説明

画像通信装置、画像通信システム及び制御プログラム

【課題】受信側装置で印刷された画像データの品質を送信者が確認することはできなかったこと。
【解決手段】送信元端末である他の画像通信装置から画像データを受信する画像受信部601と、受信した画像データを記憶する画像記憶部602と、記憶された画像データを出力するプリント出力部606と、を含む画像通信装置であって、出力された画像データを読み取る画像読取部608と、読み取った画像データと記憶されている画像データの差異を抽出す色差異抽出部607と、抽出された差異が、画像データと共に取得された条件情報に基づく所定条件を満たしているかを判定する色差異判定部609と、色差異判定部609で判定された結果に基づいてメッセージを送信元端末に送信するように制御する制御手段と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像通信装置、画像通信システム及び制御プログラムに関し、特にネットワーク通信により受信した画像データの印刷結果を通知する制御に関する。
【背景技術】
【0002】
送信側装置から受信側装置に画像データを送信したときに、送信した画像データが正常に届いているかを送信者が確認するため、ファクシミリ装置等の画像通信装置には、受信確認通知機能が実装されている。受信確認通知機能によれば、送信側装置から送信した画像データが受信側装置に正常に届いたこと及び受信途中で送信が中断されたことを含む受信確認情報が、受信側装置から送信側装置へ通知される(特許文献1、2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の画像通信装置でも、画像データが正常に受信側装置に届いたかどうかは、送信者が確認することができた。しかしながら、従来の画像通信装置に搭載されている受信確認通知機能は、受信側装置が画像データを正常に受信したか否かを送信側端末に通知しているに過ぎない。このため、画像通信装置において、受信側装置で印刷された画像データの品質を送信者が確認することはできなかった。
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、送信者が受信側端末で印刷された画像データの品質を確認することが可能な、新規かつ改良された画像通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、画像データを受信する画像データ受信手段と、前記画像データ受信手段で受信した画像データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された画像データを出力する出力手段と、を含む画像通信装置であって、前記出力手段で出力された画像データを読み取る読取手段と、前記読取手段で読み取った画像データと前記記憶手段に記憶された画像データの差異を抽出する差異抽出手段と、前記差異抽出手段で抽出された差異が、前記画像データと共に取得された条件情報に基づく所定条件を満たしているかを判定する差異判定手段と、前記差異判定手段で判定された結果に基づいて、メッセージを前記画像データの送信元に送信するように制御する制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像通信装置において、前記制御手段は、前記差異判定手段で所定条件を満たしていないとき、出力された画像データが受信した画像データと異なっている旨のメッセージを前記画像データの送信元に送信することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像通信装置において、前記差異抽出手段は、色の差異を抽出することを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像通信装置において、前記条件情報は、色相の範囲を指定する情報を含み、前記差異抽出手段は、前記記憶手段に記憶された画像データに含まれる画像が前記所定条件において指定されている色相の範囲に属する場合に、前記差異を抽出することを特徴とする。
【0009】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像通信装置において、前記条件情報は、前記色相の範囲を指定する情報として、色相の全範囲を複数の範囲に分割した夫々の範囲のうち少なくとも一つを指定する情報を含むことを特徴とする。
【0010】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像通信装置において、前記条件情報は、前記色相の範囲を指定する情報として、色相の全範囲を赤、青、緑、黄に分割した範囲のうち少なくとも一つを指定する情報を含むことを特徴とする。
【0011】
また、請求項7に記載の発明は、請求項3乃至6いずれか1つに記載の画像通信装置において、前記条件情報は、色の差異の程度を指定する数値を含み、前記差異抽出手段は、前記読み取った画像データと前記記憶手段に記憶された画像データとの色の差異の数値を算出することにより前記色の差異を抽出し、前記差異判定手段は、前記算出された差異の数値と前記所定条件において指定されている色の差異の程度を指定する数値とを比較することにより、前記判定を実行することを特徴とする。
【0012】
また、請求項8に記載の発明は、請求項3乃至6いずれか1つに記載の画像通信装置において、前記条件情報は、前記画像データを送信した装置の機種の情報を含み、前記差異判定手段は、前記機種の情報に応じて設定された前記色の差異の程度を指定する数値の情報を記憶しており、前記読み取った画像データと前記記憶手段に記憶された画像データとの色の差異の数値と前記機種の情報に応じた前記色の差異の程度を指定する数値とを比較することにより、前記判定を実行することを特徴とする。
【0013】
また、請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8いずれか1つに記載の画像通信装置において、前記読取手段で読み取った画像データと前記記憶手段に記憶された画像データとから文字列を抽出する文字列抽出手段と、前記文字列抽出手段により前記読み取った画像データと前記記憶された画像データとから抽出された二つの文字列の差異を判定する文字列判定手段と、をさらに含み、前記条件情報は、前記二つの文字列の差異を判定する情報であることを特徴とする。
【0014】
また、請求項10に記載の発明は、請求項1乃至8いずれか1つに記載の画像通信装置において、前記条件情報は、前記画像データにおける画像範囲を指定する情報を含み、前記読取手段で読み取った画像データと前記記憶手段に記憶された画像データとから前記画像範囲を指定する情報に基づいて文字列を抽出する文字列抽出手段と、前記文字列抽出手段により前記読み取った画像データと前記記憶された画像データとから抽出された二つの文字列の差異を判定する文字列判定手段と、前記判定された差異が所定の範囲内である文字列を含む所定の画像領域を切り出す画像領域切り出し手段と、をさらに含み、前記差異抽出手段は、前記画像領域切り出し手段で切り出された画像領域の差異を抽出することを特徴とする。
【0015】
また、請求項11に記載の発明は、請求項1乃至8いずれか1つに記載の画像通信装置において、前記条件情報は、前記画像データにおける画像範囲を指定する情報及び文字列の情報を含み、前記読取手段で読み取った画像データから前記画像範囲を指定する情報に基づいて文字列を抽出する文字列抽出手段と、前記文字列抽出手段により抽出された文字列と前記所定条件情報に含まれる文字列との二つの文字列の差異を判定する文字列判定手段と、前記判定された差異が所定の範囲内である文字列を含む所定の画像領域を切り出す画像領域切り出し手段と、をさらに含み、前記差異抽出手段は、前記画像領域切り出し手段で切り出された画像領域の差異を抽出することを特徴とする。
【0016】
また、請求項12に記載の発明は、請求項9乃至11いずれか1つに記載の画像通信装置において、前記条件情報は、前記文字列の差異の所定の範囲を示す情報を含むことを特徴とする。
【0017】
また、請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の画像通信装置において、前記条件情報は、前記所定の範囲を示す情報として、前記文字列に含まれる文字において異なる文字数の範囲を指定する許容異字数指定情報を含み、前記文字列判定手段は、前記二つの文字列において異なる文字数を前記二つの文字列の差異として判定することを特徴とする。
【0018】
また、請求項14に記載の発明は、請求項12または13に記載の画像通信装置において、前記条件情報は、前記所定の範囲を示す情報として、前記文字列に含まれる文字において連続して異なる文字数の範囲を指定する許容連続異字数指定情報を含み、前記文字列判定手段は、前記二つの文字列において連続して異なる文字数を前記二つの文字列の差異として判定することを特徴とする。
【0019】
また、請求項15に記載の発明は、請求項12乃至14いずれか1つに記載の画像通信装置において、前記条件情報は、前記所定の範囲を示す情報として、異なる二つの文字であって形態の類似する二つの文字を同一の文字であると判定することを指定する情報を含み、前記文字列判定手段は、前記二つの文字列において異なる文字であっても、前記形態の類似する二つの文字である場合に、同一の文字であると判定することを特徴とする。
【0020】
また、請求項16に記載の発明は、請求項1乃至15いずれか1つに記載の画像通信装置において、前記差異抽出手段は、画像の形状の差異を抽出し、前記差異判定手段は、前記差異抽出手段で抽出された形状の差異が、前記画像データと共に取得された条件情報に基づく所定条件を満たしているかを判定することを特徴とする。
【0021】
また、請求項17に記載の発明は、請求項1乃至16いずれか1つに記載の画像通信装置において、前記差異判定手段で所定条件を満たしていると判定されたとき、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された画像データを削除するように制御することを特徴とする。
【0022】
また、請求項18に記載の発明は、請求項1乃至17いずれか1つに記載の画像通信装置において、前記画像データ受信手段が受信すべき画像データを送信する画像データ送信部を更に含み、前記画像データ送信部は、前記送信すべき画像データを入力する画像データ入力手段と、ユーザの操作に応じて前記条件情報を取得する条件情報取得手段と、前記取得された画像データ及び条件情報を送信する画像データ送信手段と、を含むことを特徴とする。
【0023】
また、請求項19に記載の発明は、ネットワークを介して画像データを送受信する画像通信システムであって、前記送受信すべき画像データを入力する画像データ入力手段と、前記画像データを受信した装置において前記画像データに基づいて出力された画像を読み取った画像データと前記画像データとの差異を判断する差異の条件に関する条件情報をユーザの操作に応じて取得する条件情報取得手段と、前記取得された画像データ及び条件情報を送信する画像データ送信手段と、前記送信された画像データを受信する画像データ受信手段と、前記画像データ受信手段で受信した画像データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された画像データを出力する出力手段と、前記出力手段で出力された画像データを読み取る読取手段と、前記読取手段で読み取った画像データと前記記憶手段に記憶された画像データの差異を抽出する差異抽出手段と、前記差異抽出手段で抽出された差異が、前記画像データと共に取得された前記条件情報に基づく所定条件を満たしているかを判定する差異判定手段と、前記差異判定手段で判定された結果に基づいて、メッセージを前記画像データの送信元に送信するように制御する制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0024】
また、請求項20に記載の発明は、情報処理装置を、ネットワークを介して画像データを受信する画像通信装置として動作させる制御プログラムであって、画像データを受信するステップと、前記受信された画像データを記憶するステップと、前記記憶された画像データを出力するステップと、前記出力された画像データを読み取るステップと、前記読み取られた画像データと前記記憶された画像データの差異を抽出するステップと、前記抽出された差異が、前記画像データと共に取得された条件情報に基づく所定条件を満たしているかを判定するステップと、前記判定された結果に基づいて、メッセージを前記画像データの送信元に送信するステップと、を前記情報処理装置に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、受信側装置で印刷された画像の品質を送信者が確認することができる。これにより、画像通信装置の信頼性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、実施の形態1に係る複合機の運用態様を示す図である。
【図2】図2は、実施の形態1に係る複合機のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、実施の形態1に係る排紙用スキャナの構成図である。
【図4】図4は、実施の形態1に係る排紙用スキャナの取り付け位置を示す図である。
【図5】図5は、実施の形態1に係る複合機が送信機として機能するときの機能構成図である。
【図6】図6は、実施の形態1に係る複合機が受信機として機能するときの機能構成図である。
【図7】図7は、実施の形態1に係るITU-T勧告T.38で規定されたプロトコルで通信する動作の流れを示す図である。
【図8】図8は、実施の形態1に係る送信側の複合機が受信側の複合機にカラー画像データを送信するときの動作を示す図である。
【図9】図9は、実施の形態1に係る送信側の複合機における色指定画面のGUIの例を示す図である。
【図10】図10は、実施の形態1に係る送信側の複合機における色指定画面の一部のGUIの例を示す図である。
【図11】図11は、実施の形態1に係る送信側の複合機が送信するNSSコマンドに含まれる情報の例を示す図である。
【図12】図12は、実施の形態1に係るTCPパケットのデータ構造を示す図である。
【図13】図13は、実施の形態1に係る受信側の複合機が画像データを受信する際の動作を示す図である。
【図14】図14は、実施の形態2に係る2値画像の例を示す図である。
【図15】図15は、実施の形態2に係る送信側の複合機における文字列指定画面のGUIの例を示す図である。
【図16】図16は、実施の形態2に係る送信側の複合機が送信する情報に含まれる情報の例を示す図である。
【図17】図17は、実施の形態2に係る文字列比較の動作を示す図である。
【図18】図18は、実施の形態2に係る受信側の複合機における文字抽出部が記憶している情報の例を示す図である。
【図19】図19は、実施の形態2に係るモノクロ画像を送信する場合に送信側の複合機が送信するNSSコマンドに含まれる情報の例を示す図である。
【図20】図20は、実施の形態2に係るモノクロ画像を送信する場合に送信される画像の例を示す図である。
【図21】図21は、実施の形態2に係るモノクロ画像を送信する場合に出力された画像の読み取り結果を示す図である。
【図22】図22は、実施の形態2に係るモノクロ画像を送信する場合に比較結果の異なる文字を示す図である。
【図23】図23は、実施の形態2に係る2値画像をレイアウト解析によりブロック分割した例(その2)を示す図である。
【図24】図24は、実施の形態2に係る2値画像が出力された際に問題が生じた例(その2)を示す図である。
【図25】図25は、実施の形態2に係る文字列の比較結果において、異なる文字を示す図(その2)である。
【図26】図26は、実施の形態3に係る複合機が送信機として機能するときの機能構成図である。
【図27】図27は、実施の形態3の許容レベル指定画面のGUIの例を示す模式図である。
【図28】図28は、実施の形態3のNSSコマンドの一例を示す説明図である。
【図29】図29は、実施の形態3の複合機103の機能的構成を示すブロック図である。
【図30】図30は、実施の形態3のカラー画像データの受信から不良検出の処理(欠け不良検出)の手順を示すフローチャートである。
【図31】図31は、実施の形態3の汚れ不良検出の処理の手順を示すフローチャートである。
【図32】図32は、実施の形態3のカラー画像データの不良判定までの処理を生成される画像を主体として流れを示した説明図である。
【図33】図33は、画像に欠け不良が生じた場合のプリント例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0028】
なお、本実施形態では画像通信装置の一例としてプリンタ、コピー、ファクシミリ、スキャナ等の各装置の機能を1つの筐体内に収納した複合機を一例として説明していくが、画像通信機能を備えている如何なる画像通信装置であってもよい。また、本実施形態では画像通信装置の画像通信機能として、SIP(Session Initiation Protocol)サーバを使用して相手側装置と接続するIP−FAX機能を用いて説明していくが、画像通信機能はこれに限られるものではない。
【0029】
〔実施の形態1〕
図1は、本実施形態に係る複合機の運用態様を示す図である。図1に示すように、IPネットワーク101は、SIPサーバ102が接続されている。拠点Aに存在する複合機103、PC104及びIP電話105と、拠点Bに存在する複合機106、PC107及びIP電話108と、拠点Cに存在する複合機109、PC110及びIP電話111とは、それぞれIPネットワーク101を介して通信可能となっている。また、複合機103と複合機106とは同じメーカーの同じ機種であり、複合機109は、複合機103及び複合機106とは別のメーカーの別の機種である。
【0030】
次に、図2は、本実施形態に係る複合機103または複合機106若しくは複合機109のハードウェア構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態に係る複合機103または複合機106若しくは複合機109は、CPU(Central Processing Unit)201と、フラッシュROM(Read Only Memory)202と、メインメモリ203と、クロック204と、バスコントローラ205と、PCI(Peripheral Component Interconnect)ブリッジ206と、キャッシュメモリ207とがCPUバス225を介して接続されている。
【0031】
また、複合機103または複合機106若しくは複合機109は、原稿用スキャナ208と、原稿スキャナコントローラ209と、プリントコントローラ210と、プリントエンジン211と、排紙用スキャナ212と、排紙スキャナコントローラ213と、ハードディスク214と、HD(Hard Disk)コントローラ215と、LCD表示コントローラ216と、LCD217と、LANコントローラ218と、LAN I/F219とがPCIバス226を介して接続されている。
【0032】
また、複合機103または複合機106若しくは複合機109は、キー入力コントローラ220とハードキー221と、タッチパネルコントローラ222と、タッチパネル223とがXバス(内部バス)227を介して接続されている。
【0033】
そして、複合機103または複合機106若しくは複合機109は、CPUバス225と、PCIバス226と、Xバス227とが、バスコントローラ205またはPCIブリッジ206を介して接続されている。
【0034】
CPU201は、フラッシュROM202に記憶された制御処理プログラムやOS(Operating System)を実行処理する。メインメモリ203は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)より構成されており、CPU201のワークエリア等で使用される。
【0035】
フラッシュROM202は、電源を切ってもデータが消去されず、電気的に書き換え可能なROMであり、電源オン時のシステムの立ち上げや複合機の機能を実現するための各種プログラムが予め書き込まれている。また、フラッシュROM202には、プログラムの実行時に参照されるスイッチやパラメータ等のデータも記憶される。
【0036】
クロック204は、水晶発振子と分周回路から構成されており、CPU201やバスコントローラ205の動作タイミングを制御するためのクロックを生成している。バスコントローラ205は、CPUバス225とXバス227でのデータ転送を制御する。
【0037】
PCIブリッジ206は、キャッシュメモリ207を使用して、PCIバス226とCPU201との間のデータ転送を行う。キャッシュメモリ207は、DRAMより構成されており、PCIブリッジ206により使用される。
【0038】
原稿用スキャナ208は、1次元配列されたLEDアレイを光源としてカラーCCDラインセンサにより紙面画像を読み取り、カラーCCDラインセンサから出力されるR(Red)、G(Green)、B(Blue)の各アナログ画像信号をそれぞれA(Analog)/D(Digital)変換によりデジタル画像データに変換する。原稿スキャナコントローラ209は、原稿用スキャナ208の原稿読み取り動作を制御するとともに、原稿用スキャナ208から入力されるRGBデジタル画像データについて、色差成分(Cb,Cr)と輝度成分(Y)に変換してJPEG(Joint Photographic Experts Group)に準拠した圧縮(符号化)処理を行う。なお、本実施の形態では、原稿用スキャナ208を用いているが、紙面画像を読み取ることができる装置であれば、これに限定されるものではない。例えば、原稿用スキャナ208に代えて、カメラを用いて紙面画像を読み取る構成としてもよい。
【0039】
プリントコントローラ210はプリントエンジン211の動作を制御する。プリントエンジン211は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのトナーを使用して、紙面にカラー画像またはモノクロ画像をプリントする。
【0040】
排紙用スキャナ212は、原稿用スキャナ208と同様に、紙面画像を読み取り、読み取ったアナログ画像信号をデジタル画像データに変換する。排紙スキャナコントローラ213は排紙用スキャナ212の原稿読み取り動作を制御する。排紙用スキャナの詳細については後述する。
【0041】
ハードディスク214は、原稿用スキャナ208から入力された画像データや通信により受信した画像データ等を記憶する。HDコントローラ215は、ハードディスク214とのインタフェースとして、ハードディスク214と高速データ転送を行う。
【0042】
LCD表示コントローラ216は、文字データやグラフィックデータ等をD/A(Digital/Analog)変換するとともに、これらのデータをLCD217に表示するための制御を行う。
【0043】
LANコントローラ218は、例えばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.3規格に準拠した通信プロトコルを実行して、LAN I/F219を介してイーサネット(登録商標)に接続された他の機器との通信を制御する。
【0044】
キー入力コントローラ220は、ハードキー221から入力されたシリアルデータからパラレルデータへの変換を行う。タッチパネルコントローラ222は、タッチパネル223上で指等の物体が接触した部分を検出し、その位置情報を取り込む。タッチパネル223はLCD217と重ね合わせて密着している。
【0045】
次に、排紙用スキャナ212の構成を図3に示す。排紙用スキャナ212はLEDアレイ301とカラーCCDラインセンサ302から構成される。LEDアレイ301から発光された光は、読み取り対象の紙303で反射され、カラーCCDラインセンサ302に入力される。排紙用スキャナ212は、図4に示すように、排紙口の内側に取り付けられる。
【0046】
次に、複合機103又は複合機106若しくは複合機109が送信機として機能するときの機能構成図を図5に示す。
【0047】
画像読取部501は原稿用スキャナ208を使用して原稿画像を読み取ってRGBデジタル画像データを取得する。さらに、画像読取部501は原稿スキャナコントローラ209によりRGBデジタル画像データを色差成分(Cb,Cr)と輝度成分(Y)のデータに変換してJPEG圧縮(符号化)を行う。
【0048】
画像送信部502は画像読取部501によりJPEG符号化された画像データを、RFC3261で規定されたSIPを使用した呼接続、ITU-T勧告T.38で規定されたIP-FAXプロトコルを実行して他の端末に送信する。例えば、画像送信部502は画像データ送信手段として機能する。
【0049】
表示制御部503はLCD217に対する各種画面等の表示処理を制御する。具体的には、表示制御部503は各種機能を指定するためのメニュー画面の表示、IP-FAXの送信宛先を入力するための画面の表示等を制御する。
【0050】
操作部504はハードキー221から入力されたキーデータやタッチパネル223から入力された座標データに基づいて各種の操作処理を制御する。
【0051】
メッセージ受信部505は他の端末から送信されたSIPのインスタントメッセージを受信する。
【0052】
次に、複合機103又は複合機106若しくは複合機109が受信機として機能するときの機能構成図を図6に示す。
【0053】
画像受信部601はSIPを使用した着呼接続、ITU-T勧告T.38で規定されたIP-FAXプロトコルを実行して他のIP-FAXからJPEG画像データを受信する。例えば、画像受信部601は画像データ受信手段として機能する。
【0054】
画像記憶部602は画像受信部601で受信したJPEG画像データをハードディスク214に記憶する。例えば、画像記憶部602は記憶手段として機能する。
【0055】
文字抽出部603は後述するアルゴリズムに従って、画像データから文字を抽出する。例えば、文字抽出部603は文字抽出手段として機能する。
【0056】
プリント色変換部604はハードディスク214に記憶されたJPEG画像データをJPEGに準拠した伸長(復号化)処理を行い、色差成分(Cb,Cr)と輝度成分(Y)に分離された画像データをRGB画像データに変換し、RGB画像データからY(Yellow)、M(Magenta)、C(Cyan)、K(blacK)のプリント用画像データに変換する。また、プリント色変換部604は、JPEG画像データから変換したRGB画像データを、文字抽出部603とL*a*b*色変換部605が利用できるようにメインメモリ203に記憶しておく。
【0057】
L*a*b*色変換部605はRGB画像データについて、まず、式(1)によりRGBからCIEXYZへ変換する。なお、式(1)はCCIR709で定義された式である。
X = (0.4124 * R + 0.3576 * G + 0.1805 * B) × 100
Y = (0.2126 * R + 0.7152 * G + 0.0722 * B) × 100 …(1)
Z = (0.0193 * R + 0.1192 * G + 0.9505 * B) × 100
【0058】
続いて、L*a*b*色変換部605はこのCIEXYZから式(2)〜式(7)によりL*a*b*に変換する。なお、式(2)〜式(5)にあるXn、Yn、ZnはD65光源下での値であり、それぞれXn=95.045、Yn=100.000、Zn=108.892の値を持つ。
X/Xn > 0.008856 の場合 Xr = (X/Xn)1/3 …(2)
X/Xn ≦ 0.008856 の場合 Xr = 7.787×(X/Xn) + 16/116

Y/Yn > 0.008856 の場合 Yr = (Y/Yn)1/3 …(3)
Y/Yn ≦ 0.008856 の場合 Yr = 7.787×(Y/Yn) + 16/116

Z/Zn > 0.008856 の場合 Zr = (Z/Zn)1/3 …(4)
Z/Zn ≦ 0.008856 の場合 Zr = 7.787×(Z/Zn) + 16/116

Y/Yn > 0.008856 の場合 L* = 116×(Y/Yn)1/3 − 16 …(5)
Y/Yn ≦ 0.008856 の場合 L* = 903.29×(Y/Yn)

a* = 500×(Xr−Yr) …(6)
b* = 200×(Yr−Zr) …(7)
【0059】
プリント出力部606はYMCKの画像データをプリントエンジン211を使用して紙303にプリントする。例えば、プリント出力部606は出力手段として機能する。
【0060】
色差異抽出部607は後述するアルゴリズムに従って、2つの色の差(色差)を求める。例えば、色差異抽出部607は差異抽出手段として機能する。
【0061】
色差異判定部609は、色差異抽出部607で求めた色差と所定条件とを比較判定する。ここで、所定条件とは、差異条件として許容できる色差ΔE94(CIE1994)の値を示す。本実施形態において、この所定条件となるΔE94の値は、IP-FAXにより画像データとともに送信される。例えば、色差異判定部609は差異判定手段として機能する。
【0062】
画像読取部608は排紙用スキャナ212を使用して紙303にプリントされた画像を読み取り、RGBデジタル画像データを取得し、このRGBデジタル画像データをL*a*b*色変換部605が利用できるようにメインメモリ203に記憶しておく。また、画像読取部608は、このRGBデジタル画像データを色差成分(Cb,Cr)と輝度成分(Y)のデータに変換して、この輝度成分(Y)の画像データのみを文字抽出部603が利用できるようにメインメモリ203に記憶しておく。例えば、画像読取部608は読取手段として機能する。
【0063】
メッセージ送信部610はSIPのインスタントメッセージを使用して、他の端末へメッセージを送信する。
【0064】
設定情報記憶部611は受信したカラー画像データをプリントした色が原稿の色と異なるか否かを判断するための色の差異条件となる情報等をフラッシュROM202に記憶する。上記差異条件となる情報は、IP-FAXにより画像データとともに送信され、画像受信部601によって画像データと共に取得される。差異条件の取得について、詳細は後述する。
【0065】
次に、図1に示した拠点Bに存在する複合機106が拠点Aに存在する複合機103に、ITU-T勧告T.38で規定されたプロトコルで通信する動作の流れを図7に示すシーケンス図と併せて説明する。
【0066】
まず、複合機106は、SIPサーバ102に複合機103のFAX番号を含めたINVITEメッセージを送信する(ステップS701)。
【0067】
すると、SIPサーバ102は既に登録されているFAX番号とIPアドレスとの対応テーブルを参照して(ステップS702)、複合機103にINVITEメッセージを送信する(ステップS703)。
【0068】
INVITEメッセージを受け取った複合機103は、SIPサーバ102に成功である旨の200OKレスポンスを送信する(ステップS704)。200OKレスポンスを受け取ったSIPサーバ102は、複合機106に200OKレスポンスを送信する(ステップS705)。
【0069】
200OKレスポンスを受け取った複合機106は、ACKメッセージを複合機103へ送信し、セッションを確立させる(ステップS706)。
【0070】
そして、複合機106は画像データをITU-T勧告T.38で規定されたプロトコルを実行して複合機103に送信する(ステップS707)。画像データの送信が完了すると、複合機106からBYEメッセージを複合機103に送信する(ステップS708)。すると、複合機103から複合機106に200OKレスポンスが送信され、セッションが終了する(ステップS709)。
【0071】
次に、図1に示した複合機106が複合機103にカラー画像データを送信するときの動作について図8に示すフローチャートと併せて説明する。
【0072】
送信者がカラー原稿を原稿用スキャナ208にセットして、色の差異判断を行うべき文字列を入力すると、操作部504が入力された指定文字列を取得する(ステップS801)。そして、送信者が複合機103のFAX番号を入力してスタートキーを押す。すると画像読取部501は原稿スキャナコントローラ209を制御して、原稿用スキャナ208から原稿画像を読み取ってRGBデジタル画像データを取得する(ステップS802)。
【0073】
次に、画像読取部501が、読み取ったRGBデジタル画像データを色差成分(Cb,Cr)と輝度成分(Y)のデータに変換してJPEG符号化を行う(ステップS803)。そして、画像読取部501は、上記生成した輝度成分(Y)のデータを2値データに変換して2値データを生成する。表示制御部503は、生成された2値データの画像を縮小し、LCD217に表示する(ステップS804)。
【0074】
送信者は、LCD217に表示された2値データを確認すると、S801において入力した文字列が表示されている位置を指示する。これにより、操作部504が、指定文字列が表示されている位置の座標情報(以降、指定文字列座標情報とする)を取得する(ステップS805)。尚、送信者は、操作部504であるタッチパネル223をタッチすること等により、上記文字列が表示されている位置の指示を行う。また、LCD217に表示される2値画像データは、スクロールにより表示する領域が移動できるようになっている。
【0075】
操作部504が指定文字列座標情報を取得すると、表示制御部503が、色指定画面を表示する(ステップS806)。図9に、S806において表示される色指定画面のGUIの例を示す。図9に示すように、本実施形態に係る色指定画面のGUIは、色選択部91及び許容値指定部92を含む。
【0076】
色選択部91は、送信者が、IP-FAXの受信側において出力された原稿の色と送信元の色との違いを判断すべき色のグループを指定する部分である。図9に示すように、本実施形態においては、すべての色相を赤、青、緑、黄を代表色とする色相範囲、即ち4つのグループに分割する。ユーザは、色選択部91に表示された各色をタッチすることにより、受信側において違いを判断すべき色(以降、指定色とする)を指定する。尚、図9に示す各色のいずれか1つに限らず、複数の色を選択しても良い。
【0077】
許容値指定部92は、送信者が、IP-FAXの受信側において色の違いを判断する際に許容される範囲、即ち元の原稿の色が再現されていると判断される範囲を示すΔE94の値を指定する部分である。即ち、許容値指定部92において指定された値が、上述した色差異判定部609が参照する所定条件として用いられる。
【0078】
ここで、送信者は、許容値指定部92において、任意の数値を直接入力する他、予め定められた数値を選択することによっても数値を指定することが可能である。そのような態様の例を図10に示す。図10に示すように、本実施形態に係る許容値指定部92には、予め“1.2”、“6.5”及び“10”という数値が設定されている。送信者は、上記予め設定されている数値を選択することによって簡易に許容値を指定することが出来る。尚、ΔE94の値は、値が大きいほど色の違いが大きいことを示す。
【0079】
ここで、上記予め設定されている“1.2”、“6.5”及び“10”という値は、塗料の業界において色を比較する際に用いられる基準値である。例えば、“1.2”という値は、異なる色を並べて比較した場合に、肉眼で殆どの人が差異を認識することが可能な程度の差異を示す値である。
【0080】
また、“6.5”という値は、異なる色を別々の場所で見た場合に、感覚的に同一色として認識され得る程度の差異を示す値である。また、“10”は、同一色として判断する許容範囲を更に広げた値である。
【0081】
送信者が図9に示す画面において指定色及び許容値を入力すると、操作部504が指定色及び許容値の情報を取得する(ステップS807)。操作部504が指定色及び許容値の情報を取得すると、画像送信部502は、JPEG符号化された画像データを、色相グループの番号、色差ΔE94の許容値、指定文字列及び座標情報とともに図7に示した通信手順により複合機103に送信し(ステップS808)、処理を終了する。
【0082】
ここで、S808において画像送信部502は、色相グループの番号、色差ΔE94の許容値、指定文字列及び座標情報をITU-T勧告T.38で規定されたプロトコルのNSS (Non-Standard Facilities Set-up)コマンドに含めて送信する。このNSSコマンドの例を図11に示す。図11に示すように、NSSコマンドにはITU-Tメンバーコード、メーカーコード、色相グループの番号、色差ΔE94の許容値、指定文字列及び座標情報が含まれる。
【0083】
ここで、NSSコマンドはITU-T勧告T.30で定義されたコマンドであるが、ITU-T勧告T.38はITU-T勧告T.30を参照するようになっており、ITU-T勧告T.38はまた ITU-T勧告T.30で規定されたNSS等のHDLC(High-level Data Link Control procedure)フレームをIFP(Internet Facsimile Protocol)パケットに入れ、このIFPパケットをさらにUDPパケットまたはTCPパケットに入れて送信する仕様となっている。TCPパケットの場合のデータ構造を図12に示す。
【0084】
色相グループの番号とは、S807において取得された指定色を示すIDの情報である。即ち、色相グループの番号は、色相の範囲を指定する情報として用いられる。色差ΔE94の許容値は、S807において取得された許容値情報の値である。指定文字列は、S801において取得された文字列の情報である。座標情報は、S805において取得された情報である。
【0085】
図11に示すように、画像送信部502が送信する情報に色相グループの番号、色差ΔE94の許容値、指定文字列及び座標情報を含めることにより、画像データの受信側において出力された原稿の色の判断が可能となる。即ち、色相グループの番号、色差ΔE94の許容値、指定文字列及び座標情報が、画像の受信側の複合機において画像の差異を判断するための所定条件を示す条件情報として用いられる。
【0086】
次に、複合機106から送信されたカラー画像データを受信するときの複合機103の動作について、図13に示すフローチャートと併せて説明する。
【0087】
複合機103は、画像受信部601が複合機106から送信されたJPEG画像データを受信すると、画像記憶部602が受信したJPEG画像データをハードディスク214に記憶する(ステップS1301)。尚、複合機103は、S1301において、図11に示したNSSコマンドも受信する。
【0088】
続いて、プリント色変換部604がハードディスク214に記憶されたJPEG画像データを、JPEGに準拠した伸長(復号化)処理を行い、色差成分(Cb,Cr)と輝度成分(Y)に分離された画像データをRGB画像データに変換し、さらに、RGBからYMCKのプリント用画像データに変換する。この時、プリント色変換部604は、JPEG伸長で得られた輝度成分(Y)の画像データを文字抽出部603が利用できるように、色差成分(Cb,Cr)と輝度成分(Y)から変換されたRGB画像データをL*a*b*色変換部605がそれぞれ利用できるようにメインメモリ203に記憶する(ステップS1302)。
【0089】
続いて、プリント出力部606がYMCKに変換された画像データをプリントエンジン211を使用して紙303にプリントする(ステップS1303)。
【0090】
次に、プリントされた紙が排紙口を通過するときに、画像読取部608は排紙用スキャナ212を使用して紙303にプリントされた画像を読み取り、RGBデジタル画像データを取得し、当該RGBデジタル画像データをL*a*b*色変換部605が利用できるようにメインメモリ203に記憶する(ステップS1304)。
【0091】
また、画像読取部608は、このRGB画像データを色差成分(Cb,Cr)と輝度成分(Y)のデータに変換して、この輝度成分(Y)の画像データのみを文字抽出部603が利用できるようにメインメモリ203に記憶する(ステップS1305)。
【0092】
次に、文字抽出部603は上記記憶された輝度成分(Y)、即ち、画像読取部608が排紙用スキャナ212を使用して紙303にプリントされた画像を読み取って生成した輝度成分(Y)の画像データを、スレッシュレベルとしてフラッシュROM202に予め記憶された所定の輝度値と比較することにより、スレッシュレベル以上であれば白画素(ビットの値が0)、そうでなければ黒画素(ビットの値が1)として2値画像に変換する。そして、この2値画像の中から文字画像を抽出し、この文字画像に対して文字認識を行う(ステップS1306)。ここで、S1306において、文字抽出部603は、図11に示す座標情報を参照し、座標情報が示す位置から文字画像を抽出して文字認識を実行する。この文字画像の抽出と文字認識は、例えば東芝レビュー 1997 VOL.52 NO.2に記載された方法を用いる。
【0093】
ここで、この2値画像の例を図14に示す。図14では、「NEWS」以外の文字は「……」で表現している。本実施形態においては、図14に示す「NEWS」の部分が座標情報により指定されている場合を例とする。図14に示す2値画像では、文字認識により、まず、「N」「E」「W」「S」の各文字が認識される。
【0094】
続いて、文字抽出部603は図11に示す指定文字列の文字列と、画像読取部608が記憶した輝度成分(Y)の画像データから認識した文字列とを比較する(ステップS1307)。
【0095】
そして、両文字列が一致しない場合は(ステップS1307でNO)、プリント画像の色を原稿の色と比較できない旨のメッセージをメッセージ送信部610が送信元端末である複合機106に送信し(ステップS1313)、処理を終了する。このとき、メッセージ送信部610はSIPのインスタントメッセージを使用してメッセージを複合機106に送信する。
【0096】
両文字列が一致した場合には(ステップS1307でYES)、文字認識した2値の文字画像に対応したRGB画像データをL*a*b*に色変換する処理に移行する。ここで、後述する条件判定を容易にするために、本実施形態ではRGB画像データをL*a*b*に色変換する手法を採用している。
【0097】
文字抽出部603はまず、プリント色変換部604が記憶した輝度成分(Y)の画像データから2値化された「N」の文字画像領域(矩形)の画像データと、プリント色変換部604が記憶したRGB画像データの中からこの矩形領域に該当する画像データをL*a*b*色変換部605へ渡す。L*a*b*色変換部605はこの領域の2値画素の中で黒画素(ビットの値が1)に該当する各画素のRGBデータについて、上述した式(1)〜式(7)によりL*a*b*に変換する。ここで、「N」の文字を構成する画素の色が赤の場合、この画素のa*は+の大きな値、b*は+または−の小さな値、L*は40〜60近辺の値を持つ。そして、L*a*b*に変換した画素について、それぞれL*、a*、b*の平均を求める(ステップS1308)。このとき、平均値から大きく外れる値を持った画素は省くようにしてもよい。
【0098】
そして、このL*、a*、b*の各平均値の組み合わせが、図11に示す色相グループの番号によって指定される色相グループに含まれているか否か判断する(ステップS1309)。このため、文字抽出部603は、色相グループの番号とその色相グループに該当する色相範囲(L*、a*、b*の各値の範囲)との対応関係を示すテーブル情報を有している。
【0099】
対象文字を構成する画素の色が、指定された色相グループに含まれていない場合(ステップS1309でNO)、即ち、上記画素の色が指定された色相の範囲外である場合、文字抽出部603は、色の差異の判断不要と認識し、処理を終了する。
【0100】
同様に、文字抽出部603は、画像読取部608が記憶した輝度成分(Y)の画像データから2値化された「N」の文字画像領域(矩形)の画像データと、画像読取部608が記憶したRGB画像データの中からこの矩形領域に該当する画像データをL*a*b*色変換部605へ渡す。L*a*b*色変換部605は同様にして、2値画素の中で黒画素(ビットの値が1)に該当する各画素のRGBデータについてL*a*b*に変換し、これらの画素について、それぞれL*、a*、b*の平均を求める(ステップS1308)。
【0101】
次に、これら2つのL*a*b*の値から色の差異を表す情報である色差を求める処理に移行する。本実施例では、この色差として、ΔE94(CIE1994)を使用する。この色差ΔE94を求める計算は色差異抽出部607が実行し、2つのL*a*b*の値を(L1,a1,b1)、(L2,a2,b2)として、ΔE94を式(8)、式(9)で求める(ステップS1310)。
ΔE = √(L1 - L2)2 + (a1 - a2)2 + (b1 - b2)2 … (8)
ΔE94 = √(L1 - L2)2 + ΔC2 + ΔH2 …(9)
※ΔC = (√(a12 + b12) - √(a22 + b22) )/(1 + 0.045・C*)
※ΔH = √ΔE2 - ΔC2 - (L1 - L2)2 /(1 + 0.015・C*)
※C* = √(a12 + b12)
【0102】
続いて、色差異判定部609は求まった色差ΔE94の値を、図11に示す色差ΔE94の許容値、即ち、S1301において受信したNSSコマンドに含まれる許容値(以降、差異条件とする)と比較する(ステップS1311)。
【0103】
そして、求まった色差ΔE94が差異条件の値よりも大きい場合は(ステップS1311でNO)、紙303に印刷されたプリント画像の色が原稿の色と異なる旨のメッセージをメッセージ送信部610が送信元端末である複合機106に送信する(ステップS1314)。このとき、メッセージ送信部610はSIPのインスタントメッセージを使用してメッセージを複合機106に送信する。
【0104】
求まった色差ΔE94が差異条件の値よりも小さい場合には(ステップS1311でYES)、受信してハードディスク214に記憶したJPEG画像データを削除する(ステップS1312)。求まった色差ΔE94が差異条件の値よりも小さい場合に記憶したJPEG画像データを削除し、色差ΔE94が差異条件の値よりも大きい場合は記憶したJPEG画像データを削除しないことで、印刷した画像が送信者の意図するものでなかったときに、そのJPEG画像データを残しておくことが可能となる。このJPEG画像データを残しておくことにより、カラートナーが不足していた場合にはカラートナーを補充した後に、保存されたJPEG画像データを再度プリントして、上述したプリント画像の色を原稿の色と比較する処理を繰り返すことが可能となる。
【0105】
以上説明したように、本実施形態に係る複合機により、受信した画像データと該画像データを印刷したものにある一定以上の差異が生じるときは、送信元端末にその旨を送信することにより、画像データの送信者が印刷品質の確認をすることができる。
【0106】
なお、上記の説明においては、紙303にプリントされた画像を排紙用スキャナ212で読み取る例を説明したが、排紙された紙303を原稿用スキャナ208で読み取っても良い。これにより、排紙口に排紙用スキャナを設けなくても本発明を実施することができる。
【0107】
なお、上記の説明においては、文字を構成する画素の色を比較して色差ΔE94を求めたが、文字の周辺が白画素である場合に、その白画素も含めた領域に含まれる画素の色の平均を求め、この領域全体の色について比較して色差を求めることもできる。この場合の処理の流れを以下に説明する。
【0108】
L*a*b*色変換部605がL*、a*、b*の平均値を求めるとき、L*a*b*色変換部605が文字画像領域(矩形)の2値画素の中で白画素(ビットの値が0)に該当する各画素のRGBデータについてもL*a*b*に変換する。ここで、「N」の文字を構成する画素の色が赤の場合、この画素のa*は+の大きな値、b*は+または−の小さな値、L*は40〜60近辺の値を持つ。また、矩形領域内のその他の画素の色が白の場合、この画素のa*とb*は+または−の小さな値、L*は100に近い値を持つ(L*の範囲は0(黒)〜100(白))。そこで、L*a*b*色変換部605は矩形領域内の文字以外の画素が、a*とb*が+または−の小さな値、L*が100に近い値を持つ場合には、この画素の色を白とみなす。そして、矩形領域内の文字以外の画素が全て白であると判断した場合には、L*a*b*色変換部605は矩形領域内の全ての画素について、a*、b*の平均を求める。L*については、白とみなした100に近い値は省いて平均を求める。そして、色差異抽出部507はこれらのL*、a*、b*の平均値を用いて色差ΔE94を求める。
【0109】
また、上記の説明においては、図13に示すS1313若しくはS1314において、メッセージ送信部610はSIPのインスタントメッセージを使用してメッセージを複合機106に送信する場合を例とした。この他、同様のメッセージを送信者のメールアドレスに通知することも可能である。このような態様は、画像送信部502が図8のS808において送信するNSSコマンドに、送信者のメールアドレスを含めることにより可能となる。
【0110】
また、上記の説明においては、図9及び図10に示すように、送信者がΔE94の値を直接指定する場合を例として説明した。この他、画像とともに送信した情報に基づいて、受信側の複合機がΔE94の値を決定することも可能である。
【0111】
例えば、同一メーカーで且つ同一機種の複合機間で画像の送受信を行う場合、画像の読み取り及び画像のプリントにおける色についての設計の差が小さいと考えられる。従って、画像を受信した複合機は、図11に示すメーカーコードの情報を参照し、自身と同一のメーカーを示すメーカーコードである場合は、ΔE94の値として許容範囲の狭い値、例えば上述した“1.2”の値を用いる。これは、例えば、上述した構成において複合機103から複合機106に画像を送信する場合に該当する。
【0112】
他方、異なるメーカーの複合機間で画像の送受信を行う場合、画像の読み取り及び画像のプリントにおける色についての設計の差が大きいと考えられる。従って、画像を受信した複合機は、図11に示すメーカーコードの情報を参照し、自身と異なるメーカーを示すメーカーコードである場合は、ΔE94の値として許容範囲の広い値、例えば上述した“6.5”や“10”の値を用いる。これは、例えば、上述した構成において複合機103から複合機109に画像を送信する場合に該当する。
【0113】
このような例により、例えばΔE94のような専門的な知識に不慣れな送信者であっても、受信側において好適に色の判断を実行させることが可能となる。
【0114】
また、上記の説明においては、図8のS801において操作部504が指定文字列の情報を取得し、S808において画像送信部502が送信する情報に図11に示すように指定文字列の情報を含める場合を例とした。これにより、受信側の複合機において、文字抽出部603は、受信した指定文字列と、画像読取部608が記憶した輝度成分(Y)の画像データから認識した文字列とを比較する。
【0115】
この他、S801の処理を省略して図11の情報から指定文字列の情報を省略しても良い。この場合、文字抽出部603は、プリント色変換部604が記憶した輝度成分(Y)の画像データを2値化し、図11に示す座標情報に従ってS1306と同様に文字列認識を行う。そして、文字抽出部603は、S1307において、プリント色変換部604が記憶した輝度成分(Y)の画像データから認識した文字列と、画像読取部608が記憶した輝度成分(Y)の画像データから認識した文字列とを比較する。これによっても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0116】
〔実施の形態2〕
本実施の形態においては、図13のS1307における文字列の比較において、文字列が不一致である場合であってもそれを許容し、色の差異を判断する場合について説明する。なお、実施の形態1と同様の符号を付す構成要素については実施の形態1と同一又は相当部を示し、説明を省略する。
【0117】
本実施形態に係る複合機の運用形態及び構成は、実施の形態1において説明した態様と概ね同様である。本実施形態においては、画像を送信する複合機における処理及び画像を受信する複合機における処理が実施の形態1と異なる。
【0118】
まず、本実施形態において画像を送信する複合機の処理について説明する。本実施形態に係る複合機が画像を送信する場合の処理は、図8において説明した処理と概ね同様であるが、S801において取得する情報が異なる。本実施形態に係るS801において、操作部504は、上述した指定文字列に加えて、図13のS1307において色の差異の判断、即ちS1308に進む条件の情報を取得する。複合機がS801において取得する情報を送信者が入力する際の画面の例を図15に示す。
【0119】
図15は、S801において表示制御部503が、LCD217に表示する文字列指定画面のGUIの例を示す図である。図15に示すように、本実施形態に係る文字列指定画面のGUIは、指定文字列入力部141、許容異字数入力部142、許容連続異字数入力部143及び類似文字許容度指定部144を含む。
【0120】
指定文字列入力部141は、実施の形態1と同様に、送信者が指定文字列を入力する部分である。実施の形態1の例の場合、指定文字列入力部141に“NEWS”という文字列が入力される。
【0121】
許容異字数入力部142は、送信者が、図13のS1307の判断において許容される異字数の数若しくはパーセンテージを指定する部分である。ここで、異字数とは、S1307の文字比較の結果異なる文字であると判断された文字の数である。許容異字数入力部142に入力される情報の用いられ方については、後に詳述する。
【0122】
許容連続異字数入力部143は、図13のS1307の判断において許容される異字数であって、異字が連続する場合の許容数を指定する部分である。許容連続異字数入力部143に入力される情報の用いられ方については、後に詳述する。
【0123】
類似文字許容度指定部144は、異なる文字であっても、形態の類似する文字は異字としてカウントしないこと、即ち類似文字の許容を定める部分であり、“0”、“1”、“2”、“3”の4段階で示される。“0”とは、類似文字を許容しないことを示す。“1”は、形態が極めて類似する文字の場合、異字としてカウントしないことを示す。
【0124】
“2”は、“1”の程度よりは劣るものの、形態の類似する文字を、異字としてカウントしないことを示す。“3”は、形態が少しでも類似する文字を、異字としてカウントしないことを示す。類似文字許容度指定部144に入力される情報の用いられ方については、後に詳述する。
【0125】
図15に示すような画面において情報が入力された結果、操作部504は、図8のS801において、許容異字数情報、許容連続異字数情報及び類似文字の許容度の情報を取得する。これらの情報が取得されることにより、本実施形態に係る画像送信部502が図8のS808において送信されるNSSコマンドは、図11に示す情報に加えて、図16に示すような情報を含む。
【0126】
次に、画像を受信する複合機の処理について説明する。本実施形態に係る複合機が画像を受信する場合の処理は、図13において説明した処理と概ね同様であるが、S1307の処理が異なる。本実施形態に係るS1307の処理について図17を参照して説明する。図17は、本実施形態において実施の形態1のS1307に相当する処理を示すフローチャートである。 図17に示すように、まず、文字抽出部603は、実施の形態1のS1307と同様に、図11に示す指定文字列の文字列と、画像読取部608が記憶した輝度成分(Y)の画像データから認識した文字列とを比較する(ステップS1701)。ここで、本実施形態に係る文字抽出部603は、図18に示すようなテーブルの情報を記憶している。
【0127】
図18に示すテーブルは、夫々の文字についての類似文字を、類似度毎に第1群、第2群、第3群に分けて記憶している。例えば、“日”という漢字の場合、類似度“1”に対応する文字は、“E”というアルファベット及び“曰”という漢字等であり、類似度“2”に対応する文字は、“B”、“F”というアルファベット及び“田”という漢字等であり、類似度“3”に対応する文字は、“A”というアルファベット、“8”という数字及び“旦”という漢字等である。
【0128】
S1701において文字抽出部603は、図16に示す類似文字許容度に応じて図18に示すテーブルを参照し、許容される類似文字は同一の文字であるものとして文字列を比較する。
【0129】
異字がない場合(ステップS1702でNO)、文字抽出部603は、文字が一致したと判断して(ステップS1706)S1307の処理を終了する。異字がある場合(S1702でYES)、文字抽出部603は、その異字の数が、図16に示す許容連続異字数よりも多いか否か判断する(ステップS1703)。
【0130】
異字の数が許容連続異字数よりも多い場合(ステップS1703でYES)、文字抽出部603は、文字列が不一致であると判断して(ステップS1704)、S1307の処理を終了する。異字の数が許容連続異字数以下である場合(ステップS1703でNO)、文字抽出部603は、その異字の数が、図16に示す許容異字数よりも多いか否か判断する(ステップS1705)。
【0131】
S1705において、許容異字数が文字数で指定されている場合、文字抽出部603は、指定された文字数と抽出した異字の数とを比較する。他方、許容異字数がパーセンテージで指定されている場合、文字抽出部603は、S1306において認識された文字の全文字数に対して指定されたパーセンテージを適用し、許容文字数を算出する。
【0132】
異字の数が許容異字数よりも多い場合(ステップS1705でYES)、文字抽出部603は、文字列が不一致であると判断して(ステップS1704)、S1307の処理を終了する。異字の数が許容異字数以下である場合(ステップS1705でNO)、文字抽出部603は、文字が一致したと判断して(ステップS1706)S1307の処理を終了する。
【0133】
以上説明したように、本実施形態に係る複合機は、画像を受信した際、色の差異を判断するか否か決定するための処理として実行する文字比較の処理において、文字の完全一致を条件とするのではなく、許容範囲内であれば完全一致の場合と同様に色の差異の判断を実行する。これにより、文字認識において文字の誤認識があった場合に、色の差異判断がキャンセルされるような弊害を防ぐことができる。
【0134】
また、本実施形態においては、図14において説明したように、画像の送信側の複合機において送信者が、許容異字数、許容連続異字数及び類似文字許容度等を指定する。これにより、画像の受信側の複合機に予め情報を登録することなく、上記の態様を実現することが可能となる。
【0135】
また、本実施形態においても、実施の形態1と同様に、S801の処理を省略して図11の情報から指定文字列の情報を省略しても良い。この場合、文字抽出部603は、プリント色変換部604が記憶した輝度成分(Y)の画像データを2値化し、図11に示す座標情報に従ってS1306と同様に文字列認識を行う。そして、文字抽出部603は、S1307において、プリント色変換部604が記憶した輝度成分(Y)の画像データから認識した文字列と、画像読取部608が記憶した輝度成分(Y)の画像データから認識した文字列とを比較する。これによっても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0136】
また、本実施形態においては、S1301においてカラー画像を受信する場合を例として説明したが、2値画像、即ちモノクロ画像を受信する場合であっても適用可能である。この場合、図13のS1302〜S1307の処理は、2値画像に対応した処理となる。また、S1308を実行することなく、S1307までの処理で、画像が正確にプリントアウトされたか否かを判断することができる。
【0137】
ステップS1301においてモノクロ画像を受信する場合について、図を参照して説明する。この場合、画像比較のための条件情報は許容異字数のみである。この場合のNSSコマンドに含まれる情報の例を図19に示す。図20は、S1301において受信されるモノクロ画像の例を示す図である。複合機103は、図20に示すような画像を受信すると、まず、受信した画像の傾き補正やレイアウト解析を行い、図20に破線で示すように、各ブロックに分割する。
【0138】
図20に示すように、ここでは、活字文字から成るブロックA、手書き文字から成るブロックB、その他(図等)のブロックCに分割する場合を例としている。尚、ブロックA中の○は文字を抽象化して表したものである。このような傾き補正及びブロック分割に際しては、公知の様々な方法を用いることが可能であり、詳細な説明を省略する。
【0139】
続いて、プリント出力部606が、プリントエンジン211を使用してモノクロ画像を紙303にプリントし(ステップS1303に相当)、画像読取部608が排紙用スキャナ212を使用して紙303にプリントされた画像を読み取る(ステップS1304に相当)。ここでは、プリントエンジン211によるプリントに際して、図21に示すように画像に縦線が付加されてプリントされた場合を例とする。
【0140】
この場合、文字抽出部1703はブロックAの1行目を「この資料は親製品の機能に関するものである。」のように文字認識する(ステップS1306に相当)。次に、文字差異判定部1705はブロックAとブロックBのそれぞれについて、受信した2値画像データから抽出した文字列と、画像読取部1706が紙303から読み取った2値画像データから抽出した文字列とを比較する(ステップS1307に相当)。
【0141】
ブロックAについて、比較結果の異なる文字を図22に枠で囲って示す。この場合、5個の文字が異なっている。ブロックBについては異なる文字は無い。次に、文字差異判定部1705は、この異なった文字の数を図19に示す許容異字数以下か否かを判断する(ステップS1705に相当)。許容異字数が3の場合、異なった文字数が許容できる文字数よりも大きいため、紙303に印刷されたプリント画像の品質に問題がある旨のメッセージをメッセージ送信部610が送信元端末である複合機106に送信する(ステップS1314に相当)。
【0142】
図23から図25は、英文を含む画像の例を示す図である。図23は、文字抽出部603が、画像をレイアウト解析によりブロック分割した例である。図23中、ブロックA2は活字文字を含むブロック、ブロックB2は手書き文字を含むブロック、ブロックC2はその他のブロックである。なお、ブロックA2中の○は文字を抽象化して表したものである。
【0143】
図24は、図21と同様に、画像に縦線が付加されてプリントされた例を示す図である。この場合、文字抽出部603は、ブロックA2の1行目を「The Ouality of Products:」と文字認識する。
【0144】
図25は、図22と同様に、ブロックA2において、比較結果の異なる文字を枠で囲って示す図である。図25でも、5個の文字が異なっている。ブロックB2については異なる文字は無い。そこで、文字抽出部603により、ステップS1703、S1705の処理が実行される。
【0145】
〔実施の形態3〕
本実施の形態においては、紙303にプリントされた画像に欠けや汚れがある場合に、受信した画像とプリントされた画像との差異を判断するものである。
【0146】
まず、本実施形態においてカラー画像を送信する複合機106の処理について説明する。図26は、実施の形態3に係る複合機が送信機として機能するときの機能構成図である。本実施の形態の複合機106は、図26に示すように、画像読取部501と、画像送信部2702と、表示制御部2703と、操作部504と、メッセージ受信部505とを主に備えている。ここで、画像読取部501、操作部504、メッセージ受信部505の機能および構成は実施の形態1の複合機106と同様である。
【0147】
送信者が原稿を原稿用スキャナ208にセットして、LCD217に表示された画像の形状の差異の許容レベルを指定するためのボタンを選択すると、本実施の形態の表示制御部2703は、画像の形状の差異の許容レベルの指定画面を表示する。
【0148】
図27は、実施の形態3の許容レベル指定画面のGUIの例を示す模式図である。図27に示すように、本実施の形態に係る許容レベル指定画面のGUIは、許容レベル指定部2701を含んでいる。この許容レベル指定部2701には、パーセント(%)として予め“1”、“5”及び“10”という数値が設定されている。
【0149】
送信者は、上記予め設定されている数値を選択することによって許容レベルを指定することが出来る。送信者がこの許容レベルを選択すると、操作部504がこの許容レベルの情報を取得する。そして、送信者が送信宛先を指定してスタートボタンを押下すると、画像送信部2702は、JPEG符号化された画像データを画像の形状の差異の許容レベルとともに図7に示した通信手順により複合機103に送信し、処理を終了する。ここで、画像送信部2702は、画像の形状の差異の許容レベルをNSSコマンドに含めて送信する。図28は、実施の形態3のNSSコマンドの一例を示す説明図である。図28に示すように、NSSコマンドの最終の1バイトのフィールドに、指定された、画像の形状の差異の許容レベルが設定される。
【0150】
次に、本実施形態に係る複合機103が受信機として機能する場合について説明する。図29は、実施の形態3の複合機103の機能的構成を示すブロック図である。本実施の形態の複合機103は、図29に示すように、画像受信部601と、画像記憶部602と、ROI画像作成部3001と、画像差異判定部3002と、プリント色変換部604と、プリント出力部606と、画像読取部608と、設定情報記憶部611と、メッセージ送信部610とを主に備えている。ここで、画像受信部601、画像記憶部602、プリント色変換部604、プリント出力部606、画像読取部608、設定情報記憶部611、メッセージ送信部610の機能および構成は、実施の形態1の複合機103と同様である。
【0151】
ROI画像作成部3001は、1ページ分のRGB画像データからROI(Region of Interest)候補画像を生成し、さらに、このROI候補画像からROI画像を生成する。
【0152】
ここで、ROI画像とは、不良部分を含む関心領域を示す画像であり、ROI候補画像とは、ROI画像の前段階で生成され、関心領域候補となる領域を示す画像である。本実施の形態では、このROI画像、ROI候補画像を用いて欠け不良、汚れ不良を検出する。また、本実施の形態では、ROI画像、ROI候補画像の生成は、特開2005−205748号公報に記載の手法を用いている。
【0153】
ROI画像作成部3001によるROI候補画像、ROI画像の生成は以下のように行われる。ここで、複合機106から受信したJPEG画像データから変換されたRGB画像データを基準画像とし、このRGB画像データをYMCK画像データに変換して紙303にプリントし、その紙303をスキャンして得られたRGB画像データを検査画像とする。
【0154】
ROI画像作成部3001は、基準画像と検査画像を、それぞれR成分,G成分,B成分に分割し、各成分ごとに、近傍最小値選択差分処理を行って近傍最小値選択差分画像を生成する。そして、近傍最小値選択差分画像のRGBの各成文を合成し、MAX処理を行ってROI候補画像を生成する。
【0155】
そして、ROI画像作成部3001は、生成されたROI候補画像に対して、動的2値化処理、太線化処理、ラベリング処理を施してROI画像を生成する。ここで、動的2値化処理は、画像を一定の大きさの複数の矩形領域(ブロック)に分割した後、各ブロックごとに閾値を求めて全画面を2値化する処理である。
【0156】
近傍最小値選択差分処理、ラベリング処理の詳細については、特開2005−205748号公報に記載の手法(公報段落0040〜0049)を用いる。
【0157】
画像差異判定部3002は、ROI画像、ROI候補画像を用いて、画像の欠け不良、汚れ不良の検出を行う。すなわち、画像差異判定部3002は、ROI画像、ROI候補画像を用いて、複合機106から受信した画像データと、画像読取部608が紙303にプリントされた画像を読み取って得られた画像データとの差異が、複合機106から受信した画像の形状の差異の許容レベルの範囲内か否かを判断することにより、欠け不良、汚れ不良の検出を行う。本実施の形態では、ROI画像、ROI候補画像を用いた欠け不良、汚れ不良の検出は、特開2005−205748号公報に記載の手法(公報段落0050〜0058)を用いている。ただし、これに限定されるものではなく、いずれの手法を用いて欠け不良、汚れ不良の検出を行うことができる。
【0158】
次に、以上のように構成された本実施の形態の複合機103による、複合機106から送信されたカラー画像データを受信するときの複合機103の動作について説明する。図30、31は、カラー画像データの受信から不良判定の処理の手順を示すフローチャートである。また、図32は、カラー画像データの不良判定までの処理を生成される画像を主体として流れを示した説明図である。
【0159】
本実施の形態では、画像データの欠け不良と汚れ不良を検出している。複合機103は、画像受信部601が複合機106から送信されたJPEG画像データを受信すると、画像記憶部602が受信したJPEG画像データをハードディスク214に記憶する(ステップS3100)。尚、複合機103は、ステップS3100において、図28に示したNSSコマンドも受信する。
【0160】
次に、プリント色変換部604は、ハードディスク214に記憶されたJPEG画像データをJPEGに準拠した伸長(復号化)処理を行い、色差成分(Cb,Cr)と輝度成分(Y)に分離された画像データをRGB画像データに変換し、RGB画像データからY(Yellow)、M(Magenta)、C(Cyan)、K(blacK)のプリント用画像データに変換する(ステップS3101)。ここで、プリント色変換部604は、生成されたRGB画像データを基準画像データとしてメインメモリ203に記憶する。
【0161】
次に、ROI画像作成部3001は、このRGB画像データに対して、近傍最小値選択差分処理、MAX処理を施してROI候補画像を生成する(ステップS3102)。そして、ROI画像作成部3001は、このROI候補画像に対して動的2値化処理、太線化処理、ラベリング処理を施してROI画像を生成する(ステップS3103)。
【0162】
続いて、プリント出力部606がYMCKに変換された画像データを、プリントエンジン211を使用して紙303にプリントする(ステップS3104)。
【0163】
次に、プリントされた紙が排紙口を通過するときに、画像読取部608は排紙用スキャナ212を使用して紙303にプリントされた画像を読み取り、RGB画像データを取得する(ステップS3105)。そして、このRGB画像データを検査画像データとする。
【0164】
次に、欠け不良判定につき説明する。検査画像としてのRGB画像データを読み取ったら、画像差異判定部3002は、RGB画像データのRGB成分毎に、基準画像であるRGB画像データから検査画像であるRGB画像データを差分処理し、RGB成分を合成、MAX処理を行って、欠け候補画像を作成する(ステップS3106)。ここで、差分処理は飽和モードで行い、差分結果が負(マイナス)の場合は、0クリップする。
【0165】
次に、画像差異判定部3002は、欠け候補画像およびROI候補画像によりMIN処理を行って、近傍最小値欠け画像を作成する(ステップS3107)。
【0166】
次に、画像差異判定部3002は、近傍最小値欠け画像とROI画像とをAND処理して、欠け検査画像を生成する(ステップS3108)。
【0167】
続いて、画像差異判定部3002は、欠け検査画像において、ラベル毎にROI(最小矩形領域)またはROIに外接する最小矩形領域の平均濃度およびラベリング面積値を算出して、所定の設定値より大きい場合、そのラベルを「欠け不良」と判定する(ステップS3109)。そして、画像差異判定部3002は、「欠け不良」と判定したラベル数と全てのラベル数との割合を算出し、この値が複合機106から受信した画像の形状の差異の許容レベルにあるか否かを判断する(ステップS3110)。そして、「欠け不良」のラベル数比率が許容レベルを越えた場合は(ステップS3110:No)、メッセージ送信部610は、紙303に印刷されたプリント画像に欠けた部分がある旨のメッセージを送信元端末である複合機106に送信する(ステップS3112)。図33は、画像に欠け不良が生じた場合のプリント例を示す図である。
【0168】
一方、「欠け不良」のラベル数比率が許容レベル以下である場合は(ステップS3110:Yes)、欠け不良なしとして、画像記憶部602は、ハードディスク214に記憶されたJPEG画像データを削除する(ステップS3111)。
【0169】
次に、汚れ不良判定につき説明する。ステップS3105において検査画像としてのRGB画像データを読み取ったら、画像差異判定部3002は、RGB画像データのRGB成分毎に、検査画像であるRGB画像データから基準画像であるRGB画像データを差分処理し、RGB成分を合成、MAX処理を行って、汚れ候補画像を作成する(ステップS3206)。
【0170】
次に、画像差異判定部3002は、汚れ候補画像およびROI候補画像によりMIN処理を行って、近傍最小値汚れ画像を作成する(ステップS3207)。
【0171】
次に、画像差異判定部3002は、近傍最小値汚れ画像とROI画像とをAND処理して、汚れ検査画像を生成する(ステップS3208)。
【0172】
続いて、画像差異判定部3002は、汚れ検査画像において、ラベル毎にROIまたはROIに外接する最小矩形領域の平均濃度およびラベリング面積値を算出して、所定の設定値より大きい場合、そのラベルを「汚れ不良」と判定する(ステップS3209)。そして、画像差異判定部3002は、「汚れ不良」と判定したラベル数と全てのラベル数との割合を算出し、この値が複合機106から受信した画像の形状の差異の許容レベルにあるか否かを判断する(ステップS3210)。そして、「汚れ不良」のラベル数比率が許容レベルを越えた場合は(ステップS3210:No)、メッセージ送信部610は、紙303に印刷されたプリント画像に汚れた部分がある旨のメッセージを送信元端末である複合機106に送信する(ステップS3212)。
【0173】
一方、「汚れ不良」のラベル数比率が許容レベル以下である場合は(ステップS3210:Yes)、汚れ不良なしとして、画像記憶部602は、ハードディスク214に記憶されたJPEG画像データを削除する(ステップS3211)。
【0174】
このように本実施の形態では、複合機103側で印刷された画像に欠けがあるか汚れがあるかの不良の有無を確認することができ、複合機103,106の信頼性を向上させることが可能となる。
【0175】
なお、上記各機能は、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)、などのレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語などで記述されたコンピュータ実行可能なプログラムにより実現でき、ROM、EEPROM、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM、CD−RW、DVD、SDカード、MOなど、装置が読み取り可能な記録媒体に格納して頒布することができる。
【0176】
なお、本発明は、上記実施の形態で説明したものに限らず、種々の変形実施が可能である。また、実施の形態で説明したものに限定されず、これらと均等な手法も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0177】
91 色選択部
92 許容値指定部
101 IPネットワーク
102 SIPサーバ
103 複合機
104 PC
105 IP電話
106 複合機
107 PC
108 IP電話
109 複合機
110 PC
111 IP電話
141 指定文字列入力部
142 許容異字数入力部
143 許容連続異字数入力部
144 類似文字許容度指定部
201 CPU
202 フラッシュROM
203 メインメモリ
204 クロック
205 バスコントローラ
206 PCIブリッジ
207 キャッシュメモリ
208 原稿用スキャナ
209 原稿スキャナコントローラ
210 プリントコントローラ
211 プリントエンジン
212 排紙用スキャナ
213 排紙スキャナコントローラ
214 ハードディスク
215 HDコントローラ
216 LCD表示コントローラ
217 LCD
218 LANコントローラ
219 LAN I/F
220 キー入力コントローラ
221 ハードキー
222 タッチパネルコントローラ
223 タッチパネル
301 LEDアレイ
302 カラーCCDラインセンサ
303 紙
501 画像読取部
502,2702 画像送信部
503,2703 表示制御部
504 操作部
505 メッセージ受信部
601 画像受信部
602 画像記憶部
603 文字抽出部
604 プリント色変換部
605 L*a*b*色変換部
606 プリント出力部
607 色差異抽出部
608 画像読取部
609 色差異判定部
610 メッセージ送信部
611 設定情報記憶部
3001 ROI画像作成部
3002 画像差異判定部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0178】
【特許文献1】特開2000−151957号公報
【特許文献2】特開2000−174973号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを受信する画像データ受信手段と、
前記画像データ受信手段で受信した画像データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された画像データを出力する出力手段と、を含む画像通信装置であって、
前記出力手段で出力された画像データを読み取る読取手段と、
前記読取手段で読み取った画像データと前記記憶手段に記憶された画像データの差異を抽出する差異抽出手段と、
前記差異抽出手段で抽出された差異が、前記画像データと共に取得された条件情報に基づく所定条件を満たしているかを判定する差異判定手段と、
前記差異判定手段で判定された結果に基づいて、メッセージを前記画像データの送信元に送信するように制御する制御手段と、を含むことを特徴とする画像通信装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記差異判定手段で所定条件を満たしていないとき、出力された画像データが受信した画像データと異なっている旨のメッセージを前記画像データの送信元に送信することを特徴とする、請求項1に記載の画像通信装置。
【請求項3】
前記差異抽出手段は、色の差異を抽出することを特徴とする、請求項1または2に記載の画像通信装置。
【請求項4】
前記条件情報は、色相の範囲を指定する情報を含み、
前記差異抽出手段は、前記記憶手段に記憶された画像データに含まれる画像が前記所定条件において指定されている色相の範囲に属する場合に、前記差異を抽出することを特徴とする、請求項3に記載の画像通信装置。
【請求項5】
前記条件情報は、前記色相の範囲を指定する情報として、色相の全範囲を複数の範囲に分割した夫々の範囲のうち少なくとも一つを指定する情報を含むことを特徴とする、請求項4に記載の画像通信装置。
【請求項6】
前記条件情報は、前記色相の範囲を指定する情報として、色相の全範囲を赤、青、緑、黄に分割した範囲のうち少なくとも一つを指定する情報を含むことを特徴とする、請求項5に記載の画像通信装置。
【請求項7】
前記条件情報は、色の差異の程度を指定する数値を含み、
前記差異抽出手段は、前記読み取った画像データと前記記憶手段に記憶された画像データとの色の差異の数値を算出することにより前記色の差異を抽出し、
前記差異判定手段は、前記算出された差異の数値と前記所定条件において指定されている色の差異の程度を指定する数値とを比較することにより、前記判定を実行することを特徴とする、請求項3乃至6いずれか1つに記載の画像通信装置。
【請求項8】
前記条件情報は、前記画像データを送信した装置の機種の情報を含み、
前記差異判定手段は、
前記機種の情報に応じて設定された前記色の差異の程度を指定する数値の情報を記憶しており、
前記読み取った画像データと前記記憶手段に記憶された画像データとの色の差異の数値と前記機種の情報に応じた前記色の差異の程度を指定する数値とを比較することにより、前記判定を実行することを特徴とする、請求項3乃至6いずれか1つに記載の画像通信装置。
【請求項9】
前記読取手段で読み取った画像データと前記記憶手段に記憶された画像データとから文字列を抽出する文字列抽出手段と、
前記文字列抽出手段により前記読み取った画像データと前記記憶された画像データとから抽出された二つの文字列の差異を判定する文字列判定手段と、をさらに含み、
前記条件情報は、前記二つの文字列の差異を判定する情報であることを特徴とする、請求項1乃至8いずれか1つに記載の画像通信装置。
【請求項10】
前記条件情報は、前記画像データにおける画像範囲を指定する情報を含み、
前記読取手段で読み取った画像データと前記記憶手段に記憶された画像データとから前記画像範囲を指定する情報に基づいて文字列を抽出する文字列抽出手段と、
前記文字列抽出手段により前記読み取った画像データと前記記憶された画像データとから抽出された二つの文字列の差異を判定する文字列判定手段と、
前記判定された差異が所定の範囲内である文字列を含む所定の画像領域を切り出す画像領域切り出し手段と、をさらに含み、
前記差異抽出手段は、前記画像領域切り出し手段で切り出された画像領域の差異を抽出することを特徴とする、請求項1乃至8いずれか1つに記載の画像通信装置。
【請求項11】
前記条件情報は、前記画像データにおける画像範囲を指定する情報及び文字列の情報を含み、
前記読取手段で読み取った画像データから前記画像範囲を指定する情報に基づいて文字列を抽出する文字列抽出手段と、
前記文字列抽出手段により抽出された文字列と前記所定条件情報に含まれる文字列との二つの文字列の差異を判定する文字列判定手段と、
前記判定された差異が所定の範囲内である文字列を含む所定の画像領域を切り出す画像領域切り出し手段と、をさらに含み、
前記差異抽出手段は、前記画像領域切り出し手段で切り出された画像領域の差異を抽出することを特徴とする、請求項1乃至8いずれか1つに記載の画像通信装置。
【請求項12】
前記条件情報は、前記文字列の差異の所定の範囲を示す情報を含むことを特徴とする、請求項9乃至11いずれか1つに記載の画像通信装置。
【請求項13】
前記条件情報は、前記所定の範囲を示す情報として、前記文字列に含まれる文字において異なる文字数の範囲を指定する許容異字数指定情報を含み、
前記文字列判定手段は、前記二つの文字列において異なる文字数を前記二つの文字列の差異として判定することを特徴とする、請求項12に記載の画像通信装置。
【請求項14】
前記条件情報は、前記所定の範囲を示す情報として、前記文字列に含まれる文字において連続して異なる文字数の範囲を指定する許容連続異字数指定情報を含み、
前記文字列判定手段は、前記二つの文字列において連続して異なる文字数を前記二つの文字列の差異として判定することを特徴とする、請求項12または13に記載の画像通信装置。
【請求項15】
前記条件情報は、前記所定の範囲を示す情報として、異なる二つの文字であって形態の類似する二つの文字を同一の文字であると判定することを指定する情報を含み、
前記文字列判定手段は、前記二つの文字列において異なる文字であっても、前記形態の類似する二つの文字である場合に、同一の文字であると判定することを特徴とする、請求項12乃至14いずれか1つに記載の画像通信装置。
【請求項16】
前記差異抽出手段は、画像の形状の差異を抽出し、
前記差異判定手段は、前記差異抽出手段で抽出された形状の差異が、前記画像データと共に取得された条件情報に基づく所定条件を満たしているかを判定することを特徴とする請求項1乃至15いずれか1つに記載の画像通信装置。
【請求項17】
前記差異判定手段で所定条件を満たしていると判定されたとき、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された画像データを削除するように制御することを特徴とする、請求項1乃至16いずれか1つに記載の画像通信装置。
【請求項18】
前記画像データ受信手段が受信すべき画像データを送信する画像データ送信部を更に含み、
前記画像データ送信部は、
前記送信すべき画像データを入力する画像データ入力手段と、
ユーザの操作に応じて前記条件情報を取得する条件情報取得手段と、
前記取得された画像データ及び条件情報を送信する画像データ送信手段と、を含むことを特徴とする、請求項1乃至17いずれか1つに記載の画像通信装置。
【請求項19】
ネットワークを介して画像データを送受信する画像通信システムであって、
前記送受信すべき画像データを入力する画像データ入力手段と、
前記画像データを受信した装置において前記画像データに基づいて出力された画像を読み取った画像データと前記画像データとの差異を判断する差異の条件に関する条件情報をユーザの操作に応じて取得する条件情報取得手段と、
前記取得された画像データ及び条件情報を送信する画像データ送信手段と、
前記送信された画像データを受信する画像データ受信手段と、
前記画像データ受信手段で受信した画像データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された画像データを出力する出力手段と、
前記出力手段で出力された画像データを読み取る読取手段と、
前記読取手段で読み取った画像データと前記記憶手段に記憶された画像データの差異を抽出する差異抽出手段と、
前記差異抽出手段で抽出された差異が、前記画像データと共に取得された前記条件情報に基づく所定条件を満たしているかを判定する差異判定手段と、
前記差異判定手段で判定された結果に基づいて、メッセージを前記画像データの送信元に送信するように制御する制御手段と、を含むことを特徴とする画像通信システム。
【請求項20】
情報処理装置を、ネットワークを介して画像データを受信する画像通信装置として動作させるための制御プログラムであって、
画像データを受信するステップと、
前記受信された画像データを記憶するステップと、
前記記憶された画像データを出力するステップと、
前記出力された画像データを読み取るステップと、
前記読み取られた画像データと前記記憶された画像データの差異を抽出するステップと、
前記抽出された差異が、前記画像データと共に取得された条件情報に基づく所定条件を満たしているかを判定するステップと、
前記判定された結果に基づいて、メッセージを前記画像データの送信元に送信するステップと、を前記情報処理装置に実行させるための制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2010−206778(P2010−206778A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284529(P2009−284529)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】