説明

発泡可能な反応性樹脂を含む支持材の成形体

本発明は、下記の工程:a)発泡可能な反応性樹脂を支持材に導入する工程、およびb)前記発泡可能な反応性樹脂を含む前記支持材を圧縮変形する工程を含むプロセスによって製造され得る成形体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡可能な反応性樹脂を含む支持材から製造され得る成形体(ただし、これらの材料は圧縮工程に供される)、同様にまた、そのような成形体のための製造プロセス(製造方法)に関する。本発明はさらに、そのような成形体を含むパネル、ならびに、航空機の組み立てを含む輸送手段の構造体におけるか、あるいは、防火層としてのこれらの成形体および/またはそのようなパネルの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第19640887号は、含水性の繊維強化ケイ酸ナトリウムの少なくとも1つの層Iと、柔軟な連続気泡フォーム、より具体的には、メラミン/ホルムアルデヒド樹脂の少なくとも1つの層IIとを有する平坦な防火材に関する。この防火材の製造において、層Iおよび層IIが互いに別々に配置される。この防火材はまた、2つ以上の層Iおよび層IIを交互に含むことができる。この防火材は典型的には、エポキシ樹脂の被覆により包まれ、また、保護層、例えば、アルミニウム箔、または、ポリエステル、ポリエチレンもしくはポリ塩化ビニルのフィルム、または、紙のシートなどが重ねられる。しかしながら、独国特許出願公開第19640887号は、発泡可能な反応性樹脂を柔軟な連続気泡フォームに導入すること、および、続いて、その柔軟な連続気泡フォームを圧縮変形工程に供することを開示していない。
【0003】
独国特許出願公開第4211762号は、構築物開口部(例えば、接続部、壁を突き抜ける通路、または、構成部品間のすき間など)の防火シーリングのために意図される、可燃性が低いか、または、可燃性が全くないフォーム異形材を開示する。その空隙において、および/または、その表面のすべてにわたって、このフォーム異形材は、火災時に膨張し、かつ、断熱層を形成する物質(例えば、膨張性黒鉛、ケイ酸塩またはポリウレタン(PU)など)を含む。
【0004】
使用されるフォーム材料は、例えば、メラミン樹脂フォームである。断熱層を形成する物質はさらに、窒素を含む膨張材の場合にはポリ酢酸ビニル分散物を含むことができ、また、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液の場合にはラテックス分散物を含むことができる。これらのフォーム異形材は、フォームに、断熱層を形成する膨張性物質を含浸すること、および/または、フォームを、断熱層を形成する膨張性物質によりすべての面に被覆することによって製造される。含浸を、例えば、フォームを、好ましくはディップロールまたはスクイズロールの助けをかりて、断熱層を形成する物質の溶液または分散物に沈め、その後、過剰な溶液または分散物を除くために圧搾し、続いて乾燥することによって行うことができる。含浸度を、ロール圧を変化させることによって変化させることができる。しかしながら、独国特許出願公開第4211762号は、発泡可能な反応性樹脂を含む支持材の圧縮変形工程を何ら記載していない。硬化手順の後、このプロセスでは、基本的には脆く、硬い材料が得られる。それに記載されるフォーム異形材は、輸送手段の組み立て(構造体)において使用されるための軽量な成形体としては適していない。
【0005】
国際公開第2005/095728号は、断熱性コア材を有する2つの金属シートを含み、膨張性組成物を伴う防火層が、断熱性コア材と、金属シートの少なくとも1つとの間に導入されている、外面の断熱・仕上げシステムに関する。使用される防火層は、例えば、耐熱性メラミン樹脂フォーム(例えば、Basotect(登録商標)など)、または、ゲル化されたアルカリ金属ケイ酸塩溶液を含む防火用積層体(例えば、Palusol(登録商標)など)であり得る。後者は膨張性組成物としてもまた認められ、例えば、ポリウレタン樹脂またはエポキシ樹脂に基づく接着剤、同様にまた、分散物に基づく樹脂(例えば、アクリラート分散物など)をさらに含むことができる。さらに、添加物(例えば、膨張性黒鉛またはメラミン化合物など)を防火層(すなわち、メラミン樹脂フォームまたは膨張性組成物)に加えることができる。しかしながら、国際公開第2005/095728号はどこにも、ポリウレタン樹脂またはエポキシ樹脂に基づく接着剤を支持材(メラミン樹脂フォーム)に導入すること、および、続いて、支持材を圧縮変形工程に供することを開示していない。
【0006】
欧州特許出願公開第0672524号は、連続気泡の熱硬化フォーム(例えば、メラミン/ホルムアルデヒド樹脂)から構成されるボードの両側の面に、引張り強さが大きい薄い外側層を重ねることによって、寸法安定性の吸音性構成材料を製造する方法に関する。水性懸濁物の形態でのバインダーがフォームボードの表面に塗布され、外側層がその上に置かれ、組み立て物が50℃〜250℃の間の温度および2bar〜200barの圧力での圧縮に供される。好適なバインダーには、およそ50%の水性懸濁物の形態で使用される硬化性縮合樹脂(例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂およびフェノール樹脂など)が含まれる。
【0007】
07120027.3の番号を有する本出願人による独国特許出願において、少なくとも1つの支持材と、少なくとも1つの化合物(例えば、膨張性組成物またはケイ酸塩化合物など)と、少なくとも1つのビニル芳香族モノマーから調製され得る少なくとも1つのポリマーとを含む層(A)が開示される。この層はコアに適用することができ、例えば、接着剤層として、または、燃焼防止層として好適であり、同様にまた、サンドイッチパネルにおいて耐炎性を改善するために好適である。そのうえ、この層は、1層または2層の外側層をさらに含む、外面の断熱・仕上げシステムの一部となり得る。この層(A)には、上記の構成成分のほかに、ポリウレタンまたはエポキシドに基づく接着剤もまた存在する場合がある。しかしながら、その特許出願は、記載される層が圧縮変形工程に供されることを開示しておらず、また、接着剤が発泡性の反応性樹脂であることを開示しておらず、また、反応性樹脂が、適するならば、水の非存在下で支持材に導入されることを開示していない。
【0008】
プラスチック(例えば、ポリプロピレンまたはポリカーボネートなど)またはアラミド繊維(Nomex紙)から作製される場合、ハニカム材は、大きい機械的強度と、比較的低い重量とを併せ持つ材料であり、より具体的には航空宇宙産業において、尾翼または翼において使用される(ドイツ語版「Wikipedia」からのインターネット抜粋(「Wabe」、「Honeycomb」および「Aramid」についての項目においてwww.de.wikipedia.org.)を参照のこと)。アラミド、すなわち、芳香族ポリアミド(ポリアラミド)は、米国連邦取引委員会からの定義によれば、アミド基の少なくとも85%が2つの芳香族環に直接に結合する長鎖の合成ポリアミドである。アラミド繊維が、「Nomex」または「Kevlar」の商品名で販売されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許出願公開第19640887号
【特許文献2】独国特許出願公開第4211762号
【特許文献3】国際公開第2005/095728号
【特許文献4】欧州特許出願公開第0672524号
【特許文献5】独国特許出願第07120027.3号
【特許文献6】国際公開第01/94436号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】ドイツ語版「Wikipedia」(www.de.wikipedia.org.、「Wabe」、「Honeycomb」および「Aramid」についての項目)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明によって検討される課題は、一方で、重量において軽く、しかし、他方で、同様に安定であり、かつ、輸送手段の組み立てにおいて、より具体的には、航空機用途および鉄道用途において軽量の構成成分として使用することができる新しい成形体を提供するという課題である。この課題が、下記の工程を含むプロセス(方法)によって製造され得る成形体によって解決される:
a)発泡可能な反応性樹脂を支持材に導入する工程、および
b)発泡可能な反応性樹脂を含む支持材を圧縮変形する工程。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の成形体が、自動化され得るプロセスで製造することができ、かつ、改善された機械的特性を有することが本発明の利点である。従って、本発明の成形体は、良好な曲げ強さおよび引張り強さ、同様にまた、大きい安定した変形性を特徴とする。さらに、成形体の密度が低く、成形体の重量が軽く、かつ、成形体の可燃性が低く、従って、本発明の成形体はまた、防火層として使用することができる。発泡可能な反応性樹脂が支持材において勾配の形態で分布する成形体が特に有利である。その場合、例えば、支持材の内側(コア)が、(より少ない発泡可能な反応性樹脂を含むので)極めて軽く、一方、支持材の端が、(より多くの発泡可能な反応性樹脂を含むので)コアよりも重い。代替となる選択肢が、支持材が、発泡可能な反応性樹脂をその平坦な面の1つにほとんど含まないか、または、全く含まず、非常に高濃度の発泡可能な反応性樹脂をその反対側の面に含む反応性樹脂の勾配を設定することである。本発明の成形体のこの特定の利点に対する理由は、本発明のプロセスによって、成形体はいずれかの所望される形態を容易に呈することができ、かつ、その形態が同時に、非常に安定であるということである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
下記では、本発明の成形体および本発明の成形体を製造するためのプロセスがより詳しく明らかにされる。本発明の成形体は好ましくは、平坦な成形体、すなわち、第3の大きさ(厚さ)が第1の大きさ(長さ)および第2の大きさ(幅)よりも小さい成形体である。成形体だけでなく、成形体を製造するためのプロセスもまた、本発明の主題である。本発明の成形体は、下記の工程を含むプロセスによって製造され得る。
【0014】
a)発泡可能な反応性樹脂を支持材に導入する工程
【0015】
工程a)において、発泡可能な反応性樹脂を含み、ハイブリッドフォームとしてもまた示される支持材が製造される。適するならば、2つ以上の異なる発泡可能な反応性樹脂が支持材に導入されることもまた可能である。
【0016】
支持材としての好適性を、原理的には、当業者には知られている、支持体、マトリックスまたは枠組みとして使用され得る平坦な材料のすべてが有する。支持材は好ましくは、大きい吸収性を有する。支持材は原理的には、任意の所望される形態または厚さで配置され得る。好ましくは、平坦な支持材は、第3の大きさ(厚さ)が支持材の第1の大きさ(長さ)および第2の大きさ(幅)よりも小さいボード形式のものである。平坦な支持材の長さおよび幅は同じであってもよく、または、異なってもよい。支持材の厚さは、一般に、使用される材料の性質に依存しており、通常的には0.1mm〜50mmの間であり、好ましくは1mm〜20mmの間である。
【0017】
好ましい支持材が、連続気泡フォーム、織布、繊維、綿織物、ガラスウール、鉱物ウール、板紙、段ボール板紙、メラミン樹脂繊維または他のフォームから選択される。
【0018】
より好ましいことが、連続気泡フォームを支持材として使用することである。好適な連続気泡フォームが、メラミン樹脂フォーム(例えば、Basotect(登録商標)の名称で市販されている)、PIR(ポリイソシアヌラート)、ポリイミドフォーム、または、無機物に基づくフォーム(例として、リン酸アルミニウム、ケイ酸塩、炭化フォームまたはセラミック化フォームが挙げられる)である。特に好ましいものが、メラミン樹脂フォームである。メラミン樹脂フォームおよびその調製プロセスが、例えば、国際公開第01/94436号に記載される。
【0019】
本発明の1つの実施形態では、支持材として、25g/l以下の密度および/または10μm〜1000μmの間の細孔サイズ(好ましくは、50μm〜300μmの間の細孔サイズ)を有する連続気泡フォームが使用される。この実施形態において、連続気泡フォームは好ましくは、メラミン樹脂フォームである。
【0020】
発泡可能な反応性樹脂としての使用に好適なものが、原理的には、発泡性を有する、当業者には知られているすべてのそのような反応性樹脂である。発泡可能な反応性樹脂は好ましくは、少なくとも1つの(発泡可能な)ポリウレタン樹脂(PU樹脂)、(発泡可能な)ポリエステル樹脂または(発泡可能な)エポキシ樹脂から選択される。より具体的には、発泡可能な反応性樹脂はポリウレタン樹脂である。好適なポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂またはエポキシ樹脂が当業者には知られている。そのような樹脂が、例えば、Roemppオンライン、Version3.0(Georg Thieme Verlag;2007)において、(不飽和)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンまたはエポキシ樹脂に関する項目で開示される。
【0021】
ポリウレタン樹脂によって、本発明の目的のためには、より具体的には、ポリウレタンに基づく樹脂が意味される。ポリウレタン樹脂は、主に、モノグリセリドおよびジグリセリドの混合物を与えるためにグリセロールと最初にエステル交換される自然乾燥オイル(トリグリセリド、不飽和脂肪酸)から得られる。得られる生成物がその後、イソシアナート基をもはや何ら含有せず、アルキド樹脂の様式と類似する様式で乾燥され、かつ、空気酸化により硬化するポリウレタンを得るために、イソシナート対ヒドロキシル基の物質量比が1:1以下でジイソシアナート(好ましくは、ジイソシアナトトルエン)と反応させられる。代替では、ポリウレタン樹脂は、ジイソシアナートと、不飽和酸(例えば、トール油)により部分的にエステル化されたポリアルコール(グリセロール、ペンタエリトリトール)とから調製することができる。
【0022】
ポリエステル樹脂によって、本発明の目的のためには、好ましくは、不飽和ポリエステル樹脂が意味される。より具体的には、ポリエステル樹脂は、適用の過程で、熱硬化組成物を形成するために重合および架橋による硬化を受ける、不飽和ジカルボン酸(例えば、マレイン酸またはフマル酸など)と、主として、二価アルコール(例えば、エチレングリコールおよびプロパン−1,2−ジオールなど)とから調製される不飽和ポリエステルに基づく反応性樹脂である。それらの調製の過程において、さらなる成分として、共重合可能なモノマー(スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、メタクリル酸メチルなど)を溶媒または希釈剤として使用することができ、二官能性モノマー(例えば、ジビニルベンゼン、フタル酸ジアリル)を架橋剤および硬化剤(重合開始剤、例えば、過酸化物)として使用することができ、また、促進剤、顔料、可塑剤、帯電防止剤、充填剤および強化剤(有機系繊維または無機系繊維)を使用することができる。
【0023】
エポキシ樹脂によって、本発明の目的のためには、好ましくは、熱硬化物を製造するために使用され得る、分子あたり2つ以上のエポキシド基を有するオリゴマー化合物だけでなく、対応する熱硬化物自体もまた意味される。熱硬化物へのエポキシ樹脂の変換が、好適な硬化剤との重付加反応によって、および/または、エポキシド基を介する重合によって達成される。エポキシ樹脂は好ましくは、ビスフェノールA(芳香族ジヒドロキシ化合物)をアルカリ性媒体においてエピクロロヒドリンと反応させて、鎖状の化合物を形成することにより調製される。
【0024】
本発明の関連において使用される発泡可能な反応性樹脂は一般に、発泡可能な反応性樹脂が支持材に導入されるとき、より具体的には、ロール取り込みの少なくとも1つの工程の後で、その発泡作用を示す。発泡可能な反応性樹脂の特徴は、発泡可能な反応性樹脂が、他の樹脂よりも迅速に、および/または、他の樹脂よりも低い温度で硬化し得ることである。好ましくは、発泡可能な反応性樹脂は、150℃未満の温度で、より具体的には100℃未満の温度で、および/または、5分以下の時間の長さで、より具体的には1分以下の時間の長さで硬化可能である。例えば、欧州特許出願公開第0672524号に開示される種類の硬化性縮合樹脂はそれほど迅速に硬化させることができず、および/または、より高い温度で硬化させなければならない。
【0025】
例えば、欧州特許出願公開第0672524号に記載される硬化性縮合樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂およびフェノール樹脂は、バインダーとして使用されるが、本発明による発泡可能な反応性樹脂の定義には含まれない。
【0026】
発泡可能な反応性樹脂は、当業者には知られている方法のいずれかによって、例えば、発泡可能な反応性樹脂を支持材に含浸することなどによって支持材に導入することができる。代替では、支持材(の表面)にはまた、発泡可能な反応性樹脂を噴霧することができる。通常、発泡可能な反応性樹脂は最大の均一性とともに適用され、使用される発泡可能な反応性樹脂の量(ml単位での体積)が、グラム単位での支持材の量のおよそ1倍〜10倍に対応する。本発明のプロセスは、支持材を、発泡可能な反応性樹脂を含む含浸溶液に完全に沈めることによって行うことができ、または、支持材の1つの平坦な面だけが沈められる。続いて、適するならば、支持材の反対側の面を同じ含浸溶液または異なる含浸溶液に同様に沈めることができる。この方法は、例えば、下記で記載される反応性樹脂の勾配を設定するために使用することができる。適するならば、含浸工程(導入)を繰り返すことができる。同じことが、発泡可能な反応性樹脂を支持材に噴霧することに対して、または、発泡可能な反応性樹脂を支持材に導入する他の方法に対して、必要な変更を加えて適用される。
【0027】
本発明の1つの実施形態において、発泡可能な反応性樹脂(より具体的には、ポリウレタン樹脂)は、工程a)が行われる前に直接に調製される。その場合、当業者に知られている方法を使用して、発泡可能な反応性樹脂が、(2つの)液状反応物を混合することによって調製され、好ましくは、発泡剤が加えられる。ポリウレタン樹脂が使用されている場合、発泡剤はまた、水であり得る。その直後に、発泡可能な反応性樹脂が、例えば、支持材への噴霧塗布、および、適するならば、その後のローラー、または、支持材へのロール取り込みによって支持材に導入される。代替では、発泡可能な反応性樹脂を、実際には支持材においてそれぞれの反応物から調製することができる。従って、そのような実施形態では、支持材に導入されるのは、調製済みの反応性樹脂ではなく、むしろ、反応性の樹脂反応物である。
【0028】
本発明の1つの実施形態において、工程a)が水の非存在下で行われる。水の非存在によって、本発明の目的のためには、使用される発泡可能な反応性樹脂の量に基づいて、2重量%以下の水、好ましくは0.5重量%以下の水、より具体的には0.1重量%以下の水が、工程a)で得られる製造物に含有され得ることが意味される。この残留水は、それらの調製プロセスのために、例えば、それぞれの反応物に存在し得る。この実施形態は、好ましくは、発泡可能な反応性樹脂が少なくとも1つのポリエステル樹脂またはエポキシ樹脂から選択されるときに用いることができる。
【0029】
発泡可能な反応性樹脂を支持材に(例えば、含浸または噴霧によって)導入した後、1つまたは複数の変形工程を行うことが好ましく、この場合、反応性樹脂が、好適なツール(例えば、ロール)の使用により支持材にロール取り込みされる。これらの工程は、適するならば、例えば、多数のローリング工程(例えば、激しさおよび/または持続期間が異なる工程を含む)との交互での多数回の含浸などによって、何回も繰り返すことができる。ローリングは、例えば、所望される量の発泡可能な反応性樹脂が支持材に存在するまで、過剰な発泡可能な反応性樹脂を除くという効果を有し得る。工程a)において、製造物は好ましくは、20g/l〜400g/lの全体的密度(OD)を有するハイブリッドフォーム(反応性樹脂を含む支持材)である。適するならば、より大きい全体的密度のものを製造することもまた可能である。
【0030】
このプロセスで製造されるハイブリッドフォームの性質は、使用される発泡可能な反応性樹脂(例えば、ポリウレタンシステム)と、設定される全体的密度との産物である。
【0031】
本発明の1つの好ましい実施形態において、発泡可能な反応性樹脂は支持材において勾配の形態を取る。この場合、発泡可能な反応性樹脂は、支持材の内部の方が(平坦な)支持材の端よりも少ない。その結果、支持材の内部(コア)は、重量において、支持材の端よりも軽い。この種の勾配を、例えば、工程a)を多数回繰り返すことによって、より具体的には、多数回の含浸、および、適するならば、多数回のローリングによって設定することができる。代替となる選択肢が、支持材が発泡可能な反応性樹脂を支持材の1つの平坦な面にほとんど含まないか、または、全く含まず、非常に高濃度の発泡可能な反応性樹脂を支持材のその反対側の面に含む、反応性樹脂の勾配を設定することである。
【0032】
ハイブリッドフォームは、加えて、添加物をさらに含むことができる。好適な添加物の例には、難燃剤が含まれ、例えば、膨張性組成物、アルカリ金属ケイ酸塩、メラミン、メラミンポリホスファート、メラミンシアヌラート、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ポリリン酸アンモニウム、有機ホスファート、そうでなければ、難燃性ハロゲン化合物などが含まれる。同様に、添加物として好適なものが、可塑剤、核形成剤、IR吸収剤(例えば、カーボンブラックおよび黒鉛など)、酸化アルミニウム粉末またはAl(OH)、可溶性色素および不溶性色素、殺生物剤活性を有する物質(例えば、殺真菌剤など)、ならびに、顔料である。
【0033】
ハイブリッドフォームはまた、適するならば、さらなる有機粒子または無機粒子より強化され得る。そのような粒子を導入する最良の方法が、発泡可能な反応性樹脂とのブレンド配合物の形態においてである。好適な強化用充填剤の例が下記の通りである:短いガラス繊維、タルク、チョークまたは他の鉱物、ナノチューブ、フィロケイ酸塩あるいは炭素繊維。
【0034】
b)発泡可能な反応性樹脂を含む支持材(ハイブリッドフォーム)を圧縮変形する工程
【0035】
「圧縮変形」または「圧縮変形工程」(工程b))という用語は、本発明の目的のためには、発泡可能な反応性樹脂を含む支持材(ハイブリッドフォーム)を高い圧力および高い温度で処理することを示す。当業者には知られており、好ましくは加熱され得る好適な鋳型が使用され、その形状により、製造される成形体の造形が決定される。この場合、例えば、広範囲の様々な異なる外観および/または厚さを有する加工品(成形体)を製造するための特別に形状化された表面を有する、いわゆるインサートまた鋳型を使用することが可能である。
【0036】
高い圧力によって、大気圧(1bar)よりも大きい任意の圧力が意味される。本発明によれば、工程b)は通常、発泡可能な反応性樹脂を含む、工程a)で得られる支持材を好適な鋳型に入れ、その後、圧力を加えることによって行われる。本発明の1つの好適な実施形態において、圧縮変形工程が高い温度で行われる。この好ましい実施形態において、工程b)は熱成形工程とも呼ばれる。この場合の原理は、工程b)において使用される温度が高いほど、発泡可能な反応性樹脂を含む支持材の鋳型内の滞留時間が短くなることである。
【0037】
好ましくは、工程b)は50℃〜200℃の温度および/または2bar〜200barの圧力で行われる。使用されるシステムに依存して、完成した成形体を数分後に取り出すことができ、例えば、0.5分〜2分の後で取り出すことができる。適するならば、圧縮変形工程はまた、より長い期間にわたって行うことができる。
【0038】
得られる成形体の物理的性質は、圧縮度、使用される支持材、使用される発泡可能な反応性樹脂、および、支持材における反応性樹脂の割合に依存する。事実上限定されない幅広い性質を有する成形体を製造することができる。
【0039】
圧縮変形工程の結果として、完成した平坦な成形体の厚さは通常、工程a)において使用される支持材の厚さよりも小さいか、または、最大でも、工程a)において使用される支持材の厚さに等しい。圧縮変形(工程b))の後における成形体は好ましくは、工程a)において使用される支持材の厚さと比較して、80%以下の厚さを有する。本発明の1つの実施形態において、完成した成形体の厚さは、工程a)において使用される支持材の厚さの10%から50%にまで減らすことができる。
【0040】
工程b)の前または後において、好ましくは、工程b)の前ではあるが、外側層を、発泡可能な反応性樹脂を含む支持材の少なくとも1つの(平坦な)面に適用することが、本発明の1つの実施形態において可能である。外側層が工程b)の前において適用される場合、外側層が、発泡可能な反応性樹脂を含む支持材(ハイブリッドフォーム)の1つまたは複数の(平坦な)面(表面)に適用される。外側層が工程b)の後において適用される場合、外側層が、完成した成形体の1つの面(表面)に適用される。外側層を、発泡可能な反応性樹脂を含む支持材の2つの向き合う(平坦な)面のそれぞれに適用することが好ましい。その場合、問題としている材料は、同一の材料または異なる材料のどちらであってもよい。適するならば、2つ以上の外側層をハイブリッドフォームまたは完成した成形体の少なくとも1つの面または2つの向き合う面に適用することが可能である。外側層を、発泡可能な反応性樹脂を含む支持材の少なくとも1つの面(表面)に有する本発明の成形体は、パネルと呼ばれる。外側層が、発泡可能な反応性樹脂を含む支持材の2つの向き合う面に存在する場合、サンドイッチパネルという用語が使用される。
【0041】
外側層としての好適性を、原理的には、当業者には知られている外側層のすべてが有する。好ましくは、外側層は、全体または少なくとも一部が、金属(より具体的には、アルミニウム)、木材、断熱材、プラスチック(例えば、ポリマーフィルムまたはプラスチックシートの形態で)、波形の金属シート、他の金属シート、ガラス繊維織物、ガラス繊維マット、プラスターまたはチップボードから構成される。木材の外側層が使用される場合、外側層は好ましくは、木材単板からなる;プラスチックの外側層はまた、ポリウレタンフォームを含む。より好ましくは、外側層は、アルミニウム、金属シート、ガラス繊維織物、ポリマーフィルム、プラスチックシートまたは木材単板からなり、特に好ましくはアルミニウムからなる。外側層は好ましくは、箔/フィルム、ガラス繊維マット、または、両方である。
【0042】
外側層は、好ましくは、発泡可能な反応性樹脂を含む支持材に、支持材が広げられた後で適用される。外側層の厚さは好ましくは、支持材の厚さよりも小さく、好ましくは、少なくとも1/10未満である。好適な外側層の例が、厚さが0.1mmのアルミニウム箔である。好ましくは、その後の工程b)において、少なくとも1つの外側層を含む成形体が、支持材の最初の厚さの80%以下に圧縮される。ハイブリッドフォームと、外側層との間における接着が通常、圧縮の過程でフォームからにじみ出る発泡可能な反応性樹脂から生じる。本発明の1つの実施形態において、発泡可能な反応性樹脂が、工程a)において支持材の1つの平坦な面にだけ(例えば、含浸または噴霧によって)導入される。このようにして、勾配が形成され、この場合、より大きな濃度の発泡可能な反応性樹脂が、反応性樹脂が導入された支持材の面(表面)に存在する。支持材のコアにおける反応性樹脂の濃度はより低く、一方、支持材の反対側の(平坦な)面には、発泡可能な反応性樹脂が全く存在しない。この方法では、例えば、ガラス繊維マット、断熱材、木材、金属またはポリウレタンフォームである外側層が、反応性樹脂を含む支持材の1つだけの平坦な面に配置されるパネルを製造することが簡便である。
【0043】
本発明はさらに、上記の説明に従ったプロセスによって製造され得る本発明の少なくとも1つの成形体を含むパネルを提供する。本発明の目的のために、用語「パネル」は、より具体的には、成形体(コア)と、前記成形体の上に適用されるが、少なくとも1つの(平坦な)面において、外側層とを有するそのような物品を示す。パネルは、(曲がっていない)直線状であり得るか、または、1つ(または、適するならば、2箇所以上)の(曲がった)湾曲を有し得る。さらに、パネルにはまた、表面加工が施され得る。パネルは好ましくは、外側層が成形体の2つの向き合う(平坦な)面に適用されているサンドイッチパネルである。好適な外側層は上記で既に詳しく述べられている。2つの外側層は、適するならば、異なる材料からなり得るが、好ましくは、同じ材料からなる。より具体的には、2つの外側層は、アルミニウム、金属シート、ガラス繊維織物、ガラス繊維マット、ポリマーフィルム、プラスチックシートまたは木材単板から選択される。
【0044】
本発明はさらに、本発明の少なくとも1つの成形体を含むそのようなパネルを製造するためのプロセスを提供する。本発明のパネルを製造するためのプロセスは、原理的には、本発明の成形体を製造するための上記プロセスに対応する。
【0045】
成形体の変形および硬化の過程において、摩擦結合が、外側層と、フォームコアとの間で生じるだけでなく、外側層もまた、フォームコアと一致して変形され得る。
【0046】
本発明はさらに、輸送手段の組み立てにおけるか、そうでなければ、防火層としての本発明の(平坦な)成形体の使用を提供する。本発明の成形体は好ましくは、輸送手段の組み立てにおいて使用され、より具体的には、航空機用途または鉄道用途において使用される。本発明の成形体を輸送手段の組み立てにおいて使用するときの特定の利点に対する理由が、その製造プロセスのために、より具体的には、熱成形工程b)の結果として、成形体が、任意の所望される形状を与えるために簡便な様式で変形され得ることである。さらには、これらの形状は非常に安定であり、優れた機械的性質および低い可燃性を有する。本発明はさらに、輸送手段の組み立て(より具体的には、航空機用途または鉄道用途)におけるか、そうでなければ、防火層としての、本発明の成形体を含むパネルの使用を提供する。
【0047】
下記の実施例の目的は、本発明を例示することである。
【実施例】
【0048】
実施例1
厚さがおよそ10mmのBasotectフォームボード(密度:10g/l、面積:1m)に、硬質ポリウレタンフォームシステム(Elastopor H)が両面において含浸され(フリー密度:30g/l、開始時間:30秒、洗浄時間:120秒)、ポリウレタン樹脂が手動ローラーによって取り込まれる。
【0049】
【表1】

【0050】
下記の表は、取り込まれたポリウレタン樹脂の量および得られたハイブリッドフォームの密度を示す。
【0051】
【表2】

【0052】
このように含浸されたボードを、加熱された鋳型(100℃、高さ:8mm)にインサート(高さ:4mm)とともに導入する。2分の型出し時間の後、8mmおよび4mmの厚さを有し、大きい剛性を有する組成変化ボードが得られ、これは、取り込まれたポリウレタン樹脂の量および圧縮度に依存して、39g/l〜300g/lの間で変化する全体的密度を有する。
【0053】
【表3】

【0054】
ボードは180℃までの温度において寸法安定性であり、加水分解性暴露に対してもまた安定である。防火試験において、ボードは防火クラスB2を達成する(純粋なポリウレタンフォームは防火クラスB3である)。
【0055】
実施例2
他の場合には同じ様式で行われる第2の試験において、ガラス繊維マットが鋳型の中に入れられる。ガラス繊維マットがその滑らかな面に堅く結合する成形体が製造される。ブンゼンバーナーの炎を外側のガラス繊維層に当てた場合、成形体は着火しない。
【0056】
実施例3
実施例3が、実施例1に関して同じ様式で行われる。実施例3では、1000gのポリウレタンの靴用フォームシステムが使用される。しかしながら、得られる組成変化ボードは200g/lの容積重量を有し、防火試験において、実施例1についての結果と類似する結果を与える。
【0057】
【表4】

【0058】
実施例4
実施例4が、実施例1に関して同じ様式で行われる。実施例4では、2000gのポリウレタンエラストマーシステムが使用される。しかしながら、得られる組成変化ボードは400g/lの容積重量を有し、防火試験において、実施例1についての結果と類似する結果を与える。
【0059】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程:
a)発泡可能な反応性樹脂を支持材に導入する工程、および
b)前記発泡可能な反応性樹脂を含む前記支持材を圧縮変形する工程
を含むプロセスによって製造され得る成形体。
【請求項2】
前記支持材がメラミン樹脂フォームであり、かつ/あるいは、前記発泡可能な反応性樹脂が、少なくとも1つのポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂またはエポキシ樹脂から選択される、請求項1に記載の成形体。
【請求項3】
工程b)が行われる前に、外側層が、前記発泡可能な反応性樹脂を含む前記支持材の少なくとも1つの面に適用される、請求項1または2に記載の成形体。
【請求項4】
発泡可能な反応性樹脂を含む前記支持材が20g/l〜1000g/lの全体的密度を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の成形体。
【請求項5】
前記発泡可能な反応性樹脂が前記支持材において勾配の形態で分布する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の成形体。
【請求項6】
工程b)における圧縮変形が高い温度で行われる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の成形体。
【請求項7】
工程b)が50℃〜200℃の温度および/または2bar〜200barの圧力で行われる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の成形体。
【請求項8】
圧縮変形(工程b))後の成形体が、工程a)において使用される支持材の厚さとの比較において80%以下の厚さを有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の成形体。
【請求項9】
前記外側層が、金属(より具体的には、アルミニウム)、木材、断熱材、プラスチック、波形の金属シート、他の金属シート、ガラス繊維織物、ガラス繊維マット、プラスターまたはチップボードからなる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の成形体。
【請求項10】
下記の工程:
a)発泡可能な反応性樹脂を支持材に導入する工程、および
b)前記発泡可能な反応性樹脂を含む前記支持材を圧縮変形する工程
を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載される成形体を製造するための方法。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか一項に記載される少なくとも1つの成形体を含むパネル。
【請求項12】
外側層が前記成形体の2つの向き合う面のそれぞれに適用されるサンドイッチパネルであり、ただし、前記2つの外側層は、適するならば、異なる材料である、請求項11に記載のパネル。
【請求項13】
両方の外側層が、アルミニウム、金属シート、ガラス繊維織物、ガラス繊維マット、ポリマーフィルム、ポリマーボードまたは木製単板からなる、請求項12に記載のパネル。
【請求項14】
輸送手段の構造体、より具体的には、航空機用途または鉄道用途におけるか、または、防火層として、請求項1〜9のいずれか一項に記載される成形体または請求項11〜13のいずれか一項に記載されるパネルを使用する方法。

【公表番号】特表2011−506150(P2011−506150A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538757(P2010−538757)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【国際出願番号】PCT/EP2008/068010
【国際公開番号】WO2009/077616
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】