説明

画像観測方法およびこの方法を実施する装置

【課題】 色距離画像の目標領域を単一の色距離閾値で2値に区分する画像観測方法、装置を提供する。
【解決手段】 観測目標物の表面画像を色相の類似した目標領域に分割して観測目標領域の抽出をするに際して、撮像して得られた表面画像のRGB信号を色距離と呼ばれる数値に変換して表面画像を色距離画像に変換し、この色距離画像の目標領域を設定された単一の色距離閾値で2値に区分する構成を採用し、RGB信号を輝度信号および色度信号に分解して輝度信号を画像処理して目標領域分割を実施する従来の方法は分割に3個の閾値を必要としたのであるが、閾値としては単一の色距離閾値で事足り、そして、この色距離閾値は、各目標領域枠内の色距離ヒストグラムを作成し、ヒストグラムの変曲点を目安にして目標領域の抽出分割処理に適した色距離閾値を適正に設定する画像観測方法、装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像観測方法およびこの方法を実施する装置に関し、特に、観測目標物の表面画像を色相の類似した目標領域に分割して観測目標領域の抽出をするに際して、CCDカラーカメラで撮像して得られた表面画像のRGB信号を色距離と呼ばれる数値に変換して表面画像を色距離画像に変換し、この色距離画像の目標領域を設定された単一の色距離閾値で2値に区分する構成を採用する画像観測方法およびこの方法を実施する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像の観測において抽出したい図形パターンの観測目標領域は、特定の色、特定の形状に固定することができるのはまれであり、通常は、複数の色、複数の形状の目標領域の組み合わせであるものと予測される。この複数の目標領域を抽出してこれら複数の目標領域の組み合わせにより目標図形パターンを認識することができる。この目標領域の個数を多数とすれば、観測目標領域はより正確に目標図形パターンに近似するに到る。なお、一般に、カメラにより撮像され、電子的に2値化された画像中の人間の顔を自動的に見いだし、或いは顔の特徴を調べて顔の存在を確認する技術は特許文献1に開示されている。
【0003】
観測目標物の表面を撮像したカラー画像を色相の類似した目標領域に分割するに際して、CCDカメラの対物レンズの前にR(赤)、G(緑)、B(青)の3種類のフィルタを配置し、これらを切り換えることにより、R(赤)、G(緑)、B(青)について、8ビットR輝度信号と、8ビットG輝度信号と、8ビットB輝度信号の3輝度信号を組み合わせた、RGB信号と呼ばれる3次元ベクトルの24ビット信号を、CCDカラーカメラから出力している。
CCDカラーカメラの24ビットのRGB信号出力は、次いで、R(赤)、G(緑)、B(青)の色別に分割して3枚のモノクロ画像に処理することが行われている。
【特許文献1】特開2002−203239
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、カラー画像を目標領域に分割する仕方として、24ビットのRGB信号をYCrCb信号と呼ばれている輝度信号および色度信号に分解し、輝度信号を画像処理して領域分割する方法もある。しかし、この方法は、実質上、モノクロ画像として領域分割をしているに過ぎず、色情報は使用せず削除されることになる。即ち、元の画像はカラー画像でありながら、カラー画像の領域分割は、モノクロ画像に変換して2値化閾値を設定して白か黒かを判定することにより行われていた。この方法においては、カラー画像を領域分割しようとすると、閾値として3つの閾値を必要とし、各閾値に輝度&色相&彩度の意味を持たせた設定をすることはできないからである。
【0005】
この発明は、RGB信号を色距離と呼ばれる数値に変換してカラー画像を色距離画像に変換し、色距離画像を単一の適正な色距離閾値を設定してこれにより2値化することにより目標領域を区分する構成を採用して、上述の問題を解消した画像観測方法およびこの方法を実施する装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1:CCDカラーカメラで撮像して得られた表面画像のRGB信号を色距離に変換して目標領域を単一の色距離閾値で2値化して、観測目標物の表面画像の色相の類似した目標領域に分割する画像観測方法を構成した。
そして、請求項2:(S0) 画像をR、G、Bの3つの色別に撮像入力し、
(S1) RGB画像をカラーモニタに表示し、
(S2) 単色の目標領域1、2、3の複合体になる様に目標領域1、2、3を矩形枠で囲み、
(S3) 矩形枠で囲まれた領域の色をサンプリング画素を囲こみ、目標領域の基準色R000 値を設定し、
(S4) 撮像入力した画像を目標領域の基準色R000 との間の色距離画像に変換し、
(S5) 矩形枠で囲まれた領域画素の色距離をヒストグラムに表示し、
(S7) ヒストグラムの変曲点を目安にして目標領域分割に適した色距離閾値を設定し、
(S8) 矩形枠で囲まれた領域を色距離で2値化し、モニタに表示し、
(S9) モニタを参照して色距離閾値を調節して、S2〜S9を繰り返し、
(S10) 目標領域の面積を演算し、
(S11) 目標領域の重心位置を演算し、
(S12) 図形プロパティをグルーピングされる図形番号、グループ内相対位置、面積、面積比率、基準色R000 、色距離閾値、目標領域枠、を登録する、画像観測方法を構成した。
【0007】
また、請求項3:(S0’) 画像をR、G、Bの3つの色別に撮像入力し、
(S1’) RGB画像をカラーモニタに表示し、
(S2’) 撮像入力した画像を目標領域の基準色R000 との間の色距離画像に変換し、
(S4’) 矩形枠で囲まれた領域を補正された色距離閾値で2値化し、
(S5’) 目標領域面積を演算し、
(S6’) 目標領域重心位置を演算し、
(S7’) 基準色R000 、面積、重心位置をプロパティとして目標領域レイヤを構成し、
(S8”) 目標領域レイヤを検索して登録図形グループの構成要素を重ね合わせ図形パターン領域レイヤを作成し、
(S9’) 図形パターン或いは目標領域レイヤと撮像入力したカラー画像を掛け合わせて目標図形パターンを抽出する、画像観測方法を構成した。
【0008】
ここで、請求項4:撮像されたRGBカラー画像信号をR画像信号成分、G画像信号成分、B画像信号成分に分解して出力するCCDカラーカメラ100を具備し、
複数の目標領域1〜nにそれぞれ対応する設定値記憶部511〜51nを具備し、設定値記憶部511〜51nには目標領域それぞれのR000値、目標領域を区別するベース閾値、目標領域のサイズが格納され、
R画像信号成分、G画像信号成分、B画像信号成分が入力されると共に、対応する目標領域の設定値記憶部511〜51nからR000値が入力される各目標領域1〜nに対応する色距離演算回路521〜52nを具備し、これら色距離演算回路521〜52nにおいては各目標領域1〜nの各画素のRGB信号成分をR000基準値と比較して色距離の計算式により色距離を計算し、各目標領域の画像を色距離画像に変換し、
設定値記憶部511〜51nに設定記憶される目標領域サイズと色距離演算回路521〜52nから出力される色距離画像を入力してベース閾値の補正量を発生してこれをベース閾値に加算して補正された色距離閾値を生成するヒストグラム抽出フィルタ531ないし53nを目標領域1〜nに対応して具備し、
色距離画像を入力すると共に補正された色距離閾値を入力して目標領域の2値画像を生成する2値化回路541〜54nを目標領域1〜nに対応して具備し、
出力される2値画像およびR000値を記憶するレイヤ出力記憶部571〜57nを目標領域1〜nに対応して具備し、
目標領域の2値画像を入力して重心位置を計算する重心位置演算部551〜55nを目標領域1〜nに対応して具備し、
目標領域の2値画像を入力して面積を計算する面積演算部561〜nを目標領域1〜nに対応して具備し、
計算された重心位置および面積は直接出力される2値画像およびR000値と共に目標領域1〜n別のレイヤ構成で出力されてこれを記憶するレイヤ出力記憶部571〜57nを目標領域1〜nに対応して具備する画像観測装置を構成した。
【発明の効果】
【0009】
RGB信号を輝度信号および色度信号に分解し、輝度信号を画像処理して目標領域分割を実施する従来の方法においては、分割に3個の閾値を必要としたのであるが、この発明に依れば、観測目標物の表面画像を色相の類似した目標領域に分割して観測目標領域の抽出をするに際して、CCDカラーカメラで撮像して得られた表面画像のRGB信号を色距離と呼ばれる数値に変換して表面画像を色距離画像に変換し、設定された色距離閾値でこの色距離画像を2値化して目標領域を抽出する構成を採用することにより、閾値としては単一の色距離閾値で事足りる。そして、この色距離閾値は、各目標領域枠内の色距離ヒストグラムを作成し、ヒストグラムの変曲点を目安にして目標領域の抽出分割処理に適した色距離閾値を適正に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
発明を実施するための最良の形態を図の実施例を参照して説明する。
先ず、図1ないし図3を参照してこの発明による画像観測の概要を説明するに、1は画像観測装置の全体を示す参照符合である。画像観測装置1は、撮像装置10、目標領域抽出部20、観測画像モニタ・目標領域設定部30より成る。撮像装置10はCCDカラーカメラ100より成り、観測目標物を撮像する。目標領域抽出部20は、撮像装置10により観測目標物を撮像して出力される8ビットR(赤)輝度信号と、8ビットG(緑)輝度信号と、8ビットB(青)輝度信号の3輝度信号を組み合わせた3次元ベクトルの24ビット信号である、通常、RGB信号と呼ばれている信号を入力して目標領域抽処理をする部位である。観測画像モニタ・目標領域設定部30は目標領域設定処理をする部位である。目標領域設定処理は、目標領域抽処理をするに先だって実施される。目標領域設定と目標領域抽出を組み合わせて画像観測装置を構成することにより、RGBカラー画像を色差成分を損なうことなしに領域の区分をすることができる。目標領域設定および目標領域抽出は後で詳細に説明される。
【0011】
図3を参照して目標領域について復習する。観測目標領域4は、観測目標物である子供を撮像した表面画像の内の観測抽出しようとする対象を意味する。観測目標領域4内には、複数の目標領域1、2、3が含まれる。そして、図2を参照するに、目標領域は一例として黄緑であり、その目標外領域である近傍領域は一例として灰色であるものとし、方形枠で囲まれた領域を色距離閾値を抽出する閾値設定領域、或いは目標領域枠として定義している。
ここで、色距離について説明する。観測画像をR(赤)、G(緑)、B(青)の3つのベクトルで観測し、目標領域における各画素毎について計算されるR000値に対する距離量:√[(R−R02+(G−G02+(B−B02]を色距離という。R000値とは、当該目標領域における色の基準となるサンプリング場所の基準値である。目標領域における或る画素のR、G、Bの3つのベクトルが、それぞれ、R0 、G0、B0 である場合、この画素の色距離は0であり、これはサンプリング場所の色と同じ色であることを意味する。
【0012】
目標領域は、そもそも、色相の類似した領域の括られたものであるので、単一のRGB信号値で表示されるが、目標外領域は単一のRGB信号値で表示されるとは限らない。目標領域と目標外領域は、画素毎に色距離が計算され、カラー画像をこの色距離に基づいて色距離画像に変換する。そして、色距離画像に変換された両領域は、設定された色距離閾値を使用してこれを2値化することにより区分される。即ち、目標領域および目標外領域は、色距離閾値により2値化することにより、色距離閾値を超える部分は黒に変換表示される一方、この色距離閾値を超えない部分は白に変換表示される。
【0013】
画像観測における以上の目標領域と目標外領域の区分、分割の詳細を図4、図5および図6を参照して具体的に説明する。図4は目標図形パターンの目標領域抽出を説明する図、図5は画像観測装置の実施例を説明する図である。図6は目標領域設定と目標領域抽出を総合した動作シーケンスを示す図であり、目標領域設定は左側の鎖線枠内の工程を順次に辿って実施し、目標領域抽出は右側の鎖線枠内の工程を順次に辿って実施する。
ここで、目標図形パターンの領域抽出における「領域」の定義は表1にまとめられている。
【0014】
【表1】

以下、目標領域の抽出を図4を参照して説明する。
目標領域1、2、3の見当をつけるには、目標図形パターンが含まれる図示される通りの画像をモニタ画面上に表示する。
観測目標領域4を構成する要素の候補として、図4において黄色の四角の枠で囲んだ目標領域1〜目標領域3を設定する。この設定は、具体的には、モニタ画面上においてマウスを操作することにより黄色の四角の枠で包囲設定する。
【0015】
目標領域1〜目標領域3の意味は自転車のタイヤと赤い上着であり、その定義は黄色の領域と赤色の領域である。
これらの目標領域1〜目標領域3について、目標領域における色の基準となると思われるサンプリング場所をマウスを操作して設定し、これらサンプリング場所から目標領域1〜目標領域3毎に各基準R000値を読みとる。ここで、小さな正方形で示されるところがサンプリング場所を示す。画像入力のRGB値と基準R000値とにより各画素毎にノルム演算をして目標領域を目標領域別に色距離画像に変換し、レイヤ別に画像を作成する。ここで、レイヤ(或は階層)とは何かについて、その意味内容を説明すると次の通りである。
【0016】
図9を参照するに、或る一つの設定された色距離を有する領域、即ち、赤、橙、黄、黄緑毎の画像を作成し、この画像を2値化した色距離2値化画像をレイヤ(或いは階層)1、2、3、4と称している。レイヤ1は赤の領域に対する色距離2値化画像であり、中心に存在する赤の領域のみに対応して画像が得られている。レイヤ2は橙の領域に対する色距離2値化画像であり、赤の領域の周囲を包囲する橙の領域のみに対応して画像が得られている。レイヤ3は黄の領域に対する色距離2値化画像であり、橙の領域の周囲を包囲する黄の領域のみに対応して画像が得られている。レイヤ4は黄緑の領域に対する色距離2値化画像であり、黄の領域の外側を包囲する黄緑の領域のみに対応して画像が得られている。
【0017】
図10を参照するに、レイヤ1は黄の領域に対する色距離2値化画像であり、三角形の領域のみに対応して画像が得られている。レイヤ2は赤の領域に対する色距離2値化画像であり、丸の領域のみに対応して画像が得られている。レイヤ3は青の領域に対する色距離2値化画像であり、四角形の領域のみに対応して画像が得られている。レイヤ4は黄緑の領域に対する色距離2値化画像であり、黄、赤、青の領域の外側を包囲する黄緑の領域のみに対応して画像が得られている。
図10(a)において、色距離の相違する黄、赤、青、黄緑の各領域は、それぞれ抽出された領域画像としてレイヤ、階層別に色距離2値化画像化され、各レイヤ、階層別に抽出領域の数、位置、面積の関係、条件を後で説明される図7を参照して認識する。
【0018】
色距離閾値を設定し、レイヤ別にこの色距離閾値による色距離画像の2値化と正規化により、目標領域を抽出する。即ち、目標領域および目標外領域を、色距離閾値により2値化し、正規化することにより、色距離閾値を超える部分は黒に表示する一方、色距離閾値を超えない部分を白に表示し、目標領域を抽出する。
目標領域は、重心位置、面積、基準R000 値の3つのパラメータで形状比較する。
レイヤ間をまたいで、目標領域間の相対位置、各目標領域の面積、各目標領域の基準R000 値を目標図形パターンと比較して目標図形パターンを抽出する。相対位置の例は図7に示されている。図7は目標図形パターンを目標領域のグループで抽出する条件の例を示す図である。目標図形パターンを目標領域のグループで抽出する条件を組み合わせて表2に示されるマッチングパターンを定義することができる。(S7)については後で更に具体的に説明される。
【0019】
【表2】

図4において、目標領域1、2の意味は自転車のタイヤであり、目標領域3の意味は赤い上着であり、その定義は黄色の領域と赤色の領域である。これら黄色の四角の枠で囲んだ目標領域1〜目標領域3を青枠で囲んで一つのグループの目標図形観測パターンとして抽出する。「横に並んだ目標領域1、2、更にその中間上部に配置する目標領域3」という定義の下で青枠で囲んで一つのグループの観測目標領域4としてグループ化することで、この定義を満足するか否かを判断して、目標領域1〜目標領域3を一括して抽出することができる。
【0020】
図5を参照して画像観測装置の実施例を説明する。これは、基準値が単一である目標領域を抽出するものであり、各目標領域のR000値、各目標領域を目標外領域と区別するベース閾値、目標領域のサイズを入力として抽出した目標領域のR000値、目標領域の2値画像、重心位置、面積を、目標領域別のレイヤ構成で出力する。以下、具体的に説明する。
100はCCDカラーカメラ、511〜51nは設定値記憶部、521〜52nは色距離演算回路、531〜53nはヒストグラム抽出フィルタ、541〜54nは2値化回路、551〜55nは重心位置演算回路、561〜56nは面積演算回路、571〜57nはレイヤ出力記憶部、58は抽出画像出力部である。
【0021】
CCDカラーカメラ100で撮像されたRGBカラー画像信号は、R画像信号成分、G画像信号成分、B画像信号成分に分解して出力される。目標領域1〜nには、対応する設定値記憶部511〜51nが具備されている。設定値記憶部511〜51nには、目標領域それぞれのR000値、目標領域を区別するベース閾値、目標領域のサイズ、が格納されている。
各目標領域1〜nに対応する色距離演算回路521〜52nには、R画像信号成分、G画像信号成分、B画像信号成分が入力されると共に、対応する目標領域の設定値記憶部511〜51nからR000値が入力される。これら色距離演算回路521〜52nにおいて、各目標領域1〜nの各画素のRGB信号成分をR000基準値と比較して先の色距離の計算式により色距離を計算し、各目標領域の画像を色距離画像に変換する。
【0022】
531ないし53nは目標領域1〜nにそれぞれ対応するヒストグラム抽出フィルタである。541〜54nは2値化回路である。
ところで、設定値記憶部511〜51nから供給されるベース閾値には、2値化回路541〜54nに入力されるに先立って、以下の処理が施される。目標領域設定に際して色距離閾値のベース値が設定される。閾値のベース値を設定するには、先ず、目標領域が主たる割合を占め、目標領域を内接する目標領域の枠を設定する。即ち、ベース閾値のかさ上げをする差分を演算するに使用する目標領域の枠のサイズを設定する。そして、目標領域枠内を色距離画像に変換して図8に示される色距離分布のヒストグラムをとり、ヒストグラムの極小値或いは変曲点を目標領域枠内全体のベース閾値として設定する。そして、各ヒストグラム抽出フィルタ531ないし53nは、設定値記憶部511〜51nに設定記憶される目標領域サイズと色距離演算回路521〜52nから出力される色距離画像を入力し、色距離閾値の補正量を発生する。RGBカラー画像の目標領域とそれ以外の領域の間の目標領域の差分値を補正量として発生し、これを設定値記憶部511〜51nから供給されるベース閾値に加算して補正された色距離閾値が生成され、目標領域を2値化して2値化回路541に入力されて、これにより目標領域とそれ以外の領域は分割、区別される。この通りにするのは、目標領域とそれ以外の目標外領域を2値化する色距離閾値は、これをそのベース値として目標領域に近い小さいところに設定しておき、目標領域とそれ以外の目標外領域が色距離において距離が大きい場合はその距離に相当する分だけ高く設定することにより、2値化を安定化することができることによる。
【0023】
2値化回路541〜54nにより生成された目標領域の2値画像は、対応するレイヤ出力記憶部571〜57nに出力してここに記憶される。そして、目標領域の2値画像は、対応する重心位置演算部551〜55nに供給され、重心位置が計算されて、対応するレイヤ出力記憶部571〜57nに出力してここに記憶される。また、目標領域の2値画像は、対応する面積演算部561〜nに供給され、面積が計算されて、対応するレイヤ出力記憶部571〜57nに出力してここに記憶される。レイヤ出力記憶部571〜57nには、更に、対応する設定値記憶部511〜51nからR000値が入力されている。以上の通り、2値化した目標領域の2値画像について、目標領域毎に面積と重心位置が計算され、計算された重心位置および面積は直接出力される2値画像およびR000値と共に、目標領域1〜n別のレイヤ構成で出力され、記憶される。
【0024】
ここで、図8を参照するに、これは目標領域と目標外領域間の色距離ヒストグラムである。縦軸の「面積比」とは、目標領域の面積を矩形枠の面積で除算した値をいう。判然とした輪郭を有して色距離の小さい条件下においては、青色曲線により示される如く明確にピークが分離して閾値設定が容易であることが理解される。これに反して、境界がぼやけたものは明確な閾値を設定し難いことが理解される。この条件の下においては、閾値の値によって2値化画像の大きさが変化する。上述した通り、目標領域の周辺の色距離が一定ではない場合、色距離画像の目標領域の差分をベース閾値にかさ上げすることで目標領域の2値化を安定化することができる。
【0025】
図6は目標領域設定と目標領域抽出を総合した動作シーケンスを示す図であり、目標領域設定は左側の鎖線枠内の工程を順次に辿って実施し、目標領域抽出は右側の鎖線枠内の工程を順次に辿って実施する。以下、図4および図6を参照して観測領域の目標領域設定の動作シーケンスを説明する。
(S0) CCDカラーカメラで観測対象のR画像、G画像、B画像の3画像より成る原画像を撮像入力する。
(S1) 目標領域を含むカラー原画像をモニタ画面に表示する。
【0026】
(S2) モニタ画面で各目標領域1、2、3を矩形枠で囲み、観測領域の図形パターンを単色の目標領域1、2、3の複合体に分割する。これを目標枠として設定する。
(S3) モニタ画面で各目標領域における色の基準となるサンプリング画素を囲み、基準となる画素のR000 値を設定する。
(S4) 各目標領域枠の各画素を画素毎にR000 値との間の色距離に変換し、各目標領域枠内を色距離画像に変換する。
(S5) 各目標領域枠内の色距離ヒストグラムを作成する。
【0027】
(S7) ヒストグラムの変曲点を目安にして目標領域抽出分割処理に適した色距離閾値を設定する。
(S8) 各目標領域枠内を色距離閾値と比較して2値化し、モニタに2値化画像を表示する。
(S9) モニタ画面を参照して、色距離閾値を調節して閾値が適正であるか否か妥当性を調べる。抽出された目標領域が目的とする領域を正確に抽出していない場合は、(S2)に戻り、目標領域枠の設定および色距離閾値の設定を再設定し、2値化画像が適正化されるまで以上の工程を繰り返す。
【0028】
(S10) 目標領域を正確に抽出している場合は、目標領域の面積を演算する。
(S11) 目標領域の重心位置を演算する。
(S12) 目標領域の登録をする。目標領域のR000 値、色距離閾値、目標領域枠、目標領域を登録する。図形登録プロパティは、グルーピングされる図形番号、グループ内の相対位置、面積、面積比率、設定図面上の絶対位置、目標領域のR000 値とする。
ここで、目標領域抽出処理を図6の右側の鎖線枠内の工程を順次に辿って説明する。
【0029】
(S0’) CCDカラーカメラ100で観測対象のR画像、G画像、B画像の3画像より成る原画像を撮像入力する。
(S1’) 各目標領域枠内の画素毎にR000 値との間の色距離変換演算√[(R−R02+(G−G02+(B−B02]をする。
(S2’) 各目標領域の色距離画像を作成する。
(S3’) 目標領域のサイズで差分演算をして色距離閾値の補正画像を作成する。
(S4’) 目標領域の画素毎に補正された色距離閾値と比較して目標領域を2値化した2値化画像を作成する。
【0030】
(S5’) 目標領域の2値化画像の面積を演算する。
(S6’) 目標領域の重心位置の演算をする。
(S7’) R000 値、面積、重心位置をプロパティとして、目標領域レイヤを構成する。
(S8’) 目標領域レイヤを検索して登録図形グループの構成要素を重ね合わせて図形パターン領域画像レイヤを作成する。
(S9’)図形パターン或いは目標領域レイヤとカラー画像を掛け合わせ、目標図形パターンを抽出する。
【0031】
図7は観測目標目標領域4を目標領域1、2、3のグループで抽出する条件の例を示す図である。観測目標領域4を目標領域1、2、3のグループで抽出する条件を組み合わせて表2に示されるマッチングパターンを定義する。図7において、条件1は、目標領域は3個で抽出領域も3個である。領域の数が同じである場合、表2のマッチングパターン1に従ってマッチングしているものと判断することができる。条件1、2、3を満足する、目標領域と抽出領域の数が同じであり、且つ、目標領域と抽出領域の各面積が等しく、且つ、目標領域相互の相対位置関係と抽出領域の相対位置関係が等しい場合、表2のマッチングパターン4に従ってマッチングしているものと判断することができる。
【0032】
この発明は、半導体材料等の欠陥測定分野、顕微鏡下の微生物測定分野において適用すると好適である。その他、環境モニタ、生産ラインの監視においても、効率の高い目標物領域抽出能力を発揮する。更に、煙、緑化、森林のCO2監視、酸性雨監視、その他の環境監視、食品の異物監視、形状および色による食品の測定監視、常時監視モニターをインテリジェント化してセキュリティー監視に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】画像観測装置の概要を説明する図。
【図2】目標領域を説明する図。
【図3】複数の目標領域をまとめて一つの観測領域としてそのRGB信号を抽出する仕方について説明する図。
【図4】目標領域を含む目標領域枠を示す図。
【図5】画像観測装置の実施例を説明する図。
【図6】目標領域設定と目標領域抽出を総合した動作シーケンスを示す図。
【図7】目標図形パターンを目標領域のグループで抽出する条件の例を示す図。
【図8】目標領域と目標外領域間の色距離ヒストグラム。
【図9】レイヤを説明する図。
【図10】他のレイヤを説明する図。
【符号の説明】
【0034】
100 CCDカラーカメラ
511〜51n 設定値記憶部
521〜52n 色距離演算回路
531〜53n ヒストグラム抽出フィルタ
541〜54n 2値化回路
551〜55n 重心位置演算回路
561〜56n 面積演算回路
571〜57n レイヤ出力記憶部
58 抽出画像出力部










【特許請求の範囲】
【請求項1】
CCDカラーカメラで撮像して得られた表面画像のRGB信号を色距離に変換して目標領域を単一の色距離閾値で2値化して、観測目標物の表面画像の色相の類似した目標領域に分割することを特徴とする画像観測方法。
【請求項2】
(S0) 画像をR、G、Bの3つの色別に撮像入力し、
(S1) RGB画像をカラーモニタに表示し、
(S2) 単色の目標領域1、2、3の複合体になる様に目標領域1、2、3を矩形枠で囲み、
(S3) 矩形枠で囲まれた領域の色をサンプリング画素を囲こみ、目標領域の基準色R000 値を設定し、
(S4) 撮像入力した画像を目標領域の基準色R000 との間の色距離画像に変換し、
(S5) 矩形枠で囲まれた領域画素の色距離をヒストグラムに表示し、
(S7) ヒストグラムの変曲点を目安にして目標領域分割に適した色距離閾値を設定し、
(S8) 矩形枠で囲まれた領域を色距離で2値化し、モニタに表示し、
(S9) モニタを参照して色距離閾値を調節して、S2〜S9を繰り返し、
(S10) 目標領域の面積を演算し、
(S11) 目標領域の重心位置を演算し、
(S12) 図形プロパティをグルーピングされる図形番号、グループ内相対位置、面積、面積比率、基準色R000 、色距離閾値、目標領域枠、を登録する、
ことを特徴とする画像観測方法。
【請求項3】
(S0’) 画像をR、G、Bの3つの色別に撮像入力し、
(S1’) RGB画像をカラーモニタに表示し、
(S2’) 撮像入力した画像を目標領域の基準色R000 との間の色距離画像に変換し、
(S4’) 矩形枠で囲まれた領域を補正された色距離閾値で2値化し、
(S5’) 目標領域面積を演算し、
(S6’) 目標領域重心位置を演算し、
(S7’) 基準色R000 、面積、重心位置をプロパティとして目標領域レイヤを構成し、
(S8”) 目標領域レイヤを検索して登録図形グループの構成要素を重ね合わせ図形パターン領域レイヤを作成し、
(S9’) 図形パターン或いは目標領域レイヤと撮像入力したカラー画像を掛け合わせて目標図形パターンを抽出する、
ことを特徴とする画像観測方法。
【請求項4】
撮像されたRGBカラー画像信号をR画像信号成分、G画像信号成分、B画像信号成分に分解して出力するCCDカラーカメラを具備し、
複数の目標領域1〜nにそれぞれ対応する設定値記憶部を具備し、設定値記憶部には目標領域それぞれのR000値、目標領域を区別するベース閾値、目標領域のサイズが格納され、
R画像信号成分、G画像信号成分、B画像信号成分が入力されると共に、対応する目標領域の設定値記憶部からR000値が入力される各目標領域1〜nに対応する色距離演算回路を具備し、これら色距離演算回路においては各目標領域1〜nの各画素のRGB信号成分をR000基準値と比較して色距離の計算式により色距離を計算し、各目標領域の画像を色距離画像に変換し、
設定値記憶部に設定記憶される目標領域サイズと色距離演算回路から出力される色距離画像を入力してベース閾値の補正量を発生してこれをベース閾値に加算して補正された色距離閾値を生成するヒストグラム抽出フィルタを目標領域1〜nに対応して具備し、
色距離画像を入力すると共に補正された色距離閾値を入力して目標領域の2値画像を生成する2値化回路を目標領域1〜nに対応して具備し、
出力される2値画像およびR000値を記憶するレイヤ出力記憶部を目標領域1〜nに対応して具備し、
目標領域の2値画像を入力して重心位置を計算する重心位置演算部を目標領域1〜nに対応して具備し、
目標領域の2値画像を入力して面積を計算する面積演算部を目標領域1〜nに対応して具備し、
計算された重心位置および面積は直接出力される2値画像およびR000値と共に目標領域1〜n別のレイヤ構成で出力されてこれを記憶するレイヤ出力記憶部を目標領域1〜nに対応して具備する、
ことを特徴とする画像観測装置。










【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−172381(P2006−172381A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−367597(P2004−367597)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000219451)東亜ディーケーケー株式会社 (204)
【Fターム(参考)】