に基づいて、予め貯蔵しておいたメダルから所定枚数のメダルをメダル払出口90に払い出すようになっている。
【0047】
(メイン制御基板における機能ブロック)
次に、メイン制御基板50の機能的な構成について説明する。
図3は、メイン制御基板50の機能的な構成を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、本実施形態においては、例えばメインCPU51がROM52内に記録されるプログラムを実行することにより、以下の制御部101、役抽選部103、リール制御部106、入賞判定部107、遊技状態制御部108及び払出制御部109が機能的に実現される。また、例えばRAM53が、以下のフラグ情報記憶部105として機能し、例えばROM52に、以下の抽選テーブル102のデータが記憶されている。
【0048】
(役抽選部103)
役抽選部103は、役(特別役、小役、リプレイ等)の抽選を行う機能ブロックである。役抽選部103は、遊技毎に、内部で乱数を発生させた後に一の乱数を取得し、ROM52に記憶されている抽選テーブル102を参照し、取得した乱数が属する領域に基づいて、役の当選の有無及び当選役を判定するようになっている。
【0049】
例えば、役抽選部103は、スタートスイッチ41が操作された場合に抽選を行い、この「遊技」が「当選」であるか「ハズレ」であるか及び「当選」である場合の「役」を決定する。すなわち、役抽選部103は、スタートスイッチ41の押下があった場合に、所定の範囲の乱数(例えば、10進法で0〜65535)を発生させ、所定の条件が満たされたときに一の乱数値を取得する。抽選テーブル102には、役抽選部103が取得可能な乱数値に対して、特別役当選領域、小役当選領域、リプレイ当選領域、及び非当選(ハズレ)領域等が、所定の割合で設定されている。
【0050】
さらに役抽選部103は、リール31L、31C、及び31Rは、ストップスイッチ42L,42C,及び42Rのそれぞれが押下された後に、「当選」していた場合にはその当選の役を表す図柄の並びとなるように停止制御され、当選役と同じ役に入賞させる。また、抽選の結果が「ハズレ」(非当選)ていた場合には図柄の並びがいずれかの役を表さないように停止制御される。いずれの場合でも、ストップスイッチ42L,42C,及び42Rの押下タイミングが前後しても、停止図柄が変わることはない。
【0051】
なお、役抽選部103が実施する抽選は、一回の遊技に対して一回の抽選を実施して当選役を決定しても良いが、複数回の抽選を実施するように構成してもよい。
また、スタートスイッチ41の押下やストップスイッチ42L、42C、及び42Rの押下タイミングで抽選を実施して抽選結果を定めるという役抽選部103主導の構成にする他、特別な引き込み動作をせずにリール群31を停止させ、結果的にリール31L、31C、及び31Rが停止した位置を入賞判定部107が検出して入賞の有無や、入賞役を判定するように構成してもよい。この場合、抽選や当選役という概念は無く、役抽選部103は存在しなくてもよい。また、遊技の種類に応じて、役抽選部103主導か否かを、つまり抽選をするか、リールによる入賞判定をするかを切り替えてもよい。
【0052】
(制御部101)
制御部101は、役抽選部103や、後述のリール制御部106及び入賞判定部107等の動作タイミングを制御する中心的機能ブロックである。
例えば、制御部101は、スタートスイッチ41が操作されたことを条件として、役抽選部103に役の抽選を行わせると共に、リール制御部106にリール群31の回転を開始させ、また、ストップスイッチ群42が操作されたことを条件として、リール制御部106にリール群31の停止制御を行わせ、さらに、リール群31が停止したことを条件として、入賞判定部107に入賞判定を行わせるものである。
なお、制御部101の動作はこれらに限定されるものではなく、メイン制御基板50に必要とされる制御一般を司るものである。
【0053】
(フラグ情報記憶部105)
フラグ情報記憶部105は、役抽選部103の抽選結果によって何らかの役に対するフラグがオンされた場合に、当選した役の種類及びそのフラグがオンになったことを記憶可能に構成されている。
【0054】
(リール制御部106)
リール制御部106は、制御部101からの指示に基づいて、リール群31(リール31L、31C及び31R)の回転及び停止の制御を行う機能ブロックである。
より詳細には、リール制御部106は、遊技状態(例えば、通常遊技状態、特別遊技状態等)、役抽選部103による抽選の結果、及びストップスイッチ群42(ストップスイッチ42L、42C及び42R)が操作されたタイミング等に基づいて、リール31L、31C及び31Rの停止位置を決定すると共に、ステッピングモータの駆動を制御して、その決定した位置でリール31L、31C及び31Rの回転を停止させるようになっている。
【0055】
例えば、役抽選部103による抽選の結果「ハズレ」となり、いずれの役にも当選していないときは、有効になっている有効ライン上にどの役の図柄の組合せも停止しないように、各リール31L、31C及び31Rの停止位置を定め、定められた位置で各リールを停止させる。一方、何らかの役に「当選」している場合には、有効になっている有効ライン上に当選した役の図柄の組合せが停止するように図柄の組合せを定め、その図柄の組合せがその時に有効になっている有効ラインに表れるように各リール31L、31C及び31Rの停止位置を定め、定められた位置で各リールを停止させる。
【0056】
特に、特別役に「当選」している場合には、有効になっている有効ライン上に特別役の図柄の組合せが停止するように、リール31L、31C及び31Rの停止制御の範囲内(例えば、4図柄以内)でできる限り特別役に係る図柄が揃うような引き込み制御を行う。但し、特別役が「当選」している場合であっても、小役やリプレイに「当選」した場合には、有効化されている有効ライン上に特別役の図柄の組合せが停止しないように、リール31L、31C及び31Rの停止位置を定め、停止制御をする。
なお、このようなリール31L、31C及び31Rを停止させる際の制御は、リール制御用のテーブルを用いて行ってもよい。
【0057】
(入賞判定部107)
入賞判定部107は、最終的な入賞状態を判定するための機能ブロックである。
入賞判定部107は、有効ライン群22のうち、有効になっている有効ラインのいずれかに役の図柄の組合せが並んでいるか否かを判定し、並んでいるものがあれば当遊技でその役に入賞したと判定するものである。役の抽選は、役抽選部103によって予め決定されてはいるが、機械的なリールを用いる場合などにはリールが予定どおりに停止できない場合がるため、最終的に停止したリールの位置を検出しなければならないからである。
【0058】
入賞判定部107は、例えばステッピングモータの停止時の角度やステップ数等を検知することにより、有効ラインに位置する図柄を判定し、これに基づいて、役の入賞の有無を判定する。
【0059】
なお、役抽選部103によって予め役を定めて、それに併せてリール31L、31C及び31Rを停止させる代わりに、引き込み可能な位置に各リールを次々停止させ、最終的に停止した実際のリール31L、31C及び31Rの位置を検出して、入賞判定部107が図柄の組合せを判定し、役を決定するように構成してもよい。
【0060】
(遊技状態制御部108)
遊技状態制御部108は、入賞判定部107による判定の結果、特別役に入賞していた場合に、次遊技から所定の終了条件が満たされるまでの間、特別遊技の制御を行うための機能ブロックである。
【0061】
例えば、遊技状態制御部108は、特別遊技中における役抽選部103の抽選結果に応じて、リール制御部106に特別遊技用のリール制御を行わせたり、サブ制御基板60に特別遊技用の演出を行わせたりする。
【0062】
(払出制御部109)
払出制御部109は、入賞判定部107による判定の結果、入賞している役に応じたメダルの払い出しをホッパ装置93に行わせるための機能ブロックである。
【0063】
(サブ制御基板における機能ブロック)
次に、サブ制御基板60の機能的な構成について説明する。
図4は、サブ制御基板60の機能的な構成を示す機能ブロック図である。
サブ制御基板60は、演出制御部201と演出パターン記憶部202と画像制御部260とを備えて構成されている。
【0064】
このサブ制御基板60によって実施される演出は、演出表示装置40によって表示窓21の周囲の画像表示領域に表示される画像による演出、スピーカ71から発音される音による演出である。これらの演出は、メイン制御基板50における動作と異なり、役の抽選など、遊技自体の方向性を変化させるものではないが、画像と音との演出により、遊技者に刺激を与え、入賞への期待感を高めたり単調さを解消したりする重要な役割を担っている。
【0065】
(演出制御部201)
演出制御部201は、サブCPU61がROM62内に記録されたコンピュータ読取可能なプログラムを実行等することにより機能的に実現される。演出制御部201は、メイン制御基板50の役抽選部103から出力される抽選結果(小役当選や大当たりなど)をあらわすコマンドや、遊戯者の操作内容(レバーを叩く操作やストップスイッチの押下操作など)などをあらわす状態コマンド等を受け取り、受け取ったコマンドに応じた演出パターンを演出パターン記憶部202から選択して画像制御部260に転送したり、受け取ったコマンドをそのまま画像制御部260に転送したりする。
具体的には、メイン制御基板50から役の抽選結果をあらわすコマンドを受け取った場合には、複数の演出パターンが記憶されている演出パターン記憶部202から、抽選結果(小役当選など)に応じた演出パターンを選択し、選択した演出パターンを画像制御部260に送る。
一方、メイン制御基板50から各ストップスイッチの押下操作をあらわすコマンドを受け取った場合には、このストップスイッチの種類(左、中、右など)と操作内容(停止操作)を画像制御部260に送る。
【0066】
(演出パターン記憶部202)
演出パターン記憶部202には、各コマンドに応じた複数の演出パターンが記憶され、具体的には抽選結果(小役当選や大当たりなど)と演出パターンを対応付けた管理テーブルなどが記憶されている。
【0067】
(画像制御部260)
画像制御部260は、画像制御ユニット64のCPU64a等が画像データROM65a内に記録されたコンピュータ読取可能なプログラムを実行等することにより機能的に実現される。画像制御部260は、演出制御部201から送出される演出パターンや遊戯者の操作内容をあらわす状態コマンドに応じて演出表示装置40に表示する画像を制御したり、スピーカ71から出力する楽音を制御したりする。
【0068】
図5に、画像制御部260を機能的な側面から区分けした機能ブロックを示す。
図5は、画像制御部260の機能的な構成を示す機能ブロック図である。
図に示すように、画像制御部260は、オブジェクトデータ記憶部301、テクスチャデータ記憶部302、フレームバッファ(画像データ記憶部)303、画像データ生成部304、表示制御部305を備えている。画像データ生成部304は、第1の半透明オブジェクト描画処理部3041、第2の半透明オブジェクト描画処理部3042を備えている。
【0069】
なお、上記構成のうち、オブジェクトデータ記憶部301、テクスチャデータ記憶部302は、画像データROM65aが相当している。フレームバッファ303は、ビデオRAM66が相当している。画像データ生成部304、表示制御部305は、画像制御ユニット64によって機能的に実現される。
【0070】
(オブジェクトデータ記憶部301)
オブジェクトデータ記憶部301は、装飾図柄などの立体画像生成のためのモデリング変換の元データであるオブジェクトデータを記憶するものである。オブジェクトデータは、仮想三次元空間に表示する各オブジェクトの形状及び配置を定義する数値情報を含んでいる。オブジェクトデータの内容はモデリング方法に応じて決まる。例えばサーフェスモデルを用いる場合には、1つのオブジェクトデータは、オブジェクトごとに予め設定された基準座標を原点とした場合の、オブジェクトを構成する各々のポリゴンの頂点座標の集合体となる。従って、各ポリゴンを基準座標からの相対位置に配置していけばオブジェクトの外形が規定される。オブジェクトデータによって、各オブジェクトのローカル座標系におけるポリゴンの相対位置(形状、向き、大きさ)が三次元的に定義される。
【0071】
(テクスチャデータ記憶部302)
テクスチャデータ記憶部302には、複数のテクスチャデータが記憶されている。
テクスチャデータは、表示対象となるオブジェクトに対してマッピング(展開、貼り付け)されるテクスチャを定義するデータである。テクスチャとは、頂点座標の集合であるオブジェクトやポリゴンの表面にマッピングされる模様や、透明度、色彩に関するデータである。テクスチャデータは、模様等を表すための所定の解像度で作成された画像データであり、例えばビットマップデータである。テクスチャを所定のポリゴンに貼り付けるためには、テクスチャデータに対して、所定の画像変換、例えばアフィン変換を施して、テクスチャをポリゴンの形状に展開(伸張・縮小・変形)するマッピング処理をする。
なお、テクスチャデータには、ポリゴンにマッピングされることを前提とするもののほか、スプライト、すなわち一枚の絵として、展開後の二次元画像に直接配置される画像のためのビットマップデータも含まれる。このようなスプライトは、立体感が必要でない画像の表示に適しているが、オブジェクトの一部として利用することができるため、上述したオブジェクトの一部をスプライトによって構成してもよい。
【0072】
(フレームバッファ303)
フレームバッファ303には、画像データ生成部304で生成されたフレーム画像データが記憶される。
【0073】
(画像データ生成部304)
画像データ生成部304は、演出制御部201から供給された演出パターンに基づいて、演出表示装置40に表示させるフレーム画像データを生成する。詳述すると、画像データ生成部304は、まず、フレーム期間ごとに、オブジェクトデータ記憶部301から演出パターン等に応じて特定されたオブジェクトデータを読み出し、各演出オブジェクトに対応するポリゴンモデルを生成する。そして、画像データ生成部304は、テクスチャデータ記憶部302からテクスチャデータを読み出し、このテクスチャデータにアフィン変換を施し、ポリゴンモデルを構成する各ポリゴンにテクスチャをマッピングする。
また、オブジェクトデータ記憶部301から読み出したオブジェクトデータに半透明オブジェクトデータが含まれる場合には、画像データ生成部304は、第1の半透明オブジェクト描画処理部3041及び第2の半透明オブジェクト描画処理部3042において、半透明オブジェクト描画処理を行う。
【0074】
(第1の半透明オブジェクト描画処理部3041)
第1の半透明オブジェクト描画処理部3041は、半透明オブジェクトを構成する各画素の深度情報(Z値)に基づいて、ある描画位置(XY座標値)におけるもっとも視点に近い深度情報をその描画位置の深度情報としてフレームバッファ303に記憶する。第1の半透明オブジェクト描画処理部3041は、各画素の色情報(R,G,B,A)については0として処理し、Z値の情報のみをフレームバッファ303に記憶する。各描画位置においては、各々の画素のZ値のうち最小のもの、すなわち設定されている仮想視点から見てもっとも手前にあるものだけが記憶される。
【0075】
(第2の半透明オブジェクト描画処理部3042)
第2の半透明オブジェクト描画処理部3042は、半透明オブジェクトを構成する各画素の深度情報(Z値)を、対応する描画位置(XY座標値)のフレームバッファ303に記憶された深度情報と比較し、記憶された深度情報と等しいか、または視点により近い場合には、その画素の色情報(R,G,B,A)をフレームバッファ303の深度情報が記憶されているのと同じピクセルアドレスに記憶する。ここで、R,G,Bはそれぞれ赤、緑、青の色情報であり、Aは透明度を表す情報である。
【0076】
(表示制御部305)
表示制御部305は、フレームバッファ303に格納されたフレーム画像データを描画タイミングごとに演出表示装置40に転送する。この転送されたフレーム画像データに基づいて演出表示装置40は、表示領域にフレーム画像データに対応する画像を表示する。
【0077】
以上メイン制御基板50及びサブ制御基板60の機能構成について説明したが、前述した機能以外の機能が設けられていてもよい。
【0078】
(メイン制御基板における動作)
図6は、メイン制御基板50による制御を示すフローチャートである。
遊技者によってメダルが投入され、スタートスイッチ41が操作されると、制御部101は、スタートスイッチ41がオンになったことを検知し、役抽選部103は役の抽選処理を行う(ステップS101、ステップS102)。一方、遊技者によりスタートスイッチ41が操作されず、スタートスイッチ41がオンとなったことを検知できなかった場合は、制御部101は、スタートスイッチ41がオンとなったことを検知するまでステップS101の処理を繰り返し実行する。
【0079】
ステップS102の役抽選処理においては、役抽選部103は、乱数を取得し、取得した乱数と抽選テーブルとを照らし合わせて役の抽選処理を行う。抽選の結果、何らかの役の当選があった場合、フラグ情報記憶部105内において当役のフラグをオンにさせる。役抽選部103による抽選結果は、当選役情報としてI/F回路54を介してサブ制御基板60に送信される(ステップS103)。
【0080】
リール制御部106は、ストップスイッチ群42の何れか1個が操作されたか否かを判断する(ステップS104)。何れか1個のストップスイッチが操作されると(ステップS104;YES)、当選役が入賞可能となるようなリール制御を行って、操作されたストップスイッチに対応するリールの回転を停止させる(ステップS105)。
【0081】
なお、ステップS102の役抽選処理において何れの役にも当選していなかった場合は(「ハズレ」となった場合)、リール制御部106は、ステップS105において何れの役にも当選しなかった場合に対応するリール制御を行う。
【0082】
続いて、リール制御部106は、全てのストップスイッチが操作され、全リールが停止したか否かを判断する(ステップS106)。全リールが未だ停止していない場合には(ステップS106/NO)、ステップS104におけるストップスイッチ操作の有無の検出処理からの処理を繰り返す。
【0083】
全てのリールが停止すると(ステップS106/YES)、入賞判定部107は、有効化された有効ライン上に並んでいる図柄の組合せに基づいて入賞の有無を判断する(ステップS107)。この結果、何らかの入賞がある場合には(ステップS107/YES)、入賞した役に対応する入賞処理が実行される(ステップS108)。
【0084】
具体的には、入賞役が「特別役」である場合、次の遊技から所定の終了条件が満たされるまでの間「特別遊技」を実行するための移行処理を遊技状態制御部108が行う。
一方、ステップS107において、何も入賞がないと判断された場合には(ステップS107/NO)、処理はステップS101に戻る。
【0085】
続いて、遊技状態制御部108は、「特別遊技」中において、「特別役」であるビッグボーナス又はレギュラーボーナスに応じた遊技状態を遊技者に提供するよう、リール制御部106に「特別遊技」中のリール制御を行うほか、サブ制御基板60に「特別遊技」用の演出を行わせたりする。ビックボーナス又はレギュラーボーナスの規定回数の遊技を終えると、「通常遊技」に移行する処理を行う。
【0086】
一方、入賞役が「特別役」でない場合、フラグ情報記憶部105において特別役のフラグがオンの状態で記憶されていれば、フラグ情報記憶部105でのそのフラグの記憶状態は次の遊技に持ち越される。
【0087】
また、入賞役が「小役」である場合、遊技状態制御部108は、例えばベルなどの図柄が有効ライン上に揃うようにリール制御を行うほか、サブ制御基板60に「小役」用の演出や小役告知の演出(告知オブジェクトの表示など)を行わせたりする。なお、入賞役が「リプレイ」である場合、入賞判定部107は、制御部101に対して当遊技でのベット(賭数)を次の遊技に持ち越させ、入賞役が「特別役」でも「リプレイ」でもない場合には、払出制御部109が入賞役に応じた枚数のメダルの払い出しをホッパ装置93に行わせる。
【0088】
(サブ制御基板における画像制御部の動作)
次に、図7のフローチャートに基づいて、画像生成処理について説明する。この処理は、主として、サブ制御基板60の画像制御部260において実行されるものである。
まず、画像制御部260は、ステップS201において描画タイミングか否かを判定する。描画タイミングとは、例えば画像制御部260が演出制御部201から演出パターンを受信したタイミングであり、次回のフレーム画像データの更新処理に間に合うように設定されている。なお、描画タイミングは、フレーム期間ごととする他、1以上のフレーム期間おきに設定してもよい。
【0089】
まだ描画タイミングでないと判定された場合(NO)、ステップS209に移行し、画像制御部260は、前回の描画タイミングにおけるフレーム画像データに基づく表示制御を続行する。
【0090】
ステップS201において描画タイミングと判定された場合には(YES)、画像データ生成部304は、ステップS202においてオブジェクトデータ記憶部301からオブジェクトデータを取得し、ワールド座標系で定義された仮想三次元空間におけるオブジェクトの配置を定める。具体的には、オブジェクトを構成する各ポリゴンの頂点座標にモデリング変換演算を実行し、ワールド座標系におけるポリゴン座標を決定していく。
【0091】
次に、ステップS203において、画像データ生成部304は、ワールド座標系で定義されている各オブジェクトの配置を、演出パターンに基づいて設定されている視点を基準とする視点座標系に変換する。この変換により、視点の位置を原点(0,0,0)とし、奥行き方向をZ軸方向とする座標系で各オブジェクトの配置が定義される。
【0092】
次に、ステップS204において、画像データ生成部304は、透視投影変換を実行する。透視投影変換を実行することにより、三次元の視点座標系における情報から、実際の表示画像に対応した二次元の座標が決定される。
【0093】
次に、ステップS205において、画像データ生成部304は、取得したオブジェクトデータに半透明オブジェクトデータが含まれているか否かを判定する(ステップS205)。半透明オブジェクトデータが含まれている場合には(YES)、ステップS206へ進み、半透明オブジェクト描画処理を実行する。半透明オブジェクトが含まれていない場合には、ステップS208へ進む。
【0094】
ステップS206において、第1の半透明オブジェクト描画処理部3041は、半透明オブジェクトを構成する各画素の色情報(R,G,B,A)については0とし、深度情報(Z値)のみをフレームバッファ303に記憶する。各々の座標においては、各々の画素のZ値のうち最小のもの、すなわち設定されている仮想視点から見てもっとも手前にあるものがフレームバッファ303に記憶される。
【0095】
次に、ステップS207において、第2の半透明オブジェクト描画処理部3042は、半透明オブジェクトを構成する各画素の深度情報(Z値)を、対応する描画位置(XY座標値)のフレームバッファ303に記憶された深度情報と比較する。第2の半透明オブジェクト描画処理部3042は、各々の座標において、フレームバッファ303に記憶された深度情報と等しいか、または視点により近い深度情報を有する画素の色情報のみをフレームバッファ303の深度情報が記憶されているのと同じピクセルアドレスに記憶する。
【0096】
次に、ステップS208において、画像データ生成部304は、テクスチャデータ記憶部302から取得したテクスチャデータにアフィン変換を施し、ポリゴンモデルを構成する各ポリゴンにテクスチャをマッピングする。さらに、必要な隠線消去処理、隠面消去処理、テクスチャマッピング処理、シェーディング処理などを実施して、フレーム画像データを生成し、フレームバッファ303に格納する。
【0097】
最後に、ステップS209において、表示制御部305は、フレームバッファ303からフレーム画像データを取得し、演出表示装置40に出力する。
【0098】
図8〜10は、本実施形態による画像生成処理を説明する図である。図8に示すように、鞄1001を背負った人1002を正面から描画し、鞄を背負った人を半透明オブジェクトAとして表示する場合を例に説明する。半透明オブジェクトAの後ろには、通常の不透明の木のオブジェクト1003が配置されている。
図9は、半透明オブジェクトAを通常の不透明オブジェクトと同様の処理で描画した場合の画像を示している。図に示すように、半透明の人1002を通して半透明の鞄1001や人1002の裏面も透けて見えている。半透明オブジェクトAの後ろにある木オブジェクト1003も透けて見えている。
【0099】
一方、図10は、本発明による画像生成装置で半透明オブジェクトAを描画した場合の画像を示している。図に示すように、第1の半透明オブジェクト描画処理部3041と第2の半透明オブジェクト描画処理部3042による2段階の描画処理によって、半透明の画素が同じ座標位置に重なる場合には、最も視点に近い位置の画素のみを描画しているので、半透明オブジェクトAの表面のみが描画され、不自然な画像にならない。その結果、図10に示すように、人1002の裏面や鞄1001は透けて見えず、木オブジェクト1003のみが透けて見えるようになる。
【0100】
以上のように実施の形態1によれば、半透明オブジェクト同士が重なって表示される場合でも、不自然な表示にならないようにすることができる。また、第1の半透明オブジェクト描画処理部3041および第2の半透明オブジェクト描画処理部3042が半透明オブジェクトの描画に用いる記憶領域はフレームバッファ303の同じアドレス領域なので、記憶領域の容量も削減できる。
【0101】
(変形例)
上述した実施形態では、スロットマシン(専用機)を例に説明したが、その他のハードウエアにおいても実現可能である。
図11は、本発明に係るスロットマシンと同じ遊技を画面上において実行(擬似遊技)することが可能なシミュレーション装置の構成を示すブロック図である。
シミュレーション装置500は、例えばパーソナルコンピュータやゲーム機、携帯電話やPDAなどであり、制御装置510と、表示装置520と、入力装置530とを備えている。
【0102】
制御装置510は、CPU510a、ROM510b、RAM510cなどを備え、ROM510bなどのメモリに格納された各種制御プログラムを実行することにより、シミュレーション装置500の各部を中枢的に制御する。制御装置510のメモリには、表示装置520の画面上において擬似遊技を行うためのシミュレーションプログラムが格納されている。かかるシミュレーションプログラムについては、CD−ROM、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記憶媒体を通じてインストールするほか、シミュレーションプログラムを備えたサーバからネットワーク(インターネットやイントラネットなど)、通信インタフェース(図示略)を介してダウンロードすることができる。
表示装置520は、CRTや液晶パネルなどから構成され、図1に示すスロットマシン1を構成する各要素をあらわす画像、例えば演出表示装置40に表示されるキャラクタや遊技価値などを表示する。
【0103】
入力装置530は、マウスやキーボードなどにより構成され、スロットマシン1を構成するスタートスイッチ41、ストップスイッチ群42、及びベットスイッチ群43などの機能を実現する。具体的には、遊技者によって入力装置530が操作されることにより、擬似遊技においてリールの回転開始、停止操作などが行われる。
以上説明したシミュレーションプログラムによれば、本発明に係る遊技機と同じ遊技をパーソナルコンピュータや携帯電話などのシミュレーション装置によって実現することができるため、遊技者は、かかるシミュレーション装置によって擬似遊技を楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本実施形態に係るスロットマシンの正面図
【図2】本実施形態に係るスロットマシンのシステム構成を示すブロック図
【図3】メイン制御基板の機能的な構成を示す機能ブロック図
【図4】サブ制御基板の機能的な構成を示す機能ブロック図
【図5】画像制御部の機能的な構成を示す機能ブロック図
【図6】本実施形態におけるメイン制御基板の制御を示すフローチャート
【図7】本実施形態による画像生成処理を説明するフローチャート
【図8】本実施形態による画像生成処理を説明する図
【図9】本実施形態による画像生成処理を説明する図
【図10】本実施形態による画像生成処理を説明する図
【図11】変形例に係るシミュレーション装置の構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0105】
10 スロットマシン
21 表示窓
31 リール
31L 左リール
31C 中リール
31R 右リール
40 演出表示装置
50 メイン制御基板
51 メインCPU
52、62 ROM
53、63 RAM
54、69 I/F回路
60 サブ制御基板
101 制御部
102 抽選テーブル
103 役抽選部
105 フラグ情報記憶部
106 リール制御部
107 入賞判定部
108 遊技状態制御部
201 演出制御部
202 演出パターン記憶部
260 画像制御部
301 オブジェクトデータ記憶部
302 テクスチャデータ記憶部
303 フレームバッファ
304 画像データ生成部
3041 第1の半透明オブジェクト描画処理部
3042 第2の半透明オブジェクト描画処理部
305 表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想三次元空間に配置されたオブジェクトを透視投影した二次元画像を生成する画像生成装置であって、
半透明オブジェクトのデータを記憶するオブジェクトデータ記憶部と、
前記半透明オブジェクトを構成する各画素の深度情報に基づいて、ある描画位置におけるもっとも視点に近い深度情報をその描画位置の深度情報として画像データ記憶部に記憶する第1の半透明オブジェクト描画処理部と、
前記各画素の深度情報を、対応する描画位置の前記画像データ記憶部に記憶された深度情報と比較し、記憶された深度情報と等しいか、または前記視点により近い値の場合には、その画素の色情報を前記画像データ記憶部に記憶する第2の半透明オブジェクト描画処理部と、
前記画像データ記憶部に記憶された情報に基づいて、描画タイミングごとに画像を表示させる表示制御部を備えた画像生成装置。
【請求項2】
抽選結果に応じて遊技の進行を変化させる遊技機であって、
請求項1に記載の画像生成装置を備えた遊技機。
【請求項3】
コンピュータに、
仮想三次元空間に配置されたオブジェクトを透視投影した二次元画像を生成する機能を実行させるプログラムであって、
オブジェクトデータ記憶部から取得した半透明オブジェクトを構成する各画素の深度情報に基づいて、ある描画位置におけるもっとも視点に近い深度情報をその描画位置の深度情報として画像データ記憶部に記憶する機能と、
前記各画素の深度情報を、対応する描画位置の前記画像データ記憶部に記憶された深度情報と比較し、記憶された深度情報と等しいか、または前記視点により近い値の場合には、その画素の色情報を前記画像データ記憶部に記憶する機能と、
前記画像データ記憶部に記憶された情報に基づいて、描画タイミングごとに画像を表示させる機能と、を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−171994(P2009−171994A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−10552(P2008−10552)
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】