画像記録装置
【課題】テストプリントにおいて発生する用紙の余白を無駄にせず有効に活用して、装置の機能を使用する際に必要な装置の設置位置からのスペースを確認することができる画像記録装置を提供すること。
【解決手段】記録メディア画像データKGと範囲画像データHGとが同じ用紙P上に記録されるように集約し、集約画像データSG1を生成する(S25)。集約画像データSG1が用紙Pに記録される(S29)。このため、テストプリントにおいて発生する用紙の余白を無駄にせず有効に活用して、装置の機能を使用する際に必要な装置の設置位置からのスペースを確認することができる。
【解決手段】記録メディア画像データKGと範囲画像データHGとが同じ用紙P上に記録されるように集約し、集約画像データSG1を生成する(S25)。集約画像データSG1が用紙Pに記録される(S29)。このため、テストプリントにおいて発生する用紙の余白を無駄にせず有効に活用して、装置の機能を使用する際に必要な装置の設置位置からのスペースを確認することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録装置に関し、特に、テストプリントを行う画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、装置の状態の確認や記録される画像の確認のために記録用紙にテストプリントを行う画像記録装置が知られている。このテストプリントによって、装置内の異常の発見や記録される画像の色や大きさを確認することができる。
【0003】
引用文献1には、テストプリントにおいて、葉書に記録する画像を通常の用紙に記録することで、葉書に対する画像の位置や画像の色、濃度が確認できることが記載されている。
【0004】
また、この種の画像記録装置において、テストプリントを行う機能の他に、スキャナ機能、コピー機能、及び、CDやDVD等を専用のトレイに載置し、そのレーベル面に画像を記録するレーベル印刷機能等を有しているものもある。例えば、レーベル印刷機能において、特許文献2(第4実施例、図64及び図66)には、トレイ挿入口から搬送方向の第1向きに挿入されるCDやDVDなどがセットされたトレイの先端が、装置後方の給紙装置よりも第1向きに搬送される画像記録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−102990号公報
【特許文献2】特開2004−42392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の画像記録装置において、テストプリントで用紙に画像を記録した場合、ユーザが設定を行った画像のみしか用紙に記録されないため大きな余白が発生してしまい、用紙の余白が無駄になっていた。
【0007】
特許文献2(第4実施例、図64及び図66)に記載された画像記録装置においては、トレイの先端が当該装置の外部まで搬送されるため、トレイの先端が設置された室の壁へ衝突するおそれがある。当該衝突を防止するために、装置はトレイのはみ出しの分だけ当該装置が設置された室の壁から離して設置する必要がある。このように、他の機能を使用する場合には、装置の設置位置からスペースを確保しておかなくてはならない場合がある。また、はみ出し分を確認するためには定規等の測定器具を用いて距離を確認しなければならない。しかしながら、はみ出し分を確認するために定規等の測定器具をわざわざ用意するのは不便である。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、テストプリントにおいて発生する用紙の余白を無駄にせず有効に活用して、装置の機能を使用する際に必要な装置の設置位置からのスペースを確認することができる画像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、請求項1に記載の画像記録装置は、記録用紙に画像を記録する記録部を備えた画像記録装置において、当該装置の機能に応じたテスト画像を記憶する第1記憶部と、前記第1記憶部に記憶されている前記テスト画像を前記記録部によって前記記録用紙に記録させるテストプリントを実行するテストプリント実行部と、当該装置が搭載する機構を使用する場合に必要な当該装置からの範囲を示す範囲画像を記憶する第2記憶部と、前記第1記憶部に記憶された当該機能に応じた前記テスト画像と前記第2記憶部に記憶された前記範囲画像とが同一の記録用紙上に記録されるように、両画像データを集約した集約画像を作成する集約部と、前記テストプリント実行部によって当該装置の機能に応じたテストプリントが実行される場合に、前記集約部によって前記集約画像を作成させ、当該集約画像を前記記録部によって記録用紙に記録させる制御部と、を備えたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項2に記載の画像記録装置は、請求項1に記載の画像記録装置において、前記制御部は、前記テストプリント実行部によって当該装置の最初のテストプリントが実行される場合に、前記集約部によって前記集約画像を作成させ、前記記録部によって当該集約画像を記録用紙に記録させることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3に記載の画像記録装置は、請求項1または2に記載の画像記録装置において、前記記録部は、インクが吐出されることで記録用紙に画像が記録されるノズルを有し、前記第1記憶部は、前記ノズルの詰まりをチェックするためのチェックパターン画像を記憶し、前記制御部は、前記実行部によって前記ノズルの詰まりをチェックするテストプリントが実行される場合に、前記集約部によって前記チェックパターン画像と前記範囲画像とを集約した集約画像を作成させ、前記記録部によって当該集約画像を記録用紙に記録させることを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に記載の画像記録装置は、請求項3に記載の画像記録装置において、再度前記ノズルの詰まりをチェックするテストプリントを実行するか否かを判断する選択部を備え、前記制御部は、前記判断部によって当該テストプリントを実行すると判断された場合は、前記チェックパターン画像のみを前記記録部によって記録用紙に記録させることを特徴とすることを特徴とするものである。
【0013】
請求項5に記載の画像記録装置は、請求項1及び2に記載の画像記録装置において、前記制御部は、記録ディスクの画像記録面に記録される記録ディスク画像を記録用紙に記録するテストプリントが実行される場合に、前記集約部によって前記記録ディスク画像と前記範囲画像とを集約した前記集約画像を作成させ、前記記録部によって当該集約画像を記録用紙に記録させることを特徴とするものである。
【0014】
請求項6に記載の画像記録装置は、請求項1乃至5のいずれかに記載の画像記録装置において、当該装置が搭載する機構のうち、使用する場合に最も当該装置から突出する機構を選定する選定部と、前記選定部によって選定された機構に対応する前記第2記憶部に記憶されている範囲画像を選択する選択部と、を備え、前記制御部は、前記選択部によって選択された当該範囲画像を、前記集約部によって前記テスト画像と集約される範囲画像とすることを特徴とするものである。
【0015】
請求項7に記載の画像記録装置は、請求項1乃至6のいずれかに記載の画像記録装置において、前記機構は、薄板状の被記録媒体が載置された媒体トレイを搬送する搬送機構であり、前記範囲画像は、前記媒体トレイの装置から搬送方向への突出範囲であることを特徴とすることを特徴とするものである。
【0016】
請求項8に記載の画像記録装置は、請求項1乃至6のいずれかに記載の画像記録装置において、前記機構は、当該装置に搭載され、当該装置から突出しない第1姿勢と突出する第2姿勢とに姿勢変化可能な可動部であり、前記範囲画像は、前記可動部が第2姿勢である場合の当該装置からの突出範囲であることを特徴とするものである。
【0017】
請求項9に記載の画像記録装置は、請求項8に記載の画像記録装置において、前記可動部は、当該装置に搭載され、且つ、回動可能に支持され、第1姿勢のときに原稿を覆い、当該原稿に記録された画像を読み取る画像読取部であることを特徴とするものである。
【0018】
請求項10に記載の画像記録装置は、請求項8に記載の画像記録装置において、前記記録部に記録用紙を搬送する搬送部を、更に具備し、前記可動部は、当該装置に回動可能に支持され、第2姿勢のときに上記搬送部を露出させるカバー部材であることを特徴とするものである。
【0019】
請求項11に記載の画像記録装置は、請求項8に記載の画像記録装置において、前記可動部は、当該装置の筐体に沿って起立する第1姿勢と当該装置から傾倒する第2姿勢とに姿勢変化可能であり、記録用紙を載置可能な用紙トレイであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、テスト画像と範囲画像とを同一の記録用紙上に記録することで、テストプリントにおいて発生する用紙の余白を無駄にせず有効に活用して、装置の機能を使用する際に必要な装置の設置位置からのスペースを確認することができる。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、最初のテストプリントにおいて集約画像を記録することで、最初のテストプリントにおいて発生する用紙の余白を無駄にせず有効に活用して、装置の最初の設置段階において、装置の機能を使用する際に必要な装置の設置位置からのスペースを確認することができる。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、前記ノズルの詰まりをチェックするテストプリントが実行される場合に前記チェックパターン画像と前記範囲画像とを記録することで、テストプリントにおいて発生する用紙の余白を無駄にせず有効に活用して、装置の機能を使用する際に必要な装置の設置位置からのスペースを確認することができる。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、再度前記ノズルの詰まりをチェックするテストプリントを実行する場合は、前記チェックパターン画像のみを記録することによって、インク消費の無駄を防ぐ。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、記録ディスクの画像記録面に記録される記録ディスク画像を記録用紙に記録するテストプリントが実行される場合に前記記録ディスク画像と前記範囲画像とを記録することで、テストプリントにおいて発生する用紙の余白を無駄にせず有効に活用して、装置の機能を使用する際に必要な装置の設置位置からのスペースを確認することができる。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、複合機1に備えられた各機構の中で一番突出する部材が選定され、一番突出する部材の距離を示す範囲画像がら選択され、選択された範囲画像が用紙に記録されることで、各種機構を有する様々な画像記録装置において、その装置にとって最適な範囲画像が記録される。
【0026】
請求項7に記載の発明によれば、記録される範囲画像は、記録メディアが載置される媒体トレイの装置から搬送方向への突出範囲であるので、媒体トレイが複合機1を設置した室の壁などに衝突することを抑制できる。
【0027】
請求項8に記載の発明によれば、記録される範囲画像は、可動部が第2姿勢である場合の当該装置からの突出範囲であるので、可動部が複合機1を設置した室の壁などに衝突することを抑制できる。
【0028】
請求項9に記載の発明によれば、前記可動部は、当該装置に搭載され、且つ、回動可能に支持され、第1姿勢のときに原稿を覆い、当該原稿に記録された画像を読み取る画像読取部であるので、画像読取部の一部が複合機1を設置した室の壁などに衝突することを抑制できる。
【0029】
請求項10に記載の発明によれば、前記可動部は、当該装置に回動可能に支持され、第2姿勢のときに搬送部を露出させるカバー部材であるので、カバー部材の一部が複合機1を設置した室の壁などに衝突することを抑制できる。
【0030】
請求項11に記載の発明によれば、前記可動部は、当該装置の筐体に沿って起立する第1姿勢と当該装置から傾倒する第2姿勢とに姿勢変化可能であり、記録用紙を載置可能な用紙トレイであるので、用紙トレイの一部が複合機1を設置した室の壁などに衝突することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態の一例である複合機1の外観斜視図である。
【図2】プリンタ部2の内部構造を示す断面図である。
【図3】プリンタ部2の内部構造を示す部分断面図である。
【図4】画像記録部24の機構を示す斜視図である。
【図5】原稿カバー7と装置背面53の位置関係を模式的に示す複合機1の断面図である。
【図6】メディアトレイ71と装置背面53の位置関係を模式的に示す複合機1の断面図である。
【図7】制御部80の構成を示すブロック図である。
【図8】複合機1のメイン処理を示すフローチャートである。
【図9】複合機1の記録メディアモード処理を示すフローチャートである。
【図10】複合機1のピン抜けチェックモード処理を示すフローチャートである。
【図11】複合機1の第2実施例のメイン処理を示すフローチャートである。
【図12】(a)元画像データGGを概念的に示す図である。(b)記録メディア画像データKGを概念的に示す図である。
【図13】(a)用紙Pに記録された集約画像データSG1を概念的に示す図である。(b)用紙Pに記録された記録メディア画像データKGを概念的に示す図である。
【図14】(a)用紙Pに記録された集約画像データSG2概念的に示す図である。(b)用紙Pに記録されたピン抜けチェック画像データPGを概念的に示す図である。
【図15】(A)スキャナ筐体8と装置背面53の位置関係を模式的に示す複合機1の断面図である。(B)手差しトレイ56と装置背面53の位置関係を模式的に示す複合機1の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、適宜図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0033】
<外観的構成>
(複合機1の構成)
図1を参照して、本発明の一実施形態である複合機1を説明する。なお、本実施形態においては、矢印13で示される方向が複合機1の幅方向(左右方向)であり、矢印14で示される方向が複合機1の高さ方向(上下方向)であり、矢印12で示される方向が複合機1の奥行き方向(前後方向)である。
【0034】
複合機1は、下部に配設されたプリンタ部2と、プリンタ部2の上部に配設されたスキャナ部3(本発明の可動部の一例である画像読取部に相当)などを一体的に備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)である。スキャナ部3は、その上部に、複合機1の天板としての原稿カバー7を備えている。複合機1は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能及びファクシミリ機能などを有する。なお、本発明を実現するうえで、スキャナ機能やファクシミリ機能などは任意の機能であり、例えば、本発明に係る画像記録装置が、プリンタ機能のみを有するプリンタとして実施されてもよい。
【0035】
複合機1の上面の前方側であって、スキャナ部3の正面側の上面には、プリンタ部2やスキャナ部3を操作するための操作パネル9が設けられている。操作パネル9は、各種操作ボタンや表示部11から構成されており、複合機1は、操作パネル9からの入力に基づいて複合機1の動作を統括する制御部80(本発明の制御部の一例、図7参照)により動作される。
【0036】
スキャナ部3は、所謂フラットベッドスキャナとして構成されている。スキャナ部3の上部には、原稿カバー7が開閉自在に設けられている。原稿カバー7の下側には、プラテンガラス6(図5参照)を上面に備え、プラテンガラス6の下部にイメージセンサ(不図示)を備えたスキャナ筐体8(図5参照)が設けられている。プラテンガラス6に原稿が載置され、原稿カバー7がプラテンガラス6を覆った状態で、原稿の画像がイメージセンサによって読み取られる。
【0037】
尚、原稿カバー7を開状態にした場合は、図5に示すように、原稿カバー7の一部が装置背面53から距離L1突出する構成となっている。その為、スキャナ部3を使用する場合は、複合機1が設置される室の壁から距離L1分、複合機1を離して設置する必要がある。
【0038】
<内部構成>
(プリンタ部2の構成)
以下、図1から図4が参照されながら、プリンタ部2の構成が詳細に説明される。図1に示されるように、プリンタ部2は、正面に開口4が形成されたケーシング5(本発明の筐体の一例)を有する。ケーシング5内にプリンタ部2の各構成要素が配設されている。
【0039】
開口4を通じて、給紙トレイ20及び排紙トレイ21(図2参照)が複合機1に装着される。なお、図1では、給紙トレイ20及び排紙トレイ21が省略されている。給紙トレイ20には、A4サイズやB5サイズ等の所望のサイズの記録用紙が収容される。図2に示されるように、給紙トレイ20が複合機1に装着されることにより、給紙トレイ20に収容された記録用紙が、当該記録用紙の長手方向が複合機1の奥行き方向12となるようにセットされる。また、排紙トレイ21は、給紙トレイ20に支持されて、給紙トレイ20の上方に配置される。給紙トレイ20と排紙トレイ21とは、上下二段となって複合機1に装着される。
【0040】
また、複合機1は、記録用紙の他に、CD−ROMやDVD−ROMなどの記録メディア(本発明の被記録媒体の一例)の盤面上に画像を記録する機能を有する。この機能については後述する。
【0041】
(給紙部)
複合機1に装着された給紙トレイ20の奥側には、分離傾斜板22が配設されている。分離傾斜板22は、給紙トレイ20から繰り出された記録用紙を分離して上方へ案内するものである。
【0042】
給紙トレイ20の上側には、給紙ローラ25が設けられている。給紙ローラ25は、給紙トレイ20に接離可能に上下動する給紙アーム26の端部で軸支されている。給紙ローラ25は、複数のギアが噛合されてなる駆動伝達機構27によって、給紙モータ(図7参照)の駆動力が伝達されて回転する。給紙ローラ25は、給紙トレイ20上に積載された記録用紙を1枚ずつ分離して搬送路23へ供給するものである。詳細には、給紙ローラ25が給紙トレイ20上の記録用紙に圧接して、その状態で、給紙ローラ25が回転することにより、給紙ローラ25のローラ面と記録用紙との間の摩擦力で最上位置の記録用紙が分離傾斜板22へ送り出される。当該記録用紙は、その前端が分離傾斜板22に当接して上方へ案内され、搬送路23へ送り込まれる。
【0043】
(搬送路23)
分離傾斜板22の上方には、搬送路23が形成されている。搬送路23は、分離傾斜板22の上側から上方且つ複合機1の前側へ曲がって、複合機1の背面側(後側)から正面側(前側)へ延出され、さらに、駆動ローラ47とピンチローラ48で構成される搬送ローラ対54による挟持位置、画像記録部24の下側、及び駆動ローラ49と拍車ローラ50で構成される排出ローラ対55による挟持位置を通過して排紙トレイ21へ通じている。給紙トレイ20から繰り出された記録用紙は、搬送路23により下方から上方へUターンするように案内されて画像記録部24に至る。当該記録用紙は、画像記録部24により画像記録が行われた後、排紙トレイ21に排出される。搬送路23は、画像記録部24などが配設されている箇所以外は、所定間隔で対向する外側ガイド面29と内側ガイド面28によって形成されている。
【0044】
以下、記録用紙などの被記録媒体が、搬送ローラ対54による挟持位置から画像記録部24の下側及び排出ローラ対55による挟持位置を通過して排紙トレイ21へ搬送される向きを搬送方向(第1搬送部の駆動によって被記録媒体が移動する方向)の第2向き16(本発明の第2向きに相当)として説明を行う。一方、第2向きと逆向きを搬送方向の第1向き15(本発明の第1向きに相当)として説明を行う。
【0045】
(画像記録部24)
画像記録部24は、記録ヘッド30を搭載して主走査方向(図2の紙面に垂直な方向)へ往復移動するキャリッジ31を備えている。記録ヘッド30は、キャリッジ31の下側に露出されており、インクタンク32(図3参照)からインクチューブ33(図3参照)を通じてシアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(Bk)の各色インクが供給される。
【0046】
記録ヘッド30の下面には、複数のノズル301(本発明のノズルの一例)が形成されている。各色インクに対応するノズル301は、搬送方向に沿って一列に整列されており、各色インクに対応するノズル301の各列が、キャリッジ31の往復動方向(左右方向13)に並べられている。
【0047】
記録ヘッド30は、その下面に設けられたノズル301から、各インクを微小なインク滴として吐出する。キャリッジ31が主走査方向へ往復動することにより、記録ヘッド30が記録用紙に対して走査され、プラテン34上を搬送される記録用紙に画像が記録される。
【0048】
図3及び図4に示されるように、画像記録部24が配置される搬送路23の上側には、一対の平板状のガイドレール35,36が配設されている。ガイドレール35,36は、記録用紙の搬送向きに隔てて、搬送路23の幅方向(左右方向13)に延設されている。キャリッジ31は、ガイドレール35,36を跨ぐようにして、ガイドレール35,36上を左右方向13に摺動可能に設けられている。
【0049】
ガイドレール36の上面には、ベルト駆動機構38が配設されている。ベルト駆動機構38は、搬送路23の幅方向13の両端付近にそれぞれ設けられた駆動プーリ39と従動プーリ40との間に、内側に歯が設けられた無端環状のタイミングベルト41が張架されてなるものである。駆動プーリ39の軸にはキャリッジ(CR)駆動モータ311(不図示)が連結されており、CR駆動モータ311から駆動力が入力される。駆動プーリ39の回転により、タイミングベルト41が周運動する。なお、タイミングベルト41は無端環状のもののほか、有端のベルトの両端部をキャリッジ31に固着するものを用いてもよい。
【0050】
タイミングベルト41は、キャリッジ31に固着されている。タイミングベルト41の周運動により、キャリッジ31は、端部37を基準としてガイドレール35,36上を往復移動する。キャリッジ31には、記録ヘッド30が搭載されている。したがって、記録ヘッド30は、キャリッジ31とともに搬送路23の幅方向13を主走査方向として往復移動可能である。ガイドレール36には、端部37に沿ってリニアエンコーダのエンコーダストリップ42が配設されている。リニアエンコーダは、フォトインタラプタ(不図示)によりエンコーダストリップ42を検出する。リニアエンコーダの検出信号に基づいて、キャリッジ31の往復移動が制御される。
【0051】
図2から図4に示されるように、搬送路23の下側には、記録ヘッド30と対向してプラテン34が配設されている。プラテン34は、キャリッジ31の往復移動範囲のうち、記録用紙が通過する中央部分に亘って配設されている。プラテン34の幅は、搬送可能な記録用紙の最大幅より十分に大きいものであり、記録用紙の両端は常にプラテン34の上を通過する。
【0052】
(メディアセンサ110)
図2に示されるように、搬送路23に搬送される記録媒体を検知するためのメディアセンサ110(本発明の検知部の一例)が複合機1に設けられている。メディアセンサ110は、キャリッジ34の下面側における第1向き15の最下流側付近に設けられている。メディアセンサ110は、発光ダイオードなどからなる発光部(不図示)と、光学式センサなどからなる受光部(不図示)とを具備する。メディアセンサ110の発光部は下方へ向けて光を照射し、メディアトレイ71、記録メディア、またはプラテン34で反射した反射光が受光部で受光される。
【0053】
メディアセンサ110は、キャリッジ31とともにスライドされる。プラテン34上に記録媒体が支持されている状態でキャリッジ31がスライドされると、当該スライドの過程において、メディアセンサ110は、プラテン34の上面、メディアトレイ71の上面、または記録媒体の上面からの反射光を受光する。
【0054】
プラテン34の上面を黒色などの反射率の低い色にしておくことによって、記録媒体からの反射光による受光部の検出値と、プラテン34からの反射光による受光部の検出値とが異なる値となる。受光部における検出値は、制御部130に送られる。これにより、制御部130は、記録媒体の両端の位置についてのデータを得る。
【0055】
(メンテナンス部)
図3に示されるように、記録ヘッド30による画像記録範囲外、すなわちプラテン34の両側の記録用紙が通過しない範囲には、パージ機構43及び廃インクトレイ44が配設されている。パージ機構43は、記録ヘッド30のノズル等からインクとともに気泡や異物を吸引除去するものである。パージ機構43は、記録ヘッド30のノズル面を覆うキャップ45を備える。記録ヘッド30の気泡等の吸引除去を行う際には、記録ヘッド30がキャップ45上に位置するようにキャリッジ31が移動される。その状態でキャップ45が上方へ移動して記録ヘッド30の下面のノズル301を密閉するように密着する。そして、キャップ45と連結されたポンプ(不図示)により記録ヘッド30のノズル301からインクが吸引される。このインク吸引は、パージと呼ばれる。
【0056】
廃インクトレイ44は、キャリッジ31の画像記録範囲外であってパージ機構43の反対側に配設されている。廃インクトレイ44は、記録ヘッド30のインクの空吐出を受けるものである。この空吐出は、フラッシングと呼ばれる。
【0057】
図3に示されるように、インクタンク32は、プリンタ部2のケーシング5内部の正面右側に設けられたインクタンク収容部46に収容されている。このインクタンク32は、詳細には、シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(Bk)の各色インクを貯蔵する4個のインクタンク32C,32M,32Y,32Kを備えてなる。インクタンク32からキャリッジ31へは、各色について設けられたインクチューブ33を通じてインクが供給される。
【0058】
(搬送部)
図2及び図4に示されるように、画像記録部24よりも第2向き16の上流側には、搬送ローラ対54が設けられている。搬送ローラ対54は、駆動ローラ47と該駆動ローラ47の下方に駆動ローラ47に接するように設けられたピンチローラ48とが一体にユニット化されたものである。駆動ローラ47が正転駆動されることで、給紙トレイ20から給紙された記録用紙が駆動ローラ47及びピンチローラ48により狭持されて、第2向き16の下流側のプラテン34上へ搬送される。
【0059】
画像記録部24の第2向き16の下流側には、駆動ローラ49と該駆動ローラ49の上方に設けられた拍車ローラ50とを有する一対の排出ローラ対55が設けられている。記録済みの記録用紙は、駆動ローラ49及び拍車ローラ50によって狭持され、駆動ローラ49が正転駆動されることにより排紙トレイ21へ排出する向き(第2向き16)へ搬送される。また、駆動ローラ49が逆転駆動されることにより、後述するメディアトレイ71(本発明の媒体トレイの一例)が第1向き15へ搬送される。なお、拍車ローラ50は、記録済みの記録用紙と圧接するため、記録用紙に記録された画像を劣化させないようにローラ面が拍車状に凹凸に形成されている。
【0060】
図4に示されるように、駆動ローラ47は、駆動ローラ47の軸方向の一端に連結された搬送モータ59から駆動力が伝達されて、回転駆動される。駆動ローラ49は、駆動ローラ47より中間ギア57及びベルト58を介して駆動伝達されて、回転駆動される。また、駆動ローラ47及び駆動ローラ49はASIC85(図7参照)に組み込まれた駆動回路により制御されることで、その回転方向が正転又は逆転のいずれかに切り換えられる。かかる回転方向の切換は、搬送モータ59に対するスイッチング制御により、或いは、各ローラの回動軸に搬送モータ59の回転力を伝達するギアなどを切り換えることにより行われる。
【0061】
図4に示されるように、ロータリーエンコーダ(不図示)が、駆動ローラ47に設けられたエンコーダディスク51をフォトインタラプタ60で検出し、該ロータリーエンコーダの検出信号に基づいて、駆動ローラ47及び駆動ローラ49の駆動が制御される。
【0062】
図2に示されるように、記録用紙は、駆動ローラ47及び駆動ローラ49によって、所定の改行幅でプラテン34上を間欠して第2向き16に搬送される。その改行毎に記録ヘッド30が走査されて、記録用紙の先端側から画像記録が行われる。記録ヘッド30により記録用紙の所定領域に画像記録が行われた後に、駆動ローラ49が連続的に回転駆動される。これにより、駆動ローラ49及び拍車ローラ50により狭持された記録用紙が排紙トレイ21へ排出される。
【0063】
(メディアトレイ71)
上述したように、複合機1は、CD−ROMやDVD−ROMなどの記録メディアの盤面上に画像を記録する機能を有する。本実施形態においては、記録メディアの盤面上に画像が記録される場合、記録メディアはメディアトレイ71に載置されて、メディアトレイ71が複合機1の開口4から第1向き15に挿入される。なお、記録メディアがメディアトレイ71に載置されずに、記録メディア自体が複合機1の開口4から挿入されるように、複合機1が構成されていてもよい。
【0064】
メディアトレイ71は、樹脂などの剛性の高い物質で構成されており、上下方向14の厚さが数ミリ(例えば2mm〜3mm)である。また、メディアトレイ71は、搬送方向(奥行き方向12)及び幅方向13の長さが厚さ(高さ方向14)よりも長く、搬送方向(奥行き方向12)の長さが幅方向13の長さよりも長い。つまり、メディアトレイ71は、薄型の直方体である。メディアトレイ71の上面には、円形状の凹みであって記録メディアが載置されるメディア載置部(不図示)が設けられている。
【0065】
図2に示されるように、メディアトレイ71が、図2の矢印の向き77(第1向き15)に、つまり複合機1の正面側の開口4から搬送路23の直線部231に向けて挿入されると、図示しないセンサによりメディアトレイ71の挿入が検出されて、駆動ローラ49が逆転駆動される。これにより、メディアトレイ71が、第1向き15に所定位置まで搬送される。
【0066】
所定位置は、図6に示されるように、メディアトレイ71の第1向き15の先端が装置背面53からL2分突出した位置である。その為、メディアトレイ71を搬送して、記録メディアの盤面上に画像を記録する場合は、複合機1が設置される室の壁から距離L2分、複合機1を離して設置する必要がある。
【0067】
メディアトレイ71が所定位置まで搬送されると、駆動ローラ49の駆動が一旦停止された後、正転駆動に切り換えられる。これにより、メディアトレイ71が第2向き16に搬送され、メディアトレイ71に載置された記録メディアが第2向き16に搬送されながらプラテン34上を通る。プラテン34上に搬送された記録メディアに対して、記録ヘッド30のノズル301からインク滴が吐出される。これにより、記録メディアの盤面上に画像が記録されて、メディアトレイ71は最終的に排紙トレイ21側から排出される。
【0068】
<電気的構成>
次に、図7を参照して、複合機1の電気的構成について説明する。制御部80は、複合機1の全体動作を制御するものである。
【0069】
制御部80は、演算処理を行うCPU81、制御プログラム等が格納されたROM82、データの記憶領域又は作業領域として使用されるRAM83、設定情報などが記憶されるEEPROM84を主とするマイクロコンピュータとして構成されている。各構成要素は、バス84を介してASIC85に接続されている。
【0070】
CPU81は、ROM82やRAM83に記憶さている固定値やプログラムに従って、複合機1が有している各機能の制御や、ASIC85と接続された各部を制御するものである。尚、CPU81は、本発明の制御部の一例である。
【0071】
ROM82は、複合機1で実行される制御プログラムなどを格納した書換不能なメモリである。例えば、テストプリントにおいて、記録メディアに記録する画像を用紙Pに記録して画像を確認する記録メディアモードや、記録ヘッド31のノズル301の詰まりを確認するピン抜けチェック画像を用紙Pに記録してノズル301の詰まりを確認するピン抜けチェックモードや、その他のテストプリントモードを備えるメイン処理(図8)、記録メディアモードにおいて、用紙Pに記録メディア画像データKGと範囲画像HGとを記録する記録メディアモード処理(図9)、ピン抜けチェックモードにおいて、用紙Pにピン抜けチェック画像データPGと範囲画像HGとを記録するピン抜けチェックモード処理(図10)は、このROM82に格納されている。また、後述する第2実施例である、電源ON時において、チェック画像データPGと範囲画像HGとを記録する電源ONモード処理(図11)も、このROM82に格納されている。
【0072】
また、ROM82は、ピン抜けチェック画像データメモリ82aが設けられている。ピン抜けチェック画像データメモリ82aには、記録ヘッドのノズルの詰まりを確認するためのピン抜けチェック画像データが格納されており、例えば、後述する、ピン抜けチェック画像データPG(図14)が格納されている。ピン抜けチェック画像データメモリ82aは、本発明の第1記憶部の一例である。ピン抜けチェック画像データPGは、記録ヘッド30の下面に形成されたシアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(Bk)の各色のインクに対応するノズル301から各色のインクが吐出されて、各色のノズル301に対応したピン抜けチェックパターン画像が用紙Pに記録される。
【0073】
また、ROM82は、範囲画像データメモリ82bが設けられている。範囲画像データメモリ82bには、複合機1の機能を使用する際に、複合機1の設置位置から、複合機1が設置される室の壁まで離す必要がある距離を示す範囲画像データが格納されており、例えば、後述する、範囲画像データHG(図13)が格納されている。範囲画像データHGは、本発明の範囲画像の一例である。範囲画像データHGとしては、上述した、スキャナ部3を使用する際に、原稿カバー7を開状態にした場合(図5)に、原稿カバー7の一部が装置背面53から突出する距離L1を示す画像データや、記録メディアの記録面に画像を記録する際に、メディアトレイ71を所定位置まで搬送した場合(図6)の、メディアトレイ71の第1向き15の先端が装置背面53から突出する距離L2を示す画像データである。
【0074】
RAM83は、CPU81が各プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域として、また作業領域として用いられる。またRAM83には、使用画像データメモリ83a、テスト画像データメモリ83b、集約画像データメモリ83cの各記憶領域が割り当てられている。
【0075】
使用画像データメモリ83aは、例えば、記録メディア印刷のテストプリントにおいて、用紙Pに記録する記録メディア画像KGを抽出するための画像データを一時的に記憶する領域である。テスト画像データメモリ83bは、記録用紙に記録するテストプリントを行う画像データを一時的に記憶する領域である。集約画像データメモリ83cは、テストプリントにおいて、用紙Pに記録する集約画像データSGを一時的に記憶する領域である。テスト画像データメモリ83aは、本発明の第1記憶部の一例である。
【0076】
EEPROM87は、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等を格納する。例えば、スロット部50から取り込まれた画像データを保存できる。これにより、一度取り込んだ画像データを繰り返し使用することができる。
【0077】
ASIC85は、CPU81からの指令に従い、接続されている周辺機器を制御するものである。ASIC85には、操作パネル9、給紙モータ76、CR駆動モータ331及び搬送モータ59などが接続されている。ASICにはモータを制御する駆動回路がモータ毎に組み込まれている。CPU81から所定のモータに応じた駆動回路に各モータを回転させるための駆動信号が入力されると、駆動信号に応じた駆動電流が駆動回路から対応するモータへ出力され、これにより、対応するモータが所定の回転速度で正転又は逆転する。
【0078】
<実施形態の動作>
次に、本実施形態の複合機1の動作について、図8乃至図10のフローチャート、図12乃至図14を参照して説明する。
【0079】
まず、図8のフローチャートを参照して、複合機1のCPU81により実行されるメイン処理について説明する。このメイン処理は、ユーザによる操作パネル9の操作を介して、プリンタ機能、スキャナ機能、及び、コピー機能等の各種機能の中で、プリント機能が選択された場合に実行される処理である。特に、メイン処理では、テストプリントにおいて、テストプリントを行う画像と複合機1の設置位置から設置される室の壁までの距離を示す範囲画像とを1枚の用紙に記録することで、テストプリントにおいて発生する用紙の余白を無駄にせず有効に活用して、装置の機能を使用する際に必要な装置の設置位置からのスペースを確認することができる処理を含んでいる。
【0080】
このメイン処理では、まず、テストプリントを実行するかが判断される(ステップ1、以下ステップをSと記す)。本実施形態では、ユーザによってプリント機能が選択されると、表示部11には、通常記録を実行するかテストプリントを実行するかを指定する要求が表示され、操作パネル9の操作を介してテストプリントの実行が選択されたかが判断される。テストプリントが指定されない場合には(S1:NO)、通常の記録用紙の印刷が実行され(S7)、本メイン処理を終了する。
【0081】
テストプリントが指定されると(S1:YES)、表示部11に、各テストプリントモードからどのテストプリントを実行するかを指定する要求が表示され、操作パネル9の操作を介して記録メディア印刷用のテストプリントモードが選択されたかが判断される(S2)。記録メディア用のテストプリントが選択された場合は(S2:YES)、後述する記録メディアモード処理が実行され(S3)、本メイン処理を終了する。
【0082】
記録メディア印刷用のテストプリントが選択されなかった場合は(S2:NO)、ピン抜けチェック用のテストプリントが選択されたかが判断される(S4)。ピン抜けチェック用のテストプリントが選択された場合は(S4:YES)、後述するピン抜けチェックモード処理が実行され(S5)、本メイン処理を終了する。
【0083】
ピン抜けチェック用のテストプリントが選択されなかった場合は(S4:NO)、その他のテストプリントが実行され(S6)、本メイン処理を終了する。その他のテストプリントとは、例えば、キャリッジの記録位置を調整する罫線調整のテストプリントを実行する処理等である。
【0084】
(記録メディアモード処理)
複合機1の記録メディアモード処理(図8のステップS3)の詳細について、図9のフローチャートを参照して説明する。
【0085】
この記録メディアモード処理では、記録メディア印刷用のテストプリントに使用する画像データの候補が表示部11に表示される(S20)。表示される画像データとは、例えば、スキャナ部3で原稿から読み取った画像や、EEPROM87に記憶されている画像である。
【0086】
その表示部11により表示されている画像データの中から記録メディア印刷用の画像として使用する画像データが選択されるまで待機し(S21:NO)、画像データが選択されると(S21:YES)、その選択された画像データから円形の記録メディア画像データKGが生成される(S22)。本実施形態においては、ステップS21において、図12(a)に示す元画像データGGが選択され、ステップS22において、元画像データGG上の領域のトリミング処理によって切り取られた円形の範囲から図12(b)に示す、記録メディア画像データKGが生成される。そして、ステップS22において生成された記録メディア画像データKGがテスト画像データメモリ83bに記憶される(S23)。
【0087】
用紙Pに記録メディア画像データKGと範囲画像データHGとを記録するか否かが判断される(S24)。記録メディア画像データKGと範囲画像データHGとを記録すると判断された場合は(S24:YES)、記録メディア画像データKGと範囲画像データHGとが同じ用紙P上に記録されるように集約し、図13(a)に示す、集約画像データSG1を生成する(S25)。尚、ステップS35は、本発明の集約部の一例である。次に、集約画像データSG1を集約画像データメモリ83cに記憶する(S26)。集約画像データSG1を表示部11に表示し(S27)、ユーザが操作パネル9を介して「記録OK」を入力したか否かが判断される(S28)。「記録OK」の入力がない場合には(S28:NO)、ステップS20からの処理が繰り返され、「記録OK」の入力があった場合には(S28:YES)、表示部11に表示されている画像が用紙Pに記録される(S29)。そして、本メイン処理を終了する。本実施形態においては、ステップS29において、集約画像データSG1が用紙Pに記録されると、図13(a)に示す用紙Pが作成される。また、範囲画像データHGを用紙Pに記録する場合は、メディアセンサ110によって用紙Pの側端を検知し、その検知結果に基づいて、用紙Pの側端を基準として範囲画像データHGが記録される。
【0088】
記録される範囲画像としては、複合機1に備えられた各機能を使用する際の、各機能に応じた装置背面53から突出する部材の装置背面53からの距離を示す画像を全て記録しても良い。
【0089】
また、装置背面53から一番突出する部材の装置背面53からの距離を示す画像のみが記録されても良い。例えば、上述した、スキャナ部3を使用する際に、原稿カバー7を開状態にした場合(図5)に、原稿カバー7の一部が装置背面53から突出する距離L1よりも、記録メディアの記録面に画像を記録する際に、メディアトレイ71を所定位置まで搬送した場合の、メディアトレイ71の第1向き15の先端が装置背面53から突出する距離L2の方が大きい場合は、距離L2を示す範囲画像のみが記録される。更に、制御部80によって、複合機1に備えられた各機構の中で一番突出する部材が選定(本発明の選定部の一例)され、一番突出する部材の距離を示す範囲画像が範囲画像データメモリ82bから選択(本発明の選択部の一例)され、選択された範囲画像が用紙に記録されても良い。これにより、各種機構を有する様々な画像記録装置において、その装置にとって最適な範囲画像が記録される。
【0090】
また、装置背面53からの距離だけでなく、装置側面からの距離を示す範囲画像を記録しても良い。例えば、上述した、スキャナ部3の原稿カバーが、装置側面を軸として開閉状態に姿勢変化可能に設けられている場合、原稿カバー7を開状態にすると、原稿カバー7の一部が装置側面から距離L1突出する構成となる。その為、スキャナ部3を使用する場合は、複合機1の側面から設置される室の壁まで距離L1分、複合機1を離して設置する必要がある。この場合、図14(a)に示す範囲画像データHGの様な範囲画像が記録される。
【0091】
ステップS24において、記録メディア画像データKGと範囲画像データHGとを記録しないと判断された場合は(S24:NO)、記録メディア画像データKGを表示部11に表示し(S30)、上述したステップS28以降の処理に進む。本実施形態において、ステップS29において、記録メディア画像データKGが用紙Pに記録されると、図13(b)に示す用紙Pが作成される。
【0092】
(ピン抜けチェックモード処理)
複合機1のピン抜けチェックモード処理(図8のステップS5)の詳細について、図10のフローチャートを参照して説明する。
【0093】
このピン抜けチェックモード処理では、用紙Pにピン抜けチェック画像データメモリ82aに記憶されているピン抜けチェック画像データPGと範囲画像データメモリ82bに記憶されている範囲画像データHGとを記録するか否かが判断される(S40)。ピン抜けチェック画像データPGと範囲画像データHGとを記録すると判断された場合は(S40:YES)、ピン抜けチェック画像データPGと範囲画像データHGとが同じ用紙P上に記録されるように集約し、図14(a)に示す、集約画像データSG2を生成する(S41)。尚、ステップS42は、本発明の集約部の一例である。次に、集約画像データSG2を集約画像データメモリ83cに記憶する(S42)。集約画像データメモリ83cに記憶された集約画像データSG2を用紙Pに記録する(S43)。本実施形態においては、ステップS44において、集約画像データSG2が用紙Pに記録されると、図14(a)に示す用紙Pが作成される。また、上述したように、範囲画像データHGを用紙Pに記録する場合は、メディアセンサ110によって用紙Pの側端を検知し、その検知結果に基づいて、用紙Pの側端を基準として範囲画像データHGが記録される。
【0094】
ピン抜けチェック画像データPGのみを記録すると判断された場合は(S40:NO)、ステップS43に進み、ピン抜けチェック画像データメモリ82aに記憶されているン抜けチェック画像データPGのみを用紙Pに記録する(S43)。本実施形態においては、ステップS43において、ピン抜けチェック画像データPGのみが用紙Pに記録されると、図14(b)に示す用紙Pが作成される。
【0095】
次に、用紙Pに記録されたピン抜けチェック画像データPGが正常に記録されているか否かが判断される(S44)。これは、記録ヘッド30のノズル301のインク詰まりによってピン抜けチェック画像データPGが正しく記録されない場合があるためである。尚、本実施形態においては、正常か否かの判断はユーザの目視によって判断されるとする。
【0096】
用紙Pに記録されたピン抜けチェック画像データPGの記録が正常だと判断された場合は(S44:YES)、本メイン処理を終了する。用紙Pに記録されたピン抜けチェック画像データPGの記録が正常でないと判断された場合はがない場合には(S44:NO)、上述したパージ及びフラッシングが実行され、記録ヘッド30のメンテナンスが行われる(S45)。ステップS45において、記録ヘッド30のメンテナンスが実行されると、ピン抜けチェック画像データPGのみの用紙Pへの記録が行われ(S46)、ステップS44に戻る。本実施形態において、ステップS46において、ピン抜けチェック画像データPGのみが用紙Pに記録されると、図14(b)に示す用紙Pが作成される。
【0097】
(第2実施例)
次に、本実施形態の複合機1の第2実施例の動作について、図11のフローチャートを参照して説明する。
【0098】
まず、図11のフローチャートを参照して、複合機1のCPU81により実行される変形例の処理について説明する。この処理は、複合機1が電源OFF状態から電源ON状態になった場合に実行される処理である。特に、メイン処理では、複合機1の電源ON時において、ピン抜けチェック画像と複合機1の設置位置から設置される室の壁までの距離を示す範囲画像とを1枚の用紙に記録することで、テストプリントにおいて発生する用紙の余白を無駄にせず有効に活用して、装置の機能を使用する際に必要な装置の設置位置からのスペースを確認することができる処理を含んでいる。
【0099】
このメイン処理では、まず、初めて電源がONされたかが判断される(S50)。電源ON状態が初めてではない場合には(S50:NO)、印刷等その他の処理が実行され、本メイン処理を終了する。
【0100】
電源ON状態が初めての場合は(S50:YES)、ピン抜けチェック画像データPGと範囲画像データHGとが同じ用紙P上に記録されるように集約し、図14(a)に示す、集約画像データSG2を生成する(S51)。尚、ステップS51は、本発明の集約部の一例である。次に、集約画像データSG2を集約画像データメモリ83cに記憶する(S52)。集約画像データメモリ83cに記憶された集約画像データSG2を用紙Pに記録する(S53)。本実施形態においては、ステップS53において、集約画像データSG2が用紙Pに記録されると、図14(a)に示す用紙Pが作成される。また、上述したように、範囲画像データHGを用紙Pに記録する場合は、メディアセンサ110によって用紙Pの側端を検知し、その検知結果に基づいて、用紙Pの側端を基準として範囲画像データHGが記録される。
【0101】
次に、用紙Pに記録されたピン抜けチェック画像データPGが正常に記録されているか否かが判断される(S54)。これは、上述したように、記録ヘッド30のノズル301のインク詰まりによってピン抜けチェック画像データPGが正しく記録されない場合があるためである。尚、本実施形態においては、正常か否かの判断はユーザの目視によって判断されるとする。
【0102】
用紙Pに記録されたピン抜けチェック画像データPGの記録が正常だと判断された場合は(S54:YES)、本メイン処理を終了する。用紙Pに記録されたピン抜けチェック画像データPGの記録が正常でないと判断された場合はがない場合には(S54:NO)、上述したパージ及びフラッシングが実行され、記録ヘッド30のメンテナンスが行われる(S55)。ステップS55において、記録ヘッド30のメンテナンスが実行されると、ピン抜けチェック画像データPGのみの用紙Pへの記録が行われ(S56)、ステップS54に戻る。本実施形態において、ステップS47において、ピン抜けチェック画像データPGのみが用紙Pに記録されると、図14(b)に示す用紙Pが作成される。
【0103】
(実施例の変形例1)
複合機1には、複合機1からの突出が小さい第1姿勢(本発明の第1姿勢の相当)と突出が大きい第2姿勢(本発明の第2姿勢の相当)とに姿勢変化可能な可動部(本発明の可動部に相当)を搭載してもよい。この場合、可動部を第2姿勢にした場合は、可動部の一部が装置背面53から突出する構成となっている。その為、可動部を使用する場合は、複合機1が設置される室の壁からその突出分、複合機1を離して設置する必要がある。
【0104】
例えば、可動部は、スキャナ部3のスキャナ筐体8(本発明のカバー部材の一例)であってもよい。図15(A)に示されるように、スキャナ筐体8は、ケーシング5の上面に対して開閉可能なように複合機1の後方側で蝶番81などの支持機構によって回動可能に支持されている。これにより、スキャナ筐体8は、ケーシング5の上面を覆う閉姿勢(本発明の第1姿勢の一例、図1に示される姿勢)とケーシング5の上面から上方へ開いた開姿勢(本発明の第2姿勢の一例、図15(A)に示される姿勢)との間で回動可能となる。図15(A)においては、ケーシング5の上面は開放されている。そのため、スキャナ筐体8が図15(A)に示されるように上方へ開けられてケーシング5の上面が露出されると、ユーザは、ケーシング5の上面から搬送ローラ対54などの内部へアクセスすることが可能となる。そして、ユーザは、プリンタ部2内の構成要素のメンテナンスやジャム処理などを行うことが可能となる。
【0105】
尚、スキャナ筐体8を第2姿勢にした場合は、図15(A)に示すように、スキャナ筐体8の一部が装置背面53から距離L3突出する構成となっている。その為、スキャナ筐体8を開姿勢にする場合は、複合機1が設置される室の壁から距離L3分、複合機1を離して設置する必要がある。
【0106】
この場合、範囲画像データメモリ82bには、可動部を第2姿勢にした場合に、可動部の一部が装置背面53から突出する距離を示す画像データや、スキャナ筐体8の使用する際に、スキャナ筐体8の一部が装置背面53から突出する距離L3を示す画像データが記憶される。
【0107】
(実施例の変形例2)
変形例1で説明した可動部の別の例として、可動部は、回動可能に配置された手差しトレイ56(本発明の用紙トレイの一例)であってもよい。例えば、図15(B)に示されるように、複合機1の背面53に対して開閉可能なように複合機1の後方側且つ手差しトレイ56の下端部で蝶番563などの支持機構によって回動可能に支持されている。これにより、手差しトレイ56は、実線で示される第2姿勢(本発明の第2姿勢の一例)と、破線で示される第1姿勢(本発明の第1姿勢の一例)とに姿勢変化される。手差しトレイ56は、第1姿勢をとっているとき、背面53に沿って起立する。また、手差しトレイ56は、第2姿勢をとっているとき、背面53から更に後方側へ斜め上方に傾倒している。手差しトレイ56には、第2姿勢において、各種サイズの記録用紙を載置可能である。第2の搬送路233及び開口561(図15(B)では不図示)が形成されており、手差しトレイ56が第2姿勢をとっているときに、複合機1のユーザによって、記録用紙が挿入される。
【0108】
尚、手差しトレイ56を第2姿勢にした場合は、図15(B)に示すように、手差しトレイ56の一部が装置背面53から距離L4突出する構成となっている。その為、手差しトレイ56を使用する場合は、複合機1が設置される室の壁から距離L4分、複合機1を離して設置する必要がある。
【0109】
この場合、範囲画像データメモリ82bには、手差しトレイ56の使用する際に、手差しトレイ57の一部が装置背面53から突出する距離L4を示す画像データが記憶される。
【0110】
複合機1には、姿勢変化可能な可動部が搭載されていることがある。その場合、複合機1は、当該可能部が如何なる姿勢をとったとしても複合機1を設置した室の壁などに接触しないように設置される。なお、可動部は、例えば、スキャナ部3、変形例1で記したスキャナ筐体8、及び、変形例2で記した回動可能な手差しトレイ56である複合機1には、これらの可動部が複数搭載されることもある。また、記録メディアを載置可能なメディアトレイ71を搬送可能であり、記録メディアの記録面に画像を記録することができる。上述したとおり、本発明では、テストプリントにおいて、テストプリント画像と範囲画像とが1枚の用紙Pに記録される。その為、テストプリントにおいて発生する用紙の余白を無駄にせず有効に活用して、装置の機能を使用する際に必要な装置の設置位置からのスペースを確認することができる。したがって、可動部やメディアトレイ71が複合機1を設置した室の壁などに衝突することを抑制できる。
【符号の説明】
【0111】
1 複合機
24 画像記録部
80 制御部
82a ピン抜けチェック画像データメモリ
82b 範囲画像データメモリ
83b テスト画像データメモリ
83c 集約画像データメモリ
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録装置に関し、特に、テストプリントを行う画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、装置の状態の確認や記録される画像の確認のために記録用紙にテストプリントを行う画像記録装置が知られている。このテストプリントによって、装置内の異常の発見や記録される画像の色や大きさを確認することができる。
【0003】
引用文献1には、テストプリントにおいて、葉書に記録する画像を通常の用紙に記録することで、葉書に対する画像の位置や画像の色、濃度が確認できることが記載されている。
【0004】
また、この種の画像記録装置において、テストプリントを行う機能の他に、スキャナ機能、コピー機能、及び、CDやDVD等を専用のトレイに載置し、そのレーベル面に画像を記録するレーベル印刷機能等を有しているものもある。例えば、レーベル印刷機能において、特許文献2(第4実施例、図64及び図66)には、トレイ挿入口から搬送方向の第1向きに挿入されるCDやDVDなどがセットされたトレイの先端が、装置後方の給紙装置よりも第1向きに搬送される画像記録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−102990号公報
【特許文献2】特開2004−42392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の画像記録装置において、テストプリントで用紙に画像を記録した場合、ユーザが設定を行った画像のみしか用紙に記録されないため大きな余白が発生してしまい、用紙の余白が無駄になっていた。
【0007】
特許文献2(第4実施例、図64及び図66)に記載された画像記録装置においては、トレイの先端が当該装置の外部まで搬送されるため、トレイの先端が設置された室の壁へ衝突するおそれがある。当該衝突を防止するために、装置はトレイのはみ出しの分だけ当該装置が設置された室の壁から離して設置する必要がある。このように、他の機能を使用する場合には、装置の設置位置からスペースを確保しておかなくてはならない場合がある。また、はみ出し分を確認するためには定規等の測定器具を用いて距離を確認しなければならない。しかしながら、はみ出し分を確認するために定規等の測定器具をわざわざ用意するのは不便である。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、テストプリントにおいて発生する用紙の余白を無駄にせず有効に活用して、装置の機能を使用する際に必要な装置の設置位置からのスペースを確認することができる画像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、請求項1に記載の画像記録装置は、記録用紙に画像を記録する記録部を備えた画像記録装置において、当該装置の機能に応じたテスト画像を記憶する第1記憶部と、前記第1記憶部に記憶されている前記テスト画像を前記記録部によって前記記録用紙に記録させるテストプリントを実行するテストプリント実行部と、当該装置が搭載する機構を使用する場合に必要な当該装置からの範囲を示す範囲画像を記憶する第2記憶部と、前記第1記憶部に記憶された当該機能に応じた前記テスト画像と前記第2記憶部に記憶された前記範囲画像とが同一の記録用紙上に記録されるように、両画像データを集約した集約画像を作成する集約部と、前記テストプリント実行部によって当該装置の機能に応じたテストプリントが実行される場合に、前記集約部によって前記集約画像を作成させ、当該集約画像を前記記録部によって記録用紙に記録させる制御部と、を備えたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項2に記載の画像記録装置は、請求項1に記載の画像記録装置において、前記制御部は、前記テストプリント実行部によって当該装置の最初のテストプリントが実行される場合に、前記集約部によって前記集約画像を作成させ、前記記録部によって当該集約画像を記録用紙に記録させることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3に記載の画像記録装置は、請求項1または2に記載の画像記録装置において、前記記録部は、インクが吐出されることで記録用紙に画像が記録されるノズルを有し、前記第1記憶部は、前記ノズルの詰まりをチェックするためのチェックパターン画像を記憶し、前記制御部は、前記実行部によって前記ノズルの詰まりをチェックするテストプリントが実行される場合に、前記集約部によって前記チェックパターン画像と前記範囲画像とを集約した集約画像を作成させ、前記記録部によって当該集約画像を記録用紙に記録させることを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に記載の画像記録装置は、請求項3に記載の画像記録装置において、再度前記ノズルの詰まりをチェックするテストプリントを実行するか否かを判断する選択部を備え、前記制御部は、前記判断部によって当該テストプリントを実行すると判断された場合は、前記チェックパターン画像のみを前記記録部によって記録用紙に記録させることを特徴とすることを特徴とするものである。
【0013】
請求項5に記載の画像記録装置は、請求項1及び2に記載の画像記録装置において、前記制御部は、記録ディスクの画像記録面に記録される記録ディスク画像を記録用紙に記録するテストプリントが実行される場合に、前記集約部によって前記記録ディスク画像と前記範囲画像とを集約した前記集約画像を作成させ、前記記録部によって当該集約画像を記録用紙に記録させることを特徴とするものである。
【0014】
請求項6に記載の画像記録装置は、請求項1乃至5のいずれかに記載の画像記録装置において、当該装置が搭載する機構のうち、使用する場合に最も当該装置から突出する機構を選定する選定部と、前記選定部によって選定された機構に対応する前記第2記憶部に記憶されている範囲画像を選択する選択部と、を備え、前記制御部は、前記選択部によって選択された当該範囲画像を、前記集約部によって前記テスト画像と集約される範囲画像とすることを特徴とするものである。
【0015】
請求項7に記載の画像記録装置は、請求項1乃至6のいずれかに記載の画像記録装置において、前記機構は、薄板状の被記録媒体が載置された媒体トレイを搬送する搬送機構であり、前記範囲画像は、前記媒体トレイの装置から搬送方向への突出範囲であることを特徴とすることを特徴とするものである。
【0016】
請求項8に記載の画像記録装置は、請求項1乃至6のいずれかに記載の画像記録装置において、前記機構は、当該装置に搭載され、当該装置から突出しない第1姿勢と突出する第2姿勢とに姿勢変化可能な可動部であり、前記範囲画像は、前記可動部が第2姿勢である場合の当該装置からの突出範囲であることを特徴とするものである。
【0017】
請求項9に記載の画像記録装置は、請求項8に記載の画像記録装置において、前記可動部は、当該装置に搭載され、且つ、回動可能に支持され、第1姿勢のときに原稿を覆い、当該原稿に記録された画像を読み取る画像読取部であることを特徴とするものである。
【0018】
請求項10に記載の画像記録装置は、請求項8に記載の画像記録装置において、前記記録部に記録用紙を搬送する搬送部を、更に具備し、前記可動部は、当該装置に回動可能に支持され、第2姿勢のときに上記搬送部を露出させるカバー部材であることを特徴とするものである。
【0019】
請求項11に記載の画像記録装置は、請求項8に記載の画像記録装置において、前記可動部は、当該装置の筐体に沿って起立する第1姿勢と当該装置から傾倒する第2姿勢とに姿勢変化可能であり、記録用紙を載置可能な用紙トレイであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、テスト画像と範囲画像とを同一の記録用紙上に記録することで、テストプリントにおいて発生する用紙の余白を無駄にせず有効に活用して、装置の機能を使用する際に必要な装置の設置位置からのスペースを確認することができる。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、最初のテストプリントにおいて集約画像を記録することで、最初のテストプリントにおいて発生する用紙の余白を無駄にせず有効に活用して、装置の最初の設置段階において、装置の機能を使用する際に必要な装置の設置位置からのスペースを確認することができる。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、前記ノズルの詰まりをチェックするテストプリントが実行される場合に前記チェックパターン画像と前記範囲画像とを記録することで、テストプリントにおいて発生する用紙の余白を無駄にせず有効に活用して、装置の機能を使用する際に必要な装置の設置位置からのスペースを確認することができる。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、再度前記ノズルの詰まりをチェックするテストプリントを実行する場合は、前記チェックパターン画像のみを記録することによって、インク消費の無駄を防ぐ。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、記録ディスクの画像記録面に記録される記録ディスク画像を記録用紙に記録するテストプリントが実行される場合に前記記録ディスク画像と前記範囲画像とを記録することで、テストプリントにおいて発生する用紙の余白を無駄にせず有効に活用して、装置の機能を使用する際に必要な装置の設置位置からのスペースを確認することができる。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、複合機1に備えられた各機構の中で一番突出する部材が選定され、一番突出する部材の距離を示す範囲画像がら選択され、選択された範囲画像が用紙に記録されることで、各種機構を有する様々な画像記録装置において、その装置にとって最適な範囲画像が記録される。
【0026】
請求項7に記載の発明によれば、記録される範囲画像は、記録メディアが載置される媒体トレイの装置から搬送方向への突出範囲であるので、媒体トレイが複合機1を設置した室の壁などに衝突することを抑制できる。
【0027】
請求項8に記載の発明によれば、記録される範囲画像は、可動部が第2姿勢である場合の当該装置からの突出範囲であるので、可動部が複合機1を設置した室の壁などに衝突することを抑制できる。
【0028】
請求項9に記載の発明によれば、前記可動部は、当該装置に搭載され、且つ、回動可能に支持され、第1姿勢のときに原稿を覆い、当該原稿に記録された画像を読み取る画像読取部であるので、画像読取部の一部が複合機1を設置した室の壁などに衝突することを抑制できる。
【0029】
請求項10に記載の発明によれば、前記可動部は、当該装置に回動可能に支持され、第2姿勢のときに搬送部を露出させるカバー部材であるので、カバー部材の一部が複合機1を設置した室の壁などに衝突することを抑制できる。
【0030】
請求項11に記載の発明によれば、前記可動部は、当該装置の筐体に沿って起立する第1姿勢と当該装置から傾倒する第2姿勢とに姿勢変化可能であり、記録用紙を載置可能な用紙トレイであるので、用紙トレイの一部が複合機1を設置した室の壁などに衝突することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態の一例である複合機1の外観斜視図である。
【図2】プリンタ部2の内部構造を示す断面図である。
【図3】プリンタ部2の内部構造を示す部分断面図である。
【図4】画像記録部24の機構を示す斜視図である。
【図5】原稿カバー7と装置背面53の位置関係を模式的に示す複合機1の断面図である。
【図6】メディアトレイ71と装置背面53の位置関係を模式的に示す複合機1の断面図である。
【図7】制御部80の構成を示すブロック図である。
【図8】複合機1のメイン処理を示すフローチャートである。
【図9】複合機1の記録メディアモード処理を示すフローチャートである。
【図10】複合機1のピン抜けチェックモード処理を示すフローチャートである。
【図11】複合機1の第2実施例のメイン処理を示すフローチャートである。
【図12】(a)元画像データGGを概念的に示す図である。(b)記録メディア画像データKGを概念的に示す図である。
【図13】(a)用紙Pに記録された集約画像データSG1を概念的に示す図である。(b)用紙Pに記録された記録メディア画像データKGを概念的に示す図である。
【図14】(a)用紙Pに記録された集約画像データSG2概念的に示す図である。(b)用紙Pに記録されたピン抜けチェック画像データPGを概念的に示す図である。
【図15】(A)スキャナ筐体8と装置背面53の位置関係を模式的に示す複合機1の断面図である。(B)手差しトレイ56と装置背面53の位置関係を模式的に示す複合機1の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、適宜図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0033】
<外観的構成>
(複合機1の構成)
図1を参照して、本発明の一実施形態である複合機1を説明する。なお、本実施形態においては、矢印13で示される方向が複合機1の幅方向(左右方向)であり、矢印14で示される方向が複合機1の高さ方向(上下方向)であり、矢印12で示される方向が複合機1の奥行き方向(前後方向)である。
【0034】
複合機1は、下部に配設されたプリンタ部2と、プリンタ部2の上部に配設されたスキャナ部3(本発明の可動部の一例である画像読取部に相当)などを一体的に備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)である。スキャナ部3は、その上部に、複合機1の天板としての原稿カバー7を備えている。複合機1は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能及びファクシミリ機能などを有する。なお、本発明を実現するうえで、スキャナ機能やファクシミリ機能などは任意の機能であり、例えば、本発明に係る画像記録装置が、プリンタ機能のみを有するプリンタとして実施されてもよい。
【0035】
複合機1の上面の前方側であって、スキャナ部3の正面側の上面には、プリンタ部2やスキャナ部3を操作するための操作パネル9が設けられている。操作パネル9は、各種操作ボタンや表示部11から構成されており、複合機1は、操作パネル9からの入力に基づいて複合機1の動作を統括する制御部80(本発明の制御部の一例、図7参照)により動作される。
【0036】
スキャナ部3は、所謂フラットベッドスキャナとして構成されている。スキャナ部3の上部には、原稿カバー7が開閉自在に設けられている。原稿カバー7の下側には、プラテンガラス6(図5参照)を上面に備え、プラテンガラス6の下部にイメージセンサ(不図示)を備えたスキャナ筐体8(図5参照)が設けられている。プラテンガラス6に原稿が載置され、原稿カバー7がプラテンガラス6を覆った状態で、原稿の画像がイメージセンサによって読み取られる。
【0037】
尚、原稿カバー7を開状態にした場合は、図5に示すように、原稿カバー7の一部が装置背面53から距離L1突出する構成となっている。その為、スキャナ部3を使用する場合は、複合機1が設置される室の壁から距離L1分、複合機1を離して設置する必要がある。
【0038】
<内部構成>
(プリンタ部2の構成)
以下、図1から図4が参照されながら、プリンタ部2の構成が詳細に説明される。図1に示されるように、プリンタ部2は、正面に開口4が形成されたケーシング5(本発明の筐体の一例)を有する。ケーシング5内にプリンタ部2の各構成要素が配設されている。
【0039】
開口4を通じて、給紙トレイ20及び排紙トレイ21(図2参照)が複合機1に装着される。なお、図1では、給紙トレイ20及び排紙トレイ21が省略されている。給紙トレイ20には、A4サイズやB5サイズ等の所望のサイズの記録用紙が収容される。図2に示されるように、給紙トレイ20が複合機1に装着されることにより、給紙トレイ20に収容された記録用紙が、当該記録用紙の長手方向が複合機1の奥行き方向12となるようにセットされる。また、排紙トレイ21は、給紙トレイ20に支持されて、給紙トレイ20の上方に配置される。給紙トレイ20と排紙トレイ21とは、上下二段となって複合機1に装着される。
【0040】
また、複合機1は、記録用紙の他に、CD−ROMやDVD−ROMなどの記録メディア(本発明の被記録媒体の一例)の盤面上に画像を記録する機能を有する。この機能については後述する。
【0041】
(給紙部)
複合機1に装着された給紙トレイ20の奥側には、分離傾斜板22が配設されている。分離傾斜板22は、給紙トレイ20から繰り出された記録用紙を分離して上方へ案内するものである。
【0042】
給紙トレイ20の上側には、給紙ローラ25が設けられている。給紙ローラ25は、給紙トレイ20に接離可能に上下動する給紙アーム26の端部で軸支されている。給紙ローラ25は、複数のギアが噛合されてなる駆動伝達機構27によって、給紙モータ(図7参照)の駆動力が伝達されて回転する。給紙ローラ25は、給紙トレイ20上に積載された記録用紙を1枚ずつ分離して搬送路23へ供給するものである。詳細には、給紙ローラ25が給紙トレイ20上の記録用紙に圧接して、その状態で、給紙ローラ25が回転することにより、給紙ローラ25のローラ面と記録用紙との間の摩擦力で最上位置の記録用紙が分離傾斜板22へ送り出される。当該記録用紙は、その前端が分離傾斜板22に当接して上方へ案内され、搬送路23へ送り込まれる。
【0043】
(搬送路23)
分離傾斜板22の上方には、搬送路23が形成されている。搬送路23は、分離傾斜板22の上側から上方且つ複合機1の前側へ曲がって、複合機1の背面側(後側)から正面側(前側)へ延出され、さらに、駆動ローラ47とピンチローラ48で構成される搬送ローラ対54による挟持位置、画像記録部24の下側、及び駆動ローラ49と拍車ローラ50で構成される排出ローラ対55による挟持位置を通過して排紙トレイ21へ通じている。給紙トレイ20から繰り出された記録用紙は、搬送路23により下方から上方へUターンするように案内されて画像記録部24に至る。当該記録用紙は、画像記録部24により画像記録が行われた後、排紙トレイ21に排出される。搬送路23は、画像記録部24などが配設されている箇所以外は、所定間隔で対向する外側ガイド面29と内側ガイド面28によって形成されている。
【0044】
以下、記録用紙などの被記録媒体が、搬送ローラ対54による挟持位置から画像記録部24の下側及び排出ローラ対55による挟持位置を通過して排紙トレイ21へ搬送される向きを搬送方向(第1搬送部の駆動によって被記録媒体が移動する方向)の第2向き16(本発明の第2向きに相当)として説明を行う。一方、第2向きと逆向きを搬送方向の第1向き15(本発明の第1向きに相当)として説明を行う。
【0045】
(画像記録部24)
画像記録部24は、記録ヘッド30を搭載して主走査方向(図2の紙面に垂直な方向)へ往復移動するキャリッジ31を備えている。記録ヘッド30は、キャリッジ31の下側に露出されており、インクタンク32(図3参照)からインクチューブ33(図3参照)を通じてシアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(Bk)の各色インクが供給される。
【0046】
記録ヘッド30の下面には、複数のノズル301(本発明のノズルの一例)が形成されている。各色インクに対応するノズル301は、搬送方向に沿って一列に整列されており、各色インクに対応するノズル301の各列が、キャリッジ31の往復動方向(左右方向13)に並べられている。
【0047】
記録ヘッド30は、その下面に設けられたノズル301から、各インクを微小なインク滴として吐出する。キャリッジ31が主走査方向へ往復動することにより、記録ヘッド30が記録用紙に対して走査され、プラテン34上を搬送される記録用紙に画像が記録される。
【0048】
図3及び図4に示されるように、画像記録部24が配置される搬送路23の上側には、一対の平板状のガイドレール35,36が配設されている。ガイドレール35,36は、記録用紙の搬送向きに隔てて、搬送路23の幅方向(左右方向13)に延設されている。キャリッジ31は、ガイドレール35,36を跨ぐようにして、ガイドレール35,36上を左右方向13に摺動可能に設けられている。
【0049】
ガイドレール36の上面には、ベルト駆動機構38が配設されている。ベルト駆動機構38は、搬送路23の幅方向13の両端付近にそれぞれ設けられた駆動プーリ39と従動プーリ40との間に、内側に歯が設けられた無端環状のタイミングベルト41が張架されてなるものである。駆動プーリ39の軸にはキャリッジ(CR)駆動モータ311(不図示)が連結されており、CR駆動モータ311から駆動力が入力される。駆動プーリ39の回転により、タイミングベルト41が周運動する。なお、タイミングベルト41は無端環状のもののほか、有端のベルトの両端部をキャリッジ31に固着するものを用いてもよい。
【0050】
タイミングベルト41は、キャリッジ31に固着されている。タイミングベルト41の周運動により、キャリッジ31は、端部37を基準としてガイドレール35,36上を往復移動する。キャリッジ31には、記録ヘッド30が搭載されている。したがって、記録ヘッド30は、キャリッジ31とともに搬送路23の幅方向13を主走査方向として往復移動可能である。ガイドレール36には、端部37に沿ってリニアエンコーダのエンコーダストリップ42が配設されている。リニアエンコーダは、フォトインタラプタ(不図示)によりエンコーダストリップ42を検出する。リニアエンコーダの検出信号に基づいて、キャリッジ31の往復移動が制御される。
【0051】
図2から図4に示されるように、搬送路23の下側には、記録ヘッド30と対向してプラテン34が配設されている。プラテン34は、キャリッジ31の往復移動範囲のうち、記録用紙が通過する中央部分に亘って配設されている。プラテン34の幅は、搬送可能な記録用紙の最大幅より十分に大きいものであり、記録用紙の両端は常にプラテン34の上を通過する。
【0052】
(メディアセンサ110)
図2に示されるように、搬送路23に搬送される記録媒体を検知するためのメディアセンサ110(本発明の検知部の一例)が複合機1に設けられている。メディアセンサ110は、キャリッジ34の下面側における第1向き15の最下流側付近に設けられている。メディアセンサ110は、発光ダイオードなどからなる発光部(不図示)と、光学式センサなどからなる受光部(不図示)とを具備する。メディアセンサ110の発光部は下方へ向けて光を照射し、メディアトレイ71、記録メディア、またはプラテン34で反射した反射光が受光部で受光される。
【0053】
メディアセンサ110は、キャリッジ31とともにスライドされる。プラテン34上に記録媒体が支持されている状態でキャリッジ31がスライドされると、当該スライドの過程において、メディアセンサ110は、プラテン34の上面、メディアトレイ71の上面、または記録媒体の上面からの反射光を受光する。
【0054】
プラテン34の上面を黒色などの反射率の低い色にしておくことによって、記録媒体からの反射光による受光部の検出値と、プラテン34からの反射光による受光部の検出値とが異なる値となる。受光部における検出値は、制御部130に送られる。これにより、制御部130は、記録媒体の両端の位置についてのデータを得る。
【0055】
(メンテナンス部)
図3に示されるように、記録ヘッド30による画像記録範囲外、すなわちプラテン34の両側の記録用紙が通過しない範囲には、パージ機構43及び廃インクトレイ44が配設されている。パージ機構43は、記録ヘッド30のノズル等からインクとともに気泡や異物を吸引除去するものである。パージ機構43は、記録ヘッド30のノズル面を覆うキャップ45を備える。記録ヘッド30の気泡等の吸引除去を行う際には、記録ヘッド30がキャップ45上に位置するようにキャリッジ31が移動される。その状態でキャップ45が上方へ移動して記録ヘッド30の下面のノズル301を密閉するように密着する。そして、キャップ45と連結されたポンプ(不図示)により記録ヘッド30のノズル301からインクが吸引される。このインク吸引は、パージと呼ばれる。
【0056】
廃インクトレイ44は、キャリッジ31の画像記録範囲外であってパージ機構43の反対側に配設されている。廃インクトレイ44は、記録ヘッド30のインクの空吐出を受けるものである。この空吐出は、フラッシングと呼ばれる。
【0057】
図3に示されるように、インクタンク32は、プリンタ部2のケーシング5内部の正面右側に設けられたインクタンク収容部46に収容されている。このインクタンク32は、詳細には、シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(Bk)の各色インクを貯蔵する4個のインクタンク32C,32M,32Y,32Kを備えてなる。インクタンク32からキャリッジ31へは、各色について設けられたインクチューブ33を通じてインクが供給される。
【0058】
(搬送部)
図2及び図4に示されるように、画像記録部24よりも第2向き16の上流側には、搬送ローラ対54が設けられている。搬送ローラ対54は、駆動ローラ47と該駆動ローラ47の下方に駆動ローラ47に接するように設けられたピンチローラ48とが一体にユニット化されたものである。駆動ローラ47が正転駆動されることで、給紙トレイ20から給紙された記録用紙が駆動ローラ47及びピンチローラ48により狭持されて、第2向き16の下流側のプラテン34上へ搬送される。
【0059】
画像記録部24の第2向き16の下流側には、駆動ローラ49と該駆動ローラ49の上方に設けられた拍車ローラ50とを有する一対の排出ローラ対55が設けられている。記録済みの記録用紙は、駆動ローラ49及び拍車ローラ50によって狭持され、駆動ローラ49が正転駆動されることにより排紙トレイ21へ排出する向き(第2向き16)へ搬送される。また、駆動ローラ49が逆転駆動されることにより、後述するメディアトレイ71(本発明の媒体トレイの一例)が第1向き15へ搬送される。なお、拍車ローラ50は、記録済みの記録用紙と圧接するため、記録用紙に記録された画像を劣化させないようにローラ面が拍車状に凹凸に形成されている。
【0060】
図4に示されるように、駆動ローラ47は、駆動ローラ47の軸方向の一端に連結された搬送モータ59から駆動力が伝達されて、回転駆動される。駆動ローラ49は、駆動ローラ47より中間ギア57及びベルト58を介して駆動伝達されて、回転駆動される。また、駆動ローラ47及び駆動ローラ49はASIC85(図7参照)に組み込まれた駆動回路により制御されることで、その回転方向が正転又は逆転のいずれかに切り換えられる。かかる回転方向の切換は、搬送モータ59に対するスイッチング制御により、或いは、各ローラの回動軸に搬送モータ59の回転力を伝達するギアなどを切り換えることにより行われる。
【0061】
図4に示されるように、ロータリーエンコーダ(不図示)が、駆動ローラ47に設けられたエンコーダディスク51をフォトインタラプタ60で検出し、該ロータリーエンコーダの検出信号に基づいて、駆動ローラ47及び駆動ローラ49の駆動が制御される。
【0062】
図2に示されるように、記録用紙は、駆動ローラ47及び駆動ローラ49によって、所定の改行幅でプラテン34上を間欠して第2向き16に搬送される。その改行毎に記録ヘッド30が走査されて、記録用紙の先端側から画像記録が行われる。記録ヘッド30により記録用紙の所定領域に画像記録が行われた後に、駆動ローラ49が連続的に回転駆動される。これにより、駆動ローラ49及び拍車ローラ50により狭持された記録用紙が排紙トレイ21へ排出される。
【0063】
(メディアトレイ71)
上述したように、複合機1は、CD−ROMやDVD−ROMなどの記録メディアの盤面上に画像を記録する機能を有する。本実施形態においては、記録メディアの盤面上に画像が記録される場合、記録メディアはメディアトレイ71に載置されて、メディアトレイ71が複合機1の開口4から第1向き15に挿入される。なお、記録メディアがメディアトレイ71に載置されずに、記録メディア自体が複合機1の開口4から挿入されるように、複合機1が構成されていてもよい。
【0064】
メディアトレイ71は、樹脂などの剛性の高い物質で構成されており、上下方向14の厚さが数ミリ(例えば2mm〜3mm)である。また、メディアトレイ71は、搬送方向(奥行き方向12)及び幅方向13の長さが厚さ(高さ方向14)よりも長く、搬送方向(奥行き方向12)の長さが幅方向13の長さよりも長い。つまり、メディアトレイ71は、薄型の直方体である。メディアトレイ71の上面には、円形状の凹みであって記録メディアが載置されるメディア載置部(不図示)が設けられている。
【0065】
図2に示されるように、メディアトレイ71が、図2の矢印の向き77(第1向き15)に、つまり複合機1の正面側の開口4から搬送路23の直線部231に向けて挿入されると、図示しないセンサによりメディアトレイ71の挿入が検出されて、駆動ローラ49が逆転駆動される。これにより、メディアトレイ71が、第1向き15に所定位置まで搬送される。
【0066】
所定位置は、図6に示されるように、メディアトレイ71の第1向き15の先端が装置背面53からL2分突出した位置である。その為、メディアトレイ71を搬送して、記録メディアの盤面上に画像を記録する場合は、複合機1が設置される室の壁から距離L2分、複合機1を離して設置する必要がある。
【0067】
メディアトレイ71が所定位置まで搬送されると、駆動ローラ49の駆動が一旦停止された後、正転駆動に切り換えられる。これにより、メディアトレイ71が第2向き16に搬送され、メディアトレイ71に載置された記録メディアが第2向き16に搬送されながらプラテン34上を通る。プラテン34上に搬送された記録メディアに対して、記録ヘッド30のノズル301からインク滴が吐出される。これにより、記録メディアの盤面上に画像が記録されて、メディアトレイ71は最終的に排紙トレイ21側から排出される。
【0068】
<電気的構成>
次に、図7を参照して、複合機1の電気的構成について説明する。制御部80は、複合機1の全体動作を制御するものである。
【0069】
制御部80は、演算処理を行うCPU81、制御プログラム等が格納されたROM82、データの記憶領域又は作業領域として使用されるRAM83、設定情報などが記憶されるEEPROM84を主とするマイクロコンピュータとして構成されている。各構成要素は、バス84を介してASIC85に接続されている。
【0070】
CPU81は、ROM82やRAM83に記憶さている固定値やプログラムに従って、複合機1が有している各機能の制御や、ASIC85と接続された各部を制御するものである。尚、CPU81は、本発明の制御部の一例である。
【0071】
ROM82は、複合機1で実行される制御プログラムなどを格納した書換不能なメモリである。例えば、テストプリントにおいて、記録メディアに記録する画像を用紙Pに記録して画像を確認する記録メディアモードや、記録ヘッド31のノズル301の詰まりを確認するピン抜けチェック画像を用紙Pに記録してノズル301の詰まりを確認するピン抜けチェックモードや、その他のテストプリントモードを備えるメイン処理(図8)、記録メディアモードにおいて、用紙Pに記録メディア画像データKGと範囲画像HGとを記録する記録メディアモード処理(図9)、ピン抜けチェックモードにおいて、用紙Pにピン抜けチェック画像データPGと範囲画像HGとを記録するピン抜けチェックモード処理(図10)は、このROM82に格納されている。また、後述する第2実施例である、電源ON時において、チェック画像データPGと範囲画像HGとを記録する電源ONモード処理(図11)も、このROM82に格納されている。
【0072】
また、ROM82は、ピン抜けチェック画像データメモリ82aが設けられている。ピン抜けチェック画像データメモリ82aには、記録ヘッドのノズルの詰まりを確認するためのピン抜けチェック画像データが格納されており、例えば、後述する、ピン抜けチェック画像データPG(図14)が格納されている。ピン抜けチェック画像データメモリ82aは、本発明の第1記憶部の一例である。ピン抜けチェック画像データPGは、記録ヘッド30の下面に形成されたシアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(Bk)の各色のインクに対応するノズル301から各色のインクが吐出されて、各色のノズル301に対応したピン抜けチェックパターン画像が用紙Pに記録される。
【0073】
また、ROM82は、範囲画像データメモリ82bが設けられている。範囲画像データメモリ82bには、複合機1の機能を使用する際に、複合機1の設置位置から、複合機1が設置される室の壁まで離す必要がある距離を示す範囲画像データが格納されており、例えば、後述する、範囲画像データHG(図13)が格納されている。範囲画像データHGは、本発明の範囲画像の一例である。範囲画像データHGとしては、上述した、スキャナ部3を使用する際に、原稿カバー7を開状態にした場合(図5)に、原稿カバー7の一部が装置背面53から突出する距離L1を示す画像データや、記録メディアの記録面に画像を記録する際に、メディアトレイ71を所定位置まで搬送した場合(図6)の、メディアトレイ71の第1向き15の先端が装置背面53から突出する距離L2を示す画像データである。
【0074】
RAM83は、CPU81が各プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域として、また作業領域として用いられる。またRAM83には、使用画像データメモリ83a、テスト画像データメモリ83b、集約画像データメモリ83cの各記憶領域が割り当てられている。
【0075】
使用画像データメモリ83aは、例えば、記録メディア印刷のテストプリントにおいて、用紙Pに記録する記録メディア画像KGを抽出するための画像データを一時的に記憶する領域である。テスト画像データメモリ83bは、記録用紙に記録するテストプリントを行う画像データを一時的に記憶する領域である。集約画像データメモリ83cは、テストプリントにおいて、用紙Pに記録する集約画像データSGを一時的に記憶する領域である。テスト画像データメモリ83aは、本発明の第1記憶部の一例である。
【0076】
EEPROM87は、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等を格納する。例えば、スロット部50から取り込まれた画像データを保存できる。これにより、一度取り込んだ画像データを繰り返し使用することができる。
【0077】
ASIC85は、CPU81からの指令に従い、接続されている周辺機器を制御するものである。ASIC85には、操作パネル9、給紙モータ76、CR駆動モータ331及び搬送モータ59などが接続されている。ASICにはモータを制御する駆動回路がモータ毎に組み込まれている。CPU81から所定のモータに応じた駆動回路に各モータを回転させるための駆動信号が入力されると、駆動信号に応じた駆動電流が駆動回路から対応するモータへ出力され、これにより、対応するモータが所定の回転速度で正転又は逆転する。
【0078】
<実施形態の動作>
次に、本実施形態の複合機1の動作について、図8乃至図10のフローチャート、図12乃至図14を参照して説明する。
【0079】
まず、図8のフローチャートを参照して、複合機1のCPU81により実行されるメイン処理について説明する。このメイン処理は、ユーザによる操作パネル9の操作を介して、プリンタ機能、スキャナ機能、及び、コピー機能等の各種機能の中で、プリント機能が選択された場合に実行される処理である。特に、メイン処理では、テストプリントにおいて、テストプリントを行う画像と複合機1の設置位置から設置される室の壁までの距離を示す範囲画像とを1枚の用紙に記録することで、テストプリントにおいて発生する用紙の余白を無駄にせず有効に活用して、装置の機能を使用する際に必要な装置の設置位置からのスペースを確認することができる処理を含んでいる。
【0080】
このメイン処理では、まず、テストプリントを実行するかが判断される(ステップ1、以下ステップをSと記す)。本実施形態では、ユーザによってプリント機能が選択されると、表示部11には、通常記録を実行するかテストプリントを実行するかを指定する要求が表示され、操作パネル9の操作を介してテストプリントの実行が選択されたかが判断される。テストプリントが指定されない場合には(S1:NO)、通常の記録用紙の印刷が実行され(S7)、本メイン処理を終了する。
【0081】
テストプリントが指定されると(S1:YES)、表示部11に、各テストプリントモードからどのテストプリントを実行するかを指定する要求が表示され、操作パネル9の操作を介して記録メディア印刷用のテストプリントモードが選択されたかが判断される(S2)。記録メディア用のテストプリントが選択された場合は(S2:YES)、後述する記録メディアモード処理が実行され(S3)、本メイン処理を終了する。
【0082】
記録メディア印刷用のテストプリントが選択されなかった場合は(S2:NO)、ピン抜けチェック用のテストプリントが選択されたかが判断される(S4)。ピン抜けチェック用のテストプリントが選択された場合は(S4:YES)、後述するピン抜けチェックモード処理が実行され(S5)、本メイン処理を終了する。
【0083】
ピン抜けチェック用のテストプリントが選択されなかった場合は(S4:NO)、その他のテストプリントが実行され(S6)、本メイン処理を終了する。その他のテストプリントとは、例えば、キャリッジの記録位置を調整する罫線調整のテストプリントを実行する処理等である。
【0084】
(記録メディアモード処理)
複合機1の記録メディアモード処理(図8のステップS3)の詳細について、図9のフローチャートを参照して説明する。
【0085】
この記録メディアモード処理では、記録メディア印刷用のテストプリントに使用する画像データの候補が表示部11に表示される(S20)。表示される画像データとは、例えば、スキャナ部3で原稿から読み取った画像や、EEPROM87に記憶されている画像である。
【0086】
その表示部11により表示されている画像データの中から記録メディア印刷用の画像として使用する画像データが選択されるまで待機し(S21:NO)、画像データが選択されると(S21:YES)、その選択された画像データから円形の記録メディア画像データKGが生成される(S22)。本実施形態においては、ステップS21において、図12(a)に示す元画像データGGが選択され、ステップS22において、元画像データGG上の領域のトリミング処理によって切り取られた円形の範囲から図12(b)に示す、記録メディア画像データKGが生成される。そして、ステップS22において生成された記録メディア画像データKGがテスト画像データメモリ83bに記憶される(S23)。
【0087】
用紙Pに記録メディア画像データKGと範囲画像データHGとを記録するか否かが判断される(S24)。記録メディア画像データKGと範囲画像データHGとを記録すると判断された場合は(S24:YES)、記録メディア画像データKGと範囲画像データHGとが同じ用紙P上に記録されるように集約し、図13(a)に示す、集約画像データSG1を生成する(S25)。尚、ステップS35は、本発明の集約部の一例である。次に、集約画像データSG1を集約画像データメモリ83cに記憶する(S26)。集約画像データSG1を表示部11に表示し(S27)、ユーザが操作パネル9を介して「記録OK」を入力したか否かが判断される(S28)。「記録OK」の入力がない場合には(S28:NO)、ステップS20からの処理が繰り返され、「記録OK」の入力があった場合には(S28:YES)、表示部11に表示されている画像が用紙Pに記録される(S29)。そして、本メイン処理を終了する。本実施形態においては、ステップS29において、集約画像データSG1が用紙Pに記録されると、図13(a)に示す用紙Pが作成される。また、範囲画像データHGを用紙Pに記録する場合は、メディアセンサ110によって用紙Pの側端を検知し、その検知結果に基づいて、用紙Pの側端を基準として範囲画像データHGが記録される。
【0088】
記録される範囲画像としては、複合機1に備えられた各機能を使用する際の、各機能に応じた装置背面53から突出する部材の装置背面53からの距離を示す画像を全て記録しても良い。
【0089】
また、装置背面53から一番突出する部材の装置背面53からの距離を示す画像のみが記録されても良い。例えば、上述した、スキャナ部3を使用する際に、原稿カバー7を開状態にした場合(図5)に、原稿カバー7の一部が装置背面53から突出する距離L1よりも、記録メディアの記録面に画像を記録する際に、メディアトレイ71を所定位置まで搬送した場合の、メディアトレイ71の第1向き15の先端が装置背面53から突出する距離L2の方が大きい場合は、距離L2を示す範囲画像のみが記録される。更に、制御部80によって、複合機1に備えられた各機構の中で一番突出する部材が選定(本発明の選定部の一例)され、一番突出する部材の距離を示す範囲画像が範囲画像データメモリ82bから選択(本発明の選択部の一例)され、選択された範囲画像が用紙に記録されても良い。これにより、各種機構を有する様々な画像記録装置において、その装置にとって最適な範囲画像が記録される。
【0090】
また、装置背面53からの距離だけでなく、装置側面からの距離を示す範囲画像を記録しても良い。例えば、上述した、スキャナ部3の原稿カバーが、装置側面を軸として開閉状態に姿勢変化可能に設けられている場合、原稿カバー7を開状態にすると、原稿カバー7の一部が装置側面から距離L1突出する構成となる。その為、スキャナ部3を使用する場合は、複合機1の側面から設置される室の壁まで距離L1分、複合機1を離して設置する必要がある。この場合、図14(a)に示す範囲画像データHGの様な範囲画像が記録される。
【0091】
ステップS24において、記録メディア画像データKGと範囲画像データHGとを記録しないと判断された場合は(S24:NO)、記録メディア画像データKGを表示部11に表示し(S30)、上述したステップS28以降の処理に進む。本実施形態において、ステップS29において、記録メディア画像データKGが用紙Pに記録されると、図13(b)に示す用紙Pが作成される。
【0092】
(ピン抜けチェックモード処理)
複合機1のピン抜けチェックモード処理(図8のステップS5)の詳細について、図10のフローチャートを参照して説明する。
【0093】
このピン抜けチェックモード処理では、用紙Pにピン抜けチェック画像データメモリ82aに記憶されているピン抜けチェック画像データPGと範囲画像データメモリ82bに記憶されている範囲画像データHGとを記録するか否かが判断される(S40)。ピン抜けチェック画像データPGと範囲画像データHGとを記録すると判断された場合は(S40:YES)、ピン抜けチェック画像データPGと範囲画像データHGとが同じ用紙P上に記録されるように集約し、図14(a)に示す、集約画像データSG2を生成する(S41)。尚、ステップS42は、本発明の集約部の一例である。次に、集約画像データSG2を集約画像データメモリ83cに記憶する(S42)。集約画像データメモリ83cに記憶された集約画像データSG2を用紙Pに記録する(S43)。本実施形態においては、ステップS44において、集約画像データSG2が用紙Pに記録されると、図14(a)に示す用紙Pが作成される。また、上述したように、範囲画像データHGを用紙Pに記録する場合は、メディアセンサ110によって用紙Pの側端を検知し、その検知結果に基づいて、用紙Pの側端を基準として範囲画像データHGが記録される。
【0094】
ピン抜けチェック画像データPGのみを記録すると判断された場合は(S40:NO)、ステップS43に進み、ピン抜けチェック画像データメモリ82aに記憶されているン抜けチェック画像データPGのみを用紙Pに記録する(S43)。本実施形態においては、ステップS43において、ピン抜けチェック画像データPGのみが用紙Pに記録されると、図14(b)に示す用紙Pが作成される。
【0095】
次に、用紙Pに記録されたピン抜けチェック画像データPGが正常に記録されているか否かが判断される(S44)。これは、記録ヘッド30のノズル301のインク詰まりによってピン抜けチェック画像データPGが正しく記録されない場合があるためである。尚、本実施形態においては、正常か否かの判断はユーザの目視によって判断されるとする。
【0096】
用紙Pに記録されたピン抜けチェック画像データPGの記録が正常だと判断された場合は(S44:YES)、本メイン処理を終了する。用紙Pに記録されたピン抜けチェック画像データPGの記録が正常でないと判断された場合はがない場合には(S44:NO)、上述したパージ及びフラッシングが実行され、記録ヘッド30のメンテナンスが行われる(S45)。ステップS45において、記録ヘッド30のメンテナンスが実行されると、ピン抜けチェック画像データPGのみの用紙Pへの記録が行われ(S46)、ステップS44に戻る。本実施形態において、ステップS46において、ピン抜けチェック画像データPGのみが用紙Pに記録されると、図14(b)に示す用紙Pが作成される。
【0097】
(第2実施例)
次に、本実施形態の複合機1の第2実施例の動作について、図11のフローチャートを参照して説明する。
【0098】
まず、図11のフローチャートを参照して、複合機1のCPU81により実行される変形例の処理について説明する。この処理は、複合機1が電源OFF状態から電源ON状態になった場合に実行される処理である。特に、メイン処理では、複合機1の電源ON時において、ピン抜けチェック画像と複合機1の設置位置から設置される室の壁までの距離を示す範囲画像とを1枚の用紙に記録することで、テストプリントにおいて発生する用紙の余白を無駄にせず有効に活用して、装置の機能を使用する際に必要な装置の設置位置からのスペースを確認することができる処理を含んでいる。
【0099】
このメイン処理では、まず、初めて電源がONされたかが判断される(S50)。電源ON状態が初めてではない場合には(S50:NO)、印刷等その他の処理が実行され、本メイン処理を終了する。
【0100】
電源ON状態が初めての場合は(S50:YES)、ピン抜けチェック画像データPGと範囲画像データHGとが同じ用紙P上に記録されるように集約し、図14(a)に示す、集約画像データSG2を生成する(S51)。尚、ステップS51は、本発明の集約部の一例である。次に、集約画像データSG2を集約画像データメモリ83cに記憶する(S52)。集約画像データメモリ83cに記憶された集約画像データSG2を用紙Pに記録する(S53)。本実施形態においては、ステップS53において、集約画像データSG2が用紙Pに記録されると、図14(a)に示す用紙Pが作成される。また、上述したように、範囲画像データHGを用紙Pに記録する場合は、メディアセンサ110によって用紙Pの側端を検知し、その検知結果に基づいて、用紙Pの側端を基準として範囲画像データHGが記録される。
【0101】
次に、用紙Pに記録されたピン抜けチェック画像データPGが正常に記録されているか否かが判断される(S54)。これは、上述したように、記録ヘッド30のノズル301のインク詰まりによってピン抜けチェック画像データPGが正しく記録されない場合があるためである。尚、本実施形態においては、正常か否かの判断はユーザの目視によって判断されるとする。
【0102】
用紙Pに記録されたピン抜けチェック画像データPGの記録が正常だと判断された場合は(S54:YES)、本メイン処理を終了する。用紙Pに記録されたピン抜けチェック画像データPGの記録が正常でないと判断された場合はがない場合には(S54:NO)、上述したパージ及びフラッシングが実行され、記録ヘッド30のメンテナンスが行われる(S55)。ステップS55において、記録ヘッド30のメンテナンスが実行されると、ピン抜けチェック画像データPGのみの用紙Pへの記録が行われ(S56)、ステップS54に戻る。本実施形態において、ステップS47において、ピン抜けチェック画像データPGのみが用紙Pに記録されると、図14(b)に示す用紙Pが作成される。
【0103】
(実施例の変形例1)
複合機1には、複合機1からの突出が小さい第1姿勢(本発明の第1姿勢の相当)と突出が大きい第2姿勢(本発明の第2姿勢の相当)とに姿勢変化可能な可動部(本発明の可動部に相当)を搭載してもよい。この場合、可動部を第2姿勢にした場合は、可動部の一部が装置背面53から突出する構成となっている。その為、可動部を使用する場合は、複合機1が設置される室の壁からその突出分、複合機1を離して設置する必要がある。
【0104】
例えば、可動部は、スキャナ部3のスキャナ筐体8(本発明のカバー部材の一例)であってもよい。図15(A)に示されるように、スキャナ筐体8は、ケーシング5の上面に対して開閉可能なように複合機1の後方側で蝶番81などの支持機構によって回動可能に支持されている。これにより、スキャナ筐体8は、ケーシング5の上面を覆う閉姿勢(本発明の第1姿勢の一例、図1に示される姿勢)とケーシング5の上面から上方へ開いた開姿勢(本発明の第2姿勢の一例、図15(A)に示される姿勢)との間で回動可能となる。図15(A)においては、ケーシング5の上面は開放されている。そのため、スキャナ筐体8が図15(A)に示されるように上方へ開けられてケーシング5の上面が露出されると、ユーザは、ケーシング5の上面から搬送ローラ対54などの内部へアクセスすることが可能となる。そして、ユーザは、プリンタ部2内の構成要素のメンテナンスやジャム処理などを行うことが可能となる。
【0105】
尚、スキャナ筐体8を第2姿勢にした場合は、図15(A)に示すように、スキャナ筐体8の一部が装置背面53から距離L3突出する構成となっている。その為、スキャナ筐体8を開姿勢にする場合は、複合機1が設置される室の壁から距離L3分、複合機1を離して設置する必要がある。
【0106】
この場合、範囲画像データメモリ82bには、可動部を第2姿勢にした場合に、可動部の一部が装置背面53から突出する距離を示す画像データや、スキャナ筐体8の使用する際に、スキャナ筐体8の一部が装置背面53から突出する距離L3を示す画像データが記憶される。
【0107】
(実施例の変形例2)
変形例1で説明した可動部の別の例として、可動部は、回動可能に配置された手差しトレイ56(本発明の用紙トレイの一例)であってもよい。例えば、図15(B)に示されるように、複合機1の背面53に対して開閉可能なように複合機1の後方側且つ手差しトレイ56の下端部で蝶番563などの支持機構によって回動可能に支持されている。これにより、手差しトレイ56は、実線で示される第2姿勢(本発明の第2姿勢の一例)と、破線で示される第1姿勢(本発明の第1姿勢の一例)とに姿勢変化される。手差しトレイ56は、第1姿勢をとっているとき、背面53に沿って起立する。また、手差しトレイ56は、第2姿勢をとっているとき、背面53から更に後方側へ斜め上方に傾倒している。手差しトレイ56には、第2姿勢において、各種サイズの記録用紙を載置可能である。第2の搬送路233及び開口561(図15(B)では不図示)が形成されており、手差しトレイ56が第2姿勢をとっているときに、複合機1のユーザによって、記録用紙が挿入される。
【0108】
尚、手差しトレイ56を第2姿勢にした場合は、図15(B)に示すように、手差しトレイ56の一部が装置背面53から距離L4突出する構成となっている。その為、手差しトレイ56を使用する場合は、複合機1が設置される室の壁から距離L4分、複合機1を離して設置する必要がある。
【0109】
この場合、範囲画像データメモリ82bには、手差しトレイ56の使用する際に、手差しトレイ57の一部が装置背面53から突出する距離L4を示す画像データが記憶される。
【0110】
複合機1には、姿勢変化可能な可動部が搭載されていることがある。その場合、複合機1は、当該可能部が如何なる姿勢をとったとしても複合機1を設置した室の壁などに接触しないように設置される。なお、可動部は、例えば、スキャナ部3、変形例1で記したスキャナ筐体8、及び、変形例2で記した回動可能な手差しトレイ56である複合機1には、これらの可動部が複数搭載されることもある。また、記録メディアを載置可能なメディアトレイ71を搬送可能であり、記録メディアの記録面に画像を記録することができる。上述したとおり、本発明では、テストプリントにおいて、テストプリント画像と範囲画像とが1枚の用紙Pに記録される。その為、テストプリントにおいて発生する用紙の余白を無駄にせず有効に活用して、装置の機能を使用する際に必要な装置の設置位置からのスペースを確認することができる。したがって、可動部やメディアトレイ71が複合機1を設置した室の壁などに衝突することを抑制できる。
【符号の説明】
【0111】
1 複合機
24 画像記録部
80 制御部
82a ピン抜けチェック画像データメモリ
82b 範囲画像データメモリ
83b テスト画像データメモリ
83c 集約画像データメモリ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録用紙に画像を記録する記録部を備えた画像記録装置において、
当該装置の機能に応じたテスト画像を記憶する第1記憶部と、
前記第1記憶部に記憶されている前記テスト画像を前記記録部によって前記記録用紙に記録させるテストプリントを実行するテストプリント実行部と、
当該装置が搭載する機構を使用する場合に必要な当該装置からの範囲を示す範囲画像を記憶する第2記憶部と、
前記第1記憶部に記憶された当該機能に応じた前記テスト画像と前記第2記憶部に記憶された前記範囲画像とが同一の記録用紙上に記録されるように、両画像データを集約した集約画像を作成する集約部と、
前記テストプリント実行部によって当該装置の機能に応じたテストプリントが実行される場合に、前記集約部によって前記集約画像を作成させ、当該集約画像を前記記録部によって記録用紙に記録させる制御部と、
を備えたことを特徴する画像記録装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記テストプリント実行部によって当該装置の最初のテストプリントが実行される場合に、前記集約部によって前記集約画像を作成させ、前記記録部によって当該集約画像を記録用紙に記録させることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記記録部は、インクが吐出されることで記録用紙に画像が記録されるノズルを有し、
前記第1記憶部は、前記ノズルの詰まりをチェックするためのチェックパターン画像を記憶し、
前記制御部は、前記実行部によって前記ノズルの詰まりをチェックするテストプリントが実行される場合に、前記集約部によって前記チェックパターン画像と前記範囲画像とを集約した集約画像を作成させ、前記記録部によって当該集約画像を記録用紙に記録させることを特徴とする請求項1及び2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
再度前記ノズルの詰まりをチェックするテストプリントを実行するか否かを判断する選択部を備え、
前記制御部は、前記判断部によって当該テストプリントを実行すると判断された場合は、前記チェックパターン画像のみを前記記録部によって記録用紙に記録させることを特徴とする請求項3に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記制御部は、記録ディスクの画像記録面に記録される記録ディスク画像を記録用紙に記録するテストプリントが実行される場合に、前記集約部によって前記記録ディスク画像と前記範囲画像とを集約した前記集約画像を作成させ、前記記録部によって当該集約画像を記録用紙に記録させることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項6】
当該装置が搭載する機構のうち、使用する場合に最も当該装置から突出する機構を選定する選定部と、
前記選定部によって選定された機構に対応する前記第2記憶部に記憶されている範囲画像を選択する選択部と、を備え、
前記制御部は、前記選択部によって選択された当該範囲画像を、前記集約部によって前記テスト画像と集約される範囲画像とすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記機構は、薄板状の被記録媒体が載置された媒体トレイを搬送する搬送機構であり、
前記範囲画像は、前記媒体トレイの装置から搬送方向への突出範囲であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項8】
前記機構は、当該装置に搭載され、当該装置から突出しない第1姿勢と突出する第2姿勢とに姿勢変化可能な可動部であり、
前記範囲画像は、前記可動部が第2姿勢である場合の当該装置からの突出範囲であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項9】
前記可動部は、当該装置に搭載され、且つ、回動可能に支持され、第1姿勢のときに原稿を覆い、当該原稿に記録された画像を読み取る画像読取部である請求項8に記載の画像記録装置。
【請求項10】
前記記録部に記録用紙を搬送する搬送部を、更に具備し、
前記可動部は、当該装置に回動可能に支持され、第2姿勢のときに上記搬送部を露出させるカバー部材である請求項8に記載の画像記録装置。
【請求項11】
前記可動部は、当該装置の筐体に沿って起立する第1姿勢と当該装置から傾倒する第2姿勢とに姿勢変化可能であり、記録用紙を載置可能な用紙トレイである請求項8に記載の画像記録装置。
【請求項1】
記録用紙に画像を記録する記録部を備えた画像記録装置において、
当該装置の機能に応じたテスト画像を記憶する第1記憶部と、
前記第1記憶部に記憶されている前記テスト画像を前記記録部によって前記記録用紙に記録させるテストプリントを実行するテストプリント実行部と、
当該装置が搭載する機構を使用する場合に必要な当該装置からの範囲を示す範囲画像を記憶する第2記憶部と、
前記第1記憶部に記憶された当該機能に応じた前記テスト画像と前記第2記憶部に記憶された前記範囲画像とが同一の記録用紙上に記録されるように、両画像データを集約した集約画像を作成する集約部と、
前記テストプリント実行部によって当該装置の機能に応じたテストプリントが実行される場合に、前記集約部によって前記集約画像を作成させ、当該集約画像を前記記録部によって記録用紙に記録させる制御部と、
を備えたことを特徴する画像記録装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記テストプリント実行部によって当該装置の最初のテストプリントが実行される場合に、前記集約部によって前記集約画像を作成させ、前記記録部によって当該集約画像を記録用紙に記録させることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記記録部は、インクが吐出されることで記録用紙に画像が記録されるノズルを有し、
前記第1記憶部は、前記ノズルの詰まりをチェックするためのチェックパターン画像を記憶し、
前記制御部は、前記実行部によって前記ノズルの詰まりをチェックするテストプリントが実行される場合に、前記集約部によって前記チェックパターン画像と前記範囲画像とを集約した集約画像を作成させ、前記記録部によって当該集約画像を記録用紙に記録させることを特徴とする請求項1及び2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
再度前記ノズルの詰まりをチェックするテストプリントを実行するか否かを判断する選択部を備え、
前記制御部は、前記判断部によって当該テストプリントを実行すると判断された場合は、前記チェックパターン画像のみを前記記録部によって記録用紙に記録させることを特徴とする請求項3に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記制御部は、記録ディスクの画像記録面に記録される記録ディスク画像を記録用紙に記録するテストプリントが実行される場合に、前記集約部によって前記記録ディスク画像と前記範囲画像とを集約した前記集約画像を作成させ、前記記録部によって当該集約画像を記録用紙に記録させることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項6】
当該装置が搭載する機構のうち、使用する場合に最も当該装置から突出する機構を選定する選定部と、
前記選定部によって選定された機構に対応する前記第2記憶部に記憶されている範囲画像を選択する選択部と、を備え、
前記制御部は、前記選択部によって選択された当該範囲画像を、前記集約部によって前記テスト画像と集約される範囲画像とすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記機構は、薄板状の被記録媒体が載置された媒体トレイを搬送する搬送機構であり、
前記範囲画像は、前記媒体トレイの装置から搬送方向への突出範囲であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項8】
前記機構は、当該装置に搭載され、当該装置から突出しない第1姿勢と突出する第2姿勢とに姿勢変化可能な可動部であり、
前記範囲画像は、前記可動部が第2姿勢である場合の当該装置からの突出範囲であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項9】
前記可動部は、当該装置に搭載され、且つ、回動可能に支持され、第1姿勢のときに原稿を覆い、当該原稿に記録された画像を読み取る画像読取部である請求項8に記載の画像記録装置。
【請求項10】
前記記録部に記録用紙を搬送する搬送部を、更に具備し、
前記可動部は、当該装置に回動可能に支持され、第2姿勢のときに上記搬送部を露出させるカバー部材である請求項8に記載の画像記録装置。
【請求項11】
前記可動部は、当該装置の筐体に沿って起立する第1姿勢と当該装置から傾倒する第2姿勢とに姿勢変化可能であり、記録用紙を載置可能な用紙トレイである請求項8に記載の画像記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図15】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図15】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−156681(P2011−156681A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18098(P2010−18098)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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