説明

画像記録装置

【課題】画像記録媒体が画像記録装置内でジャミングを起こした際に、ベルトの損傷を防ぐことができる画像記録装置を提供する。
【解決手段】本発明の画像記録装置は、ベルトを用いて記録シートの表面に表面処理を施す表面処理手段と、異常の発生を検出し、異常発生部位を特定する異常発生部位特定手段と、表面処理装置内の記録シートの有無・種類を検出する記録シート検出手段と、表面処理部上流および下流ユニットの駆動を制御可能な制御手段とを有する。この画像記録装置においては、異常発生時に、表面処理部内の記録シートの有無・種類を検出し、その結果に応じて表面処理部上流および下流ユニットの駆動を制御することにより的確なエラー制御を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真記録方式、銀塩写真方式、インクジェット記録方式、またはサーマル記録方式などにより画像が記録された記録シートに、表面平滑な定着ベルトを介して、光沢性を付与する機能を有する画像記録装置に関し、特に、記録シートのジャミング等の異常が発生した際に定着ベルトの損傷を防ぐことができる画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成などにおいて、基材の表面に熱可塑性樹脂からなる透明樹脂層を形成してなる画像記録媒体を用いることにより、写真プリントと同等の光沢性を有するプリントを作成することが知られている。
このプリント作成では、画像記録媒体(透明樹脂層)に画像を記録した後、加熱/加圧による表面処理を行うことにより、透明樹脂層を溶融した後に凝固することで、画像記録媒体の表面を平滑にして光沢性を付与する。
【0003】
例えば、特許文献1には、基材の表面に透明樹脂層を形成してなるプリントに光沢を付与する装置として、表面が平滑なエンドレスベルトと、このエンドレスベルト(ベルトを張架するローラ)に受像媒体を密着させ、かつ、加熱する加熱加圧手段とを有する光沢処理装置が開示されている。
具体的には、特許文献1には、加熱ローラを含むローラに張架される表面平滑性の高いエンドレスベルトと、熱源を内包し前記エンドレスベルト(前記加熱ローラ)に画像記録媒体を当接するニップローラと、エンドレスベルトに内包される冷却器とを有する光沢処理装置を用いるプリンタが開示されている。
【0004】
特許文献1に開示されているプリンタにおいては、表面に透明樹脂層を有する受像媒体を用いて電子写真方式によって画像を記録した後、この光沢処理装置によって、透明樹脂層(画像記録面)をエンドレスベルトに向けて、エンドレスベルトとニップローラとで受像媒体を挟持搬送する。この挟持搬送によって、透明樹脂層をエンドレスベルトに押圧すると共に、加熱/溶融し、次いで、透明樹脂層を冷却/凝固した後にエンドレスベルトから剥離することにより、エンドレスベルトの表面性状を受像媒体の透明樹脂層に転写して、プリントの表面に光沢を与える。
【0005】
【特許文献1】特開2004−109860号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
各種の画像記録装置において、記録シートへの画像形成中にジャミングなどの異常が発生した際の処置としては、画像記録装置の全動作を直ちに停止してエラーメッセージを表示し、ユーザが装置内の記録シートを取り除く方法や、異常発生部位を特定して、それよりも上流の部位については直ちに動作を停止してエラーメッセージを表示し、異常発生部位よりも下流の部位については引き続き動作を行い、下流の部位にある記録シートが全て装置外に搬送されてから、下流の部位の動作を停止する方法などがとられている。
【0007】
ところが、前述のような光沢処理装置を有する画像記録装置においては、異常発生時に、光沢処理装置内に記録シートがある状態で動作を停止すると、記録シートとベルトとが圧着した状態で光沢処理装置を停止させることになる。ここで、光沢処理装置では加熱加圧によって記録シートの熱可塑性樹脂は溶融しているため、光沢処理装置の搬送を停止させている間に、溶融した熱可塑性樹脂がベルトにはりつき、ベルトの表面の平滑性が損なわれてしまい、これ以降の表面処理を適切に行うことができなくなってしまうという問題点がある。
【0008】
本発明の目的は、前記従来技術に基づく問題点を解消し、ベルトを用いて光沢処理等の表面処理を行う記録装置において、表面処理装置の性能を損なわないように、異常発生時における制御を的確に行うことができる画像記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の画像記録装置は、ベルトを用いて記録シートの表面に表面処理を施す表面処理手段と、前記表面処理手段内の記録シートの有無の検出、および、表面処理手段内の記録シートが前記表面処理に対応する記録シートであるか否かの判別をする記録シート判別手段と、異常の発生を検出し、かつ、異常発生部位を特定する異常発生部位特定手段と、異常が発生した際に、前記異常発生部位特定手段が特定した異常発生部位、前記記録シート判別手段による表面処理手段内の記録シートの有無および表面処理手段内の記録シートが表面処理に対応するか否かの判別結果に応じて、前記表面処理手段、前記表面処理手段よりも上流の上流ユニット、および、前記表面処理手段よりも下流の下流ユニットの駆動を制御する制御手段とを有することを特徴とする画像記録装置を提供する。
【0010】
このような本発明の画像記録装置において、前記異常発生部位特定手段が異常の発生を検出し、かつ、前記記録シート判別手段が前記表面処理手段内に記録シートが無いことを検出した際に、前記制御手段は、少なくとも前記上流ユニットの搬送を停止する。
【0011】
また、前記異常発生部位特定手段が異常の発生を検出し、かつ、前記記録シート判別手段が前記表面処理手段内に表面処理に対応する記録シートを検出し、さらに、前記異常発生部位特定手段が異常発生部位を前記上流ユニットと特定した際に、前記制御手段は、前記上流ユニットの駆動を停止し、前記記録シートを排出するまで前記表面処理手段を駆動する。
【0012】
さらに、本発明の画像記録装置は、前記異常発生部位特定手段が異常の発生を検出し、かつ、前記記録シート判別手段が前記表面処理手段内に表面処理に対応する記録シートを検出し、さらに、前記異常発生部位特定手段が異常発生部位を前記下流ユニットと特定した際に、前記制御手段は、前記上流ユニットの駆動を停止し、前記表面処理手段の下流に設けられた搬送路切替ガイドによって搬送路を切り替えて、前記表面処理手段内の前記記録シートを所定の排出部に排出する。
【0013】
本発明の画像記録装置は、前記異常発生部位特定手段が異常の発生を検出し、かつ、前記記録シート判別手段が前記表面処理手段内に表面処理に対応しない記録シートを検出した際に、前記制御手段は、前記上流ユニット、前記下流ユニット、および、前記表面処理手段の全ての搬送を停止する。
【0014】
あるいは、前記異常発生部位特定手段が異常の発生を検出し、かつ、前記記録シート判別手段が前記表面処理手段内に表面処理に対応しない記録シートを検出した際に、前記制御手段は、前記異常発生部位特定手段により特定された異常発生部位よりも上流の搬送を停止し、前記異常発生部位特定手段により特定された異常発生部位よりも下流は、前記記録シートを排出するまで駆動する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の画像記録装置は、表面処理用のベルトを用いて光沢処理等の記録シートの表面処理を行う画像記録装置において、ジャミング等の異常が発生した際に、異常発生部位が表面処理手段よりも上流か下流か、表面処理手段の中に記録シートがあるか否か、表面処理手段の中の記録シートは表面処理に対応するものであるか否か等に応じて、表面処理手段、表面処理手段よりも上流部、および、表面処理手段よりも下流部の駆動を制御する。
そのため、本発明によれば、異常が発生した際に、画像記録媒体が存在する状態で表面処理装置での搬送を停止することを防止でき、画像記録媒体を加熱/加圧している状態で表面処理手段を停止すること等に起因する表面処理用ベルトの平滑性の低下などの不都合の発生を防止できると共に、効率のよい後処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の画像記録装置について、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
【0017】
図1に、本発明の画像記録装置の一例の概念図を示す。
図1に示す画像記録装置10は、電子写真方式によって記録シートA(受像媒体)に画像を記録して、プリントを作成するものであって、基本的に、記録シート供給部12と、画像形成部14と、表面処理部16と、切断/配列部18とを有して構成される。また、これらの各部位や各部位間には、特に図示あるいは符号を付していなくても、必要に応じて、搬送ローラ対やガイド部材等の記録シートAの搬送手段や、記録シートAを検出するセンサ、ジャミングを検出するセンサなどの、公知のプリンタに配される各種の部材を有している。また、画像記録装置10においては、表面処理部16よりも上流が上流ユニット、表面処理部16よりも下流が下流ユニットとなっており、表面処理部16と、上流ユニットと、下流ユニットとは、互いに独立して駆動が制御可能となっている。
なお、これらの部位および部材は、後述する制御部42によって制御される。
【0018】
この画像記録装置10は、記録シートAにプリントサイズに応じた画像を記録した後、記録シートAをプリントサイズに切断することで、(仕上がり)プリントとする。また、図示例においては、好ましい態様として、必要に応じて、1枚の記録シートAに、2画像や4画像等の複数の画像を割り付けて形成する、いわゆる多面付けを行って、その後、記録シートAをプリントサイズに応じて切断して、1枚の記録シートAから複数枚のプリントを作成する。
なお、画像記録装置10においては、未定着のトナーによる装置の汚染等を防止するために、記録シートAの周辺(搬送方向の前後端、および、搬送方向と直交する方向の両端)を空白として、記録シートAに画像を形成するのが好ましい。また、多面付けで画像を形成する際には、各画像間に間隙を有してもよく、あるいは、間隙を有さなくてもよい。
【0019】
以下の説明では、便宜的に、搬送方向と直交する方向を幅方向とし、この方向の記録シートAのサイズを幅とする。また、記録シートAの搬送方向を搬送方向とし、搬送方向の記録シートAのサイズを長さとする。さらに、先端および後端とは、搬送方向に対応するものとする。
【0020】
記録シート供給部12(以下、供給部12とする)は、カットシート状の記録シートAを画像形成部14に供給する部位である。
図示例において、供給部12は、長尺な記録シートAを巻回してなる記録シートロール20aを収容するマガジン20の装填部を2箇所と、カットシート状の記録シートAを収容するカセット24の装填部とを有する。
各マガジン20の装填部には、通常、互いに異なる幅(異なるサイズ)の記録シートロール20aが収容される。他方、カセット24は、各種のプリンタに用いられるのと同様の、記録シートAを収容してプリンタに装填するためのケースである。
【0021】
記録シートAには特に限定はなく、電子写真形式のプリンタで利用されている各種の記録シート(受像媒体)が全て利用可能である。
本発明の画像記録装置10においては、特に、紙等からなる基材の表面に熱可塑性樹脂からなる透明樹脂層を形成してなる記録シートのように、光沢性に優れた写真品質のプリントを作成できる記録シート(写真画質プリント用シート)は、好適である。この記録シートは、一例として、透明樹脂層の表面を画像形成面として、この表面にトナー像を形成した後、表面平滑性に優れたベルト等で加熱加圧処理(トナー像の定着を兼ねても可)して、透明樹脂層を溶融/冷却/凝固してベルト等の表面性状を転写することにより、銀塩写真プリントのように光沢性に優れたプリントを作成できる(特開平5−216322号公報等参照)。
透明樹脂層となる熱可塑性樹脂には、特に限定はないが、ポリエステル、ポリエチレン、スチレン−アクリル酸エステル樹脂等が好適に例示される。また、透明樹脂層の厚さにも、特に、限定は無いが、表面処理後の応力歪み(曲げ歪み)による割れ(クラック)の防止等の観点から、5〜20μmとするのが好ましい。
【0022】
なお、各装填部には、マガジン20に収容される記録シートロール20aのサイズ(幅)や記録シート種、および、カセット24に収容された記録シートAのサイズや記録シート種を検出する、装填シート種検出手段162が配置される。
画像記録装置10においては、この装填シート種検出手段162により、プリント作成に供されている各記録シートAのサイズや、前記写真画質プリント用シートであるか普通紙であるかなどの記録シートAの種類を検出する。また、装填シート種検出手段162による検出結果は、後述する制御部42に供給される。
なお、装填シート種検出手段162による、記録シートAの種類やサイズの検出方法には、特に限定はなく、ディップスイッチを利用する方法や、バーコードを利用する方法等、プリンタで利用されている各種の方法が利用可能である。
【0023】
装填部に装填された各マガジン20の下流(記録シートAの搬送方向の下流)には、引出しローラ対22と、カッタ28が配置される。
引出しローラ対22は、マガジン20に収容された記録シートロール20aから、記録シートを引き出すローラ対である。また、カッタ28は、ギロチンカッタ等の公知のシート状物の切断手段である。
【0024】
引出しローラ対22による記録シートロール20aからの記録シートの引出しは、カッタ28よりも下流の記録シートの長さが所定長になった時点で停止する。次いで、カッタ28が記録シートを切断して、所定サイズのカットシート状の記録シートAとし、所定の搬送手段に供給する。
【0025】
また、カセット24に収容されている記録シートAは、各種のプリンタで利用されている公知の手段によって引き出し、所定の搬送手段に供給する。
【0026】
カッタ28によって所定サイズに切断された記録シートA、カセット24から引き出された記録シートAは、共に、搬送ローラ対によって画像形成部14に搬送される。
なお、画像形成部14の直上流の2つの搬送ローラ対の間には、後述する制御部42からの制御信号に基づいて、プリントの裏面(非画像記録面)にバックプリントを記録する印字ヘッド26が配置される。
印字ヘッド26には、特に限定はなく、インクリボンを用いるインパクトプリンタ、インクジェットプリンタ等、公知の印字手段が各種利用可能である。
【0027】
画像形成部14は、電子写真によって記録シートAに画像を形成する部位であって、露光部30と、トナー像形成部32と、転写部34と、一次定着ローラ対36と、反転部40とを有する。
【0028】
露光部30は、制御部42と露光ユニット44とを有して構成される。
制御部42は、画像供給源からプリントに再生する画像(画像データ)を取得して、所定の画像処理を行った後、1枚の記録シートAに記録する画像の数(記録面数)に応じて画像を割り付けて、1枚の記録シートAに記録する画像とする。
【0029】
制御部42は、画像供給源からプリントに再生する画像(画像データ)を取得して、所定の画像処理を行った後、1枚の記録シートAに記録する画像の数(記録面数)に応じて画像を割り付けて、1枚の記録シートAに記録する画像とする。
また、この制御部42は、画像記録装置10の各構成要素の動作制御も行うものである。
さらに、制御部42は、画像記録装置10でジャミング等の異常(トラブル)が発生した際には、前述のジャミングや記録シートAを検出するセンサによる検出結果等に応じて、異常の発生位置を特定し、この異常の発生位置、後述する表面処理部16の記録シート検出手段160による表面処理部16内における記録シートAの有無、前記装填シート種検出手段162による検出結果等から知見した表面処理部16内の記録シートAの種類等に応じて、前記上流ユニット、表面処理部16、および、下流ユニットの駆動を制御する。この点に関しては、後に詳述する。
【0030】
一方、露光ユニット44は、後述するトナー像形成部32の電子写真感光体ドラム46を露光する光ビーム(記録光)の光源、光偏向器、fθレンズ、光路変更用のミラー、光ビーム調整用のレンズ等を有する、公知の光ビーム走査光学系である。
すなわち、露光ユニット44は、制御部42から供給された画像データ(すなわち記録する画像)に応じて変調した光ビームEを、前記幅方向(記録シートAの搬送方向(=電子写真感光体ドラム46の回転方向)と直交する方向)と一致する主走査方向に偏向して出射し、ミラー44aで反射させて所定の露光位置に入射して、電子写真感光体ドラム46に潜像を記録する。
【0031】
トナー像形成部32は、電子写真による公知のトナー像の形成部であり、電子写真感光体ドラム46(以下、感光体ドラム46とする)、帯電手段48、クリーニング手段50、およびトナー供給手段52を有する。
感光体ドラム46は、公知の電子写真感光体ドラムであって、中心軸を幅方向と一致して、矢印a方向(記録シートAの搬送方向と逆方向)に回転する。前述のように、露光ユニット44からの光ビームEは幅方向に偏向されているので、感光体ドラム46は、記録画像に応じて変調された光ビームEによって2次元的に走査露光される。
トナー供給手段52は、回転可能なドラム状の本体52aに、C(シアン)トナー供給部54C、M(マゼンタ)トナー供給部54M、Y(イエロー)トナー供給部54Y、およびK(黒)トナー供給部54Kの4つのトナー供給部を回転角90°の間隔で有する。
【0032】
転写部34は、一部を感光体ドラム46に当接するエンドレスベルトである転写ベルト60と、転写ベルト60を張架する3つのローラ62と、内側から転写ベルト60を感光体ドラム46に押圧する押圧ローラ64と、転写ローラ66と、ベルトコンベア68とを有して構成される。転写ベルト60は、トナー像の中間転写体であり、矢印b方向(記録シートAの搬送方向と同方向)に回転する。また、転写ローラ66は、ローラ62の1つと共に転写ベルト60(記録シートA)を挟持する位置と、転写ベルト60と離間する位置とに移動可能にされる。
【0033】
感光体ドラム46は、図中矢印a方向に回転しつつ、帯電手段48によって幅方向に一様に帯電され、前述のように画像データに応じて変調された光ビームEによって二次元的に走査露光され、静電潜像が形成される。次いで、この静電潜像が、トナー供給手段52の現像位置(感光体ドラム46に対面する位置)に位置するトナー供給部、例えばYトナー供給部54Yによって現像され、感光体ドラム46の表面にYトナー像が形成される。
また、一部を感光体ドラム46に接して押圧ローラ64によって押圧されている転写ベルト60は、感光体ドラム46の回転と同期して矢印b方向に回転している。従って、トナー供給手段52によって現像された感光体ドラム46のトナー像は、この接触部(押圧ローラ64による押圧部)において転写ベルト60に転写される。感光体ドラム46の転写ベルト60へのトナー像の転写を終了した領域は、クリーニング手段50によって、残存するトナーを除去される。
【0034】
図示例においては、このようなトナー像の形成および転写ベルト60への転写を、Yトナー供給部54Y、Mトナー供給部54M、Cトナー供給部54C、およびKトナー供給部54Kの4つのトナー供給部を、順次、作用させて行う。
例えば、上述のようにして、Yトナー像を転写ベルト60に転写したら、次いで、トナー供給手段52(本体52a)を矢印c方向に90°回転して、Mトナー供給部54Mを現像位置に位置し、転写ベルト60上のYトナー像と位置合わせをして、同様に感光体ドラム46に潜像を形成しMトナー像を形成して、転写ベルト60に転写する。以下、同様にして、Cトナー像を転写ベルトに転写し、Kトナー像を転写ベルトに転写する。なお、この間は、転写ローラ66は、転写ベルト60とは離間している。
従って、図示例においては、転写ベルト60の表面にY、M、CおよびKの各トナー像が、位置合わせして形成され、すなわち4色の(フル)カラー画像が形成されている。
【0035】
一方、供給部12からは、所定サイズのカットシート状の記録シートAが供給され、例えば、転写ローラ66の直上流のレジストローラ対70の所で待機している。
転写ベルト60にカラー画像が形成されたら、制御部42の制御により、記録シートAと転写ベルト60に形成されたカラー画像との位置が合うように、転写ベルト60の回転にタイミングを合わせて、レジストローラ対70による記録シートAの搬送を開始し、かつ、転写ローラ66を転写ベルト60(ローラ62)に押圧して、転写ベルト60と転写ローラ66とで記録シートAを挟持搬送する。この挟持搬送により、転写ベルト60の表面に形成された4色のカラーのトナー像が記録シートAに転写され、記録シートAの表面に画像が形成される。
前述のように、この画像は、記録する画像数に応じて面付けされた画像である。
【0036】
画像が形成された記録シートAは、ベルトコンベア68によって一次定着ローラ対36に搬送される。
一次定着ローラ対36は、少なくとも一方が加熱ローラとなっている搬送ローラ対である。この一次定着ローラ対36は、必要に応じて、画像形成面側のローラを上下動する等の方法により、挟持状態と挟持開放状態とを取れるようにしてもよい。
一次定着ローラ対36は、通常の電子写真方式による画像形成の定着と同様に、転写部34において画像を転写されトナー像が形成された記録シートAを挟持搬送することにより、トナー像を加熱/加圧して、定着する。
【0037】
本発明の画像記録装置10において、画像形成方法は、図示例のような電子写真に限定はされず、公知の画像形成方法が、全て利用可能である。
一例として、熱源像工程を有し、水等の画像形成溶媒の存在下で受像媒体に画像を転写形成する感光性熱源像感光材料を用いるプリンタ、インクジェットプリンタ、サーマルヘッドを用いる感熱プリンタ等の各種の公知のプリンタ(プリント手段)で実施されている画像記録方法が利用可能である。
【0038】
反転部40は、いわゆる両面プリントを作成するために、一次定着ローラ対36で画像を定着された記録シートAを反転する部位である。
図示例において、反転部40は、一次定着ローラ対36の下流に配置される第1切替手段72と、一次定着ローラ対36からの搬送経路から分岐して設けられる分岐路74と、分岐路74の下流に設けられるキックバック部76と、分岐路74およびキックバック部76から分岐し、転写部34の上流のレジストローラ対70に至る戻り搬送路78と、キックバック部76と戻り搬送路78との分岐点に設けられる第2切替手段80とを有して構成される。
第1切替手段72および第2切替手段80は、共に、搬送路に作用して(挿入されて)、記録シートAを所定の搬送路に案内するフラッパなどの、公知のシート状物の搬送経路の切り替え手段である。
【0039】
画像記録装置10において、両面プリントを作成する際には、第1切替手段72を一次定着ローラ対36からの搬送経路に作用して、一次定着ローラ対36で画像を定着された記録シートAを分岐路74に送り、分岐路74からキックバック部76に搬送して、記録シートAの上流端が第2切替手段80よりも下流に至った時点で、搬送を停止する。
次いで、第2切替手段80をキックバック部76に作用して、キックバック部76において先と逆方向に記録シートAを搬送して、第2切替手段80によって案内して記録シートAを戻り搬送路78に送り、戻り搬送路78からレジストローラ対70に搬送することで、記録シートAを表裏反転する。
【0040】
なお、このような反転部40は、一次定着ローラ対36の下流から分岐して設けるのではなく、表面処理部16の下流から分岐して設けてもよい。
【0041】
一次定着ローラ対36で画像を定着された記録シートAは、次いで、位置調整部100で幅方向の位置を調整された後、表面処理部16に搬送される。
前述のように、画像記録装置10は、記録シートAに1以上の画像を割り付けて(面付けして)形成し、後述する切断部102において、個々の画像(プリント)毎に、プリントサイズに応じて切断することにより、製品として出力するプリントとする。
位置調整部100は、この切断を適正に行うと共に、記録シートAが表面処理ベルト88の特定領域のみに当接することに起因する、表面処理ベルト88の特定部位の損傷等を防止するために、記録シートAの幅や画像形成位置の情報等に応じて、画像を形成された記録シートAの幅方向の位置を、所定の位置に調整する部位である。
【0042】
位置調整部100における、記録シートAの幅方向の位置調整手段には特に限定はなく、公知のシート状物の位置調整手段が、各種利用可能である。
一例として、記録シートAの側端部に当接して、幅方向の位置を規制するガイド板を用いる方法、記録シートAを挟持した状態で幅方向に移動する、軸線方向の位置調整機能を有する搬送ローラ対を用いる方法等が例示される。
【0043】
位置調整部100の下流には、表面処理部16が配置される。
表面処理部16は、前述の写真画質プリント用シートを記録シートAとして用いて、銀塩写真に対応する光沢性等を有する高品質なプリントを作成する際に、記録シートAの表面処理(あるいはさらに、トナー像の二次定着)を行うものである。具体的には、表面処理部16は、ベルト状の表面処理手段を用いて、この表面処理手段に記録シートAの表面(画像形成面)を当接して押圧/加熱して、その後、冷却することにより、記録シートAの表面処理を行う。
【0044】
なお、普通紙によるプリント作成では、通常は、表面処理部16における表面処理および定着処理は不要であるので、表面処理部16では、何の処理もせずに記録シートAを通過させる。あるいは、後の切断/配列部18での切断処理が不要な場合には、一次定着ローラ対36での定着が終了した直後に、所定のトレイにプリントとして出力してもよい。
しかしながら、本発明においては、必要であれば、写真画質プリント用シートのみならず、普通紙などの各種の記録シートAに、以下に示す表面処理を施してもよい。
【0045】
図1および図2に示すように、表面処理部16は、加熱ローラ85、ローラ86、加熱ローラ85とローラ86に張架されるエンドレスベルトである表面処理ベルト88、冷却部90、ニップローラ92、および記録シート検出手段160を有して構成される。なお、図1においては、記録シート検出手段160の図示は省略する。
【0046】
表面処理ベルト88は、本発明における表面処理手段となるベルトで、表面(外面)の平滑性が非常に高いベルトである。加熱ローラ85は、記録シートAの加熱処理に対応する温度に発熱する、公知の加熱ローラである。冷却部90は、表面処理ベルト88に内面から当接して冷却することにより、表面処理ベルト88に搬送される記録シートAを冷却する。さらに、ニップローラ92は、加熱ローラ85に対応する位置で表面処理ベルト88に当接して押圧することにより、記録シートAを表面処理ベルト88に押圧し、かつ、表面処理ベルト88と共に記録シートAを挟持搬送する。
なお、加熱ローラ85における加熱手段、および、冷却部90における冷却手段には、特に限定はなく、公知の手段が全て利用可能である。
【0047】
記録シート検出手段160は、表面処理部16の入口および出口に配置されたセンサ160aおよび160bによる記録シートAの検出結果に応じて、表面処理部16内に記録シートAが存在するかどうかを検出するものである。記録シートAの検出方法には、特に限定はなく、光学的な方法等、公知のシート状物の検出手段が全て利用可能である。記録シート検出手段160は表面処理部16における記録シートAの有無の検出結果を、制御部42に出力する。
【0048】
図1および図2より明らかなように、画像を定着された記録シートAは、画像形成面を表面処理ベルト88側に向けて、表面処理部16に搬送される。
表面処理部16では、まず、記録シートAを表面処理ベルト88(加熱ローラ85)とニップローラ92とによって挟持搬送することにより、記録シートAの表面(前記写真画質プリント記録シートの透明樹脂層の表面)を表面処理ベルト88の表面に当接して押圧すると共に、記録シートAを加熱ローラ85によって加熱する。
この加熱/押圧によって、記録シートAは、透明樹脂層が溶融して、表面処理ベルト88に弱く貼着した状態となって、表面処理ベルト88によって搬送される。表面処理部16では、この搬送中に、冷却部90によって記録シートAを冷却して、溶融した透明樹脂層を凝固する。
冷却された記録シートAは、ローラ86による折り返し部で、表面処理ベルト88から剥離され、下流の搬送ローラ対に供給される。
【0049】
記録シートAとして写真画質プリント用シートを用いた際には、記録シートA表面の透明樹脂層(熱可塑性樹脂)は、このように表面処理ベルト88に押圧されて加熱/溶融され、その後、冷却/凝固することで、表面処理ベルト88の表面性状が転写される。前述のように、表面処理ベルト88は、非常に高い表面平滑性を有する。そのため、表面処理ベルト88の表面性状が転写された記録シートAは、表面の平滑性が高く良好な光沢性を有するものとなり、銀塩写真プリントと同等の品質のプリントを得ることができる。
また、この記録シートAの表面処理によれば、表面処理ベルト88の表面性状を選択することで、このような光沢性を付与する処理のみならず、マット(粗面化)処理等の各種の表面処理を行うことができる。
【0050】
なお、図示例の画像記録装置10においては、この表面処理部16における加熱条件および/または冷却条件を調整可能とし、これにより、記録シートA(プリント)の表面に付与する光沢性等を調整可能にしてもよい。
また、図示例においては、記録シートAの、いわゆるコシを利用して表面処理ベルト88から記録シートAを剥離する。従って、好ましくは、図1に示すように、表面処理部16から記録シートAを排出する位置で表面処理ベルト88を張架するローラ86を小径にすることにより、表面処理ベルト88からの記録シートAの剥離性を向上できる。
【0051】
表面処理部16での処理が終了した記録シートAは、前述のように、切断/配列部18の切断部102に搬送される。
切断/配列部18は、切断部102と、配列部104と、ソート搬送部106とを有する。
【0052】
表面処理部16で表面処理(光沢性の付与)を行われた記録シートAは、次いで、切断部102において、プリントサイズに応じて切断され、製品として出力するプリントP(ハードコピー)とされる。
切断部102は、第1スリッタ110および第2スリッタ112、ギロチンカッタ114、レジストローラ対116、搬送路切替ガイド150、後端屑落下ガイド152、ならびに、排出部154を有する。なお、図1においては、搬送路切替ガイド150、後端屑落下ガイド152、および、排出部154の図示を省略する。これらは制御部42に接続されており、この制御部42により各動作が制御される。
また、切断部102は、排出部154の終端の下方に、図示しない切断屑容器を有している。
【0053】
第1スリッタ110および第2スリッタ112は、いずれも、記録シートAを搬送方向に切断するものであり、例えばロータリーカッタやサーキュラカッタ等を用いる公知のスリッタである。
第1スリッタ110および第2スリッタ112は、共に、搬送方向に同位置で幅方向に配列された、幅方向に位置調整可能の2つのカッタからなるものである。また、第2スリッタ112は、第1スリッタ110に対して下流に配置される。
第1スリッタ110および第2スリッタ112は、共に、記録シートAの幅情報、および、画像の位置情報(幅方向の位置情報)に応じて、各カッタを幅方向に移動して、搬送される記録シートAを搬送方向に切断し、記録シートAを作成するプリントの幅方向のサイズに切り出す。
【0054】
画像記録装置10は、一例として、幅方向には最大で2画像を記録する(最大で2面の面付けを行う)。
図3(A)に示すように、幅方向(矢印y方向)に2画像を記録した場合には、第1スリッタ110の各カッタを幅方向の1つの画像、例えば搬送方向(矢印x方向)に向かって左側の画像に対応して配置し、記録シートAを搬送しつつ切断線Cxで切断して、対応する画像をプリントの幅方向のサイズに対応して切断する。また、下流の第2スリッタ112は、各カッタを幅方向の他方の画像、すなわち搬送方向に向かって右側の画像に対応して配置して、記録シートAを搬送しつつ切断線Cxで切断して、対応する画像をプリントの幅方向のサイズに対応して切断する。
すなわち、まず、第1スリッタ110で搬送方向に向かって左側の画像を切り出し、次いで、第2スリッタ112で同右側の画像を切り出す。
【0055】
他方、図3(B)に示すように、幅方向に1画像を記録した場合には、第2スリッタ112は記録シートAの搬送経路から退避し、第1スリッタ110の各カッタを記録シートAに記録した画像に対応して配置して、記録シートAを搬送しつつ、切断線Cxで切断して、対応する画像をプリントの幅方向のサイズに対応して切断する。
【0056】
ギロチンカッタ114は、記録シートAを幅方向に切断する、公知のギロチンカッタである。
また、レジストローラ対116は、記録シートAの画像の位置情報(搬送方向の位置情報)に応じて、ギロチンカッタ114による切断位置で記録シートAの搬送を停止する、記録シートAの搬送方向の切断位置決めを行う搬送ローラ対である。
【0057】
例えば、図3(A)に示すように、搬送方向に2つの画像を記録した場合には、レジストローラ対116は、まず、先端側の画像の先端側の切断線Cyがギロチンカッタ114による切断位置となった時点で、記録シートAの搬送を停止する。次いで、ギロチンカッタ114が作動して、切断線Cyにおいて記録シートAを切断する。
切断後、レジストローラ対116は記録シートAの搬送を再開して、同画像の後端側の切断線Cyがギロチンカッタ114による切断位置となった時点で、記録シートAの搬送を停止する。次いで、同様に、ギロチンカッタ114が作動して、切断線Cyにおいて記録シートAを切断する。ここで、切断部102においては、先に第1スリッタ110および第2スリッタ112によって記録シートAを切断線Cxおよび切断線Cxで切断しているので、このギロチンカッタ114による切断によって、先端側の2枚のプリントPを切り出す。
【0058】
以下、同様にして、切断後、レジストローラ対116は記録シートAの搬送を再開し、搬送方向の2つめの画像の先端側の切断線Cyがギロチンカッタ114による切断位置となった時点で搬送を停止し、ギロチンカッタ114が切断線Cyにおいて記録シートAを切断し、その後、搬送を再開して後端側の切断線Cyが切断位置となった時点で搬送を停止し、ギロチンカッタ114が切断線Cyにおいて記録シートAを切断する。
これにより、先と同様に切断線Cxおよび切断線Cxによる切断と共に後端側の2枚のプリントPを切り出し、記録シートAに記録した4つの画像から、プリントサイズに応じた4枚のプリントPを切り出す。
【0059】
他方、図3(B)に示すように、搬送方向に1つの画像を記録した場合には、レジストローラ対116は、画像の先端側の切断線Cyがギロチンカッタ114による切断位置となった時点で、記録シートAの搬送を停止し、次いで、ギロチンカッタ114が作動して、切断線Cyにおいて記録シートAを切断する。
切断後、レジストローラ対116は記録シートAの搬送を再開して、画像の後端側の切断線Cyがギロチンカッタ114による切断位置となった時点で、記録シートAの搬送を停止し、同様に、ギロチンカッタ114が作動して、切断線Cyにおいて記録シートAを切断する。前述のように、切断部102では、先に第1スリッタ110で記録シートAを切断線Cxで切断しているので、このギロチンカッタ114での切断で、記録シートAに記録した1つの画像からプリントサイズに応じた1枚のプリントを切り出す。
【0060】
搬送路切替ガイド150は、搬送路に作用して(挿入されて)、記録シートAを所定の搬送路に案内するフラッパなどの、公知のシート状物の搬送経路の切り替え手段である。
搬送路切替ガイド150は、記録シートAの表面処理部16を出た搬送先を変更するものである。搬送路切替ガイド150は、制御部42の制御により、表面処理部16から搬送された記録シートAを、第1スリッタ110に搬送する場合と、排出部154に搬送する場合とに応じて、搬送路を切り替える。
他方、後端屑落下ガイド152は、ギロチンカッタ114で切断された記録シートAのプリント領域以外の部分を排出部154に排出する、開閉可能なガイドである。
【0061】
排出部154は、第1スリッタ110、第2スリッタ112、および、ギロチンカッタ114で切断された、プリント領域以外のシートA、搬送路切替ガイド150により排出部154へ搬送された記録シートA、ならびに、後端屑落下ガイド152によって排出された、プリント領域以外のシートAを搬送して、排出部154の終端の下方に設けられた切断屑容器に排出するものである。この排出部154は、1対のアイドラ156と、これらのアイドラ156に張架されるエンドレスベルト158とを有するベルトコンベアである。第1スリッタ110、第2スリッタ112、および、ギロチンカッタ114で切断された、プリント領域以外のシートA、搬送路切替ガイド150から搬送された記録シートA、ならびに、後端屑落下ガイド152によって排出された、プリント領域以外のシートAは、この排出部154により、図示しない切断屑容器に搬送される。搬送路切替ガイド150、および、排出部154に関しては、後に詳述する。
【0062】
切断屑容器は、第1スリッタ110、第2スリッタ112、およびギロチンカッタ114により、記録シートAを切断することによって生じた切り屑を回収する容器である。この切断屑容器は、前述のように、排出部154の終端の下方に設けられている。
【0063】
切断部102で切断(記録シートAから切り出された)されたプリントPは、次いで、配列部104に搬送され、配列部104からソート搬送部106に搬送される。
【0064】
配列部104は、切断部102で切断したプリントPをソート搬送部106に排出するものである。ここで、配列部104は、記録シートAが幅方向に2画像を記録された際に、切断部102での切断で得られた幅方向に2列のプリントPを1列にして(単列化して)、ソート搬送部106に排出する。図示例において、配列部104は、搬入ローラ対120と、搬送ローラ対122、124および130と、排出ローラ対126と、単列化ローラ対132とを有する。
また、ソート搬送部106は、2本のローラ140と、このローラ140に張架されるエンドレスベルト142とからなるベルトコンベアである。
【0065】
配列部104の搬入ローラ対120は、幅方向に配列される、互いに独立して駆動可能な2つのローラ対120aおよび120bからなるものである。
この搬入ローラ対120の一方のローラ対120aは、幅方向に2画像を記録した際の第1スリッタ110によって切断された切断線CxのプリントP(その幅方向の位置)に対応する。また、他方のローラ対120bは同第2スリッタ112によって切断された切断線CxのプリントP(同前)に対応する。
【0066】
配列部104は、搬入ローラ対120の下流で分岐して、搬送ローラ対122および124によって構成される下方の第1搬送路134と、単列化ローラ対132および搬送ローラ対130によって構成される上方の第2搬送路136とを有する。第2搬送路136の単列化ローラ対132は、幅方向に移動可能な搬送ローラ対である。
第1搬送路134は、搬入ローラ対120のローラ対120aの搬送路に、第2搬送路136は、同ローラ対120bの搬送路に、それぞれ対応する。また、両搬送路の分岐位置には、ローラ対120aあるいはさらにローラ対120bからの搬送路に作用して、プリントPを第1搬送路134に案内するガイド部材(図示省略)が配置される。
さらに、両搬送路は、搬送ローラ対124および単列化ローラ対132の下流で図示しないガイド部材等によって合流し、排出ローラ対126に至る。
【0067】
図3(A)に示すように、幅方向に2画像を記録した場合には、前記ガイド部材を搬入ローラ対120のローラ対120aからの搬送路のみに作用させる。
切断された幅方向に2列のプリントPが搬送されると、配列部104では、第1スリッタ110で切断されたプリントPを、ローラ対120aおよび前記ガイド部材によって第1搬送路134に搬送し、他方、第2スリッタ112で切断されたプリントPを、ローラ対120bによって第2搬送路136に搬送する。
【0068】
第1搬送路134では、搬送されたプリントPを搬送ローラ対122および124によって搬送して、排出ローラ対126に送り、さらに、排出ローラ対126がプリントPをソート搬送部106に排出する。
【0069】
他方、第2搬送路136では、搬送されたプリントPを、単列化ローラ対132が挟持した時点で、搬送を停止する(ローラ対120bも停止)。次いで、必要に応じて搬入ローラ対120を挟持開放状態とした後に、単列化ローラ対132を幅方向に移動して、プリントPをローラ対120aに対応する幅方向の位置に移動する。幅方向への移動後、第1搬送路134に供給されたプリントPの排出ローラ対126への供給にタイミングを合わせて、その後ろに入るように、単列化ローラ対132および搬送ローラ対130によってプリントPの搬送を開始し、排出ローラ対126に送る。次いで、排出ローラ対126がプリントPをソート搬送部106に排出する。
【0070】
また、図3(A)に示す例では、搬送方向にも2枚のプリントPが形成されている。
この場合には、単列化ローラ対132は、先のプリントPが離れた時点で、幅方向の先と逆方向に移動して、元の位置に戻り、次いで、ローラ対120bによってプリントPを搬送して、第2搬送路136に送る。このプリントPを搬送された第2搬送路136は、先と同様に、プリントPを、単列化ローラ対132が挟持した時点で搬送を停止し、必要に応じて搬入ローラ対120を挟持開放状態とした後に、単列化ローラ対132を幅方向に移動して、プリントPをローラ対120aに対応する幅方向の位置に移動し、その後、プリントPを単列化ローラ対132および搬送ローラ対130によって搬送し、さらに排出ローラ対126によってソート搬送部106に排出する。
これにより、幅方向に複数列のプリントPを単列化してソート搬送部106に排出する。
【0071】
なお、プリンタ10においては、パノラマサイズのような長尺なプリントを幅方向に2枚形成する場合、すなわち、図2(A)において搬送方向(矢印y方向)の2枚のプリントPが繋がったようなプリントを形成する場合もある。
この場合には、第2搬送路136において、単列化ローラ対132がプリントPを挟持した時点で、搬送ローラ対130あるいはさらにローラ対120bによるプリントPの挟持を開放する。次いで、単列化ローラ対132を幅方向に移動して、プリントをローラ対120aに対応する幅方向の位置に移動する。その後、搬送ローラ対130(あるいはさらにローラ対120b)でプリントを挟持して、プリントPを搬送ローラ対130および単列化ローラ対132(同前)によって搬送し、さらに搬送ローラ対126によって排出部106に排出する。
これにより、パノラマサイズのような長尺なプリントも、好適に単列化できる。
【0072】
これに対し、図3(B)に示すように、幅方向に1画像を記録した場合には、前記ガイド部材をローラ対120aおよび120bの両方からの搬送路に作用させる。
配列部104では、切断されたプリントPが搬送されると、搬入ローラ対120(ローラ対120aおよび120bを同期して駆動)および前記ガイド部材が、プリントPを第1搬送路134に搬送し、第1搬送路134において、プリントPを搬送ローラ対122および124によって搬送して、排出ローラ対126に送り、さらに、排出ローラ対126がプリントPをソート搬送部106に排出する。
【0073】
ソート搬送部106は、排出ローラ対126が搬送/排出して落下したプリントPを、ベルトコンベアの上で受けて積層し、ソート情報等によって一件分のプリントを積層したことを知見すると、プリントサイズ(件の最大長さ)等に応じて設定される所定だけプリントPの積層体に搬送して停止し、次いで、次の件のプリントPを受ける。
【0074】
次に、本実施例の画像記録装置での異常発生時におけるプリントの搬送方法および排出方法について説明する。
【0075】
画像記録装置10において、前述の各種のセンサがジャミング等の異常(トラブル)を検出すると、その情報が制御部42に供給される。これに応じて、制御部42は、記録シート検出手段160による表面処理部16内の記録シートAの有無の検出結果を受け、さらに、表面処理部16内に記録シートAが存在する場合には、装填シート種検出手段162による記録シート種の検出結果や、自身が供給部12に出した記録シートAの供給指示に応じて、表面処理部16で表面処理中の記録シートAが、前記写真画質プリント用シートであるか否かを特定する。また、制御部42は、各種のセンサによる記録シートAの検出結果に応じて、異常の発生部位を特定する。
さらに、制御部42は、異常発生時における、表面処理部16内の記録シートAの有無、表面処理部16内に記録シートAが存在した場合の記録シート種の特定結果(写真画質プリント用シートか否か)、さらに、異常の発生部位に応じて、表面処理部16、上流ユニット(表面処理部16よりも上流)、および、下流ユニット(表面処理部16よりも下流)の駆動を制御する。
【0076】
まず、異常が発生し、かつ、表面処理部16内に記録シートAが存在しない場合には、制御部42は、上流ユニットの駆動を停止し、かつ、異常発生部位が上流ユニットである場合には下流ユニットではプリントの作成を継続してソート搬送部106に排出し、異常発生部位が下流ユニットである場合には、異常発生部位より上流は駆動を停止、同下流は駆動を継続してプリントを作成して、ソート搬送部106に排出する。下流ユニットで出力可能な全プリントをソート搬送部106に排出したら、全ての駆動を停止して、ディスプレイ表示等によって、ユーザにジャミング等の異常の処理を促す。あるいは、異常発生部位が下流ユニットの場合には、上流ユニット、および、下流ユニットの駆動を全て停止して、ユーザに異常の処理を促してもよい。
【0077】
異常が発生し、かつ、表面処理部16内に記録シートAが存在(一部もしくは全部)する場合には、制御部42は、表面処理部16内の記録シートAが写真画質プリント用シートか否か、あるいはさらに、異常発生部位が上流ユニットか下流ユニットかに応じて、異なる処理を行う。
【0078】
まず、異常が発生し、表面処理部16内に写真画質プリント用シートが存在し、さらに、異常発生部位が上流ユニットである場合は、制御部42は、上流ユニットの駆動を停止すると共に、表面処理部16および下流ユニットでは、定常の処理を継続する。異常発生時に表面処理部16内に存在した記録シートAの表面処理を終了して、さらに、切断、あるいはさらに単列化が終了して、表面処理部16および下流ユニットに存在する全てのプリントをソート搬送部106に排出したら、全ての駆動を停止して、ディスプレイ表示等によって、ユーザにジャミング等の異常の処理を促す。
【0079】
他方、異常が発生し、表面処理部16内に写真画質プリント用シートが存在し、さらに、異常発生部位が下流ユニットである場合は、制御部42は、上流ユニット、および、下流ユニット(場合によっては切断部102を除く)の駆動を停止すると共に、表面処理部16では、定常の処理を継続する。また、制御部42は、排出部154を駆動して、搬送路切替ガイド150を切り替える。
【0080】
すなわち、制御部42は、搬送路が排出部154に向かうように、搬送路切替ガイド150を切り替える。一部もしくは全部が表面処理部16内に存在する記録シートAは、搬送路切替ガイド150によって排出部154に案内されて、排出部154から切断屑容器に排出される。
なお、ジャムのタイミングや記録シートAのサイズによっては、表面処理部16内に存在する記録シートAの先端が搬送路切替ガイド150を越えている場合も有り得る。この際には、表面処理部16内の記録シートAを切断部102へ搬送して、ギロチンカッタ114で細かく裁断して、後端屑落下ガイド152から排出部154に排出するようにしてもよい。また、ギロチンカッタ114の下流の搬送路に配置される搬送ガイドを開放し、そこから記録シートAの排出を行ってもよい。
【0081】
排出部154は、アイドラ156を回転させることにより、エンドレスベルト158を動かして、エンドレスベルト158上の記録シートAを、切断屑容器に搬送する。制御部42は、表面処理部16の内部にある全ての記録シートAを排出部154へ排出させると、表面処理部16の動作を停止させる。
【0082】
また、異常発生部位より上流の駆動を停止して、同下流は、駆動を継続してもよい。その場合は、異常発生部位より下流で出力可能な全プリントをソート搬送部106に排出したら、全ての駆動を停止して、ディスプレイ表示等によって、ユーザにジャミング等の異常の処理を促す。
【0083】
異常が発生し、かつ、表面処理部16内に写真画質プリント用シート以外の記録シートAが存在する場合は、制御部42は、画像記録装置10の全ての駆動を停止して、ディスプレイ表示等によって、ユーザにジャミング等の異常の処理を促す。
あるいは、制御部42は、異常発生部位より上流の駆動を停止して、同下流は、駆動を継続してもよい。その場合は、異常発生部位より下流で出力可能な全プリントをソート搬送部106に排出したら、全ての駆動を停止して、ディスプレイ表示等によって、ユーザにジャミング等の異常の処理を促す。
【0084】
このような本発明の画像記録装置においては、トラブル発生時に表面処理部16内の記録シートAの有無・種類を検出し、その結果に応じて表面処理部16の上流および下流ユニットの駆動を制御する。そのため、異常部位と表面処理部16内の記録シートAの有無・種類に応じた的確なエラー制御を行って、異常発生時に表面処理部16内に加熱/加圧状態で記録シートAの搬送を停止することなく優先して記録シートAを除去するよう制御することができるため、樹脂の付着等による表面処理部16のベルトの平滑性の低下等を防止することができる。
【0085】
以上、本発明の画像記録装置について詳細に説明したが、本発明は前記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の画像記録装置の一例の概念図である。
【図2】本発明の実施例に係る画像記録装置の表面処理部、および切断/配列部の構成を示す模式図である。
【図3】(A)および(B)は、図1に示す画像記録装置における画像記録の一例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0087】
10 画像記録装置
12 (記録シート)供給部
14 画像形成部
16 表面処理部
18 切断/配列部
20 マガジン
22 引出しローラ対
24 カセット
26 印字ヘッド
28 カッタ
30 露光部
32 トナー像形成部
34 転写部
36 一次定着ローラ対
40 反転部
42 制御部
44 露光ユニット
46 (電子写真)感光体ドラム
48 帯電手段
50 クリーニング手段
52 トナー供給手段
60 転写ベルト
62,86,140 ローラ
64 押圧ローラ
66 転写ローラ
68 ベルトコンベア
70,116 レジストローラ
72 第1切替手段
74 分岐路
76 キックバック部
78 戻り搬送路
80 第2切替手段
85 加熱ローラ
88 表面処理ベルト
90 冷却部
92 ニップローラ
100 位置調整部
102 切断部
104 配列部
106 ソート搬送部
110 第1スリッタ
112 第2スリッタ
114 ギロチンカッタ
120 搬入ローラ対
122、124、130 搬送ローラ対
126 排出ローラ対
132 単列化ローラ対
134 第1搬送路
136 第2搬送路
142、158 エンドレスベルト
150 搬送路切替ガイド
152 後端屑落下ガイド
154 排出部
156 アイドラ
160 記録シート検出手段
162 装填シート種検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトを用いて記録シートの表面に表面処理を施す表面処理手段と、
前記表面処理手段内の記録シートの有無の検出、および、表面処理手段内の記録シートが前記表面処理に対応する記録シートであるか否かの判別をする記録シート判別手段と、
異常の発生を検出し、かつ、異常発生部位を特定する異常発生部位特定手段と、
異常が発生した際に、前記異常発生部位特定手段が特定した異常発生部位、前記記録シート判別手段による表面処理手段内の記録シートの有無および表面処理手段内の記録シートが表面処理に対応するか否かの判別結果に応じて、前記表面処理手段、前記表面処理手段よりも上流の上流ユニット、および、前記表面処理手段よりも下流の下流ユニットの駆動を制御する制御手段とを有することを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記異常発生部位特定手段が異常の発生を検出し、かつ、前記記録シート判別手段が前記表面処理手段内に記録シートが無いことを検出した際に、前記制御手段は、少なくとも前記上流ユニットの搬送を停止する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記異常発生部位特定手段が異常の発生を検出し、かつ、前記記録シート判別手段が前記表面処理手段内に表面処理に対応する記録シートを検出し、さらに、前記異常発生部位特定手段が異常発生部位を前記上流ユニットと特定した際に、前記制御手段は、前記上流ユニットの駆動を停止し、前記記録シートを排出するまで前記表面処理手段を駆動する請求項1または2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記異常発生部位特定手段が異常の発生を検出し、かつ、前記記録シート判別手段が前記表面処理手段内に表面処理に対応する記録シートを検出し、さらに、前記異常発生部位特定手段が異常発生部位を前記下流ユニットと特定した際に、前記制御手段は、前記上流ユニットの駆動を停止し、前記表面処理手段の下流に設けられた搬送路切替ガイドによって搬送路を切り替えて、前記表面処理手段内の前記記録シートを所定の排出部に排出する請求項1〜3のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記異常発生部位特定手段が異常の発生を検出し、かつ、前記記録シート判別手段が前記表面処理手段内に表面処理に対応しない記録シートを検出した際に、前記制御手段は、前記上流ユニット、前記下流ユニット、および、前記表面処理手段の全ての搬送を停止する請求項1〜4のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記異常発生部位特定手段が異常の発生を検出し、かつ、前記記録シート判別手段が前記表面処理手段内に表面処理に対応しない記録シートを検出した際に、前記制御手段は、前記異常発生部位特定手段により特定された異常発生部位よりも上流の搬送を停止し、前記異常発生部位特定手段により特定された異常発生部位よりも下流は、前記記録シートを排出するまで駆動する請求項1〜5のいずれかに記載の画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−31012(P2007−31012A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−212866(P2005−212866)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】