説明

発振装置および角速度検出装置

【課題】振動子の起動を確実にし、安定して振動を維持する装置を提供する。
【解決手段】振動子12と、振動状態を検出する検出アンプ13と、振動情報を2値化してコンパレータ出力信号を出力する振幅比較器14と、制御発振器入力信号に応じて周波数が変化する電圧制御発振器151と、コンパレータ出力信号と比較信号との位相差信号を出力する位相比較器153と、位相差信号の低域成分を出力するループフィルタ154と、比較信号に対して予め定める位相差を有する位相シフト信号を出力する位相シフト器22と、位相シフト信号を入力する駆動アンプ11と、操作信号を出力する操作信号発生器21と、制御発振器入力信号として操作信号を選択し、制御発振器出力信号の周波数がキャプチャレンジの範囲となったときに、制御発振器入力信号として位相差情報信号を選択する操作切換器20と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発振装置および角速度検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図22は、特許文献1に記載されたアクチュエータに駆動信号を供給する技術を示す。共振周波数周囲でアクチュエータに通電する駆動信号を生成する際に使用される駆動回路装置100は、駆動感知信号102から得られるカウントシーケンス117を生成するカウンタ115を有する。復調器125がカウンタ115に結合され、カウントシーケンス117に基づき、駆動感知信号102から電圧レベル信号を生成する。デジタル−アナログ(D/A)コンバータ140はカウントシーケンス117に基づき、駆動感知信号102に対して略一定の位相関係を有する信号を駆動信号として生成する。
【0003】
図23は、特許文献2に記載された振動素子100を駆動する技術を示す。この技術では、振動回路はアナログ・ディジタル変換手段を有する。機械的な発振器SEの固有周波数での振動振幅は測定され(D1,D2)、デジタル化される。デジタル化された振幅制御器AGCを用いてデジタル制御信号が形成される。このデジタル制御信号から駆動信号120が形成され、この駆動信号120は駆動部(A1,A2)によって機械的な発振器SEを駆動する。振動回路は振動振幅を安定させるとともに、有効周波数帯域(共振周波数の近傍)外の信号を抑制するためのデジタルフィルタを有するようにして発振の起動を容易にしている。
【0004】
図24は、特許文献3に記載された振動素子を駆動する技術を示す。振動部材を含むヨーレートセンサ(DRS)の駆動を制御するために、振動部材の瞬時速度または偏向状態に比例する信号(V(t),x(t))が増幅されて振動部材の駆動信号(F(t))として用いられる。ヨーレートセンサ(DRS)のスイッチオン過程のあいだ、駆動信号(F(t))の振幅の増幅度(AF)について一定の設定値(AFC)が定められ、駆動信号(F(t))の励振周波数が主共振周波数を下回る始値から主共振周波数を上回り副次共振周波数を下回る終値へいたるまで連続的に上昇される。瞬時偏向状態(x(t))および/または瞬時速度(x(t))を監視して振動の主共振周波数が求められ、駆動信号(F(t))の励振周波数が終値に達した後、検出された主共振周波数が記憶される。
【0005】
また、角速度検出装置に振動子を用いることが周知の技術として知られている。このような角速度検出装置では、振動子を用いているので、発振装置と同様に振動をどのようにして起動させるかという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2009−501337号公報
【特許文献2】特表2008−527340号公報
【特許文献3】特表2009−503474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された技術によれば、駆動周波数を予め特定のアクチュエータの共振周波数に固定しているので、共振周波数が異なるアクチュエータを用いる場合には、アクチュエータの共振周波数に合わせて、再設計を行う必要がある。特許文献2に記載された技術によれば、高速なA/D変換器と、振動子の共振周波数に合わせて設計した有効周波数帯域外の信号を抑制するための高速なデジタルフィルタとが必要となり、回路が複雑で高価なものとなる。特許文献3の技術によれば、共振周波数を求めて、これを記憶することによって起動を行い、更に2回目以降の起動を早くすることができるが、高速なA/D変換器、メモリが必要となり、回路が複雑で高価なものとなる。
【0008】
本発明は、振動子の起動を確実にし、安定した振動を維持し、高速なA/D変換器、メモリ、高速なデジタルフィルタを用いた複雑な構成とすることなく、IC化に適した簡易な、発振装置および角速度検出装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、駆動信号が印加されて振動する振動子と、前記振動子の振動状態を振動情報信号として検出する検出アンプと、前記振動情報信号を2値化して第1コンパレータ出力信号を生成する第1振幅比較器と、制御発振器入力信号に応じて周波数が変化する制御発振器出力信号を出力する制御発振器と、前記第1コンパレータ出力信号と前記制御発振器出力信号を基に生成する比較信号との位相差に応じた位相差信号を出力する位相比較器と、前記位相差信号の低域成分である位相差情報信号を出力するループフィルタと、を有して形成される位相同期ブロックと、前記振動子が発振するように、前記比較信号に対して予め定める位相差を有する位相シフト信号を出力する位相シフト器と、前記位相シフト信号を入力して前記駆動信号を出力する駆動アンプと、時間経過に応じてレベルが変化する操作信号を出力する操作信号発生器と、前記制御発振器入力信号として前記操作信号を選択し、前記制御発振器出力信号の周波数がキャプチャレンジの範囲となったときに、前記制御発振器入力信号として前記位相差情報信号を選択する操作切換器と、を備える、発振装置とした。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発振装置において、前記振動情報信号の振幅値をピークホールド出力信号として検出する振幅検出器と、前記ピークホールド出力信号が引込振幅閾値信号を超えたときに極性が反転して、前記制御発振器入力信号として前記位相差情報信号を選択する第2コンパレータ出力信号を出力する第2振幅比較器と、備え、前記引込振幅閾値信号は、前記キャプチャレンジの範囲となったときに、前記第2コンパレータ出力信号を反転するように予め定められ、前記第2コンパレータ出力信号によって前記操作切換器を制御することした。このような技術的特徴によって、振動子の発振を容易とし安定なものとできる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発振装置において、前記駆動アンプは利得が変化する可変利得駆動アンプとして構成され、前記可変利得駆動アンプの利得を制御して前記ピークホールド出力信号の大きさを一定値とする利得制御器を有するフィードバックループを具備し、前記制御発振器入力信号として前記前記位相差情報信号を選択してから所定の時間が経過した後に、前記フィードバックループを動作させることとした。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に発振装置において、前記制御発振器は、制御発振器入力信号がアナログ電圧とされる電圧制御発振器として構成され、前記位相比較器は、前記第1コンパレータ出力信号と前記制御発振器出力信号から得られる比較信号との位相差に応じてパルス幅が変化するように構成され、前記ループフィルタは、アナログフィルタとして構成され、前記操作信号はアナログ信号とされ、前記操作切換器は、アナログスイッチとして構成されることとした。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発振装置において、前記制御発振器は、制御発振器入力信号がデジタル信号とされるデジタルコントロールドオシュレータとして構成され、前記位相比較器は、前記第1コンパレータ出力信号と前記制御発振器出力信号から得られる比較信号との位相差に応じたデジタルデータを出力するタイムデジタルコンバータとして構成され、前記ループフィルタは、デジタルデータを入力してデジタルデータを出力するデジタルフィルタとして構成され、前記操作信号はデジタルデータとされ、前記操作切換器は、デジタルセレクタとして構成されることとした。
【0014】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発振装置において、カットオフ周波数を前記位相シフト信号の周波数に追従させ、前記振動子に印加される前記駆動信号の波形を整形する追従フィルタを備え、前記追従フィルタは、前記位相シフト器から前記振動子までの間に配されることとした。
【0015】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発振装置において、所定形状の繰返波形を前記位相シフト器の周波数に同期して発生する波形発生器と、前記波形発生器からのデジタルデータをアナログ信号に変換するデジタルアナログ変換器と、を備え、前記波形発生器と前記デジタルアナログ変換器とは、前記位相シフト器と前記駆動アンプとの間に配されることとした。
【0016】
また、請求項8に記載の発明は、請求項4に記載の発振装置において、前記操作信号発生器は、一端が接地されたコンデンサと、前記コンデンサの他端に接続される電荷供給手段と、前記コンデンサの両端に生じる電圧を出力するバッファアンプと、前記コンデンサに並列に接続された放電スイッチと、を備え、前記放電スイッチを切断することによって、前記時間経過に応じてレベルが変化する操作信号の出力を開始することとした。
【0017】
また、請求項9に記載の発明は、請求項4に記載の発振装置において、前記操作信号発生器は、前記操作切換器が前記制御発振器入力信号として前記ループフィルタから出力される前記位相差情報信号を選択しているときには前記放電スイッチを切断することとした。
【0018】
また、請求項10に記載の発明は、請求項4に記載の発振装置において、前記操作信号発生器は、一端が接地されたコンデンサと、前記コンデンサの他端に一端が接続される切り離しスイッチと、前記切り離しスイッチの他端に接続される電荷供給手段と、前記コンデンサの両端に生じる電圧を出力するバッファアンプと、を備え、前記操作切換器が前記制御発振器入力信号として該操作信号発生器から出力される前記操作信号を選択しているときには前記切り離しスイッチを導通し、前記操作切換器が、前記制御発振器入力信号として前記ループフィルタから出力される前記位相差情報信号を選択しているときには前記切り離しスイッチを切断することとした。
【0019】
また、請求項11に記載の発明は、駆動信号が印加されて振動する振動子と、前記振動子の振動状態を振動情報信号として検出する第1検出アンプと、前記振動情報を2値化して第1コンパレータ出力信号を出力する第1振幅比較器と、制御発振器入力信号に応じて周波数が変化する制御発振器出力信号を出力する制御発振器と、前記第1コンパレータ出力信号と前記制御発振器出力信号を基に生成した比較信号との位相差に応じた位相差信号を出力する位相比較器と、前記位相差信号の低域成分である位相差情報信号を出力するループフィルタと、を有して形成される位相同期ブロックと、前記振動子が発振するように、前記比較信号に対して予め定める位相差を有する位相シフト信号を出力する位相シフト器と、前記位相シフト信号を入力して前記駆動信号を出力する駆動アンプと、時間経過に応じてレベルが変化する操作信号を出力する操作信号発生器と、前記制御発振器入力信号として前記操作信号を選択し、前記制御発振器出力信号の周波数がキャプチャレンジの範囲となったときに、前記制御発振器入力信号として前記位相差情報信号を選択する操作切換器と、を備え、さらに、コリオリ力による前記振動子の変位に応じた角速度検出信号を検出する第2検出アンプと、前記比較信号に対して予め定める位相差を有する同期検波タイミング信号を発生する検波タイミング発生器と、前記角速度検出信号を前記同期検波タイミング信号に基づいて同期検波して同期検波後角速度検出信号を出力する同期検波器と、前記同期検波後角速度検出信号を平滑して角速度を出力するローパスフィルタと、を具備する、角速度検出装置とした。
【0020】
また、請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の角速度検出器において、前記振動情報信号の振幅値をピークホールド出力信号として検出する振幅検出器と、前記ピークホールド出力信号が引込振幅閾値信号を超えたときに極性が反転して、前記制御発振器入力信号として前記位相差情報信号を選択する第2コンパレータ出力信号を出力する第2振幅比較器と、備え、前記引込振幅閾値信号は、前記キャプチャレンジの範囲となったときに、前記第2コンパレータ出力信号を反転するように予め定められ、前記第2コンパレータ出力信号によって前記操作切換器を制御することとした。このような技術的特徴によって、振動子の発振を容易とし安定なものとできる。
【0021】
また、請求項13に記載の発明は、請求項11または請求項12に記載の角速度検出器において、前記駆動アンプは利得が変化する可変利得駆動アンプとして構成され、前記可変利得駆動アンプの利得を制御して前記ピークホールド出力信号の大きさを一定値とする利得制御器を有するフィードバックループを具備し、前記制御発振器入力信号として前記前記位相差情報信号を選択してから所定の時間が経過した後に、前記フィードバックループを動作させることとした。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、簡易な回路構成によって、電源投入後、自動的に振動子を安定して振動させることができる。また、振動子の共振周波数を変更しても、振動子の共振周波数が温度特性や経時変化で変わることがあっても、安定な振動が維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態の発振装置のブロック図である。
【図2】振動子(発振子)の一構成例を模式的に示す図である。
【図3】振動子を用いた発振装置の一構成例の原理を示す図である。
【図4】振動子の発振条件を示す図である。
【図5】位相シフト器の一例を示す図である。
【図6】位相シフト器における各信号のタイミングチャートである。
【図7】第1実施形態の発振装置の要部の各信号のタイミングチャートである。
【図8】VCO操作信号発生器(操作信号発生器)の一例を示す図である。
【図9】第2実施形態の発振装置のブロック図である。
【図10】第2実施形態の発振装置の要部の各信号のタイミングチャートである。
【図11】第3実施形態の発振装置のブロック図である。
【図12】カットオフ周波数追従フィルタの一実施例であるスイッチドキャパシタンスフィルタの構成を示す図である。
【図13】第3実施形態の発振装置の要部の各信号のタイミングチャートである。
【図14】第4実施形態の発振装置のブロック図である。
【図15】第5実施形態の発振装置のブロック図である。
【図16】第5実施形態の発振装置の要部の各信号のタイミングチャートである。
【図17】実施形態の角速度検出装置のブロック図である。
【図18】角速度検出装置の振動子の一構成例を模式的に示す図である。
【図19】角速度検出装置の要部の各信号のタイミングチャートである。
【図20】変形例の角速度検出装置のブロック図である。
【図21】VCO操作信号発生器(操作信号発生器)の種々の実施例である。
【図22】背景技術を示す図である。
【図23】背景技術を示す図である。
【図24】背景技術を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の発振装置を実施するための形態と、本発明の角速度検出装置を実施するための形態とは、振動子を振動させるために、以下の同一の技術的特徴部を有している。実施形態では、制御発振器と位相比較器とループフィルタと、を有して形成される位相同期ブロックを有している。位相同期ブロックは、他励モードとPLLモードとの2つの動作モードを有する。位相同期ブロックは、キャプチャレンジの範囲で動作するまでは、時間経過に応じてレベルが変化する操作信号を出力する操作信号発生器によって制御される他励モードで動作する。位相同期ブロックはキャプチャレンジの範囲で動作するようになったときに、自動的にPLLモードに切換わる。また、振動子を振動させるために、位相同期ブロックで、振動子の共振周波数と駆動信号の周波数を同期させるのみならず、位相シフト器を設けて、駆動信号の位相を調整している。
【0025】
発明を実施するための形態(実施形態)について、以下に図面を参照して説明をする。
【0026】
[発振装置]
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の発振装置のブロック図である。図2は、振動子(発振子)の一構成例を模式的に示す図である。図1、図2を参照して第1実施形態の発振装置について説明をする。
【0027】
図1に示す発振装置1は、駆動アンプ11と、振動子12と、検出アンプ13と、振幅比較器14と、位相同期ブロック15と、振幅検出器16と、電圧源17と、振幅比較器18と、VCO操作切換器(電圧制御発振器操作切換器、操作切換器とも称する)20と、VCO操作信号発生器(制御発振器操作信号発生器、操作信号発生器とも称する)21と、位相シフト器22とを有している。
【0028】
駆動アンプ11の出力側が振動子12の駆動端子に接続される。振動子12の振動検出端子に検出アンプ13の入力側が接続される。検出アンプ13の出力側に振幅比較器14が接続される。
【0029】
検出アンプ13の出力側に振幅検出器16が接続される。振幅検出器16の出力側に振幅比較器18の一方の入力側が接続され、電圧源17に振幅比較器18の他方の入力側が接続される。VCO操作切換器20は、1回路2接点のスイッチとして機能し、アナログ信号をON(導通)、OFF(切断)するアナログスイッチである。VCO操作切換器20は、ループフィルタ154の出力側またはVCO操作信号発生器21の出力側いずれか一方を電圧制御発振器151の入力側に接続する。振幅比較器18はVCO操作切換器20の制御端子(図中の矢印)に接続され、VCO操作切換器20のON、OFFの切換を制御する。
【0030】
位相同期ブロック15は、電圧制御発振器(VCO: Voltage Controlled Oscillator)151と、分周器152と、位相比較器153と、ループフィルタ154とを有する。電圧制御発振器151の出力側に分周器152の入力側が接続される。分周器152の出力側に位相比較器153の一方の入力側が接続され、振幅比較器14の出力側に位相比較器153の他方の入力側が接続される。位相比較器153の出力側にループフィルタ154の入力側が接続される。なお、位相同期ブロック15は、必ず、分周器152を備えなければならないものではないが、本実施形態では、位相シフト器22を動作させる目的のために分周器152を備えている。
【0031】
分周器152の出力側に位相シフト器22の一方の入力側が接続され、電圧制御発振器151の出力側に位相シフト器22の他方の入力側が接続される。位相シフト器22の出力側に駆動アンプ11の入力側が接続される。
【0032】
ここで、振幅比較器18によって得られる信号であるCMP2_OUT信号(第2コンパレータ出力信号)のレベルがハイレベルであるかローレベルであるかによって、VCO操作切換器20の接続態様は、異なるものとなる。位相同期ブロック15、すなわち、発振装置1は、VCO操作切換器20の接続態様の異なりによって、異なる2つの動作モードのいずれか一方のモードで動作をする。ここで、CMP2_OUT信号(第2コンパレータ出力信号)は、VCO操作切換器20(操作切換器)を制御する操作切換器制御信号として機能することになる。
【0033】
VCO操作切換器20によって、ループフィルタ154の出力側が電圧制御発振器151の入力側に接続される場合には、発振装置1は、フィードバック制御系を構成してPLL(Phase-Locked Loop)モード(位相同期モード)で動作するようになされる。PLLモードでは、振幅比較器14から得られるCMP1_OUT信号(第1コンパレータ出力信号)と分周器152から得られる比較信号との位相差を一定にするように制御が行われる。つまり、CMP1_OUT信号を基準信号として、この基準信号に対して比較信号の周波数と位相とを合わせるようにされる。
【0034】
一方、VCO操作切換器20によって、VCO操作信号発生器21の出力側が電圧制御発振器151の入力側に接続される場合には、位相同期ブロック15、すなわち、発振装置1は、フィードフォワード制御系を構成して他励モードで動作するようになされる。他励モードでは、電圧制御発振器151から得られるVCO_OUT信号(制御発振器出力信号)の周波数が、VCO操作信号(制御発振器操作信号、操作信号とも称する)に応じて変化するような制御が行われる。
【0035】
以下に、図1に表された各部の信号について説明をする。駆動信号は駆動アンプ11から出力される。振動モニタ信号は振動子12から出力される。振動情報信号は検出アンプ13から出力される。振動モニタ信号と振動情報信号とはいずれも振動子の振動状態に関する信号である。CMP1_OUT信号(第1コンパレータ出力信号)は振幅比較器14から出力される。振幅比較器14が、振動情報信号と、振幅比較器14の内部の基準電圧(図示せず)とを比較して振動情報信号を”H”(ハイレベル)と”L”(ローレベル)とに2値化したものがCMP1_OUT信号である。
【0036】
VCO_IN信号(制御発振器入力信号)は電圧制御発振器151に入力される。VCO_OUT信号(制御発振器出力信号)は周波数が変化する可変周波数の信号であり、電圧制御発振器151から出力される。比較信号はVCO_OUT信号の周波数を1/N(Nは整数)に分周した2値の信号であり、分周器152から出力される。なお、分周器152を備えない場合には、N=1であり、VCO_OUT信号が比較信号となる。位相差信号は、CMP1_OUT信号と比較信号との位相差に応じてパルス幅が変化する2値の信号である。位相差電圧は位相差信号の低域成分の信号でありアナログ電圧である。なお、位相差電圧は、位相差情報信号の下位概念であり、位相差電圧は位相差情報信号の一例である。
【0037】
P/H_OUT信号(ピークホールド出力信号)は振幅検出器16から出力される。引込振幅閾値信号は電圧源17から得られる所定電圧である。CMP2_OUT信号(第2コンパレータ出力信号)は振幅比較器18から出力され、VCO操作切換器20を制御する。VCO_CNT信号(電圧制御発振器制御信号)はVCO操作信号発生器21から出力される。
【0038】
以下に、発振装置1の各部について、より詳細に説明をして、発振装置1の全体の構成と作用とを明らかにする。
【0039】
(発振装置の振動子の具体的な構成とその作用)
図2を参照して振動子(発振子)12の構成について説明をする。振動子12は、振動ビーム121、固定部122、駆動電極123および検出電極124を有している。
【0040】
振動ビーム121の両端は各々の固定部122で固定される。振動ビーム121は、接地点(GND)に結線される。駆動電極123と、検出電極124とは、振動ビーム121の長手方向の略中央に位置する部分において、振動ビーム121の表面に対向して配置される。
【0041】
駆動電極123は駆動アンプ11(図1を参照)の出力側に接続されており、駆動信号が供給されるようになされる。このようにして、振動ビーム121と駆動電極123との間で静電引力を発生させ振動ビーム121を変形させることができる。図2中の矢印の方向が変形の方向である。
【0042】
検出電極124は、GNDとの間において駆動モニタ信号を発生する。駆動モニタ信号は、振動ビーム121と検出電極124との間の静電容量の変化を検出することによって得られる。検出アンプ13は静電容量の変化を電圧に変換して増幅する。このようにして、検出アンプ13は振動ビーム121の変形の状態(振動の状態)を検出することができる。
【0043】
ここで、図3、図4を参照して振動子を用いた発振装置の動作原理を説明する。その後に再び図1を参照して発振装置1についての説明を続ける。
【0044】
図3は、振動子12を用いた発振装置の原理を示す図である。図4は、振動子12の発振条件を示す図である。以下に図3、図4を参照して、どのようにして振動子12が発振状態となるかについて簡単に説明をする。
【0045】
図3に示す位相シフト器221では、オペアンプ2211の負帰還端子(-)に抵抗2211の一端を接続し、正帰還端子(+)に抵抗2212の一端を接続し、抵抗2211の他端と抵抗2212の他端とを検出アンプ13の出力側に接続している。また、オペアンプ2210の出力端子と負帰還端子(-)間に抵抗2213を接続している。正帰還端子(+)とGNDの間にコンデンサ2214を接続している。抵抗2211の抵抗値と抵抗2212の抵抗値と抵抗2213の抵抗値とは等しく、その抵抗値はRであるとし、コンデンサ2214の容量値はCであるとすると、位相シフト器221において生じる位相シフト量は下記の数式1で表される。
【0046】
【数1】

【0047】
図4に示す、振動モニタ信号(図1も参照)と駆動信号(図1も参照)との位相の差が、適切に選ばれる場合に、振動子12は発振状態となる。例えば、振動子12が発振状態となるための位相シフト量は、90°(度)である。
【0048】
図3に示す位相シフト器221をIC(集積回路)によって構成する場合においては、ICの内部に予め形成された抵抗とコンデンサの定数で位相シフト量が固定されるために、振動子12の共振周波数を変更することは困難である。また、抵抗とコンデンサとを用いた遅延回路であるため、ICプロセスにおいては、これらの定数の個体ばらつきも大きく、温度特性も良好とは言いがたい。さらに、振動子の共振周波数の経時変化しても位相シフト量が追従しないために、発振状態を安定して持続することが困難である。よって、IC化に適した回路として図1に示す回路を用いている。図1に示す発振装置1では、位相シフト器221に替えて、位相同期ブロック15と位相シフト器22を用いるようにしている。
【0049】
すなわち、位相同期ブロック15によって、振動子12の共振周波数に追従するような発振周波数の信号を発生させている。それに加えて、位相シフト器22によって、振動子12が発振するように、比較信号に対して予め定める位相差を有する位相シフト信号を発生させている。このようにして、位相同期ブロック15と位相シフト器22とを有する発振装置1では、振動子12の発振を持続させることができる。
【0050】
再び、図1に戻って説明をする。
【0051】
(位相同期ブロックがPLLモードで動作する場合の構成とその作用)
位相同期ブロック15がPLLモードで動作する場合における位相同期ブロック15と関連する各部の構成とその作用について簡単に説明をする。ループフィルタ154の出力側が電圧制御発振器151の入力側に接続される場合には、位相同期ブロック15は周知のPLL回路として構成される。
【0052】
位相比較器153は、CMP1_OUT信号と比較信号との位相差を比較して、位相差に応じた位相差信号、例えば、位相差に比例した位相差信号を発生する。ここで、CMP1_OUT信号と比較信号とのいずれもが、”H”(ハイレベル)または”L”(ローレベル)のいずれかの状態とされる2値信号である。また、位相比較器153から出力される位相差信号も、2値信号であり、パルス幅が位相差に応じて変化する信号である。検出アンプ13から出力される振動情報信号は、振動子12が共振している場合には、正弦波状の信号である。この正弦波状の信号から、2値化されたCMP1_OUT信号を得るために振幅比較器14を用いている。振幅比較器14は、例えば、アナログコンパレータが用いられる。
【0053】
ループフィルタ154は、フィードバック制御系の応答を最適化するためのものであり、一般的には、低域通過濾波器として機能する、ラグリードフィルタまたは一次遅れフィルタが用いられる。ループフィルタ154に入力されたパルス幅信号である位相差信号は、ループフィルタ154によって平滑化されアナログ信号、例えば、位相差の情報が電圧値に変換された位相差電圧に変換される。
【0054】
ループフィルタ154の出力側が電圧制御発振器151の入力側に接続されるので、電圧制御発振器151には位相差電圧が入力され、位相差電圧を零とするように、電圧制御発振器151からのVCO_OUT信号の発振周波数と、VCO_OUT信号の位相とを制御する。ここで、VCO_OUT信号の発振周波数は、比較信号の整数倍(分周器が入力信号を1/Nに分周した出力を出す場合には、N倍)である。例えば、分周器152が1/2分周器である場合には、上述した整数倍は2倍である。
【0055】
このようにして、フィードバック制御系の作用によって、CMP1_OUT信号と比較信号とは、周波数が一致するのみならず、位相差が一定とされる関係を有する信号とされる。
【0056】
(VCO操作切換器の周辺回路の構成およびその作用)
VCO操作切換器20は、”H”または”L”の2つのレベルのいずれかである2値信号とされるCMP2_OUT信号によって制御される、1回路2接点のスイッチである。VCO操作切換器20は、アナログ信号を通過させることができるアナログスイッチが採用される。接点には、アナログ信号が加えられ導通と切断の動作が行われる。一方の接点にはループフィルタ154が接続され、他方の接点にはVCO操作信号発生器21が接続され、共通接点には電圧制御発振器151が接続される。
【0057】
振幅検出器16は、正弦波状の信号である振動情報信号から、その振幅のピーク値に相当するP/H_OUT信号を得るためのピーク検出回路として構成される。振幅検出器16は、例えば、周知技術である、ダイオードとコンデンサと抵抗とオペアンプとを組み合わせた回路とされる。
【0058】
振幅比較器18は、2つの信号のレベルを比較するものであり、例えば、アナログコンパレータとされる。振幅比較器18の一方の入力端には、P/H_OUT信号が入力され、振幅比較器18の他方の入力端には、電圧源17から発生する引込振幅閾値信号が入力される。振幅比較器18において、引込振幅閾値信号とP/H_OUT信号とのいずれが大きいかが判断され、振幅比較器18の出力側からCMP2_OUT信号が出力される。例えば、P/H_OUT信号の大きさが引込振幅閾値信号の大きさ以上となったときに、CMP2_OUT信号は”L”から”H”に極性またはレベルが反転し、ループフィルタ154と電圧制御発振器151とが接続されて、位相同期ブロック15は周知のPLL回路として構成される。
【0059】
(位相シフト器の具体的な構成とその作用)
ここで、図5、図6を参照して位相シフト器について説明をする。
【0060】
図5は、位相シフト器22の一例としてのD型のフリップフロップ回路を示す図である。図6は、位相シフト器22における各信号のタイミングチャートである。
【0061】
分周器152は1/2分周器であるとして、以下に説明をする。この場合には、電圧制御発振器151から出力される信号であるVCO_OUT信号(図1を参照)の周波数は、分周器152から出力される比較信号の周波数の2倍となる。
【0062】
位相シフト器22は、D端子(データ端子)、CK端子(クロック端子)、/PR端子(プリセット端子)、/CLR端子(クリア端子)、Q端子(正出力端子)および/Q端子(負出力端子)を有するD型のフリップフロップ回路222として構成される。
【0063】
フリップフロップ回路222のCK端子には電圧制御発振器151から出力されるVCO_OUT信号が入力され、D端子には分周器152から出力される比較信号が入力される。フリップフロップ回路222の/PR端子、/CLR端子はいずれも”H”に固定される。このようにして、フリップフロップ回路222のQ端子から位相シフト信号(図1も参照)を得ることができる。
【0064】
図6のタイミングチャートにおける、上段の信号は比較信号であり、中段の信号はVCO_OUT信号であり、下段の信号は位相シフト信号である。また、横軸は時間である。図6に示すように、比較信号のレベルが”H”であるか”L”であるかを、VCO_OUT信号のエッジ(この場合には立上エッジ)のタイミングでラッチをすることによって、位相シフト信号が得られる。このようにして、比較信号と位相シフト信号との間の位相差を90°異ならせることができる。
【0065】
なお、この90°の位相差は、振動子12が発振するように、比較信号に対して位相シフト信号が有するようにした、予め定める位相差の一例である。ここで、予め定める位相差は、発振条件から定められるものであり、本来は、CMP1_OUT信号に対する駆動信号の位相差である。しかしながら、PLL動作が理想的な場合には、CMP1_OUT信号と比較信号との位相は一致しており、駆動アンプ11での遅れが無い場合には、位相シフト信号と駆動信号との位相は一致している。よって、比較信号に対して位相シフト信号が予め定める位相差を有するようすれば、発振条件を満たすこととなる。
【0066】
図5および図6においては、フリップフロップ回路222は2倍周期の分周器として用いられ、90度の位相差を生じさせる例を示したが、発振装置の仕様に応じて分周器における分周数を多くし90度以外の位相差を生成することが可能である。なお、後述するようにして、フィードバック制御系として機能する位相同期ブロック15におけるオフセット量の調整によっても、比較信号と位相シフト信号との間の位相差を(+)方向、(-)方向のいずれの方向にも任意の度数異ならせることができる。
【0067】
上述したようにして、その内部にPLLとして機能する位相同期ブロック15を含むようにされた発振装置1は、フィードバック制御系として機能するPLLモードで動作する場合には、振動子12が発振条件を満たして持続的に発振をすることとなる。
【0068】
(位相同期ブロックが他励モードで動作する場合の構成とその作用)
振幅比較器18において、P/H_OUT信号と引込振幅閾値信号とを比較した結果、P/H_OUT信号の方が引込振幅閾値信号よりも小さい場合には、CMP2_OUT信号は”L”となる。この場合には、VCO操作信号発生器21の出力側と電圧制御発振器151とが接続されて、位相同期ブロック15は、他励モードとされ、VCO_CNT信号によって制御される可変周波数発生器として構成される。
【0069】
図7は、第1実施形態の発振装置1の要部の各信号のタイミングチャートである。
【0070】
図7の上段から順に、VCO_CNT信号、駆動信号、振動情報信号、P/H_OUT信号およびCMP2_OUT信号の各々の信号を示す。横軸は時間である。
【0071】
VCO操作信号発生器21は、時刻t1においてVCO_CNT信号の走査(スィープ)を開始する。すなわち、時刻の経過に伴ってVCO_CNT信号の電圧の値をより大きくする(図7の最上段を参照)。VCO_CNT信号が大きくなるほどVCO_CNT信号によって制御される電圧制御発振器151から出力されるVCO_OUT信号の周波数は高くなり、駆動信号の周波数も同様に高くなる(図7の上から2番目を参照)。
【0072】
駆動信号の周波数が、振動子12の共振周波数に近づくにつれて、振動情報信号の振幅も増大する(図7の上から3番目を参照)。P/H_OUT信号のレベルは振動情報信号の振幅に応じて大きなものとなる(図7の上から4番目を参照)。時刻t2において、P/H_OUT信号の大きさは、引込振幅閾値信号の値(引込振幅閾値信号の大きさ)以上となる。
【0073】
CMP2_OUT信号は、時刻t1から時刻t2未満までは”L”であり、VCO操作切換器20によって、発振装置1は、他励モードで動作するようにされる。CMP2_OUT信号は、時刻t2において、”L”から”H”に反転する。そして、CMP2_OUT信号が、”H”に反転した後は、VCO操作切換器20によって、発振装置1は、PLLモードで動作するようにされる。ここで、他励モードを経てPLLモードに移行させる理由について簡単に述べる。
【0074】
位相同期ブロック15をPLL回路として動作させる際には、キャプチャレンジ(引込可能な周波数範囲)の範囲内に、電圧制御発振器151の発振周波数を設定しなければ、位相同期ブロック15はPLLとしての動作を開始することはできない。よって、他励モードによって、キャプチャレンジの範囲に電圧制御発振器151の発振周波数を強制的に設定しなければならないのである。そこで、CMP2_OUT信号が”H”となる場合は、必ず、電圧制御発振器151の発振周波数がキャプチャレンジの範囲にあるように、引込振幅閾値信号の値を予め定めている。
【0075】
一方、一旦、位相同期ブロック15がPLL回路としての動作を開始した後は、ロックレンジ(PLLとして、位相同期して動作し続ける周波数範囲)の範囲では、周波数をずらしてもPLL回路としての位相同期の動作が保障される。よって、振動子12の共振周波数が、ロックレンジの範囲で変化したとしても、振動子12の振動状態において得られる振動情報信号を波形成形したCMP1_OUT信号と同一周波数で同一位相の信号が、比較信号として得られることとなる。
【0076】
一般に、PLL回路では、ロックレンジの方がキャプチャレンジよりも広い。すなわち、ロックレンジの周波数の範囲は、キャプチャレンジの周波数の範囲を含んでいる。よって、一旦、キャプチャレンジの範囲において引き込み動作が行われた位相同期ブロック15(PLL回路)を有する発振装置1においては、振動子12の共振周波数が温度の変化に応じて変化するような場合でも安定な発振の動作が保障される。
【0077】
CMP2_OUT信号は、電圧制御発振器151の発振周波数がキャプチャレンジの範囲内にある場合と、電圧制御発振器151の発振周波数がキャプチャレンジの範囲外にある場合とを区別する信号の一例である。従って、電圧制御発振器151の発振周波数が、キャプチャレンジの範囲内であるか、キャプチャレンジの範囲外であるかを判別する信号であれば、本実施形態のCMP2_OUT信号に替えて、VCO操作切換器20の制御信号として用いることができる。
【0078】
例えば、以下の様にすることもできる。位相差信号(図1を参照)は、CMP1_OUT信号(図1を参照)と比較信号(図1を参照)との周波数の差の周波数で変化する。よって、位相差信号(図1を参照)の周波数を検出する周波数検出回路(図示せず)を設ける。そして、この周波数検出回路で検出する周波数が、予め定める周波数以下となる場合に、VCO操作切換器20のスイッチポジションを切換えてPLLモードに移行させるようにしても良い。ここで、上述した、予め定める周波数は、キャプチャレンジの範囲内の周波数である。
【0079】
(VCO操作信号発生器の具体的な構成とその作用)
図8は、VCO操作信号発生器21の一例を示す図である。VCO操作信号発生器21は、放電スイッチ211、電流源212、コンデンサ213およびオペアンプ214を有している。放電スイッチ211は、時刻t1(図7を参照)においてOFF(切断)とされた状態の開とされ、それ以前はON(導通)とされた状態の閉とされる。放電スイッチ211が開とされる時刻t1から、コンデンサ213に対して電流源212より出力される電流に基づく電荷が蓄積され、コンデンサ213の両端の電圧は、経過時刻に比例して大きくなる。そして、時刻t2(図7を参照)において、位相同期ブロック15がPLLモードでの動作に切換わると、放電スイッチ211は再び閉とされる。このようにして、図7に示すようなVCO_CNT信号を得ることができる。ここで、オペアンプ214はバッファとして機能する。
【0080】
第1実施形態の発振装置によれば、PLLモードにおいて、振動子が振動条件を満たすようにして駆動のタイミングを生成するので振動子の共振周波数を変更してもICを再設計する必要がない。また振動子の共振周波数が温度特性や経時変化で変わることがあっても、PLLの作用によって、振動状態に追従して駆動信号の周波数および位相を自動的に追従することができるので、駆動電流も抑え安定に駆動を行うことができる。また、電源投入後自動的に振動子を安定して振動させることができる。
【0081】
また、他励モードにおいて、電源投入後からのPLLの引き込みを、VCO操作信号発生器とVCO操作切換器とを用いた簡易な回路によって高性能に行うことが可能である。背景技術に示すように、IC内にメモリを設けて予め周波数の設定を行う必要もなく、高速のA/D変換器を用いる必要もない。
【0082】
<第2実施形態>
図9は、第2実施形態の発振装置のブロック図である。図9に示す発振装置2において、第1実施形態におけると同様の各構成部には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0083】
第2実施形態の発振装置2は、第1実施形態の発振装置1に、さらに、遅延器25、利得制御器26および利得制御切換器27を付加したものである。また、発振装置1における駆動アンプ11を駆動アンプの一種である可変利得駆動アンプ28に置き換えたものである。
【0084】
遅延器25は、例えば、シフトレジスタ、遅延線、または、ICの内部に抵抗とコンデンサとで形成される1次遅回路で構成される。遅延器25は、予め定める所定の遅延量Dを有している。振幅比較器18から出力されるCMP2_OUT信号が遅延器25に入力され、遅延器25は、CMP2_OUTD信号(第2コンパレータ遅延出力信号)を出力する。CMP2_OUTD信号は、CMP2_OUT信号を予め定める所定時間遅れさせた信号である。遅延器25の出力側は利得制御切換器27に接続されており、CMP2_OUTD信号が、利得制御切換器27のスイッチ制御端子に供給されるようになされる。
【0085】
利得制御切換器27は1回路2接点のアナログスイッチが採用される。利得制御切換器27は、スイッチ制御端子に供給される”H”または”L”のスイッチ制御信号によって、アナログ信号が通過するか、通過しないかを制御することができる。本実施形態では、CMP2_OUTD信号が”H”である場合には、振幅検出器16の出力側と利得制御器26の入力側とを接続する。一方、CMP2_OUTD信号が”L”である場合には、振幅検出器16の出力側と利得制御器26の入力側とを接続しない。
【0086】
可変利得駆動アンプ28は、制御端子を有し、この制御端子に流し込む電流の大きさ、または、この制御端子に印加する電圧の大きさに応じて可変利得駆動アンプ28の利得(ゲイン)を調整する。可変利得駆動アンプは周知技術である。
【0087】
利得制御器26は、可変利得駆動アンプ28を制御して駆動信号のレベルを一定とするために設けられている。利得制御器26の入力側は、利得制御切換器27を介して振幅検出器16に接続することができるようになされる。利得制御器26の出力側は可変利得駆動アンプ28の制御端子に接続される。
【0088】
利得制御器26は、内部に基準振幅値を有している。また、利得制御器26は、振幅検出器16から出力されるP/H_OUT信号(ピークホールド出力信号)とこの基準振幅値との差分を演算する減算器を内部に有している。また、利得制御器26は、この減算器からの出力に応じた電流を出力し、または、この減算器からの出力に応じた電圧を出力する制御電源を有している。ここで、P/H_OUT信号の方が基準振幅値よりも大きい場合には、可変利得駆動アンプ28の利得を減ずるような電流、または、電圧が制御電源から出力するようになされる。これと反対に、P/H_OUT信号の方が基準振幅値よりも小さい場合には、可変利得駆動アンプ28の利得を増ずるような電流、または、電圧が制御電源から出力するようになされる。
【0089】
このような構成を有することによって、可変利得駆動アンプ28、振動子12、検出アンプ13、振幅検出器16、利得制御切換器27および利得制御器26を含む一巡のフィードバックループによるフィードバック制御系が形成される。そして、振幅検出器16から出力されるP/H_OUT信号のレベルを一定とする。また、PLL動作をさせるために、制御発振器入力信号として前記位相差情報信号を選択してから所定の時間が経過した後に、利得制御切換器27をONとして、このフィードバックループを動作させる。
【0090】
図10は、第2実施形態の発振装置2の要部の各信号のタイミングチャートである。図10の上段から順に、VCO_CNT信号、駆動信号、振動情報信号、P/H_OUT信号、CMP2_OUT信号およびCMP2_OUTD信号の各々の信号を示す。横軸は時間である。
【0091】
VCO操作信号発生器21は、時刻t1においてVCO_CNT信号の走査を開始する。すなわち、時刻の経過に伴ってVCO_CNT信号の電圧の値をより大きくする(図10の最上段を参照)。VCO_CNT信号が大きくなるほどVCO_CNT信号によって制御される電圧制御発振器151から出力されるVCO_OUT信号の周波数は高くなり、駆動信号の周波数も同様に高くなる(図10の上から2番目を参照)。
【0092】
駆動信号の周波数が、振動子12の共振周波数に近づくにつれて、振動情報信号の振幅も増大する(図10の上から3番目を参照)。そして、P/H_OUT信号のレベルは振動情報信号の振幅に応じて大きなものとなる(図10の上から4番目を参照)。時刻t2において、P/H_OUT信号の大きさは、引込振幅閾値信号の値(引込振幅閾値信号の大きさ)以上となる。
【0093】
CMP2_OUT信号は、時刻t1から時刻t2未満までは”L”であり、他励モードである。CMP2_OUT信号は、時刻t2において、”L”から”H”に反転する(図10の上から5番目を参照)。そして、CMP2_OUT信号が、”H”に反転した後は、VCO操作切換器20によって、発振装置1は、PLLモードで動作するようにされる。
【0094】
CMP2_OUT信号が”H”に反転した時刻t2から遅延量Dに相当する時間経過後の時刻t3において、CMP2_OUTD信号が”L”から”H”に反転する(図10の上から6番目を参照)。CMP2_OUTD信号が”H”に反転することによって、利得制御切換器27を介して、振幅検出器16の出力側と利得制御器26の入力側とが接続され、自動利得制御ありのモード(AGC_ON: Automatic Gain Control ON)となる。そして、可変利得駆動アンプ28を制御し、振幅検出器16から出力されるP/H_OUT信号のレベルを一定とする。なお、振幅検出器16の出力側と利得制御器26の入力側とが接続されない状態は、自動利得制御なしのモード(AGC_OFF: Automatic Gain Control OFF)であり、第1実施形態におけると同様の動作を行う。
【0095】
CMP2_OUT信号に対して遅延量Dに対応する時間Δだけ遅らせた時刻にCMP2_OUTD信号を発生させる遅延器25を設けている理由について説明をする。常時、AGC_ONとしておくと、P/H_OUT信号のレベルが小さいときに、可変利得駆動アンプ28の利得が極度に上がり、本来は低レベルである不要な電気ノイズや、振動子の駆動共振以外の振動に起因して発生するノイズの振幅が増大し、このノイズにPLLがロックしてしまい振動子を起動することが出来なくなる恐れがあるので、これを防止するのが第1の理由である。また、発振装置2を時刻t2からPLLモードとするが、PLLとしての動作が定常状態となり安定に動作するまでの過渡状態が存在するので、この過渡状態経過後の時刻t3までAGC_ONとしないのが第2の理由である。
【0096】
第2実施形態の発振装置2では、振幅検出器16から出力されるP/H_OUT信号のレベルを一定とするフィードバック制御系を有するので、安定した振幅のP/H_OUT信号、振動情報信号が得られる。その結果、振動子12の振動も安定したものとなる。また、振動情報信号を振幅比較器14によって2値化した信号であるCMP1_OUT信号の質(S/N)が良好となり、位相同期ブロック15についても、位相差信号のジッターが小さくなり良好な性能となる。
【0097】
<第3実施形態>
図11は、第3実施形態の発振装置のブロック図である。図11に示す発振装置3において、第1実施形態または第2実施形態におけると同様の各構成部には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0098】
第3実施形態の発振装置3は、第2実施形態の発振装置2に、さらに、追従フィルタ29を付加したものである。追従フィルタ29は、スイッチドキャパシタンスフィルタ(SCF: Switched Capacitance Filter)として構成される。追従フィルタ29は、可変利得駆動アンプ28(または駆動アンプ11)の出力側に配置されるが、可変利得駆動アンプ28(または駆動アンプ11)の入力側に配置しても同様の作用を奏し、同様の効果が得られる。
【0099】
図12は、追従フィルタ29の一実施例であるスイッチドキャパシタンスフィルタの構成を示す図である。スイッチドキャパシタンスフィルタとされる追従フィルタ29は、オペアンプ290、スイッチ291(第1のスイッチ)、スイッチ292(第2のスイッチ)、スイッチ293(第3のスイッチ)、スイッチ294(第4のスイッチ)、入力コンデンサ295および出力コンデンサ296を有している。入力コンデンサ295の値はCiであり、出力コンデンサ296の値はCoである。
【0100】
本実施形態では、追従フィルタ29の入力側から駆動アンプ出力信号(図11を参照)が入力され、追従フィルタ29の出力側から駆動信号(図11を参照)が出力される。
【0101】
追従フィルタ29は以下のように構成される。入力側からスイッチ291を介して入力コンデンサ295の一端が接続され、入力コンデンサ295の他端にスイッチ294の一端が接続され、スイッチ294の他端はオペアンプ290の負帰還端子に接続される。オペアンプ290の正帰還端子は接地される。入力コンデンサ295の一端には、他端が接地されたスイッチ292が接続され、入力コンデンサ295の他端には、他端が接地されたスイッチ293が接続される。オペアンプ290の出力端に出力コンデンサ296の一端が接続されて出力側とされる。出力コンデンサ296の他端はオペアンプ290の負帰還端子に接続される。
【0102】
スイッチ291、スイッチ292、スイッチ293およびスイッチ294は、所定周波数のSsw信号によって、ON(導通)とOFF(切断)とが繰り返される。このようなスイッチドキャパシタンスフィルタは、一次遅系(低域濾波器)として働き、カットオフ周波数(fc)は数式2で表される。ここで、Ciは入力コンデンサ295の値であり、Coは出力コンデンサ296の値であり、fswはSsw信号の繰返し周波数である。
【0103】
【数2】

【0104】
数式2で表されるように、カットオフ周波数は、入力コンデンサ295の値と出力コンデンサ296の値の比にSsw信号の繰返し周波数を掛けた値によって決定される。周波数fswを駆動信号に同期した、駆動信号のM倍(Mは整数)の周波数の信号とすることで、駆動信号の変化に応じてカットオフ周波数fcが自動的に追従するようにできる。このようにカットオフ周波数が駆動信号に追従することによって、振動子の共振特性が変化した場合、異なる共振周波数の振動子を用いる場合においても、同様の波形による駆動を同一の回路で対応することが可能となる。
【0105】
図13は、第3実施形態の発振装置3の要部の各信号のタイミングチャートである。図13の上段から順に、VCO_CNT信号、駆動アンプ出力信号、駆動信号、振動情報信号、P/H_OUT信号、CMP2_OUT信号およびCMP2_OUTD信号の各々の信号を示す。横軸は時間である。
【0106】
VCO操作信号発生器21は、時刻t1においてVCO_CNT信号の走査を開始する。すなわち、時刻の経過に伴ってVCO_CNT信号の電圧の値をより大きくする(図13の最上段を参照)。VCO_CNT信号が大きくなるほどVCO_CNT信号によって制御される電圧制御発振器151から出力されるVCO_OUT信号の周波数は高くなり、駆動アンプ出力信号および駆動信号の周波数も同様に高くなる(図13の上から2番目、3番目を参照)。
【0107】
駆動信号の周波数が、振動子12の共振周波数に近づくにつれて、振動情報信号の振幅も増大する(図13の上から4番目を参照)。そして、P/H_OUT信号のレベルは振動情報信号の振幅に応じて大きなものとなる(図13の上から5番目を参照)。時刻t2において、P/H_OUT信号の大きさは、引込振幅閾値信号の値(引込振幅閾値信号の大きさ)以上となる。
【0108】
CMP2_OUT信号は、時刻t1から時刻t2未満までは”L”であり、他励モードである。CMP2_OUT信号は、時刻t2において、”L”から”H”に反転する(図13の上から6番目を参照)。そして、CMP2_OUT信号が、”H”に反転した後は、VCO操作切換器20によって、発振装置1は、PLLモードで動作するようにされる。
【0109】
CMP2_OUT信号が”H”に反転した時刻t2から遅延量Dに相当する時間経過後の時刻t3において、CMP2_OUTD信号が”L”から”H”に反転する(図13の上から7番目を参照)。CMP2_OUTD信号が”H”に反転することによって、利得制御切換器27を介して、振幅検出器16の出力側と利得制御器26の入力側とが接続され、自動利得制御ありのモード(AGC_ON: Automatic Gain Control ON)となる。そして、可変利得駆動アンプ28を制御し、振幅検出器16から出力されるP/H_OUT信号のレベルを一定とする。なお、振幅検出器16の出力側と利得制御器26の入力側とが接続されない状態は、自動利得制御なしのモード(AGC_OFF: Automatic Gain Control OFF)である。
【0110】
第3実施形態の発振装置3では、発振装置1が奏する効果および発振装置2が奏する効果に加えて、駆動信号の波形が、矩形波ではなく正弦波に近いものであるので、振動子に生じる不要な高次共振及び、矩形波のエッジから飛び込む電気ノイズを抑制することができる。さらに、駆動アンプ出力信号の周波数が変化しても、追従フィルタの作用によって、駆動信号の波形は変わらないので、振動子を安定に駆動することができ、安定した発振状態を維持できる。
【0111】
なお、第3実施形態の発振装置3では、自動利得制御ありのモードを備えるものとして説明をしたが、自動利得制御なしのモードのみを備える発振装置も実施可能である。
【0112】
<第4実施形態>
図14は、第4実施形態の発振装置のブロック図である。図14に示す発振装置4において、第1実施形態ないし第3実施形態におけると同様の各構成部には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0113】
第4実施形態の発振装置4は、第2実施形態の発振装置2に、さらに、波形発生器30およびD/A変換器(デジタルアナログ変換器)31を付加したものである。
【0114】
波形発生器30の入力側は位相シフト器22の出力側に接続され、波形発生器30の出力側はD/A変換器31の入力側に接続される。D/A変換器31の出力側は、可変利得駆動アンプ28の入力側に接続される。
【0115】
波形発生器30は、位相シフト器22から出力される位相シフト信号に同期した、同一同位相の任意波形である、同期デジタルデータをデジタル処理によって発生する。同期デジタルデータに対応する波形としては、例えば、矩形波、正弦波、三角波、鋸波、台形波を初めとして、ロム(ROM)に波形のデータを記憶することによって広範囲な波形が可能である。また、ロム(ROM)に記憶する以外に、デーエスピー(DSP: Digital Signal Processing Unit)、ハードデジタルロジック回路等によって任意波形を生成することもできる。いずれの場合においても、デジタル信号処理が行われるので、比較信号に対して所望の位相シフト量を有する任意波形を生成することは容易である。
【0116】
波形発生器30は、予め定めたいくつかの波形から適宜に所望の波形を選択するような構成とすることもできる。このようにすれば、IC化した回路を多くの振動子に適用することができる。また、ロム(ROM)には波形の一周期分のデータを記憶すれば十分であるので、ロム(ROM)内蔵のICを用いることによって波形発生器30のIC化も困難ではない。
【0117】
D/A変換器31は、デジタルデータを入力してアナログ信号を出力する。D/A変換器31は、波形発生器30から入力される同期デジタルデータを同期アナログ波形信号に変換して可変利得駆動アンプ28に対して出力する。
【0118】
本実施形態の発振装置によれば、波形発生器とD/A変換器とを有することによって、振動子に印加される駆動波形を任意の波形とすることができるので、振動子を最も適合した波形によって駆動することができる。また、第1実施形態ないし第3実施形態の各発振装置、さらには後述する第5実施形態の発振装置に対して、本実施形態において説明をした波形発生器とD/A変換器とを付加する発振装置も実施可能である。例えば、本実施形態の発振装置4は、可変利得駆動アンプ28を有するものとして説明したが、第1実施形態のように駆動アンプ11(図1を参照)を用いても実施可能である。いずれの実施形態においても、上述した波形発生器30およびD/A変換器31を付加すれば、これらを備えることによる上述した効果を生じる。
【0119】
<第5実施形態>
図15は、第5実施形態の発振装置のブロック図である。図15に示す発振装置5において、第1実施形態ないし第4実施形態におけると同様の各構成部には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0120】
第5実施形態の発振装置5は、カウンタ41と、すべてデジタル回路として構成される位相同期ブロック45と、デジタルセレクタ40とを備える点に特徴がある。カウンタ41はVCO操作信号発生器21に替えて用いられ、位相同期ブロック45は位相同期ブロック15に替えて用いられ、デジタルセレクタ40はVCO操作切換器20に替えて用いられる。
【0121】
カウンタ41は、mビットカウンタとされており、m個のパラレル出力端子(図示せず)を有している。カウンタ41のクロック端子(図示せず)には、所定周波数のクロック信号が入力される。
【0122】
位相同期ブロック45は、デジタルコントロールドオシュレータ(DCO: Digital Controlled Oscillator)451、タイムデジタルコンバータ(TDC: Time Digital Convertor)453、デジタルフィルタ(DF: Digital Filter)454および分周器152を有している。デジタルコントロールドオシュレータ(DCO: Digital Controlled Oscillator)451は電圧制御発振器151に替えて用いられる。タイムデジタルコンバータ453は位相比較器153に替えて用いられる。デジタルフィルタ454はループフィルタ154に替えて用いられる。
【0123】
デジタルコントロールドオシュレータ451は、mビットの入力信号の値に応じて発振周波数が変化するようになされる。デジタルコントロールドオシュレータ451の出力であるVCO_OUT信号は1ビット(”L”、”H”の2値)の可変周波数とされる。
【0124】
タイムデジタルコンバータ453は、CMP1_OUT信号と比較信号との位相差を得てこの位相差をmビットの位相差信号として出力する。
【0125】
デジタルフィルタ454は、mビットの位相差信号をフィルタリングしてmビットの位相差情報信号を出力する。フィルタリングの内容としては、ラグリードフィルタ、1次遅フィルタ、2次遅フィルタ等の各種フィルタをプログラムによって選択するものである。
【0126】
分周器152は、第1実施形態ないし第4実施形態におけるものと同様のものである。また、デジタルセレクタ40は、mビットのカウンタ出力信号、または、mビットの位相差信号のいずれか一方を選択するmビット幅を有するデジタルセレクタとされる。
【0127】
図16は、第5実施形態の発振装置5の要部の各信号のタイミングチャートである。図16の上段から順に、カウンタ出力信号、駆動信号、振動情報信号、P/H_OUT信号、CMP2_OUT信号およびCMP2_OUTD信号の各々の信号を示す。横軸は時間である。
【0128】
カウンタ41は、時刻t1においてカウンタ出力信号の走査を開始する。すなわち、時刻の経過に伴ってカウンタ出力信号の値をより大きくする(図16の最上段を参照)。なお、カウンタ出力信号はmビットのパラレル信号であるが図16ではmビットの値を模式的に図示している。カウンタ出力信号の値が大きくなるほどカウンタ出力信号によって制御されるデジタルコントロールドオシュレータ451から出力されるVCO_OUT信号の周波数は高くなり、駆動信号の周波数も同様に高くなる(図16の上から2番目を参照)。
【0129】
駆動信号の周波数が、振動子12の共振周波数に近づくにつれて、振動情報信号の振幅も増大する(図16の上から3番目を参照)。そして、P/H_OUT信号のレベルは振動情報信号の振幅に応じて大きなものとなる(図16の上から4番目を参照)。時刻t2において、P/H_OUT信号の大きさは、引込振幅閾値信号の値(引込振幅閾値信号の大きさ)以上となる。
【0130】
CMP2_OUT信号は、時刻t1から時刻t2未満までは”L”であり、他励モードである。CMP2_OUT信号は、時刻t2において、”L”から”H”に反転する(図16の上から5番目を参照)。そして、CMP2_OUT信号が、”H”に反転した後は、デジタルセレクタ40によって、発振装置1は、PLLモードで動作するようにされる。
【0131】
CMP2_OUT信号が”H”に反転した時刻t2から遅延量Dに相当する時間経過後の時刻t3において、CMP2_OUTD信号が”L”から”H”に反転する(図16の上から6番目を参照)。CMP2_OUTD信号が”H”に反転することによって、利得制御切換器27を介して、振幅検出器16の出力側と利得制御器26の入力側とが接続され、自動利得制御ありのモード(AGC_ON: Automatic Gain Control ON)となる。そして、可変利得駆動アンプ28を制御し、振幅検出器16から出力されるP/H_OUT信号のレベルを一定とする。なお、振幅検出器16の出力側と利得制御器26の入力側とが接続されない状態は、自動利得制御なしのモード(AGC_OFF: Automatic Gain Control OFF)である。
【0132】
第5実施形態の発振装置5では、位相同期ブロック45およびカウンタ41をデジタル処理とすることによって、第1実施形態ないし第4実施形態における発振装置にくらべて、適応性を高めることが可能となる。例えば、位相同期ブロック45のデジタルフィルタ454は、プログラマブルフィルタとすることができ、発振装置5の全体の制御をするシステムコントローラ(図示せず)によってフィルタ特性を自由に変更することができる。例えば、ラグリードフィルタ、1次遅れフィルタ、2次以上の高次フィルタとして、振動子の特性に最も適したものとできる。
【0133】
デジタルフィルタ454を有することによって、PLLモードにおいては、振動子12の特性に応じてデジタルフィルタ454の特性を変化させて位相同期ブロック45における制御則をプログラマブルに適宜に定めることができる。
【0134】
また、他励モードにおいては、カウンタ41は任意波形(時間関数)のカウンタ出力信号を生成して位相同期ブロック45における制御則をプログラマブルに適宜に定めることができる。また、電源投入時に振動子に印加する駆動周波数を操作する手段をクロックのカウントによって構成することで実現しているので、操作する手順も自由に設計可能である。
【0135】
このようにして、発振装置の設計自由度を上げることができるので、振動子の個体間にばらつきがあっても発振装置の特性のばらつきは小さく抑えることができ、安定にPLLの引込の操作を行い、PLLの引込の後は広いロックレンジを確保して安定にPLLモードで動作させることができる。
【0136】
[角速度検出装置]
上述した発振装置の要部と同様の要部を有する角速度検出装置の実施形態について以下に説明をする。
【0137】
図17は、実施形態の角速度検出装置のブロック図である。図17に示す角速度検出装置6において、上述した発振装置におけると同様の各構成部には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0138】
振動子を用いる角速度検出装置は発振装置の一種であるので上述した発振装置の技術はすべて適用できる。実施形態の角速度検出装置6の特徴的要部は、上述した第1実施形態の発振装置1の特徴的要部と多くの点で共通する。しかしながら、角速度検出装置と発振装置とは、その目的が異なるために、角速度検出装置6では、振動子52、加算アンプ53、減算アンプ54、同期検波器55およびローパスフィルタ56を有する点において、発振装置1とは異なる。
【0139】
角速度検出装置6は、いわゆる、ジャイロシステムと称されるものであり、振動子52の振動を利用するものである。振動子52に外から回転力が加わると、振動子52の振動する部位に垂直方向に“コリオリの力”と呼ばれる力が発生する。コリオリの力は、振動子52に新たな振動を発生させ、この振動から角速度を求めることができる。
【0140】
(角速度検出装置の振動子の具体的な構成とその作用)
図18は、角速度検出装置の振動子52の一構成例を模式的に示す図である。振動子52は、振動ビーム521、固定部522、駆動電極523、検出電極A524、検出電極B525および圧電膜526を有している。
【0141】
振動ビーム521の片端は固定部522に固着して支持される。振動ビーム521の上面には圧電膜526が製膜される。圧電膜526上には、上面中央に駆動電極523が配置される。駆動電極523の上面の両端には振動ビーム521が歪む方向に沿って検出電極A524と検出電極B525が備えられている。
【0142】
駆動電極523に振動ビーム521の共振周波数近傍の周期性の電圧を印加することで、振動ビーム521は紙面上下方向の矢印で示す駆動方向に振動する。振動子52にコリオリ力が印加されると紙面左右方向の矢印で示す検出方向に変位が発生し、検出電極A524から出力される信号と検出電極B525から出力される信号との間に位相差が発生する。この位相差から角速度を検出する。
【0143】
振動子の一例である上述した本実施形態の振動子52では圧電薄膜を使った振動子を示したが、静電力あるいは電磁力を使った振動子を同様に用いることができる。
【0144】
図17を参照して、図18に示す振動子52の各部とその周辺回路との関係を説明し、各部に印加する信号および各部から出力される信号について説明をする。
【0145】
駆動アンプ11の出力側は駆動電極523に接続されており、駆動電極523には駆動信号が供給される。検出電極A524と検出電極B525とは各々が加算アンプ53の入力側に接続されており、加算アンプ53からは振動情報信号が得られる。また、検出電極A524と検出電極B525とは各々が減算アンプ54の入力側に接続されており、減算アンプ54からは角速度検出信号が得られる。
【0146】
(角速度検出装置の特徴部の説明)
角速度検出装置6は、発振装置1と同様の特徴を有している。すなわち、振動子52の振動状態を検出し振動周波数に位相同期した駆動信号を生成する点において角速度検出装置6と発振装置1とは共通する。
【0147】
角速度検出装置6は、駆動信号が印加されて振動する振動子52と、振動子52の振動状態を振動情報信号として検出する加算アンプ53と、振動情報を2値化してCMP1_OUT信号を出力する振幅比較器14と、を有している。また、VCO_IN信号(制御発振器入力信号)に応じて周波数が変化するVCO_OUT信号(制御発振器出力信号)を出力する電圧制御発振器151と、CMP1_OUT信号(制御発振器出力信号)と電圧制御発振器出力信号から出力される比較信号との位相差に応じた位相差信号を検出する位相比較器153と、を有している。また、位相差信号の低域成分である位相差電圧(位相差情報信号)を出力するループフィルタ154を有している。電圧制御発振器151、位相比較器153、ループフィルタ154、および、必要な場合に用いられる分周器152は、位相同期ブロック15を構成する。
【0148】
角速度検出装置6は、また、振動子52が発振するように、比較信号に対して予め定める位相差を有する位相シフト信号を発生する位相シフト器22と、位相シフト信号を入力して駆動信号を出力する駆動アンプ11と、時間経過に応じてレベルが変化するVCO_CNT信号(操作信号)を出力するVCO操作信号発生器(操作信号発生器)21と、VCO操作切換器(操作切換器)20とを備えている。VCO操作切換器(操作切換器)20は、VCO_IN信号(制御発振器入力信号)として、VCO_CNT信号(操作信号)または位相差電圧(位相差情報信号)のいずれかを選択する。
【0149】
振動子52の発振の起動時には、VCO_IN信号(制御発振器入力信号)としてVCO_CNT信号(操作信号)を選択して他励モードにおいて動作を開始する。その後、VCO_OUT信号(制御発振器出力信号)がキャプチャレンジの範囲となったときに、VCO_IN信号(制御発振器入力信号)として位相差電圧(位相差情報信号)を選択してPLLモードに切換わる。
【0150】
さらに、角速度検出装置6は、コリオリ力による振動子の振動方向と直交する方向の変位に応じた角速度検出信号を検出する減算アンプ54と、比較信号に対して予め定める位相差を有する同期検波タイミング信号を発生する検波タイミング発生器と、角速度検出信号を同期検波タイミング信号に基づいて同期検波して同期検波後角速度検出信号を出力する同期検波器55と、同期検波後角速度検出信号を平滑して各加速度を出力するローパスフィルタ56と、を備える。なお、角速度検出装置6では、検波タイミング発生器は位相シフト器22と兼用しているが、位相シフト器22とは別に、検波タイミング発生器を備えるようにしても良い。
【0151】
発振装置1と同様の構成を有する各部については説明を簡単なものとして、角速度検出装置6が発振装置1とは異なる点を中心に詳細に説明をする。
【0152】
振動子52の振動状態を検出するために、検出電極A524の信号と検出電極B525の信号とを加算アンプ53において加算して振動情報信号を得ている。振動情報信号は、振幅検出器16および振幅比較器14に入力される。そして、P/H_OUT信号とCMP1_OUT信号とを得るが、これらの信号は、発振装置におけると同様にして用いられる。
【0153】
検出電極A524から得られる信号と検出電極B525から得られる信号とを減算アンプ54において減算して角速度検出信号を得ている。そして、位相シフト器22から出力される位相シフト信号と同一の信号を同期検波タイミング信号として用いて、角速度検出信号を同期検波器55において同期検波する。すなわち、角速度検出装置6では、位相シフト器22と、同期検波タイミング信号を発生する同期検波タイミング信号発生器とが同一構成部として兼用される。同期検波器55から出力される同期検波後角速度検出信号をローパスフィルタ56で平滑化することで、角速度に相当する出力を得ることができる。
【0154】
なお、位相シフト信号と異なる位相関係を有する同期検波タイミング信号を得るために、位相シフト器22とは別に、同期検波タイミング信号発生器(図示せず)を設けるようにしても良い。なお、同期検波タイミング信号発生器は、VCO_OUT信号と比較信号とを入力とするD型フリップフロップ回路として構成するようにしても良い。
【0155】
図19は、角速度検出装置6の要部の各信号のタイミングチャートである。横軸は時間である。駆動アンプ11からの駆動信号(図19の最上段を参照)を印加された振動子52は90度位相がずれた正弦波の振動を行い、加算アンプ53から振動情報信号が検出される(図19の上から2番目を参照)。減算アンプ54から出力される角速度検出信号は角速度印加時においては、振動情報に対して90度位相がずれ、角速度に応じた振幅を有して正弦波状に変化する(図19上から3番目を参照)。位相シフト器22からの同期検波タイミング信号(図19上から4番目を参照)を用いて同期検波器55において同期検波を行って同期検波後角速度検出信号(図19上から5番目を参照)を得る。同期検波後角速度検出信号をローパスフィルタ56で平滑化することで角速度に応じた角速度信号を得ることができる。
【0156】
本実施形態の角速度検出装置によれば、振動子が振動条件を満たすような周波数と位相とを有する駆動信号の源となる問位相シフト信号を生成する。また、振動子の共振周波数が変化する場合には、追従して位相シフト信号も変化するので、振動子の共振周波数を変更してもICを再設計する必要がない。また、IC内にメモリを設けて予め周波数の設定を行う調整も無しに電源投入後からPLLモードで動作するまでのPLLの引き込みを安定に行うことが可能である。また振動子の共振周波数が温度特性に応じて変化し、経時変化で変わることがあっても、振動状態に追従して駆動信号のタイミングを生成することができるので、駆動電流も抑えることができて安定に駆動を行うことができる。
【0157】
さらに、角速度を検出するための同期検波タイミング信号は、角度検出信号と関連づけられ、さらには、振動状態を維持するように発生される位相シフト信号と関連づけられている。そして、位相シフト信号と同様に同期検波タイミング信号は、自動的に振動子の共振周波数に追従するようになされるために、振動子の共振周波数の変更を行っても、正確な位相で同期検波を行うことができる。また、振動子の共振周波数が温度特性に応じて変化し、経時変化しても正確に角速度の検出を行うことができる。
【0158】
(角速度検出装置の変形の実施形態)
上述した角速度検出装置6と、上述したすべての発振装置において述べられた技術を任意に組み合わせた無数の角速度検出装置の実施形態が実施可能である。例えば、可変利得駆動アンプを用いるか、利得制御ができない駆動アンプを用いるかは、適宜に選択して他の実施形態と組み合わせることができるものである。また、振動子を駆動する駆動信号の波形についても、適宜に選択して、他の実施形態と組み合わせることができるものである。また、VCO操作信号発生器の構成についても、そのうちの一つと他の実施形態と組み合わせることができるものである。また、位相同期ブロックについてもアナログ回路とするかデジタル回路とするかを適宜に選択して、他の実施形態と組み合わせることができるものである。また、位相シフト器は、2つのデジタル信号を入力するデジタル回路とするか、位相同期ブロックの内部におけるオフセット量の調整によって実現するようするかを適宜に選択して、他の実施形態と組み合わせることができるものである。
【0159】
以下にそのうちの一例として、角速度検出装置6と発振装置2の可変利得駆動アンプを用いる技術とを組み合わせた角速度検出装置について説明をする。図20は、角速度検出装置の変形例の角速度検出装置7のブロック図である。図20に示す角速度検出装置7の各構成部は、上述した、角速度検出装置6および発振装置2におけると同様の構成部からなっているので、同一の構成部については、それらにおけると同一の符号を付す。
【0160】
図20に示す角速度検出装置7においては、自動利得制御(AGC)が採用される。自動利得制御の動作については、発振装置2におけると同様である。CMP2_OUT信号が”H”に反転した時刻から遅延量Dに相当する時間経過後の時刻において、CMP2_OUTD信号が”L”から”H”に反転する。そして、利得制御切換器27を介して、振幅検出器16の出力側と利得制御器26の入力側とが接続され、自動利得制御ありのモード(AGC_ON: Automatic Gain Control ON)となる。そして、可変利得駆動アンプ28を制御し、振幅検出器16から出力されるP/H_OUT信号のレベルを一定とする。なお、振幅検出器16の出力側と利得制御器26の入力側とが接続されない状態は、自動利得制御なしのモード(AGC_OFF: Automatic Gain Control OFF)であり、角速度検出装置6におけると同様の動作を行う。
【0161】
このような自動利得制御ありのモードを有することによって、振動子の振動振幅は一定に保たれる。この結果として、角速度検出信号ひいては角速度信号の出力レベルと振動子に加わる角速度との関係が一定の比例関係となり、振動子自体の振幅感度(振動情報信号と駆動信号との比)が温度に応じて変化し、または、経時変化しても正確に角速度の検出を行うことができる。
【0162】
[発振装置および角速度検出装置に係る変形の実施形態]
本実施形態の発振装置は発振信号を得ることを目的とし、本実施形態の角速度検出装置は角速度を得ることを目的としており、その目的は異なる。しかしながら、角速度検出装置に用いる振動子には角速度を検出するためのセンサが設けられており、角速度検出のための回路がさらに設けられている点の異なりを除き、その駆動回路の特徴部である要部は、全く同一である。従って、発振装置と角速度検出装置に共通した種々の実施形態が可能であるので、以下に、説明をする。
【0163】
(VCO操作信号発生器の変形例)
発振装置の第1実施形態ないし第4実施形態、および角速度検出装置において用いたVCO操作信号発生器21に替えて、以下の種々の実施例を採用することが可能である。図21は、VCO操作信号発生器の種々の実施例である。図21を参照して以下に説明をする。
【0164】
図21は、VCO操作信号発生器の種々の形態を示す図である。図21(A)に示すVCO操作信号発生器21aにおいては、一方の端子を接地したコンデンサ213のもう他方の端子に電流源212を接続し、コンデンサ213に蓄積された電荷によって生じる電圧を得るものである。ボルテージフォロワとされるオペアンプ214の出力側からVCO_CNT信号を得ることができる。
【0165】
図21(B)に示すVCO操作信号発生器21bにおいては、一方の端子を接地したコンデンサ213のもう他方の端子に抵抗215の一方の端子を接続し、抵抗215の他方の端子に電圧源216を接続する。そして、コンデンサ213に蓄積された電荷によって生じる電圧をボルテージフォロワとされるオペアンプ214の出力側からVCO_CNT信号として得ることができる。
【0166】
図21(C)に示すVCO操作信号発生器21cにおいては、コンデンサ213に蓄えられた電荷を放電する放電スイッチ211を設けている。本発明の実施の形態において、発振装置、角速度検出装置がPLLモードで動作するときには、放電スイッチ制御信号(図示せず)によって放電スイッチ211をONとして、コンデンサ213に蓄積された電荷を放電する。この構成により、コンデンサ213にIC内部のリーク電流や外部からの飛び込みノイズなどの影響を受けて、コンデンサ213が予期しない電荷を蓄積することを防止できる。第1実施形態でも同様なVCO操作信号発生器を採用したが、VCO操作信号発生器21cでは放電スイッチ211をONとするタイミングは、第1実施形態において説明したように時刻t1に限ることがない。例えば、上述したように、PLLモードで動作するようにした後(時刻t2の後)、その他、適宜に定めることができるので、起動時の挿引開始周波数をより確実に一定にすることが可能となる。
【0167】
図21(D)に示すVCO操作信号発生器21dにおいては、コンデンサ213の接地していない端子と電流源212との間に設けられた切り離しスイッチ217、または、コンデンサ213の接地していない端子とオペアンプ214の入力側との間に設けられた切り離しスイッチ218、の少なくともいずれかの一方を備えている。発電装置が、他励モードで動作をする場合には、切り離しスイッチ217および切り離しスイッチ218をONとする。発電装置が、PLLモードでの動作を開始するときに、切り離しスイッチ218をOFFとしてコンデンサ213に蓄積された電荷を保持する。その後、一旦発振器の発振を停止(PLLモードでの動作を停止)して、再度発振を開始(PLLモードでの動作を開始)する場合には、VCO操作信号発生器21dは、コンデンサ213に蓄積された電荷に応じた電圧を電圧制御発振器に供給して周波数の挿引を開始する。ここで、コンデンサ213に蓄積された電荷に応じた電圧は、前回のPLLモードでの動作の開始時に電圧制御発振器に供給された電圧である。よって、PLLは速やかに同期状態となる。このように、2回目以降の発振の起動時にコンデンサ213に蓄積された電荷に応じた電圧を電圧制御発振器に供給することで、PLLが同期するまでの時間を短縮することができる。なお、電流源212を抵抗215と電圧源216との直列接続回路に置換えてもよい。
【0168】
図21(A)ないし図21(D)のいずれの回路のよっても、電源投入時に電圧制御発振器に印加する電圧を操作する手段を簡単に構成することが可能となり、IC化するに際してのチップ面積も小さくすることができるので、ICの低コスト化が実現できる。
【0169】
(追従フィルタの変形例)
図12では、発振装置の第3実施形態における追従フィルタとして、1次のスイッチドキャパシタンスフィルタの例を示して説明したが、周知の回路によってこれよりも高次の追従フィルタ(図示せず)とすることもできる。フィルタの次数を適宜に選択することで駆動波形を所望の形状に変えることも可能である。また、追従フィルタをスイッチドキャパシタンスフィルタで構成するのみではなく、基準となる周波数に同期してカットオフ周波数が変わる周知のフィルタを用いることもできる。例えば、いずれも図示しない、A/D変換器とD/A変換器との間にデジタルフィルタを挿入して、クロック周波数を位相シフト信号のN倍とすることによっても同様な効果を得ることができる。
【0170】
(振動子の他の形態)
図2に示す振動子12は、発振装置の第1実施形態ないし第5実施形態において用い得る振動子の一実施例である。また、図18に示す振動子52は、角速度検出器において用い得る振動子の一実施例である。図2では静電作用を用いた両持ち梁の振動子の一例を示し、図18では圧電作用を用いた片持ち梁の振動子の一例を示した。振動子の形態は、これに限られるものではない。例えば、静電作用、圧電作用を用いる以外にも、電磁作用によって振動ビームの駆動を行うようにしても良い。また、振動状態の検出に関しては、圧電作用、電磁作用、ピエゾ抵抗等によって、駆動情報信号の検出を行うようにしても良い。
【0171】
(位相シフト信号を得るための変形の実施形態)CMP1_OUT信号に対して位相差を有する位相シフト信号を生成する別の手法について説明をする。フィードバック制御系として機能する位相同期ブロック15におけるオフセット量の調整によっても、比較信号と位相シフト信号との間の位相差を(+)方向、(-)方向のいずれの方向にも任意の度数異ならせることができる。具体的には、図示はしないが、以下のようにして位相差の設定を行う。電圧制御発振器151の入力側に対して、オフセット電圧が加算されない状態では、オフセット量は零であり、CMP1_OUT信号のエッジの発生タイミングと比較信号のエッジの発生タイミングとは一致する。すなわち、比較信号と位相シフト信号との間の位相差は一定である。
【0172】
このときに、電圧制御発振器151の入力側に対して、オフセット電圧を加算すれば、オフセット電圧に応じてCMP1_OUT信号のエッジと比較信号のエッジとの間に位相差が生じる。この位相差(オフセット量)の大きさは、オフセット電圧の大きさに応じて大きくなる。この位相差の極性(進位相であるか遅位相であるか)は、オフセット電圧の極性に応じたものであり、オフセット電圧を正電圧に設定するか、オフセット電圧を負電圧に設定するかによって、位相差の極性は容易に定め得るものである。なお、ICの内部にD/Aコンバータ(図示せず)を用いたオフセット電圧発生器を構成すれば、デジタル制御によって、ICの外部から、比較信号と位相シフト信号との間の位相差を容易に任意の値に設定できる。
【0173】
このようにしてオフセット電圧を調整して比較信号と位相シフト信号との間に位相差を生じさせる場合には、分周器152と位相シフト器22とを設けることなく、直接にVCO_OUT信号と比較信号との位相比較を位相比較器153で行い、VCO_OUT信号をそのまま、位相シフト信号として用いるようにすることもできる。この場合には、分周器152は1/1の分周比を有する分周器とし、位相シフト器22は、VCO_OUT信号を位相シフト信号に置換え、電圧制御発振器151の入力側に対して、オフセット電圧を加算する手段に置換えたものと考えることができる。
【0174】
要は、CMP1_OUT信号に対して、所望の発振条件を得るための位相差を有する位相シフト信号を生成する位相シフト生成器であれば、位相シフト器22に限らず、すべての実施形態において実施可能である。同期検波タイミング信号を発生する同期検波タイミング信号についても同様にして実施が可能である。
【0175】
(アナログ方式とデジタル方式の互換性)
位相同期ブロックの各実施形態における互換性について説明をする。電圧制御発振器151とDC0451とは、いずれも「制御発振器」として機能する点で変わりはない。電圧制御発振器151はアナログ電圧である位相差電圧によって制御され、DC0451はデジタル信号である電圧に対応するmビットの位相差情報信号によって制御される点に差異があるのである。ここで、「位相差情報信号」は「位相差電圧」も含むより広い概念である。
【0176】
位相比較器153とTDC453とは、いずれも「位相比較器」として機能する点に変わりはない。位相比較器153は位相差をパルス幅として出力し、TDC453は位相差をmビットのデジタルデータとして出力する点に差異があるのである。ループフィルタ154とデジタルフィルタ454とは、いずれも、低域濾波器として構成され、「ループフィルタ」として機能する点に変わりはない。よって、上述した実施形態において、デジタル方式の位相同期ブロックとアナログ方式の位相同期ブロックを適宜に組み合わせて、発振装置、角速度検出装置において実施できる。
【0177】
また、VCO操作切換器20とデジタルセレクタ40とは、いずれも「操作切換器」として機能する点に変わりはない。VCO操作切換器20はアナログ電圧を切り替え、デジタルセレクタ40はmビットのデジタルデータを切換える点に差異があるのである。
【0178】
また、VCO操作信号発生器21とカウンタ41とは、いずれも「操作信号発生器」として機能する点に変わりはない。VCO操作信号発生器21はアナログ信号であるVCO_CNT信号を発生し、カウンタ41はmビットデータであるカウンタ出力信号を発生する点に差異がある。しかしながら、VCO_CNT信号とカウンタ出力信号とは、いずれも時間の経過に応じて、そのレベルが変化する「操作信号」である点では差異はない。また、CMP2_OUT信号(操作切換器制御信号)によってVCO操作信号発生器21とカウンタ41とのいずれもが、切替えの制御がされる点においても差異はない。
【0179】
また、操作切換器制御信号は、位相同期ブロックをPLL回路として動作させる際に、キャプチャレンジ(引込可能な周波数範囲)の範囲内の周波数で、制御発振器(電圧制御発振器151またはDCO451)が発振していることを感知する信号であればどのようなものでも良いものである。例えば、位相同期ブロックのキャプチャレンジの端の限界の周波数において検出されるP/H_OUT信号(ピークホールド出力信号)の値よりも若干大きい値の信号を引込振幅閾値信号とする。このようにすれば、位相同期ブロックがキャプチャレンジ内で動作を開始した時点において、信号のレベルが反転するCMP2_OUT信号を操作切換器制御信号として用いるようにすることができるのである。
【0180】
また、CMP1_OUT信号(第1コンパレータ出力信号)と比較信号との周波数の差は、キャプチャレンジにどれぐらい近いかを示す信号でもある。ループフィルタから出力される位相差情報信号の周波数を検出する周波数検出回路(図示せず)を設けて、この周波数検出回路で検出する周波数が、予め定める周波数以下となる場合に、キャプチャレンジ内であると判断できる。そして、この周波数検出回路で検出する周波数が所定周波数となった場合に反転する出力信号を操作切換器制御信号として用いるようにすることができる。このような操作切換器制御信号を用いることによって、安定して高速にPLLモードに移行することができる。
【0181】
(その他の変形の実施形態)
上述した発振装置の第1実施形態ないし第5実施形態および角速度装置ならびにこれらの変形の実施形態において述べられた技術を任意に組み合わせた無数の実施形態が実施可能である。以下にそのうちのいくつかを例示する。可変利得駆動アンプを用いるか、利得制御ができない駆動アンプを用いるかは、適宜に選択して他の実施形態と組み合わせることができるものである。
【0182】
また、振動子を駆動する駆動信号の波形についても、適宜に選択して、他の実施形態と組み合わせることができるものである。また、波形発生器およびD/A変換器を付加することは、上述したすべての実施形態における作用効果を阻害することなく実施可能である。また、VCO操作信号発生器の構成についても、そのうちの一つと他の実施形態と組み合わせることができるものである。
【0183】
また、位相同期ブロックについてもアナログ回路とするかデジタル回路とするかを適宜に選択して、他の実施形態と組み合わせることができるものである。つまり、アナログ回路であれ、デジタル回路であれ、両者の位相同期ブロックとしての基本的機能は、上述したように大きく異なるものではないので、他の実施形態と組み合わせることができるのである。
【0184】
また、位相シフト器は、2つのデジタル信号を入力するデジタル回路とするか、位相同期ブロックの内部におけるオフセット量の調整によって実現するようするかを適宜に選択して、他の実施形態と組み合わせることができるものである。
【符号の説明】
【0185】
1、2、3、4、5 発振装置
6、7 角速度検出装置
11 駆動アンプ
12 振動子
13 検出アンプ
14 振幅比較器
15 位相同期ブロック
16 振幅検出器
17 電圧源
18 振幅比較器
20 VCO操作切換器(操作切換器、電圧制御発振器操作切換器)
21、21a、21b、21c、21d VCO操作信号発生器(操作信号発生器、制御発振器操作信号発生器)
22 位相シフト器
25 遅延器
26 利得制御器
27 利得制御切換器
28 可変利得駆動アンプ
29 追従フィルタ
30 波形発生器
31 D/A変換器(デジタルアナログ変換器)
40 デジタルセレクタ(操作切換器)
41 カウンタ(操作信号発生器)
45 位相同期ブロック
52 振動子
53 加算アンプ
54 減算アンプ
55 同期検波器
56 ローパスフィルタ
121 振動ビーム
122 固定部
123 駆動電極
124 検出電極
151 電圧制御発振器(制御発振器)
152 分周器
153 位相比較器
154 ループフィルタ
211 放電スイッチ
212 電流源
213 コンデンサ
214 オペアンプ
215 抵抗
216 電圧源
217、218 スイッチ
221 位相シフト器
222 フリップフロップ回路
290 オペアンプ
291、292、293、294 スイッチ
295 入力コンデンサ
296 出力コンデンサ
451 デジタルコントロールドオシュレータ(DOC)(制御発振器)
453 タイムデジタルコンバータ(TDC)(位相比較器)
454 デジタルフィルタ(ループフィルタ)
521 振動ビーム
523 駆動電極
526 圧電膜
524 検出電極A
525 検出電極B
2210 オペアンプ
2214 コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動信号が印加されて振動する振動子と、
前記振動子の振動状態を振動情報信号として検出する検出アンプと、
前記振動情報を2値化して第1コンパレータ出力信号を出力する第1振幅比較器と、
制御発振器入力信号に応じて周波数が変化する制御発振器出力信号を出力する制御発振器と、前記第1コンパレータ出力信号と前記制御発振器出力信号を基に生成した比較信号との位相差に応じた位相差信号を出力する位相比較器と、前記位相差信号の低域成分である位相差情報信号を出力するループフィルタと、を有して形成される位相同期ブロックと、
前記振動子が発振するように、前記比較信号に対して予め定める位相差を有する位相シフト信号を出力する位相シフト器と、
前記位相シフト信号を入力して前記駆動信号を出力する駆動アンプと、
時間経過に応じてレベルが変化する操作信号を出力する操作信号発生器と、
前記制御発振器入力信号として前記操作信号を選択し、前記制御発振器出力信号の周波数がキャプチャレンジの範囲となったときに、前記制御発振器入力信号として前記位相差情報信号を選択する操作切換器と、を備える、
発振装置。
【請求項2】
前記振動情報信号の振幅値をピークホールド出力信号として検出する振幅検出器と、
前記ピークホールド出力信号が引込振幅閾値信号を超えたときに極性が反転して、前記制御発振器入力信号として前記位相差情報信号を選択する第2コンパレータ出力信号を出力する第2振幅比較器と、備え、
前記引込振幅閾値信号は、前記キャプチャレンジの範囲となったときに、前記第2コンパレータ出力信号を反転するように予め定められ、
前記第2コンパレータ出力信号によって前記操作切換器を制御する、
請求項1に記載の発振装置。
【請求項3】
前記駆動アンプは利得が変化する可変利得駆動アンプとして構成され、
前記可変利得駆動アンプの利得を制御して前記ピークホールド出力信号の大きさを一定値とする利得制御器を有するフィードバックループを具備し、
前記制御発振器入力信号として前記前記位相差情報信号を選択してから所定の時間が経過した後に、前記フィードバックループを動作させる、
請求項1または請求項2に記載の発振装置。
【請求項4】
前記制御発振器は、制御発振器入力信号がアナログ電圧とされる電圧制御発振器として構成され、
前記位相比較器は、前記第1コンパレータ出力信号と前記制御発振器出力信号から得られる比較信号との位相差に応じてパルス幅が変化するように構成され、
前記ループフィルタは、アナログフィルタとして構成され、
前記操作信号はアナログ信号とされ、前記操作切換器は、アナログスイッチとして構成される、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の発振装置。
【請求項5】
前記制御発振器は、制御発振器入力信号がデジタル信号とされるデジタルコントロールドオシュレータとして構成され、
前記位相比較器は、前記第1コンパレータ出力信号と前記制御発振器出力信号から得られる比較信号との位相差に応じたデジタルデータを出力するタイムデジタルコンバータとして構成され、
前記ループフィルタは、デジタルデータを入力してデジタルデータを出力するデジタルフィルタとして構成され、
前記操作信号はデジタルデータとされ、前記操作切換器は、デジタルセレクタとして構成される、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の発振装置。
【請求項6】
カットオフ周波数を前記位相シフト信号の周波数に追従させ、前記振動子に印加される前記駆動信号の波形を整形する追従フィルタを備え、
前記追従フィルタは、前記位相シフト器から前記振動子までの間に配される、
請求項1〜5のいずれか項に記載の発振装置。
【請求項7】
所定形状の繰返波形を前記位相シフト器の周波数に同期して発生する波形発生器と、前記波形発生器からのデジタルデータをアナログ信号に変換するデジタルアナログ変換器と、を備え、
前記波形発生器と前記デジタルアナログ変換器とは、前記位相シフト器と前記駆動アンプとの間に配される、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の発振装置。
【請求項8】
前記操作信号発生器は、
一端が接地されたコンデンサと、
前記コンデンサの他端に接続される電荷供給手段と、
前記コンデンサの両端に生じる電圧を出力するバッファアンプと、
前記コンデンサに並列に接続された放電スイッチと、を備え、
前記放電スイッチを切断することによって、前記時間経過に応じてレベルが変化する操作信号の出力を開始する、
請求項4に記載の発振装置。
【請求項9】
前記操作信号発生器は、
前記操作切換器が前記制御発振器入力信号として前記ループフィルタから出力される前記位相差情報信号を選択しているときには前記放電スイッチを切断する、
請求項4に記載の発振装置。
【請求項10】
前記操作信号発生器は、
一端が接地されたコンデンサと、
前記コンデンサの他端に一端が接続される切り離しスイッチと、
前記切り離しスイッチの他端に接続される電荷供給手段と、
前記コンデンサの両端に生じる電圧を出力するバッファアンプと、を備え、
前記操作切換器が前記制御発振器入力信号として該操作信号発生器から出力される前記操作信号を選択しているときには前記切り離しスイッチを導通し、
前記操作切換器が、前記制御発振器入力信号として前記ループフィルタから出力される前記位相差情報信号を選択しているときには前記切り離しスイッチを切断する、
請求項4に記載の発振装置。
【請求項11】
駆動信号が印加されて振動する振動子と、
前記振動子の振動状態を振動情報信号として検出する第1検出アンプと、
前記振動情報を2値化して第1コンパレータ出力信号を出力する第1振幅比較器と、
制御発振器入力信号に応じて周波数が変化する制御発振器出力信号を出力する制御発振器と、前記第1コンパレータ出力信号と前記制御発振器出力信号を基に生成した比較信号との位相差に応じた位相差信号を出力する位相比較器と、前記位相差信号の低域成分である位相差情報信号を出力するループフィルタと、を有して形成される位相同期ブロックと、
前記振動子が発振するように、前記比較信号に対して予め定める位相差を有する位相シフト信号を出力する位相シフト器と、
前記位相シフト信号を入力して前記駆動信号を出力する駆動アンプと、
時間経過に応じてレベルが変化する操作信号を出力する操作信号発生器と、
前記制御発振器入力信号として前記操作信号を選択し、前記制御発振器出力信号の周波数がキャプチャレンジの範囲となったときに、前記制御発振器入力信号として前記位相差情報信号を選択する操作切換器と、を備え、
さらに、
コリオリ力による前記振動子の変位に応じた角速度検出信号を検出する第2検出アンプと、
前記比較信号に対して予め定める位相差を有する同期検波タイミング信号を発生する検波タイミング発生器と、
前記角速度検出信号を前記同期検波タイミング信号に基づいて同期検波して同期検波後角速度検出信号を出力する同期検波器と、
前記同期検波後角速度検出信号を平滑して各加速度を出力するローパスフィルタと、を具備する、
角速度検出装置。
【請求項12】
前記振動情報信号の振幅値をピークホールド出力信号として検出する振幅検出器と、
前記ピークホールド出力信号が引込振幅閾値信号を超えたときに極性が反転して、前記制御発振器入力信号として前記位相差情報信号を選択する第2コンパレータ出力信号を出力する第2振幅比較器と、備え、
前記引込振幅閾値信号は、前記キャプチャレンジの範囲となったときに、前記第2コンパレータ出力信号を反転するように予め定められ、
前記第2コンパレータ出力信号によって前記操作切換器を制御する、
請求項11に記載の角速度検出器。
【請求項13】
前記駆動アンプは利得が変化する可変利得駆動アンプとして構成され、
前記可変利得駆動アンプの利得を制御して前記ピークホールド出力信号の大きさを一定値とする利得制御器を有するフィードバックループを具備し、
前記制御発振器入力信号として前記前記位相差情報信号を選択してから所定の時間が経過した後に、前記フィードバックループを動作させる、
請求項11または請求項12に記載の角速度検出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−13529(P2012−13529A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150134(P2010−150134)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】